説明

磁気カード処理装置

【課題】 磁気ヘッドの接触面の点検や清掃作業を容易に行うことができる磁気カード処理装置を提供する。
【解決手段】 カード型の磁気記録媒体8に接触して磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッド22と、その磁気ヘッド22に対向して設けられ、磁気記録媒体8を磁気ヘッド22に接触させる対向部材(パッドローラ26又は第2の磁気ヘッド)と、その対向部材を保持し、その対向部材を使用位置に固定すると共に対向部材を退避位置に移動して磁気ヘッド22の接触面を露出させる保持部材40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカード、プリペイドカード、キャッシュカード等のカード型の磁気記録媒体の磁気データを処理する磁気カード処理装置に関し、特に、磁気ヘッド及び磁気カード処理装置のメンテナンス性を向上させる磁気カード処理装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体に記録されている磁気データを処理する磁気カード処理装置は、長期間の使用により、磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッドに汚れが付着したり、磁気記録媒体に接触する磁気ヘッドの接触面に摩耗が発生したりする。磁気ヘッドに汚れが付着したり、磁気ヘッドの接触面の摩耗が進行したりして使用限界を超えると、磁気データの読み取り/書き込みを正常に行うことができなくなる。そのため、磁気カード処理装置のメンテナンス時には、磁気ヘッドの摩耗状況を観察し、必要に応じて、磁気ヘッドの接触面の清掃や、磁気ヘッドの交換作業が行われる。
【0003】
磁気ヘッドの接触面の状態を観察する際、従来は、磁気ヘッド又は磁気ヘッドを組み付けてあるアッセンブリー部品を取り外して確認しなければならないという問題があった。
【0004】
こうした問題に対し、磁気ヘッドに対向して設けられている対向ローラを、その対向ローラの回転軸に対してスライド自在に装着し、かつ、磁気ヘッドをヘッド押圧バネの力により対向ローラ側へ押圧付勢するように構成した磁気カードリーダライタが提案されている(例えば特許文献1を参照。)。この磁気カードリーダライタは、磁気ヘッドの汚れを除去する等のメンテナンスを行う際に、対向ローラを回転軸に沿ってスライドさせ、磁気ヘッドの上方を開放させることによって、磁気カードに接触摺動する磁気ヘッドの接触面を簡単に清掃することができるとされている。
【特許文献1】特開平7−175896号公報(段落番号0016、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁気カードリーダライタは、対向ローラを回転軸に沿ってスライドさせた場合であっても、清掃する磁気ヘッドの真上には依然としてローラ軸が存在するので、磁気ヘッドの接触面の摩耗状況や汚れ状況の観察が難しく、磁気ヘッドの清掃も容易とはいえないものであった。
【0006】
一方、磁気ストライプが両面に設けられている磁気記録媒体に対応した磁気カード処理装置の場合には、それぞれの磁気ストライプに対応した磁気ヘッドの摩耗状況の確認作業や清掃作業は極めて難しいものであった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、磁気ヘッドの接触面の点検や清掃作業を容易に行うことができる磁気カード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の磁気カード処理装置は、カード型の磁気記録媒体に接触して磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドに対向して設けられ、前記磁気記録媒体を前記磁気ヘッドに接触させる対向部材と、前記対向部材を保持し、当該対向部材を使用位置に固定すると共に前記対向部材を退避位置に移動して前記磁気ヘッドの接触面を露出させる保持部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、磁気カード処理装置のメンテナンス時に、対向部材を退避位置に移動して磁気ヘッドの接触面を露出させることができる。その結果、磁気ヘッドの接触面の摩耗状況を容易に確認することができると共に、磁気ヘッドの接触面の清掃を容易に行うことができる。
【0010】
本発明の磁気カード処理装置において、前記対向部材が、パッドローラであることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、磁気カード処理装置のメンテナンス時に、対向部材であるパッドローラを退避位置に移動して磁気ヘッドの接触面を露出させることができる。
【0012】
本発明の磁気カード処理装置において、前記対向部材が、前記磁気ヘッドが接触する磁気記録媒体の面の反対面に接触する第2の磁気ヘッドであることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、磁気カード処理装置のメンテナンス時に、対向部材である第2の磁気ヘッドを退避位置に移動して磁気ヘッドの接触面を露出させることができる。また、退避させた第2の磁気ヘッドの接触面についても、同様に露出させることができ、接触面の摩耗状況を容易に確認することができると共に、接触面の清掃を容易に行うことができる。
【0014】
本発明の磁気カード処理装置において、前記保持部材が、前記対向部材を回動させる回動軸を一端に備え、当該回動軸とは反対側の他端にロック部材を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、保持部材が備える回動軸とロック部材とで、対向部材の固定と退避を行うことができる。
【0016】
本発明の磁気カード処理装置において、前記ロック部材が、磁気カード処理装置の枠体に固定された係止部に係合する係合部と、当該係合部と前記係止部との間に相対的な付勢力を与えるバネと、を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ロック部材が、磁気カード処理装置の枠体に固定された係止部に係合する係合部と、その係合部と係止部との間に相対的な付勢力を与えるバネとを備えるので、係合部を係止部から外して対向部材を退避させ、磁気カード処理装置のメンテナンスを行うことができる。また、磁気カード処理装置のメンテナンス終了時には、係合部を係止部に係合することにより、対向部材を使用位置に戻して固定することができる。なお、この際、対向部材に設けられているバネは、係合部と係止部との間に相対的な付勢力を与えているので、係合部が係止部に係合した後においては、バネの力によって係合部と係止部とが相対的に付勢され、対向部材が所定位置に固定される。なお、バネにより与えられる係合部と係止部との間の相対的な付勢力とは、係合部を係止部側に付勢する形態と、係止部を係合部側に付勢する形態とが挙げられる。
【0018】
本発明の磁気カード処理装置において、前記保持部材により前記対向部材が前記使用位置に保持されていることを示す信号を出力するセンサを備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、保持部材により対向部材が使用位置に保持されていることを示す信号を出力するセンサを備えたので、上位の装置は、対向部材が使用位置に固定されている場合にのみ磁気カード処理装置の動作を実行するようにプログラミングすることができる。その結果、対向部材の固定忘れによる不具合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の磁気カード処理装置によれば、磁気カード処理装置のメンテナンス時に、対向部材を退避位置に移動して磁気ヘッドの接触面を露出させることができるので、磁気ヘッドの接触面の摩耗状況を容易に確認することができると共に、磁気ヘッドの接触面の清掃を容易に行うことができる。また、磁気カード処理装置内に磁気記録媒体が詰まった場合であっても、詰まった磁気記録媒体を容易に発見し、且つ容易に取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の磁気ヘッド処理装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する範囲において、以下の説明及び図面に限定されるものではない。
【0022】
本発明の磁気カード処理装置10,110は、図1〜図5に示すように、カード型の磁気記録媒体8に接触して磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッド22と、その磁気ヘッド22に対向して設けられ、磁気記録媒体8を磁気ヘッド22に接触させる対向部材(26,24)と、その対向部材(26,24)を保持し、その対向部材(26,24)を使用位置に固定すると共に対向部材(26,24)を退避位置に移動して磁気ヘッド22の接触面を露出させる保持部材40,140とを備えている。本発明の磁気カード処理装置においては、対向部材として、図1〜図4に示すパッドローラ26を用いた場合を第1形態とし、図5に示す第2の磁気ヘッド24を用いた場合を第2形態として、以下に説明する。
【0023】
(第1形態に係る磁気カード処理装置)
図1は、本発明の第1形態に係る磁気カード処理装置の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す磁気カード処理装置の正面図である。
【0024】
磁気カード処理装置10は、利用者が、クレジットカード、プリペイドカード、キャッシュカード等のカード型の磁気記録媒体8を記録媒体取入口14に挿入すると、磁気記録媒体8が磁気カード処理装置10の搬送路12に沿って搬入され、磁気記録媒体8の磁気ストライプ6に記録されている各種の情報を読み取って、金銭の支払い、預け入れ、振り込み等の処理を行う機能を有するユニットである。本発明は、こうした基本的性能を有するものに対して適用され、下記に説明する内容に限定解釈されるものではない。
【0025】
磁気カード処理装置10には、例えば、磁気記録媒体8が挿入される記録媒体取入口14と、挿入された磁気記録媒体8を搬送路12に沿って搬送するための搬送ローラ16及び従動ローラ17と、挿入された磁気記録媒体8の大きさや存在位置を確認する複数のフォトセンサ18と、磁気ストライプ6に記録されている各種の情報等の読み取り/書き込みを行う磁気ヘッド(以下、第1の磁気ヘッド22という。)と、磁気記録媒体8を第1の磁気ヘッド22に押し付けて接触させるパッドローラ26とが設けられている。なお、本願において、「読み取り/書き込み」とは、読み取り及び/又は書き込みを意味する。
【0026】
磁気カード処理装置10の記録媒体取入口14付近には、通常、磁気記録媒体8が挿入されたことを検出する挿入センサ30が配置されている。この挿入センサ30は、利用者が磁気記録媒体8を記録媒体取入口14に挿入したことを検出し、その挿入センサ30で検出された信号は、磁気カード処理装置10の制御手段98に伝達される。
【0027】
磁気カード処理装置10には、図2に示すように、送りドライバ84と送りモータ34とが備えられている。送りドライバ84は、制御手段98から入力した回転速度信号又は位置信号に基づいて、送りモータ34の駆動信号を出力する。送りモータ34は、送りドライバ84から入力した駆動信号に基づいてタイミングベルト等の伝達手段を介して搬送ローラ16を回転させる。そして、送りドライバ84と送りモータ34とによる磁気記録媒体8の送りは、制御手段98の指令に基づいて制御することができるようになっている。
【0028】
挿入センサ30が磁気記録媒体8の挿入を検出すると、制御手段98は、搬送ローラ16を回転させる信号を送りドライバ84に出力する。この出力により、送りモータ34は、磁気記録媒体8を磁気カード処理装置10の奥側に搬入する処理を行う。
【0029】
搬送ローラ16は、磁気記録媒体8と接触し、磁気記録媒体8を搬送路12に沿って搬入、排出をするための搬送を行う。この搬送ローラ16によって、第1の磁気ヘッド22と磁気記録媒体8とが相対的に摺動するうように接触し、磁気ヘッド22によって、磁気データの読み取り/書き込みが行われる。なお、本願において「接触」とは、磁気ヘッド22と磁気記録媒体8とが相対的に摺動するうように接触する場合の他、磁気ヘッド22と磁気記録媒体8とが相互に押圧された状態で接触する場合をいう。
【0030】
第1の磁気ヘッド22の入出力端子は、ヘッドアンプ88の入出力端子に接続されている。ヘッドアンプ88は磁気記録媒体8を搬送しながら記録信号を第1の磁気ヘッド22に出力する。これにより、各種情報を磁気ストライプ6に記録することができる。
【0031】
また、磁気データを読み取る場合には、磁気記録媒体8が搬送路12に沿って搬送されると、磁気ストライプ6に記録されている各種の情報信号が第1の磁気ヘッド22から出力される。ヘッドアンプ88はその情報信号を増幅し、イコライジング、フィルタリング等の処理を行った後に制御手段98又は外部に出力する。
【0032】
第1の磁気ヘッド22は、図2に示すように、ヘッドブラケット62に接着等により固定されると共に、磁気記録媒体8の磁気ストライプ6面に対して垂直方向に変位自在となるように保持されている。
【0033】
ヘッドブラケット62にはピン孔66,68が設けられている。このピン孔66,68は、ガイドピン70,72と協働して、磁気ストライプ6面に対して垂直方向に第1の磁気ヘッド22を変位自在に保持する。さらに、そのピン孔66,68は、ガイドピン70,72と協働して、第1の磁気ヘッド22を磁気記録媒体8の磁気ストライプ6面に接触させるように所定の位置に定めると共に第1の磁気ヘッド22のギャップの傾斜角を磁気ストライプ6に記録されている磁極に合わせる。
【0034】
ガイドピン70,72は、上記のピン孔66,68と協働して、第1の磁気ヘッド22を磁気記録媒体8の磁気ストライプ6の面内の所定の位置に定め、第1の磁気ヘッド22のギャップを磁気ストライプ6に記録されている磁極に対して所定の傾斜角に定めると共に、磁気ストライプ6面に対して垂直の方向に第1の磁気ヘッド22を変位自在に保持する機能を有する。
【0035】
ヘッドブラケット62は、押圧バネ76の付勢力によって第1の磁気ヘッド22を磁気記録媒体8の方向に押圧している。これにより、磁気記録媒体8が湾曲している場合であっても、第1の磁気ヘッド22を磁気記録媒体8に所定の力で安定して接触させることができるので、磁気情報の読み出し/書き込みを、より確実に行うことができる。なお、図2に示す例では、第1の磁気ヘッド22の垂直方向の変位を制限するストロークストッパ78を設けてある。
【0036】
次に、パッドローラとその動作並びに保持部材について説明する。図3は、対向部材であるパッドローラ26が使用位置に固定されたときの形態であり、図4は、対向部材であるパッドローラ26が退避位置に移動したときの形態である。
【0037】
パッドローラ26は、図1〜図4に示すように、保持部材40に回転自在に保持されている。このパッドローラ26は、駆動機構を持たない従動ローラであるが、自ら磁気記録媒体8を駆動する駆動ローラ機能を備えたものであってもよい。また、対向部材としてみた場合、パッドローラ26の代わりに、ローラ機能のない接触潤滑性部材(パッド部材)を設けてもよく、その場合にも本発明の目的を達成することが可能である。
【0038】
保持部材40は、パッドローラ26を保持し、磁気記録媒体8を第1の磁気ヘッド22に接触させる位置にパッドローラ26を固定すると共に、パッドローラ26を退避位置に移動して第1の磁気ヘッド22の接触面を露出させる部材である。この保持部材40は、例えば、パッドローラ26を回動して変位させる回動軸42を一端に備え、その回動軸42とは反対側の他端にロック部材44を備えた構造を例示できる。
【0039】
回動軸42を中心にしてパッドローラ26を変位させることができる回動角は特に限定されないが、第1の磁気ヘッド22及びパッドローラ26の汚れを十分に確認できる程度に露出できる角度であることが好ましい。なお、その角度は、本実施形態では、磁気記録媒体8が搬送される搬送仮想面に対して約90°であることが好ましい。
【0040】
ロック部材44としては、図3に示すように、パッドローラ26を所定の使用位置に固定した際に、パッドローラ26を磁気カード処理装置10の枠体に固定された係止部46に係合するカギ状の係合部48と、そのカギ状の係合部48と係止部46との間に相対的な付勢力を与えるバネ54とを備えた構造を例示できる。係合部48と係止部46は、相互に例えば凹凸の係合関係であればよく、図3に示すように、係合部48がカギ状の凸部であり、係止部46が凹部であってもよいし、図示しないが、係合部48が凹部であり、係止部46がカギ状の凸部であってもよい。なお、バネ54により与えられる係合部48と係止部46との間の相対的な付勢力とは、係合部48を係止部46側に付勢する形態(図3を参照)と、係止部46を係合部48側に付勢する形態(図示しない)とが挙げられる。
【0041】
さらに、このロック部材44は、パッドローラ26を使用位置に固定する際に係合部48を一旦逃がす働きをする導入部50と、このロック部材44自体を回動自在に保持する回動軸52と、後述するセンサ60の光軸を遮光してパッドローラ26が使用位置に保持されたことを示す信号出力に利用される遮蔽板58とが設けられた構造を例示できる。
【0042】
図3に示すように、パッドローラ26が使用位置に保持された場合には、係合部48が係止部46に係合しているため、パッドローラ26は、押圧バネ76(図2参照)の付勢力によって第1の磁気ヘッド22が磁気記録媒体8の方向に押圧した力を受け止める。これより、第1の磁気ヘッド22と磁気記録媒体8との接触がより確実になっている。この状態では、透光式のセンサ60の光が、遮蔽板58によって遮光されている。そのため、制御手段98等の上位の装置は、保持部材40がパッドローラ26を使用位置に保持していることを検出することができる。
【0043】
なお、バネ54は、係合部48と係止部46との間に相対的な付勢力を与えている。具体的には、バネ54は、ロック部材44の係合部48を係止部46側に付勢する力を与えている。その結果、保持部材40は使用位置にロックされた状態になり、パッドローラ26が使用位置に固定される。
【0044】
また、センサ60は、保持部材40によりパッドローラ26が使用位置に保持されていることを示す信号を出力するものである。図3において、センサ60はセンサ取付部材61に取付られ、そのセンサ取付部材61は磁気カード処理装置10の枠体に設けられているが、センサ60が磁気カード処理装置10の枠体に直接設けられていても構わない。また、センサ60としては、フォトセンサに限らず、圧力センサやリーフスイッチによる構成でもよく、保持部材40の位置を検出可能であれば、保持部材40に設けてもよい。
【0045】
パッドローラ26を使用位置から退避位置に移動する場合には、作業者は、ロック部材44に設けられている指掛け56を、バネ54の付勢力に打ち勝つように押す。すると、ロック部材44は回動軸52を中心に回動し、係合部48が係止部46から外れる。その状態で保持部材40を持ち上げると、図4に示すように、保持部材40を退避位置に移動できる。
【0046】
保持部材40を退避位置に移動すると、第1の磁気ヘッド22の接触面を露出させることができる。この状態では、第1の磁気ヘッド22の接触面の上方は開放されるので、第1の磁気ヘッド22の接触面へのアクセスが容易となり、摩耗状況の確認を容易に行うことができると共に、第1の磁気ヘッド22の接触面の清掃を容易に行うことができる。さらに、磁気カード処理装置10内に磁気記録媒体8が詰まった場合であっても、詰まった磁気記録媒体8を容易に発見し、且つ容易に取り除くことができる。
【0047】
保持部材40を退避位置から使用位置に戻す場合には、保持部材40をそのまま使用位置に倒すだけでよい。保持部材40のロック部材44には、斜めに加工した導入部50を設けてあるので、この導入部50が磁気カード処理装置10の枠体に設けられた係止部46に自動的に乗り上がり、係合部48を一旦逃がす動作をする。保持部材40が使用位置に固定されると、バネ54の付勢力によって、係合部48が係止部46側に付勢されて係合し、保持部材40が使用位置にロックされる。
【0048】
このように、本発明の磁気カード処理装置10によれば、パッドローラ26からなる対向部材を保持する保持部材40を使用位置から退避位置に移動させることができるので、第1の磁気ヘッド22を露出させることができる。その結果、磁気ヘッド22の接触面の点検及び清掃作業等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0049】
(第2形態に係る磁気カード処理装置)
図5は、対向部材として第2の磁気ヘッド24を用いた本発明の第2形態に係る磁気カード処理装置110の一例であり、第2の磁気ヘッド24が退避位置に移動したときの形態である。この第2形態に係る磁気カード処理装置110は、対向部材を第2の磁気ヘッド24に変更した以外は、上述した第1形態に係る磁気カード処理装置10と同じであるので、以下においてはその説明を省略する。
【0050】
対向部材である第2の磁気ヘッド24は、上述した第1の磁気ヘッド22が接触する磁気記録媒体8の面の反対面に接触し、その反対面に設けられている磁気ストライプの磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッドである。したがって、この第2形態に係る磁気カード処理装置110は、両面に磁気ストライプを有する磁気記録媒体8に対応したものである。
【0051】
この形態によれば、第2の磁気ヘッド24を保持する保持部材140を使用位置に固定すると共に、第2の磁気ヘッド24の接触面を露出させるように退避位置に移動することができるので、メンテナンス時に、保持部材140を退避位置に移動することによって、第1の磁気ヘッド22及び第2の磁気ヘッド24の接触面を露出させることができる。その結果、第1の磁気ヘッド22及び第2の磁気ヘッド24の接触面の点検及び清掃作業を容易に行うことができる。また、磁気記録媒体が磁気カード処理装置110の内部に詰まった場合であっても、詰まった磁気記録媒体を容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1形態に係る磁気カード処理装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す磁気カード処理装置の正面図である。
【図3】対向部材であるパッドローラが使用位置に固定されたときの形態である。
【図4】対向部材であるパッドローラが退避位置に移動したときの形態である。
【図5】対向部材として第2の磁気ヘッドを用いた本発明の第2形態に係る磁気カード処理装置の一例であり、第2の磁気ヘッドが退避位置に移動したときの形態である。
【符号の説明】
【0053】
6 磁気ストライプ
8 磁気記録媒体
10,110 磁気カード処理装置
12 搬送路
14 記録媒体取入口
16 搬送ローラ
18 フォトセンサ
22 第1の磁気ヘッド
24 第2の磁気ヘッド
26 パッドローラ
30 挿入センサ
34 送りモータ
40,140 保持部材
42 回動軸
44 ロック部材
46 係止部
48 係合部
50 導入部
52 回動軸
54 バネ
56 指掛け
58 遮蔽板
60 センサ
62 ヘッドブラケット
66,68 ピン孔
70,72 ガイドピン
76 押圧バネ
78 ストロークストッパ
84 送りドライバ
88 ヘッドアンプ
98 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型の磁気記録媒体に接触して磁気データの読み取り/書き込みを行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドに対向して設けられ、前記磁気記録媒体と前記磁気ヘッドとを接触させる対向部材と

前記対向部材を保持し、当該対向部材を使用位置に固定すると共に前記対向部材を退避位置に移動して前記磁気ヘッドの接触面を露出させる保持部材と、を備えることを特徴とする磁気カード処理装置。
【請求項2】
前記対向部材が、パッドローラであることを特徴とする請求項1に記載の磁気カード処理装置。
【請求項3】
前記対向部材が、前記磁気ヘッドが接触する磁気記録媒体の面の反対面に接触する第2の磁気ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の磁気カード処理装置。
【請求項4】
前記保持部材が、前記対向部材を回動させる回動軸を一端に備え、当該回動軸とは反対側の他端にロック部材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気カード処理装置。
【請求項5】
前記ロック部材が、磁気カード処理装置の枠体に固定された係止部に係合する係合部と、当該係合部と前記係止部との間に相対的な付勢力を与えるバネと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の磁気カード処理装置。
【請求項6】
前記保持部材により前記対向部材が前記使用位置に保持されていることを示す信号を出力するセンサを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気カード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−80328(P2007−80328A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264859(P2005−264859)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】