硬化剤を含むフォームを調製する方法。
二酸化炭素、酸素又はこれらの混合物などの生理学的気体により発泡させた硬化剤溶液を含む、特に静脈瘤を処置するための治療用フォーム。このフォームは0.8%未満の窒素含有量である。気体及び硬化剤を通過させてフォームを形成する、ミクロン寸法の微細なメッシュを組み込んだ加圧されたキャニスター系を使用して、発生させることができる。あるいは、このフォームは、気体及び硬化液を二つのシリンジの間で微細なメッシュに通過させることによって、発生させることができる。キャニスター又はシリンジを基礎とする生成物中の窒素量を最小化させる方法について説明する。また、シリンジを基礎とする装置を使用して、同時にフォームを形成し送達させるための方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2004年2月10日付けで出願された米国仮出願第60/542,867号及び第60/542,866号の優先権を主張する。また、本出願は、2004年10月7日付けで出願された英国特許出願第0422307.9号及び2003年11月17日付けで出願された英国特許出願第0326768.9号の優先権を主張する。これらの出願はすべて、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、血管、特に静脈瘤及び、静脈の形成異常を含む他の疾患などの種々の症状の処置で使用するのに好適な、硬化材料、特に硬化溶液を含むフォームの生成に関する。
静脈瘤の硬化は、液体硬化剤物質を注射して、これにより中でも局部的な炎症反応を起こすことによってこれらの異常な血管の排除を容易にすることをベースとしている。近年まで、硬化療法は、外科手術によって処置される7mm以上の直径の、小さい直径の血管と中程度の直径の血管の場合に選択される技術であった。
【0003】
特にもっと大きな血管で治療的使用に適した注射可能なマイクロフォームが開発されてきており、これらは本明細書中、参照として含まれる欧州特許出願第EP-A-0656203号及び米国特許第US5676962号(Cabrera & Cabrera)に開示されている。これらは、硬化物質でできた低密度マイクロフォームについて記載し、これは、血管内に注射すると、血と置き換わって、硬化剤が公知濃度で且つ制御可能な時間、血管内の内皮と接触することが確実に起こるようにして、塞いだ全てのセグメントを硬化させている。
【0004】
これらの特許の優先日以前、何年もの間、液体硬化剤を静脈瘤、特に小さな静脈瘤に注射することが効果的であることは公知であった。硬化液を注射する前に血管に少量の空気を注射することも長い間公知であり、その目的は、血管の血液を置き換えて、硬化剤があまりにも早く希釈されないようにするためであった。この技術の開発は、硬化液を注射する前に、ゆるい(loose)フォームか消えやすい泡(froth)を作り、これを純粋な空気の代わりに注射することであった。「エアブロック:air block」として公知であり、Orbachにより開発されたこれらの技術は、一般に、小さな血管の処置にのみ有効であった。
【0005】
これに加えて、小さな静脈瘤(以下に引用するFluckigerの参考文献)または両方の外科手術を使用する複合手順(combined procedure)のためのより細かいフォーム、及び全縁大伏在静脈(entire long saphenous vein)の処置の為のフォームが開示されてきた(Mayer;Brucke:The Aetiology and Treatment of Varicosities of the Low Extremities,Chirugische Praxis,521〜528ページ、1957年)。
【0006】
フォーム/消えやすい泡処理のこれらの先行技術文献は全て、気体成分として空気を使用したフォーム/消えやすい泡の製造について記載する。これらの文献のいずれも、注射したフォーム中の空気が深刻な問題を引き起こすことについて記載していない。一つの文献では、明らかに空気塞栓症により短命だと記載している:P.Fluckiger,Non-surgical retrograde sclerosis of varicose veins with Varsyl foam,Schweizerische Medizinische Wochenschrift,第48巻,1368〜1370頁(1956年)。この文献で著者らは、フォーム15mlで処置した直後に、立つと患者が胸に痛みを感じたため、15mlから10mlにフォームの量を減らしたと記載している。後の講演で同じ著者は、実際、その後、全く悪影響なく15mlのフォームを使用したと示している:1962年の講演会、A contribution to techniques for outpatient treatment of varicose vein,the Hamburg Dermatological Society。Myer及びBruckeによる上記の参考文献では、50mlもの多くの空気のフォームの使用について記載し、問題点については全く記載していない。
【0007】
しかしながら空気フォームとは対照的に、大量の空気を急激に静脈注射すると、空気塞栓症を引き起こすことがあり、これは命取りになるかもしれないことは公知である。にもかかわらず、上記の空気塞栓症及びフォーム技術の開業医は、自分たちの技術に含まれる空気の容積が深刻な問題を引き起こすのに十分なことを報告していない。
【0008】
このエアブロック技術は、1980年代までに人気が大きく落ち込み、上記の他のフォーム技術はほとんど知られていない。
Cabrerasは、マイクロフォーム、即ち静脈瘤に注射するための、たとえば気泡の大部分が裸眼で見えないような、極めて微細な気泡(bubble)のマイクロフォームの使用について提案した。大きな気泡のフォームまたは消えやすい泡(froth)とは対照的に、マイクロフォームを使用すると、制御可能性の点で非常に好都合となり、最も大きな静脈瘤でさえも血液と置き換えることができるので、外科手術に頼ることなく静脈瘤を実質的に全て処置できる。本明細書中で使用するように、「フォーム:foam」なる用語は、マイクロフォームを含む全てのサイズの気泡のフォームを包含する。
【0009】
空気で製造したマイクロフォーム製品の静脈注射に関する潜在的な問題が当然変更すべきほど十分に深刻であるという最初の教えは、上記のCabreraの特許に知見することができる。これらの文献は、従来の空気をベースとする技術が、何が危険であるかも、空気若しくは窒素ガスのどんな注射容積または速度がこれらの危険を引き起こすかについても正確には述べていないが、「血液内のほんの少しの可溶性の空気窒素の副作用により危険である」ことを示している。
【0010】
より大きな気泡フォームとは対照的にマイクロフォームを提案し、外科手術をすることなく最も大きな静脈の処置を最初に提案することに加えて、Cabrerasは、マイクロフォームを酸素、または二酸化炭素と酸素との混合物で製造することも提案した。この背景との関連において、Cabrerasの寄与は多くの点で非常に画期的であると理解され、その当時の最も一般的な意見:(i)硬化剤マイクロフォームの潜在能力;(ii)可溶性気体の必要性;(iii)マイクロフォームを劣化させないが血液によって摂取される酸素の使用;(iv)酸素の安全性、だけでなく、(v)非常に可溶性の二酸化炭素のある割合を含む可能性に対して十分に理解している。
【0011】
1990年代中盤にCabrerasのマイクロフォーム技術が発刊されてから、多くの開業医がヨーロッパ及びアメリカ合衆国のいずれもにおいてフォームを採用してきた。2003年8月のサンディエゴにおける静脈学者の近年の世界会議では、提出された250かそこらの文献のうち約1/3がフォーム処置に関するものであった。
【0012】
しかしながら、殆ど例外なく今日の硬化剤フォームを使用する開業医は、空気を使用してフォームを形成している。どの程度のフォームを注射すべきかに関しての意見は様々であり、ある者は5ml程度の少量だと提案し、他の者はもっと注射すると提案している。
【0013】
このCabrerasのマイクロフォームは、使用直前に、診療室で即時調製(extemporaneous preparation)する。この調製には、酸素または酸素と二酸化炭素の供給源に接続されたカバーの下、モーターによって高速回転する小さなブラシで硬化剤溶液を撹拌することを含む。Cebrerasに追随した多くの開業医は、二つの連結したシリンジの間で繰り返し硬化剤溶液と空気とを通すことを含む、フォームの即時調製の別法を使用する。もう一つの代替案は、その面に孔がある第二のピストンを備えたシリンジであり、これはシリンジ円筒部内で独立して動かすことができ、シリンジ内の液体と気体の混合物を泡立たせる。この後者のタイプの手順はいずれも幾らか不都合であり、その調製者に依存してフォーム組成が変動することを考慮に入れ、気体含有量、気泡サイズ、密度及び安定性、全てに注意が必要である。これらの技術は高度の配慮及び、プレッシャーのもと、即ちフォームを調製するのに利用可能な時間が短いときには、繰り返すのが難しいという理解が必要である。
【0014】
もっと簡便且つ簡単に再現可能な方法でCabrerasのマイクロフォームを本質的に再現することを目標とする製品は現在開発中であり、欧州及びアメリカ合衆国で臨床試験中である。この製品は加圧キャニスター系であり、加圧下で細かい沢山のメッシュに気体と硬化剤溶液とを通すことによってフォームを製造する。この製品の試験では、この目的は、1回の処置で全縁大伏在静脈と、その結節状構造の支流を処置することであって、これはフォーム25mlまたは50mlもの注射を意味することができる。
【0015】
本明細書中、参照として含まれる、PCT国際公開第WO00/72821-A1号(BTG International Limited)は、このキャニスター製品の基礎をなす基本概念について記載する。このフォームは、ミクロンで測定される小さい開口部をもつ一つ以上のメッシュに気体と硬化剤液とを通すことによってつくる。Cabreraの特許と同様に、この文献は、空気/窒素の潜在的な問題を認識し、フォーム中の窒素レベルを下げようと模索している。PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載の気体の好ましい形状は、50%容積/容積以上の酸素を含み、残余は二酸化炭素、または二酸化炭素、窒素と大気中に知見される割合の痕跡量の気体である。
【0016】
本明細書中に参照として含まれる別の特許出願、PCT国際公開第WO02/41872-A1号(BTG International Limited)では、血液−分散可能な気体を、硬化剤液を保持する容器に導入するときに、硬化剤液と富酸素の生理学的に許容可能な血液分散性気体(oxygen-rich physiologically acceptable blood dispersible gas)を使用直前まで別々の容器に貯蔵する。次いで血液−分散可能な気体と硬化剤液との混合物を放出し、混合物を放出する際に混合物の成分が相互に作用して、硬化剤フォームを形成する。この特許出願に記載の系では、ある割合の窒素(25%)をポリドカノールキャニスターにゆっくりと導入する。高圧酸素キャニスターから酸素で硬化剤液(ポリドカノール)缶を充填した後、窒素の割合は約7または8%に減少する。この窒素のレベルは、許容されるものと考えられた。
【0017】
PCT国際公開第WO02/41872-A1号に開示の装置は、使用する気体に関係なく、優れた均一の注射可能なフォームを提供する。ポリドカノールキャニスター中充填気体として100%CO2を使用するのが好ましい。CO2は血流中に非常に可溶性であるが、本発明者らは、最終気体混合物中のCO2の割合が高くなると、フォームの安定性を不都合に低下させ、1/2離時間(half separation time)が短くなることを知見した。特にこのフォームの半減期(half-life)は、PCT国際公開第00/72821-A1号に好ましいものとして示されている2.5分という数値に及ばない。
【0018】
本発明者らは、硬化剤フォームの注射の臨床態様について継続的に研究を続け、並びにキャニスターフォーム製品を開発し、これを欧州及びアメリカ合衆国で臨床試験にかけている。同様に可能なものとして定義されているが、その仕様は達成可能な許容値をもつ、安全なフォーム製品を開発しようとしてきた。フォームには多くのパラメーターがあり、これらは変動可能である。これらの例としては、これらに限定するものではないが、溶液の組成、純度及び濃度;気泡のサイズ;またはもっと正確には、サイズ分布、密度(即ち、液体対気体の比)、フォームの寿命(「半減期」なる用語で測定されるもの、またはフォームの半分が液体に戻るのに要した時間)及び気体混合物が挙げられる。
【0019】
空気の約80%を構成する窒素は、フォームから完全に除去するのは実際問題として困難である。製造の間に窒素がキャニスター内に紛れ込むキャニスター系、シリンジ技法若しくはCabreraの回転ブラシ技法か、若しくはマイクロフォームがCabreraにより開示されて以来開発されてきた他のあまり一般的でない多くの技法のいずれかを使用してフォームを形成してもこのことは当てはまる。
【0020】
二つのシリンジ技法において、フォームを空気以外の気体で製造しなくてはならない場合、気体成分を導入するための同様の方法は、気体の加圧供給源に一つのシリンジを接続し、次いで外して、硬化剤を含むもう一つのシリンジに再接続することである。この方法では、二つのシリンジをポンプで汲み上げてフォームを形成し、次いでフォームが充填したシリンジを分離する。このプロセスの間に少量の空気/窒素が侵入する潜在性は自明である。同様に、Cabrerasの方法を使用しても、フォームを調製する環境から空気/窒素を100%排除することは困難だろう。
【0021】
本発明者らによって開発されているフォーム製品の目的の一つは、一回の注射でヒト患者の大きい結節状構造の支流と共に全縁大伏在静脈を処置することである。これには、25ml以下、30mlまたはもしかすると50mlさえも必要とする。現在、空気フォームの最も慎重なユーザーは、明らかに全く悪影響を知見することなく、静脈系に最大5mlを注射する。従って本発明者らは、全縁伏在静脈を処置するのに必要な比較的多量のフォーム中の同様の量の窒素でも安全であるはずと結論づけた。従って、出発点としてこの量を使用した:80%窒素を含む空気5mlは窒素4mlを含む;即ち、低窒素フォーム50ml中の対応する窒素の割合は、8%である。
【0022】
近年まで、本発明者らは、約8%の窒素を含むフォームは安全面から許容可能であり、且つこの割合は、フォーム仕様中の窒素レベルの容易に達成可能な許容値を示したと考えていた。このレベルの窒素を許容すると、少量の窒素をポリドカノールキャニスターに慎重に導入して、(上記の如く)フォーム安定性において高い溶解性の二酸化炭素の悪影響を減らせるという利点がある。このフォーム及びこの製造系は、上記に参照したPCT国際公開第WO02/41872-A1号に記載されている。
【0023】
上記の如く、上記特許公報以外に静脈瘤のフォーム処置で公開された技術では、15ml以下の空気を注射することによる危険がもしあるとしても、小さいと述べている。Fluckigerにより述べられた唯一の事項は、一時的な胸痛であった。窒素を使用する危険について記載する上記特許公報は、どの窒素量が危険で、どの不利な作用がこの症状を起こすのかについては述べていない。非常に多くの開業医が現在、空気をベースとしたフォームを使用しているが、注射量を5mlに限定している者がいる。本発明者らは、7〜8%の窒素を含む上記キャニスター製品の650名の患者による多くの全ヨーロッパにおけるフェーズIIIの臨床試験に関わっているが、フォームの気体成分に関連する深刻な有害現象については指摘していない。
【0024】
現在、上記キャニスター系の臨床試験に関連するさらなる研究により、心臓に多くの気泡が存在することが判明し、そのうちのあるものは、かなりの期間にわたって残ることが明らかになってきた。この試験で患者を処置する間、心臓の超音波モニタリングによって、心臓の右側と関連する血管に多くの気泡があることが判明した。フォームは、心臓の右側に接続した静脈循環流動に注入されるので、心臓の右側の気泡が観察されたのだと予想された。しかしながら、気泡の数及び持続性は意外であった。
【0025】
さらに、気泡は、小さな中隔欠損をもつことが判明した患者、または卵円孔の患者(patient foramen ovale:PFO)、即ち、心臓に孔がある患者の心臓の左側にも発見された。この患者は、一時的な視覚障害があったことを報告した。これは深刻である。というのも、循環流動の左側では、一度、気泡が脳に進むと、そこでミクロの梗塞を起こすかもしれないからである。
【0026】
現在、最も小さなPFOでさえも関係する全ての患者のスクリーニングは、静脈瘤処置などの選択性の処置には実際には実現可能ではなく、可能でないかもしれないと考えられている。必要とされるこの技術は、相当に高度であり、おそらく非常に侵襲的であろう。さらに、これは手順に必要な回数を増やし、RFOなどに罹患している患者の処置は排除するだろうし、その数はかなりの数になると考えられる。
【0027】
これらの予想外の知見を考慮して、さらなる基礎的研究が本発明者らによって実施されてきた。
動物モデルを使用する実験は、本発明者らによって実施され、本分野において国際的に認められた専門家が委託されて血液中の酸素、二酸化炭素及び窒素気泡の挙動の詳細な数学的モデリングを実施した。新鮮なヒト静脈血中の気体の吸収を測定するためのin-vitro操作(in-vitro work)も本発明者らによって実施された。結果、本発明者らによるこれまでの予想とは対照的に、及び静脈瘤処置で使用するために即時フォームを現在調製している殆ど全ての開業医の考えとは全く対照的に、最小容量の窒素でさえも持続性の気泡をかなり生じるかもしれない。
【0028】
さらに、近年の研究では、当業界で既に示唆された空気フォームが特定の患者グループには何らかの合併症を生じることを確認したことが発表された。たとえばPhilip Kritzinger,MD博士は、気相として空気を使用して製造した静脈の硬化療法は、冠動脈の不具合の危険性の高い老人または患者で発作及び心筋梗塞を引き起こすかもしれないという事例研究を発表した。
【0029】
本発明者らは、現在、長期にわたるRFOスクリーニング方法論を必要とすることなく患者に投与するのに適した製品を製造するために、従来認識されていなかった上限まで窒素量を減らすことが必要だと考えた。
【0030】
PCT国際公開第W002/41872-A1号及びWO02/41872-A1号に記載されたキャニスター系のさらなる開発が考案され、特に、フォーム中の二酸化炭素の割合を高め、且つフォーム中に存在する窒素を殆どゼロにまで減少させた。高い可溶性二酸化炭素の悪影響を帳消しにするために、メッシュの開口部サイズを20ミクロンから5ミクロンに小さくした。このデザインのキャニスターは、試験用にかなり沢山製造された。当初、上記のごときダブルキャニスター系は、所望の気体でキャニスターをフラッシュしてから、シールし、加圧することによって製造した。この製品は、1%〜2%窒素の間でフォームを製造した。しかしながら、さらなる研究から、本発明者らは、このレベルでも高すぎると考えるようになった。
【0031】
フォームを製造するのにいかなる方法を採用しても、必ず不純物が存在するということを認識して、本発明者らは、0.01%〜0.8%の範囲の窒素ガス容量%の硬化剤フォームは、臨床的にも安全で且つ常に再現可能であると考える。0.0001%もの少量の窒素ガスでキャニスターを日常的に製造することが可能だろう。以下に示す実施例は、その製造/調製と、そのようなフォームの臨床効果も示す。
【0032】
本発明者らは、Carebraの開示以来開発されてきた硬化剤フォームの即時調製の他の種々の技法と共に、シリンジを使用する上記のような方法は、フォーム硬化療法の分野で意味があるとも認識している。これらの技術は、キャニスター製品よりも安いオプション部品を提供することができよう。本発明者らは、これらの技術並びにキャニスター系を使用して、上記のごとき非常に低い割合の窒素を有するフォームを製造することが可能だと考える。
【0033】
本発明に従って、フォームは液相と気相とを含み、前記液相は少なくとも1種の硬化剤を含み、前記気相は、0.0001容積%〜0.8容積%の範囲の量で存在する気体窒素と、少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる。さらなる態様では、気相はさらに以下に定義の痕跡量の気体などの他の気体を含むことができ、これは得られたフォームの密度、半減期、粘度及び気泡サイズの少なくとも一つに影響を与えることもできる。本明細書中で使用するように、「本質的に〜からなる」なるとは、得られるフォームの密度、半減期、粘度及び気泡の少なくとも1種に実質的に影響を与えない、気体などの1種以上の追加の成分を添加し得ることを意味する。
【0034】
「生理学的に許容可能な気体」なる用語は、血液によって比較的迅速に吸収されるか、肺内気体交換膜を迅速に通過し得る気体を意味する。具体的には、酸素、二酸化炭素、酸化窒素及びヘリウムが予想される。生理学的に許容可能な気体の定義の用語に入るか、または入らないかもしれない他の気体、たとえばキセノン、アルゴン、ネオンまたは他のものも少なくとも少量で使用することができる。本明細書中で使用するように、「実質的にO2」などの「実質的に」具体的な気体は、市販の医薬グレードのO2気体で通常知見される不純物を含むO2である気相を指す。空気中に痕跡量の濃度でのみ知見される気体(記載したばかりのようなもの)も、漏れを検出し易くするために、約0.1%〜5%の比較的低い濃度などで、配合物中に配合することも有用である。
【0035】
もう一つの態様では、前記他の気体は、本質的に酸素からなる。他の気体に関するもう一つの可能性は、酸素と、少量、好ましくは40%未満の二酸化炭素、より好ましくは30%未満の二酸化炭素から本質的になることである。たとえば、気相は、少なくとも50%のO2、たとえば70%、80%、90%及び99%のO2を含むことができる。もう一つの態様において、50%を超えるCO2、たとえば70%、80%、90%及び99%のCO2などの大部分を占めるCO2を含むこともできる。これらの場合において、他の気体の0.1%〜5%は、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオンなどの大気中に痕跡量でのみ知見される気体から構成することができる。あるいは、この気体は、実質的に100%の酸化窒素または、酸素、酸化窒素及び二酸化炭素の少なくとも二種の混合物であってもよい。
【0036】
本出願の目的に関して、他の種々の用語は、以下のような定義とする:硬化剤液は、血管内腔に注射したときに血管を硬化し得、且つこれらに限定されないが、ポリドカノール、テトラデシルサルフェート、エタノールアミンオレエート、モルイン酸ナトリウム、高張グルコース化(glucosated)またはグリコサリン(glucosaline)溶液、クロム酸化グリセロール(chromated glycerol)、ヨード化溶液(iodated solution)が挙げられる。スクレロパシー(scleropathy)または硬化療法は、血管を処置して血管を除去することに関する。エアロゾルは、気体中の液体の分散物である。気体の過半量(major proportion)の割合とは、50容積/容積%を超える。気体の半量未満(minor proportion)の割合とは、50容積%/容積未満である。別の気体中もう1つの気体の半量未満の割合とは、全容積の50%未満である。大気圧及びバールは、1000(mbar)ミリバールゲージである。マイクロフォームの半減期は、マイクロフォーム中の液体の半分が発泡していない液相へと逆戻りするのに要する時間である。
【0037】
Cabrerraにより示唆され、そして上掲のごとく、酸素または、気体成分の酸素と二酸化炭素との混合物を使用することができるだろう。二酸化炭素は水(そして血液中)に非常に可溶性であり、酸素は水には非常に溶解性ではないが、血中のヘモグロビンにより比較的迅速に摂取される。本発明者らは、N2または空気よりもずっと迅速に血中にCO2及びO2が摂取されることを示す研究も実施した。しかしながら、二酸化炭素、または他の水溶性気体単独で製造したフォームは非常に不安定な傾向があり、使用するのに十分に長持ちしない。CO2フォームは非常に短い半減期であるので、高濃度のCO2を含むフォームは、硬化療法のフォームを調製するのに従来使用されてこなかった。
【0038】
たとえば、空気などの主に不溶性気体混合物は、Cabrera法を使用して150〜200秒の1/2分離時間(half separation time)の安定で、堅いフォームを形成するだろう。しかしながら、100%CO2などの非常に溶解性の気体雰囲気は、ずっと短い1/2分離時間のフォームを形成する。フォーム中のラメラ気泡(lamellar cell wall)壁中にCO2を迅速に溶解し輸送することは、CO2フォームの安定性が下がる原因であると考えられている。これによってフォームのより小さく、高圧の気泡が、隣接する大きな定圧の気泡にその全ての気体容量を素早く移動させて、フォーム内で膨らみ破裂するか、表面に蓄積する。このプロセスはオスドワルト熟成(Ostwalt ripening)と言われ、全てCO2のフォームであると、この液体気泡壁はもはや有効なバリヤではなく、様々なラプラス圧(Laplace pressure)で隣接する気泡の間に拡散する。フォームの気体及び液体成分への排水(drainage)及び分離は、液体成分の粘度によっても影響を受ける。
【0039】
酸素フォームはこのような問題を起こさないが、酸素ガスを注射すると、危険であることが報告されており、実際に血管系に注射したときに空気と同じぐらい危険であると言われてきた。たとえばMoore及びBraselton、“Injections of Air and carbon Dioxide into a Pulmonary Vein”,Annals of Surgery,112巻、1940年、212〜218頁を参照されたい。別の研究では、ある非常に危険の高い患者の群に関して、フォーム中に高濃度のO2を硬化療法で使用することは、副作用の危険性を高めることがあると示唆している。
【0040】
近年の研究からも、高濃度のN2またはO2で製造した硬化療法用のフォームは、特定の患者群で潜在的な副作用を引き起こすことがあることが示唆された。より具体的には、一つの研究では、高濃度の窒素は、特定の患者個体群で動脈塞栓症の危険性が高くなることがあると示唆している。
【0041】
しかしながら本発明者らは、気相として高濃度のCO2を使用し、粘度向上剤を液相に添加することにより、硬化療法で使用するための効果的なフォームを製造可能であることを知見した。しかしながら、CO2フォームの半減期をのばしつつ、粘度向上剤を添加すると、フォームの密度も増加する。密度が高すぎると、血液を置換し、硬化療法に有効なフォームとするフォームの能力の妨げになることがある。密度と半減期のバランスをとると、有効なフォームを製造し得ることが知見された。一つの態様において、密度と半減期のこのバランスは、少なくとも20重量/重量%に粘度向上剤を増量し、且つフォームを製造するために本明細書中に記載された種々の方法を使用することによって達成される。
【0042】
粘度向上剤としては、PVP及びグリセロールなどの、液相の粘度を増加させる任意の薬剤が挙げられる。一つの態様において、少なくとも20重量/重量%の粘度向上剤、たとえば25%、30%、35%、40%の粘度向上剤を液相中に配合する。
【0043】
フォームを製造する前の液相の粘度も、フォームの半減期の因子となり得る。たとえば、液相の粘度が上昇すると、フォームの半減期も延びる。しかしながら、粘度が高いと、系によっては得られるフォームの密度が上昇することがある。
【0044】
かくして、さらなる態様では、本発明のフォームは液相と気相とを含み、ここで前記液相は少なくとも1種の硬化剤を含み、少なくとも1種の粘度向上剤少なくとも20重量/重量%であり、前記気相は少なくとも50%のCO2を含み、ここで前記フォームは0.25g/cm未満の密度と100秒を超える半減期を有する。この気相は少なくとも75%のCO2、たとえば少なくとも90%のCO2、たとえば少なくとも99%のCO2を含むことができる。一つの態様において、気相は本質的にCO2からなる。
【0045】
このフォームは、たとえば少なくとも90秒、たとえば少なくとも100秒、たとえば少なくとも110秒、たとえば少なくとも120秒、たとえば少なくとも130秒、たとえば少なくとも140秒、たとえば少なくとも150秒、たとえば少なくとも160秒、たとえば少なくとも170秒、たとえば少なくとも180秒、及びたとえば少なくとも3.5分の半減期であってもよい。フォームの密度は、0.07〜0.22、たとえば0.07〜0.19g/ml、0.07〜0.16g/ml、たとえば0.08〜0.14、またたとえば0.8〜0.15g/ml、たとえば0.9〜0.13g/ml、たとえば0.10〜0.14g/mlを変動し得る。この気相は、さらに、O2などの血液中に分散可能なもう1種の生理学的に許容可能な気体を含むことができる。液相の粘度は、2.0〜10cP、たとえば2.0〜7.0cP、たとえば2.0〜5.0cP、たとえば2.0〜3.5cP、たとえば2.0〜3.0cP、たとえば2.0〜2.5cPを変動し得る。
【0046】
詳細な説明
本出願の目的に関して、用語は、以下の意味をもつ:「硬化剤液」とは、血管内腔に注射したときに血管を硬化させることができる液体である。スクレロパシーまたは硬化療法は、血管を処置して血管を除去することに関する。エアロゾルとは、気体中に液体が分散している状態である。気体の過半量の割合とは、50%容積/容積超である。気体の半量未満の割合とは、50%容積/容積未満である。別の気体中もう1つの気体の半量未満の割合とは、全容積の50%未満である。大気圧及びバールは、1000ミリバールゲージである。フォームの半減期は、フォーム中の液体の半分が発泡していない液相へと逆戻りするのに要する時間である。
【0047】
一態様において、フォームは、直径25μm以上の気泡の数を基準として50%以上が直径200μm以下であるようなものである。
半減期は、公知の容積及び重量のフォームで容器を充填し、その容器から目盛容器に排出し、所定の時間で排出された量から半減期を、すなわちフォームがその成分である液体と気相へと逆転する半減期を計算することによって好都合に測定される。この測定は、好ましくは標準温度及び標準圧力で行うが、実際には周囲診療チャンバ条件又は周囲実験チャンバ条件で充分である。
【0048】
本明細書中で使用するように、粘度は、室温でBrookfield Engineering Labs製Brookfield DCVII+Proにより測定する。
一態様において、混合物中の気体/液体比は、フォーム密度が0.09g/mL〜0.16g/mLであるように、更に好ましくは0.11g/mL〜0.14g/mLであるように制御する。
【0049】
別の態様では、フォームは、少なくとも100秒、たとえば2分、2.5分、及び3分の間の半減期を有する。半減期は1または2時間以上程度であっても良いが、好ましくは60分未満であり、更に好ましくは15分未満であり、最も好ましくは10分未満である。
【0050】
一態様において、気体と硬化剤液との混合物は、エアロゾル、液体中の気泡の分散体またはマクロフォーム(macrofoam)である。「マクロフォーム」とは、最大寸法がミリメートル単位で測定される、例えば約1mm以上の気泡を有し、且つ振盪によって2つの相を軽く撹拌することによって製造できるフォームを意味する。もう一つの態様では、気体及び液体はエアロゾルの形態で提供され、その場合、加圧気体源と、この二つを混合する手段が使用点に提供される。最初にマクロフォームが製造され、液体と気体は使用点でのみ一緒になってもよい。
【0051】
混合物で用いられる気体対液体の割合は、製造されるフォームの構造を制御して、処置が行われる環境及び手順に関してその安定性を最適化するために重要である。フォームによっては、1gの硬化剤液と、約6.25〜14.3容量(STP)、さらに好ましくは7〜12容量(STP)の気体とを混合してもよい。
【0052】
一態様において、生理学的に許容し得る血液分散可能な気体は、二酸化炭素及び/または酸素を過半量の割合で含む。態様によっては、フォームは少量の窒素を含んでいてもよい。空気中の窒素として、ある割合で窒素が存在していてもよいが、本発明は、窒素を存在させずに、二酸化炭素及び/又は酸素の使用を提供する。
【0053】
一つの形態では、用いる気体は、二酸化炭素と他の生理学的気体との混合物であり、特に二酸化炭素を3容積/容積%以上、更に好ましくは10〜90%、最も好ましくは30〜50%含む。この気体の他の成分は、好ましくは酸素であってもよい。
【0054】
気体の別の形態は、酸素を50容積/容積%以上含み、残余は二酸化炭素であるか、または大気中で見出される割合の二酸化炭素、窒素及び微量気体である。1つの気体は、酸素60〜90容積/容積%及び二酸化炭素40〜10容積/容積%であり、別の気体は酸素70〜80容積/容積%及び二酸化炭素30〜20容積/容積%である。一つの態様では、酸素99%以上である。
【0055】
好ましくは、硬化剤は、水性キャリヤ中、例えば水中、特に生理食塩水中のポリドカノールまたはテトラデシル硫酸ナトリウムの溶液である。さらに好ましくは、前記溶液は、好ましくは滅菌水中、または生理学的に許容し得る生理食塩水中、例えば0.5〜1.5容積/容積%生理食塩水中のポリドカノール0.5〜5容積/容積%である。この溶液中の硬化剤の濃度は、好都合には、例えばクリペル・トレノーネイ症候群(Klippel-Trenaunay syndrome)のようなある種の異常の場合には濃くする。
【0056】
ポリドカノールは、式C12C25(OCH2CH2)nOH(式中、nの平均値は9である)で表されるマクロゴールのモノラウリルエーテルの混合物である。他のアルキル鎖、オキシアルキル反復単位及び/またはnの平均値(例えば7〜11)を有する混合物を用いてもよいことが理解されるが、nの平均値は、例えばドイツのKreusslerから例えばAethoxyskierol(商標)、ポリドカノールの希薄緩衝溶液として得ることができるので、9が最も好都合に得られる。
【0057】
水性液中硬化剤の濃度は、水または生理食塩水中のポリドカノール1〜3容積/容積%溶液、たとえば約1容積/容積%溶液である。少なくとも場合によっては、水または生理食塩水は、生理学的に許容し得るアルコール、例えばエタノールを少なくとも2〜4容積/容積%含む。生理食塩水は緩衝させてもよい。緩衝生理食塩水はリン酸塩で緩衝された生理食塩水である。前記緩衝液のpHは、生理学的であるように、例えばpH6.0〜pH8.0、より好ましくは約pH7.0に調整することができる。
【0058】
硬化剤は、追加の成分、例えば安定剤、例えばフォーム安定剤、例えばグリセロールを含んでいてもよい。追加の成分として、アルコール、例えばエタノールが挙げられる。
一態様において、気体窒素の範囲は0.0001%〜0.75%、たとえば0.7%、たとえば0.6%、及びたとえば0.5%である。理論的見地から、できるだけ多くの窒素を除去することが望ましいが、我々は80%窒素の大気中で生活しているので、窒素ガスに関して非常に高純度のフォームを常に製造するには困難がある。従って、好ましい窒素不純物の範囲の下端(製造業者にとって容易及び/または安価であるという観点から)は0.0005%であり、より好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.005%、0.01%、0.05%、0.0.2%、0.3%または0.4%である。以下の実施例から明らかになるように、この範囲の下端を引き上げることによって、製造手順から精製段階を除外することができ、結果、費用を節減できる。
【0059】
また本発明に従って、フォームを分配するために適合させたキャニスター系であって、その内容物は液相と気相とからなり、ここで前記液相は硬化剤を含み、前記気相は、半量未満の窒素気体と、過半量の他の気体、好ましくは生理学的に許容可能な気体からなり、キャニスター系により生成するフォームの気相は窒素ガス0.0001%〜0.8%からなるような、前記キャニスター系を提供する。上記引用の窒素ガス成分に関する他の可能な範囲も適用する。
【0060】
「キャニスター系」なる用語は、フォームを生成するために分配するための液体と気体とを含む一つのキャニスターであるか、または一方のキャニスターに気体を貯蔵し、もう一つのキャニスターには場合により気体と一緒に液体を貯蔵する、上記のごとき二つのキャニスター配置を意味することができる。
【0061】
一態様において、キャニスター内の前記半量未満の窒素ガスは、キャニスターの全気体容積の0.0001容積%〜0.8容積%であり、場合により他方の気体は上記引用の如く変動する。
【0062】
もう一つの態様において、キャニスターは、フォームを分配するために液体と気体の内容物がその中を通過する部材を含む。一態様において、この部材は、約0.1〜15ミクロンの直径をもち、より好ましくは1〜7ミクロン、さらに好ましくは約5ミクロンの開口部を有する。
【0063】
本発明のもう一つの側面は、血管、特に静脈の硬化療法で使用するのに好適なフォームの製造法であって、気体と水性硬化剤液との混合物を、0.1〜15μmの少なくとも一つの断面直径をもつ一つ以上の通路を通すことを含み、気体対液体の比は、フォームが0.07g/mL〜0.19g/mLの密度と、少なくとも100秒、たとえば2分、たとえば2.5分の半減期を持つように製造することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0064】
好ましくは、前記一つ以上の通路は、1〜7ミクロン、より好ましくは約5ミクロンの少なくとも一つの断面直径をもつ。
(PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載されたように)元の明細書に従い、25μm以上の気泡の数を基準として50%以上が直径200μm以下であるようなフォームが好ましい。PCT国際公開第WO00/72821-A1号の元の明細書に従って、本方法は、直径25μm以上の気泡の数を基準として少なくとも50%が直径150μm以下であることを特徴とするフォームを提供する。より好ましくは、これらの気泡の少なくとも95%が直径280μm以下である。さらに好ましくはこれらの気泡の数を基準として少なくとも50%が直径130μm以下であり、さらに好ましくはこれらの気泡の数を基準として少なくとも95%が直径250μm以下である。
【0065】
一態様において、気体は二酸化炭素1%〜50%、好ましくは10%〜40%、より好ましくは20%〜30%を含む。意外にも、小さな開口部サイズのメッシュを使用することによって、PCT国際公開第WO00/72821-A1号の仕様をもつフォームは、高い比率の二酸化炭素と、対応して低い比率の不溶性気体、たとえば窒素を有する気体混合物で製造することができる。二酸化炭素は、酸素よりも高いその高度な溶解性により、気体混合物の所望の成分となり得る。
【0066】
また本発明に従って、脈管処置(angiologic treatment)法は、その気体成分が気体窒素0.0001容積%〜0.8容積%と、残余が他の気体、好ましくは生理学的に許容可能な気体とからなる、硬化剤フォームの有効量を注射することを含む。窒素の割合に関して上記の他の可能な範囲を適用し、上記の他の気体に関し任意選択を適用する。
【0067】
好ましくは、本処置法は1回の注射でフォーム10ml〜50ml、好ましくは15ml〜50ml、より好ましくは20ml〜50ml、さらに好ましくは30ml〜50mlを注射することを含む。
本発明に従って、ヒト全縁大伏在静脈の処置方法は、上記フォームを1回、一方の足の全縁大伏在静脈に注射することによって処置することを含む。
【0068】
本発明に従って、血管内皮に損傷を与えるための直径7mm以上の血管の処置方法は、上記のごときフォームを注射することを含む。
可溶性気体を含む気泡の血液中における挙動の本発明者らの理解におけるさらなる因子は、周囲血液及び組織中と比較して、気泡中の窒素分圧の差のため、血液及び隣接する組織から窒素が気泡内に拡散する現象である。この現象は、通常、気泡中の窒素分圧が、周囲血液及び組織中よりも低いときにのみに発生する。
【0069】
二酸化炭素、及びそれほどにないにせよ酸素は、気泡から拡散して、周囲血液中の溶液に比較的急速に入るので、気泡は非常に迅速に、気泡中の窒素分圧が周囲血液と組織中よりも高い地点に到達し、最終的に気泡は実質的に純粋な窒素になるようである。窒素分圧勾配が逆転すると途端に、窒素は気泡から出て血液中の溶液へ入る。これは比較的ゆっくり起きるが、それは窒素の溶解性が低いからである。この現象がかなりの範囲で起きると、この現象は周囲血液が窒素による飽和度が高くなることによっても影響を受ける。この現象は、血液中の窒素の分圧勾配に潜在的に影響し、これは、周囲血液が窒素で完全に飽和されると、窒素の分離限界に到達することも意味し得る。
【0070】
現在のところ、血液の窒素による局在的な飽和がどの程度まで、分散性フォーム中の気泡の溶解における因子であるかは解っていない。しかしながら血流は一定であるので、この効果は単に一時的であって、窒素溶解の全体像に過度には影響しないものと想定される。
【0071】
二酸化炭素及び/または酸素の迅速な溶解の第一段階(initial phase)は重要であるように思われる。この期間が短ければ短い程、気泡中に拡散し得る窒素の容積は小さい。
(フォームの気相中の窒素の初期量を減らすこと以外に)サイズ及び/または数において、残存気泡を除去または減らす幾つかの可能性がある。これらの一つは、実用的な程度に大変小さい気泡を作ることである。気泡が小さければ小さいほど、二酸化炭素及び/または酸素は迅速に気泡から出て溶解し、血液から窒素が気泡内へ拡散するのに利用可能な時間が短くなり、そのため窒素の分圧勾配が窒素の拡散に有利に働いて逆転する。
【0072】
もう一つの可能性は、患者が呼吸する酸素または富酸素空気(air enriched with oxygen)であり、これは、窒素分圧を犠牲にして血液中の酸素分圧を高める効果がある。この技術は、ダイビング及び宇宙開発の分野では公知であり、「潜水病:bends」、即ち、身体組織中の溶液から窒素が出る減圧の際の現象(我々がここで関連するものとする血管中の血液とは対照的に)の危険性を軽減させるために使用されてきた。本発明者らが知る限り、脈管系に気体を注射することに関してこの技術を使用することは以前には提案されたことがなかった。
【0073】
本発明の側面に従って、1ミクロン未満の直径の気泡を無視して、硬化剤フォームは、95%以上が直径150ミクロン以下であり、50%以上が100ミクロン以下である気泡から構成される。好ましくは気泡の95%以上が直径100ミクロン以下であり、気泡の50%以上が直径50ミクロン以下である。より好ましくは、気泡の95%以上が直径75ミクロン以下であり、気泡の50%以上が直径30ミクロン以下である。さらに好ましくは、気泡の95%以上が直径60ミクロン以下であり、気泡の70%以上が直径30ミクロン以下である。これらの気泡分布でフォームを製造した方法を以下に例として示す。
【0074】
これらの非常に小さな気泡のフォームは、現在まで、比較的液体対気体が高い割合で、0.3〜0.5g/mlのオーダーの比較的濃厚な配合物をもつ、本発明者らによって得られたものしかない。そのような湿潤フォーム(wet foam)は、血液よりもかなり薄く、静脈が血液で満たされているときは浮揚性であろう。この浮揚性という特徴は、血液を置換する観点において、脈管系におけるフォームの好都合な挙動を幾らか担い得ると推測される。しかしながら、本発明者らによって今日まで製造された密なフォームは、そのレオロジー特性の観点において本質的に液体として挙動し、「堅く:stiff」ない。
【0075】
これらの密であるが、幾らか流動性のフォームは、有用な十分に優れた治療効果を持ち、残存する気体の問題を除去または軽減し得ることは不可能ではない。しかしながら、血液中のレオロジー特性は重要であり、「堅い」フォームは血液を効果的に置き換えるのに望ましく、血管壁の内部に対して敏捷に、一貫して均一に適用できそうである。このため、粘度向上剤を配合物に添加するか、または配合物のフォーム形成能力を高める薬剤を添加することによって、その堅さ/粘度を高めるためにフォームに追加成分を添加することが望ましい。
【0076】
そのような成分は、これらに限定されないが、ポリソルベート(Polysorbate)20、ポリソルベート(Polysorbate)80またはポリゲリン(Polygeline)が挙げられる。あるいは、グリセロール及びPVPを添加することができる。
【0077】
上記定義内の気泡サイズ分布をもつフォームは、細かいメッシュ、たとえば5ミクロンのメッシュに繰り返し気体と液体を通すことによって作ることができる。メッシュに繰り返し通すことによって気泡サイズを小さくするが、限界があるようにみえる。
【0078】
高エネルギーで気体と液体の混合物を撹拌するための他の公知技術を適用して、もっと微細な気泡を作ることができると推測される。たとえば気体と液体の混合流を音波または超音波撹拌することができるか、あるいは音波若しくは超音波エネルギーを適用することによって補った、機械的手段によって気体と液体との混合物を撹拌することができる。
【0079】
本発明者らは、メッシュを通過している液体と気体の割合を変えるためにキャニスターを適合させることによって、50ミクロン〜80ミクロンの範囲の平均気泡サイズをもつフォームも製造した。
【0080】
本発明のさらなる側面は、フォームを即時調製するという問題の幾つかの解決策として、所定の割合の滅菌気体と硬化剤液体混合物をシリンジに分配するように適合した加圧キャニスター製品である。かくして、滅菌気体と硬化剤液体とを含む加圧キャニスターを提供し−これは陽極酸化アルミニウムまたはガラスなどの任意の物質であってもよい−これは、液体と気体の正確な量をシリンジに分配するために配置される。このキャニスターは上記定義の如く、非常に低い窒素濃度で滅菌気体を含むと予測される。キャニスターは、皮下注射針で穿孔するための穿孔可能な隔壁をもつか、またはシリンジルアー(luer)ノズルを挿入することによって壊れるように配置される破壊シール(break seal)を備えていてもよい。
【0081】
後者の場合には、シリンジルアーノズルをシール方法でキャニスターに挿入することができ、このシリンジノズルの位置は上向きである。キャニスター内の液体を最初に加圧下で分配し、続いてキャニスターとシリンジの圧力を均等化する。キャニスター内の気体の容積及び圧力は、勿論、気体と液体が正確な割合で分配されるように配置することができる。あるいは、キャニスターは、直立配置のキャニスターと同じ効果が得られるように、内部浸漬管(internal dip tube)を備えることができる。
【0082】
また本発明に従って、フォームを生成する前に、フォームの成分を周囲温度よりも下(sub-ambient temperature)に冷却する段階を含む、硬化剤フォームの調製法を提供する。好適な温度範囲は0〜15℃であり、0〜10℃が好ましく、3〜7℃がより好ましい。温度が低下すると液体粘度が増加し、このようにすると、本発明者らはフォームの半減期が長くなると考えている。フォームが崩壊する間に気泡サイズは大きくなる傾向があるので、この方法論は経時で体内の気泡の平均サイズを小さくし易くすることによって、残存気泡を減らすことができる。
【0083】
また本発明に従って、及び先に示した推論を踏まえて、患者の脈管学的処置法は、上記のフォームを注射する前に、所定の時間、酸素ガスまたは富酸素空気を患者に呼吸させることを含む。好ましくは、この所定の時間は1〜60分であり、1〜20分がより好ましく、5〜10分がより好ましい。
【0084】
本発明のもう一つの態様では、たとえば血管及び血管奇形(vascular malformation)を除去するのに使用することができ、本発明の方法及び装置によって利用可能であり、水性硬化剤液と一緒に血液中に直ちに分散し得る生理学的に許容可能な気体を含み、0.07〜0.19g/mlの密度をもつフォームを提供する。
【0085】
一態様において、このフォームは、フォーム化していない液相に戻る液体量をベースとして、10%を超えて気体及び液体へと逆行せずに、21ゲージ注射針を通過できる。
半減期は、公知の容積及び重量のフォームで容器を充填し、その容器から目盛容器中に排出し、所定の時間で排出された量から半減期を、すなわちマイクロフォームがその成分である液相と気相へと逆転する半減期を計算することによって簡便に測定される。この測定は、好ましくは、標準温度及び標準圧力で行うが、実際には、周囲診療チャンバ条件または周囲実験チャンバ条件で充分であろう。
【0086】
最も好都合には、漏斗を水浴中で予備平衡させて、確実に温度25℃にしてから乾燥し、フォームを適用する。目盛付き受け器へと導く漏斗上に、ピストンのない、フォームを充填したシリンジを逆さまに置くと、このパラメーターを簡便に測定できる。
【0087】
一態様において、前記針を通過する際に、フォームは、発泡していない液体へと、液体含量を基準として5%を超えて逆戻りしない。さらに好ましくは、2%を超えて逆戻りしない。これは、フォーム対液体の容積における変化を測定することによって決める。
【0088】
一態様において、フォームは、少なくとも直径25μmの気泡の数を基準として少なくとも50%が直径200μm以下である状態を保ちながら注射針を通過することができる。これは、周囲条件下で、更に好ましくはSTPで、簡便に測定する。
【0089】
一態様において、気体は40容積/容積%未満の窒素を含む。好ましくは、フォーム密度は0.09〜0.16g/mLであり、より好ましくは0.11g/mL〜0.14g/mLである。
一態様において、液体/気体比の尺度であるフォーム密度は、0.13〜0.14g/cmであり、半減期は少なくとも2.5分である。さらに好ましくは、フォームは、前記時間において上記気泡サイズのパラメーターから逸脱しない。
【0090】
一態様において、気体は酸素または二酸化炭素少なくとも50%からなり、より好ましくは酸素または二酸化炭素75%以上、最も好ましくは酸素または二酸化炭素少なくとも99%以上、例えば実質的には酸素または二酸化炭素100%からなる。好ましくは、酸素まは二酸化炭素は医療用グレードである。
【0091】
上記の如く、上記硬化液にグリセロールを加えると、生成するフォームの半減期がより長くなる。しかしながら、グリセロールを添加することにより粘度が増加し、また上記メッシュ装置を用いる場合に、メッシュが閉塞する傾向も生じるので、そのような装置を何度も用いる場合は注意深く用いるべきか、またはバック・オン・バルブを用いる。
【0092】
また本発明は、血管に上記フォームを適用することを含む、血管の硬化療法の必要な患者の処置方法;硬化療法用の薬剤の製造に関する上記フォームの使用;及び治療で使用するための上記フォームを提供する。
【0093】
従って、本発明の一側面では、血管、特に静脈のスクレロパシーで使用するのに好適なフォームを製造する方法であって、生理学的に許容可能な血液拡散可能な気体と水性硬化剤液との混合物を、0.1〜15μmの少なくとも一つの断面直径をもつ一つ以上の通路を通すことを含み、気体対液体の比は、フォームが0.07g/mL〜0.19g/mLの密度と、少なくとも100秒の半減期を持つように制御することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0094】
フォームを生成するための装置
フォームを即時製造する現在のプラクティスには多くの問題があり、気体として空気を使用するのはそのほんの一つである。他の問題は製品のコンシステンシーであるが、これは本質的に非常に変動しやすい。というのも、気体対液体比を選択し、次に気体と空気の混合物を所定の回数及び/または所定の速度で汲みあげて正しい製品を得る内科医に依存するからである。フォームは非常に変動しやすく、種々の気泡サイズ及び密度は安全性及び効果プロフィールも異なる。
【0095】
つい最近になって、二つのシリンジを受容し、所定の速度で所定の数のポンプを適用して、おおよそ製品の一貫性を達成するように設計された機械が利用可能になってきた。この機械はTurbofoam(登録商標)と呼ばれるが、本出願人らは現在、誰がこの機械を販売しているのか承知していない。二つのシリンジは一つに装着される(一方には硬化剤溶液を充填する)。始動させると、この機械は自動的に所定量の空気をシリンジに引き込み、所望の特性のフォームが形成されるまでシリンジを反復させる。
【0096】
明らかに、上記配置は、(正しい量の液体がユーザーによって最初に充填される場合)気体/液体比に関してフォームの再現性という問題、並びにサイクルの回数及び速度という問題に少なくとも対処している。しかしながら、多くの点で明らかにかなり不都合であり、たとえば機械の気体チャネルにバクテリアが増殖することによって、滅菌性も脅かされることがある。
【0097】
本発明者らによって提案された解決策は、場合により任意のコネクターと一緒に、一つまたは二つのシリンジを含む滅菌パックを提供することである。単数または複数種類のシリンジには、正しい容積の気体と硬化剤液とを予め充填する。殆どのシリンジは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から製造され、経時で気体を通過させてしまう。従って、包装は好ましくは実質的に気体不透過性であり、パック内の大気は、シリンジ内に予め充填された気体と実質的に同一組成であるのが好ましい。この種の包装はそれ自体公知であり、たとえばアルミニウム及びポリエチレンラミネートなどの金属化プラスチックシートが挙げられる。
【0098】
本発明の一つの側面に従って、実質的に滅菌パックを提供し、ここで前記滅菌パックは、液体硬化剤と、0.0001%〜0.8%の気体窒素などの生理学的に許容可能な気体と、残余が生理学的に許容可能な気体などの他の気体とを含む気体混合物とを充填したシリンジと、前記シリンジ内の前記気体混合物と実質的に同一組成を有するパック内の気体とを含む。
【0099】
一つの態様において、この気体混合物は気体窒素0.001%〜0.8%、好ましくは0.01〜0.8%、より好ましくは0.01%〜0.7%、さらに好ましくは0.01〜0.6%からなる。
一態様において、前記他の気体は、酸素、二酸化炭素またはその混合物である。場合により、少量(たとえば0.1〜5%)の、大気中に顕著な量では知見されないトレーサーガスを添加して、漏れを検出できるようにする。そのような気体は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンまたは、大気中に痕跡量(0.01%)で知見される任意の他の気体であってもよい。
【0100】
汚染を防ぐために、パックの内容量は、大気圧よりもやや高くしてもよい。これは、標準室温未満の周囲温度でパックを製造することによって達成できる。一度パックが通常の周囲環境に入ると、パック内部の空気の温度上昇によって、確実にやや加圧になる。
【0101】
パッケージ化製品の製造は、この業界で標準の技術を使用して、無菌条件で実施できよう。
この前包装製品(pre-packaged product)は、円筒部、第一のピストン及び第二のピストンを含むタイプの一つのシリンジを含み、第二のピストンは、第一のピストンと独立した円筒部内に移動可能に適合される開口部を備えたピストンヘッドを有する。
【0102】
あるいは、このシリンジは、上記のごとき好適量の気体を含む、通常品(conventional one)であってもよい。硬化剤を含むさらなるシリンジを、即時フォーム調製に関する任意の公知技術を実施するのに必要なコネクター、三方バルブと共に、同一または異なるパックに提供することができる。
【0103】
使用する際には、パックを開封し、液体も気体も計量する必要なく、フォームを生成させる通常の方法を実施する。二つのシリンジ法の場合には、このシリンジは予め接続して供給され簡便性を高め、且つ汚染物の潜在的な供給源を除去することができる。
【0104】
場合により、このパックは最大直径1〜200ミクロン、好ましくは2〜50ミクロン、より好ましくは3〜20ミクロンの細かいメッシュを含むシリンジコネクタを含んでもよい。あるいは、一つのシリンジ装置を使用する場合には、ピストンの開口部は、これらの割合の孔の付いたメッシュを備えることができる。
【0105】
場合により、パッケージは、上記「Turbofoam」(登録商標)と同様のフォーム発生機用のカートリッジを構成し得る。
即時フォーム調製に関する問題のさらなる解決策が、本発明者らによって提案された。これは、滅菌気体と硬化剤液とを含み、正確な容量の液体と気体とをシリンジに分配するために配置されている、加圧キャニスターを提供することであり−これは陽極化アルミニウムまたはガラスなどの任意の好適な材料であってもよい。キャニスターは上記定義の如く、滅菌気体を含むと予測される。キャニスターは、皮下注射針で穿孔するための穿孔可能な隔壁をもつか、またはシリンジルアー(luer)ノズルを挿入することによって壊れるように配置される破壊シール(break seal)を備えていてもよい。
【0106】
後者の場合には、シリンジルアーノズルをシール方法でキャニスターに挿入することができ、シリンジノズルの位置は上向きである。キャニスター内の液体を最初に加圧下で分配し、続いてキャニスターとシリンジの圧力を均等化する。キャニスター内の気体の容積及び圧力は、勿論、気体と液体が正確な割合で分配されるように配置することができる。あるいは、キャニスターは、直立配置のキャニスターと同じ効果が得られるように、内部浸漬管(internal dip tube)を備えることができる。
【0107】
上記の如く0.1〜15μmの一つ以上の通路内に加圧下で、硬化剤液と気体との流れを通すと、高速ブラシ及びブレンダーを使用する高いエネルギー供給によってのみ得られると従来考えられていた、安定な血液に拡散可能な気体ベースの硬化剤注射フォームを提供できることが知見される。
【0108】
エアロゾル、分散液またはマクロフォームは、加圧下でそれぞれの流れから気体と液体とを混合することによって製造するのが好ましい。混合は、エアロゾルキャニスターで見られるような気液界面部材(gas liquid interface element)で簡便に行われる。しかしながら、界面装置は、非常に単純であっても良く、例えばミリメートル寸法の、すなわち直径0.5〜20mm、好ましくは直径1〜15mmの単一チャンバまたは流路であってもよく、ここで気体及び液体は、別の入口から界面装置中へ流入する。好都合には、この界面は、エアロゾルキャニスターで通常知見される設計であるが、気体対液体の正確な割合を生じさせ、且つ先に定義した密度を有するフォームが生成するように設計を選択する。好適なインサート(insert)は、Ecosolなる名称でPrecision Valves(Peterborough、イギリス)から市販されており、上記方法によって指定された割合が得られるように選択される。
【0109】
しかしながら、気体と液体の混合は、加圧されたキャニスター底に配置された硬化剤溶液から延びている浸漬管内で行ってもよく、ここで、気体は、該浸漬管にある孔から出て、浸漬管の底から入る液体流の中に入ることができる。この場合、前記孔は、Ecosol孔と同じ直径であってもよい。前記孔は、浸漬管をレーザー穿孔して簡便に作ってもよい。
【0110】
そのようにして製造されたエアロゾルまたはマクロフォームを通過させて安定なマイクロフォームを製造する1つ以上の流路は、好ましくは4μm〜22μmの直径、さらに好ましくは5μm〜11μmの直径を有する。その場合、例えば金属またはプラスチックのメッシュまたはスクリーンに孔をあけることによって提供され、気体/液体混合物の流れに対して直角に配置される単純な流路が提供される。前記流路は、好都合には断面が円形または楕円であるが、それらに限定されない。多くのそのようなメッシュまたはスクリーンを、流れの方向に沿って用いてもよい。
【0111】
最も好ましくは、流路は、流れを横切って配置された1つ以上の部材に存在する多数の開口部として提供される。前記部材は、好ましくは直径2〜30mm、より好ましくは直径6〜15mmであり、流れに直面していて、織りメッシュ(woven mesh)では開口面積5〜65%、例えば2%〜20%であり、多孔性膜では孔面積20%〜70%である。有孔体(perforated body)において提供されるような、多孔性材料における孔は、好ましくは前記流路を数百以上、より好ましくは何万または何十万、例えば10,000〜500,000提供し、気液混合物が流れるとき該混合物に対して呈示される。前記材料は、有孔シート又は有孔膜、メッシュ、スクリーンまたは焼結物であっても良い。さらに好ましくは、気体及び液体が各セットの流路を通過するように多くの多孔性膜のセットが連続的に配置されて提供される。これにより、さらに均質なフォームが製造される。
【0112】
いくつもの部材を直列で用いる場合、これらの部材は、好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜4mm、例えば3〜3.5mm離して配置する。本発明のいくつかの態様に関しては、流路は、気体/液体流の流路を横断するように配置された繊維シート(fibrous sheet)において繊維間の隙間の形態を取ってもよく、その直径は必ずしも最大直径でなくてもよいが、気体/液体エアロゾルまたはマクロフォームが流れなければならない隙間幅であることが知見される。
【0113】
別法として、気体と液体との混合物を、同じ流路のセット、例えば1つ以上の前記多孔性体によって提供されるのと同じ流路のセット中を、多くの回数、例えば2〜2,000回、さらに好ましくは4〜200回、または上記の要求される密度を有するフォームが簡便に得られる回数通過させるための方法を提供する。フォームがメッシュを通過する回数が増えれば増えるほど、フォームは均質となると考えられる。メッシュを複数回通過させることが可能な場合には、大きなメッシュサイズが好都合であり、たとえば20〜300μm、たとえば40〜200μm、たとえば60〜150μmである。
【0114】
流路を通過させるときに用いられる気圧は、フォームを製造するために用いられる機序の性質に左右される。気体が液体と接触する状態で、例えばエアロゾル容器のような加圧チャンバ中に含まれ、メッシュを1回だけ通過する場合、好適な圧力は、通常、大気圧より0.01〜9バール上の圧力である。メッシュの使用に関しては、例えば直径10〜20μmの開口を有する直列に配置された1〜8メッシュの使用に関しては、特に1バールより0.1〜5気圧上の圧力が適当である。20μm開口の3〜5メッシュの使用に関しては、大気圧より1.5〜1.7バール上の圧力が良質なフォームを製造するのに充分であることを見出した。0.1μmの細孔サイズの膜に関しては、大気圧より5バール上の圧力が好ましい。
【0115】
本発明の1つの好ましい態様では、流路は膜の形態、例えばポリテトラフルオロエチレンのようなポリマーの膜の形態であり、その場合、膜は、ランダムに接続された繊維から形成され、その見かけの細孔サイズに比べて何倍も小さい定格有効細孔サイズを有する。特に好適なこの形態は、標準定格が0.1〜10μmの多孔度であるTetratex(登録商標)なる商標のもと、米国のTetratec(商標)によって供給される二軸延伸PTFEフィルムである。本発明の方法及び装置にとって好ましい細孔サイズは3〜7μmである。この材料は、強度を付与するために多孔性の裏付材料で積層しても良く、またこの材料は、一回通過(one pass through)が、安定性に関する上記使用要求条件を満足するフォームを製造するのに充分であるという利点を有する。しかしながら、直列に配置された1つ以上の前記膜を用いると、所定の条件セット用のなお更に均質なフォームが得られることは当業者には明らかである。
【0116】
加圧下で溶液流と気体流とを組合わせてエアロゾルバルブに供給し、次に流路に流すことによって、例えばメッシュ、スクリーン、膜または焼結物に存在する細孔中に流すことによって、安定な水性液溶解可能気体、例えば二酸化炭素及び/または酸素をベースとする硬化剤フォーム(該フォームは、従来技術で説明したように高速のブラシ及びブレンダーを用いて多量のエネルギーを供給することによってのみ製造可能であると従来考えられていた)を製造するのに充分なエネルギーが提供されると考えられる。
【0117】
本発明の最も好ましい方法は、加圧可能なチャンバが配置されているハウジングを提供する。滅菌供給のために、このハウジングは、生理学的に許容し得る水性溶媒中硬化剤の、滅菌され発熱物質を有していない溶液で少なくとも部分的に充填するが、使用点において前記溶液を充填しても良い。この好都合な方法は、該溶液が、出口を通って加圧可能なチャンバからハウジング外部に流れることができる経路を提供し、さらに好ましくは、該チャンバから外部への経路が、容器が加圧されるときに、流体が経路に沿って押し流され、1つ以上の出口オリフィスを通るように開けたりまたは閉じたりできる機構を提供する。
【0118】
特に本方法は、ハウジングが、(a)血液中に容易に分散可能な生理学的に許容し得る気体の加圧された供給源と、(b)該気体源の進入用の入口との1つ以上を含み;該気体が、機序の始動時に溶液と接触すること、の一つ以上を含むことを特徴とする。
【0119】
気体及び溶液を、経路に沿ってハウジング外部へと、先に規定した寸法を有する1つ以上の、好ましくは多数の流路(溶液及び気体は外部に到達するためには前記流路を通らなければならない)を通して流れさせ、それにより、例えば流路を通る流れと接触するときに、溶液及び気体がフォームを形成する。
【0120】
好ましくは、気体及び液体は、流路と1つ以上の隣接流路との接合部(junction)に通常存在している気液界面機構を通り、流路を通過する前に、気泡またはマクロフォームのエアロゾル分散系へと転化されるが、説明したように、例えば装置を振盪することによって、例えば手動または機械的振盪装置によって、気体及び液体を最初にマイクロフォームへと転化させても良い。
【0121】
本発明のもう一つの側面では、血管、特に静脈のスクレロパシーで用いるのに適するフォームを製造するための装置を提供する。該装置は、第一の側面で言及した生理学的に許容し得る溶媒中の硬化剤溶液を含む加圧可能なチャンバが配置されているハウジングと;該液体が、1つ以上の該出口オリフィスを通って、加圧可能なチャンバから該装置の外部へと流れることができる1つ以上の出口オリフィスを有する経路と、該容器が加圧されるときに、該経路が開き、流体が経路に沿って押し流され、1つ以上の出口オリフィスを通るように、該チャンバから外部への経路を開けたりまたは閉じたりできる機序とを含み、且つ該ハウジングが、(a)血液中に分散可能な生理学的に許容し得る気体の加圧供給源を1つ以上、及び(b)該気体の進入用の入口を1つ以上含み;該気体が、機序の始動時に溶液と接触して気液混合物を製造し、該ハウジングの外部への該経路が、断面寸法、好ましくは0.1μm〜15μmの直径を有する1つ以上の流路を画定している1つ以上の部材を含み、該経路を通って気液混合物が流れて、装置の外部に到達し、該経路を通る該混合物の該通過により、0.07〜0.19g/mLの密度と少なくとも2分間の半減期とを有するフォームを製造することを特徴とする。
【0122】
好ましくは、本装置は、例えば単一チャンバにおいて、血液分散可能な気体と硬化液とが充填されている密封キャニスター中にチャンバを含み、装置経路は、装置が直立に置かれているときに、このチャンバ内で硬化液レベルよりも下に入口開口を有する浸漬管を含む。好ましくは、この浸漬管は、チャンバ内で硬化液よりも上に存在する気体が、装置出口へと通ずる経路に出入りできる気液界面接合部に出口開口を有する。その経路は、押し下げられるかまたは傾斜されるバルブ部材によって開けられたりまたは閉じられたりして、装置の外部への経路を開放し、それにより硬化液は気体圧力下で浸漬管を上昇し、気体と気液界面接合部で混合されて、エアロゾル、液体中気泡分散液、またはマクロフォームを製造する。
【0123】
気液混合物、すなわち液体中気泡分散液、エアロゾルまたはマクロフォームが(単数または複数の)経路を通り、フォームを生じるように取り付けられた、第一の面で説明した1つ以上の経路を有する部材を、バルブへの経路に配置された加圧可能チャンバの内側に、またはバルブの下流側上に提供する。この部材は、バルブ取り付け部分と出口ノズルとの間にあるキャニスター上のキャップに好都合に配置してもよい。キャップを押し下げると、バルブが好都合に動作する。別法では、前記部材は、気液界面より上に取り付けられたキャニスター内にある。
【0124】
この装置の別の態様では、気液界面は、キャニスター内側のチャンバにおいて、硬化液レベルよりも上にある浸漬管中に孔を含んでいても良い。
用いる気圧は、用いる材料、及びそれらの配置に左右されるが、好都合には大気圧を0.01〜9バール超える圧力、より好ましくは0.1〜3バール超える圧力、さらに好ましくは1.5〜1.7バール超える圧力である。
【0125】
本発明のこの面の好ましい装置は、「バック・オン・バルブ(bag-on-valve)」タイプである。前記装置は、浸漬管を取り囲んで密封され、液体が充填されている、加圧可能チャンバ内に第二のチャンバを形成している、柔軟な気液密着容器(flexible gas and liquid tight container)を含む。より好ましくは、この浸漬管は硬化液中に配置された浸漬管末端と気液界面接合部との間の位置に配置された一方向弁を有する。前記一方向弁は、外部への流路が閉じられると、チャンバ内で取り囲んでいる生理学的に許容し得る気体から硬化液を分離するように閉じたままである。外部への経路が開くと、一方向弁も開き、液体が放出されて気液界面まで浸漬管を上昇し、その気液界面において、エアロゾルが製造され、次に流路を通過してフォームへと転化される。好適な一方向弁はダック・ビル(duck-bill)タイプのバルブであり、例えばVernay Labs Inc(Yellow Springs,オハイオ、アメリカ)から市販されているバルブである。好適なバック・オン・バルブ缶構造は、Coster Aerosols(Stevenage,イギリス)から市販されており、アルミニウムホイル/プラスチックラミネートを含む。
【0126】
好都合には、一方向弁は、浸漬管と気液界面接合部、すなわちEcosol装置との間にある浸漬管の頂点に配置する。それにより、キャニスター中であろうとなかろうと、一方向弁を適用する前にバックを充填し、続いてその内容物を滅菌することができる。
【0127】
そのような好ましい装置はいくつもの利点を有する。気体が酸素である場合、使用前に液体から分離しておくことができるので、例えば放射線照射のような滅菌プロセス中に、液体中の有機成分と酸素ラジカルが反応する可能性が低下する。気体が二酸化炭素である場合、貯蔵中に大量の気体が液体中に溶解することがあり、大気圧以下まで開放するとガス抜けし、フォームが非常に迅速に壊れ始めることがあると考えられる。また、このように分離することにより、貯蔵または輸送している時に、特に直立させずに貯蔵または輸送している時に、非使用缶における装置の寸法感受性オリフィス(dimension sensitive orifice)に、凝固した硬化剤が堆積するのが防止される。
【0128】
好ましくは、気液界面は、例えばイギリス、PeterboroughのPrecision Valveによって製造されたEcosol装置のような、規定オリフィスサイズの装置として提供される。規定寸法の流路が、加圧チャンバの外側にある装置、すなわちバルブステムに取り付けられる装置に関しては、ガス孔面積の液体孔面積に対する割合は、3〜5のオーダーであるべきであり、好ましくは約4であるべきである。流路が加圧チャンバの内側にある場合、前記の割合は、より高いのが好ましい。
【0129】
本発明のもう一つの側面は、血管、特に静脈の硬化療法で用いるのに適するフォームを製造するための装置を提供する。該装置は、生理学的に許容し得る溶媒中硬化剤溶液及び/または生理学的に許容し得る血液分散可能な気体で少なくとも一部分充填されたまたは充填可能な加圧チャンバが配置されているハウジングと;該チャンバの内容物が、1つ以上の出口オリフィスを通って、該ハウジングの外部へと流れることができる経路と、チャンバの内容物が該経路に沿って、1つ以上の出口オリフィスを通って外部へと流れるように、該チャンバを加圧できる機序とを含み、且つ該ハウジングまたは該チャンバの外部への該経路が、断面寸法、好ましくは0.1μm〜15μmの直径を有する1つ以上の流路を画定している1つ以上の部材を含み、該経路を通って該チャンバの該内容物が流れることができ、それによって該流路を通過するときに、溶液及び気体が0.07〜0.19g/mlの密度と少なくとも2分間の半減期とを有するフォームを形成することを特徴とする。
【0130】
経路またはチャンバで流路を画定している部材は、固定されていてもよく、または装置内室の外側から装置を操作することによって移動可能であってもよい。
好ましくは、このハウジングは加圧下で溶液と気体とが入っているチャンバを画定している容器であり、及び経路は、該容器の内部にある該チャンバから、容器の壁にある開口部を閉じるバルブへと至る導管である。
【0131】
本発明の装置で用いるための多くの流路を画定している1つ以上の部材の好ましい形態は、メッシュ、スクリーンまたは焼結物である。かくして、1つ以上のメッシュまたは有孔スクリーンまたは焼結物が提供され、いくつかの好ましい態様は、溶液/気体排除経路に対して直角な主面と平行に配置された一連の前記部材を用いる。
【0132】
臨界寸法(critical dimension)を有する、本発明に従う装置のいずれかの装置におけるすべての部材は、水性材料に暴露されたときに寸法が変化しない材料から作られることが好ましい。かくして、例えば空気液体界面のような前記機能を有する部材、及び寸法0.1μm〜15μmの流路に画定する部材は、好ましくは、数分間を超える時間、溶液に曝される可能性がある場合に、例えばナイロン66のような水で膨潤可能な材料であるべきではない。そのような曝露が起こり得る場合、これらの部品は、更に好ましくは、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンのようなポリオレフィンから作られる。
【0133】
キャニスターは、フォームを、好ましくは最大500mL以下、さらに好ましくは1mL〜200mL、及び最も好ましくは10〜60mL形成するのに充分な気体及び溶液を含む大きさにする。特に、前記キャニスターにおける加圧下での気体量は、治療するのに、すなわち少なくとも1つの静脈瘤性ヒト伏在静脈(varicosed human saphenous vein)を充填する充分なフォームを製造するのに充分な量であるべきである。かくして本発明の好ましいキャニスターは、家庭用ムースタイプフォームを供給するのに現在用いられているキャニスターに比べて小さくてもよい。最も好ましいキャニスター装置は、使用後に廃棄することができるか、または無菌状態を保つ問題を回避するために一旦開けたら再使用できない。
【0134】
フォームが排出されるときにキャニスター中の気圧を維持する装置が組み込まれていることが好ましい。好適な装置は、例えばPECAP及びAtmosolという商標名の装置である。しかしながら、気体の有意なヘッドスペースまたは圧力が提供される場合、この装置は必要ではない。
【0135】
しかしながら、このキャニスター系は幾つかの欠点がある。このキャニスター系は比較的複雑なので、高価である。さらに、キャニスター系を使用して生成されるフォームの初期量は品質が予測できないので、使用するフォームを分配する前に無駄が出る傾向がある。加圧キャニスターから患者の静脈のカニューレに直接フォームを運ぶことは容易ではない。これは理論的には可能であるが、キャニスター出口に特別にバルブ/制御配置をして、処置を実施する臨床医によって高度に制御可能な輸送速度にできなければならない。さらなる問題は、フォームの分配を停止するか、顕著に遅くするときはいつでも、再開時に使用可能なフォームを分配する前に、再び一定量のフォームを廃棄しなければならないということである。
【0136】
これらの理由に関して、上記キャニスター製品は、十分に設計され且つ高効率的な系ではあるが、フォーム製品を患者に続いて投与するためのシリンジへ送るように設計されている。特別なフォーム輸送装置をこの目的に関して使用する。シリンジノズルをこの輸送装置のポートに挿入し、次いでこの装置を使用して、フォームの最初の部分を迂回させてから、使用可能なフォームでシリンジを充填する。
【0137】
さらなる問題は、一度作成すると、フォームは即座に変化し始め、液体が流れ出て気泡が合体するということである。臨床医には、キャニスターからある初期量のフォームを迂回させ、良質のフォームでシリンジを充填し、患者の静脈へとラインを接続して、フォームを投与するある一定の時間が必要である。この時間は臨床医によって様々であるが、同じ臨床医でさえも常に同じ時間であるとは限らない。さらに、それぞれの処置ごとに異なり、フォームは様々な時間で注射するので、臨床医によっては、フォームの分配を短時間止めて、次いで開始することもあるだろう。この間も、フォームの特性は変わりつづけている。
【0138】
所謂「Tessari」及び「DDS」法を含む、硬化療法で使用するためにフォームを生成する他の方法があるが、これらはそれぞれ、二つのシリンジの間で液体硬化剤と気体とを汲み上げることを含む。これらの二つの方法は、空気で硬化性フォームを生成するのに広く使用されているが、それほど広く使用されていない他の方法も沢山ある。これらの方法は、キャニスター系よりも単純なので、上記の問題の解決策は提供しないが、これらは製品の予測不可能性及び周囲空気以外の全ての気体で使用するのが難しいことなどのこれら独自の問題ももつ。
【0139】
本発明者らは、必要なときに直接患者に接続できてフォームを生成して、患者の静脈に入る前に可能な限り最短時間となるのが望ましいことを認識した。理想的には、この装置には、品質の低いフォームの初期量を生成するという問題はない。この装置は、フォームに配合する空気以外の気体を含ませるのに好適である。
【0140】
また本発明者らは、高度に可溶性気体に関しては特に、本装置は理想的には、大気圧よりも実質的に高い加圧下で、液体と一緒に気体を貯蔵すべきではないことを認識した。可溶性気体、特に二酸化炭素などの高度に可溶性気体を使用すると、加圧下で気体と液体との貯蔵がフォームの崩壊速度を助長することがある。これは、加圧気体が硬化剤液中の溶液に入る傾向があるためである。フォームから出ると、気体は溶液から気泡に出て、フォームの劣化を加速する。勿論、気体を加圧すると、系の複雑性と費用が上乗せされる。
【0141】
本発明の第一の側面に従って、治療用途用のフォームの生成及び分配装置は、以下のものを含む:
(a)ハウジング;
(b)前記ハウジングは、実質的に大気圧で気体を含む調節可能な容積の第一のチャンバを有する;
(c)前記ハウジングはさらに、硬化剤溶液を含む調節可能な容積の第二のチャンバを有する;
(d)フォームの形態で前記液体と硬化剤溶液とを分配するための出口、並びに前記出口と前記第一及び第二のチャンバとの間を連通している第二の流路;
(e)前記流路は前記気体と溶液との混合を実施する領域を含む;
(f)前記混合領域の下流に配置された起泡ユニット、前記起泡ユニットは0.1〜100ミクロンの流れ方向に対して直角の寸法の細孔をもつ。
【0142】
前記細孔の寸法は1〜50ミクロンであるのが好ましく、2〜20ミクロンがより好ましく、3〜10ミクロンがさらに好ましい。これらの細孔は、メッシュ、穿孔スクリーン、焼結物または布帛などによって提供されてもよい。細孔の形状及び位置は規則正しくなくてもよいが、装置は、過半量(50%を超える、好ましくは80%を超える)の細孔を有するべきで、ここで流れに対してほぼ直角の方向の少なくとも一つの寸法は、上記規定の範囲内でなければならない。
【0143】
使用時、第一及び第二のチャンバの容積を調節して、気体と溶液とをチャンバの外へそして混合領域及び起泡ユニットへと推進させる。気体と液体が混合領域内を通過する際に気体と溶液との混合物が形成し、次いで混合物が起泡ユニット内を通過する際にフォームが形成する。
【0144】
所定の範囲内の流速で混合領域と起泡ユニットの中を液体と気体とが推進されるのが好ましく、所望の流速は、気体及び液体の特徴、前記混合領域及び起泡ユニットの特徴、並びにことによると系の他の特徴に依存して変動する。チャンバの容積はフォームを生成するために手動で変動させることができるが、チャンバの調節は、電気、時計仕掛け、油圧若しくは水圧モーターなどのエネルギー源の他の供給源を使用して、または加圧気体若しくは簡単なバネの直接作用によって実施することができる。オン/オフ制御をユーザーに提供して、フォームの輸送を開始及び停止するのが好ましい。
【0145】
エネルギー源(原動力)の供給源は装置の一部として提供することができる。あるいは、この装置は輸送装置へのインサーション用カートリッジとして設計することができ、これはたとえば、長期間にわたってシリンジから自動的に薬品を送出するための公知の装置に似ていてもよい。
【0146】
本装置は、たとえば二つのチャンバ(デュアル・チャンバ)をもつバッグ、または混合領域と起泡ユニットとに接続する二つのバッグの形態で柔軟なハウジングで構成されていてもよい。この単数または複数のバッグは、送達手段によって巻き上げられるか、その内容物は他の機械的手段によって圧搾されてもよい。速度に関連して同じ速度で圧搾して、所望のフォーム密度となるようなサイズ及び形状のチャンバが好適である。これによって、チャンバの圧搾用の機械的手段がもっと単純なデザインとなる。
【0147】
あるいは、本装置は、内容物を放出するように押圧できる個々のピストンをもつ第一及び第二のチャンバと共に、シリンジとして構成することができる。好ましくは、チャンバのサイズ及び形状、特にその断面は、ピストンが同一速度で駆動されて、フォーム中の気体対液体の所望の割合とできるように選択する。
【0148】
上記の如く、本装置は、体内、血管、特に静脈瘤または他の静脈の形成異常などの血管内に、フォームを送達するための、カニューレ針、場合によりラインを介して接続するのに好適である。フォームは出口からフォームを送出する同じ動きによって生成するので、カニューレを装置の出口に接続して、フォームを発生させるのと同時に患者にフォームを投与することができる。
【0149】
本発明に従って、ヒトの身体、たとえば血管などの導管、特に静脈瘤または他の血管の形成異常にフォームを適用する方法は、
(a)患者に挿入したカニューレ針に硬化剤フォーム発生装置を接続する;及び
(b)前記装置を操作してフォームを発生させ、患者にフォームを分配する、各段階を含む。特に本段階は、
(a)上記のごとき装置を患者に挿入したカニューレ針に接続する;
(b)前記第一及び第二のチャンバの容積を調節して、フォームを発生させ、患者にフォームを送出することを含む。
【0150】
一段階でフォームを発生させ、且つ送達するさらに好都合な点は、このフォームが体内に入って、その機能、たとえば静脈瘤を硬化させる前に、劣化する時間が殆どないという点である。従って、この装置は、その気相及び液相に比較的急速に戻る傾向のある、二酸化炭素または酸化窒素などの非常に可溶性の気体でフォームを発生させるのに特に好適である。
【0151】
気体及び液体はフォームを形成するまで別々のチャンバに貯蔵されるので、従来技術で記載された加圧キャニスター系で起こる傾向がある、気体が液体に溶解する可能性は非常に低い。
【0152】
本発明に従って、ポリドカノール溶液などの硬化剤溶液と気体で製造したフォームを提供し、ここでフォームの形成時に、溶液中の気体の溶解レベルは、s.t.p.で大気に暴露した際に溶液レベル溶離も実質的に高くなく、ここで前記気体は二酸化炭素少なくとも70容積%、より好ましくは二酸化炭素少なくとも90%、さらに好ましくは実質的に二酸化炭素100%である。気体は0.1〜50%の酸素も含んでいてもよい。あるいは、気体は、実質的に酸化窒素100%であるか、酸化窒素と二酸化炭素との混合物であってもよい。
【0153】
また本発明に従って、硬化剤(たとえばポリドカノール溶液)と上記のごとき可溶性気体からフォームを生成するための装置を提供し、ここで前記装置は、気体が実質的に大気圧で貯蔵されるチャンバを含む。好ましくは、本装置はさらに、硬化剤液が貯蔵されるチャンバを含む。好ましくは、本装置はさらに、気体と硬化剤液とからフォームを作るための起泡ユニットを含み、この起泡ユニットは0.1〜100ミクロン、たとえば1〜50、2〜20、3〜11、特に約5ミクロンの流れ方向に対して横方向の寸法の孔をもつ。
【0154】
本発明のさらなる特徴及び好都合な点は、付記図面を参照して作られた、種々の具体的な態様の記載から明らかになるだろう。
本発明に従った装置の一つの態様は、硬化剤溶液、たとえば1%ポリドカノール溶液のカートリッジを受けるための中央チャンバと、気体を含む環状チャンバをもつシリンジ円筒部を含むシリンジ型の装置を含む。図1は、金属/プラスチックラミネート材料のシール2で封止した開口端を備えた、貯蔵状態のシリンジ円筒部1を示す。この円筒部1は、正面にコニカルテーパ型端部4をもつ外部筒状壁3を含み、ここから標準ルアーノズル5が伸長する。外部筒状壁内には、内部チャンバ14を画定する内部筒状壁6が配置される。内壁6の正面は部分的に端部面8で閉鎖されており、ここには脆いシール(frangible seal)10を備えたオリフィス9が形成される。内壁はウェブ11により前部で支持されており、ここには開口部12が形成される。
【0155】
外壁及び内壁3と6は、これらの間に環状空間7を画定し、これは実質的に100%の純粋な二酸化炭素気体で充填されている。環状空間7はウェブ11の開口部12を介してルアーノズル5の内部空間と連通する。環状空間7の円筒部後部に、外部及び内部筒状壁3、6に対してシールする弾力性のプラスチック材料の環状ピストンシール13が配置される。
【0156】
図2は、1%ポリドカノールを充填し、弾力性プラスチック栓21でそれぞれの端部でシールされたガラス管20を含むカートリッジを示す。栓の一方または両方はピストンシールとして機能することができ、即ち、これは管の内壁と共にシールを保持しつつ、管の長さにわたって移動可能である。図2のカートリッジは上記のシリンジ円筒部と共に使用するのには好適ではないが、以下に記載の円筒部の変形バージョンで使用できるだろう。
【0157】
図3は、図1を参照して上記シリンジ円筒部と共に使用するのに好適なカートリッジを示す。このカートリッジは1%ポリドカノール溶液を充填したガラス管30を含む。管30の後部端には、上記の如くピストンシールとして機能し得る弾力性の栓31がある。管の前部には端面32があり、ここには末端キャップ34でシールされたノズル33が配置される。管30のサイズ及び形状は、図1のシリンジ円筒部の内壁6の形状とぴったり合う。特に、管30の直径は、管が円筒部1の内壁6の中で画定される内部空間14とぴったりと嵌合い、カートリッジのノズル33は、円筒部の内部チャンバ内に完全に挿入されると、チャンバ14の正面のオリフィス9を介して突出するようなサイズである(末端キャップ34は最初に取り外しておく)。
【0158】
図2及び3に示されているタイプのカートリッジは、液体薬剤に関し公知である。このカートリッジは特別に設計された注射装置に嵌合い、薬剤を投与し、次いで空のカートリッジを装置から外して廃棄する。
【0159】
図4は、図1の円筒部に挿入されている図3に示されたカートリッジ30を示す。カートリッジの末端キャップ34は外されていることに留意されたい。
図5は、ノズル32が円筒部の内部チャンバ14のオリフィス9をシールするように、円筒部1に完全に挿入されたカートリッジを示す。シリンジピストンステム40は、シリンジ円筒部1の後部に嵌合う。このピストンステム40は、中央のディスク形圧力パッド41と環状圧力パッド42にシャフト44を介して接続された、指圧を適用するためのディスク43を含む。この圧力パッド41、42は、カートリッジ30の環状円筒部チャンバ7のそれぞれ栓/ピストンシール31、13と噛み合う。
【0160】
円筒部1の正面では、起泡ユニット50はルアーノズル5と嵌め合う。この起泡ユニットは、微細な穿孔を備えたメッシュ部材のスタックを含む。この起泡ユニットは、図11、12及び13に関連して以下詳細に記載されよう。
【0161】
使用時には、ピストンステム40を手動で、または図8に図式的に示すもの、及び以下に議論するもののように、シリンジドライバで押圧する。部分的に押圧したピストンステムと嵌め合った起泡ユニットとを備えたシリンジを図6に示す。カートリッジ内に画定されたチャンバ及び環状二酸化炭素チャンバ内のピストンシール13、31は、ピストンステムが押圧されるにつれて進行し、それによって開口部12とオリフィス9とを通して二酸化炭素とポリドカノール溶液とを推進する。気体と液体との混合は、オリフィス9正面の領域15で起き、ここで環状の気体の流れが液体の流れと相互に作用する。次いで図6の矢印Aにより表されるように、この混合物はシリンジノズル5を通って起泡ユニット50へ進み、気体と液体とが平均径5ミクロンの微細な穿孔を通って通過して、約100ミクロンの平均気泡サイズのフォームまたは微細なフォームを作り出す。
【0162】
図7は、別のシリンジベースのデザインを示す。シリンジ円筒部101は、対の平行な気体及び液体チャンバ107、114を収容し、これはそのそれぞれの端部で弾力性の栓171a、171b、121a、121bを備えた図2に示されているタイプの個々のカートリッジ170、120を受容する。気体チャンバ107は、実質的に大気圧で実質的に100%純度の二酸化炭素を充填したカートリッジ170を含む。この液体チャンバ114は、1%ポリドカノール溶液を充填したカートリッジ120を含む。
【0163】
円筒部101の後端部では、それぞれ気体チャンバ107及び液体チャンバ114内に受容された二つのディスク型圧力パッド41、42にシャフト144を介して接続された、指圧を適用するためのディスク143を含むピストンステムが嵌め合わされている。
【0164】
このシリンジ円筒部の前部には端部壁104があり、ここから端部にノズル105を備えた筒状ハブ116が突出する。ハブ116の内部には、混合チャンバまたは混合領域115がある。この領域には、静電混合フィン117が配置される。チャンバ107、114の正面には、それぞれのチャンバ内に面する点118a、119aを備えた、中空の針様部材118、119が配置される。それぞれの針様部材は、そのそれぞれのチャンバの正面に沿って置かれ且つ混合チャンバ115内へ伸長するように輪郭を合わせて作られる。
【0165】
このシリンジのノズル105には、図1〜6の装置で使用されるものと同様のデザインの起泡ユニット50が嵌め合わされる。この起泡ユニットは、図11〜13を参照して以下により詳細に記載されよう。
【0166】
このシリンジには、予め嵌め合わされたカートリッジ120、170が供給される。クリップ119は、このクリップが使用直前に取り除かれるまで、ピストンステム140が押圧されないようにする。シリンジを使用するのが好ましいときには、クリップ119を取り外し、カートリッジ120、170が進んでニードル部材119、118と接触するように、そのそれぞれのチャンバ114、107に嵌め合う小型ピストル(スナッグ:snug)である、ピストンを手動で押圧する。ピストンステム140をもっと押すと、ニードル点119a、118aがカートリッジ正面で弾力性の栓121a、171aを貫通して、これによってカートリッジ内部と混合チャンバ115との間の連通チャネルが開口する。
【0167】
ピストンステム140をさらに押圧すると、二酸化炭素とポリドカノール溶液とが一緒に、カートリッジの断面積によって予め決められた割合で混合チャンバ内に流れる。混合チャンバ内のフィン117は、起泡ユニット50に入る前に気体と液体とが完全に混合するように確保し、ここで液体と気体はフォームに転換される。
【0168】
患者を処置するときには、臨床医は上記段階のしかるべき手順を踏み、起泡ユニット50から一定のフォームが放出されるように確保する。次いでピストンステム140の圧力を開放し、処置すべき静脈に予め挿入したおいたカニューレからのラインを、標準ルアー結合金具によって起泡ユニットの出口に接続する。次いで圧力を再びピストンステム140に適用して、フォームを形成させ、同時にこれをラインとカニューレとを通して患者の静脈に注射する。
【0169】
フォームの正確な量は、ピストンステム140を押圧する速度に幾らか依存する。この理由のため、シリンジドライバを使用してフォームを適用するのが好ましい。シリンジドライバは図8に概略的に示されており、図7のシリンジがこれに嵌め合わされている。このドライバ200は、ベース201、シリンジクランプ202及びモーター台203に嵌め合わされたモーター204を含む。このモーター204は、外部ネジ山210をもつドライブシャフト206に継手209を介して結合されている。ドライブシャフト上には、ドライブシャフトの外部ネジ山210と噛み合った内部ネジ山211をもつ環状部材207が受容されている。環状部材207から、シリンジクランプ202内にクランプされているシリンジのピストンステム140上に保持されている駆動部材が伸長する。
【0170】
モーターはDC電源212に接続され、正しい駆動速度を設定するための速度キャリブレーション制御209を有し、オン/オフ制御205も有する。
使用時には、臨床医は図7のシリンジからクリップ119を外し、一定のフォームが生成される点までピストンステム140を押圧して、次いでシリンジをドライバに挿入して、患者の静脈に予め挿入しておいたライン80に接続する。モーター204の速度は予めキャリブレーションして、使用されるシリンジに好適な速度にする。次いで臨床医は、オン/オフスイッチにより患者へのフォームの送達を制御する。
【0171】
できるだけ短いラインを使用すると、モーターを切ったときにラインの中に残存するフォームの量が最小となる。このようにして、確実に、患者に輸送した殆ど全てのフォームを予めほんの少しの間生成させて、劣化する機会を非常に少なくする。
【0172】
図9及び10は、フォーム生成及び分配装置の別の態様300を示す。この態様は、金属/プラスチックラミネート材料のバッグ301をベースとする。このバッグには、超音波により溶接したシーム310によって隔てられたチャンバ302、303が配置される。このチャンバ302、303は、それぞれ二酸化炭素と1%ポリドカノール溶液を含む。チャンバは、バッグの実質的に全長にわたって並行配置され、充填されると、チャンバの断面は、シリンジ態様と同様に正確な気体/空気混合物となるように選択される。それぞれのチャンバ302、303は、ハウジング307内で画定された混合領域または混合チャンバ306へと導くチャネル304、305を有する。ハウジング307の正面には、先の態様と同様に起泡ユニット50に嵌め合わされたルアーノズル308がある。混合チャンバ306内には、混合フィン311が配置される。
【0173】
このバッグ301の後部には、比較的硬質のロッド309がある。使用時、バッグ301はロッド309の周りに巻き付けられて、それぞれチャンバ302、303から気体及び液体を放出する。先の態様と同様に、気体及び液体は混合チャンバに入り、そこでこれらは十分に混合されてから起泡ユニット50に入り、予め設定した密度のフォームに転換される。
【0174】
他の態様と同様に、このバッグは好ましくは、図10に略図的に示されているようなドライバ装置と共に使用する。図10において、バッグ301は、ベースプレート320に好適に据え付けられている、スライド可能なキャリッジ321上に適所保持されている、側面で見ることができる。バッグ301の後部は、キャリッジ321の後部でバッグクランプ322によりクランプされ;この位置でロッド309は、クランプを通してバッグがスリップしないように機能する。バッグの正面におけるこの混合チャンバハウジング307は、キャリッジ321の正面で混合チャンバクランプ323によりクランプされる。
【0175】
ドライバをセットアップするためには、バッグを備えたキャリッジを、ベースプレート320上に据え付けられたローラー324のもと、脇にスライドさせる。このようにするために、ロッド309に隣接する後端部で手動でバッグを押圧して、ローラー324のもとで嵌め合うようにする。
【0176】
このローラー324は、DC電源326から供給される電動モーター325により駆動する。モーター速度は、速度制御327を使用してキャリブレーションし、オン/オフスイッチ328を使用して停止及び開始することができる。
【0177】
モーターを開始すると、ローラーが矢印Bによって表されるように回転して、ローラーのもとでバッグを備えたキャリッジをスライドさせる。バッグに含まれていたガス及び液体は混合チャンバ306及び起泡ユニット50を通して押し出され、起泡ユニットの出口を出る。
【0178】
先の態様と同様に、臨床医は、患者の静脈に据え付けられたカニューレにライン80を接続する前に、一定のフォームが生成するように確保する。
図11〜13を参照して、起泡ユニットは、これを横切って据え付けられたメッシュ52を有するリング51をそれぞれ含む、4つのメッシュ部材を含む。このメッシュは、約5ミクロンの直径の穿孔を有する。それぞれのメッシュ部材は、それぞれオスとメスのシール面53、54を有し、これらは図12に最もよく示されている。
【0179】
図13は、一つの部材のオスのシーリング表面が、それの隣の部材のメスの表面と噛み合うように、一緒に積み重ねられた4つのメッシュ部材を示す。この部材は、ソケット半部材56とノズル半部材57とを有するハウジング55に保持される。ハウジングのこれらの半部材(halves)の間で、メッシュ部材は加圧下で保持され、シーリング面53、54は互いに及びそれぞれの端部でハウジング55の内部と噛み合う。このようにして、メッシュ部材の間で優れたシールが作り出される、起泡ユニットを通る全ての流れがメッシュを通らなければならない。
【0180】
ハウジングのソケット端56は、標準ルアーソケット58で形成され、使用時に上記種々の装置のルアーノズル出口と嵌め合う。ハウジングのノズル端部57は標準ルアーノズル59を含み、その上に標準ルアーソケットを持つ医薬ラインが嵌め合わされてもよい。
【0181】
記載のメッシュ部材の代替案も含まれる。0.1ミクロン〜100ミクロンの流れ方向に対してほぼ直角の方向の寸法をもつ細孔、穿孔、穴を提供するものは何でも好適である。例としては布帛、穿孔スクリーンまたは焼結物が挙げられる。
【0182】
以下の実施例は、本明細書に記載の本発明の概念を支持するものとして提供する。
本発明は、以下の図面及び実施例を参照することにより、単なる例示として記載する。当業者には他の態様が考えられるであろうが、これらは本発明の範囲内に入る。
【0183】
実施例1
10人の患者を、1%ポリドカノール溶液と、7〜8%窒素と残余の二酸化炭素(約22%)と酸素(約70%)から本質的になる気体混合物で製造したフォームを注射により静脈瘤で処置した。
【0184】
本手順は、大伏在静脈の大腿部にフォーム(25.5ml気体)30ml以下を注射することを含む。気泡が心臓に到達するか試験するために、患者全員に4−チャンバ心臓超音波試験を実施した。試験した10人の患者全員の右心房と心室で気泡が知見された。通常、フォームを注射して数分後に気泡が現れて、超音波記録を停止するまで、注射後約40分継続する。
【0185】
1名の患者では、左脂肪及び心室で微細な気泡が知見された。この患者は続いてはっきりした卵円孔を有することが確認された。
【0186】
実施例2
この実験の目的は、種々の気体混合物で製造したポリドカノールの伏在静脈への注射の後、心臓へ通過する残存気泡の性質を調査するためのものである。
【0187】
麻酔をかけたメスのハウンド犬(体重26kg)に、気体混合物を変えて配合したポリドカノールを含むフォームを注射した。残存する気泡は、経食道超音波心臓図検査(TEE)を使用して肺動脈でモニターした。TEEで視覚化された残存する気泡は、開口(wide-bore)カテーテルを通して肺動脈からサンプリングした。これらの血液サンプルは、光学顕微鏡及び超音波を使用して残存気泡の存在に関して分析した。
【0188】
以下の三種類の異なる組成のフォーム:1%ポリドカノール及び空気;1%ポリドカノール及び、7〜8%窒素と残余の二酸化炭素と酸素からなる気体混合物;1%ポリドカノール溶液及び、1%未満の窒素と、残余の二酸化炭素と酸素を含む気体混合物を使用した。
【0189】
TEE出力をビデオテープに撮り、続いて分析した。これら全ての組成物に関して、実質的に不透明な画像とするのに十分な濃度で気泡は肺動脈に到達した。そのような画像を作るのに必要な閾値気泡密度は非常に低いので、この画像はそれ自体有用なデータを提供しなかったと考える。定常状態のバックグラウンド画像に戻るために閉塞した画像が要した時間は、血流中に溶解した全ての気泡または殆どに要した時間の長さをほぼ表しているものと考えられた。TEEは非常に感受性である(対照として生理食塩水を注射したときでさえも活性を示す)ので、この理由から、正確な終点を測定するのは困難であった。しかしながら、画像の不透明化からバックグランドレベルに減衰する時間を以下のように推定した:4分;2分;20秒。
【0190】
TEE分析に加えて、TEE画像が実質的に不透明であるとき、その間それぞれのフォームに関して肺動脈からくみ取った血液サンプルで観察を実施した。これらの知見結果は以下の通りであった。
【0191】
サンプルを取るとすぐ、かなりの容積の気泡がシリンジ内で知見された。シリンジをその長軸を水平に保持すると、連続した気泡のストリップが観察され、20mlシリンジの実質的に全長に伸長した。
【0192】
サンプルを採取した当初、シリンジには気泡は知見されなかったが、数秒後、シリンジを水平位置にすると、一本の気泡が現れ、これはフォームAに関して知見されたラインよりも細かった。
【0193】
サンプルを採取し、水平位置にシリンジを保持した後、1分以上の間、気泡は知見されなかった。徐々に、気泡の細い線がシリンジの上部に沿って現れた。
気泡を測定することはできなかったが、これらは組成物Bよりも組成物Cの方が小さいようであり、組成物Bの気泡は組成物Aのものよりも小さいようであった。
【0194】
実施例3
in-vitro実験では、新鮮なヒト静脈血中、種々の気体で製造したフォームの吸着性を測定した。
【0195】
20mlのポリプロピレンシリンジ円筒部は、比較的大きな皮下注射用針でその側壁に穿孔することによって、直径約1mmの穴を作った。次いでこの穴は、透明な粘着テープでその上に一片の透明フレキシブルビニールシートをしっかり止めることによって覆った。小さなマグネチックスターラー部材をシリンジ円筒部に導入して、次いでピストンを置き換えた。次いで20mlのヒト静脈血を、皮下注射用針を付けた特別に準備したシリンジを使用して、ヒト被験者から通常方法で抜き取った。
【0196】
この皮下注射用針を取り外し、次いでシリンジのマグネチック部材が血液を十分に撹拌するように、マグネチックスターラー装置上にシリンジを置いた。次いでシリンジのルアーノズルを血圧計の管の50cm片に接続して、これを水平に配置して一端を開放のままにした。血圧計の管は、スケールに対して固定した。
【0197】
細い針を予め取り付けた0.5mlの測定シリンジに、1%ポリドカノール溶液と空気とから製造したフォームを充填した。フォームの密度は0.13g/ml(±0.03g/ml)であり、液体成分はフォームの全容積の約13%(±3%)を占めていた。
【0198】
次いで0.5mlシリンジの針を20mlシリンジの側壁のビニルシートを通して導入した。少量の血液が血圧計の管に入っていくのが見られ、血液のこのカラムの遠位端の位置をスケールに対して記録した。タイマーがスタートした(t0)のと同時に0.5mlのフォームアリコートを迅速に注射した。フォームが20mlシリンジの血液を移動するにつれて、20mlシリンジからの血液のカラムは血圧計の管の中を移動して、血液カラムの遠位端が到達した管に沿った距離をスケールに対して記録した。スケール自体は、約1cmの等間隔に配置されたマーカー線を含んでいた。このスケールで45個の間隔の距離は、約0.5mlの血圧計管の内容積に等しいと決定した。
【0199】
フォーム内の気体が血液に中に吸着され始めると、血圧計管中の血液はシリンジに向かって引き込まれ始めた。カラムが移動を停止したように見えたら、タイマーを停止した(tF)。この遠位端の位置を再び記録した。
【0200】
次いでこの実験を同一密度のフォームであるが、酸素気体(医薬グレード純度−最低99.5%)で製造したもので繰り返した。
この実験を繰り返したが、今度は、医薬グレードの酸素のシリンダーからの酸素気体をフォームの代わりに0.5mlシリンジに直接導入した。
【0201】
これらの試験結果を表1に示す。
【0202】
【表1】
【0203】
*80秒後には、血液カラムの移動はもう見られなかった。
この実験における実験誤差は、意外にも、気体の少なくとも大部分が明らかに吸着されるのに、酸素気体または酸素フォームに関して気体の残存容量が存在するか否かを結論づけるには大きすぎる。気体にはたった95%純度の酸素シリンダー由来の少量の窒素があるかもしれないが、実験の間におそらく入り込んだのだろう。上記の如く、血液から気泡内に窒素が拡散することもあり得、手順の間に不注意で幾らか窒素が紛れ込んだのだろう。
【0204】
この実験において、空気フォーム試験は、tFの後、数分間、観察しただけであった。しかしながら、本発明者らによってさらなる実験を実施し、その結果は本明細書中、正式には記録されていないが、ある割合の窒素を含むフォームを含む。上記実験と同様に、20mlシリンジの新しいヒト静脈血を、ある割合の窒素を含むフォームの0.5mlアリコートと共に注射した。上記の如くシリンジの内容物を撹拌し、24時間経過させた。容易に視認できる容量の気泡がシリンジ内に残った。
【0205】
実施例4:超低窒素キャニスターの製造
オープントップを備えた陽極酸化アルミニウムキャニスターに水を充填した。次いでこのキャニスターを水浴に浸漬し、反転させた。次いで酸素の加圧シリンダーからのラインを水浴に導入し、酸素供給をオンにして、全ての空気のラインをフラッシュした。次いでバルブ、浸漬管及びメッシュスタック装置を含むキャニスターヘッドアセンブリを水浴に浸漬し、数秒間酸素ラインに接続して、アセンブリ由来の空気をパージした。
【0206】
全ての水がキャニスターから移動するまで、酸素ラインを反転したキャニスター内に導入した。次いでこのラインをキャニスターから外し、予めパージしたヘッドアセンブリを素早くキャニスターの上部でクランプして、キャニスターをシールした。次いでヘッドアセンブリをまだクランプしたままで、キャニスターを水浴から取り出し、次いで標準的な圧接法を使用して、そのヘッドアセンブリをキャニスターに固定した。
【0207】
次いでこのキャニスターを、調節した酸素ラインにキャニスターバルブを接続することによって約8バール絶対圧に1分間加圧した。次いでキャニスター内の圧力が丁度1絶対圧バールを超えるまで、バルブを開放することによって圧力を取り除いた。圧力開放操作の間、圧力ゲージを断続的にバルブに適用して、キャニスター圧が1絶対圧バールに低下しないように確保した。これは、キャニスターに大気が入り込む可能性を避けるために実施した。
【0208】
そしてキャニスターを約8絶対バールに再び加圧して、圧力開放操作を繰り返した。次いでこのプロセスを3回繰り返し、最終キャニスター圧力は1.1〜1.2絶対バールであった。
【0209】
18mlの1%ポリドカノール溶液をシリンジを使用してキャニスターバルブを通して導入し、ルアーノズル中の全ての空気を含む全てのエアポケットを取り除いた。次いでこのキャニスターバルブを二酸化炭素シリンジに接続し、2.2絶対バールに加圧した。次いで酸素ラインを再びバルブに接続し、圧力を3.6絶対バールに上げた。
【0210】
以下の表2は、シリンダー中100%純度酸素と仮定し、且つ予防策をとったにもかかわらず、初期酸素充填手順後のキャニスター内酸素中の気体1%が窒素であると仮定して、加圧及び圧抜きサイクルから得られた予想結果を示す。最悪のケースは、キャニスター圧力バルブ、即ち1.2絶対圧力(bara)及び7.6baraに関して想定される。
【0211】
【表2】
【0212】
表から解るように、3回の酸素加圧/開放サイクルのあと、小数点以下の桁数2まで計算して、窒素の割合がゼロまで低下する。
上記プロセスで使用した酸素シリンダーは、B.O.C.により供給された標準的な医薬グレードの酸素シリンダーであり、99.5%以上の純度と明記されていた。使用した二酸化炭素シリンダーは、99.995%レベルのB.O.C.製の所謂「CP グレード」であった。
【0213】
小数点以下の桁数2まで計算すると、初期充填手順から発生した不純物(主に窒素であろう)は、3回の加圧/開放プロセス後でゼロまで減るべきである。同様に、二酸化炭素シリンダー由来のキャニスター中の不純物レベルは、0〜小数点以下の桁数2と見なすことができる。というのも、供給源の不純物は99.995%であり、仕上がったキャニスター中の約1/3の気体だけが二酸化炭素だったからである。
【0214】
本発明者らは、もっと高い純度の酸素と二酸化炭素供給源を使用して、上記ラインに沿ってさらに実験を実施する。以下のシリンダー酸素は、B.O.C.から容易に入手可能である:「医薬グレード」99.5%純度(上記手順で使用);「ゼログレード」99.6%純度:「N5.0グレード」99.999%純度;「N5.5グレード」99.9995%純度;「N6.0グレード」99.9999%純度。
【0215】
それぞれの場合において、不純物は主に窒素である。
以下のシリンダー二酸化炭素製品は、B.O.C.より容易に入手可能である。これらは以下の仕様である:「CPグレード N4.5」99.995%純度(上記手順で使用);「研究グレード N5.0」99.999%純度。
【0216】
「ゼログレード:の酸素を使用して上記の手順を繰り返すと、最大不純物0.4%(主に窒素であろう)の完成キャニスターが得られると考えられる。
勿論、酸素及び二酸化炭素供給源が100%純度であれば、加圧/開放サイクルの回数を増やして理論的に最大不純物をさらに減らすことができるだろう。小数点以下3、4または5桁まで計算して、最大不純物レベルをゼロするのに必要なサイクル数を示すのは簡単な計算である。キャニスター圧が1絶対バール以下には絶対低下しないとするならば、及びキャニスターバルブに接続する前に、酸素及び二酸化炭素シリンダーからのラインを気体でフラッシュするならば、加圧/開放サイクルの間にかなりの量の不純物がキャニスターに入るのを仮定する必要性はない。
【0217】
不純物がさらに入り込む全ての機会を減らす改良点は、最初にフラッシュした直後に、ポリドカノール溶液を導入することであろう。このようにして、ポリドカノールにと一緒に導入された全ての空気/窒素は、続く加圧/開放サイクルの間に除去されるだろう。
【0218】
さらなる技術の改良点は、24時間、連続的に新たに補給した酸素雰囲気のもと、マグネチックスターラーを使用して撹拌状態の水浴中に保持することであろう。このようにして、水浴中に溶解した全ての窒素は、除去されて、溶解酸素で置き換わるはずである。この酸素を豊富に含んだ水浴からキャニスターを充填すれば、窒素不純物の考えられる供給源として水浴を排除できる。
【0219】
5、10、20または100回もの加圧/開放サイクルを実施し得ると考えられる。
このようにして、上記の如く酸素及び二酸化炭素の好適な供給源を使用して、CPグレードの二酸化炭素を使用して不純物の割合0.005%以下(主に窒素)または研究グレードの二酸化炭素を使用して0.001%以下の不純物割合をもつ酸素と二酸化炭素との混合物と、ポリドカノールとを充填したキャニスターを製造することが可能であろう。N6.0グレードの酸素を使用して不純物窒素気体の割合0.0001%以下のポリドカノールと酸素のキャニスターを製造することも可能なはずである。
【0220】
幾らか高い最小窒素レベルを有するこのようなキャニスターの製造は難しくはなく、加圧/開放サイクルの回数を減らすことによって達成し得ると考えられよう。
別の液体成分によるポリドカノールの置換は些細なことと考えられる。
【0221】
実施例5:超低窒素キャニスターの製造
本発明者らは、現在、同様の方法論を使用して、超低窒素キャニスターの大規模製造手順を開発中である。この手順では、二つのキャニスターを製造し、一つは5.8絶対バールの酸素を含み、他方は約1.2絶対バールで二酸化炭素とポリドカノール溶液を含む。使用時に、CO2/ポリドカノールキャニスターを、酸素キャニスターにこれを接続することによって使用直前に加圧する。これはPCT国際公開第WO02/41872-A1[CDE10]に記載されている。
【0222】
従って、酸素及び二酸化炭素/ポリドカノールキャニスターの個々の製造手順を提供する。しかしながら、どちらの手順も、ポリドカノール及び酸素、二酸化炭素またはこれら二つの混合物を含む単一キャニスター製品の製造に適用可能であることは明かである。
【0223】
この手順は、上部に標準バルブアセンブリのついた単に陽極酸化アルミニウムキャニスターである、酸素キャニスターについてまず記載する。バルブアセンブリに取り付ける前に、酸素ラインを直立シリンダーのオープントップに挿入して、キャニスターを酸素気体で最初に10秒間フラッシュする。次いでラインを回収する。この段階で、全ての空気は除去されておらず、窒素不純物レベルは約5%または6%と考えられる。これは詳細には測定しなかったが、手順の後段で測定した不純物レベルから推論した(以下参照)。長時間キャニスターをフラッシュするのは、窒素気体不純物のこの値を実質的に変えるとは考えない。
【0224】
次いでバルブアセンブリを緩くはめ込み、充填ヘッドをキャニスターとバルブアセンブリの上部に噛み合わせて、キャニスター壁に対して気密シールを作った。充填ヘッドへは酸素ラインを接続する。次いでキャニスターを約5.5絶対圧力(bara)にする。この段階での窒素気体不純物は、標準的なガスクロマトグラフィー法によって約1%であると測定した。
【0225】
一つの段階では、約1%の窒素不純物レベルが許容可能であると考えられたが、臨床試験(実施例1)の結果のあと、より低い窒素含有量が望ましいことが判明した。このため、以下のようにさらなる段階を本手順に加えた。
【0226】
キャニスターと充填ヘッドとの間のシールを維持すると、キャニスターの内容物は、キャニスター内の圧力が丁度1baraを超えるまで、充填ヘッドを介して排出される。上記実施例4と同様に、これはシールを通って大気が潜在的に入り込まないようにするためである。
【0227】
キャニスターと充填ヘッドとの間にシールを保持すると、圧力は約5.5baraに再び上昇し、再びこの圧力を丁度1baraを超えるまで開放する。次いでキャニスターを5.5bara±0.4baraの最終圧力まで上げる。この段階で、ガスクロマトグラフィーにより測定された窒素気体不純物は約0.2%であった。
【0228】
残存空気/窒素が因子約5であることは漏れがないということなので、圧力/開放サイクルのそれぞれが不純物を下げるはずと考えられる。正圧は常にキャニスター中に保持されるので、漏れを想定するのは理にかなっている。100%純度の酸素供給源と想定すると、これらの3回の加圧/開放サイクルの後の理論上の窒素不純物は約0.05%となるはずである。測定した窒素レベルは約0.2%であるので、測定プロセスの間にラインの不純物または窒素がサンプルに入るに違いない。不純物レベルは0.2%かそれより良いと少なくとも結論づけられる。
【0229】
ポリドカノール溶液または任意の他の液体硬化剤は、上記手順の間にキャニスターに添加でき、標準バルブ及び浸漬管は、小さな開口部メッシュなどのフォーム生成手段を含む装置と置き換えられると考えられる。最終段階で、キャニスター圧力はどんなに要求されようとも、約3.5baraに上げることができる。このようにして、硬化剤及び実質的に純粋な酸素を含む最終加圧キャニスター製品を作ることができた。
【0230】
現在、加圧酸素下でポリドカノール溶液を貯蔵する、可能性のある酸化作用を含む作用は完全には解明されていない。従って、現在、二酸化炭素及び/または窒素の元でポリドカノール溶液を貯蔵する二つのキャニスター系が好ましい。
【0231】
(実施例1で使用したように)先の製品バージョンでは、ポリドカノールキャニスター中の気体混合物は、窒素25%で二酸化炭素75%であった。窒素は、フォームの安定性において高溶解性の二酸化炭素の悪影響を減らすために含ませる。フォームの二酸化炭素と窒素含有量の両方を最小化するために、このキャニスターを0.5baraで保持した。これは、キャニスターを酸素キャニスターに接続し、最終圧力を約3.5baraに上げると、窒素含有量が約7%に減少することを意味する。
【0232】
次いで、本発明者らは、(1)キャニスターは、汚染の危険性を避けるために大気圧以上に保持しなければならなかった;及び(2)窒素の割合が高すぎたことに気づいた。フォーム生成メッシュが小さな開口部20ミクロンの代わりに5ミクロンである、新しいデザインの缶を製造した。このレベルのサイズの違いはフォームに顕著な効果を与えないと従来考えられていたが、実際には、メッシュ口径をこのように小さくすると、キャニスター中の実質的に純粋な二酸化炭素に由来し、且つ0.5baraの代わりに1baraを丁度超えて保持することに由来する、二酸化炭素の高い割合を保障するのに十分であることが意外にも知見された。
【0233】
このデザインのポリドカノールキャニスターと、1回だけ加圧する上記のごとき酸素キャニスターとを使用すると、得られるフォームは約1〜2%の窒素不純物であった。
現在の手順は、10秒間で金属陽極酸化キャニスターのオープントップに二酸化炭素ラインを挿入することである。次いでこのラインを引き抜く。この段階で全ての空気が排除されないが、窒素不純物レベルは約5%または6%と考えられる。長時間キャニスターをフラッシュしても、窒素ガス不純物のこの値を実質的に変わらないと考えられる。
【0234】
次いで1%ポリドカノール溶液18mlをキャニスターに導入し、二酸化炭素ラインを再導入して、キャニスターを数秒間、再びフラッシュした。
次いで浸漬管、バルブ及びフォーム生成メッシュ装置を含むヘッドアセンブリを緩くはめ込み、充填ヘッドをキャニスターとバルブアセンブリの上部に噛み合わせて、キャニスター壁に気密シールを作った。充填ヘッドには、二酸化炭素用ラインを接続する。次いでこのキャニスターを約1.2baraの圧力にする。この段階での窒素ガス不純物はまだ測定しなかったが、約0.8%と予測される。
【0235】
酸素キャニスターに接続して約3.5bara以下まで上げた後、充填したポリドカノールキャニスターから生成したフォームの最終窒素不純物は、以下の式によって得られる:(0.8×1.2+0.2×0.3)/3.5=0.4%。
【0236】
実施例6
標準ルアー接続として形成したそれぞれの端部にポートをもつハウジングを含む装置を製造した。ハウジング内には、ポートの間に内部流路があり、流路には四つのメッシュ部材が、ポート間の流れがメッシュの中を流れなければならないように配置した。このメッシュは5ミクロンの開口部を有していた。
【0237】
1%ポリドカノール溶液8mlを標準20mlシリンジに吸い上げ、次いでこのシリンジを上記のメッシュスタック装置の一つのポートにはめ込んだ。第二の20mlシリンジを取り出し、空気12mlを吸い上げてから、メッシュスタック装置上の二つのポートのもう一方に据え付けた。メッシュスタック装置の内容積を測定し、これはこの目的に関しては殆ど無視し得ると決定され、それは0.5ml未満であった。
【0238】
次いで空気とポリドカノール溶液を、1分間手でできるだけ早くシリンジの間を行ったり来たりさせた。実施した通過回数は15回であった。
得られた製品は視認できる気泡のない、均質外観を有する白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表にまとめた(表2)。
【0239】
【表3】
【0240】
実施例7
上記実施例6と同様の実験を、5ミクロンメッシュをそれぞれ含む4つのメッシュ装置を含むハウジングで実施した。今度は、1%ポリドカノール溶液10mlを20mlシリンジに吸い上げ、空気10mlをもう一方に吸い上げた。空気及びポリドカノールを2分間手でできるだけ早く行ったり来たりさせた。27回実施した。
【0241】
得られた製品は、視認し得る気泡のない均質外観の白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表3に示す。
【0242】
【表4】
【0243】
実施例8
実施例6及び7と同様の実験を、11ミクロンメッシュをそれぞれ含む4つのメッシュ装置を含むハウジングで実施した。1%ポリドカノール溶液8mlを20mlシリンジ1つに抜き取り、空気12mlをもう一方に抜き取った。空気とポリドカノールとを1分間手でできるだけ早く行ったり来たりさせた。25回実施した。
【0244】
得られた製品は、視認し得る気泡のない均質外観の白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表4に示す。
【0245】
【表5】
【0246】
実施例9:気泡サイジング法
上記実施例6〜8のフォームの気泡サイズ分布を測定するために使用した気泡サイジング法は、顕微鏡による気泡の画像のコンピューター分析を含む。フォームの小さなサンプルを特別に用意したスライド上に堆積させ、これはそれぞれの側部に37ミクロンの高さに据え付けられたスペーサを有している。次いでさらにスライドをサンプルとスペーサの上部に配置し、それによって37ミクロン厚さの層にサンプルを塗布した。次いで気泡の37ミクロン層の一部のデジタル画像を記録して処理した。気泡は画像中、リングとして現れ、このリングは気泡の最大直径を表す。それぞれの気泡は個別に識別され、計数され、その直径を計算した。直径37ミクロンを超える気泡に関しては、気泡は幾らか平坦化して、変形していない気泡よりも画像中のリングの直径が大きくなったものと想定された。変形していない気泡の元の直径を計算するためにアルゴリズムを適用する。37ミクロン以下の気泡に関しては、上部送り台の裏面に対して気泡が浮き上がって、変形していないと想定される。デジタル画像の視覚検査から、重なっている気泡の画像は完全に見えないかまたは非常に稀であるので、これは納得しがたい想定ではないようである。それでもなお、これらのものが整備されていれば、10ミクロンギャップを持ち、好適に修正したソフトウエアと共にスライドセットを使用する実験を繰り返せば、実質的に全ての気泡がスライドの間で平坦化する。
【0247】
実施例10
上記実施例6、7及び8を以下の方法を使用して繰り返した。
実施例6、7及び8に記載の如くポリドカノール溶液を20mlシリンジに抜き取り、好適な容積のポリドカノール溶液が残るまで、過剰量の溶液を抜き取り、上向きのノズルで溶液を確実に分配した。このようにしてシリンジ、特にノズル中の全ての空隙を除去する。
【0248】
次いでポリドカノールを充填したシリンジをメッシュ装置、上向きシリンジと共に配置したアセンブリ、及び溶液を充填したメッシュ装置に接続し、全ての気泡を除去した。
医薬グレードの酸素(99.5%純度)のシリンダーからのラインを、ピストンを外した20mlシリンジのルアーコネクタと接続する。次いで酸素ラインとシリンジ円筒部とルアーコネクタを、シリンジからの酸素で10秒間フラッシュする。次いで酸素ラインを外し酸素供給をオンにしたまま、シリンジピストンを円筒部に挿入し、ピストンを押圧する。次いでこの酸素ラインをシリンジルアーに再び取り付け、酸素圧力でシリンジピストンを押し返してシリンジを酸素で充填した。
【0249】
次いで酸素シリンジを直ちにメッシュ装置に接続し、実施例6、7及び8に記載のフォーム生成手順を実施した。
【0250】
実施例11
上記実施例10で記載したようにポリドカノール溶液を充填したシリンジとメッシュ装置を、折りたたみ可能な「グローブボックス」(容器壁に組み込まれた一体型のグローブの付いたシール可能な容器で、容器の内容物によって操作可能)に配置する。さらに空のシリンジもグローブボックスに配置する。次いで密閉式で真空供給装置に接続し、それによってボックスを実質的に全ての空気が除去されるようにつぶした。次いで真空供給源を99.995%の純粋な酸素供給源で置き換えて、グローブボックスをこの供給源からの酸素で充填した。酸素供給源を保持し、酸素の入口点と反対側の壁に小さな排出口を開ける。グローブボックス内で99.995%純度の酸素供給ラインを使用して、空のシリンジを酸素で充填するための上記実施例10で記載の手順を追随した。実施例6、7及び8で記載の手順を実施して、フォームを生成する。
【0251】
実施例12
上記実施例10に記載の如くポリドカノールシリンジとメッシュ装置を製造した。シリンジを水タンクに浸漬し、ピストンを外す。一度シリンジ円筒部が完全に水で一杯になってエアポケットが無くなったら、ルアーノズルにストッパーを締める。このシリンジ円筒部は上向きのノズルと共に保持し、99.9999%純度の酸素シリンダーからのラインを最初にパージし、次いでシリンジ円筒部に導入する。全ての水を酸素で置き換えたら(ノズル中の水が置換されるように留意する)、ピストンを挿入し、シリンジを水タンクから取り出す。次いで実施例10の手順を追随して、メッシュ装置にシリンジを接続してフォームを形成する。
【0252】
上記実施例4と同様に、この手順は、シリンジを充填する前に99.9999%純度の酸素の連続して補給した雰囲気のもと、水タンクに貯蔵することにより不純物を取り除くことができた。
【0253】
実施例13
実施例10〜12の変形では、メッシュ装置を単純なコネクターまたは三方バルブで置き換え、他の全ての点では同一のままであるが、許容可能なフォームを製造するのにもっと回数が必要になるという例外は起こり得る。標準的なコネクターまたは三方バルブにおける開口部は、これを通って気体及び液体が通過するが、その最大寸法は約0.5mm〜3mmである。繰り返しこの開口部に液体と気体とを通過させることによって、実施例6〜12の方法で得られるものよりかなり大きな気泡サイズの、有用なフォームを得ることができる。この方法は、一般的に「Tessari」法として知られている。本発明者らは、このTessari法で実験をして、気体対空気の割合、並びに開口部を通る気体及び液体の通過速度及び回数に従って、気泡のサイズ及び分布が大きく変動することを知見した。Tessariフォームの平均気泡サイズは、約300ミクロンであると文献に報告されてきた。本発明者がTessari法を使用して達成することができた最良のものは、約70ミクロンの平均気泡サイズのフォームであり、このようにするためには、液体対気体の割合を、約40%液体、60%気体に上げなければならなかった。
【0254】
本実施例では、Tessari法は、非常に低い割合の窒素不純物の気体を使用して、上記の限定の範囲内で、どんな密度及び気泡サイズのフォームにも適合させることができる。
【0255】
実施例14
5ミクロン開口部サイズのメッシュスタック装置と共に、小さな空気入口開口部一対を備えた浸漬管及び標準的なバルブアセンブリをもつPCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載のタイプのキャニスターを製造した。バルブの開口部サイズは、PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載のバルブ配置(1.1g/ml〜1.6g/mlの間の密度のフォームを製造するために設計される)と比較してやや大きくした。この変形の目的は、メッシュスタックを通して通過する混合物中の液体対気体の割合を高めるためである。
【0256】
1%ポリドカノール溶液18mlでキャニスターを充填し、酸素、二酸化炭素及び窒素の混合物で加圧した。次いでフォームを分配した。
この手順を製造したフォームの数及びバルブ開口部の種々のサイズに関して繰り返した。全て白色液体の外観で、0.3〜0.5g/mlの範囲の密度を有していた。これらのそれぞれのフォームに関して気泡サイズ分析を実施し、これにより平均気泡サイズは直径50〜80ミクロンの範囲であったことが判明した。
【0257】
実施例15
バルブ装置の開口部のサイズではなく、浸漬管の長さ及び直径を調節した以外には、上記実験を繰り返した。短くした浸漬管がキャニスターの液体レベルに確実に到達するように、キャニスター中の液体容積を増やす必要があった。上記実施例6に記載の如く、同じタイプのフォームを製造することが可能であった。
【0258】
実施例16
本発明者らは、純粋な酸素または上記の窒素不純物レベルを有する酸素と二酸化炭素との配合物を使用する上記実験の再生を予見する。窒素不純物の非常に低レベルとするために、実施例4及び5に記載のものと同一方法に従った。
【0259】
実施例17:予圧容器
PCT国際公開第WO00/72821-A1号に開示の如く、本発明に従った治療用フォームの生成を図14に示す。
【0260】
このキャニスターは、アルミニウム壁(1)を有し、その内面はエポキシ樹脂でコーティングされている。キャニスターの底(2)は、内側に半円球状になっている。キャニスター内側チャンバ(4)は、1分間100%酸素で予備パージし、1容積/容積%ポリドカノール15ml/リン酸塩緩衝化塩溶液20mmol/4%エタノールを含み、次いで必要な気体混合物で充填する。
【0261】
標準直径1インチEcosol(商標)エアロゾルバルブ(5)(Precision Valve,Peterborough,イギリス)を溶液を一部滅菌的に充填した後、キャニスター上部にクリンプし、アクチュエータキャップ(6)を押圧することによって駆動して、シリンジまたは多元コネクター(示されていない)のルアー結合金具と噛み合うようにサイズを合わせた出口ノズル(13)を介して内容物を放出する。さらなるコネクタ(7)は標準バルブの底に配置され、高密度ポリエチレン(HDPE)リング(8)に保持された4つのナイロン66メッシュを据え付け、全て開口式ポリプロピレンケーシング内である。これらのメッシュは直径6mmであり、20μmの孔で作られた14%空地(open area)であり、メッシュは3.5mm間隔で配置されている。
【0262】
追加のコネクター(9)はメッシュを受けるコネクター底部に配置され、浸漬管(12)を据え付けるハウジング(10)を受容し、アクチュエータ(6)の操作時に浸漬管に上がる液体の流れにチャンバ(4)から気体を入れる気体受容孔(11a,11b)を含む。これらは、インサートを備えたEcosol(商標)装置(Precision Valve,Peterborough,イギリス)により好都合に画定される。孔(11a,11b)は、バルブハウジング(浸漬管の上部)のベースでこれと液体制御オリフィスの断面積との合計の比が、必要な気体/液体比を提供するように制御されるような断面積を有する。
【0263】
実施例18
かみ合い手段及びメッシュ・スタック・シャトルを備えた容器
PCT国際公開第WO02/41872-A1号に開示の本発明のメッシュ・スタック・シャトルとかみ合い手段とを備えた容器を含む装置を図15に示す。この装置は、水性硬化剤液と比反応性気体雰囲気用の低圧容器(1)、生理学的に許容可能な血液分散可能な気体用の容器(2)及び、コネクタ(3)を含むかみ合い手段を含む。
【0264】
生理学的に許容可能な血液分散可能な気体用の容器(2)に、必要な気体混合物で5.8絶対バール圧力で充填し、容器(1)は不活性気体を充填する。容器(2)を使用して使用時に容器(1)を約3.5絶対バールに加圧し、次いでフォームが必要になる直前に廃棄する。かくしてこの二つの容器は以後、PD[ポリドカノール]缶(1)及びO2缶(2)と称し、「二缶:bi-can」なる用語は二つの容器の概念を指すときに使用する。
【0265】
缶(1,2)にはそれぞれスナップ式の土台(4,5)が備えられる。これらは同じ成形品として作られていてもよい。スナップ式の部品(4,5)は高摩擦力でそれぞれの缶(1,2)のクリンプ-オン式の土台カップ(6,7)と噛み合う。このコネクターは二つの半部材部分(8,9)で作られ、高摩擦力によってユーザーは、二つの接続した缶(1,2)を掴み、コネクター半部材部分(8,9)をコネクター(3)と缶との間を滑ることなく互いに対して回転させることができる。これらの缶の土台(6,7)はそれぞれ、コネクターの二つの半部部分(8,9)の好適な表面上にある、先端部(12,13)と噛み合わせるためのスナップ-フィット式の孔(10,11)を有する。
【0266】
コネクター(3)は、多くの射出成型品を含むアセンブリである。コネクターの二つの半部材部分(8,9)は、二つの同軸管として互いに嵌め合うカムトラックスリーブの形状である。これらの管は、他方の半部材部分の凹んだカムトラック(15)と噛み合う一つの半部部分上に盛り上がったピン(14)によってつながっている。このカムトラックは三つの戻り止め停止位置を有する。これらの戻り止めの最初のものは、貯蔵用の停止位置である。この戻り止めで安全性を高めているのは、一方のスリーブの端部ともう一方との間の隙間の移動可能なカラー(16)を設置することによって提供している。このカラー(16)が取り外されるまで、スリーブを最初の戻り止め位置を過ぎて回転させることはできない。これによってコネクターは間違って作動されない。
【0267】
カムトラックスリーブ(8,9)は、別々のアイテムとしてABSから射出成型されて、後でこれらが戻り止めカムトラックの第一の停止点上で互いに噛み合うように組み合わされる。組み立てられたスリーブは、四つの回転する先を介してO2缶(2)据え付け板(5)上に装置としてスナップにより嵌め合わされる。安全カラーをこの時点でつけて、O2缶サブアセンブリを製造する。
【0268】
コネクター(3)は、PD缶(1)に隣接するコネクター半部材部分(8)上のメッシュスタックシャトル(17)を含む一連のフォーム形成部材をその内部に含む。このメッシュスタックシャトル(17)は、20μmのメッシュ孔サイズと、約14%の開口面積を備えた4つの射出成型ディスクフィルタと、二つのキャニスターとの漏れのない接続に適した二つの端部結合金具から構成される。これらの部材を予め組み立て、メッシュの周りに気密シールを提供し、メッシュスタックシャトルの外面を画定するオーバーモールディング(18)内にこれらを包むさらなる射出成型操作におけるインサートとして使用する。スタックの端部結合金具(end fitting)(17)は、二つの缶(1,2)のステムバルブ(19,20)に対して気密面及び/またはリムシールを与えて、二つの缶の間でガス移動しないように確保するために設計される。
【0269】
メッシュスタックシャトル(17)は、無菌環境中で成分を一緒に押して嵌め合わせることによってPD缶バルブ(19)の上に組み立てる。
PD缶(1)及び取り付けたシャトル(17)は、コネクター(3)と取り付けたO2缶(2)までをはめ込まれ、スライドする嵌合いは、PD缶(1)上の土台板(4)に一致する孔(10)にコネクター(3)のPD缶側上の四つの位置決め突起(12)をスナップフィットさせる。これによって系のアセンブリが完成する。この状態で、O2缶(2)のステムバルブ(20)とスタックからメスのルアー出口に対してシールを形成する点との間には約2mmの隙間がある。
【0270】
安全カラー(16)を取り外し、二つの缶(1,2)を掴み、コネクター(3)の一方の半部材部分を他方の半部材部分に対して回転させて噛み合わせ、O2缶バルブ(20)を開封できる。
コネクター(3)の回転がその第二の戻り止め位置に留まるので、PD缶バルブ(19)は完全に開口する。O2缶(2)からの気体の流れは、ステムバルブ(20)内の小さな出口孔(21)によって制限される。気圧が3.45バール±0.15バールの間で(殆ど)平衡になるのに第二の戻り止め位置で約45秒間かかる。
【0271】
第二の戻り止め位置で約45秒間待った後、ユーザーによってコネクター(3)をさらに第三の戻り止めまで回転させる。この位置で、二つの缶(1,2)を分けることができ、コネクターの半部材(8)を備えたPD缶(1)とシャトルアセンブリ(17)はコネクターとPD缶との間でとらわれたままである。O2缶(2)はこの時点で廃棄する。
【0272】
標準直径1インチエアロゾルバルブ(19)(Precision Valve,Peterborough,イギリス)溶液を滅菌充填した前または後、PD缶(1)の上部にクリンプし、メッシュスタックシャトル(17)を押圧することによって駆動して、これはエアロゾルバルブ駆動機序として機能し、シリンジまたは多元コネクター(示されていない)のルアー結合金具と噛み合うようにサイズを合わせた出口ノズル(22)を介して内容物を放出する。
【0273】
実施例19:メッシュスタック中のメッシュ材料に対する変化に由来するフォームの物理的特性における効果を評価するための研究
この実験では、コンテナーの気圧及び気体組成の変化と組み合わせた、20ミクロン〜5ミクロンのシャトルメッシュ孔径に変化するフォーム特性における効果を概説する。この研究は、0.8以下の窒素濃度が望ましいとの本発明者らの認識以前の日付である。その主な目的は、20ミクロンメッシュの代わりに5ミクロンメッシュを使用すると、ポリドカノールキャニスターに既に送達可能に含まれていた25%窒素を除去するのを保障するかどうかを試験することであった。本明細書及び以下の実施例で参照されるこの「100%」二酸化炭素及び「100%」酸素とは、実際、窒素不純物レベルを含み、これらの実施例で議論される最終デュアルキャニスター製品はおそらく、約1〜2%窒素不純物のフォームを生成するだろう。
【0274】
二つの異なる気体組成物を使用した。一つでは、1%ポリドカノール溶液とCO2/N2 75%/25%の雰囲気とを含むキャニスターは、0.5絶対バール圧力まで排気され、もう一方のキャニスターは、5.9絶対バールに酸素で加圧する。もう一つでは、1%ポリドカノール溶液を含むキャニスターは、100%CO2で1.2±0.1絶対バールに加圧され、もう一方のキャニスターは5.8±0.1絶対バールに酸素で加圧される。
【0275】
この研究の目的は、1.2絶対バールのPDキャニスターには充填気体として100%CO2、0.5絶対バールのPDキャニスターには現在の気体雰囲気で、5ミクロン及び20ミクロンシャトルメッシュを使用して研究し、得られた結果を比較することである。
【0276】
材料及び方法
全てのサンプル調製は、大気に暴露する時間を最小に保持しつつ、層流ブースで実施した。
【0277】
クラス100Kクリーンルーム成型設備中、直径6mmの4ナイロン6/6織りメッシュのスタックを含むシャトル装置を使用した。これらは以下の表3に示される以下の点で異なっている。
【0278】
【表6】
【0279】
【表7】
【0280】
ポリドカノール溶液は、0.2ミクロンフィルターを使用して滅菌濾過してから、清浄なガラススクリュートップボトルに充填した。
二缶アセンブリは、表5に詳細が記載されているポリドカノールキャニスター中の気体混合物及び圧力の仕様に対する試験のために製造した。
【0281】
【表8】
【0282】
周囲研究室温度における変化が1/2分離時間の結果に影響を与えたという点で、一連の実験の試験の順序は重要であった。実験は、一つのサンプルタイプの全ての試験、続いて別のサンプルタイプの全ての試験というのではなく、サンプルタイプを通してサイクル的に実施した。これによって、実験を通して研究室の温度に偏流の作用を最小化した。実験室の温度は、できるだけ20℃に保持した。
【0283】
1/2分離時間装置の温度は、連続する実験装置の間の洗浄及び乾燥段階の後で周囲温度に完全に平衡化させることも重要である。
【0284】
試験の概要
二缶装置で実施した試験及び仕様は、表6にまとめる。
【0285】
【表9】
【0286】
結果
表5に記載の如く製造した二缶における表6に記載の試験の結果は、以下の段落でまとめる。
【0287】
装置及びフォームの外観
全ての場合において、装置はキャニスターでもバルブでも腐蝕を発生せず、漏れ及び外界損傷の兆候も無かったという点で、装置の外観は仕様に適合していた。充填したPDキャニスターを駆動すると、白色フォームが生成した。フォームが安定した後、無色透明の液体が観察された。
【0288】
密度、1/2分離時間及びpH
全ての装置からのフォームは、密度、及び1/2分離時間の仕様に適合した。しかしながら、一つ予想外に低い結果(C1キャニスター1)が得られたが、予想通り挙動する追加の二つの装置で試験した。低い結果にもかかわらず、平均は仕様に適合した。通常、5 mシャトルを介して発生したフォームは、長い1/2分離時間を有する。結果を表7にまとめる。
【0289】
生成したフォームの平均pHは、仕様に適合した。しかしながら、100%CO2キャニスターから製造したフォームは、仕様の検出下限に近く、ある場合においては(C2キャニスター4)、仕様の丁度下であった。結果を表7にまとめる。
【0290】
酸素缶及びポリドカノール缶における気体圧力は、全ての場合で仕様と適合した。ある場合においては(C1キャニスター6)、予想よりやや低い酸素キャニスター圧力が記録された。結果を表7にまとめる。
【0291】
【表10】
【0292】
気泡サイズ分布
全ての条件に関する平均気泡サイズは、対照1(C)(>500 m特大サイズの気泡で平均化)を除いては仕様内であった。結果を表8にまとめる。
【0293】
【表11】
【0294】
粒子(肉眼では見えない)
全てのキャニスター由来の崩壊フォームは、1ml当たり1,000個以下の粒子>10ミクロンであり、1ml当たり100個以下の粒子>25μmである限り、粒子の仕様に適合した。100%CO2気体混合物を有していたものは、全体で粒子が一番少なかった。崩壊フォームでは視認できる粒子はなかった。結果を表7にまとめる。
【0295】
それぞれの装置からのフォームの外観は仕様と適合した。全てのキャニスターの外観は仕様と適合した。
【0296】
【表12】
【0297】
ポリドカノール同定、アッセイ及び関連物質
対照と試験調製物との結果の間には、顕著な違いは観察されなかった。全てのサンプルは、関連する物質、アッセイ値及び到底に関して全て仕様に適合した。
【0298】
25mカラムを使用したサンプルの分析を実施したが、これらのサンプルでナイロン6,6相互作用に関連する顕著なピークは観察されなかった。
【0299】
実施例20:メッシュスタック中のメッシュ材料に対する変化に由来するフォームの物理的特性上の作用を評価するためのさらなる研究
キャニスター中の気圧と気体組成に対する変化と組み合わせて、シャトルメッシュ孔径20ミクロン、11ミクロン及び5ミクロンの装置を使用して、実施例9の研究を繰り返した。二缶アセンブリは、表9に詳細を記載したポリドカノールキャニスター中の気体混合物と圧力の仕様に対して試験するために調製した。
【0300】
【表13】
【0301】
シャトルメッシュ孔径が11ミクロンであった試験から得られたフォームの種々のバッチでは、以下の特徴を有していた。
【0302】
【表14】
【0303】
【表15】
【0304】
実施例21
欧州特許第0656203号に開示されたように、実験を実施して、ポリドカノール(PD)溶液を泡立たせるために小さなブラシを高速回転させる、周囲雰囲気としてある範囲のCO2/O2気体混合物を使用して、Cabreraの方法によって製造した硬化剤フォームの物理的特性と比較した。
【0305】
全てのサンプル調製は、Kreussler1%Aethoxysclerolから入手したポリドカノール溶液を使用して、18〜22℃の範囲の温度の制御研究室条件下で実施した。容器は100mlビーカーであった。このビーカーと溶液10mlとを小さなガラスのアクアリウムタンクに置いた。これは大気から内部空間をシールするように変更されていた。次いでビーカーを試験用気体混合物でフラッシュして一杯にした。
【0306】
この実験の間、大気の窒素と酸素とが気体タンクに入り、既知気体混合物を変えることができないように、試験用気体混合物を少量入れた。柔軟なドライブシャフトをミクロモーターに取り付けて、ガラス製タンクの外側にミクロモーターをおいたままにして、同時に必要な速度で、ガラスタンク内でブラシを駆動させる。この柔軟なドライブシャフトをガラスタンクに入れた場合、これをシールして大気からの漏れ込みを防いだ。
【0307】
ガラスタンクに大気圧より0.2バール上の圧力で気体混合物を供給して、30秒間、ガラスタンクのフラッシュを実施した。30秒間のフラッシュの後、調節装置を停止して、実験の残りのために気体が少し入ってくるようにした。泡立ての回転速度及び時間は、11500rpm及び90秒間に固定した。
【0308】
表15の結果は、100%CO2、100%O2、75%CO2/25%O2及び空気で製造したフォームの密度及び半減期を示す。それぞれの気体に関して、全くのポリドカノール、ポリドカノールと5%グリセロール、ポリドカノールと25%グリセロール、及びポリドカノールと40%グリセロールでフォームを製造した。それぞれのフォームに関して2回繰り返した(1及び2)。この結果は、グリセロールの割合が高いと、適当な密度と半減期のCO2フォームを形成できたことを示す。
【0309】
【表16】
【0310】
【表17】
【0311】
実施例22:ポリドカノール、グリセロール及びCO2フォーム
種々の方法を使用して、ポリドカノール、グリセロール及びCO2でフォームを製造した。フォームを製造するのに使用した方法は、得られるフォームの半減期及び密度で重要な役割を果たす。
【0312】
ダブルシリンジ法
1%ポリドカノール及び30%グリセロールの緩衝溶液500mlを以下の手順を使用して製造した。
【0313】
100%ポリドカノール(pd)−蝋状固体−は、温水浴に設置することによって溶かした。
100mlの蒸留水を1000mlビーカー中に秤量した。
0.425gのリン酸二水素カリウムを安定剤として添加した。
【0314】
液化pdを5g秤量した。
96%エタノールを秤量した。
このエタノールとpdとを混合し、次いで蒸留水に添加した。
【0315】
グリセロール150gを添加した。
水を425mlの印まで添加した。
0.1M水酸化ナトリウムを添加して、pHを7.34〜7.38pHに調節した。
【0316】
蒸留水を添加して、500gスケールにした。
0.25ミクロンフィルターを通してこの溶液を濾過した。
同じ手順をとったが、多量のグリセロールを使用して、40%グリセロール溶液にした。
【0317】
50mlガラスシリンジに、pd/グリセロール溶液100mlを汲み上げた。もう一つの50mlガラスシリンジのノズルを、二酸化炭素シリンダーからのもう一つのライン(B.O.C.99.995%の純度レベルの「CPグレード」)に接続した。このシリンジに二酸化炭素を充填し、次いでラインから外し、ピストンを押圧し、次いでシリンジ円筒部上で50ml目盛に再充填してから、ラインから外した。それぞれの端部とほぼ1mm直径の通し孔(thorough bore)をもつコネクターをラインに接続して、中をフラッシュした。次いでこの二つのシリンジをコネクター装置にそれぞれ接続した。
【0318】
二酸化炭素とpd/グリセロール溶液を手動で、30サイクルを超えてできる限り早く二つのシリンジの間を行ったり来たりさせた。このプロセスの間にシリンジ内にフォームが形成した。最終サイクルの後、フォームを迅速に半減期及び密度測定装置に移し、フォームの半減期及び密度を測定した。
【0319】
この手順は、1%ポリドカノールと30%グリセロールとの緩衝溶液と、1%ポリドカノールと40%グリセロールとの緩衝溶液とに関して実施した。
それぞれの場合において、得られる溶液を観察すると、液体のようではないが、幾らか流れやすかった。これは非常に平坦な、ゆるやかな丸の「球状の小さな塊:blob」が表面に形成し、これは5秒以内に崩れて液体となった。
【0320】
ダブルシリンジ及びメッシュ法
ダブルシリンジ法に関する上記手順を以下の点だけ変更して繰り返した。
1mmの孔のコネクターを使用する代わりに、一連の4つのメッシュ部材を含む流路を有する、いわゆる「メッシュスタック:装置」を製造した。それぞれのメッシュ部材は直径約2〜3mmであり、直径5ミクロンの孔を有していた。装置のそれぞれの端部には、ルアー接続があった。
【0321】
このシリンジをできるだけ早く再びサイクルにかけたが、1mm孔をもつ単純なコネクターに関してできる限りよりもかなりゆっくりであった。10サイクル実施した後、シリンジの汲み上げを停止した。というのも、フォームに何ら変化が見られなかったからであった。このサイクルを実施するにはオペレーター二名が必要であり、それぞれのオペレーターがそれぞれのシリンジでピストンを押圧した。
【0322】
この手順を1%ポリドカノールと30%グリセロールの緩衝溶液と、1%ポリドカノールと40%グリセロールの緩衝溶液に関して実施した。
このダブルシリンジとメッシュスタック法で製造したフォームの外観は、ダブルシリンジ型の方法で製造した物と非常によく似ていた。しかしながら、「球状の小さな塊」はそれほど平坦ではなく、崩壊するのに幾らか時間が長くかかった。
【0323】
キャニスター法
約100mlの容量をもつ加圧キャニスターは、緩衝化ポリドカノール/グリセロール溶液約20mlで製造した。次いでこのキャニスターを実質的に純粋な二酸化炭素で、3.5絶対バールの圧力に加圧した。
【0324】
このキャニスターはバルブがそれぞれ取り付けられ、浸漬管はバルブからキャニスターのベースへ伸長している。バルブのそれぞれの側部は、加圧下で浸漬管を液体が通過するときに、気体を引き込む開口部である。このバルブより上では、キャニスターにはそれぞれ上記の如くメッシュスタック装置が取り付けられる。
【0325】
フォームを分配するには、キャニスターバルブを開口する。フォームの最初の部分を排気し、次いでフォームを半減期及び密度測定装置に直接、分配する。
この手順を1%ポリドカノールと30%グリセロールとの緩衝溶液を含むキャニスターと、1%ポリドカノールと40%グリセロールの緩衝溶液を含むキャニスターとで実施した。
【0326】
30%グリセロール溶液で製造したフォームは比較的堅く、表面に小さな丸い球状の小さな塊を形成した。この球状の小さな塊は数秒の間に崩壊し始めたが、長い間、水溜まりよりも球状の小さな塊のままであった。40%グリコールに関しての観察結果は記録しなかった。
【0327】
結果
ダブルシリンジフォーム
1)(100%CO2,1%ポリドカノール、30%グリセロール)
密度=0.231;半減期=99秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,40%グリセロール)
十分量のフォームを製造できなかった。
【0328】
ダブルシリンジ及びメッシュ法
1)(100%CO2,1%ポリドカノール、30%グリセロール)
密度=0.174;半減期=155秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,40%グリセロール)
密度=0.186;半減期=166秒。
【0329】
キャニスター
1)(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.094;半減期=121秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.124;半減期=166秒。
(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.124;半減期=108秒。
【0330】
実施例23:ポリドカノール、グリセロール及びCO2フォーム
フォームを製造する前の、液相の粘度における種々の粘度向上剤(グリセロール、PVP及びエタノール)の効果を測定した。粘度は、上記のブルックフィールド装置を使用して23℃で測定した。
【0331】
Cabrerra法を使用して製造したCO2フォームの密度及び半減期における追加の成分の効果も研究した。フォームは、上記のCabrerra法及び、ポリドカノール(PD)と種々の割合の粘度向上剤(重量/重量)を使用して製造した。得られるフォームの半減期及び密度は上記の如く測定した。粘度向上剤、硬化剤及び気体の特定の組み合わせが好適な半減期及び密度のフォームを提供するか測定するために同様の実験を実施することができる。上記のキャニスターを使用してフォームを製造し、その結果を表16に示す。
【0332】
【表18】
【図面の簡単な説明】
【0333】
【図1】図1は、本発明の第一の側面に従った装置の第一の態様のシリンジ円筒部の概略図であり、貯蔵のために封がされた状態で示されている。
【図2】図2は、図1のシリンジ円筒部で使用するためのカートリッジの概略図である。
【図3】図3は、図1のシリンジ円筒部で使用するための変形カートリッジの概略図である。
【図4】図4は、図3に示すタイプのカートリッジが取り付けられた図1のシリンジ円筒部の更なる概略図である。
【図5】図5は、起泡ユニット及びピストンステムが嵌合された図1のシリンジ円筒部の更なる概略図である。
【図6】図6は、図5のシリンジ、カートリッジ及び起泡ユニットの概略図であり、シリンジのピストンステムは部分的に押し下げられている。
【図7】図7は、本発明の第一の側面に従った装置の第二の態様の概略図であり、起泡ユニットが嵌合された充填シリンジを含む。
【図8】図8は、制御された速度でフォームを発生させ送達するためのシリンジドライバ中に取り付けられた図7の装置の概略図である。
【図9】図9は、本発明に従った装置の第三の態様の概略図である。
【図10】図10は、電動ドライバに嵌合された図9の装置の概略図である。
【図11】図11は、本発明の起泡ユニットの起泡部分の一態様であるメッシュ要素の平面図である。
【図12】図12は、図11の線I−Iに沿った側断面図である。
【図13】図13は、本発明の起泡ユニットの起泡部分の一態様の側断面図である。
【図14】図14は、WO00/72821-A1に開示され、更に本明細書中に説明する、本発明に従った治療用フォームを発生させるための予備加圧された容器の横断面図を示す。
【図15】図15は、WO00/72821-A1に開示され、更に本明細書中に説明する、本発明に従った係合手段及びメッシュ・スタック・シャトルを備えた容器を含む装置の横断面図を示す。
【図16】図16は、実施例3で試験した二缶条件の4つの結果を比較するためのグラフを示し、フォーム密度と半減期に対する気体混合物、気体圧力及びシャトルメッシュの効果を示す。対照1は、5μmメッシュの0.5バールキャニスター中において、75%CO2/25%N2気体混合物を使用し、試験1は、5μmメッシュで同一気体混合物を使用し、対照2は、20μmメッシュの1.2バールキャニスター中において、100%CO2を使用し、試験2は、5μmメッシュで同一気体を使用する。
【図17】図17は、試験した4つの二缶条件からの気泡平均数の直径に対するグラフを示す。
【図18】図18は、試験した4つの二缶条件からの気泡の直径に対する割合のグラフを示す。
【図19】図19は、試験した4つの二缶条件からの気泡平均体積の直径に対するグラフを示す。
【図20】図20は、試験した4つの二缶条件からの気泡の直径に対する割合のグラフを示す。
【図21】図21は、4つの二缶条件からの結果を比較するためのグラフを示し、1/2分離時間及び密度に対するシャトルメッシュサイズの効果を示す。
【図22】図22は、(a)気相と混合してフォームを形成する前の液相の粘度に対するグリセロール濃度の効果、及び(b)液相の粘度に対する種々の粘度向上剤の効果を示す。
【図23】図23(a、b及びc)は、Cabrerraフォームの密度及び半減期に対する種々の粘度向上剤の効果を示す図である。
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2004年2月10日付けで出願された米国仮出願第60/542,867号及び第60/542,866号の優先権を主張する。また、本出願は、2004年10月7日付けで出願された英国特許出願第0422307.9号及び2003年11月17日付けで出願された英国特許出願第0326768.9号の優先権を主張する。これらの出願はすべて、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、血管、特に静脈瘤及び、静脈の形成異常を含む他の疾患などの種々の症状の処置で使用するのに好適な、硬化材料、特に硬化溶液を含むフォームの生成に関する。
静脈瘤の硬化は、液体硬化剤物質を注射して、これにより中でも局部的な炎症反応を起こすことによってこれらの異常な血管の排除を容易にすることをベースとしている。近年まで、硬化療法は、外科手術によって処置される7mm以上の直径の、小さい直径の血管と中程度の直径の血管の場合に選択される技術であった。
【0003】
特にもっと大きな血管で治療的使用に適した注射可能なマイクロフォームが開発されてきており、これらは本明細書中、参照として含まれる欧州特許出願第EP-A-0656203号及び米国特許第US5676962号(Cabrera & Cabrera)に開示されている。これらは、硬化物質でできた低密度マイクロフォームについて記載し、これは、血管内に注射すると、血と置き換わって、硬化剤が公知濃度で且つ制御可能な時間、血管内の内皮と接触することが確実に起こるようにして、塞いだ全てのセグメントを硬化させている。
【0004】
これらの特許の優先日以前、何年もの間、液体硬化剤を静脈瘤、特に小さな静脈瘤に注射することが効果的であることは公知であった。硬化液を注射する前に血管に少量の空気を注射することも長い間公知であり、その目的は、血管の血液を置き換えて、硬化剤があまりにも早く希釈されないようにするためであった。この技術の開発は、硬化液を注射する前に、ゆるい(loose)フォームか消えやすい泡(froth)を作り、これを純粋な空気の代わりに注射することであった。「エアブロック:air block」として公知であり、Orbachにより開発されたこれらの技術は、一般に、小さな血管の処置にのみ有効であった。
【0005】
これに加えて、小さな静脈瘤(以下に引用するFluckigerの参考文献)または両方の外科手術を使用する複合手順(combined procedure)のためのより細かいフォーム、及び全縁大伏在静脈(entire long saphenous vein)の処置の為のフォームが開示されてきた(Mayer;Brucke:The Aetiology and Treatment of Varicosities of the Low Extremities,Chirugische Praxis,521〜528ページ、1957年)。
【0006】
フォーム/消えやすい泡処理のこれらの先行技術文献は全て、気体成分として空気を使用したフォーム/消えやすい泡の製造について記載する。これらの文献のいずれも、注射したフォーム中の空気が深刻な問題を引き起こすことについて記載していない。一つの文献では、明らかに空気塞栓症により短命だと記載している:P.Fluckiger,Non-surgical retrograde sclerosis of varicose veins with Varsyl foam,Schweizerische Medizinische Wochenschrift,第48巻,1368〜1370頁(1956年)。この文献で著者らは、フォーム15mlで処置した直後に、立つと患者が胸に痛みを感じたため、15mlから10mlにフォームの量を減らしたと記載している。後の講演で同じ著者は、実際、その後、全く悪影響なく15mlのフォームを使用したと示している:1962年の講演会、A contribution to techniques for outpatient treatment of varicose vein,the Hamburg Dermatological Society。Myer及びBruckeによる上記の参考文献では、50mlもの多くの空気のフォームの使用について記載し、問題点については全く記載していない。
【0007】
しかしながら空気フォームとは対照的に、大量の空気を急激に静脈注射すると、空気塞栓症を引き起こすことがあり、これは命取りになるかもしれないことは公知である。にもかかわらず、上記の空気塞栓症及びフォーム技術の開業医は、自分たちの技術に含まれる空気の容積が深刻な問題を引き起こすのに十分なことを報告していない。
【0008】
このエアブロック技術は、1980年代までに人気が大きく落ち込み、上記の他のフォーム技術はほとんど知られていない。
Cabrerasは、マイクロフォーム、即ち静脈瘤に注射するための、たとえば気泡の大部分が裸眼で見えないような、極めて微細な気泡(bubble)のマイクロフォームの使用について提案した。大きな気泡のフォームまたは消えやすい泡(froth)とは対照的に、マイクロフォームを使用すると、制御可能性の点で非常に好都合となり、最も大きな静脈瘤でさえも血液と置き換えることができるので、外科手術に頼ることなく静脈瘤を実質的に全て処置できる。本明細書中で使用するように、「フォーム:foam」なる用語は、マイクロフォームを含む全てのサイズの気泡のフォームを包含する。
【0009】
空気で製造したマイクロフォーム製品の静脈注射に関する潜在的な問題が当然変更すべきほど十分に深刻であるという最初の教えは、上記のCabreraの特許に知見することができる。これらの文献は、従来の空気をベースとする技術が、何が危険であるかも、空気若しくは窒素ガスのどんな注射容積または速度がこれらの危険を引き起こすかについても正確には述べていないが、「血液内のほんの少しの可溶性の空気窒素の副作用により危険である」ことを示している。
【0010】
より大きな気泡フォームとは対照的にマイクロフォームを提案し、外科手術をすることなく最も大きな静脈の処置を最初に提案することに加えて、Cabrerasは、マイクロフォームを酸素、または二酸化炭素と酸素との混合物で製造することも提案した。この背景との関連において、Cabrerasの寄与は多くの点で非常に画期的であると理解され、その当時の最も一般的な意見:(i)硬化剤マイクロフォームの潜在能力;(ii)可溶性気体の必要性;(iii)マイクロフォームを劣化させないが血液によって摂取される酸素の使用;(iv)酸素の安全性、だけでなく、(v)非常に可溶性の二酸化炭素のある割合を含む可能性に対して十分に理解している。
【0011】
1990年代中盤にCabrerasのマイクロフォーム技術が発刊されてから、多くの開業医がヨーロッパ及びアメリカ合衆国のいずれもにおいてフォームを採用してきた。2003年8月のサンディエゴにおける静脈学者の近年の世界会議では、提出された250かそこらの文献のうち約1/3がフォーム処置に関するものであった。
【0012】
しかしながら、殆ど例外なく今日の硬化剤フォームを使用する開業医は、空気を使用してフォームを形成している。どの程度のフォームを注射すべきかに関しての意見は様々であり、ある者は5ml程度の少量だと提案し、他の者はもっと注射すると提案している。
【0013】
このCabrerasのマイクロフォームは、使用直前に、診療室で即時調製(extemporaneous preparation)する。この調製には、酸素または酸素と二酸化炭素の供給源に接続されたカバーの下、モーターによって高速回転する小さなブラシで硬化剤溶液を撹拌することを含む。Cebrerasに追随した多くの開業医は、二つの連結したシリンジの間で繰り返し硬化剤溶液と空気とを通すことを含む、フォームの即時調製の別法を使用する。もう一つの代替案は、その面に孔がある第二のピストンを備えたシリンジであり、これはシリンジ円筒部内で独立して動かすことができ、シリンジ内の液体と気体の混合物を泡立たせる。この後者のタイプの手順はいずれも幾らか不都合であり、その調製者に依存してフォーム組成が変動することを考慮に入れ、気体含有量、気泡サイズ、密度及び安定性、全てに注意が必要である。これらの技術は高度の配慮及び、プレッシャーのもと、即ちフォームを調製するのに利用可能な時間が短いときには、繰り返すのが難しいという理解が必要である。
【0014】
もっと簡便且つ簡単に再現可能な方法でCabrerasのマイクロフォームを本質的に再現することを目標とする製品は現在開発中であり、欧州及びアメリカ合衆国で臨床試験中である。この製品は加圧キャニスター系であり、加圧下で細かい沢山のメッシュに気体と硬化剤溶液とを通すことによってフォームを製造する。この製品の試験では、この目的は、1回の処置で全縁大伏在静脈と、その結節状構造の支流を処置することであって、これはフォーム25mlまたは50mlもの注射を意味することができる。
【0015】
本明細書中、参照として含まれる、PCT国際公開第WO00/72821-A1号(BTG International Limited)は、このキャニスター製品の基礎をなす基本概念について記載する。このフォームは、ミクロンで測定される小さい開口部をもつ一つ以上のメッシュに気体と硬化剤液とを通すことによってつくる。Cabreraの特許と同様に、この文献は、空気/窒素の潜在的な問題を認識し、フォーム中の窒素レベルを下げようと模索している。PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載の気体の好ましい形状は、50%容積/容積以上の酸素を含み、残余は二酸化炭素、または二酸化炭素、窒素と大気中に知見される割合の痕跡量の気体である。
【0016】
本明細書中に参照として含まれる別の特許出願、PCT国際公開第WO02/41872-A1号(BTG International Limited)では、血液−分散可能な気体を、硬化剤液を保持する容器に導入するときに、硬化剤液と富酸素の生理学的に許容可能な血液分散性気体(oxygen-rich physiologically acceptable blood dispersible gas)を使用直前まで別々の容器に貯蔵する。次いで血液−分散可能な気体と硬化剤液との混合物を放出し、混合物を放出する際に混合物の成分が相互に作用して、硬化剤フォームを形成する。この特許出願に記載の系では、ある割合の窒素(25%)をポリドカノールキャニスターにゆっくりと導入する。高圧酸素キャニスターから酸素で硬化剤液(ポリドカノール)缶を充填した後、窒素の割合は約7または8%に減少する。この窒素のレベルは、許容されるものと考えられた。
【0017】
PCT国際公開第WO02/41872-A1号に開示の装置は、使用する気体に関係なく、優れた均一の注射可能なフォームを提供する。ポリドカノールキャニスター中充填気体として100%CO2を使用するのが好ましい。CO2は血流中に非常に可溶性であるが、本発明者らは、最終気体混合物中のCO2の割合が高くなると、フォームの安定性を不都合に低下させ、1/2離時間(half separation time)が短くなることを知見した。特にこのフォームの半減期(half-life)は、PCT国際公開第00/72821-A1号に好ましいものとして示されている2.5分という数値に及ばない。
【0018】
本発明者らは、硬化剤フォームの注射の臨床態様について継続的に研究を続け、並びにキャニスターフォーム製品を開発し、これを欧州及びアメリカ合衆国で臨床試験にかけている。同様に可能なものとして定義されているが、その仕様は達成可能な許容値をもつ、安全なフォーム製品を開発しようとしてきた。フォームには多くのパラメーターがあり、これらは変動可能である。これらの例としては、これらに限定するものではないが、溶液の組成、純度及び濃度;気泡のサイズ;またはもっと正確には、サイズ分布、密度(即ち、液体対気体の比)、フォームの寿命(「半減期」なる用語で測定されるもの、またはフォームの半分が液体に戻るのに要した時間)及び気体混合物が挙げられる。
【0019】
空気の約80%を構成する窒素は、フォームから完全に除去するのは実際問題として困難である。製造の間に窒素がキャニスター内に紛れ込むキャニスター系、シリンジ技法若しくはCabreraの回転ブラシ技法か、若しくはマイクロフォームがCabreraにより開示されて以来開発されてきた他のあまり一般的でない多くの技法のいずれかを使用してフォームを形成してもこのことは当てはまる。
【0020】
二つのシリンジ技法において、フォームを空気以外の気体で製造しなくてはならない場合、気体成分を導入するための同様の方法は、気体の加圧供給源に一つのシリンジを接続し、次いで外して、硬化剤を含むもう一つのシリンジに再接続することである。この方法では、二つのシリンジをポンプで汲み上げてフォームを形成し、次いでフォームが充填したシリンジを分離する。このプロセスの間に少量の空気/窒素が侵入する潜在性は自明である。同様に、Cabrerasの方法を使用しても、フォームを調製する環境から空気/窒素を100%排除することは困難だろう。
【0021】
本発明者らによって開発されているフォーム製品の目的の一つは、一回の注射でヒト患者の大きい結節状構造の支流と共に全縁大伏在静脈を処置することである。これには、25ml以下、30mlまたはもしかすると50mlさえも必要とする。現在、空気フォームの最も慎重なユーザーは、明らかに全く悪影響を知見することなく、静脈系に最大5mlを注射する。従って本発明者らは、全縁伏在静脈を処置するのに必要な比較的多量のフォーム中の同様の量の窒素でも安全であるはずと結論づけた。従って、出発点としてこの量を使用した:80%窒素を含む空気5mlは窒素4mlを含む;即ち、低窒素フォーム50ml中の対応する窒素の割合は、8%である。
【0022】
近年まで、本発明者らは、約8%の窒素を含むフォームは安全面から許容可能であり、且つこの割合は、フォーム仕様中の窒素レベルの容易に達成可能な許容値を示したと考えていた。このレベルの窒素を許容すると、少量の窒素をポリドカノールキャニスターに慎重に導入して、(上記の如く)フォーム安定性において高い溶解性の二酸化炭素の悪影響を減らせるという利点がある。このフォーム及びこの製造系は、上記に参照したPCT国際公開第WO02/41872-A1号に記載されている。
【0023】
上記の如く、上記特許公報以外に静脈瘤のフォーム処置で公開された技術では、15ml以下の空気を注射することによる危険がもしあるとしても、小さいと述べている。Fluckigerにより述べられた唯一の事項は、一時的な胸痛であった。窒素を使用する危険について記載する上記特許公報は、どの窒素量が危険で、どの不利な作用がこの症状を起こすのかについては述べていない。非常に多くの開業医が現在、空気をベースとしたフォームを使用しているが、注射量を5mlに限定している者がいる。本発明者らは、7〜8%の窒素を含む上記キャニスター製品の650名の患者による多くの全ヨーロッパにおけるフェーズIIIの臨床試験に関わっているが、フォームの気体成分に関連する深刻な有害現象については指摘していない。
【0024】
現在、上記キャニスター系の臨床試験に関連するさらなる研究により、心臓に多くの気泡が存在することが判明し、そのうちのあるものは、かなりの期間にわたって残ることが明らかになってきた。この試験で患者を処置する間、心臓の超音波モニタリングによって、心臓の右側と関連する血管に多くの気泡があることが判明した。フォームは、心臓の右側に接続した静脈循環流動に注入されるので、心臓の右側の気泡が観察されたのだと予想された。しかしながら、気泡の数及び持続性は意外であった。
【0025】
さらに、気泡は、小さな中隔欠損をもつことが判明した患者、または卵円孔の患者(patient foramen ovale:PFO)、即ち、心臓に孔がある患者の心臓の左側にも発見された。この患者は、一時的な視覚障害があったことを報告した。これは深刻である。というのも、循環流動の左側では、一度、気泡が脳に進むと、そこでミクロの梗塞を起こすかもしれないからである。
【0026】
現在、最も小さなPFOでさえも関係する全ての患者のスクリーニングは、静脈瘤処置などの選択性の処置には実際には実現可能ではなく、可能でないかもしれないと考えられている。必要とされるこの技術は、相当に高度であり、おそらく非常に侵襲的であろう。さらに、これは手順に必要な回数を増やし、RFOなどに罹患している患者の処置は排除するだろうし、その数はかなりの数になると考えられる。
【0027】
これらの予想外の知見を考慮して、さらなる基礎的研究が本発明者らによって実施されてきた。
動物モデルを使用する実験は、本発明者らによって実施され、本分野において国際的に認められた専門家が委託されて血液中の酸素、二酸化炭素及び窒素気泡の挙動の詳細な数学的モデリングを実施した。新鮮なヒト静脈血中の気体の吸収を測定するためのin-vitro操作(in-vitro work)も本発明者らによって実施された。結果、本発明者らによるこれまでの予想とは対照的に、及び静脈瘤処置で使用するために即時フォームを現在調製している殆ど全ての開業医の考えとは全く対照的に、最小容量の窒素でさえも持続性の気泡をかなり生じるかもしれない。
【0028】
さらに、近年の研究では、当業界で既に示唆された空気フォームが特定の患者グループには何らかの合併症を生じることを確認したことが発表された。たとえばPhilip Kritzinger,MD博士は、気相として空気を使用して製造した静脈の硬化療法は、冠動脈の不具合の危険性の高い老人または患者で発作及び心筋梗塞を引き起こすかもしれないという事例研究を発表した。
【0029】
本発明者らは、現在、長期にわたるRFOスクリーニング方法論を必要とすることなく患者に投与するのに適した製品を製造するために、従来認識されていなかった上限まで窒素量を減らすことが必要だと考えた。
【0030】
PCT国際公開第W002/41872-A1号及びWO02/41872-A1号に記載されたキャニスター系のさらなる開発が考案され、特に、フォーム中の二酸化炭素の割合を高め、且つフォーム中に存在する窒素を殆どゼロにまで減少させた。高い可溶性二酸化炭素の悪影響を帳消しにするために、メッシュの開口部サイズを20ミクロンから5ミクロンに小さくした。このデザインのキャニスターは、試験用にかなり沢山製造された。当初、上記のごときダブルキャニスター系は、所望の気体でキャニスターをフラッシュしてから、シールし、加圧することによって製造した。この製品は、1%〜2%窒素の間でフォームを製造した。しかしながら、さらなる研究から、本発明者らは、このレベルでも高すぎると考えるようになった。
【0031】
フォームを製造するのにいかなる方法を採用しても、必ず不純物が存在するということを認識して、本発明者らは、0.01%〜0.8%の範囲の窒素ガス容量%の硬化剤フォームは、臨床的にも安全で且つ常に再現可能であると考える。0.0001%もの少量の窒素ガスでキャニスターを日常的に製造することが可能だろう。以下に示す実施例は、その製造/調製と、そのようなフォームの臨床効果も示す。
【0032】
本発明者らは、Carebraの開示以来開発されてきた硬化剤フォームの即時調製の他の種々の技法と共に、シリンジを使用する上記のような方法は、フォーム硬化療法の分野で意味があるとも認識している。これらの技術は、キャニスター製品よりも安いオプション部品を提供することができよう。本発明者らは、これらの技術並びにキャニスター系を使用して、上記のごとき非常に低い割合の窒素を有するフォームを製造することが可能だと考える。
【0033】
本発明に従って、フォームは液相と気相とを含み、前記液相は少なくとも1種の硬化剤を含み、前記気相は、0.0001容積%〜0.8容積%の範囲の量で存在する気体窒素と、少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる。さらなる態様では、気相はさらに以下に定義の痕跡量の気体などの他の気体を含むことができ、これは得られたフォームの密度、半減期、粘度及び気泡サイズの少なくとも一つに影響を与えることもできる。本明細書中で使用するように、「本質的に〜からなる」なるとは、得られるフォームの密度、半減期、粘度及び気泡の少なくとも1種に実質的に影響を与えない、気体などの1種以上の追加の成分を添加し得ることを意味する。
【0034】
「生理学的に許容可能な気体」なる用語は、血液によって比較的迅速に吸収されるか、肺内気体交換膜を迅速に通過し得る気体を意味する。具体的には、酸素、二酸化炭素、酸化窒素及びヘリウムが予想される。生理学的に許容可能な気体の定義の用語に入るか、または入らないかもしれない他の気体、たとえばキセノン、アルゴン、ネオンまたは他のものも少なくとも少量で使用することができる。本明細書中で使用するように、「実質的にO2」などの「実質的に」具体的な気体は、市販の医薬グレードのO2気体で通常知見される不純物を含むO2である気相を指す。空気中に痕跡量の濃度でのみ知見される気体(記載したばかりのようなもの)も、漏れを検出し易くするために、約0.1%〜5%の比較的低い濃度などで、配合物中に配合することも有用である。
【0035】
もう一つの態様では、前記他の気体は、本質的に酸素からなる。他の気体に関するもう一つの可能性は、酸素と、少量、好ましくは40%未満の二酸化炭素、より好ましくは30%未満の二酸化炭素から本質的になることである。たとえば、気相は、少なくとも50%のO2、たとえば70%、80%、90%及び99%のO2を含むことができる。もう一つの態様において、50%を超えるCO2、たとえば70%、80%、90%及び99%のCO2などの大部分を占めるCO2を含むこともできる。これらの場合において、他の気体の0.1%〜5%は、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオンなどの大気中に痕跡量でのみ知見される気体から構成することができる。あるいは、この気体は、実質的に100%の酸化窒素または、酸素、酸化窒素及び二酸化炭素の少なくとも二種の混合物であってもよい。
【0036】
本出願の目的に関して、他の種々の用語は、以下のような定義とする:硬化剤液は、血管内腔に注射したときに血管を硬化し得、且つこれらに限定されないが、ポリドカノール、テトラデシルサルフェート、エタノールアミンオレエート、モルイン酸ナトリウム、高張グルコース化(glucosated)またはグリコサリン(glucosaline)溶液、クロム酸化グリセロール(chromated glycerol)、ヨード化溶液(iodated solution)が挙げられる。スクレロパシー(scleropathy)または硬化療法は、血管を処置して血管を除去することに関する。エアロゾルは、気体中の液体の分散物である。気体の過半量(major proportion)の割合とは、50容積/容積%を超える。気体の半量未満(minor proportion)の割合とは、50容積%/容積未満である。別の気体中もう1つの気体の半量未満の割合とは、全容積の50%未満である。大気圧及びバールは、1000(mbar)ミリバールゲージである。マイクロフォームの半減期は、マイクロフォーム中の液体の半分が発泡していない液相へと逆戻りするのに要する時間である。
【0037】
Cabrerraにより示唆され、そして上掲のごとく、酸素または、気体成分の酸素と二酸化炭素との混合物を使用することができるだろう。二酸化炭素は水(そして血液中)に非常に可溶性であり、酸素は水には非常に溶解性ではないが、血中のヘモグロビンにより比較的迅速に摂取される。本発明者らは、N2または空気よりもずっと迅速に血中にCO2及びO2が摂取されることを示す研究も実施した。しかしながら、二酸化炭素、または他の水溶性気体単独で製造したフォームは非常に不安定な傾向があり、使用するのに十分に長持ちしない。CO2フォームは非常に短い半減期であるので、高濃度のCO2を含むフォームは、硬化療法のフォームを調製するのに従来使用されてこなかった。
【0038】
たとえば、空気などの主に不溶性気体混合物は、Cabrera法を使用して150〜200秒の1/2分離時間(half separation time)の安定で、堅いフォームを形成するだろう。しかしながら、100%CO2などの非常に溶解性の気体雰囲気は、ずっと短い1/2分離時間のフォームを形成する。フォーム中のラメラ気泡(lamellar cell wall)壁中にCO2を迅速に溶解し輸送することは、CO2フォームの安定性が下がる原因であると考えられている。これによってフォームのより小さく、高圧の気泡が、隣接する大きな定圧の気泡にその全ての気体容量を素早く移動させて、フォーム内で膨らみ破裂するか、表面に蓄積する。このプロセスはオスドワルト熟成(Ostwalt ripening)と言われ、全てCO2のフォームであると、この液体気泡壁はもはや有効なバリヤではなく、様々なラプラス圧(Laplace pressure)で隣接する気泡の間に拡散する。フォームの気体及び液体成分への排水(drainage)及び分離は、液体成分の粘度によっても影響を受ける。
【0039】
酸素フォームはこのような問題を起こさないが、酸素ガスを注射すると、危険であることが報告されており、実際に血管系に注射したときに空気と同じぐらい危険であると言われてきた。たとえばMoore及びBraselton、“Injections of Air and carbon Dioxide into a Pulmonary Vein”,Annals of Surgery,112巻、1940年、212〜218頁を参照されたい。別の研究では、ある非常に危険の高い患者の群に関して、フォーム中に高濃度のO2を硬化療法で使用することは、副作用の危険性を高めることがあると示唆している。
【0040】
近年の研究からも、高濃度のN2またはO2で製造した硬化療法用のフォームは、特定の患者群で潜在的な副作用を引き起こすことがあることが示唆された。より具体的には、一つの研究では、高濃度の窒素は、特定の患者個体群で動脈塞栓症の危険性が高くなることがあると示唆している。
【0041】
しかしながら本発明者らは、気相として高濃度のCO2を使用し、粘度向上剤を液相に添加することにより、硬化療法で使用するための効果的なフォームを製造可能であることを知見した。しかしながら、CO2フォームの半減期をのばしつつ、粘度向上剤を添加すると、フォームの密度も増加する。密度が高すぎると、血液を置換し、硬化療法に有効なフォームとするフォームの能力の妨げになることがある。密度と半減期のバランスをとると、有効なフォームを製造し得ることが知見された。一つの態様において、密度と半減期のこのバランスは、少なくとも20重量/重量%に粘度向上剤を増量し、且つフォームを製造するために本明細書中に記載された種々の方法を使用することによって達成される。
【0042】
粘度向上剤としては、PVP及びグリセロールなどの、液相の粘度を増加させる任意の薬剤が挙げられる。一つの態様において、少なくとも20重量/重量%の粘度向上剤、たとえば25%、30%、35%、40%の粘度向上剤を液相中に配合する。
【0043】
フォームを製造する前の液相の粘度も、フォームの半減期の因子となり得る。たとえば、液相の粘度が上昇すると、フォームの半減期も延びる。しかしながら、粘度が高いと、系によっては得られるフォームの密度が上昇することがある。
【0044】
かくして、さらなる態様では、本発明のフォームは液相と気相とを含み、ここで前記液相は少なくとも1種の硬化剤を含み、少なくとも1種の粘度向上剤少なくとも20重量/重量%であり、前記気相は少なくとも50%のCO2を含み、ここで前記フォームは0.25g/cm未満の密度と100秒を超える半減期を有する。この気相は少なくとも75%のCO2、たとえば少なくとも90%のCO2、たとえば少なくとも99%のCO2を含むことができる。一つの態様において、気相は本質的にCO2からなる。
【0045】
このフォームは、たとえば少なくとも90秒、たとえば少なくとも100秒、たとえば少なくとも110秒、たとえば少なくとも120秒、たとえば少なくとも130秒、たとえば少なくとも140秒、たとえば少なくとも150秒、たとえば少なくとも160秒、たとえば少なくとも170秒、たとえば少なくとも180秒、及びたとえば少なくとも3.5分の半減期であってもよい。フォームの密度は、0.07〜0.22、たとえば0.07〜0.19g/ml、0.07〜0.16g/ml、たとえば0.08〜0.14、またたとえば0.8〜0.15g/ml、たとえば0.9〜0.13g/ml、たとえば0.10〜0.14g/mlを変動し得る。この気相は、さらに、O2などの血液中に分散可能なもう1種の生理学的に許容可能な気体を含むことができる。液相の粘度は、2.0〜10cP、たとえば2.0〜7.0cP、たとえば2.0〜5.0cP、たとえば2.0〜3.5cP、たとえば2.0〜3.0cP、たとえば2.0〜2.5cPを変動し得る。
【0046】
詳細な説明
本出願の目的に関して、用語は、以下の意味をもつ:「硬化剤液」とは、血管内腔に注射したときに血管を硬化させることができる液体である。スクレロパシーまたは硬化療法は、血管を処置して血管を除去することに関する。エアロゾルとは、気体中に液体が分散している状態である。気体の過半量の割合とは、50%容積/容積超である。気体の半量未満の割合とは、50%容積/容積未満である。別の気体中もう1つの気体の半量未満の割合とは、全容積の50%未満である。大気圧及びバールは、1000ミリバールゲージである。フォームの半減期は、フォーム中の液体の半分が発泡していない液相へと逆戻りするのに要する時間である。
【0047】
一態様において、フォームは、直径25μm以上の気泡の数を基準として50%以上が直径200μm以下であるようなものである。
半減期は、公知の容積及び重量のフォームで容器を充填し、その容器から目盛容器に排出し、所定の時間で排出された量から半減期を、すなわちフォームがその成分である液体と気相へと逆転する半減期を計算することによって好都合に測定される。この測定は、好ましくは標準温度及び標準圧力で行うが、実際には周囲診療チャンバ条件又は周囲実験チャンバ条件で充分である。
【0048】
本明細書中で使用するように、粘度は、室温でBrookfield Engineering Labs製Brookfield DCVII+Proにより測定する。
一態様において、混合物中の気体/液体比は、フォーム密度が0.09g/mL〜0.16g/mLであるように、更に好ましくは0.11g/mL〜0.14g/mLであるように制御する。
【0049】
別の態様では、フォームは、少なくとも100秒、たとえば2分、2.5分、及び3分の間の半減期を有する。半減期は1または2時間以上程度であっても良いが、好ましくは60分未満であり、更に好ましくは15分未満であり、最も好ましくは10分未満である。
【0050】
一態様において、気体と硬化剤液との混合物は、エアロゾル、液体中の気泡の分散体またはマクロフォーム(macrofoam)である。「マクロフォーム」とは、最大寸法がミリメートル単位で測定される、例えば約1mm以上の気泡を有し、且つ振盪によって2つの相を軽く撹拌することによって製造できるフォームを意味する。もう一つの態様では、気体及び液体はエアロゾルの形態で提供され、その場合、加圧気体源と、この二つを混合する手段が使用点に提供される。最初にマクロフォームが製造され、液体と気体は使用点でのみ一緒になってもよい。
【0051】
混合物で用いられる気体対液体の割合は、製造されるフォームの構造を制御して、処置が行われる環境及び手順に関してその安定性を最適化するために重要である。フォームによっては、1gの硬化剤液と、約6.25〜14.3容量(STP)、さらに好ましくは7〜12容量(STP)の気体とを混合してもよい。
【0052】
一態様において、生理学的に許容し得る血液分散可能な気体は、二酸化炭素及び/または酸素を過半量の割合で含む。態様によっては、フォームは少量の窒素を含んでいてもよい。空気中の窒素として、ある割合で窒素が存在していてもよいが、本発明は、窒素を存在させずに、二酸化炭素及び/又は酸素の使用を提供する。
【0053】
一つの形態では、用いる気体は、二酸化炭素と他の生理学的気体との混合物であり、特に二酸化炭素を3容積/容積%以上、更に好ましくは10〜90%、最も好ましくは30〜50%含む。この気体の他の成分は、好ましくは酸素であってもよい。
【0054】
気体の別の形態は、酸素を50容積/容積%以上含み、残余は二酸化炭素であるか、または大気中で見出される割合の二酸化炭素、窒素及び微量気体である。1つの気体は、酸素60〜90容積/容積%及び二酸化炭素40〜10容積/容積%であり、別の気体は酸素70〜80容積/容積%及び二酸化炭素30〜20容積/容積%である。一つの態様では、酸素99%以上である。
【0055】
好ましくは、硬化剤は、水性キャリヤ中、例えば水中、特に生理食塩水中のポリドカノールまたはテトラデシル硫酸ナトリウムの溶液である。さらに好ましくは、前記溶液は、好ましくは滅菌水中、または生理学的に許容し得る生理食塩水中、例えば0.5〜1.5容積/容積%生理食塩水中のポリドカノール0.5〜5容積/容積%である。この溶液中の硬化剤の濃度は、好都合には、例えばクリペル・トレノーネイ症候群(Klippel-Trenaunay syndrome)のようなある種の異常の場合には濃くする。
【0056】
ポリドカノールは、式C12C25(OCH2CH2)nOH(式中、nの平均値は9である)で表されるマクロゴールのモノラウリルエーテルの混合物である。他のアルキル鎖、オキシアルキル反復単位及び/またはnの平均値(例えば7〜11)を有する混合物を用いてもよいことが理解されるが、nの平均値は、例えばドイツのKreusslerから例えばAethoxyskierol(商標)、ポリドカノールの希薄緩衝溶液として得ることができるので、9が最も好都合に得られる。
【0057】
水性液中硬化剤の濃度は、水または生理食塩水中のポリドカノール1〜3容積/容積%溶液、たとえば約1容積/容積%溶液である。少なくとも場合によっては、水または生理食塩水は、生理学的に許容し得るアルコール、例えばエタノールを少なくとも2〜4容積/容積%含む。生理食塩水は緩衝させてもよい。緩衝生理食塩水はリン酸塩で緩衝された生理食塩水である。前記緩衝液のpHは、生理学的であるように、例えばpH6.0〜pH8.0、より好ましくは約pH7.0に調整することができる。
【0058】
硬化剤は、追加の成分、例えば安定剤、例えばフォーム安定剤、例えばグリセロールを含んでいてもよい。追加の成分として、アルコール、例えばエタノールが挙げられる。
一態様において、気体窒素の範囲は0.0001%〜0.75%、たとえば0.7%、たとえば0.6%、及びたとえば0.5%である。理論的見地から、できるだけ多くの窒素を除去することが望ましいが、我々は80%窒素の大気中で生活しているので、窒素ガスに関して非常に高純度のフォームを常に製造するには困難がある。従って、好ましい窒素不純物の範囲の下端(製造業者にとって容易及び/または安価であるという観点から)は0.0005%であり、より好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.005%、0.01%、0.05%、0.0.2%、0.3%または0.4%である。以下の実施例から明らかになるように、この範囲の下端を引き上げることによって、製造手順から精製段階を除外することができ、結果、費用を節減できる。
【0059】
また本発明に従って、フォームを分配するために適合させたキャニスター系であって、その内容物は液相と気相とからなり、ここで前記液相は硬化剤を含み、前記気相は、半量未満の窒素気体と、過半量の他の気体、好ましくは生理学的に許容可能な気体からなり、キャニスター系により生成するフォームの気相は窒素ガス0.0001%〜0.8%からなるような、前記キャニスター系を提供する。上記引用の窒素ガス成分に関する他の可能な範囲も適用する。
【0060】
「キャニスター系」なる用語は、フォームを生成するために分配するための液体と気体とを含む一つのキャニスターであるか、または一方のキャニスターに気体を貯蔵し、もう一つのキャニスターには場合により気体と一緒に液体を貯蔵する、上記のごとき二つのキャニスター配置を意味することができる。
【0061】
一態様において、キャニスター内の前記半量未満の窒素ガスは、キャニスターの全気体容積の0.0001容積%〜0.8容積%であり、場合により他方の気体は上記引用の如く変動する。
【0062】
もう一つの態様において、キャニスターは、フォームを分配するために液体と気体の内容物がその中を通過する部材を含む。一態様において、この部材は、約0.1〜15ミクロンの直径をもち、より好ましくは1〜7ミクロン、さらに好ましくは約5ミクロンの開口部を有する。
【0063】
本発明のもう一つの側面は、血管、特に静脈の硬化療法で使用するのに好適なフォームの製造法であって、気体と水性硬化剤液との混合物を、0.1〜15μmの少なくとも一つの断面直径をもつ一つ以上の通路を通すことを含み、気体対液体の比は、フォームが0.07g/mL〜0.19g/mLの密度と、少なくとも100秒、たとえば2分、たとえば2.5分の半減期を持つように製造することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0064】
好ましくは、前記一つ以上の通路は、1〜7ミクロン、より好ましくは約5ミクロンの少なくとも一つの断面直径をもつ。
(PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載されたように)元の明細書に従い、25μm以上の気泡の数を基準として50%以上が直径200μm以下であるようなフォームが好ましい。PCT国際公開第WO00/72821-A1号の元の明細書に従って、本方法は、直径25μm以上の気泡の数を基準として少なくとも50%が直径150μm以下であることを特徴とするフォームを提供する。より好ましくは、これらの気泡の少なくとも95%が直径280μm以下である。さらに好ましくはこれらの気泡の数を基準として少なくとも50%が直径130μm以下であり、さらに好ましくはこれらの気泡の数を基準として少なくとも95%が直径250μm以下である。
【0065】
一態様において、気体は二酸化炭素1%〜50%、好ましくは10%〜40%、より好ましくは20%〜30%を含む。意外にも、小さな開口部サイズのメッシュを使用することによって、PCT国際公開第WO00/72821-A1号の仕様をもつフォームは、高い比率の二酸化炭素と、対応して低い比率の不溶性気体、たとえば窒素を有する気体混合物で製造することができる。二酸化炭素は、酸素よりも高いその高度な溶解性により、気体混合物の所望の成分となり得る。
【0066】
また本発明に従って、脈管処置(angiologic treatment)法は、その気体成分が気体窒素0.0001容積%〜0.8容積%と、残余が他の気体、好ましくは生理学的に許容可能な気体とからなる、硬化剤フォームの有効量を注射することを含む。窒素の割合に関して上記の他の可能な範囲を適用し、上記の他の気体に関し任意選択を適用する。
【0067】
好ましくは、本処置法は1回の注射でフォーム10ml〜50ml、好ましくは15ml〜50ml、より好ましくは20ml〜50ml、さらに好ましくは30ml〜50mlを注射することを含む。
本発明に従って、ヒト全縁大伏在静脈の処置方法は、上記フォームを1回、一方の足の全縁大伏在静脈に注射することによって処置することを含む。
【0068】
本発明に従って、血管内皮に損傷を与えるための直径7mm以上の血管の処置方法は、上記のごときフォームを注射することを含む。
可溶性気体を含む気泡の血液中における挙動の本発明者らの理解におけるさらなる因子は、周囲血液及び組織中と比較して、気泡中の窒素分圧の差のため、血液及び隣接する組織から窒素が気泡内に拡散する現象である。この現象は、通常、気泡中の窒素分圧が、周囲血液及び組織中よりも低いときにのみに発生する。
【0069】
二酸化炭素、及びそれほどにないにせよ酸素は、気泡から拡散して、周囲血液中の溶液に比較的急速に入るので、気泡は非常に迅速に、気泡中の窒素分圧が周囲血液と組織中よりも高い地点に到達し、最終的に気泡は実質的に純粋な窒素になるようである。窒素分圧勾配が逆転すると途端に、窒素は気泡から出て血液中の溶液へ入る。これは比較的ゆっくり起きるが、それは窒素の溶解性が低いからである。この現象がかなりの範囲で起きると、この現象は周囲血液が窒素による飽和度が高くなることによっても影響を受ける。この現象は、血液中の窒素の分圧勾配に潜在的に影響し、これは、周囲血液が窒素で完全に飽和されると、窒素の分離限界に到達することも意味し得る。
【0070】
現在のところ、血液の窒素による局在的な飽和がどの程度まで、分散性フォーム中の気泡の溶解における因子であるかは解っていない。しかしながら血流は一定であるので、この効果は単に一時的であって、窒素溶解の全体像に過度には影響しないものと想定される。
【0071】
二酸化炭素及び/または酸素の迅速な溶解の第一段階(initial phase)は重要であるように思われる。この期間が短ければ短い程、気泡中に拡散し得る窒素の容積は小さい。
(フォームの気相中の窒素の初期量を減らすこと以外に)サイズ及び/または数において、残存気泡を除去または減らす幾つかの可能性がある。これらの一つは、実用的な程度に大変小さい気泡を作ることである。気泡が小さければ小さいほど、二酸化炭素及び/または酸素は迅速に気泡から出て溶解し、血液から窒素が気泡内へ拡散するのに利用可能な時間が短くなり、そのため窒素の分圧勾配が窒素の拡散に有利に働いて逆転する。
【0072】
もう一つの可能性は、患者が呼吸する酸素または富酸素空気(air enriched with oxygen)であり、これは、窒素分圧を犠牲にして血液中の酸素分圧を高める効果がある。この技術は、ダイビング及び宇宙開発の分野では公知であり、「潜水病:bends」、即ち、身体組織中の溶液から窒素が出る減圧の際の現象(我々がここで関連するものとする血管中の血液とは対照的に)の危険性を軽減させるために使用されてきた。本発明者らが知る限り、脈管系に気体を注射することに関してこの技術を使用することは以前には提案されたことがなかった。
【0073】
本発明の側面に従って、1ミクロン未満の直径の気泡を無視して、硬化剤フォームは、95%以上が直径150ミクロン以下であり、50%以上が100ミクロン以下である気泡から構成される。好ましくは気泡の95%以上が直径100ミクロン以下であり、気泡の50%以上が直径50ミクロン以下である。より好ましくは、気泡の95%以上が直径75ミクロン以下であり、気泡の50%以上が直径30ミクロン以下である。さらに好ましくは、気泡の95%以上が直径60ミクロン以下であり、気泡の70%以上が直径30ミクロン以下である。これらの気泡分布でフォームを製造した方法を以下に例として示す。
【0074】
これらの非常に小さな気泡のフォームは、現在まで、比較的液体対気体が高い割合で、0.3〜0.5g/mlのオーダーの比較的濃厚な配合物をもつ、本発明者らによって得られたものしかない。そのような湿潤フォーム(wet foam)は、血液よりもかなり薄く、静脈が血液で満たされているときは浮揚性であろう。この浮揚性という特徴は、血液を置換する観点において、脈管系におけるフォームの好都合な挙動を幾らか担い得ると推測される。しかしながら、本発明者らによって今日まで製造された密なフォームは、そのレオロジー特性の観点において本質的に液体として挙動し、「堅く:stiff」ない。
【0075】
これらの密であるが、幾らか流動性のフォームは、有用な十分に優れた治療効果を持ち、残存する気体の問題を除去または軽減し得ることは不可能ではない。しかしながら、血液中のレオロジー特性は重要であり、「堅い」フォームは血液を効果的に置き換えるのに望ましく、血管壁の内部に対して敏捷に、一貫して均一に適用できそうである。このため、粘度向上剤を配合物に添加するか、または配合物のフォーム形成能力を高める薬剤を添加することによって、その堅さ/粘度を高めるためにフォームに追加成分を添加することが望ましい。
【0076】
そのような成分は、これらに限定されないが、ポリソルベート(Polysorbate)20、ポリソルベート(Polysorbate)80またはポリゲリン(Polygeline)が挙げられる。あるいは、グリセロール及びPVPを添加することができる。
【0077】
上記定義内の気泡サイズ分布をもつフォームは、細かいメッシュ、たとえば5ミクロンのメッシュに繰り返し気体と液体を通すことによって作ることができる。メッシュに繰り返し通すことによって気泡サイズを小さくするが、限界があるようにみえる。
【0078】
高エネルギーで気体と液体の混合物を撹拌するための他の公知技術を適用して、もっと微細な気泡を作ることができると推測される。たとえば気体と液体の混合流を音波または超音波撹拌することができるか、あるいは音波若しくは超音波エネルギーを適用することによって補った、機械的手段によって気体と液体との混合物を撹拌することができる。
【0079】
本発明者らは、メッシュを通過している液体と気体の割合を変えるためにキャニスターを適合させることによって、50ミクロン〜80ミクロンの範囲の平均気泡サイズをもつフォームも製造した。
【0080】
本発明のさらなる側面は、フォームを即時調製するという問題の幾つかの解決策として、所定の割合の滅菌気体と硬化剤液体混合物をシリンジに分配するように適合した加圧キャニスター製品である。かくして、滅菌気体と硬化剤液体とを含む加圧キャニスターを提供し−これは陽極酸化アルミニウムまたはガラスなどの任意の物質であってもよい−これは、液体と気体の正確な量をシリンジに分配するために配置される。このキャニスターは上記定義の如く、非常に低い窒素濃度で滅菌気体を含むと予測される。キャニスターは、皮下注射針で穿孔するための穿孔可能な隔壁をもつか、またはシリンジルアー(luer)ノズルを挿入することによって壊れるように配置される破壊シール(break seal)を備えていてもよい。
【0081】
後者の場合には、シリンジルアーノズルをシール方法でキャニスターに挿入することができ、このシリンジノズルの位置は上向きである。キャニスター内の液体を最初に加圧下で分配し、続いてキャニスターとシリンジの圧力を均等化する。キャニスター内の気体の容積及び圧力は、勿論、気体と液体が正確な割合で分配されるように配置することができる。あるいは、キャニスターは、直立配置のキャニスターと同じ効果が得られるように、内部浸漬管(internal dip tube)を備えることができる。
【0082】
また本発明に従って、フォームを生成する前に、フォームの成分を周囲温度よりも下(sub-ambient temperature)に冷却する段階を含む、硬化剤フォームの調製法を提供する。好適な温度範囲は0〜15℃であり、0〜10℃が好ましく、3〜7℃がより好ましい。温度が低下すると液体粘度が増加し、このようにすると、本発明者らはフォームの半減期が長くなると考えている。フォームが崩壊する間に気泡サイズは大きくなる傾向があるので、この方法論は経時で体内の気泡の平均サイズを小さくし易くすることによって、残存気泡を減らすことができる。
【0083】
また本発明に従って、及び先に示した推論を踏まえて、患者の脈管学的処置法は、上記のフォームを注射する前に、所定の時間、酸素ガスまたは富酸素空気を患者に呼吸させることを含む。好ましくは、この所定の時間は1〜60分であり、1〜20分がより好ましく、5〜10分がより好ましい。
【0084】
本発明のもう一つの態様では、たとえば血管及び血管奇形(vascular malformation)を除去するのに使用することができ、本発明の方法及び装置によって利用可能であり、水性硬化剤液と一緒に血液中に直ちに分散し得る生理学的に許容可能な気体を含み、0.07〜0.19g/mlの密度をもつフォームを提供する。
【0085】
一態様において、このフォームは、フォーム化していない液相に戻る液体量をベースとして、10%を超えて気体及び液体へと逆行せずに、21ゲージ注射針を通過できる。
半減期は、公知の容積及び重量のフォームで容器を充填し、その容器から目盛容器中に排出し、所定の時間で排出された量から半減期を、すなわちマイクロフォームがその成分である液相と気相へと逆転する半減期を計算することによって簡便に測定される。この測定は、好ましくは、標準温度及び標準圧力で行うが、実際には、周囲診療チャンバ条件または周囲実験チャンバ条件で充分であろう。
【0086】
最も好都合には、漏斗を水浴中で予備平衡させて、確実に温度25℃にしてから乾燥し、フォームを適用する。目盛付き受け器へと導く漏斗上に、ピストンのない、フォームを充填したシリンジを逆さまに置くと、このパラメーターを簡便に測定できる。
【0087】
一態様において、前記針を通過する際に、フォームは、発泡していない液体へと、液体含量を基準として5%を超えて逆戻りしない。さらに好ましくは、2%を超えて逆戻りしない。これは、フォーム対液体の容積における変化を測定することによって決める。
【0088】
一態様において、フォームは、少なくとも直径25μmの気泡の数を基準として少なくとも50%が直径200μm以下である状態を保ちながら注射針を通過することができる。これは、周囲条件下で、更に好ましくはSTPで、簡便に測定する。
【0089】
一態様において、気体は40容積/容積%未満の窒素を含む。好ましくは、フォーム密度は0.09〜0.16g/mLであり、より好ましくは0.11g/mL〜0.14g/mLである。
一態様において、液体/気体比の尺度であるフォーム密度は、0.13〜0.14g/cmであり、半減期は少なくとも2.5分である。さらに好ましくは、フォームは、前記時間において上記気泡サイズのパラメーターから逸脱しない。
【0090】
一態様において、気体は酸素または二酸化炭素少なくとも50%からなり、より好ましくは酸素または二酸化炭素75%以上、最も好ましくは酸素または二酸化炭素少なくとも99%以上、例えば実質的には酸素または二酸化炭素100%からなる。好ましくは、酸素まは二酸化炭素は医療用グレードである。
【0091】
上記の如く、上記硬化液にグリセロールを加えると、生成するフォームの半減期がより長くなる。しかしながら、グリセロールを添加することにより粘度が増加し、また上記メッシュ装置を用いる場合に、メッシュが閉塞する傾向も生じるので、そのような装置を何度も用いる場合は注意深く用いるべきか、またはバック・オン・バルブを用いる。
【0092】
また本発明は、血管に上記フォームを適用することを含む、血管の硬化療法の必要な患者の処置方法;硬化療法用の薬剤の製造に関する上記フォームの使用;及び治療で使用するための上記フォームを提供する。
【0093】
従って、本発明の一側面では、血管、特に静脈のスクレロパシーで使用するのに好適なフォームを製造する方法であって、生理学的に許容可能な血液拡散可能な気体と水性硬化剤液との混合物を、0.1〜15μmの少なくとも一つの断面直径をもつ一つ以上の通路を通すことを含み、気体対液体の比は、フォームが0.07g/mL〜0.19g/mLの密度と、少なくとも100秒の半減期を持つように制御することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0094】
フォームを生成するための装置
フォームを即時製造する現在のプラクティスには多くの問題があり、気体として空気を使用するのはそのほんの一つである。他の問題は製品のコンシステンシーであるが、これは本質的に非常に変動しやすい。というのも、気体対液体比を選択し、次に気体と空気の混合物を所定の回数及び/または所定の速度で汲みあげて正しい製品を得る内科医に依存するからである。フォームは非常に変動しやすく、種々の気泡サイズ及び密度は安全性及び効果プロフィールも異なる。
【0095】
つい最近になって、二つのシリンジを受容し、所定の速度で所定の数のポンプを適用して、おおよそ製品の一貫性を達成するように設計された機械が利用可能になってきた。この機械はTurbofoam(登録商標)と呼ばれるが、本出願人らは現在、誰がこの機械を販売しているのか承知していない。二つのシリンジは一つに装着される(一方には硬化剤溶液を充填する)。始動させると、この機械は自動的に所定量の空気をシリンジに引き込み、所望の特性のフォームが形成されるまでシリンジを反復させる。
【0096】
明らかに、上記配置は、(正しい量の液体がユーザーによって最初に充填される場合)気体/液体比に関してフォームの再現性という問題、並びにサイクルの回数及び速度という問題に少なくとも対処している。しかしながら、多くの点で明らかにかなり不都合であり、たとえば機械の気体チャネルにバクテリアが増殖することによって、滅菌性も脅かされることがある。
【0097】
本発明者らによって提案された解決策は、場合により任意のコネクターと一緒に、一つまたは二つのシリンジを含む滅菌パックを提供することである。単数または複数種類のシリンジには、正しい容積の気体と硬化剤液とを予め充填する。殆どのシリンジは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から製造され、経時で気体を通過させてしまう。従って、包装は好ましくは実質的に気体不透過性であり、パック内の大気は、シリンジ内に予め充填された気体と実質的に同一組成であるのが好ましい。この種の包装はそれ自体公知であり、たとえばアルミニウム及びポリエチレンラミネートなどの金属化プラスチックシートが挙げられる。
【0098】
本発明の一つの側面に従って、実質的に滅菌パックを提供し、ここで前記滅菌パックは、液体硬化剤と、0.0001%〜0.8%の気体窒素などの生理学的に許容可能な気体と、残余が生理学的に許容可能な気体などの他の気体とを含む気体混合物とを充填したシリンジと、前記シリンジ内の前記気体混合物と実質的に同一組成を有するパック内の気体とを含む。
【0099】
一つの態様において、この気体混合物は気体窒素0.001%〜0.8%、好ましくは0.01〜0.8%、より好ましくは0.01%〜0.7%、さらに好ましくは0.01〜0.6%からなる。
一態様において、前記他の気体は、酸素、二酸化炭素またはその混合物である。場合により、少量(たとえば0.1〜5%)の、大気中に顕著な量では知見されないトレーサーガスを添加して、漏れを検出できるようにする。そのような気体は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンまたは、大気中に痕跡量(0.01%)で知見される任意の他の気体であってもよい。
【0100】
汚染を防ぐために、パックの内容量は、大気圧よりもやや高くしてもよい。これは、標準室温未満の周囲温度でパックを製造することによって達成できる。一度パックが通常の周囲環境に入ると、パック内部の空気の温度上昇によって、確実にやや加圧になる。
【0101】
パッケージ化製品の製造は、この業界で標準の技術を使用して、無菌条件で実施できよう。
この前包装製品(pre-packaged product)は、円筒部、第一のピストン及び第二のピストンを含むタイプの一つのシリンジを含み、第二のピストンは、第一のピストンと独立した円筒部内に移動可能に適合される開口部を備えたピストンヘッドを有する。
【0102】
あるいは、このシリンジは、上記のごとき好適量の気体を含む、通常品(conventional one)であってもよい。硬化剤を含むさらなるシリンジを、即時フォーム調製に関する任意の公知技術を実施するのに必要なコネクター、三方バルブと共に、同一または異なるパックに提供することができる。
【0103】
使用する際には、パックを開封し、液体も気体も計量する必要なく、フォームを生成させる通常の方法を実施する。二つのシリンジ法の場合には、このシリンジは予め接続して供給され簡便性を高め、且つ汚染物の潜在的な供給源を除去することができる。
【0104】
場合により、このパックは最大直径1〜200ミクロン、好ましくは2〜50ミクロン、より好ましくは3〜20ミクロンの細かいメッシュを含むシリンジコネクタを含んでもよい。あるいは、一つのシリンジ装置を使用する場合には、ピストンの開口部は、これらの割合の孔の付いたメッシュを備えることができる。
【0105】
場合により、パッケージは、上記「Turbofoam」(登録商標)と同様のフォーム発生機用のカートリッジを構成し得る。
即時フォーム調製に関する問題のさらなる解決策が、本発明者らによって提案された。これは、滅菌気体と硬化剤液とを含み、正確な容量の液体と気体とをシリンジに分配するために配置されている、加圧キャニスターを提供することであり−これは陽極化アルミニウムまたはガラスなどの任意の好適な材料であってもよい。キャニスターは上記定義の如く、滅菌気体を含むと予測される。キャニスターは、皮下注射針で穿孔するための穿孔可能な隔壁をもつか、またはシリンジルアー(luer)ノズルを挿入することによって壊れるように配置される破壊シール(break seal)を備えていてもよい。
【0106】
後者の場合には、シリンジルアーノズルをシール方法でキャニスターに挿入することができ、シリンジノズルの位置は上向きである。キャニスター内の液体を最初に加圧下で分配し、続いてキャニスターとシリンジの圧力を均等化する。キャニスター内の気体の容積及び圧力は、勿論、気体と液体が正確な割合で分配されるように配置することができる。あるいは、キャニスターは、直立配置のキャニスターと同じ効果が得られるように、内部浸漬管(internal dip tube)を備えることができる。
【0107】
上記の如く0.1〜15μmの一つ以上の通路内に加圧下で、硬化剤液と気体との流れを通すと、高速ブラシ及びブレンダーを使用する高いエネルギー供給によってのみ得られると従来考えられていた、安定な血液に拡散可能な気体ベースの硬化剤注射フォームを提供できることが知見される。
【0108】
エアロゾル、分散液またはマクロフォームは、加圧下でそれぞれの流れから気体と液体とを混合することによって製造するのが好ましい。混合は、エアロゾルキャニスターで見られるような気液界面部材(gas liquid interface element)で簡便に行われる。しかしながら、界面装置は、非常に単純であっても良く、例えばミリメートル寸法の、すなわち直径0.5〜20mm、好ましくは直径1〜15mmの単一チャンバまたは流路であってもよく、ここで気体及び液体は、別の入口から界面装置中へ流入する。好都合には、この界面は、エアロゾルキャニスターで通常知見される設計であるが、気体対液体の正確な割合を生じさせ、且つ先に定義した密度を有するフォームが生成するように設計を選択する。好適なインサート(insert)は、Ecosolなる名称でPrecision Valves(Peterborough、イギリス)から市販されており、上記方法によって指定された割合が得られるように選択される。
【0109】
しかしながら、気体と液体の混合は、加圧されたキャニスター底に配置された硬化剤溶液から延びている浸漬管内で行ってもよく、ここで、気体は、該浸漬管にある孔から出て、浸漬管の底から入る液体流の中に入ることができる。この場合、前記孔は、Ecosol孔と同じ直径であってもよい。前記孔は、浸漬管をレーザー穿孔して簡便に作ってもよい。
【0110】
そのようにして製造されたエアロゾルまたはマクロフォームを通過させて安定なマイクロフォームを製造する1つ以上の流路は、好ましくは4μm〜22μmの直径、さらに好ましくは5μm〜11μmの直径を有する。その場合、例えば金属またはプラスチックのメッシュまたはスクリーンに孔をあけることによって提供され、気体/液体混合物の流れに対して直角に配置される単純な流路が提供される。前記流路は、好都合には断面が円形または楕円であるが、それらに限定されない。多くのそのようなメッシュまたはスクリーンを、流れの方向に沿って用いてもよい。
【0111】
最も好ましくは、流路は、流れを横切って配置された1つ以上の部材に存在する多数の開口部として提供される。前記部材は、好ましくは直径2〜30mm、より好ましくは直径6〜15mmであり、流れに直面していて、織りメッシュ(woven mesh)では開口面積5〜65%、例えば2%〜20%であり、多孔性膜では孔面積20%〜70%である。有孔体(perforated body)において提供されるような、多孔性材料における孔は、好ましくは前記流路を数百以上、より好ましくは何万または何十万、例えば10,000〜500,000提供し、気液混合物が流れるとき該混合物に対して呈示される。前記材料は、有孔シート又は有孔膜、メッシュ、スクリーンまたは焼結物であっても良い。さらに好ましくは、気体及び液体が各セットの流路を通過するように多くの多孔性膜のセットが連続的に配置されて提供される。これにより、さらに均質なフォームが製造される。
【0112】
いくつもの部材を直列で用いる場合、これらの部材は、好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜4mm、例えば3〜3.5mm離して配置する。本発明のいくつかの態様に関しては、流路は、気体/液体流の流路を横断するように配置された繊維シート(fibrous sheet)において繊維間の隙間の形態を取ってもよく、その直径は必ずしも最大直径でなくてもよいが、気体/液体エアロゾルまたはマクロフォームが流れなければならない隙間幅であることが知見される。
【0113】
別法として、気体と液体との混合物を、同じ流路のセット、例えば1つ以上の前記多孔性体によって提供されるのと同じ流路のセット中を、多くの回数、例えば2〜2,000回、さらに好ましくは4〜200回、または上記の要求される密度を有するフォームが簡便に得られる回数通過させるための方法を提供する。フォームがメッシュを通過する回数が増えれば増えるほど、フォームは均質となると考えられる。メッシュを複数回通過させることが可能な場合には、大きなメッシュサイズが好都合であり、たとえば20〜300μm、たとえば40〜200μm、たとえば60〜150μmである。
【0114】
流路を通過させるときに用いられる気圧は、フォームを製造するために用いられる機序の性質に左右される。気体が液体と接触する状態で、例えばエアロゾル容器のような加圧チャンバ中に含まれ、メッシュを1回だけ通過する場合、好適な圧力は、通常、大気圧より0.01〜9バール上の圧力である。メッシュの使用に関しては、例えば直径10〜20μmの開口を有する直列に配置された1〜8メッシュの使用に関しては、特に1バールより0.1〜5気圧上の圧力が適当である。20μm開口の3〜5メッシュの使用に関しては、大気圧より1.5〜1.7バール上の圧力が良質なフォームを製造するのに充分であることを見出した。0.1μmの細孔サイズの膜に関しては、大気圧より5バール上の圧力が好ましい。
【0115】
本発明の1つの好ましい態様では、流路は膜の形態、例えばポリテトラフルオロエチレンのようなポリマーの膜の形態であり、その場合、膜は、ランダムに接続された繊維から形成され、その見かけの細孔サイズに比べて何倍も小さい定格有効細孔サイズを有する。特に好適なこの形態は、標準定格が0.1〜10μmの多孔度であるTetratex(登録商標)なる商標のもと、米国のTetratec(商標)によって供給される二軸延伸PTFEフィルムである。本発明の方法及び装置にとって好ましい細孔サイズは3〜7μmである。この材料は、強度を付与するために多孔性の裏付材料で積層しても良く、またこの材料は、一回通過(one pass through)が、安定性に関する上記使用要求条件を満足するフォームを製造するのに充分であるという利点を有する。しかしながら、直列に配置された1つ以上の前記膜を用いると、所定の条件セット用のなお更に均質なフォームが得られることは当業者には明らかである。
【0116】
加圧下で溶液流と気体流とを組合わせてエアロゾルバルブに供給し、次に流路に流すことによって、例えばメッシュ、スクリーン、膜または焼結物に存在する細孔中に流すことによって、安定な水性液溶解可能気体、例えば二酸化炭素及び/または酸素をベースとする硬化剤フォーム(該フォームは、従来技術で説明したように高速のブラシ及びブレンダーを用いて多量のエネルギーを供給することによってのみ製造可能であると従来考えられていた)を製造するのに充分なエネルギーが提供されると考えられる。
【0117】
本発明の最も好ましい方法は、加圧可能なチャンバが配置されているハウジングを提供する。滅菌供給のために、このハウジングは、生理学的に許容し得る水性溶媒中硬化剤の、滅菌され発熱物質を有していない溶液で少なくとも部分的に充填するが、使用点において前記溶液を充填しても良い。この好都合な方法は、該溶液が、出口を通って加圧可能なチャンバからハウジング外部に流れることができる経路を提供し、さらに好ましくは、該チャンバから外部への経路が、容器が加圧されるときに、流体が経路に沿って押し流され、1つ以上の出口オリフィスを通るように開けたりまたは閉じたりできる機構を提供する。
【0118】
特に本方法は、ハウジングが、(a)血液中に容易に分散可能な生理学的に許容し得る気体の加圧された供給源と、(b)該気体源の進入用の入口との1つ以上を含み;該気体が、機序の始動時に溶液と接触すること、の一つ以上を含むことを特徴とする。
【0119】
気体及び溶液を、経路に沿ってハウジング外部へと、先に規定した寸法を有する1つ以上の、好ましくは多数の流路(溶液及び気体は外部に到達するためには前記流路を通らなければならない)を通して流れさせ、それにより、例えば流路を通る流れと接触するときに、溶液及び気体がフォームを形成する。
【0120】
好ましくは、気体及び液体は、流路と1つ以上の隣接流路との接合部(junction)に通常存在している気液界面機構を通り、流路を通過する前に、気泡またはマクロフォームのエアロゾル分散系へと転化されるが、説明したように、例えば装置を振盪することによって、例えば手動または機械的振盪装置によって、気体及び液体を最初にマイクロフォームへと転化させても良い。
【0121】
本発明のもう一つの側面では、血管、特に静脈のスクレロパシーで用いるのに適するフォームを製造するための装置を提供する。該装置は、第一の側面で言及した生理学的に許容し得る溶媒中の硬化剤溶液を含む加圧可能なチャンバが配置されているハウジングと;該液体が、1つ以上の該出口オリフィスを通って、加圧可能なチャンバから該装置の外部へと流れることができる1つ以上の出口オリフィスを有する経路と、該容器が加圧されるときに、該経路が開き、流体が経路に沿って押し流され、1つ以上の出口オリフィスを通るように、該チャンバから外部への経路を開けたりまたは閉じたりできる機序とを含み、且つ該ハウジングが、(a)血液中に分散可能な生理学的に許容し得る気体の加圧供給源を1つ以上、及び(b)該気体の進入用の入口を1つ以上含み;該気体が、機序の始動時に溶液と接触して気液混合物を製造し、該ハウジングの外部への該経路が、断面寸法、好ましくは0.1μm〜15μmの直径を有する1つ以上の流路を画定している1つ以上の部材を含み、該経路を通って気液混合物が流れて、装置の外部に到達し、該経路を通る該混合物の該通過により、0.07〜0.19g/mLの密度と少なくとも2分間の半減期とを有するフォームを製造することを特徴とする。
【0122】
好ましくは、本装置は、例えば単一チャンバにおいて、血液分散可能な気体と硬化液とが充填されている密封キャニスター中にチャンバを含み、装置経路は、装置が直立に置かれているときに、このチャンバ内で硬化液レベルよりも下に入口開口を有する浸漬管を含む。好ましくは、この浸漬管は、チャンバ内で硬化液よりも上に存在する気体が、装置出口へと通ずる経路に出入りできる気液界面接合部に出口開口を有する。その経路は、押し下げられるかまたは傾斜されるバルブ部材によって開けられたりまたは閉じられたりして、装置の外部への経路を開放し、それにより硬化液は気体圧力下で浸漬管を上昇し、気体と気液界面接合部で混合されて、エアロゾル、液体中気泡分散液、またはマクロフォームを製造する。
【0123】
気液混合物、すなわち液体中気泡分散液、エアロゾルまたはマクロフォームが(単数または複数の)経路を通り、フォームを生じるように取り付けられた、第一の面で説明した1つ以上の経路を有する部材を、バルブへの経路に配置された加圧可能チャンバの内側に、またはバルブの下流側上に提供する。この部材は、バルブ取り付け部分と出口ノズルとの間にあるキャニスター上のキャップに好都合に配置してもよい。キャップを押し下げると、バルブが好都合に動作する。別法では、前記部材は、気液界面より上に取り付けられたキャニスター内にある。
【0124】
この装置の別の態様では、気液界面は、キャニスター内側のチャンバにおいて、硬化液レベルよりも上にある浸漬管中に孔を含んでいても良い。
用いる気圧は、用いる材料、及びそれらの配置に左右されるが、好都合には大気圧を0.01〜9バール超える圧力、より好ましくは0.1〜3バール超える圧力、さらに好ましくは1.5〜1.7バール超える圧力である。
【0125】
本発明のこの面の好ましい装置は、「バック・オン・バルブ(bag-on-valve)」タイプである。前記装置は、浸漬管を取り囲んで密封され、液体が充填されている、加圧可能チャンバ内に第二のチャンバを形成している、柔軟な気液密着容器(flexible gas and liquid tight container)を含む。より好ましくは、この浸漬管は硬化液中に配置された浸漬管末端と気液界面接合部との間の位置に配置された一方向弁を有する。前記一方向弁は、外部への流路が閉じられると、チャンバ内で取り囲んでいる生理学的に許容し得る気体から硬化液を分離するように閉じたままである。外部への経路が開くと、一方向弁も開き、液体が放出されて気液界面まで浸漬管を上昇し、その気液界面において、エアロゾルが製造され、次に流路を通過してフォームへと転化される。好適な一方向弁はダック・ビル(duck-bill)タイプのバルブであり、例えばVernay Labs Inc(Yellow Springs,オハイオ、アメリカ)から市販されているバルブである。好適なバック・オン・バルブ缶構造は、Coster Aerosols(Stevenage,イギリス)から市販されており、アルミニウムホイル/プラスチックラミネートを含む。
【0126】
好都合には、一方向弁は、浸漬管と気液界面接合部、すなわちEcosol装置との間にある浸漬管の頂点に配置する。それにより、キャニスター中であろうとなかろうと、一方向弁を適用する前にバックを充填し、続いてその内容物を滅菌することができる。
【0127】
そのような好ましい装置はいくつもの利点を有する。気体が酸素である場合、使用前に液体から分離しておくことができるので、例えば放射線照射のような滅菌プロセス中に、液体中の有機成分と酸素ラジカルが反応する可能性が低下する。気体が二酸化炭素である場合、貯蔵中に大量の気体が液体中に溶解することがあり、大気圧以下まで開放するとガス抜けし、フォームが非常に迅速に壊れ始めることがあると考えられる。また、このように分離することにより、貯蔵または輸送している時に、特に直立させずに貯蔵または輸送している時に、非使用缶における装置の寸法感受性オリフィス(dimension sensitive orifice)に、凝固した硬化剤が堆積するのが防止される。
【0128】
好ましくは、気液界面は、例えばイギリス、PeterboroughのPrecision Valveによって製造されたEcosol装置のような、規定オリフィスサイズの装置として提供される。規定寸法の流路が、加圧チャンバの外側にある装置、すなわちバルブステムに取り付けられる装置に関しては、ガス孔面積の液体孔面積に対する割合は、3〜5のオーダーであるべきであり、好ましくは約4であるべきである。流路が加圧チャンバの内側にある場合、前記の割合は、より高いのが好ましい。
【0129】
本発明のもう一つの側面は、血管、特に静脈の硬化療法で用いるのに適するフォームを製造するための装置を提供する。該装置は、生理学的に許容し得る溶媒中硬化剤溶液及び/または生理学的に許容し得る血液分散可能な気体で少なくとも一部分充填されたまたは充填可能な加圧チャンバが配置されているハウジングと;該チャンバの内容物が、1つ以上の出口オリフィスを通って、該ハウジングの外部へと流れることができる経路と、チャンバの内容物が該経路に沿って、1つ以上の出口オリフィスを通って外部へと流れるように、該チャンバを加圧できる機序とを含み、且つ該ハウジングまたは該チャンバの外部への該経路が、断面寸法、好ましくは0.1μm〜15μmの直径を有する1つ以上の流路を画定している1つ以上の部材を含み、該経路を通って該チャンバの該内容物が流れることができ、それによって該流路を通過するときに、溶液及び気体が0.07〜0.19g/mlの密度と少なくとも2分間の半減期とを有するフォームを形成することを特徴とする。
【0130】
経路またはチャンバで流路を画定している部材は、固定されていてもよく、または装置内室の外側から装置を操作することによって移動可能であってもよい。
好ましくは、このハウジングは加圧下で溶液と気体とが入っているチャンバを画定している容器であり、及び経路は、該容器の内部にある該チャンバから、容器の壁にある開口部を閉じるバルブへと至る導管である。
【0131】
本発明の装置で用いるための多くの流路を画定している1つ以上の部材の好ましい形態は、メッシュ、スクリーンまたは焼結物である。かくして、1つ以上のメッシュまたは有孔スクリーンまたは焼結物が提供され、いくつかの好ましい態様は、溶液/気体排除経路に対して直角な主面と平行に配置された一連の前記部材を用いる。
【0132】
臨界寸法(critical dimension)を有する、本発明に従う装置のいずれかの装置におけるすべての部材は、水性材料に暴露されたときに寸法が変化しない材料から作られることが好ましい。かくして、例えば空気液体界面のような前記機能を有する部材、及び寸法0.1μm〜15μmの流路に画定する部材は、好ましくは、数分間を超える時間、溶液に曝される可能性がある場合に、例えばナイロン66のような水で膨潤可能な材料であるべきではない。そのような曝露が起こり得る場合、これらの部品は、更に好ましくは、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンのようなポリオレフィンから作られる。
【0133】
キャニスターは、フォームを、好ましくは最大500mL以下、さらに好ましくは1mL〜200mL、及び最も好ましくは10〜60mL形成するのに充分な気体及び溶液を含む大きさにする。特に、前記キャニスターにおける加圧下での気体量は、治療するのに、すなわち少なくとも1つの静脈瘤性ヒト伏在静脈(varicosed human saphenous vein)を充填する充分なフォームを製造するのに充分な量であるべきである。かくして本発明の好ましいキャニスターは、家庭用ムースタイプフォームを供給するのに現在用いられているキャニスターに比べて小さくてもよい。最も好ましいキャニスター装置は、使用後に廃棄することができるか、または無菌状態を保つ問題を回避するために一旦開けたら再使用できない。
【0134】
フォームが排出されるときにキャニスター中の気圧を維持する装置が組み込まれていることが好ましい。好適な装置は、例えばPECAP及びAtmosolという商標名の装置である。しかしながら、気体の有意なヘッドスペースまたは圧力が提供される場合、この装置は必要ではない。
【0135】
しかしながら、このキャニスター系は幾つかの欠点がある。このキャニスター系は比較的複雑なので、高価である。さらに、キャニスター系を使用して生成されるフォームの初期量は品質が予測できないので、使用するフォームを分配する前に無駄が出る傾向がある。加圧キャニスターから患者の静脈のカニューレに直接フォームを運ぶことは容易ではない。これは理論的には可能であるが、キャニスター出口に特別にバルブ/制御配置をして、処置を実施する臨床医によって高度に制御可能な輸送速度にできなければならない。さらなる問題は、フォームの分配を停止するか、顕著に遅くするときはいつでも、再開時に使用可能なフォームを分配する前に、再び一定量のフォームを廃棄しなければならないということである。
【0136】
これらの理由に関して、上記キャニスター製品は、十分に設計され且つ高効率的な系ではあるが、フォーム製品を患者に続いて投与するためのシリンジへ送るように設計されている。特別なフォーム輸送装置をこの目的に関して使用する。シリンジノズルをこの輸送装置のポートに挿入し、次いでこの装置を使用して、フォームの最初の部分を迂回させてから、使用可能なフォームでシリンジを充填する。
【0137】
さらなる問題は、一度作成すると、フォームは即座に変化し始め、液体が流れ出て気泡が合体するということである。臨床医には、キャニスターからある初期量のフォームを迂回させ、良質のフォームでシリンジを充填し、患者の静脈へとラインを接続して、フォームを投与するある一定の時間が必要である。この時間は臨床医によって様々であるが、同じ臨床医でさえも常に同じ時間であるとは限らない。さらに、それぞれの処置ごとに異なり、フォームは様々な時間で注射するので、臨床医によっては、フォームの分配を短時間止めて、次いで開始することもあるだろう。この間も、フォームの特性は変わりつづけている。
【0138】
所謂「Tessari」及び「DDS」法を含む、硬化療法で使用するためにフォームを生成する他の方法があるが、これらはそれぞれ、二つのシリンジの間で液体硬化剤と気体とを汲み上げることを含む。これらの二つの方法は、空気で硬化性フォームを生成するのに広く使用されているが、それほど広く使用されていない他の方法も沢山ある。これらの方法は、キャニスター系よりも単純なので、上記の問題の解決策は提供しないが、これらは製品の予測不可能性及び周囲空気以外の全ての気体で使用するのが難しいことなどのこれら独自の問題ももつ。
【0139】
本発明者らは、必要なときに直接患者に接続できてフォームを生成して、患者の静脈に入る前に可能な限り最短時間となるのが望ましいことを認識した。理想的には、この装置には、品質の低いフォームの初期量を生成するという問題はない。この装置は、フォームに配合する空気以外の気体を含ませるのに好適である。
【0140】
また本発明者らは、高度に可溶性気体に関しては特に、本装置は理想的には、大気圧よりも実質的に高い加圧下で、液体と一緒に気体を貯蔵すべきではないことを認識した。可溶性気体、特に二酸化炭素などの高度に可溶性気体を使用すると、加圧下で気体と液体との貯蔵がフォームの崩壊速度を助長することがある。これは、加圧気体が硬化剤液中の溶液に入る傾向があるためである。フォームから出ると、気体は溶液から気泡に出て、フォームの劣化を加速する。勿論、気体を加圧すると、系の複雑性と費用が上乗せされる。
【0141】
本発明の第一の側面に従って、治療用途用のフォームの生成及び分配装置は、以下のものを含む:
(a)ハウジング;
(b)前記ハウジングは、実質的に大気圧で気体を含む調節可能な容積の第一のチャンバを有する;
(c)前記ハウジングはさらに、硬化剤溶液を含む調節可能な容積の第二のチャンバを有する;
(d)フォームの形態で前記液体と硬化剤溶液とを分配するための出口、並びに前記出口と前記第一及び第二のチャンバとの間を連通している第二の流路;
(e)前記流路は前記気体と溶液との混合を実施する領域を含む;
(f)前記混合領域の下流に配置された起泡ユニット、前記起泡ユニットは0.1〜100ミクロンの流れ方向に対して直角の寸法の細孔をもつ。
【0142】
前記細孔の寸法は1〜50ミクロンであるのが好ましく、2〜20ミクロンがより好ましく、3〜10ミクロンがさらに好ましい。これらの細孔は、メッシュ、穿孔スクリーン、焼結物または布帛などによって提供されてもよい。細孔の形状及び位置は規則正しくなくてもよいが、装置は、過半量(50%を超える、好ましくは80%を超える)の細孔を有するべきで、ここで流れに対してほぼ直角の方向の少なくとも一つの寸法は、上記規定の範囲内でなければならない。
【0143】
使用時、第一及び第二のチャンバの容積を調節して、気体と溶液とをチャンバの外へそして混合領域及び起泡ユニットへと推進させる。気体と液体が混合領域内を通過する際に気体と溶液との混合物が形成し、次いで混合物が起泡ユニット内を通過する際にフォームが形成する。
【0144】
所定の範囲内の流速で混合領域と起泡ユニットの中を液体と気体とが推進されるのが好ましく、所望の流速は、気体及び液体の特徴、前記混合領域及び起泡ユニットの特徴、並びにことによると系の他の特徴に依存して変動する。チャンバの容積はフォームを生成するために手動で変動させることができるが、チャンバの調節は、電気、時計仕掛け、油圧若しくは水圧モーターなどのエネルギー源の他の供給源を使用して、または加圧気体若しくは簡単なバネの直接作用によって実施することができる。オン/オフ制御をユーザーに提供して、フォームの輸送を開始及び停止するのが好ましい。
【0145】
エネルギー源(原動力)の供給源は装置の一部として提供することができる。あるいは、この装置は輸送装置へのインサーション用カートリッジとして設計することができ、これはたとえば、長期間にわたってシリンジから自動的に薬品を送出するための公知の装置に似ていてもよい。
【0146】
本装置は、たとえば二つのチャンバ(デュアル・チャンバ)をもつバッグ、または混合領域と起泡ユニットとに接続する二つのバッグの形態で柔軟なハウジングで構成されていてもよい。この単数または複数のバッグは、送達手段によって巻き上げられるか、その内容物は他の機械的手段によって圧搾されてもよい。速度に関連して同じ速度で圧搾して、所望のフォーム密度となるようなサイズ及び形状のチャンバが好適である。これによって、チャンバの圧搾用の機械的手段がもっと単純なデザインとなる。
【0147】
あるいは、本装置は、内容物を放出するように押圧できる個々のピストンをもつ第一及び第二のチャンバと共に、シリンジとして構成することができる。好ましくは、チャンバのサイズ及び形状、特にその断面は、ピストンが同一速度で駆動されて、フォーム中の気体対液体の所望の割合とできるように選択する。
【0148】
上記の如く、本装置は、体内、血管、特に静脈瘤または他の静脈の形成異常などの血管内に、フォームを送達するための、カニューレ針、場合によりラインを介して接続するのに好適である。フォームは出口からフォームを送出する同じ動きによって生成するので、カニューレを装置の出口に接続して、フォームを発生させるのと同時に患者にフォームを投与することができる。
【0149】
本発明に従って、ヒトの身体、たとえば血管などの導管、特に静脈瘤または他の血管の形成異常にフォームを適用する方法は、
(a)患者に挿入したカニューレ針に硬化剤フォーム発生装置を接続する;及び
(b)前記装置を操作してフォームを発生させ、患者にフォームを分配する、各段階を含む。特に本段階は、
(a)上記のごとき装置を患者に挿入したカニューレ針に接続する;
(b)前記第一及び第二のチャンバの容積を調節して、フォームを発生させ、患者にフォームを送出することを含む。
【0150】
一段階でフォームを発生させ、且つ送達するさらに好都合な点は、このフォームが体内に入って、その機能、たとえば静脈瘤を硬化させる前に、劣化する時間が殆どないという点である。従って、この装置は、その気相及び液相に比較的急速に戻る傾向のある、二酸化炭素または酸化窒素などの非常に可溶性の気体でフォームを発生させるのに特に好適である。
【0151】
気体及び液体はフォームを形成するまで別々のチャンバに貯蔵されるので、従来技術で記載された加圧キャニスター系で起こる傾向がある、気体が液体に溶解する可能性は非常に低い。
【0152】
本発明に従って、ポリドカノール溶液などの硬化剤溶液と気体で製造したフォームを提供し、ここでフォームの形成時に、溶液中の気体の溶解レベルは、s.t.p.で大気に暴露した際に溶液レベル溶離も実質的に高くなく、ここで前記気体は二酸化炭素少なくとも70容積%、より好ましくは二酸化炭素少なくとも90%、さらに好ましくは実質的に二酸化炭素100%である。気体は0.1〜50%の酸素も含んでいてもよい。あるいは、気体は、実質的に酸化窒素100%であるか、酸化窒素と二酸化炭素との混合物であってもよい。
【0153】
また本発明に従って、硬化剤(たとえばポリドカノール溶液)と上記のごとき可溶性気体からフォームを生成するための装置を提供し、ここで前記装置は、気体が実質的に大気圧で貯蔵されるチャンバを含む。好ましくは、本装置はさらに、硬化剤液が貯蔵されるチャンバを含む。好ましくは、本装置はさらに、気体と硬化剤液とからフォームを作るための起泡ユニットを含み、この起泡ユニットは0.1〜100ミクロン、たとえば1〜50、2〜20、3〜11、特に約5ミクロンの流れ方向に対して横方向の寸法の孔をもつ。
【0154】
本発明のさらなる特徴及び好都合な点は、付記図面を参照して作られた、種々の具体的な態様の記載から明らかになるだろう。
本発明に従った装置の一つの態様は、硬化剤溶液、たとえば1%ポリドカノール溶液のカートリッジを受けるための中央チャンバと、気体を含む環状チャンバをもつシリンジ円筒部を含むシリンジ型の装置を含む。図1は、金属/プラスチックラミネート材料のシール2で封止した開口端を備えた、貯蔵状態のシリンジ円筒部1を示す。この円筒部1は、正面にコニカルテーパ型端部4をもつ外部筒状壁3を含み、ここから標準ルアーノズル5が伸長する。外部筒状壁内には、内部チャンバ14を画定する内部筒状壁6が配置される。内壁6の正面は部分的に端部面8で閉鎖されており、ここには脆いシール(frangible seal)10を備えたオリフィス9が形成される。内壁はウェブ11により前部で支持されており、ここには開口部12が形成される。
【0155】
外壁及び内壁3と6は、これらの間に環状空間7を画定し、これは実質的に100%の純粋な二酸化炭素気体で充填されている。環状空間7はウェブ11の開口部12を介してルアーノズル5の内部空間と連通する。環状空間7の円筒部後部に、外部及び内部筒状壁3、6に対してシールする弾力性のプラスチック材料の環状ピストンシール13が配置される。
【0156】
図2は、1%ポリドカノールを充填し、弾力性プラスチック栓21でそれぞれの端部でシールされたガラス管20を含むカートリッジを示す。栓の一方または両方はピストンシールとして機能することができ、即ち、これは管の内壁と共にシールを保持しつつ、管の長さにわたって移動可能である。図2のカートリッジは上記のシリンジ円筒部と共に使用するのには好適ではないが、以下に記載の円筒部の変形バージョンで使用できるだろう。
【0157】
図3は、図1を参照して上記シリンジ円筒部と共に使用するのに好適なカートリッジを示す。このカートリッジは1%ポリドカノール溶液を充填したガラス管30を含む。管30の後部端には、上記の如くピストンシールとして機能し得る弾力性の栓31がある。管の前部には端面32があり、ここには末端キャップ34でシールされたノズル33が配置される。管30のサイズ及び形状は、図1のシリンジ円筒部の内壁6の形状とぴったり合う。特に、管30の直径は、管が円筒部1の内壁6の中で画定される内部空間14とぴったりと嵌合い、カートリッジのノズル33は、円筒部の内部チャンバ内に完全に挿入されると、チャンバ14の正面のオリフィス9を介して突出するようなサイズである(末端キャップ34は最初に取り外しておく)。
【0158】
図2及び3に示されているタイプのカートリッジは、液体薬剤に関し公知である。このカートリッジは特別に設計された注射装置に嵌合い、薬剤を投与し、次いで空のカートリッジを装置から外して廃棄する。
【0159】
図4は、図1の円筒部に挿入されている図3に示されたカートリッジ30を示す。カートリッジの末端キャップ34は外されていることに留意されたい。
図5は、ノズル32が円筒部の内部チャンバ14のオリフィス9をシールするように、円筒部1に完全に挿入されたカートリッジを示す。シリンジピストンステム40は、シリンジ円筒部1の後部に嵌合う。このピストンステム40は、中央のディスク形圧力パッド41と環状圧力パッド42にシャフト44を介して接続された、指圧を適用するためのディスク43を含む。この圧力パッド41、42は、カートリッジ30の環状円筒部チャンバ7のそれぞれ栓/ピストンシール31、13と噛み合う。
【0160】
円筒部1の正面では、起泡ユニット50はルアーノズル5と嵌め合う。この起泡ユニットは、微細な穿孔を備えたメッシュ部材のスタックを含む。この起泡ユニットは、図11、12及び13に関連して以下詳細に記載されよう。
【0161】
使用時には、ピストンステム40を手動で、または図8に図式的に示すもの、及び以下に議論するもののように、シリンジドライバで押圧する。部分的に押圧したピストンステムと嵌め合った起泡ユニットとを備えたシリンジを図6に示す。カートリッジ内に画定されたチャンバ及び環状二酸化炭素チャンバ内のピストンシール13、31は、ピストンステムが押圧されるにつれて進行し、それによって開口部12とオリフィス9とを通して二酸化炭素とポリドカノール溶液とを推進する。気体と液体との混合は、オリフィス9正面の領域15で起き、ここで環状の気体の流れが液体の流れと相互に作用する。次いで図6の矢印Aにより表されるように、この混合物はシリンジノズル5を通って起泡ユニット50へ進み、気体と液体とが平均径5ミクロンの微細な穿孔を通って通過して、約100ミクロンの平均気泡サイズのフォームまたは微細なフォームを作り出す。
【0162】
図7は、別のシリンジベースのデザインを示す。シリンジ円筒部101は、対の平行な気体及び液体チャンバ107、114を収容し、これはそのそれぞれの端部で弾力性の栓171a、171b、121a、121bを備えた図2に示されているタイプの個々のカートリッジ170、120を受容する。気体チャンバ107は、実質的に大気圧で実質的に100%純度の二酸化炭素を充填したカートリッジ170を含む。この液体チャンバ114は、1%ポリドカノール溶液を充填したカートリッジ120を含む。
【0163】
円筒部101の後端部では、それぞれ気体チャンバ107及び液体チャンバ114内に受容された二つのディスク型圧力パッド41、42にシャフト144を介して接続された、指圧を適用するためのディスク143を含むピストンステムが嵌め合わされている。
【0164】
このシリンジ円筒部の前部には端部壁104があり、ここから端部にノズル105を備えた筒状ハブ116が突出する。ハブ116の内部には、混合チャンバまたは混合領域115がある。この領域には、静電混合フィン117が配置される。チャンバ107、114の正面には、それぞれのチャンバ内に面する点118a、119aを備えた、中空の針様部材118、119が配置される。それぞれの針様部材は、そのそれぞれのチャンバの正面に沿って置かれ且つ混合チャンバ115内へ伸長するように輪郭を合わせて作られる。
【0165】
このシリンジのノズル105には、図1〜6の装置で使用されるものと同様のデザインの起泡ユニット50が嵌め合わされる。この起泡ユニットは、図11〜13を参照して以下により詳細に記載されよう。
【0166】
このシリンジには、予め嵌め合わされたカートリッジ120、170が供給される。クリップ119は、このクリップが使用直前に取り除かれるまで、ピストンステム140が押圧されないようにする。シリンジを使用するのが好ましいときには、クリップ119を取り外し、カートリッジ120、170が進んでニードル部材119、118と接触するように、そのそれぞれのチャンバ114、107に嵌め合う小型ピストル(スナッグ:snug)である、ピストンを手動で押圧する。ピストンステム140をもっと押すと、ニードル点119a、118aがカートリッジ正面で弾力性の栓121a、171aを貫通して、これによってカートリッジ内部と混合チャンバ115との間の連通チャネルが開口する。
【0167】
ピストンステム140をさらに押圧すると、二酸化炭素とポリドカノール溶液とが一緒に、カートリッジの断面積によって予め決められた割合で混合チャンバ内に流れる。混合チャンバ内のフィン117は、起泡ユニット50に入る前に気体と液体とが完全に混合するように確保し、ここで液体と気体はフォームに転換される。
【0168】
患者を処置するときには、臨床医は上記段階のしかるべき手順を踏み、起泡ユニット50から一定のフォームが放出されるように確保する。次いでピストンステム140の圧力を開放し、処置すべき静脈に予め挿入したおいたカニューレからのラインを、標準ルアー結合金具によって起泡ユニットの出口に接続する。次いで圧力を再びピストンステム140に適用して、フォームを形成させ、同時にこれをラインとカニューレとを通して患者の静脈に注射する。
【0169】
フォームの正確な量は、ピストンステム140を押圧する速度に幾らか依存する。この理由のため、シリンジドライバを使用してフォームを適用するのが好ましい。シリンジドライバは図8に概略的に示されており、図7のシリンジがこれに嵌め合わされている。このドライバ200は、ベース201、シリンジクランプ202及びモーター台203に嵌め合わされたモーター204を含む。このモーター204は、外部ネジ山210をもつドライブシャフト206に継手209を介して結合されている。ドライブシャフト上には、ドライブシャフトの外部ネジ山210と噛み合った内部ネジ山211をもつ環状部材207が受容されている。環状部材207から、シリンジクランプ202内にクランプされているシリンジのピストンステム140上に保持されている駆動部材が伸長する。
【0170】
モーターはDC電源212に接続され、正しい駆動速度を設定するための速度キャリブレーション制御209を有し、オン/オフ制御205も有する。
使用時には、臨床医は図7のシリンジからクリップ119を外し、一定のフォームが生成される点までピストンステム140を押圧して、次いでシリンジをドライバに挿入して、患者の静脈に予め挿入しておいたライン80に接続する。モーター204の速度は予めキャリブレーションして、使用されるシリンジに好適な速度にする。次いで臨床医は、オン/オフスイッチにより患者へのフォームの送達を制御する。
【0171】
できるだけ短いラインを使用すると、モーターを切ったときにラインの中に残存するフォームの量が最小となる。このようにして、確実に、患者に輸送した殆ど全てのフォームを予めほんの少しの間生成させて、劣化する機会を非常に少なくする。
【0172】
図9及び10は、フォーム生成及び分配装置の別の態様300を示す。この態様は、金属/プラスチックラミネート材料のバッグ301をベースとする。このバッグには、超音波により溶接したシーム310によって隔てられたチャンバ302、303が配置される。このチャンバ302、303は、それぞれ二酸化炭素と1%ポリドカノール溶液を含む。チャンバは、バッグの実質的に全長にわたって並行配置され、充填されると、チャンバの断面は、シリンジ態様と同様に正確な気体/空気混合物となるように選択される。それぞれのチャンバ302、303は、ハウジング307内で画定された混合領域または混合チャンバ306へと導くチャネル304、305を有する。ハウジング307の正面には、先の態様と同様に起泡ユニット50に嵌め合わされたルアーノズル308がある。混合チャンバ306内には、混合フィン311が配置される。
【0173】
このバッグ301の後部には、比較的硬質のロッド309がある。使用時、バッグ301はロッド309の周りに巻き付けられて、それぞれチャンバ302、303から気体及び液体を放出する。先の態様と同様に、気体及び液体は混合チャンバに入り、そこでこれらは十分に混合されてから起泡ユニット50に入り、予め設定した密度のフォームに転換される。
【0174】
他の態様と同様に、このバッグは好ましくは、図10に略図的に示されているようなドライバ装置と共に使用する。図10において、バッグ301は、ベースプレート320に好適に据え付けられている、スライド可能なキャリッジ321上に適所保持されている、側面で見ることができる。バッグ301の後部は、キャリッジ321の後部でバッグクランプ322によりクランプされ;この位置でロッド309は、クランプを通してバッグがスリップしないように機能する。バッグの正面におけるこの混合チャンバハウジング307は、キャリッジ321の正面で混合チャンバクランプ323によりクランプされる。
【0175】
ドライバをセットアップするためには、バッグを備えたキャリッジを、ベースプレート320上に据え付けられたローラー324のもと、脇にスライドさせる。このようにするために、ロッド309に隣接する後端部で手動でバッグを押圧して、ローラー324のもとで嵌め合うようにする。
【0176】
このローラー324は、DC電源326から供給される電動モーター325により駆動する。モーター速度は、速度制御327を使用してキャリブレーションし、オン/オフスイッチ328を使用して停止及び開始することができる。
【0177】
モーターを開始すると、ローラーが矢印Bによって表されるように回転して、ローラーのもとでバッグを備えたキャリッジをスライドさせる。バッグに含まれていたガス及び液体は混合チャンバ306及び起泡ユニット50を通して押し出され、起泡ユニットの出口を出る。
【0178】
先の態様と同様に、臨床医は、患者の静脈に据え付けられたカニューレにライン80を接続する前に、一定のフォームが生成するように確保する。
図11〜13を参照して、起泡ユニットは、これを横切って据え付けられたメッシュ52を有するリング51をそれぞれ含む、4つのメッシュ部材を含む。このメッシュは、約5ミクロンの直径の穿孔を有する。それぞれのメッシュ部材は、それぞれオスとメスのシール面53、54を有し、これらは図12に最もよく示されている。
【0179】
図13は、一つの部材のオスのシーリング表面が、それの隣の部材のメスの表面と噛み合うように、一緒に積み重ねられた4つのメッシュ部材を示す。この部材は、ソケット半部材56とノズル半部材57とを有するハウジング55に保持される。ハウジングのこれらの半部材(halves)の間で、メッシュ部材は加圧下で保持され、シーリング面53、54は互いに及びそれぞれの端部でハウジング55の内部と噛み合う。このようにして、メッシュ部材の間で優れたシールが作り出される、起泡ユニットを通る全ての流れがメッシュを通らなければならない。
【0180】
ハウジングのソケット端56は、標準ルアーソケット58で形成され、使用時に上記種々の装置のルアーノズル出口と嵌め合う。ハウジングのノズル端部57は標準ルアーノズル59を含み、その上に標準ルアーソケットを持つ医薬ラインが嵌め合わされてもよい。
【0181】
記載のメッシュ部材の代替案も含まれる。0.1ミクロン〜100ミクロンの流れ方向に対してほぼ直角の方向の寸法をもつ細孔、穿孔、穴を提供するものは何でも好適である。例としては布帛、穿孔スクリーンまたは焼結物が挙げられる。
【0182】
以下の実施例は、本明細書に記載の本発明の概念を支持するものとして提供する。
本発明は、以下の図面及び実施例を参照することにより、単なる例示として記載する。当業者には他の態様が考えられるであろうが、これらは本発明の範囲内に入る。
【0183】
実施例1
10人の患者を、1%ポリドカノール溶液と、7〜8%窒素と残余の二酸化炭素(約22%)と酸素(約70%)から本質的になる気体混合物で製造したフォームを注射により静脈瘤で処置した。
【0184】
本手順は、大伏在静脈の大腿部にフォーム(25.5ml気体)30ml以下を注射することを含む。気泡が心臓に到達するか試験するために、患者全員に4−チャンバ心臓超音波試験を実施した。試験した10人の患者全員の右心房と心室で気泡が知見された。通常、フォームを注射して数分後に気泡が現れて、超音波記録を停止するまで、注射後約40分継続する。
【0185】
1名の患者では、左脂肪及び心室で微細な気泡が知見された。この患者は続いてはっきりした卵円孔を有することが確認された。
【0186】
実施例2
この実験の目的は、種々の気体混合物で製造したポリドカノールの伏在静脈への注射の後、心臓へ通過する残存気泡の性質を調査するためのものである。
【0187】
麻酔をかけたメスのハウンド犬(体重26kg)に、気体混合物を変えて配合したポリドカノールを含むフォームを注射した。残存する気泡は、経食道超音波心臓図検査(TEE)を使用して肺動脈でモニターした。TEEで視覚化された残存する気泡は、開口(wide-bore)カテーテルを通して肺動脈からサンプリングした。これらの血液サンプルは、光学顕微鏡及び超音波を使用して残存気泡の存在に関して分析した。
【0188】
以下の三種類の異なる組成のフォーム:1%ポリドカノール及び空気;1%ポリドカノール及び、7〜8%窒素と残余の二酸化炭素と酸素からなる気体混合物;1%ポリドカノール溶液及び、1%未満の窒素と、残余の二酸化炭素と酸素を含む気体混合物を使用した。
【0189】
TEE出力をビデオテープに撮り、続いて分析した。これら全ての組成物に関して、実質的に不透明な画像とするのに十分な濃度で気泡は肺動脈に到達した。そのような画像を作るのに必要な閾値気泡密度は非常に低いので、この画像はそれ自体有用なデータを提供しなかったと考える。定常状態のバックグラウンド画像に戻るために閉塞した画像が要した時間は、血流中に溶解した全ての気泡または殆どに要した時間の長さをほぼ表しているものと考えられた。TEEは非常に感受性である(対照として生理食塩水を注射したときでさえも活性を示す)ので、この理由から、正確な終点を測定するのは困難であった。しかしながら、画像の不透明化からバックグランドレベルに減衰する時間を以下のように推定した:4分;2分;20秒。
【0190】
TEE分析に加えて、TEE画像が実質的に不透明であるとき、その間それぞれのフォームに関して肺動脈からくみ取った血液サンプルで観察を実施した。これらの知見結果は以下の通りであった。
【0191】
サンプルを取るとすぐ、かなりの容積の気泡がシリンジ内で知見された。シリンジをその長軸を水平に保持すると、連続した気泡のストリップが観察され、20mlシリンジの実質的に全長に伸長した。
【0192】
サンプルを採取した当初、シリンジには気泡は知見されなかったが、数秒後、シリンジを水平位置にすると、一本の気泡が現れ、これはフォームAに関して知見されたラインよりも細かった。
【0193】
サンプルを採取し、水平位置にシリンジを保持した後、1分以上の間、気泡は知見されなかった。徐々に、気泡の細い線がシリンジの上部に沿って現れた。
気泡を測定することはできなかったが、これらは組成物Bよりも組成物Cの方が小さいようであり、組成物Bの気泡は組成物Aのものよりも小さいようであった。
【0194】
実施例3
in-vitro実験では、新鮮なヒト静脈血中、種々の気体で製造したフォームの吸着性を測定した。
【0195】
20mlのポリプロピレンシリンジ円筒部は、比較的大きな皮下注射用針でその側壁に穿孔することによって、直径約1mmの穴を作った。次いでこの穴は、透明な粘着テープでその上に一片の透明フレキシブルビニールシートをしっかり止めることによって覆った。小さなマグネチックスターラー部材をシリンジ円筒部に導入して、次いでピストンを置き換えた。次いで20mlのヒト静脈血を、皮下注射用針を付けた特別に準備したシリンジを使用して、ヒト被験者から通常方法で抜き取った。
【0196】
この皮下注射用針を取り外し、次いでシリンジのマグネチック部材が血液を十分に撹拌するように、マグネチックスターラー装置上にシリンジを置いた。次いでシリンジのルアーノズルを血圧計の管の50cm片に接続して、これを水平に配置して一端を開放のままにした。血圧計の管は、スケールに対して固定した。
【0197】
細い針を予め取り付けた0.5mlの測定シリンジに、1%ポリドカノール溶液と空気とから製造したフォームを充填した。フォームの密度は0.13g/ml(±0.03g/ml)であり、液体成分はフォームの全容積の約13%(±3%)を占めていた。
【0198】
次いで0.5mlシリンジの針を20mlシリンジの側壁のビニルシートを通して導入した。少量の血液が血圧計の管に入っていくのが見られ、血液のこのカラムの遠位端の位置をスケールに対して記録した。タイマーがスタートした(t0)のと同時に0.5mlのフォームアリコートを迅速に注射した。フォームが20mlシリンジの血液を移動するにつれて、20mlシリンジからの血液のカラムは血圧計の管の中を移動して、血液カラムの遠位端が到達した管に沿った距離をスケールに対して記録した。スケール自体は、約1cmの等間隔に配置されたマーカー線を含んでいた。このスケールで45個の間隔の距離は、約0.5mlの血圧計管の内容積に等しいと決定した。
【0199】
フォーム内の気体が血液に中に吸着され始めると、血圧計管中の血液はシリンジに向かって引き込まれ始めた。カラムが移動を停止したように見えたら、タイマーを停止した(tF)。この遠位端の位置を再び記録した。
【0200】
次いでこの実験を同一密度のフォームであるが、酸素気体(医薬グレード純度−最低99.5%)で製造したもので繰り返した。
この実験を繰り返したが、今度は、医薬グレードの酸素のシリンダーからの酸素気体をフォームの代わりに0.5mlシリンジに直接導入した。
【0201】
これらの試験結果を表1に示す。
【0202】
【表1】
【0203】
*80秒後には、血液カラムの移動はもう見られなかった。
この実験における実験誤差は、意外にも、気体の少なくとも大部分が明らかに吸着されるのに、酸素気体または酸素フォームに関して気体の残存容量が存在するか否かを結論づけるには大きすぎる。気体にはたった95%純度の酸素シリンダー由来の少量の窒素があるかもしれないが、実験の間におそらく入り込んだのだろう。上記の如く、血液から気泡内に窒素が拡散することもあり得、手順の間に不注意で幾らか窒素が紛れ込んだのだろう。
【0204】
この実験において、空気フォーム試験は、tFの後、数分間、観察しただけであった。しかしながら、本発明者らによってさらなる実験を実施し、その結果は本明細書中、正式には記録されていないが、ある割合の窒素を含むフォームを含む。上記実験と同様に、20mlシリンジの新しいヒト静脈血を、ある割合の窒素を含むフォームの0.5mlアリコートと共に注射した。上記の如くシリンジの内容物を撹拌し、24時間経過させた。容易に視認できる容量の気泡がシリンジ内に残った。
【0205】
実施例4:超低窒素キャニスターの製造
オープントップを備えた陽極酸化アルミニウムキャニスターに水を充填した。次いでこのキャニスターを水浴に浸漬し、反転させた。次いで酸素の加圧シリンダーからのラインを水浴に導入し、酸素供給をオンにして、全ての空気のラインをフラッシュした。次いでバルブ、浸漬管及びメッシュスタック装置を含むキャニスターヘッドアセンブリを水浴に浸漬し、数秒間酸素ラインに接続して、アセンブリ由来の空気をパージした。
【0206】
全ての水がキャニスターから移動するまで、酸素ラインを反転したキャニスター内に導入した。次いでこのラインをキャニスターから外し、予めパージしたヘッドアセンブリを素早くキャニスターの上部でクランプして、キャニスターをシールした。次いでヘッドアセンブリをまだクランプしたままで、キャニスターを水浴から取り出し、次いで標準的な圧接法を使用して、そのヘッドアセンブリをキャニスターに固定した。
【0207】
次いでこのキャニスターを、調節した酸素ラインにキャニスターバルブを接続することによって約8バール絶対圧に1分間加圧した。次いでキャニスター内の圧力が丁度1絶対圧バールを超えるまで、バルブを開放することによって圧力を取り除いた。圧力開放操作の間、圧力ゲージを断続的にバルブに適用して、キャニスター圧が1絶対圧バールに低下しないように確保した。これは、キャニスターに大気が入り込む可能性を避けるために実施した。
【0208】
そしてキャニスターを約8絶対バールに再び加圧して、圧力開放操作を繰り返した。次いでこのプロセスを3回繰り返し、最終キャニスター圧力は1.1〜1.2絶対バールであった。
【0209】
18mlの1%ポリドカノール溶液をシリンジを使用してキャニスターバルブを通して導入し、ルアーノズル中の全ての空気を含む全てのエアポケットを取り除いた。次いでこのキャニスターバルブを二酸化炭素シリンジに接続し、2.2絶対バールに加圧した。次いで酸素ラインを再びバルブに接続し、圧力を3.6絶対バールに上げた。
【0210】
以下の表2は、シリンダー中100%純度酸素と仮定し、且つ予防策をとったにもかかわらず、初期酸素充填手順後のキャニスター内酸素中の気体1%が窒素であると仮定して、加圧及び圧抜きサイクルから得られた予想結果を示す。最悪のケースは、キャニスター圧力バルブ、即ち1.2絶対圧力(bara)及び7.6baraに関して想定される。
【0211】
【表2】
【0212】
表から解るように、3回の酸素加圧/開放サイクルのあと、小数点以下の桁数2まで計算して、窒素の割合がゼロまで低下する。
上記プロセスで使用した酸素シリンダーは、B.O.C.により供給された標準的な医薬グレードの酸素シリンダーであり、99.5%以上の純度と明記されていた。使用した二酸化炭素シリンダーは、99.995%レベルのB.O.C.製の所謂「CP グレード」であった。
【0213】
小数点以下の桁数2まで計算すると、初期充填手順から発生した不純物(主に窒素であろう)は、3回の加圧/開放プロセス後でゼロまで減るべきである。同様に、二酸化炭素シリンダー由来のキャニスター中の不純物レベルは、0〜小数点以下の桁数2と見なすことができる。というのも、供給源の不純物は99.995%であり、仕上がったキャニスター中の約1/3の気体だけが二酸化炭素だったからである。
【0214】
本発明者らは、もっと高い純度の酸素と二酸化炭素供給源を使用して、上記ラインに沿ってさらに実験を実施する。以下のシリンダー酸素は、B.O.C.から容易に入手可能である:「医薬グレード」99.5%純度(上記手順で使用);「ゼログレード」99.6%純度:「N5.0グレード」99.999%純度;「N5.5グレード」99.9995%純度;「N6.0グレード」99.9999%純度。
【0215】
それぞれの場合において、不純物は主に窒素である。
以下のシリンダー二酸化炭素製品は、B.O.C.より容易に入手可能である。これらは以下の仕様である:「CPグレード N4.5」99.995%純度(上記手順で使用);「研究グレード N5.0」99.999%純度。
【0216】
「ゼログレード:の酸素を使用して上記の手順を繰り返すと、最大不純物0.4%(主に窒素であろう)の完成キャニスターが得られると考えられる。
勿論、酸素及び二酸化炭素供給源が100%純度であれば、加圧/開放サイクルの回数を増やして理論的に最大不純物をさらに減らすことができるだろう。小数点以下3、4または5桁まで計算して、最大不純物レベルをゼロするのに必要なサイクル数を示すのは簡単な計算である。キャニスター圧が1絶対バール以下には絶対低下しないとするならば、及びキャニスターバルブに接続する前に、酸素及び二酸化炭素シリンダーからのラインを気体でフラッシュするならば、加圧/開放サイクルの間にかなりの量の不純物がキャニスターに入るのを仮定する必要性はない。
【0217】
不純物がさらに入り込む全ての機会を減らす改良点は、最初にフラッシュした直後に、ポリドカノール溶液を導入することであろう。このようにして、ポリドカノールにと一緒に導入された全ての空気/窒素は、続く加圧/開放サイクルの間に除去されるだろう。
【0218】
さらなる技術の改良点は、24時間、連続的に新たに補給した酸素雰囲気のもと、マグネチックスターラーを使用して撹拌状態の水浴中に保持することであろう。このようにして、水浴中に溶解した全ての窒素は、除去されて、溶解酸素で置き換わるはずである。この酸素を豊富に含んだ水浴からキャニスターを充填すれば、窒素不純物の考えられる供給源として水浴を排除できる。
【0219】
5、10、20または100回もの加圧/開放サイクルを実施し得ると考えられる。
このようにして、上記の如く酸素及び二酸化炭素の好適な供給源を使用して、CPグレードの二酸化炭素を使用して不純物の割合0.005%以下(主に窒素)または研究グレードの二酸化炭素を使用して0.001%以下の不純物割合をもつ酸素と二酸化炭素との混合物と、ポリドカノールとを充填したキャニスターを製造することが可能であろう。N6.0グレードの酸素を使用して不純物窒素気体の割合0.0001%以下のポリドカノールと酸素のキャニスターを製造することも可能なはずである。
【0220】
幾らか高い最小窒素レベルを有するこのようなキャニスターの製造は難しくはなく、加圧/開放サイクルの回数を減らすことによって達成し得ると考えられよう。
別の液体成分によるポリドカノールの置換は些細なことと考えられる。
【0221】
実施例5:超低窒素キャニスターの製造
本発明者らは、現在、同様の方法論を使用して、超低窒素キャニスターの大規模製造手順を開発中である。この手順では、二つのキャニスターを製造し、一つは5.8絶対バールの酸素を含み、他方は約1.2絶対バールで二酸化炭素とポリドカノール溶液を含む。使用時に、CO2/ポリドカノールキャニスターを、酸素キャニスターにこれを接続することによって使用直前に加圧する。これはPCT国際公開第WO02/41872-A1[CDE10]に記載されている。
【0222】
従って、酸素及び二酸化炭素/ポリドカノールキャニスターの個々の製造手順を提供する。しかしながら、どちらの手順も、ポリドカノール及び酸素、二酸化炭素またはこれら二つの混合物を含む単一キャニスター製品の製造に適用可能であることは明かである。
【0223】
この手順は、上部に標準バルブアセンブリのついた単に陽極酸化アルミニウムキャニスターである、酸素キャニスターについてまず記載する。バルブアセンブリに取り付ける前に、酸素ラインを直立シリンダーのオープントップに挿入して、キャニスターを酸素気体で最初に10秒間フラッシュする。次いでラインを回収する。この段階で、全ての空気は除去されておらず、窒素不純物レベルは約5%または6%と考えられる。これは詳細には測定しなかったが、手順の後段で測定した不純物レベルから推論した(以下参照)。長時間キャニスターをフラッシュするのは、窒素気体不純物のこの値を実質的に変えるとは考えない。
【0224】
次いでバルブアセンブリを緩くはめ込み、充填ヘッドをキャニスターとバルブアセンブリの上部に噛み合わせて、キャニスター壁に対して気密シールを作った。充填ヘッドへは酸素ラインを接続する。次いでキャニスターを約5.5絶対圧力(bara)にする。この段階での窒素気体不純物は、標準的なガスクロマトグラフィー法によって約1%であると測定した。
【0225】
一つの段階では、約1%の窒素不純物レベルが許容可能であると考えられたが、臨床試験(実施例1)の結果のあと、より低い窒素含有量が望ましいことが判明した。このため、以下のようにさらなる段階を本手順に加えた。
【0226】
キャニスターと充填ヘッドとの間のシールを維持すると、キャニスターの内容物は、キャニスター内の圧力が丁度1baraを超えるまで、充填ヘッドを介して排出される。上記実施例4と同様に、これはシールを通って大気が潜在的に入り込まないようにするためである。
【0227】
キャニスターと充填ヘッドとの間にシールを保持すると、圧力は約5.5baraに再び上昇し、再びこの圧力を丁度1baraを超えるまで開放する。次いでキャニスターを5.5bara±0.4baraの最終圧力まで上げる。この段階で、ガスクロマトグラフィーにより測定された窒素気体不純物は約0.2%であった。
【0228】
残存空気/窒素が因子約5であることは漏れがないということなので、圧力/開放サイクルのそれぞれが不純物を下げるはずと考えられる。正圧は常にキャニスター中に保持されるので、漏れを想定するのは理にかなっている。100%純度の酸素供給源と想定すると、これらの3回の加圧/開放サイクルの後の理論上の窒素不純物は約0.05%となるはずである。測定した窒素レベルは約0.2%であるので、測定プロセスの間にラインの不純物または窒素がサンプルに入るに違いない。不純物レベルは0.2%かそれより良いと少なくとも結論づけられる。
【0229】
ポリドカノール溶液または任意の他の液体硬化剤は、上記手順の間にキャニスターに添加でき、標準バルブ及び浸漬管は、小さな開口部メッシュなどのフォーム生成手段を含む装置と置き換えられると考えられる。最終段階で、キャニスター圧力はどんなに要求されようとも、約3.5baraに上げることができる。このようにして、硬化剤及び実質的に純粋な酸素を含む最終加圧キャニスター製品を作ることができた。
【0230】
現在、加圧酸素下でポリドカノール溶液を貯蔵する、可能性のある酸化作用を含む作用は完全には解明されていない。従って、現在、二酸化炭素及び/または窒素の元でポリドカノール溶液を貯蔵する二つのキャニスター系が好ましい。
【0231】
(実施例1で使用したように)先の製品バージョンでは、ポリドカノールキャニスター中の気体混合物は、窒素25%で二酸化炭素75%であった。窒素は、フォームの安定性において高溶解性の二酸化炭素の悪影響を減らすために含ませる。フォームの二酸化炭素と窒素含有量の両方を最小化するために、このキャニスターを0.5baraで保持した。これは、キャニスターを酸素キャニスターに接続し、最終圧力を約3.5baraに上げると、窒素含有量が約7%に減少することを意味する。
【0232】
次いで、本発明者らは、(1)キャニスターは、汚染の危険性を避けるために大気圧以上に保持しなければならなかった;及び(2)窒素の割合が高すぎたことに気づいた。フォーム生成メッシュが小さな開口部20ミクロンの代わりに5ミクロンである、新しいデザインの缶を製造した。このレベルのサイズの違いはフォームに顕著な効果を与えないと従来考えられていたが、実際には、メッシュ口径をこのように小さくすると、キャニスター中の実質的に純粋な二酸化炭素に由来し、且つ0.5baraの代わりに1baraを丁度超えて保持することに由来する、二酸化炭素の高い割合を保障するのに十分であることが意外にも知見された。
【0233】
このデザインのポリドカノールキャニスターと、1回だけ加圧する上記のごとき酸素キャニスターとを使用すると、得られるフォームは約1〜2%の窒素不純物であった。
現在の手順は、10秒間で金属陽極酸化キャニスターのオープントップに二酸化炭素ラインを挿入することである。次いでこのラインを引き抜く。この段階で全ての空気が排除されないが、窒素不純物レベルは約5%または6%と考えられる。長時間キャニスターをフラッシュしても、窒素ガス不純物のこの値を実質的に変わらないと考えられる。
【0234】
次いで1%ポリドカノール溶液18mlをキャニスターに導入し、二酸化炭素ラインを再導入して、キャニスターを数秒間、再びフラッシュした。
次いで浸漬管、バルブ及びフォーム生成メッシュ装置を含むヘッドアセンブリを緩くはめ込み、充填ヘッドをキャニスターとバルブアセンブリの上部に噛み合わせて、キャニスター壁に気密シールを作った。充填ヘッドには、二酸化炭素用ラインを接続する。次いでこのキャニスターを約1.2baraの圧力にする。この段階での窒素ガス不純物はまだ測定しなかったが、約0.8%と予測される。
【0235】
酸素キャニスターに接続して約3.5bara以下まで上げた後、充填したポリドカノールキャニスターから生成したフォームの最終窒素不純物は、以下の式によって得られる:(0.8×1.2+0.2×0.3)/3.5=0.4%。
【0236】
実施例6
標準ルアー接続として形成したそれぞれの端部にポートをもつハウジングを含む装置を製造した。ハウジング内には、ポートの間に内部流路があり、流路には四つのメッシュ部材が、ポート間の流れがメッシュの中を流れなければならないように配置した。このメッシュは5ミクロンの開口部を有していた。
【0237】
1%ポリドカノール溶液8mlを標準20mlシリンジに吸い上げ、次いでこのシリンジを上記のメッシュスタック装置の一つのポートにはめ込んだ。第二の20mlシリンジを取り出し、空気12mlを吸い上げてから、メッシュスタック装置上の二つのポートのもう一方に据え付けた。メッシュスタック装置の内容積を測定し、これはこの目的に関しては殆ど無視し得ると決定され、それは0.5ml未満であった。
【0238】
次いで空気とポリドカノール溶液を、1分間手でできるだけ早くシリンジの間を行ったり来たりさせた。実施した通過回数は15回であった。
得られた製品は視認できる気泡のない、均質外観を有する白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表にまとめた(表2)。
【0239】
【表3】
【0240】
実施例7
上記実施例6と同様の実験を、5ミクロンメッシュをそれぞれ含む4つのメッシュ装置を含むハウジングで実施した。今度は、1%ポリドカノール溶液10mlを20mlシリンジに吸い上げ、空気10mlをもう一方に吸い上げた。空気及びポリドカノールを2分間手でできるだけ早く行ったり来たりさせた。27回実施した。
【0241】
得られた製品は、視認し得る気泡のない均質外観の白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表3に示す。
【0242】
【表4】
【0243】
実施例8
実施例6及び7と同様の実験を、11ミクロンメッシュをそれぞれ含む4つのメッシュ装置を含むハウジングで実施した。1%ポリドカノール溶液8mlを20mlシリンジ1つに抜き取り、空気12mlをもう一方に抜き取った。空気とポリドカノールとを1分間手でできるだけ早く行ったり来たりさせた。25回実施した。
【0244】
得られた製品は、視認し得る気泡のない均質外観の白色液体であった。この液体のサンプルを気泡サイズ(以下の実施例9を参照されたい)に関して分析し、結果を以下の表4に示す。
【0245】
【表5】
【0246】
実施例9:気泡サイジング法
上記実施例6〜8のフォームの気泡サイズ分布を測定するために使用した気泡サイジング法は、顕微鏡による気泡の画像のコンピューター分析を含む。フォームの小さなサンプルを特別に用意したスライド上に堆積させ、これはそれぞれの側部に37ミクロンの高さに据え付けられたスペーサを有している。次いでさらにスライドをサンプルとスペーサの上部に配置し、それによって37ミクロン厚さの層にサンプルを塗布した。次いで気泡の37ミクロン層の一部のデジタル画像を記録して処理した。気泡は画像中、リングとして現れ、このリングは気泡の最大直径を表す。それぞれの気泡は個別に識別され、計数され、その直径を計算した。直径37ミクロンを超える気泡に関しては、気泡は幾らか平坦化して、変形していない気泡よりも画像中のリングの直径が大きくなったものと想定された。変形していない気泡の元の直径を計算するためにアルゴリズムを適用する。37ミクロン以下の気泡に関しては、上部送り台の裏面に対して気泡が浮き上がって、変形していないと想定される。デジタル画像の視覚検査から、重なっている気泡の画像は完全に見えないかまたは非常に稀であるので、これは納得しがたい想定ではないようである。それでもなお、これらのものが整備されていれば、10ミクロンギャップを持ち、好適に修正したソフトウエアと共にスライドセットを使用する実験を繰り返せば、実質的に全ての気泡がスライドの間で平坦化する。
【0247】
実施例10
上記実施例6、7及び8を以下の方法を使用して繰り返した。
実施例6、7及び8に記載の如くポリドカノール溶液を20mlシリンジに抜き取り、好適な容積のポリドカノール溶液が残るまで、過剰量の溶液を抜き取り、上向きのノズルで溶液を確実に分配した。このようにしてシリンジ、特にノズル中の全ての空隙を除去する。
【0248】
次いでポリドカノールを充填したシリンジをメッシュ装置、上向きシリンジと共に配置したアセンブリ、及び溶液を充填したメッシュ装置に接続し、全ての気泡を除去した。
医薬グレードの酸素(99.5%純度)のシリンダーからのラインを、ピストンを外した20mlシリンジのルアーコネクタと接続する。次いで酸素ラインとシリンジ円筒部とルアーコネクタを、シリンジからの酸素で10秒間フラッシュする。次いで酸素ラインを外し酸素供給をオンにしたまま、シリンジピストンを円筒部に挿入し、ピストンを押圧する。次いでこの酸素ラインをシリンジルアーに再び取り付け、酸素圧力でシリンジピストンを押し返してシリンジを酸素で充填した。
【0249】
次いで酸素シリンジを直ちにメッシュ装置に接続し、実施例6、7及び8に記載のフォーム生成手順を実施した。
【0250】
実施例11
上記実施例10で記載したようにポリドカノール溶液を充填したシリンジとメッシュ装置を、折りたたみ可能な「グローブボックス」(容器壁に組み込まれた一体型のグローブの付いたシール可能な容器で、容器の内容物によって操作可能)に配置する。さらに空のシリンジもグローブボックスに配置する。次いで密閉式で真空供給装置に接続し、それによってボックスを実質的に全ての空気が除去されるようにつぶした。次いで真空供給源を99.995%の純粋な酸素供給源で置き換えて、グローブボックスをこの供給源からの酸素で充填した。酸素供給源を保持し、酸素の入口点と反対側の壁に小さな排出口を開ける。グローブボックス内で99.995%純度の酸素供給ラインを使用して、空のシリンジを酸素で充填するための上記実施例10で記載の手順を追随した。実施例6、7及び8で記載の手順を実施して、フォームを生成する。
【0251】
実施例12
上記実施例10に記載の如くポリドカノールシリンジとメッシュ装置を製造した。シリンジを水タンクに浸漬し、ピストンを外す。一度シリンジ円筒部が完全に水で一杯になってエアポケットが無くなったら、ルアーノズルにストッパーを締める。このシリンジ円筒部は上向きのノズルと共に保持し、99.9999%純度の酸素シリンダーからのラインを最初にパージし、次いでシリンジ円筒部に導入する。全ての水を酸素で置き換えたら(ノズル中の水が置換されるように留意する)、ピストンを挿入し、シリンジを水タンクから取り出す。次いで実施例10の手順を追随して、メッシュ装置にシリンジを接続してフォームを形成する。
【0252】
上記実施例4と同様に、この手順は、シリンジを充填する前に99.9999%純度の酸素の連続して補給した雰囲気のもと、水タンクに貯蔵することにより不純物を取り除くことができた。
【0253】
実施例13
実施例10〜12の変形では、メッシュ装置を単純なコネクターまたは三方バルブで置き換え、他の全ての点では同一のままであるが、許容可能なフォームを製造するのにもっと回数が必要になるという例外は起こり得る。標準的なコネクターまたは三方バルブにおける開口部は、これを通って気体及び液体が通過するが、その最大寸法は約0.5mm〜3mmである。繰り返しこの開口部に液体と気体とを通過させることによって、実施例6〜12の方法で得られるものよりかなり大きな気泡サイズの、有用なフォームを得ることができる。この方法は、一般的に「Tessari」法として知られている。本発明者らは、このTessari法で実験をして、気体対空気の割合、並びに開口部を通る気体及び液体の通過速度及び回数に従って、気泡のサイズ及び分布が大きく変動することを知見した。Tessariフォームの平均気泡サイズは、約300ミクロンであると文献に報告されてきた。本発明者がTessari法を使用して達成することができた最良のものは、約70ミクロンの平均気泡サイズのフォームであり、このようにするためには、液体対気体の割合を、約40%液体、60%気体に上げなければならなかった。
【0254】
本実施例では、Tessari法は、非常に低い割合の窒素不純物の気体を使用して、上記の限定の範囲内で、どんな密度及び気泡サイズのフォームにも適合させることができる。
【0255】
実施例14
5ミクロン開口部サイズのメッシュスタック装置と共に、小さな空気入口開口部一対を備えた浸漬管及び標準的なバルブアセンブリをもつPCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載のタイプのキャニスターを製造した。バルブの開口部サイズは、PCT国際公開第WO00/72821-A1号に記載のバルブ配置(1.1g/ml〜1.6g/mlの間の密度のフォームを製造するために設計される)と比較してやや大きくした。この変形の目的は、メッシュスタックを通して通過する混合物中の液体対気体の割合を高めるためである。
【0256】
1%ポリドカノール溶液18mlでキャニスターを充填し、酸素、二酸化炭素及び窒素の混合物で加圧した。次いでフォームを分配した。
この手順を製造したフォームの数及びバルブ開口部の種々のサイズに関して繰り返した。全て白色液体の外観で、0.3〜0.5g/mlの範囲の密度を有していた。これらのそれぞれのフォームに関して気泡サイズ分析を実施し、これにより平均気泡サイズは直径50〜80ミクロンの範囲であったことが判明した。
【0257】
実施例15
バルブ装置の開口部のサイズではなく、浸漬管の長さ及び直径を調節した以外には、上記実験を繰り返した。短くした浸漬管がキャニスターの液体レベルに確実に到達するように、キャニスター中の液体容積を増やす必要があった。上記実施例6に記載の如く、同じタイプのフォームを製造することが可能であった。
【0258】
実施例16
本発明者らは、純粋な酸素または上記の窒素不純物レベルを有する酸素と二酸化炭素との配合物を使用する上記実験の再生を予見する。窒素不純物の非常に低レベルとするために、実施例4及び5に記載のものと同一方法に従った。
【0259】
実施例17:予圧容器
PCT国際公開第WO00/72821-A1号に開示の如く、本発明に従った治療用フォームの生成を図14に示す。
【0260】
このキャニスターは、アルミニウム壁(1)を有し、その内面はエポキシ樹脂でコーティングされている。キャニスターの底(2)は、内側に半円球状になっている。キャニスター内側チャンバ(4)は、1分間100%酸素で予備パージし、1容積/容積%ポリドカノール15ml/リン酸塩緩衝化塩溶液20mmol/4%エタノールを含み、次いで必要な気体混合物で充填する。
【0261】
標準直径1インチEcosol(商標)エアロゾルバルブ(5)(Precision Valve,Peterborough,イギリス)を溶液を一部滅菌的に充填した後、キャニスター上部にクリンプし、アクチュエータキャップ(6)を押圧することによって駆動して、シリンジまたは多元コネクター(示されていない)のルアー結合金具と噛み合うようにサイズを合わせた出口ノズル(13)を介して内容物を放出する。さらなるコネクタ(7)は標準バルブの底に配置され、高密度ポリエチレン(HDPE)リング(8)に保持された4つのナイロン66メッシュを据え付け、全て開口式ポリプロピレンケーシング内である。これらのメッシュは直径6mmであり、20μmの孔で作られた14%空地(open area)であり、メッシュは3.5mm間隔で配置されている。
【0262】
追加のコネクター(9)はメッシュを受けるコネクター底部に配置され、浸漬管(12)を据え付けるハウジング(10)を受容し、アクチュエータ(6)の操作時に浸漬管に上がる液体の流れにチャンバ(4)から気体を入れる気体受容孔(11a,11b)を含む。これらは、インサートを備えたEcosol(商標)装置(Precision Valve,Peterborough,イギリス)により好都合に画定される。孔(11a,11b)は、バルブハウジング(浸漬管の上部)のベースでこれと液体制御オリフィスの断面積との合計の比が、必要な気体/液体比を提供するように制御されるような断面積を有する。
【0263】
実施例18
かみ合い手段及びメッシュ・スタック・シャトルを備えた容器
PCT国際公開第WO02/41872-A1号に開示の本発明のメッシュ・スタック・シャトルとかみ合い手段とを備えた容器を含む装置を図15に示す。この装置は、水性硬化剤液と比反応性気体雰囲気用の低圧容器(1)、生理学的に許容可能な血液分散可能な気体用の容器(2)及び、コネクタ(3)を含むかみ合い手段を含む。
【0264】
生理学的に許容可能な血液分散可能な気体用の容器(2)に、必要な気体混合物で5.8絶対バール圧力で充填し、容器(1)は不活性気体を充填する。容器(2)を使用して使用時に容器(1)を約3.5絶対バールに加圧し、次いでフォームが必要になる直前に廃棄する。かくしてこの二つの容器は以後、PD[ポリドカノール]缶(1)及びO2缶(2)と称し、「二缶:bi-can」なる用語は二つの容器の概念を指すときに使用する。
【0265】
缶(1,2)にはそれぞれスナップ式の土台(4,5)が備えられる。これらは同じ成形品として作られていてもよい。スナップ式の部品(4,5)は高摩擦力でそれぞれの缶(1,2)のクリンプ-オン式の土台カップ(6,7)と噛み合う。このコネクターは二つの半部材部分(8,9)で作られ、高摩擦力によってユーザーは、二つの接続した缶(1,2)を掴み、コネクター半部材部分(8,9)をコネクター(3)と缶との間を滑ることなく互いに対して回転させることができる。これらの缶の土台(6,7)はそれぞれ、コネクターの二つの半部部分(8,9)の好適な表面上にある、先端部(12,13)と噛み合わせるためのスナップ-フィット式の孔(10,11)を有する。
【0266】
コネクター(3)は、多くの射出成型品を含むアセンブリである。コネクターの二つの半部材部分(8,9)は、二つの同軸管として互いに嵌め合うカムトラックスリーブの形状である。これらの管は、他方の半部材部分の凹んだカムトラック(15)と噛み合う一つの半部部分上に盛り上がったピン(14)によってつながっている。このカムトラックは三つの戻り止め停止位置を有する。これらの戻り止めの最初のものは、貯蔵用の停止位置である。この戻り止めで安全性を高めているのは、一方のスリーブの端部ともう一方との間の隙間の移動可能なカラー(16)を設置することによって提供している。このカラー(16)が取り外されるまで、スリーブを最初の戻り止め位置を過ぎて回転させることはできない。これによってコネクターは間違って作動されない。
【0267】
カムトラックスリーブ(8,9)は、別々のアイテムとしてABSから射出成型されて、後でこれらが戻り止めカムトラックの第一の停止点上で互いに噛み合うように組み合わされる。組み立てられたスリーブは、四つの回転する先を介してO2缶(2)据え付け板(5)上に装置としてスナップにより嵌め合わされる。安全カラーをこの時点でつけて、O2缶サブアセンブリを製造する。
【0268】
コネクター(3)は、PD缶(1)に隣接するコネクター半部材部分(8)上のメッシュスタックシャトル(17)を含む一連のフォーム形成部材をその内部に含む。このメッシュスタックシャトル(17)は、20μmのメッシュ孔サイズと、約14%の開口面積を備えた4つの射出成型ディスクフィルタと、二つのキャニスターとの漏れのない接続に適した二つの端部結合金具から構成される。これらの部材を予め組み立て、メッシュの周りに気密シールを提供し、メッシュスタックシャトルの外面を画定するオーバーモールディング(18)内にこれらを包むさらなる射出成型操作におけるインサートとして使用する。スタックの端部結合金具(end fitting)(17)は、二つの缶(1,2)のステムバルブ(19,20)に対して気密面及び/またはリムシールを与えて、二つの缶の間でガス移動しないように確保するために設計される。
【0269】
メッシュスタックシャトル(17)は、無菌環境中で成分を一緒に押して嵌め合わせることによってPD缶バルブ(19)の上に組み立てる。
PD缶(1)及び取り付けたシャトル(17)は、コネクター(3)と取り付けたO2缶(2)までをはめ込まれ、スライドする嵌合いは、PD缶(1)上の土台板(4)に一致する孔(10)にコネクター(3)のPD缶側上の四つの位置決め突起(12)をスナップフィットさせる。これによって系のアセンブリが完成する。この状態で、O2缶(2)のステムバルブ(20)とスタックからメスのルアー出口に対してシールを形成する点との間には約2mmの隙間がある。
【0270】
安全カラー(16)を取り外し、二つの缶(1,2)を掴み、コネクター(3)の一方の半部材部分を他方の半部材部分に対して回転させて噛み合わせ、O2缶バルブ(20)を開封できる。
コネクター(3)の回転がその第二の戻り止め位置に留まるので、PD缶バルブ(19)は完全に開口する。O2缶(2)からの気体の流れは、ステムバルブ(20)内の小さな出口孔(21)によって制限される。気圧が3.45バール±0.15バールの間で(殆ど)平衡になるのに第二の戻り止め位置で約45秒間かかる。
【0271】
第二の戻り止め位置で約45秒間待った後、ユーザーによってコネクター(3)をさらに第三の戻り止めまで回転させる。この位置で、二つの缶(1,2)を分けることができ、コネクターの半部材(8)を備えたPD缶(1)とシャトルアセンブリ(17)はコネクターとPD缶との間でとらわれたままである。O2缶(2)はこの時点で廃棄する。
【0272】
標準直径1インチエアロゾルバルブ(19)(Precision Valve,Peterborough,イギリス)溶液を滅菌充填した前または後、PD缶(1)の上部にクリンプし、メッシュスタックシャトル(17)を押圧することによって駆動して、これはエアロゾルバルブ駆動機序として機能し、シリンジまたは多元コネクター(示されていない)のルアー結合金具と噛み合うようにサイズを合わせた出口ノズル(22)を介して内容物を放出する。
【0273】
実施例19:メッシュスタック中のメッシュ材料に対する変化に由来するフォームの物理的特性における効果を評価するための研究
この実験では、コンテナーの気圧及び気体組成の変化と組み合わせた、20ミクロン〜5ミクロンのシャトルメッシュ孔径に変化するフォーム特性における効果を概説する。この研究は、0.8以下の窒素濃度が望ましいとの本発明者らの認識以前の日付である。その主な目的は、20ミクロンメッシュの代わりに5ミクロンメッシュを使用すると、ポリドカノールキャニスターに既に送達可能に含まれていた25%窒素を除去するのを保障するかどうかを試験することであった。本明細書及び以下の実施例で参照されるこの「100%」二酸化炭素及び「100%」酸素とは、実際、窒素不純物レベルを含み、これらの実施例で議論される最終デュアルキャニスター製品はおそらく、約1〜2%窒素不純物のフォームを生成するだろう。
【0274】
二つの異なる気体組成物を使用した。一つでは、1%ポリドカノール溶液とCO2/N2 75%/25%の雰囲気とを含むキャニスターは、0.5絶対バール圧力まで排気され、もう一方のキャニスターは、5.9絶対バールに酸素で加圧する。もう一つでは、1%ポリドカノール溶液を含むキャニスターは、100%CO2で1.2±0.1絶対バールに加圧され、もう一方のキャニスターは5.8±0.1絶対バールに酸素で加圧される。
【0275】
この研究の目的は、1.2絶対バールのPDキャニスターには充填気体として100%CO2、0.5絶対バールのPDキャニスターには現在の気体雰囲気で、5ミクロン及び20ミクロンシャトルメッシュを使用して研究し、得られた結果を比較することである。
【0276】
材料及び方法
全てのサンプル調製は、大気に暴露する時間を最小に保持しつつ、層流ブースで実施した。
【0277】
クラス100Kクリーンルーム成型設備中、直径6mmの4ナイロン6/6織りメッシュのスタックを含むシャトル装置を使用した。これらは以下の表3に示される以下の点で異なっている。
【0278】
【表6】
【0279】
【表7】
【0280】
ポリドカノール溶液は、0.2ミクロンフィルターを使用して滅菌濾過してから、清浄なガラススクリュートップボトルに充填した。
二缶アセンブリは、表5に詳細が記載されているポリドカノールキャニスター中の気体混合物及び圧力の仕様に対する試験のために製造した。
【0281】
【表8】
【0282】
周囲研究室温度における変化が1/2分離時間の結果に影響を与えたという点で、一連の実験の試験の順序は重要であった。実験は、一つのサンプルタイプの全ての試験、続いて別のサンプルタイプの全ての試験というのではなく、サンプルタイプを通してサイクル的に実施した。これによって、実験を通して研究室の温度に偏流の作用を最小化した。実験室の温度は、できるだけ20℃に保持した。
【0283】
1/2分離時間装置の温度は、連続する実験装置の間の洗浄及び乾燥段階の後で周囲温度に完全に平衡化させることも重要である。
【0284】
試験の概要
二缶装置で実施した試験及び仕様は、表6にまとめる。
【0285】
【表9】
【0286】
結果
表5に記載の如く製造した二缶における表6に記載の試験の結果は、以下の段落でまとめる。
【0287】
装置及びフォームの外観
全ての場合において、装置はキャニスターでもバルブでも腐蝕を発生せず、漏れ及び外界損傷の兆候も無かったという点で、装置の外観は仕様に適合していた。充填したPDキャニスターを駆動すると、白色フォームが生成した。フォームが安定した後、無色透明の液体が観察された。
【0288】
密度、1/2分離時間及びpH
全ての装置からのフォームは、密度、及び1/2分離時間の仕様に適合した。しかしながら、一つ予想外に低い結果(C1キャニスター1)が得られたが、予想通り挙動する追加の二つの装置で試験した。低い結果にもかかわらず、平均は仕様に適合した。通常、5 mシャトルを介して発生したフォームは、長い1/2分離時間を有する。結果を表7にまとめる。
【0289】
生成したフォームの平均pHは、仕様に適合した。しかしながら、100%CO2キャニスターから製造したフォームは、仕様の検出下限に近く、ある場合においては(C2キャニスター4)、仕様の丁度下であった。結果を表7にまとめる。
【0290】
酸素缶及びポリドカノール缶における気体圧力は、全ての場合で仕様と適合した。ある場合においては(C1キャニスター6)、予想よりやや低い酸素キャニスター圧力が記録された。結果を表7にまとめる。
【0291】
【表10】
【0292】
気泡サイズ分布
全ての条件に関する平均気泡サイズは、対照1(C)(>500 m特大サイズの気泡で平均化)を除いては仕様内であった。結果を表8にまとめる。
【0293】
【表11】
【0294】
粒子(肉眼では見えない)
全てのキャニスター由来の崩壊フォームは、1ml当たり1,000個以下の粒子>10ミクロンであり、1ml当たり100個以下の粒子>25μmである限り、粒子の仕様に適合した。100%CO2気体混合物を有していたものは、全体で粒子が一番少なかった。崩壊フォームでは視認できる粒子はなかった。結果を表7にまとめる。
【0295】
それぞれの装置からのフォームの外観は仕様と適合した。全てのキャニスターの外観は仕様と適合した。
【0296】
【表12】
【0297】
ポリドカノール同定、アッセイ及び関連物質
対照と試験調製物との結果の間には、顕著な違いは観察されなかった。全てのサンプルは、関連する物質、アッセイ値及び到底に関して全て仕様に適合した。
【0298】
25mカラムを使用したサンプルの分析を実施したが、これらのサンプルでナイロン6,6相互作用に関連する顕著なピークは観察されなかった。
【0299】
実施例20:メッシュスタック中のメッシュ材料に対する変化に由来するフォームの物理的特性上の作用を評価するためのさらなる研究
キャニスター中の気圧と気体組成に対する変化と組み合わせて、シャトルメッシュ孔径20ミクロン、11ミクロン及び5ミクロンの装置を使用して、実施例9の研究を繰り返した。二缶アセンブリは、表9に詳細を記載したポリドカノールキャニスター中の気体混合物と圧力の仕様に対して試験するために調製した。
【0300】
【表13】
【0301】
シャトルメッシュ孔径が11ミクロンであった試験から得られたフォームの種々のバッチでは、以下の特徴を有していた。
【0302】
【表14】
【0303】
【表15】
【0304】
実施例21
欧州特許第0656203号に開示されたように、実験を実施して、ポリドカノール(PD)溶液を泡立たせるために小さなブラシを高速回転させる、周囲雰囲気としてある範囲のCO2/O2気体混合物を使用して、Cabreraの方法によって製造した硬化剤フォームの物理的特性と比較した。
【0305】
全てのサンプル調製は、Kreussler1%Aethoxysclerolから入手したポリドカノール溶液を使用して、18〜22℃の範囲の温度の制御研究室条件下で実施した。容器は100mlビーカーであった。このビーカーと溶液10mlとを小さなガラスのアクアリウムタンクに置いた。これは大気から内部空間をシールするように変更されていた。次いでビーカーを試験用気体混合物でフラッシュして一杯にした。
【0306】
この実験の間、大気の窒素と酸素とが気体タンクに入り、既知気体混合物を変えることができないように、試験用気体混合物を少量入れた。柔軟なドライブシャフトをミクロモーターに取り付けて、ガラス製タンクの外側にミクロモーターをおいたままにして、同時に必要な速度で、ガラスタンク内でブラシを駆動させる。この柔軟なドライブシャフトをガラスタンクに入れた場合、これをシールして大気からの漏れ込みを防いだ。
【0307】
ガラスタンクに大気圧より0.2バール上の圧力で気体混合物を供給して、30秒間、ガラスタンクのフラッシュを実施した。30秒間のフラッシュの後、調節装置を停止して、実験の残りのために気体が少し入ってくるようにした。泡立ての回転速度及び時間は、11500rpm及び90秒間に固定した。
【0308】
表15の結果は、100%CO2、100%O2、75%CO2/25%O2及び空気で製造したフォームの密度及び半減期を示す。それぞれの気体に関して、全くのポリドカノール、ポリドカノールと5%グリセロール、ポリドカノールと25%グリセロール、及びポリドカノールと40%グリセロールでフォームを製造した。それぞれのフォームに関して2回繰り返した(1及び2)。この結果は、グリセロールの割合が高いと、適当な密度と半減期のCO2フォームを形成できたことを示す。
【0309】
【表16】
【0310】
【表17】
【0311】
実施例22:ポリドカノール、グリセロール及びCO2フォーム
種々の方法を使用して、ポリドカノール、グリセロール及びCO2でフォームを製造した。フォームを製造するのに使用した方法は、得られるフォームの半減期及び密度で重要な役割を果たす。
【0312】
ダブルシリンジ法
1%ポリドカノール及び30%グリセロールの緩衝溶液500mlを以下の手順を使用して製造した。
【0313】
100%ポリドカノール(pd)−蝋状固体−は、温水浴に設置することによって溶かした。
100mlの蒸留水を1000mlビーカー中に秤量した。
0.425gのリン酸二水素カリウムを安定剤として添加した。
【0314】
液化pdを5g秤量した。
96%エタノールを秤量した。
このエタノールとpdとを混合し、次いで蒸留水に添加した。
【0315】
グリセロール150gを添加した。
水を425mlの印まで添加した。
0.1M水酸化ナトリウムを添加して、pHを7.34〜7.38pHに調節した。
【0316】
蒸留水を添加して、500gスケールにした。
0.25ミクロンフィルターを通してこの溶液を濾過した。
同じ手順をとったが、多量のグリセロールを使用して、40%グリセロール溶液にした。
【0317】
50mlガラスシリンジに、pd/グリセロール溶液100mlを汲み上げた。もう一つの50mlガラスシリンジのノズルを、二酸化炭素シリンダーからのもう一つのライン(B.O.C.99.995%の純度レベルの「CPグレード」)に接続した。このシリンジに二酸化炭素を充填し、次いでラインから外し、ピストンを押圧し、次いでシリンジ円筒部上で50ml目盛に再充填してから、ラインから外した。それぞれの端部とほぼ1mm直径の通し孔(thorough bore)をもつコネクターをラインに接続して、中をフラッシュした。次いでこの二つのシリンジをコネクター装置にそれぞれ接続した。
【0318】
二酸化炭素とpd/グリセロール溶液を手動で、30サイクルを超えてできる限り早く二つのシリンジの間を行ったり来たりさせた。このプロセスの間にシリンジ内にフォームが形成した。最終サイクルの後、フォームを迅速に半減期及び密度測定装置に移し、フォームの半減期及び密度を測定した。
【0319】
この手順は、1%ポリドカノールと30%グリセロールとの緩衝溶液と、1%ポリドカノールと40%グリセロールとの緩衝溶液とに関して実施した。
それぞれの場合において、得られる溶液を観察すると、液体のようではないが、幾らか流れやすかった。これは非常に平坦な、ゆるやかな丸の「球状の小さな塊:blob」が表面に形成し、これは5秒以内に崩れて液体となった。
【0320】
ダブルシリンジ及びメッシュ法
ダブルシリンジ法に関する上記手順を以下の点だけ変更して繰り返した。
1mmの孔のコネクターを使用する代わりに、一連の4つのメッシュ部材を含む流路を有する、いわゆる「メッシュスタック:装置」を製造した。それぞれのメッシュ部材は直径約2〜3mmであり、直径5ミクロンの孔を有していた。装置のそれぞれの端部には、ルアー接続があった。
【0321】
このシリンジをできるだけ早く再びサイクルにかけたが、1mm孔をもつ単純なコネクターに関してできる限りよりもかなりゆっくりであった。10サイクル実施した後、シリンジの汲み上げを停止した。というのも、フォームに何ら変化が見られなかったからであった。このサイクルを実施するにはオペレーター二名が必要であり、それぞれのオペレーターがそれぞれのシリンジでピストンを押圧した。
【0322】
この手順を1%ポリドカノールと30%グリセロールの緩衝溶液と、1%ポリドカノールと40%グリセロールの緩衝溶液に関して実施した。
このダブルシリンジとメッシュスタック法で製造したフォームの外観は、ダブルシリンジ型の方法で製造した物と非常によく似ていた。しかしながら、「球状の小さな塊」はそれほど平坦ではなく、崩壊するのに幾らか時間が長くかかった。
【0323】
キャニスター法
約100mlの容量をもつ加圧キャニスターは、緩衝化ポリドカノール/グリセロール溶液約20mlで製造した。次いでこのキャニスターを実質的に純粋な二酸化炭素で、3.5絶対バールの圧力に加圧した。
【0324】
このキャニスターはバルブがそれぞれ取り付けられ、浸漬管はバルブからキャニスターのベースへ伸長している。バルブのそれぞれの側部は、加圧下で浸漬管を液体が通過するときに、気体を引き込む開口部である。このバルブより上では、キャニスターにはそれぞれ上記の如くメッシュスタック装置が取り付けられる。
【0325】
フォームを分配するには、キャニスターバルブを開口する。フォームの最初の部分を排気し、次いでフォームを半減期及び密度測定装置に直接、分配する。
この手順を1%ポリドカノールと30%グリセロールとの緩衝溶液を含むキャニスターと、1%ポリドカノールと40%グリセロールの緩衝溶液を含むキャニスターとで実施した。
【0326】
30%グリセロール溶液で製造したフォームは比較的堅く、表面に小さな丸い球状の小さな塊を形成した。この球状の小さな塊は数秒の間に崩壊し始めたが、長い間、水溜まりよりも球状の小さな塊のままであった。40%グリコールに関しての観察結果は記録しなかった。
【0327】
結果
ダブルシリンジフォーム
1)(100%CO2,1%ポリドカノール、30%グリセロール)
密度=0.231;半減期=99秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,40%グリセロール)
十分量のフォームを製造できなかった。
【0328】
ダブルシリンジ及びメッシュ法
1)(100%CO2,1%ポリドカノール、30%グリセロール)
密度=0.174;半減期=155秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,40%グリセロール)
密度=0.186;半減期=166秒。
【0329】
キャニスター
1)(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.094;半減期=121秒。
2)(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.124;半減期=166秒。
(100%CO2,1%ポリドカノール,30%グリセロール)
密度=0.124;半減期=108秒。
【0330】
実施例23:ポリドカノール、グリセロール及びCO2フォーム
フォームを製造する前の、液相の粘度における種々の粘度向上剤(グリセロール、PVP及びエタノール)の効果を測定した。粘度は、上記のブルックフィールド装置を使用して23℃で測定した。
【0331】
Cabrerra法を使用して製造したCO2フォームの密度及び半減期における追加の成分の効果も研究した。フォームは、上記のCabrerra法及び、ポリドカノール(PD)と種々の割合の粘度向上剤(重量/重量)を使用して製造した。得られるフォームの半減期及び密度は上記の如く測定した。粘度向上剤、硬化剤及び気体の特定の組み合わせが好適な半減期及び密度のフォームを提供するか測定するために同様の実験を実施することができる。上記のキャニスターを使用してフォームを製造し、その結果を表16に示す。
【0332】
【表18】
【図面の簡単な説明】
【0333】
【図1】図1は、本発明の第一の側面に従った装置の第一の態様のシリンジ円筒部の概略図であり、貯蔵のために封がされた状態で示されている。
【図2】図2は、図1のシリンジ円筒部で使用するためのカートリッジの概略図である。
【図3】図3は、図1のシリンジ円筒部で使用するための変形カートリッジの概略図である。
【図4】図4は、図3に示すタイプのカートリッジが取り付けられた図1のシリンジ円筒部の更なる概略図である。
【図5】図5は、起泡ユニット及びピストンステムが嵌合された図1のシリンジ円筒部の更なる概略図である。
【図6】図6は、図5のシリンジ、カートリッジ及び起泡ユニットの概略図であり、シリンジのピストンステムは部分的に押し下げられている。
【図7】図7は、本発明の第一の側面に従った装置の第二の態様の概略図であり、起泡ユニットが嵌合された充填シリンジを含む。
【図8】図8は、制御された速度でフォームを発生させ送達するためのシリンジドライバ中に取り付けられた図7の装置の概略図である。
【図9】図9は、本発明に従った装置の第三の態様の概略図である。
【図10】図10は、電動ドライバに嵌合された図9の装置の概略図である。
【図11】図11は、本発明の起泡ユニットの起泡部分の一態様であるメッシュ要素の平面図である。
【図12】図12は、図11の線I−Iに沿った側断面図である。
【図13】図13は、本発明の起泡ユニットの起泡部分の一態様の側断面図である。
【図14】図14は、WO00/72821-A1に開示され、更に本明細書中に説明する、本発明に従った治療用フォームを発生させるための予備加圧された容器の横断面図を示す。
【図15】図15は、WO00/72821-A1に開示され、更に本明細書中に説明する、本発明に従った係合手段及びメッシュ・スタック・シャトルを備えた容器を含む装置の横断面図を示す。
【図16】図16は、実施例3で試験した二缶条件の4つの結果を比較するためのグラフを示し、フォーム密度と半減期に対する気体混合物、気体圧力及びシャトルメッシュの効果を示す。対照1は、5μmメッシュの0.5バールキャニスター中において、75%CO2/25%N2気体混合物を使用し、試験1は、5μmメッシュで同一気体混合物を使用し、対照2は、20μmメッシュの1.2バールキャニスター中において、100%CO2を使用し、試験2は、5μmメッシュで同一気体を使用する。
【図17】図17は、試験した4つの二缶条件からの気泡平均数の直径に対するグラフを示す。
【図18】図18は、試験した4つの二缶条件からの気泡の直径に対する割合のグラフを示す。
【図19】図19は、試験した4つの二缶条件からの気泡平均体積の直径に対するグラフを示す。
【図20】図20は、試験した4つの二缶条件からの気泡の直径に対する割合のグラフを示す。
【図21】図21は、4つの二缶条件からの結果を比較するためのグラフを示し、1/2分離時間及び密度に対するシャトルメッシュサイズの効果を示す。
【図22】図22は、(a)気相と混合してフォームを形成する前の液相の粘度に対するグリセロール濃度の効果、及び(b)液相の粘度に対する種々の粘度向上剤の効果を示す。
【図23】図23(a、b及びc)は、Cabrerraフォームの密度及び半減期に対する種々の粘度向上剤の効果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォームを製造する方法であって、
二つのシリンジを提供し、その際、シリンジ1に液相が充填され、かつシリンジ2に気相が充填されるか、シリンジ1に液相及び気相が充填されるか、又は両方のシリンジに液相及び気相が充填され;そして、
該液相及び該気相を、コネクタを介した該二つのシリンジの間を繰り返し移動させて、フォームを形成することを含み、その際、
該液相が、少なくとも1種の硬化剤を含み、そして、
該気相が、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素と少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる、前記方法。
【請求項2】
該シリンジの間を通過する該液相及び気相を、最大寸法が1〜200ミクロンである開口部を含むメッシュを通過させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該最大寸法が、2〜50ミクロンである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該最大寸法が、3〜20ミクロンである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
該気相が、体積基準で少なくとも70%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該気相が、少なくとも90%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
該気相が、少なくとも99%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
該気相が、実質的に100%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
フォームを製造する方法であって、
(a)円筒部、第一のピストン及び第二のピストンを含むシリンジを提供し、該第二のピストンが、該第一のピストンとは独立して該円筒部内で移動可能であるように適合された開口部を有するピストンヘッドを有し、該シリンジが、液相及び気相で充填され;そして、
(b)該第二のピストンを往復させて、フォームを形成すること
を含み、その際、
該液相が、少なくとも1種の硬化剤を含み、そして、
該気相が、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素と、少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる、前記方法。
【請求項10】
該第二のピストンにおける開口部が、1〜200ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該第二のピストンにおける開口部が、2〜50ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
該第二のピストンにおける開口部が、3〜20ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
該気相が、体積基準で少なくとも70%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項14】
該気相が、少なくとも90%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
該気相が、少なくとも99%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
該気相が、実質的に100%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
滅菌パックであって、
(a)少なくとも1種の液体硬化剤と、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素及び少なくとも1種の他の生理学的に許容可能な気体から本質的になる気体混合物とが充填されたシリンジ;
(b)該シリンジ中の前記ガス混合物と実質的に同じ組成を有する、該パック内部の気体雰囲気
を含む滅菌パック。
【請求項18】
該気体窒素が、体積基準で0.001%〜0.8%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項19】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.8%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項20】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.7%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項21】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.6%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項22】
該少なくとも1種の他の生理学的に許容可能な気体が、酸素、二酸化炭素又はこれらの混合物である、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項1】
フォームを製造する方法であって、
二つのシリンジを提供し、その際、シリンジ1に液相が充填され、かつシリンジ2に気相が充填されるか、シリンジ1に液相及び気相が充填されるか、又は両方のシリンジに液相及び気相が充填され;そして、
該液相及び該気相を、コネクタを介した該二つのシリンジの間を繰り返し移動させて、フォームを形成することを含み、その際、
該液相が、少なくとも1種の硬化剤を含み、そして、
該気相が、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素と少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる、前記方法。
【請求項2】
該シリンジの間を通過する該液相及び気相を、最大寸法が1〜200ミクロンである開口部を含むメッシュを通過させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該最大寸法が、2〜50ミクロンである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該最大寸法が、3〜20ミクロンである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
該気相が、体積基準で少なくとも70%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該気相が、少なくとも90%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
該気相が、少なくとも99%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
該気相が、実質的に100%の酸素である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
フォームを製造する方法であって、
(a)円筒部、第一のピストン及び第二のピストンを含むシリンジを提供し、該第二のピストンが、該第一のピストンとは独立して該円筒部内で移動可能であるように適合された開口部を有するピストンヘッドを有し、該シリンジが、液相及び気相で充填され;そして、
(b)該第二のピストンを往復させて、フォームを形成すること
を含み、その際、
該液相が、少なくとも1種の硬化剤を含み、そして、
該気相が、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素と、少なくとも1種の生理学的に許容可能な気体とから本質的になる、前記方法。
【請求項10】
該第二のピストンにおける開口部が、1〜200ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該第二のピストンにおける開口部が、2〜50ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
該第二のピストンにおける開口部が、3〜20ミクロンの最大寸法を有する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
該気相が、体積基準で少なくとも70%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項14】
該気相が、少なくとも90%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
該気相が、少なくとも99%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
該気相が、実質的に100%の酸素である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
滅菌パックであって、
(a)少なくとも1種の液体硬化剤と、体積基準で0.0001%〜0.8%の量で存在する気体の窒素及び少なくとも1種の他の生理学的に許容可能な気体から本質的になる気体混合物とが充填されたシリンジ;
(b)該シリンジ中の前記ガス混合物と実質的に同じ組成を有する、該パック内部の気体雰囲気
を含む滅菌パック。
【請求項18】
該気体窒素が、体積基準で0.001%〜0.8%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項19】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.8%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項20】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.7%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項21】
該気体窒素が、体積基準で0.01%〜0.6%の量で存在する、請求項17記載の滅菌パック。
【請求項22】
該少なくとも1種の他の生理学的に許容可能な気体が、酸素、二酸化炭素又はこれらの混合物である、請求項17記載の滅菌パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【公表番号】特表2007−511591(P2007−511591A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540585(P2006−540585)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004846
【国際公開番号】WO2005/048984
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004846
【国際公開番号】WO2005/048984
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
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