説明

硬化性樹脂組成物

【課題】数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の径を小さくすることができる硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体、
(B)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びグリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(C)式(1)で表される化合物:


を含む硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等には、カラーフィルタ保護膜等の塗膜が部材として用いられている。カラーフィルタ保護膜は、下地であるカラーフィルタやブラックマトリクスで生じる表面の凹凸を平坦化したり、これらの上層の部材を形成するために用いられる薬液からカラーフィルタ等を保護したりするために用いられる塗膜である。カラーフィルタ保護膜を形成するために、硬化性樹脂組成物が用いられる。
このような硬化性樹脂組成物としては、例えば、樹脂成分として、不飽和カルボン酸と脂肪族多環式エポキシ化合物との共重合体のみを含む硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−149854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成すると、該塗膜には、その異物上に円錐状突起が形成される。この円錐状突起は、その径が小さい場合には研磨によって突起を除去することができるが、径が大きい場合には研磨による突起の除去を行っても塗膜を十分に平坦化することができない。十分に平坦化されていない塗膜を液晶表示装置に用いると、表示不良の原因となる。上記のような従来から知られている硬化性樹脂組成物で、数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成すると、その異物上に形成される円錐状突起の径は必ずしも十分に小さいものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1]下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性樹脂組成物:
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体
(B)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びグリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂
(C)式(1)で表される化合物
【化1】

[式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表し、
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい]。
[2](C)の含有量が、(A)100質量部に対して1質量部以上25質量部以下である前記[1]記載の硬化性樹脂組成物。
[3](A)の含有量が、(A)の含有量と(B)の含有量との合計に対して、50質量%以上99質量%以下である前記[1]又は[2]記載の硬化性樹脂組成物。
[4]さらに、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物を含む前記[1]〜[3]のいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物により形成される塗膜。
[6]前記[5]記載の塗膜を含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の径が小さい。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物から形成された塗膜は、研磨により平坦化できるため、表示不良の少ない液晶表示装置を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の硬化性樹脂組成物は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体(以下「重合体(A)」という場合がある)を含む。
【0008】
重合体(A)としては、例えば、
重合体[A1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下、「(a)」という場合がある)と、オキシラニル基を有する不飽和化合物(b)(以下、「(b)」という場合がある)とを重合してなる共重合体、
重合体[A2]:(a)と(b)と、(a)と(b)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる単量体)(以下、「(c)」という場合がある)とを重合してなる共重合体、
等が挙げられる。
【0009】
(a)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3‐ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0010】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が共重合反応性の点やアルカリ溶解性の点から好ましく用いられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も同様の意味を有する。
【0011】
本発明において、オキシラニル基を有する不飽和化合物(b)とは、オキシラン環と不飽和結合とを有する単量体をいう。(b)としては、例えば、鎖式脂肪族不飽和炭化水素基がエポキシ化された構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)や、脂環式不飽和炭化水素基がエポキシ化された構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)が挙げられる。
本発明において、(b)は、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体であることが好ましく、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることがより好ましい。また、(b)は(b2)であることが好ましい。
【0012】
(b1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、特開平7−248625号公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0013】
(b2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0014】
【化2】

【0015】
式(I)及び式(II)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、互いに独立に、単結合、−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。
【0016】
炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0017】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)基、*−CHCH−O−基が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CHCH−O−基が挙げられる。
【0018】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)が挙げられる。
【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられる。
より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物とを併用する場合、その比率〔式(I):式(II)〕(モル比)は任意であるが、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、とりわけ好ましくは20:80〜80:20である。
【0025】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。
)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類;
【0026】
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリール又はアラルキルエステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;
【0027】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0028】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0029】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等のスチレン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリルアミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のジエン化合物類;
3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等のオキセタニル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のテトラヒドロフリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0030】
これらのうち、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が、共重合反応性及びアルカリ溶解性の点から好ましい。
【0031】
重合体[A1]において、各単量体に由来する構造単位の比率は、重合体[A1]を構成する構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;5〜60モル%(より好ましくは10〜50モル%)
(b)に由来する構造単位;40〜95モル%(より好ましくは50〜90モル%)
重合体[A1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、得られる塗膜の耐薬品性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0032】
重合体[A1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0033】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気で、攪拌、加熱、保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、本発明の硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等を用いることができる。
【0034】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)と同一の溶剤を使用することにより、反応後の溶液を硬化性樹脂組成物の調製にそのまま使用することができ、硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0035】
重合体[A2]において、各単量体に由来する構造単位の比率は、重合体[A2]を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは1〜60モル%)
また、(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位との合計は、重合体[A2]を構成する全構造単位の合計モル数に対して、70〜99モル%が好ましく、90〜99モル%がより好ましい。
重合体[A2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、得られる塗膜の耐薬品性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
重合体[A2]は、重合体[A1]と同様の方法により製造することができる。
【0036】
重合体[A1]の具体例としては、(メタ)アクリル酸/式(I−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−7)の共重合体、クロトン酸/式(I−1)の共重合体、クロトン酸/式(I−2)の共重合体、クロトン酸/式(I−3)の共重合体、クロトン酸/式(I−4)の共重合体、クロトン酸/式(I−5)の共重合体、クロトン酸/式(I−6)の共重合体、クロトン酸/式(I−7)の共重合体、クロトン酸/式(I−8)の共重合体、クロトン酸/式(I−9)の共重合体、クロトン酸/式(I−10)の共重合体、クロトン酸/式(I−11)の共重合体、クロトン酸/式(I−12)の共重合体、クロトン酸/式(I−13)の共重合体、クロトン酸/式(I−14)の共重合体、クロトン酸/式(I−15)の共重合体、クロトン酸/式(II−1)の共重合体、クロトン酸/式(II−2)の共重合体、クロトン酸/式(II−3)の共重合体、クロトン酸/式(II−4)の共重合体、クロトン酸/式(II−5)の共重合体、クロトン酸/式(II−6)の共重合体、クロトン酸/式(II−7)の共重合体、クロトン酸/式(II−8)の共重合体、クロトン酸/式(II−9)の共重合体、クロトン酸/式(II−10)の共重合体、クロトン酸/式(II−11)の共重合体、クロトン酸/式(II−12)の共重合体、クロトン酸/式(II−13)の共重合体、クロトン酸/式(II−14)の共重合体、クロトン酸/式(II−15)の共重合体、マレイン酸/式(I−1)の共重合体、マレイン酸/式(I−2)の共重合体、マレイン酸/式(I−3)の共重合体、マレイン酸/式(I−4)の共重合体、マレイン酸/式(I−5)の共重合体、マレイン酸/式(I−6)の共重合体、マレイン酸/式(I−7)の共重合体、マレイン酸/式(I−8)の共重合体、マレイン酸/式(I−9)の共重合体、マレイン酸/式(I−10)の共重合体、マレイン酸/式(I−11)の共重合体、マレイン酸/式(I−12)の共重合体、マレイン酸/式(I−13)の共重合体、マレイン酸/式(I−14)の共重合体、マレイン酸/式(I−15)の共重合体、マレイン酸/式(II−1)の共重合体、マレイン酸/式(II−2)の共重合体、マレイン酸/式(II−3)の共重合体、マレイン酸/式(II−4)の共重合体、マレイン酸/式(II−5)の共重合体、マレイン酸/式(II−6)の共重合体、マレイン酸/式(II−7)の共重合体、マレイン酸/式(II−8)の共重合体、マレイン酸/式(II−9)の共重合体、マレイン酸/式(II−10)の共重合体、マレイン酸/式(II−11)の共重合体、マレイン酸/式(II−12)の共重合体、マレイン酸/式(II−13)の共重合体、マレイン酸/式(II−14)の共重合体、マレイン酸/式(II−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−15)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−2)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−3)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−4)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−5)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−6)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−7)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−8)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−9)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−10)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−11)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−12)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−13)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−14)の共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−15)の共重合体等が挙げられる。
【0037】
重合体[A2]の具体例としては、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−2)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−3)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−4)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−5)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−6)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−7)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−8)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−9)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−10)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−11)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−12)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−13)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−14)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−15)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−2)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−3)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−4)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−5)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−6)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−7)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−8)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−9)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−10)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−11)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−12)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−13)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−14)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−15)/メチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/マレイン酸ジエチルの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/マレイン酸ジエチルの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミドの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(I−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(I−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、クロトン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、マレイン酸/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸無水物/式(II−1)/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸/式(II−1)/メチル(メタ)アクリレート/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレンの共重合体等が挙げられる。
【0038】
重合体(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜25,000であり、特に好ましくは5,000〜15,000である。重合体(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向がある。
【0039】
重合体(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、得られる塗膜は耐薬品性に優れる傾向がある。
【0040】
重合体(A)の酸価は、好ましくは30mg−KOH/g以上180mg−KOH/g以下であり、より好ましくは40mg−KOH/g以上150mg−KOH/g以下、特に好ましくは50mg−KOH/g以上135mg−KOH/g以下である。ここで酸価は重合体1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。重合体(A)の酸価が、前記の範囲にあると、得られる塗膜は基板との密着性に優れる傾向がある。
【0041】
重合体(A)の含有量は、重合体(A)の含有量とエポキシ樹脂(B)の含有量との合計量に対して、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%である。
重合体(A)の含有量が、前記の範囲内にあると、得られる塗膜は基板との密着性及び耐薬品性が良好になる傾向がある。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びグリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(B)(以下「エポキシ樹脂(B)」という場合がある)を含む。
【0043】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、グリシジルエーテル構造を有するエポキシ樹脂であって、フェノール類や多価アルコール等とエピクロルヒドリンとを反応させることにより合成できる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0044】
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、グリシジルエステル構造を有するエポキシ樹脂であって、フタル酸誘導体や脂肪酸等のカルボキシ基とエピクロルヒドリンとを反応させることにより合成される。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)は、芳香族エポキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることが好ましい。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0046】
上記のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、従来公知の方法を用いて、対応するフェノール類とエピクロルヒドリンとを強アルカリの存在下で縮合させることにより合成することができる。かかる反応は、当業者に従来公知の方法により行うことができる。
また、市販品を用いてもよい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、JER157S70、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1010、エピコート828(三菱化学(株)製)等を用いることができる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、エピコート807(三菱化学(株)製)、YDF−170(東都化成(株)製)等を用いることができる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、 エピコート152、エピコート154(三菱化学(株)製)、EPPN−201、PPN−202(日本化薬(株)製)、DEN−438(ダウケミカル社製)等を用いることができる。o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、EOCN−125S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027(日本化薬(株)製)、等を用いることができる。ポリフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、エピコート1032H60、エピコートYX−4000(三菱化学(株)製)等を用いることができる。
【0047】
エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、好ましくは100〜500g/eqであり、より好ましくは150〜400g/eqである。ここで、エポキシ当量は、エポキシ基1個あたりのエポキシ樹脂の分子量により定義される。エポキシ当量は、例えば、JIS K7236に規定された方法により測定することができる。
【0048】
エポキシ樹脂(B)の酸価は、通常、30mg−KOH/g未満であり、10mg−KOH/g以下であることがより好ましい。
また、エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は、好ましくは300〜10,000、より好ましくは400〜6,000、さらに好ましくは500〜4,800である。
【0049】
エポキシ樹脂(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜67質量部である。エポキシ樹脂(B)の含有量が前記の範囲にあると、塗膜の平坦性に優れる傾向がある。
【0050】
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるイミダゾール化合物(以下「イミダゾール化合物(C)という場合がある)を含んでなる。
【0051】
【化7】

〔式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表す。
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。〕
【0052】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヘプタデシル基、ウンデシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4である。
炭素数2〜5のシアノアルキル基としては、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基等が挙げられる。
【0053】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストリル基及びステアロイル基等が挙げられる。
【0054】
は、好ましくは水素原子、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基であり、より好ましくはベンジル基である。
は、好ましくは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基である。
及びRは、好ましくは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。
〜Rがこれらの基であると、数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の直径が小さくなり、かつ得られる塗膜の耐熱性にも優れる傾向がある。
【0055】
イミダゾール化合物(C)としては、例えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、5−ヒドロキシメチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−ヒドロキシメチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−2−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−4−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−(p−ヒドロキシフェニル)イミダゾール、1−シアノメチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、1−シアノメチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノメチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノメチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。中でも1−ベンジル−4−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましい。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
イミダゾール化合物(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上25質量部以下、より好ましくは3質量部以上20質量部以下である。イミダゾール化合物(C)の含有量が、前記の範囲内にあると、数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の直径が小さくなる傾向がある。
イミダゾール化合物(C)の含有量は、さらに好ましくは3質量部以上15質量部以下である。イミダゾール化合物(C)の含有量が、この範囲内にあると、得られる塗膜の耐熱性にも優れる傾向がある。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物は、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基(以下、「(メタ)アクリロイル基」という場合がある)を有する化合物(D)(以下、「(メタ)アクリル化合物(D)」という場合がある)を含むことが好ましい。(メタ)アクリル化合物(D)を含むことにより、得られる塗膜は耐薬品性に優れる傾向がある。
【0058】
(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物(D)としては、前記(a)、(b)及び(c)として挙げた化合物と同じものが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0059】
(メタ)アクリロイル基を2つ有する(メタ)アクリル化合物(D)としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】
(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する(メタ)アクリル化合物(D)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物等が挙げられる。
(メタ)アクリル化合物(D)としては、(メタ)アクリルロイル基を3つ以上有する(メタ)アクリル化合物(D)が好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0061】
(メタ)アクリル化合物(D)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは25〜70質量部である。(メタ)アクリル化合物(D)の含有量が、前記の範囲にあると、得られる塗膜の平滑性、信頼性及び機械強度が良好になる傾向がある。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤(E)を含むことが好ましい。
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0063】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0064】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0065】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0066】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0067】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0068】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0069】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール及びこれらを含む混合溶剤が好ましい。
【0071】
硬化性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜95質量%である。言い換えると、硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。ここで、固形分とは、硬化性樹脂組成物から溶剤(E)を除いた量のことをいう。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、硬化性樹脂組成物を塗布した膜の平坦性が高い傾向がある。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物は酸化防止剤(F)を含むことが好ましい。酸化防止剤(F)としては、例えば、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。IRGANOX(登録商標)3114(BASFジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0073】
酸化防止剤(F)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であり、0.5質量部以上3質量部以下が好ましい。酸化防止剤(F)の含有量が上記の範囲内であると、得られる塗膜は耐熱性及び鉛筆硬度に優れる傾向がある。酸化防止剤(F)の含有量が5質量部を超えると、鉛筆硬度が低下するおそれがある。
【0074】
本発明の硬化性樹脂組成物は界面活性剤(G)を含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0075】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0076】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、フロリナート(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F552、同F553、同F554、同F555、同F556、同F558、同F559、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0077】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。好ましくはメガファック(登録商標)F475が挙げられる。
【0078】
界面活性剤(G)は、硬化性樹脂組成物に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。界面活性剤をこの範囲で含有することにより、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0079】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、その他の高分子化合物、熱ラジカル発生剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、密着促進剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0080】
充填剤としては、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
その他の高分子化合物として、マレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂やポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0081】
熱ラジカル発生剤として具体的には、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−スルファニルプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0082】
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を実質的に含有しない。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、組成物全体に対する光重合開始剤の含有量は、例えば、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満である。光重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びオキシム化合物等が挙げられる。
【0083】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、顔料および染料などの着色剤を実質的に含有しない。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、組成物全体に対する着色剤の含量は、例えば、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満である。
【0084】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、光路長が1cmの石英セルに充填し、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で透過率を測定した場合、平均透過率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0085】
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗膜とした際に、塗膜の平均透過率が好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。この平均透過率は、加熱硬化(例えば、100〜250℃、5分〜3時間)後の厚みが3μmの塗膜に対して、分光光度計を使用して、測定波長400〜700nmの条件下で測定した場合の平均値である。これにより、可視光領域での透明性に優れた塗膜を提供することができる。
【0086】
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及びイミダゾール化合物(C)、必要に応じて(メタ)アクリル化合物(D)や溶媒、その他の添加剤等を、従来公知の方法により攪拌しながら混合することにより製造することができる。混合後は、孔径0.05〜1.0μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物により形成される塗膜は、本発明の硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、熱により硬化させることにより作製することができる。
基板としては、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられ、基板上にカラーフィルタ、各種絶縁膜又は導電膜、駆動回路等が形成されていてもよい。
スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコータ、ディップコーター等の種々の塗布装置を用いて、本発明の硬化性樹脂組成物を基板上に塗布することができる。
【0088】
塗布後、真空乾燥やプリベークを行い、溶剤等の揮発成分を除去することが好ましい。
揮発成分を除去した塗膜を150〜240℃で、10〜120分のポストベークを施すことにより、塗膜を形成することができる。
【0089】
このようにして得られる塗膜は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置や電子ペーパーに使用されるオーバーコートとして有用である。また、タッチパネル等の表示装置用部材にも用いることができる。これにより、高品質の塗膜を備えた表示装置を、高い歩留りで製造することが可能である。
【実施例】
【0090】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0091】
(合成例1)
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル140部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いでメタクリル酸40部;並びに単量体(I−1)及び単量体(II−1)の混合物{混合物中の単量体(I−1):単量体(II−1)のモル比=50:50}360部を、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル190部に溶解させた溶液を調製し、この溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0092】
【化8】

【0093】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル240部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、70℃で4時間保持し、その後室温まで冷却して、固形分42.3%の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量(Mw)は8000、分子量分布(Mw/Mn)は1.91、酸価は60mg−KOH/g(固形分換算の酸価)であった。樹脂Aaは、以下の構造単位を有する。
【化9】

【0094】
(合成例2)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部;並びに単量体(I−1)及び単量体(II−1)の混合物{混合物中の単量体(I−1):単量体(II−1)のモル比=50:50}240部を、3−メトキシブチルアセテート140部に溶解させた溶液を調製し、この溶液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を3−メトキシブチルアセテート225部に溶解させた溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤溶液の滴下が終了した後、70℃で4時間保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6%の共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量(Mw)は13,400、分子量分布(Mw/Mn)は2.50、酸価は113.9mg−KOH/g(固形分換算の酸価)であった。樹脂Abは、以下の構造単位を有する。
【化10】

【0095】
得られた樹脂Aa及び樹脂Abの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0096】
(実施例1〜8及び比較例1)
表1の成分を混合して、硬化性樹脂組成物を得た。
【0097】
【表1】

【0098】
表1中、断りない限り、単位は「部」である。重合体(A)の含有部数は、固形分換算の質量部を表す。
重合体(A):Aa:合成例で得られた樹脂Aa
重合体(A):Ab:合成例で得られた樹脂Ab
エポキシ樹脂(B):Ba:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER157S70;三菱化学(株)製)(酸価:0.1mgKOH/g、エポキシ当量:210g/eq)
イミダゾール化合物(C):Ca:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(キュアゾール1B2PZ;四国化成工業(株)製)
【化11】

イミダゾール化合物(C):Cb:1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール2E4MZ-CN;四国化成工業(株)製)
【化12】

イミダゾール化合物(C):Cc:2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール2E4MZ;四国化成工業(株)製)
【化13】

(メタ)アクリル化合物(D):Da:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製)
酸化防止剤(F):Fa:1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(IRGANOX(登録商標)3114;BASFジャパン(株)製)
溶剤(E):Ea:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(E):Eb:3−メトキシ−1−ブタノール
溶剤(E):Ec:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
溶剤(E):Ed:3−エトキシエチルプロピオネート
溶剤(E):Ee:3−メトキシブチルアセテート
溶剤(E)は、硬化性樹脂組成物の固形分量が表1の「固形分量(%)」となるように混合し、溶剤(E)中の溶剤成分(Ea)〜(Ee)の値は、溶剤(E)中の質量比を表す。
【0099】
<粘度測定>
得られた硬化性樹脂組成物について、それぞれ、粘度計(機種;TV-30;東機産業(株)製)を用いて、粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0100】
<硬化性樹脂組成物の透過率>
得られた硬化性樹脂組成物について、それぞれ、紫外可視近赤外分光光度計(V−650;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0101】
<塗膜の透過率>
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)を、中性洗剤、水およびイソプロピルアルコールで順次洗浄してから乾燥させた。このガラス基板上に、硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が2.0μmになるようにスピンコートし、次にクリーンオーブン中、90℃で10分間プリベークした。その後、230℃で40分間ポストベークして塗膜を得た。得られた塗膜について、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0102】
<異物上の円錐状突起の測定>
直径8μmのアクリルビーズ(商品名:エポスターYS77;(株)日本触媒製)をトルエンに分散し、0.01%分散液を作成した。15cm角のガラス基板に形成されたクロム薄膜上に、スピンコーターで該分散液を塗布し、アクリルビーズが点在した試験用基板を得た。
該試験用基板に、得られた硬化性樹脂組成物を、それぞれ、スリットダイコーター(卓ダイ-100伊藤忠産機(株)製)を用いて、硬化後の膜厚が1.5μmになるような条件で、かつ塗布速度70mm/秒で塗布した。その後、減圧乾燥機(VCDマイクロテック(株)製)で、減圧度が0.5torrに到達するまで乾燥させた。ホットプレート上、90℃で2分間プリベークしてさらに乾燥させた後、230℃で40分間ポストベークを行い、塗膜を形成した。
【0103】
得られた塗膜には、下地の試験用基板上に点在するアクリルビーズを中心に、円錐状突起が形成されていた。該突起を偏光顕微鏡(×100倍)で観察し、アクリルビーズを中心にした同心円状に観察されるニュートンリングの最外周の直径を測定した。最外周の直径を円錐状突起の直径とした。結果を表2に示す。
【0104】
<耐熱性評価>
得られた硬化性樹脂組成物を、それぞれ、スリットダイコーター(卓ダイ-100伊藤忠産機(株)製)を用いて、硬化後の膜厚が2.0μmになるような条件で、かつ塗布速度120mm/秒で塗布した。その後、減圧乾燥機(VCDマイクロテック(株)製)で、減圧度が0.5torrに到達するまで乾燥させた。ホットプレート上、90℃で2分間プリベークしてさらに乾燥させた後、230℃で40分間ポストベークを行い、塗膜を作製した。該塗膜を、240℃のクリーンオーブン中に4時間加熱し、加熱前後の透過率を測定した。得られた測定値から次式に従って透過率変化を求めた。透過率変化が92%以上であると、耐熱性は良好であると判断できる。結果を表2に示す。
透過率変化(%)=T/T×100
[式中、Tは400nmにおける加熱前の透過率を表し、Tは400nmにおける加熱後の透過率を表す。]
【0105】
【表2】

【0106】
上記の結果より、本発明の硬化性樹脂組成物によれば、異物が存在する基板上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の径は小さいものであった。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物から得られた塗膜は、耐熱性が高いことが確認された。このことから、本発明の硬化性樹脂組成物から得られた塗膜は、表示不良の少ない液晶表示装置の製造に有用であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、数μm程度の異物が存在するカラーフィルタ上に塗膜を形成しても、異物上に形成される円錐状突起の径が小さい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性樹脂組成物:
(A)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、オキシラニル基を有する不飽和化合物に由来する構造単位とを含む付加重合体
(B)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びグリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂
(C)式(1)で表される化合物
【化1】

[式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数2〜5のシアノアルキル基を表し、
〜Rは、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ニトロ基又は炭素数1〜20のアシル基を表し、該アルキル基及び該フェニル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい]。
【請求項2】
(C)の含有量が、(A)100質量部に対して1質量部以上25質量部以下である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)の含有量が、(A)の含有量と(B)の含有量との合計に対して、50質量%以上99質量%以下である請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物を含む請求項1〜3のいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物により形成される塗膜。
【請求項6】
請求項5記載の塗膜を含む表示装置。

【公開番号】特開2013−10939(P2013−10939A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117865(P2012−117865)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】