磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法
【課題】 磁気テープのデータ消去時間を短縮し、最新情報の書き込み済みデータ又は過去に書き込まれて消去されていない過去情報を完全に消去できるようにしてセキュリティ上の問題を完全に解決する。
【解決手段】 最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置(yy)と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置(xx)とを記憶しているメモリを有するカートリッジ(86)に収容された磁気テープ記憶媒体(92)からデータを消去する方法であって、メモリ(91)から前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置)と前記過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップ(S124)と、決定された位置までのデータを消去するステップ(S126,S128)とを備える。
【解決手段】 最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置(yy)と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置(xx)とを記憶しているメモリを有するカートリッジ(86)に収容された磁気テープ記憶媒体(92)からデータを消去する方法であって、メモリ(91)から前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置)と前記過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップ(S124)と、決定された位置までのデータを消去するステップ(S126,S128)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法に関し、特に磁気テープライブラリ装置における、磁気テープ記憶媒体からのデータ漏洩を防止するためのセキュリティ・イレーズ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムにおけるバックアップ用の記録媒体として依然としてカートリッジ型の磁気テープが使用されている。これはカートリッジ型の磁気テープの記憶容量が1巻で400ギガバイト以上あり、ビット当たりの記録費用が他の記録媒体より安価であるからである。
磁気テープ記憶媒体からデータを完全に消去するためには、その磁気テープ記憶媒体を裁断してしまう方法がある。しかし、裁断してしまえば、その磁気テープ記録媒体は再利用できなくなる。また、磁気テープ記録媒体の記録内容を磁気的に無意味なデータで上書きする方法もあるが、磁気テープ記録媒体には装置を制御するための制御情報を記憶するサーボトラックが含まれおり、磁気的に消去するとこの制御情報も消去されてしまうので、やはりその磁気テープ記録媒体は再利用できなくなる。
【0003】
従来からデータ・セキュリティ・イレーズ処理を行う方法が知られている。これを図1から図3により説明する。
図1は1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体のトラックを示す図である。図示のように、データが格納されるトラックは複数のトラック1からnまである。
図2は図1に示した磁気テープ記憶媒体のトラック1からトラック3の一部までデータを書き込んだ状態を示す図である。同図において、黒で示したトラックは最後にデータが書き込まれたトラックを示しており、斜線で示したトラックは過去に書き込まれて消去されていないデータで満たされているトラックを示している。書き込みデータの先頭位置はBOT(Begining of the Tape)として後述する記録媒体に記録されており、書き込みデータの最終位置はEOD(End of Data)として同記録媒体に記録されている。
【0004】
図3は従来のデータ消去方法を説明する図である。同図において、全トラック上の制御情報を除く全データを消去するためにはデータ・セキュリティ・イレーズ(Data Security Erase)処理を行ってトラック毎に無意味なデータで上書きする必要があった。しかし、媒体の記憶容量の増加に伴って、この処理を行おうとすると磁気テープ1巻当たり数時間が必要となり、実用的ではない。特に、データが記録されていない部分に対してもこの処理を行うことになり、処理時間が長くなる。
【0005】
従来の他のデータ消去方法として、バックアップソフトなどを使用して、単純に磁気テープの先頭から各トラック毎にファイルマークを書くだけで、消去したとする場合もある。しかし、この方法では、ファイルマークの後の各トラックのデータは実際には残っており、セキュリティ上問題が残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、磁気テープの先頭位置から実際に書き込まれているデータの最終トラック位置までのデータを消去することにより、データ消去時間を大幅に短縮することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、最新情報の書き込み済みデータであろうと、過去に書き込まれて消去されていない過去情報であろうと、必要に応じて完全に消去できるようにしてセキュリティ上の問題を完全に解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置とを記憶しているメモリを有するカートリッジに収容された磁気テープ記憶媒体からデータを消去する方法であって、メモリから最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップと、決定された位置までのデータを消去するステップとを備えることを特徴とする磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法である。
【0009】
好ましくは、読み出すステップと決定するステップとの間に、読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とをディスプレイに表示するステップを備え、決定するステップでは、表示ざれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置のいずれまでのデータを消去するかを決定する。
好ましくは、メモリは不揮発メモリである。
【発明の効果】
【0010】
メモリから読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するようにしたので、消去が必要なデータが記録されているトラックに対してのみ消去処理を行うことにより、データが存在しないトラックに対する消去処理は不要となり、データ消去処理時間が大幅に短縮される。
【0011】
また、消去が必要なデータは完全に消去されるので、従来のようなセキュリティ上の問題はなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態による磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法を説明する。図4は1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体が収容されているカートリッジに含まれる不揮発メモリの内容を示す図である。同図において、41はカートリッジ、42は磁気テープ記憶媒体、43は不揮発メモリである。不揮発メモリ43には、磁気テープ記録媒体42のデータトラック0からnまでの各々が既にデータが書き込まれているデータ書き込み領域xxx…か未だデータが書き込まれていない未書き込み領域FFF…かを示す情報と、EOD情報として最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置EODトラックセクションが記憶されている。
【0013】
図5は発明の実施の態様によるイレーズ処理選択画面を示す図である。図示のように、ディスプレイには、1.イレーズ処理を開始する際にディスプレイに書き込み済みトラックの最終位置xxと、2.最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置EODのトラック番号yyとが表示される。図2の例ではxxはn−1であり、yyは3である。操作者はこのいずれのイレーズ処理を行うかを決定する。
【0014】
図6は本発明の実施の態様による過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置までのデータを消去する例を示す図である。すなわち、図5の表示で1を選択した場合のイレーズ処理を示している。図に矢印で示すように、トラック1からn−1まで順番に無意味なデータが上書きされて元のデータは消去される。トラックnに対するイレーズ処理は行われないので、イレーズ処理に要する時間は従来と比較して短縮される。図6の例ではトラックn−1までデータが書き込まれているが、書き込まれているデータのトラック数が少ない程、イレーズ時間は短くて済む。なお、図中のEOTは磁気テープの最後のトラック番号である。
【0015】
図7は本発明の実施の態様による最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置までのデータを消去する例を説明する図である。すなわち、図5の表示で2を選択した場合のイレーズ処理を示している。EOD書き込みトラック位置yyはこの場合は3なので、図に矢印で示すように、イレーズ処理はトラック1から3までで終わっている。
トラック4からn−1までのデータは消去されないが、セキュリティ上問題がないと操作者が判断して図5の表示2を選択したので、セキュリティ上の問題はない。
【0016】
本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。同図において、磁気テープ記憶媒体システムはサーバ81とこれに接続された磁気テープシステム82とからなっている。サーバ81は磁気テープ・イレーズ処理部83を備えている。磁気テープシステム82は、ドライバ84と、ロボット85と、磁気テープ記録媒体を収容するカートリッジ86とを備えている。
【0017】
動作において、磁気テープ・イレーズ処理部83からの指令によりロボット85が制御されてドライバ84のいずれか一つにカートリッジ86の一つが移動されて収容され、イレーズ処理が開始される。
【0018】
図9は、本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード前の磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。同図において、91はカートリッジ86が有する不揮発メモリ、92は磁気テープ記録媒体、93は読み出し又は書き込み用ヘッド、94は巻き取りリール、95はデータ読み書き回路、96はメモリ読み書き回路、97はインターフェース、98はカートリッジ・メモリ用インターフェースである。
【0019】
カートリッジ86をドライバ84にロードする前は、カートリッジ86はドライバ84から離れているがロード後は、カートリッジ86がロボット85によりドライバ84に収容される。
【0020】
図10及び図11は本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。図示のように、カートリッジ86がドライバ84に収容されると不揮発メモリ91の内容がカートリッジ・メモリ用インターフェース98を介してメモリ読み書き回路96に読み出される。これ以降は、不揮発メモリ91から読み出した内容に応じて、インターフェース97を介して磁気テープ・イレーズ処理部83とデータ読み書き回路95及びメモリ読み書き回路96との間でテープイレーズ処理が行われる。
【0021】
図12は本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS121でメモリ読み書き回路96によりカートリッジ86内の不揮発メモリ91に格納されている情報の読み出し処理を行う。次いでステップS122でメモリ読み書き回路96により書き込み済みトラックの最終位置xxでEODの書き込みトラックのトラック情報yyの採取を行う。次いでステップS123で書き込み済みトラックの位置xxの表示とEOD書き込みトラック情報yyの表示をディスプレイ(図示省略)に行う。
【0022】
ステップS124ではディスプレイ上の表示を見ながら、(1)書き込み済みトラックxxまでの消去を行うか、(2)EOD書き込みトラックyyまでの消去を行うかを決定する。
【0023】
(1)書き込み済みトラックxxまでの消去を行う決定をした場合は、ステップS125にて1トラック分のイレーズ処理をデータ読み書き回路95により行う。次いでステップS126にて現在のトラック位置情報を採取して書き込み位置を採取し、現在のトラック位置と一致するまで残りのトラックのイレーズ処理のためにステップS125からS127を繰り返す。この場合は、最新のデータだけではなく過去のデータまで含めた書き込み済みトラックxxx…までの消去動作を行う。
【0024】
(2)EODまでのトラック情報xxまでのデータを消去する決定をした場合は、ステップS128に進み、1トラック分のイレーズ処理を行い、次いで次いでステップS129にて現在のトラック位置情報を採取して書き込み位置を採取し、現在のトラック位置と一致するまで残りのトラックのイレーズ処理をステップS128からS130を繰り返す。この場合は、最新の書き込みデータだけを消去する。
【0025】
(1)又は(2)のイレーズ処理が終了したら巻き取りリール94に磁気テープのステップS131にてリワインド処理を行い、処理を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
従来は、データの書き込み量によらずに、磁気テープ全体を消去していたので、処理時間が非情に長くかかったのに対し、本発明の上に(1)のイレーズ処理によれば、磁気テープの過去の書き込み分含めて全てのデータを消去できる。このため、企業の同じ部門で繰り返ししようしてきた媒体の中身を、すべて過去分を含めて消去でき、セキュリティ上まったく問題がない状態にできる。
また、本発明の上記(2)のイレーズ処理によれば、最後の処理で書き込んだ一連の処理のデータのみを消去できる。このため、最新のデータ部分を消去できる。この例では、企業のある部門と他のセンタ等との媒体のやり取りがある場合などの、媒体を使用している場合に自部門のデータ部分のみを消去すればよい場合に使用できる。
通常は上記(1)の処理よりも短時間でイレーズ処理が可能であり、より処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体のトラックを示す図である。
【図2】図1に示した磁気テープ記憶媒体のトラック1からトラック3の一部までデータを書き込んだ状態を示す図である。
【図3】従来のデータ消去方法を説明する図である。
【図4】1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体が収容されているカートリッジに含まれている不揮発メモリの内容を示す図である。
【図5】本発明の実施の態様によるイレーズ処理選択画面を示す図である。
【図6】本発明の実施の態様による過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置までのデータを消去する例を示す図である。
【図7】本発明の実施の態様による最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置までのデータを消去する例を説明する図である。
【図8】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード前の磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。
【図11】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のデータ消去時の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。
【図12】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のデータ消去時の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
86 カートリッジ
92 磁気テープ記録媒体
xx 最新情報の書き込み済みトラック位置
yy 過去情報の最終トラック位置
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法に関し、特に磁気テープライブラリ装置における、磁気テープ記憶媒体からのデータ漏洩を防止するためのセキュリティ・イレーズ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムにおけるバックアップ用の記録媒体として依然としてカートリッジ型の磁気テープが使用されている。これはカートリッジ型の磁気テープの記憶容量が1巻で400ギガバイト以上あり、ビット当たりの記録費用が他の記録媒体より安価であるからである。
磁気テープ記憶媒体からデータを完全に消去するためには、その磁気テープ記憶媒体を裁断してしまう方法がある。しかし、裁断してしまえば、その磁気テープ記録媒体は再利用できなくなる。また、磁気テープ記録媒体の記録内容を磁気的に無意味なデータで上書きする方法もあるが、磁気テープ記録媒体には装置を制御するための制御情報を記憶するサーボトラックが含まれおり、磁気的に消去するとこの制御情報も消去されてしまうので、やはりその磁気テープ記録媒体は再利用できなくなる。
【0003】
従来からデータ・セキュリティ・イレーズ処理を行う方法が知られている。これを図1から図3により説明する。
図1は1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体のトラックを示す図である。図示のように、データが格納されるトラックは複数のトラック1からnまである。
図2は図1に示した磁気テープ記憶媒体のトラック1からトラック3の一部までデータを書き込んだ状態を示す図である。同図において、黒で示したトラックは最後にデータが書き込まれたトラックを示しており、斜線で示したトラックは過去に書き込まれて消去されていないデータで満たされているトラックを示している。書き込みデータの先頭位置はBOT(Begining of the Tape)として後述する記録媒体に記録されており、書き込みデータの最終位置はEOD(End of Data)として同記録媒体に記録されている。
【0004】
図3は従来のデータ消去方法を説明する図である。同図において、全トラック上の制御情報を除く全データを消去するためにはデータ・セキュリティ・イレーズ(Data Security Erase)処理を行ってトラック毎に無意味なデータで上書きする必要があった。しかし、媒体の記憶容量の増加に伴って、この処理を行おうとすると磁気テープ1巻当たり数時間が必要となり、実用的ではない。特に、データが記録されていない部分に対してもこの処理を行うことになり、処理時間が長くなる。
【0005】
従来の他のデータ消去方法として、バックアップソフトなどを使用して、単純に磁気テープの先頭から各トラック毎にファイルマークを書くだけで、消去したとする場合もある。しかし、この方法では、ファイルマークの後の各トラックのデータは実際には残っており、セキュリティ上問題が残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、磁気テープの先頭位置から実際に書き込まれているデータの最終トラック位置までのデータを消去することにより、データ消去時間を大幅に短縮することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、最新情報の書き込み済みデータであろうと、過去に書き込まれて消去されていない過去情報であろうと、必要に応じて完全に消去できるようにしてセキュリティ上の問題を完全に解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置とを記憶しているメモリを有するカートリッジに収容された磁気テープ記憶媒体からデータを消去する方法であって、メモリから最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップと、決定された位置までのデータを消去するステップとを備えることを特徴とする磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法である。
【0009】
好ましくは、読み出すステップと決定するステップとの間に、読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とをディスプレイに表示するステップを備え、決定するステップでは、表示ざれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置のいずれまでのデータを消去するかを決定する。
好ましくは、メモリは不揮発メモリである。
【発明の効果】
【0010】
メモリから読み出された最新情報の書き込み済み最終トラック位置と過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するようにしたので、消去が必要なデータが記録されているトラックに対してのみ消去処理を行うことにより、データが存在しないトラックに対する消去処理は不要となり、データ消去処理時間が大幅に短縮される。
【0011】
また、消去が必要なデータは完全に消去されるので、従来のようなセキュリティ上の問題はなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態による磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法を説明する。図4は1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体が収容されているカートリッジに含まれる不揮発メモリの内容を示す図である。同図において、41はカートリッジ、42は磁気テープ記憶媒体、43は不揮発メモリである。不揮発メモリ43には、磁気テープ記録媒体42のデータトラック0からnまでの各々が既にデータが書き込まれているデータ書き込み領域xxx…か未だデータが書き込まれていない未書き込み領域FFF…かを示す情報と、EOD情報として最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置EODトラックセクションが記憶されている。
【0013】
図5は発明の実施の態様によるイレーズ処理選択画面を示す図である。図示のように、ディスプレイには、1.イレーズ処理を開始する際にディスプレイに書き込み済みトラックの最終位置xxと、2.最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置EODのトラック番号yyとが表示される。図2の例ではxxはn−1であり、yyは3である。操作者はこのいずれのイレーズ処理を行うかを決定する。
【0014】
図6は本発明の実施の態様による過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置までのデータを消去する例を示す図である。すなわち、図5の表示で1を選択した場合のイレーズ処理を示している。図に矢印で示すように、トラック1からn−1まで順番に無意味なデータが上書きされて元のデータは消去される。トラックnに対するイレーズ処理は行われないので、イレーズ処理に要する時間は従来と比較して短縮される。図6の例ではトラックn−1までデータが書き込まれているが、書き込まれているデータのトラック数が少ない程、イレーズ時間は短くて済む。なお、図中のEOTは磁気テープの最後のトラック番号である。
【0015】
図7は本発明の実施の態様による最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置までのデータを消去する例を説明する図である。すなわち、図5の表示で2を選択した場合のイレーズ処理を示している。EOD書き込みトラック位置yyはこの場合は3なので、図に矢印で示すように、イレーズ処理はトラック1から3までで終わっている。
トラック4からn−1までのデータは消去されないが、セキュリティ上問題がないと操作者が判断して図5の表示2を選択したので、セキュリティ上の問題はない。
【0016】
本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。同図において、磁気テープ記憶媒体システムはサーバ81とこれに接続された磁気テープシステム82とからなっている。サーバ81は磁気テープ・イレーズ処理部83を備えている。磁気テープシステム82は、ドライバ84と、ロボット85と、磁気テープ記録媒体を収容するカートリッジ86とを備えている。
【0017】
動作において、磁気テープ・イレーズ処理部83からの指令によりロボット85が制御されてドライバ84のいずれか一つにカートリッジ86の一つが移動されて収容され、イレーズ処理が開始される。
【0018】
図9は、本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード前の磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。同図において、91はカートリッジ86が有する不揮発メモリ、92は磁気テープ記録媒体、93は読み出し又は書き込み用ヘッド、94は巻き取りリール、95はデータ読み書き回路、96はメモリ読み書き回路、97はインターフェース、98はカートリッジ・メモリ用インターフェースである。
【0019】
カートリッジ86をドライバ84にロードする前は、カートリッジ86はドライバ84から離れているがロード後は、カートリッジ86がロボット85によりドライバ84に収容される。
【0020】
図10及び図11は本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。図示のように、カートリッジ86がドライバ84に収容されると不揮発メモリ91の内容がカートリッジ・メモリ用インターフェース98を介してメモリ読み書き回路96に読み出される。これ以降は、不揮発メモリ91から読み出した内容に応じて、インターフェース97を介して磁気テープ・イレーズ処理部83とデータ読み書き回路95及びメモリ読み書き回路96との間でテープイレーズ処理が行われる。
【0021】
図12は本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS121でメモリ読み書き回路96によりカートリッジ86内の不揮発メモリ91に格納されている情報の読み出し処理を行う。次いでステップS122でメモリ読み書き回路96により書き込み済みトラックの最終位置xxでEODの書き込みトラックのトラック情報yyの採取を行う。次いでステップS123で書き込み済みトラックの位置xxの表示とEOD書き込みトラック情報yyの表示をディスプレイ(図示省略)に行う。
【0022】
ステップS124ではディスプレイ上の表示を見ながら、(1)書き込み済みトラックxxまでの消去を行うか、(2)EOD書き込みトラックyyまでの消去を行うかを決定する。
【0023】
(1)書き込み済みトラックxxまでの消去を行う決定をした場合は、ステップS125にて1トラック分のイレーズ処理をデータ読み書き回路95により行う。次いでステップS126にて現在のトラック位置情報を採取して書き込み位置を採取し、現在のトラック位置と一致するまで残りのトラックのイレーズ処理のためにステップS125からS127を繰り返す。この場合は、最新のデータだけではなく過去のデータまで含めた書き込み済みトラックxxx…までの消去動作を行う。
【0024】
(2)EODまでのトラック情報xxまでのデータを消去する決定をした場合は、ステップS128に進み、1トラック分のイレーズ処理を行い、次いで次いでステップS129にて現在のトラック位置情報を採取して書き込み位置を採取し、現在のトラック位置と一致するまで残りのトラックのイレーズ処理をステップS128からS130を繰り返す。この場合は、最新の書き込みデータだけを消去する。
【0025】
(1)又は(2)のイレーズ処理が終了したら巻き取りリール94に磁気テープのステップS131にてリワインド処理を行い、処理を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
従来は、データの書き込み量によらずに、磁気テープ全体を消去していたので、処理時間が非情に長くかかったのに対し、本発明の上に(1)のイレーズ処理によれば、磁気テープの過去の書き込み分含めて全てのデータを消去できる。このため、企業の同じ部門で繰り返ししようしてきた媒体の中身を、すべて過去分を含めて消去でき、セキュリティ上まったく問題がない状態にできる。
また、本発明の上記(2)のイレーズ処理によれば、最後の処理で書き込んだ一連の処理のデータのみを消去できる。このため、最新のデータ部分を消去できる。この例では、企業のある部門と他のセンタ等との媒体のやり取りがある場合などの、媒体を使用している場合に自部門のデータ部分のみを消去すればよい場合に使用できる。
通常は上記(1)の処理よりも短時間でイレーズ処理が可能であり、より処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体のトラックを示す図である。
【図2】図1に示した磁気テープ記憶媒体のトラック1からトラック3の一部までデータを書き込んだ状態を示す図である。
【図3】従来のデータ消去方法を説明する図である。
【図4】1個のリールに巻かれている磁気テープ記憶媒体が収容されているカートリッジに含まれている不揮発メモリの内容を示す図である。
【図5】本発明の実施の態様によるイレーズ処理選択画面を示す図である。
【図6】本発明の実施の態様による過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置までのデータを消去する例を示す図である。
【図7】本発明の実施の態様による最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置までのデータを消去する例を説明する図である。
【図8】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード前の磁気テープ記憶媒体システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のロード状態の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。
【図11】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のデータ消去時の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するブロック図である。
【図12】本発明の実施の態様による磁気テープ記憶媒体のデータ消去時の磁気テープ記憶媒体システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
86 カートリッジ
92 磁気テープ記録媒体
xx 最新情報の書き込み済みトラック位置
yy 過去情報の最終トラック位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置とを記憶しているメモリを有するカートリッジに収容された磁気テープ記憶媒体からデータを消去する方法であって、
前記メモリから前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、
前記読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップと、
前記決定された位置までのデータを消去するステップと
を備えることを特徴とする磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【請求項2】
前記読み出すステップと前記決定するステップとの間に、前記読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とをディスプレイに表示するステップを備え、
前記決定するステップでは、表示ざれた前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置のいずれまでのデータを消去するかを決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【請求項3】
前記メモリは不揮発メモリであることを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【請求項1】
最後に書き込まれた最新情報の書き込み済み最終トラック位置と、過去に書き込まれて消去されていない過去情報の最終トラック位置とを記憶しているメモリを有するカートリッジに収容された磁気テープ記憶媒体からデータを消去する方法であって、
前記メモリから前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とを読み出すステップと、
前記読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とのいずれまでのデータを消去するかを決定するステップと、
前記決定された位置までのデータを消去するステップと
を備えることを特徴とする磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【請求項2】
前記読み出すステップと前記決定するステップとの間に、前記読み出された前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置とをディスプレイに表示するステップを備え、
前記決定するステップでは、表示ざれた前記最新情報の書き込み済み最終トラック位置と前記過去情報の最終トラック位置のいずれまでのデータを消去するかを決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【請求項3】
前記メモリは不揮発メモリであることを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ記憶媒体からのデータ消去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−260723(P2006−260723A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79851(P2005−79851)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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