説明

硬化性組成物、その硬化物

【課題】 低粘度、低収縮、機械的強度、及び液貯蔵安定性に優れた硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 脂環式骨格を含むモノ(メタ)アクリル酸エステル(A)、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)、メタクリル酸アリル(c1)6〜50質量%および分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)50〜94質量%を重合してなる重合体微粒子(C)、並びに光重合開始剤(D)を含有する硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低粘度、低収縮、機械的強度、及び液貯蔵安定性に優れた硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線、電子線、可視光線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、耐擦傷性、耐薬品性等に優れた被膜を与えるので、各種表面加工分野等に広く利用されている。
【0003】
しかしながら、一般に活性エネルギー線硬化性化合物は、硬化時の体積収縮が大きいため、基材に対する密着性が乏しい、硬化物の寸法精度が劣るという問題がある。
【0004】
体積収縮率を下げる方法として、分子量の大きいオリゴマーを添加する手法が用いられている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この手法においては活性エネルギー線硬化性組成物の初期粘度を下げることや、その硬化物の機械的強度を増すことが望まれていた。また、有機や無機の微粒子を添加する手法も用いられている(例えば、特許文献2、3、4)。しかしながら、それらの手法においては、硬化性組成物の増粘を軽減することや、微粒子の沈降を軽減することが望まれていた。
【特許文献1】特開平7−18037号公報
【特許文献2】特開2001−294604号公報
【特許文献3】特開平10−279819号公報
【特許文献4】特開平7−252321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低粘度、低収縮、機械的強度、及び液貯蔵安定性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、脂環式骨格を含むモノ(メタ)アクリル酸エステル(A)、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)、メタクリル酸アリル(c1)6〜50質量%および分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)50〜94質量%を重合してなる重合体微粒子(C)、並びに光重合開始剤(D)を含有する硬化性組成物である。
【0007】
また、本発明は前述の硬化性組成物の硬化物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性組成物は、低粘度、低収縮、機械的強度、及び液貯蔵安定性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
【0010】
尚、本発明において「(メタ)アクリル酸エステル」とは「アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル」を、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは「アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基」を意味する。
【0011】
本発明の硬化性組成物を構成する脂環式骨格を含むモノ(メタ)アクリル酸エステル(A)(以下「成分(A)」という)は、硬化性組成物を低粘度化する成分であり、またその硬化物の体積収縮を抑え、機械的強度を向上させる成分である。
【0012】
成分(A)としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル−3−(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0013】
前記化合物の中で、得られる硬化性組成物が低粘度となることから、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルは特に好ましい。
【0014】
本発明において、成分(A)の含有量は特に限定されない。その中でも、成分(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)合計100質量%中、5〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0015】
成分(A)の含有量が5質量%以上である場合には、硬化性組成物を低粘度化することができ、また45質量%以下である場合には、得られる硬化物の機械的強度が優れる。
【0016】
本発明の硬化性組成物を構成する分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)(以下「成分(B)」という)は、硬化性組成物に速硬化性を付与する成分である。
【0017】
成分(B)としては、例えばウレタン(メタ)アクリレート(b1)、3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル(b2)、ジ(メタ)アクリル酸エステル(b3)、モノ(メタ)アクリル酸エステル(b4)、ビニルエーテル(b5)、アリル化合物(b6)、アクリルアミド化合物(b7)等が挙げられる。
【0018】
成分(b1)は、ポリイソシアネートと多価アルコールと水酸基含有(メタ)アクリレートから合成される。成分(b1)のウレタン(メタ)アクリレートを構成するポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0019】
前記化合物の中で、硬化物に優れた機械的強度を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが好ましい。
【0020】
成分(b1)のウレタン(メタ)アクリレートを構成する多価アルコールとしては、市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類;ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド等の多価アルコール類;これら多価アルコール類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテル変性ポリオール類:これら多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類又はこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;これら多価アルコール類及び多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルポリオール類;1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のジオール類と、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル類とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオール類;ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
これらの中でも、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール類、アミドジオール類及びポリカーボネートジオール類は、得られる成分(b1)を含む組成物の硬化物が機械的強度に優れることから、特に好ましい。
【0022】
成分(b1)のウレタン(メタ)アクリレートを構成する水酸基含有(メタ)アクリレートは、具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び分子内に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートであればよい。具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトンの付加物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
これらの中で、得られる成分(b1)が低粘度となることから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0024】
成分(b2)としての3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルを反応させたウレタントリ(メタ)アクリル酸エステル、有機ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステルとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが上げられる。
【0025】
成分(b3)としてのジ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリセリンジ(メタ)アクリル酸エステル、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(付加数n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル等のジ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0026】
成分(b4)としてのモノ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリル酸エステル、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のモノ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0027】
成分(b5)としてのビニルエーテルの具体例としては、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテルが挙げられる。
【0028】
成分(b6)としてのアリル化合物の具体例としては、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物が挙げられる。
【0029】
成分(b7)としてのアクリルアミド化合物の具体例としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
これらの他、酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;フタル酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリスグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の分子内にエポキシ基を有するポリエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られるエポキシポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0031】
これらは、一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0032】
これらの中でも、ビスフェノールAグリシジルエーテルとアクリル酸との付加物、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートは、得られる硬化物に優れた機械的強度を付与できることから特に好ましい。
【0033】
本発明において、成分(B)の含有量は特に限定されない。その中でも、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量%中、45〜54質量%が好ましく、47〜52質量%部が更に好ましい。
【0034】
成分Bの含有量が45質量%以上である場合には、硬化性組成物の硬化性が向上し、54質量%以下である場合には、得られる硬化物の機械的強度が向上する。
【0035】
本発明の硬化性組成物を構成するメタクリル酸アリル(c1)6〜50質量%および分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)50〜94質量%を重合してなる重合体微粒子(C)(以下「成分(C)」という)は、硬化物に低収縮性を付与する成分である。
【0036】
成分(C)は、メタクリル酸アリル(c1)6〜50質量%と分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)50〜94質量%をラジカル重合することによって得られる微粒子である。
【0037】
成分(C)は、従来から知られる乳化重合法、懸濁重合法、懸濁乳化重合法等のラジカル重合法により得られるが、成分(C)が硬化性組成物に容易に分散する粒子径を得るためには乳化重合法で得るのがより好ましい。乳化重合法は特に限定されず、乳化重合法としては一括混合重合法、モノマー滴下法、プレエマルション法、シード重合法、多段階(コアシェル)重合法等、いずれも採用可能である。その粒子構造としては、単一構造、コア/シェル構造、複層構造等が挙げられる。
【0038】
成分(C)を構成する、メタクリル酸アリル(c1)(以下、成分(c1)と記す)は、微粒子内部に対する成分(A)及び成分(B)の浸透を抑え、硬化性組成物の増粘を防ぐため用いられる成分である。
【0039】
また、成分(C)を構成する、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)(以下、成分(c2)と記す)は、用途や要求性能を考慮して、適宜選択すればよい。その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸フェニル、等の(メタ)アクリル酸エステル類、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、グリセリントリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドグリセリントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル類、多塩基酸[フタル酸、アジピン酸等]と、多価アルコール[エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等]と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート類、グリシジルエーテル化合物[ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等]に(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシポリ(メタ)アクリレート類、イソシアネート化合物[ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等]に、水酸基を持つ(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等]を反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類、アジピン酸ジビニル、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニル化合物、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート等の(メタ)アリル化合物等が挙げられる。これらは一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリアリルイソシアヌレートは、重合時に発生するカレットが少ないので好ましい。
【0041】
本発明において、微粒子(C)を構成する、成分(c1)の構成比率は、成分(c1)と成分(c2)の合計量100質量%のうち、6〜50質量%の範囲、特に好ましくは10〜45質量%の範囲である。また、成分(c2)の構成比率は、成分(c1)と成分(c2)の合計量100質量%のうち、50〜94質量%の範囲、特に好ましくは55〜90質量%の範囲である。
【0042】
成分(c1)と成分(c2)の合計量に対する成分(c1)の構成比率が6質量%以上の場合には、微粒子の架橋密度が高くなり、得られた成分(C)を成分(A)及び成分(B)に分散させた際に、微粒子内部に成分(A)及び成分(B)が浸透しにくく、硬化性組成物が増粘しない傾向にある。また、成分(c1)と成分(c2)の合計量に対する成分(c1)の構成比率が50質量%以下の場合には、重合時に発生するカレットが少ない。
【0043】
成分(C)の一次粒子径は、その体積平均径が10〜1000nmの範囲内にあることが好ましく、300〜800nmの範囲内にあることが更に好ましい。平均一次粒子径が10nm以上であると、活性エネルギー線硬化性組成物の粘度上昇のおそれが少なくなる。また、平均一次粒径が1000nm以下であると、硬化物の外観がより良好になる傾向にある。
【0044】
乳化重合法等により得られた成分(C)の乾燥方法は特に限定されず、乾燥方法としては例えば、凝固、洗浄、乾燥により微粉化する方法、スプレー乾燥(噴霧乾燥)法などが挙げられる。特に、硬化後の塗膜外観が良好となる点で、スプレー乾燥法が好ましい。
【0045】
成分(C)を硬化性組成物中に分散させる方法は、特に限定されない。例えば、成分(A)と成分(B)及び成分(C)を混合した後、ホモディスパー、ディゾルバー、三本ロール、ボールミル等、任意の分散機を用いて分散させることができる。
【0046】
成分(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)合計100質量%中、1〜50質量%が好ましく、3〜43質量%が更に好ましい。
【0047】
成分(C)の含有量が1質量部以上である場合には、硬化物に低収縮性を付与することができ、50質量部以下である場合には、活性エネルギー線硬化性組成物の粘度が高くなりすぎない。
【0048】
本発明の硬化性組成物を構成する光重合開始剤(D)(以下「成分D」という)の具体例としては、特に限定されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0049】
その中でも、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9−フェニルアクリジン;等が挙げられる。これらは一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
これらの中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドは、硬化性良好であることから好ましい。
【0051】
本発明において、成分(D)の含有量は特に限定されない。その中でも、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。
【0052】
成分(D)の含有量が0.1質量部以上である場合には、得られる硬化物の硬化性が向上し、8質量部以下である場合には、硬化物に残る臭気が軽減される傾向にある。
【0053】
さらに、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を添加することもできる。その他、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、有機溶剤、顔料、染料、シランカップリング剤等、公知の添加剤を添加することもできる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
また、実施例中の評価は下記評価方法に基づいて行った。
【0055】
[評価方法]
[平均一次粒子径]
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−910)を用いて、水を分散媒として、重合体微粒子の体積平均一次粒子径を測定した。なお、重合体微粒子が二次凝集している場合は、超音波を5分照射した後に測定を行った。
【0056】
[初期粘度]
得られた硬化性組成物の25℃におけるE型粘度を測定し、以下の評価基準に従い評価した。
○:10000mPa・s 未満
△:10000以上15000mPa・s未満
×:15000mPa・s 以上
【0057】
[10日後の粘度]
23℃、湿度50%環境下にて10日間保管後、E型粘度を測定し、以下の基準で判定した。
○:「10日後の粘度」−「初期粘度」が、1000mPa・s未満の場合
×:「10日後の粘度」−「初期粘度」が、1000mPa・s以上の場合
【0058】
[硬化収縮率]
得られた硬化性組成物の液比重と硬化物比重の差による硬化収縮を測定し、以下の評価基準に従い評価した。
○:5.0%未満
×:5.0%以上
【0059】
[機械的物性(ヤング率)]
得られた硬化物から、10mm×100mm×100μmの試験片を切り出し、標線間距離を50mm、引張速度20mm/分とすること以外は、JIS K7127−1989に準拠し、23℃、相対湿度50%の環境下において、ヤング率(単位:MPa)を測定した。
○:1000MPa以上
×:1000MPa未満
【0060】
《合成例1》ウレタンアクリレート(UA−1:成分(B))の製造
5Lの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート1834g及びジブチル錫ジオクテート0.8mlを仕込んで水浴中でフラスコ内温が40℃になるように加熱した。ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名プラクセル205、数平均分子量530)1162g及びN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド90.8gを側管付きの滴下ロートに仕込んだ。この滴下ロート内の液を、4つ口フラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を40℃に保ちながら4時間等速で滴下し、更に同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0061】
次いで、フラスコ内容物の温度を75℃に上げ、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート1278g及びハイドロキノンモノメチルエーテル2.2gの混合溶液を、フラスコ内温を75℃に保ちながら2時間等速で滴下した。更にフラスコ内容物の温度を75℃に保って4時間反応させて、ウレタンアクリレートUA−1を製造した。
【0062】
《合成例2》ウレタンアクリレート(UA−2:成分(B))の製造
イソホロンジイソシアネート1555.4g、ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名プラクセル205、数平均分子量530)1830gとしたこと以外は合成例1と同様に2時間攪拌して反応させた。
【0063】
次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート814g、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.1gとしたこと以外は合成例1と同様に4時間反応させてウレタンアクリレートUA−2を製造した。
【0064】
《合成例3》重合体微粒子(C−1)の製造
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗及び冷却管を備えた2リットルの4つ口フラスコに、純水490部を入れ、30分間十分に窒素ガスをバブリングし、純水中の溶存酸素を置換した。次に、窒素ガスをフローに変えた後、メタクリル酸メチル(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)18.9部及びメタクリル酸アリル(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルA」)2.1部を入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、純水56部に過硫酸カリウム1.4部を溶解して得た溶液をフラスコ内に一度に添加し、重合を開始させた。その後、80℃にて60分攪拌し、シード粒子分散液を得た。
【0065】
次いで、このシード粒子分散液に、メタクリル酸メチル630.0部、メタクリル酸アリル(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルA」)70.0部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王製、商品名「ペレックスOTP」)7.0部及び純水840.0部を混合攪拌して乳化して得たモノマー乳化液を3.5時間かけて滴下し、引き続き80℃にて1時間攪拌して、2段重合粒子の重合体分散液を得た。
【0066】
この分散液を大川原化工機(株)製CL−8型スプレードライヤーを用いて、入口温度170℃、出口温度75℃、アトマイザ回転数25000rpmの条件で噴霧乾燥して重合体微粒子(C−1)を得た。
【0067】
《合成例C−2〜C−5》
シード粒子用以外の滴下モノマーをそれぞれ表1に記載の組成に変更したこと以外は、(C−1)と同様にして重合体微粒子(C−2)〜(C−5)を製造した。なお、モノマーに対する乳化剤の添加量、モノマーの滴下速度、噴霧乾燥の条件などは重合体微粒子(C−1)の場合と同一である。
【0068】
[実施例1]
(1)硬化性組成物の調製
成分(A)として4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートを40質量部、成分(B)として合成例1で得られたUA−1を50質量部、成分(C)として合成例3で得られたC−1を10質量部、成分(D)としてベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャルティケミカルズ製、商品名:Irg651)3質量部をそれぞれ混合攪拌して硬化性組成物を得た。
【0069】
(2)硬化物の作製
得られた硬化性組成物を、膜厚100μmになるようアプリケーターにてガラス基板上に塗装し、80Wの高圧水銀灯3本、ランプ高さ20cm、コンベア速度6m/分、照度100mW/cmの条件で紫外線を照射し、塗膜を硬化させた。
【0070】
(3)評価
得られた硬化物について前述した各種評価方法に準じて評価を行い、その評価結果を表2に示した。
【0071】
[実施例2〜7、比較例1〜5]
表2に示す化合物及び組成とすること以外は、実施例1と同様にして組成物及び硬化物を得た。また評価も実施例1と同様にして行い、その結果を表2に示した。
【表1】

【0072】
表1中の組成物欄に記載する略号は、以下の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル
AMA:メタクリル酸アリル
EDMA:ジメタクリル酸エチレングリコール
【表2】

【0073】
表1中の組成物欄に記載する略号は、以下の通りである。
TBCHA:4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート
FA−513A:ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業(株)製)
UA−1:合成例1で得られたウレタンアクリレート
UA−2:合成例2で得られたウレタンアクリレート
UK−6105:エポキシアクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤビームUK−6105)
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート
DCPA:ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート
BDK:ベンジルジメチルケタール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式骨格を含むモノ(メタ)アクリル酸エステル(A)、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(A)以外のエチレン性不飽和化合物(B)、メタクリル酸アリル(c1)6〜50質量%および分子内に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を持つ(c1)以外のエチレン性不飽和化合物(c2)50〜94質量%を重合してなる重合体微粒子(C)、並びに光重合開始剤(D)を含有する硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物。

【公開番号】特開2009−161665(P2009−161665A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1095(P2008−1095)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】