説明

碍子装置

【課題】2つの碍子連の一方が断連しても、他方の碍子連の破損を防ぐことが可能な碍子装置を提供する。
【解決手段】送電線Eと鉄塔の間に配置される碍子装置において、中心軸15Gに沿って複数の碍子が連なった2つの碍子連15と、2つの碍子連15の一端が所定間隔をあけて連結された送電線側2連ヨーク金具17と、送電線側2連ヨーク金具17に取り付けられた送電線側アークホーン16とを備え、送電線側2連ヨーク金具17および送電線側アークホーン16は、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連したときに2つの碍子連15それぞれの中心軸15Gを含む平面に沿って回動し、回動した後の送電線側アークホーン16は他方の残存する碍子連15との衝突を避けた位置にくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線と鉄塔の間に配置される碍子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線鉄塔と送電線との間に設けられ、送電線側ヨーク金具と鉄塔側ヨーク金具との間に、中心軸に沿って碍子がいくつも連なった碍子連を2つ備えた碍子装置が存在する。この碍子装置として、たとえば特許文献1に記載されたものが知られている。また、碍子装置には、落雷などによるフラッシオーバから碍子を保護するためのアークホーンが、送電線側ヨーク金具と鉄塔側ヨーク金具それぞれに固定されたものも存在する。アークホーンを備えた碍子装置として、たとえば特許文献2および特許文献3に記載されたものが知られている。送電線側鉄塔側とも碍子沿面に発生したアークの招弧特性を向上させるために、碍子を取り巻く様にアークホーンが形成されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−31047号公報
【特許文献2】特開平7−105771号公報
【特許文献3】特開平11−39971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、老朽化などの影響により、希に碍子装置の2つの碍子連のうちの一方が断連してしまうことがある。しかしながら、従来のアークホーンを備えた碍子装置では、2つの碍子連のうちの一方が断連したときの碍子装置の挙動については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、2つの碍子連の一方が断連しても、他方の碍子連の破損を防ぐことが可能な碍子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の碍子装置は、それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の碍子がそれぞれ連なった2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備えた碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられたアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに該所定のヨーク金具の回動によって該部分が該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づく方向に回動するものの、回動した後の前記部分が該他方の残存する碍子連との衝突を避けた位置にくるものであることを特徴とする。
【0007】
本発明の碍子装置によれば、2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連してアークホーンが回動しても、断連後に残存する他方の碍子連とアークホーンとが衝突することがないので、その他方の碍子連が破損してしまうことを防止できる。
【0008】
なお、ヨーク金具は、前記碍子連よりも送電線側に配置された送電線側ヨーク金具であってもよいし、前記碍子連よりも鉄塔側に配置された鉄塔側ヨーク金具であってもよい。
【0009】
ここで、本発明の碍子装置において、
前記ヨーク金具は、前記碍子連よりも送電線側に配置された送電線側ヨーク金具であり、
前記2つの碍子連よりも前記鉄塔側に設けられ、該2つの碍子連の他端が所定間隔をあけて連結される鉄塔側金具と、
前記鉄塔側金具よりも前記鉄塔側に設けられ、該鉄塔側金具に連結された鉄塔側連結金具と、
前記送電線側ヨーク金具よりも送電線側に設けられ、該送電線側ヨーク金具に連結された送電線側連結金具とをさらに備え、
前記送電線側ヨーク金具における、前記碍子連との連結位置から前記送電線側連結金具との連結位置までの、該碍子連の中心軸が延在する中心軸方向の距離が、前記鉄塔側金具における、該碍子連との連結位置から前記鉄塔側連結金具との連結位置までの該中心軸方向の距離よりも短いものであってもよい。
【0010】
また、本発明の碍子装置は、それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の碍子がそれぞれ連なった2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記2つのヨーク金具の、前記碍子連側とは反対側に設けられ、該2つのヨーク金具それぞれに連結された2つの連結金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備た碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って、自身に連結されている連結金具に対し回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられた所定のアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに該所定のヨーク金具の回動に伴って、該所定のヨーク金具に連結されている所定の連結金具に対し回動し、該所定の連結金具に対する回動によって該部分が該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づくものであり、
前記所定のヨーク金具と前記所定の連結金具は、前記一方の碍子連が断連したときに、該所定の連結金具に対して回動する前記所定のアークホーンの前記部分が前記他方の残存する碍子連と衝突する前に、互いに当接し、該所定のアークホーンの、該所定の連結金具に対するそれ以上の回動を制限するものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の碍子装置によれば、ヨーク金具と連結金具の両者が互いに当接することで、両者が当接するまで回動した回動角度を超えて連結金具に対してアークホーンが回動することがない。このため、断連後に残存する他方の碍子連とアークホーンとが衝突することを防止して、その他方の碍子連が破損してしまうことを防止できる。
【0012】
ここで、前記アークホーンは、前記一方の碍子連が断連したときに、前記ヨーク金具と前記連結金具が互いに当接することで前記連結金具に対するそれ以上の回動は制限されるものの、該連結金具とともにはさらに回動するものであり、該連結金具とともにさらに回動しても前記部分が前記他方の残存する碍子連との衝突を避けた位置にくるものであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の碍子装置は、それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の傘状の碍子がそれぞれ連なった、該中心軸が互いに平行な2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記2つのヨーク金具の、前記碍子連が連結された位置よりも該碍子連とは反対側の位置にそれぞれ連結された2つの連結金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備えた碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って、自身に連結されている連結金具に対し回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられたアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を該2つの碍子連の間から外れた位置で貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに、前記所定のヨーク金具の回動に伴って該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づく方向に回動し、断連前の取付姿勢から所定姿勢まで姿勢変化するものであり、
R・cosθ−y・sinθ−d/2−D/2>0 式(1)
ただし、
前記取付姿勢のアークホーンを前記平面において切断した場合の該アークホーン切断面の中心点から、一方の碍子連が断連したときに残存する断連前の碍子連である対象碍子連の中心軸を延長した延長線までの最短距離をR、
前記所定のヨーク金具と該対象碍子連との碍子連結位置から前記中心点までの、該対象碍子連の中心軸が延在する中心軸方向の距離をy、
該所定のヨーク金具と該所定のヨーク金具に連結されている連結金具との金具連結位置から該碍子連結位置までの該中心軸方向の距離をh、
断連前の前記2つの碍子連の中心軸の間隔をA、
該対象碍子連を構成する所定の碍子の傘径をD、
前記所定姿勢のアークホーンを前記平面で切断した場合の該アークホーン切断面における、前記一方の碍子連が断連し該アークホーンが前記所定姿勢まで姿勢変化した時の残存する碍子連の中心軸と直交する方向の幅をdとし、
θ=tan-1(A/(2・h))である。
上記式(1)で表される関係を満たしていることを特徴とする。
【0014】
本発明の碍子装置によれば、2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連してアークホーンが回動しても、断連後に残存する他方の碍子連とアークホーンとが衝突しない位置関係となるので、その他方の碍子連が破損してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2つの碍子連の一方が断連しても、他方の碍子連の破損を防ぐことが可能な碍子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に相当する2連耐張碍子装置を示す平面図である。
【図2】a)は、図1における最も送電線側に位置する碍子と直角ソケットクレビスと送電線側2連ヨーク金具とを抜き出した概略図である。(b)は、最も送電線側に位置する碍子と直角ソケットクレビスと送電線側2連ヨーク金具とを図2(a)における右側から見た概略図である。
【図3】碍子連、送電線側アークホーンおよび送電線側2連ヨーク金具を図1において下側から見た概略図である。
【図4】送電線側2連ヨーク金具と送電線側連結金具の連結部分を図1における右側から見た拡大図である。
【図5】2つの碍子連のうちの一方が断連したときの、図3に示すX−X断面における2連耐張碍子装置の様子を示す概略図である。
【図6】2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面における、2連耐張碍子装置1の概略図である。
【図7】図6における碍子連の一方が断連したときの、2連耐張碍子装置の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態である碍子装置は、碍子連を2つ備えた2連耐張碍子装置である。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に相当する2連耐張碍子装置を示す平面図である。
【0019】
図1に示す2連耐張碍子装置1は、不図示の鉄塔と送電線Eとの間に取り付けられるものである。この図1では図の下側が送電線側になり上側が鉄塔側になる。
【0020】
2連耐張碍子装置1は、鉄塔側リンク金具11、鉄塔側連結金具12、鉄塔側2連ヨーク金具13、鉄塔側アークホーン14、2つの碍子連15、送電線側アークホーン16、送電線側2連ヨーク金具17、送電線側連結金具18、送電線側リンク金具19を有する。本実施の形態における送電線側アークホーン16は、本発明のアークホーンの一例に相当し、本実施の形態における送電線側2連ヨーク金具17は、本発明のヨーク金具の一例に相当し、本実施の形態における送電線側連結金具18は、本発明の連結金具の一例に相当する。
【0021】
鉄塔側リンク金具11は、直角クレビスリンクであり、その鉄塔側部分は不図示の鉄塔に設けられた支持アームに連結されている。鉄塔側リンク金具11の送電線側部分には、図1において左右方向(以下、左右方向と称することがある)を回転軸にして回転可能に鉄塔側連結金具12が連結されている。鉄塔側連結金具12は、直角クレビスである。鉄塔側連結金具12の送電線側部分には、図1において紙面に直交する方向(以下、上下方向と称することがある)を回転軸にして回転可能に板状の鉄塔側2連ヨーク金具13が連結されている。鉄塔側アークホーン14は、鉄塔側2連ヨーク金具13に固定されている。碍子連15は、複数の碍子が中心軸15Gに沿って連なったものである。この碍子連15は、その中心軸15Gを送電線Eが延在する延線方向と平行にして所定の間隔を保って並列に2つ設けられている。図1では、最も鉄塔側に位置する碍子151と最も送電線側に位置する碍子152の間に存在する碍子は図示省略し、複数の碍子が連なっていることを二点鎖線で表している。碍子連15を構成する各碍子は、傘部15Bとキャップ部15Cとを有する。また、碍子連15は、鉄塔側端部にボールクレビス金具153を有し、送電線側端部に直角ソケットクレビス154を有する。最も鉄塔側に位置する碍子151は、ボールクレビス金具153により、上下方向を回転軸にして回転可能に鉄塔側2連ヨーク金具13に連結されている。また、最も送電線側に位置する碍子152は、直角ソケットクレビス154により、上下方向を回転軸にして回転可能に送電線側2連ヨーク金具17に連結されている。送電線側アークホーン16は、送電線側2連ヨーク金具17に固定されている。送電線側2連ヨーク金具17の送電線側部分には、上下方向を回転軸にして回転可能に送電線側連結金具18が連結されている。この送電線側連結金具18は、直角クレビスである。送電線側連結金具18の送電線側部分には、左右方向を回転軸にして回転可能に送電線側リンク金具19が連結されている。送電線側リンク金具19は、左右方向から見て扇形をした扇形1枚リンクである。送電線側リンク金具19の送電線側部分には、左右方向を回転軸にして回転可能に圧縮形クランプ21が連結されている。圧縮形クランプ21には送電線Eがクランプされている。送電線Eの軸線EGは、2つの碍子連15それぞれの中心軸15Gと平行で、かつ2つの中心軸15Gの中央に位置している。
【0022】
図2(a)は、図1における最も送電線側に位置する碍子152と直角ソケットクレビス154と送電線側2連ヨーク金具17とを抜き出した概略図である。また図2(b)は、最も送電線側に位置する碍子152と直角ソケットクレビス154と送電線側2連ヨーク金具17とを図2(a)における右側から見た概略図である。
【0023】
図2(a)に示すように、送電線側2連ヨーク金具17は、送電線側部分になる略二等辺三角形状部分と鉄塔側部分になる略矩形状部分とを有する板状の金具である。送電線側2連ヨーク金具17の鉄塔側部分には、送電線Eの延線方向と直交する方向(左右方向)に間隔をあけて、各直角ソケットクレビス154と連結するための2つのクレビス連結孔171が設けられている。また、送電線側2連ヨーク金具17の送電線側部分には、送電線側連結金具18(図2(a)では図示省略)と連結するための金具連結孔172が設けられている。さらに、送電線側2連ヨーク金具17には、送電線側アークホーン16が固定される4つの固定孔173と、送電線側2連ヨーク金具17を吊り上げるときに使用される2つの吊上孔174とが設けられている。送電線側2連ヨーク金具17の鉄塔側部分には、2つのクレビス連結孔171の鉄塔側部分を囲むように鉄塔側に突出した2つの突出部175が設けられている。この2つの突出部175の間には、送電線Eの延線方向と直交する方向に延在し、突出部175の突出端よりも送電線側に退避した直線状の縁部176が設けられている。クレビス連結孔171の中心点は、縁部176の延長線上に存在している。なお、クレビス連結孔171は、その中心点が縁部176の延長線よりも鉄塔側にあってもよく、送電線側にあってもよい。図2(b)に示す送電線側2連ヨーク金具17の突出部175は、板厚方向にわずかな隙間をあけて板厚方向から直角ソケットクレビス154によって挟まれている。また、図2(a)に示すように、直角ソケットクレビス154には、クレビス連結孔171とほぼ同じ直径を有する連結孔1541が設けられている。直角ソケットクレビス154と送電線側2連ヨーク金具17とは、連結孔1541とクレビス連結孔171とを貫通する図示しない連結軸によって回動可能に連結されている。
【0024】
従来は、送電線側2連ヨーク金具として、鉄塔側端部が直線形状に形成された、図1に示す鉄塔側2連ヨーク金具13と同一の形状のものが用いられている。従来の送電線側2連ヨーク金具は、鉄塔側2連ヨーク金具13と共通化することが可能だが、本実施形態では敢えて鉄塔側2連ヨーク金具13とは異なる形状の送電線側2連ヨーク金具17を採用している。これは、軽量化やコスト削減の目的で、2連耐張碍子装置1全体における延線方向の長さを短くしたいといった要求に応じるためである。この要求に対し、直角ソケットクレビス154の延線方向の長さを短くして最も送電線側に位置する碍子152と送電線側2連ヨーク金具17とを近づけて、2連耐張碍子装置1全体における延線方向の長さを短くすることが考えられる。しかし、最も送電線側に位置する碍子152の傘部15Bから送電線側2連ヨーク金具17までの距離が短いと、雷などによって送電線側2連ヨーク金具17にアークスポットが生じた際にアークジェットが飛び、その傘部15Bを傷つけてしまう虞がある。本実施形態の送電線側2連ヨーク金具17は、最も送電線側に位置する碍子152の傘部15Bが対向する部分に、送電線側に退避した縁部176を設けている。縁部176を退避させることで、直角ソケットクレビス154の延線方向の長さを短くしても、縁部176と傘部15Bとを離間させ、アークジェットが傘部15Bに及ぼす影響を抑制することができる。なお、縁部176は、最も送電線側に位置する碍子152の傘部15Bが対向する部分が突出部175の突出端よりも送電線側に退避していれば、直線状でなくてもよく、例えば円弧状に形成されていてもよい。また、縁部176は、送電線Eの延線方向と直交する方向に対して送電線側或いは鉄塔側に傾斜していてもよい。また、2つの突出部175は、直角ソケットクレビス154に覆われるように両面を挟まれているので、これらの突出部175にアークスポットが生じることはなく、突出部175からアークジェットが傘部15Bまで飛ぶことはない。
【0025】
本実施形態の2連耐張碍子装置1からは、所定方向に延線する送電線と鉄塔との間に配置される碍子装置において、傘部を有する複数の碍子が該送電線の延線方向に連なった碍子連と、前記碍子連よりも前記送電線側に設けられ、該碍子連における送電線側の端部が連結される送電線側金具とを備え、前記送電線側金具は、前記延線方向に交わる交差方向に延在した縁部と、該縁部から前記鉄塔側に突出し該碍子連における前記送電線側の端部によって挟まれる突出部とを有し、前記縁部は、前記鉄塔側で前記傘部に対向し、前記突出部の突出端よりも前記送電線側に退避したものであることを特徴とする碍子装置といった発明思想を導き出すことができる。この発明思想は、碍子連を1つのみ備えた碍子装置にも、複数の碍子連を備えた碍子装置にも適用できる。また、本実施形態の2連耐張碍子装置1からは、所定方向に延線する送電線と鉄塔との間に配置される碍子装置において、前記延線方向に交わる交差方向に間隔をあけて並べられた、複数の碍子が該送電線の延線方向に連なった複数の碍子連と、前記複数の碍子連よりも前記送電線側に設けられ、該複数の碍子連それぞれにおける該送電線側の端部が連結される送電線側金具とを備え、前記送電線側金具は、前記交差方向に間隔をあけ前記鉄塔側に突出し前記碍子連における前記送電線側の端部によって挟まれる複数の突出部と、前記鉄塔側で該交差方向に延在し該複数の突出部を結ぶ縁部とを有し、前記縁部は、前記突出部の突出端よりも前記送電線側に退避したものであることを特徴とする碍子装置といった発明思想も導き出すことができる。さらに、本実施形態の2連耐張碍子装置1からは、所定方向に延線する送電線と鉄塔との間に配置される碍子装置において、前記延線方向に交わる交差方向に間隔をあけて並べられた、複数の碍子が該送電線の延線方向に連なった複数の碍子連と、前記複数の碍子連よりも前記送電線側に設けられ、該複数の碍子連それぞれにおける該送電線側の端部が連結される送電線側金具とを備え、前記送電線側金具は、前記交差方向に間隔をあけ前記鉄塔側に突出した複数の突出部と、前記鉄塔側で該交差方向に延在し該複数の突出部を結ぶ縁部とを有し、前記複数の突出部は、前記複数の碍子連と一対一に対応し、対応する前記碍子連における前記送電線側の端部によって挟まれるものであり、前記縁部は、前記突出部の突出端よりも前記送電線側に退避したものであることを特徴とする碍子装置といった発明思想も導き出すことができる。なお、これらの発明思想における上記突出部は、上記交差方向の幅が上記碍子連における最も送電線側の碍子における傘部の直径未満である。
【0026】
また、送電線側2連ヨーク金具17における、碍子連15との連結位置(クレビス連結孔171の中心)から送電線側連結金具18との連結位置(金具連結孔172の中心)までの、碍子連15の中心軸15Gが延在する方向(以下、中心軸方向と称する)の距離は、鉄塔側2連ヨーク金具13の、碍子連15との連結位置から鉄塔側連結金具12との連結位置までの中心軸方向の距離よりも短い。これは、鉄塔側2連ヨーク金具13の各連結位置を中心軸方向に近づけることで、鉄塔側2連ヨーク金具13の中心軸方向の長さを短くするためである。鉄塔側2連ヨーク金具13の中心軸方向の長さを短くすることで、2連耐張碍子装置1全体の中心軸方向の長さを短くすることができる。
【0027】
図3は、碍子連15、送電線側アークホーン16および送電線側2連ヨーク金具17を図1において下側から見た概略図である。
【0028】
送電線側アークホーン16は、金属製のパイプを成形したものであり、碍子沿面に発生したアークの招弧特性を向上させるために、最も送電線側に位置する2つの碍子152それぞれを取り巻く様に成形されている。なお、送電線側アークホーン16は中実の棒材を成形したものであってもよい。この送電線側アークホーン16は、図3に示すように、送電線側2連ヨーク金具17から地面側(図2において下側)に垂下した2つの垂下部分161と、碍子連15の上空側(図2において上側)に設けられた屈曲部分162と、屈曲部分162と垂下部分161とを繋ぐ2つの円弧状部分163とを有している。この2つの円弧状部分163それぞれは碍子連15の各中心軸15Gを中心とした円弧状に成形されている。すなわち、送電線側アークホーン16は、2つの碍子連の間側部分を内側部分15Yとしたときに2つの碍子連15の外側部分15Zを取り囲むように形成されている。なお、図1では、送電線側アークホーン16と鉄塔側アークホーン14とが異なる形状の例を示しているが、鉄塔側アークホーン14を送電線側アークホーン16と同一形状に形成してもよい。
【0029】
図4は、送電線側2連ヨーク金具17と送電線側連結金具18の連結部分を図1における右側から見た拡大図である。
【0030】
送電線側連結金具18は、直角クレビスであり、図1に示すように送電線側に設けられた平面視コの字状の部分と、図4に示すように鉄塔側に設けられた側面視コの字状の部分とを備えている。側面視コの字部分は、底部181と2つの突出部182とから構成されている。2つの突出部182には、送電線側2連ヨーク金具17と連結するためのヨーク連結孔1821がそれぞれ設けられている。送電線側2連ヨーク金具17は、2つの突出部182の間に所定の隙間をあけて挟まれ、ヨーク連結孔1821と金具連結孔172とを貫通したボルト32によって送電線側連結金具18に回動可能に連結されている。このボルト32は、ナット33が締めこまれることで、ボルト32の軸方向への移動は規制されている。
【0031】
図5は、2つの碍子連15のうちの一方が断連したときの、図3に示すX−X断面における2連耐張碍子装置1の様子を示す概略図である。このX−X断面は、2つの碍子連15それぞれの中心軸15Gを含む平面で2連耐張碍子装置1を切断した断面である。以下、この2つの碍子連15それぞれの中心軸15Gを含む平面をX−X平面と称する。図5は、図示を省略した右側の碍子連15が断連して左側の碍子連15が残存したときの様子を示している。また、図5は碍子連15、送電線側アークホーン16、送電線側2連ヨーク金具17、送電線側リンク金具19、および送電線側連結金具18以外は図示省略し、断面を表すハッチングも省略している。
【0032】
図5に示すように、碍子連15の一方が断連した2連耐張碍子装置1は、この一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連15によって、鉄塔側2連ヨーク金具13と送電線側2連ヨーク金具17とが繋ぎ止められる。2連耐張碍子装置1は送電線Eに引っ張られているため、碍子連15の一方が断連したとき、送電線側2連ヨーク金具17は、X−X平面において、金具連結孔172の中心を回動中心として図5において時計回りに回動し、それに伴い、残存する他方の碍子連15は、送電線Eの軸線EGの延長線に向かって移動する。この実施形態においては、送電線側2連ヨーク金具17が所定の角度まで回動すると、送電線側連結金具18の底部181と送電線側2連ヨーク金具17とが当接して、送電線側連結金具18に対する送電線側2連ヨーク金具17のそれ以上の回動は制限される。送電線側連結金具18に対する送電線側2連ヨーク金具17の回動が制限された後は、送電線側2連ヨーク金具17の回動中心が金具連結孔172の中心よりも送電線側に移動し、送電線側2連ヨーク金具17に加えて送電線側連結金具18と送電線側リンク金具19も図5において時計回りに若干回動する。そして、残存する碍子連15は、その中心軸15Gが送電線Eの軸線EGの延長線に移動するまで回動して安定状態となる。なお、送電線側2連ヨーク金具17の回動中心が金具連結孔172の中心よりも送電線側に移動することで、軸線EGに対する送電線側2連ヨーク金具17の、安定状態となるまでの回動角度は、回動中心が移動しない場合と比較して小さくなる。送電線側アークホーン16は、2つの碍子連15の間から外れた位置で、X−X平面を貫く2つの切断面16Bを有する。すなわち、送電線側アークホーン16は、2つの碍子連15の両外側部分15Zよりも外側に位置し、X−X平面を貫く2つの切断面16Bを有する。従って、本実施形態における切断面16Bは、本発明における平面を貫く部分の一例に相当する。この送電線側アークホーン16は、送電線側2連ヨーク金具17に固定されているので、2つの切断面16Bも、送電線側2連ヨーク金具17の回動に伴ってX−X平面に沿って回動する。X−X平面を貫く2つの切断面16Bのうち、一方の切断面16Bは回動により残存する碍子連15から離間するものの、この一方に対する他方の切断面16Bは、回動により残存する碍子連15に接近する。本実施形態では、他方の切断面16Bの外周縁が残存する碍子連15と衝突する位置まで送電線側2連ヨーク金具17が回動する前に、送電線側連結金具18の底部181と送電線側2連ヨーク金具17とを当接させて、送電線側連結金具18に対する送電線側2連ヨーク金具17の回動を制限している。上述したように、送電線側連結金具18に対する送電線側2連ヨーク金具17の回動が制限された後も、送電線側2連ヨーク金具17は、送電線側連結金具18と送電線側リンク金具19とともに中心軸15Gが軸線EGの延長線に一致するまでさらに若干回動する。本実施形態では、その若干の回動も含めて、他方の切断面16Bの外周縁が残存する碍子連15と衝突しないように送電線側連結金具18の底部181を配置している。
【0033】
なお、本実施形態では、送電線側連結金具18の底部181と送電線側2連ヨーク金具17とを当接させて送電線側2連ヨーク金具17の回動角度を制限したが、送電線側連結金具18に別の部材を取り付けて送電線側2連ヨーク金具17が所定角度回動したら、その別の部材に当接するようにしてもよい。また、本実施形態の送電線側連結金具18、送電線側2連ヨーク金具17および送電線側アークホーン16の構成は、鉄塔側連結金具12、鉄塔側2連ヨーク金具13および鉄塔側アークホーン14にも適用することが可能である。鉄塔側アークホーン14は、本発明のアークホーンの一例に相当し、鉄塔側2連ヨーク金具13は、本発明のヨーク金具の一例に相当し、鉄塔側連結金具12は、本発明の連結金具の一例に相当する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の2連耐張碍子装置1によれば、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連して送電線側2連ヨーク金具17とともに送電線側アークホーン16が回動しても、断連後に残存する他方の碍子連15と送電線側アークホーン16とが衝突することを防止できる。また、送電線側連結金具18、送電線側2連ヨーク金具17および送電線側アークホーン16の構成を、鉄塔側連結金具12、鉄塔側2連ヨーク金具13および鉄塔側アークホーン14に適用すれば、断連後に残存する他方の碍子連15と鉄塔側アークホーン14とが衝突することがない。
【0035】
次に、他の実施形態を説明する。この他の実施形態の説明でも、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。また、先の実施形態の説明と重複する説明は省略することがある。
【0036】
図6は、X−X平面(2つの碍子連15それぞれの中心軸15Gを含む平面)における、2連耐張碍子装置1の概略図である。また、図7は、図6における碍子連15の一方が断連したときの、2連耐張碍子装置1の様子を示す概略図である。図7は、図示を省略した右側の碍子連15が断連して左側の碍子連15が残存したときの様子を示している。図6および図7では、碍子連15、送電線側アークホーン16、送電線側2連ヨーク金具47、送電線側リンク金具49、および送電線側連結金具18以外は図示省略し、断面を表すハッチングも省略する。
【0037】
本実施形態では、先の実施形態に対し、送電線側2連ヨーク金具47と送電線側連結金具48の形状を変更している。図6に示すように、本実施形態の送電線側2連ヨーク金具47は、直角ソケットクレビス154と連結するための2つのクレビス連結孔471と、送電線側連結金具48と連結するための金具連結孔472とを備えている。先の実施形態と比較して、本実施形態の送電線側2連ヨーク金具47は、クレビス連結孔471から金具連結孔472までの中心軸方向の距離が長い。また、送電線側連結金具48は、送電線側2連ヨーク金具47と連結するためのヨーク連結孔4821と底部481とを備えている。先の実施形態と比較して、本実施形態の送電線側連結金具48は、底部481からヨーク連結孔4821までの中心軸方向の距離が長い。この距離が長いことで、碍子連15の一方が断連したときの、送電線側連結金具48に対する送電線側2連ヨーク金具47の回動角度が制限されない。本実施の形態における送電線側2連ヨーク金具47は、本発明のヨーク金具の一例に相当し、本実施形態における送電線側連結金具48は、本発明の連結金具の一例に相当する。
【0038】
送電線側2連ヨーク金具47の回動角度が制限されないので、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連すると、先の実施形態と比較して送電線側2連ヨーク金具47の回動角度は大きくなる。本実施形態では、後述する関係式を満たすようにすることで、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連しても、碍子連15と送電線側アークホーン16とが衝突しないようにしている。
【0039】
以下、その関係式について説明する。碍子連15の一方が断連したとき、送電線側2連ヨーク金具47はX−X平面に沿って回動する。この回動により、送電線側アークホーン16はX−X平面において残存する他方の碍子連15と最も接近する。従って、一方の碍子連15が断連したとき、X−X平面において残存する他方の碍子連15と送電線側アークホーン16とが衝突しないようにすれば、残存する他方の碍子連15と送電線側アークホーン16とが衝突することはない。以下の説明では、X−X平面における、残存する他方の碍子連15、送電線側アークホーン16、送電線側2連ヨーク金具47の形状や位置関係を基に説明する。また、以下の説明では、一方の碍子連15が断連したときに残存する断連前の碍子連を対象碍子連15’と称し、一方の碍子連15が断連したときに残存する断連後の碍子連を残存碍子連15’’と称することがある。
【0040】
図6に示すように、断連前における送電線側2連ヨーク金具47と対象碍子連15’との連結位置(クレビス連結孔471の中心位置)から、送電線側2連ヨーク金具47と送電線側連結金具18との連結位置(金具連結孔472の中心位置)までの中心軸方向の距離をhとする。また、断連前における2つの碍子連15の中心軸15Gの間隔をAとし、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連したときの、送電線側2連ヨーク金具17の回動角度θとする。断連後は、図7に示すように、送電線側2連ヨーク金具17は、残存碍子連15’’との連結位置と送電線側連結金具18の連結位置とを結ぶ直線が残存碍子連15’’の中心軸15Gと水平になるまで回動するので、
θ=tan-1(A/(2・h))・・・(1)
となる。
【0041】
ここで、図6に示すように、送電線側アークホーン16の、断連前の状態において対象碍子連15’に近い方の切断面16Bにおける中心点16Cから、対象碍子連15の中心軸15Gまでの最短距離をRとする。なお、ここでいう中心点16Cとは、切断面16Bの外周縁を基準にしたときに中心となる点を指す。また、断連前における送電線側2連ヨーク金具47と対象碍子連15’との連結位置(クレビス連結孔471の中心位置)から、送電線側アークホーン16の切断面16Bにおける中心点16Cまでの中心軸方向の距離をyとする。また、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連して送電線側アークホーン16が回動した後の、中心軸方向と直交する方向の切断面16Bの幅をdとする。また、対象碍子連15’を構成する碍子の傘部15Bの径をDとすると、送電線側アークホーン16の切断面16Bと残存碍子連15’’を構成する碍子の傘部15Bとの間隔Sは、
S=R・cosθ−y・sinθ−d/2−D/2・・・(2)
となる。
この間隔Sが0より大きければ、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連した後の送電線側アークホーン16の切断面16Bと碍子の傘部15Bとの間に隙間を維持できる。従って、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連した後の送電線側アークホーン16と残存碍子連15’’とが衝突しない条件を示す関係式は、
R・cosθ−y・sinθ−d/2−D/2>0・・・(3)
となる。
本実施形態では、式(1)で得られる送電線側2連ヨーク金具17の回動角度θを用いて、関係式(3)を満たすように、送電線側2連ヨーク金具47と送電線側連結金具18の連結位置を、対象碍子連15’との連結位置から中心軸方向に離間させることで上記の関係式を満たす構成としている。すなわち、送電線側2連ヨーク金具47と対象碍子連15’との連結位置(クレビス連結孔471の中心位置)から、送電線側2連ヨーク金具47と送電線側連結金具18との連結位置(金具連結孔472の中心位置)までの断連する前における中心軸方向の距離hを、関係式(3)を満たすように設定した。しかし、送電線側2連ヨーク金具47の中心軸方向の距離を短くしたい場合には、例えば断連前の状態において対象碍子連15’に近い方の送電線側アークホーン16の切断面16Bにおける中心点16Cから、対象碍子連15’の中心軸15Gまでの最短距離Rを、関係式(3)を満たすように設定すればよい。また、上記関係式を満たせば、他の部材の位置関係または形状を設定してもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、送電線側連結金具48、送電線側2連ヨーク金具47および送電線側アークホーン16について説明したが、鉄塔側連結金具12、鉄塔側2連ヨーク金具13および鉄塔側アークホーン14にも適用することが可能である。鉄塔側アークホーン14は、本発明のアークホーンの一例に相当し、鉄塔側2連ヨーク金具13は、本発明のヨーク金具の一例に相当し、鉄塔側連結金具12は、本発明の連結金具の一例に相当する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の2連耐張碍子装置1によれば、2つの碍子連15のうちの一方の碍子連15が断連してX−X平面における送電線側アークホーン16が回動しても、断連後に残存する他方の碍子連15と送電線側アークホーン16とが衝突することがない。また、送電線側連結金具48、送電線側2連ヨーク金具47および送電線側アークホーン16の構成を、鉄塔側連結金具12、鉄塔側2連ヨーク金具13および鉄塔側アークホーン14に適用すれば、断連後に残存する他方の碍子連15と鉄塔側アークホーン14とが衝突することがない。
【0044】
なお、ここでの説明では、2つの碍子を水平方向に併設した2連耐張碍子装置1を例にあげて説明したが、2つの碍子を垂直方向に併設した2連耐張碍子装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 2連耐張碍子装置
13 鉄塔側2連ヨーク金具
15 碍子連
153 ボールクレビス金具
154 直角ソケットクレビス
1541 連結孔
15G 中心軸
15B 傘部
16 送電線側アークホーン
16B 切断面
16C 中心点
17 送電線側2連ヨーク金具
171 クレビス連結孔
172 金具連結孔
175 突出部
176 縁部
18 送電線側連結金具
181 底部
E 送電線
EG 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の碍子がそれぞれ連なった2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備えた碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられたアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに該所定のヨーク金具の回動によって該部分が該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づく方向に回動するものの、回動した後の前記部分が該他方の残存する碍子連との衝突を避けた位置にくるものであることを特徴とする碍子装置。
【請求項2】
それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の碍子がそれぞれ連なった2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記2つのヨーク金具の、前記碍子連側とは反対側に設けられ、該2つのヨーク金具それぞれに連結された2つの連結金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備た碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って、自身に連結されている連結金具に対し回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられた所定のアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに該所定のヨーク金具の回動に伴って、該所定のヨーク金具に連結されている所定の連結金具に対し回動し、該所定の連結金具に対する回動によって該部分が該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づくものであり、
前記所定のヨーク金具と前記所定の連結金具は、前記一方の碍子連が断連したときに、該所定の連結金具に対して回動する前記所定のアークホーンの前記部分が前記他方の残存する碍子連と衝突する前に、互いに当接し、該所定のアークホーンの、該所定の連結金具に対するそれ以上の回動を制限するものであることを特徴とする碍子装置。
【請求項3】
それぞれの中心軸の一端が送電線側に位置するとともに該一端に対する他端が鉄塔側に位置し、該中心軸に沿って複数の傘状の碍子がそれぞれ連なった、該中心軸が互いに平行な2つの碍子連と、
前記2つの碍子連の一端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第1のヨーク金具と前記2つの碍子連の他端が所定間隔をあけてそれぞれ連結された第2のヨーク金具との2つのヨーク金具と、
前記2つのヨーク金具の、前記碍子連が連結された位置よりも該碍子連とは反対側の位置にそれぞれ連結された2つの連結金具と、
前記第1のヨーク金具に取り付けられた第1のアークホーンと前記第2のヨーク金具に取り付けられた第2のアークホーンとの2つのアークホーンとを備えた碍子装置において、
前記2つのヨーク金具は、前記2つの碍子連のうちの一方の碍子連が断連したときに前記平面に沿って、自身に連結されている連結金具に対し回動するものであり、
前記2つのヨーク金具のうちの少なくとも一方の所定のヨーク金具に取り付けられたアークホーンは、前記2つの碍子連それぞれの中心軸を含む平面を該2つの碍子連の間から外れた位置で貫く部分を有し、前記一方の碍子連が断連したときに、前記所定のヨーク金具の回動に伴って該一方の碍子連に対する他方の残存する碍子連に近づく方向に回動し、断連前の取付姿勢から所定姿勢まで姿勢変化するものであり、
R・cosθ−y・sinθ−d/2−D/2>0 式(1)
ただし、
前記取付姿勢のアークホーンを前記平面において切断した場合の該アークホーン切断面の中心点から、一方の碍子連が断連したときに残存する断連前の碍子連である対象碍子連の中心軸を延長した延長線までの最短距離をR、
前記所定のヨーク金具と該対象碍子連との碍子連結位置から前記中心点までの、該対象碍子連の中心軸が延在する中心軸方向の距離をy、
該所定のヨーク金具と該所定のヨーク金具に連結されている連結金具との金具連結位置から該碍子連結位置までの該中心軸方向の距離をh、
断連前の前記2つの碍子連の中心軸の間隔をA、
該対象碍子連を構成する所定の碍子の傘径をD、
前記所定姿勢のアークホーンを前記平面で切断した場合の該アークホーン切断面における、前記一方の碍子連が断連し該アークホーンが前記所定姿勢まで姿勢変化した時の残存する碍子連の中心軸と直交する方向の幅をdとし、
θ=tan-1(A/(2・h))である。
上記式(1)で表される関係を満たしていることを特徴とする碍子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−195135(P2012−195135A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57612(P2011−57612)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(311005851)旭テックTDM株式会社 (1)
【Fターム(参考)】