説明

磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法

【課題】 小粒径の磁性キャリアを用いても感光体表面へのキャリア付着を防止し、画像欠陥のない高画質画像を得ることができる磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法を提供すること。
【解決手段】 樹脂と磁性体とを含有する磁性体含有樹脂キャリアであって、
真比重が2.5〜4.2g/cm3であり、
1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜70Am2/kgであり、
体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm〜25μmであり、
1.0×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR1(Ω・cm)とし、
2.5×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR2(Ω・cm)としたとき、0≦log(R1)−log(R2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式に用いられる磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式では、一様に帯電した像形成体に像露光を行って潜像を形成し、潜像を現像してトナー像とした後、トナー像を記録紙等の転写材に転写することが行われる。トナー像を担持した転写材が定着装置を通過することによりトナーは転写材上に定着する。潜像を現像するにあたっては、一成分又は二成分現像法が用いられるが、それらの特徴に従い現像方法は採用されるものである。二成分現像法は、高画質性、高耐久性に優れているとされている。
【0003】
高画質化のためには前述したように二成分系現像剤が好適に使用され、さらなる高画質化にはトナーを小粒径で粒度分布をシャープにして、さらにキャリアを小粒径化した現像剤を非接触で現像する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、トナーの小粒径化、キャリアの小粒径化は高画質に効果があるものの非接触での現像においては、ベタ部での均一性に劣る場合がある。さらには、キャリアを小粒径化する場合にはキャリア粒子の造粒性が困難となりやすく、キャリア同士の合一、微粉の生成、焼結が不十分となりキャリア強度が弱まり、現像剤の流動性が低下し帯電不良によるカブリや破砕したキャリアが感光体にキャリア付着し、感光体にキズを生じさせ、画像不良を起こしたりする原因となる場合がある。
【0005】
そこで従来からの鉄粉キャリア、フェライトキャリア等の代わりに磁性体微粒子を結着樹脂中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリアの提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
磁性体分散型樹脂キャリアはフェライトキャリアに比べ、比較的小粒径化しやすく、特に重合法で作られるキャリアは球形になりやすく、流動性に優れ高画質化に好適に用いられる。また、真比重が小さいため、トナースペントに対しても有利であり、耐久性に優れるという利点も有している。
【0007】
しかしながら、磁性体分散型樹脂キャリアにおいても、極小粒径化するにあたっては、抵抗が低いキャリアでは、容易にキャリア付着してしまう。このようにキャリアの抵抗値を高いものにしないと、より画像欠陥が顕著となりやすい。
【0008】
そこで、キャリア表面にコートをし、キャリア粒度分布における微粉量およびその微粉の磁化の強さをコントロールすることで、帯電性、耐久性、キャリア付着防止等を満足させる提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかし、さらなるキャリア小粒径化においては、キャリア微粉の磁化の強さをコントロールだけではキャリア付着をまだ十分に改善できるものではない。
【0010】
また、通常の二成分現像法において、現像器内のトナーは消費され、新たなトナーによって不足した分の補充が行われるが、キャリアは持続して使用されるため、キャリアの劣化のため、現像特性が悪化し、定期的に現像器内の現像剤を交換するという作業が発生するという課題があり、補給トナーとキャリアを一定比率で補給し、現像性能の低下した現像器内のキャリアを徐々に新しいキャリアと交換し(トリクル現像と呼ばれている)、これらのメンテナンス作業を不要とするという提案がなされている(例えば特許文献4参照)。
【0011】
しかし、このトリクル現像法では、キャリアを含んだ補給用現像剤を補給するため、現像器内の現像剤との混合性に課題がある。例えば、混合性が悪化した場合、現像剤の帯電量に不均一が生じ、現像特性が悪化することがある。
【0012】
【特許文献1】特公平6−90543号公報 第1頁、第1図、第5図
【特許文献2】特登録3284488号公報 第1−3頁
【特許文献3】特開2002−91090号公報 第2−4頁
【特許文献4】特公平2−21591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、小粒径の磁性キャリアを用いても感光体表面へのキャリア付着を防止し、画像欠陥のない高画質画像を得ることができる磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、低温定着性に優れ、又は高速出力に優れるトナーの劣化を防止し、長期にわたり安定した画像を出力できる磁性キャリア及び二成分系現像剤を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、少なくともトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、且つ現像器内部で過剰になったキャリアを必要に応じて少なくとも現像器から排出する二成分現像方法に使用するための補給用現像剤において、現像器内において、効率よく混合し、高耐久性、高画質性を得ることができる補給剤及び現像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ある特有の磁性キャリア、トナー及びキャリアを含有する二成分系現像剤、補給用現像剤を用いることにより、キャリア付着の発生が無く、現像器内において効率よく現像剤が混合し、高耐久性、高画質性を得ることができることを見い出した。
【0017】
即ち、上記目的は、以下の磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法を用いることにより達成できる。
(1)樹脂と磁性体とを含有する磁性体含有樹脂キャリアであって、
真比重が2.5〜4.2g/cm3であり、
1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜70Am2/kgであり、
体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm〜25μmであり、
1.0×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR1(Ω・cm)とし、
2.5×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR2(Ω・cm)としたとき、0≦log(R1)−log(R2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする磁性キャリア。
(2)該磁性キャリアの比抵抗R2が1.0×1013(Ω・cm)以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
(3)該磁性キャリアの平均円形度Cが0.850〜0.950であり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.20の関係を満足することを特徴とする(1)又は(2)に記載の磁性キャリア。
(4)磁性キャリアコア粒子表面に、第1の樹脂被覆層及び第1の樹脂被覆層上に導電性粒子を含有する第2の樹脂被覆層を形成してなる(1)〜(3)のいずれか記載の磁性キャリア。
(5)磁性キャリアコア粒子に対し、0.5〜3.0質量%の第1の樹脂が被覆されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の磁性キャリア。
(6)第2の樹脂被覆層に含有される導電性粒子がカーボンブラックであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の磁性キャリア。
(7)該磁性キャリアコア粒子は、結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得られた磁性体分散樹脂コア粒子であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の磁性キャリア。
(8)少なくともバインダー樹脂、着色剤を含有するトナーと、(1)〜(7)のいずれかに記載の磁性キャリアからなり、トナーの重量平均粒径(D4)をRt、磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)をRcとした時、Rt/Rcが0.15以上0.80以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
(9)該磁性キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合で含有する補給用現像剤。
(10)少なくともトナーとキャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、且つ現像器内部で過剰になった、トナー及びキャリアを必要に応じて現像器から排出する二成分現像方法であって、該磁性キャリアは(1)〜(7)のいずれかに記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、キャリア粒径を小粒径化し、磁化の強さをある程度有し、電界強度に対するキャリア抵抗変動を抑えることにより、キャリア付着を防止すると共に、高画質画像を得、更にトナー劣化を防止して長期にわたり安定した画像を得ることができる。
【0019】
また、本発明の磁性キャリア、二成分系現像剤、補給用現像剤及び現像方法を用いることにより、現像器内において効率よく現像剤が混合し、高耐久性、高画質を安定して得ることができる。具体的には、長期にわたり、ドット再現性が良好であり、かぶりの少ない画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の磁性キャリア(以下、単に「キャリア」と表記することもある)は、樹脂と、磁性体とを含有する磁性体含有樹脂キャリアであって、真比重が2.5〜4.2g/cm3であり、1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜70Am2/kgであり、体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm〜25μmであり、1.0×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR1とし、2.5×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR2としたとき、0≦log(R1)−log(R2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする。
【0021】
本発明者らが磁性キャリアについて鋭意検討した結果、上記要件を満足させることにより、感光体へのキャリア付着を防止すると共に、高画質画像を得ることができ、更にトナー劣化を防止して長期にわたり安定した画像を得ること、また、現像器内において効率よく混合し、高耐久性、高画質性を得ることができることを見出した。
【0022】
以下に、本発明の磁性キャリアについて詳細を説明する。
【0023】
<本発明のキャリア>
本発明のキャリアは樹脂と磁性体とを含有するキャリアでありコート層を含む。
【0024】
本発明の磁性体含有樹脂コア(以下、単に「キャリアコア」とも称する)は、樹脂および磁性体を含む。本発明のキャリアは、多孔質磁性体(多孔質フェライトを含む)に樹脂が含浸された、いわゆる樹脂含浸キャリアであっても良く、磁性体が樹脂に分散されている磁性体分散型樹脂キャリアであってもよいが、好ましくは磁性体分散型樹脂キャリアである。特に重合法により作られるコアであることが好ましい。
【0025】
該磁性体の例には、1)表面が酸化された、または未酸化の鉄粉、2)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類元素などの金属粒子、これらの合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、3)マグネタイト、もしくはフェライトなどが含まれる。該磁性体の好ましい例には、マグネタイト微粒子又は銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム、マグネシウム元素から選ばれる一種以上の元素を少なくとも含む磁性フェライト微粒子が含まれる。
【0026】
樹脂含浸キャリアにおいては、該キャリアコアに含まれる磁性体(多孔質磁性体)の体積分布基準の50%粒径(D50)は、キャリア粒径にほぼ相当する粒子径であればよく、15μm〜25μmであることが好ましい。樹脂を適切に含浸することができるので、過剰量の樹脂によるキャリア同士の合一の発生を抑えることができ、さらにキャリアに適度な円形度を付与することができるからである。
【0027】
一方、磁性体分散型樹脂キャリアにおいては、該キャリアコアに含まれる磁性体の個数平均粒径は、約80〜800nmであることが好ましい。該個数平均粒径を前記範囲に調整することにより、磁性体の結着樹脂からの脱離が抑制される。さらに、磁性体の粒径を上記の範囲に調整すると、キャリアを造粒するときに磁性体が凝集するのを抑制することができるので、合一したキャリアや球形状を有さない、いわゆる異形粒子の存在率を低減することができる。
【0028】
該キャリアコアに含まれる磁性体の磁化の強さは、1000/4π(kA/m)の磁界下において40〜70Am2/kgであることが好ましい。より好ましくは、キャリア粒径にもよるが45〜65Am2/kgである。キャリアに、良好な磁気搬送力や拘束力を付与し、現像極における現像磁気ブラシ密度を密にして高画質を得るためである。
【0029】
該キャリアコア中の磁性体の含有量は、キャリア全体に対して70〜95質量%であることが好ましく、80〜92質量%であることがより好ましい。キャリアの真比重を2.5〜4.2g/cm3になるよう小さくし、かつキャリアの機械的強度を十分に確保するためである。
【0030】
また該キャリアコアは、重合性モノマーを、磁性体である微粉の存在下で重合させて製造され得るが、このときに、磁性体である微粉が分散剤の役割を果たし、粒子の合一を抑制し、略球形でないキャリアの形成を抑えることができる。このような効果を得るため、該キャリアコア中の磁性体の含有量を、前記の通りとすることが好ましい。
【0031】
該キャリアコアは、磁性体とともに非磁性無機化合物などを含有することができる。非磁性無機化合物などを含有させることにより、キャリアの磁気特性や比抵抗を調整することができる。
【0032】
キャリアの比抵抗値を高めるためには、1)キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の比抵抗値を、該磁性体の比抵抗値よりも高くすることが好ましく、また2)キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径を、該磁性体の個数平均粒径よりも大きくすることが好ましい。該キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径は、100〜1000nmであることが好ましい。
【0033】
また、キャリアの比抵抗値を高めるために、キャリアコアの表層に樹脂層を設け、高抵抗バリア層をつくり、その上に従来のコート層を設ける方法もある。
【0034】
キャリアコアに含まれ得る非磁性無機化合物の好ましい例には、ヘマタイト(α−Fe23)微粒子などが含まれる。キャリアの磁気特性、真比重を適切に調整するためである。
【0035】
該キャリアコアが、非磁性無機化合物と磁性体とを含む場合、「磁性体および非磁性無機化合物の総質量」に対する磁性体の質量の比率は、50〜95%であることが好ましい。キャリアの磁化の強さを調整して、キャリアの感光体などへの付着を防止し、さらにキャリアの比抵抗値を調整するためである。
【0036】
該キャリアコアに含まれる樹脂の例には、ポリマー鎖中にメチレンユニットを有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂及びポリエーテル樹脂などが含まれる。該樹脂は、これらの樹脂の一種単独であっても、二種以上の混合樹脂であってもよい。
【0037】
本発明者らは、さらなる高画質を実現するために、粒径が25μm以下という比較的小粒径のキャリアの検討をおこなった。しかし、小粒径キャリアを用いて耐久使用を行うと感光体や中間転写体にキズが入ることがしばしば発生した。本発明者らが種々検討した結果、感光体上に無数の磁性粒子が存在しており、それらを追跡すると最初から体積抵抗のがあるレベルより低いキャリアの存在が主原因であることを突き止めた。
【0038】
・比抵抗について
ここで、キャリア体積抵抗について図を用いて説明する。図1に本発明で求められた、キャリア粒子の電界強度と体積抵抗値の関係を示す。1.0×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR1とし、2.5×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR2としたとき、0≦log(R1)−log(R2)≦2.0の関係を満たしている場合には、比較的小粒径のキャリアを用いた場合においても、上記の課題に挙げた感光体上に存在する無数の磁性粒子を解決することが可能となる。広範囲の電界強度において、高い体積抵抗値を維持することで、あらゆる現像条件においても、材料として常に同じ物理状態を維持することとなり、トナーを感光体に現像するという現象を安定して行うことができる。さらに、一般的に体積抵抗の低くなる高い電界強度においても、図1、R2の抵抗値が高い、即ちキャリア抵抗の電界強度依存性が少ないことが、小粒径キャリアを使用するに際しては、より確実に、現像剤中のキャリアが感光体表面に飛翔することを抑えることができる。より好ましくは、0≦log(R1)−log(R2)≦1.5且つ、R2が5.0×1013以上5.0×1016以下である。キャリアの比抵抗がこの範囲であると、感光体上の潜像に対して忠実にトナーを現像することができ、ドット再現性の優れた画像を得ることができる。
【0039】
R2が1.0×1013未満である場合には、電界強度の高い現像バイアスが印可された際に、現像スリーブから感光体へキャリア付着してしまうキャリア粒子が増加する可能性があり、即ち画像不良を発生しやすくなる。また、5.0×1016Ω・cmを超えるキャリアは、エッジ強調のきつい画像が形成され易く、さらに、キャリア表面の電荷がリークしづらくなるため、新たに補給されたキャリアとトナーとの帯電が不均一になることによるカブリ及び飛散などを起こしてしまうことがある。さらに、補給容器内壁等の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、静電気的な外添剤付着など、画像欠陥を引き起こしやすい。
【0040】
・体積分布基準の50%粒径(D50)について
本発明のキャリアは体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm以上25μm未満であることが必要である。これは、従来用いられているキャリアよりも小粒径化して用いることが、トナー濃度を高め、潜像に対して多量のトナーを供給できるために高画質化が図れると同時にトナーへのストレスを減じることができるためである。また、現像極での磁気ブラシの密度も高くなり、高画質化が図れる。
【0041】
体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm未満のキャリアを製造しようとすると、造粒時の撹拌スピードを速くする必要があるため、粒子同士の合一が生じる場合があり、形状を均一に制御することが難しい。また、過剰に粒径が小さいため、感光体へ付着しやすく、良好な画像が得られない場合もある。さらにキャリアの流動性が低下し、微粉が蓄積しやすく均一なキャリアの回収が良好に実施できない場合がある。
【0042】
25μm以下の粒径の場合、ハーフトーンの均質性や、ベタ画像の緻密・均質性がそれ以上のもに比べ、非常に優れたものになる。
【0043】
キャリアの体積平均粒径は、更なる高画質化と耐久安定性のために、より好ましくは17μm以上23μm以下である。
【0044】
・磁化の強さについて
本発明のキャリアの、1000/4π(kA/m)(1000エルステッド)の磁界下で測定される磁化の強さ(σ1000)は、40〜70Am2/kgであることが好ましく、45〜65Am2/kgであることがより好ましく、45〜60Am2/kgであることがさらに好ましい。前記範囲の磁化の強さ(σ1000)を有するキャリアの、感光体への付着は抑制されるので、該キャリアを含む二成分系現像剤は耐久使用性が高められている。
【0045】
該磁化の強さ(σ1000)が70Am2/kgを超えるキャリアは、補給用現像剤中や現像剤磁気ブラシ中でトナーへ与えるストレスが大きく、トナーを劣化させやすい場合がある。また該キャリアは、トナースペントを受けやすい場合がある。また、磁化の強さ(σ1000)が40Am2/kg未満であるキャリアは、トナー劣化を防止するのに効果的であるが、現像スリーブへの磁気的拘束力が弱いため、感光体に付着しやすくなることがある。
【0046】
本発明のキャリアの磁化の強さは、含有される磁性体の種類及び量を適宜選択することにより、調整され得る。
【0047】
・真比重について
本発明のキャリアの真比重は、2.5〜4.2g/cm3であることが好ましく、3.0〜3.8g/cm3であることがより好ましい。この範囲の真比重を有するキャリアを含む二成分系現像剤は、撹拌混合されてもトナーへかかる負荷が少なく、キャリアのトナースペントが抑制される。真比重が4.2g/cm3を超えると、現像機内の磁気拘束力により、現像剤の劣化が促進し、耐久劣化が起こりやすくなる。一方、真比重が2.5g/cm3未満であると、キャリアの磁気特性とも関係するが、キャリア付着が生じやすくなる。
【0048】
・平均円形度について
平均円形度は粒子の丸さの形状を表す係数であり、粒子の最大径と計測した粒子投影面積から求められる。平均円形度が1.000であれば真球状(真円)であることを示し、数値が小さくなるほど細長い、あるいは不定形な形状であることを示す。
【0049】
本発明のキャリアの平均円形度は、0.850〜0.950であり、0.870〜0.950であることがより好ましく、0.880〜0.950であることがさらに好ましい。
【0050】
本発明においては、真球状乃至ある程度楕円状(0.850以上)までのキャリアであり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.20となるように円形度の分布を狭くコントロールすることが、トナーへの帯電付与性に優れ、かつ、キャリア付着しにくく、キャリア付着した場合でも感光体表面のキズ発生を抑制するために必要である。より好ましくは、0≦(C−C30)≦0.15であることがトナーへの高い帯電付与するときにより均一にするため必要である。
【0051】
本発明のキャリアは、略球状(すなわち、平均円形度が0.850以上)の形状を有するので、十分なキャリア強度を有し、補給用現像剤中でのトナーへの帯電付与性に優れ、かつトナーへダメージを与えにくく、トナースペントも起こりにくく、耐久性に優れる。
【0052】
図2に測定結果のグラフの一例を示す。図中にある「円形度算術統計値」の項にある「算術平均値」が平均円形度を示す。さらに、「円形度算術統計値」の項にある「30%値」が「円形度の30%値」「C30」を示す。これら一連の測定・計算は、マルチイメージアナライザー付属のソフト中で処理する。
【0053】
・磁性キャリアコアと第一および第二の樹脂被覆層について
本発明のキャリアは、上記体積抵抗条件を達成するため、キャリアコア粒子表面に樹脂を少なくとも含有する第1の被覆層を形成し、第1の被覆層上に第2の被覆層からなる。キャリアの構成イメージを図4に示す。
【0054】
第1の被覆層は、樹脂成分のみでも、フィラー粒子を含有しても良く、第1の被覆層を設けることにより、コアの比抵抗よりも高くすることが大きな目的となる。第1の被覆層を設けることで、コアの比抵抗よりも3桁以上高くなることが好ましい。これにより、上述したキャリアの高抵抗化が図れ、キャリア付着のない、高画質を実現することができる。
【0055】
被覆量は、コア粒子に対して、0.5〜3.0質量%、好ましくは1.0〜2.5質量%である。この範囲で、キャリアコアを被覆することで、キャリアコアに均一に被覆層を形成することができ、キャリア付着のない安定した画像を提供することができる。被覆する樹脂量が0.5質量%未満の場合には、キャリアコアに均一な被覆層を設ける事が出来ず、キャリア付着などが発生してしまうおそれがある。3.0質量%を超える場合には、粒子の合一等が生じやすくなり、粒子の均質性に欠け、画像不良の原因となると考えられる。
【0056】
一方、ポーラスフェライトであるキャリアコアを被覆する場合は、キャリアコアに充填された樹脂と同じ樹脂であっても異なる樹脂であっても、微粒子を含有する被覆層であってもよい。
【0057】
被覆の方法は、後述のキャリアの製造方法とあわせて説明する。
【0058】
第1被覆層の例として、樹脂成分として樹脂微粒子を形成する架橋樹脂の例には、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂などが挙げられる。
【0059】
また、抵抗を高めると同時に、粒子の凝集を防ぐためフィラー粒子を含有することもでき、架橋性有機微粒子、無機微粒子などあらゆる粒子含有することもできる。
【0060】
例えば、マグネタイト、ヘマタイト、シリカ、アルミナ、チタン含有金属酸化物のいずれか1つ以上から選ばれる微粒子であることが好ましい。
【0061】
窒素含有樹脂に係る、窒素含有化合物としては、窒素原子に結合した活性水素を少なくとも1個有する芳香族アミン化合物、アミド化合物及びチオアミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の窒素含有樹脂、尿素、チオ尿素、メラミン、グアニジン、グアナミン、ジシアンジアミド及びシアヌル酸、芳香族イソシアナート、脂肪族イソシアナート、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ポリフェニレンポリフェニルポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアナート類、イミダゾール類、4級アンモニウム塩、アクリロニトリル等が挙げられ、1種又は2種以上を用いる事が出来る。
【0062】
本検討の結果、第1の被覆層に熱硬化型樹脂を用いることが、第2の被覆層を設けるうえで好ましく、また第1の被覆層を単一樹脂成分で形成することで、より均質な被覆が可能となる。メラミン樹脂を用い重合法によって硬化型被覆層を設けることがより好ましい。
【0063】
第2の被覆層に関し、本発明の第2の樹脂被覆層に用いられる樹脂としては、絶縁性の樹脂を用いることが好ましい。この場合に使用し得る絶縁性樹脂は、熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。該コート材を形成する樹脂としては、具体的には、例えば、熱可塑性の樹脂としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等を挙げることができる。
【0064】
また、熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、或いは、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0065】
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特に好ましい形態は、トナーに対して帯電付与能力が高く、かつ、より離型性の高い樹脂コート材を用いることが好適である。
【0066】
従って、本発明に好適に用いられるコート樹脂は、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、炭素数が4乃至10のオレフィン系樹脂を少なくとも1種以上含有することである。
【0067】
シリコーン樹脂は、コアとの密着性、スペント防止の観点から、好ましく用いられる。
【0068】
シリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め好ましい帯電に制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部が、樹脂をコートする前に、キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましく、その後の被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
【0069】
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに高い負帯電特性を付与できる。
【0070】
コート層のコート処理時は、30〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。その理由は明確ではないが、下記に記載するものと予想される。
(1)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面にコート材が均一に、また平滑に被覆される。
(2)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
【0071】
本発明においてさらに好適に用いる樹脂としては、メタクリル酸メチルモノマーと炭素数が4以上のアルキル鎖をエステル結合を介して有するビニル系モノマーとを必須成分として有する共重合体である。該メタクリル酸メチルモノマーと該炭素数が4以上のアルキル鎖をエステル結合を介して有するビニル系モノマーとの混合比は、質量基準で1:9〜9:1、より好ましくは3:7〜7:3の比で共重合させた共重合体を必須成分として有する共重合体であることがトナーへの帯電付与が良好であり、かつ現像器中でのトナーの所望帯電量になった後のチャージアップあるいはチャージダウンを抑制する上で必要である。これは、メタクリル酸メチルの有する帯電性の高さ、種々の環境における帯電性が安定していることとアルキル鎖を長くするモノマーを用いることにより樹脂の結晶性が高まることで、キャリア表面の滑り性、離型性などが高まり、素早い帯電付与とキャリアへのトナー汚染を防止することができるためと考えられる。
【0072】
本発明のキャリアの第2の被覆層には、導電性微粒子を含んでいてもよい。キャリアコアを被覆する樹脂に含まれる導電性微粒子の比抵抗は、1×108Ω・cm以下であることが好ましく、1×106Ω・cm以下であることがより好ましい。導電性微粒子の比抵抗は、キャリアの比抵抗の測定と同様にして求めることができる。
【0073】
導電性微粒子は、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、および酸化錫から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を含む。導電性微粒子の好ましい例にはカーボンブラック微粒子が含まれる。カーボンブラック微粒子は、その粒径をより小さくされ得るので、微粒子によるキャリア表面の微細突起の形成を阻害することがなく、好ましく用いられる。
【0074】
導電性微粒子の粒径は、個数基準で10〜500nm(より好ましくは20〜200nm)にピーク値を有することが好ましい。キャリア表面の残留電荷を良好に除去しチャージアップを防ぎ、且つキャリアからの脱離を良好に防止するために好ましい。導電性微粒子の粒径は、前述の磁性体の粒径の測定と同様にして測定される。
【0075】
本発明のキャリアの第2の被覆層は、樹脂100質量部に対して、1〜15質量部の導電性微粒子を含有することが好ましい。キャリアの比抵抗を下げすぎず、かつキャリア表面の残留電荷を除去するためである。
【0076】
<本発明の磁性体含有樹脂キャリアの製造方法>
本発明のキャリアは、キャリアコアを製造し、その後キャリアコアを第1、および第2の被覆層で被覆することにより製造することができる。
【0077】
本発明の磁性体含有樹脂キャリアのキャリアコアは、例えば以下に記載するように製造される。
【0078】
樹脂含浸キャリアのキャリアコアは、多孔質磁性体を用いて製造される。多孔質磁性体の例には、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトなどの鉄系酸化物のフェライト磁性体が含まれる。鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20〜50質量%加え、バインダーとして例えばポリビニルアルコール(分子量500〜10,000)を0.1〜10質量%加え、さらに孔密度をコントロールするための炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩を0.5〜15質量%添加して、スラリーを調製する。
【0079】
そのスラリーを、スプレードライヤーなどを用いて造粒を行い、多孔質磁性体を得ることができる。ここで、スラリーの粘度やスプレードライヤーのノズルの大きさなどを適宜に調整することにより、多孔質磁性体の粒径を制御することができる。
【0080】
また、磁性体分散型コアを製造するには、ビニル系または非ビニル系の熱可塑性樹脂、および磁性体ならびにその他の添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーなどの混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、さらに分級することにより、キャリアコアを得ることができる。得られたキャリアコアは、熱又は機械的に球形化されて、本発明のキャリアのキャリアコアとして用いられうる。
【0081】
さらに本発明のキャリアのキャリアコアは、磁性体と混合された、樹脂のモノマーを重合することにより製造されるのが特に好ましい。ここで重合されるモノマーの例には、前述したビニル系モノマーの他に、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を生成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が含まれる。
【0082】
例えば、前記モノマーとしてフェノール類とアルデヒド類を用いる場合は、水性媒体に磁性体およびフェノール類とアルデヒド類を添加し、水性媒体中のフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合させることにより、キャリアコアを製造することができる。
【0083】
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類は、フェノール(ヒドロキシベンゼン)のほか、フェノール性水酸基を有する化合物であればよい。フェノール性水酸基を有する化合物の例には、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAなどのアルキルフェノール類;芳香環(例えばベンゼン環)の水素またはアルキル基の水素の一部または全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類などが含まれる。前記フェノール類のより好ましい例には、フェノールが含まれる。
【0084】
フェノール樹脂を生成するためのアルデヒド類の例には、ホルマリンまたはパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、およびフルフラール等が含まれ、より好ましい例にはホルムアルデヒドが含まれる。
【0085】
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1〜4であることが好ましく、1.2〜3であることがより好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成しにくかったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行しにくいために、生成する粒子の強度が弱くなったりする傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
【0086】
フェノール類とアルデヒド類との縮合は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒は通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている触媒であればよく、該塩基性触媒の例にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンなどのアルキルアミンなどが含まれる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は0.02〜0.3であることが好ましい。
【0087】
前記の通り、より好ましく用いるために本発明のキャリアの平均円形度は0.850〜0.950である。このようなキャリアを得るためには、キャリアコアの製造における重合反応において、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量を適切に制御することが好ましい。
【0088】
すなわち、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量は、10.0g/m3以下であることが好ましい。反応媒体中における溶存酸素量を減らす方法の例には、1)あらかじめ溶媒、モノマー、磁性体などを含む反応系を加温する、2)重合反応中に反応媒体中に不活性ガスを導入する方法などがある。溶存酸素量を減らすために反応媒体中に導入される不活性ガスは、工業的視点から、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれる一種類以上であることが好ましい。
【0089】
また、上記不活性ガスの反応媒体中への導入量は、重合反応開始前には反応容器体積の5〜100体積%/分とし、重合反応開始後には1〜20体積%/分とすることが好ましい。重合反応開始前の不活性ガスの導入量が5体積%/分より少ないと溶存酸素の不活性ガスへの置換効率が悪く、一方100体積%/分より多いとモノマーなどが揮発されることがある。
【0090】
また、重合反応開始後の不活性ガスの流量は、重合反応開始前の流量に比べて少ないことが好ましい。重合反応中における不活性ガスの導入量を、重合反応前における導入量よりも少なくすることにより、所望とする粒径より小さい粒径の微粒子の生成が抑制されるので、所望とする粒径の粒子が、前記微粒子を取り込んで異形化するのを防止することができる。
【0091】
重合反応開始後の不活性ガスの導入量が、反応容器体積に対して20体積%/分を超えると、前述の微粒子が生成しやすくなる。これは重合反応中の反応媒体が、導入される不活性ガスによって激しく撹拌されることに起因すると考えられる。一方、重合反応中に導入される不活性ガスの流量が1体積%/分より少ないと、反応媒体と外気との界面に存在する酸素量が増し、微粒子が生成しやすくなる。
【0092】
キャリアコアの製造における重合反応において、モノマーを含有する反応媒体は撹拌される。該撹拌は撹拌翼により行われることができるが、撹拌時の撹拌翼の周速は1.0〜3.5m/秒に制御されることが好ましい。
【0093】
撹拌翼の周速が1.0m/秒未満であると、所望の粒径の粒子が得られにくくなると同時に、撹拌不良により磁性体が沈降しやすく紡錘状の粒子や磁性体が入っていないから玉などが形成されやすくなる傾向にある。一方、撹拌翼周速が3.5m/秒を超えると、所望の粒径分布以下の微粒子ができやすくなり、それらが合一したり、所望粒径の粒子に合一したりして、異形の粒子が得られやすくなる傾向にある。
【0094】
前述の通り本発明のキャリアの製造は、その後キャリアコアを第1、および第2の被覆層で被覆する。被覆するための樹脂は、前述のキャリアの説明において記載された少なくとも樹脂等を用いればよい。
【0095】
第1の被覆層による被覆は、通常の樹脂被覆の方法により行うこともできが、メラミン樹脂のようにキャリアコア表面に重合被覆させる事も可能である。以下に後者の一例を示す。
【0096】
メラミンを含むフェノール類、ホルマリン類、水及びコア粒子を反応釜中に仕込み充分に撹拌した後、アンモニアを加えて撹拌しながら昇温し、反応温度を70〜90℃に調整し、フェノール樹脂を硬化させる。硬化後の反応物を40℃以下に冷却し、得られた水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液を分離した後、洗浄して乾燥する事により、粒子表面にメラミンが共重合しているフェノール樹脂からなる層が形成された磁性キャリア粒子が得られる。その際、樹脂を十分硬化させる為に、例えば、100〜350℃ぐらいの温度で樹脂を十分に硬化する事が必要であり、更にコア粒子の酸化を防止する為に不活性雰囲気下、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスを流しながら処理する事が望ましい。熱処理灯としては、固定式のものも回転式のもの等何れでもよいが、粒子同士の凝集を防ぐ為には、回転式のものが望ましい。
【0097】
上記方法を用いることで、キャリアコア表面に樹脂が均一かつ平滑に被覆される。
【0098】
第2の被覆層による被覆は、通常の方法により行うことができ、特に限定されないが、好ましくは60〜80℃の温度下において減圧状態で行うことで、被覆段階で適度の溶媒揮発が進行し、キャリアコア表面に樹脂が均一かつ平滑に被覆される。
【0099】
また、キャリアコアを樹脂で被覆する際に、他の任意成分(導電性粒子など)を共存させることで、キャリアコアを被覆する樹脂コート層に、当該任意成分を含ませることができる。分散工程は、メディア分散器を用いて湿式で行うのが好ましい。
【0100】
<本発明に用いられるトナー>
本発明の補給現像剤においては、上述のキャリアと後述のトナーとを、キャリア1質量部に対してトナーが2〜50質量部の配合割合で含有させたことに特徴がある。トナーが2質量部未満であると、トナーへの帯電付与としては良好になり、現像剤の寿命は向上するものの、キャリア量が多いために、補給現像剤量が重くなり、補給現像剤容器から、現像器への補給性が悪化したり、補給現像剤容器内の実質トナー量が減少して、トナー容器の交換頻度が多くなり、ユーザーの負荷が増えることになり好ましくない。一方、50質量部を超えると、補給用現像剤中のトナーに対して帯電付与促進が余りできなくなったり、低湿下でのトナー消費量が少ない場合でのキャリアの劣化の程度が悪くなる可能性があり、長期間にわたる安定した画像を得にくくなる場合がある。
【0101】
上述のキャリアと組み合わせて二成分系現像剤を構成するためのトナーは、少なくともトナー用結着樹脂及び着色剤を含有するものであり、トナーの重量平均粒径は、4.0〜8.0μmであることが好ましく、4.0〜7.0μmであることがより好ましく、4.5〜6.5μmであることがさらに好ましい。ドットの再現性や転写効率を十分に高めるためである。重量平均粒径が4.0μmより小さいトナーは、その比表面積が過剰に大きいことから、帯電量がコントロールされにくく、現像性を低下させ、耐久使用されると劣化する場合がある。キャリアへの汚染も生じやすくなる。重量平均粒径が8.0μmを超えるトナーは、ドットの再現性に劣り、高画質化に問題を生じる。
【0102】
トナーの重量平均粒径は、製造時におけるトナー粒子の分級や、分級品の混合等によって調整することができる。
【0103】
本発明の補給用現像剤に使用されるトナーおよびキャリアは、予め現像器中に存在するトナーおよびキャリアと同一であっても異なってもよいが、好ましくはトナーは同一種であることが好ましく、さらにはトナーおよびキャリアも同一種であることが帯電のチャージアップまたはチャージダウンの安定性を考慮する上で好ましい。
【0104】
本発明における予め現像器中の二成分系現像剤に含まれるキャリアとトナーは、含まれるキャリアの全比表面積と、トナーの全比表面積とが近い値になるように混合されていることが好ましいが、特に制限されない。二成分系現像剤におけるトナーの濃度は、二成分系現像剤全体に対して6〜20質量%程度であることが好ましい。帯電量付与、カブリ、画像濃度などを良好にするためである。
【0105】
トナー重量平均粒径(D4)とキャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)の関係について
本発明の二成分系現像剤に於いて、トナーとキャリアの平均粒径は以下の関係にある。
トナーの体積平均粒径(D4)をRt、磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)をRcとした時、Rt/Rcが0.15以上、0.80以下である。本発明では、キャリア粒径が小さいため、トナーをより好適に帯電させ、トナーを潜像に効率よく現像するために、トナーとキャリアの平均粒径に、好適なバランスがあることを見出した。0.15〜0.80であると、ハーフトーン画像も均一で、ベタ画像の再現性にも優れた画像を出力することが可能である。0.80を超えると、帯電能力が低下するためか、カブリレベルが悪化してしまう。
【0106】
本発明の補給用現像剤は、少なくともトナー及び磁性キャリアを含有することを特徴とする。このことにより、現像器内にトナーと新しいキャリアを補給し、少なくとも過剰になったキャリアを必要に応じて現像器から排出することにより、現像器内の現像剤の性能を維持することが可能になった。
【0107】
該補給用現像剤は、磁性キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合で含有している。この範囲で用いることにより、長期にわたり、安定した現像剤の性能を維持することでき、トナーの帯電性の変動が少なく、ドット再現性も良好であり、かぶりの少ない画像を得ることができる。
【0108】
トナーの配合割合が2質量部未満の場合、補給されるトナーの量が相対的に少なくなり、トナーの帯電量が不均一になり、白筋などの画像不良を起こす。50質量部を超える場合には、キャリアの補給効果が出にくく、現像剤の性能が低下し、耐久性が悪化し、ドット再現性も悪化し、かぶりが多くなる。
【0109】
本発明の補給用現像剤におけるトナーの好ましい態様は、以下の第一および第二の態様に大別される。
【0110】
本発明の補給用現像剤における第一の態様のトナーは、ポリエステルユニットを主成分とする樹脂および着色剤を含有するトナー(以下、「第一の態様のトナー」とも称する)を含む。「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示し、また「ポリエステルユニットを主成分とする樹脂」とは、樹脂を構成する繰り返し単位の多くが、エステル結合を有する繰り返し単位である樹脂を意味するが、これらは後に詳細に説明される。
【0111】
第一の態様のトナーは、4.0〜8.0μmの重量平均径を有することが好ましい。このようなトナーを含有する第一の態様の二成分系現像剤は、低温定着方式を用いた画像形成装置または高速出力の画像形成装置に適用されることで、長期使用されても転写性と現像性の両方を良好に維持させることができる。
【0112】
これは、ポリエステルユニットを主成分とする樹脂を含むトナーは、柔らかくてある程度不定形以上の円形度を有するトナーであるので、二成分系現像剤において良好な帯電性が付与され、かつ現像剤の流動性を高めることができるからである。
【0113】
該第一の態様のトナーに含まれる樹脂はポリエステルユニットを主成分とするが、該ポリエステルユニットはエステル系モノマーを縮重合させることにより形成される。エステル系モノマーは、多価アルコール成分、および多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は2以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸エステル等のカルボン酸成分を含む。
【0114】
該多価アルコール成分のうち二価アルコール成分の例には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが含まれる。
【0115】
該多価アルコール成分のうち三価以上のアルコール成分の例には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が含まれる。
【0116】
該ポリエステルユニットを構成するカルボン酸成分の例には、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;などが含まれる。
【0117】
該第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、下記一般式(5)で表される構造に代表されるビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)をカルボン酸成分として、これらを縮重合させることにより得られるポリエステル樹脂が含まれる。このポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。このポリエステル樹脂の帯電特性は、二成分系現像剤に含まれるカラートナーに含まれる樹脂として用いられた場合に、より有効に奏される。
【0118】
【化1】

〔式中、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。〕
【0119】
また、該第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、架橋部位を有するポリエステル樹脂が含まれる。架橋部位を有するポリエステル樹脂は、多価アルコールと、三価以上の多価カルボン酸を含むカルボン酸成分を縮重合反応させることにより得られる。ここで三価以上の多価カルボン酸成分の例には、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物やエステル化合物が含まれる。縮重合されるエステル系モノマーに含まれる三価以上の多価カルボン酸成分の含有量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%であることが好ましい。
【0120】
さらに、該第一の態様のトナーに含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、(a)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(b)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(c)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物が含まれる。
該ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合して得られるビニル系重合体ユニット(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステルユニット)とが、エステル交換反応して結合することにより形成される。前記ハイブリッド樹脂の好ましい例には、ビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体とするグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)が含まれる。
【0121】
なお、該「ビニル系重合体ユニット」とは、ビニル系重合体に由来する部分を示す。ビニル系重合体ユニットまたはビニル系重合体は、後述のビニル系モノマーを重合させることで得られる。
【0122】
本発明の補給用現像剤における第2の態様のトナーは、直接重合法または水系媒質中より得られるトナー(以下、「第二の態様のトナー」とも称する)を含む。第二の態様のトナーは、直接重合法で製造されてもよいし、あらかじめ乳化微粒子を作り、その後着色剤、離型剤等と一緒に凝集させて製造してもよい。後者により製造されるトナーを「水系媒質中より得られるトナー」または「乳化重合法により得られるトナー」ともいう。
【0123】
また第二の態様のトナーは、ビニル系樹脂を主成分とするトナー粒子を含み、4.0〜8.0μmの重量平均粒径を有し、0.960〜1.000の平均円形度を有することが好ましい。
【0124】
このような第二の態様のトナーは、初期の転写効率が非常に高く、耐久使用後も高い転写効率を維持することができ、クリーナーレスシステムに最適に使用され得る。
該第二の態様のトナーのように球形に近いトナーは、一般的に、帯電の立ち上がりは速いもののトナー表面に存在する外添剤などを劣化させやすいという問題があった。すなわち、トナーがキャリアと衝突したり、トナー同士が衝突すると、トナー表面に存在する流動性向上剤がトナー内部へ打ち込まれやすい。しかしながら、第二の態様の補給用現像剤中に含まれるキャリアは、低比重・低磁気力であること、コート樹脂に特定のアクリル樹脂を用いること、さらにコート樹脂中に微粒子を含有させることなどにより、キャリアとトナーとの衝突によるトナー外添剤の劣化を大幅に軽減することができる。
【0125】
第二の態様の二成分系現像剤に含まれるトナーの平均円形度が0.960未満であると、クリーナーレスシステムに適用された場合に転写効率が若干不足する場合がある。一般的に、0.960以上と非常に高い平均円形度を有するトナーは劣化しやすい。にもかかわらず、第二の態様の補給用現像剤に含まれるトナーが劣化されることなく使用され得る理由の一つは、含まれるトナーが直接重合法などにより得られるビニル系樹脂を主成分とするトナーであり、トナー表面の硬さが長期にわたって維持され得るからである。
【0126】
該第二の態様のトナーは、直接重合法または乳化重合法により得られる、ビニル系樹脂を主成分とする粒子を含むことが好ましい。該粒子の主成分であるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合により製造される。ビニル系モノマーの例には、スチレン系モノマー;(メタ)アクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモノマー;N−ビニル化合物のモノマー:その他のビニルモノマーなどが含まれる。
【0127】
スチレン系モノマーの例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が含まれる。
【0128】
(メタ)アクリル系モノマーの例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類;ならびにメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類等が含まれる。
【0129】
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーの例には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等が含まれ;ビニルエステル類のモノマーの例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が含まれ;ビニルエーテル類のモノマーの例には、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が含まれ;ビニルケトン類のモノマーの例にはビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどが含まれ;N−ビニル化合物のモノマーの例にはN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等が含まれる。その他のビニルモノマーの例には、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドなどのアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が含まれる。
【0130】
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
【0131】
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素などが含まれる。
【0132】
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例には、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン等のラジカル重合性多官能重合開始剤が含まれる。
【0133】
本発明の補給用現像剤は、オイルレス定着を採用する電子写真プロセスに用いられることが好ましい。そのため、本発明の補給用現像剤に含まれるトナーは離型剤を含有することが好ましい。
【0134】
離型剤の例には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス、ベヘン酸ベヘニルなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが含まれる。
【0135】
さらに離型剤の例には、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、又は更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、さらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが含まれる。
【0136】
本発明の第一の態様のトナーに含有される離型剤の好適な例には、炭化水素系ワックスが含まれる。第一の態様のトナーの示差熱分析測定におけるトナーの吸熱曲線における温度30〜200℃の範囲に一又は二以上の吸熱ピークがあり、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの温度が65〜110℃であると、低温定着性と耐久性が良好なトナーとなりうる。
【0137】
一方、本発明の第二の態様のトナーに含有される離型剤の好適な例には、パラフィンワックスが含まれる。
【0138】
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーにおける離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。離型剤の含有量が1質量部より少ないと、オイルレス定着時にうまく離型性を発揮できないことがある。15質量部を超えると、トナー表面へ離型剤が滲み出しやすくなり、転写性が悪化する場合がある。
【0139】
本発明に用いられるトナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。荷電制御剤の例には、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物などが含まれる。有機金属錯体の具体例には、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などが含まれる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体なども挙げられる。また、荷電制御剤として、ビスフェノール類、カリックスアレーン等のフェノール誘導体等も用いられる。本発明におけるトナーに含まれる荷電制御剤は、好ましくは芳香族カルボン酸の金属化合物である。トナーの帯電の立ち上がりを良好にするためである。
【0140】
本発明に用いられるトナーにおける荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.2〜5.0質量部であることがより好ましい。0.1質量部より少ないと高温高湿から低温低湿までの広範な環境においてトナーの帯電量の変化が大きくなる場合がある。10.0質量部より多いとトナーの低温定着性に劣る場合がある。
【0141】
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの摩擦帯電量は、特に限定されないが、絶対値が25〜45mC/kgであることが好ましい。
トナーの摩擦帯電量は以下の手順で測定することができる。以下の手順は23℃、60%RHに制御された環境下で行う。
【0142】
まず、トナーとキャリアを所定のトナー濃度となるように混合し、ターブラーミキサーで120秒間混合する。耐久時のトナーの摩擦帯電量を測定する場合は、現像スリーブ上に付着した現像剤(トナーを含む)を、ビニール袋などを介して磁石により採取して、測定サンプルとして用いることができる。
【0143】
本発明に含まれるトナーは着色剤を含んでいてもよい。ここで着色剤は、顔料もしくは染料、またはそれらの組み合わせでありうる。
【0144】
染料の例には、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等が含まれる。
【0145】
顔料の例には、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が含まれる。
【0146】
また、本発明の二成分系現像剤をフルカラー画像形成用現像剤として使用する場合は、トナーはマゼンタ用着色顔料を含むことができる。マゼンタ用着色顔料の例には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が含まれる。
【0147】
該トナーは、マゼンタ用着色顔料だけを含んでもよいが、染料と顔料とを組み合わせて含むと、現像剤の鮮明度を向上させ、フルカラー画像の画質を向上させることができる。マゼンタ用染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が含まれる。
【0148】
シアン用着色顔料の例には、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが含まれる。
【0149】
イエロー用着色顔料の例には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、C.I.バットイエロー1、3、20等が含まれる。
【0150】
黒色の顔料の例には、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックの他、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も含まれる。
【0151】
さらに、マゼンタ染顔料、イエロー染顔料、シアン染顔料などを組み合わせて調色を行い、上記カーボンブラック等と併用して用いてもよい。
【0152】
本発明の補給用現像剤に含まれるトナーにおける着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、3〜12質量部であることがより好ましく、4〜10質量部であることがさらに好ましい。着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表されるような中間色の再現性も低下し易くなり、さらにはトナーの帯電性の安定性が低下し、また低温定着性も得られにくくなる。着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、着色力が充分でないことがある。また、濃度を出すためにトナーを多く使用しなければならなくなるため、ドット再現性を損ないやすく、高い画像濃度の高品位画像が得られ難いことがある。
【0153】
本発明の補給用現像剤に含まれるトナーは、微粒子である外添剤を外添されていてもよい。微粒子を外添されることにより、流動性や転写性が向上しうる。トナー表面に外添される外添剤は、酸化チタン、酸化アルミナ、およびシリカ微粒子のいずれかの無機微粒子を含むことが好ましい。外添された無機微粒子は、トナーがキャリアから離れやすくするためのスペーサー粒子として機能するため、その平均粒径(個数分布のピーク値)は80〜200nmであることが好ましい。
【0154】
外添剤は、80〜200nmの平均粒径を有する前記無機微粒子とともに、平均粒径(個数分布のピーク値)が50nm以下の微粒子を含有することができ、それによりトナーの流動性を向上させることができる。
【0155】
該外添剤に含まれる無機微粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤;脂肪酸及びその金属塩;シリコーンオイル;またはそれらの組み合わせによってなされることが好ましい。
【0156】
外添剤に含まれる無機微粒子の疎水化処理を行うためのチタンカップリング剤の例には、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどが含まれる。
【0157】
また、シランカップリング剤の例には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが含まれる。
【0158】
無機微粒子の疎水化処理を行うための脂肪酸の例には、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が含まれ、それらの脂肪酸金属塩の金属としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどが含まれる。
【0159】
疎水化処理を行うためのシリコーンオイルの例には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどが含まれる。
【0160】
該疎水化処理は、無機微粒子に対して1〜30質量%(より好ましくは3〜7質量%)の疎水化処理剤を無機微粒子に添加して、無機微粒子を被覆することにより行われることが好ましい。
【0161】
該外添剤のトナー中における含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。また外添剤は、複数種の微粒子の組み合わせでもよい。
【0162】
[画像形成方法の例]
本発明の補給用現像剤は、任意の電子画像形成プロセスに適用されることができ、特にその適用範囲が限定されることはない。以下、図5および図6を参照して、本発明のキャリアおよび二成分系現像剤が好適に採用される画像形成方法(以下、「本発明における画像形成方法」とも称する)の一例について説明する。
【0163】
本発明に用いられる画像形成方法は、色の異なる2以上の本発明の二成分系現像剤を用いてカラー画像を形成する方法である。本発明に用いられる画像形成方法は、少なくとも(I)感光体表面を帯電処理する帯電工程、(II)上記帯電処理された感光体上にそれぞれの色に対応した静電潜像を順次形成する潜像形成工程、(III)上記感光体上に形成された静電潜像を、対応する色のトナーによって可視化してトナー像を形成する現像工程、(IV)上記現像工程において可視化された前記各色のトナー像を転写材に順次重ね合わせて転写する転写工程、および(V)上記転写工程において転写材上に形成されたトナーを熱及び圧力等により定着させる工程を有する。
【0164】
該(I)現像工程は、二成分系現像剤を担持する現像ローラを有する現像器を各色のトナーに応じて複数有する現像容器(図5の10a〜10d)を用い、各現像容器の現像ローラに現像剤を担持させ、該現像ローラに直流電界に交流電界を重畳させてなる現像バイアスを印加することにより、感光体に各色のトナー像を順次形成する。
【0165】
本発明の補給用現像剤は、現像容器(図5の10a〜10d)の上部に設けられている(図中非表示)補給容器に入れられる。該補給容器については、後述する。また、現像容器には、過剰になったキャリアとトナーを必要に応じて排出する排出口(図中非表示)が設けられている。これについても後述する。
【0166】
図5を用いて、該画像形成方法を好適に実現するカラー画像形成装置(複写機又はレーザービームプリンター)の一例について説明する。7aは第1の画像担持体としてのドラム状の感光体であり、図中矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光体7aは回転過程において、帯電装置8aにより所定の電位に一様に帯電処理され(帯電工程)、次いで9aの像露光装置による露光を受ける(潜像形成工程)。このようにして目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロートナー像)に対応した静電潜像が形成される。
【0167】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロートナー現像器10a)により第1色であるイエロートナー像に現像される。順次、第2〜第4の現像器、即ちマゼンタトナー現像器10b、シアントナー現像器10c、及びブラックトナー現像器10dにより、同様に現像される(現像工程)。
【0168】
該現像工程において感光体上に形成されたトナー像は転写工程に供される。本発明における画像形成方法で用いられる転写工程は、感光体上に形成された各色のトナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写することにより、転写材上に形成されるべきカラートナー像を中間転写体上に形成する1次転写工程と、中間転写体上に形成されたカラートナー像を転写材上に転写する2次転写工程からなるものであり得る。
【0169】
図5において、中間転写体としての中間転写ベルト14は、矢印の方向に感光体7a(〜7d)と同じ周速度で回転駆動される。感光体7a上に形成された第1色のイエロートナー像が、感光体7aと中間転写ベルト14との当接部を通過する過程で、一次転写ローラ13を介して中間転写ベルト14に印加される1次転写バイアスによって形成される電界により、中間転写ベルト14の外周面に順次転写されていく。なお、このときの1次転写バイアスは、トナーとは逆極性のバイアスが印加される。その印加電圧は例えば+100V〜+2kVの範囲である。中間転写ベルト14に対する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体7aの表面は、クリーニング装置1aにより清掃される。マゼンタ、シアン、及びブラックの各色のトナー像も同様に中間転写ベルト14に転写されることにより、フルカラー画像が中間転写ベルト14上に形成される。
【0170】
次にカラートナー画像を転写材に転写するが、この工程を2次転写工程という。4は2次転写ローラであり、2次転写対向ローラ3に対応して平行に軸受けさせて中間転写ベルト14の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0171】
2次転写ローラ4が中間転写ベルト14に当接され、中間転写ベルト14と2次転写ローラ4の当接部分に、給紙ローラ16から転写材Pが所定のタイミングで給送される。このとき、2次転写バイアスが2次転写ローラ4に印加されることにより、中間転写ベルト14上に転写されたフルカラー画像が転写材Pに2次転写される。トナー画像が転写された転写材Pは、定着器15へ導入され加熱定着される。転写材Pへの画像転写終了後、中間転写体ベルト上に残留したトナー(転写残トナー)はベルトクリーニング装置5により掻き取られ、廃トナーボックスに運ばれる。
【0172】
また、本発明の補給用現像剤は、図6に示すようなクリーナーレスシステムにも適応できる。図6に示す画像形成装置は、クリーニング装置1a〜1dを有していないこと以外は図5の画像形成装置とほぼ同様の構成である。クリーナーレスを良好にするためには、感光体に対して現像ローラがカウンター方向(図6において時計回り)に回転し、直流電界に交流電界を重畳させてなる現像バイアスを印加して現像する構成にすることが、転写残りトナーの回収性を向上させる上で好ましい。この画像形成装置では中間転写ベルト14上への転写が行われた後の感光体8a〜8dの表面に残留した転写残りの現像剤がクリーニング装置により除去されることなく、感光体の回転に伴い帯電部(感光体の帯電装置との対向部)を経由して現像部(感光体の現像ローラとの当接部)に至り、現像ローラによって感光体上の画像部には現像剤を付着させると同時に非画像部に付着した現像剤(即ち、転写残りの現像剤)を回収する(これを「現像同時クリーニング」という)。
【0173】
上記の現像により現像装置104内の現像剤119のT/C比(トナーとキャリアの混合比、すなわち現像剤中のトナー濃度)が減ったら、補給現像剤貯蔵室R3から補給現像剤118を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R2に補給し、必要以上に増量したキャリアは、トナーと混合された劣化現像剤として、129の排出スクリューから外部へ除去され、現像装置104内の現像剤119のT/Cおよびキャリア量が所定量に保たれる。
【0174】
補給現像剤に含有されるキャリアによって増量したキャリアは、容量UP分がオーバーフローして現像剤回収オーガに取り込まれ、補給用現像剤容器あるいは別の回収容器へ搬送される。
【0175】
本発明に関する物性の好適な測定方法について以下に説明する。
【0176】
<磁性体の粒径測定方法>
樹脂含浸キャリアのキャリアコアに含まれる磁性体の体積分布基準の50%粒径(D50)は、キャリア粒子の測定に準じて測定され得る。
【0177】
一方、磁性体分散型樹脂キャリアのキャリアコアに含まれる磁性体の個数平均粒径は、以下の手順で測定される。
【0178】
ミクロトーム等により切断されたキャリアの断面を、走査電子顕微鏡(50,000倍)で観察し、粒径が5nm以上の粒子をランダムに300個以上抽出する。抽出された各粒子の長軸と短軸の長さをデジタイザにより測定する。測定された長軸と短軸の長さの平均値を粒径とし、300個以上の粒子の粒径分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95(単位:nm),・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムを用いる)のピークになるカラムの中心値の粒径を個数平均粒径とする。
【0179】
後述の、キャリアコアに含まれる非磁性無機化合物の個数平均粒径も上記と同様にして測定される。
【0180】
また、磁性体または非磁性無機化合物の個数平均粒径は、原材料の(樹脂に含まれていない状態の)磁性体または非磁性無機化合物を、透過電子顕微鏡(TEM)(50,000倍)で観察し、上記の方法と同様にして求められうる。
【0181】
<キャリアの比抵抗の測定>
本発明のキャリアの比抵抗値は、図3に概略される測定装置を用いて測定される。セルEにキャリア粒子27を充填し、充填されたキャリア粒子に接するように下部電極21および上部電極22を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって比抵抗を求める。
【0182】
比抵抗の測定条件は、充填されたキャリア粒子と電極との接触面積Sを約2.3cm2、充填されたキャリア粒子の厚みLを約0.5mm、上部電極22の荷重を180gとする。
【0183】
なお、非磁性無機化合物、磁性体および導電性粒子の比抵抗の測定も同様に行うことができる。
【0184】
<キャリア体積粒径の測定>
本発明のキャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)は、測定範囲がサブミクロンから数百ミクロンの測定レンジを持つものであれば、乾式または湿式のレーザー回折式の粒度分布計を用いて測定され得る。レーザー回折式の粒度分布計の例には、レーザー回折式粒度分布測定器SALD−3000(島津製作所製)が含まれる。
【0185】
<キャリアの磁化の測定>
本発明のキャリアの磁化の強さは、振動磁場型磁気特性装置VSM(Vibrating sample magnetometer)で求めることが可能である。振動磁場型磁気特性装置の例には、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30が含まれる。これを用いて、以下の手順で測定することができる。円筒状のプラスチック容器にキャリアを十分に密に充填し、一方で1000/4π(kA/m)(1000エルステッド)の外部磁場を作り、この状態で容器に充填されたキャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、該容器に充填したキャリアの実際の質量を測定して、キャリアの磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
【0186】
<真比重の測定>
乾式自動密度計オートピクノメータ(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定されることができる。
【0187】
<円形度の測定>
キャリアの平均円形度は、個数基準の平均円形度であることが好ましい。個数基準の平均円形度は、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定される。
【0188】
約1%NaCl水溶液とグリセリンとを、50体積%:50体積%で混合した溶液を電解液として用いる。ここでNaCl水溶液は、一級塩化ナトリウムを用いて調製されればよく、例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。グリセリンは、特級あるいは一級の試薬であればよい。
【0189】
電解液(約30ml)に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜1.0mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料が懸濁された電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理して、分散液を得る。
【0190】
アパーチャーとして200μmアパーチャー、20倍のレンズを用いて、以下の測定条件で円相当径および円形度を算出する。
【0191】
測定フレーム内平均輝度:220〜230、測定フレーム設定:300、SH(スレシュホールド):50、2値化レベル:180
【0192】
ガラス測定容器に電解液、および前記分散液を入れて、測定容器中のキャリア粒子の濃度を5〜10体積%とする。ガラス測定容器内容物を最大撹拌スピードで撹拌する。サンプルの吸引圧を10kPaにする。キャリア比重が大きく沈降しやすい場合は、測定時間を15〜30分とする。また、5〜10分ごとに測定を中断して、サンプル液の補充および電解溶液−グリセリン混合溶液の補充を行う。
【0193】
測定個数は2000個とする。測定終了後、本体ソフトにより、粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
【0194】
キャリアの円形度および円相当径は、下記式で算出される。
円形度=(4×Area)/(MaxLength2×π)
円相当径=√4・Area/π
【0195】
ここで、「Area」とは二値化されたキャリア粒子像の投影面積であり、「MaxLength」とは該キャリア粒子像の最大径と定義される。円相当径は、「Area」を真円の面積としたときの真円の直径で表される。円相当径は、4〜100μmを256分割され、個数基準で対数表示して用いる。
【0196】
<トナー粒径の測定>
本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーの重量平均粒径は、測定装置として、コールターカウンターTA−IIまたはコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。電解液は約1%NaCl水溶液であり、一級塩化ナトリウムを用いて調製されてもよく、またISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)などの市販品であってもよい。
【0197】
トナーの重量平均粒径の測定は以下のように行われる。上記電解液100〜150mlに、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を0.1〜5mlを加え、さらに測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理して、測定サンプルとする。
【0198】
アパーチャーは100μmのアパーチャーとする。試料の体積及び個数を、チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0199】
<吸熱ピークの測定>
本発明の補給用現像剤に含まれるトナー、または離型剤の最大級熱ピークは、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて以下の条件により測定することができる。
【0200】
温度曲線:昇温I (30℃〜200℃、昇温速度10℃/分)
降温I (200℃〜30℃、降温速度10℃/分)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/分)
【0201】
具体的な測定手順は、以下の通りとすればよい。5〜20mg(好ましくは10mg)の測定試料を精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で常温常湿下で測定を行う。昇温IIの過程でTgの吸熱ピーク以上の領域における、ベースラインからの高さが一番高いピークを最大吸熱ピークとする。また、Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合には、その重なる複数の極大ピークから高さが一番高いピークを最大吸熱ピークとする。
【0202】
<トナーの摩擦帯電量の測定>
トナーの摩擦帯電量の測定は、E−SPART Analyzer MODEL EST−III ver.9.03(ホソカワミクロン社製)を用いておこなう。
【0203】
E−SPART Analyzer(ホソカワミクロン社製)に付属されている二成分フィーダー(磁石を内蔵する回転盤を有する現像剤保持台)に、上述した現像剤を保持させる。次いで、2成分フィーダーに磁力で保持された現像剤に、エアーノズルから窒素ガスを噴射してトナーのみを吹き飛ばし、二成分フィーダー下部にある試料導入管を通してトナーのみをE−SPART Analyzer測定部に吸引導入する。測定部に吸引導入されたトナーは、粒子径d(μm)に応じた帯電量q/d(femto−C/μm)が計測される。そして、付属のソフトによりこのデータをもとに全粒径の平均摩擦帯電量q/mを求める。なお、E−SPART Analyzerの測定条件は以下の通りとする。
【0204】
窒素ガスブロー圧力 :20kPa
窒素ガスブロー時間 :1秒
窒素ガスブローのインターバル:4秒
印加電圧 :100V
カウント個数 :3000個
【0205】
<微粒子(外添剤)の平均粒径の測定>
トナーに外添される微粒子(外添剤)の平均粒径は、以下の手順で測定される。
【0206】
走査電子顕微鏡像(50,000倍)から、ランダムに抽出された粒径5nm以上の微粒子(500個以上)の長軸と短軸をデジタイザにより測定する。測定された長軸と短軸の平均値を粒径として、500個以上の粒子の粒径分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95(単位:nm),・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムを用いる)のピークになるカラムの中心値をもって、外添剤の平均粒径(個数分布のピーク値)として算出する。
【実施例】
【0207】
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0208】
[磁性キャリア1の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.3×105Ω・cm)をシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0209】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 85質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧した状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア1aを得た。
【0210】
次いで、三口フラスコに
(i)メラミン 2.5質量部
(ii)ホルマリン溶液 4.0質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
(iii)磁性キャリアコア1a 160質量部
(iv)フッ化カルシウム 0.5質量部
上記材料及び水200質量部を加え、撹拌しながら溶液pHを水酸化ナトリウムで8.5に合せ、その後40分間で85℃にまで上昇させ、該温度にて15分間反応させた。
【0211】
反応終了後、30℃に冷却し、
(v)5%アンモニウム溶液 30質量部
を加え、60分間で85℃にまで上昇させ、該温度にて90分間反応・硬化を行った。
【0212】
反応・硬化終了後、フラスコ内の内容物を30℃に冷却し、数回水洗、風乾の後、60℃の減圧下(5mmHg以下)で乾燥する事によりメラミン樹脂にて被覆された磁性キャリアコア粒子1bを得た。
【0213】
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する、メタクリル酸メチルマクロマー(重量平均分子量5,000)2質量部、シクロヘキシルをユニットとしてエステル部位を有するメタクリル酸シクロヘキシルモノマー50質量部、及びメタクリル酸メチルモノマー45質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。この溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量は、97,000であった。
【0214】
得られたグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)30質量部に、カーボンブラック(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm、比抵抗が1.0×10-4Ω・cm)1.5質量部、およびトルエン200質量部を加えて、ホモジナイザーによりよく混合して、コート液を得た。
【0215】
次いで、磁性キャリアコア1b2000質量部を、剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加えた。減圧下(5hPa)で70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア表面を樹脂でコートした。
【0216】
この樹脂コートされた磁性キャリアを、100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却した後、解砕し、さらに目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアである磁性キャリア1を得た。磁性キャリア1の体積基準の50%粒径(D50)は21μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は1.0×1014Ω・cm、比抵抗R2は7.0×1013Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.930、0.10であった。得られた磁性キャリア1の物性を表1に示す。
【0217】
[磁性キャリア2の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.2×105Ω・cm)と、ヘマタイト粉(個数平均粒径600nm、比抵抗7.0×107Ω・cm)それぞれと、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉またはヘマタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0218】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 80質量部
・表面処理したヘマタイト 10質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧した状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア2aを得た。
【0219】
キャリア1で使用したグラフト共重合体溶液(固形分33質量%)30質量部に、カーボンブラック(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm、比抵抗が1.0×10-4Ω・cm)0.5質量部、およびトルエン200質量部を加えて、ホモジナイザーによりよく混合して、コート液を得た。
【0220】
次いで、磁性キャリアコア(2a)2000質量部を、剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加えた。減圧下(5hPa)で70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて、磁性キャリアコア表面を樹脂でコートした。
【0221】
この樹脂コートされた磁性キャリアコアを、100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却した後、解砕し、さらに目開き76μmの篩で粗粒を除去して、磁性体分散型樹脂キャリアであるキャリア1を得た。磁性キャリア1の体積基準の50%粒径(D50)は22μm、真比重は3.7g/cm3、磁化の強さは58Am2/kg、比抵抗R1は1.0×1015Ω・cm、比抵抗R2は2.0×1013Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.900、0.18であった。得られた磁性キャリア2の物性を表1に示す。
【0222】
[磁性キャリア3の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.3×105Ω・cm)をシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0223】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 85質量部
上記材料と、30質量%アンモニア水3質量部、水20質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧した状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア3aを得た。その後、キャリア1と同様の処理を行い、キャリア3を得た。磁性キャリア3の体積基準の50%粒径(D50)は24μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は5.0×1013Ω・cm、比抵抗R2は2.0×1012Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.926、0.12であった。得られた磁性キャリア3の物性を表1に示す。
【0224】
[磁性キャリア4の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.3×105Ω・cm)をシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0225】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 85質量部
上記材料と、40質量%アンモニア水10質量部、水20質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧を強めた状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア3aを得た。その後、キャリア1と同様の処理を行い、キャリア3を得た。キャリア4の体積基準の50%粒径(D50)は16μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は2.0×1015Ω・cm、比抵抗R2は8.0×1014Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.927、0.11であった。得られた磁性キャリア4の物性を表1に示す。
【0226】
[磁性キャリア5の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.3×105Ω・cm)をシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0227】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 85質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧した状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア5aを得た。
【0228】
次いで、三口フラスコに
(i)フェノール 0.40質量部
(ii)ホルマリン溶液 0.25質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
(iii)親油化処理したヘマタイト 4.0重量部
(iv) 磁性キャリアコア粒5a 160重量部
28%アンモニア水、水を使用し、撹拌、混合しながら、40分間で85℃まで昇温・保持し、3時間反応、硬化させた。その後30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗いし、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態のキャリアコア5bを得た。その後、キャリア1と同様の処理を行い、磁性キャリア5を得た。磁性キャリア5の体積基準の50%粒径(D50)は22μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は7.0×1014Ω・cm、比抵抗R2は5.0×1013Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.926、0.21であった。得られた磁性キャリア4の物性を表1に示す。
【0229】
[磁性キャリア6の製造]
磁性キャリア製造例1において、コート液中にカーボンブラックを使用しないこと以外は、同様にして、磁性キャリア6を得た。磁性キャリア6の体積基準の50%粒径(D50)は22μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は7.0×1014Ω・cm、比抵抗R2は5.0×1013Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.926、0.21であった。得られた磁性キャリア6の物性を表1に示す。
【0230】
[磁性キャリア7の製造]
マグネタイト粉(個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.2×105Ω・cm)と、ヘマタイト粉(個数平均粒径250nm、比抵抗7.0×107Ω・cm)それぞれと、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト粉またはヘマタイト粉に対して3.0質量%の量)とを、容器内において100℃以上で高速混合撹拌して、それぞれの微粒子を表面処理した。
【0231】
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト 64質量部
・表面処理したヘマタイト 27質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水15質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間、加圧した状態で重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の磁性キャリアコア7aを得た。
【0232】
次いで、三口フラスコに
(i)メラミン 1.0質量部
(ii)ホルマリン溶液 4.0質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
(iii)磁性キャリアコア7a 160質量部
(iv)フッ化カルシウム 0.5質量部
上記材料及び水200質量部を加え、撹拌しながら溶液pHを水酸化ナトリウムで8.5に合せ、その後40分間で85℃にまで上昇させ、該温度にて15分間反応させる。
【0233】
反応終了後、30℃に冷却し、
(v)5%アンモニウム溶液 30質量部
を加え、60分間で85℃にまで上昇させ、該温度にて90分間反応・硬化を行った。
【0234】
反応・硬化終了後、フラスコ内の内容物を30℃に冷却し、数回水洗、風乾の後、60℃の減圧下(5mmHg以下)で乾燥することによりメラミン樹脂にて被覆された磁性キャリアコア粒子1bを得た。その後、キャリア1と同様のコート処理を行い、磁性キャリア7を得た。磁性キャリア7の体積基準の50%粒径(D50)は23μm、真比重は3.7g/cm3、磁化の強さは42Am2/kg、比抵抗R1は3.0×1015Ω・cm、比抵抗R2は2.0×1014Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.870、0.18であった。得られた磁性キャリア7の物性を表1に示す。
【0235】
[磁性キャリア8の製造]
磁性キャリア製造例1において、常圧で重合反応したこと以外は、同様にして、磁性キャリア8を得た。磁性キャリア8の体積基準の50%粒径(D50)は28μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは64Am2/kg、比抵抗R1は7.0×1013Ω・cm、比抵抗R2は1.0×1012Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.929、0.12であった。得られた磁性キャリア8の物性を表1に示す。
【0236】
[磁性キャリア9の製造]
磁性キャリア製造例4において、40質量%アンモニア水10質量部に変更して製造する以外は同様にして、磁性キャリア9を得た。磁性キャリア9の体積基準の50%粒径(D50)は13μm、真比重は3.6g/cm3、磁化の強さは63Am2/kg、比抵抗R1は5.0×1015Ω・cm、比抵抗R2は9.0×1014Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.910、0.13であった。得られた磁性キャリア9の物性を表1に示す。
【0237】
[磁性キャリア10の製造]
モル比で、Fe23=78モル%、MnO=5モル%、MgO=15モル%になるようにこれらの金属酸化物粒子を秤量し、ボールミルを用いて混合した。これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕し、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、更に分級して、Mn−Mgフェライトキャリアコアを得た。以下、磁性キャリア製造例2と同様にして、磁性キャリア10を得た。磁性キャリア10の体積基準の50%粒径(D50)は37μm、真比重は4.5g/cm3、磁化の強さは63Am2/kg、比抵抗R1は1.0×108Ω・cm、比抵抗R2はブレークダウン、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.874、0.14であった。得られた磁性キャリア10の物性を表1に示す。
【0238】
[磁性キャリア11の製造]
MnO=25モル%、MgO=3モル%、Fe23=70モル%及びSrCO3を1モル%湿式ボールミルで5時間粉砕、混合し、乾燥させた後、950℃で3時間保持し、仮焼成を行なった。これを湿式ボールミルで粉砕し、2μm以下とした。このスラリーに分散剤およびバインダー(ポリビニルアルコール)を数質量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、造粒品を得た。この造粒品を電気炉にて入れ、窒素ガス中の酸素濃度を2.0vol%に調整した混合ガス中で、1100℃で3時間保持し、本焼成を行なった。その後、解砕し、さらに篩で篩い分けして、体積平均粒径は24μmの磁性キャリアコア11aを得た。
【0239】
次に、
ストレートシリコーン(信越化学社製KR255(固形分換算)) 100質量部
シラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン) 10質量部
カーボンブラック 10質量部
上記成分をキシレン300質量部と混合して、磁性キャリア樹脂被覆溶液とした。この樹脂被覆溶液を用いて70℃に加熱した流動床を用いて撹拌しながら、磁性キャリアコア11aに対してストレートシリコーン樹脂基準で12質量%となるように塗布および溶媒除去操作を行った。さらに、オーブンを用いて、230℃で2.5時間の処理を行い、解砕、篩による分級処理を行い磁性キャリア11を得た。磁性キャリア11の体積基準の50%粒径(D50)は23μm、真比重は3.8g/cm3、磁化の強さは45Am2/kg、比抵抗R1は3.0×1014Ω・cm、比抵抗R2は6.0×1013Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.902、0.14であった。得られた磁性キャリア11の物性を表1に示す。
【0240】
[磁性キャリア12の製造]
酸価が0KOHmg/g,Tgが60℃の樹脂(1)(下記参照)を120質量部、表面処理したマグネタイト450質量部をヘンシェルミキサーにより十分混合した後、ベント二軸混練装置により180℃で溶融混練し、これを冷却させた後、フェザーミルにより粗粉砕し、更にジェット粉砕機により微粉砕し、その後、これを風力分級し、更にサフュージングシステム(日本ニューマチック工業社製;SFS−1型)により300℃で加熱処理し、磁性キャリアコアを得た。以下、磁性キャリア製造例1と同様にメラミン樹脂にて被覆させ、コート処理を行い、磁性キャリア12を得た。磁性キャリア12の体積基準の50%粒径(D50)は24μm、真比重は2.8g/cm3、磁化の強さは55Am2/kg、比抵抗R1は1.0×1013Ω・cm、比抵抗R2は2.0×1011Ω・cm、平均円形度C、C−C30はそれぞれ0.875、0.27であった。得られた磁性キャリア12の物性を表1に示す。
【0241】
上記樹脂(1)を製造するにあたっては、スチレン118gと、ブチルメタクリレート82gとを窒素置換したフラスコ内に仕込み、内部温度を130℃に昇温させた後、この温度で10時間重合を行ない、その後、キシレンを100g加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gをキシレン100gに溶解させた溶液を135℃に保ちながら9時間かけて連続添加し、更に2時間重合を行なって樹脂(1)を得た。なお、この樹脂(1)の酸価をJIS K5400法により測定したところ、0KOHmg/gであった。
【0242】
次に、本発明に用いたトナーについて示す。
【0243】
<結着樹脂の製造例>
(ハイブリッド樹脂製造例)
ビニル系共重合体として、スチレン2.0mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、およびジクミルパーオキサイド0.05molの混合物を滴下ロートに入れた。
【0244】
一方、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸1.7mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gの混合物を、ガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。
【0245】
この四つ口フラスコに、前述の滴下ロート、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、該四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。次に、該四つ口フラスコ内に窒素ガスを流しつつ、フラスコの内容物を撹拌しながら徐々に昇温して145℃とした。145℃に達した後、前述の滴下ロートの内容物を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、200℃に昇温して、同温度で4時間反応させて、ハイブリッド樹脂を得た。
【0246】
<トナーの製造例>
(粉砕トナーの製造例)
・上記で得られた樹脂 100質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度80℃) 4質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 5質量部
上記処方の材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm程度に粗粉砕して粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により、前記粉砕物を分級して分級品を得た。
【0247】
さらに、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)により(回転数6400rpm、処理時間3分、処理回数2回)前記分級品の表面改質を行い、シアン粒子を得た。
【0248】
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が110nm)1.0質量部、酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.9質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は5.7μmであった。
【0249】
(懸濁重合トナーの製造例)
イオン交換水710質量部に、0.12M−Na3PO4水溶液460質量部を投入し、60℃に加温して得られた水溶液を、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて15,000rpmにて撹拌した。これに1.2M−CaCl2水溶液67質量部を徐々に添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0250】
・スチレン 165質量部
・n−ブチルアクリレート 38質量部
・エステルワックス(最大吸熱ピーク温度72℃) 20質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
・飽和ポリエステル
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA;
酸価,ピーク分子量6000) 10質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 13質量部
上記処方の材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて均一に溶解及び分散させた。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。
【0251】
得られた重合性単量体組成物を、前述の水系媒体中に投入した。得られた混合物を60℃、窒素雰囲気下で、TK式ホモミキサーを用いて15,000rpmで10分間撹拌して、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去して除去した。冷却後、塩酸を加えてCa3(PO42などを溶解させた。得られた溶液をろ過し、濾取物を水洗、乾燥してシアン粒子を得た。
【0252】
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径110nm)1.0質量部、アナターゼ型酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が40nm)0.5質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー2を得た。トナー2の重量平均粒径(D4)は5.7μmであった。
【0253】
(乳化凝集法トナーの製造例)
・スチレン 86質量部
・nブチルアクリレート 14質量部
・アクリル酸 2質量部
・ドデカンチオール 5質量部
・四臭化炭素 1質量部
上記処方の材料を混合して溶解して有機溶液を得た。
【0254】
一方、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部、およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.5質量部を、イオン交換水140質量部にフラスコ中で溶解させた。得られた水溶液に、前記有機溶液を加えて分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合した。
【0255】
得られた混合物に、過硫酸アンモニウム1質量部が溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った。前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して、樹脂粒子分散液1を調製した。樹脂粒子分散液1に含まれる粒子の個数平均粒径は0.15μmであった。
【0256】
・スチレン 75質量部
・nブチルアクリレート 25質量部
・アクリル酸 3質量部
上記処方の材料を混合して有機溶液を得た。
【0257】
一方、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部、およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を、イオン交換水150質量部にフラスコ中で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、前記有機溶液を加え、分散させて乳化し、10分間ゆっくりと混合した。
【0258】
混合しながら、さらに過硫酸アンモニウム0.8質量部が溶解したイオン交換水10質量部を投入して窒素置換を行った。前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して樹脂粒子分散液2を調製した。樹脂粒子分散液2に含まれる粒子の個数平均粒径は0.12μmであった。
【0259】
・パラフィンワックス(融点95℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200質量部
また、上記処方の材料を97℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散処理した後、さらに圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理して離型剤粒子分散液を調製した。分散液の離型剤粒子の個数平均粒径は0.42μmであった。
【0260】
・C.I.ピグメンブルー15:3 11質量部
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
更に、上記の処方の材料を、サンドグラインダーミルを用いて分散処理することにより、着色剤分散液を調製した。
【0261】
・上記樹脂粒子分散液1 150質量部
・上記樹脂粒子分散液2 210質量部
・上記着色剤分散液 40質量部
・上記離型剤分散液 70質量部
上記処方の材料を撹拌装置、冷却管、温度計を装着した反応容器に投入して撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.3に調整した。
【0262】
得られた混合液に、凝集剤として10%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら70℃まで加熱した。この温度を保持した状態で、樹脂粒子分散液2をさらに3質量部加えた。得られた溶液を60℃で1時間保持した後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製反応容器を密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。
【0263】
冷却後、反応生成物をろ過し、得られた濾取物をイオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることによりシアン粒子を得た。
【0264】
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径110nm)2.0質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径30nm)0.8質量部、ルチル型酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径80nm)0.9質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー3を得た。トナー3の重量平均粒径(D4)は5.5μmであった。
【0265】
(溶解懸濁造粒法トナーの製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物730質量部、イソフタル酸280質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに31質量部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート190質量部と2時間反応を行い、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得た。
【0266】
次いでプレポリマー(A)270質量部とイソホロンジアミン15質量部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量65000のウレア変性ポリエステル系樹脂(i)を得た。
【0267】
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、テレフタル酸278質量部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。
【0268】
ウレア変性ポリエステル系樹脂(i)200質量部と変性されていないポリエステル(a)800質量部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダー(1)を単離した。Tgは58℃であった。
【0269】
ビーカー内に前記のトナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液240質量部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20質量部、C.I.Pigment Blue 15:3の生顔料6質量部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。別のビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
【0270】
得られたシアン粒子100質量部に、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径110nm)2.0質量部、シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径30nm)0.8質量部、ルチル型酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径80nm)0.9質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合してトナー4を得た。トナー4の重量平均粒径(D4)は5.8μmであった。
【0271】
〔実施例1〕
磁性キャリア1の80.0質量部に対し、トナー1を20.0質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、スタート用現像剤1を得た。また、同様に磁性キャリア1の1.0質量部に対して、トナー1の7.0質量部を加え、ターブラーミキサーにより混合し補給用現像剤1を得た。得られたスタート用現像剤1および補給用現像剤1のキャリア1質量部に対するトナーの配合割合を表3に示す。
【0272】
これら現像剤を用い、キヤノン製フルカラー複写機CLC5000改造機(レーザースポット径を絞り、1200dpiで出力を可能とし、定着ユニットの定着ローラの表層をPFAチューブに変え、オイル塗布機構を取り外した)を用いて常温常湿(23℃,60%RH)下で耐久画出し評価(A4横、10%印字比率、100,000枚)を行った。100,000枚通紙後の画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。
【0273】
(1)ドット再現性(耐久初期および100,000枚後)
前記現像剤及び前記改造機を用いてハーフトーン画像を形成し、この画像を目視にて観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づき評価した。形成したハーフトーン画像は、0をベタ白とし、256をベタ黒とする256階調表示における48番目の濃度としたときのハーフトーン画像である。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感が強い
【0274】
(2)カブリ(耐久初期および100,000枚後)
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
【0275】
耐久初期に、普通紙上にベタ白画像をVbackが0V〜300VになるようVdを50V毎に変化させて画出しした。さらに耐久出力後に、普通紙上にベタ白画像(Vback:150V)を画出しした。画出しされたベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(耐久初期および後)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
【0276】
(評価基準)
A:0.5%以下
B:0.6〜1.0%以下
C:1.1〜2.0%以下
D:2.1%以上
【0277】
(3)キャリア付着(耐久初期および100,000枚後)
前記現像剤及び前記改造機を用いて紙上にハーフトーン画像を形成し、そのハーフトーン画像上1cm2の領域内において、光学顕微鏡で、キャリアの存在個数をカウントする。
A:0〜5個:ほとんど目立たず、非常に良好である。
B:6〜10個:良好である。
C:11〜20個:黒ぽちが見えるが、実用上問題ないレベルである。
D:21個以上:朝一、クリーニング不良が発生する。
【0278】
上記耐久評価において、(1)〜(3)の評価結果を表4に示す。
【0279】
〔実施例2〜12及び比較例1〜9〕
表3に示す磁性キャリアとトナーの組み合わせ及び配合割合で、実施例1と同様の(1)〜(3)の評価を行った。
【0280】
これらの(1)〜(3)の評価結果を表4に示す。
【0281】
【表1】

【0282】
【表2】

【0283】
【表3】

【0284】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】本発明のキャリア比抵抗範囲を説明するためのグラフである。
【図2】キャリアの円形度を測定するグラフの一例を示す模式図である。
【図3】キャリア、非磁性無機化合物及び磁性体の比抵抗値を測定する装置の模式的断面図である。
【図4】本発明のキャリア模式図である。
【図5】本発明を好適に実施できる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明を好適に実施できるクリーナーレスシステムの画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0286】
1a〜1d クリーニング装置
2 従動ローラ
3 二次転写対向ローラ
4 二次転写ローラ
5 ベルトクリーニング装置
6 用紙カセット
7a〜7d 感光ドラム
8a〜8d 帯電装置
9a〜9d 像露光装置
10a〜10d 現像容器
11 駆動ローラ
12a〜12d プロセスカートリッジ
13 一次転写ローラ
14 中間転写ベルト
15 定着装置
16 給紙ローラ
21 下部電極
22 上部電極
23 絶縁物
24 電流計
25 電圧計
26 定電圧装置
27 キャリア
28 ガイドリング
E 抵抗測定セル
L 試料厚み
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と磁性体とを含有する磁性体含有樹脂キャリアであって、
真比重が2.5〜4.2g/cm3であり、
1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40〜70Am2/kgであり、
体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm〜25μmであり、
1.0×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR1(Ω・cm)とし、
2.5×106V/mの電界強度となる電圧を印加したときの比抵抗をR2(Ω・cm)としたとき、0≦log(R1)−log(R2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする磁性キャリア。
【請求項2】
該磁性キャリアの比抵抗R2が1.0×1013(Ω・cm)以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
【請求項3】
該磁性キャリアの平均円形度Cが0.850〜0.950であり、円形度の30%値C30との間に0≦(C−C30)≦0.20の関係を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の磁性キャリア。
【請求項4】
磁性キャリアコア粒子表面に、第1の樹脂被覆層及び第1の樹脂被覆層上に導電性粒子を含有する第2の樹脂被覆層を形成してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性キャリア。
【請求項5】
磁性キャリアコア粒子に対し、0.5〜3.0質量%の第1の樹脂が被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性キャリア。
【請求項6】
第2の樹脂被覆層に含有される導電性粒子がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性キャリア。
【請求項7】
該磁性キャリアコア粒子は、結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得られた磁性体分散樹脂コア粒子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性キャリア。
【請求項8】
少なくともバインダー樹脂、着色剤を含有するトナーと、請求項1〜7の何れかに記載の磁性キャリアからなり、トナーの重量平均粒径(D4)をRt、磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)をRcとした時、Rt/Rcが0.15以上0.80以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項9】
該磁性キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合で含有する補給用現像剤。
【請求項10】
少なくともトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、且つ少なくとも現像器内部で過剰になったキャリアを必要に応じて現像器から排出する二成分系現像方法であって、該磁性キャリアは請求項1乃至7のいずれかに記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−163728(P2007−163728A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358617(P2005−358617)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】