説明

硬化性樹脂組成物

【課題】 耐候性の要求される用途にも十分使用できる硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテル化合物に過酸化物を反応させることにより得られるポリエポキシポリエーテル化合物、又は該ポリエポキシポリエーテル化合物とポリアミン化合物との反応生成物と、一般式(II)又は一般式(III)で表される反応性シリコン化合物とを反応させることにより得られる反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に、一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなる硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関し、詳しくは、特定の反応性ケイ素基含有有機重合体に特定のトリアジン系紫外線吸収剤を添加してなる耐候性に優れた硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ケイ素基含有有機重合体(硬化性樹脂)は、空気中の水分等により室温で硬化してゴム状弾性体を与えるので、自動車用や建築用のシーリング材として利用されている。しかし、耐久性の要求されるこれらの用途で用いるには、該反応性ケイ素基含有有機重合体単独では耐候性が不足しており、短期間で着色や強度の低下を起こすため、耐候性の改善が必要である。
【0003】
従来、硬化性樹脂の耐候性を改善するために、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を用いることが知られている。例えば、特許文献1にはヒンダードアミン系光安定剤による安定化が提案され、特許文献2にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を併用することが提案されている。しかし、硬化性樹脂の耐候性を改善する場合、ヒンダードアミン系光安定剤では、単独使用の場合もベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用した場合も、耐候性の改善効果は長期の耐候性が要求される用途においては未だ満足のいくものではなかった。
【0004】
尚、本発明に係る特定のトリアジン系紫外線吸収剤が特許文献3に提案されているものの、シーリング材に関する安定化効果の記述はなく、該トリアジン系紫外線吸収剤が、特定の反応性ケイ素基含有有機重合体に特異的に優れた耐候性を付与し得ることは予想されなかった。
【0005】
【特許文献1】特許第3351628号公報
【特許文献2】特開平5−287186号公報
【特許文献3】特開2003−192830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、耐候性の要求される用途にも十分使用できる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硬化性樹脂に特定の構造を有するトリアジン系紫外線吸収剤を含有させることにより、上記課題を解決できることを見い出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテル化合物に過酸化物を反応させることにより得られるポリエポキシポリエーテル化合物、又は該ポリエポキシポリエーテル化合物とポリアミン化合物との反応生成物と、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される反応性シリコン化合物とを反応させることにより得られる反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に、下記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなる硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【発明の効果】
【0013】
本発明の硬化性樹脂組成物は、耐候性に優れたものであり、主として自動車用や建築用のシーリング材に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0015】
本発明の硬化性樹脂組成物に使用される反応性ケイ素基含有有機重合体は、上記一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテルに過酸化物を反応させることにより得られるポリエポキシポリエーテル化合物、又は該ポリエポキシポリエーテル化合物とポリアミン化合物との反応生成物と、上記一般式(II)又は上記一般式(III)で表される反応性シリコン化合物とを反応させることにより得られるものである。
【0016】
上記一般式(I)中のRで表される炭化水素基としては、2〜6価の炭化水素基が挙げられるが、原料の入手及び合成の容易さから、エチレン、1,2−プロピレン、トリメチレン、1,2−ブチレン、テトラメチレン等の炭素原子数2〜6の炭化水素基が好ましい。
【0017】
また、Rで表されるポリイソシアネートの反応残基を提供し得るポリイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタン誘導体のジイソシアネート、トリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独で又は数種を組み合わせて使用することができる。また、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類とこれらのポリイソシアネート化合物との付加物等の、末端にイソシアネート基を有する高分子量ポリイソシアネート(プレポリマー)を用いることもできる。
【0018】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
上記ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0022】
上記フェニルメタン誘導体のジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,5,2',5'−テトラメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシアントフェニル)メタン、3,3'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジエトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチル−5,5'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3'−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
上記トリイソシアネートとしては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4'−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン4,6,4'−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4''−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
【0024】
また、これらのポリイソシアネート化合物は、ダイマー又はトリマー(イソシアヌレート結合)で用いられてもよく、また、アミンと反応させてビウレットとして用いてもよい。また、(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたウレタンポリイソシアネートを使用することもできる。このようなウレタンポリイソシアネートとしては、例えば、グリセリン−トリレンジイソシアネート反応物、グリセリン−ヘキサメチレンジイソシアネート反応物等が挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)中のRで表されるポリカルボン酸から水酸基を除いた残基を提供し得るポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸、メチルペンテニルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(I)中のRで表されるN−ポリ(ヒドロキシアルキル)アミンから水酸基を除いた残基を提供し得るN−ポリ(ヒドロキシアルキル)アミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、テトライソプロパノールエチレンジアミン等が挙げられる。
【0027】
上記一般式(I)中のR1 で表される炭素原子数2〜12のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ドデカメチレン等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数2〜6のアルキレン基が好ましく、トリメチレン基(プロピレン基)が最も好ましい。
【0028】
また、上記一般式(I)において、nはオキシアルキレン基−R1O−の重合度を表し、1〜1000の数であるが、好ましくは3〜500、更に好ましくは5〜100である。
【0029】
n個の繰り返し単位−R1O−からなるポリオキシアルキレン鎖において、その重合形態は、特に制限されるものではなく、1種類のアルキレンオキシド類の単独重合であってもよく、2種類以上のアルキレンオキシド類のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合であってもよい。上記ポリオキシアルキレン鎖は、オキシプロピレン基を50〜100モル%、特に60〜100モル%含有することが好ましい。
【0030】
また、R2 で表される炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、1,2−プロピレン、トリメチレン等が挙げられる。
【0031】
また、上記一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテル化合物の不飽和基は、(メタ)アリル基である。
【0032】
また、上記一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテル化合物の製法は、特に限定されるものではないが、以下の(i)又は(ii)の方法が、工程が容易であり好ましく適用される。
【0033】
(i)(メタ)アリルアルコール等の末端不飽和基含有アルコールにアルキレンオキシド類を付加させてモノ不飽和モノヒドロキシポリエーテルを得た後、該モノ不飽和モノヒドロキシポリエーテルを、それら同士で直接連結させる、又はエステル結合、カーボネート結合若しくはウレタン結合を介して連結させる方法。
(ii)ポリエーテルポリオール化合物を、それら同士で直接連結させて、又はエステル結合、カーボネート結合若しくはウレタン結合を介して連結させて、有機基連結ポリアルキレングリコール化合物を得た後、該有機基連結ポリアルキレングリコール化合物をアリル化剤によりアリル化する方法。
【0034】
上記(i)の方法において、使用することができるアルキレンオキシド類としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはプロピレンオキシドが用いられる。付加させるアルキレンオキシド類の重合形態は、特に限定されず、1種類のアルキレンオキシド類の単独重合であってもよく、2種類以上のアルキレンオキシド類のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合であってもよい。また、アルキレンオキシド類の付加における触媒としては、水酸化アルカリ、亜鉛−コバルトのシアナミド錯体、セシウム触媒等を使用することができるが、高分子量のモノ不飽和モノヒドロキシポリエーテルを得るためにはセシウム触媒を用いることが好ましい。
【0035】
上記(ii)の方法において使用することができるアリル化剤としては、アリルクロリド、アリルグリシジルエーテル、アリルカーボネート、アリルカルボキシレート等が挙げられる。
【0036】
上記(i)又は(ii)の方法において、ウレタン結合を介して連結させる場合、上記に挙げたポリイソシアネート化合物又は高分子量ポリイソシアネート(プレポリマー)を単独で又は数種を組み合わせて使用することができる。
【0037】
上記ポリイソシアネート化合物等は、上記(i)の方法におけるモノ不飽和モノヒドロキシポリエーテル又は上記(ii)の方法におけるポリエーテルポリオール化合物の水酸基1個あたり、該ポリイソシアネート化合物等のイソシアネート基が、好ましくは0.4〜1.2個、更に好ましくは0.7〜1.0個となる範囲で使用される。該ポリイソシアネート化合物等の使用量が上記の範囲未満の場合には、未反応の上記モノ不飽和モノヒドロキシポリエーテル又は上記ポリエーテルポリオール化合物が多量に残存することになり、無駄であるばかりか、精製が困難となりやすい。また、ポリイソシアネート化合物等を上記の範囲を超えて使用しても、目的物の収率が低下してしまう問題がある。
【0038】
また、上記(i)又は(ii)の方法において、エステル結合を介して連結させる場合、上記に挙げたポリカルボン酸を用い、上記のウレタン結合を導入する場合に準じて反応を行うことができる。
【0039】
また、上記(i)又は(ii)の方法において、カーボネート結合を介して連結させる場合、下記に挙げる環状カーボネートを用い、上記のウレタン結合を導入する場合に準じて反応を行うことができる。
環状カーボネートとしては、5員環、6員環又は7員環構造を有するものを用いることができ、その具体例としては、5員環構造を有するものとしてエチレンカーボネート、6員環構造を有するものとして1,3−プロピレンカーボネート及びネオペンチルグリコールカーボネート、7員環構造を有するものとして1,4−ブタジオールカーボネートが挙げられる。
【0040】
また、上記(i)又は(ii)の方法において直接連結させる場合は、加熱して脱水縮合することにより目的物を得ることができる。
【0041】
上記末端不飽和ポリエーテル化合物は、過酸化物により二重結合をエポキシ化する当該分野で周知な方法によって、前記ポリエポキシポリエーテル化合物にすることができる。本発明で使用することができる上記過酸化物としては、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸等の過カルボン酸化合物が挙げられるが、これらの中でも、過蟻酸、過酢酸が最も適当である。これらの過酸化物としては、過酸化水素から誘導された過酸化物を用いることが好ましい。
【0042】
上記過酸化水素から誘導された過酸化物を用いる方法としては、例えば、オスミウムの塩、タングステン酸、リン酸、ホウ酸等の触媒及び溶媒の存在下、過酸化水素と蟻酸、酢酸等の低級カルボン酸とを反応させて、その場で生成する過カルボン酸を反応系にエポキシ剤として加え、上記末端不飽和ポリエーテル化合物をエポキシ化する方法がある。
【0043】
上記溶媒としては、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の溶剤が挙げられる。使用する過酸化水素水は、濃度が30質量%以上が望ましく、更に好ましくは50質量%以上である。使用する過酸化水素水の当量は、上記末端不飽和ポリエーテル化合物の不飽和基に対して2当量以上が好ましく、過酸化水素水の使用量の上限は制限されないが、多量に使用する際は、急激な発熱を避けるため徐々に添加することが好ましい。
【0044】
上記ポリエポキシポリエーテル化合物を用いて、次の方法1又は方法2により、本発明で用いられる反応性ケイ素基含有有機重合体を得ることができる。
方法1:上記ポリエポキシポリエーテル化合物をそのまま又はポリアミン化合物で連結した後、前記一般式(II)で表される反応性シリコン化合物(アミノシラン)と反応させることにより、反応性ケイ素基含有有機重合体を得る。
方法2:上記ポリエポキシポリエーテル化合物を、ポリアミン化合物で末端をアミノ基にした後、前記一般式(III)で表される反応性シリコン化合物(エポキシシラン)と反応させることにより、反応性ケイ素基含有有機重合体を得る。
【0045】
上記方法1及び2において、ポリエポキシポリエーテル化合物(以下、単に(A)ともいう)とポリアミン化合物(以下、単に(B)ともいう)と活性水素を含む反応性シリコン化合物(以下、単に(C)ともいう)との使用量は、理論的にはモル比で(A):(B):(C)=1:0〜2:1である。しかし、実際には、ポリアミン化合物や反応性シリコン化合物は、理論量をやや上回る量で使用しても差し支えない。
【0046】
上記方法1及び2において、各化合物を反応させる手順としては、(A)、(B)及び(C)を同時に加えて、50〜80℃にて3〜10時間反応させても良いが、(A)、及び(A)の当量を下回る量で且つ(A)を所定分子量範囲とするのに適した量の(B)を、50〜70℃にて3〜10時間反応させて、(A)の鎖延長又は末端アミン化を行なった後、必要量かそれをやや上回る量の(C)を加えて、60〜80℃にて3〜8時間反応させた方が、重合度を制御し易く、また確実にポリエポキシポリエーテル化合物の分子鎖末端に加水分解性基を導入することができる。尚、上記所定分子量範囲は、5000〜15000とすることが好ましい。
【0047】
上記ポリアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミンが好ましい。該脂肪族ポリアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。該芳香族ポリアミン化合物の具体例としては、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジミノジフェニルメタン、ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノトルエン、ピペラジン等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。尚、上記ポリアミン化合物としては、その他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレントリアミン等を用いることもできる。
【0048】
また、上記一般式(II)及び(III)において、R4 、R6 及びR11で表される1価の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等のアルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、フェニル、トリルの等のアリール基、ベンジル、β−フェニルエチル等のアラルキル基等が挙げられるが、炭素原子数1〜7の1価の炭化水素基が好ましい。さらに、R5 、R9及びR10 で表される2価の炭化水素基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、フェニレン、シクロヘキシレン等が挙げられるが、炭素原子数2〜6の2価の炭化水素基が好ましい。R7 及びR8で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第2ブチル、第3ブチル、イソブチル、アミル、第2アミル、ヘキシル等が挙げられる。
【0049】
上記一般式(II)で表される反応性シリコン化合物(アミノシラン)の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
【0050】
【化5】

【0051】
上記一般式(III)で表される反応性シリコン化合物(エポキシシラン)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、メチル(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、メチル(γ−グリシドキシブチル)ジメトキシシラン、メチル(γ−ジメトキシプロピル)ジエトキシシラン、メチル(γ−グリシドキシブチル)ジエトキシシラン、フェニル(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、フェニル(γ−グリシドキシブチル)ジメトキシシラン、ジメチル(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、ジメチル(γ−グリシドキシブチル)メトキシシラン等が挙げられる。
【0052】
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる上記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤について説明する。
上記一般式(IV)におけるR12で表される炭素原子数1〜17のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル)、へプタデシル、シクロペンチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、4−シクロペンチルブチル、5−シクロペンチルペンチル、シクロヘキシル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、5−シクロヘキシルペンチル、8−シクロヘキシルオクチル、10−シクロヘキシルデシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、2,5−ジメチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,4−ジメチルシクロヘキシル、4,5−ジメチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−第三ブチルシクロヘキシル、4−ヘキシルシクロオクチル、4−シクロヘキシルデシル、(4−メチルシクロヘキシル)メチル、2−(4−エチルシクロヘキシル)エチル、3−(4−イソプロピルシクロヘキシル)プロピル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
【0053】
上記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.9が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0054】
【化6】

【0055】
【化7】

【0056】
【化8】

【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
【化12】

【0061】
【化13】

【0062】
【化14】

【0063】
上記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤は、その製造方法に特に制限されることなく、周知一般の方法により製造されたものを用いることができる。該製造方法としては、例えば、アルコール成分としての2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンと、該当する一価カルボン酸のエステル誘導性化合物(一価カルボン酸、一価カルボン酸ハライド又は一価カルボン酸エステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応が挙げられ、これらの反応は逐次反応でもよく、一括反応でもよい。
【0064】
上記一般式(IV)で表されるトリアジン紫外線吸収剤は、上記反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.3〜3重量部添加される。上記添加量が0.01重量部より少ないと、硬化性樹脂である上記反応性ケイ素基含有有機重合体の耐候性を実用に耐える程度に十分には向上できず、10重量部より多いと、上記硬化性樹脂との相溶性が悪くなり、経時的にブリードが起こる恐れがある。
【0065】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、シリコーン変性樹脂(反応性ケイ素基含有有機重合体)に通常用いることができる光硬化性化合物、硬化触媒、オゾン劣化防止剤、リン系、フェノール系又は硫黄系の酸化防止剤、上記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、可塑剤、充填剤、接着性改良剤、物性調製剤、保存安定性改良剤、低分子シリコーン化合物、金属不活性化剤、滑剤、顔料、発泡剤、抗菌剤、抗黴剤等の各種添加剤を適宜併用することができる。これらの各種添加剤の使用量は、添加剤の使用目的等に応じて適宜選択されるが、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を主たる用途である自動車用又は建築用シーリング材とする場合、各種添加剤の合計使用量は、上記反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対して好ましくは40重量部以下とする。
【0066】
上記光硬化性化合物は、本発明の硬化性樹脂組成物の表面特性を改善するために添加され、光の作用によって短時間に分子構造が化学変化を起こして硬化等の物性的変化を生ずるものである。上記光硬化性化合物としては、有機単量体、オリゴマー、樹脂及びそれらを含む組成物等、多くのものが知られており、市販の任意のものを採用することができる。代表的な具体例としては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類、アジド化樹脂等が挙げられる。
【0067】
上記不飽和アクリル系化合物は、アクリル系又はメタクリル系の不飽和基を1個ないし複数個有するモノマー、オリゴマー又はそれらの混合物であって、その具体例としては、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体又は分子量10,000以下のオリゴエステルが挙げられる。
【0068】
上記ポリケイ皮酸ビニル類は、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル誘導体が知られている。
【0069】
また、上記アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はジアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液の他、「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、第93頁〜、第101頁〜、第117頁〜)に詳細な例示があり、それらを単独で又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
【0070】
上記硬化触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫アセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の錫カルボン酸塩類;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応生成物;ジブチル錫アセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセトアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、ラウリルアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用しても複数を併用してもよい。
【0071】
上記オゾン劣化防止剤としては、周知のものを用いることができ、具体的には、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のジアリール−p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン等のアリールアルキル−p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アルキレーテッドジフェニルアミド、4,4’−ジ−オクチルジフェニルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤、及びその他のアミン系酸化防止剤としてフェニル−1−ナフチルアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2,4−トリメチル−1,2−ハイドロキノリンのポリマー等が挙げられる。上記アミン系酸化防止剤のうち、芳香族アミン系酸化防止剤が好ましく、ジアリール−p−フェニレンジアミン系酸化防止剤が特に好ましい。
【0072】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、 トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0073】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0074】
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0075】
上記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0076】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、下記[化15]に示す化合物等が挙げられる。
【0077】
【化15】

【0078】
上記可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシル酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリオールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン等が挙げられ、これらは単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。上記可塑剤の添加量は、前記反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、好ましくは0〜500重量部である。
【0079】
上記充填剤としては、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水珪酸、含水珪酸及びカーボンブラック等の補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華及びシラスバルーン等の充填剤;石綿、ガラス繊維及びフィラメント等の繊維状充填剤が挙げられる。上記充填剤の添加量は、前記反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部である。
【0080】
本発明の硬化性樹脂組成物は、耐候性に優れており、自動車用や建築用のシーリング材用途に好適に使用できる他、土木用、家電用、情報機器用、電子機器用、家具用、浴槽用、キッチン用、陶磁器用等に使用することもできる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0082】
[製造例]反応性ケイ素基含有有機重合体の合成
分子量2010のポリプロピレングリコールジアリルエーテル100gを仕込み、トルエン100g、95重量%蟻酸20.3g、及びリン酸2.0gを加えて60℃に昇温した。60重量%過酸化水素水63.4gを徐々に加え、60℃で6時間攪拌した。油分分離を行い、油層を温水200mlで2回洗浄後、油層から溶媒を留去してジエポキシ化合物を得た。得られたジエポキシ化合物の8エポキシ当量に対し、3モルのフェニレンジアミン及びトルエン10重量部を加え、70℃で4時間反応させた。反応生成物の平均分子量は9600であった。これに2.1モルのメチル(γ−グリシドキシプロピル)−ジメトキシシランを加えて、更に8時間反応させた。溶媒を留去し、目的物である反応性ケイ素基含有有機重合体を得た。
【0083】
[実施例1〜8及び比較例1〜7]
製造例で得られた反応性ケイ素基含有有機重合体(重合体A)100重量部及びジオクチルフタレート(DOP)30重量部の混合溶液に、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.2重量部、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量部、紫外線吸収剤(前記化合物No.1〜No.3、No.5、No.8、No.9及び下記[化16]に示す比較化合物No.1〜No.4のいずれか;但し比較例1及び2には使用せず)0.5重量部、及びHALS化合物0.5重量部(実施例2、8及び比較例2、4のみ)を50℃で溶解させて、溶解液を得た。
【0084】
【化16】

【0085】
別途、オクチル酸錫30重量部、ラウリルアミン5重量部、ジオクチルフタレート65重量部及び酸化チタン200重量部を充分に分散混合したものを調製して組成物Bとし、該組成物Bを前記重合体A100重量部に対して1重量部になるように上記溶解液に加え、直ちに5cm×10cm×3mmの鉄枠の中に流し込み、そのまま室温で7日間養生して硬化シートを得た。
【0086】
得られた硬化シートをサンシャインウェザオメーターに入れ、83℃で1000時間照射後、黄色度を測定した。また、耐候性として、硬化シートが劣化により形状を維持できなくなるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
表1から明らかなように、本発明に係る特定のトリアジン系紫外線吸収剤を添加した実施例1〜8は、比較化合物の紫外線吸収剤を添加した比較例3〜7より耐候性に優れ、シーリング材に用いるのに好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される末端不飽和ポリエーテル化合物に過酸化物を反応させることにより得られるポリエポキシポリエーテル化合物、又は該ポリエポキシポリエーテル化合物とポリアミン化合物との反応生成物と、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される反応性シリコン化合物とを反応させることにより得られる反応性ケイ素基含有有機重合体100重量部に、下記一般式(IV)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなる硬化性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】


【公開番号】特開2006−77112(P2006−77112A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262104(P2004−262104)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】