説明

磁束誘導構造体

本発明の実施形態は、磁束誘導部を備える構造体を備え、磁束誘導部は、各素子が電気的に伝導性のループ部分(112,122)を備える複数の共振回路素子(110,120,310F)を備え、ループ部分(112,122)の対向した端部が容量性素子(114,124)を介して互いに結合されており、磁束誘導部(115,315)の隣接した共振素子が互いに磁気誘導結合されるように配置され、それにより、磁気誘導(MI)波を誘導部(115,315)により持続させ、少なくとも一つの共振素子(1205)が、導波管に沿ってMI波の伝播を持続させるように素子が配置される第1状態と、導波管に沿ってMI波の伝播を妨げるように素子が配置される第2状態との間で切り替え可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、磁束誘導構造体に関する。本発明は、これに限定されるわけではないが、特に、メタマテリアルを備えるトランス構造体に関する。
【0002】
【発明の背景】
【0003】
磁気共鳴画像(MRI)システムにおける磁束誘導部のようにアレイ形式の磁気誘導結合共振装置でメタマテリアルを使用することが知られている。メタマテリアル構造体を使用することにより、MRIシステムにおける磁束誘導部のように鉄を使用する為の要件をなくせるという利点がある。
【0004】
【発明の記載】
【0005】
本発明の第1態様において、磁束誘導部を備える構造体が設けられ、磁束誘導部は、各素子が電気的に伝導性のループ部分を備える複数の共振回路素子を備え、ループ部分の対向した端部は、容量性素子を介して互いに結合されており、磁束誘導部の隣接した共振素子は、互いに磁気誘導結合するように配置され、それにより、磁気誘導(MI)波を誘導部により持続させ、少なくとも一つの共振素子は、導波管に沿ってMI波の伝播を持続させるように素子が配置される第1状態と、導波管に沿ってMI波の伝播を妨げるように素子が配置される第2状態との間で切り替え可能になる。
【0006】
本発明の実施形態は、種々の装置が、メタマテリアル構造体を使用するモータ及びトランスを含んで設けられることを可能にする。これは、メタマテリアル構造体が強磁性作用を示すように配置可能であるからである。強磁性作用を示すメタマテリアルは、鉄または他の重金属を必要とすることなく製造可能である。そのため、強磁性メタマテリアル構造体は、対応する鉄含有構造体よりも、かなり低い重量で製造可能である。
【0007】
磁束誘導部は、実質的に閉じたループを備え、その構造体は、誘導部内にMI波を誘導する為の入力手段を備えることが好ましい。
【0008】
入力手段は、少なくとも1巻きの螺旋部を備えてもよい。
【0009】
螺旋とは、導体が磁束誘導部の少なくとも一部分の周りに巻かれることを意味する。導体は、1巻きの半分(実質的に180度)でも、半分を超えて(例えば、1巻き以上)巻かれてもよい。
【0010】
構造体は、誘導部により持続させられるMI波により導体内に電流の流れを誘導する為の出力手段を更に備えることが好ましい。
【0011】
出力手段は、少なくとも1巻きの螺旋部を備えてもよい。
【0012】
このような構造体の利点は、鉄や鉄ベースの材料を使用する為の要件を有することなくトランス構造体が設けられることである。
【0013】
構造体は、誘導部により持続させられるMI波により第1導体及び第2導体内の電流の流れを誘導する為の第1出力手段及び第2出力手段を備えてもよい。
【0014】
磁束誘導部は、切り替え可能な第1共振素子により、第1導体内に電流が誘導されることを妨げるように操作されてもよい。
【0015】
代替え的に或いは追加的に、磁束誘導部は、切り替え可能な第2共振素子により、第2導体内に電流が誘導されることを妨げるように操作されてもよい。
【0016】
任意で、磁束誘導部は、実質的に閉じられた第1磁束路及び第2磁束路を備え、第1出力手段が第2磁束路ではなく第1磁束路に設けられ、第2出力手段が第1磁束路ではなく第2磁束路に設けられてもよい。
【0017】
少なくとも一つの共振素子が、共振回路素子のループ部分と直列に設けられたスイッチにより、切り替え可能であることが好ましい。
【0018】
構造体は、ロータ部材を備え、ロータ部材は、少なくとも一つの共振回路素子が上部に設けられ、ロータ部材は、横断軸の周りに回転可能であり、もって、少なくとも一つの共振回路素子は、磁束誘導部の一対の隣接した共振回路素子の間を通され、構造体は、MI波を磁束誘導部に誘導するように操作可能であり、それにより、ロータ部材を回転させる。
【0019】
構造体は、ロータの共振回路素子が前記磁束誘導部の共振回路素子の少なくとも一つと磁気誘導結合可能であるように操作可能であり、前記結合は、横断軸の周りにロータを回転させる方向に、ロータの共振回路素子と磁束誘導部の前記少なくとも一つの共振回路素子との間で力を作り出すように配置されてもよい。
【0020】
ロータは、横断軸の周りに配置された共振回路素子の環を備え、環の共振回路素子のそれぞれは、前記横断軸から実質的に等間隔で配置されてもよい。
【0021】
本発明の第2実施形態において、磁束誘導部および少なくとも一つの螺旋部材を備える構造体が設けられ、磁束誘導部は、複数の共振回路素子を備え、各素子は、電気的に伝導性のループ部分を備え、ループ部分の対向した端部は、容量性素子を介して互いに結合されており、磁束誘導部の隣接した共振素子は、互いに磁気誘導結合され、第1の螺旋部材は、磁束誘導部の第1共振回路素子と磁気誘導結合され、第1螺旋部材は、交流が第1螺旋部に流れるとき、磁束誘導部に磁気誘導波が確立されるように配置され、交流は、磁束誘導部の共振回路素子の共振周波数に十分に近く共振周波数以下の周波数で流される。
【0022】
螺旋とは、導体が磁束誘導部の少なくとも一部分の周りに巻かれることを意味する。導体は、1巻きの半分(実質的に180度)でも、半分を超えて(例えば、1巻き以上)巻かれてもよい。
【0023】
構造体は、第2螺旋部材を備え、第2螺旋部材は、磁束誘導部の第2共振回路素子と磁気誘導結合されることが好ましい。
【0024】
第1螺旋部は、内部を流れる交流が、磁束誘導部の隣接した共振回路素子間の磁気誘導結合により、第2螺旋部内で対応した交流を誘導させるように配置されてもよい。
【0025】
そのような構造体の利点は、トランス構造体が、鉄や鉄をベースとした材料を使用する為の要件を有することなく設けられることである。
【0026】
磁束誘導部の共振回路素子は、スイッチ部材を備え、スイッチ部材は、第1螺旋部内を流れる交流が、第2螺旋部内で対応した交流を誘導することを妨げるように配置されていることが好ましい。
【0027】
磁束誘導部は、互いに並列に接続された複数の磁束誘導部を備え、各々の磁束誘導部は、周りに螺旋部が設けられることが好ましい。
【0028】
磁束誘導部の共振回路素子は、スイッチ部材を備え、スイッチ部材は、第1螺旋部内を流れる交流が、第2螺旋部内で対応した交流を誘導することを妨げるように配置されることが好ましい。
【0029】
スイッチ部材は、磁束誘導部の場所に設けられ、もって、磁束誘導部に沿った磁束の流れが実質的に妨げられことが好ましい。
【0030】
スイッチ部材は、共振回路素子のループ部分と直列に設けられ、共振回路の容量性素子と並列に設けられてもよい。
【0031】
構造体は、ロータ部材を更に備え、ロータ部材は、少なくとも一つの共振回路素子が上部に設けられ、ロータ部材は、横断軸の周りを回転するように配置され、もって、少なくとも一つの共振回路素子が、磁束誘導部の一対の隣接した共振回路素子の間に通されてもよい。
【0032】
構造体が配置されるので、ロータの共振回路素子が前記一対のうちの少なくとも一つの共振回路素子と磁気誘導結合されるが、前記結合は、横断軸の周りにロータを回転させる方向に、ロータの共振回路素子と前記一対のうちの少なくとも一つの共振回路素子との間で力を作り出すように配置されることが好ましい。
【0033】
ロータは、横断軸の周りに配置された共振回路素子の環が設けられ、環の共振回路素子のそれぞれは、前記横断軸から実質的に等間隔で配置されてもよい。
【0034】
本発明の更なる態様において、磁束誘導部と第1螺旋部及び第2螺旋部とを備えるトランス構造体が設けられ、磁束誘導部は、各素子が電気的に伝導性のループ部分を備える複数の共振回路素子を備え、各共振回路素子のループ部分の対向した端部は、容量性素子を介して互いに結合されており、磁束誘導部の隣接した共振素子は、互いに磁気誘導結合され、第1螺旋部は、磁束誘導部の第1共振回路素子と磁気誘導結合され、第2螺旋部は、磁束誘導部の第2共振回路素子と磁気誘導結合され、第1螺旋部は、内部を流れる交流が、磁束誘導部の隣接した共振回路素子間の磁気誘導結合により、第2螺旋部内で対応した交流を誘導させる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【図1a】図1aは、本発明の実施形態に従う切り替え可能なトランスを示す。
【図1b】図1bは、図1aに示されたトランスの概略的回路図を示す。
【図2a】図2aは、本発明の実施形態に使用される共振回路素子を示す。
【図2b】図2bは、本発明の実施形態に使用される共振回路素子を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従うモータ形式のアクチュエータを示す。
【図4a】図4aは、周波数の関数として、共振回路素子の磁気透磁率を座標で示す。
【図4b】図4bは、周波数の関数として、共振回路素子の透磁率を座標で示す。
【図4c】図4cは、2つの異なる、それぞれの値の間で切り替え可能なコンデンサを有する共振回路素子を示す。
【図5】図5は、本発明の幾つかの実施形態の使用に適した共振回路素子を示す。
【0036】
【詳細な説明】
【0037】
本発明の一実施形態において、図1に示されるように、切り替え可能なトランス構造体100が実質的に設けられている。構造体100は、複数の共振回路素子110から形成されている。図2に示されるように、素子110の各々は、ループ部分112を有し、ループ部分112は、抵抗及びインダクタンス、更に、容量性部分114を有する(図2を参照)。図1の構造体において、回路素子110は、互いに結合され、数字の「8」の形で実質的に磁束誘導部115を形成するように配置される。
【0038】
共振回路素子110は、軸方向に沿って互いに結合され、軸方向は、ループ部分112の面に対して垂直な方向である。隣接したループ間の結合は、例えば、図1(a)にA,B,C,D,E,Fと表示された磁束誘導部115における湾曲部で、軸方向成分に加えて平面的な成分を有することが分かる。平面的な成分は、素子110のループ部112の平面内で軸方向に対して垂直な成分を意味する。
【0039】
3つの螺旋部は、磁束誘導部115のそれぞれの部分の周りに設けられている。第1螺旋部131は、A位置とB位置との間に置かれ;第2螺旋部132は、C位置とD位置との間に置かれ、第3螺旋部133は、E位置とF位置との間に置かれている。
【0040】
構造体が配置されるので、交流は、螺旋部の一つ(例えば第1螺旋部131)を、磁束誘導部115の共振回路110の共振周波数と等しい或いは近い周波数で通される。この電流は、磁気誘導波を磁束誘導部115に作り出させ、これが、対応した電流を他方の螺旋部(例えば、第2及び/又は第3螺旋部132,133)の一方又は両方に誘導させる。
【0041】
回路素子110の抵抗、インダクタンス、静電容量(それぞれ、R,L,C)の値は、対象の周波数範囲内の共振周波数を与えるように選択されてもよいことが分かる。共振周波数は、約10Hzから約500kHz以上の適した周波数となるようにアレンジされてもよい。
【0042】
幾つかの実施形態において、磁束誘導部115の一つ以上の共振素子120,120’にスイッチ素子126、例えば、図2(b)に示されるように、スイッチ素子126が開いた形態のときに一つ以上の共振素子120,120’が共振することを妨げることを可能にするように配置されたものが設けられている。スイッチ素子120の容量性部分124及びループ部分122は、切り替えできない回路素子110と実質的に同一の電磁気特性を有するように配置されている。
【0043】
図1(a)のトンラス構造において、位置C,D間の共振回路素子120の一つには、位置E,F間の回路素子120S’の一つのようなスイッチ素子が設けられている。
【0044】
回路素子120S、120S’の各々のスイッチ素子126が閉じられた設定で、第1螺旋部131は、第2及び第3螺旋部132,133の両方に電流を誘導してもよいことが分かる。しかしながら、共振回路素子120Sのスイッチ素子126が開いた設定にあると、もはや電流は第2螺旋部132に誘導されない。
【0045】
同様に、共振素子回路120S’のスイッチ素子が開いた設定にあると、もはや電流は第3螺旋に誘導されない。
【0046】
そのため、本発明の実施形態は、磁束スイッチがトランス構造体に設けられる便利な手段を提供する。さらに、本発明の実施形態は、鉄や鉄ベースの材料のような重い強磁性材料を使用する為の要件がなくなるので、トランス構造体の重量が減らせるという利点がある。
【0047】
図3は、回転型アクチュエータ装置300の形式で、本発明の実施形態を示す。装置300は、磁束誘導部315を有し、磁束誘導部315は、複数の共振回路素子310Fを備え、これらは、実質的に軸方式で互いに結合されるように配置されている。磁束誘導部は、実質的に閉じられた経路を定めるように配置されている。
【0048】
螺旋部331は、磁束誘導部315の全長の一部分の周りに設けられている。螺旋部331は、磁束誘導部315の一つ以上の共振回路素子310Fと磁気誘導結合されるように配置されている。
【0049】
装置300もまた、実質的に平面状の形でロータ部分350、すなわち、軸351の周りを回転するように配置された実質的にディスク状部材350を有する。ロータ部分350は、その周囲近くに設けられた一連の平面結合型共振素子310Rを有する。他の配置、例えば、共振素子310Rがロータ部分350の周囲リム351の半径方向内側に設けられた配置も同様に有用である。
【0050】
磁束誘導部315が配置されるので、ギャップ315Gは、磁束誘導部315の軸方向に隣接した一対の共振回路素子310Fの間に設けられる。ロータ部分350は、このギャップ315Gの中に突き出るように配置され、ロータ部分350の回転が、ギャップ315Gを通過するロータ310Rの共振回路素子を生じさせる。
【0051】
共振回路素子310Rは、ギャップ315Gを通過するので、これらは、瞬間的に、隣接した一対の共振回路素子310Fと実質的に同軸になる。
【0052】
磁束誘導部315に沿って通る磁気誘導波がアレンジされ、最初にギャップ315Gを通過するロータ部分350の共振回路素子310Rに吸引力を受けさせ、一対の隣接した共振回路素子310Fと実質的に同軸になる場所まで磁束誘導部315に向けて共振回路素子310Rを引き寄せ、後に、実質的に反発力を受けさせ、共振回路素子310Rを磁束誘導部315から遠ざけることが分かる。
【0053】
図4(a)は、素子が励起される周波数の関数として共振回路素子の磁気透磁率μを示す。素子は、素子の共振周波数f0以下の周波数fで励起されるときに正の値のμを示し、共振周波数以上の周波数で励起されるときに負の値のμを示すことが分かる。そのため、f<f0において、隣接した回路素子310の間には吸引磁力が発生可能である。同様に、f>f0において、隣接した回路素子310の間には反発磁力が発生可能である。
【0054】
共振素子の容量性部分の静電容量Cが変わると、素子の共振周波数が変わるので、μの値も変わることが分かる。
【0055】
図4(b)は、それぞれが異なる値(C1及びC2)の静電容量Cを有する共振回路に対するfの関数として、μの座標を示す。
【0056】
この座標から、C1という静電容量値で回路は、共振周波数f0を有するが、C2(C2>C1)という静電容量値で回路は、共振周波数f1(<f0)を有することが分かる。
【0057】
図4(c)は、C1の値(スイッチ326が開いた状態)とC2の値(スイッチ326が閉じた状態)との間で切り替えられるように配置された容量性部分を有する共振回路310Sを示す。そのため、回路が、およそ(f0+f1)/2の操作上の周波数Fopで共振させられると、例えば、この周波数のMI波により、回路は、正の磁気作用から負の磁気作用に切り替え可能になるが、これは、スイッチが、開いて状態から閉じた状態、或いは逆に移るからである。例えば、スイッチ326が開くと、回路310Sは周波数f0で共振可能であり、スイッチが閉じられると、共振は周波数f1で始まる。この結果、(f0+f1)/2に近い一定の周波数で、回路は、正の磁気作用から負の磁気作用に切り替えることができる。
【0058】
そのため、使用中、共振回路素子310Sから形成された磁束誘導部315が設けられ、周波数fopのMI波が磁束誘導部内に確立される。誘導部315の素子310Sのスイッチ326は、その後、開いた状態と閉じた状態との間で、互いに同期して切り替えられ、それにより、ギャップ315G内で、交互に、吸引の磁界と反発の磁界を確立させる。構造体は、ロータ部分の回路310Rがギャップ315G内の磁界により連続的に吸引及び反発されるので、それにより、ロータ部分350を回転させるように操作可能である。
【0059】
回転を生じさせるロータ部分350に適用される力の大きさを大きくする為に、複数の磁束誘導部315が単一の装置に使用されてもよいことが分かる。磁束誘導部315は、ロータ部分350の周りの半径方向及び/又は円周方向に配置されてもよい。
【0060】
本発明の幾つかの実施形態において、図5に示されるように、共振回路素子220は、容量性素子224と並列にスイッチ素子226が接続される場所に設けられる。スイッチ素子226を閉じることにより、ループ形の回路素子を設けてもよいことが分かる。
【0061】
レンツの法則により、ac磁界に晒された単純な閉ループのワイヤが反対の磁界を発生させ、これが、適用される磁界を部分的に相殺することが分かる。この現象は、反磁性体の作用に対して直接的に対応する。そのため、図5の共振回路素子220は、閉じられた設定にあるスイッチ226と共に、反磁性特性を示す。
【0062】
容量性素子が並列に接続されるループにより、単純な閉ループのワイヤが置き換えられると、(図2の回路素子の場合のように)共振回路が作り出される。
【0063】
この回路は、強磁性特性を示す。これは、共振回路の共振周波数に近く共振周波数以下で、誘導された電動力とループ内の電流の流れとの間に正の位相関係が存在するからである。そのため、第1共振回路は、隣接した第2共振回路に、第1共振回路の方向とは逆の方向に電流の流れを誘導する。したがって、それぞれの電流は、各々が磁束線を生み出し、これらが、互いに関して反対方向に向けられる。この現象は、強磁性体の作用と直接的に対応する。そのため、図2の共振回路素子110,120は、閉じられた設定にある素子120のスイッチ126と共に、強磁性特性を示す。
【0064】
本願の明細書の説明及び請求の範囲を通じて、用語「備える」、「含む」、この用語のバリエーション、例えば、「備えている」は、「限定されないが含むこと」を意味し、他の部分(moieties)、付加的なもの、構成するもの、完全なもの等を除外するものではない。
【0065】
本願の明細書の説明及び請求の範囲を通じて、単数は、文脈で要求されていない限り、複数も含む。特に、不定冠詞が使用されている場合、明細書は、文脈で要求されていない限り、単数、複数を意図することが分かる。
【0066】
本発明の特別な態様、実施形態、実施例との関係で記載された特徴、完全体、特性、組成、化学的な部分、化学基は、互換性が無い場合でない限り、本願に説明された他の実施態様、実施形態、実施例に適用可能である。
【0067】
【符号の説明】
【0068】
110、120,310F…共振回路素子
112,122…ループ部分、
115,315…磁束誘導部
126…スイッチ
131,331…入力手段
132,133…出力手段
310R…共振回路素子
351…ロータ部材
1205…共振素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束誘導部を備える構造体であって、
前記磁束誘導部は、各素子が電気的に伝導性のループ部分(112,122)を備える複数の共振回路素子(110,120,310F)を備え、前記ループ部分(112,122)の対向した端部は、容量性素子(114,124)を介して互いに結合されており、前記磁束誘導部(115,315)の隣接した共振素子は、互いに磁気誘導結合されるように配置され、それにより、磁気誘導(MI)波を誘導部(115,315)により持続させ、
少なくとも一つの共振素子(1205)は、導波管に沿ってMI波の伝播を持続させるように前記素子が配置される第1状態と、前記導波管に沿ってMI波の伝播を妨げるように前記素子が配置される第2状態との間で切り替え可能になる、構造体。
【請求項2】
前記磁束誘導部(115,315)は、実質的に閉じられた磁束路を備え、前記構造体は、前記誘導部にMI波を誘導する為の入力手段(131,331)を備える、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記入力手段は、少なくとも1巻きの螺旋部(131,331)を備える、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記構造体は、前記誘導部(115)により持続させられたMI波により導体内に電流の流れを誘導する為の出力手段(132,133)を更に備える、請求項2又は3に記載の構造体。
【請求項5】
前記出力手段は、少なくとも1巻きの螺旋部(132,133)を備える、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記構造体は、誘導部により持続させられたMI波により、第1導体及び第2導体に、それぞれ、電流の流れを誘導する為の第1出力手段(132)及び第2出力手段(133)を備える、請求項4又は5に記載の構造体。
【請求項7】
前記磁束誘導部は、切り替え可能な第1共振素子(1205)により、前記第1導体(132)内に電流が誘導されることを妨げるように操作可能である、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記磁束誘導部(115)は、切り替え可能な第2共振素子(1205’)により、前記第2導体(133)内に電流が誘導されることを妨げるように操作可能である、請求項6又は7に記載の構造体。
【請求項9】
前記磁束誘導部(115)は、実質的に閉じられた第1磁束路及び第2磁束路を備え、前記第1出力手段(132)は前記第2磁束路ではなく前記第1磁束路に設けられ、前記第2出力手段(132)は、前記第1磁束路ではなく前記第2磁束路に設けられる、請求項7又は8に記載の構造体。
【請求項10】
前記少なくとも一つの共振素子(1205)は、前記共振回路素子の前記ループ部分(122)と直列に設けられるスイッチ(126)により切り替え可能である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項11】
ロータ部材(351)を備え、前記ロータ部材(351)は、少なくとも一つの共振回路素子(310R)が上部に設けられ、前記ロータ部材(351)は、横断軸周りに回転可能であり、もって、前記少なくとも一つの共振回路素子(310R)は、前記磁束誘導部(315)の隣接した一対の共振回路素子の間を通され、前記構造体は、前記磁束誘導部(315)内にMI波を誘導させるように操作可能であり、それにより、前記ロータ部材(351)を回転させる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項12】
操作可能であり、もって、前記ロータの前記共振回路素子(310R)は、前記磁束誘導部(310F)の前記共振回路素子の少なくとも一つと磁気誘導結合可能であり、前記結合は、前記横断軸の周りに前記ロータ(351)を回転させる方向に、前記ロータ(351)の前記共振回路素子(310F)と前記磁束誘導部(315)の前記少なくとも一つの共振回路素子との間で力を作り出すように配置される、請求項11に記載の構造体。
【請求項13】
前記ロータ(351)には、前記横断軸の周りに配置された共振回路素子(310R)の環が設けられ、前記環の共振回路素子のそれぞれは、前記横断軸から実質的に等間隔で配置されている、請求項11又は12に記載の構造体。
【請求項14】
磁束誘導部(115,315)と少なくとも一つの螺旋部材(131,331)とを備える構造体であって、
前記磁束誘導部(115,315)は、複数の共振回路素子(110,120)を備え、各素子は、電気的に伝導性のループ部分(112,122)を備え、前記ループ部分(112,122)の対向した端部は、容量性素子(114,124)を介して互いに結合され、前記磁束誘導部(115,315)の隣接した共振素子(110,120)は、互いに磁気誘導結合され、
少なくとも一つの第1螺旋部材(131,331)は、前記磁束誘導部の第1共振回路素子と磁気誘導結合され、前記第1螺旋部材(131,331)は、前記第1螺旋部(131,331)に交流電流が流れるとき、磁気誘導波が前記磁束誘導部(115,315)内に確立されるように配置され、前記交流電流が、前記磁束誘導部(115,315)の前記共振回路素子の共振周波数に十分に近く共振周波数以下の周波数で流される、構造体。
【請求項15】
第2螺旋部材(132,133)を更に備え、前記第2螺旋部材(132,133)は、前記磁束誘導部(115,315)の第2共振回路素子と磁気誘導結合される、請求項14に記載の構造体。
【請求項16】
前記第1螺旋部(131)は、内部を流れる交流電流が、前記磁束誘導部(115)の隣接した共振回路素子間の磁気誘導結合により、前記第2螺旋部内で対応した交流電流を誘導させる、請求項15に記載の構造体。
【請求項17】
前記磁束誘導部(115)は、互いに並列に接続された複数の磁束誘導部分を備え、各部分は、周りに螺旋部が設けられる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項18】
前記磁束誘導部の共振回路素子(120S)は、スイッチ部材(126)を備え、前記スイッチ部材(126)は、前記第1螺旋部(131)に流れる交流電流が、前記第2螺旋部(132,133)内で対応した交流電流を誘導することを妨げるように配置される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項19】
前記スイッチ部材(126)は、前記磁束誘導部の場所に設けられ、もって、磁束誘導部分に沿う流れが実質的に妨げられる、請求項17又は18に記載の構造体。
【請求項20】
前記スイッチ部材(126は、前記共振回路素子の前記ループ部分(122)と直列に設けられ、前記共振回路の容量性素子と並列に設けられる、請求項18又は19に記載の構造体。
【請求項21】
ロータ部材(351)を備え、前記ロータ部材は、上部に少なくとも一つの共振回路素子(310R)を有し、前記ロータ部材(351)は、横断軸の周りを回転可能であり、もって、前記少なくとも一つの共振回路素子(310R)は、前記磁束誘導部(310)の隣接した一対の共振回路素子(310F)の間を通される、請求項14〜20のいずれか一項に騎士亜の構造体。
【請求項22】
前記ロータの前記共振回路素子(310R)は、隣接した前記一対の共振素子の少なくとも一つの共振回路素子と磁気誘導結合可能であり、前記結合は、前記横断軸の周りに前記ロータ(351)を回転させる方向に、前記ロータ(351)の前記共振回路素子と前記一対の前記共振回路素子の少なくとも一つとの間で力を作り出すように配置される、請求項21に記載の構造体。
【請求項23】
前記ロータ(351)には、前記横断軸の周りに配置された共振回路素子(310R)の環が備えられ、前記環の共振回路素子のそれぞれは、前記横断軸から実質的に等間隔で配置される、請求項21又は22に記載の構造体。
【請求項24】
磁束誘導部(115)と第1螺旋部及び第2螺旋部(131,132,133)とを備えるトランス構造体であって、
前記磁束誘導部(115,315)は、複数の共振回路素子(110,120)を備え、各素子は、電気的に伝導性のループ部分(112,122)を備え、前記ループ部分(112,122)の対向した端部は、容量性素子を介して互いに結合され、前記磁束誘導部(115)の隣接した共振素子は、互いに磁気誘導結合され、
前記第1螺旋部(131)は、前記磁束誘導部(115)の第1共振回路素子と磁気誘導結合され、前記第2螺旋部(132,132)は、前記磁束誘導部(115)の第2共振回路素子と磁気誘導結合され、前記第1螺旋部(131)は、内部に流れる交流電流が、前記磁束誘導部(115)の隣接した共振回路素子間の前記磁気誘導結合により、前記第2螺旋部(132,133)内で対応した交流電流を誘導させるように配置される、トランス構造体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513276(P2013−513276A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541586(P2012−541586)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052039
【国際公開番号】WO2011/070351
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504387827)アイシス・イノヴェイション・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】