説明

硬質繊維シートの製造方法

【課題】本発明の課題は、特に、繊維製品のスクラップを再利用して高強度硬質繊維シートを簡単に製造することにある。
【解決手段】通常繊維と低融点繊維との混合繊維MFを支持シートN上に撒布してマットMTをフォーミングし、該マットMT上に更に支持シートNを重ねる。そうするとマットMTは繊維長の短い再生繊維を使用しても該支持シートN,Nによって支持補強され、加熱プレス前でも強度が大きく取扱いが容易になる。このような積層マットLMTを加熱プレスして硬質繊維シートFSとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動車の内装材料等に使用される硬質繊維シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車床敷用カーペット廃品、フェルト端材、落ち綿等の繊維製品のスクラップは解繊され、あるいは粉砕され、該解繊物あるいは粉砕物には低融点繊維が混合され、該混合物をカーディングしてフリースとし、該フリースをそのまゝあるいはニードルパンチングを施した上で加熱炉中で加熱し、該混合物中の低融点繊維を軟化せしめることによって該解繊物あるいは粉砕物を結着して硬質繊維シートに再生している。なお従来技術として下記の特許文献がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭52−31175号公報
【特許文献2】特開昭52−70176号公報
【特許文献3】特開昭52−110978号公報
【特許文献4】特開昭57−101049号公報
【特許文献5】特開昭57−101050号公報
【特許文献6】特開昭58−31150号公報
【特許文献7】特開昭59−106550号公報
【特許文献8】特開昭60−40239号公報
【特許文献9】特開昭60−96287号公報
【特許文献10】特開昭60−155446号公報
【特許文献11】特開昭62−223357号公報
【特許文献12】特開昭62−256646号公報
【特許文献13】特開平 1−68565号公報
【特許文献14】特開平 3−130450号公報
【特許文献15】特開平 3−167359号公報
【特許文献16】特開平 4−126860号公報
【特許文献17】特開平 4−100961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の再生方法では、該解繊物や粉砕物の繊維長がある程度長くないと、カーディングすることが出来ず、またニードルパンチングによっても低融点繊維との密接な絡み合いが保障されず、低融点繊維による結着が充分行われないと云う問題点がある。また自動車床敷用カーペットのようにカーペット本体の裏面にポリエチレンフィルムが積層されているような複合製品のスクラップの場合には、解繊物や粉砕物中にポリエチレンフィルム破片が混合し、このような異物が混合している解繊物や粉砕物をカーディングすると、梳毛機に異物が引掛かり、カーディングが出来なくなると云う問題点もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するための手段として、回動するコンベア(17)の上方に材料供給ホッパー(10)を配置し、該材料供給ホッパー(10)には混綿機(1) によって混合された通常繊維と低融点繊維との混合繊維MFを供給して該材料供給ホッパー(10)内に通常繊維と低融点繊維との混合繊維MFを蓄積し、該材料供給ホッパー(10)下端に材料供給ローラー(13)を配置し、更に該材料供給ホッパー(10)の下段には材料供給タワー(15)を配置し、該材料供給ホッパー(10)内で該混綿機(1) から供給される混合繊維MFの蓄積量が所定になった時に該材料供給ローラー(13)が作動回転して該材料供給タワー(15)内に該混合繊維MFを供給するように設定し、該コンベア(17)上に支持シートNを供給し、該材料供給タワー(15)下端に配置されている材料供給ローラー(16)を常時回転させることによって該コンベア(17)上に供給されている支持シートN上に連続的に該混合繊維MFを供給してマットMTをフォーミングし、該材料供給ホッパー(10)下端に配置されている材料供給ローラー(13)を回転させることによって該コンベア(17)上に供給されている支持シートN上に該混合繊維MFを供給してマットMTをフォーミングし、該マットMT上に支持シートNを供給した上で該積層物LMTを加熱炉(22)に導いて加熱しプレスすることによって該マットMT中の低融点繊維を軟化させて該混合繊維MFを結着する硬質繊維シートの製造方法を提供するものである。
上記方法においては、該材料供給タワー(15)の巾は下方に向けて漸減され、かつ該材料供給タワー(15)には該混合繊維MFの下降を円滑にするために震動が付与されていることが望ましい。
【0006】
該通常繊維は融点240℃以上の繊維または不融性繊維であり、該低融点繊維は融点210℃以下の熱可塑性繊維であることが望ましく、また該混合繊維MF中該低融点繊維は10〜50質量%混合されていることが望ましい。更に該混合繊維中には液状多価イソシアネートが2〜20質量%添加混合されていることが望ましい。
また更に該支持シートN,Nは不織布シートおよび/またはプラスチックシートであることが望ましく、該通常繊維は繊維製品のスクラップを解繊または粉砕することによって得られる再生繊維および/または反毛繊維であることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、通常繊維と低融点繊維との混合繊維MFを支持シートN上に撒布してマットMTをフォーミングし、該マットMT上に更に支持シートNを重ねるので、該マットMTは上下面を支持シートN,Nで支持され、カーディングしてウェブとしたり、ニードルパンチングを施したりしなくても作業性が良好な程度の強度のマットが得られ、短繊維を含む混合繊維MFでも強度の高い硬質繊維シートFSを製造することが出来、また、連続生産工程を適用することも可能である。
上記硬質繊維シートFSの製造方法として、回動するコンベア(17)の上方に材料供給ホッパー(10)を配置し、該材料供給ホッパー(10)内に通常繊維と低融点繊維との混合繊維MFを蓄積し、該材料供給ホッパー(10)下端に配置されている材料供給ローラー(13)を回転させることによって該コンベア(17)の支持シートN上に該混合繊維MFを供給すれば、巾方向に略均一な厚みと密度を有するマットMTをフォーミングすることが出来る。該マットMT上には更に支持シートNが重ねられ、積層マット(LMT)となる。該積層マットLMTの両面は支持シートN,Nによって支持補強されているからマットMTが崩れたりほぐれたりせず、取扱いが容易になる。したがって本発明では繊維長20mm以下の短繊維でも使用出来る。更に該材料供給ホッパー(10)の下段に材料供給タワー(15)を配置し、該材料供給ホッパー(10)内に混綿機(1) から供給される該混合繊維MFの蓄積量が所定になった時に該材料供給ローラー(13)が作動回転して該材料供給タワー(15)内に該混合繊維MFを供給するように設定し、該材料供給タワー(15)下端に配置されている材料供給ローラー(16)を常時回転させることによってコンベア(17)上に連続的に該混合繊維MFを供給すれば、マットMTを連続的にフォーミングすることが出来る。
また該材料供給タワー(15)の巾を下方に向けて漸減し、かつ該材料供給タワー(15)に該混合繊維MFの下降を円滑にするために震動を付与すれば、該材料供給タワー(15)から該コンベア(17)に円滑に該混合繊維MFを供給して長手方向にもむらのないマットMTをフォーミングすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔通常繊維〕
本発明に使用する通常繊維としては、ポリエステル繊維、脂肪族または芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キュプラ、アセテート繊維等の化学繊維、パルプ、木片等の木質繊維、木綿、竹繊維、ヤシ繊維、ケナフ繊維、麻繊維、羊毛、絹等の天然繊維、ガラス繊維、岩綿、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維等であって融点が240℃以上の熱可塑性樹脂繊維、あるいは不融性繊維、あるいは上記化学繊維や天然繊維からなるカーペット、不織布、フェルト、繊維編織物、紙等の廃材を破砕解繊した再生繊維、あるいは糸くず、織物くず等を反毛機によって繊維状とした反毛繊維等が例示される。上記通常繊維は20mm以下の短繊維であってもよく、したがって本発明に特に有用に適用されるのは、繊維製品のスクラップを解繊または粉砕することによって得られる再生繊維や反毛繊維である。
【0009】
上記繊維製品としては、例えばカーペット、特に自動車床敷用カーペット、衣服等がある。上記繊維製品は解繊機、あるいは粉砕機によって解繊あるいは粉砕されることによって再生繊維とされ、必要ならば該再生繊維は長繊維と短繊維とに分割され、長繊維のみ、あるいは長繊維と短繊維とを所定の比率で混合して本発明の再生繊維として使用する。また反毛繊維は上記繊維製品を製造、裁断等する場合や上記繊維製品を解繊あるいは粉砕する際に発生する糸くずや織物くず等を反毛機によって繊維化したものである。上記反毛繊維は上記再生繊維と混合されてもよい。
自動車床敷用カーペットの場合には、前記したように通常カーペット本体の裏面にポリエチレン等の熱可塑性樹脂のフィルムが積層されるので、解繊物や粉砕物には熱可塑性樹脂フィルムの破片が繊維に付着して、あるいは繊維から分離して混在する。
本発明にあっては上記熱可塑性樹脂フィルムの破片は繊維と分離してもよいが、本発明の場合にはカーディングする必要がないので、該熱可塑性樹脂フィルムの破片を分離することなく、再生繊維として使用することが出来る。
【0010】
〔低融点繊維〕
本発明に使用する低融点繊維としては、融点210℃以下の熱可塑性樹脂繊維であり、このような熱可塑性樹脂繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、低融点ポリエステル繊維、低融点ポリアミド繊維等が例示される。
上記低融点繊維は上記通常繊維に対して10〜50質量%添加される。上記範囲を下回る添加量では、混合繊維は該低融点繊維によって充分結着されない。また上記範囲を上回る添加量では、得られる硬質繊維シートの耐熱性が充分でなくなるし、材料費も高くなる。
【0011】
〔液状多価イソシアネート〕
本発明においては上記混合繊維に液状多価イソシアネートが添加混合されてもよい。液状多価イソシアネートの添加は、特に上記混合繊維に極短繊維が存在している場合に有用である。上記液状多価イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリメチレンポリフェニルイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ω−キシリレンジイソシアネート、ω’−キシリレンジイソシアネート等の多価イソシアネートおよびこれらの化合物とポリエチレンアジペート、ポリテトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、1,4−シスブテンジオール、1,5−ジヒドロキシエトキシナフタリン、1,4−ブチンジオール、ポリエステル、アクリルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、シュクロース、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)トリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)トリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ポリオキシプロピレントリオール、ヒマシ油ダイマー、トール油ダイマー等の多価アルコールとの付加生成物であるポリイソシアネート等が例示される。
上記多価イソシアネートのうち望ましいものとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート特に4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネートがある。
【0012】
上記多価イソシアネートは、例えば酸性亜硫酸ソーダ、芳香族第二アミン、3級アルコール、アミド、フェノール、ラクタム、複素環化合物、青酸、亜硫酸塩等でマスクされたものを使用してもよい。
上記多価イソシアネートは上記混合繊維に対して通常2〜20質量%添加される。上記多価イソシアネートを硬化させるために、硬化触媒が添加されてもよい。
【0013】
〔硬化触媒〕
本発明では、上記硬化触媒としては例えばN,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、N−ペンタメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N' ,N' −テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N' ,N' −テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N' ,N' −テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、トリエチルアミン、N,N' −ジメチルピペラジン、N−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N−ペンタメチルジエチレントリアミン等のアミン系触媒が使用されるが、ジブチルチンジ−2−エチルヘキソエート、2−エチレンヘキソエート鉛、ナトリウム−o−フェニルフェネート、カリウムオレート、硝酸蒼鉛、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、塩化第二スズ、2−エチルヘキソエート第二鉄、コバルト2−エチルヘキソエート、ナフテン酸亜鉛、三塩化アンチモン等のアミン系触媒以外のものも使用されてもよい。また上記アミン系触媒に蟻酸、塩酸等の揮発性酸を中和反応させることによってマスキングしたものを使用してもよい。
上記硬化触媒は多価イソシアネートに対して通常0.1〜10質量%程度添加される。
【0014】
〔第三成分〕
上記成分以外、本発明では例えば撥水剤、防腐剤、防カビ剤、顔料、染料、アクリル樹脂(エマルジョンまたは溶液)、酢酸ビニル樹脂(エマルジョンまたは溶液)、スチレン樹脂(エマルジョンまたは溶液)、スチレン−ブタジエン樹脂(エマルジョンまたは溶液)等の合成樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のプラスチックのチップまたは粉末あるいは該プラスチックの成形物のスクラップの粉砕物等が混合されてもよい。
【0015】
〔硬質樹脂シートの製造〕
本発明の硬質樹脂シートFSの製造工程を図1〜図3に示す一実施例によって説明する。図1に示す装置において、混綿機(1) では上記通常繊維と上記低融点繊維更に所望なれば上記第三成分が添加混合されて混合繊維MFが調製される。液状多価イソシアネートを混合する場合には、該混綿機(1) の後段に混合機(図示せず)を配置し、該混合機中で混合繊維MFを攪拌しつゝ液状多価イソシアネートをスプレー添加等して混合する。
該混合繊維MFは該混綿機(1) から、あるいは液状多価イソシアネートを混合した該混合繊維MFは該混合機から圧空搬送により供給ダクト(2) を介して第1タワー(3) 内に塔頂から供給され、タワー(3) 内に蓄積する。該混合繊維MFは該タワー(3) 下端に配置されている材料供給ローラー(4) によって該タワー(3) の下側のベルトコンベア(5) 上に供給される。該ベルトコンベア(5) 上に供給されマット状に堆積した該混合繊維MFはこの時点で巾方向に略厚みおよび密度が均一になっている。
【0016】
該ベルトコンベア(5) は矢印イ方向に該混合繊維MFのマットを搬送し、該マットは矢印ロ方向に巡動するスパイクラテス(6) によって第2タワー(7) 内に塔頂から供給され、該タワー(7) の下端の材料供給ローラー(8) によって矢印ハ方向に巡動する第2ベルトコンベア(9) 上に供給されるが、該ベルトコンベア(5) の終端と該スパイクラテス(6) の始端との間には相互干渉を回避するための間隙Kが設けられているので、この間隙Kから漏れた混合繊維MFは該第2ベルトコンベア(9) の始端部に受ける。
【0017】
該第2ベルトコンベア(9) 上の混合繊維MFは次いで材料供給ホッパー(10)に頂上から供給されるが、該ホッパー(10)の頂上入口部には材料供給ローラー(11)が配置され、更にその奥側にピンローラー(12)が配置され、該材料供給ローラー(11)と該ピンローラー(12)により、該混合繊維MFは厚み方向の均一性を維持しつゝ該ホッパー(10)内に供給される。
【0018】
該ホッパー(10)下端には材料供給ローラー(13)が配置され、その下側にはピンローラー(14)が配置され、該ホッパー(10)内に供給され蓄積された混合繊維MFは、該材料供給ローラー(13)と該ピンローラー(14)とによって巾方向の均一性を維持しつゝ第3タワー(15)(材料供給タワー)に塔頂から供給される。
【0019】
上記ホッパー(10)において、該混合繊維MFの蓄積量が所定になった時、その上端レベルLを光電センサPSによって検出し、材料供給ローラー(11)を停止させかつ材料供給ローラー(13)を作動回動させる。そして該混合繊維MFの蓄積量が略0になったレベルLを光電センサPSによって検出し、材料供給ローラー(11)を作動回転させかつ材料供給ローラー(13)を停止させる。
【0020】
このようにして一定量の混合繊維MFがホッパー(10)内に蓄積した時点で、該混合繊維MFを第3タワー(15)内に供給することによって、フォーミングされるシートの巾方向の厚みと密度の均一性を高くすることが出来る。
該タワー(15)は下方に向けて巾を漸減するように設定され、内部の混合繊維MFはそれによって圧密されつゝ下降するが、該混合繊維MFの下降を円滑にして巾方向の厚みおよび密度の均一性を維持するため、該タワー(15)には矢印方向(横方向)に震動が及ぼされる。
【0021】
該タワー(15)下端には常時作動回動している材料供給ローラー(16)が配置されており、タワー(15)内を下降して来た混合繊維MFは該材料供給ローラー(16)によってベルトコンベア(17)上にマット状に供給されるが、該ベルトコンベア(17)上にはあらかじめ不織布ロール(18A) から支持シートである不織布Nが引き出され、ガイドローラー(19)を介して該ベルトコンベア(17)上に供給され、該不織布N上に該混合繊維MFが供給されマットMTがフォーミングされる。該ベルトコンベア(17)の終端部において、該混合繊維MFのマットMT上には不織布ロール(18B) から引き出された支持シートである不織布Nがガイドローラー(20)を介して供給される。
【0022】
上記のようにして上下両面を不織布N,Nに挟まれた混合繊維MFのマットMTは、両面を該不織布N,Nによって支持補強されているから繊維長の短い再生繊維を使用し、加熱プレス前にあっても強度が大きく、崩れやほぐれがなく、取扱いが容易である。該積層マットLMTはネットコンベアプレス(21)によって挟圧されつゝ加熱炉(22)内に導入され加熱プレスされる。この場合の加熱条件は通常130〜230℃、0.5〜1.5分程度に設定し、加熱方式は熱風加熱とする。
【0023】
上記加熱プレスによって該混合繊維MF中に含まれている低融点繊維が軟化し、該混合繊維MF中の通常繊維を結着しかつ低融点繊維相互も結着し、同時に該混合繊維MFのマットMTの上下面に不織布N,Nを接着する。このようにして図2に示すように上下両面に不織布N,Nが積層された硬質繊維シートFSが製造され、該シートFSは図1に示すように冷却ロール(23,23) に挟持冷却され、更に通風冷却器(24)に導入され冷却される。該通風冷却器(24)にあっては下方から上方に冷却空気が吸引され、その間に硬質繊維シートFSが介在して該冷却空気は該硬質繊維シートFS内を通過し、該硬質繊維シートFSは内部まで冷却される。次いで冷却された硬質繊維シートFSはネットコンベア(25)に移乗され、カッター(26)によって所定寸法に裁断される。
【0024】
上記製造方法においては第1タワー(3) 内に供給される混合繊維MFは常時回転する材料供給ローラー(4) によって停滞せしめられて該タワー(3) 内に蓄積した上で該材料供給ローラー(4) によってベルトコンベア(5) 上に供給され、また材料供給ホッパー(10)内に供給される混合繊維MFは間欠作動回転する材料供給ローラー(13)によって塞止められて該ホッパー(10)内に所定量蓄積した上で該材料供給ローラー(13)によってピンローラー(14)を介して第3タワー(15)内に供給される。
【0025】
図3に示すように材料供給ローラー(4,11,13,16)は表面に横溝が形成されている一対のローラーからなり、例えば第1タワー(3) の場合、図4に示すようにタワー(3) 内に混合繊維MFが巾方向中央に厚く、両端に薄く供給されても、材料供給ローラー(4) 上にある程度の量該混合繊維MFが蓄積されていれば、該供給ローラー(4) によってベルトコンベア(5) 上に供給される混合繊維MFの厚み即ち堆積量は巾方向に均一化される。
【0026】
このような巾方向のならし効果はタワーを多段にする程大きくなり、ホッパー(10)の材料供給ローラー(13)は間欠作動回転するようにして、該供給ローラー(13)上にある程度の混合繊維MFが蓄積してから、該供給ローラー(13)を作動回転してピンローラー(14)を介して第3タワー(15)内に該混合繊維MFを供給するようにすると、巾方向のならし効果は更に大きくなる。
【0027】
本実施例以外、ホッパー(タワー)は一段のみでもよいが、多段にすれば巾方向のならし効果は上記したように大きくなる。またミキサーとしては回転ドラム式以外ニーダー方式等周知のミキサーが使用される。
【0028】
〔実施例1〕
融点260℃のポリエステル繊維からなるカーペット本体裏面にポリエチレン層を裏打ちした自動車床敷用カーペットのスクラップを解繊機によって剪断的に解繊し解繊物を篩別して繊維分とポリエチレン分とに分別し、繊維分に3〜5質量%のポリエチレン分を混合して本発明の再生繊維(通常繊維)とした。該再生繊維の繊維長は20mm以下であった。図1に示す混綿機(1) に上記再生繊維および融点160℃のポリエステル繊維(低融点繊維)を投入し、混合して混合繊維MFを調製した。該混合繊維MF中低融点繊維は30質量%含まれている。
【0029】
このような混合繊維MFによって上記に示したようにして厚み3.5mmの硬質繊維シートFSを製造する。使用した不織布N,Nは目付15g/m、融点260℃のポリエステル繊維からなる不織布である。
上記製造工程において、混合繊維マットMTの厚みを種々変更して目付600g/m、800g/m、1000g/mの3種類の硬質繊維シートFSを製造する。
上記硬質繊維シートFSの物性を表1に示す。
【0030】
【表1】


*:(1)10×400mmの試験片を縦、横方向から、夫々2枚1組で採取する。
(2)図5に示すように高さ100mmの台から、試験片を動かし、試験片が床に触れた時の長さa(mm)を縦横方向について測定する。
(3)曲げ長さを次式に従い算出する。
【数1】

【0031】
表1に示すように本発明の試料はいづれも良好な曲げ強度を示す。従来の低融点繊維で結着した硬質繊維シートは一般に曲げ長さが300mm程度であるから、本発明品はそれよりも可なり曲げ強度が大きいことが確認された。
【0032】
〔実施例2〕
実施例1の再生繊維と実施例1のカーペットスクラップと、解繊工程から発生した繊維くずを反毛機によって繊維状にした反毛繊維とを8:2質量比に混合した混合通常繊維と融点170℃のポリプロピレン繊維(低融点繊維)とを75:25質量比に混合し、更にポリメチレンポリフェニルイソシアネートに硬化触媒としてN−ヘキサメチルエチレンテトラミンを該多価イソシアネートに対して0.5質量%を溶解させたものを上記混合繊維に対して5質量%添加混合し、実施例1と同様にして3種類の硬質繊維シートFSを製造する。上記硬質繊維シートFSの物性を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示すように多価イソシアネートの添加により曲げ強度が向上することが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明では繊維長が短い再生繊維を使用しても、あるいは繊維中に異物が混合していても、強度が大きく均一な物性を有する硬質繊維シートが簡単な方法で製造されるので、繊維製品のスクラップの再利用が極めて有効に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】製造装置概略図
【図2】硬質繊維シートの部分断面図
【図3】材料供給ローラーの説明図
【図4】材料供給ローラーによる成形材料供給状態説明図
【図5】曲げ試験説明図
【符号の説明】
【0037】
1 混綿機
10 材料供給ホッパー
13,16 材料供給ローラー
15 材料供給タワー(第3タワー)
17 ベルトコンベア
22 加熱炉
MF 混合繊維
MT マット
FS 硬質繊維シート
,N 支持シート
LMT 積層物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動するコンベアの上方に材料供給ホッパーを配置し、
該材料供給ホッパーには混綿機によって混合された通常繊維と低融点繊維との混合繊維を供給して該材料供給ホッパー内に該混合繊維を蓄積し、
該材料供給ホッパー下端に材料供給ローラーを配置し、
更に該材料供給ホッパーの下段に材料供給タワーを配置し、
該材料供給ホッパー内で該混綿機から供給される混合繊維の蓄積量が所定になった時に該材料供給ローラーが作動回転して該材料供給タワー内に該混合繊維を供給するように設定し、
該コンベア上に支持シートを供給し、
該材料供給タワー下端に配置されている材料供給ローラーを常時回転させることによって該コンベア上に供給されている支持シート上に連続的に該混合繊維を供給してマットをフォーミングし、
該マット上に支持シートを供給した上で該積層物を加熱炉に導いて加熱しプレスすることによって該マット中の低融点繊維を軟化させて該混合繊維を結着する
ことを特徴とする硬質繊維シートの製造方法。
【請求項2】
該材料供給タワーの巾は下方に向けて漸減され、かつ該材料供給タワーには該混合繊維の下降を円滑にするために震動が付与されている請求項1に記載の硬質繊維シートの製造方法。
【請求項3】
該混合繊維中該低融点繊維は10〜50質量%混合されている請求項1または2に記載の硬質繊維シートの製造方法。
【請求項4】
該混合繊維中には液状多価イソシアネートが2〜20質量%添加混合されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬質繊維シートの製造方法。
【請求項5】
該支持シートは不織布シートおよび/またはプラスチックシートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬質繊維シートの製造方法。
【請求項6】
該通常繊維は繊維製品のスクラップを解繊または粉砕することによって得られる再生繊維および/または反毛繊維である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬質繊維シートの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−308814(P2008−308814A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213882(P2008−213882)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【分割の表示】特願2002−324788(P2002−324788)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(598046963)株式会社鈴鋼製作所 (3)
【出願人】(000251060)林テレンプ株式会社 (134)
【Fターム(参考)】