説明

磁性部品用の薄型層状コイル及びコア

薄型磁性部品700、720は、中央エリアと中央エリアの周りに延びる所定数の巻きとを有する概して平面的なコイル巻線を形成する少なくとも1つのコイル層710を含む。本体はコイル層を囲繞し、誘電材料及び磁性材料の一方から製作される。磁気コア材650、660、670は、少なくともコイル層の中央エリアを占める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、磁気コアを含む電子部品の製造に関し、より詳細には、磁気コア及び導電コイル巻線を有する表面実装電子部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタ及びトランスを含めて(ただし、これに限定されない)、多様な磁性部品は、磁気コアの周りに配置された少なくとも1つの導電性巻線を含む。このような部品は、電子デバイスを含めて(ただしこれに限定されない)電気装置の中の出力操作デバイスとして使用できる。電子実装の進歩は、電子デバイスのサイズを劇的に減らすことを可能にした。従って、現在の手持ち電子デバイスは特にスリムであり、時にはロープロフィールまたは薄さを持つと言われる。
【0003】
下記の図面に関連して非限定的かつ非網羅的実施形態について説明する。図面において、同様の参照番号は、特に明記されない限り図面全体を通じて同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明に係る磁性部品の斜視図である。
【図2】図1の部品の分解図である。
【図3】図2の部品の一部の部分分解図である。
【図4】部分的に組み立てられた状態の図1の部品の別の分解図である。
【図5】図1〜4の部品を製造する方法のフローチャートである。
【図6】本発明に係る磁性部品の別の実施形態の斜視図である。
【図7】図6の磁性部品の分解図である。
【図8】図6及び7の部品の一部の概略図である。
【図9】図6〜8の部品を製造する方法のフローチャートである。
【図10a】代表的磁性部品組立体の上面からの斜視図及び分解図である。
【図10b】図10aの磁性部品の底面からの斜視図及び分解図である。
【図10c】図10a及び10bの磁性部品の巻線構成体の斜視図である。
【図11】本発明の代表的実施形態に従って形成された別の磁性部品組立体の分解図である。
【図12】本発明の代表的実施形態に従って形成された第七の代表的磁性部品組立体の分解図である。
【図13】本発明の代表的実施形態に従って形成された代表的ドラムコアの斜視図である。
【図14】本発明の代表的実施形態に従って形成された第一の代表的ロッドコアの斜視図である。
【図15】本発明の代表的実施形態に従って形成された第二の代表的ロッドコアの斜視図である。
【図16】ロッドコアを含む磁性部品組立体の断面図である。
【図17】ドラムコアを含む別の磁性部品組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
電気部品の製造工程は、非常に競争の激しい電子部品製造業においてコストを削減する手段として精査されてきた。製造コストの削減は、製造される部品が低コスト・大量生産の部品である場合、特に望ましい。大量生産部品においては、製造コストの削減はどのようなものでも当然有意義である。本明細書において使用される場合、製造コストは、材料コスト及び人件費を意味し、製造コストの削減は、消費者にとってもメーカーにとっても有益である。従って、部品のサイズを増大することなくまた印刷回路基板上で不当な量の空間を占めることなく、効率を高め製造可能性を向上させた回路基板用磁性部品を提供することが望ましい。
【0006】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)デバイス及びその他のデバイスなど手持ち電子デバイスを含めて(ただし、これに限定されない)新製品の薄型スペース要件(low profile spacing requirements)を満たす磁性部品の小型化は、多くの課題と困難を提示する。特に、スタック回路基板を持つデバイス(この種のデバイスの機能性を付加するために現在一般的なもの)の場合、デバイスのサイズの全体的薄型要件を満たすために基板間のクリアランスを小さくすることは、実践上の制約を課すことになる。この制約は、従来の回路基板素子が全く満たすことができないか、あるいは適格デバイスを製造するために従来の技術を望ましくないほどコスト高にしている。
【0007】
技術上のこのような短所は、本発明によって効果的に克服される。下に説明する本発明の代表的実施形態の発明的特徴を充分に理解できるように、本明細書における開示をいくつかの節に区分する。第I部は、従来の磁性部品及びその短所を紹介する。第II部は、本発明に係るコンポーネントデバイス及びその製造方法の代表的実施形態を開示する。第III 部は、本発明に係るモジュール構成デバイス及びその製造方法の代表的実施形態を開示する。
【0008】
I.薄型磁性部品の紹介
従来、インダクタ及びトランスを含めて(ただし、これに限定されない)磁性部品は、磁気コアの周りに配置された導電性巻線を利用する。回路基板用の既存の磁性部品において、磁性部品は、時にドラムと呼ばれる薄型磁気コアの上にらせん状に巻かれた細いワイヤを使って製作できる。しかし、小さいコアの場合、ドラムの周りにワイヤを巻くことは難しい。代表的装置において、磁性部品は0.65mm未満の小さい側面高さを持つことが望ましい。このサイズのコアにワイヤコイルを巻こうとすると、部品の製造コストが増大する傾向があり、もっとコストの低い解決法が望まれる。
【0009】
高温有機誘電体基板(例えば、FR−4、フェノール材料またはその他の材料)への溶着金属被覆法及びFR4基板、セラミック基板材料、回路基板材料、フェノール及びその他の剛性基板上にコイル及びコアを形成する多様なエッチング及び形成の技法を用いて、薄型磁性部品(時にチップインダクタと呼ばれる)を製作するために力が注がれてきた。しかし、これらの既知のチップインダクタ製造技術は、複雑な多段階製造工程及び精巧な制御を伴う。特定の製造段階においてこの工程の複雑さを減少し、それによってこの製造段階に要する時間及び労働力を減少することが望ましい。さらに、いくつかの工程段階を排除して製造コストを削減することが望ましい。
【0010】
II.集積コイル層を有する磁性デバイス
図1は、本発明の利点が実証される磁性部品またはデバイス100の第一の例証的実施形態の上面図である。代表的実施形態において、デバイス100はインダクタであるが、下に説明する本発明の利点は他の種類のデバイスにも生じることが分かる。下に説明する材料及び技法は、薄型インダクタの製造に特に有利であると思われるが、インダクタ100は本発明の利点が認められる電気部品の1つの種類に過ぎない。従って、下の説明は単なる例証のためのものであり、本発明の利点は他のサイズ及びタイプのインダクタ並びにトランスを含めて(ただし、これに限定されない)他の受動電子部品にも生じることが想定される。従って、本明細書に示される発明概念の実施を本明細書において説明され図面に示される例証的実施形態に限定する意図はない。
【0011】
本発明の代表的実施形態によれば、インダクタ100は、下に詳細に説明する層状構成を持つことができる。層状構成は、外側誘電体層104、106の間に延びるコイル層102を含む。磁気コア108は、下に説明するようにコイル(図1には図示せず)の上下にかつコイルの中央(図1には図示せず)を通過して延びる。図1に示すように、インダクタ100は、概して長方形であり、対向するコーナーカットアウト110、112を有する。表面実装端子114、116は、コーナーカットアウト110、112に隣接して形成され、端子114、116は各々、平面的な端子パッド118、120と、例えば導電性メッキで金属被覆された垂直面122、124とを含む。表面実装パッド118、120が回路基板(図示せず)上の回路トレースに接続されたとき、金属被覆垂直面122、124は、端子パッド118、120とコイル層102との間の導電路を確立する。表面実装端子114、116は、時にはキャストレイテッド接点端子(castellated contact termination)と呼ばれるが、本発明の別の実施形態において、接触リード(すなわち、ワイヤ端子)、ラップアラウンド端子、浸漬金属被覆端子、メッキ端子、はんだ付け接点及びその他の既知の接続構成など他の終端構造体を代わりに採用して、回路基板(図示せず)の導体、端子、接点パッドまたは回路端子へ電気接続できる。
【0012】
代表的実施形態において、インダクタ100は、薄型寸法Hを有する。寸法Hは、1つの例においては0.65mm未満であり、より明確に言うと、約0.15mmである。薄型寸法Hは、回路基板に実装したとき回路基板の表面に直角の方向に測定したインダクタ100の垂直高さに相当する。基板の平面において、インダクタ100は、1つの実施形態において長さ約2.5mmの辺を有するほぼ正方形である。インダクタ100は、長方形(時にチップ形態と呼ばれる)で示され、代表的な寸法が開示されるが、本発明の別の実施形態において、代わりに他の形状及びこれより大きいまたは小さい寸法を利用できるものとする。
【0013】
図2は、インダクタ100の分解図であり、図示するコイル層102は、上側誘電体層104と下側誘電体層106との間に延びる。コイル層102は、実質的に平面的な基礎誘電体層132上に延びるコイル巻線130を含む。コイル巻線130は、例えばインダクタ100の選択された最終用途の要求インダクタンス値など要求効果を得る所定数の巻きを含む。コイル巻線130は、基礎層132のそれぞれ対向する面134(図2)及び135(図3)上に2つの部分130A及び130Bとして配列される。すなわち、部分130A及び130Bを含む両面コイル巻線130がコイル層102に延在する。各コイル巻線部130A及び130Bは、基礎層132の主要面134、135の平面に延びる。
【0014】
コイル層102は、さらに、基礎層132の第一表面134上の端子パッド140A及び142Aと、基礎層132の第二表面135上の端子パッド140B及び142Bとを含む。コイル巻線部130Bの端部144は、表面135の端子パッド140B(図3)に接続され、コイル巻線部130Aの端部は表面134の端子パッド142A(図2)に接続される。コイル巻線部130Aと130Bは、基礎層132の開口136の周囲の導電性バイア( via )138(図3)によって直列に相互接続できる。このようにして、端子114及び116が加圧された回路に結合されたとき、コイル巻線部130A及び130Bを介して端子114と116との間に導電路が確立される。
【0015】
基礎層132は、概して長方形であり、中央コア用開口136が基礎層132の対向する表面134と135の間に延びるように基礎層を形成できる。コア用開口136は、図示するように概して円形に形成できるが、他の実施形態において、開口は円形である必要はないものとする。コア用開口136は、下に説明する磁性材料を受け入れて、コイル巻線部130A及び130B用の磁気コア構造体を形成する。
【0016】
コイル巻線部130A及び130Bは、コア用開口136の周りに延び、各コイル巻線部130A及び130Bにおいてコイル巻線130の1巻きごとに、コイル層102に確立された導電路は、開口136の中心からの半径を増大して延びる。代表的実施形態において、コイル巻線130は、コイル巻線部130Aにおいて基礎層132表面134上の巻線導電路において所定の巻き数分基礎層132上に延び、同様に、コイル巻線部130Bにおいて表面135上で所定の巻き数分基礎層132の下に延びる。コイル巻線130は、基礎層132の両面において例えば10巻き(結果として、直列接続されたコイル部130A及び130Bにおいて合計で20巻き)など、所定の巻き数分、基礎層132の対向する主要表面134及び135の各々の上に延在できる。例証的実施形態において、20巻きのコイル巻線130は、約4〜5μHのインダクタンス値を生じ、インダクタ100を低出力用のパワーインダクタとして充分に適するものにする。または、コイル巻線130を任意の巻き数で製作して、コイルを特定の用途または最終用途に特に合わせて製作できる。
【0017】
当業者には分かるように、インダクタ100のインダクタンス値は、主に、コイル巻線130におけるワイヤの巻き数、コイル巻線130を製作する際に使用される材料、及び基礎層132におけるコイルの巻きの分布の仕方(すなわち、コイル巻線部130A及び130Bにおける巻きの断面積)によって決まる。つまり、インダクタ100のインダクタンス定格は、コイルの巻き数、巻きの配列及びコイルの巻きの断面積を変動させることによって、様々な用途のためにかなり変えることができる。従って、コイル巻線部130A及び130Bにおいては10巻きを例示しているが、もっと多いまたは少ない数の巻きを利用して、4〜5μHより大きいまたは小さいインダクタンス値を持つインダクタを生産できる。さらに、両面コイルを例示しているが、別の実施形態においては、基礎層の表面の一面134または135のみに延びる片面コイルを同様に利用できる。
【0018】
コイル巻線130を、例えば、上側及び下側誘電体層104及び106から独立して製作され形成される電気鋳造金属箔とすることができる。明確に言うと、例証的実施形態において、基礎層132の主表面の各々134、135上に延びるコイル部130A及び130Bを、電気鋳造法など既知の添加法に従って製作できる。この工法においては、コイル巻線130の要求形状及び巻き数が焼き付けされ、陰画が、フォトレジストコーティングされた基礎層132上にキャストされる。その後、基礎層132上にキャストされた陰画の上に、銅、ニッケル、亜鉛、錫、アルミニウム、銀、これらの合金(例えば、銅/錫、銀/錫及び銅/銀合金)などの金属の薄い層をメッキして、コイル部130A及び130Bを同時に形成できる。本発明の様々な実施形態において、様々な金属材料、導電性合成物及び合金を使用して、コイル巻線130を形成できる。
【0019】
誘電体層104及び106とは別個に独立してコイル巻線130を形成することは、例えば無機基板に金属溶着法を用い、その後エッチング工程及びこれに類似する工程を用いて溶着金属を除去するまたは取り去る既知のチップインダクタの構成方法に比べて有利である。例えば、コイル巻線130を別個に独立して形成すると、インダクタ100を組み立てる際誘電体層104、106に対するコイル巻線130の制御及び位置の精度を高めることができる。また、コイル巻線130を独立して形成することによって、この種の既知のデバイスのエッチング工程に比べて、コイルの導電路の形状に対する制御を強めることができる。エッチングは、形成された導電路の横縁が斜めになったり傾斜したりする傾向があるが、電気鋳造法の場合実質的に直角の横縁が得られるので、インダクタの作動特性においてより反復可能な性能を提供する。さらに、別個の独立した形成工程において複数の金属または合金を使用して、デバイスの性能特性を変動できる。
【0020】
誘電体層104及び106とは別個にコイル巻線130を電気鋳造することは有利と思われるが、代わりに他の方法によってコイル巻線130を形成しても、本発明の利点のいくつかを得ることができる。例えば、コイル巻線130を既知の技法に従って基礎層132に貼り付けられた電気溶着金属箔とすることができる。スクリーン印刷及び沈着法など他の添加法も利用でき、また、化学的エッチング、プラズマエッチング、レーザートリミング及び技術上既知の類似する技法などのサブトラクティブ(削減)法を利用してコイルを形成できる。
【0021】
上側及び下側誘電体層104、106は、それぞれコイル層102の上及び下に重なる。すなわち、コイル層102は上側誘電体層104と下側誘電体層106との間に延び、これらと密接する。代表的実施形態において、上側誘電体層104及び下側誘電体層106はコイル層102を間に挟み、上側誘電体層104及び下側誘電体層106は、各々、これを貫通して形成された中央コア用開口150、152を含む。コア用開口150、152は、図示するように概して円形に形成できるが、他の実施形態において、開口は円形である必要はないものとする。
【0022】
それぞれ第一誘電体層104及び第二誘電体層106の開口150、152は、コイル部130A及び130Bを露出させ、磁気コア108を形成するために、それぞれコイル部130A及び130Bが延びる両面コイル層102の上下に磁性材料の導入用レセプタクルを形成する。すなわち、開口150、152は、磁気コアのピース108A及び108Bのために限定された設置位置を提供する。
【0023】
図4は、スタック関係にあるコイル層102及び誘電体層104及び106を示す。層102、104、106は、積層加工工程など既知の方法で相互に固定できる。図4に示すように、コイル巻線130は、コア用開口150及び152(図2)内部で露出され、コアピース108A及び108Bを開口150、152及びコイル層102の開口136に充当できる。
【0024】
代表的実施形態において、コアピース108A及び108Bを粉末またはスラリー材料として充当して、上側誘電体層104及び下側誘電体層106の開口150及び152及びコイル層102のコア用開口136(図2及び3)に充填する。コア用開口136、150及び152が充填されたとき、磁性材料はコイル部130A及び130Bを取り囲むまたは囲繞する。硬化したら、コアピース108A及び108Bはモノリシックコアピースを形成し、コイル部130A及び130Bはコア108の中に埋め込まれ、コアピース108A及び108Bは上側誘電体層104及び下側誘電体層106と同平面上に取り付けられる。すなわち、開口を通過して延びるコアピース108A及び108Bの結合高さは、ほぼ層104、106及び136の厚みの合計である。言い換えると、コアピース108及び108Bも薄型寸法H(図1)の要件を満たす。コア108は、1つの実施形態においてはフェライトまたは鉄粉末など既知の透磁性材料から製作できるが、透磁性を有する他の材料も同様に利用できる。
【0025】
例証的実施形態において、第一誘電体層104及び第二誘電体層106、及びコイル層102の基礎層132は、各々、ポリマーを主原料とする誘電体フィルムから製作される。上側誘電体層104及び下側誘電体層106は、相互に及びコイル層102に誘電体層を固定するために接着フィルムを含むことができる。ポリマーを主原料とする誘電体フィルムは、層状構成におけるその熱流特性の点で有利である。インダクタ100内部における熱流量は、使用される材料の熱伝導率に比例し、熱流はインダクタ100において力損を生じる可能性がある。いくつかの代表的な既知の材料の熱伝導率を下の表に示す。使用される誘電体層の伝導率を下げることによって、インダクタ100内部の熱流量をかなり減少できることが分かる。ポリイミドの熱伝導率が際立って低いことは注目に値するので、本発明の例証的実施形態において、ポリイミドを層104、106及び132の絶縁材料として採用できる。
【0026】
【表1】

【0027】
層104、106および132に適するこの種のポリイミドフィルムの1つは市販されており、商標KAPTON(登録商標)でデュポン社(デラウェア州ウィルミントン)が販売している。ただし、別の実施形態において、CIRLEX(登録商標)無接着剤ポリイミド積層材(adhesiveless polyimide lamination material)、Ube Industriesから市販されているUPILEX(登録商標)ポリイミド材、Pyrolux、ジカルボン酸ポリエチレンナフタレン(時にPENと呼ばれる)、Rogers Corporationから市販されているZyvrex高分子液晶材料及びその類似品など他の適切な電気絶縁材料(ポリイミド及び非ポリイミド)を、KAPTON(登録商標)の代わりに採用できる。また、第一誘導体層104及び第二誘導体層106に無接着剤材料を採用できる。例えば既知のエッチング工程によってコイル層の例えば巻線部及び端子パッドなど特定の回路を形成するために成形できる、例えば銅箔及び銅フィルム及びその類似品を含む予備金属被覆ポリイミドフィルム及びポリマーを主原料とするフィルムも使用できる。
【0028】
ポリマーを主原料とするフィルムは、ミクロン程度の非常に小さい厚みで利用でき、層を積み重ねることによって非常に薄型のインダクタ100が得られるという点で製造上有利である。層104、106及び132は、単純に接着剤で積層加工でき、代わりに無接着剤積層法も採用できる。
【0029】
インダクタの構成は、図5に示す下記の方法200に従って相互に別々に用意され組み立てられる部分組立体に適する。
【0030】
コイル巻線130を、これより大きい誘電体基礎層132のピースまたはシート上に大量に形成して(202)、コイル層102をこれより大きい誘電材料のシート上に形成できる(202)。巻線130は、上記の任意の方法または技術上既知の他の技法を用いて形成できる。コア用開口136は、コイル巻線130形成前にまたは後にコイル層102に形成できる。コイル巻線130は両面でも片面でも良く、金属被覆表面を形成する添加電気鋳造法またはサブトラクティブ法により形成できる。コイル巻線部130A及び130Bは、代表的実施形態において、端子パッド140、142及び相互接続体138(図3)と一緒に、基礎層132上に設置されて、コイル層102を形成する。
【0031】
誘電体層104及び106は、同様に、それぞれこれより大きい誘電材料のピースまたはシートから形成できる。誘電体層のコア用開口150、152は、打ち抜き法を含めて(ただし、これに限定されない)任意の既知の方法で形成でき、代表的実施形態において、コア用開口150、152は、コイル層上への層104及び106の組立前に形成される。
【0032】
ステップ202から得られたコイル層102を含むシート及びステップ204において形成された誘電体層104、106を含むシートを、その後積み重ねて(206)、積層加工して(208)、図4に示す組立体を形成できる。それぞれコイル層102及び誘電体層104及び106を形成するシートを積み重ねて(206)、積層加工した(208)後、それぞれの層の予形成されたコア用開口136、150及び152に磁気コア材を充当して、コアを形成できる。磁性材料が硬化した後、層状シートをカット、ダイシング、またはその他の方法で個々の磁性部品100にシンギュレート( singulate; 個別化)できる(212)。端子114、116(図1)の垂直表面122、124を、例えばメッキ加工によって金属被覆して211、コイル層102の端子パッド140、142(図2及び3)を誘電体層104の端子パッド118、120(図1)と相互接続できる。
【0033】
上述の層状構成体及び積層方法を用いて、インダクタなど磁性部品を、迅速かつ効率よく提供でき、しかも、完成品に対する高度な制御及び信頼性を維持できる。コイル層及び誘電体層を予形成することによって、既知の製造方法に比べてより精度の高いコイルの形成及びより迅速な組立が可能になる。層を組み立てた後にコイルを被覆してコア用開口の中にコアを形成することによって、別個に用意されるコア構造体及び製造時間及び費用の必要がない。コイルをコアの中に埋め込むことによって、従来の部品構成の場合のようにコア表面に巻線を別個に貼り付ける必要もない。従って、磁性部品を製造する既知の方法より低いコストでかつ小さい困難で薄型インダクタ部品を製造できる。
【0034】
上述の基本的方法から逸脱することなく、これより多いまたは少ない層を製作して、部品100に組み立てることができると想定される。上述の方法を用いて、比較的安価な技法及び工程を用いる一括処理で、低コストで広く入手可能な材料を用いて、インダクタ及びその類似品用の部品を効率よく形成できる。さらに、この方法は、従来の部品構成より少ない製造ステップでより大きなプロセス制御を与える。つまり、より低いコストでより高い製造収益が得られる。
【0035】
III .モジュール式
【0036】
図6及び7は、上下に積み重ねられて上側誘電体層304と下側誘電体層306との間に延びるコイルモジュール301を形成する実質的に同様の複数のコイル層を含む、磁性部品300の別の実施形態を示す。より明確には、コイルモジュール301は、相互に直列に接続されて表面実装端子305、307の間のコイル層302を通過する連続的電流路を形成するコイル層302A、302B、302C、302D、302E、302F、302G、302H、302I及び302Jを含むことができる。表面実装端子は、上述の端子接続構造体のいずれでも含むことができる。
【0037】
上述の部品100と同様、上側誘電体層304及び下側誘電体層306は、部品100について述べたのと同様に磁気コア部308A及び308Bのレセプタクルを形成する予形成開口310、312を含む。
【0038】
コイル層302A、302B、302C、302D、302E、302F、302G、302H、302I及び302Jは、各々、それぞれの誘電体基礎層314A、314B、314C、314D、314E、314F、314G、314H、314I及び314Jと、概して平面的なコイル巻線部316A、316B、316C、316D、316E、316F、316G、316H、316I及び316Jとを含む。コイル巻線部316A、316B、316C、316D、316E、316F、316G、316H、316I及び316Jは、各々、図示される実施形態のように2巻きなど所定数の巻きを含むが、別の実施形態においては、これより多いまたは少ない数の巻きを利用できる。コイル巻線部316は、各々、1つの実施形態においては片面に設置できる。すなわち、上述のコイル層102と異なり、コイル層302は、基礎層314の主要表面の一方のみに延びるコイル巻線部316を含むことができ、隣り合うコイル層302のコイル巻線部316を誘電体基礎層314によって相互に電気的に隔離できる。別の実施形態においては、両面コイル巻線を利用できるが、ショートしないように、コイル部は積重ね時に相互に適切に隔離されるものとする。
【0039】
さらに、コイル層302は、各々、終端開口318を含み、選択的に開口に導電材料を充填して、下に説明するようにコイル層302のコイル巻線316を相互に直列に接続できる。例えば、開口318を、コイル層302において巻線316の外周付近に打ち抜き、穿孔またはその他の方法で形成できる。図8に概略的に示すように、各コイル層302は、所定数の外側コイル終端開口318A、318B、318C、318D、318E、318F、318G、318H、318I及び318Jを含む。代表的実施形態において、終端開口318の数は、コイル層302の数と同じであるが、別の実施形態においては、これより多いまたは少ない終端開口318を設置して同様の効果を得ることができる。
【0040】
同様に、各コイル層302は、所定数の内側コイル終端開口320A、320B、320C、320D、320E、320F、320G、320H、320I及び320Jを含む。これらの開口は、同様にコイル層302において打ち抜き、穿孔またはその他の方法で形成できる。内側終端開口320の数は、代表的実施形態においては、外側終端開口の数と同じであるが、他の実施形態においては、内側終端開口320と外側終端開口318の相対的数を変えることができる。外側終端開口318は、各々、関連する回路トレース322A、322B、322C、322D、322E、322F、322G、322H、322I及び322Jによってコイル316の外側領域に接続可能である。内側終端開口320は、各々、同様に、関連する回路トレース324A、324B、324C、324D、324E、324F、324G、324H、324I及び324Jによってコイル316の内側領域に接続可能である。また、各コイル層302は、端子パッド326、328及び中央コア用開口330を含む。
【0041】
代表的実施形態において、各コイル層には外側終端開口318及び内側終端開口320の全てが存在しているが、コイル層302の各々において、実際には外側終端開口318の1つに関連するトレース322が1つあり、内側終端開口320の1つに関連するトレース324が1つある。すなわち、各層には複数の外側終端開口318及び内側終端開口320が設置されるが、実際には、利用される特定の終端開口318、320用の関連トレースを形成することによって、各層302において、コイル巻線316の外側領域用に1つの終端開口318だけが、また各コイル巻線316の内側領域用に1つの終端開口320だけが、利用される。利用されない他の終端開口318、320については、各コイル層302において接続トレースは形成されない。
【0042】
図7に示すように、コイル層302は対で配列され、例えばコイル層302Aと302Bにおける対のコイル巻線部316Aと316Bにおいて、終端開口318及び320の1つ及び関連トレースによって確立された終端点は、相互に整列して、接続体を形成する。ただし、スタックにおいて隣接する対のコイル層(例えば層302Cと302D)において、終端開口318及び320の1つ及び関連するトレースによって確立されたコイル巻線部316Cと316Dのための終端点は、コイルモジュール301の中で隣接する対のコイル層の終端点と食い違う。すなわち、図示する実施形態において、コイル層302Cと302Dの終端点は、隣接する対316A、316B及び対316E、316Fの終端点と食い違う。スタックにおける終端点の食い違いは、隣り合う対のコイル層302のコイル巻線部316の電気ショートを防止し、一方で、各コイル層302A、302B、302C、302D、302E、302F、302G、302H、302I及び302Jにおけるコイル巻線部316全ての効果的な直列接続をもたらす。
【0043】
コイル層302が積み重ねられたとき、基礎層314の各々に形成された内側終端開口318及び外側終端開口320は相互に整列して、積み重ねられたコイル層302全体を通過する連続的開口を形成する。連続開口の各々に導電材料を充填できるが、開口318及び320から選択された1つだけがそれぞれの導電トレース322及び324を含むので、トレース322及び324が存在するところにのみコイル層302のコイル巻線部316の間に電気接続が確立され、トレース322及び324が存在しないところには電気接続は確立されない。
【0044】
図7に示す実施形態においては、10個のコイル層302A、302B、302C、302D、302E、302F、302G、302H、302I及び302Jが設置され、図示する実施形態において、コイル層302のそれぞれのコイル巻線部316は、各々、2巻きを含む。コイル巻線部316A、316B、316C、316D、316E、316F、316G、316H、316I及び316Jは直列接続されるので、積み重ねられたコイル層302には合計で20巻きが与えられる。20巻きのコイルは、1つの例において、約4〜5μHのインダクタンス値を生じ、インダクタ100を低出力用のパワーインダクタに充分に適するものにする。ただし、代わりに、任意の数のコイル層302及びコイル層の各巻線部において任意の巻き数を持つように部品300を製作して、特定の用途または最終用途に特に合わせてコイルを製作できる。
【0045】
上側及び下側誘電体層304、306及び誘電体基礎層314を、上述のポリマーを主原料とする金属箔材料から製作して、同様の利点を得られる。コイル巻線部316を上述の技法を含めて任意の方法で形成して、同様の利点及び効果を得られる。コイル層302をモジュール形式で用意でき、スタックに使用されるコイル層302の数に応じて、様々な定格及び特性のインダクタを提供できる。スタックコイル層302なので、インダクタ300は、部品100の寸法H(代表的実施形態において、約0.15mm)より大きな薄型寸法H(代表的実施形態において、約0.5mm)を持つが、それでも、スタック回路基板及びその類似品に使用される多くの薄型用途に対処するのに充分な薄さである。
【0046】
また、部品300の構成は、図9に示される下記の方法350の方法に従って別個に用意され相互に組み立てられる部分組立体に適する。
【0047】
コイル巻線を、これより大きい誘電体基礎層の上に大量に形成して、コイル層302をこれより大きい誘電材料のシートの上に形成できる(352)。コイル巻線は、上述の任意の方法または技術上既知の他の技法に従って形成できる。コア用開口330は、コイル巻線形成前または後に材料のシートに形成できる。コイル巻線は、両面でも片面でもよく、金属被覆表面に添加電気鋳造法またはサブトラクティブ法で形成できる。コイル巻線部316は、終端トレース322、324及び端子パッド326、328と一緒に、各コイル層302の基礎層314上に設置される。ステップ352においてコイル層302が形成されたら、コイル層302を積み重ねて(354)、積層加工して(356)、コイル層モジュールを形成できる。終端開口318、320は、コイル層の積重ね及び積層加工の前にまたは後に形成できる。コイル層が積層加工された356後、コイル層の終端開口318、320を充填して358、上述のようにコイル層のコイルを直列に相互接続できる。
【0048】
誘電体層304及び306も、それぞれ、これより大きい誘電材料のシートから形成できる360。誘電体層304、306のコア用開口310、312は、打ち抜きまたは穿孔を含めて(ただし、これに限定されない)任意の既知の方法で形成でき、代表的実施形態においては、コア用開口310、312は、誘電体層304及び306をコイル層モジュールに対して組み立てる前に形成される。
【0049】
その後、外側誘電体層304及び306をコイル層モジュールに積み重ねて、積層加工できる(362)。磁気コア材を積層加工されたスタックに充当して(364)、磁気コアを形成できる。磁性材料が硬化した後、積み重ねられたシートをカット、ダイシングまたはその他の方法で個々のインダクタ部品300にシンギュレートできる(366)。部品のシンギュレーション( singulation; 個別化)前または後に、端子305、307(図7)の垂直表面を、例えばメッキ工程によって、金属被覆して365、部品300を完成できる。
【0050】
層状構成及び積層方法350を用いて、インダクタ及びその類似品など磁性部品を迅速かつ効率よく提供でき、しかも、完成品に対して高度の制御及び信頼性を維持できる。コイル層及び誘電体層を予形成することにより、既知の製造方法に比べて、コイル形成の精度が高まり、組立が迅速になる。層を組み立ててからコイルを被覆してコア用開口の中にコアを形成することによって、別個に用意されるコア構造体及び製造時間及び費用が必要ない。コアの中にコイルを埋め込むことによって、コアの表面に巻線を別個に貼り付ける必要もない。従って、既存の磁性デバイス製造方法より低いコストでかつ小さい困難で薄型インダクタデバイスを製造できる。
【0051】
上述の基本的方法から逸脱することなく、これより多いまたは少ない層を製作し、組み立てて、部品300にすることができる。上述の方法を用いて、比較的安価な既知の技法及び工程を用いる一括処理で、低コストで広く入手可能な材料を用いて、磁性部品を効率よく形成できる。さらに、この方法は、従来の部品構成より少ない製造ステップでより大きなプロセス制御を与える。つまり、より低いコストでより高い製造収益が得られる。
【0052】
上記の理由から、インダクタ300及び方法350は、既知の構成の製造上の難題及び困難を回避すると考えられ、従って、従来の磁性部品より低コストで製造可能でありながら、満足できるデバイスの生産高をより高くする。
【0053】
IV.さらなる適応
上に開示する概念は、さらに、下記の代表的実施形態において拡大され、小型インダクタ及びトランス部品を含めて(ただし、これに限定されない)従来の磁性部品組立体よりさらに付加的な利点及び長所を与える。明確には、下に説明するように、薄型磁性部品を形成する際に上述の誘電体層を使用する代わりに、磁気シート層を利用して、さらなる性能上の利点を与えることができる。
【0054】
図10a〜10cを参照すると、代表的磁性部品組立体400のいくつかの図が示される。図10aは、代表的実施形態に従った、第一巻線形態の巻線と、少なくとも1枚の磁粉シートと、垂直向きのコアエリアとを有する組立体の上からの斜視図及び分解図である。図10bは、代表的実施形態に従った図10aの組立体の下からの斜視図及び分解図である。図10cは、代表的実施形態に従った図10a及び10bの組立体の第一巻線形態の斜視図である。
【0055】
図示する代表的実施形態によれば、部品組立体400は、少なくとも1枚の磁粉シート410、420、420と、少なくとも1枚の磁粉シート410、420、430に結合された第一巻線形態450の巻線440とを含む。この実施形態から分かるように、組立体400は、下面412及び上面414を有する第一磁粉シート410と、下面422及び上面424を有する第二磁粉シート420と、下面432及び上面434を有する第三磁粉シート430とを備える。代表的実施形態において、各磁粉シートを、Chang Sung Incorporated(韓国仁川)が製造し商品名20u−eff Flexibl Magnetic Sheetで販売される磁粉シートとすることができる。また、これらの磁粉シートは、ほとんどが特定の方向を向く粒子を有する。従って、支配的な粒子方向に磁場が生成されたとき、より高いインダクタンスが得られる。この実施形態においては3枚の磁粉シートが示されるが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、磁粉シートの枚数を増減して、巻線の巻き数を増減するかまたはコアエリアを増減できる。また、この実施形態においては、磁粉シートが示されるが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、積層加工できる任意の可撓性シートを使用できる。
【0056】
また、第一磁粉シート410は、第一磁粉シート410の下面412の対向する長手縁に結合された第一端子416及び第二端子418を含む。端子416、418は、小型パワーインダクタを電気回路に結合するために使用できる。電気回路は、例えば、印刷回路基板(図示せず)上にある。端子416、418は、各々、端子416、418を1つまたはそれ以上の巻線層(下で説明する)に結合するバイア417、419も備える。バイア417、419は、下面412の端子416、418から第一磁粉シート410の上面412へ至る導電接続体である。バイアは、磁粉シートに貫通穴を穿孔し、穿孔された穴の内側円周を導電材料で被覆することによって形成できる。または、導電性ピンを穿孔穴に配置して、バイアにおける導電接続を確立できる。
【0057】
図示するバイア417、419は円筒形であるが、バイアは、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく別の形状(例えば長方形)をとることができる。1つの代表的実施形態において、バイアを穿孔する前に、組立体全体を形成して、これを圧迫できる。図示する端子は対向する長手縁に結合されるが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく第一磁粉シートの下面の別の場所に端子を結合できる。また、図示する各端子は1つのバイアを持つが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、用途に応じて、直列ではなく並列に1つまたはそれ以上の巻線層を配置するように、端子の各々に付加的バイアを形成できる。
【0058】
第二磁粉シート420は、第二磁粉シート420の下面422に結合された第一巻線層426と、上面424に結合された第二巻線層428とを有する。2つの巻線層426、428は、組み合わされて巻線440を形成する。第一巻線層426は、バイア417を介して端子416に結合される。第二巻線層428は、バイア427を介して第一巻線層426に結合される。バイア427は第二磁粉シート420に形成される。バイア427は、第二磁粉シート420の下面422から上面424へ至る。第二巻線層428は、バイア429、419を介して第二端子418に結合される。バイア429は、第二磁粉シート420の上面424から下面422へ至る。この実施形態において、図では2つの巻線層が第二磁粉シートに結合されるが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、1つの巻線層を第二磁粉シートに結合できる。
【0059】
巻線層426、428は、導電性金属層から形成される。金属層は、銅または上述のような他の金属であり、これが第二磁粉シート420に結合される。この導電性金属層は、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、上述の素子(例えば、電気鋳造素子、スクリーン印刷素子など)、スタンプ銅箔、エッチング銅トレースまたは予形成コイルを含めて(ただし、これに限定されない)様々な方法で設置できる。エッチング銅トレースは、化学的工程、フォトリソグラフ法またはレーザーエッチング法(ただし、これに限定されない)を用いて形成できる。この実施形態に示すように、巻線層は長方形の渦巻き型である。ただし、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、他のパターンを用いて巻線を形成できる。代表的実施形態においては、導電材料として銅が使用されるが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、他の導電材料を使用できる。また、端子416、418は、スタンプ銅箔、エッチング銅トレースを用いてまたはその他の適切な方法によって形成できる。
【0060】
この実施形態によると、第三磁粉シート430は、第二巻線層を絶縁できるように、またコアエリアを増大してより大きい電流の流れを処理できるように、第二磁粉シート420の上面424の上に配置される。
【0061】
図では第三磁粉シートは巻線層を持たないが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、第二磁粉シートの上面の巻線層の代わりに第三磁粉層の下面に巻線層を追加できる。さらに、図では、第三磁粉シートは巻線層を持たないが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、第三磁粉層の上面に巻線層を追加できる。
【0062】
巻線層426、428及び(または)端子416、418と一緒に磁粉シート410、420、430の各々を形成したら、シート410、420、430を、高圧例えば液圧で圧迫して、一緒に積層加工して、小型パワーインダクタ400を形成する。シート410、420、430を一緒に圧迫した後、前述のようにバイアを形成する。この実施形態によれば、巻線とコアとの間の物理的ギャップ(従来のインダクタに一般に見られる)が取り除かれる。このような物理的ギャップの排除は、巻線の振動による可聴ノイズを最小限に抑える傾向がある。
【0063】
部品組立体400は立方体として示されているが、代表的実施形態の範囲及び思想から逸脱することなく、長方形、円形または楕円形を含めて(ただし、これに限定されない)他の幾何学的形状を使用できる。
【0064】
巻線440は、第一巻線層426と、第二巻線層428とを含み、垂直向きコア457を有する第一巻線形態450を形成する。第一巻線形態450は、第一端子416から始まり、その後第一巻線層426へ進み、第二巻線層428へ進み、第二端子418へ進む。従って、この実施形態において、磁粉シートが押出し成形される方向次第で、粒子方向に直角の向きに磁場を生成して、より低いインダクタンスにするか、または粒子方向に平行の向きに磁場を生成して、より高いインダクタンスを得られる。
【0065】
関連する米国特許出願第12/181436号(参照により本明細書に組み込まれる)において説明されるように、部品組立体において垂直向きまたは水平向きの多様な巻線形態を、同様に利用できる。また、磁性体層及びコイル層の数も、様々な実施形態において変動可能である。組立体400など組立体は、小型パワーインダクタ部品に特に有利であると考えられるが、小型トランス部品を含めて他のタイプの部品も、同様の技法を用いて有利に提供できる。
【0066】
図11は、フレキシブル回路基板法を用いて製作されたコイル502、504を含む磁性部品組立体500を示す。上または下で説明するものなど磁性材料の層506、508をコイル502、504の周りに圧迫し、これに結合して、コイル502、504を収容する磁性体を形成できる。
【0067】
図11には2つのコイル502、504が示されるが、他の実施形態においてはこれより多いまたは少ない数のコイルを設置できる。さらに、図11にはほぼ正方形のコイル502、504が示されるが、他の形状のコイルが可能であり、利用できる。フレキシブル印刷回路コイル502、504は、磁性体内部においてフラックスシェアリング(磁束共有)式に配置できる。
【0068】
フレキシブル回路コイル502、504は、1つの例においては端子パッド510及び磁性体の側面の金属被覆開口512を介して電気的に接続されるが、別の実施形態においては他の終端構造体を使用できる。
【0069】
図12は、フレキシブル印刷回路コイル602と成形可能磁性体層604、606及び608とを含む別の磁性部品組立体600を示す。磁性材料は成形可能材料とすることができ、上述の材料のいずれからでも製作できる。磁性体層をフレキシブル印刷回路コイル602の周りに圧迫して、これに固定できる。
【0070】
図11に示す組立体500と異なり、組立体600は、図12に示すように、層604、608に形成された開口610、612を含む。開口610、612は、対応する形状のコア素子614、616を受け入れる。コア素子は、磁性体層604、606とは異なる磁性材料から製作できる。コア素子616は、コイル602の開口620を通過して延びる中央隆起618を含むことができる。コア素子614および616は、磁性体を磁性体層で形成する前にまたは後に設置できる。
【0071】
図12に示す実施形態とは別の実施形態においては、これより多いまたは少ない数の層を設置できる。さらに、複数のコイル602を設置でき、コイル602を両面コイルにすることができる。様々な形状のコイルを利用できる。
【0072】
図11及び12に示す実施形態は磁性体層から製作されるが、上述のようにまず層に形成せずに、代わりにフレキシブル印刷回路コイルの周りに磁粉材料を直接圧迫してこれを製作できる。
【0073】
代表的実施形態においては、磁性体層604、606及び608は、各々、成形可能な磁性材料から製作される。成形可能磁性材料は、例えば、当業者には周知のように分散間隙特性(distributed gap properties)を有する磁粉粒子とポリマー結合剤との混合物である。
【0074】
磁性体層604、606及び608を形成する際に使用される磁粉粒子としては、様々な実施形態において、フェライト粒子、鉄(Fe)粒子、センダスト(Fe−Si−Al)粒子、MPP(Ni−Mo−Fe)粒子、HighFlux(Ni−Fe)粒子、Megaflux(Fe−Si合金)粒子、鉄を主原料とするアモルフォス粉末粒子、コバルトを主原料とするアモルフォス粉末粒子または技術上既知のその他の同等の材料が考えられる。この種の磁粉粒子をポリマー結合剤と混合すると、その結果磁性材料は分散間隙特性を示す。この特性は、磁性材料のピースを物理的に離間または分離する必要をなくす。つまり、一貫した物理的間隙サイズの確立及びその維持に関連する困難及び費用が必要なくなり、有利である。高電流の場合、予備焼きなまし磁性アモルフォス金属粉をポリマー結合剤と組み合わせると有利であると思われる。
【0075】
実施形態によって、磁性体層604、606及び608を同じタイプの磁粉からまたは異なるタイプの磁粉から製作できる。すなわち、1つの実施形態においては、磁性体層604、606及び608が(同一ではないとしても)同様の磁気特性を持つように、全ての磁性体層604、606及び608を同一タイプの磁粉から製作できる。別の実施形態においては、層604、606及び608の1つまたはそれ以上を他の層とは異なるタイプの磁粉粒子から製作できる。例えば、内側磁性体層606が外側磁性体層604及び608とは異なる特性を持つように、内側磁性体層606は、外側磁性体層604及び608とは異なるタイプの磁粉を含むことができる。使用される磁性体層の数及び磁性体層の各々を形成するために使用された磁性材料のタイプ次第で、完成部品の性能特性を変えることができる。
【0076】
既存の磁性部品に比べて製造上及び組立上利点を有する磁性体構成及びコイル構成を含む磁性部品の様々な実施形態について説明した。下記のことから分かるように、利点は、少なくとも部分的に、使用される磁性材料によって与えられる。すなわち、磁性材料はコイルを被覆して成形でき、それによって、別個の離間したコアとコイルを組み立てるステップが排除される。また、磁性材料は分散間隙特性を有し、磁性材料の様々なピースを物理的に離間または分離する必要がない。
【0077】
さらに、磁性材料は、例えば圧縮成形法またはその他の技法によって希望の形状に成形可能であり、層をコイルに結合して、磁性体を希望の形状に形成できる。磁性材料を成形できることは、磁性体をコイル層の周りでコイルを含む一体的構造体すなわちモノリシック構造体に形成でき、かつ磁性構造体にコイルを組み立てる別個の製造ステップの必要がない点で有利である。様々な実施形態において、様々な形状の磁性体を提供できる。
【0078】
磁性体を形成する成形可能磁性材料は、上述の材料または技術上既知の他の適切な材料のいずれでも良い。結合剤と混合された磁粉材料は有利であると思われるが、磁性体を形成する磁性材料のために、磁粉も非磁性結合剤も必ずしも必要とされない。さらに、成形可能磁性材料は、上述のようにシートまたは層として用意される必要はなく、圧縮成形法または技術上既知のその他の技法を用いてコイルに直接結合できる。
【0079】
図13〜17は、さらなる性能上の利点を有する磁性部品組立体を提供するさらに別の特徴を示す。明確に言うと、別個に用意されたコアピースを磁粉材料と組み合わせて、希望の性能特性を有する磁性部品組立体を提供できる。
【0080】
図13は、概して円筒形の中央部652と、円筒形中央部654の一端から延びる概して環状のフランジ部654とを有する代表的ドラムコア650を示す。従って、図示するドラムコア650は、それぞれ図2及び12に示すコア素子108及び616と同様の形状を持つ。ただし、ドラムコア650とコアピース108及び616の大きさの比率は、図が示すように異なる。明確に言うと、ドラムコア650はよりコンパクトで(すなわち、直径がより小さい)、環状フランジ部654の厚みが大きく、円筒形中央部652は、コアピース108及び616の対応する部分に比べて高い。ドラムコア650の代表的寸法は、ミリメートルの単位で図13に示すが、別の実施形態においては、寸法は変動する可能性がある。
【0081】
ドラムコア650は、上述の材料または技術上既知の材料のいずれからでも製作できる。コア650はさらに、圧縮成形法及びこれに類似するものを含めて(ただし、これに限定されない)既知の技法を用いて製作できる。ドラムコア650は、さらに材料の層から製作するか、非層状構成体とすることができる。1つまたはそれ以上のタイプの材料を用いてドラムコアを製作して、ドラムコアに変動する磁気特性及び電気特性を与えることができる。
【0082】
図14及び15は、ドラムコア650のように環状フランジ654(図13)を持たない、概して円筒形の磁性体を含む代表的ロッドコア660及び670を示す。図14及び15に示す実施形態において、ロッドコア660及び670は、薄型要件を満たすように先端が切られているので、ホッケー用パックに似たディスク形である。ロッドコア660及び670の代表的寸法をミリメートルの単位で図14及び15に示すが、別の実施形態において、寸法は変動する可能性がある。
【0083】
ドラムコア650と同様、ロッドコア660及び670は、上述のまたは技術上既知の材料のいずれからでも製作できる。コア650は、さらに、圧縮成形法及びこれに類似するものを含めて(ただし、これに限定されない)既知の技法を用いて製作できる。さらに、ロッドコア660及び670は、材料の層から製作するか、非層状構成を持つことができる。1つまたはそれ以上の異なるタイプの材料を用いてロッドコアを製作して、ロッドコアに変動する磁気特性及び電気特性を与えることができる。
【0084】
図16は、ロッドコア670を含む代表的磁性部品組立体700の断面図である。ロッドコアは、外面部706及び708と密接しかつこれらに挟まれた中央コイル部704を含む磁性体702の中央に配置される。1つまたはそれ以上のコイル710がコイル部704に埋め込まれ、ロッドコア670はコイル710の中央部を通過して延びる。相互に対向する磁性体702の外面部706および708は、ロッドコア670、コイル710及び磁性体コイル部704をその間に効果的に包囲し囲繞する。
【0085】
コイル部704及び外面部706及び708を含む磁性体702は、上述のまたは技術上既知の材料のいずれからでも製作できる。さらに、磁性体702は、圧縮成形法及びこれに類似するものを含めて(ただし、これに限定されない)既知の技法を用いて製作できる。さらに、磁性体702は、材料の層から製作するかまたは非層状構成を持つことができる。1つまたはそれ以上の異なるタイプの材料を用いて磁性体702を製作して、変動する磁性特性及び電気特性を与えることができる。
【0086】
例えば、図16に示すように、1つの例において、コイル部704は、Chang Sung Corporationから販売されるMegaFLUXなどの第一磁性材料(層状あるいは非層状)から製作され、使用時に、第一のセットの磁気特性及び電気特性を示す。これに対して、磁性体702の外面部706及び708は、センダストなど第二の磁性材料(層状あるいは非層状)から製作されて、使用時に、第二のセットの磁気特性及び電気特性を示す。図示する実施形態においては、磁性体702の外面部706及び708は同じ材料から製作され、同じ磁気特性及び電気特性を持つが、別の実施形態においては、外面部も使用時に異なる磁気特性及び電気特性を持つように異なる磁性材料から製作できる。
【0087】
図16の例に示すように、ロッドコア670はフェライト粉末など第三の磁性材料(層状あるいは非層状)から製作されて、使用時に第三のセットの磁気特性及び電気特性を示す。ロッドコア670は、組立体700の長手軸712に平行の方向に、磁性体702の外面部706と708の間を端から端まで延びる。つまり、ロッドコア670のどの部分も露出せず、組立体700の外部から見えない。従って、ロッドコア670は、磁性体の外面部706と708との間に埋め込まれる。
【0088】
3つの異なる磁性材料を用いて磁性体702のロッドコア670、コイル部704及び外面部706及び708を形成することにより、別個の異なる材料が使用されその電気特性が異なるので、組立体の電気特性及び磁気特性は、組立体700の部分によって変動する。その結果、大きな性能上の利点を生じることができ、組立体700は、従来の例えば1つの材料を含む磁性部品構成の場合には可能ではないレベルの性能を示すことができる。また、組立体700を異なる磁性材料を用いて巧妙に構成して、本明細書で開示する他の実施形態の場合には可能でないレベルの性能を得ることができる。
【0089】
磁性体702のロッドコア670、コイル部704及び外面部706、708の形成について特定の磁性材料を指摘したが、これらの材料は単に代表的なものであり、同様に他の材料を使用して、組立体700の磁気特性及び電気特性を変動させて同様の目的を達成できる。
【0090】
磁性体702に利用されロッドコア670を取り囲むコイル710のタイプ及び特性を変えることによって、当然、さらなる性能の変動が可能である。上述のコイルのタイプのいずれでも利用できる。すなわち、予形成コイル層を誘電体基礎層の上に設置するか、フレキシブル印刷回路基板法を用いて予形成コイルを製作するか、または、ワイヤ導体を所定巻き数巻いたコイルから予形成ワイヤコイルを製作できる。使用されるコイルのタイプ及び巻線の構成を変えることによって、例えば様々なインダクタンス値が得られる。どのように形成するとしても、組立体700を回路基板に表面実装してコイル710を通過する電気回路を確立できるように、コイル710を上述のまたは技術上既知の任意の方法で終端して、磁性体702の外部への電気経路を確立できる。
【0091】
組立体700は、多段階の製作及び組立工程で製造できる。すなわち、代表的実施形態において、磁性体コイル部704のロッドコア670及び埋込みコイル710を、相互に別個に製作し、組み立てることができる。このような実施形態において、磁性体コイル部を通過して延びる中央開口または穴を持つように磁性体コイル部704を形成し、この穴を通過して予備製作ロッドコア670を延ばすことができる。別の実施形態においては、予備製作ではなく、射出成形法及びこれに類似する技法を用いて、ロッドコア670を磁性体コイル部704の中央開口または穴の中に形成できる。その後、圧縮成形法及びこれに類似する技法を用いて、磁性体コイル部704及びロッドコア670組立体の端面に磁性体外面部706及び708を形成できる。その後、終端を完了できる。従って、組立体700は、以前開示した実施形態のいくつかより製造の点で複雑であるが、本明細書において説明した他の実施形態に比べて製造コストが上がったとしても、性能上の利点はそれを充分に上回る。
【0092】
さらに、例えば図14に示すロッドコア660のようなより小さいロッドコアを使用することによって、組立体700の薄型寸法をさらに変動できる。使用されるロッドコアのサイズは、使用時の組立体の性能パラメータ全体にも影響を与える。
【0093】
図17は、上述の組立体700と同様であるが、ロッドコア670(図16)の代わりにドラムコア650を利用する別の磁性部品組立体720を示す。ドラムコア650及びその環状フランジ654(図13)は、ロッドコアの場合に比べて第一のタイプの磁性材料が追加されるので、比較可能なサイズの組立体700に比べて組立体720の磁気性能及び電気性能を変化させる。
【0094】
図17に示すように、ドラムコア650の環状フランジ645は、磁性体702の端面で外面部708から露出しており、中央部652の反対端は、磁性体702の外面部706まで延びるがこれを通過しない。つまり、ドラムコアの中心部652の端は、組立体720の外部に露出せず、外部から見えない。従って、ドラムコア中心部652は、磁性体の外面部706と708との間に埋め込まれ、組立体720の長手軸712に平行の方向に、環状フランジ654と外側部706との間で端から端まで延びる。
【0095】
説明した実施形態の特定の特徴を、説明した実施形態の別の特徴と組み合わせて、本開示の範囲の中で、さらに別の変形例を提供できる。例えば、誘電体層について説明する場合、代わりに磁性体層を利用するか、または磁性体層と誘電体層の組合せを利用できる。磁性シートについて説明する場合、代わりに磁粉材料を利用できる。上記のコイルまたは巻線層または構成体のいずれも、磁性体または誘電体と組み合わせて利用できる。説明した実施形態のいずれかに関連して説明された終端技術は、いずれも、説明した他の実施形態に利用できる。このような変形例は、特許請求の範囲において明白に除外しない限り、本発明の範囲及び思想の範囲内にあると見なされるものとする。
【0096】
IV.結論
本発明の長所及び利点は充分に論証されたと思う。
【0097】
中央エリアと中央エリアの周りに延びる所定数の巻きとを有するコイル巻線を形成する少なくとも1つのコイルと、コイル層を囲繞しこれを埋め込む本体と、少なくともコイル層の中央エリア及び本体の中央エリアを占める磁気コア材と、を含む磁性部品組立体の実施形態を開示した。本体は誘電材料及び磁性材料の一方から製作され、本体と磁気コア材の電気特性及び磁気特性は相互に異なる。
【0098】
任意に、本体は、第一層を含む。第一層は、磁気コア材導入のためのレセプタクルを形成するコア用開口を含む。本体は、さらに、第二層を含むことができ、第一層及び第二層の両方が、これらを通過して延びるコア用開口を含むことができる。少なくとも1つのコイル層は中央エリアにおいてこれを通過して延びるコア用開口を含むことができる。磁気コア材は、第一層及び第二層とは別個に用意された磁気コア素子を含むことができる。磁気コア素子は、第一及び第二磁性シートのコア用開口及び少なくとも1つのコイル層のコア用開口を通過して延びる。第一層及び第二層は両方とも磁気材料を含み、第一層及び第二層の磁気コア材は、磁気コア素子とは異なる磁気特性を有する。磁気コア材をドラムコア及びロッドコアの一方に形成できる。
【0099】
本体は、第一磁性材料から製作されたコイル部と、第二磁性材料から製作された外面部とを備えることができ、第二磁性材料は第一磁性材料とは異なる磁気特性を有する。磁気コア材を第三磁性材料から製作でき、第三磁性材料は、第一及び第二磁性材料とは異なる磁気特性を有する。磁気コア材は、磁性体の外面部の間に実質的に全体的に埋め込まれる中央部を含むことができる。
【0100】
また、任意に、少なくとも1つのコイル層を両面コイルとすることができ、またフレキシブル回路コイルとすることができる。フレキシブル回路コイルは、少なくとも1つの端子パッドを含むことができる。少なくとも1つのコイルは複数の離間したコイル層を含むことができる。離間コイル層は、少なくとも1つのバイアによって接続できる。
【0101】
本体は第一層を含み、第一層は、ポリマーを主原料とするフィルムを含むことができる。ポリマーを主原料とするフィルムとしては、ポリイミドフィルムまたは液晶ポリマーがある。少なくとも1つのコイル層を、第一層及び第二層から独立して形成された電気鋳造コイル巻線とすることができる。本体は第一層を含み、第一層は成形可能磁性材料を含むことができる。成形可能磁性材料は、フェライト粒子、鉄(Fe)粒子、センダスト(Fe−Si−Al)粒子、MPP(Ni−Mo−Fe)粒子、HighFlux(Ni−Fe)粒子、Megaflux(Fe−Si合金)粒子、鉄を主原料とするアモルフォス粉末粒子、コバルトを主原料とするアモルフォス粉末粒子及びこれらの同等物及び組合せの少なくとも1つを含むことができる。また、本体は第二層を含み、第二層は成形可能磁性材料を含むことができる。第二層の成形可能磁性材料は、第一層の成形可能磁性材料と異なる磁気特性を持つことができる。
【0102】
磁性部品組立体は、さらに、表面実装端子を含むことができる。磁性部品をインダクタとすることができる。特に小型インダクタとすることができる。本体は、スタック磁性体層を備え、磁気コア材を磁性体層と一体的に設置できる。
【0103】
いくつかの特定の実施形態に関連して本発明を説明したが、当業者には、本発明は特許請求の範囲の思想及び範囲内で修正を加えて実施できることが分かるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央エリアと前記中央エリアの周りに延びる所定数の巻きとを有するコイル巻線を形成する、少なくとも1つのコイルと、
前記コイル層を囲繞し埋め込む本体であり、該本体が誘電材料及び磁性材料の一方から製作される、本体と、
少なくとも前記コイル層の前記中央エリア及び前記本体の中央エリアを占める磁気コア材であり、前記本体と該磁気コア材の電気特性及び磁気特性が相互に異なる、磁気コア材と、
を備える、磁性部品組立体。
【請求項2】
前記本体が、第一層を含み、前記第一層が磁気コア材導入のためのレセプタクルを形成するコア用開口を含むことを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項3】
前記本体が、さらに、第二層を含み、前記第一層及び第二層の両方が、前記第一層及び第二層を通過して延びるコア用開口を備えることを特徴とする、請求項2に記載の磁性部品組立体。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコイル層が前記中央エリアにおいて前記コイル層を通過して延びるコア用開口を含むことを特徴とする、請求項3に記載の磁性部品組立体。
【請求項5】
前記磁気コア材が、前記第一層及び第二層と別個に用意された磁気コア素子を含み、前記磁気コア素子が、前記第一及び第二磁性シートの前記コア用開口及び前記少なくとも1つのコイル層の前記コア用開口を通過して延びることを特徴とする、請求項4に記載の磁性部品組立体。
【請求項6】
前記磁気コア材がドラムコア及びロッドコアの一方に形成されることを特徴とする、請求項5に記載の磁性部品組立体。
【請求項7】
前記本体が第一磁性材料から製作されたコイル部と、第二磁性材料から製作された外面部とを備え、前記第二磁性材料が前記第一磁性材料とは異なる磁気特性を有することを特徴とする、請求項6に記載の磁性部品組立体。
【請求項8】
前記磁気コア材が第三磁性材料から製作され、前記第三磁性材料が前記第一及び第二磁性材料とは異なる磁気特性を有することを特徴とする、請求項7に記載の磁性部品組立体。
【請求項9】
前記磁気コア材が、前記磁性体の前記外面部の間に実質的に全体的に埋め込まれる中央部を含むことを特徴とする、請求項6に記載の磁性部品組立体。
【請求項10】
前記第一層及び第二層の両方が磁性材料を含み、前記第一層及び第二層の前記磁気コア材が前記磁気コア素子とは異なる磁気特性を有することを特徴とする、請求項5に記載の磁性部品組立体。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコイル層が両面コイルを備えることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項12】
前記少なくとも1つのコイル層がフレキシブル回路コイルを備えることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項13】
前記フレキシブル回路コイルが少なくとも1つの端子パッドを含むことを特徴とする、請求項12に記載の磁性部品組立体。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコイルが複数の離間したコイル層を備えることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項15】
前記離間したコイル層が少なくとも1つのバイア( via )によって接続されることを特徴とする、請求項14に記載の磁性部品組立体。
【請求項16】
前記本体が第一層を含み、前記第一層がポリマーを主原料とするフィルムから成ることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項17】
前記ポリマーを主原料とするフィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項16に記載の磁性部品組立体。
【請求項18】
前記本体が第一層を含み、前記第一層が液晶ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコイル層が、前記第一層及び第二層から独立して形成された電気鋳造コイル巻線を備えることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項20】
前記本体が第一層を含み、前記第一層が成形可能磁性材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項21】
前記成形可能磁性材料が、フェライト粒子、鉄(Fe)粒子、センダスト(Fe−Si−Al)粒子、MPP(Ni−Mo−Fe)粒子、HighFlux(Ni−Fe)粒子、Megaflux(Fe−Si合金)粒子、鉄を主原料とするアモルフォス粉末粒子、コバルトを主原料とするアモルフォス粉末粒子及びこれらの同等物及び組合せの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項20に記載の磁性部品組立体。
【請求項22】
前記本体が第二層を含み、前記第二層が成形可能磁性材料を含むことを特徴とする、請求項21に記載の磁性部品組立体。
【請求項23】
前記第二層の前記成形可能磁性材料が前記第一層の前記成形可能磁性材料と異なる磁気特性を有することを特徴とする、請求項22に記載の磁性部品組立体。
【請求項24】
さらに、表面実装端子を備える、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項25】
前記磁性部品組立体がインダクタであることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項26】
前記インダクタが小型インダクタであることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立体。
【請求項27】
前記本体がスタック磁性体層を備え、かつ前記磁気コア材が前記磁性体層と一体的に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の磁性部品組立品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−526387(P2012−526387A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509843(P2012−509843)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032787
【国際公開番号】WO2010/129344
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(506257537)クーパー テクノロジーズ カンパニー (35)
【Fターム(参考)】