説明

硬貨処理機

【課題】 高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供する。
【解決手段】 硬貨を搬送する硬貨通路2を備え、硬貨通路2が、その内壁により硬貨をガイドする基準ガイドレール3と、硬貨通路2を挟んで、基準ガイドレールと対向するように設けられたガイドレール4と、硬貨を硬貨通路2の表面との間で挟持しつつ、搬送する搬送ベルト6,8と、硬貨の金種を判別する硬貨判別手段10とを備えた硬貨処理機であって、硬貨判別手段40が、n種類の金種の硬貨を判別可能に構成され(nは、4以上の整数である。)、基準ガイドレール3との間隔が異なる位置に設けられ、硬貨を検出する少なくとも2つの径検出センサ16、17と、硬貨の材質を検出する材質センサ19を備えたことを特徴とする硬貨処理機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理機に関するものであり、さらに詳細には、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硬貨包装機や、硬貨入出金機などの硬貨処理機は、硬貨処理機に投入された硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨が受け入れ可能なときは、その金種を判別可能に構成されている。
【0003】
硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨が受け入れ可能なときに、その金種を判別するにあたっては、硬貨の径および硬貨の材質を検出し、各金種ごとの硬貨の基準径データおよび基準材質データと比較するのが一般的であり、そのため、多くの場合、硬貨処理機は、硬貨の径を検出するラインセンサおよび硬貨の磁気的な性質を検出する磁気センサを備えている。
【0004】
精巧な偽造硬貨が出回るのにともなって、硬貨処理機には、高い硬貨判別精度が要求されるようになり、そのため、近年、高精度のラインセンサおよび磁気センサを備えた硬貨処理機が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、硬貨処理機には、高精度のラインセンサおよび磁気センサが用いられているため、硬貨処理機のコストが高くなるという問題があった。
【0006】
さらに、高精度のラインセンサを用いて、高い精度で、硬貨の径を検出し、高精度の磁気センサを用いて、高精度で、硬貨の材質を検出するためには、必然的に、硬貨処理機内における硬貨の搬送速度が制限され、その結果、高速で、硬貨を判別して、硬貨を処理することができないという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のかかる目的は、硬貨を搬送する硬貨通路を備え、前記硬貨通路が、その内壁により硬貨をガイドする基準ガイドレールと、前記硬貨通路を挟んで、前記基準ガイドレールと対向するように設けられたガイドレールと、硬貨を前記硬貨通路の表面との間で挟持しつつ、搬送する搬送ベルト手段と、硬貨の金種を判別する硬貨判別手段とを備えた硬貨処理機であって、前記硬貨判別手段が、n種類の金種の硬貨を判別可能に構成され(nは、4以上の整数である。)、前記基準ガイドレールとの間隔が異なる位置に設けられ、硬貨を検出する少なくとも2つの径検出センサと、硬貨の材質を検出する材質センサを備えたことを特徴とする硬貨処理機によって達成される。
【0009】
本発明によれば、硬貨の金種を判別する硬貨判別手段が、基準ガイドレールとの間隔が異なる位置に設けられ、硬貨を検出する少なくとも2つの径検出センサと、硬貨の材質を検出する材質センサを備え、少なくとも2つの径検出センサによって、少なくとも3つの金種の異なる硬貨を判別し、材質センサによって、少なくとも2つの金種の異なる硬貨を判別することができ、したがって、高精度のラインセンサや、高精度の磁気センサを設けて、精度よく、硬貨の径や材質を検出することなく、単に、硬貨を検出する少なくとも2つの径検出センサと、硬貨の材質を検出する材質センサを設けるだけで、少なくとも4つの金種の異なる硬貨を判別することが可能になるから、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供することが可能になる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記硬貨判別手段が、さらに、前記基準ガイドレールの近傍に、硬貨を検出する硬貨センサを備えている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様によれば、硬貨判別手段が、さらに、基準ガイドレールの近傍に、硬貨を検出する硬貨センサを備えているから、少なくとも2つの径検出センサによって、精度よく、金種の異なる硬貨の径の差異を検出し、材質センサにより、精度よく、金種の異なる硬貨の材質の差異を検出することが可能になる。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、硬貨処理機は、前記材質センサによって、処理すべき硬貨を構成する材料をk種類のグループに分類可能な場合に(ここに、kは2以上で、かつ、(nー2)以下の整数である。)、少なくとも(n−k)の径検出センサを備えている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、材質センサによって、処理すべき硬貨を構成する材料をk種類のグループに分類可能な場合に、少なくとも(n−k)の硬貨を検出する径検出センサを設けるだけで、n種類の金種の硬貨を判別することができるから、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供することが可能になる。
【0014】
本発明の別の好ましい実施態様においては、硬貨処理機は、さらに、硬貨に穴が形成されているか否かを検出する硬貨センサを備えている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、少なくとも(n−k−1)の径検出センサを備えている。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、硬貨処理機が、さらに、硬貨に穴が形成されているか否かを検出する硬貨センサを備えている場合には、少なくとも(n−k−1)の径検出センサを設けるだけで、n種類の金種の硬貨を判別することができるから、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供することが可能になる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、硬貨処理機は、さらに、硬貨に穴が形成されているか否かを検出する硬貨センサを備えているから、処理すべき硬貨中に、穴が形成された金種の硬貨が含まれている場合に、径検出センサの数を減少させることができ、硬貨処理機のコストを低減させることが可能になる。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、硬貨処理機は、さらに、前記硬貨判別手段の下流側の前記硬貨通路に設けられ、前記基準ガイドレールから前記硬貨通路内に突出可能な突出手段と、前記突出手段の下流側の前記硬貨通路に形成された硬貨回収口を備え、少なくとも、硬貨の金種を特定することができないときに、前記硬貨判別手段が、前記突出手段を前記硬貨通路内に突出させて、硬貨を前記硬貨回収口に導くように構成されている。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、硬貨処理機は、さらに、硬貨判別手段の下流側の硬貨通路に設けられ、基準ガイドレールから硬貨通路内に突出可能な突出手段と、突出手段の下流側の硬貨通路に形成された硬貨回収口を備え、少なくとも、硬貨の金種を特定することができないときに、硬貨判別手段が、突出手段を硬貨通路内に突出させて、硬貨を硬貨回収口に導くように構成されているから、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨を、現に流通している受け入れ可能な硬貨と別個に、効率よく、回収することが可能になる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記硬貨回収口が、前記基準ガイドレールの内壁と、その前記ガイドレール側の縁部との距離が、処理すべき最小径の硬貨の径よりもわずかに小さく、前記基準ガイドレールの内壁と、突出位置にある前記突出部材の先端部との距離が、前記基準ガイドレールの内壁と、その前記基準ガイドレール側の縁部との距離よりもわずかに大きくなるように、形成されている。
【0021】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、硬貨回収口が、基準ガイドレールの内壁と、そのガイドレール側の縁部との距離が、処理すべき最小径の硬貨の径よりもわずかに小さく、基準ガイドレールの内壁と、突出位置にある突出部材の先端部との距離が、基準ガイドレールの内壁と、その基準ガイドレール側の縁部との距離よりもわずかに大きくなるように、形成されているから、突出部材を突出位置に位置させることによって、硬貨回収口に落下させて、回収すべき硬貨のみを、確実に、硬貨回収口に落下させて、回収することが可能になる。
【0022】
硬貨回収口が、基準ガイドレールの内壁と、そのガイドレール側の縁部との距離が、処理すべき最小径の硬貨の径よりも大きく、突出位置にある突出部材の先端部とそのガイドレール側の縁部との距離が、処理すべき最小径の硬貨の径よりもわずかに小さく、かつ、処理すべき最大径の硬貨の径の1/2よりも、所定の値だけ、大きくなるように、形成されているから、硬貨回収口に落下させて、回収すべき硬貨を、確実に、硬貨回収口に落下させて、回収すすことが可能になる。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、硬貨処理機が、さらに、硬貨の金種を指定する金種指定手段を備え、前記金種指定手段によって指定された金種の硬貨を、他の金種の硬貨およびその金種が特定できない硬貨とは別個に、選別可能に構成されている。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、特定の金種の硬貨のみを選別して、選択的に回収し、あるいは、包装することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高速で、硬貨が受け入れ可能か否かおよび硬貨の金種を判別することができ、かつ、低コストで製造が可能な硬貨処理機を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0027】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨処理機の略平面図であり、図2は、図1の略左側面図である。
【0028】
本実施態様にかかる硬貨処理機は、操作者が指定した金種の硬貨を選別し、選別された金種の硬貨の枚数を計数可能に構成されており、図1および図2に示されるように、硬貨投入部(図示せず)から、硬貨処理機内に投入された硬貨Cを、搬送ベルトなどの硬貨搬送手段(図示せず)を介して、その表面上で受け取る回転可能な回転円板1と、回転円板1に接続された硬貨通路2を有しており、硬貨通路2は、硬貨Cを、その硬貨通路2側の内壁に沿ってガイドする基準ガイドレール3と、基準ガイドレール3に対向して配置されたガイドレール4を備えている。
【0029】
さらに、硬貨通路2には、プーリ5aおよびプーリ5bに懸架され、硬貨Cを、硬貨通路2の表面との間に挟持して、搬送する第一の搬送ベルト6と、プーリ7およびプーリ(図示せず)に懸架され、硬貨Cを、硬貨通路2の表面との間に挟持して、第一の搬送ベルト6より高速で搬送する第二の搬送ベルト8が設けられており、第二の搬送ベルト8の下方の硬貨通路2には、選別すべき金種の硬貨C以外の硬貨Cが落下可能な硬貨回収口9が形成されている。
【0030】
硬貨回収口9は、硬貨回収通路(図示せず)を介して、硬貨回収ボックス(図示せず)に接続され、硬貨回収口9内に落下した硬貨Cは、硬貨回収ボックス内に回収されるよに構成されている。
【0031】
図1に示されるように、硬貨回収口9の直上流側の硬貨通路2には、硬貨Cの通過を検出する硬貨センサ11が設けられ、硬貨回収口9の直下流側の硬貨通路2には、その上を通過した硬貨Cの枚数を計数するセンサ12が設けられている。硬貨センサ11およびセンサ12は、いずれも、発光素子(図示せず)と受光素子(図示せず)とを備え、発光素子から発せられた光が、硬貨Cによって遮られ、受光素子によって受光されないときに、硬貨検出信号を出力するように構成されている。
【0032】
第一の搬送ベルト6が懸架されているプーリ5bと、搬送ベルト8が懸架されているプーリ7とは一体に形成されるとともに、プーリ5bの径は、プーリ7の径に比して、小さく形成されており、その結果、第二の搬送ベルト8の駆動速度は、第一の搬送ベルト6よりも大きくなり、第二の搬送ベルト6によって、硬貨Cの搬送速度が加速され、硬貨通路2内を、連続して送られる硬貨Cの間の間隔が大きくされて、選別すべき金種の硬貨Cと、それ以外の硬貨との処理が確実におこなわれるようになっている。
【0033】
図1において、参照番号13は、二枚以上の硬貨Cが、同時に、回転円板1から硬貨通路2に送り出されるの防止するため、処理すべき硬貨の厚みに応じて、回転円板1の表面との間隙を設定する間隙設定部材であり、参照番号14は、第一の搬送ベルト6および第二の搬送ベルト8を、硬貨通路2の表面に押圧する押さえローラである。
【0034】
図3は、第一の搬送ベルト6および第二の搬送ベルト8を取り去った硬貨処理機の略平面図である。
【0035】
図3に示されるように、硬貨センサ11の上流側の硬貨通路2には、硬貨通路2を搬送される硬貨Cを判別する硬貨判別部10が設けられている。
【0036】
本実施態様にかかる硬貨処理機の硬貨判別部10は、日本国内において流通している硬貨Cを判別可能に構成されており、硬貨判別部10は、基準ガイドレール3に近接して設けられた硬貨センサ15と、基準ガイドレール3との間隔が、第一の間隔S1に等しくなるように配置された第一の硬貨センサ16と、基準ガイドレール3との間隔が、第一の間隔S1よりも大きい第二の間隔S2に等しくなるように配置された第二の硬貨センサ17と、基準ガイドレール3との間隔が、第一の間隔S1よりも小さい第三の間隔S3に等しくなるように配置された第三の硬貨センサ18と、第一の硬貨センサ16よりも基準ガイドレール3に近い位置に配置された磁気センサ19とを備えている。
【0037】
ここに、基準ガイドレール3に近接して設けられた硬貨センサ15は、硬貨Cが基準ガイドレール3に沿って、搬送されているか否かを検出するためのものであり、たとえば、基準ガイドレール3との間隔が1mm以下になるように設けられている。硬貨センサ15は、発光素子(図示せず)と受光素子(図示せず)とを備え、発光素子から発せられた光が、硬貨Cによって遮られ、受光素子によって受光されないときに、硬貨検出信号を出力するように構成されている。
【0038】
これに対して、磁気センサ19は、硬貨判別部10を通過する硬貨Cの磁気的な性質を検出するためのものである。したがって、磁気センサ19は、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過するすべての硬貨Cに磁気的な性質を検出可能な位置に設けられている。本実施態様においては、磁気センサ19によって検出された硬貨Cの磁気的な性質に基づいて、硬貨Cを構成している材料が、1円硬貨を構成している材料および10円硬貨を構成している材料が属する第一の材料グループ、5円硬貨を構成している材料が属する第二の材料グループ、新500円硬貨を構成している材料が属する第三の材料グループならびに50円硬貨を構成している材料、100円硬貨を構成している材料および旧500円硬貨を構成している材料が属する第四の材料グループのいずれに属するかを判別するように構成されている。
【0039】
一方、基準ガイドレール3との間隔が、第一の間隔S1に等しくなるように配置された第一の硬貨センサ16および基準ガイドレール3との間隔が、第二の間隔S2に等しくなるように配置された第二の硬貨センサ17は、硬貨Cの径にしたがって、硬貨Cを判別するためのものであり、いずれも、発光素子(図示せず)と受光素子(図示せず)とを備え、発光素子から発せられた光が、硬貨Cによって遮られ、受光素子によって受光されないときに、硬貨検出信号を出力するように構成されている。
【0040】
第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過する処理すべき硬貨のうち、最小径の硬貨Cである1円硬貨、二番目に径が小さい50円硬貨および三番目に径が小さい5円硬貨を検出することがなく、5円硬貨よりも径が大きい硬貨Cのみを検出可能な位置に設けられ、したがって、第一の間隔S1は、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きく、処理すべき硬貨のうち、四番目に径が小さい100円硬貨の径よりも小さくなるように設定されている。
【0041】
一方、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過する処理すべき硬貨のうち、最大径の硬貨Cである500円硬貨のみを検出可能な位置に設けられ、したがって、第二の間隔S2は、処理すべき硬貨のうち、最大径の硬貨Cである新500円硬貨および旧500円硬貨の径よりも小さく、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設定されている。
【0042】
その結果、最小径の硬貨Cである1円硬貨、二番目に径が小さい50円硬貨あるいは三番目に径が小さい5円硬貨が基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過するときは、1円硬貨、50円硬貨あるいは5円硬貨は、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17のいずれによっても検出されず、最大径の硬貨Cである500円硬貨が基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過するときは、500円硬貨は第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17の双方によって検出されるのに対し、5円硬貨よりも径が大きく、500円硬貨よりも径が小さい100円硬貨あるいは10円硬貨が基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過するときは、100円硬貨あるいは10円硬貨は、第一の硬貨センサ16によってのみ検出され、第二の硬貨センサ17によっては検出されないことになる。
【0043】
これに対して、基準ガイドレール3との間隔が、第三の間隔S3に等しくなるように配置された第三の硬貨センサ18は、処理すべき硬貨Cが基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10を通過するときに、硬貨Cに穴が形成されているか否かを検出するためのものである。第三の硬貨センサ18は、発光素子(図示せず)と受光素子(図示せず)とを備え、発光素子から発せられた光が、硬貨Cによって遮られ、受光素子によって受光されないときに、硬貨検出信号を出力するように構成されている。したがって、第三の硬貨センサ18上を通過した硬貨Cに穴が形成されていないときは、発光素子から発せられた光が受光素子によって受光されるため、第三の硬貨センサ18から、硬貨検出信号は出力されない。ここに、日本国内において流通している硬貨Cで、硬貨Cに穴が形成されている硬貨Cは、50円硬貨および5円硬貨のみであるから、第三の間隔S3は、50円硬貨あるいは5円硬貨に形成された穴を、第三の硬貨センサ18が検出可能なように設定されている。
【0044】
図1および図3に示されるように、硬貨選別部10の上流側において、基準ガイドレール3は、硬貨Cが、確実に、その硬貨通路2側の内壁に沿ってガイドされるように、第一の搬送ベルトル8の長手方向に対して、その側面が傾きを有するように形成された斜壁部分20を有しており、ガイドレール4もまた、基準ガイドレール3との間隔が一定になるように、第一の搬送ベルト8の長手方向に対して、その内壁が傾きを有するように形成された斜壁部分を有している。
【0045】
一方、図1および図3に示されるように、硬貨センサ11の直下流側の硬貨回収口10の上流端部に対応する基準ガイドレール3の部分には、切欠き部21が形成され、切欠き部20内には、四分円状の断面を有する突出部材22が設けられている。
【0046】
突出部材22は、その平面状の側面が、基準ガイドレール3の内壁と滑らかに連なる図1に示される退避位置と、その円形壁面が、硬貨通路2内に突出した突出位置との間で、ソレノイド(図示せず)により、90度の範囲で、回動可能に構成されている。
【0047】
図4は、基準ガイドレール3、ガイドレール4、硬貨回収口9および突出位置にある突出部材22の位置関係を示す略平面図である。
【0048】
図4において、硬貨回収口9は、基準ガイドレール3の内壁と、硬貨回収口9のガイドレール4側の縁部との距離L1が、処理すべき最小径の硬貨の径よりもわずかに小さく、基準ガイドレール3の内壁と突出位置にある突出部材22の先端部との距離L2が、基準ガイドレール3の内壁と硬貨回収口9の基準ガイドレール3側の縁部との距離L3よりもわずかに大きくなるように、形成されている。
【0049】
図示されていないが、硬貨通路2の終端部には、選別された硬貨を回収する選別硬貨回収ボックスが接続されており、選別された硬貨は、選別硬貨ボックス内に回収されるように構成されている。
【0050】
図5は、本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨処理機の入力系、検出系、駆動系、制御系および出力系のブロックダイアグラムである。
【0051】
図5に示されるように、硬貨処理機の入力系は、処理すべき硬貨の金種を入力する金種設定手段30および硬貨Cの処理を開始させるスタート手段31を備えており、硬貨処理機の検出系は、硬貨回収口9の直上流側の硬貨通路2に設けられ、硬貨Cの通過を検出する硬貨センサ11と、硬貨回収口9の直下流側の硬貨通路2に設けられ、その上を通過した硬貨Cの枚数を計数するセンサ12と、硬貨判別部10内に、互いに、基準ガイドレール3との間隔が異なるように設けられた第一の硬貨センサ16、第二の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18と、硬貨判別部10を通過する硬貨Cの磁気的性質を検出する磁気センサ19と、基準ガイドレール3に近接して設けられた硬貨センサ15とを備えている。
【0052】
また、図5に示されるように、硬貨処理機の駆動系は、回転円板1を回転あるいは停止させる回転円板駆動手段34と、第一の搬送ベルト6および第二の搬送ベルト8を駆動させる搬送ベルト駆動手段35と、突出手段22を、退避位置と突出位置との間で回動させるソレノイド36と、間隙設定部材13を鉛直方向に移動させて、回転円板1の表面との間隙を調整する間隙調整手段37とを備えている。
【0053】
さらに、図5に示されるように、硬貨処理機の制御系は、硬貨処理機全体の動作を制御するコントロールユニット40と、硬貨処理機全体の銅さを制御するための制御プログラムを格納するとともに、第一の材料グループに属する材料、第二の材料グループに属する材料、第三の材料グループに属する材料および第四の材料グループに属する材料の基準磁気的データならびに硬貨Cを判別するためのアルゴリズムを記憶するROM41と、硬貨センサ11、センサ12、第一の硬貨センサ16、第二の硬貨センサ17、第三の硬貨センサ18、磁気センサ19あるいは硬貨センサ15から入力された検出信号を記憶するRAM42を備え、硬貨処理機の出力系は、硬貨処理の結果を表示する表示手段45を備えている。RAM42としては、たとえば、リングバッファを用いることができる。
【0054】
本実施態様において、コントロールユニット40は、金種設定手段30から入力された金種設定信号ならびに硬貨センサ15、第一の硬貨センサ16、第二の硬貨センサ17、第三の硬貨センサ18および磁気センサ19から入力された硬貨Cの検出信号に基づき、硬貨Cが選別すべき金種の硬貨Cか否かを判別し、判別結果にしたがって、ソレノイド36に選択的に駆動信号を出力可能に構成されている。さらに、コントロールユニット40は、金種設定手段30から入力された金種設定信号に基づき、間隙調整手段37に間隙調整信号を出力して、処理すべき硬貨Cの金種に応じて、間隙設定部材13を鉛直方向に移動させ、回転円板1の表面との間隙を調整するとともに、回転円板駆動手段34および搬送ベルト駆動手段35に、駆動信号あるいは駆動停止信号を出力可能に構成されている。
【0055】
以上のように構成された本実施態様にかかる硬貨処理機は、以下のようにして、硬貨処理機に投入された硬貨Cから、操作者によって指定された金種の硬貨Cのみを選別し、指定された金種の硬貨Cの枚数を計数して、選別硬貨ボックス内に回収するとともに、指定された金種の硬貨C以外の硬貨を、硬貨回収口9を介して、硬貨回収ボックス内に回収する。
【0056】
硬貨Cの処理を開始するにあたり、まず、操作者によって、処理すべき硬貨Cが、硬貨投入部(図示せず)から、硬貨処理機内に投入されるとともに、選別すべき硬貨Cの金種を設定する金種設定手段30およびスタート手段31が操作される。
【0057】
その結果、金種設定手段30から、コントロールユニット40に金種設定信号が出力され、コントロールユニット40は、入力された金種設定信号に基づき、間隙調整手段37に間隙調整信号を出力して、間隙設定部材13を鉛直方向に移動させ、回転円板1の表面との間隙が、処理すべき金種の硬貨Cの厚み以上で、厚みの二倍未満になるように調整するとともに、包装すべき硬貨Cの金種をRAM42に格納する。
【0058】
一方、スタート手段31が操作されると、スタート手段31から、コントロールユニット40にスタート信号が出力され、コントロールユニット40は、スタート信号を受けると、回転円板駆動手段34に、駆動信号を出力して、回転円板1を回転させるとともに、搬送ベルト駆動手段35に、駆動信号を出力して、第一の搬送ベルト6および第二の搬送ベルト8を駆動させる。
【0059】
その結果、硬貨投入部(図示せず)から、硬貨処理機に投入された硬貨Cは、硬貨搬送手段(図示せず)により、回転円板1上に送られ、回転円板1の回転によって生じた遠心力により、硬貨通路2に送られる。この際、回転円板1の表面との間隙が、処理すべき金種の硬貨Cの厚み以上で、厚みの二倍未満になるように、間隙設定部材13を鉛直方向の位置が調整されているため、硬貨Cは、一枚づつ硬貨通路2に送られ、二枚送りが防止される。
【0060】
硬貨通路2に送られた硬貨Cは、第一の搬送ベルト6および第二の搬送ベルト8によって、基準ガイドレール3に沿って、硬貨通路2内を硬貨判別部10に送られる。
【0061】
硬貨Cが、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送されると、硬貨センサ15によって、硬貨Cが検出されて、硬貨検出信号が、コントロールユニット40に出力され、磁気センサ19によって、硬貨Cの磁気的性質が検出されて、材質検出信号が、コントロールユニット40に出力されるとともに、硬貨Cの金種に応じて、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、選択的に、硬貨検出信号が、コントロールユニット40に出力される。
【0062】
コントロールユニット40は、硬貨センサ15から、硬貨検出信号を受け、磁気センサ19から、材質検出信号を受けると、硬貨Cを構成する材料グループごとに、ROM41に記憶された基準磁気データを読み出して、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループ、第二の材料グループ、第三の材料グループおよび第四の材料グループのいずれに属しているかを判定する。
【0063】
次いで、コントロールユニット40は、こうして、材質検出信号に基づいて、判定した硬貨Cを構成している材料の種類と、硬貨Cの金種に応じて、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、選択的に入力された硬貨検出信号に基づき、ROM41に格納されている硬貨Cを判別するためのアルゴリズムにしたがって、硬貨Cの金種を判別する。
【0064】
具体的には、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、1円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力され、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、1円硬貨には穴が形成されていないから、第三の硬貨センサ18から、コントロールユニット40に硬貨検出信号が出力されるが、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きくなるように設けられ、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設けられているから、処理すべき硬貨のうち、最小径の硬貨Cである1円硬貨は、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17によっては検出されず、その結果、第一の硬貨センサ16および第2の硬貨センサ17からは、コントロールユニット40に硬貨検出信号は出力されない。
【0065】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第一の材料グループに属し、その硬貨Cは、1円硬貨か10円硬貨のいずれかであり、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていないと判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、5円硬貨の径よりも小さいと判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが1円硬貨であると判別する。
【0066】
これに対して、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、5円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力され、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるが、5円硬貨には穴が形成されているから、第三の硬貨センサ18からは、コントロールユニット40に、硬貨検出信号は出力されない。また、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きくなるように設けられ、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設けられているから、5円硬貨は、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17によっては検出されず、その結果、第一の硬貨センサ16および第2の硬貨センサ17からも、コントロールユニット40に硬貨検出信号は出力されない。
【0067】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第二の材料グループに属し、その硬貨Cは、5円硬貨であると判定するとともに、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていると判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、5円硬貨の径よりも小さいと判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが5円硬貨であると判別する。
【0068】
他方、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、10円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力され、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、10円硬貨には穴が形成されておらず、また、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨よりも径が大きい硬貨Cを検出可能に設けられており、10円硬貨は、5円硬貨よりも大きな径を有しているから、第三の硬貨センサ18および第二の硬貨センサ17から、コントロールユニット40に硬貨検出信号が出力されるが、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設けられているから、第2の硬貨センサ17からは、コントロールユニット40に硬貨検出信号は出力されない。
【0069】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第一の材料グループに属し、その硬貨Cは、1円硬貨か10円硬貨のいずれかであり、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていないと判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、5円硬貨の径よりも大きく、10円硬貨の径以下であると判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが10円硬貨であると判別する。
【0070】
これに対して、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、50円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力され、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるが、50円硬貨には穴が形成されているから、第三の硬貨センサ18からは、コントロールユニット40に、硬貨検出信号は出力されない。また、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きくなるように設けられ、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設けられているから、5円硬貨よりも径が小さい50円硬貨は、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17によっては検出されず、その結果、第一の硬貨センサ16および第2の硬貨センサ17からも、コントロールユニット40に硬貨検出信号は出力されない。
【0071】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第三の材料グループに属し、その硬貨Cは、50円硬貨、100円硬貨および旧500円硬貨のいずれかであると判定するとともに、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていると判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、5円硬貨の径よりも小さいと判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが50円硬貨であると判別する。
【0072】
他方、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、100円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力され、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、10円硬貨には穴が形成されておらず、また、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨よりも径が大きい硬貨Cを検出可能に設けられており、100円硬貨は、5円硬貨よりも大きな径を有しているから、第三の硬貨センサ18および第二の硬貨センサ17から、コントロールユニット40に硬貨検出信号が出力されるが、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きくなるように設けられているから、第2の硬貨センサ17からは、コントロールユニット40に硬貨検出信号は出力されない。
【0073】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第三の材料グループに属し、その硬貨Cは、50円硬貨、100円硬貨および旧500円硬貨のいずれかであり、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていないと判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、5円硬貨の径よりも大きく、10円硬貨の径以下であると判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが100円硬貨であると判別する。
【0074】
また、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、旧500円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、旧500円硬貨には穴が形成されていないから、第三の硬貨センサ18から、コントロールユニット40に硬貨検出信号が出力され、さらに、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きくなるように設けられ、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きく、最大径の硬貨Cである新500円硬貨および旧500円硬貨の径よりも小さくなるように設定されているから、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17からも、硬貨検出信号が、コントローラ40に出力される。
【0075】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第三の材料グループに属し、その硬貨Cは、50円硬貨、100円硬貨および旧500円硬貨のいずれかであり、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていないと判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きいと判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが旧500円硬貨であると判別する。
【0076】
これに対して、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、新500円硬貨である場合には、硬貨センサ15から、硬貨検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、磁気センサ19から、材質検出信号がコントロールユニット40に出力されるとともに、新500円硬貨には穴が形成されていないから、第三の硬貨センサ18から、コントロールユニット40に硬貨検出信号が出力され、さらに、第一の硬貨センサ16は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、三番目に径が小さい5円硬貨の径よりも大きくなるように設けられ、第二の硬貨センサ17は、基準ガイドレール3との間隔が、処理すべき硬貨のうち、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きく、最大径の硬貨Cである新500円硬貨および旧500円硬貨の径よりも小さくなるように設定されているから、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17からも、硬貨検出信号が、コントローラ40に出力される。
【0077】
したがって、コントロールユニット40は、磁気センサ19から入力された材質検出信号と、ROM41から読み出した基準磁気データに基づいて、その硬貨Cを構成している材料が第四の材料グループに属し、その硬貨Cは、新500円硬貨であると判定するとともに、第三の硬貨センサ18から入力された硬貨検出信号に基づいて、その硬貨Cには穴が形成されていないと判定することができ、さらに、その硬貨Cの径は、二番目に径が大きい10円硬貨の径よりも大きく、最大径の硬貨Cである新500円硬貨および旧500円硬貨の径以下である判定することができるから、コントロールユニット40は、その硬貨Cが新500円硬貨であると判別する。
【0078】
このように、磁気センサ19から入力された材質検出信号に基づき、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているかを判定し、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかを判定するのみで、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別することが可能になるから、本実施態様においては、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているか、ならびに、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかに基づいて、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別するためのアルゴリズムがあらかじめ決定されて、ROM41に格納されており、コントロールユニット40は、ROM41に格納されている硬貨Cを判別するためのアルゴリズムを読み出して、磁気センサ19から入力された材質検出信号に基づき、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているかを判定し、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかを判定するのみで、速やかに、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別することができるように構成されている。
【0079】
一方、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ能な硬貨Cである場合には、ROM41に格納されている硬貨Cを判別するためのアルゴリズムにしたがい、磁気センサ19から入力された材質検出信号ならびに硬貨Cの金種に応じて、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、選択的に入力された硬貨検出信号に基づいて、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を特定することができないから、ROM41に格納されている硬貨Cを判別するためのアルゴリズムにしたがい、磁気センサ19から入力された材質検出信号ならびに硬貨Cの金種に応じて、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、選択的に入力された硬貨検出信号に基づいて、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を特定することができないときは、コントロールユニット40は、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cは、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cであると判別する。
【0080】
このように、硬貨Cが、硬貨判別部10に搬送されると、硬貨センサ15によって、硬貨Cが検出されて、硬貨検出信号が、コントロールユニット40に出力され、磁気センサ19によって、硬貨Cの磁気的性質が検出されて、材質検出信号が、コントロールユニット40に出力されるとともに、硬貨Cの金種に応じて、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、選択的に、硬貨検出信号が、コントロールユニット40に出力される。
【0081】
コントロールユニット40は、硬貨センサ15、磁気センサ19ならびに第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18から、検出信号が入力されると、検出信号を、RAM42に記憶させる。
【0082】
硬貨センサ15から、硬貨検出信号が入力されてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット40は、ROM41に記憶された硬貨Cを判別するためのアルゴリズムを読み出すとともに、RAM42に記憶された検出信号を読み出して、硬貨Cを判別するためのアルゴリズムにしたがって、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別する。
【0083】
次いで、コントロールユニット40は、金種設定手段30に入力され、RAM42に記憶された選別すべき硬貨Cの金種を読み出し、判別した硬貨Cの金種が、選別すべき硬貨Cの金種と一致するか否かを判定する。
【0084】
その結果、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種が、操作者によって金種設定手段30に入力された選別すべき硬貨Cの金種と一致すると判別したときは、コントロールユニット40は、何の信号も出力しない。
【0085】
これに対して、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cが、操作者によって金種設定手段30に入力された選別すべき硬貨Cの金種以外の金種の硬貨Cであると判定した場合、あるいは、ROM41から読み出した硬貨Cを判別するためのアルゴリズムにしたがって、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を特定することができず、硬貨Cが偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨であると判定した場合には、コントロールユニット40は、ソレノイド36に駆動信号を出力して、突出手段22を、退避位置から、その先端部が硬貨通路2内に突出する突出位置に回動させる。
【0086】
硬貨判別部10を通過した硬貨Cは、硬貨通路2内を、さらに下流側に送られ、硬貨センサ11を通って、突出部材22が設けられた硬貨通路2の部分に達する。
【0087】
コントロールユニット40によって、その金種が、操作者によって金種設定手段30に入力された選別すべき硬貨Cの金種に一致すると判別された硬貨Cが、突出部材22が設けられた硬貨通路2の部分に送られたときは、コントロールユニット40から、何の信号も出力されておらず、突出部材22は、その平面状の側面が、基準ガイドレール3の内壁と滑らかに連なる退避位置に保持されているから、硬貨Cは、基準ガイドレール3の内壁に沿い、基準ガイドレール3の内壁によってガイドされて、突出部材22が設けられた硬貨通路2の部分を通過し、硬貨回収口9に送られる。
【0088】
したがって、硬貨Cは、両縁部が、基準ガイドレール3と硬貨回収口9との間の硬貨通路2の上面および硬貨回収口9とガイドレール4との間の硬貨通路2の上面によって支持つつ、硬貨回収口9に送られ、硬貨回収口9は、基準ガイドレール3の内壁と、硬貨回収口9のガイドレール4側の縁部との距離L1が、処理すべき最小径の硬貨Cの径よりもわずかに小さくなるように形成されているから、硬貨Cは、硬貨回収口9内に落下することなく、硬貨回収口9を通過する。
【0089】
硬貨回収口9を通過した硬貨Cは、センサ12上を通過する。
【0090】
その結果、センサ12からコントロールユニット40に、硬貨検出信号が出力される。
【0091】
コントロールユニット40は、センサ12から、硬貨検出信号を受けると、RAM42に、センサ12によって、検出された選別すべき硬貨Cの枚数を書き込む。
【0092】
選別すべき硬貨Cは、さらに、硬貨通路2内を、硬貨通路2の終端部に向けて、下流側に送られる。
【0093】
硬貨通路2の終端部に達した選別すべき硬貨Cは、硬貨通路2の終端部に接続された選別硬貨回収ボックス(図示せず)内に落下して、回収される。
【0094】
これに対して、コントロールユニット40によって、操作者によって金種設定手段30に入力された選別すべき硬貨Cの金種以外の金種の硬貨Cであると判定された硬貨Cあるいは偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cであると判別された硬貨が、突出部材22が設けられた硬貨通路2の部分に送られたときは、コントロールユニット40によって、ソレノイド36が操作され、突出部材22は、その円形壁面が、硬貨通路2内に突出した突出位置に回動されているから、硬貨Cは、突出部材22によって、ガイドレール4に向けて押され、基準ガイドレール3の内壁から離れ、基準ガイドレール3の内壁によってガイドされない状態で、硬貨回収口9に送られる。
【0095】
したがって、硬貨回収口9は、基準ガイドレール3の内壁と、突出位置にある突出部材22の先端部との距離L2が、基準ガイドレール3の内壁と、硬貨回収口9の基準ガイドレール3側の縁部との距離L3よりもわずかに大きくなるように、形成されているから、その金種が、金種設定手段30に入力された硬貨Cの金種と一致していないか、あるいは、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ能な硬貨Cであると判別された硬貨Cは、その基準ガイドレール3側の縁部が、基準ガイドレール3と硬貨回収口9との間の硬貨通路2の上面で支持されなくなり、硬貨回収口9内に落下し、硬貨回収通路(図示せず)を介して、硬貨回収ボックス(図示せず)内に回収される。
【0096】
硬貨センサ11が、硬貨Cを検出してから、所定時間が経過し、その金種が、金種設定手段30に入力された硬貨Cの金種と一致していないか、あるいは、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ能な硬貨Cであると判別された硬貨Cが、突出部材22が設けられた硬貨通路2の部分を通過したと判定すると、コントロールユニット40は、ソレノイド36に復帰信号を出力して、突出部材22を、その平面状の側面が、基準ガイドレール3の内壁と滑らかに連なる退避位置に復帰させる。
【0097】
同様にして、硬貨処理機内に投入され、回転円板1上に送られた硬貨Cは、次々に、硬貨判別部10に送られ、選別すべき硬貨Cの金種に一致すると判別された硬貨Cは、硬貨回収口9を通過し、センサ12によって検出された後、硬貨通路2の終端部に接続された選別硬貨回収ボックス内に回収され、一方、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種に一致しないと判別された硬貨、あるいは、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ能な硬貨Cであると判別された硬貨Cは、硬貨回収口9内に落下し、硬貨回収通路(図示せず)を介して、硬貨回収ボックス内に回収される。
【0098】
コントロールユニット40は、硬貨Cがセンサ12を通過し、センサ12から、硬貨検出信号が入力されるたびに、RAM42に書き込まれた選別すべき硬貨Cの枚数を更新する。
【0099】
こうして、硬貨処理機内に投入され、回転円板1上に送られた硬貨Cが、次々に、選別硬貨回収ボックスあるいは硬貨回収ボックス内に回収され、その結果、所定の時間にわたって、硬貨センサ15から、硬貨検出信号が入力されず、かつ、磁気センサ19から、材質検出信号が入力されないときは、コントロールユニット40は、硬貨処理機内に投入され、回転円板1上に送られたすべての硬貨Cが、選別硬貨回収ボックスあるいは硬貨回収ボックス内に回収され、硬貨Cの処理が完了したと判定して、RAM42に書き込まれているセンサ12によって検出された選別すべき硬貨の枚数を読み出して、表示手段45に出力し、表示手段45に、計数された選別すべき硬貨Cの枚数を表示させるとともに、回転円板駆動手段34および搬送ベルト駆動手段35に、それぞれ、駆動停止信号を出力して、回転円板1ならびに第一の搬送ベルト6および第2の搬送ベルト8の駆動を停止させる。
【0100】
本実施態様によれば、硬貨Cの磁気的な性質を検出する磁気センサ19から入力された材質検出信号に基づき、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているかを判定し、硬貨Cの径を検出する第一の硬貨センサ16および第2の硬貨センサ17ならびに硬貨Cに穴が形成されていないことを検出する第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかを判定するのみで、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別することが可能になるから、高精度のラインセンサを用いて、高い精度で、硬貨の径を検出し、高精度の磁気センサを用いて、高精度で、硬貨の材質を検出することなく、硬貨Cを判別することができ、したがって、硬貨処理機のコストアップを防止しつつ、高速で、硬貨を判別して、硬貨を処理することが可能になる。
【0101】
また、本実施態様によれば、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているか、ならびに、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかに基づいて、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別するためのアルゴリズムがあらかじめ決定されて、ROM41に格納されているから、ROM41に格納されている硬貨Cを判別するためのアルゴリズムを読み出して、磁気センサ19から入力された材質検出信号に基づき、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループないし第四の材料グループのいずれに属しているかを判定し、第一の硬貨センサ16、第2の硬貨センサ17および第三の硬貨センサ18のうち、いずれの硬貨センサから、硬貨検出信号が入力されているかを判定するのみで、速やかに、基準ガイドレール3に沿って、硬貨判別部10に搬送された硬貨Cの金種を判別することが可能になる。
【0102】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0103】
たとえば、前記実施態様においては、硬貨通路2の終端部に、選別硬貨回収ボックス(図示せず)が接続され、硬貨処理機は、特定の金種の硬貨Cを選別し、計数するように構成されているが、硬貨処理機が、特定の金種の硬貨Cを選別し、計数するように構成されていることは必ずしも必要でなく、公知のように、硬貨通路2の終端部に、たとえば、一対の硬貨集積ドラムを備え、選別された所定枚数の硬貨Cを集積する硬貨集積装置と接続するとともに、複数の包装ローラを備え、硬貨集積装置によって集積された所定枚数の硬貨Cの周囲に、包装シートを巻回して、包装硬貨ロールを生成する硬貨包装装置を設け、硬貨処理機を、硬貨包装機として、構成することもできる。
【0104】
また、前記実施態様においては、選別すべき金種の硬貨Cを、選別硬貨回収ボックス(図示せず)内に回収し、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cおよび偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cをともに、硬貨回収ボックス(図示せず)内に回収するように構成されているが、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cおよび偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cをともに、硬貨回収ボックス内に回収することは必ずしも必要でなく、たとえば、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cを回収する第一の硬貨回収ボックスと、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cを回収する第二の硬貨回収ボックスを設けるとともに、硬貨回収口9に接続された硬貨回収通路(図示せず)を、第一の硬貨回収ボックスに連通する第一の硬貨回収通路と、第二の硬貨回収通路に連通する第二の硬貨回収通路とに分岐させ、第一の硬貨回収通路と第二の硬貨回収通路との分岐部に、硬貨Cの判別結果にしたがって、選択的に作動されるゲート部材を設け、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cを第一に硬貨回収ボックス内に回収し、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cを第二の硬貨回収ボックス内に回収するように構成することもできる。
【0105】
さらに、前記実施態様においては、選別すべき金種の硬貨Cを、選別硬貨回収ボックス内に回収し、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cおよび偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cを、ともに、硬貨回収ボックス(図示せず)内に回収するように構成されているが、硬貨回収口9の下流側の硬貨通路2に、その大きさが、下流側に向けて、順次、大きくなるように形成された複数の硬貨選別口を設け、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cを、硬貨回収口9を介して、硬貨回収ボックス内に回収し、受け入れ可能な硬貨Cを、金種ごとに、それぞれ、対応する硬貨選別口内に落下させて、別個に回収するように構成することもできるし、あるいは、硬貨回収口9の下流側の硬貨通路2に、直上流側に突出部材を備えた複数の硬貨回収口を設け、偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cを、硬貨回収口9を介して、硬貨回収ボックス内に回収し、受け入れ可能な硬貨Cを、金種ごとに、それぞれ、対応する硬貨回収口内に落下させて、回収するように構成することもできる。
【0106】
また、前記実施態様においては、突出手段22は、通常、その平面状の側面が、基準ガイドレール3の内壁と滑らかに連なる退避位置に保持され、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cおよび偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cが検出されたときに、硬貨通路2内に突出する突出位置に回動されるように構成されているが、突出手段22が、通常、退避位置に保持され、その金種が、選別すべき硬貨Cの金種とは異なる硬貨Cおよび偽造硬貨や外国硬貨などの受け入れ不能な硬貨Cが検出されたときに、硬貨通路2内に突出する突出位置に回動されるように構成されていることは必ずしも必要でなく、突出手段22を、通常、突出位置に保持され、選別すべき硬貨Cが検出されたときに、その平面状の側面が、基準ガイドレール3の内壁と滑らかに連なる退避位置に退避するように構成するようにしてもよい。
【0107】
さらに、前記実施態様においては、硬貨処理機は、日本国内において流通している硬貨Cを処理するように構成されているが、硬貨処理機が、日本国内において流通している硬貨Cを処理するように構成されていることは必ずしも必要でなく、硬貨処理機は、日本以外の国で流通している硬貨Cを処理するように構成されていてもよい。
【0108】
また、前記実施態様においては、硬貨処理機は、日本国内において流通している硬貨Cを処理するように構成されており、したがって、日本国内においては、穴が形成された5円硬貨および50円硬貨が流通しているため、硬貨処理機は、硬貨Cに形成されている穴の有無を検出する第三の硬貨センサ18を備えているが、穴が形成された硬貨Cが流通していない場合には、硬貨処理機に、硬貨Cに形成されている穴の有無を検出する第三の硬貨センサ18を設ける必要はない。
【0109】
さらに、前記実施態様においては、硬貨処理機は、日本国内において流通している硬貨Cを処理するように構成されており、磁気センサ19によって検出された材質検出信号に基づいて、硬貨Cを構成している材料が、第一の材料グループ、第二の材料グループ、第三の材料グループならびに第四の材料グループのいずれかに属していることを判定することができ、また、第三の硬貨センサ18によって検出された硬貨検出信号に基づき、硬貨Cに形成された穴の有無を検出して、5円硬貨および50円硬貨を、他の金種の硬貨Cと区別することが可能であるため、硬貨処理機は、硬貨Cの径を検出するための硬貨センサとして、第一の硬貨センサ16および第二の硬貨センサ17のみを備えているが、硬貨Cの径を検出するための硬貨センサの数は2つに限定されるものではなく、硬貨処理機は、基準ガイドレール3との間隔が異なる位置に設けられた少なくとも2つの硬貨Cの径を検出するための硬貨センサを備えていることが必要であるが、その数は、磁気センサ19によって検出された材質検出信号に基づいて、硬貨Cを構成している材料をいくつの材料グループに分類することができるか、穴が形成されている硬貨Cが流通しているか否かなどによって、決定される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨処理機の略平面図である。
【図2】図2は、図1の略左側面図である。
【図3】図3は、第一の搬送ベルトおよび第二の搬送ベルトを取り去った硬貨処理機の略平面図である。
【図4】図4は、基準ガイドレール、ガイドレール、硬貨回収口、切欠き部、間隙ならびに突出位置にある第一の突出部材および第二の突出部材の位置関係を示す略平面図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施態様にかかる硬貨処理機の入力系、検出系、駆動系、制御系および出力系のブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
【0111】
1 回転円板
2 硬貨通路
3 基準ガイドレール
4 ガイドレール
5a、5b プーリ
6 第一の搬送ベルト
7 プーリ
8 第二の搬送ベルト
9 硬貨回収口
10 硬貨判別部
11 硬貨センサ
12 センサ
13 間隙設定部材
14 押さえローラ
15 硬貨センサ
16 第一の硬貨センサ
17 第二の硬貨センサ
18 第三の硬貨センサ
19 磁気センサ
20 基準ガイドレールの斜壁部分
21 基準ガイドレールの切欠き部
22 突出部材
30 金種設定手段
31 スタート手段
34 回転円板駆動手段
35 搬送ベルト駆動手段
36 ソレノイド
37 間隙調整手段
40 コントロールユニット
41 ROM
42 RAM
45 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を搬送する硬貨通路を備え、前記硬貨通路が、その内壁により硬貨をガイドする基準ガイドレールと、前記硬貨通路を挟んで、前記基準ガイドレールと対向するように設けられたガイドレールと、硬貨を前記硬貨通路の表面との間で挟持しつつ、搬送する搬送ベルト手段と、硬貨の金種を判別する硬貨判別手段とを備えた硬貨処理機であって、前記硬貨判別手段が、n種類の金種の硬貨を判別可能に構成され(nは、4以上の整数である。)、前記基準ガイドレールとの間隔が異なる位置に設けられ、硬貨を検出する少なくとも2つの径検出センサと、硬貨の材質を検出する材質センサを備えたことを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
前記硬貨判別手段が、さらに、前記基準ガイドレールの近傍に、硬貨を検出する硬貨センサを備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理機。
【請求項3】
前記材質センサによって、処理すべき硬貨を構成する材料をk種類のグループに分類可能な場合に(ここに、kは2以上で、かつ、(nー2)以下の整数である。)、少なくとも(n−k)の径検出センサを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨処理機。
【請求項4】
さらに、硬貨に穴が形成されているか否かを検出する硬貨センサを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨処理機。
【請求項5】
少なくとも(n−k−1)の径検出センサを備えたことを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理機。
【請求項6】
さらに、前記硬貨判別手段の下流側の前記硬貨通路に設けられ、前記基準ガイドレールから前記硬貨通路内に突出可能な突出手段と、前記突出手段の下流側の前記硬貨通路に形成された硬貨回収口を備え、少なくとも、硬貨の金種を特定することができないときに、前記硬貨判別手段が、前記突出手段を前記硬貨通路内に突出させて、硬貨を前記硬貨回収口に導くように構成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の硬貨処理機。
【請求項7】
前記硬貨回収口が、前記基準ガイドレールの内壁と、その前記ガイドレール側の縁部との距離が、処理すべき最小径の硬貨の径よりもわずかに小さく、前記基準ガイドレールの内壁と、突出位置にある前記突出部材の先端部との距離が、前記基準ガイドレールの内壁と、その前記基準ガイドレール側の縁部との距離よりもわずかに大きくなるように、形成されていることを特徴とする請求項6に記載の硬貨処理機。
【請求項8】
さらに、硬貨の金種を指定する金種指定手段を備え、前記金種指定手段によって指定された金種の硬貨を、他の金種の硬貨およびその金種が特定できない硬貨とは別個に、選別可能に構成されたことを特徴とする請求項1ないし7のいすれか1項に記載の硬貨処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−107344(P2006−107344A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296388(P2004−296388)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】