説明

磁性素子およびその製造方法

【課題】注型後の磁性スラリー液面よりも上部に生じる付着物の除去を容易にする。
【解決手段】磁性スラリーが注型されるべき液面より前記型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より前記型の底面から遠い位置の内径が、前記基準面を含み前記基準面より前記型の底面に近い位置の内径よりも大きくなるように構成されてなる平坦部を有する型と、これに嵌合して薄肉部を形成するフタ部材を用いて得た磁性素子成形体から、治具を用いて、前記薄肉部の少なくとも一部を破壊・分離して磁性素子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形磁性素子に関し、特にインバータ等の電源回路に用い、大電流を通電して使用するリアクトルに好適な磁性素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路で使用されるインダクタンス部品であるリアクトルとして、巻き線を内包した状態で軟磁性粉末充填樹脂を所定形状に成形してなるコイル封止型樹脂成形リアクトルが知られている。たとえば、特許文献1には、FeSi粉末と液状の熱硬化型エポキシ樹脂とをミキサーで混練して得たスラリーを所定の型に流し込み(以下、注型とも表記)、加熱・硬化後、型から取り出して得た磁心(以下、磁性素子とも表記)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−200962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、軟磁性粉末と液状の熱硬化性樹脂を混合したスラリー(以下、磁性スラリーと表記)を予め巻き線を配した所定形状の型に流し込む際、必要に応じて、振動の付与により流動性を向上させ、または減圧による脱泡を行う。しかしながら、これらの操作を行うことにより注型した磁性スラリーの液面が揺れ、上部が開口している型に於いては、注型後の磁性スラリー液面よりも上部の内周面まで、磁性スラリーが一時的にはい上がり、表面張力により磁性スラリーが型の全内周にわたりフィレット(隅肉)状に付着することは避けられなかった。
【0005】
図9は従来の磁性素子を示す断面図で、型2に磁性素子14が配された状態を示している。予め巻き線を配された型2に流し込んだ磁性スラリー1は、型2の内周面でフィレット状の付着物3を形成している。この状態で磁性スラリー1を加熱硬化させると必然的にフィレット状の付着物3もそのままの形で硬化する。
【0006】
図10は従来の磁性素子を示す断面図で、磁性スラリー1が硬化してなる磁性素子14を図9に示した型2から、取り出した状態を示す。
【0007】
付着物3は、型2の内周面に沿い、所望とする液面よりも上方向に立ち上がるバリとして磁性素子14の上面外周に残存することとなる。この付着物3の先端は鋭利であることから処理をしないと、作業者が触れると怪我をする、他の部品に組み付けた時に前記他の部品と干渉する、先端がごく薄いため折れて脱落すると異物として特性に悪影響を及ぼすなどの問題を生じるおそれがあるため、研削他により除去する必要があった。図11は従来の磁性素子を示す断面図で、バリとなる付着物3を除去した状態を示す。
【0008】
しかしながら、付着物3を除去する際に硬化した磁性スラリー1が粉末として飛散するという問題も生じていた。このため、磁性素子自体と周囲環境の汚染を防ぐための集塵やエアブロー使用といった管理工数や、研削品質維持のための管理工数などが増加し、コストアップの要因となっていた。さらには、型2上部の内周面に部分的に残存する磁性スラリー1の一部は、磁性素子14を型2から抜き抜く際、型2と磁性素子14の間に挟まり、型2の内周面を傷つけ、型2の寿命を低下させる要因ともなっていた。
【0009】
本発明の目的は、磁性素子に生じるバリの除去を容易とし、磁性素子を型から抜き出す際に型の内周面を傷つけることのない磁性素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、型の形状を、磁性スラリーが注型されるべき液面よりわずかに型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より型の底面から遠い位置(以下、型の上部とも表記)の内径が、前記基準面を含み前記基準面より型の底面に近い位置(以下、型の下部とも表記)の内径よりも大きくなるように構成する。すなわち、型の基準面には内周面に平坦部を備えた段差が形成される。続いて基準面よりもわずかに上部、すなわち前記平坦部が隠れる部分(内径が大きい部分)まで磁性スラリーを流し込み、型の上部に嵌合するように、板状のフタを前記平坦部に載置する。
【0011】
その結果、前記基準面よりもわずかに型の上部まで流し込まれた磁性スラリーが加熱硬化して得られる磁性素子は、型から取り出した際に底面よりも上面の外径が大きい形状となる。すなわち、所望とする磁性素子の外径より大きなバリが、磁性素子の上面を面方向に延長した形状に形成される。
【0012】
この磁性素子を、上面に張り出したバリの部分のみ坦持して高さ方向に支える治具に配し、磁性素子上面の中央部を、底面方向に加圧することによりバリを除去し磁性素子を得る。
【0013】
本発明によれば、軟磁性粉末と樹脂を混練してなる磁性スラリーを予め巻き線を配した型に注型し、硬化したのちに、前記型から前記巻き線を内包して硬化した前記磁性スラリーを取りだしてなる磁性素子の製造方法であって、前記型として、前記磁性スラリーが注型されるべき液面より前記型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より前記型の底面から遠い位置の内径が、前記基準面を含み前記基準面より前記型の底面に近い位置の内径よりも大きくなるように構成されてなる、内周面に前記型の底面に平行な平坦部を有する有底柱状体を用いることを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0014】
本発明によれば、前記磁性スラリーを注型後、前記磁性スラリーの液面に接して前記平坦部と、前記内周面との間に薄肉部を形成するフタ部材を用いることを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0015】
本発明によれば、前記磁性スラリーを硬化させた後、前記フタ部材および前記型を除去して得た磁性素子成形体から、治具を用いて、前記薄肉部の少なくとも一部を破壊して分離することを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0016】
本発明によれば、前記薄肉部を坦持して、前記磁性素子成形体の上面から底面に向かう方向に力を加えて、前記磁性素子成形体と前記薄肉部を分離することを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0017】
本発明によれば、前記薄肉部のみを坦持して前記磁性素子成形体の底面を前記治具の載置面から離間させ、前記磁性素子成形体の上面から底面に向かう方向に力を加えて、前記磁性素子成形体と前記薄肉部を分離することを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0018】
本発明によれば、前記フタ部材は、前記磁性スラリーの液面と接する部分に突部を有することを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0019】
本発明によれば、前記突部は、前記平坦部の内周に対応する部分に設けてなることを特徴とする磁性素子の製造方法が得られる。
【0020】
本発明によれば、軟磁性粉末と樹脂を混練してなる磁性スラリーを予め巻き線を配した型に注型し、硬化したのちに、前記型から前記巻き線を内包して硬化した前記磁性スラリーを取りだしてなる磁性素子であって、前記型として、前記磁性スラリーが注型されるべき液面より前記型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より前記型の底面から遠い位置の内径が、前記基準面を含み前記基準面より前記型の底面に近い位置の内径よりも大きくなるように構成されてなる、内周面に前記型の底面に平行な平坦部を有する有底柱状体を用い、前記磁性スラリーを注型後、前記磁性スラリーの液面に接して前記平坦部と、前記内周面との間に薄肉部を形成するフタ部材を用い、前記磁性スラリーを硬化させた後、前記フタ部材および前記型を除去して得た磁性素子成形体から、治具を用いて、前記薄肉部の少なくとも一部を破壊することにより分離してなることを特徴とする磁性素子が得られる。
【0021】
本発明によれば、前記薄肉部を分離してなる面は硬化した前記樹脂の破断面と、研削痕のない前記軟磁性粉末面からなることを特徴とする磁性素子が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、注型により製造される磁性素子に於いて、磁性素子上部に生じるバリを研削等の方法によることなく、容易に除去できるとともに、磁性素子を型から抜き出す際に型の内面を傷つけることなくかつ型の寿命を低下させることのない磁性素子およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による磁性素子の断面図である。
【図2】本発明による磁性素子の断面図である。
【図3】本発明による磁性素子の断面図で、図3(a)は薄肉部を除去するための治具に坦持された状態を示し、図3(b)は薄肉部が除去された状態を示す。
【図4】本発明による他の磁性素子の断面図である。
【図5】本発明による他の磁性素子の断面図である。
【図6】本発明による磁性素子の断面図で、図6(a)は薄肉部を除去するための治具に坦持された状態を示し、図6(b)は薄肉部が除去された状態を示す。
【図7】本発明の作用を説明する断面図である。
【図8】本発明に作用を説明する断面図である。
【図9】従来の磁性素子を示す断面図である。
【図10】従来の磁性素子を示す断面図である。
【図11】従来の磁性素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は本発明による磁性素子の断面図で、注型後の状態を示す。内周部に平坦部5を有する型2に予め巻き線7を配し、磁性スラリー1を平坦部5が隠れる程度に流し込む。続いて、フタ4を磁性スラリー1の液面に接するように載置、加熱・硬化して磁性素子14を得る。磁性スラリー1は硬化して、平坦部5に型2の底面と平行な方向に板状の薄肉部を形成する。また、フタ4と型2の間隙にも磁性スラリー1が回り込み、型2の底面と略直交する方向、すなわち略鉛直方向に薄肉部を形成する。以下、前述の板状の薄肉部および略鉛直方向の薄肉部を総称して、薄肉部31と表記する。
【0026】
なお、薄肉部31が形成された磁性素子14を容易かつ破損することなく型2から取り出すためには、平坦部5より上部の径が大きくなるように型2にテーパー部21を形成するのが好ましい。加えて、同様の理由から、前記テーパー部21に遊嵌するよう、フタ4の外周部にもテーパー部41を形成するのが好ましい。
【0027】
また、巻き線7の端末を上部から引き出す場合は、フタ4に穴を形成し巻き線7の端末を前記穴から引き出す構造とするのが好ましい。この場合も前記穴は磁性素子14の底面に向かって径が大きくなるようにテーパー部を形成するのが、上記と同様の理由から好ましい。
【0028】
図2は本発明による磁性素子の断面図で、図1に示した磁性素子を型から外した状態を示す。磁性素子14の上面の外径は底面の外径よりも大きく、上面に張り出した部分が薄肉部31を構成している。
【0029】
図3(a)は本発明による磁性素子の断面図で、薄肉部を除去するための治具に坦持された状態を示す。図3(b)は本発明による磁性素子の断面図で、薄肉部が除去された状態を示す。
【0030】
磁性素子14を薄肉部31のみで坦時し、磁性素子14の底面が治具6を載置した面に接することがないように、治具6に配置する。続いて、磁性素子14の上面から底面方向に力を加え、磁性素子14の本体を押し下げる。このとき、磁性素子14の本体と薄肉部31の間にはせん断応力と引っ張り応力が生じ、薄肉部31は治具6の上に残存し、磁性素子14の本体と分離する。
【0031】
図7は本発明の作用を説明する断面図である。治具6に薄肉部のみで坦持された磁性素子14の上面から底面方向(以下鉛直方向とも表記)に加えられた力により生じたせん断応力8の一部は磁性素子14の外周に沿いかつ鉛直方向の面を含む平面9で薄肉部31を破壊する。さらに磁性素子14の重みにより、引っ張り応力10が生じる。この引っ張り応力10により磁性素子14の上面に平行な面を含む平面11を境界として上下に分割される形で薄肉部31は除去される。
【0032】
前記せん断応力8と引っ張り応力10の合成により、薄肉部31は、薄肉部31と磁性素子14本体の境界付近を破壊の起点として、亀裂12に沿って破壊していくため、磁性素子14の上面外周部から薄肉部31が除去される。
【0033】
注型した磁性スラリー1の液面と型2の平坦部5との距離は、磁性素子14本体の外径や、鉛直方向の長さによって調整すべきであるが、外径が50mm以上100mm以下、鉛直方向の長さ(磁性素子の高さ)が30mm以上80mm以下の略円柱状の磁性素子であれば、概ね0.1〜3mm程度が望ましい。なお、0.1mm以下では磁性素子の上面に平行な方向の薄肉部31が薄く破損しやすくなり、磁性素子本体から突出した部分に鋭利かつ不定形に残存するため好ましくない。また、3mm以上とすると廃棄量が増し材料歩留まりの低下を招くとともに、薄肉部を破損させるために磁性素子本体に加わる荷重が増大し、磁性素子本体が変形する可能性があるので好ましくない。
【0034】
図4は本発明による他の磁性素子を示す断面図で、注型後の状態を示す。図5は本発明による他の磁性素子を示す断面図で、図4に示した磁性素子を型から外した状態を示す。
【0035】
内周部に平坦部5を有する型2に予め巻き線7を配し、磁性スラリー1を平坦部5が隠れる程度に流し込む。続いて、注型後の磁性スラリー1の液面に接する部分に突部13を形成してなるフタ4を、磁性スラリー1の液面に接するように載置、加熱・硬化して磁性素子14を得る。フタ4の突部13により、磁性素子14の薄肉部31と平坦部5の間には溝部131が形成される。
【0036】
図6(a)は本発明による他の磁性素子の断面図で、薄肉部を除去するための治具に坦持された状態を示す。図6(b)は本発明による他の磁性素子の断面図で、薄肉部が除去された状態を示す。
【0037】
磁性素子14を薄肉部31のみで坦時し、磁性素子14の底面が治具6を載置した面に接することがないように、治具6に配置する。続いて、磁性素子14の上面から底面方向に力を加え、磁性素子14の本体を押し下げる。このとき、磁性素子14の本体と薄肉部31の間にはせん断応力と引っ張り応力が生じ、薄肉部31は治具6の上に残存し、磁性素子14の本体と分離する。
【0038】
予め溝部を形成することにより、磁性素子14に加える力を低減できると共に、薄肉部31を破壊させるためのせん断応力も効果的に作用するためにより確実に、薄肉部31を除去することが可能となる。
【0039】
図8は本発明の作用を説明する断面図である。治具6に薄肉部31のみで坦持された磁性素子14の上面から底面方向に力を加えると、溝部131に向かって効率的にせん断応力が作用し、亀裂12が生じる。なお、溝部131は破壊の起点となる磁性素子14本体の外周部よりもやや内側に形成するのが、亀裂12の位置と形状の再現性が高まり好ましい。すなわち、型2の平坦部5の内周側に突部13が対応して配されるようにフタ4を構成するのが好ましい。
【0040】
図4では、フタ4の底面および突部13が磁性スラリー1に接する例を示したが、突部13のみが磁性スラリー1に侵入する形としても同様の作用効果を奏する。薄肉部31や溝部131の厚みや大きさはフタ4の配置によって決定されるが、これらの位置関係は例えばフタ4の形状を変更して型2に係止することにより調整可能である。
【0041】
このように溝部を形成することにより、0026段落の例示に関わらず、薄肉部が厚くても破壊部を薄く形成することができるので、低荷重であっても安定して薄肉部の除去作業を行うことが可能となる。
【0042】
治具6は磁性素子14を薄肉部31のみで坦持し、磁性素子14の底面が治具を載置した面に接することがない形状、すなわち、薄肉部31を除く磁性素子14が前記載置面から浮いた状態で、嵌合または遊嵌する形状であればどのような形状でもよく、たとえば枡状、円筒状、断面コの字状の連続体または前述の効果を奏する複数のブロック体などが好ましい。
【0043】
治具6は、薄肉部31の上面の全周に亘って坦持でき、薄肉部31が同時に破壊、除去できる形状であることがより好ましい。薄肉部31の一部が鋭利かつ不定形に残存すると、使用に耐えうる形状まで除去する作業が困難となるからである。
【0044】
上記説明では、治具6の鉛直方向の長さが、磁性素子14の鉛直方向の長さよりも長いものを用いているが、治具6を載置する面を可動とすれば、治具6の鉛直方向の長さと磁性素子14の鉛直方向の長さ関係は任意に設定できる。
【0045】
また、治具6の材質は上記形状とした時に、磁性素子14を坦持するのに充分な強度や硬さおよび加工性を有する部材であればいずれでもよく、例えば炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等が好ましい。
【0046】
磁性スラリー1は、例えば金属系の磁性粉末と熱硬化性の液状の樹脂を混合しスラリーとした一般的な材料を用いることができる。熱硬化性の樹脂はスラリーとしたときの流動性が十分であるよう低粘度のものが好ましく、例えばエポキシ樹脂を用いるのがよい。磁性粉末としては、例えばFe−Si6.5%材のガスアトマイズ粉末等のダスト粉末をはじめとする一般的な粉末用いることができる。これらを樹脂と混合してスラリーとする際に、アルミナ粉末、シリカ粉末などを同時に配合し、磁性体であるダスト粉末の占積率を下げて透磁率を調整してもよい。
【0047】
磁性素子14および型2は円柱状のものを想定して説明したが、これに限定されるものではなく角柱状であってもよい。なお、角柱状の場合は、前述の内径、外径は最大径を示すものとする。
【0048】
磁性素子14の大きさは一般的に用いられるものであればいずれにも本発明を適用することが可能であるが、薄肉部31の厚さや形状は、磁性素子14の大きさや形状に応じて適宜調整するのがよい。
【0049】
磁性素子14の薄肉部31を除去した部分は、研削ではなく破壊面であるため、個々の磁性粒子までは破壊されることはない。従って、その表面は磁性スラリーに含まれていた硬化した樹脂の破断面と、研削痕のない磁性粒子面からなり、磁性粒子自体まで研削痕が残る研削加工を施して製造された磁性素子とは異なる表面形態を呈している。
【符号の説明】
【0050】
1 磁性スラリー
2 型
21 テーパー部
3 付着物
31 薄肉部
4 フタ
41 テーパー部
5 平坦部
6 治具
7 巻き線
8 せん断応力
9 鉛直方向の面を含む平面
10 引っ張り応力
11 上面に平行な面を含む平面
12 亀裂
13 突部
131 溝部
14 磁性素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性粉末と樹脂を混練してなる磁性スラリーを予め巻き線を配した型に注型し、硬化した後に、前記型から前記巻き線を内包して硬化した前記磁性スラリーを取り出してなる磁性素子の製造方法であって、前記型として、前記磁性スラリーが注型されるべき液面より前記型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より前記型の底面から遠い位置の内径が、前記基準面を含み前記基準面より前記型の底面に近い位置の内径よりも大きくなるように構成されてなる、前記型の底面に平行な平坦部を内周面に有する有底柱状体を用いることを特徴とする磁性素子の製造方法。
【請求項2】
前記磁性スラリーを注型後、前記磁性スラリーの液面に接して前記平坦部と、前記内周面との間に薄肉部を形成するフタ部材を用いることを特徴とする請求項1記載の磁性素子の製造方法。
【請求項3】
前記磁性スラリーを硬化させた後、前記フタ部材および前記型を除去して得た磁性素子成形体から、治具を用いて、前記薄肉部の少なくとも一部を破壊して分離することを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子の製造方法。
【請求項4】
前記薄肉部を坦持して、前記磁性素子成形体の上面から底面に向かう方向に力を加えて、前記磁性素子成形体と前記薄肉部を分離することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁性素子の製造方法。
【請求項5】
前記薄肉部のみを坦持して前記磁性素子成形体の底面を前記治具の載置面から離間させ、前記磁性素子成形体の上面から底面に向かう方向に力を加えて、前記磁性素子成形体と前記薄肉部を分離することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁性素子の製造方法。
【請求項6】
前記フタ部材は、前記磁性スラリーの液面と接する部分に突部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の磁性素子の製造方法。
【請求項7】
前記突部は、前記平坦部の内周に対応する部分に設けてなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の磁性素子の製造方法。
【請求項8】
軟磁性粉末と樹脂を混練してなる磁性スラリーを予め巻き線を配した型に注型し、硬化した後に、前記型から前記巻き線を内包して硬化した前記磁性スラリーを取り出してなる磁性素子であって、前記型として、前記磁性スラリーが注型されるべき液面より前記型の底面に近い位置を基準面とした時に、前記基準面より前記型の底面から遠い位置の内径が、前記基準面を含み前記基準面より前記型の底面に近い位置の内径よりも大きくなるように構成されてなる、内周面に前記型の底面に平行な平坦部を有する有底柱状体を用い、前記磁性スラリーを注型後、前記磁性スラリーの液面に接して前記平坦部と、前記内周面との間に薄肉部を形成するフタ部材を用い、前記磁性スラリーを硬化させた後、前記フタ部材および前記型を除去して得た磁性素子成形体から、治具を用いて、前記薄肉部の少なくとも一部を破壊することにより分離してなることを特徴とする磁性素子。
【請求項9】
前記薄肉部を分離してなる面は硬化した前記樹脂の破断面と、研削痕のない前記軟磁性粉末面からなることを特徴とする請求項8記載の磁性素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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