説明

磁気ストライプ読取機構、並びに、当該磁気ストライプ読取機構を備える自動取引装置及び金融窓口端末装置

【課題】磁気情報の読取処理に要する時間を短縮する磁気ストライプ読取機構を提供する。
【解決手段】磁気情報の読取方向が不明な媒体から磁気情報を読み取る場合に、磁気ヘッド部に優先方向に沿って磁気情報を読み取らせることにより、優先方向側の読取情報を取得し、優先方向側の読取情報に基づいて、第1磁気ストライプ52と第2磁気ストライプ62とが交差しない非交差エリア72の磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気媒体に設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取る磁気ストライプ読取機構、並びに、当該磁気ストライプ読取機構を備える自動取引装置及び金融窓口端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ストライプ読取機構として、磁気ストライプの貼付位置及び貼付方向(読取方向)が異なる複数種類の磁気媒体(通帳)を取り扱うものがある(例えば、特許文献1参照)。
この磁気ストライプ読取機構は、読取対象の磁気媒体を通帳とし、例えば、金融機関に設置された自動取引装置(ATM)や金融窓口端末装置に搭載されている。
【0003】
この磁気ストライプ読取機構は、磁気情報の読取方向が不明な磁気媒体(通帳)から磁気情報を読み取る場合に、まず、読取処理の優先方向に沿って磁気情報を読み取り、磁気情報を正しく読み取ることができなければ、次に、読取処理の非優先方向に沿って磁気情報を読み取ることにより、磁気情報の読取方向を決めている。以下、読取処理の優先方向に沿って設けられた磁気ストライプを「優先方向の磁気ストライプ」と称し、読取処理の非優先方向に沿って設けられた磁気ストライプを「非優先方向の磁気ストライプ」と称する。また、優先方向の磁気ストライプが設けられた通帳を「優先側の通帳」と称し、非優先方向の磁気ストライプが設けられた通帳を「非優先側の通帳」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−6709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の磁気ストライプ読取機構は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合に、磁気情報の読取処理に要する時間が長期化するときがある、という課題があった。
【0006】
すなわち、従来の磁気ストライプ読取機構は、磁気媒体として、優先方向の磁気ストライプと非優先方向の磁気ストライプとが交差する優先側の通帳と非優先側の通帳とを混在して取り扱うことがある。以下、優先方向の磁気ストライプと非優先方向の磁気ストライプとが交差するエリアを「交差エリア」と称する。
【0007】
従来の磁気ストライプ読取機構は、読取処理の対象となる磁気媒体が非優先側の通帳である場合であっても、磁気情報の読取方向を決めるために、まず、優先方向に沿って磁気情報を読み取り、磁気情報を正しく読み取ることができたか否かを検証する。
【0008】
このとき、従来の磁気ストライプ読取機構は、読取処理の対象となる磁気媒体が非優先側の通帳であり、磁気情報の読取方向が誤っているため、磁気情報を正しく読み取ることができない。
それにも関わらず、従来の磁気ストライプ読取機構は、交差エリアで磁気出力を検出するため、読取方向が誤っていると判定することができずに、リトライ処理の上限回数に達するまで誤った方向に沿って磁気情報を繰り返し読み取り、その後に、非優先方向に沿って磁気情報を読み取る。
【0009】
したがって、従来の磁気ストライプ読取機構は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合であっても、リトライ処理の上限回数に達するまで誤った方向に沿って磁気情報を繰り返し読み取るため、磁気情報の読取処理に要する時間が長期化するときがあった。
その結果、従来の磁気ストライプ読取機構は、搭載装置の稼動率を低下させたり、顧客を待たせることによって顧客サービスを低下させたりしていた。
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮する磁気ストライプ読取機構を提供すること、並びに、当該磁気ストライプ読取機構を備える自動取引装置及び金融窓口端末装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、磁気媒体に設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取る磁気ストライプ読取機構であって、読取処理の優先方向に沿って第1磁気ストライプが設けられた第1磁気媒体と読取処理の非優先方向に沿って第2磁気ストライプが設けられた第2磁気媒体とのどちらからでも磁気情報を読み取ることができる磁気ヘッド部と、磁気情報の読取方向を指定して、前記磁気ヘッド部に磁気情報を読み取らせる制御部とを有し、前記制御部は、磁気情報の読取方向が不明な媒体から磁気情報を読み取る場合に、前記磁気ヘッド部に優先方向に沿って磁気情報を読み取らせることにより、優先方向側の読取情報を取得し、当該優先方向側の読取情報に基づいて、前記第1磁気ストライプと前記第2磁気ストライプとが交差しない非交差エリアの磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する構成とする。
【0012】
この磁気ストライプ読取機構は、優先方向側の読取情報に基づいて、非交差エリアの磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する。したがって、この磁気ストライプ読取機構は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取った場合であっても、リトライ処理を行うことなく、ただちに、正しい読取方向を特定することができる。そのため、この磁気ストライプ読取機構は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮する磁気ストライプ読取機構を提供することができる。
また、本発明によれば、この磁気ストライプ読取機構を自動取引装置に搭載することにより、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮する自動取引装置を提供することができる。
同様に、本発明によれば、この磁気ストライプ読取機構を金融窓口端末装置に搭載することにより、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮する金融窓口端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の構成を示す断面図である。
【図2】実施形態で用いる第1磁気媒体の構成を示す図である。
【図3】実施形態で用いる第2磁気媒体の構成を示す図である。
【図4】実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の優先方向の読取処理を示す図である。
【図5】実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の非優先方向の読取処理を示す図である。
【図6】実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の動作を示すフローチャート(1)である。
【図7】実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の動作を示すフローチャート(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
<磁気ストライプ読取機構の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の構成を示す断面図である。
【0017】
磁気ストライプ読取機構1は、挿入口2、挿入検知センサ3、搬送路4、搬送ローラ(搬送部)6、磁気ヘッド部10、光学読取ヘッド11、印字ヘッド12、頁替え部13、媒体回収部14、制御部15、及び、記憶部16を備えている。
【0018】
挿入口2は、読取対象の磁気媒体が挿入される部位である。本実施形態では、読取対象の磁気媒体が、縦型通帳51(図2参照)及び横型通帳61(図3参照)であるものとして説明する。なお、縦型通帳51及び横型通帳61の詳細については、「磁気媒体の構成」の章で説明する。
【0019】
挿入検知センサ3は、通帳51,61が挿入されたことを検知する検知手段である。
搬送路4は、通帳51,61が搬送される経路である。
搬送ローラ(搬送部)6は、搬送路4に沿って通帳51,61を搬送する搬送手段である。
【0020】
磁気ヘッド部10は、通帳51,61に設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取る読取手段である。磁気ヘッド部10は、縦方向(優先方向)用磁気ヘッド7、横方向(非優先方向)用磁気ヘッド8、及び、磁気ヘッド移動部9を備えており、縦型通帳51に設けられた縦型磁気ストライプ52(図2参照)及び横型通帳61に設けられた横型磁気ストライプ62(図3参照)のどちらからでも磁気情報を読み取ることができる構成となっている。
【0021】
縦方向(優先方向)用磁気ヘッド7は、縦型通帳51に設けられた縦型磁気ストライプ52から磁気情報を読み取る読取手段である。
横方向(非優先方向)用磁気ヘッド8は、横型通帳61に設けられた横型磁気ストライプ62から磁気情報を読み取る読取手段である。
磁気ヘッド移動部9は、横方向(非優先方向)用磁気ヘッド8の移動手段である。磁気ヘッド移動部9は、横方向(非優先方向)用磁気ヘッド8を横方向にスライド移動させて、横方向(非優先方向)用磁気ヘッド8に横型磁気ストライプ62から磁気情報を読み取らせる。
【0022】
光学読取ヘッド11は、通帳51,61に設けられたバーコードから光学的にコード情報を読み取る読取手段である。光学読取ヘッド11は、縦型通帳51に設けられた縦型バーコード(図2参照)及び横型通帳61に設けられた横型バーコード(図3参照)のどちらからでもコード情報を読み取ることができる構成となっている。
印字ヘッド12は、通帳51,61に所定事項を印字する印字手段である。
【0023】
頁替え部13、通帳51,61の頁をめくる手段である。
媒体回収部14は、通帳51,61を回収する収容部である。
制御部15は、磁気ストライプ読取機構1の各部の動作を制御する制御手段である。
記憶部16は、磁気情報の読み取りに際して用いられる記憶手段である。記憶部16は、縦型磁気ストライプ52や横型磁気ストライプ62の位置情報を予め格納している。これら磁気ストライプ52,62の位置情報には、後記する交差エリア71及び非交差エリア72,73の位置情報が含まれている。
【0024】
磁気ストライプ読取機構1は、磁気媒体として、優先方向の磁気ストライプと非優先方向の磁気ストライプとが交差する優先側の通帳と非優先側の通帳とを混在して取り扱うことがある。以下、優先方向の磁気ストライプを「第1磁気ストライプ」と称し、非優先方向の磁気ストライプを「第2磁気ストライプ」と称する。また、優先側の通帳を「第1磁気媒体」と称し、非優先側の通帳を「第2磁気媒体」と称する。本実施形態では、「第1磁気ストライプ」が縦型磁気ストライプ52(図2参照)であり、「第2磁気ストライプ」が横型磁気ストライプ62(図3参照)であるものとして説明する。また、「第1磁気媒体」が縦型通帳51(図2参照)であり、「第2磁気媒体」が横型通帳61(図3参照)であるものとして説明する。
【0025】
<磁気媒体の構成>
以下、図2及び図3を参照して、本実施形態で用いる磁気媒体の構成につき説明する。なお、図2は、実施形態で用いる第1磁気媒体の構成を示す図である。図2(a)は、第1磁気媒体(すなわち、優先側の磁気媒体)である縦型通帳51が任意の頁で開かれており、その状態における縦型通帳51の内側(綴り目側)の構成を示している。また、図2(b)は、任意の頁で開かれた縦型通帳51の外側(表紙側)の構成を示している。また、図3は、実施形態で用いる第2磁気媒体の構成を示す図である。図3(a)は、第2磁気媒体(すなわち、非優先側の磁気媒体)である横型通帳61が任意の頁で開かれており、その状態における横型通帳61の内側(綴り目側)の構成を示している。また、図3(b)は、任意の頁で開かれた横型通帳61の外側(表紙側)の構成を示している。
【0026】
第1磁気媒体である縦型通帳51は、図2(a)に示すように、内側(綴り目側)に縦型バーコード53を備えた構成となっている。
また、縦型通帳51は、図2(b)に示すように、外側(表紙側)に第1磁気ストライプである縦型磁気ストライプ52を備えた構成となっている。
【0027】
縦型磁気ストライプ52は、交差エリア71と優先方向側の非交差エリア72とに区分される。
「交差エリア71」は、第1磁気ストライプ(優先方向の磁気ストライプ)である縦型磁気ストライプ52と第2磁気ストライプ(非優先方向の磁気ストライプ)である横型磁気ストライプ62とが交差するエリアである。
一方、「非交差エリア72」は、縦型磁気ストライプ52と横型磁気ストライプ62とが交差しないエリアである。
【0028】
第2磁気媒体である横型通帳61は、図3(a)に示すように、内側(綴り目側)に横型バーコード63を備えた構成となっている。
また、横型通帳61は、図3(b)に示すように、外側(表紙側)に第2磁気ストライプである横型磁気ストライプ62を備えた構成となっている。
【0029】
横型磁気ストライプ62は、交差エリア71と非優先方向側の非交差エリア73とに区分される。
「交差エリア71」は、前記した通り、縦型磁気ストライプ52と横型磁気ストライプ62とが交差するエリアである。
一方、「非交差エリア73」は、縦型磁気ストライプ52と横型磁気ストライプ62とが交差しないエリアである。
【0030】
磁気ストライプ読取機構1は、第1磁気媒体(すなわち、優先側の磁気媒体)である縦型通帳51から磁気情報を読み取る場合に、図4に示すように、搬送ローラ6(図1参照)によって縦型通帳51を搬送路4に沿って搬送させながら、縦方向用磁気ヘッド7を縦型磁気ストライプ52に接近させる。これによって、磁気ストライプ読取機構1は、縦型磁気ストライプ52から磁気情報を読み取る。なお、図4は、実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の優先方向の読取処理を示す図である。
【0031】
一方、磁気ストライプ読取機構1は、第2磁気媒体(すなわち、非優先側の磁気媒体)である横型通帳61から磁気情報を読み取る場合に、図5に示すように、搬送ローラ6(図1参照)によって横型通帳61を搬送させて横方向用磁気ヘッド8上の位置で停止させ、その後に、磁気ヘッド移動部9によって横方向用磁気ヘッド8を横方向(非優先方向)にスライド移動させて、横方向用磁気ヘッド8を横型磁気ストライプ62に接近させる。これによって、磁気ストライプ読取機構1は、横型磁気ストライプ62から磁気情報を読み取る。なお、図5は、実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の非優先方向の読取処理を示す図である。
【0032】
<磁気ストライプ読取機構の動作>
以下、図6を参照して、磁気ストライプ読取機構1の動作につき説明する。図6は、実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の動作を示すフローチャートである。ここでは、磁気ヘッド部10によって読み取られた磁気情報を「読取情報」と称する。
【0033】
なお、磁気ストライプ読取機構1の動作は、磁気ストライプ読取機構1の記憶部16に読み出し自在に予め格納されたプログラムによって規定されており、磁気ストライプ読取機構1の制御部15によって実現する。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0034】
磁気ストライプ読取機構1は、操作者によって磁気媒体(ここでは、縦型通帳51又は横型通帳61)が挿入口2に挿入されると、挿入検知センサ3がこれを検知して出力信号を制御部15に出力する。これによって、磁気ストライプ読取機構1の制御部15は、図6に示すルーチンを開始する。
【0035】
図6に示すように、磁気ストライプ読取機構1の制御部15は、まず、磁気ヘッド部10に優先方向(ここでは、縦方向)の読取処理を行わせる(S110)。
【0036】
具体的には、制御部15は、搬送ローラ(搬送部)6を作動させて搬送路4に沿って磁気媒体(ここでは、縦型通帳51又は横型通帳61)を搬送させる。このとき、磁気ヘッド部10の縦方向用磁気ヘッド7が、磁気媒体の縦型磁気ストライプ52が設けられたエリアに接近し、そのエリアに設けられた磁気ストライプ(ここでは、縦型磁気ストライプ52又は交差エリア71部分の横型磁気ストライプ62)から磁気情報を読み取る。
【0037】
縦方向用磁気ヘッド7は、縦型磁気ストライプ52が設けられたエリアから読み取った磁気情報を優先方向側の読取情報として制御部15に出力する。制御部15は、縦方向用磁気ヘッド7から優先方向側の読取情報が入力されると、記憶部16に格納する(S115)。
【0038】
この後、制御部15は、優先方向側の読取情報に基づいて、優先方向側の非交差エリア72(図2(b)参照)の磁気出力の有無を検証する。これにより、制御部15は、磁気情報の読取方向を判定する。
【0039】
具体的には、制御部15は、記憶部16から優先方向側の非交差エリア72の位置情報を含む磁気ストライプ52,62の位置情報を読み出すとともに、記憶部16から優先方向側の読取情報を読み出し、優先方向側の読取情報の中に含まれている優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出できるか否かを判定する(S120)。
【0040】
S120の判定で、優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部15は、磁気媒体が縦型通帳51であると見なし、磁気情報の読取方向を優先方向(ここでは、縦方向)に決定する(S125)。
【0041】
この場合に、制御部15は、記憶部16から優先方向側の読取情報を読み出し、読み出された優先方向側の読取情報を分析する(S130)。これにより、制御部15は、磁気媒体から縦型磁気ストライプ52に記録されていた磁気情報を取得する。その結果、磁気ストライプ読取機構1は、図6に示すルーチンを終了する。
【0042】
一方、S120の判定で、優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出しなかったと判定された場合(“No”の場合)に、制御部15は、磁気媒体が横型通帳61であると見なし、磁気情報の読取方向を非優先方向(ここでは、横方向)に決定する(S135)。
【0043】
この場合に、制御部15は、磁気ヘッド部10に非優先方向(ここでは、横方向)の読取処理を行わせる(S140)。
【0044】
具体的には、制御部15は、搬送ローラ(搬送部)6を作動させて磁気媒体(ここでは、横型通帳61)を搬送させて横方向用磁気ヘッド8上の位置で停止させる。その後、制御部15は、磁気ヘッド移動部9によって横方向用磁気ヘッド8を横方向(非優先方向)にスライド移動させる。このとき、磁気ヘッド部10の横方向用磁気ヘッド8が、磁気媒体の横型磁気ストライプ62が設けられたエリアに接近し、そのエリアに設けられた磁気ストライプ(ここでは、横型磁気ストライプ62)から磁気情報を読み取る。
【0045】
横方向用磁気ヘッド8は、横型磁気ストライプ62が設けられたエリアから読み取った磁気情報を非優先方向側の読取情報として制御部15に出力する。制御部15は、横方向用磁気ヘッド8から非優先方向側の読取情報が入力されると、記憶部16に格納する(S145)。
【0046】
この後、制御部15は、記憶部16から非優先方向側の読取情報を読み出し、読み出された非優先方向側の読取情報を分析する(S150)。これにより、制御部15は、磁気媒体から横型磁気ストライプ62に記録されていた磁気情報を取得する。その結果、磁気ストライプ読取機構1は、図6に示すルーチンを終了する。
【0047】
このように、磁気ストライプ読取機構1の制御部15は、磁気媒体として、優先方向の磁気ストライプと非優先方向の磁気ストライプとが交差する優先側の通帳と非優先側の通帳とを混在して取り扱う場合(すなわち、縦型磁気ストライプ52と横型磁気ストライプ62とが交差する縦型通帳51と横型通帳61とを混在して取り扱う場合)に、双方の磁気ストライプが交差しない非交差エリア(ここでは、優先方向側の非交差エリア72)の磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する。
【0048】
この磁気ストライプ読取機構1は、優先方向側の読取情報に基づいて、非交差エリア(ここでは、優先方向側の非交差エリア72)の磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する。したがって、この磁気ストライプ読取機構1は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取った場合であっても、リトライ処理を行うことなく、ただちに、正しい読取方向を特定することができる。
そのため、この磁気ストライプ読取機構1は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮することができる。
【0049】
この磁気ストライプ読取機構1は、金融機関に設置される自動取引装置や金融窓口端末装置に搭載することができる。
この磁気ストライプ読取機構1を搭載する搭載装置は、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮することができる。また、搭載装置は、稼働率を向上させたり、顧客を待たせないことによって顧客サービスを向上させたりすることができる。
【0050】
<磁気ストライプ読取機構の動作の変更例>
磁気ストライプ読取機構1の動作は、例えば、図7に示す動作例のように変更することもできる。図7は、実施形態に係る磁気ストライプ読取機構の動作を示すフローチャートである。図7に示す動作例は、S215の判定処理(図6に示すS120に相当する判定処理)よりも前に、非優先方向の読取処理を行うフローとなっている。
【0051】
図7に示すように、磁気ストライプ読取機構1の制御部15は、図6に示すフローと同様に、S110及びS115の処理を行う。
【0052】
S115の後、制御部15は、磁気ヘッド部10に非優先方向(ここでは、横方向)の読取処理を行わせる(S205)。そして、制御部15は、横方向用磁気ヘッド8から非優先方向側の読取情報が入力されると、記憶部16に格納する(S210)。このS205の処理及びS210の処理は、それぞれ、図6に示すS140の処理及びS145の処理と同様である。
【0053】
すなわち、制御部15は、搬送ローラ(搬送部)6を作動させて磁気媒体(ここでは、横型通帳61)を搬送させて横方向用磁気ヘッド8上の位置で停止させる。その後、制御部15は、磁気ヘッド移動部9によって横方向用磁気ヘッド8を横方向(非優先方向)にスライド移動させる。このとき、磁気ヘッド部10の横方向用磁気ヘッド8が、磁気媒体の横型磁気ストライプ62が設けられたエリアに接近し、そのエリアに設けられた磁気ストライプ(ここでは、横型磁気ストライプ62)から磁気情報を読み取る(S205)。
【0054】
横方向用磁気ヘッド8は、横型磁気ストライプ62が設けられたエリアから読み取った磁気情報を非優先方向側の読取情報として制御部15に出力する。制御部15は、横方向用磁気ヘッド8から非優先方向側の読取情報が入力されると、記憶部16に格納する(S210)。
【0055】
S210の後、制御部15は、優先方向側の読取情報に基づいて、優先方向側の非交差エリア72(図2(b)参照)の磁気出力の有無を検証する。これにより、制御部15は、磁気情報の読取方向を判定する。
【0056】
具体的には、制御部15は、記憶部16から優先方向側の読取情報を読み出し、優先方向側の読取情報の中に含まれている優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出できるか否かを判定する(S215)。このS215の処理は、図6に示すS120の処理に相当する。
【0057】
S215の判定で、優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部15は、磁気媒体が縦型通帳51であると見なし、磁気情報の読取方向を優先方向(ここでは、縦方向)に決定する(S220)。このS220の処理は、図6に示すS125の処理に相当する。
【0058】
一方、S215の判定で、優先方向側の非交差エリア72から磁気出力を検出しなかったと判定された場合(“No”の場合)に、制御部15は、磁気媒体が横型通帳61であると見なし、磁気情報の読取方向を非優先方向(ここでは、横方向)に決定する(S225)。このS225の処理は、図6に示すS135の処理に相当する。
【0059】
S220又はS225の後、制御部15は、記憶部16から、S220又はS225で決定された読取方向の読取情報を読み出し、読み出された読取情報を分析する(S230)。これにより、制御部15は、磁気媒体の磁気ストライプに記録されていた磁気情報を取得する。その結果、磁気ストライプ読取機構1は、図7に示すルーチンを終了する。
【0060】
図7に示す動作例は、磁気情報の読取方向が不明な磁気媒体に対して、優先方向の読取処理と非優先方向の読取処理とを1回ずつ行い、これによって取得される読取情報に基づいて、磁気媒体の磁気ストライプに記録されていた磁気情報を取得する。
そのため、図7に示す動作例は、図6に示す動作例と比較すると、磁気情報の読取方向に関係なく、磁気ヘッド部10の動作パターンが固定されるため、図6に示す動作例よりも磁気ヘッド部10の動作を安定させることができる。
【0061】
また、図7に示す動作例は、磁気情報の読取方向に関係なく、優先方向側の読取情報及び非優先方向側の読取情報を記憶部16に格納し、記憶部16に格納された読取情報に基づいて、磁気媒体の磁気ストライプに記録されていた磁気情報を取得する。
そのため、図7に示す動作例は、磁気媒体の磁気ストライプに記録されていた磁気情報を取得するまでに要する時間を短縮することができる。
【0062】
以上の通り、本実施形態に係る磁気ストライプ読取機構1によれば、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮することができる。
また、この磁気ストライプ読取機構1を自動取引装置や金融窓口端末装置等に搭載した場合に、これらの搭載装置によれば、誤った方向に沿って磁気情報を読み取る場合の磁気情報の読取処理に要する時間を短縮することができる。
【0063】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0064】
例えば、図7に示す動作例では、磁気ストライプ読取機構1は、優先方向側の非交差エリア72から磁気情報を検出できたか否かを検証することによって、磁気情報の読取方向を決定している。しかしながら、磁気ストライプ読取機構1は、優先方向側の非交差エリア72だけでなく、非優先方向側の非交差エリア73に対しても、磁気情報を検出できたか否かを検証することによって、磁気情報の読取方向を決定するようにしてもよい。この場合に、磁気ストライプ読取機構1は、磁気情報の正しい読取方向の決定精度を向上させることができる。
【0065】
また、例えば、実施形態では通帳を例にして説明したが、本発明は、通帳以外であっても、磁気ストライプの位置が複数タイプある磁気媒体から磁気情報を読み取る場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 磁気ストライプ読取機構
2 挿入口
3 挿入検知センサ
4 搬送路
6 搬送ローラ(搬送部)
7 縦方向(優先方向)用磁気ヘッド
8 横方向(非優先方向)用磁気ヘッド
9 磁気ヘッド移動部
10 磁気ヘッド部
11 光学読取ヘッド
12 印字ヘッド
13 頁替え部
14 媒体回収部
15 制御部
16 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気媒体に設けられた磁気ストライプから磁気情報を読み取る磁気ストライプ読取機構において、
読取処理の優先方向に沿って第1磁気ストライプが設けられた第1磁気媒体と読取処理の非優先方向に沿って第2磁気ストライプが設けられた第2磁気媒体とのどちらからでも磁気情報を読み取ることができる磁気ヘッド部と、
磁気情報の読取方向を指定して、前記磁気ヘッド部に磁気情報を読み取らせる制御部とを有し、
前記制御部は、磁気情報の読取方向が不明な媒体から磁気情報を読み取る場合に、前記磁気ヘッド部に優先方向に沿って磁気情報を読み取らせることにより、優先方向側の読取情報を取得し、当該優先方向側の読取情報に基づいて、前記第1磁気ストライプと前記第2磁気ストライプとが交差しない非交差エリアの磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ストライプ読取機構において、
前記制御部は、
前記優先方向側の読取情報の中の前記非交差エリアに、磁気出力があるときに、前記磁気情報の読取方向を前記優先方向と判定し、
一方、前記優先方向側の読取情報の中の非交差エリアに、磁気出力がないときに、前記磁気情報の読取方向を前記非優先方向と判定する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の磁気ストライプ読取機構において、
前記制御部は、
取得された前記優先方向側の読取情報を記憶部に格納した後、当該記憶部に格納された前記優先方向側の読取情報に基づいて、前記非交差エリアの磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気ストライプ読取機構において、
前記制御部は、
前記磁気情報の読取方向を前記優先方向と判定したときに、前記記憶部に格納された前記優先方向側の読取情報を分析して磁気情報を取得し、
一方、前記磁気情報の読取方向を前記非優先方向と判定したときに、前記磁気ヘッド部に非優先方向に沿って磁気情報を読み取らせることにより、非優先方向側の読取情報を取得し、取得された当該非優先方向側の読取情報を前記記憶部に格納した後、前記記憶部に格納された当該非優先方向側の読取情報を分析して磁気情報を取得する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の磁気ストライプ読取機構において、
前記制御部は、
前記優先方向に加え、前記磁気ヘッド部に非優先方向に沿って磁気情報を読み取らせることにより、前記優先方向側の読取情報に加え、非優先方向側の読取情報をも取得し、
取得された前記優先方向側の読取情報及び前記非優先方向側の読取情報を記憶部に順次格納した後、当該記憶部に格納された前記優先方向側の読取情報に基づいて、前記非交差エリアの磁気出力の有無を検証することにより、磁気情報の読取方向を判定する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気ストライプ読取機構において、
前記制御部は、
前記磁気情報の読取方向を前記優先方向と判定したときに、前記記憶部に格納された前記優先方向側の読取情報を分析して磁気情報を取得し、
一方、前記磁気情報の読取方向を前記非優先方向と判定したときに、前記記憶部に格納された前記非優先方向側の読取情報を分析して磁気情報を取得する
ことを特徴とする磁気ストライプ読取機構。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の磁気ストライプ読取機構を備える
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の磁気ストライプ読取機構を備える
ことを特徴とする金融窓口端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248572(P2011−248572A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120272(P2010−120272)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】