磁性粒子を検出する磁気センサ装置及び方法
磁性粒子(15)を検出する磁気センサ装置(300)。磁気センサ装置(300)は、磁性粒子(15)の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁界発生器装置(12)と、別々の磁界構成における磁性粒子(15)によって影響を受ける複数の検出信号を検出するよう適合された検出装置(11)と、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子(15)の存在を示す情報を導き出すよう適合された合成装置(30)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子を検出する磁気センサ装置に関する。
【0002】
本発明は、磁性粒子を検出する方法に更に関する。
【0003】
更に、本発明はプログラム・エレメントに関する。
【0004】
更に、本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0005】
バイオセンサは、生物学的構成部分を物理化学又は物理検出器構成部分と結合した、分析物を検出するための装置であり得る。
【0006】
磁気バイオセンサは、磁気的であるか、又は磁気ビーズでラベリングされた生体分子を検出するために巨大磁気抵抗効果(GMR)を使用することができる。
【0007】
以下、この巨大磁気抵抗効果を使用することができるバイオセンサを説明する。
【0008】
国際公開2005/010542号パンフレットには、集積磁気センサ素子又はオンチップ磁気センサ素子を使用して磁性粒子の存在を検出又は判定する構成が開示されている。前述の装置は、マイクロアレイ上又はバイオチップ上の生体分子の結合を磁気的に検出するために使用することができる。特に、国際公開2005/010542号パンフレットには、少なくとも1つの磁性粒子の存在を判定する磁気センサ装置であって、基板上の磁気センサ素子と、AC磁界を発生させる磁界発生器と、少なくとも1つの磁性粒子の磁気特性を検出する磁気センサ素子を備えたセンサ回路であって、磁気特性がAC磁界に関係するセンサ回路とを備え、磁界発生器は基板上に一体化され、100Hz以上の周波数で動作するよう構成される磁気センサ装置が開示されている。
【0009】
国際公開第2005/010543号パンフレットには、基板上の磁気センサ素子と、基板上に磁界を発生させる少なくとも1つの磁界発生器とを備えた磁気センサ装置であって、磁気センサ素子と少なくとも1つの磁界発生器との間のクロストークを抑制するクロストーク抑制手段が存在している磁気センサ装置が開示されている。
【0010】
国際公開2005/111596号パンフレットには、磁界を印加し、磁性ナノ粒子が表面に付着している間の、磁性ナノ粒子の回転又は運動の自由度に関する物理パラメータを検出することにより、少なくとも1つの磁性ナノ粒子と、別の実体の表面との間の特異的結合を、より特異的でない結合と区別する構成が開示されている。上記センサは、磁性粒子又はラベルの検出を、別の実体の表面に結合された磁性粒子又はラベルの特性及び結合品質の判定と組み合わせる。
【0011】
しかし、前述のセンサの感度は、望ましくない状況下ではなお十分でないことがあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、十分な感度、安定性及び正確性を備えたセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本願の独立請求項による、磁性粒子を検出する磁気センサ装置、磁性粒子を検出する方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0014】
本発明の例示的な実施例によれば、磁性粒子を検出する磁気センサ装置が提供され、磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を(例えば、上記導線のそれぞれに別々の電流系列を印加することによって)発生させる(例えば、導線それぞれに印加された別々の電流系列は、磁性粒子に、例えば、磁性粒子に影響を及ぼす磁界の振幅及び/又は方向に関して、違ったふうに磁気的な影響を及ぼし得る)よう適合された磁界発生器装置(例えば、電流が印加される一本又は複数本の導線)と、別々の磁界構成における磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出するよう適合された検出装置(例えば、GMRセンサ)と、複数の信号を合成し、それにより、磁性粒子の存在を示す情報を(例えば、現実的な利得値をセンサ結果の基礎として算出するために)導き出す合成装置(例えば、処理機能を有し、適切な算出手法により、併せて個々のセンサ信号を評価することができるマイクロセッサ又はCPU)とを備える。
【0015】
本発明の別の例示的な実施例によれば、磁性粒子を検出する方法が提供される。上記方法は、磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させる工程と、別々の磁界構成における磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出する工程と、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子の存在を示す情報を導き出す工程とを含む。
【0016】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、磁性粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたプログラム・エレメントが提供される。
【0017】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、磁性粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたプログラム・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0018】
本発明の実施例による電子検出手法は、コンピュータ・プログラム(すなわち、ソフトウェア)か、特殊な1つ又は複数の電子最適化回路(すなわち、ハードウェア)の使用か、又は、混成形態(すなわち、ソフトウェア構成部分及びハードウェア構成部分)によって実現することが可能である。
【0019】
例示的な実施例によれば、磁気特性を使用して磁性粒子を検出する磁気(バイオ)センサ(例えば、生体分子に付着させたビーズ)は、(前述のセンサの別々の場所に配置された複数の導線によって発生する)別々の磁界構成と関係付けられた別々の動作状態で動作させ、それにより、信号対クロストークの関係を測定することにより、センサ(特に、GMRセンサ)の利得安定化を実現することができる。すなわち、別々の磁界構成における検出信号を検出すると、センサの精度を通常、乱す作用を抑制するために信号コンディショニング及び信号処理を行うことができる。
【0020】
例示的な実施例によれば、信号対クロストークの関係を測定することによる、磁気バイオセンサの前述の利得安定化は磁性粒子撮像を行うことによって得ることができる。磁性粒子検出を改善するために、磁性粒子センサの感度及び安定性を向上させることができる。複数の励起状態の間で交互に切り替え、検出信号を合成することにより、平均利得係数を求め、精度を向上させることが可能である。
【0021】
したがって、感度、特異性、一体化、使いやすさ、及びコストの点での、生体分子診断法の特性が向上した磁気抵抗バイオチップを提供することができる。
【0022】
本発明の例示的な実施例は、全てがセンサの幾何学的形状によって決まってくるので、検出電子回路装置におけるばらつき(例えば、検出電流の変動、励起電流の変動)も抑制することができる。更に、本発明の例示的な実施例により、t=0における状態を基準として使用して全体的な検出利得を安定化させることができるので、安定化方法が提供される。
【0023】
通常、感度(例えば、GMRセンサの感度)、したがって、バイオ測定の実効利得は、センサ内の磁気不安定性による非確率的感度のばらつきのような高感度パラメータ又は制御可能でないパラメータであり得る。この誤りは、基準センサ又はブリッジ構造を使用することにより、容易に除去することが可能でない。制御可能でない他のパラメータ(又は、容易に制御することが可能でないパラメータ)には、外部的に印加される磁界、製造公差、経年劣化作用、温度の影響、及びメモリ効果(例えば、磁気駆動フィールド)がある。
【0024】
更に、磁気的クロストーク及び静電容量的クロストークの内部補償手法は、GMR感度が変動する場合、うまく機能しないことがあり得る。
【0025】
前述の認識に照らせば、本発明の例示的な実施例は、実際の生体計測中のセンサ利得を安定化させようとするものである。
【0026】
本発明の例示的な実施例によれば、センサの利得は、磁気励起状態間で切り替えることにより、内部(幾何学的形状)依存性磁気的クロストークと、ビームからの信号との間の関係を連続して変えることにより、実際の生体計測中に測定される。更に、前述の状態において観察されたセンサ信号の組合せから利得係数(SGMR)を算出することが可能である。前述の利得係数をフィードバック回路又はフィードフォワード(ノーマライズ)回路において使用してバイオセンサ検出利得を安定化させることができる。
【0027】
前述の方法を施すためには、センサ近くのビーズの集中度についての詳細な知識を有していなくてもよいことがあり得る。相関していない(例えば、SMGR)誤り、及び、温度の影響のような相関している誤りを抑制することが可能であり得る。例えば、本発明の実施例を、相関している利得係数を抑制するセンサ多重化の手法に加えて使用することができる。
【0028】
2つの利得測定間の時間は、期待利得のばらつきを追跡するのに十分速いことがあり得る。更に、利得測定時間は好ましくは、利得測定中の、励起状態間の利得の変動を避けるのに十分短いことがあり得る。
【0029】
あるいは、励起状態は、時間多重モードで(次々と)印加されず、周波数多重モードで印加される。次いで、励起状態は、状態毎に別の励起周波数を使用することにより、同時に測定される。その結果、結果を誤らせる影響を及ぼす、測定中の利得のばらつきは、利得が状態毎に等しく変動するので、セキュアに避け、よって、測定時間中の平均利得をもたらすことができる。この実施例は、測定時間が長いことがあり得るという利点を有し得る。これにより、この方法によって得ることが可能な信号対雑音比を増加させることができる。
【0030】
本発明の実施例は、超常磁性ナノ粒子の一体化された励起に基づいたバイオセンサに適用できるが、AMRやTMRのような他の磁気抵抗センサも可能である。更に、実施例を外部励起手法に適用することが可能である。前述の外部励起手法は、センサが一体化された基板に外部的に磁界を印加することに基づく。しかし、センサ及び磁界発生器装置がともに基板内にかつ/又は基板上に一体化されていることも考えられる。
【0031】
例えば、SGMRは、ビード励起と同じ周波数範囲で測定することができる。これは、(1/f雑音、小さな電流、小さな電圧の影響を削減するための)信号対雑音比、及びビード測定との一貫性の理由による。
【0032】
更に、本発明の例示的な実施例は、他の磁気抵抗センサ構成(例えば、ホイートストーン・ブリッジ又はホイートストーン・ハーフブリッジを有するセンサを備えた構成、又は、本明細書及び特許請求の範囲に明記した他の増幅器及びセンサ電流エレメント)に適用することができる。
【0033】
前述以外に、本発明の実施例は、血液、唾液、及び他の体液、又は体組織から抽出された流体(例えば、排泄物)における何れかの生化学測定又は小分子測定に適用可能である。
【0034】
更に、本発明の実施例は、磁気ビードの検出、並びに、ビード特性(周波数依存性、緩和時間など)及び生化学結合品質(ビード回転など)の測定に適用することができる。
【0035】
本発明の実施例は、センサ利得又はセンサ感度が、幾何学的形状の影響等により、望ましくない態様で変動し得ることから生じるアーチファクトを抑制することができる。例示的な実施例によれば、複数の測定を、検出する対象の磁性粒子の種々の励起状態において行うことができる。これは、より正確か、又は意味がある利得値を算出することにより、数学的に結果を結合することにより、前述のアーチファクトを除去又は削減することを可能にし得る。例えば、種々の測定を、磁性粒子に対する、励起実体及び/又は検出実体の別々の角度/向きに割り当てることができる。
【0036】
磁界発生器(例えば、導線)を励起する場合、特定の電流プロファイルに関する制限は事実上存在しない。(特に、センサからの(磁気)1/f雑音と、その熱雑音とのクロスオーバ点よりもずっと上の周波数(100kHzであり得る)における)正弦波及び方形波を使用することが可能である。
【0037】
次に、磁気センサ装置の更なる例示的な実施例を説明する。しかし、前述の実施例は、磁性粒子を検出する方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用される。
【0038】
磁界発生器装置は、別々の複数の磁界構成を時間上、順次に発生させるよう適合され得る。前述の実施例によれば、第1の特定の磁界構成が調節される(例えば、2つの磁界発生器エレメントのうちの一方を動作可能にし、他方を動作不能にする)。前述の動作状態における検出信号を測定した後、別の磁界構成を(例えば、先行して動作可能にされた磁界発生器エレメントを動作不能にし、先行して動作不能にされたものを動作可能にすることによって)調節することができる。前述の時間多重手法により、幾何学的形状の影響等を抑制又は除去することができる。
【0039】
更に、又はあるいは、磁界発生器装置は、別々の複数の磁界構成を周波数多重によって発生させるよう適合され得る。この方策を採用することによれば、別々の磁界構成を次々と印加する必要はないが、同時に別々の周波数寄与分を混ぜることが必要である。これは、測定の時間及び効率の点で効果的であり得る。
【0040】
合成装置は、センサ利得の変動を平均化するよう適合され得る。磁性粒子の存在を示す情報を導き出すための複数の信号の合成は、数学的手順によって実行することができる。平均利得値を算出することにより、測定上のアーチファクトを効率的に抑制することができる。
【0041】
磁界発生器は、複数の磁界発生器エレメントを備え得る。前述の(空間的に離間しており、別個に制御可能な)複数の磁界発生器エレメントによれば、別々の磁界構成を、動作可能/動作不能にする特定の手法を実行し、それにより、磁界の空間依存性、及び、よって、検出信号の空間依存性を規定することによって調節することができる。
【0042】
複数の磁界発生器エレメントは、別々の複数の磁界構成を発生させるために、個々に、又は、群単位で動作可能にすることができる。これは、非常に柔軟性の高い単純な手法を実現することを可能にし得るものであり、何れかの所望のやり方で磁界環境を調節することを可能にする。
【0043】
検出装置は、複数の磁界発生器エレメントに対して対称的又は非対称的に配置することができる。例えば、GMRセンサなどの検出装置は、電流を印加することができる2つの磁界発生器エレメント(例えば、2本の磁気ワイヤ)間の重心に配置することができる。(厳密に)2つ以上の磁界発生器エレメントの重心にGMRセンサが配置されない非対称の幾何学的配置を備えることにより、空間的な非対称性を、検出信号の非対称性にマッピングすることができ、それにより、合成装置により、アーチファクトを除去することを更に可能にすることができる。
【0044】
複数の磁界発生器は、異なる寸法を有し得る。例えば、電流が流れ得る磁気ワイヤの(断面の)サイズは別々の磁界発生器エレメント毎に変わり、それにより、更なる非対称性、及び、検出信号の操作の更なる自由度が生じ得る。
【0045】
磁気センサ装置は、複数の磁界発生器エレメントの少なくとも一部が集積された基板を含み得る。前述の基板(例えば、半導体基板)は、モノリシック集積磁界発生器エレメントをその中に有し得る。前述の集積回路のレイアウトにより、磁界発生器エレメントの所望の非対称性又は空間依存性により、合成手法又は平均化手法を行うことが可能になり得る。
【0046】
基板内の複数の集積磁界発生器エレメントは、基板の主表面に平行に配置することができる。基板の上に、分析する対象の試料(例えば、流体試料)を設けることができる。前述の試料を供給することができる基板の表面は基板の主表面として表すことができる。前述の主表面の表面領域に沿って別々の磁界発生器エレメントを次々に並べることができる。
【0047】
基板内の複数の集積磁界発生器エレメントは、基板の主表面に垂直に配置することができる。したがって、任意的に、複数の磁界発生器エレメントの水平方向のアラインメントと組み合わせた垂直の磁界発生器エレメント・スタックを設けることができる。この方策を採用することにより、広範囲にわたる磁界構成を調節することを可能にする、磁界発生器エレメントのアレイを提供することができる。
【0048】
磁気センサ装置は、磁性粒子の所定の空間依存性が基板の主表面の上で調節可能であるように適合され得る。例えば、基板の上の表面の半分には磁性粒子がないことがあり得るか、又は、何れかの勾配を表面に沿って施すことができる。したがって、粒子の非対称性を調節することができる。これは、合成すれば、利得アーチファクトを抑制することを可能にし得る個々の検出信号を検出することを更に可能にする。位置の関数としてのビーズの表面密度が徐々に減少することを予見することが効果的であり得る。バイオセンサでは、磁気ビーズは、センサ表面上に沈着させた(例えば、インクジェット印刷された)特定の抗体に標的分子を介して固定することができる。よって、抗体密度により、ビード結合密度が決まり得る。センサ装置の製造中、上記密度は、小滴の幾何学的形状、及びセンサに対するその位置を変えることによって変えることができる。
【0049】
磁界センサ装置は、複数の磁界発生器エレメントの別の部分が、(基板の主表面内でなく、)基板の主表面上に設けられる。したがって、磁界発生器エレメントは、基板内にモノリシック集積されるのみならず、基板の表面上にも設けることができる。例えば、バイオセンサを製造する際に基板上に沈着させることが多く、特に、基板の主表面の上部に設けられ得る金層は、更なる磁界発生器エレメントとしての役目を担うように(例えば、適切なエッチング及びリソグラフィの手順を行うことによって)パターン化することができる。
【0050】
磁気センサ装置は、別々の複数の磁界構成における複数の磁界発生器エレメントに影響を及ぼす磁性体を更に含み得る。前述の磁性体は、基板上及び/又は基板内に設けられ、1よりも大きな透磁率μの値を有する何れかの構造であり得る。前述の磁性体を設けると、検出器における更なる非対称性がもたらされ、したがって、検出手法における更なる非対称性がもたらされ、それにより、利得変動を除去又は抑制することが可能になる。前述の磁性体の例には、(GMR)センサと励起導線との間に配置された何れかの軟磁性材料がある。
【0051】
磁界発生器装置は、磁界方向が異なる別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合され得る。例えば、第1の動作状態では、ビーズが配置された装置部分において第1の方向を有する磁界を(例えば、内部磁界源の代わりに外部磁界源を使用して)施すことができる。第2の動作状態では、外部的に設けられる磁界は、第1の構成に対して傾いていることがあり得るものであり、前述の角動作状態の2つ以上を磁気センサ装置に順次施すことができる。
【0052】
合成装置は、複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させるよう適合され得る。したがって、信号対雑音比を向上させることができ、精度を向上させることができる。
【0053】
磁気センサ装置は、別々の複数の磁界構成間で切り替えるよう適合された切り替え装置を含み得る。切り替え装置が、別々の磁界発生器エレメントを処理するアルゴリズムは、CPUのような制御装置によって制御することができる。
【0054】
検出装置は、GMR、AMR及びTMRを含む群の効果に基づいて磁性粒子を検出するよう適合することができる。特に、磁界センサ装置は、交互にくる(強)磁性金属層及び非磁性金属層を含む薄膜構造にみられる量子力学上の効果である巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用することができる。上記効果は、隣接する(強)磁性層の磁化が、層間の弱い反強磁性結合によって逆平行であるゼロ状態から、隣接する層の磁化が、印加された外部磁界によって整列する低レベルの抵抗への、抵抗のかなりの減少としてそれ自体が表れる。非磁性金属の電子のスピンは、印加された磁界と平行又は逆平行に同数で整列し、よって、強磁性層の磁化が平行である場合に受ける磁気散乱はより低い。巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用するバイオセンサの例は国際公開2005/010542号パンフレット又は国際公開2005/010543号パンフレットに開示されている。
【0055】
合成装置は、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子の量を示す情報を導き出すよう適合され得る。すなわち、磁気センサは、例示的な実施例により、その有無にかかわらず「ディジタル」情報のみならず、粒子の濃度又は量を検出するという目標を有し得る。
ビーズの他の特性も推定することができる。
【0056】
磁気センサ装置は、生体分子に付着した磁気ビーズを検出するよう適合され得る。前述の生体分子は、タンパク質、DNA、遺伝子、核酸、ポリペプチド、ホルモン、抗体等であり得る。
【0057】
したがって、磁気センサ装置は、磁気バイオセンサ装置(すなわち、磁気検出原理に基づいて動作するバイオセンサ装置)として適合され得る。
【0058】
磁気センサ装置の少なくとも一部をモノリシック集積回路として実現することができる。したがって、磁気センサ装置の構成部分は、基板(例えば、半導体基板、特にシリコン基板)内にモノリシック集積され得る。しかし、ゲルマニウムや、何れかのIll−V族半導体(ガリウム砒素等など)などの他の半導体基板も可能である。
【0059】
次に、磁性粒子を検出する方法の更なる例示的な実施例を説明する。しかし、前述の実施例は、磁気センサ装置、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用される。
【0060】
方法は、生成、検出、及び合成の手順に先行して校正情報を判定する工程を含み得る。センサを校正することにより、検出信号及び別々の動作モードはより意味あるものになり得、特定の磁気センサの個々の特性(例えば、製造公差)に関するアーチファクトを効率的に抑制することができる。
【0061】
特に、校正情報を判定する工程は、磁性粒子がない状態で生成し、検出する工程、沈殿する磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、固定された磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、及び基準状態下で生成し、検出する工程を含む群の少なくとも1つを含み得る。前述の方策を採用することにより、(以下に更に詳細に説明するように)α及びβのようなパラメータは、実際のセンサ測定を行う前に判定し、よって、精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明の前述及び更なる局面は、後述する実施例の例から明らかであり、前述の実施例の例を参照して説明する。
【0063】
本発明は、本発明が限定されない実施例の例を参照して以下に更に詳細に説明する。
【実施例】
【0064】
図面中の例証を略示する。別々の図面では、同様又は同一の構成要素には同じ参照符号を付している。
【0065】
第1の実施例では、本発明による装置は、バイオセンサであり、図1及び図2について説明する。バイオセンサは、流体、液体、気体、粘弾性媒体、ゲルや、組織試料などの試料内の磁性粒子を検出する。磁性粒子は小さな寸法を有し得る。ナノ粒子は、0.1nm以上3000nm以下(好ましくは、3nm以上500nm以下。より好ましくは、10nm以上300nm以下)に及ぶ少なくとも1つの寸法を有する粒子を意味する。磁性粒子は、印加された磁界による磁気モーメントを得ることが可能である(常磁性を有し得る)。磁性粒子は、複合粒子であり得る(例えば、非磁性材料内の、又は非磁性材料に付着した磁性の1つ又は複数の小粒子を含み得る)。粒子は、変調磁界に対する非ゼロ応答をもたらす限り(すなわち、磁化率又は透磁率をもたらす場合)、使用することが可能である。
【0066】
装置は、基板10、及び回路(例えば、集積回路)を含み得る。
【0067】
装置の測定表面は、図1及び図2の点線で表す。本発明の実施例では、「基板」の語は、使用することができるか、又は、回路若しくはエピタキシャル層を上に形成することができる、下にある何れかの材料を含み得る。代替的な他の実施例では、この「基板」は、半導体基板(例えば、ドーピングされたシリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素・燐(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)や、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)の基板など)を含み得る。「基板」は例えば、半導体基板部分に加えて、SiO2層又はSi3N4層などの絶縁層を含み得る。よって、基板の語は、ガラス、プラスチック、セラミック、シリコンオンガラス、シリコンオンサファイアの基板も含む。「基板」の語はよって、関心の層又は関心の部分の下にある層の要素を概括的に定義するために使用される。更に、「基板」は、層(例えば、ガラス層や金属層)がその上に形成される何れかの他の基底であり得る。以下では、シリコン半導体が一般的に使用されるようにシリコン処理に言及するが、本発明は他の半導体材料装置に基づいて実現することができ、後述する誘電体材料及び導電材料と同等である適切な材料を選択することが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0068】
回路は、センサ・エレメントとしての磁気抵抗センサ11、及び別個の2つの導体12の形態の磁界発生器を含み得る。磁気抵抗センサ11は例えば、GMR、AMR、ホール、又はTMRのタイプのセンサであり得る。更に、検出装置11は、センサ表面上、又はセンサ表面近くで測定する対象の粒子の磁気特性の検出に基づく何れかの適切な検出装置11であり得る。したがって、検出装置11は、コイル、磁気抵抗センサ、磁気拘束センサ、ホール・センサ、平面型ホール・センサ、フラックス・ゲート・センサ、SQUID(半導体超伝導量子干渉デバイス)、磁気共鳴センサとして、又は磁界によって駆動される別のセンサとして設計可能である。
【0069】
磁気抵抗センサ11は例えば、細長い幾何学的形状(例えば、長く、狭いストライプ状の幾何学的形状)を有し得るが、この幾何学的形状に限定されない。センサ11及び導体12は、至近距離g及びhそれぞれ以内だけ離間して互いに隣接して配置され得る。センサ11と導体12との間の距離g及びhは例えば、1nm以上1mm以下(例えば、3μm)であり得る。最小距離はICプロセスによって決まってくる。
【0070】
図1及び図2では、センサ装置がxy平面に配置された場合、センサ11が主に、磁界のx成分を検出する(すなわち、x方向がセンサ11の高感度方向である)旨を示すよう座標装置が導入される。図1及び図2における矢印13は、本発明による、磁気抵抗センサ11の高感度のx方向を示す。センサ11は、センサ装置の平面に対して垂直の方向において決して高感度でないので、図面の垂直方向又はz方向では、導体12を通って流れる電流によって生じる磁界14は、磁性ナノ粒子15がない状態でセンサ11によって検出される訳でない。電流系列を磁気ナノ粒子15がない状態で導体12に印加することにより、センサ11の信号を校正することができる。この校正は好ましくは、測定の前に行われる。
【0071】
磁性材料(例えば、磁気イオン、分子、ナノ粒子15、磁気成分を備えた固体材料又は流体)は、導体12の近傍にあると、図2中、磁力線16で示す磁気モーメントmが発生する。図2に示す動作モードでは、左側の導体12のみが動作可能にされる(すなわち、電流が、この導体12を通って正のy軸に沿って流れる)一方、右側の導体12は動作不能にされる(すなわち、この導体12を通って流れる電流は存在しない)。
【0072】
次いで、磁気モーメントmは、センサ11の場所において平面内磁界成分17を有する双極性漂遊磁界を発生させる。よって、ナノ粒子15は、磁界14を、矢印13(図2)で示すセンサ11の高感度のx方向に偏らせる。センサ11の高感度のx方向にある磁界Hxのx成分は、センサ11によって検出され、磁性ナノ粒子15の数、及び導体電流Icに依存する。
【0073】
前述のセンサの一般的な構造の更なる詳細については、国際公開2005/010542号パンフレット及び国際公開2005/010543号パンフレットを参照されたい。
【0074】
図1乃至図2の参照番号20は、検出装置11の動作モードと磁界発生器エレメント12の動作モードを連係する制御装置を示す。合成装置30は、導線12の別々の駆動モードにおける、GMRセンサ11によって検出されたセンサ信号を合成する。前述の制御エンティティ20及び前述の合成装置30の実施例は、図3乃至図21Bを参照して以下に説明する。
【0075】
以下では、図3を参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置300を説明する。
【0076】
磁気センサ装置300は、実際に検出する対象のDNAストランド301に(例えば、リンカ分子を介して)付着したビーズ又は他の磁性ナノ粒子15を検出するよう適合される。磁気センサ装置300は、別個の2本の磁気ワイヤ12によって形成され、磁性粒子15の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁界発生器装置を有する。第1の磁界構成では、図3の左側に示す磁気ワイヤ12が動作可能にされ、図3の右側に示す磁気ワイヤ12は動作不能にされる。第2の動作状態では、図3の右側に示す磁気ワイヤ12のみが磁界を発生し、よって、動作可能にされる一方、図3の左側に示す磁気ワイヤ12は動作不能にされ、それにより、この動作状態において磁界が生成されなくなる。
【0077】
磁気ワイヤ12の動作可能状態及び動作不能状態は、CPU(中央処理装置)などの制御装置20によって制御される。
【0078】
更に、別々の磁界構成において磁性粒子15によって、その集中度に応じて特徴的な態様で影響を受ける複数の検出信号を検出するGMR検出装置11が提供される。
【0079】
処理及び/又はメモリの機能若しくは資源を有する合成装置30は、検出された信号を評価するためのアルゴリズムへのアクセスを有し得、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子15の存在を示す情報を導き出すことができる。以下に更に詳細に説明するように、合成装置30は、複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させる。
【0080】
更に図1から分かるように、構成部分11、12、20及び30が半導体基板302に集積される。生体分子301に付着させたビーズ15は、基板302の主表面303の近くに設けられ、その主表面303に沿って、磁気ワイヤ12が整列させられる。
【0081】
バイオセンサ300は、共通の基板302に集積することができる前述の複数の(例えば、百の)センサのアレイの一部であり得る。センサの原理は、超常磁性ビーズの検出に基づき得、溶液(例えば、血液)中の別々の多数の生体分子(例えば、タンパク質、DNA)の濃度を同時に測定するために使用することができる。これは、超常磁性ビーズ15を標的分子301に付着させ、このビーズ15を、印加された磁界を使用して磁化し、巨大磁気抵抗(GMR)センサ11を使用して、磁気ビーズ15の漂遊磁界を検出することによって実現することができる。
【0082】
図4は、一体化された励起を示す図400である。
【0083】
補助分子401が図4に示すバイオセンサの表面402上に固定され、ビーズ15を付着させた生体分子301のハイブリダイゼーション後、ビーズ15の有無を磁気ワイヤ12及びGMRセンサ11を使用して検出することができる。
【0084】
導線12中を流れる電流により、超常磁性ビーズ15を磁化する磁界が発生する。超常磁性ビーズ15からの標遊磁界により、GMRセンサ11内に平面内磁化成分Hextが発生し、それにより、抵抗変動ΔRGMR(Hext)が生じる。
【0085】
図5は、磁界Hがプロットされる横座標501を有する図500を示す。
【0086】
図500の縦座標502に沿って、抵抗Rがプロットされる。
【0087】
よって、図5は、GMRスタックの高感度層内の磁界Hextの関数としてのGMR抵抗を示す。GMR感度SGMR=dRGMR/dHextは、定数でなく、Hextに依存する。上述の通り、SGMR、及び、よって、バイオ測定の実効利得は、更に、制御可能でないパラメータに対して高感度である。
【0088】
実際の測定中にセンサ利得安定化アルゴリズムを施すことにより、上述の効果から生じるアーチファクトは、本発明の例示的な実施例によって効率的に抑制することができる。
【0089】
以下では、図6を参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気センサ600を説明する。
【0090】
図6の実施例では、別々の励起状態間の切り替えを行うことができる。
【0091】
ビーズ15の表面カバレッジはセンサ600の第1の半分601に制限される一方、第2の半分602にはビーズがない。励起磁界は連続して、2つの状態間で切り替えられる。
【0092】
第1の状態は図6に示す。図6では、左の磁気ワイヤ12は電流によって動作可能にされる一方、右の磁気ワイヤ12は、電流がないことによって動作不能にされる。
【0093】
図6の状態では、検出GMR電圧は、
u1=SGMR{HMXT1+HB1}
に簡約することができる。
【0094】
この等式では、SGMRはGMRセンサ11の感度であり、HMXT1はセンサ600の幾何学的形状によってもたらされる磁気クロストーク・フィールドであり、HB1は、表面303上の磁気ビーズ15からの漂遊磁界である。
【0095】
図7は、第2の動作状態における、同じバイオセンサ600を示す。左の磁気ワイヤ12は動作不能にされ、右の磁気ワイヤ12は電流の流れによって動作可能にされる。
【0096】
図7に示す第2の動作状態では、GMR電圧は、
u2=SGMR{HMXT1+βHB1}
であり、ここで、定数の係数βは、図6に示す第1の状態と比較して、ビーズ15からの、磁界内の変動を表す、係数βは、センサ600の幾何学的形状によって決まり、実際の測定(例えば、表面303上のビーズ15の沈殿に対する応答を測定する)前に校正することができる。
【0097】
その場合、両方の状態において観察された信号の加重差は、
u2-βu1=SGMR{HMXT1+βHB1}-βSGMR{HMXT1+HB1}=SGMR(1-β)HMXT1
として算出することができる。
【0098】
SGMR=(βu1-u2)/[(β-1)HMXT1]
を算出することにより、この値を使用して検出利得を正規化又は安定化することができる。実際のバイオ測定の前に、SGMRHMXT1はビーズ15なしで校正することができる。
【0099】
更なる励起状態を加える(例えば、両方の導線12を駆動させる)こと、及び更なる励起導線(すなわち、3つ以上の励起導線)を加えることにより、SGMRを算出するためにより多くの情報が利用可能になり得、その結果、精度を更に向上させることが可能になる。
【0100】
センサ600の対称的な幾何学的形状により、両方の状態(図6、図7)における磁気クロストークは同じであることを適切な近似においてみなすことができる。この前提が有効でないと思われる場合、更なる定数(例えば、測定前に校正される)がこれを補正することができる。
【0101】
図6及び図7に示す実施例は、厳密にセンサ600の一方の半分601上にあるビーズ15の外観に限定されない。同質の表面密度からの何れかのうまく制御された逸脱が考えられる。例えば、表面密度が徐々に減少することは、位置の関数である。
【0102】
センサに対する表面の高さが徐々に増加することにより、事実上、センサの一方側にあるビーズの影響が削減され得る。センサからより遠く、左と右との間の急峻な境界の使用を避け得る。より一般的には、左と右との間をはっきりと区別しなくてよい。
【0103】
以下では、図8A、図8Bを参照すれば、例示的な実施例によるバイオセンサ800を説明する。
【0104】
この実施例では、主表面303に垂直の方向における別々の位置での導線12間の切り替えが行われる。
【0105】
この実施例では、更なる電線12が、別々の垂直位置において配置され、内部クロストークとビーズ15の信号との間の関係を変えるために使用される。
【0106】
図8A、図8Bは、磁界発生導線12の垂直スタックを示す。図8Aでは、最も下の導線12が動作可能にされ、図8Bでは、最も上の導線12が動作可能にされる。
【0107】
図9A、図9Bに示す別の例示的な実施例によれば、パターン化された金層が磁界発生器導線901として設けられるバイオセンサ900が提供される。前述の金(Au)層は、バイオセンサ900の場合のように、バイオセンサの最上部に設けている場合が多い。
【0108】
図9Aでは、基板302に一体化された最も下の導線12が動作可能にされ、センサ900の表面903上に付着させたパターン化された金層901が動作不能にされる。図9Bでは、最も上の金導線901が動作可能にされ、埋め込まれた磁気ワイヤ12は動作不能にされる。
【0109】
図9Aに示す第1の段階では、検出GMR電圧は、
u1=SGMR{HMXT1+HB1}
として単純に表すことができる。
【0110】
ここで、SGMRはGMRセンサ11の感度であり、HMXT1はセンサ900の幾何学的形状によって生じる磁気クロストークであり、HB1は、表面303上の磁気ビーズ15からの信号である。
【0111】
図9Bに示す第2の動作状態では、GMR電圧は、
u2=SGMR{αHMXT1+βHB1}
である。
【0112】
ここでは、定数の係数α及びβは、図9Aに示す第1の状態とそれぞれ比較された、磁気クロストーク及びビーズ信号における変動を表す。上記係数は、センサ900の幾何学的形状によって決まり、実際の測定前に校正することができる。
【0113】
その場合、両方の測定の加重差は、
βu1-u2=βSGMR{HMXT1+HB1}-SGMR{αHMXT1+βHB1}=SGMR(β-α)HMXT1
として算出される。
【0114】
を使用することにより、
SGMR=(βu1-u2)/[(β-α)HMXT1]
検出器900の利得を安定化又は正規化することができる。
【0115】
係数α及び係数βは、センサ900の幾何学的形状によって決まってくるものであり得、実際の測定の前に(例えば、両方の状態について、ビーズ15なしで磁気クロストークを測定し、両方の状態について、表面上のビーズ15の沈殿に対するセンサ900の応答を測定することによって)校正することができる。
【0116】
更なる情報は、更なる駆動状態、及び/又は更なる磁界発生導線12、901を加えることによって実現することができる。
【0117】
この構成では、センサ表面303より上の数マイクロメートル以内の一塊のビーズ15は安定化処理に影響を及ぼし得る。これは、励起導線12、901の別々のz位置のためである。安定化中に、センサ900より上のビーズ15を除去することにより、この影響が回避又は抑制され得る。
【0118】
以下では、図10A、図10Bを参照すれば、例示的な実施例による磁気センサ装置1000を説明する。
【0119】
図10A及び図10Bに示す実施例では、非対称の導線寸法を使用する。例えば、励起導線12は、基板301の主表面303と垂直の方向において、異なる高さを有し得る。図10Aでは、左側に示す、寸法がより小さな磁気ワイヤ12が動作可能にされる一方、図10Aの右側に示す、寸法がより大きな磁気ワイヤ12が動作不能にされる。図10Bでは、ワイヤ12の駆動状態は逆である。
【0120】
図11A及び図11Bは、幅の(すなわち、表面平面303に平行の方向における)寸法が異なる磁気ワイヤ12を有する磁気センサ装置1100を示す。
【0121】
図11Aでは、左のワイヤ12が動作可能にされ、右のワイヤ12が動作不能にされる一方、図11Bでは、左のワイヤ12が動作不能にされ、右のワイヤ12が動作可能にされる。
【0122】
以下では、図12A及び図12Bを参照すれば、非対称GMRセンサ11の配置に基づいた磁気センサ装置1200を説明する。
【0123】
図12A及び図12Bから分かるように、非対称性は、GMRセンサをx方向に(すなわち、図12A、12Bの用紙の平面において左側から右側への方向において)ずらすことによって達成される。このx軸は、基板301の主表面303の平面に対しても平行である。
【0124】
図12Aでは、左の磁気ワイヤ12が動作可能にされる一方、右のワイヤ12が動作不能にされる。図12Bでは、2つのワイヤ12の駆動状態は逆である。
【0125】
図12A及び図12Bに示す実施例における動作原理及び校正手順を以下で、図13を参照して説明する。
【0126】
図13は、センサ1200の詳細な断面図である。
【0127】
ここでは、GMRセンサ11をx軸1201に沿って距離Δxだけずらす。以下に、図12A、図12Bに示す2つの励起状態におけるGMR信号の解析を示す。
【0128】
次に、第1の励起状態(すなわち、図13の左側に示す導線12が動作可能にされ、図13の右側に示す導線12が動作不能される状態)を説明する。
【0129】
図14は線図1400を示す。線図1400の横座標1401に沿って、x位置がプロットされる。縦軸1402に沿って、GMRセンサ11のHxがプロットされる。すなわち、GMRセンサ1200の高感度層内の平面内磁気クロストーク・フィールドは、ビーズ15の存在なしで算出される。
【0130】
x位置の関数としての、GMRの高感度層内の平面中磁気クロストーク・フィールドはそれにより、図14に示す(単一の導線Iwire,1によって誘導され、i=10mAである)。
【0131】
GMRの幅にわたってクロストーク・フィールドを平均化し、IGMR=1mA及び
SGMR=0.003Ωm/Aを代入することにより、クロストークGMR電圧信号は
UMXT1=−14.78μVに等しくなる。
【0132】
次の工程は、単位行幅を有するy軸に沿ったビーズ15の行によって誘導されるx正規化GMR電圧を、センサ表面における行のx位置の関数として算出する(z=0.64μm)。
【0133】
結果は図15に示す。
【0134】
線図1500は、横座標1501に沿ってプロットされたx位置に応じて縦座標1502上のx正規化GMR電圧を示す。
【0135】
したがって、図15は、1ビード/μm2という均一の表面密度、130nmのナノマグ・ビーズ、lGMR=100μm(SGMR=0.003Ωm/A)、Isense=1mA、Iwire,1=10mAでのx正規化GMR電圧(μV/μm)を示す。
【0136】
図15に示す曲線は、「空間表面インパルス応答」関数Unorm,x(x)とみなし得る。表面にわたる、1ビード/μm2という均一のビード分布を前提とすれば、ビーズからのGMR応答は、
【0137】
【数1】
に等しい。
【0138】
図12Aに示す第1の状態における合計GMR信号は、
u1=uMTX1+UB1=−14.03μV
に等しい。
【0139】
以下では、両方の導線12が動作可能にされた第2の状態を説明する。
【0140】
両方の導線12が動作可能にされる第2の状態における磁気クロストークを図16にプロットする。
【0141】
図16は、x位置をμmでプロットする横座標1601を有する図1600を示す。図1600の縦座標1602に沿って、フィールドをA/mでプロットする。
【0142】
したがって、図16は、単一の導線によって誘導される、x位置の関数としてのGMRの高感度層における平面内の磁気クロストーク・フィールドを示す(Iwire,1=Iwire,2=10mA)。
【0143】
これは、第2の導線(図13の右側に示す)が、図13の左側に示す第1の導線12よりもGMRセンサ11に近いことによって生じる。
【0144】
図17は、x位置がプロットされる横座標1701を有し、縦座標1702に沿ってセンサ電圧がμV/μmでプロットされる図1700を示す。
【0145】
図17は、表面303におけるビーズ15に対する応答を示し、1ビード/um2での均一な表面密度、130nmのナノマグ・ビーズ、lGMRの100μm(SGMR=
003Ωm/A)、Isense=1mA、Iwire,1=Iwire,2=10mAにおける、μv/μmでのX正規化GMR電圧を示す。
【0146】
ビーズ15からのGMR電圧は、
【0147】
【数2】
【0148】
【数3】
に等しい。
【0149】
次に、係数α及びβを定義する。上記係数は、第2の状態及び第1の状態における磁気クロストークとビーズ信号との間の比を表す。よって、
α=uMXT2/uMXT1=3.25
β=uB2/uB1=2.92
上記係数α及びβから、絶対磁気利得も算出又は導出することができる。
【0150】
次に、係数α及びβの校正を説明する。
【0151】
α及びβの理論値は、センサにおける製造公差によって影響を受ける。これにより、バイオ測定の前の校正工程が必要になる可能性が高くなる。以下に、前述の任意的な校正の実施例の詳細な説明を示す。
【0152】
係数αは、ビーズなしのセンサ応答を測定することにより、生化学的反応の前に校正し、判定することができる。
【0153】
u1,α=uMXT1、u2,α=αuMXT1、よって、α=uMXT2/uMXT1
である。
【0154】
ここで、u1,α及びu2,αは、利得のばらつきが無視できることを確実にするために非常に短い時間の間に測定される。短い測定時間のために、信号対雑音比は劣悪であり得る。したがって、算出されたα値は、許容可能な信号対雑音比を達成するために平均化することができる。
【0155】
係数βは、おそらく例えば、基準センサ上のビーズの沈殿又は固定化に対するセンサ応答から校正することができる。
【0156】
u1,β=uMXT1+uB1
であり、
u2,β=αuMXT1+βuB1
とした場合、係数βは、
β=(u2,β-αuMXT1)/(u1,β-uMXT1)
に等しくなる。
【0157】
校正中の利得のばらつきを避けるために、u1,β及びu2,βを、非常に短い時間中に測定することができ、その後、算出されたβ値が平均化される。βの校正がビーズの集中度についての知識を必要としないことは注目に値する。
【0158】
上述の通り、校正の目的でβを推定する場合、ビーズは基準センサ上で沈殿又は固定させることができる。しかし、βを推定するために、前述の基準センサを省略し、実際のセンサを使用することが可能である。次いで、固定されたビーズを校正後に除去することができる。例えば、ビーズは、層流によって流されるか、(例えば、外部の磁石によって発生した)磁界によって離され得る。
【0159】
次に、生化学的測定中の利得校正を説明する。
【0160】
検出器信号及び2つの励起状態を連続して測定することにより、生化学的反応が始まった時点における初期値に対する相対利得を算出することができる。
【0161】
t=0では、生化学的反応が始まると、センサ上にビーズ15は存在せず、
【0162】
【数4】
であり、ここでG(0)は利得係数t=0を表す。
【0163】
反応の過程で、ビーズ15はセンサを固定する。よって、
【0164】
【数5】
【0165】
【数6】
が算出される。
【0166】
これは、反応が開始したt=0に対する相対利得を表す。
【0167】
G(t)/G(0)をフィードフォワード構成で使用して、検出利得を正規化するか、又は、フィードバック・システムにおいて使用して、利得を、例えば、検出電流又は励起電流の振幅を制御することによって安定化させることができる。
【0168】
2つの利得測定間の時間は多くの場合、期待された利得SGMRのばらつきを追跡するには十分速い。
【0169】
更に、利得測定時間は好ましくは、利得測定中の、励起状態間の利得の変動を避けるのに十分短い。
【0170】
上述の通り、2つの励起状態は、同時に測定される周波数多重に施すことができる。よって、導線電流は、
【0171】
【数7】
である。
【0172】
前述の実施例では、やはり、測定間隔中のばらつきは、誤ったふうに結果に影響を及ぼすことはない。利得が、状態毎に実質的に変わるからである。
【0173】
この手法は、測定時間がより長いことがあり得るという効果を有する。これにより、増加した信号対雑音比で、平均利得が得られる。
【0174】
許容される損失及びエレクトロマイグレーションの限度により、導線1における各周波数成分における最大電流が2倍に制限され、それにより、その作用により、信号対雑音比が低下する。
【0175】
以下では、図18A、図18Bを参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気バイオセンサ1800を説明する。
【0176】
この実施例では、磁性体1801をシリコン基板302に、磁気ワイヤ12に対して非対称に一体化させる。
【0177】
μr≠1を有する前述の実体1801を加えることにより、導線12間の磁気対称性が変わる。これにより、2本の導線12の信号クロストーク比が変わる。
【0178】
図18Aでは、左の導線12が動作可能にされる一方、右の導線12は動作不能にされる。図18Bでは、左の導線12が動作不能にされる一方、右の導線12は動作可能にされる。
【0179】
以下では、図19A、図19Bを参照すれば、本発明の別の例示的な実施例による磁気センサ装置1900を説明する。
【0180】
図19A、図19Bに示す実施例では、磁界は、外部磁界源(図示せず)によって発生する。前述の外部磁界源は例えば、電磁石又は静的磁石であり得る。
【0181】
図19Aでは、外部磁界1901は第1の向きを有し、図19Bでは、外部磁界1902は第2の向きを有し、第1の向きに対して傾いている。
【0182】
すなわち、図19A、図19Bの実施例では、外部発生励起磁界1901、1902によってビーズ15が磁化される磁気バイオセンサ1900が提供される。2つの励起状態(図19A、図19B)は、GMRセンサ11の平面内平面における外部磁界1901、1902を傾けることによって達成される。
【0183】
上述の実施例の何れとの組合せも当然、容易に実行可能である。
【0184】
図20A、図20Bは、2つの状態における本発明の例示的な実施例による磁気バイオセンサ装置2000を示す。マルチプレーナ励起ワイヤ12を使用する。
【0185】
図20Aでは、内部ワイヤ12が動作可能にされる。図20Bでは、外部ワイヤ12が動作可能にされる。
【0186】
図21A、図21Bに示す更なる変形は、本発明の別の例示的な実施例によるセンサ装置2100に関する。
【0187】
図21A、図21Bでは、測定において関係するセンサ領域が小さいため、ビーズ表面密度の均一性に対する要求が緩和されるという効果を達成することができる。
【0188】
図21Aでは、1本の内部ワイヤ12のみが動作可能にされ、図21Bでは、1本の外部ワイヤ12のみが動作可能にされる。
【0189】
「comprising」の語は他の構成要素又は構成を排除せず、「a」又は「an」の語は複数形を排除しない。更に、別々の実施例に関連して記載した構成要素を組み合わせることができる。
【0190】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲記載の範囲を限定するものと解されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】第1の動作状態における例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図2】第2の動作状態における図1の磁気センサ装置を示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図4】例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図5】GMRスタックの高感度層内の磁界の関数としてのGMR抵抗を示す図である。
【図6】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図7】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図8】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図9】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図10】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図11】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図12】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図13】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図14】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図15】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図16】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図17】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図18A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図18B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図19A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図19B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図20A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図20B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図21A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図21B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子を検出する磁気センサ装置に関する。
【0002】
本発明は、磁性粒子を検出する方法に更に関する。
【0003】
更に、本発明はプログラム・エレメントに関する。
【0004】
更に、本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0005】
バイオセンサは、生物学的構成部分を物理化学又は物理検出器構成部分と結合した、分析物を検出するための装置であり得る。
【0006】
磁気バイオセンサは、磁気的であるか、又は磁気ビーズでラベリングされた生体分子を検出するために巨大磁気抵抗効果(GMR)を使用することができる。
【0007】
以下、この巨大磁気抵抗効果を使用することができるバイオセンサを説明する。
【0008】
国際公開2005/010542号パンフレットには、集積磁気センサ素子又はオンチップ磁気センサ素子を使用して磁性粒子の存在を検出又は判定する構成が開示されている。前述の装置は、マイクロアレイ上又はバイオチップ上の生体分子の結合を磁気的に検出するために使用することができる。特に、国際公開2005/010542号パンフレットには、少なくとも1つの磁性粒子の存在を判定する磁気センサ装置であって、基板上の磁気センサ素子と、AC磁界を発生させる磁界発生器と、少なくとも1つの磁性粒子の磁気特性を検出する磁気センサ素子を備えたセンサ回路であって、磁気特性がAC磁界に関係するセンサ回路とを備え、磁界発生器は基板上に一体化され、100Hz以上の周波数で動作するよう構成される磁気センサ装置が開示されている。
【0009】
国際公開第2005/010543号パンフレットには、基板上の磁気センサ素子と、基板上に磁界を発生させる少なくとも1つの磁界発生器とを備えた磁気センサ装置であって、磁気センサ素子と少なくとも1つの磁界発生器との間のクロストークを抑制するクロストーク抑制手段が存在している磁気センサ装置が開示されている。
【0010】
国際公開2005/111596号パンフレットには、磁界を印加し、磁性ナノ粒子が表面に付着している間の、磁性ナノ粒子の回転又は運動の自由度に関する物理パラメータを検出することにより、少なくとも1つの磁性ナノ粒子と、別の実体の表面との間の特異的結合を、より特異的でない結合と区別する構成が開示されている。上記センサは、磁性粒子又はラベルの検出を、別の実体の表面に結合された磁性粒子又はラベルの特性及び結合品質の判定と組み合わせる。
【0011】
しかし、前述のセンサの感度は、望ましくない状況下ではなお十分でないことがあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、十分な感度、安定性及び正確性を備えたセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本願の独立請求項による、磁性粒子を検出する磁気センサ装置、磁性粒子を検出する方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0014】
本発明の例示的な実施例によれば、磁性粒子を検出する磁気センサ装置が提供され、磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を(例えば、上記導線のそれぞれに別々の電流系列を印加することによって)発生させる(例えば、導線それぞれに印加された別々の電流系列は、磁性粒子に、例えば、磁性粒子に影響を及ぼす磁界の振幅及び/又は方向に関して、違ったふうに磁気的な影響を及ぼし得る)よう適合された磁界発生器装置(例えば、電流が印加される一本又は複数本の導線)と、別々の磁界構成における磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出するよう適合された検出装置(例えば、GMRセンサ)と、複数の信号を合成し、それにより、磁性粒子の存在を示す情報を(例えば、現実的な利得値をセンサ結果の基礎として算出するために)導き出す合成装置(例えば、処理機能を有し、適切な算出手法により、併せて個々のセンサ信号を評価することができるマイクロセッサ又はCPU)とを備える。
【0015】
本発明の別の例示的な実施例によれば、磁性粒子を検出する方法が提供される。上記方法は、磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させる工程と、別々の磁界構成における磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出する工程と、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子の存在を示す情報を導き出す工程とを含む。
【0016】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、磁性粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたプログラム・エレメントが提供される。
【0017】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、磁性粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたプログラム・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0018】
本発明の実施例による電子検出手法は、コンピュータ・プログラム(すなわち、ソフトウェア)か、特殊な1つ又は複数の電子最適化回路(すなわち、ハードウェア)の使用か、又は、混成形態(すなわち、ソフトウェア構成部分及びハードウェア構成部分)によって実現することが可能である。
【0019】
例示的な実施例によれば、磁気特性を使用して磁性粒子を検出する磁気(バイオ)センサ(例えば、生体分子に付着させたビーズ)は、(前述のセンサの別々の場所に配置された複数の導線によって発生する)別々の磁界構成と関係付けられた別々の動作状態で動作させ、それにより、信号対クロストークの関係を測定することにより、センサ(特に、GMRセンサ)の利得安定化を実現することができる。すなわち、別々の磁界構成における検出信号を検出すると、センサの精度を通常、乱す作用を抑制するために信号コンディショニング及び信号処理を行うことができる。
【0020】
例示的な実施例によれば、信号対クロストークの関係を測定することによる、磁気バイオセンサの前述の利得安定化は磁性粒子撮像を行うことによって得ることができる。磁性粒子検出を改善するために、磁性粒子センサの感度及び安定性を向上させることができる。複数の励起状態の間で交互に切り替え、検出信号を合成することにより、平均利得係数を求め、精度を向上させることが可能である。
【0021】
したがって、感度、特異性、一体化、使いやすさ、及びコストの点での、生体分子診断法の特性が向上した磁気抵抗バイオチップを提供することができる。
【0022】
本発明の例示的な実施例は、全てがセンサの幾何学的形状によって決まってくるので、検出電子回路装置におけるばらつき(例えば、検出電流の変動、励起電流の変動)も抑制することができる。更に、本発明の例示的な実施例により、t=0における状態を基準として使用して全体的な検出利得を安定化させることができるので、安定化方法が提供される。
【0023】
通常、感度(例えば、GMRセンサの感度)、したがって、バイオ測定の実効利得は、センサ内の磁気不安定性による非確率的感度のばらつきのような高感度パラメータ又は制御可能でないパラメータであり得る。この誤りは、基準センサ又はブリッジ構造を使用することにより、容易に除去することが可能でない。制御可能でない他のパラメータ(又は、容易に制御することが可能でないパラメータ)には、外部的に印加される磁界、製造公差、経年劣化作用、温度の影響、及びメモリ効果(例えば、磁気駆動フィールド)がある。
【0024】
更に、磁気的クロストーク及び静電容量的クロストークの内部補償手法は、GMR感度が変動する場合、うまく機能しないことがあり得る。
【0025】
前述の認識に照らせば、本発明の例示的な実施例は、実際の生体計測中のセンサ利得を安定化させようとするものである。
【0026】
本発明の例示的な実施例によれば、センサの利得は、磁気励起状態間で切り替えることにより、内部(幾何学的形状)依存性磁気的クロストークと、ビームからの信号との間の関係を連続して変えることにより、実際の生体計測中に測定される。更に、前述の状態において観察されたセンサ信号の組合せから利得係数(SGMR)を算出することが可能である。前述の利得係数をフィードバック回路又はフィードフォワード(ノーマライズ)回路において使用してバイオセンサ検出利得を安定化させることができる。
【0027】
前述の方法を施すためには、センサ近くのビーズの集中度についての詳細な知識を有していなくてもよいことがあり得る。相関していない(例えば、SMGR)誤り、及び、温度の影響のような相関している誤りを抑制することが可能であり得る。例えば、本発明の実施例を、相関している利得係数を抑制するセンサ多重化の手法に加えて使用することができる。
【0028】
2つの利得測定間の時間は、期待利得のばらつきを追跡するのに十分速いことがあり得る。更に、利得測定時間は好ましくは、利得測定中の、励起状態間の利得の変動を避けるのに十分短いことがあり得る。
【0029】
あるいは、励起状態は、時間多重モードで(次々と)印加されず、周波数多重モードで印加される。次いで、励起状態は、状態毎に別の励起周波数を使用することにより、同時に測定される。その結果、結果を誤らせる影響を及ぼす、測定中の利得のばらつきは、利得が状態毎に等しく変動するので、セキュアに避け、よって、測定時間中の平均利得をもたらすことができる。この実施例は、測定時間が長いことがあり得るという利点を有し得る。これにより、この方法によって得ることが可能な信号対雑音比を増加させることができる。
【0030】
本発明の実施例は、超常磁性ナノ粒子の一体化された励起に基づいたバイオセンサに適用できるが、AMRやTMRのような他の磁気抵抗センサも可能である。更に、実施例を外部励起手法に適用することが可能である。前述の外部励起手法は、センサが一体化された基板に外部的に磁界を印加することに基づく。しかし、センサ及び磁界発生器装置がともに基板内にかつ/又は基板上に一体化されていることも考えられる。
【0031】
例えば、SGMRは、ビード励起と同じ周波数範囲で測定することができる。これは、(1/f雑音、小さな電流、小さな電圧の影響を削減するための)信号対雑音比、及びビード測定との一貫性の理由による。
【0032】
更に、本発明の例示的な実施例は、他の磁気抵抗センサ構成(例えば、ホイートストーン・ブリッジ又はホイートストーン・ハーフブリッジを有するセンサを備えた構成、又は、本明細書及び特許請求の範囲に明記した他の増幅器及びセンサ電流エレメント)に適用することができる。
【0033】
前述以外に、本発明の実施例は、血液、唾液、及び他の体液、又は体組織から抽出された流体(例えば、排泄物)における何れかの生化学測定又は小分子測定に適用可能である。
【0034】
更に、本発明の実施例は、磁気ビードの検出、並びに、ビード特性(周波数依存性、緩和時間など)及び生化学結合品質(ビード回転など)の測定に適用することができる。
【0035】
本発明の実施例は、センサ利得又はセンサ感度が、幾何学的形状の影響等により、望ましくない態様で変動し得ることから生じるアーチファクトを抑制することができる。例示的な実施例によれば、複数の測定を、検出する対象の磁性粒子の種々の励起状態において行うことができる。これは、より正確か、又は意味がある利得値を算出することにより、数学的に結果を結合することにより、前述のアーチファクトを除去又は削減することを可能にし得る。例えば、種々の測定を、磁性粒子に対する、励起実体及び/又は検出実体の別々の角度/向きに割り当てることができる。
【0036】
磁界発生器(例えば、導線)を励起する場合、特定の電流プロファイルに関する制限は事実上存在しない。(特に、センサからの(磁気)1/f雑音と、その熱雑音とのクロスオーバ点よりもずっと上の周波数(100kHzであり得る)における)正弦波及び方形波を使用することが可能である。
【0037】
次に、磁気センサ装置の更なる例示的な実施例を説明する。しかし、前述の実施例は、磁性粒子を検出する方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用される。
【0038】
磁界発生器装置は、別々の複数の磁界構成を時間上、順次に発生させるよう適合され得る。前述の実施例によれば、第1の特定の磁界構成が調節される(例えば、2つの磁界発生器エレメントのうちの一方を動作可能にし、他方を動作不能にする)。前述の動作状態における検出信号を測定した後、別の磁界構成を(例えば、先行して動作可能にされた磁界発生器エレメントを動作不能にし、先行して動作不能にされたものを動作可能にすることによって)調節することができる。前述の時間多重手法により、幾何学的形状の影響等を抑制又は除去することができる。
【0039】
更に、又はあるいは、磁界発生器装置は、別々の複数の磁界構成を周波数多重によって発生させるよう適合され得る。この方策を採用することによれば、別々の磁界構成を次々と印加する必要はないが、同時に別々の周波数寄与分を混ぜることが必要である。これは、測定の時間及び効率の点で効果的であり得る。
【0040】
合成装置は、センサ利得の変動を平均化するよう適合され得る。磁性粒子の存在を示す情報を導き出すための複数の信号の合成は、数学的手順によって実行することができる。平均利得値を算出することにより、測定上のアーチファクトを効率的に抑制することができる。
【0041】
磁界発生器は、複数の磁界発生器エレメントを備え得る。前述の(空間的に離間しており、別個に制御可能な)複数の磁界発生器エレメントによれば、別々の磁界構成を、動作可能/動作不能にする特定の手法を実行し、それにより、磁界の空間依存性、及び、よって、検出信号の空間依存性を規定することによって調節することができる。
【0042】
複数の磁界発生器エレメントは、別々の複数の磁界構成を発生させるために、個々に、又は、群単位で動作可能にすることができる。これは、非常に柔軟性の高い単純な手法を実現することを可能にし得るものであり、何れかの所望のやり方で磁界環境を調節することを可能にする。
【0043】
検出装置は、複数の磁界発生器エレメントに対して対称的又は非対称的に配置することができる。例えば、GMRセンサなどの検出装置は、電流を印加することができる2つの磁界発生器エレメント(例えば、2本の磁気ワイヤ)間の重心に配置することができる。(厳密に)2つ以上の磁界発生器エレメントの重心にGMRセンサが配置されない非対称の幾何学的配置を備えることにより、空間的な非対称性を、検出信号の非対称性にマッピングすることができ、それにより、合成装置により、アーチファクトを除去することを更に可能にすることができる。
【0044】
複数の磁界発生器は、異なる寸法を有し得る。例えば、電流が流れ得る磁気ワイヤの(断面の)サイズは別々の磁界発生器エレメント毎に変わり、それにより、更なる非対称性、及び、検出信号の操作の更なる自由度が生じ得る。
【0045】
磁気センサ装置は、複数の磁界発生器エレメントの少なくとも一部が集積された基板を含み得る。前述の基板(例えば、半導体基板)は、モノリシック集積磁界発生器エレメントをその中に有し得る。前述の集積回路のレイアウトにより、磁界発生器エレメントの所望の非対称性又は空間依存性により、合成手法又は平均化手法を行うことが可能になり得る。
【0046】
基板内の複数の集積磁界発生器エレメントは、基板の主表面に平行に配置することができる。基板の上に、分析する対象の試料(例えば、流体試料)を設けることができる。前述の試料を供給することができる基板の表面は基板の主表面として表すことができる。前述の主表面の表面領域に沿って別々の磁界発生器エレメントを次々に並べることができる。
【0047】
基板内の複数の集積磁界発生器エレメントは、基板の主表面に垂直に配置することができる。したがって、任意的に、複数の磁界発生器エレメントの水平方向のアラインメントと組み合わせた垂直の磁界発生器エレメント・スタックを設けることができる。この方策を採用することにより、広範囲にわたる磁界構成を調節することを可能にする、磁界発生器エレメントのアレイを提供することができる。
【0048】
磁気センサ装置は、磁性粒子の所定の空間依存性が基板の主表面の上で調節可能であるように適合され得る。例えば、基板の上の表面の半分には磁性粒子がないことがあり得るか、又は、何れかの勾配を表面に沿って施すことができる。したがって、粒子の非対称性を調節することができる。これは、合成すれば、利得アーチファクトを抑制することを可能にし得る個々の検出信号を検出することを更に可能にする。位置の関数としてのビーズの表面密度が徐々に減少することを予見することが効果的であり得る。バイオセンサでは、磁気ビーズは、センサ表面上に沈着させた(例えば、インクジェット印刷された)特定の抗体に標的分子を介して固定することができる。よって、抗体密度により、ビード結合密度が決まり得る。センサ装置の製造中、上記密度は、小滴の幾何学的形状、及びセンサに対するその位置を変えることによって変えることができる。
【0049】
磁界センサ装置は、複数の磁界発生器エレメントの別の部分が、(基板の主表面内でなく、)基板の主表面上に設けられる。したがって、磁界発生器エレメントは、基板内にモノリシック集積されるのみならず、基板の表面上にも設けることができる。例えば、バイオセンサを製造する際に基板上に沈着させることが多く、特に、基板の主表面の上部に設けられ得る金層は、更なる磁界発生器エレメントとしての役目を担うように(例えば、適切なエッチング及びリソグラフィの手順を行うことによって)パターン化することができる。
【0050】
磁気センサ装置は、別々の複数の磁界構成における複数の磁界発生器エレメントに影響を及ぼす磁性体を更に含み得る。前述の磁性体は、基板上及び/又は基板内に設けられ、1よりも大きな透磁率μの値を有する何れかの構造であり得る。前述の磁性体を設けると、検出器における更なる非対称性がもたらされ、したがって、検出手法における更なる非対称性がもたらされ、それにより、利得変動を除去又は抑制することが可能になる。前述の磁性体の例には、(GMR)センサと励起導線との間に配置された何れかの軟磁性材料がある。
【0051】
磁界発生器装置は、磁界方向が異なる別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合され得る。例えば、第1の動作状態では、ビーズが配置された装置部分において第1の方向を有する磁界を(例えば、内部磁界源の代わりに外部磁界源を使用して)施すことができる。第2の動作状態では、外部的に設けられる磁界は、第1の構成に対して傾いていることがあり得るものであり、前述の角動作状態の2つ以上を磁気センサ装置に順次施すことができる。
【0052】
合成装置は、複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させるよう適合され得る。したがって、信号対雑音比を向上させることができ、精度を向上させることができる。
【0053】
磁気センサ装置は、別々の複数の磁界構成間で切り替えるよう適合された切り替え装置を含み得る。切り替え装置が、別々の磁界発生器エレメントを処理するアルゴリズムは、CPUのような制御装置によって制御することができる。
【0054】
検出装置は、GMR、AMR及びTMRを含む群の効果に基づいて磁性粒子を検出するよう適合することができる。特に、磁界センサ装置は、交互にくる(強)磁性金属層及び非磁性金属層を含む薄膜構造にみられる量子力学上の効果である巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用することができる。上記効果は、隣接する(強)磁性層の磁化が、層間の弱い反強磁性結合によって逆平行であるゼロ状態から、隣接する層の磁化が、印加された外部磁界によって整列する低レベルの抵抗への、抵抗のかなりの減少としてそれ自体が表れる。非磁性金属の電子のスピンは、印加された磁界と平行又は逆平行に同数で整列し、よって、強磁性層の磁化が平行である場合に受ける磁気散乱はより低い。巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用するバイオセンサの例は国際公開2005/010542号パンフレット又は国際公開2005/010543号パンフレットに開示されている。
【0055】
合成装置は、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子の量を示す情報を導き出すよう適合され得る。すなわち、磁気センサは、例示的な実施例により、その有無にかかわらず「ディジタル」情報のみならず、粒子の濃度又は量を検出するという目標を有し得る。
ビーズの他の特性も推定することができる。
【0056】
磁気センサ装置は、生体分子に付着した磁気ビーズを検出するよう適合され得る。前述の生体分子は、タンパク質、DNA、遺伝子、核酸、ポリペプチド、ホルモン、抗体等であり得る。
【0057】
したがって、磁気センサ装置は、磁気バイオセンサ装置(すなわち、磁気検出原理に基づいて動作するバイオセンサ装置)として適合され得る。
【0058】
磁気センサ装置の少なくとも一部をモノリシック集積回路として実現することができる。したがって、磁気センサ装置の構成部分は、基板(例えば、半導体基板、特にシリコン基板)内にモノリシック集積され得る。しかし、ゲルマニウムや、何れかのIll−V族半導体(ガリウム砒素等など)などの他の半導体基板も可能である。
【0059】
次に、磁性粒子を検出する方法の更なる例示的な実施例を説明する。しかし、前述の実施例は、磁気センサ装置、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用される。
【0060】
方法は、生成、検出、及び合成の手順に先行して校正情報を判定する工程を含み得る。センサを校正することにより、検出信号及び別々の動作モードはより意味あるものになり得、特定の磁気センサの個々の特性(例えば、製造公差)に関するアーチファクトを効率的に抑制することができる。
【0061】
特に、校正情報を判定する工程は、磁性粒子がない状態で生成し、検出する工程、沈殿する磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、固定された磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、及び基準状態下で生成し、検出する工程を含む群の少なくとも1つを含み得る。前述の方策を採用することにより、(以下に更に詳細に説明するように)α及びβのようなパラメータは、実際のセンサ測定を行う前に判定し、よって、精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明の前述及び更なる局面は、後述する実施例の例から明らかであり、前述の実施例の例を参照して説明する。
【0063】
本発明は、本発明が限定されない実施例の例を参照して以下に更に詳細に説明する。
【実施例】
【0064】
図面中の例証を略示する。別々の図面では、同様又は同一の構成要素には同じ参照符号を付している。
【0065】
第1の実施例では、本発明による装置は、バイオセンサであり、図1及び図2について説明する。バイオセンサは、流体、液体、気体、粘弾性媒体、ゲルや、組織試料などの試料内の磁性粒子を検出する。磁性粒子は小さな寸法を有し得る。ナノ粒子は、0.1nm以上3000nm以下(好ましくは、3nm以上500nm以下。より好ましくは、10nm以上300nm以下)に及ぶ少なくとも1つの寸法を有する粒子を意味する。磁性粒子は、印加された磁界による磁気モーメントを得ることが可能である(常磁性を有し得る)。磁性粒子は、複合粒子であり得る(例えば、非磁性材料内の、又は非磁性材料に付着した磁性の1つ又は複数の小粒子を含み得る)。粒子は、変調磁界に対する非ゼロ応答をもたらす限り(すなわち、磁化率又は透磁率をもたらす場合)、使用することが可能である。
【0066】
装置は、基板10、及び回路(例えば、集積回路)を含み得る。
【0067】
装置の測定表面は、図1及び図2の点線で表す。本発明の実施例では、「基板」の語は、使用することができるか、又は、回路若しくはエピタキシャル層を上に形成することができる、下にある何れかの材料を含み得る。代替的な他の実施例では、この「基板」は、半導体基板(例えば、ドーピングされたシリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素・燐(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)や、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)の基板など)を含み得る。「基板」は例えば、半導体基板部分に加えて、SiO2層又はSi3N4層などの絶縁層を含み得る。よって、基板の語は、ガラス、プラスチック、セラミック、シリコンオンガラス、シリコンオンサファイアの基板も含む。「基板」の語はよって、関心の層又は関心の部分の下にある層の要素を概括的に定義するために使用される。更に、「基板」は、層(例えば、ガラス層や金属層)がその上に形成される何れかの他の基底であり得る。以下では、シリコン半導体が一般的に使用されるようにシリコン処理に言及するが、本発明は他の半導体材料装置に基づいて実現することができ、後述する誘電体材料及び導電材料と同等である適切な材料を選択することが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0068】
回路は、センサ・エレメントとしての磁気抵抗センサ11、及び別個の2つの導体12の形態の磁界発生器を含み得る。磁気抵抗センサ11は例えば、GMR、AMR、ホール、又はTMRのタイプのセンサであり得る。更に、検出装置11は、センサ表面上、又はセンサ表面近くで測定する対象の粒子の磁気特性の検出に基づく何れかの適切な検出装置11であり得る。したがって、検出装置11は、コイル、磁気抵抗センサ、磁気拘束センサ、ホール・センサ、平面型ホール・センサ、フラックス・ゲート・センサ、SQUID(半導体超伝導量子干渉デバイス)、磁気共鳴センサとして、又は磁界によって駆動される別のセンサとして設計可能である。
【0069】
磁気抵抗センサ11は例えば、細長い幾何学的形状(例えば、長く、狭いストライプ状の幾何学的形状)を有し得るが、この幾何学的形状に限定されない。センサ11及び導体12は、至近距離g及びhそれぞれ以内だけ離間して互いに隣接して配置され得る。センサ11と導体12との間の距離g及びhは例えば、1nm以上1mm以下(例えば、3μm)であり得る。最小距離はICプロセスによって決まってくる。
【0070】
図1及び図2では、センサ装置がxy平面に配置された場合、センサ11が主に、磁界のx成分を検出する(すなわち、x方向がセンサ11の高感度方向である)旨を示すよう座標装置が導入される。図1及び図2における矢印13は、本発明による、磁気抵抗センサ11の高感度のx方向を示す。センサ11は、センサ装置の平面に対して垂直の方向において決して高感度でないので、図面の垂直方向又はz方向では、導体12を通って流れる電流によって生じる磁界14は、磁性ナノ粒子15がない状態でセンサ11によって検出される訳でない。電流系列を磁気ナノ粒子15がない状態で導体12に印加することにより、センサ11の信号を校正することができる。この校正は好ましくは、測定の前に行われる。
【0071】
磁性材料(例えば、磁気イオン、分子、ナノ粒子15、磁気成分を備えた固体材料又は流体)は、導体12の近傍にあると、図2中、磁力線16で示す磁気モーメントmが発生する。図2に示す動作モードでは、左側の導体12のみが動作可能にされる(すなわち、電流が、この導体12を通って正のy軸に沿って流れる)一方、右側の導体12は動作不能にされる(すなわち、この導体12を通って流れる電流は存在しない)。
【0072】
次いで、磁気モーメントmは、センサ11の場所において平面内磁界成分17を有する双極性漂遊磁界を発生させる。よって、ナノ粒子15は、磁界14を、矢印13(図2)で示すセンサ11の高感度のx方向に偏らせる。センサ11の高感度のx方向にある磁界Hxのx成分は、センサ11によって検出され、磁性ナノ粒子15の数、及び導体電流Icに依存する。
【0073】
前述のセンサの一般的な構造の更なる詳細については、国際公開2005/010542号パンフレット及び国際公開2005/010543号パンフレットを参照されたい。
【0074】
図1乃至図2の参照番号20は、検出装置11の動作モードと磁界発生器エレメント12の動作モードを連係する制御装置を示す。合成装置30は、導線12の別々の駆動モードにおける、GMRセンサ11によって検出されたセンサ信号を合成する。前述の制御エンティティ20及び前述の合成装置30の実施例は、図3乃至図21Bを参照して以下に説明する。
【0075】
以下では、図3を参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置300を説明する。
【0076】
磁気センサ装置300は、実際に検出する対象のDNAストランド301に(例えば、リンカ分子を介して)付着したビーズ又は他の磁性ナノ粒子15を検出するよう適合される。磁気センサ装置300は、別個の2本の磁気ワイヤ12によって形成され、磁性粒子15の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁界発生器装置を有する。第1の磁界構成では、図3の左側に示す磁気ワイヤ12が動作可能にされ、図3の右側に示す磁気ワイヤ12は動作不能にされる。第2の動作状態では、図3の右側に示す磁気ワイヤ12のみが磁界を発生し、よって、動作可能にされる一方、図3の左側に示す磁気ワイヤ12は動作不能にされ、それにより、この動作状態において磁界が生成されなくなる。
【0077】
磁気ワイヤ12の動作可能状態及び動作不能状態は、CPU(中央処理装置)などの制御装置20によって制御される。
【0078】
更に、別々の磁界構成において磁性粒子15によって、その集中度に応じて特徴的な態様で影響を受ける複数の検出信号を検出するGMR検出装置11が提供される。
【0079】
処理及び/又はメモリの機能若しくは資源を有する合成装置30は、検出された信号を評価するためのアルゴリズムへのアクセスを有し得、複数の信号を合成して、それにより、磁性粒子15の存在を示す情報を導き出すことができる。以下に更に詳細に説明するように、合成装置30は、複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させる。
【0080】
更に図1から分かるように、構成部分11、12、20及び30が半導体基板302に集積される。生体分子301に付着させたビーズ15は、基板302の主表面303の近くに設けられ、その主表面303に沿って、磁気ワイヤ12が整列させられる。
【0081】
バイオセンサ300は、共通の基板302に集積することができる前述の複数の(例えば、百の)センサのアレイの一部であり得る。センサの原理は、超常磁性ビーズの検出に基づき得、溶液(例えば、血液)中の別々の多数の生体分子(例えば、タンパク質、DNA)の濃度を同時に測定するために使用することができる。これは、超常磁性ビーズ15を標的分子301に付着させ、このビーズ15を、印加された磁界を使用して磁化し、巨大磁気抵抗(GMR)センサ11を使用して、磁気ビーズ15の漂遊磁界を検出することによって実現することができる。
【0082】
図4は、一体化された励起を示す図400である。
【0083】
補助分子401が図4に示すバイオセンサの表面402上に固定され、ビーズ15を付着させた生体分子301のハイブリダイゼーション後、ビーズ15の有無を磁気ワイヤ12及びGMRセンサ11を使用して検出することができる。
【0084】
導線12中を流れる電流により、超常磁性ビーズ15を磁化する磁界が発生する。超常磁性ビーズ15からの標遊磁界により、GMRセンサ11内に平面内磁化成分Hextが発生し、それにより、抵抗変動ΔRGMR(Hext)が生じる。
【0085】
図5は、磁界Hがプロットされる横座標501を有する図500を示す。
【0086】
図500の縦座標502に沿って、抵抗Rがプロットされる。
【0087】
よって、図5は、GMRスタックの高感度層内の磁界Hextの関数としてのGMR抵抗を示す。GMR感度SGMR=dRGMR/dHextは、定数でなく、Hextに依存する。上述の通り、SGMR、及び、よって、バイオ測定の実効利得は、更に、制御可能でないパラメータに対して高感度である。
【0088】
実際の測定中にセンサ利得安定化アルゴリズムを施すことにより、上述の効果から生じるアーチファクトは、本発明の例示的な実施例によって効率的に抑制することができる。
【0089】
以下では、図6を参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気センサ600を説明する。
【0090】
図6の実施例では、別々の励起状態間の切り替えを行うことができる。
【0091】
ビーズ15の表面カバレッジはセンサ600の第1の半分601に制限される一方、第2の半分602にはビーズがない。励起磁界は連続して、2つの状態間で切り替えられる。
【0092】
第1の状態は図6に示す。図6では、左の磁気ワイヤ12は電流によって動作可能にされる一方、右の磁気ワイヤ12は、電流がないことによって動作不能にされる。
【0093】
図6の状態では、検出GMR電圧は、
u1=SGMR{HMXT1+HB1}
に簡約することができる。
【0094】
この等式では、SGMRはGMRセンサ11の感度であり、HMXT1はセンサ600の幾何学的形状によってもたらされる磁気クロストーク・フィールドであり、HB1は、表面303上の磁気ビーズ15からの漂遊磁界である。
【0095】
図7は、第2の動作状態における、同じバイオセンサ600を示す。左の磁気ワイヤ12は動作不能にされ、右の磁気ワイヤ12は電流の流れによって動作可能にされる。
【0096】
図7に示す第2の動作状態では、GMR電圧は、
u2=SGMR{HMXT1+βHB1}
であり、ここで、定数の係数βは、図6に示す第1の状態と比較して、ビーズ15からの、磁界内の変動を表す、係数βは、センサ600の幾何学的形状によって決まり、実際の測定(例えば、表面303上のビーズ15の沈殿に対する応答を測定する)前に校正することができる。
【0097】
その場合、両方の状態において観察された信号の加重差は、
u2-βu1=SGMR{HMXT1+βHB1}-βSGMR{HMXT1+HB1}=SGMR(1-β)HMXT1
として算出することができる。
【0098】
SGMR=(βu1-u2)/[(β-1)HMXT1]
を算出することにより、この値を使用して検出利得を正規化又は安定化することができる。実際のバイオ測定の前に、SGMRHMXT1はビーズ15なしで校正することができる。
【0099】
更なる励起状態を加える(例えば、両方の導線12を駆動させる)こと、及び更なる励起導線(すなわち、3つ以上の励起導線)を加えることにより、SGMRを算出するためにより多くの情報が利用可能になり得、その結果、精度を更に向上させることが可能になる。
【0100】
センサ600の対称的な幾何学的形状により、両方の状態(図6、図7)における磁気クロストークは同じであることを適切な近似においてみなすことができる。この前提が有効でないと思われる場合、更なる定数(例えば、測定前に校正される)がこれを補正することができる。
【0101】
図6及び図7に示す実施例は、厳密にセンサ600の一方の半分601上にあるビーズ15の外観に限定されない。同質の表面密度からの何れかのうまく制御された逸脱が考えられる。例えば、表面密度が徐々に減少することは、位置の関数である。
【0102】
センサに対する表面の高さが徐々に増加することにより、事実上、センサの一方側にあるビーズの影響が削減され得る。センサからより遠く、左と右との間の急峻な境界の使用を避け得る。より一般的には、左と右との間をはっきりと区別しなくてよい。
【0103】
以下では、図8A、図8Bを参照すれば、例示的な実施例によるバイオセンサ800を説明する。
【0104】
この実施例では、主表面303に垂直の方向における別々の位置での導線12間の切り替えが行われる。
【0105】
この実施例では、更なる電線12が、別々の垂直位置において配置され、内部クロストークとビーズ15の信号との間の関係を変えるために使用される。
【0106】
図8A、図8Bは、磁界発生導線12の垂直スタックを示す。図8Aでは、最も下の導線12が動作可能にされ、図8Bでは、最も上の導線12が動作可能にされる。
【0107】
図9A、図9Bに示す別の例示的な実施例によれば、パターン化された金層が磁界発生器導線901として設けられるバイオセンサ900が提供される。前述の金(Au)層は、バイオセンサ900の場合のように、バイオセンサの最上部に設けている場合が多い。
【0108】
図9Aでは、基板302に一体化された最も下の導線12が動作可能にされ、センサ900の表面903上に付着させたパターン化された金層901が動作不能にされる。図9Bでは、最も上の金導線901が動作可能にされ、埋め込まれた磁気ワイヤ12は動作不能にされる。
【0109】
図9Aに示す第1の段階では、検出GMR電圧は、
u1=SGMR{HMXT1+HB1}
として単純に表すことができる。
【0110】
ここで、SGMRはGMRセンサ11の感度であり、HMXT1はセンサ900の幾何学的形状によって生じる磁気クロストークであり、HB1は、表面303上の磁気ビーズ15からの信号である。
【0111】
図9Bに示す第2の動作状態では、GMR電圧は、
u2=SGMR{αHMXT1+βHB1}
である。
【0112】
ここでは、定数の係数α及びβは、図9Aに示す第1の状態とそれぞれ比較された、磁気クロストーク及びビーズ信号における変動を表す。上記係数は、センサ900の幾何学的形状によって決まり、実際の測定前に校正することができる。
【0113】
その場合、両方の測定の加重差は、
βu1-u2=βSGMR{HMXT1+HB1}-SGMR{αHMXT1+βHB1}=SGMR(β-α)HMXT1
として算出される。
【0114】
を使用することにより、
SGMR=(βu1-u2)/[(β-α)HMXT1]
検出器900の利得を安定化又は正規化することができる。
【0115】
係数α及び係数βは、センサ900の幾何学的形状によって決まってくるものであり得、実際の測定の前に(例えば、両方の状態について、ビーズ15なしで磁気クロストークを測定し、両方の状態について、表面上のビーズ15の沈殿に対するセンサ900の応答を測定することによって)校正することができる。
【0116】
更なる情報は、更なる駆動状態、及び/又は更なる磁界発生導線12、901を加えることによって実現することができる。
【0117】
この構成では、センサ表面303より上の数マイクロメートル以内の一塊のビーズ15は安定化処理に影響を及ぼし得る。これは、励起導線12、901の別々のz位置のためである。安定化中に、センサ900より上のビーズ15を除去することにより、この影響が回避又は抑制され得る。
【0118】
以下では、図10A、図10Bを参照すれば、例示的な実施例による磁気センサ装置1000を説明する。
【0119】
図10A及び図10Bに示す実施例では、非対称の導線寸法を使用する。例えば、励起導線12は、基板301の主表面303と垂直の方向において、異なる高さを有し得る。図10Aでは、左側に示す、寸法がより小さな磁気ワイヤ12が動作可能にされる一方、図10Aの右側に示す、寸法がより大きな磁気ワイヤ12が動作不能にされる。図10Bでは、ワイヤ12の駆動状態は逆である。
【0120】
図11A及び図11Bは、幅の(すなわち、表面平面303に平行の方向における)寸法が異なる磁気ワイヤ12を有する磁気センサ装置1100を示す。
【0121】
図11Aでは、左のワイヤ12が動作可能にされ、右のワイヤ12が動作不能にされる一方、図11Bでは、左のワイヤ12が動作不能にされ、右のワイヤ12が動作可能にされる。
【0122】
以下では、図12A及び図12Bを参照すれば、非対称GMRセンサ11の配置に基づいた磁気センサ装置1200を説明する。
【0123】
図12A及び図12Bから分かるように、非対称性は、GMRセンサをx方向に(すなわち、図12A、12Bの用紙の平面において左側から右側への方向において)ずらすことによって達成される。このx軸は、基板301の主表面303の平面に対しても平行である。
【0124】
図12Aでは、左の磁気ワイヤ12が動作可能にされる一方、右のワイヤ12が動作不能にされる。図12Bでは、2つのワイヤ12の駆動状態は逆である。
【0125】
図12A及び図12Bに示す実施例における動作原理及び校正手順を以下で、図13を参照して説明する。
【0126】
図13は、センサ1200の詳細な断面図である。
【0127】
ここでは、GMRセンサ11をx軸1201に沿って距離Δxだけずらす。以下に、図12A、図12Bに示す2つの励起状態におけるGMR信号の解析を示す。
【0128】
次に、第1の励起状態(すなわち、図13の左側に示す導線12が動作可能にされ、図13の右側に示す導線12が動作不能される状態)を説明する。
【0129】
図14は線図1400を示す。線図1400の横座標1401に沿って、x位置がプロットされる。縦軸1402に沿って、GMRセンサ11のHxがプロットされる。すなわち、GMRセンサ1200の高感度層内の平面内磁気クロストーク・フィールドは、ビーズ15の存在なしで算出される。
【0130】
x位置の関数としての、GMRの高感度層内の平面中磁気クロストーク・フィールドはそれにより、図14に示す(単一の導線Iwire,1によって誘導され、i=10mAである)。
【0131】
GMRの幅にわたってクロストーク・フィールドを平均化し、IGMR=1mA及び
SGMR=0.003Ωm/Aを代入することにより、クロストークGMR電圧信号は
UMXT1=−14.78μVに等しくなる。
【0132】
次の工程は、単位行幅を有するy軸に沿ったビーズ15の行によって誘導されるx正規化GMR電圧を、センサ表面における行のx位置の関数として算出する(z=0.64μm)。
【0133】
結果は図15に示す。
【0134】
線図1500は、横座標1501に沿ってプロットされたx位置に応じて縦座標1502上のx正規化GMR電圧を示す。
【0135】
したがって、図15は、1ビード/μm2という均一の表面密度、130nmのナノマグ・ビーズ、lGMR=100μm(SGMR=0.003Ωm/A)、Isense=1mA、Iwire,1=10mAでのx正規化GMR電圧(μV/μm)を示す。
【0136】
図15に示す曲線は、「空間表面インパルス応答」関数Unorm,x(x)とみなし得る。表面にわたる、1ビード/μm2という均一のビード分布を前提とすれば、ビーズからのGMR応答は、
【0137】
【数1】
に等しい。
【0138】
図12Aに示す第1の状態における合計GMR信号は、
u1=uMTX1+UB1=−14.03μV
に等しい。
【0139】
以下では、両方の導線12が動作可能にされた第2の状態を説明する。
【0140】
両方の導線12が動作可能にされる第2の状態における磁気クロストークを図16にプロットする。
【0141】
図16は、x位置をμmでプロットする横座標1601を有する図1600を示す。図1600の縦座標1602に沿って、フィールドをA/mでプロットする。
【0142】
したがって、図16は、単一の導線によって誘導される、x位置の関数としてのGMRの高感度層における平面内の磁気クロストーク・フィールドを示す(Iwire,1=Iwire,2=10mA)。
【0143】
これは、第2の導線(図13の右側に示す)が、図13の左側に示す第1の導線12よりもGMRセンサ11に近いことによって生じる。
【0144】
図17は、x位置がプロットされる横座標1701を有し、縦座標1702に沿ってセンサ電圧がμV/μmでプロットされる図1700を示す。
【0145】
図17は、表面303におけるビーズ15に対する応答を示し、1ビード/um2での均一な表面密度、130nmのナノマグ・ビーズ、lGMRの100μm(SGMR=
003Ωm/A)、Isense=1mA、Iwire,1=Iwire,2=10mAにおける、μv/μmでのX正規化GMR電圧を示す。
【0146】
ビーズ15からのGMR電圧は、
【0147】
【数2】
【0148】
【数3】
に等しい。
【0149】
次に、係数α及びβを定義する。上記係数は、第2の状態及び第1の状態における磁気クロストークとビーズ信号との間の比を表す。よって、
α=uMXT2/uMXT1=3.25
β=uB2/uB1=2.92
上記係数α及びβから、絶対磁気利得も算出又は導出することができる。
【0150】
次に、係数α及びβの校正を説明する。
【0151】
α及びβの理論値は、センサにおける製造公差によって影響を受ける。これにより、バイオ測定の前の校正工程が必要になる可能性が高くなる。以下に、前述の任意的な校正の実施例の詳細な説明を示す。
【0152】
係数αは、ビーズなしのセンサ応答を測定することにより、生化学的反応の前に校正し、判定することができる。
【0153】
u1,α=uMXT1、u2,α=αuMXT1、よって、α=uMXT2/uMXT1
である。
【0154】
ここで、u1,α及びu2,αは、利得のばらつきが無視できることを確実にするために非常に短い時間の間に測定される。短い測定時間のために、信号対雑音比は劣悪であり得る。したがって、算出されたα値は、許容可能な信号対雑音比を達成するために平均化することができる。
【0155】
係数βは、おそらく例えば、基準センサ上のビーズの沈殿又は固定化に対するセンサ応答から校正することができる。
【0156】
u1,β=uMXT1+uB1
であり、
u2,β=αuMXT1+βuB1
とした場合、係数βは、
β=(u2,β-αuMXT1)/(u1,β-uMXT1)
に等しくなる。
【0157】
校正中の利得のばらつきを避けるために、u1,β及びu2,βを、非常に短い時間中に測定することができ、その後、算出されたβ値が平均化される。βの校正がビーズの集中度についての知識を必要としないことは注目に値する。
【0158】
上述の通り、校正の目的でβを推定する場合、ビーズは基準センサ上で沈殿又は固定させることができる。しかし、βを推定するために、前述の基準センサを省略し、実際のセンサを使用することが可能である。次いで、固定されたビーズを校正後に除去することができる。例えば、ビーズは、層流によって流されるか、(例えば、外部の磁石によって発生した)磁界によって離され得る。
【0159】
次に、生化学的測定中の利得校正を説明する。
【0160】
検出器信号及び2つの励起状態を連続して測定することにより、生化学的反応が始まった時点における初期値に対する相対利得を算出することができる。
【0161】
t=0では、生化学的反応が始まると、センサ上にビーズ15は存在せず、
【0162】
【数4】
であり、ここでG(0)は利得係数t=0を表す。
【0163】
反応の過程で、ビーズ15はセンサを固定する。よって、
【0164】
【数5】
【0165】
【数6】
が算出される。
【0166】
これは、反応が開始したt=0に対する相対利得を表す。
【0167】
G(t)/G(0)をフィードフォワード構成で使用して、検出利得を正規化するか、又は、フィードバック・システムにおいて使用して、利得を、例えば、検出電流又は励起電流の振幅を制御することによって安定化させることができる。
【0168】
2つの利得測定間の時間は多くの場合、期待された利得SGMRのばらつきを追跡するには十分速い。
【0169】
更に、利得測定時間は好ましくは、利得測定中の、励起状態間の利得の変動を避けるのに十分短い。
【0170】
上述の通り、2つの励起状態は、同時に測定される周波数多重に施すことができる。よって、導線電流は、
【0171】
【数7】
である。
【0172】
前述の実施例では、やはり、測定間隔中のばらつきは、誤ったふうに結果に影響を及ぼすことはない。利得が、状態毎に実質的に変わるからである。
【0173】
この手法は、測定時間がより長いことがあり得るという効果を有する。これにより、増加した信号対雑音比で、平均利得が得られる。
【0174】
許容される損失及びエレクトロマイグレーションの限度により、導線1における各周波数成分における最大電流が2倍に制限され、それにより、その作用により、信号対雑音比が低下する。
【0175】
以下では、図18A、図18Bを参照すれば、本発明の例示的な実施例による磁気バイオセンサ1800を説明する。
【0176】
この実施例では、磁性体1801をシリコン基板302に、磁気ワイヤ12に対して非対称に一体化させる。
【0177】
μr≠1を有する前述の実体1801を加えることにより、導線12間の磁気対称性が変わる。これにより、2本の導線12の信号クロストーク比が変わる。
【0178】
図18Aでは、左の導線12が動作可能にされる一方、右の導線12は動作不能にされる。図18Bでは、左の導線12が動作不能にされる一方、右の導線12は動作可能にされる。
【0179】
以下では、図19A、図19Bを参照すれば、本発明の別の例示的な実施例による磁気センサ装置1900を説明する。
【0180】
図19A、図19Bに示す実施例では、磁界は、外部磁界源(図示せず)によって発生する。前述の外部磁界源は例えば、電磁石又は静的磁石であり得る。
【0181】
図19Aでは、外部磁界1901は第1の向きを有し、図19Bでは、外部磁界1902は第2の向きを有し、第1の向きに対して傾いている。
【0182】
すなわち、図19A、図19Bの実施例では、外部発生励起磁界1901、1902によってビーズ15が磁化される磁気バイオセンサ1900が提供される。2つの励起状態(図19A、図19B)は、GMRセンサ11の平面内平面における外部磁界1901、1902を傾けることによって達成される。
【0183】
上述の実施例の何れとの組合せも当然、容易に実行可能である。
【0184】
図20A、図20Bは、2つの状態における本発明の例示的な実施例による磁気バイオセンサ装置2000を示す。マルチプレーナ励起ワイヤ12を使用する。
【0185】
図20Aでは、内部ワイヤ12が動作可能にされる。図20Bでは、外部ワイヤ12が動作可能にされる。
【0186】
図21A、図21Bに示す更なる変形は、本発明の別の例示的な実施例によるセンサ装置2100に関する。
【0187】
図21A、図21Bでは、測定において関係するセンサ領域が小さいため、ビーズ表面密度の均一性に対する要求が緩和されるという効果を達成することができる。
【0188】
図21Aでは、1本の内部ワイヤ12のみが動作可能にされ、図21Bでは、1本の外部ワイヤ12のみが動作可能にされる。
【0189】
「comprising」の語は他の構成要素又は構成を排除せず、「a」又は「an」の語は複数形を排除しない。更に、別々の実施例に関連して記載した構成要素を組み合わせることができる。
【0190】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲記載の範囲を限定するものと解されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】第1の動作状態における例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図2】第2の動作状態における図1の磁気センサ装置を示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図4】例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図5】GMRスタックの高感度層内の磁界の関数としてのGMR抵抗を示す図である。
【図6】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図7】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図8】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図9】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図10】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図11】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図12】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図13】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図14】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図15】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図16】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図17】磁気センサ装置のクロストーク及び検出信号の特性を示す図である。
【図18A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図18B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図19A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図19B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図20A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図20B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図21A】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【図21B】本発明の例示的な実施例による磁気センサ装置を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を検出する磁気センサ装置であって、
前記磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁界発生器装置と、
前記別々の磁界構成における前記磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出するよう適合された検出装置と、
前記複数の信号を合成して、それにより、前記磁性粒子を示す情報を導き出すよう適合された合成装置とを備える磁気センサ装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、前記別々の複数の磁界構成を時間上、順次発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、前記別々の複数の磁界構成を周波数多重によって発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号に関係付けられた利得特性を平均化するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項5】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器は複数の磁界発生器エレメントを備える磁気センサ装置。
【請求項6】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、前記別々の複数の磁界構成を発生させるために個々に、又は群単位で動作可能である磁気センサ装置。
【請求項7】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記検出装置は、前記複数の磁界発生器エレメントに対して対称又は非対称に配置される磁気センサ装置。
【請求項8】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、異なる寸法を有する磁気センサ装置。
【請求項9】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントの少なくとも一部が一体化された基板を備える磁気センサ装置。
【請求項10】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記基板に一体化された前記複数の磁界発生器エレメントは、前記基板の主表面に平行に配置される磁気センサ装置。
【請求項11】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、前記基板の主表面に対して垂直に配置されるよう前記基板に一体化される磁気センサ装置。
【請求項12】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記磁性粒子の所定の空間依存性が前記基板の主表面の上で調節可能であるように適合された磁気センサ装置。
【請求項13】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントの別の部分が前記基板の主表面上に設けられるように適合された磁気センサ装置。
【請求項14】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
別々の複数の磁界構成における前記複数の磁界発生器エレメントに影響を及ぼす磁性体を含む磁気センサ装置。
【請求項15】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、磁界方向とは異なる別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項16】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項17】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記別々の複数の磁界構成間で切り替えるよう適合された切り替え装置を含む磁気センサ装置。
【請求項18】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記検出装置は、GMR、AMR、TMR又はホール効果を含む群の効果に基づいて前記磁性粒子を検出するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項19】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号を合成し、それにより、前記磁性粒子の量を示す情報を導き出すよう適合された磁気センサ装置。
【請求項20】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
生体分子に付着した磁気ビーズを検出するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項21】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
磁気バイオセンサ装置として適合された磁気センサ装置。
【請求項22】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、前記磁気センサ装置の少なくとも一部がモノリシック集積回路として実現される磁気センサ装置。
【請求項23】
磁性粒子を検出する方法であって、
前記磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させる工程と、
前記別々の磁界構成における前記磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出する工程と、
前記複数の信号を合成して、それにより、前記磁性粒子を示す情報を導き出す工程とを含む方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法であって、前記発生させる工程、検出する工程、及び合成する工程に先行して校正情報を判定する工程を含む方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法であって、
校正情報を判定する工程は、磁性粒子がない状態で生成し、検出する工程、沈殿する磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、固定された磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、及び基準状態下で生成し、検出する工程を含む群の少なくとも1つを含む方法。
【請求項26】
プロセッサによって実行されると、請求項23記載の方法を制御又は実行するよう適合されたプログラム・エレメント。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項23記載の方法を制御又は実行するよう適合されたコンピュータ・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項1】
磁性粒子を検出する磁気センサ装置であって、
前記磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁界発生器装置と、
前記別々の磁界構成における前記磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出するよう適合された検出装置と、
前記複数の信号を合成して、それにより、前記磁性粒子を示す情報を導き出すよう適合された合成装置とを備える磁気センサ装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、前記別々の複数の磁界構成を時間上、順次発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、前記別々の複数の磁界構成を周波数多重によって発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号に関係付けられた利得特性を平均化するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項5】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器は複数の磁界発生器エレメントを備える磁気センサ装置。
【請求項6】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、前記別々の複数の磁界構成を発生させるために個々に、又は群単位で動作可能である磁気センサ装置。
【請求項7】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記検出装置は、前記複数の磁界発生器エレメントに対して対称又は非対称に配置される磁気センサ装置。
【請求項8】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、異なる寸法を有する磁気センサ装置。
【請求項9】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントの少なくとも一部が一体化された基板を備える磁気センサ装置。
【請求項10】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記基板に一体化された前記複数の磁界発生器エレメントは、前記基板の主表面に平行に配置される磁気センサ装置。
【請求項11】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントは、前記基板の主表面に対して垂直に配置されるよう前記基板に一体化される磁気センサ装置。
【請求項12】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記磁性粒子の所定の空間依存性が前記基板の主表面の上で調節可能であるように適合された磁気センサ装置。
【請求項13】
請求項9記載の磁気センサ装置であって、
前記複数の磁界発生器エレメントの別の部分が前記基板の主表面上に設けられるように適合された磁気センサ装置。
【請求項14】
請求項5記載の磁気センサ装置であって、
別々の複数の磁界構成における前記複数の磁界発生器エレメントに影響を及ぼす磁性体を含む磁気センサ装置。
【請求項15】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記磁界発生器装置は、磁界方向とは異なる別々の複数の磁界構成を発生させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項16】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号を合成して、それにより、検出利得係数を安定化させるよう適合された磁気センサ装置。
【請求項17】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記別々の複数の磁界構成間で切り替えるよう適合された切り替え装置を含む磁気センサ装置。
【請求項18】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記検出装置は、GMR、AMR、TMR又はホール効果を含む群の効果に基づいて前記磁性粒子を検出するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項19】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
前記合成装置は、前記複数の信号を合成し、それにより、前記磁性粒子の量を示す情報を導き出すよう適合された磁気センサ装置。
【請求項20】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
生体分子に付着した磁気ビーズを検出するよう適合された磁気センサ装置。
【請求項21】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、
磁気バイオセンサ装置として適合された磁気センサ装置。
【請求項22】
請求項1記載の磁気センサ装置であって、前記磁気センサ装置の少なくとも一部がモノリシック集積回路として実現される磁気センサ装置。
【請求項23】
磁性粒子を検出する方法であって、
前記磁性粒子の別々の複数の磁気励起状態に割り当てられた別々の複数の磁界構成を発生させる工程と、
前記別々の磁界構成における前記磁性粒子によって影響を受ける複数の検出信号を検出する工程と、
前記複数の信号を合成して、それにより、前記磁性粒子を示す情報を導き出す工程とを含む方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法であって、前記発生させる工程、検出する工程、及び合成する工程に先行して校正情報を判定する工程を含む方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法であって、
校正情報を判定する工程は、磁性粒子がない状態で生成し、検出する工程、沈殿する磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、固定された磁性粒子が存在している状態で生成し、検出する工程、及び基準状態下で生成し、検出する工程を含む群の少なくとも1つを含む方法。
【請求項26】
プロセッサによって実行されると、請求項23記載の方法を制御又は実行するよう適合されたプログラム・エレメント。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項23記載の方法を制御又は実行するよう適合されたコンピュータ・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【公表番号】特表2009−543038(P2009−543038A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517507(P2009−517507)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052325
【国際公開番号】WO2008/001261
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052325
【国際公開番号】WO2008/001261
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]