説明

硬化剤収納用複合容器、硬化剤供給装置及びこれを用いた硬化剤の供給方法

【課題】完全密閉での供給システムに組み込みやすく、且つ安価に使用することができる硬化剤収納用複合容器、硬化剤供給装置及びこれを用いた硬化剤の供給方法を提供する。
【解決手段】ドラム缶と、前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなり、前記内袋に硬化剤を収納可能な複合容器であって、前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを一体的に具備する取り付け部とが設けられており、前記吸引用ノズルは、供給配管に接続可能なワンタッチカップラーと開閉バルブと前記内袋の取り付け部に挿入されるノズル部とを具備するものであることを特徴とする硬化剤収納用複合容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化剤収納用複合容器、硬化剤供給装置及びこれを用いた硬化剤の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料等の腐食性の強い液体の保管や輸送、供給はドラム缶に内袋を設けて、この内袋に液体を収納することが行なわれている。例えば特許文献1では内容液が輸送時に漏れてドラム缶が腐食しないように熱可塑性樹脂シートを複数枚重ねて内袋とすることが提案されている。また特許文献2にはポリエチレン製の内袋を用いることにより塗料中への異物混入や静電気による引火を防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−219965号公報
【特許文献2】特開2000−309373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、2液型塗料のベース塗料及び硬化剤を夫々別の塗料タンク内に貯蔵し、塗装直前或いは塗装時にベース塗料及び硬化剤を供給、混合して塗装するシステムが採用されているが、一般的にポリソシアネート系の硬化剤は湿気によって増粘するため、上記システムでは完全密閉であることが求められている。しかしながら完全密閉での硬化剤供給では、専用塗料タンクが必要であり、ランニングコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、完全密閉での供給システムに組み込みやすく、且つ安価に使用することができる硬化剤収納用複合容器、硬化剤供給装置及びこれを用いた硬化剤の供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
1.ドラム缶と、前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなり、前記内袋に硬化剤を収納可能な複合容器であって、前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを取り付けるための取り付け部とが設けられていることを特徴とする硬化剤収納用複合容器、
2.ドラム缶及び前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなる複合容器と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルとを具備する硬化剤供給装置であって、前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを取り付けるための取り付け部とが設けられており、前記吸引用ノズルは、供給配管に接続可能なワンタッチカップラーと開閉バルブと前記内袋の取り付け部に挿入されるノズル部とを具備するものであることを特徴とする硬化剤供給装置、
3.ドラム缶と、前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなり、前記内袋に硬化剤を収納可能な複合容器であって、前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを一体的に具備する取り付け部とが設けられており、前記吸引用ノズルは、供給配管に接続可能なワンタッチカップラーと開閉バルブと前記内袋の取り付け部に挿入されるノズル部とを具備するものであることを特徴とする硬化剤収納用複合容器、
4.2項に記載の硬化剤供給装置において、硬化剤が充填された複合容器に、前記ワンタッチカップラー付吸引用ノズルを挿入して取り付けて、前記吸引用ノズルのワンタッチカップラーと塗装機構に硬化剤を供給するための供給配管とを接続せしめてから前記開閉バルブを開き、塗装機構へ硬化剤が吸い出されることを特徴とする硬化剤の供給方法、
5.3項に記載の硬化剤収納用複合容器において、硬化剤が充填された複合容器に一体的に取り付けられた吸引用ノズルのワンタッチカップラーと塗装機構に硬化剤を供給するための供給配管とを接続せしめてから前記開閉バルブを開き、塗装機構へ硬化剤が吸い出されることを特徴とする硬化剤の供給方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の硬化剤収納用複合容器及び硬化剤供給装置によれば、完全密閉での供給システムに組み込みやすく、また内袋を交換することでドラム缶の簡単な洗浄で済み、ランニングコストを安く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る硬化剤収納用複合容器及び硬化剤供給装置の一実施態様を示す概念図である。
【図2】本発明に係る硬化剤収納用複合容器の別の一実施態様を示す概念図である。
【図3】図1及び図2の複合容器から硬化剤が吸い出されて塗装機構へ供給される一実施態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る硬化剤収納用複合容器及び硬化剤供給装置について、好適な実施形態を例として、以下に図1、図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は本発明に係る硬化剤収納用複合容器及び硬化剤供給装置の一実施態様を示す概念図であり、天板1によって密閉されるドラム缶2と、前記ドラム缶2に収容される熱可塑性樹脂製の内袋3とを備えてなり、前記内袋3には、硬化剤4を内袋3内に収納するための注入部5と、供給配管20に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズル7を取り付けるための取り付け部6とを設けている。また図2は本発明に係る硬化剤収納用複合容器の別の一実施態様を示す概念図であり、ドラム缶2と、前記ドラム缶2に収容される熱可塑性樹脂製の内袋3とを備えてなり、前記内袋3には、注入部5と、供給配管20に接続可能なワンタッチカップラー付吸引ノズルを一体的に具備する取り付け部6とを設けている。
【0011】
前記ドラム缶2は、特に制限されることなく従来公知の塗料用の密閉可能な金属製のドラム缶を使用できる。内容物の保管や輸送時には天板1によって密閉され、使用時には天板1を取り外す。
【0012】
前記ドラム缶2内には内袋3が収容される。内袋3を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミドなどを使用することができる。これらのうち柔軟性や耐溶剤性、耐薬品性の観点からポリエチレンが好適である。
【0013】
内袋3の上部外周には、必要に応じて特開2001−219965号公報に示されるようなエプロン部(図示せず)を熱溶着させて設けていても良い。ドラム缶2内に内袋3を収容する際にエプロン部をドラム缶2の上部開口縁部と天板1によって挟持せしめることで内容物の保管や輸送時に内袋3を起立した状態で固定でき、また使用当初の塗装機構への硬化剤の吸い出しを安定して行なうことができる。
【0014】
内袋3の上部に設けられた注入部5から硬化剤4を内袋3内に充填する方法は、特に制限なく従来公知の方法を採用することができる。
【0015】
内袋3の上部には、また供給配管20に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズル7を取り付けるための取り付け部6が設けられている。図1において取り付け部6は、密閉可能とするため、通常、ネジ状であり、ネジ栓付キャップにより開閉可能とすることができ、また図2においては吸引用ノズルが一体的に具備されている。特に図2のように吸引用ノズルが一体的に取り付けられることでより高度に密閉を保ったまま供給配管20に接続が可能となる。図2の複合容器では内袋3に吸引用ノズルが一体的に取り付けられた状態で天板1によって蓋をして保管や輸送が行なわれる。
【0016】
吸引用ノズル7は、供給配管20に接続可能なワンタッチカップラー11と開閉バルブ8と前記内袋3に挿入されるノズル部9とを具備する。ワンタッチカップラー11は、供給配管20の先端に設けられた接続部21と連結可能である。図1ではノズル部9の上部には、内袋3の取り付け部6と連結可能なネジ状部10が設けられており、これによってワンタッチカップラー7を内袋3に密閉を保った状態で装着することができる。ノズル部9の長さは、内袋3の大きさに応じて適宜選択することができる。
【0017】
上記図1の複合容器から硬化剤4の供給は、図3のように、硬化剤4が充填された内袋3の取り付け部6に、前記ワンタッチカップラー付吸引用ノズル7のノズル部9を挿入して取り付けて、前記ワンタッチカップラー11と供給配管20の接続部21を連結させることで接続せしめてから前記開閉バルブ8を開き、供給配管20を介して塗装機構(図示せず)へ硬化剤4が吸い出されることによって行なわれる。また図2の複合容器からの硬化剤4の供給は、複合容器に一体的に取り付けられた吸引用ノズルのワンタッチカップラー11と供給配管20の接続部21とを図3のように接続せしめてから前記開閉バルブ8を開き、供給配管20を介して塗装機構(図示せず)へ硬化剤4が吸い出されることによって行なわれる。
【0018】
硬化剤4の吸引は塗装機構に設けられるポンプ(図示せず)によって行なわれる。硬化剤4の吸引が進むにつれて、内袋3がしぼんでいく。硬化剤4の吸引が完了したら、ワンタッチカップラー11と供給配管20の接続部21の連結を解除し、吸引用ノズルを取り外して、内袋3のみを処分することができる。
【符号の説明】
【0019】
以下、〔図1〕〜〔図3〕における符号を説明する。
1 天板
2 ドラム缶
3 内袋
4 硬化剤
5 注入部
6 取り付け部
7 ワンタッチカップラー付吸引用ノズル
8 開閉バルブ
9 ノズル部
11 ワンタッチカップラー
20 供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム缶と、前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなり、前記内袋に硬化剤を収納可能な複合容器であって、
前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを取り付けるための取り付け部とが設けられていることを特徴とする硬化剤収納用複合容器。
【請求項2】
ドラム缶及び前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなる複合容器と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルとを具備する硬化剤供給装置であって、
前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを取り付けるための取り付け部とが設けられており、
前記吸引用ノズルは、供給配管に接続可能なワンタッチカップラーと開閉バルブと前記内袋の取り付け部に挿入されるノズル部とを具備するものであることを特徴とする硬化剤供給装置。
【請求項3】
ドラム缶と、前記ドラム缶に収容される熱可塑性樹脂製の内袋とを備えてなり、前記内袋に硬化剤を収納可能な複合容器であって、
前記内袋には、硬化剤を内袋内に収納するための注入部と、供給配管に接続可能なワンタッチカップラー付吸引用ノズルを一体的に具備する取り付け部とが設けられており、
前記吸引用ノズルは、供給配管に接続可能なワンタッチカップラーと開閉バルブと前記内袋の取り付け部に挿入されるノズル部とを具備するものであることを特徴とする硬化剤収納用複合容器。
【請求項4】
請求項2に記載の硬化剤供給装置において、硬化剤が充填された複合容器に、前記ワンタッチカップラー付吸引用ノズルを挿入して取り付けて、前記吸引用ノズルのワンタッチカップラーと塗装機構に硬化剤を供給するための供給配管とを接続せしめてから前記開閉バルブを開き、塗装機構へ硬化剤が吸い出されることを特徴とする硬化剤の供給方法。
【請求項5】
請求項3に記載の硬化剤収納用複合容器において、硬化剤が充填された複合容器に一体的に取り付けられた吸引用ノズルのワンタッチカップラーと塗装機構に硬化剤を供給するための供給配管とを接続せしめてから前記開閉バルブを開き、塗装機構へ硬化剤が吸い出されることを特徴とする硬化剤の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−162277(P2012−162277A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22222(P2011−22222)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】