磁場測定装置
【課題】磁場の測定精度を向上させる。
【解決手段】液晶パネル62の液晶層620は、電圧の印加により配向が変化する液晶622を有し、液晶622に電圧が印加されない期間T1においては、セルを透過したプローブ光の偏光面を液晶622により回転させ、液晶622に電圧が印加される期間T2においては、このプローブ光の偏光面を回転させない。液晶パネル62の偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる。検出部は、期間T1においては、偏光板625を通過したプローブ光のs偏光成分を検出し、期間T2においては、偏光板625を通過したプローブ光のp偏光成分を検出する。
【解決手段】液晶パネル62の液晶層620は、電圧の印加により配向が変化する液晶622を有し、液晶622に電圧が印加されない期間T1においては、セルを透過したプローブ光の偏光面を液晶622により回転させ、液晶622に電圧が印加される期間T2においては、このプローブ光の偏光面を回転させない。液晶パネル62の偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる。検出部は、期間T1においては、偏光板625を通過したプローブ光のs偏光成分を検出し、期間T2においては、偏光板625を通過したプローブ光のp偏光成分を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ポンピングを利用した磁気センサーが、いわゆるMRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)装置などに用いられている。この種の磁気センサーにおいては、円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分を有するプローブ光とが交差するように(望ましくは、直交するように)セルに照射され、さらに、これらの光の照射方向に対して直交する方向の磁場が印加される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光ポンピングを利用した磁気センサーでは、セルを透過したプローブ光を例えば偏光ビームスプリッターを用いてp偏光成分とs偏光成分とに分離し、2個の光センサーを用いてp偏光成分とs偏光成分とを検出する。このとき、偏光ビームスプリッターの傾きを正確に調整しないと、2つの偏光成分の光量がアンバランスになり、測定精度が低下してしまう。また、光センサーを2個用いると、光センサー自体のばらつきにより、測定精度が低くなってしまう。
本発明は、磁場の測定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、励起されると外部から印加された磁場に応じて直線偏光の偏光面を回転させる原子を内部に有するセルと、前記原子が励起されたセルに対し、直線偏光の成分を有する第1の光を照射する第1の照射部と、電圧の印加により配向が変化する液晶を有し、当該液晶に電圧が印加されない第1の期間においては、前記セルを透過した前記第1の光の偏光面を当該液晶により回転させ、当該液晶に電圧が印加される第2の期間においては、当該第1の光の偏光面を回転させない液晶層と、前記液晶層を透過した第1の光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる偏光部と、前記第1の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第1の偏光成分を検出し、前記第2の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第2の偏光成分を検出する検出部とを備えることを特徴とする磁場測定装置を提供する。この構成によれば、磁場の測定精度を向上させることができる。
【0006】
上記磁場測定装置において、前記検出部は、前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との差分を算出してもよい。この構成によれば、第1の偏光成分と前記第2の偏光成分の差分の算出をも磁場測定装置内で行うことができる。
【0007】
上記磁場測定装置において、前記液晶層は、ネマティック液晶を有してもよい。この構成によれば、ネマティック液晶を用いて液晶層を構成することができる。
【0008】
上記磁場測定装置において、前記セルは、円偏光により励起される原子を内部に有し、円偏光の成分を有する第2の光を前記第1の光と交差するように前記セルに照射する第2の照射部を備え、前記第1の照射部は、前記第2の光が照射されたセルに対し、前記第1の光を照射してもよい。この構成によれば、円偏光を利用した方式で磁場を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】磁場測定装置の構成を示す図
【図2】セルの構成を示す斜視図
【図3】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図4】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図5】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図6】液晶パネルの構成を示す図
【図7】液晶への電圧印加の制御を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、磁場測定装置1の構成を示す図である。磁場測定装置1は、例えば心磁(心臓からの磁気)や脳磁(脳からの磁気)などの生体から発生する微弱な磁場の測定に用いられる。磁場測定装置1は、セル10と、照射部20、30と、磁場発生部40と、検出部50、60とを備える。磁場測定装置1は、測定対象の磁場の中にセル10が位置するように配置される。
【0011】
図2は、セル10の構成を示す斜視図である。セル10は、中空の立方体の形状をしており、ガラス等の光を透過する材料で形成される。なお、セル10の形状は、他の立体形状であってもよい。セル10の内部には、例えばアルカリ金属の原子が気体の状態(すなわちガス状態)で封入される。このアルカリ金属は、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)である。セル10内の原子は、円偏光により励起されて原子の外殻電子のスピンが偏極される。なお、セル10の内部には、典型的には単一種類のアルカリ金属の原子が封入されるが、複数種類のアルカリ金属の原子が含まれていてもよい。また、セル10内の原子は、常時気体の状態である必要はなく、磁場の測定を行うときに気体の状態であればよい。さらに、セル10の内部には、セル10の壁との衝突等によるアルカリ金属の原子の緩和を穏やかにするために、ヘリウム(He)、窒素(N)などが緩衝ガスとして含まれていてもよい。
【0012】
図1に示す照射部20(第2の照射部の一例)は、円偏光成分を有するポンプ光(第2の光の一例)をセル10に照射する。照射部20は、光源21と、半波長板22と、偏光ビームスプリッター23と、四分の一波長板24とを備える。光源21は、無偏光のレーザー光を図1に示す矢印X方向に照射する。半波長板22は、光源21から照射された光の偏光面を回転させる。偏向ビームスプリッター23は、半波長板22を透過した光のp偏光成分(入射面に対して平行な成分)を透過させ、s偏光成分(入射面に対して垂直な成分)を反射させる。このs偏光成分は、例えばレーザー光の出力のモニタリングに用いられてもよいし、光を吸収する部材により吸収されてもよい。なお、s偏光成分の反射方向は、図示した方向に限定されない。四分の一波長板24は、偏向ビームスプリッター23を透過した光を円偏光に変化させる。これにより、四分の一波長板24を透過した光は、円偏光成分を有するポンプ光となる。
【0013】
照射部30(第1の照射部の一例)は、直線偏光成分を有するプローブ光(第1の光の一例)をセル10に照射する。照射部30は、光源31と、半波長板32と、偏向ビームスプリッター33と、偏光板34とを備える。光源31は、無偏光のレーザー光を図1に示す矢印Y方向に照射する。半波長板32は、光源31から照射された光の偏光面を回転させる。偏向ビームスプリッター33は、半波長板32を透過した光のp偏光成分を透過させ、s偏光成分を反射させる。偏光板34は、偏向ビームスプリッター33を透過した光のうち特定方向に偏光した光だけを透過させる。これにより、偏光板34を透過した光は、直線偏光成分を有するプローブ光となる。なお、ポンプ光とプローブ光とは、互いに直交する関係であることが好ましいが、交差する関係であれば完全に直交しなくてもよい。
【0014】
磁場発生部40は、コイル41と、磁気シールド42とを備える。コイル41は、信号用の磁場を印加するとともに、外部からの磁場に対する補正用の磁場を印加する。磁気シールド42は、測定対象以外の磁場を遮蔽するための部材であり、セル10及びコイル41を覆うように設けられている。磁気シールド42には、ポンプ光及びプローブ光が通るための経路が確保されている。
【0015】
検出部50は、セル10を透過したポンプ光を検出する。検出部50は、光センサー51を備える。光センサー51は、例えばフォトダイオードであり、セル10を透過したポンプ光を電気信号に変換する。光センサー51の検出結果は、例えばポンプ光のモニタリングに用いられる。
【0016】
検出部60(検出部の一例)は、セル10を透過したプローブ光を検出する。検出部60は、半波長板61と、液晶パネル62と、光センサー63と、A/D変換器64と、メモリー65と、演算部66とを備える。半波長板61は、セル10を透過したプローブ光の偏光面を回転させる。液晶パネル62は、ネマティック液晶と呼ばれる液晶を用いて、半波長板61を通過したプローブ光のp偏光成分又はs偏光成分を透過させる。光センサー63は、例えばフォトダイオードであり、液晶パネル62を透過したプローブ光を電気信号に変換して出力する。A/D変換器64は、光センサー63から出力された電気信号をデジタルデータに変換して出力する。メモリー65は、A/D変換器64から出力されたデータを記憶する。演算部66は、メモリー65に記憶されたデータを用いて、光センサー63により検出されたプローブ光のp偏光成分とs偏光成分との差分を算出する。
【0017】
図3〜5は、ネマティック液晶の動作原理を説明する図である。ネマティック液晶の液晶分子Cは、印加電圧がない場合には、分子の長軸方向に沿ってゆるやかな規則性を持って並ぶ(図3(a)参照)。このとき、液晶分子Cを一定方向に微細な溝がある基板B(配向膜)に接触させると(図3(b)参照)、液晶分子Cが基板Bの溝に沿って並ぶ(図3(c)参照)。
【0018】
この液晶分子Cは、図4に示すように2つの基板Bの間に保持される。この基板Bは、上側の基板Bの溝が延びる方向(矢印a方向)と、下側の基板Bの溝が延びる方向(矢印b方向)とが直交するように配置される。このとき、上側にある液晶分子Cは上側の基板Bの溝に沿って矢印a方向に並び、下側にある液晶分子Cは下側の基板Bの溝に沿って矢印b方向に並ぶ。そして、それらの中間にある液晶分子Cは、矢印a方向から矢印b方向の間を次第に向きを変えながら配列する。これにより、液晶分子Cの配向方向は、90度ねじれた状態になる。
【0019】
印加電圧がない状態のネマティック液晶に光Lを通すと、図5(a)に示すように、液晶分子Cの配列方向のねじれにより、光Lの偏光面が90度回転される。この現象は、旋光と呼ばれる。一方、ネマティック液晶に電圧を印加すると、図5(b)に示すように、液晶分子Cは基板Bに対して垂直に配向する。この状態のネマティック液晶に光Lを通すと、光Lの偏光面は回転されず、そのまま通過する。
【0020】
図6は、液晶パネル62の構成を示す図である。液晶パネル62は、液晶層620と、偏光板625(偏光部の一例)とを備える。液晶層620は、2枚の基板621a、621bと、液晶622と、駆動部623とを備える。基板621a及び基板621bの面には、一定方向に微細な溝がある配向膜が設けられる。基板621a及び基板621bは、図4に示すように、配光膜の溝の延びる方向が直交するように配置される。液晶622は、ネマティック液晶であり、基板621aと基板621bの間に保持される。駆動部623は、基板621a及び基板621bに電圧を印加して、液晶622を駆動する。偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、特定方向の偏光成分だけを通過させる。
【0021】
液晶622は、電圧の印加により配向が変化する。印加電圧がない場合、液晶622は、図6(a)に示すように基板621aと基板621bとの間で90度ねじれるように配列する。一方、電圧が印加されると、液晶622は、図6(b)に示すように基板621a、621bの面に垂直な方向に揃って並ぶ。
【0022】
次に、磁場測定装置1の動作を説明する。照射部20は、セル10にポンプ光を照射する。これにより、セル10内の原子は励起状態となる。このとき、セル10内の原子は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じたトルクを受けて歳差運動を行う。続いて、照射部30は、セル10にプローブ光を照射する。このプローブ光は、セル10の内部を通過するときに、セル10内の原子の歳差運動により、その偏光面が回転される。この偏光面の回転角は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じた大きさを有する。セル10を透過したプローブ光は、半波長板61により偏光面が回転され、液晶パネル62に到達する。
【0023】
このとき、液晶パネル62の液晶層620は、図7に示すように、液晶622への電圧印加を時分割で制御する。具体的には、駆動部623は、期間T1(第1の期間の一例)の間は、基板621a及び基板621bへの電圧印加を行わない。このとき、液晶622は、電圧が印加されないため、図6(a)に示すように基板621aと基板621bとの間で90度ねじれるように配列する。期間T1に液晶層620に入射したプローブ光は、液晶層620を通過するときに、液晶622の配向方向のねじれにより偏光面がほぼ90度回転される。液晶層620を透過したプローブ光は、偏光板625に到達する。このとき、偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、s偏光成分だけを通過させる。
【0024】
続いて、駆動部623は、期間T2(第2の期間の一例)の間、基板621a及び基板621bに電圧を印加する。このとき、液晶622は、電圧が印加されるため、図6(b)に示すように基板621a、621bの面に垂直な方向に揃って並ぶ。期間T2に液晶層620に入射したプローブ光は、偏光面が回転されずに液晶層620を通過する。つまり、プローブ光は、液晶パネル62を透過する前の偏光状態を保ったまま、液晶層620を通過する。液晶層620を透過したプローブ光は、偏光板625に到達する。このとき、偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、p偏光成分だけを通過させる。
【0025】
液晶パネル62を透過したプローブ光は、光センサー63に到達する。光センサー63は、期間T1においては、偏光板625を通過したプローブ光のs偏光成分(第1の偏光成分の一例)を検出し、期間T2においては、偏光板625を通過したプローブ光のp偏光成分(第2の偏光成分の一例)を検出する。そして、光センサー63は、検出した偏光成分の光量を示す電気信号を出力する。A/D変換器64は、光センサー63から出力された電気信号をデジタルデータに変換して出力する。メモリー65は、A/D変換器64から出力されたデータを記憶する。これにより、メモリー65には、プローブ光のs偏光成分の光量を示すデータと、p偏光成分の光量を示すデータとが記憶される。演算部66は、メモリー65に記憶されたデータを用いて、p偏光成分とs偏光成分との差分を算出する。これにより、セル10の内部を通過するときに回転されたプローブ光の偏光面の回転角が得られる。上述したように、この偏光面の回転角は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じた大きさを有する。従って、磁場測定装置1は、プローブ光の偏光面の回転角を求めることにより、測定対象の磁場を測定することができる。
【0026】
この実施形態によれば、偏光ビームスプリッターを用いずに、セル10を透過したプローブ光をp偏光成分とs偏光成分に分離することができる。そのため、例えば偏光ビームスプリッターの傾きの調整がずれたために、測定精度が低くなるということがない。加えて、偏光ビームスプリッターは比較的値段が高いため、偏光ビームスプリッターを使用しないことで、磁場測定装置1の製造原価を抑えることができる。また、セル10を透過したプローブ光を1つの光センサー63で検出しているため、光センサーのばらつきが起こらない。従って、磁場の測定精度が高くなる。
【0027】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変形させて実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0028】
光センサー63によって検出されたプローブ光のs偏光成分及びp偏光成分は、例えばアナログ回路によってアナログの電気信号のまま保持されてもよい。この場合、電気信号を保持する回路は、s偏光成分の光量を示す電気信号とp偏光成分の光量を示す電気信号とを別々に分けて保持する。
【0029】
上述した実施形態では、印加電圧がない期間T1にプローブ光のs偏光成分を検出し、印加電圧がある期間T2にp偏光成分を検出していたが、これに限らない。例えば、液晶パネル62の向きを変えることにより、印加電圧がない期間T1にプローブ光のp偏光成分を検出し、印加電圧がある期間T2にs偏光成分を検出してもよい。
【0030】
セル10に照射されるポンプ光及びプローブ光は、出射されてからセル10に入射するまでの進行方向が一定である必要はない。つまり、ポンプ光及びプローブ光は、セル10に入射するときに所定の方向になっていればよく、途中でミラー等によって反射され、進行方向が変更されてもよい。したがって、例えば、光の照射位置や検出位置を1箇所に集中させることも可能である。
【0031】
磁場測定装置1は、セル10を透過したポンプ光を検出しなくてもよい。この場合、上述した光センサー51は不要になる。また、この場合、磁場測定装置1には、セル10を透過したポンプ光を吸収する部材を設けてもよい。この部材は、シート状であるとより好ましい。
【0032】
磁場測定装置1は、検出部60で検出した光に応じた信号を可視化し、これを表示する手段を備えてもよい。又は、磁場測定装置1は、検出部60で検出した光に応じた信号を生成し、これを外部装置(表示装置、コンピュータ装置など)に出力する構成のみを備えていてもよい。
【0033】
液晶層620に保持される液晶622は、ネマティック液晶に限らない。例えば、液晶層620は、ネマティック液晶に代えて、コレステリック液晶を有していてもよい。
【0034】
磁場測定装置1が磁場を測定する方法は、上述した実施形態で説明した方法に限らない。例えば、磁場測定装置1は、磁気光学効果の原理を利用した、ポンプ光を用いない周知の方法で磁場を測定してもよい。
【0035】
液晶パネル62が用いられる装置は、磁場測定装置1に限らない。例えば、液晶パネル62は、光を2つの偏光成分に分離する偏光ビームスプリッターを備える装置において、この偏光ビームスプリッターの代わりに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…磁場測定装置、10…セル、20、30…照射部、40…磁場発生部、50、60…検出部、62…液晶パネル、620…液晶層、625…偏光板
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ポンピングを利用した磁気センサーが、いわゆるMRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)装置などに用いられている。この種の磁気センサーにおいては、円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分を有するプローブ光とが交差するように(望ましくは、直交するように)セルに照射され、さらに、これらの光の照射方向に対して直交する方向の磁場が印加される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光ポンピングを利用した磁気センサーでは、セルを透過したプローブ光を例えば偏光ビームスプリッターを用いてp偏光成分とs偏光成分とに分離し、2個の光センサーを用いてp偏光成分とs偏光成分とを検出する。このとき、偏光ビームスプリッターの傾きを正確に調整しないと、2つの偏光成分の光量がアンバランスになり、測定精度が低下してしまう。また、光センサーを2個用いると、光センサー自体のばらつきにより、測定精度が低くなってしまう。
本発明は、磁場の測定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、励起されると外部から印加された磁場に応じて直線偏光の偏光面を回転させる原子を内部に有するセルと、前記原子が励起されたセルに対し、直線偏光の成分を有する第1の光を照射する第1の照射部と、電圧の印加により配向が変化する液晶を有し、当該液晶に電圧が印加されない第1の期間においては、前記セルを透過した前記第1の光の偏光面を当該液晶により回転させ、当該液晶に電圧が印加される第2の期間においては、当該第1の光の偏光面を回転させない液晶層と、前記液晶層を透過した第1の光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる偏光部と、前記第1の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第1の偏光成分を検出し、前記第2の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第2の偏光成分を検出する検出部とを備えることを特徴とする磁場測定装置を提供する。この構成によれば、磁場の測定精度を向上させることができる。
【0006】
上記磁場測定装置において、前記検出部は、前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との差分を算出してもよい。この構成によれば、第1の偏光成分と前記第2の偏光成分の差分の算出をも磁場測定装置内で行うことができる。
【0007】
上記磁場測定装置において、前記液晶層は、ネマティック液晶を有してもよい。この構成によれば、ネマティック液晶を用いて液晶層を構成することができる。
【0008】
上記磁場測定装置において、前記セルは、円偏光により励起される原子を内部に有し、円偏光の成分を有する第2の光を前記第1の光と交差するように前記セルに照射する第2の照射部を備え、前記第1の照射部は、前記第2の光が照射されたセルに対し、前記第1の光を照射してもよい。この構成によれば、円偏光を利用した方式で磁場を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】磁場測定装置の構成を示す図
【図2】セルの構成を示す斜視図
【図3】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図4】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図5】ネマティック液晶の動作原理を説明する図
【図6】液晶パネルの構成を示す図
【図7】液晶への電圧印加の制御を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、磁場測定装置1の構成を示す図である。磁場測定装置1は、例えば心磁(心臓からの磁気)や脳磁(脳からの磁気)などの生体から発生する微弱な磁場の測定に用いられる。磁場測定装置1は、セル10と、照射部20、30と、磁場発生部40と、検出部50、60とを備える。磁場測定装置1は、測定対象の磁場の中にセル10が位置するように配置される。
【0011】
図2は、セル10の構成を示す斜視図である。セル10は、中空の立方体の形状をしており、ガラス等の光を透過する材料で形成される。なお、セル10の形状は、他の立体形状であってもよい。セル10の内部には、例えばアルカリ金属の原子が気体の状態(すなわちガス状態)で封入される。このアルカリ金属は、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)である。セル10内の原子は、円偏光により励起されて原子の外殻電子のスピンが偏極される。なお、セル10の内部には、典型的には単一種類のアルカリ金属の原子が封入されるが、複数種類のアルカリ金属の原子が含まれていてもよい。また、セル10内の原子は、常時気体の状態である必要はなく、磁場の測定を行うときに気体の状態であればよい。さらに、セル10の内部には、セル10の壁との衝突等によるアルカリ金属の原子の緩和を穏やかにするために、ヘリウム(He)、窒素(N)などが緩衝ガスとして含まれていてもよい。
【0012】
図1に示す照射部20(第2の照射部の一例)は、円偏光成分を有するポンプ光(第2の光の一例)をセル10に照射する。照射部20は、光源21と、半波長板22と、偏光ビームスプリッター23と、四分の一波長板24とを備える。光源21は、無偏光のレーザー光を図1に示す矢印X方向に照射する。半波長板22は、光源21から照射された光の偏光面を回転させる。偏向ビームスプリッター23は、半波長板22を透過した光のp偏光成分(入射面に対して平行な成分)を透過させ、s偏光成分(入射面に対して垂直な成分)を反射させる。このs偏光成分は、例えばレーザー光の出力のモニタリングに用いられてもよいし、光を吸収する部材により吸収されてもよい。なお、s偏光成分の反射方向は、図示した方向に限定されない。四分の一波長板24は、偏向ビームスプリッター23を透過した光を円偏光に変化させる。これにより、四分の一波長板24を透過した光は、円偏光成分を有するポンプ光となる。
【0013】
照射部30(第1の照射部の一例)は、直線偏光成分を有するプローブ光(第1の光の一例)をセル10に照射する。照射部30は、光源31と、半波長板32と、偏向ビームスプリッター33と、偏光板34とを備える。光源31は、無偏光のレーザー光を図1に示す矢印Y方向に照射する。半波長板32は、光源31から照射された光の偏光面を回転させる。偏向ビームスプリッター33は、半波長板32を透過した光のp偏光成分を透過させ、s偏光成分を反射させる。偏光板34は、偏向ビームスプリッター33を透過した光のうち特定方向に偏光した光だけを透過させる。これにより、偏光板34を透過した光は、直線偏光成分を有するプローブ光となる。なお、ポンプ光とプローブ光とは、互いに直交する関係であることが好ましいが、交差する関係であれば完全に直交しなくてもよい。
【0014】
磁場発生部40は、コイル41と、磁気シールド42とを備える。コイル41は、信号用の磁場を印加するとともに、外部からの磁場に対する補正用の磁場を印加する。磁気シールド42は、測定対象以外の磁場を遮蔽するための部材であり、セル10及びコイル41を覆うように設けられている。磁気シールド42には、ポンプ光及びプローブ光が通るための経路が確保されている。
【0015】
検出部50は、セル10を透過したポンプ光を検出する。検出部50は、光センサー51を備える。光センサー51は、例えばフォトダイオードであり、セル10を透過したポンプ光を電気信号に変換する。光センサー51の検出結果は、例えばポンプ光のモニタリングに用いられる。
【0016】
検出部60(検出部の一例)は、セル10を透過したプローブ光を検出する。検出部60は、半波長板61と、液晶パネル62と、光センサー63と、A/D変換器64と、メモリー65と、演算部66とを備える。半波長板61は、セル10を透過したプローブ光の偏光面を回転させる。液晶パネル62は、ネマティック液晶と呼ばれる液晶を用いて、半波長板61を通過したプローブ光のp偏光成分又はs偏光成分を透過させる。光センサー63は、例えばフォトダイオードであり、液晶パネル62を透過したプローブ光を電気信号に変換して出力する。A/D変換器64は、光センサー63から出力された電気信号をデジタルデータに変換して出力する。メモリー65は、A/D変換器64から出力されたデータを記憶する。演算部66は、メモリー65に記憶されたデータを用いて、光センサー63により検出されたプローブ光のp偏光成分とs偏光成分との差分を算出する。
【0017】
図3〜5は、ネマティック液晶の動作原理を説明する図である。ネマティック液晶の液晶分子Cは、印加電圧がない場合には、分子の長軸方向に沿ってゆるやかな規則性を持って並ぶ(図3(a)参照)。このとき、液晶分子Cを一定方向に微細な溝がある基板B(配向膜)に接触させると(図3(b)参照)、液晶分子Cが基板Bの溝に沿って並ぶ(図3(c)参照)。
【0018】
この液晶分子Cは、図4に示すように2つの基板Bの間に保持される。この基板Bは、上側の基板Bの溝が延びる方向(矢印a方向)と、下側の基板Bの溝が延びる方向(矢印b方向)とが直交するように配置される。このとき、上側にある液晶分子Cは上側の基板Bの溝に沿って矢印a方向に並び、下側にある液晶分子Cは下側の基板Bの溝に沿って矢印b方向に並ぶ。そして、それらの中間にある液晶分子Cは、矢印a方向から矢印b方向の間を次第に向きを変えながら配列する。これにより、液晶分子Cの配向方向は、90度ねじれた状態になる。
【0019】
印加電圧がない状態のネマティック液晶に光Lを通すと、図5(a)に示すように、液晶分子Cの配列方向のねじれにより、光Lの偏光面が90度回転される。この現象は、旋光と呼ばれる。一方、ネマティック液晶に電圧を印加すると、図5(b)に示すように、液晶分子Cは基板Bに対して垂直に配向する。この状態のネマティック液晶に光Lを通すと、光Lの偏光面は回転されず、そのまま通過する。
【0020】
図6は、液晶パネル62の構成を示す図である。液晶パネル62は、液晶層620と、偏光板625(偏光部の一例)とを備える。液晶層620は、2枚の基板621a、621bと、液晶622と、駆動部623とを備える。基板621a及び基板621bの面には、一定方向に微細な溝がある配向膜が設けられる。基板621a及び基板621bは、図4に示すように、配光膜の溝の延びる方向が直交するように配置される。液晶622は、ネマティック液晶であり、基板621aと基板621bの間に保持される。駆動部623は、基板621a及び基板621bに電圧を印加して、液晶622を駆動する。偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、特定方向の偏光成分だけを通過させる。
【0021】
液晶622は、電圧の印加により配向が変化する。印加電圧がない場合、液晶622は、図6(a)に示すように基板621aと基板621bとの間で90度ねじれるように配列する。一方、電圧が印加されると、液晶622は、図6(b)に示すように基板621a、621bの面に垂直な方向に揃って並ぶ。
【0022】
次に、磁場測定装置1の動作を説明する。照射部20は、セル10にポンプ光を照射する。これにより、セル10内の原子は励起状態となる。このとき、セル10内の原子は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じたトルクを受けて歳差運動を行う。続いて、照射部30は、セル10にプローブ光を照射する。このプローブ光は、セル10の内部を通過するときに、セル10内の原子の歳差運動により、その偏光面が回転される。この偏光面の回転角は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じた大きさを有する。セル10を透過したプローブ光は、半波長板61により偏光面が回転され、液晶パネル62に到達する。
【0023】
このとき、液晶パネル62の液晶層620は、図7に示すように、液晶622への電圧印加を時分割で制御する。具体的には、駆動部623は、期間T1(第1の期間の一例)の間は、基板621a及び基板621bへの電圧印加を行わない。このとき、液晶622は、電圧が印加されないため、図6(a)に示すように基板621aと基板621bとの間で90度ねじれるように配列する。期間T1に液晶層620に入射したプローブ光は、液晶層620を通過するときに、液晶622の配向方向のねじれにより偏光面がほぼ90度回転される。液晶層620を透過したプローブ光は、偏光板625に到達する。このとき、偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、s偏光成分だけを通過させる。
【0024】
続いて、駆動部623は、期間T2(第2の期間の一例)の間、基板621a及び基板621bに電圧を印加する。このとき、液晶622は、電圧が印加されるため、図6(b)に示すように基板621a、621bの面に垂直な方向に揃って並ぶ。期間T2に液晶層620に入射したプローブ光は、偏光面が回転されずに液晶層620を通過する。つまり、プローブ光は、液晶パネル62を透過する前の偏光状態を保ったまま、液晶層620を通過する。液晶層620を透過したプローブ光は、偏光板625に到達する。このとき、偏光板625は、液晶層620を透過したプローブ光のうち、p偏光成分だけを通過させる。
【0025】
液晶パネル62を透過したプローブ光は、光センサー63に到達する。光センサー63は、期間T1においては、偏光板625を通過したプローブ光のs偏光成分(第1の偏光成分の一例)を検出し、期間T2においては、偏光板625を通過したプローブ光のp偏光成分(第2の偏光成分の一例)を検出する。そして、光センサー63は、検出した偏光成分の光量を示す電気信号を出力する。A/D変換器64は、光センサー63から出力された電気信号をデジタルデータに変換して出力する。メモリー65は、A/D変換器64から出力されたデータを記憶する。これにより、メモリー65には、プローブ光のs偏光成分の光量を示すデータと、p偏光成分の光量を示すデータとが記憶される。演算部66は、メモリー65に記憶されたデータを用いて、p偏光成分とs偏光成分との差分を算出する。これにより、セル10の内部を通過するときに回転されたプローブ光の偏光面の回転角が得られる。上述したように、この偏光面の回転角は、セル10に印加された測定対象の磁場に応じた大きさを有する。従って、磁場測定装置1は、プローブ光の偏光面の回転角を求めることにより、測定対象の磁場を測定することができる。
【0026】
この実施形態によれば、偏光ビームスプリッターを用いずに、セル10を透過したプローブ光をp偏光成分とs偏光成分に分離することができる。そのため、例えば偏光ビームスプリッターの傾きの調整がずれたために、測定精度が低くなるということがない。加えて、偏光ビームスプリッターは比較的値段が高いため、偏光ビームスプリッターを使用しないことで、磁場測定装置1の製造原価を抑えることができる。また、セル10を透過したプローブ光を1つの光センサー63で検出しているため、光センサーのばらつきが起こらない。従って、磁場の測定精度が高くなる。
【0027】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のように変形させて実施してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0028】
光センサー63によって検出されたプローブ光のs偏光成分及びp偏光成分は、例えばアナログ回路によってアナログの電気信号のまま保持されてもよい。この場合、電気信号を保持する回路は、s偏光成分の光量を示す電気信号とp偏光成分の光量を示す電気信号とを別々に分けて保持する。
【0029】
上述した実施形態では、印加電圧がない期間T1にプローブ光のs偏光成分を検出し、印加電圧がある期間T2にp偏光成分を検出していたが、これに限らない。例えば、液晶パネル62の向きを変えることにより、印加電圧がない期間T1にプローブ光のp偏光成分を検出し、印加電圧がある期間T2にs偏光成分を検出してもよい。
【0030】
セル10に照射されるポンプ光及びプローブ光は、出射されてからセル10に入射するまでの進行方向が一定である必要はない。つまり、ポンプ光及びプローブ光は、セル10に入射するときに所定の方向になっていればよく、途中でミラー等によって反射され、進行方向が変更されてもよい。したがって、例えば、光の照射位置や検出位置を1箇所に集中させることも可能である。
【0031】
磁場測定装置1は、セル10を透過したポンプ光を検出しなくてもよい。この場合、上述した光センサー51は不要になる。また、この場合、磁場測定装置1には、セル10を透過したポンプ光を吸収する部材を設けてもよい。この部材は、シート状であるとより好ましい。
【0032】
磁場測定装置1は、検出部60で検出した光に応じた信号を可視化し、これを表示する手段を備えてもよい。又は、磁場測定装置1は、検出部60で検出した光に応じた信号を生成し、これを外部装置(表示装置、コンピュータ装置など)に出力する構成のみを備えていてもよい。
【0033】
液晶層620に保持される液晶622は、ネマティック液晶に限らない。例えば、液晶層620は、ネマティック液晶に代えて、コレステリック液晶を有していてもよい。
【0034】
磁場測定装置1が磁場を測定する方法は、上述した実施形態で説明した方法に限らない。例えば、磁場測定装置1は、磁気光学効果の原理を利用した、ポンプ光を用いない周知の方法で磁場を測定してもよい。
【0035】
液晶パネル62が用いられる装置は、磁場測定装置1に限らない。例えば、液晶パネル62は、光を2つの偏光成分に分離する偏光ビームスプリッターを備える装置において、この偏光ビームスプリッターの代わりに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…磁場測定装置、10…セル、20、30…照射部、40…磁場発生部、50、60…検出部、62…液晶パネル、620…液晶層、625…偏光板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起されると外部から印加された磁場に応じて直線偏光の偏光面を回転させる原子を内部に有するセルと、
前記原子が励起されたセルに対し、直線偏光の成分を有する第1の光を照射する第1の照射部と、
電圧の印加により配向が変化する液晶を有し、当該液晶に電圧が印加されない第1の期間においては、前記セルを透過した前記第1の光の偏光面を当該液晶により回転させ、当該液晶に電圧が印加される第2の期間においては、当該第1の光の偏光面を回転させない液晶層と、
前記液晶層を透過した第1の光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる偏光部と、
前記第1の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第1の偏光成分を検出し、前記第2の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第2の偏光成分を検出する検出部と
を備えることを特徴とする磁場測定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との差分を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項3】
前記液晶層は、ネマティック液晶を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場測定装置。
【請求項4】
前記セルは、円偏光により励起される原子を内部に有し、
円偏光の成分を有する第2の光を前記第1の光と交差するように前記セルに照射する第2の照射部を備え、
前記第1の照射部は、前記第2の光が照射されたセルに対し、前記第1の光を照射する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁場測定装置。
【請求項1】
励起されると外部から印加された磁場に応じて直線偏光の偏光面を回転させる原子を内部に有するセルと、
前記原子が励起されたセルに対し、直線偏光の成分を有する第1の光を照射する第1の照射部と、
電圧の印加により配向が変化する液晶を有し、当該液晶に電圧が印加されない第1の期間においては、前記セルを透過した前記第1の光の偏光面を当該液晶により回転させ、当該液晶に電圧が印加される第2の期間においては、当該第1の光の偏光面を回転させない液晶層と、
前記液晶層を透過した第1の光のうち、予め決められた方向の偏光成分を通過させる偏光部と、
前記第1の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第1の偏光成分を検出し、前記第2の期間においては、前記偏光部を通過した前記第1の光の第2の偏光成分を検出する検出部と
を備えることを特徴とする磁場測定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との差分を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の磁場測定装置。
【請求項3】
前記液晶層は、ネマティック液晶を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場測定装置。
【請求項4】
前記セルは、円偏光により励起される原子を内部に有し、
円偏光の成分を有する第2の光を前記第1の光と交差するように前記セルに照射する第2の照射部を備え、
前記第1の照射部は、前記第2の光が照射されたセルに対し、前記第1の光を照射する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁場測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−220957(P2011−220957A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92935(P2010−92935)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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