説明

硬貨メカニズムユニット装置

【課題】 高額化対応の機能や互換性の向上を図る。
【解決手段】 偏心カム部58を有し回転操作ダイヤル12Aの操作により回転されるラチェットカム部材55と、偏心カム部と係合されるカム部59が形成されるとともに硬貨蓄積空間部60が形成されラチェットカム部材を介してスライド動作される硬貨収納カム部材51と、この硬貨収納カム部材のスライド動作を規制するロック部材52と、硬貨蓄積空間部の底部する硬貨受け部材53とを備え、硬貨収納カム部材が硬貨蓄積空間部に蓄積した規定枚数の硬貨3をキーとしてロック部材によるロック動作を解除され、硬貨受け部材を介して硬貨収納を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定枚数の硬貨やメタル或いは各種トークン(本明細書においては硬貨と総称する。)を投入することにより商品取出操作部材の操作が可能となり、この商品取出操作部材の操作によって送出機構を駆動して商品収納部に収納した商品を送出して販売する自動販売機に付設する硬貨メカニズムユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機は、一般に多数個の商品を収納する商品収納部や硬貨或いは紙幣を選別する貨幣選別ユニットとともに、待機状態で商品取出操作部材の操作を不能状態とするロック機構や、商品収納部から商品を取出口へと送り出す送出機構或いは商品取出操作部材と送出機構とを連結する連結機構等を備える。また、自動販売機においては、投入された硬貨等を一時蓄積するとともに投入額と商品価格を計算して過不足を判断して商品販売或いは釣り銭の返却等を行う機能を有しており、上述した各種機構や機能を硬貨メカニズムユニット装置に搭載し、この硬貨メカニズムユニット装置を付設して構成する。
【0003】
一方、自動販売機においては、店頭等に多数台を縦横に並べて設置され、例えばプラスチック製のカプセル内に収納した商品を販売するいわゆるガチャ・ポンと称されるワンコイン型自動販売機も提供されている(例えば、特許文献1を参照)。かかるワンコイン型自動販売機に用いる硬貨メカニズムユニット装置は、一般に1枚の硬貨を投入することによって商品取出用のハンドルやレバー等の商品取出操作部材の操作を1回に限り可能な状態とし、その操作が行われることによって送出機構を駆動して商品収納部内に収納された多数個のカプセルから1個のカプセルがランダムに選択されて取出口へと送り出されるようにする。
【0004】
ワンコイン型自動販売機は、商品を同一形状でかつ機械的剛性が大きいカプセルに詰めて販売するとともに、商品収納部からカプセルをランダムに選択して送り出すことから構造が簡易であるといった特徴がある。ワンコイン型自動販売機は、多数台を上下左右に並べて設置し、もっぱら比較的低額で小さな子供向け商品を販売対象とするものが多く、思わぬ商品が出てくるゲーム性もあって好評を博している。かかるワンコイン型自動販売機用の硬貨メカニズムユニット装置は、硬貨の蓄積機構や計算機能或いは釣り銭機構等を備えておらず、小型で簡易な構造であるとともに電源を不要とすることにより、ほとんどランニングコストがかからない。
【0005】
【特許文献1】特開平8−212430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動販売機においては、上述したワンコイン型自動販売機の特徴を踏襲しながらも、例えば数百円の商品販売を可能とする高額化対応の要求が大きい。高額化対応の小型自動販売機に用いられる硬貨メカニズムユニット装置は、高額化の対応として硬貨専用の仕様に限定しても、例えば規定枚数の硬貨が投入されるまで投入硬貨を蓄積し、規定枚数の硬貨投入を判定して商品の送り出しを許可し、商品送出に基づいて蓄積硬貨を収納する機能が必要となる。しかしながら、硬貨メカニズムユニット装置は、かかる機能を電気的制御によらずに実行することが困難であり、ワンコイン型自動販売機用のものと同様に無電源仕様の実現が困難であった。
【0007】
また、硬貨メカニズムユニット装置においては、高額化対応の機能を搭載した場合に、当然大型自動販売機と同様に販売する商品に応じた価格設定機能も必要となる。かかる機能も、無電源仕様により実現することは極めて困難である。硬貨メカニズムユニット装置においては、高額化対応の機能を搭載することにより、上述した硬貨の蓄積・収納構造等を追加するとともに機械的剛性の強化等も必要となることにより大型かつ重量も大きくなり、自動販売機が大型となって従来のワンコイン型自動販売機に並べて設置することが困難となるといった問題もある。
【0008】
一方、硬貨メカニズムユニット装置には、自動販売機の筐体に露出される、商品の取出操作を行うための商品取出操作部材とともに、硬貨の投入口や返却口或いは硬貨の返却操作を行う硬貨返却操作部材が備えられる。硬貨メカニズムユニット装置においては、自動販売機の設置スペースの制限や外観仕様等に基づいて、個々に内部機構とともにこれら部材や部位を配置して製造されていた。硬貨メカニズムユニット装置においては、特に顧客が操作する商品取出操作部材についてダイヤル形やレバー形等の外形仕様や操作方向或いは例えば筐体の前面配置或いは側面配置の配置仕様の変更要求も大きいが、内部機構等を共通化してその互換性を図る対応は図られていない。
【0009】
したがって、本発明は、上述した従来の硬貨メカニズムユニット装置の特徴を踏襲しながらその問題を解決し、高額化対応の機能や互換性の向上を図る硬貨メカニズムユニット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明にかかる硬貨メカニズムユニット装置は、自動販売機に付設して用いられ、正規の硬貨投入に基づいて商品取出操作部材のロック状態を解除し、商品取出操作部材の操作によって駆動される送出機構により商品収納部に収納した商品の送出動作が行われるようにする。硬貨メカニズムユニット装置は、駆動カム部材と、硬貨収納カム部材と、ロック部材と、硬貨受け部材とを備える。
【0011】
駆動カム部材は、偏心カム部を有し、商品取出操作部材の操作により回転される。駆動カム部材は、例えば外周部にラチェット歯を形成するとともに側面部に回転中心から偏心した位置を中心とする円形の偏心カム部を形成したラチェットカム部材からなり、外周部に先端爪部が噛合習性を付与されてラチェット歯と噛合するラチェットレバー部材を配置して一定方向にのみ回転されることにより、商品取出操作部材が一方向にのみ回転操作されるように規制する。駆動カム部材は、ラチェットカム部材を反転してラチェット歯の向きを変えるとともにラチェットレバー部材を反転して取り付けることにより、商品取出操作部材の回転操作の方向が変更される。
【0012】
硬貨収納カム部材は、駆動カム部材の偏心カム部と係合されるカム部が形成されるとともに硬貨蓄積空間部が形成され、商品取出操作部材の操作により駆動カム部材を介してスライド動作される。硬貨収納カム部材は、硬貨投入口から投入されて硬貨選別ユニットを通過した正規の硬貨を、硬貨蓄積空間部内に規定の枚数を蓄積するとともに、これら硬貨をキーとしてロック部材によるロック状態が解除されるようにしてスライド動作が可能となる。硬貨収納カム部材は、例えば硬貨蓄積空間部が規定枚数の硬貨を厚み方向に重ね合わせて収納する筒状に形成され、硬貨受け部材に設けた高さ調整機構により蓄積する硬貨の規定枚数が可変される。
【0013】
ロック部材は、硬貨収納カム部材の上方に位置して揺動自在に配置され、硬貨収納カム部材と係合することにより商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作を不能状態とするロック部を有する。ロック部材には、例えば硬貨収納カム部材の硬貨蓄積空間部内に硬貨を導く硬貨ガイド孔が形成されるとともに、揺動支点と対向する自由端側にロック部を硬貨収納カム部材側に付勢して係合習性を付与する重りが設けられる。
【0014】
硬貨受け部材は、硬貨収納カム部材の硬貨蓄積空間部の底部を構成して揺動自在に設けられ、ロック部材によるロック状態を解除されて硬貨収納カム部材がスライド動作することにより硬貨蓄積空間部に蓄積された規定枚数の硬貨を支持して硬貨収納部へと導くとともに、硬貨返却操作部材の操作により回動動作することにより硬貨蓄積空間部の底部を開放して蓄積した硬貨を硬貨返却部へと導く。硬貨受け部材は、例えば一方側に硬貨収納部と連通する第1傾斜面部を形成するとともに他方側に硬貨返却部と連通する第2傾斜面部を形成して揺動自在に支持される硬貨受けフレーム部材と、この硬貨受けフレーム部材の第1傾斜面部と第2傾斜面部との間に硬貨収納カム部材の硬貨蓄積空間部の底部と対向して着脱自在に組み合わされて硬貨を受け止めることにより蓄積枚数を規定する蓄積枚数規定部材とから構成される。硬貨受け部材は、蓄積枚数規定部材が、硬貨受けフレーム部材との組合せ支点からの高さを異にする複数の受止め部を形成した多角形のブロック体からなり、受止め部を選択して硬貨受けフレーム部材に組み合わせることにより硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部に蓄積する硬貨の枚数を規定する。
【0015】
硬貨メカニズムユニット装置においては、正規の硬貨投入が行われない待機状態ではロック部材によりロックされた硬貨収納カム部材のスライド動作が不能であり、この硬貨収納カム部材を介して商品取出操作部材の操作を不能とする。硬貨メカニズムユニット装置においては、硬貨投入口から投入されて硬貨選別ユニットを通過した規定枚数の硬貨が硬貨収納カム部材の硬貨蓄積空間部に蓄積された状態において商品取出操作部材の操作が可能となり、商品取出操作部材の操作により送出機構を駆動して商品収納部に収納した商品の送出動作が行われるようにする。硬貨メカニズムユニット装置においては、硬貨収納カム部材が、硬貨蓄積空間部に規定枚数の硬貨を蓄積した状態で商品取出操作部材の操作に基づいてスライド動作しながら蓄積硬貨によりロック部材の押上げ動作を行ってロック部によるロック状態が解除される。
【0016】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる硬貨メカニズムユニット装置は、自動販売機本体に付設され、正規の硬貨投入に基づいてロック状態が解除された商品取出操作部材の操作により送出機構が駆動されて商品収納部に収納した商品の送出動作が行われるようにする。硬貨メカニズムユニット装置は、メカニズム組付空間部を構成するフレーム体と、このフレーム体に組み合わされる駆動カム部材と、硬貨収納カム部材と、ロック部材と、硬貨受け部材とを備える。
【0017】
フレーム体は、第1シャーシ基板と、この第1シャーシ基板の幅方向の両側縁部に沿ってそれぞれ直交状態に相対して設けられた第1側板及び第2側板と、第1シャーシ基板に上部領域を開放し下部領域にメカニズム組付空間部を構成して相対して設けられた第2シャーシ基板とから構成される。フレーム体には、側面を開放された第1シャーシ基板の上部領域に硬貨選別ユニットが組み付けられるとともに、第1シャーシ基板の外側面に貫通された送出機構の駆動軸に偏心カム部が形成された駆動カム部材が固定される。
【0018】
フレーム体には、メカニズム組付空間部に、硬貨収納カム部材と、ロック部材と、硬貨受け部材が組み合わされる。硬貨収納カム部材には、駆動カム部材の偏心カム部と係合されるカム部が形成されるとともに硬貨蓄積空間部が形成され、商品取出操作部材の操作により駆動カム部材を介してメカニズム組付空間部内をスライド動作する。ロック部材は、硬貨収納カム部材と係合することにより商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作を不能状態とするロック部を有し、硬貨収納カム部材の上方に位置してメカニズム組付空間部内に揺動自在に配置される。硬貨受け部材は、硬貨収納カム部材の硬貨蓄積空間部の底部を構成してメカニズム組付空間部内に揺動自在に設けられる。硬貨受け部材は、ロック部材によるロック状態を解除されて硬貨収納カム部材がスライド動作することにより硬貨蓄積空間部に蓄積された規定枚数の硬貨を支持して硬貨収納部へと導くとともに、硬貨返却操作部材の操作により回動動作することにより硬貨蓄積空間部の底部を開放して蓄積した硬貨を硬貨返却部へと導く。
【0019】
硬貨メカニズムユニット装置は、駆動カム部材が、例えば駆動軸に固定され、外周部にラチェット歯が形成されるとともに側面部に回転中心から偏心した位置を中心とする円形の偏心カム部が形成され、商品取出操作部材の操作により回転されるラチェットカム部材であり、外周部に先端爪部が噛合習性を付与されてラチェット歯と噛合するラチェットレバー部材を配置して一定方向にのみ回転されることにより、商品取出操作部材が一方向にのみ回転操作されるように規制する。硬貨メカニズムユニット装置は、駆動軸に対してラチェット歯の向きを変えたラチェットカム部材を交換して設けるとともに、第1シャーシ基板の外側面に中心対象位置に形成した取付部を選択してラチェットレバー部材を取り付けることにより、商品取出操作部材の回転操作方向を選択することが可能である。
【0020】
硬貨メカニズムユニット装置は、フレーム体が、第1側板を自動販売機本体の前面側に位置させて取り付けられ、第1側板に硬貨投入口と硬貨返却操作部材と商品取出操作部材と硬貨返却口を設ける。硬貨メカニズムユニット装置は、第1側板を貫通してメカニズム組付空間部内に設けた操作軸と送出機構の駆動軸とを直交変換歯車機構により連結し、前面操作型として構成する。
【0021】
硬貨メカニズムユニット装置は、商品取出操作部材を、シャーシ基板を貫通して駆動カム部材を設けた送出機構の駆動軸に設けることにより側面操作型として構成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる硬貨メカニズムユニット装置によれば、駆動カム部材と硬貨収納カム部材とロック部材と硬貨受け部材とを備え、硬貨収納カム部材が硬貨蓄積部に規定枚数の硬貨を蓄積した状態で商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作が蓄積硬貨によるロック部材の押上げ動作により可能となるように構成される。したがって、硬貨メカニズムユニット装置によれば、簡易な構成により規定枚数の硬貨蓄積機能や収納機能或いは規定枚数の硬貨投入までのロック機能を備え、従来のワンコイン型硬貨メカニズムユニット装置と同様の無電源、小型軽量化或いは低コスト等の特徴を踏襲して高額商品を販売する対応が実現される。
【0023】
また、本発明にかかる硬貨メカニズムユニット装置によれば、メカニズム組付空間部を構成するフレーム体と、このフレーム体に組み合わされる駆動カム部材と硬貨収納カム部材とロック部材と硬貨受け部材とを備え、自動販売機本体の取付部に取り付けて硬貨収納カム部材が硬貨蓄積部に硬貨投入口から投入された規定枚数の硬貨を蓄積した状態で商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作が蓄積硬貨によるロック部材の押上げ動作により可能となるように構成される。硬貨メカニズムユニット装置によれば、簡易な構成により規定枚数の硬貨蓄積機能や収納機能或いは規定枚数の硬貨投入までのロック機能を備え、従来のワンコイン型硬貨メカニズムユニット装置と同様の無電源、小型軽量化或いは低コスト等の特徴を踏襲して高額化の対応が実現されるとともに、商品取出操作部材の取付位置や操作方向の変更の対応も可能となり、互換性の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として示す詳細を後述する硬貨メカニズムユニット(硬貨メカニズムユニット装置)2を備える小型自動販売機(以下、自動販売機と略称する。)1も、一般的なワンコイン型自動販売機と同等の大きさでかつ電源を不要とする自動販売機である。自動販売機1は、同一仕様のものを多数台或いは従来仕様のものと合わせて縦横に多段に並べて設置することが可能である。
【0025】
自動販売機1は、後述するように顧客が100円硬貨(以下、硬貨と略称する。)3を2枚投入して商品取出操作を行うことにより、内部にランダムに収納した200円の薄物商品4を販売する。自動販売機1は、100円硬貨のみを使用対象とするが、後述するように硬貨メカニズムユニット2に簡易な対応作業を施すことにより価格を変更することが可能であり、また薄物商品4ばかりでなく例えばカプセル入り商品等の各種商品の販売用にも適用可能である。なお、以下の説明において、上下、左右、前後の用語を用いるが、図1を基準にして用いるものとする。
【0026】
自動販売機1は、図1乃至図3に示すようにやや縦長で前面部を開放した箱形の筐体5と、この筐体5に詳細を省略する上下一対のヒンジ機構6、6を介して組み合わされて前面部を開閉する前扉7とにより外装体を構成する。自動販売機1は、錠前8により筐体5に対して前扉7を施錠した状態で設置され、管理者が保有する錠を用いて前扉7を開けて商品4の補充や適宜の保守点検作業或いは商品4の交換と価格変更等の作業を行う。
【0027】
自動販売機1には、図1に示すように前扉7のヒンジ機構6と対向する部位に、錠前8を挟んだ上方位置に商品4の対価を表示する料金表示部9と、硬貨投入口10Aが開口された硬貨投入部10と、硬貨返却操作部材である硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを外方に突出させた硬貨返却操作部11が配置される。自動販売機1には、前扉7に、錠前8を挟んだ下方位置に商品取出操作部材である回転操作ダイヤル12Aを外方に突出させた商品取出操作部12と、余剰硬貨や非正規硬貨或いは疑似硬貨等を返却する硬貨返却口13が配置される。自動販売機1には、前扉7に、中央部の下方に位置して商品4が送り出されてくる商品取出口14Aが開口された商品取出部14が設けられる。
【0028】
自動販売機1は、図2及び図3に示すように筐体5の内部が、縦仕切り板15と横仕切り板16とにより第1空間部17A乃至第3空間部17Cに区割りされる。自動販売機1は、右側上部の第1空間部17Aが後述する硬貨選別ユニット18を組み合わせた硬貨メカニズムユニット2の組付空間部を構成し、左側上部の第2空間部17Bが商品収納ユニット19の組付空間部を構成し、左側下部の第3空間部17Cが金庫ユニット20を収納する金庫収納空間部を構成する。なお、自動販売機1は、前扉7に、商品収納ユニット19内の商品4の収納状態が外部から確認可能とするために縦長矩形の商品確認用窓部21が商品取出部14の上方に位置して設けられている。なお、自動販売機1は、前扉7の第2空間部17Bとの対向部位を全体に亘って透明板で構成するようにしてもよい。
【0029】
自動販売機1は、顧客により硬貨投入口10Aから2枚の100円硬貨3を投入して商品取出操作が行われると、商品収納ユニット19に収納した商品4を1個ずつ販売する。商品4は、詳細を省略するが薄厚で柔軟性や凹凸のある複雑な形状等の各種内容物(実際の商品)を、例えば厚紙等からなるシート状素材を2つ折りしその表裏主面に適宜の装飾図案或いは内容物の内容説明や取扱い説明等を印刷して構成した個装体内に挟み込んで簡易包装してなり、全体が薄い略紡錘形状を呈している。
【0030】
商品4は、従来のカプセルと比較して個装体が極めて廉価であり、この個装体を展開した状態で内容物を置いて中央部から2つ折りして突き合わせ部位をシールで止める簡易な作業により効率よく包装が行われる。商品4は、低コストの個装体を用いるとともに、包装作業の効率化によりコスト低減が図られる。商品4は、販売後に小さな子供でもシールを剥がして内容物の取り出しが可能であり、不要な個装体がそのまま捨てられても従来のカプセルのように壊されることにより鋭い破片が飛び散るといった危険も無い。商品4は、全体が薄型であることから運搬や保管等に際して嵩張らず取扱いが容易である。
【0031】
商品4は、様々な内容物として、厚みが多少異なるものであってもよいが、規定の個装体を用いて包装することが可能なものとされ、幅寸法や奥行き寸法がほぼ同一とされる。商品4は、内容物の厚みにより、厚み寸法が多少異なるものであってもよいが、商品取出口14Aの開口寸法よりも小さいことが条件となる。なお、自動販売機1は、後述するように商品収納ユニット19が商品4の仕様に応じて簡易な作業により大きさを変えることが可能とされる。
【0032】
前扉7には、図3に示すように料金表示部9に対向する内面にブラケット22Aを介して料金表示ドラム22が回転自在に取り付けられている。料金表示ドラム22は、価格を変更する商品4を販売する場合に、回動されてその外周面に表示した表示金額を料金表示部9と対向させることにより、料金表示部9の表示金額が変更されるようにする。前扉7には、図3に示すように、その内面に商品押さえリブ部23や金庫ユニット押さえリブ部24が設けられている。
【0033】
商品押さえリブ部23は、筐体5の第2空間部17Bと対向する部位に形成された高さ方向の立壁からなり、筐体5に対して前扉7を閉じた状態で商品収納ユニット19に収納された商品4を保持する。金庫ユニット押さえリブ部24は、筐体5の第3空間部17Cと対向する部位に形成された左右一対の立壁からなり、筐体5に対して前扉7を閉じた状態で金庫ユニット20の前面に突き当たり、金庫ユニット20を保持するとともにこの金庫ユニット20が正しい位置にセットされているかを確認可能とする。
【0034】
自動販売機1は、商品収納ユニット19が、図2及び図3に示すように、横仕切り板15をベース板として左右一対の側板25、25と、背板26と、送出開口調整板27とを組み合わせて内部に前方側を開放した商品収納空間部28を構成してなる。商品収納ユニット19は、商品収納空間部28内に収納した商品4を横仕切り板15上に押し付ける重り部材29を備える。商品収納ユニット19は、左右の側板25が、その上下端部を横仕切り板15と筐体5の天井部に支持されて組み合わされる。商品収納ユニット19は、背板26が図示を省略するが横仕切り板15に形成した前後方向の取付溝を介して組み合わされる。商品収納ユニット19は、送出開口調整板27が、横仕切り板15の前方端に対して所定の高さ位置に組み合わされてその下端縁との間に商品取出部14の商品取出口14Aと対向する商品送出開口を構成する。
【0035】
商品収納ユニット19は、詳細を省略するが、横仕切り板15と筐体5の天井部に相対して形成した複数のリブにより構成された前後方向の複数のスロットが設けられており、これらスロットを選択して左右の側板25を組み付けることにより商品収納空間部28を商品4に合わせた横幅とすることが可能である。商品収納ユニット19は、背板26を取付溝に沿って前後方向に移動して横仕切り板15に固定することにより、商品収納空間部28を商品4に合わせた奥行きとする。
【0036】
商品収納ユニット19は、送出開口調整板27を上下方向に移動して横仕切り板15に固定することにより、商品収納空間部28の下方部位に商品送出開口を構成する。商品送出開口は、商品4の1個分の厚みよりも大きくかつ2個分の厚みよりも小さい高さに設定される。商品収納ユニット19には、上述した寸法仕様に設定した商品収納空間部28内に、図4に示すように多数個の商品4が側板25と背板26により保持されて横仕切り板15上に厚み方向に積層して収納される。
【0037】
商品収納ユニット19は、図2及び図4に示すように重り部材29が、側板25にそれぞれ相対して形成された高さ方向の重り組付溝30、30に両端部を嵌合されることにより商品収納空間部28内に組み合わされる。重り部材29は、鉄等により矩形ブロック状に形成された重量のある本体部と、その両側面から突出して重り組付溝30に嵌合される軸部とから構成され、各軸部を相対する重り組付溝30に嵌合することにより商品収納空間部28内に高さ方向に移動自在に組み合わされる。重り部材29は、商品収納空間部28内に積層状態で収納した商品4を横仕切り板16上に押し付けることにより、後述する商品送出機構31による商品4の送出操作が確実に行われるようにする。
【0038】
自動販売機1は、後述するように顧客により正規の硬貨投入と商品取出操作が行われることにより硬貨メカニズムユニット2を介して商品送出機構31が駆動され、上述した商品収納ユニット19の商品収納空間部28に収納された商品4を最下部から順に横仕切り板15と送出開口調整板27との間に構成した商品送出開口から商品取出部14へと送り出す動作が行われる。商品送出機構31は、駆動軸32と、この駆動軸32に固定された商品送出カム部材33とにより構成され、横仕切り板15にその幅方向の中央部に位置して形成された奥行き方向のカム開口部34に対向して筐体5の第3空間部17Cに配置される。
【0039】
商品送出機構31は、駆動軸32が、一端側を後述する硬貨メカニズムユニット2に連結されるとともに他端側を金庫ユニット20に支持されてカム開口部34に対向して第3空間部17Cを横切るようにして配置される。駆動軸32は、一端側が縦仕切り板15に形成した軸孔を貫通して第1空間部17Aに突出して後述する直交変換歯車機構48に結合される。駆動軸32は、他端部が、詳細を省略するが商品収納ユニット19側に設けた後方軸受け部と金庫ユニット20側に設けた前方軸受け部とが共同して構成する軸受け部に回転自在に支持される。なお、商品送出機構31は、軸受け部が、金庫ユニット20を所定位置に正しくセットされた状態においてのみ駆動軸32を支持することで、その確認が行われるようにする機能も奏する。
【0040】
商品送出機構31は、商品送出カム部材33が、横仕切り板16に形成されたカム開口部34に対向位置するようにして駆動軸32に固定され、図4に示すように外周部が駆動軸32からの距離を異にされた断面が略扇形の偏心円柱カム部材からなる。商品送出カム部材33は、小径部位が商品収納空間部28から退出する外径とされるとともに、大径部位がカム開口部34を介して商品収納空間部28に進入する外径とされる。
【0041】
商品送出カム部材33は、待機状態において小径部位がカム開口部34と対向するように位置決めされ、商品収納空間部28から退出した位置に保持される。商品送出カム部材33は、顧客が正規の硬貨投入を行って回転操作ダイヤル12Aを回転操作すると、後述するように硬貨メカニズムユニット2を介して図4矢印で示すように反時計方向に回転して大径部位がある範囲でカム開口部34を介して商品収納空間部28に進入しながら回転する。商品送出カム部材33は、大径部位が最下段に積層された商品4と圧接して前方へと移動させる送り出し動作を行い、この最下段商品4のみを同図矢印で示すように商品取出部14へと送り出して待機状態へと復帰する。
【0042】
自動販売機1は、上述したように筐体5の縦長の第1空間部17A内に、硬貨選別ユニット18を組み合わせた硬貨メカニズムユニット2を組み付ける。硬貨メカニズムユニット2は、待機状態において商品4を取り出す回転操作ダイヤル12Aの回転操作を不能な状態に保持する。硬貨メカニズムユニット2は、顧客により投入された硬貨3を硬貨選別ユニット18により選別し、2枚の正規硬貨3を蓄積するとともに返却操作に基づいて蓄積硬貨3を返却し、疑似硬貨等を硬貨返却口13から返却する。硬貨メカニズムユニット2は、顧客により回転操作ダイヤル12Aの回転操作が行われると、商品送出機構31を駆動して商品4の送り出しを行うとともに蓄積した硬貨3の金庫ユニット20への収納を行った後に、待機状態へと復帰する。
【0043】
硬貨メカニズムユニット2は、図2及び図5に示すように第1シャーシ基板35と、この第1シャーシ基板35の幅方向の一方側縁部に沿って直交状態に設けられた第1側板である前面板36と、この前面板36と対向して第1シャーシ基板35の他方側縁部に沿って直交状態に設けられた第2側板である背面板37と、第1シャーシ基板35と対向する第2シャーシ基板38とによりフレーム体39を構成する。なお、フレーム体39は、第1シャーシ基板35と前面板36と背面板37を合成樹脂材或いはアルミダイキャスト等により一体に形成してもよい。
【0044】
フレーム体39は、図5に示すように、第2シャーシ基板38が第1シャーシ基板35に対して同幅であるがほぼ半分の高さとされ、第1シャーシ基板35の第1主面35A側の上部領域を開放して前面板36と背面板37を介して組み合わされる。フレーム体39は、第1シャーシ基板35の開放された上部領域と前面板36と背面板37とで囲まれた上方の空間部が硬貨選別ユニット18を組み合わせる硬貨選別ユニット組合せ空間部40として構成され、閉塞された下方の空間部をメカニズム組付空間部41として構成する。
【0045】
フレーム体39は、図2及び図3に示すように前面板36を前扉7の内面と対向させて筐体5の第1空間部17Aに組み付けられる。フレーム体39は、筐体5に対してその内側面と第1シャーシ基板35とが所定の対向間隔を保持して組み付けられる。フレーム体39には、図5に示すように前面板36や背面板37に、図示を省略する筐体5側に形成した取付リブが嵌合されるチャンネル状の取付部42、43が一体に形成されている。なお、フレーム体39は、筐体5との取付構造が、かかる構造に限定されないことは勿論である。
【0046】
フレーム体39には、図3及び図5に示すように前面板36と背面板37の上端縁に跨って、スロット部材44が取り付けられている。スロット部材44には、前扉7側の硬貨投入部10と対向して開口されて投入された硬貨3を受け入れる硬貨受入れ口44Aが設けられるとともに、内部には硬貨受入れ口と連通して硬貨3を硬貨選別ユニット18へと転動させる硬貨軌道が設けられている。スロット部材44は、上述した硬貨3の受入れ機能とともに、前面板36と背面板37の対向間隔を保持する機能も奏する。
【0047】
前面板36には、前扉7側の硬貨返却操作部11と対向して高さ方向のガイド溝45が形成され、このガイド溝45を介して硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを外方に突出させる。硬貨返却レバー部材11Aは、顧客が商品4の購入を行わずに操作部11Bをガイド溝45に沿って下方へと押し下げることにより、後述するように硬貨メカニズムユニット2内に蓄積された硬貨3を硬貨返却口13へと返却させる。前面板36は、後述するように回転操作ダイヤル12Aを回転自在に支持して、前扉7側の商品取出操作部12を介して外方へと突出させる。前面板36には、前扉7側の硬貨返却口13と連通する硬貨返却軌道の開口部が形成されている。
【0048】
硬貨メカニズムユニット2には、図5及び図6に示すようにフレーム体39の硬貨選別ユニット組合せ空間部40に硬貨選別ユニット18として従来から汎用品として提供されている無電源型の100円硬貨選別ユニット(旭精工製コインセレクタ)が組み付けられる。硬貨選別ユニット18は、外周部の適宜の位置に形成された詳細を省略する取付部を介してフレーム体39に位置決め固定される。硬貨選別ユニット18は、詳細を省略するが所定の間隔を以って一対の基板が組み合わされ、これら基板間に後方下がりの高さ方向の硬貨軌道を構成する。
【0049】
硬貨選別ユニット18は、図6に示すように後方上部側にスロット部材44から投入された硬貨3を受け入れる硬貨口18Aが設けられる。硬貨選別ユニット18には、硬貨軌道に沿って例えば重量選別部18B、厚さ選別部18C、材質(磁気性)選別部18Dが設けられており、これら各選別部において投入硬貨が正規硬貨か疑似硬貨であるかを判別する。硬貨選別ユニット18は、いずれか1つの選別要素でも不合格判定を行うと、同図に示すように疑似硬貨3NGを選別軌道から排除して硬貨返却口13へと導いて返却されるようにする。硬貨選別ユニット18は、正規硬貨3のみを下部後方側の軌道部18Eから後述する機構部46へと導く。
【0050】
硬貨選別ユニット18は、詳細を省略するが一方の基板が他方の基板に対してヒンジ機構を介して開放自在に組み合わされる。硬貨選別ユニット18は、この開放自在な基板側に硬貨返却レバー部材11Aに形成したカム部が係合されており、例えば硬貨軌道内に硬貨詰まりが生じた場合に操作部11Bを介して返却操作を行うと硬貨軌道を開放してその取り出しが行われるようにする。なお、硬貨選別ユニット18については、かかる市販の硬貨選別ユニットに限定されないことは勿論である。
【0051】
硬貨メカニズムユニット2は、メカニズム組付空間部41内に設ける機構部46が、図6及び図7に示すように回転操作ダイヤル12Aの操作軸47に設けた第1傘歯車49と上述した商品送出機構31の駆動軸32に設けた第2傘歯車50とからなる直交変換歯車機構48と、硬貨収納カム部材51と、ロック部材52と、硬貨受け部材53等の部材により構成する。機構部46は、詳細を後述するように待機状態においては回転操作ダイヤル12Aの回転操作を不能とする。機構部46は、顧客が正規の硬貨投入を行うと回転操作ダイヤル12Aのロック状態を解除し、顧客による回転操作ダイヤル12Aの回転操作に基づいて上述した商品送出機構31による商品収納ユニット19からの商品2の送出動作が行われるようにする。
【0052】
硬貨メカニズムユニット2は、回転操作ダイヤル12Aが、前面板36に形成した筒状開口部からなる商品取出操作部12から外方へと突出して設けられる。回転操作ダイヤル12Aは、上述したように顧客が正規の硬貨投入を行って回転操作を行った場合に、商品収納ユニット19から収納された商品4の送り出しが行われるようにする。回転操作ダイヤル12Aには、図6及び図7に示すように操作部の背面側に、メカニズム組付空間部41内に突出して前後方向に延在する操作軸47が一体に設けられている。
【0053】
操作軸47は、詳細を省略するが、第1シャーシ基板35に形成した図示しない軸受部に回転自在に支持され、先端部に直交変換歯車機構48を構成する第1傘歯車49が固定される。直交変換歯車機構48は、図6及び図7に示すように第1傘歯車49と、メカニズム組付空間部41を左右方向に貫通する駆動軸32に固定された第2傘歯車50を備える。直交変換歯車機構48は、第1傘歯車49と第2傘歯車50が直交状態で噛合うことにより、互いに直交状態にある操作軸47と駆動軸32との間において回転伝達が行われるようにする。したがって、直交変換歯車機構48は、顧客が硬貨投入口44Aから料金表示部9に表示された硬貨3を投入する正規の硬貨投入を行って回転操作ダイヤル12Aを回転操作すると、操作軸47−第1傘歯車49−第2傘歯車50−駆動軸32の経路を介して直交方向に変換した回転伝達を行い、上述した商品送出機構31による商品4の送出動作が行われるようにする。
【0054】
硬貨メカニズムユニット2には、回転操作ダイヤル12Aが一定方向にのみ回転操作されるようにする回転方向規制機構54が設けられる。回転方向規制機構54は、図7及び図8に示すようにラチェットカム部材55と、ラチェットレバー部材56と、ダイヤル戻しバネ部材57等を備え、第1シャーシ基板35の外側面に設けられる。回転方向規制機構54は、詳細を後述するようにラチェットカム部材55が一定の角度範囲で両方向に回動自在であり、これにより回転操作ダイヤル12Aをフリーな状態とする。
【0055】
回転方向規制機構54は、図8に示すように第1シャーシ基板35にコイル部を支持してトーションスプリングからなるダイヤル戻しバネ部材57を設け、このダイヤル戻しバネ部材57の一端をラチェットカム部材55に掛け合わすとともに他端側を第1シャーシ基板35に設けたストッパに掛け合わすことによりラチェットカム部材55に弾性力を作用させる。回転方向規制機構54は、ラチェットカム部材55がダイヤル戻しバネ部材57の弾性力により所定位置への復帰習性を付与され、待機状態でも回転操作ダイヤル12Aが一定姿勢に保持されるようにする。
【0056】
ラチェットカム部材55は、第1シャーシ基板35を貫通してメカニズム組付空間部41から側方へと突出された駆動軸32の先端部に固定される。ラチェットカム部材55には、外周部に一部を欠歯領域55Bとしてラチェット歯55Aが形成されている。ラチェットカム部材55は、上述した経路を経て回転操作ダイヤル12Aの回転操作に合わせて第1傘歯車49と第2傘歯車50を介して一回転される。
【0057】
回転方向規制機構54は、ラチェットレバー部材56が、その基端部側を第1シャーシ基板35の外側面に設けた支軸56Aに回動自在に支持されるとともに、先端部側がラチェットカム部材55のラチェット歯55Aと噛合する爪部を構成する。ラチェットレバー部材56には、バネ材56Bが設けられており、このバネ材56Bの弾性力によって爪部がラチェット歯55Aとの噛合を付与される。ラチェットレバー部材56は、待機状態においては爪部が欠歯領域55Bに相対位置することでこの欠歯領域55Bの範囲でラチェットカム部材55の回転規制を解除している。回転方向規制機構54は、これにより待機状態において回転操作ダイヤル12Aのいたずら操作が行われた場合でも、内部機構への負荷が低減されるようにする。
【0058】
回転方向規制機構54は、図7乃至図9に示すようにラチェットカム部材55がそのラチェット歯55Aを時計方向の向きに形成するとともに、後方の上方位置においてラチェットレバー部材56の爪部が噛合されるようにする。回転方向規制機構54は、これによりラチェットカム部材55が同図において反時計方向にのみ回転されるように構成する。回転方向規制機構54は、例えばラチェット歯55Aの向きが反時計方向に形成され、図7において鎖線で示すようにラチェットレバー部材56を前方側に位置して第1シャーシ基板35に設けた場合には、時計方向にのみ回転されることになる。
【0059】
ラチェットカム部材55には、図7及び図9に示すように第1シャーシ基板35との対向側面に、中心位置を異にする偏心カム部58が一体に形成されている。偏心カム部58は、ラチェットカム部材55の回転中心に対して中心を前後方向に幾分ずらすことにより偏心円とされたカム溝により構成される。なお、偏心カム部58は、ラチェットカム部材55の厚みを確保して機械的強度を保持するために、回転中心から偏心位置を中心とした円形凸部を一体に形成し、この円形凸部の高さ範囲で円形のカム溝を形成するようにしてもよい。
【0060】
偏心カム部58は、ラチェットカム部材55と一体に回転するが、図9に示すようにその回転中心、すなわち駆動軸32を中心として遊星運動軌跡を以って回転する。偏心カム部58には、後述するように硬貨収納カム部材51に設けたカムリブ59のカムピン59Aが相対係合される。したがって、偏心カム部58は、ラチェットカム部材55の回転に伴って硬貨収納カム部材51をメカニズム組付空間部41内において前後方向に往復移動させる作用を奏する。なお、偏心カム部58は、かかる構成に限定されず、例えばやや厚みを有するラチェットカム部材55の側面に溝切りされて形成したものであってもよい。
【0061】
機構部46は、図6及び図10に示すように硬貨選別ユニット18の下方に位置するメカニズム組付空間部41内に、上方からロック部材52と硬貨収納カム部材51と硬貨受け部材53がこの順序で重ね合わされるようにして組み付けられる。機構部46は、第1シャーシ基板35と第2シャーシ基板38に対して、硬貨収納カム部材51が前後方向にスライド自在に支持されるとともに、ロック部材52と硬貨受け部材53が片持ち状態で揺動自在に支持される。
【0062】
硬貨収納カム部材51は、図10及び図11に示すように天井部51Aと、左右側面部51B、51Cと、背面部51Dとからなり、底面部と前面部を開放した断面チャンネル状に形成される。硬貨収納カム部材51には、天井部51Aに硬貨3の外径とほぼ同径の硬貨蓄積空間部60が形成されており、後述するようにこの硬貨蓄積空間部60の底部を硬貨受け部材53が閉塞することにより硬貨3を厚み方向に蓄積する。硬貨収納カム部材51は、硬貨蓄積空間部60内に規定枚数(2枚)の硬貨3を蓄積した状態でメカニズム組付空間部41内を前後方向にスライド動作することが可能となる。
【0063】
硬貨収納カム部材51には、左右側面部51B、51Cにそれぞれ前後方向のカムリブ59B、59Cが一体に形成されており、これらカムリブ59B、59Cが第1シャーシ基板35と第2シャーシ基板38に相対して形成した前後方向のガイド溝61、62(図6に第1シャーシ基板35側のガイド溝61を鎖線で図示し、図5に第2シャーシ基板38側のガイド溝62を図示する。)に嵌合される。硬貨収納カム部材51は、右側のカムリブ59Bが第1シャーシ基板35に対してガイド溝61に嵌合された状態でその外側面と略同一面を構成し、上述したラチェットカム部材55の側面と対向される。
【0064】
硬貨収納カム部材51には、カムリブ59Bの先端部に位置して側方へと突出するカムピン59Aが一体に形成される。カムピン59Aは、上述したようにラチェットカム部材55に形成した偏心カム部58に相対係合される。カムピン59Aは、偏心カム部58に対して、図9に示すようにラチェットカム部材55の回転中心(駆動軸32)を挟んだ後方側に位置して係合される。
【0065】
硬貨収納カム部材51は、カムピン59Aが、上述したように顧客による回転操作ダイヤル12Aの回転操作に基づいて直交変換歯車機構48を介してラチェットカム部材55が回転して偏心カム部58が遊星運動軌跡を以って回転することにより、図9に示すようにラチェットカム部材55の中心側の位置から外周側の位置へと移動する。硬貨収納カム部材51は、このカムピン59Aの移動により、カムリブ59B、59Cが嵌合されたガイド溝61、62をガイドとしてメカニズム組付空間部41内を後方側へと移動する。硬貨収納カム部材51は、偏心カム部58の最大径部位が同図鎖線で示すように駆動軸32を挟んだ後方側まで移動してさらに回転することにより、前方側へと復帰移動する。
【0066】
硬貨収納カム部材51には、背面部51Dにその上端縁と硬貨蓄積空間部60に跨って開口し、ロックカム部を構成するガイドカム溝63が形成される。ガイドカム溝63は、硬貨蓄積空間部60内に規定枚数の硬貨3が蓄積された状態で、図10に示すように上側の蓄積硬貨3Uがその溝底よりも上方へとやや突出させる深さを以って背面部51Dに形成される。硬貨収納カム部材51は、後述するようにガイドカム溝63にロック部材52のカム凸部68が係合する。
【0067】
ロック部材52は、図10及至図12に示すように全体が硬貨収納カム部材51とほぼ同幅の横長矩形のブロック体からなり、支軸64、64と、硬貨ガイド孔65と、ウェイト(重り)66を取り付けるウェイト取付凹部67と、カム凸部68と、一対のロック凸部69、69を有している。ロック部材52には、図12に示すように長手方向の両側面部に、前方側の上方に位置して支軸64、64が一体に突設され、これら支軸64、64を第1シャーシ基板35と第2シャーシ基板38に相対して形成した軸孔に嵌合することにより、硬貨収納カム部材51の上側に位置して片持ち状態で揺動自在に支持される。
【0068】
ロック部材52は、硬貨ガイド孔65が、硬貨3とほぼ同径とされて基端側に位置して厚み方向(高さ方向)に貫通して形成される。ロック部材52は、硬貨ガイド孔65が、上面部側において上述した硬貨選別ユニット18の軌道部18Eと対向して開口されるとともに底面部側において硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60と対向して開口される。ロック部材52は、硬貨ガイド孔65が、硬貨選別ユニット18において選別した正規硬貨3を軌道部18Eから受け入れるとともに、この正規硬貨3を硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60へと導いて蓄積されるようにする。
【0069】
ロック部材52には、ウェイト取付凹部67が硬貨ガイド孔65に隣り合って自由端側に位置して形成され、このウェイト取付凹部67内にウェイト66を取り付ける。ロック部材52は、ウェイト66を設けることにより自由端側を硬貨収納カム部材51に押し付けるように図10において時計方向の回動習性が付与される。ロック部材52は、これにより待機状態においてロック凸部69の硬貨収納カム部材51に対する係合習性が付与されるようにする。
【0070】
ロック部材52は、カム凸部68が、図12に示すように底面部の幅方向の中央部で硬貨ガイド孔65の開口縁から自由端縁に跨る一体に形成された凸部により構成される。カム凸部68は、硬貨収納カム部材51のガイドカム溝63に相対してその溝幅とほぼ同等の幅を有して形成される。カム凸部68は、待機状態においてガイドカム溝63と相対係合することにより、硬貨蓄積空間部60内に突出した状態となる。
【0071】
ロック部材52は、各ロック凸部69が、底面の自由端部に位置してカム凸部68を挟んだ両側に一体に形成される。各ロック凸部69は、ロック部材52がその底面を硬貨収納カム部材51の天井部51A上に重ね合わせて組み合わせた状態で、図10に示すように硬貨収納カム部材51に対して背面部51Cのガイドカム溝63を挟む両側に位置して相対係合する。各ロック凸部69は、これにより待機状態において硬貨収納カム部材51のスライド動作を不能とする。
【0072】
ロック部材52は、硬貨収納カム部材51が硬貨蓄積空間部60内に規定枚数の硬貨3を蓄積した状態で回転操作ダイヤル12Aの回転操作に基づくスライド動作が開始されることにより、硬貨3がキーとなって硬貨蓄積空間部60内に突出したカム凸部68が上方へと押し上げられる。ロック部材52は、これにより支軸64を支点として図10において反時計方向に回動動作して各ロック凸部69が背面部51Cとの係合位置から上方位置へと移動することにより硬貨収納カム部材51のロック状態を解除する。
【0073】
ロック部材52は、ロック状態を解除された硬貨収納カム部材51のスライド動作にしたがって、各ロック凸部69が背面部51Cから天井部51A上に乗り上がることで回動した状態を保持される。ロック部材52は、上述した商品4の送出操作が行われて硬貨収納カム部材51が初期位置へと復帰することにより、ウェイト66の作用により支軸64を支点として時計方向の復帰動作が行われる。ロック部材52は、各ロック凸部69が天井部51A上から背面部51Cに再係合することにより硬貨収納カム部材51をロック状態に保持する。
【0074】
機構部46は、硬貨収納カム部材51の下方部に硬貨受け部材53が重ね合わせた状態で組み合わされ、この硬貨受け部材53により硬貨蓄積空間部60の底部を開閉する。硬貨受け部材53は、上述したように顧客の回転操作ダイヤル12Aの操作に基づく硬貨収納カム部材51のスライド動作にしたがって、硬貨蓄積空間部60内に蓄積した硬貨3を金庫ユニット20に収納されるようにする。硬貨受け部材53は、顧客が硬貨3を投入して商品4を購入せずに硬貨返却レバー部材11Aを操作した場合に、硬貨蓄積空間部60内に蓄積した硬貨3を硬貨返却口13へと導くようにする。硬貨受け部材53は、硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に蓄積する硬貨3の蓄積枚数を変更可能とする。
【0075】
硬貨受け部材53は、図10及び図13に示すように、硬貨受けフレーム部材70と、この硬貨受けフレーム部材70に着脱自在に組み合わされる蓄積枚数規定部材71とから構成する。硬貨受けフレーム部材70は、全体が硬貨収納カム部材51とほぼ同幅でかつ大きな長さを有する横長矩形のブロック体からなり、図10及び図13に示すように硬貨収納カム部材51とほぼ同寸法の中央部位70Aを挟んで後方部位が硬貨収納部70Bを構成するとともに、前方部位が硬貨返却部70Cを構成する。硬貨受けフレーム部材70は、硬貨収納部70B側の両側面の上方に位置して支軸72、72が一体に突設され、これら支軸72、72を第1シャーシ基板35と第2シャーシ基板38に相対して形成した軸孔に嵌合することにより、硬貨収納カム部材51の下側に位置して片持ち状態で揺動自在に支持される。
【0076】
硬貨受けフレーム部材70には、図13に示すように中央部位70Aから硬貨返却部70Cに跨って、後述するように蓄積枚数規定部材71を着脱自在に組み合わせる組付開口部73が高さ方向に貫通して形成される。硬貨受けフレーム部材70には、組付開口部73を構成する両側面部に上縁に開口してそれぞれ組付溝74、74が相対して形成されるとともに、これら組付溝74の一方側の溝壁74A、74Aに沿ってそれぞれに弾性を付与するためにスリット75、75が形成される。硬貨受けフレーム部材70には、中央部位70Aの底面に円弧状の弾性アーム76が一体に形成されており、この弾性アーム76がフレーム体39の底部に湾曲された状態で突き当てられることにより図10において支軸72を支点として時計方向に付勢される。硬貨受けフレーム部材70は、これにより上面が硬貨収納カム部材51の底面に突き当てられる。
【0077】
硬貨受けフレーム部材70には、硬貨収納部70Bに、図13に示すように上面と左側面に開口して金庫ユニット20と連通する側方傾斜軌道を構成する硬貨収納ダクト(第1傾斜面部)77が形成される。硬貨収納ダクト77は、後述するように硬貨収納カム部材51のスライド動作により硬貨蓄積空間部60内で中央部位70Aから硬貨収納部70Bへと押し出される硬貨3を側方へと落下させることにより金庫ユニット20内に収納されるようにする。
【0078】
硬貨受けフレーム部材70は、硬貨返却部70Cが、図13に示すように前下がり傾斜面として形成されており、その先端部が硬貨返却口13と対向されることにより第2傾斜面部を構成する。硬貨受けフレーム部材70には、硬貨返却部70Cを構成する右側面部に水平方向のカム溝78が形成されており、硬貨返却レバー部材11Aの先端部に形成した図示を省略するカムが係合する。硬貨受けフレーム部材70は、硬貨返却レバー部材11Aが操作されると、カム溝78と係合されたカムを介して弾性アーム76の弾性力に抗して支軸72を支点として図10において反時計方向に回動する。硬貨受けフレーム部材70は、これにより硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60の底部を開放し、この硬貨蓄積空間部60内に蓄積された硬貨3を硬貨返却部70Cを介して硬貨返却口13へと落下させる。
【0079】
硬貨受け部材53は、上述したように硬貨受けフレーム部材70に対して蓄積枚数規定部材71を着脱自在に組み合わせることにより、硬貨蓄積空間部60内に蓄積する硬貨3の蓄積枚数を変更可能とする。蓄積枚数規定部材71は、図13に示すように全体が角柱状に形成されたブロック体であり、各外周面71A〜71Dが硬貨受けフレーム部材70の組付開口部73の開口寸法とほぼ同寸法の外形寸法とされる。蓄積枚数規定部材71には、幅方向の両側面に硬貨受けフレーム部材70側の組付溝74に相対嵌合される矩形断面の組付凸部79、79が一体に突設されている。
【0080】
蓄積枚数規定部材71は、各外周面71A〜71Dが組付凸部79からの間隔を異にして形成されている。蓄積枚数規定部材71は、組付凸部79を、溝壁を弾性変形させながら図13に示すように組付溝74に嵌合することにより硬貨受けフレーム部材70に組み合わされる。蓄積枚数規定部材71は、硬貨受けフレーム部材70に組み合わせた状態で外周面が中央部位70Aから上方へと突出する。蓄積枚数規定部材71は、図10に示すように突出した外周面部が硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60に嵌合し、その底部を構成して硬貨3を支持する。
【0081】
蓄積枚数規定部材71は、各外周面部71A〜71Dが組付凸部79からの間隔をそれぞれ異にして形成される。蓄積枚数規定部材71は、各外周面部71A〜71Dと組付凸部79との間隔が、図13に示すように第1外周面部71Aが最も小さくまた第4外周面部71Dが最も大きい。蓄積枚数規定部材71は、各外周面部71A〜71Dと組付凸部79からの間隔を、それぞれ硬貨3の厚み1枚分の差を以って形成する。蓄積枚数規定部材71は、各外周面部71A〜71Dが、後述するように硬貨受けフレーム部材70に組み合わせた状態で硬貨収納部70Bと対向する側を垂直面とするとともに、硬貨返却部70Cと対向する側を前下がり斜面として形成する。蓄積枚数規定部材71は、各外周面部71A〜71Dをこのような形状とすることにより、硬貨3の収納及び返却動作が確実に行われるようにする。なお、蓄積枚数規定部材71には、図13に示すように外側面に各外周面部71A〜71Dに対応して指標80A〜80Dが設けられている。
【0082】
硬貨受け部材53においては、上述したように硬貨受けフレーム部材70に対して蓄積枚数規定部材71が、突出させる外周面部71A〜71Dを選択して組付凸部79を組付溝74に嵌合することにより組み合わされる。硬貨受け部材53は、蓄積枚数規定部材71の突出された外周面部が硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に嵌合する。硬貨受け部材53は、第1外周面部71Aを選択した場合に硬貨蓄積空間部60の深さを最大として例えば4枚の硬貨3が蓄積されるようにする。硬貨受け部材53は、第2外周面部71Bを選択した場合に3枚の硬貨3が蓄積されるようにし、第3外周面部71Cを選択した場合に2枚の硬貨3が蓄積されるようにし、第4外周面部71Dを選択した場合に1枚の硬貨3が蓄積されるようにする。
【0083】
自動販売機1は、店頭等に多数台が縦横に重ね合わせるように並べて設置され、それぞれの商品収納ユニット19内に所定の商品4を積層状態で収納する。自動販売機1においては、料金表示ドラム22を回転操作して料金表示部9において所定の料金が表示されるようにする。自動販売機1においては、硬貨メカニズムユニット2が、機構部46を構成する硬貨受け部材53について料金を設定する硬貨受けフレーム部材70に対する蓄積枚数規定部材71の組合せ操作が行われる。自動販売機1においては、硬貨受けフレーム部材70に対して蓄積枚数規定部材71が突出させる外周面部71A〜71Dを選択して組み合わすことにより、硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に蓄積する硬貨3の枚数設定を行う。
【0084】
自動販売機1においては、硬貨メカニズムユニット2が、ロック部材52により硬貨収納カム部材51をロックした状態に保持することにより、回転操作ダイヤル12Aの回転操作を不能とした待機状態に保持される。自動販売機1においては、ラチェットカム部材55の欠歯領域55Bの範囲で回転操作ダイヤル12Aを両方向に回転操作することが可能であって子供等に興味を引き付けさせるようにするが、商品4の送出し動作が行われることは無い。自動販売機1においては、ロック部材52により硬貨収納カム部材51がロック状態とされ、ロック部材52の硬貨ガイド孔65と硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60が連通するとともに、硬貨受け部材53により硬貨蓄積空間部60の底部が閉塞されている。自動販売機1においては、蓄積枚数規定部材71の第3外周面部71Cが底部を構成することにより、硬貨蓄積空間部60が2枚の硬貨3を蓄積可能とするようにその深さを設定される。
【0085】
自動販売機1においては、顧客により硬貨投入口10Aから投入された硬貨3に対して硬貨選別ユニット18により正否の判定を行う。自動販売機1においては、図6に示すように硬貨選別ユニット18により選別した疑似硬貨NGを硬貨返却口13へと導いて返却するとともに、正規硬貨3を硬貨メカニズムユニット2へと導いて硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に蓄積する。自動販売機1においては、硬貨メカニズムユニット2内に既に2枚の硬貨3が蓄積された状態で顧客によりさらに硬貨3の投入を行うと、余剰硬貨として硬貨返却口13へと導いて返却する。
【0086】
自動販売機1においては、上述した正規の硬貨投入を行い、図10に示すように硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に2枚の硬貨3が蓄積された状態で、硬貨メカニズムユニット2が顧客による回転操作ダイヤル12Aの回転操作を可能な状態とする。自動販売機1においては、図14矢印で示すように回転操作ダイヤル12Aを回転操作すると、硬貨蓄積空間部60内の2枚の硬貨3をキーとしてロック部材52が支軸64を支点として反時計方向に押し上げられて硬貨収納カム部材51のロック状態が解除されるようにするとともに回転操作ダイヤル12Aをさらに回転操作することを可能とする。
【0087】
自動販売機1においては、回転操作ダイヤル12Aの回転操作に基づいて直交変換歯車機構48を介して駆動軸32が回転し、図4に示すようにこの駆動軸32に固定した商品送出カム部材33が商品収納ユニット19の商品収納空間部28から最下段の商品4を商品取出部14へと送り出す動作を行う。自動販売機1においては、顧客により商品取出口14Aに送り出された商品4の取出が行われる。
【0088】
自動販売機1においては、上述したように回転操作ダイヤル12Aの回転操作に基づいて直交変換歯車機構48を介して駆動軸32が回転し、この駆動軸32と一体にラチェットカム部材55も回転して硬貨メカニズムユニット2において蓄積した硬貨3の収納動作が行われるようにする。自動販売機1においては、ラチェットカム部材55の偏心カム部58に係合されたカムピン59Aを介して硬貨収納カム部材51が図14に示すように後方へとスライド動作する。自動販売機1においては、これにより硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60が、硬貨受け部材53に対してその蓄積枚数規定部材71と対向する位置から硬貨収納ダクト77と対向する位置へと移動する。自動販売機1においては、硬貨蓄積空間部60が底部を開放されることにより内部に蓄積した硬貨3を硬貨収納ダクト77へと落下させて、金庫ユニット20内に収納されるようにする。
【0089】
自動販売機1においては、硬貨蓄積空間部60に硬貨3を収納した状態で、硬貨返却レバー部材11Aをスライド操作することにより、硬貨3を硬貨返却口13から返却する。自動販売機1においては、硬貨返却レバー部材11Aを押し下げると、図15に示すように硬貨受け部材53を構成する硬貨受けフレーム部材70が支軸72を支点として同図において反時計方向に回動して硬貨蓄積空間部60の底部を開放する。自動販売機1においては、蓄積されていた硬貨3が蓄積枚数規定部材71の外側面部上から硬貨返却部70Cに沿って硬貨返却口13へと落下することで返却が行われる。
【0090】
自動販売機1においては、回転操作ダイヤル12Aが1回転されると、上述した動作を行った商品送出カム部材33や硬貨収納カム部材51等の各部材が初期位置へと復帰して待機状態となる。自動販売機1においては、硬貨収納カム部材51が後方にスライドした位置から前方の初期位置まで復帰動作すると、硬貨3により押し上げられたロック部材52が復帰することによりそのロック凸部69によりロックされる。自動販売機1においては、この硬貨収納カム部材51の再ロック状態により、回転操作ダイヤル12Aの回転操作も不能とされる。
【0091】
ところで、自動販売機1においては、上述した硬貨メカニズムユニット2を備えることにより、簡易な対応によって商品4を取り出す際の回転操作ダイヤル12Aの回転方向を変更することが可能である。硬貨メカニズムユニット2は、詳細を後述するように第1シャーシ基板35に対してラチェットレバー部材56を支持する支軸56Aの取付部と、ダイヤル戻しバネ部材57の取付部及び掛合せ部とが予め複数箇所に形成される。
【0092】
図16に示した第1操作部態様85は、上述した実施の形態として示した自動販売機1の態様であり、前面板36に回転操作ダイヤル12Aと硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを配置する。第1操作部態様85は、回転操作ダイヤル12Aの操作軸47と直交変換歯車機構48により結合されて第1シャーシ基板35を貫通された駆動軸32にラチェットカム部材55を固定し、ラチェットカム部材55に対して後方上部にラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置にダイヤル戻しバネ部材57を配置する。
【0093】
第1操作部態様85は、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して後方上部に位置されるようにする。かかる第1操作部態様85においては、回転操作ダイヤル12Aを時計方向に回転(右回転)することにより、ラチェットカム部材55が反時計方向に回転して駆動軸32を介して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0094】
図17に示した第2操作部態様86も、上述した第1操作部態様85と同様に前面板36に回転操作ダイヤル12Aと硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを配置する。第2操作部態様86は、上述した第1操作部態様85の配置から、駆動軸32に対するラチェットカム部材55の固定位置を変えるとともに、第1シャーシ基板35に対してラチェットレバー部材56とダイヤル戻しバネ部材57の配置位置を組み替えて構成する。第2操作部態様86においては、ラチェットカム部材55に対して前方上部に反転した状態でラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置に反転した状態でダイヤル戻しバネ部材57を配置する。
【0095】
第2操作部態様86は、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して前方上部に位置されるようにする。かかる第1操作部態様85においては、回転操作ダイヤル12Aを反時計方向に回転(左回転)することにより、ラチェットカム部材55が時計方向に回転して駆動軸32を介して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0096】
自動販売機1においては、上述したように前面板36に回転操作ダイヤル12Aを配置して構成したが、上述した硬貨メカニズムユニット2を備えることにより、簡易な対応によって第1シャーシ基板35を前面側としたいわゆる横型仕様として構成することも可能である。なお、自動販売機1においては、かかる横型仕様として構成する場合に、回転操作ダイヤル12Aのみを横配置し或いは回転操作ダイヤル12Aとともに料金表示部9や硬貨返却口13或いは硬貨返却口13や商品取出部14も前面側に配置するように構成してもよいが、基本的な構成を同様とすることからそれらの説明については省略する。
【0097】
図18に示した横型仕様の第1操作部態様90は、第1シャーシ基板35に回転操作ダイヤル12Aと硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを配置する。第1操作部態様90は、例えば操作軸47と直交変換歯車機構48を不要とし、第1シャーシ基板35に軸受けされて外方へと貫通されてラチェットカム部材55を固定した駆動軸32を延長して筐体5の側面を貫通させ、外部に突出された駆動軸32に回転操作ダイヤル12Aを固定した直結構造とする。
【0098】
第1操作部態様90においては、ラチェットカム部材55に対して前方上部にラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置に反転した状態でダイヤル戻しバネ部材57を配置する。第2操作部態様86は、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して前方上部に位置されるようにする。かかる第1操作部態様90においては、回転操作ダイヤル12Aを時計方向に回転(右回転)することにより、直結した駆動軸32も時計方向に回転して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0099】
図19に示した横型仕様の第2操作部態様91も、駆動軸32に回転操作ダイヤル12Aを直結した構造であり、上述した第1操作部態様90の配置から、硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを前面板36に配置する。第2操作部態様91は、駆動軸32に対するラチェットカム部材55の固定位置を変えるとともに、第1シャーシ基板35に対してラチェットレバー部材56とダイヤル戻しバネ部材57の配置位置を組み替えて構成する。
【0100】
第2操作部態様91においては、ラチェットカム部材55に対して後方上部にラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置にダイヤル戻しバネ部材57を配置する。第2操作部態様91においては、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して後方上部に位置されるようにする。かかる第2操作部態様91においては、回転操作ダイヤル12Aを反時計方向に回転(左回転)することにより、駆動軸32も反時計方向に回転して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0101】
図20に示した横型仕様の第3操作部態様93は、上述した第1操作部態様90と同様に第1シャーシ基板35に回転操作ダイヤル12Aと硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを配置する。第3操作部態様93は、詳細を省略するが回転操作ダイヤル12Aと直交する側方に商品収納ユニット19が配置されており、駆動軸32と回転操作ダイヤル12Aの操作軸47とが直交変換歯車機構48を介して連結される。
【0102】
第3操作部態様93においては、図示を省略するが操作軸47が第1シャーシ基板35に軸受けされて外方へと貫通されており、この操作軸47に回転操作ダイヤル12Aとともにラチェットカム部材55も固定される。第3操作部態様93においては、ラチェットカム部材55に対して後方上部にラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置にダイヤル戻しバネ部材57を配置する。第3操作部態様93においては、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して後方上部に位置されるようにする。かかる第3操作部態様93においては、回転操作ダイヤル12Aを反時計方向に回転(左回転)することにより、駆動軸32が時計方向に回転して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0103】
図21に示した横型仕様の第4操作部態様94は、上述した第2操作部態様91と同様に硬貨返却レバー部材11Aの操作部11Bを前面板36に配置する。第4操作部態様94も、駆動軸32に回転操作ダイヤル12Aを直結した構造であり、上述した第2操作部態様91の仕様から駆動軸32に対するラチェットカム部材55の固定位置を変えるとともに、第1シャーシ基板35に対してラチェットレバー部材56とダイヤル戻しバネ部材57の配置位置を組み替えて構成する。
【0104】
第4操作部態様94は、回転操作ダイヤル12Aと直交する側方に商品収納ユニット19が配置されており、駆動軸32と回転操作ダイヤル12Aの操作軸47とが直交変換歯車機構48を介して連結される。第4操作部態様93においては、操作軸47に回転操作ダイヤル12Aとともに固定されたラチェットカム部材55に対して、前方上部にラチェットレバー部材56を配置するとともにこのラチェットレバー部材56と中心軸対象位置にダイヤル戻しバネ部材57を配置する。第4操作部態様94においては、待機状態においてラチェットカム部材55がその欠歯領域55Bをラチェットレバー部材56と対向して前方上部に位置されるようにする。かかる第4操作部態様94においては、回転操作ダイヤル12Aを時計方向に回転(右回転)することにより、駆動軸32が反時計方向に回転して商品4の送出し動作が行われるように構成される。
【0105】
硬貨メカニズムユニット2においては、硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に蓄積する硬貨3の蓄積枚数を硬貨受け部材53を構成する硬貨受けフレーム部材70に対して蓄積枚数規定部材71が外周面部71A〜71Dを選択して組み合わすことにより規定するようにしたが、本発明はかかる構成に限定されないことは勿論である。
【0106】
図22に示した機構部100は、基本的な構成を上述した硬貨受けフレーム部材70と同様とする硬貨受けフレーム部材102に対してネジ型の蓄積枚数調整部材103を組み合わせて硬貨受け部材101を構成したものである。機構部100も、上述したように硬貨受け部材101が硬貨収納カム部材51とロック部材52に対して重ね合わせ状態で組み合わされて硬貨蓄積空間部60の底部を閉塞するとともに、この硬貨蓄積空間部60内への蓄積枚数調整部材103の突出量を硬貨受けフレーム部材102を介して調整することにより硬貨3の蓄積枚数を規定する。
【0107】
硬貨受けフレーム部材102も、中央部位102Aと硬貨収納部102Bと硬貨返却部102Cとから構成された横長矩形のブロック体からなり、硬貨収納部102B側の両側面の上方に位置して一体に突設された支軸104を第1シャーシ基板35と第2シャーシ基板38に相対して形成した軸孔に嵌合することにより、硬貨収納カム部材51の下側に位置して片持ち状態で揺動自在に支持される。硬貨受けフレーム部材102には、中央部位102Aに蓄積枚数調整部材103を高さ方向に移動自在に組み合わせる内周ネジを有する組付ネジ孔105が、硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60と対向して高さ方向に貫通して形成される。
【0108】
硬貨受けフレーム部材102にも、硬貨収納部102Bに金庫ユニット20と連通する硬貨収納ダクト106が形成され、硬貨収納カム部材51のスライド動作により硬貨蓄積空間部60内で中央部位102Aから硬貨収納部102Bへと押し出される硬貨3を側方へと落下させる。硬貨受けフレーム部材102も、硬貨返却部102Cが硬貨返却口13と対向される前下がり傾斜面として形成されるとともにカム溝78が形成されており、硬貨返却レバー部材11Aの操作により回動されて硬貨蓄積空間部60内に蓄積された硬貨3を硬貨返却口13へと落下させる。なお、硬貨受けフレーム部材102にも、図示を省略するが底面に弾性アームを一体に形成して上面が硬貨収納カム部材51の底面に突き当てられるようにする。
【0109】
蓄積枚数調整部材103は、硬貨受けフレーム部材102の組付ネジ孔105とほぼ同径の丸棒状の部材であり、外周部に組付ネジ孔105の内周ネジにねじ込まれる外周ネジが形成されたネジ部103Aと、このネジ部103Aと同軸の操作部103Bとから構成される。蓄積枚数調整部材103は、その先端部が硬貨受けフレーム部材102の中央部位102Aを介して硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内へと突出することにより、この硬貨蓄積空間部60の底部を閉塞して硬貨3の受け面を構成する。
【0110】
硬貨受け部材101においては、管理者が適宜の治具を用いて硬貨受けフレーム部材102に対して蓄積枚数調整部材103を上下方向に移動させることにより、硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内における硬貨3の蓄積枚数が変更されるようにする。硬貨受け部材101においては、図22(A)において矢印で示すように操作部103Bを反時計方向に回すと、外周ネジと内周ネジの噛み合いによって蓄積枚数調整部材103が硬貨受けフレーム部材102に対してその組付ネジ孔105内を上方へと移動する。硬貨受け部材101においては、蓄積枚数調整部材103の先端部が硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に大きく突出する。硬貨受け部材101においては、蓄積枚数調整部材103の先端部を硬貨蓄積空間部60の開口縁に対して硬貨3の2枚分の厚みとほぼ同等の高さ位置に設定することにより、硬貨蓄積空間部60に2枚の硬貨3が蓄積されるようにする。
【0111】
硬貨受け部材101においては、図22(B)において矢印で示すように操作部103Bを時計方向に回すと、外周ネジと内周ネジの噛み合いによって蓄積枚数調整部材103が硬貨受けフレーム部材102に対してその組付ネジ孔105内を下方へと移動する。硬貨受け部材101においては、これにより硬貨収納カム部材51の硬貨蓄積空間部60内に大きく突出していた蓄積枚数調整部材103の先端部が次第に退出する。硬貨受け部材101においては、蓄積枚数調整部材103の先端部を硬貨受けフレーム部材102の中央部位102Aと略同一面を構成するまで下降させることにより、硬貨蓄積空間部60に8枚の硬貨3が蓄積されるようにする。
【0112】
硬貨受け部材101においては、上述したように硬貨受けフレーム部材102と、この硬貨受けフレーム部材102に対してネジ操作により上下方向に調整移動される蓄積枚数調整部材103を組み合わせることにより、硬貨蓄積空間部60内に蓄積する硬貨3の枚数を1枚から8枚まで任意に設定することが可能となる。
【0113】
本発明にかかる硬貨メカニズムユニット装置は、上述した実施の形態として示した自動販売機1に限定されず、駆動軸32を介して商品4の送り出しを行う各種自動販売機にも適用可能である。硬貨メカニズムユニット装置は、例えば従来のカプセル型商品を販売するワンコイン型自動販売機にもその硬貨メカニズムユニットと交換して用いられることにより、高額商品化の対応を図ることを可能とする。本発明は、特許請求の範囲に記載した各構成について、その技術範囲を逸脱しない範囲で適宜変更、展開されることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】小型自動販売機の正面図である。
【図2】前扉を取り外して内部構造を示した自動販売機の正面図である。
【図3】前扉を開いて内部構造を示した自動販売機の斜視図である。
【図4】商品収納部から商品の送出し動作を行う説明図である。
【図5】実施の形態として示す自動販売機に組み付けられる硬貨メカニズムユニットの要部斜視図である。
【図6】硬貨メカニズムユニットの内部構造と硬貨の流れを説明する図である。
【図7】硬貨メカニズムユニットに備える直交変換歯車機構と回転方向規制機構を説明する要部斜視図である。
【図8】回転方向規制機構を説明する一部切欠き要部側面図である。
【図9】回転方向規制機構と偏心カム部の構成を説明する要部側面図である。
【図10】機構部の構成を説明する断面図である。
【図11】機構部を構成する硬貨収納カム部材を示し、同図(A)は斜視図、同図(B)は平面図である。
【図12】機構部を構成するロック部材を示し、同図(A)は斜視図、同図(B)は底面図である。
【図13】機構部を構成する硬貨受け部材を示す分解斜視図である。
【図14】硬貨メカニズムユニットにおける硬貨収納動作を説明する第2シャーシ基板を取り外して示す要部側面図である。
【図15】硬貨返却動作を説明する要部側面図である。
【図16】縦型仕様の硬貨メカニズムユニットの第1操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図17】縦型仕様の硬貨メカニズムユニットの第2操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図18】横型仕様の硬貨メカニズムユニットの第1操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図19】横型仕様の硬貨メカニズムユニットの第2操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図20】横型仕様の硬貨メカニズムユニットの第3操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図21】横型仕様の硬貨メカニズムユニットの第4操作部態様を示し、同図(A)は正面図、同図(B)は側面図である。
【図22】硬貨蓄積空間部に蓄積する硬貨の枚数を可変とする機構部の第2の実施の形態を示す一部切欠き要部側面図であり、同図(A)は2枚蓄積仕様、同図(B)は8枚蓄積仕様に設定した状態を示す。
【符号の説明】
【0115】
1 自動販売機、2 硬貨メカニズムユニット、3、硬貨、4 商品、5 筐体、9 料金表示部、10 硬貨投入口、11 硬貨返却操作部、12 商品取出操作部、12A 回転操作ダイヤル、13 硬貨返却口、14 商品取出部、18 硬貨選別ユニット、19 商品収納ユニット、20 金庫ユニット、28 商品収納空間部、31 商品送出機構、32 駆動軸、33 商品送出カム部材、35 第1シャーシ基板、36 前面板、37 背面板、38 第2シャーシ基板、39 フレーム体、40 硬貨選別ユニット組合せ空間部、41 メカニズム組付空間部、44 スロット部材、45 ガイド溝、46 機構部、47 操作軸、48 直交変換歯車機構、49 第1傘歯車、50 第2傘歯車、51 硬貨収納カム部材、52 ロック部材、53 硬貨受け部材、54 回転方向規制機構、55 ラチェットカム部材、55A ラチェット歯、55B 欠歯領域、56 ラチェットレバー部材、57 ダイヤル戻しバネ部材、58 偏心カム部、59 カムリブ、59A カムピン、60 硬貨蓄積空間部、63 ガイドカム溝、64 支軸、65 硬貨ガイド孔、66 ウェイト、68 カム凸部、69 ロック凸部、70 硬貨受けフレーム部材、71 蓄積枚数規定部材、72 支軸、73 組付開口部、76 弾性アーム、77 硬貨収納ダクト、78 カム溝、79 組付凸部、85 縦型仕様第1操作部態様、86 縦型仕様第2操作部態様、90 横型仕様第1操作部態様、92 横型仕様第2操作部態様、93 横型仕様第3操作部態様、94 横型仕様第4操作部態様、100 機構部、101 硬貨受け部材、102 硬貨受けフレーム部材、103 蓄積枚数調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規の硬貨投入に基づいて商品取出操作部材のロック状態を解除し、上記商品取出操作部材の操作によって駆動される送出機構により商品収納部に収納した商品の送出動作が行われるようにする硬貨メカニズムユニット装置であり、
偏心カム部を有し、上記商品取出操作部材の操作により回転される駆動カム部材と、
上記駆動カム部材の上記偏心カム部と係合されるカム部が形成されるとともに硬貨蓄積空間部が形成され、上記商品取出操作部材の操作により上記駆動カム部材を介してスライド動作される硬貨収納カム部材と、
上記硬貨収納カム部材の上方に位置して揺動自在に配置され、上記硬貨収納カム部材と係合することにより上記商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作を不能状態とするロック部を有するロック部材と、
上記硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部の底部を構成して揺動自在に設けられ、上記ロック部材によるロック状態を解除されて上記硬貨収納カム部材がスライド動作することにより上記硬貨蓄積空間部に蓄積された規定枚数の硬貨を支持して硬貨収納部へと導くとともに、硬貨返却操作部材の操作により回動動作することにより上記硬貨蓄積空間部の底部を開放して蓄積した硬貨を硬貨返却部へと導く硬貨受け部材とを備え、
上記硬貨収納カム部材が、上記硬貨蓄積空間部に規定枚数の硬貨を蓄積した状態で上記商品取出操作部材の操作に基づいてスライド動作することにより、上記蓄積硬貨による上記ロック部材の押上げ動作が行われて上記ロックカム部によるロック状態が解除されることを特徴とする硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項2】
上記駆動カム部材は、外周部にラチェット歯が形成されるとともに側面部に回転中心から偏心した位置を中心とする円形の上記偏心カム部を形成してなり、上記商品取出操作部材の操作により回転されるラチェットカム部材であり、
上記ラチェット円板部材の外周部に、先端爪部が噛合習性を付与されて上記ラチェット歯と噛合するラチェットレバー部材を設けて一定方向にのみ回転されることにより、上記商品取出操作部材が一方向にのみ回転操作されるように規制することを特徴とする請求項1に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項3】
上記硬貨収納カム部材は、上記硬貨蓄積空間部が規定枚数の硬貨を厚み方向に重ね合わせて収納する筒状に形成され、上記硬貨受け部材に設けた高さ調整機構により蓄積する硬貨の規定枚数が可変されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項4】
上記ロック部材には、上記硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部内に硬貨を導く硬貨ガイド孔が形成されるとともに、揺動支点と対向する自由端側に上記ロック部を上記硬貨収納カム部材側に付勢して係合習性を付与する重りが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項5】
上記硬貨受け部材は、一方側に硬貨収納部と連通する第1傾斜面部を形成するとともに他方側に硬貨返却部と連通する第2傾斜面部を形成して揺動自在に支持される硬貨受けフレーム部材と、この硬貨受けフレーム部材の上記第1傾斜面部と上記第2傾斜面部との間に上記硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部の底部と対向して着脱自在に組み合わされて硬貨を受け止めることにより蓄積枚数を規定する蓄積枚数規定部材とから構成され、
上記蓄積枚数規定部材が、上記硬貨受けフレーム部材との組合せ支点からの高さを異にする複数の受止め部を形成した多角形のブロック体からなり、上記受止め部を選択して上記硬貨受けフレーム部材に組み合わせることにより上記硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部に蓄積する硬貨の枚数を規定することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項6】
自動販売機本体に付設され、正規の硬貨投入に基づいて商品取出操作部材のロック状態を解除し、上記商品取出操作部材の操作によって駆動される送出機構により商品収納部に収納した商品の送出動作が行われるようにする硬貨メカニズムユニット装置であり、
第1シャーシ基板と、この第1シャーシ基板の幅方向の両側縁部に沿ってそれぞれ直交状態に相対して設けられた第1側板及び第2側板と、上記第1シャーシ基板に上部領域を開放し下部領域にメカニズム組付空間部を構成して相対して設けられた第2シャーシ基板とによりフレーム体を構成し、
上記フレーム体に対して、上記第1シャーシ基板の側面を開放された上部領域に硬貨選別ユニットが組み付けられるとともに、上記第1シャーシ基板の外側面に貫通された上記送出機構の駆動軸に偏心カム部が形成された駆動カム部材を設け、
上記メカニズム組付空間部内に、
上記駆動カム部材の上記偏心カム部と係合されるカム部が形成されるとともに硬貨蓄積空間部が形成され、上記商品取出操作部材の操作により上記駆動カム部材を介してスライド動作される硬貨収納カム部材と、
上記硬貨収納カム部材の上方に位置して揺動自在に配置され、上記硬貨収納カム部材と係合することにより上記商品取出操作部材の操作に基づくスライド動作を不能状態とするロック部を有するロック部材と、
上記硬貨収納カム部材の上記硬貨蓄積空間部の底部を構成して揺動自在に設けられ、上記ロック部材によるロック状態を解除されて上記硬貨収納カム部材がスライド動作することにより上記硬貨蓄積空間部に蓄積された規定枚数の硬貨を支持して硬貨収納部へと導くとともに、硬貨返却操作部材の操作により回動動作することにより上記硬貨蓄積空間部の底部を開放して蓄積した硬貨を硬貨返却部へと導く硬貨受け部材とを組み合わせ、
正規の硬貨投入に基づいて上記商品取出操作部材の操作が行われると、上記硬貨蓄積空間部内に規定枚数の硬貨を蓄積した上記硬貨収納カム部材のスライド動作が許可されて上記蓄積硬貨による上記ロック部材の押上げ動作が行われて上記ロック部によるロック状態が解除され、上記送出機構による上記商品収納部に収納した上記商品の送出動作が行われるようにすることを特徴とする硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項7】
上記駆動カム部材は、上記駆動軸に固定され、外周部にラチェット歯が形成されるとともに側面部に回転中心から偏心した位置を中心とする円形の上記偏心カム部が形成され、上記商品取出操作部材の操作により回転されるラチェットカム部材であり、
上記ラチェット円板部材の外周部に、上記第1シャーシ基板の外側面に取り付けられて先端爪部が噛合習性を付与されて上記ラチェット歯と噛合するラチェットレバー部材により一定方向にのみ回転されることにより、上記商品取出操作部材が一方向にのみ回転操作されるように規制することを特徴とする請求項6に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項8】
上記駆動軸に対して上記ラチェット歯の向きを変えた上記ラチェット円板部材を交換して設けるとともに、上記第1シャーシ基板の外側面に中心対象位置に形成した取付部を選択して上記ラチェットレバーを取り付けることにより、上記商品取出操作部材の回転操作方向が選択されることを特徴とする請求項7に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項9】
上記フレーム体が、上記第1側板を上記自動販売機本体の前面側に位置させて取り付けられ、上記第1側板に硬貨投入口と硬貨返却操作部材と上記商品取出操作部材と硬貨返却口を設け、
上記第1側板を貫通して上記メカニズム組付空間部内に設けた上記操作軸と上記送出機構の上記駆動軸とを直交変換歯車機構により連結することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の硬貨メカニズムユニット装置。
【請求項10】
上記商品取出操作部材が、上記シャーシ基板を貫通して上記駆動カム部材を設けた上記送出機構の上記駆動軸に設けられることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の硬貨メカニズムユニット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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