説明

硬化が触媒により促進されたポリマー表面上の耐引掻性および耐摩耗性の被覆

本発明の対象は、2つの成分AおよびBを含有する被覆系であり、この場合成分Aは、無機酸または有機酸から選択された触媒の存在下での、Y(1)が3−グリシジルオキシプロピル基であり、およびR1、R2、R3が同一かまたは異なる、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるシランY(1)SiOR1OR2OR3と水との少なくとも1つの反応生成物を含有し、成分Bは、アンモニウム化合物またはヒドロキシドから選択された添加剤の存在下での、Y(2)がN−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基またはNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3基であり、およびR'1、R'2、R'3が同一かまたは異なる、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である、他のシランY(2)SiOR'1OR'2OR'3からの少なくとも1つの反応生成物を含有し、および成分A、Bの少なくとも1つは、付加的に少なくとも1つの無機充填剤および85℃以下の温度で沸点を有する溶剤を含有し、ならびに、本発明による被覆系の成分AおよびBの含分を(i)一緒にし、引続き、(ii)工程(i)で得られた組成物を貯蔵し、引続き、(iii)工程(ii)で得られた組成物を支持体上に施こし、引続き、(iv)そこで硬化させることを特徴する、ポリマー表面上に表面被覆を形成させる方法、さらに本発明による被覆を有する、少なくとも1つのポリマー表面を有する製品、および装置、アーマチュア、器械、測定器具、衛生器具、調理器具、家庭用器具、車両のインテリア、コックピット、ディスプレイ、覗き窓または家具を被覆するための本発明による製品の使用、ならびに板、シェル、成形部材、ケーシング、ノブ、レバー、脚部、ドア、蓋、床、側壁、グリップ、装飾パッドまたは吹付保護要素としての本発明による製品の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、促進された乾燥性、耐引掻性の硬質表面被覆をゾルゲル技術により多種多様のポリマー上に形成させる被覆系ならびにこのような表面被覆を製造する方法に関する。
【0002】
鋼またはポリマー上へのガラス状被覆の形成は、久しく公知であり、しばしば記載されている。
【0003】
耐引掻性とは、この立場で、以下、硬度試験棒で算出される、スクレーパーの取付けに抗する材料の表面被覆の耐性能力であると理解される。この硬度試験棒は、スライダーにより種々の強さに張圧することができる渦巻ばねが挿入されているスリーブから構成されている。こうして調節されたばね力は、先端がスリーブから突出している彫刻ピンに作用する。スライダーは、クランプねじで固定され、それによってばねの応力は、一定に保持される。こうして、彫刻ピンは、種々の強さで負荷され、それによって先端は、規定された力で表面被覆に対して押圧されることができる。
【0004】
本発明の範囲内では、ERICHSEN GmbH & Co. KG社, Iserbach 14, D-58675 Hemer在、の硬質試験棒タイプ318が使用される。彫刻ピンの先端は、硬質金属から構成されており、および0.75mmの直径に丸みを付けられる。スライダーを用いて、硬質試験棒に沿っての目盛で評価されたかまたは既に公知のバネ力は、調節され、クランプねじは、締め付けられる。引続き、硬質試験棒は、先端と垂直方向に材料の表面被覆上に載置され、約10mm/秒で5〜10mmの長さの区間で引っ張られる。この場合、硬質試験棒は、彫刻ピンの先端がスリーブ中に結合するまで移動される。硬質試験棒を引っ張った後で目視可能な引掻き傷の痕跡が表面被覆上に生じた、スライダーの位置は、目盛上で硬度を特性決定する測定値のための基準として定められる。この測定値は、いわゆるヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度であり、この引掻硬度は、本発明の範囲内でNで記載されている。
【0005】
耐磨耗性とは、前記状況で次に述べるように、定義された条件下で生じた摩耗に基づいて材料の表面被覆が蒙る、質量%で測定された質量損失である。この摩耗は、その前面が定義された荒さを有しかつ定義された回転数で摩擦歯車の質量によって定義される載置力で表面被覆上を擦る2個の摩擦歯車によって引き起こされる。その際に使用される装置は、TABER INDUSTRIES社(455 Bryant Street, North Tonawanda, New York 14120, USA, http://www.taberindustries.com)により記載され、そこから入手可能である。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3828098号明細書A1には、有機官能性シランおよび少なくとも1つのアルミニウムアルコキシドから出発する耐引掻性材料の製造が記載されている。少なくとも1つのアルミニウム化合物と少なくとも1つの有機官能性シランとの加水分解重縮合によって得られる組成物は、支持体上に施こされ、加熱によって硬化される。前記組成物の製造における特殊な工程は、前記組成物を支持体上に塗布する前に、前記組成物を水の添加によって化学量論的不足量の割合で予め縮合させなければならないことにある。水は、望ましくない沈殿を阻止するために、数工程で添加されなければならない。
【0007】
また、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3917535号明細書A1には、加水分解可能な珪素化合物を基礎とする耐引掻性被覆のための組成物の製造が記載されている。有機官能性シランと共に、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシドおよび/またはジルコニウムアルコキシドが使用される。耐引掻性を達成させるために、加水分解化合物の易揮発性部分は、蒸発される。この方法においては、同様に水の添加によって化学量論的不足量の割合で加水分解可能な珪素化合物の混合物が予め縮合され、このことは、特殊な処理工程を必要とする。この前縮合は、縮合触媒の使用によって促進させることができる。前縮合および易揮発性の加水分解化合物の蒸発の後に初めて、組成物は、支持体上に施こされ、引続き数分間ないし2時間、加熱によって硬化される。
【0008】
Al、Tiおよび/またはZrと少なくとも1つの有機官能性シランとからなるアルコキシドの組合せ物は、米国特許第4746366号明細書中に記載されている。この組合せ物は、水の段階的な添加によって前縮合される。加水分解生成物は、真空下に組合せ物から除去される。こうして得られた生成物は、支持体上に施こされ、加熱によって数分間ないし2時間の間、硬化される。
【0009】
プラスチックからなる支持体上への耐磨耗性保護層を形成するための被覆材料は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19952040号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10245725号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10245726号明細書A1およびドイツ連邦共和国特許出願公開第10245729号明細書A1中に記載されている。しかし、前記刊行物中に開示された塗料は、少なくとも2層で、即ち所謂耐磨耗性層または基本層と被覆層で塗布されなければならず、前縮合されなければならず、引続き少なくとも部分的に硬化されなければならない。前縮合のための時間は、実際に縮合促進剤の添加によって短縮されることができる。しかし、前記層から形成される被覆を硬化させるために、常になお110〜130℃の温度で30〜200分間の時間が必要とされ、この時間は、実際に個々の部材または板製品の被覆に適しているが、しかし、連続的なシート被覆のためには、依然として長すぎる。
【0010】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4011045号明細書A1には、耐磨耗性塗料の製造が記載されており、この場合この塗料は、市場で入手可能な光開始剤が添加される。この塗料は、プラスチック支持体上への塗布後に熱的にか、またはUV光での照射によって120秒間で硬化されてもよい。
【0011】
前記の全ての刊行物は、被覆または塗料の製造に対して前縮合の時間がかかる工程を含むことが共通している。公知技術のもう1つの欠点は、望ましい耐引掻性または耐磨耗性を達成させるために、被覆が15μmを上廻る被覆の厚さになるまで数回塗布されなければならないことにある。2つの欠点は、シートをロールツーロール法で被覆するためのこれまでに公知の被覆方法および被覆系を不経済にするかまたはむしろ使用不可能にすることである。
【0012】
しかし、連続的方法で高いベルト速度で被覆材料の提供ならびに乾燥/硬化プロセスで形成することができる、新しい機能性および改善された性質を有する可撓性のプラスチック表面を提供することが必要とされている。
【0013】
本発明の課題は、公知技術水準の1つ以上の欠点を有しない、公知技術水準と比較して改善された被覆系ならびにポリマー表面上に耐引掻性および耐磨耗性の被覆を形成させる、公知技術水準と比較して改善された方法を提供することであった。
【0014】
この課題は、意外なことに、ゾルゲル法でSi−O−Si−結合への縮合と共に有機的架橋を進行させ、その硬化時間を触媒および添加剤の存在下で公知技術水準と比較して劇的に短縮させる被覆系によって解決される。
【0015】
即ち、本発明の対象は、2つの成分AおよびBを含有する被覆系であり、この場合成分Aは、
Ac)無機酸または有機酸から選択された触媒の存在下での含分
Aa)一般式
【化1】

〔式中、
(1)は、3−グリシジルオキシプロピル基であり、および
1、R2、R3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランと
Ab)水とからの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
および成分Bは、Bb)第四アンモニウム化合物から選択された添加剤の存在下での含分Ba)一般式
【化2】

〔式中、
(2)は、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基またはNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3−基であり、R'1、R'2、R'3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランからの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
成分A、Bの少なくとも1つは、付加的に含分
d)少なくとも1つの無機充填剤および
e)85℃以下の温度で沸点を有する溶剤を含有する。
【0016】
更に、本発明の対象は、ポリマー表面上に表面被覆を形成させる方法であり、この方法は、本発明による被覆系の成分AおよびBの含分を
(i)一緒にし、引続き
(ii)工程(i)で得られた組成物を貯蔵し、引続き
(iii)工程(ii)で得られた組成物を支持体上に施こし、引続き
(iv)そこで硬化させることによって特徴付けられる。
【0017】
本発明による方法は、望ましい耐引掻性および耐摩耗性を達成させるために、被覆組成物を1回だけプラスチック表面上に塗布しなければならないという利点を有する。従って、本発明による被覆方法は、被覆されたプラスチック表面、例えばシートを、公知技術水準のように被覆を数回塗布するかまたは後加工する必要なしに、ロールツーロール法で連続的に製造することを可能にする。
【0018】
従って、さらに、本発明の対象は、本発明による方法で得られる被覆である。
【0019】
同様に、本発明の対象は、珪素−酸素−珪素結合を有する被覆であり、この被覆は、当該被覆が5N〜11Nのヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度を有することによって特徴付けられる。
【0020】
更に、本発明の対象は、少なくとも1つのポリマー表面を有する製品であり、この場合このポリマー表面は、本発明による表面被覆を有する。
【0021】
また、本発明の対象は、装置、アーマチュア、器械、測定器具、衛生器具、調理器具、家庭用器具、車両のインテリア、コックピット、ディスプレイ、覗き窓または家具を被覆するための本発明による製品の使用、ならびに板、シェル、成形部材、ケーシング、ノブ、レバー、脚部、ドア、蓋、床、側壁、グリップ、装飾パッドまたは吹付保護要素としての本発明による製品の使用である。
【0022】
本発明の被覆系の1つの利点は、この被覆系が本発明による方法の工程(i)〜(iii)の何れにもよらずに、公知技術水準で公知の望ましくないゲル化を有し、即ち減少された機械的費用で薄手の層で施こすことができることにある。
【0023】
更に、本発明による被覆系の利点は、この被覆系が本発明による方法の実施後に20〜30秒の時間で硬化することにある。従って、プラスチック表面は、公知技術水準と比較して著しく高められた、例えば2倍のベルト速度で被覆されることができる。
【0024】
ロールツーロール法、ベルト装置による方法または他の連続的な方法で、公知技術水準と比較して短い、本発明による被覆系を硬化させるための前記時間のために、単位時間当りの本質的に高い通過速度または生産量を実現させることができ、それによって被覆された製品のための製造費は、公知技術水準と比較して明らかに減少させることができる。
【0025】
更に、本発明の方法の利点は、亀裂がなく間隙がない表面被覆を得るために、表面被覆を単に1回だけ施こす必要があることにある。
【0026】
亀裂がない表面被覆とは、本発明の範囲内で、倍率10000倍での表面被覆の表面の走査電子顕微鏡(REM)画像で亀裂を全く確認することができない表面被覆であり、この場合には、この表面での10個所の異なる位置で判断される。
【0027】
更に、本発明による方法の利点は、公知技術水準と比較して硬化された被覆のブロッキングまたは後硬化が全く発生しないことである。硬化後、この製品は、接触面が上下に重なり合って接着することもないし、互いに接着することもなしに、直ちに巻き取られるかまたは積み重ねられる。
【0028】
本発明の方法は、本発明による表面被覆に対するヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度の測定が公知技術水準に記載の被覆と比較して本質的に良好な結果を生じるといる他の利点を有する。本発明方法により本発明による表面被覆が施こされる印刷されたポリ塩化ビニル(PVC)フィルムの場合、印刷は、ヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度が20Nになるまで損傷なしにそのままである。印刷されたPVCフィルム上に公知技術水準により施こされた被覆の場合には、既に2.5Nを上廻る力で印刷の損傷を生じる。
【0029】
以下、本発明による被覆系および本発明による方法は、例示的に記載される。
【0030】
本発明の対象は、2つの成分AおよびBを含有する被覆系であり、この場合この成分Aは、Ac)無機酸または有機酸から選択された触媒の存在下での含分
Aa)一般式
【化3】

〔式中、
(1)は、3−グリシジルオキシプロピル基であり、および
1、R2、R3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランと
Ab)水とからの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
および成分Bは、Bb)第四アンモニウム化合物から選択された添加剤の存在下での含分Ba)一般式
【化4】

〔式中、
(2)は、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基またはNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3−基であり、R'1、R'2、R'3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランからの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
成分A、Bの少なくとも1つは、付加的に含分
d)少なくとも1つの無機充填剤および
e)85℃以下の温度で沸点を有する溶剤を含有する。
【0031】
好ましくは、含分d)およびe)は、B中に含有されていてよい。本発明による被覆系の前記の実施態様は、被覆系が長期間、特に1時間〜30日、特に有利に1日〜10日に亘って貯蔵可能であるという利点を有する。
【0032】
本発明による被覆系の基R1、R2、R3およびまたはR'1、R'2、R'3が少なくとも一対で同一である場合には、好ましい。
【0033】
更に、Y(2)がN−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基である場合、少なくとも1つの基R1、R2、R3がエトキシ基から選択され、および/または少なくとも1つの基R'1、R'2、R'3がエトキシ基から選択されていること、或いは、Y(2)がNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3−基である場合、少なくとも1つの基R1、R2、R3がメトキシ基から選択され、および/または少なくとも1つの基R'1、R'2、R'3がメトキシ基から選択されていることは、好ましい。
【0034】
1、R2、R3、R'1、R'2、R'3がエトキシ基から選択されることは、特に好ましく、さらに、R1、R2、R3がエトキシ基から選択され、R'1、R'2、R'3がメトキシ基から選択されることは、特に好ましい。
【0035】
N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)−トリメトキシシランに対して、R1、R2、R3がエトキシ基から選択された含分Aa)は、この状況で以下、GLYEOと呼称され、R'1、R'2、R'3がエトキシ基から選択された含分Ba)は、この状況で以下、AMEOと呼称され、R'1、R'2、R'3がメトキシ基から選択された含分Ba)は、この状況で以下、DAMOと呼称される。
【0036】
特に、本発明による被覆系の含分Ab)は、硝酸水溶液から選択されていてよい。
【0037】
更に、有利には、含分Ab)、Ac)の量比は、水99部(Ab)に対して)および触媒1部(Ac)に対して)が使用されるように選択されてよい。更に、有利には、含分Aa)、Ac)の量比は、GLYEO1000部(Aa)に対して)および触媒1部(Ac)に対して)が使用されるように選択されてよい。特に有利には、含分Ab)、Ac)およびAa)の量比は、水99部(Ab)に対して)および触媒1部(Ac)に対して)およびGLYEO1000部(Aa)に対して)が使用されるように選択されてよい。
【0038】
無機充填剤、本発明による被覆系の含分d)、がSiO2、TiO2、ZnO、Al23、BaSO4、CeO2、ZrO2、CaCO3またはこれらの充填剤からなる混合物から選択されていることは、好ましい。
【0039】
更に、無機充填剤が10〜2000nmの平均一次粒径d50を有することは、好ましい。本発明の範囲内で一次粒子は、小さな粒子からの凝集塊でもなければ凝集体でもない粒子である。特に、無機充填剤は、一次粒子と凝集塊および/または凝集された粒子との混合物を有することができる。特に有利には、含分d)は、一次粒子からなることができる。殊に有利には、d)は、10〜200nmの一次粒径d50を有する一次粒子からなることができる。
【0040】
好ましくは、本発明による被覆系の添加剤Bb)は、テトラエチルアンモニウムフルオリド二水和物、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド三水和物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド一水和物、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(99%)、特に有利にテトラエチルアンモニウムフルオリド二水和物、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド三水和物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、またはこれらの添加剤の混合物から選択されることができる。
【0041】
第四アンモニウム化合物は、エポキシドに対して開環反応の促進を生じさせ、架橋度を上昇させ、本発明による方法の工程(iv)が実施されると同時に硬化時間を短縮させる。
【0042】
本発明による被覆系の含分e)は、有利に一般式Cn2n+1OH〔式中、nは1〜4である〕で示される一連のアルコールまたはこれらのアルコールの混合物から選択されてもよいし、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれたケトンまたは該ケトンの混合物から選択されてもよいし、アセテートから選択されてもよい。
【0043】
特に有利には、本発明による被覆系の含分e)は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールまたはこれらのアルコールの混合物から選択されてもよいし、メチルエチルケトンから選択されてもよい。この選択は、溶剤が、被覆系が塗布されている支持体、有利にプラスチックシートを取るに足りない程度溶解し、それによって本発明による方法の実施後に得られた被覆の付着力を改善するという利点を有する。
【0044】
本発明による被覆系の成分A、Bの少なくとも1つは、有利に1つの他の含分
c)
【化5】

〔式中、Y(3)は、アルキル基、フルオロ基、フルオロアルキル基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基から選択されており、R''1、R''2、R''3は、1〜6個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基である〕で示される他のシランの少なくとも1つの反応生成物を含有することができる。
【0045】
更に、本発明の対象は、支持体上に表面被覆を形成させる方法であり、この方法は、本発明による被覆系の成分AおよびBの含分を
(i)一緒にし、引続き、
(ii)工程(i)で得られた組成物を貯蔵し、引続き、
(iii)工程(ii)で得られた組成物を支持体上に施こし、引続き、
(iv)そこで硬化させることによって特徴付けられる。
【0046】
特に、本発明による方法の工程(i)において、成分AおよびBの含分ならびに含分d)およびe)は、それぞれ任意の順序で一緒にされる。特に有利には、工程(i)において、最初に成分Aの含分が一緒にされ、引続き成分Bの含分が一緒にされ、引続き成分AおよびBが一緒にされ、および引続き成分d)およびe)がこれに添加されてよい。殊に有利には、工程(i)において、最初にAc)およびBc)以外の全ての含分が添加され、引続き含分Ac)およびBb)がこれに添加されてよい。
【0047】
特に、本発明による方法の工程(i)において、前記の成分および含分は、攪拌、混練によって、スキャンデックス(Scandex)の静的混合装置、振盪機を用いて、またはこれらの組合せによって一緒にされてよい。
【0048】
本発明による方法において、前記の成分および含分が攪拌によって一緒にされることは、特に好ましい。更に、本発明による方法において、前記の成分および含分は、攪拌によってプロペラミキサー、傾斜型羽根攪拌機、ディスク型攪拌機、インペラー攪拌機、交叉アーム式攪拌機(Kreuzbalkenruehrer)、馬蹄形攪拌機、櫂形攪拌機、グリッド型攪拌機(Gitterruehrer)、ヘリカルリボンインペラー(Wendelruehrer)、のこぎり状ディスク型攪拌機(Zahnscheibenruehrer)、タービン型攪拌機、半月型攪拌羽根付き攪拌機(Halbmondruehrer)またはファン攪拌機(Faecherruehrer)中で互いに混合されてよい。更に、特に有利には、本発明による方法において、殆んどかまたは全く周囲ガスを組成物中に導入しない、および/または殆んど熱エネルギーを組成物中に搬入しない攪拌技術を使用することができる。特に有利には、本発明による方法において、プロペラミキサー、傾斜型羽根攪拌機、ディスク型攪拌機、インペラー攪拌機、交叉アーム式攪拌機(Kreuzbalkenruehrer)、馬蹄形攪拌機、櫂形攪拌機、グリッド型攪拌機(Gitterruehrer)、ヘリカルリボンインペラー(Wendelruehrer)またはのこぎり状ディスク型攪拌機(Zahnscheibenruehrer)、さらに特に有利にプロペラミキサー、ディスク型攪拌機またはインペラー攪拌機を使用することができる。
【0049】
本発明による方法において、前記の成分および含分を僅かな剪断速度で1〜10分間、有利に2〜8分間、特に有利に3〜7分間、殊に有利に4〜8分間、極めて有利に4.8〜5.2分間の期間中に一緒にすることは、好ましい。
【0050】
好ましくは、本発明による方法の工程(ii)において、工程(i)で得られた組成物は、30分間〜2日間、特に有利に4時間〜1日間の期間に亘って環境温度および空気の遮断下で貯蔵されてよい。
【0051】
本発明による方法の工程(iii)において、工程(ii)で得られた組成物は、支持体上で有利に浸漬、塗布、ドクターナイフ塗布、刷毛塗り、ロール塗布、圧延、反転ロールコーティング、キスロール塗布、注型、流し塗布または噴霧によって施されてよく、板製品、ベルト状製品またはフィルムの場合には、特に有利に注型または流し塗布によって施されてよい。
【0052】
本発明による方法において、工程(iii)では、工程(ii)で得られた組成物が有利にガラス、石英ガラス、金属、石材、木材、コンクリート、紙、織物またはプラスチックを含むかまたはガラス、石英ガラス、金属、石材、木材、コンクリート、紙、織物またはプラスチックである固体の支持体上に施されてよい。プラスチックとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)またはこれらのポリマーの混合物が使用されてよい。
【0053】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)またはこれらのポリエステルの混合物が使用されてよい。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド11、ポリアミド12またはこれらのポリアミドの混合物が使用されてよい。
【0054】
ポリイミドとしては、Kapton(登録商標)が使用されてよい。ポリアクリレートとしては、有利にポリメチルメタクリレート(PMMA)が使用されてよい。
【0055】
特に有利には、この組成物は、支持体の少なくとも1つの表面上に施されてよく、この場合この支持体は、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、PVC、PET、PE、PC、PMMA、スチレン−アクリルニトリルコポリマー(SAN)、ポリスチレン、またはこれらのポリマーまたはコポリマーの組合せを含有するかまたはこれらのポリマーまたはコポリマー、またはこれらのポリマーまたはコポリマーの組合せである。
【0056】
本発明による方法の工程(iv)において、工程(iii)で支持体上に施された組成物は、有利にガスまたは空気、有利に周囲空気の流入および/または電磁エネルギーでの照射によって硬化されてよい。相対空気湿度は、有利に10〜99%、特に有利に50〜98%、殊に有利に70〜97%、極めて有利に80〜95%であることができる。
【0057】
好ましくは、施された層は、単数の施された層または複数の施された層を有する支持体の質量がもはや変化しなくなるまで乾燥させることができる。特に、施された層は、炉内で乾燥させることができる。特に有利には、施された層は、加熱されたガスまたは加熱された空気を流入させることによって乾燥させることができる。
【0058】
硬化は、電磁エネルギー、有利にマイクロ波、またはIR線での照射によって行なうことができる。
【0059】
更に、本発明による方法の工程(i)〜(iv)を少なくとも1回繰り返すことは、好ましい。
【0060】
更に、本発明による方法において、工程(iv)で電磁エネルギーを1秒〜60秒、有利に2秒〜50秒、特に有利に5秒〜10秒の照射時間で使用することは、好ましい。照射時間は、有利にエネルギー源のスイッチの開閉によって、さらに有利にはエネルギー源の放出開放前に取り付けられた絞りを開閉することによって実現させることができる。本発明による方法において、層の形で施された組成物は、有利に1回〜50回、特に有利に2回〜5回または5回〜10回電磁エネルギーで照射されてよい。
【0061】
本発明による方法において、1回を上廻って電磁エネルギーでの照射を使用する場合には、さらに、電磁エネルギーでの1回の照射の時間とこの時間のそのつどの組合せが同一かまたは異なることは、好ましい。更に、1回のビーム出力とビーム出力のそのつどの組合せが同一かまたは異なることは、好ましい。更に、本発明による方法において、1回の波長と波長のそのつどの組合せ、または1回の周波数と周波数のそのつどの組合せが同一かまたは異なることは、好ましい。
【0062】
本発明による方法の工程(iv)において、マイクロ波を使用する場合には、さらに、550MHz〜25GHz、有利に750MHz〜15GHz、特に有利に900MHz〜12GHzの同一および/または異なる周波数を使用すること、さらに特に有利に1.2GHz〜10.5GHzの同一および/または異なる周波数を使用することは、好ましく、殊に有利には、ISM周波数である周波数が使用される。
【0063】
本発明による方法の工程(iv)において、IR線を使用する場合には、1〜5000μm、有利に2〜2000μm、特に有利に5〜1000μmの波長を使用することは、好ましい。殊に有利には、ハロゲン灯によって発生されるIR線を使用することができる。
【0064】
本発明による方法において、工程(i)〜(iv)を1回を上廻って繰り返す場合には、工程(iii)の実施後に工程(iv)の実施と共に1〜30秒、有利に10〜20秒の時間を待つことは、好ましい。
【0065】
更に、本発明による方法の1つの実施態様において、工程(iv)は、支持体を組成物と一緒に、電磁エネルギーが入射される、場所的に制限された区域に定義された速度で通過させることにより実施されてよい。更に、本発明による方法において、支持体を本発明による組成物と一緒にロールツーロール法で、電磁エネルギーが照射された場所的に制限された区域に案内することは、好ましい。
【0066】
更に、本発明による方法において、50W〜50kW、有利に250W〜25kW、特に有利に500W〜15kWの同一および/または異なる出力を使用することは、好ましい。
【0067】
特に、本発明による方法において、工程(iv)で前記組成物は、60℃〜150℃の温度に加熱することができ、それによって組成物は、硬化される。
【0068】
本発明による方法において、工程(iv)で前記組成物は、1〜60秒、特に有利に5〜10秒の時間で加熱することによって硬化させることができる。
【0069】
本発明による方法において、成分Aにおいて次の含分
5〜40質量%の質量分を有するAa)および
5〜20質量%の質量分を有するAb)および
0.05〜1.5質量%の質量分を有するAc)、および
成分Bにおいて次の含分
5〜50質量%の質量分を有するBa)および
0.4〜2質量%の質量分を有するBb)、および
成分A、Bの少なくとも1つにおいて、次の含分
2〜20質量%の質量分を有するd)および
2〜60質量%の質量分を有するe)を使用することは、好ましく、但し、この場合質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0070】
添加剤Bb)がテトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド一水和物、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(99%)またはこれらの添加剤の混合物から選択される場合には、本発明による方法において、単数の前記添加剤または複数の前記添加剤を0.5〜1.5質量%、有利に1〜1.5質量%の質量分で使用することは、好ましく、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記成分中の質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0071】
添加剤Bb)がテトラエチルアンモニウムフルオリド二水和物から選択される場合には、本発明による方法において、前記添加剤を1.3〜1.75質量%、有利に1.4〜1.6質量%、特に有利に1.5〜1.55質量%、殊に有利に1.54質量%の質量分で使用することは、好ましく、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記成分中の質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0072】
添加剤Bb)がテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド三水和物から選択される場合には、本発明による方法において、前記添加剤を1.3〜1.75質量%、有利に1.4〜1.6質量%、特に有利に1.5質量%の質量分で使用することは、好ましく、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記成分中の質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0073】
添加剤Bb)がヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドから選択される場合には、本発明による方法において、前記添加剤を0.75〜1.25質量%、有利に0.9〜1.1質量%、特に有利に1.0質量%の質量分で使用することは、好ましく、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記成分中の質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0074】
本発明による方法において、含分Aa)とBb)を1:3〜3:1のモル比で使用することは、好ましい。
【0075】
更に、本発明による方法において、成分A、Bの少なくとも1つに0.5〜10質量%の質量分を有する含分c)を混入することは、好ましく、この場合この量の記載は、被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0076】
更に、本発明による方法において、成分A、Bの少なくとも1つに他の含分として
f)メラミン樹脂、アクリレートから選択される塗料結合剤またはこれらの塗料結合剤の混合物を、0.001〜15質量%の質量分で、および/または
g)エポキシ樹脂を、0.001〜15質量%の質量分で混入することは、好ましく、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0077】
更に、本発明による方法において、成分A、Bの少なくとも1つにもう1つの含分として
h)酸化ジルコニウム、酸化セリウムまたは二酸化チタンから選択された無機UV吸収剤、またはこれら無機吸収剤の混合物、および/またはヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、HALS安定剤から選択された有機UV吸収剤、またはこれらの有機吸収剤の混合物を混入し、工程(iv)で前記組成物をUV線で処理することは、好ましい。
【0078】
好ましくは、含分h)は、本発明による方法において、0.5〜5質量%の質量分で使用されることができ、この場合この量の記載は、被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる。
【0079】
また、本発明の対象は、珪素−酸素−珪素結合を有する被覆であり、この被覆は、当該被覆が5N〜20Nのヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度を有することによって特徴付けられる。好ましくは、この被覆は、6〜10N、特に有利に6〜7N、さらに特に有利に7〜8N、さらに特に有利に8〜9N、さらに特に有利に7〜10N、さらに特に有利に9〜10Nの引掻硬度を有することができる。
【0080】
本発明による被覆は、0.1〜0.5質量%の耐磨耗性を有することができる。
【0081】
特に、本発明による被覆は、1〜10μmの層厚を有することができる。この層厚は、本発明による方法の工程(iv)の後に得られる層厚である。
【0082】
本発明による被覆が無機充填剤を粒子の形で有することは、好ましく、この場合この粒子は、均一な分布を有する。
【0083】
更に、本発明による被覆は、0.5〜10%の伸縮性を有することができる。
【0084】
本発明による被覆は、特に熱溶接可能性を有する。それによって、本発明による被覆は、発汗または別の熱をもたらす溶融技術または結合技術によって後加工される半製品の場合でも損傷を受けないかまたは全く失われることがないという利点を生じる。
【0085】
従って、本発明の対象は、少なくとも1つのポリマー表面を有する製品でもあり、この場合このポリマー表面は、本発明による表面被覆を有する。
【0086】
特に、本発明による製品は、板製品、ベルト状製品、フィルムまたは個々の部材、特に有利にフィルムから選択されてよい。
【0087】
更に、本発明による製品のポリマー表面は、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、PVC、PET、PE、PC、PMMA、スチレン−アクリルニトリルコポリマー(SAN)、ポリスチレンから選択されてよいか、またはこれらのポリマー表面の組合せから選択されてよい。
【0088】
また、本発明の対象は、装置、アーマチュア、器械、測定器具、衛生器具、調理器具、家庭用器具、車両のインテリア、コックピット、ディスプレイ、覗き窓または家具を被覆するための本発明による製品の使用、ならびに板、シェル、成形部材、ケーシング、ノブ、レバー、脚部、ドア、蓋、床、側壁、グリップ、装飾パッドまたは吹付保護要素としての本発明による製品の使用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの成分AおよびBを含有する被覆系であって、この場合成分Aは、
Ac)無機酸または有機酸から選択された触媒の存在下での含分
【化1】

〔式中、
(1)は、3−グリシジルオキシプロピル基であり、および
1、R2、R3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランと
Ab)水とからの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
および成分Bは、Bb)第四アンモニウム化合物から選択された添加剤の存在下での含分Ba)一般式
【化2】

〔式中、
(2)は、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基またはNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3−基であり、R'1、R'2、R'3は、同一かまたは異なり、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるシランの成分からの少なくとも1つの反応生成物を含有し、
成分A、Bの少なくとも1つは、付加的に含分
d)少なくとも1つの無機充填剤および
e)85℃以下の温度で沸点を有する溶剤を含有する、前記の2つの成分AおよびBを含有する被覆系。
【請求項2】
(2)がN−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基である場合、少なくとも1つの基R1、R2、R3がエトキシ基から選択され、および/または少なくとも1つの基R'1、R'2、R'3がエトキシ基から選択されており、或いは、Y(2)がNH2(CH22NH(CH22NH(CH)3−基である場合、少なくとも1つの基R1、R2、R3がメトキシ基から選択され、および/または少なくとも1つの基R'1、R'2、R'3がメトキシ基から選択されている、請求項1記載の被覆系。
【請求項3】
成分e)が、一般式Cn2n+1OH〔式中、nは1〜4である〕で示される一連のアルコールまたはこれらのアルコールの混合物から選択されていてもよいし、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれたケトンまたは該ケトンの混合物から選択されていてもよいし、またはアセテートから選択されていてもよい、請求項1記載の被覆系。
【請求項4】
成分A、Bの少なくとも1つが、他の含分
c)
【化3】

〔式中、Y(3)は、アルキル基、フルオロ基、フルオロアルキル基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基から選択されており、R''1、R''2、R''3は、1〜6個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基である〕で示される他のシランの少なくとも1つの反応生成物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の被覆系。
【請求項5】
表面被覆を支持体上に形成させる方法において、請求項1から4までのいずれか1項に記載の被覆系の成分AおよびBの含分を
(i)一緒にし、引続き
(ii)工程(i)で得られた組成物を貯蔵し、引続き
(iii)工程(ii)で得られた組成物を支持体上に施こし、引続き
(iv)そこで硬化させることを特徴とする、表面被覆を支持体上に形成させる方法。
【請求項6】
成分Aにおいて、
5〜40質量%の質量分を有するAa)および
5〜20質量%の質量分を有するAb)および
0.05〜1.5質量%の質量分を有するAc)、および
成分Bにおいて、
5〜50質量%の質量分を有するBa)および
0.4〜2質量%の質量分を有するBb)および
成分A、Bの少なくとも1つにおいて、
2〜20質量%の質量分を有するd)および
2〜60質量%の質量分を有するe)を使用し、
この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
成分A、Bの少なくとも1つに0.5〜10質量%の質量分を有する含分c)を混入し、この場合この量の記載は、被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
成分A、Bの少なくとも1つに他の含分f)としてメラミン樹脂、アクリレートから選択される塗料結合剤またはこれらの塗料結合剤の混合物を、0.001〜15質量%の質量分で、および/またはg)エポキシ樹脂を、0.001〜15質量%の質量分で混入し、この場合この量の記載は、それぞれ被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる、請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(iv)で前記組成物を60℃〜150℃の温度に加熱し、それによって前記組成物を硬化させる、請求項5から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
成分A、Bの少なくとも1つにもう1つの含分h)として、酸化ジルコニウム、酸化セリウムまたは二酸化チタンから選択された無機UV吸収剤、またはこれら無機吸収剤の混合物、および/またはヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、HALS安定剤から選択された有機UV吸収剤、またはこれらの有機吸収剤の混合物を混入し、工程(iv)で前記組成物をUV線で処理する、請求項5から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
含分h)を0.5〜5質量%の質量分で使用し、この場合この量の記載は、被覆系に対するものであり、但し、この場合前記質量分の総和は、全部合わせて100%となる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項5から11までのいずれか1項に記載の方法で得られる、珪素−酸素−珪素結合を有する被覆。
【請求項13】
被覆が5N〜20Nのヴァインマン(Weinmann)による引掻硬度を有する、請求項12記載の珪素−酸素−珪素結合を有する被覆。
【請求項14】
被覆が0.1〜0.5質量%の耐磨耗性を有する、請求項12または13記載の被覆。
【請求項15】
請求項12から14までのいずれか1項に記載の被覆を有する、少なくとも1つのポリマー表面を有する製品。
【請求項16】
装置、アーマチュア、器械、測定器具、衛生器具、調理器具、家庭用器具、車両のインテリア、コックピット、ディスプレイ、覗き窓または家具を被覆するための、または板、シェル、成形部材、ケーシング、ノブ、レバー、脚部、ドア、蓋、床、側壁、グリップ、装飾パッドまたは吹付保護要素としての請求項15記載の製品の使用。

【公表番号】特表2011−526314(P2011−526314A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515266(P2011−515266)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055672
【国際公開番号】WO2010/000533
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】