説明

硬化性組成物

【課題】耐候性が良好で特に優れた表面耐候性を有する硬化物が得られ、建築用シーリング材として好適する硬化性組成物を得る。
【解決手段】本発明の硬化性組成物は、(A)Mnが4,000以上であるウレタン結合を有する反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を主体とし、(B)トリアジン系紫外線吸収剤を必須成分として含有する。(B)トリアジン系紫外線吸収剤とともに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を併用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性に優れシーリング材として好適する硬化性組成物に係り、特に、紫外線吸収性に優れたトリアジン系化合物を含有し、表面耐候性に優れた硬化物を提供する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、反応性ケイ素基、すなわち水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基であって、シロキサン結合を形成し得る基を含有する有機重合体を、シーリング材のベース成分として使用することが行われている。このような変成シリコーン系シーリング材は、耐候性や耐久性が優れているので、需要が着実に伸長している。
【0003】
分子中に反応性ケイ素基とともに少なくとも1個のウレタン結合を有する有機重合体は、従来から各種の合成方法が提案されており、機械的特性や耐水性などにおいてシーリング材として優れた特性を有することが知られている。(特許文献1、特許文献2参照)
【0004】
しかし、このような反応性ケイ素基含有重合体は、分子中に含有するウレタン結合などに起因し、硬化物表面の耐候性が不良であるという問題があった。そのため、表面の耐候性が重要視される建築用のシーリング材としては、実用化されていないのが現状であった。
【特許文献1】特開平5−287186号公報
【特許文献2】特開2001−19842報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたもので、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を主成分とし、耐候性が良好で特に優れた表面耐候性を有する硬化物が得られ、建築用シーリング材として好適する硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の化学構造を有する紫外線吸収剤が表面耐候性の向上に極めて有効であり、さらに酸化防止剤を併用することで特異的な効果を発現し、耐候性が良好で優れた表面耐候性を有するシーリング材が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の硬化性組成物は、(A)数平均分子量(Mn)が4,000以上であるウレタン結合を有する反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を主体とし、(B)トリアジン系紫外線吸収剤を必須成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性組成物によれば、ウレタン結合を有し反応性ケイ素基を含むオキシアルキレン重合体(例えば、オキシプロピレン重合体)を主成分とする組成物に、トリアジン系の紫外線吸収剤を配合することにより、優れた表面耐候性を有する硬化物を提供し、建築用のシーリング材としても使用可能な硬化性組成物を得ることができる。
【0009】
また、トリアジン系の紫外線吸収剤とともに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を併用することにより、さらに耐候性が良好で優れた表面耐候性を有する硬化性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。実施形態の硬化性組成物は、(A)数平均分子量(Mn)が4,000以上で分子中にウレタン結合を有する反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を主成分とし、(B)トリアジン系紫外線吸収剤を必須成分として含有している。
【0011】
(A)成分であるウレタン結合を有する反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体において、反応性ケイ素基としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
【化2】

【0012】
式中、RおよびRはいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または式:(RSiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが2個以上存在するとき、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のRは同一であっても異なっていてもよい。RおよびRの具体例としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、およびRがメチル基やフェニル基である式:(RSiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R、RおよびRとしてはいずれもメチル基が特に好ましい。
【0013】
Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示し、bは0、1または2を示す。さらに、下記一般式(3)で示されるm個の基におけるbは異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。
【化3】

【0014】
Xで示される加水分解性基は特に限定されず、公知の加水分解性基であればよい。具体的には、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。これらのうちで、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましい。加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点から、メトキシ基などのアルコキシ基が特に好ましい。
【0015】
この加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は1〜5であることが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。反応性ケイ素基中にケイ素原子は1個あっても2個以上あってもよい。シロキサン結合などによりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には、20個程度あってもよい。
【0016】
入手容易の点から、下記一般式(4)で表される反応性ケイ素基が特に好ましい。
【化4】

なお、式中、R、Xおよびaは、前記一般式(2)におけるものと同じである。
【0017】
反応性ケイ素基は、オキシアルキレン重合体の1分子中に少なくとも1個、より好ましくは1.1〜5個存在する。重合体1分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満である場合には、硬化性が不十分になり、良好なゴム弾性を発現することが難しい。反応性ケイ素基は、オキシアルキレン重合体の分子鎖の末端に存在しても中間部に存在してもよいが、末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれるオキシアルキレン重合体成分の網目構造が多くなるため、高強度で伸びが大きく、低弾性を示すゴム状硬化物が得られやすい。
【0018】
本発明の実施形態において、(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、官能基を有するオキシアルキレン重合体に公知の方法で反応性ケイ素基を導入することにより得ることができる。すなわち、以下に示す方法が挙げられる。
【0019】
(1)末端に水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、または不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により、不飽和基含有オキシアルキレン重合体を得る。次いで、得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0020】
(2)(1)の方法と同様にして得られた不飽和基含有オキシアルキレン重合体に、メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0021】
(3)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などの官能基(以下、Y1官能基という)を有するオキシアルキレン重合体(例えば、オキシプロピレン重合体)に、Y1官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y2官能基という)および反応性ケイ素基をそれぞれ有するケイ素化合物を反応させる。
【0022】
ここで、Y2官能基を有するケイ素化合物としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのようなメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのようなエポキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのようなビニル型不飽和基含有シラン基;γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどのような塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどのようなイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシランなどのようなハイドロシラン類などが例示される。
【0023】
このような反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン(オキシアルキレン重合体)としては、特に限定するものではないが、代表的なものを示すと、例えば、特開昭50−156599号、同54−6096号、同57−126823号、同59−78223号、同55−82123号、同55−131022号、同55−137129号、同62−230822号、同63−83131号、特開平3−47825号、同3−72527号、同3−122152号、米国特許第3,632,557号、同4,345,053号、同4,366、307号、同4,960,844号等に開示されているものが例示できる。
【0024】
本発明の実施形態においては、前記方法の中で、(1)の方法、または(3)の方法を採ることが好ましく、(3)の方法のうちで、末端に水酸基を有するオキシアルキレン重合体(ポリオキシアルキレン)とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物(例えば、イソシアネートアルコキシシラン類)とを反応させる方法を採ることが特に好ましい。
【0025】
すなわち、(1)および(2)の方法では、水酸基を不飽和基(アリル基)に変換する反応効率などが悪いばかりでなく、その後のヒドロシリル化反応やメルカプト基の付加反応による反応性ケイ素基の導入効率が低いため、反応性が低くなるおそれがある。
【0026】
これに対して、(3)の方法のうちで、末端に水酸基を有するオキシアルキレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法においては、得られるウレタン結合を含む重合体により、硬化性向上の優れた効果が得られる。なお、得られる硬化物の耐候性、特に表面耐候性の観点からは、末端に未反応の水酸基のような反応性残基が存在すると、硬化物の劣化を引き起こす要因となる。また、反応性ケイ素基導入の際にジイソシアネート化合物を使用した場合、イソシアネート基の加水分解物であるカルバミン酸、およびそれから生じるウレア基、アロハネート基が発生するおそれがあり、また直鎖状のものが得にくい、反応が制御しにくく増粘を引き起こしやすい、鎖長延長する工程を必要とするなどの煩雑さがある。さらに、含有されるウレタン結合に起因する表面耐候性不良をできるだけ減らすためにも、分子量の大きい(例えば、Mnが4,000以上)ポリオキシアルキレン重合体の末端水酸基を、イソシアネート基を含有するアルキルシラン(例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン)で直接封鎖する方法を採ることが好ましい。このような方法によれば、繁雑な工程を要することなく1段階の工程で、(A)成分であるMnが4,000以上の反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を得ることができる。
【0027】
本発明の実施形態において、(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)は、4,000以上であることが好ましく、特に6,000以上である場合に本発明の効果が顕著に達成される。
【0028】
このような反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン(オキシアルキレン重合体)としては、特に限定するものではないが、代表的なものを示すと、例えば、特開昭50−156599号、同54−6096号、同57−126823号、同59−78223号、同55−82123号、同55−131022号、同55−137129号、同62−230822号、同63−83131号、特開平3−47825号、同3−72527号、同3−122152号、米国特許第3,632,557号、同4,345,053号、同4,366、307号、同4,960,844号等に開示されているものが例示できる。
【0029】
実施形態の(A)反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体において、分子の主鎖を構成するオキシアルキレン重合体は、一般式:−(R−O)−(Rは炭素数1〜4の2価のアルキレン基を示す。)で表される。入手の容易さなどの点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するオキシプロピレン重合体の使用が好ましい。
【化5】

【0030】
このオキシプロピレン重合体は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、他の単量体などが含まれていてもよいが、上記式(1)で表される単位が、重合体中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在するものとする。
【0031】
このオキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては6,000以上のものが有効に使用されうるが、好ましくは6,000〜30,000のMnを有するものがよい。さらに、このオキシプロピレン重合体は、重量平均分子量(Mw)とMnとの比(Mw/Mn)が1.6以下であり、極めて分子量分布が狭い(単分散性が大きい)ものであることが好ましい。Mw/Mnの値はより好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。分子量分布は、各種の方法で測定可能であるが、通常ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法での測定が一般的である。このようにMnが大きいにもかかわらず分子量分布が狭いので、硬化前においては粘度が低く取扱いが容易であり、かつ硬化後においては良好なゴム状弾性を示す。
【0032】
前記式(1)で表される繰り返し単位を有する反応性ケイ素基含有のオキシプロピレン重合体は、前記したように、官能基を有するオキシプロプレン重合体に反応性ケイ素基を導入する(1)〜(3)の方法により得ることができる。なお、反応性ケイ素基を導入すると、分子量分布は導入前の重合体に比べて広がる傾向にあるので、導入前の重合体の分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。反応性ケイ素基含有のオキシプロピレン重合体の製造においても、(3)方法のうちで末端に水酸基を有するオキシプロピレン重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法と採ることが好ましい。
【0033】
本発明の実施形態においては、前記した(A)成分とともに、(B)トリアジン系紫外線吸収剤を必須成分として含有する。(B)トリアジン系紫外線吸収剤としては、トリアジン環に少なくとも1個(より好ましくは3個)のベンゼン環が結合した化学構造を有する化合物の使用が好ましい。そのようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン(TINUVIN)1577、チヌビン400、チヌビン405、チヌビン460、チヌビン479、イルガノックス(IRGANOX)565、MELAPUR MC 25、MELAPUR 200/70、イルガード(IRGAGUARD)D1071(いずれも、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社の商品名)が例示できる。
【0034】
これらの中でも、分子構造中に1級アミノ基および2級アミノ基を含まないヒドロキシフェニル系のトリアジン化合物である、チヌビン1577、チヌビン400、チヌビン405、チヌビン460、チヌビン479の使用が好ましい。
【0035】
因みに、チヌビン1577は、下記化学式
【化6】

で表される2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5―[(ヘキシル)オキシ]−フェノールであり、トリアジン環に3個のベンゼン環が結合した分子構造を有し、かつ1級および2級のアミノ基を含まないヒドロキシフェニル系のトリアジン化合物である。チヌビン400、チヌビン405、チヌビン460、チヌビン479も同様に、トリアジン環に3個のベンゼン環が結合した分子構造を有し、かつ1級および2級のアミノ基を含まないヒドロキシフェニル系のトリアジン化合物である。
【0036】
このような(B)成分であるトリアジン系紫外線吸収剤は、(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の割合で配合される。
【0037】
本発明の実施形態においては、これらのトリアジン系紫外線吸収剤とともに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用することも可能である。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用した場合には、短波長側の紫外線の吸収だけでなく長波長の紫外線の吸収も高まるので、長波長側の紫外線による劣化も防止されるという効果がある。
【0038】
使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビンP、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン360、チヌビン571、チヌビン99−2、チヌビン109、チヌビン384−2、チヌビン1130(いずれも、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社の商品名)が例示される。特に、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン571、チヌビン99−2、チヌビン109、チヌビン384−2、チヌビン1130のように、比較的分子量の大きい化合物の使用が好ましい。
【0039】
さらに、(B)トリアジン系紫外線吸収剤とともに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することができる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、ノクラック200(BHT)、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラックPBK、ノクラックNS−7,ノクラックDAH(いずれも、大内新興化学工業株式会社の商品名)、アデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50(イルガノックス−1076と同じ。)、AO−60(イルガノックス1010と同じ。)、AO−70(イルガノックス245と同じ。)、AO−80、AO−330(イルガノックス1330と同じ。)、AO−611、AO−612、AO−613、AO−616、AO−635、AO−658、A−15、AO−15、AO−18、AO−328、AO−37、AO−51(いずれも、株式会社アデカの商品名)、イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス1010、イルガノックス1076、イルガノックス1081、イルガノックス1135、イルガノックス1222、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス3790(いずれもチバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製)が例示できる。
【0040】
特に、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラックPBK、ノクラックSP−N、アデカスタブAO−20、AO−30、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330、イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス1010、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス3790の使用が好ましい。
【0041】
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、前記したトリアジン系紫外線吸収剤と同様に、分子構造中に1級アミノ基および2級アミノ基を含まないものであり、そのような構造を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。また、分子構造にチオール基およびチオエーテル基を含まないものが好ましい。さらに、雨水により抽出されにくく、酸化防止効果が長く持続するように、分子量が比較的大きいものがさらに好ましい。そのような観点から、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラックPBK、ノクラックSP−N、アデカスタブAO−20、AO−30、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330、イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス1010、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス3790の使用が好ましい。
【0042】
また、本発明の(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体との相溶性の観点から、イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス1010、イルガノックス3114、イルガノックス3790、ノクラックNS−30、ノクラックPBK、アデカスタブA−60、AO−70、AO−80、AO−330の使用が好ましい。さらに、低い蒸気圧を有するイルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス1010、イルガノックス1330、イルガノックス3114の使用が特に好ましい。
【0043】
実施形態においては、これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤を(B)成分であるトリアジン系紫外線吸収剤と併用することにより、(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体に対して、硬化物の表面耐候性を改善する特異的な効果をもたらす。トリアジン系紫外線吸収剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤は、(A)反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体100重量部に対して、それぞれ0.01〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の割合で配合される。
【0044】
本発明の実施形態においては、(A)反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体に、必要に応じて、硬化触媒、充填剤、可塑剤、およびその他各種の添加剤を配合することができる。
【0045】
硬化触媒の具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルスズアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛;オクチル酸亜鉛、ナフテン酸鉛;ビスマス化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤;などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒などが挙げられる。実施形態においては、少量で効果があり、アミン系化合物のように着色、黄変などの影響が少ない有機金属塩触媒が好ましい。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
充填剤としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックのような補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーンなどの充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充填剤が例示される。これらの充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。
【0047】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類などが例示される。これらの可塑剤は単独でまたは2種類以上の混合物の形で任意に使用することができる。
【0048】
さらにその他の添加剤としては、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などの添加剤を例示することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表す。粘度などの物性値は、全て23℃、相対湿度(RH)50%での測定値を示したものである。
【0050】
合成例1
撹拌機、滴下ロート、還流管、温度計、窒素気流装置および減圧装置を備えた3リットルの四ツ口セパラブルフラスコに、Mnが16,000のポリオキシプロピレンジオール(商品名プレミノール4016:旭硝子社製)を2000部仕込み、100℃で10〜20mmHgにおいて1時間減圧蒸留を行うことにより脱水した。次いで、これを50℃以下に冷却し、NCO/OH比が0.98になるようにγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-link35:GE東芝シリコーン社製)を50.2部投入し、窒素気流下で昇温させ、60〜70℃の温度で撹拌を8時間続けた。NCO含有率を測定したところ、0.05%(理論値0%)まで減少したので、冷却後取り出した。こうして反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーを得た。このポリマーの粘度は21,000mPa・sであった。また、Mnは18,300、Mw/Mnは1.34であった。
【0051】
合成例2
合成例1で用いたMn16,000のポリオキシプロピレンジオールの代りに、Mnが10,000であるポリオキシプロピレンジオール(商品名プレミノール4010:旭硝子社製)を使用し、NCO/OH比が0.98になるようにγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-link35)を82.4部加えて合成例1と同様にして反応を行い、NCO含有率0.06%、粘度7,000mPa・sの反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーを得た。このポリマーのMnは12,900、Mw/Mnは1.25であった。
【0052】
合成例3
Mnが4,000のポリオキシプロピレンジオール(商品名プレミノール4002:旭硝子社製)400部(0.1mol)に、NCO/OH比が0.98を示すように調整したγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-link35)を40.2部、反応触媒として60ppmのジブチルスズジラウレートをそれぞれ加え、60〜70℃で約8時間撹拌を行い、NCO含量率をほぼ0.8%まで低下させた。こうして、粘度1230mPa・sの反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーを得た。このポリマーのMnは4,690、Mw/Mnは1.19であった。
【0053】
合成例4
Mnが4,000のポリオキシプロピレンジオール(商品名プレミノール4002)400部(0.1mol)と、NCO/OH比が1.4になるように調整した4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート36部(0.144mol)との混合物に、反応触媒として60ppmのジブチルスズジラウレート、および遅延剤として20ppmのベンゾイルクロリドをそれぞれ加え、60〜70℃で約4時間撹拌を行い、NCO含量率をほぼ0.8%まで低下させた。
【0054】
次いで、このイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーに、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest Y-9669:GE東芝シリコーン社製)21.4部(0.084mol)を加え、NCO含量がゼロになるまで70〜75℃で反応させた。こうして、反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーを得た。このポリマーのMnは11,400、Mw/Mnは1.46であった。
【0055】
合成例5
撹拌機、滴下ロート、還流管、温度計、窒素気流装置および減圧装置を備えた2リットルの四ツ口セパラブルフラスコ内の空気を窒素に置換した後、このフラスコ内に、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(商品名Silquest A-2100:GE東芝シリコーン社製)764部を投入し、撹拌を行った。次いで、フラスコ内に窒素を微量流しながら、イオン交換水74部を滴下ロートから徐々にフラスコ内に加えた。発熱反応が生起するので冷却しながら、フラスコ内容物の温度を60℃以下に保つように調節した。
【0056】
イオン交換水の滴下を終了した後、フラスコ内の温度を80℃まで昇温させ、反応副生成物であるエタノールを受槽に留去した。このとき、エタノールの留去量(346部)を確認しながら、必要に応じて減圧を行った。反応終了後、40℃以下まで冷却し、フラスコから反応生成物を取り出した。こうして、微黄色透明なアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを432部得た。このアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、粘度が223mPa・sであり、150℃×1時間での加熱減量が0.6%であった。
【0057】
実施例1
合成例1で得られた反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマー100部に、トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部と、表面クラックを見やすくするための酸化チタンとしてタイペークR−820(石原産業株式会社製)1部をそれぞれ加え、均一に混合した。その後、ビニルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-171:GE東芝シリコーン社製)1部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-1130:GE東芝シリコーン社製)1部、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート0.5部をそれぞれ加えて均一に混練し、硬化性組成物を得た。
【0058】
実施例2〜4
合成例1で得られた反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーの代わりに、合成例2〜4で得られた反応性ケイ素基含有オキシプロピレンポリマーをそれぞれ使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、それぞれ硬化性組成物を得た。
【0059】
比較例1
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577が無添加である他は、実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0060】
比較例2
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577が無添加である他は、実施例4と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0061】
比較例3
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577の代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン326を使用する以外は、実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0062】
比較例4
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577の代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン329を使用する以外は、実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0063】
比較例5
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン326を0.75部とヒンダードフェノール系酸化防止剤であるノクラックNS−6を0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0064】
比較例6
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン326を0.75部とヒンダードアミン系酸化防止剤であるチヌビン770DFを0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0065】
実施例5〜8
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577の代わりに、同じくトリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン400(実施例5)、チヌビン405(実施例6)、チヌビン460(実施例7)、チヌビン479(実施例8)をそれぞれ使用した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、それぞれ硬化性組成物を得た。
【0066】
実施例9
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-1130)1部を配合する代わりに、成例5で得られたアミノ官能性ポリオルガノシロキサン1部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-187:GE東芝シリコーン社製)0.3部をそれぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0067】
実施例10
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-1130)1部を配合する代わりに、合成例5で得られたアミノ官能性ポリオルガノシロキサン1部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-187)0.3部をそれぞれ配合した。それ以外は実施例5と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0068】
実施例11
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-1130)1部を配合する代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1部を配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0069】
実施例12
3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名Silquest A-1130)1部を配合する代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1部を配合した。それ以外は実施例5と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0070】
実施例13
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、チヌビン1577を0.75部とヒンダードフェノール系酸化防止剤であるイルガノックス245を0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0071】
実施例14
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、チヌビン1577を0.75部とヒンダードフェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010を0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0072】
比較例7
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン326を0.75部とヒンダードフェノール系酸化防止剤であるイルガノックス245を0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0073】
比較例8
トリアジン系紫外線吸収剤であるチヌビン1577を1.5部配合する代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるチヌビン326を0.75部とヒンダードフェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010を0.75部それぞれ配合した。それ以外は実施例1と同様な配合成分で同様な操作を行い、硬化性組成物を得た。
【0074】
次に、実施例1〜14および比較例1〜8でそれぞれ得られた硬化性組成物について、以下に示す方法にしたがって硬化物表面の耐候性を測定し評価した。これらの測定結果を表1〜表6にそれぞれ示す。
【0075】
[表面クラックの入りやすさ]
組成物を厚さ2mmのシート状に成形し、23℃、50%RHの条件下で7日間硬化させた後、さらに50℃で3日間養生した。このシートを、サンシャインウェザオメター(WOM)により500時間、1000時間、1500時間、2000時間および2500時間それぞれ照射し、照射後のシート表面の状態を観察した。そして、表面の劣化状態を、ISO TC35DSに拠り以下に示す基準に従って判定した。
【0076】
(表面状態)
○:異常なし
○−△:若干ベタツキあり
△:ベタツキあり
△−×:照射側表面から溶解
×:形状なし
(クラックの量)
0:無し(検出無し)
1:極くわずか
2:少ない(いくつか重要なクラックあり)
3:中程度
4:多量
5:密に存在する
(クラックのサイズ)
0:10倍拡大で目に見えない
1:僅かに見える(10倍拡大)
2:目視で確認可能
3:目視ではっきり見える
4:1mmまでのクラック
5:1mmを超える大きなクラック
【0077】
[H型引張り接着性]
JIS A5758に準拠して硫酸アルミニウムを被着体としてH型試験体を作成し、この試験体を、サンシャインWOMにより、500時間、1000時間、1500時間、2000時間および2500時間それぞれ照射した。照射後の接着状態(凝集破壊率CF)を調べた。また、硬化物の特性である最大引張強度(Tmax)および最大荷重時の伸び(Emax)をそれぞれ測定した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
表1〜表6からわかるように、実施例1〜14で得られた硬化性組成物はトリアジン系紫外線吸収剤が配合されているので、比較例1〜8で得られた硬化性組成物に比べて耐候性が良好であり、特に表面耐候性が大幅に向上している。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の硬化性組成物によれば、優れた表面耐候性を有する硬化物を得ることができる。したがって、このケイ素基含有ポリマー組成物は、特に建築用のシーリング材として好適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)数平均分子量(Mn)が4,000以上であるウレタン結合を有する反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を主体とし、
(B)トリアジン系紫外線吸収剤を必須成分として含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体が、重合体主鎖が
【化1】

で示される繰返し単位からなり、水酸基また加水分解性基の結合したケイ素原子を含む反応性ケイ素基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記オキシプロピレン重合体のMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)の値が、1.6以下であることを特徴とする請求項2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であることを特徴とする請求項2または3記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体において、前記反応性ケイ素基が分子鎖末端に存在することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項6】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2008−115281(P2008−115281A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300009(P2006−300009)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】