磁気ディスクおよびこれを備えた磁気ディスク装置
【課題】アクチュエータの振動レベルを低減し、ヘッドの位置決め精度向上および騒音低減を図ることが可能な磁気ディスクおよびこれを備えたディスク装置を提供する。
【解決手段】 磁気ディスク装置の磁気ディスクは、中央孔52を有した平坦な円盤状の基板54と、基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域56と、を備えている。各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターン58および基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターン60を有している。基板表面側の記録領域のサーボ領域パターンと基板裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれている。
【解決手段】 磁気ディスク装置の磁気ディスクは、中央孔52を有した平坦な円盤状の基板54と、基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域56と、を備えている。各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターン58および基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターン60を有している。基板表面側の記録領域のサーボ領域パターンと基板裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ディスクおよびこれを備えた磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの外部記録装置や画像記録装置として磁気ディスク装置が広く用いられている。磁気ディスク装置は、一般に、矩形箱状の筐体を有している。筐体内には、磁気記録媒体としての磁気ディスク、この磁気ディスクを支持および回転させるスピンドルモータ、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行なう複数の磁気ヘッド、これらの磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ、ヘッドIC等を有する基板ユニット等が収納されている。筐体の外面には、基板ユニットを介してスピンドルモータ、ボイスコイルモータ、および磁気ヘッドの動作を制御するプリント回路基板がねじ止めされている。
【0003】
近年、磁気ディスク装置は、より多種の電子機器、特に、より小型の電子機器の記録装置として用いることができるように、一層の小型化が進められている。これに伴い、磁気ディスクの一層の小型化および高密度記録化が求められている。このような小型で高密度記録が可能な磁気ディスクとして、いわゆるディスクリート・トラック・記録(以下、DTRと称する)型の磁気ディスクが提案されている(例えば、特許文献1)。このDTR型の磁気ディスクは、ディスク表面が凹凸に形成され、その凹凸面に重ねて磁性体層が形成されている。そして、凸部により、サーボデータが記録される複数のサーボ領域パターン、およびユーザによるデータ記録が可能なデータ領域パターンが予めパターン化して形成されている。
【特許文献1】特開2003−22634
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなDTR型の磁気ディスクにおいて、サーボ領域パターンとデータ領域パターンとでは、それぞれ凹凸の比率が異なり、例えば、サーボ領域パターンでは凸部の割合が40%、データ領域パターンでは70%となっている。この場合、凹凸の単位面積あたりの比率によって、磁気ヘッドを浮上させるスライダと磁気ディスク表面との間に発生する動圧が異なり、磁気ヘッドの浮上量は、サーボ領域パターン部とデータ領域パターン部で異なってくる。そのため、サーボ領域パターンとデータ領域パターンとの境界では磁気ヘッドに対する圧力変化が生じ、磁気ヘッドに対してインパルス的な力が発生する。
【0005】
このような力が磁気ヘッドに作用すると、アクチュエータが振動する。そのため、磁気ヘッドの位置決め精度を悪化させる虞があるとともに、騒音発生の要因ともなり得る。特に、記録容量の増大を図る場合、磁気ディスクの両面に記録層を設けることが望ましいが、磁気ディスク表面側の磁気ヘッドの振動と、磁気ディスク裏面側の磁気ヘッドの振動とが共振し、ヘッドアクチュエータに大きな加振力が生じることも考えられる。この場合、アクチュエータが大きく振動し磁気ヘッドの位置決め精度の悪化や騒音発生を招いてしまう。
【0006】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、アクチュエータの振動レベルを低減し、ヘッドの位置決め精度向上および騒音低減を図ることが可能な磁気ディスクおよびこれを備えたディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る磁気ディスクは、中央孔を有した円盤状の基板と、前記基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域と、を備え、前記各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターンおよび前記基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターンを有し、前記表面側の記録領域のサーボ領域パターンと前記裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれていることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の態様に係る磁気ディスク装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の磁気ディスクと、前記磁気ディスクを支持し、一定速度で回転させる駆動部と、
前記磁気ディスクに対して情報処理を行うヘッドと、前記磁気ディスクに対して前記ヘッドを径方向に移動させるヘッドアクチュエータと、を備え、前記磁気ディスクは、前記各サーボ領域パターンと、前記磁気ディスク上における前記ヘッドの移動軌跡とが一致する方向に合わせて配設されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、基板の両面にデータ領域およびサーボ領域をパターン形成し、表裏のサーボ領域パターンの位相をずらして設けることにより、アクチュエータの振動レベルを低減し、ヘッドの位置決め精度向上および騒音低減を図ることが可能な磁気ディスクおよびこれを備えたディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る磁気ディスクについて詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る磁気ディスク50は、中央孔52を有した平坦な円盤状の基板54と、基板の少なくとも一方の面、ここでは、基板の表面および裏面に形成された記録層56と、を備えている。それぞれ記録領域を構成する記録層56は、基板54の内周縁部および外周縁部を除き、基板と同軸的な環状に形成されている。各記録層56は、強磁性体、例えば、CoCrPtによってパターン状に形成され、磁性体のない領域は非磁性体、例えば、SiO2により埋められている。これにより、表面が平坦化された垂直磁気記録用の磁気ディスクを構成している。
【0011】
磁気ディスク50は、DTRメディアとして形成され、図1(a)は磁気ディスク50の表面側における記録層56のパターン、図1(b)は磁気ディスクの裏面側における記録層56のパターンをそれぞれ示している。記録層56のパターンは、大別して、データ領域パターン58と複数のサーボ領域パターン60とを有している。
【0012】
図2に示すように、基板54は、例えば、ガラスで形成され、その表面および裏面には、下地層(SUL)66が形成されている。基板54は、ガラスに限らずアルミニウムで形成してもよい。データ領域パターン58およびサーボ領域パターン60は、下地層66に重ねて形成されている。
【0013】
図2に示すように、データ領域パターン58は、後述する磁気ディスク装置のヘッドによりユーザデータを記録再生する記録領域を形成するもので、基板54の表面上に磁性体によって形成された凸部により構成されている。すなわち、データ領域パターン58は、強磁性体(CoCrPt)によりそれぞれ円環状に形成され垂直記録層として機能する複数の磁性トラック62を有している。これらの磁性トラック62は中央孔52とほぼ同軸状に、かつ、基板54の半径方向に一定の周期、つまり、一定のトラックピッチTpで並んで設けられている。
【0014】
半径方向に隣合う磁性トラック62間は、凹所からなるデータ記録不能な非磁性ガード帯部64により分断されている。本実施形態によれば、ディスク表面の平坦化を目的として、各非磁性ガード帯部64には非磁性材からなる埋め込み材、例えば、SiO2が埋込まれている。また、磁気ディスク表面には、薄膜状にダイアモンドライクカーボン保護膜が形成され、更に、潤滑剤としてルブが塗布されている。なお、非磁性ガード帯部を埋めることなく、凹凸面の上に直接保護層を形成してもよい。
【0015】
基板54の径方向に沿った各磁性トラック62の径方向幅Twは、非磁性ガード帯部64の幅よりも大きく形成されている。本実施形態において、磁性トラック/非磁性ガード帯部の径方向の比は2:1であり、データ領域パターン58は、磁性占有率67%のパターンを取っている。このようなデータ領域パターン58は、例えば120kTPIを越える高トラック密度であるため、径方向のパターン周期(トラックピッチ)Tpは可視光波長よりも小さい。このため、本磁気ディスク50は、磁性トラック62に起因する光の回折によって形成される虹パターンを目視認識することはできない。
【0016】
図1に示すように、データ領域パターン58を構成した円環状の磁性トラック62は、複数のサーボ領域パターン60により基板54の周方向にセクタ分割されている。複数のサーボ領域パターン60は、基板54の円周方向に所定の位相で設けられている。複数のサーボ領域パターン60は、図1において、データ領域パターン58を15分割する構成で記載されているが、実際には、データ領域パターン58は100サーボセクタ以上に分割されている。
【0017】
各サーボ領域パターン60は、磁気ディスク装置のヘッドを位置決めするために必要な情報を磁性/非磁性で埋込み形成したプリビット領域である。各サーボ領域パターン60は、基板54の中央孔52側から外周縁部までほぼ放射状に延びているとともに、ヘッドの移動軌跡に一致した円弧状に形成されている。また、各サーボ領域パターン60は、基板54の円周方向に沿ったサーボ領域パターンの周方向長が、基板の半径方向位置に比例して長くなる、すなわち、基板の外周側に位置した領域ほど長くなる、周方向拡大パターンに形成されている。基板54の表面側記録層56のサーボ領域パターン60と裏面側記録層56のサーボ領域パターン60とは、その周方向配置順が異なる配置に形成され、例えば、表面側が反時計方向、裏面側が時計方向となっている。このように、磁気ディスク50の記録領域は磁性体形状がパターン化されているとともに、表面側と裏面側とでパターンが異っている。
【0018】
次に、図3を用いてサーボ領域パターン60について詳細に説明する。
図3は、磁気ディスク50の表面側に設けられたサーボ領域パターン60を示している。このサーボ領域パターン60は、磁気ディスク50をドライブに組み込んだ際、ヘッドが通過方向Xに沿って図中左から右に通過する個所のパターンである。円弧状サーボ領域パターン形状で表現すると、外周側円弧が図中の左、内周側円弧が図中の右に位置している。サーボ領域パターン60の左右両側には、前述したデータ領域パターン58が設けられている。データ領域パターン58に対して、各サーボ領域パターン60の外周側円弧は、磁気ディスクの回転方向上流側に位置した第1境界B1を形成し、内周側円弧は回転方向上流側に位置した第2境界2を形成している。
【0019】
サーボ領域パターン60は、大別すると、プリアンブル部70、アドレス部72、偏差検出用のバースト部74を有し、データ領域パターン58と同様に、強磁性体の凸部で形成された磁性パターンと、磁性パターン間に位置した凹部からなる非磁性パターンとにより構成されている。凹部は、非磁性の埋め込み材により埋められている。
【0020】
プリアンブル部70は、磁気ディスク50の回転偏芯等により生ずる時間ズレに対し、サーボ信号再生用クロックを同期させるPLL処理や、信号再生振幅を適正に保つAGC処理を行うために設けられている。このプリアンブル部70は、少なくとも基板54の半径方向に略円弧放射状に連続しているとともに基板の周方向に磁性/非磁性を繰返す繰返しパターン領域として形成され、磁性/非磁性比がほぼ1:1、すなわち、磁性占有率約50%で形成されている。尚、周方向の繰返し周期は半径距離に比例して異なるが、基板54の最外周部分であっても可視光波長以下であり、データ領域パターンと同様に、光学回折によるサーボ領域パターンの識別は困難である。
【0021】
アドレス部72は、サーボマークと呼ばれるサーボ信号認識コード、セクタ情報、シリンダ情報等が、プリアンブル部70の周方向ピッチと同一ピッチで、マンチェスタコードにより形成されている。シリンダ情報は、サーボトラック毎にその情報が変化するパターンとなる。そのため、ヘッドシーク動作時のアドレス判読ミスの影響が小さくなる様に、グレイコードと呼ばれる隣接トラックとの変化が最小となるコード変換をしてから、マンチェスタコード化して記録されている。アドレス部72における磁性占有率は約50%となっている。
【0022】
バースト部74は、シリンダアドレスのオントラック状態からのオフトラック量を検出するためのオフトラック検出用領域で、更にA、B、C、Dバーストと呼ぶ4つの径方向にパターン位相をずらしたマークが形成されている。各バーストには、周方向に複数個のマークがプリアンブル部と同一のピッチ周期で配置され、径方向周期は、アドレスパターンの変化周期に比例、換言すれば、サーボトラック周期に比例した周期で設けられている。本実施形態では、各バーストは、周方向に10周期分形成され、径方向に、サーボトラック周期の2倍長周期で繰返すパターンを取っている。ABCDバーストパターンでの磁性占有率は約75%となっている。
【0023】
マーク形状は基本的には矩形、厳密にはヘッドアクセス時のスキュー角を考慮した平行四辺形を目指して形成されている。しかし、スタンパ加工精度や転写形成等の加工性能により、各マークは、多少丸みを帯びた形状となる。また、マークは非磁性部として形成する。
【0024】
バースト部74に基づく位置検出原理については、詳細を省略するが、各ABCDバースト部再生信号の平均振幅値を演算処理して、オフトラック量が算出される。なお、本実施形態ではABCDバーストパターンを採用しているが、公知の位相差サーボパターン等を、オフトラック量検出手段としてパターン配置したものでもよい。ただし、位相差サーボパターンの場合は、この部分の磁性占有率は約50%となる。
【0025】
図4に示すように、上記のようなDTR型の磁気ディスク50において、各サーボ領域パターン60とデータ領域パターン58とでは、それぞれ凹凸の比率が異なり、例えば、サーボ領域パターン60では凸部の割合が40%、データ領域パターン58では70%となっている。
【0026】
図5に示すように、基板54の表面画側に設けられたサーボ領域パターン60と、裏面側に設けられたサーボ領域パターン60とは、互いに位相がずれて配設されている。本実施形態において、基板表面側の各サーボ領域パターン60は、基板裏面側の隣合う2つのサーボ領域パターン60間、すなわち、基板54の周方向において、2つのサーボ領域パターン60間の中間位置と対向して設けられている。基板54の表面画側に設けられたサーボ領域パターン60と、裏面側に設けられたサーボ領域パターン60とは、基板54の軸方向に重なることなく、基板の円周方向に交互に並んで設けられている。
【0027】
次に、上述した磁気ディスク50の製造方法について簡単に説明する。製造プロセスは、転写工程、磁性加工工程、仕上げ工程を含んでいる。
図6(a)に示すように、まず、ガラスあるいはSiからなる基板54を用意し、この基板の両面に下地層を形成し、更に、下地層に重ねて強磁性体からなる磁性体層80を形成する。基板サイズは3〜0.85インチと幅広く選択できる。磁性体層80の最上部には酸化防止のためカーボン保護膜が4nm程度成膜されている。図6(b)に示すように、各磁性体層80上にレジスト82をSOG(スピン・オン・グラス)により塗布する。レジスト82としては、例えばSiO2を用い、塗布厚は120nm程度が好ましい。
【0028】
続いて、転写工程に使用するパターンの基となるスタンパ84を用意する。スタンパ84の製造工程は、描画、現像、電鋳、仕上げに細分化される。パターン描画では、原盤回転型の電子線露光装置を用いて、磁気ディスクで非磁性化させる部位を、レジスト塗布された原盤上に、内周から外周まで露光描画する。これに現像、RIE等の処理を施し、凹凸パターンを持つ原盤を形成する。この原盤を導電化処理した後、原盤の表面にNiを電鋳する。続いて、Niを原盤から剥離し、内径/外径を打ち抜き加工することで、Niからなるディスク状のスタンパ84が形成される。スタンパ84は、非磁性化させる部位を凸部として形成されている。磁気ディスク表面用および裏面用のスタンパ84をそれぞれ形成する。
【0029】
図6(b)、図6(c)に示すように、転写工程では、両面同時転写型のインプリント装置を用い、インプリントリソグラフィー法によりスタンパ84の凹凸を磁気ディスク両面のレジスト82に転写する。すなわち、レジスト82の形成された基板54その中央孔52でチャッキングした状態で、基板54の両面を、裏面用、表面用に準備した2種のスタンパ84で挟み込み、全面を均等に押圧する。これにより、スタンパ84の凹凸パターンをレジスト82表面に転写する。転写工程により、非磁性化させる部位が、レジスト82の凹部として形成される。
【0030】
スタンパ84を用いて基板両面にインプリントする際、基板表面および裏面のサーボ領域パターンの位相が一致しないようにインプリントする。この位相をずらした表面側および裏面側のサーボ領域パターンの関係は、図5に示した通り、互いに重なることなく基板の円周方向に交互に並んだ状態となる。この位相のずれ量は任意に設定する。
【0031】
次に、凹凸パターンの転写されたレジスト82にUV照射を行い、160℃程度でベークする。これにより、レジスト82が架橋することで、イオンミリングに十分耐えうる硬度が得られる。
インプリント法による凹凸形成プロセスでは、パターン凹部底辺にレジスト残渣が残る。レジスト残渣が少ないほど磁性体加工には好ましいが、レジスト残渣が少なすぎるとインプリントによる形状転写性が悪くなる。
【0032】
図6(d)に示すように、レジスト残渣の除去には、例えば、SF6ガスを用いたRIEを用いる。レジスト82に転写された凹凸形状をできるだけ変化させずに残渣を除去するには、低圧、高密度のプラズマソースRIEが好適である。ICP(誘導結合プラズマ)やECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置を用いるのが良い。ICPエッチング装置で2mTorr程度のエッチング圧のSF6、RIEによって残渣除去を行う。凹凸の溝部分では、磁性体層80に形成されたカーボン保護膜も同時に剥離される。
【0033】
次に、磁性加工工程では、レジスト82の凹部の底に残っている残渣レジストを除去した後、非磁性化させる部位の磁性体層表面を露出させる。磁性体層80を残す部位はレジスト82が凸部として形成された状態になる。続いて、図6(e)に示すように、レジスト82をガード層として用い、Arイオンミリングすることで、凹部に位置する磁性体層80のみを除去し、磁性体を所望のパターンに加工する。この際、磁性体層80のダメージを無くすため、再付着(リデポ)現象を抑えるように、イオン入射角を30°、70°と変化させてエッチングする。再付着(リデポ)現象を抑えることに伴い、凸部パターンの側壁には、40°〜75°程度の傾斜角が付く。
【0034】
次いで、図6(f)に示すように、例えば、SOGにより磁気ディスクの両面に非磁性体としてSiO2からなるレジスト86を十分な厚さで塗布し、ディスク表面の凹凸をなくす。SiO2の膜厚はスピン回転数4000rpm振り切りで150nm(T−7)、90nm(FOX)程度である。その後、図6(g)に示すように、ミリングにより磁性体層80が出るまでエッチバックを行う。ミリングのエッチングレートを0.1nm/secとすることで、エッチバック後の媒体表面粗さ(Ra)を0.6nmとした。このエッチバックプロセスは、SOG膜の残差除去と同様にICPでSF6を用いて行うことができる。
【0035】
これにより、凹部が非磁性体で埋め込みまれ平坦化したパターン磁気ディスクが得られる。このような平坦化処理を行うことで、磁気ディスク表面はほぼ平坦となるが、磁性体層80が確実に表面に露出するまでエッチバックを行うことが必要であり、平坦化処理を行っても微少な凹凸が残る。
【0036】
最後の仕上げ工程では、ディスク表面を研磨仕上げして平坦度を更に向上させた後、カーボン保護層を形成し、更に、潤滑用ルブを塗布することにより本実施形態に係る磁気ディスクが完成する。
【0037】
次に、磁気ディスク装置として、上述した磁気ディスク50を備えたハードディクドライブ(以下、HDDと称する)について説明する。
図7および図8に示すように、磁気ディスク装置10は偏平な矩形状のディスクエンクロージャ13を備え、このディスクエンクロージャ13は、箱形形状のベース12と、ベース12の上面の開口部を密閉するトップカバー11とを有している。
【0038】
ディスクエンクロージャ13内には、前述した磁気ディスク50、磁気ディスクを支持および回転させるスピンドルモータ15、磁気ディスクに対してデータの記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド33、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク50に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ14、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)16、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した位置に保持するランプロード機構18、ヘッドクチュエータを退避位置に保持するイナーシャラッチ機構20、およびプリアンプ等の回路部品が実装されたフレキシブルプリント回路基板ユニット(以下、FPCユニットと称する)17が収納されている。ベース12は底壁を有し、スピンドルモータ15、ヘッドアクチュエータ14、VCM16等は、この底壁の内面上に設けられている。
【0039】
前述したように、磁気ディスク50は、両面をDTR用に加工した垂直磁化2層膜の小径パターンドメディアである。すなわち、磁気ディスク50は表面および裏面の両面に記録層56を有し、例えば、直径1.8インチあるいは0.85インチに形成されている。磁気ディスク50は、スピンドルモータ15の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね21によりハブに固定されている。磁気ディスク50は、駆動部としてもスピンドルモータ15によって支持され、所定の速度で回転される。
【0040】
ヘッドアクチュエータ14は、ベース12の底壁上に固定された軸受部24と、この軸受組立体に取り付けられた2本のアーム27と、各アームから延出したサスペンション30と、を有している。サスペンション30の延出端に、磁気ヘッド33が支持されている。アーム27、サスペンション30および磁気ヘッド33は、軸受部24の回りで回動自在に支持されている。図5に示すように、一対の磁気ヘッド33としては、磁気ディスク50の表面側記録層と対向するダウンヘッド、および磁気ディスクの裏面側記録層と対向するアップヘッドが設けられている。各磁気ヘッド33は、ヘッド本体であるスライダ(ABS)に、リード素子(GMR素子)及びライト素子を有する磁気ヘッド素子が実装されている。
【0041】
図7および図8に示すように、VCM16は、ヘッドアクチュエータ14に設けられたボイスコイル22と、ベース12に固定されボイスコイルと対向した一対のヨーク38、および一方のヨークに固定された図示しない磁石とを有している。VCM16は、アーム27に軸受部24周りの回転トルクを発生させ、磁気ヘッド33を磁気ディスク50の半径方向に移動させる。
【0042】
FPCユニット17は、ベース12の底壁上に固定された矩形状の基板本体34を有し、この基板本体上には、複数の電子部品およびコネクタ等が実装されている。FPCユニット17は、基板本体34とヘッドアクチュエータ14とを電気的に接続した帯状のメインフレキシブルプリント回路基板36を有している。ヘッドアクチュエータ14に支持された各磁気ヘッド33は、アーム27上に設けられた図示しない中継FPCおよびメインフレキシブルプリント回路基板36を介してFPCユニット17に電気的に接続されている。
【0043】
磁気ディスク50は、前述したように表裏があり、磁気ディスク装置のヘッド移動軌跡と、磁気ディスクのサーボ領域パターン60の円弧形状とが略一致する方向に表裏を合わせてベース12内に組み込まれている。磁気ディスク50の仕様は、磁気ディスク装置に適応した外径や内径、記録再生特性等を満足するものである。円弧形状に形成された各サーボ領域パターン60は、磁気ディスク回転中心からヘッドアクチュエータ14の軸受部24中心までの距離を半径とし磁気ディスクと同芯の円周上に、円弧中心を持ち、円弧半径が軸受部24から磁気ヘッド33素子までの距離として形成されている。言い変えると、各サーボ領域パターン60は、磁気ディスクが回転しても、常にヘッド移動軌跡とほぼ一致する円弧状に形成されている。各サーボ領域パターン60の円弧半径が、軸受部24から磁気ヘッド33素子までの距離で、円弧中心がパターン形成される磁気ディスク上の角度位相に同期して変化する磁気ディスクと同芯の円軌跡をとり、その円弧中心軌跡の半径が、スピンドルモータ15中心から軸受部24中心までの距離であるように形成されている。
【0044】
ベース12の底壁外面には、FPCユニット17を介してスピンドルモータ15、VCM16、および磁気ヘッドの動作を制御するプリント回路基板(以下、PCBと称する)40が固定され、ベース底壁と対向している。
【0045】
図8に示すように、PCB40上には多数の電子部品が実装されている。これらの電子部品は、主としてディスクコントローラ(HDC)41、リード/ライトチャネルIC42、MPU43、およびモータドライバIC44の4つのシステムLSIを含んでいる。また、PCB40には、FPCユニット17側のコネクタと接続可能なコネクタ、およびHDDをパーソナルコンピュータ等の電子機器に接続するための主コネクタが実装されている。
【0046】
MPU43は、ドライブ駆動システムの制御部であり、本実施形態に係るヘッド位置決め制御システムを実現するROM、RAM、CPU、およびロジック処理部を含む構成である。ロジック処理部は、ハードウェア回路で構成された演算処理部であり、高速演算処理に用いられる。また、動作ソフト(FW)は、ROMに保存され、このFWに従ってMPUがドライブを制御する。
【0047】
HDC41は、HDD内のインターフェース部であり、ディスクドライブとホストシステム、例えばパーソナルコンピュータ、とのインターフェースや、MPU43、リード/ライトチャネルIC42、モータドライバIC44への情報交換を行ないHDD全体を管理する。
【0048】
リード/ライトチャネルIC42は、リード/ライトに関連するヘッド信号処理部であり、ヘッドアンプICのチャネル切替えや、リード/ライト等の記録再生信号を処理する回路で構成されている。モータドライバIC44は、VCM16およびスピンドルモータ15の駆動ドライバ部であり、スピンドルモータを一定回転に駆動制御するとともに、MPU43からのVCM操作量を、電流値としてVCMに与え、ヘッドアクチュエータ14を駆動する。
【0049】
次に、ヘッド位置決めの制御部の構成を、図9を用いて簡単に説明する。
図9は、ヘッド位置決め制御部のブロック構成図であり、図中のC、F、P、Sはそれぞれシステムの伝達関数を意味している。制御対象Pは、具体的にはVCM16を含むヘッドアクチュエータ14に相当し、信号処理部Sは具体的にはチャネルICとMPU(オフトラック量検出処理の一部はMPU)とにより実現される要素である。
【0050】
制御処理部は、フィードバック制御部C(以下、第1コントローラと称する)および同期抑圧補償部F(以下、第2コントローラと称する)により構成され、具体的にはMPUにより実現される。
【0051】
動作詳細は後述するが、信号処理部Sは、ヘッド位置(HP)直下の、サーボ領域パターンからのアドレス情報等を含む再生信号に基づき、磁気ディスク上のトラック現在位置(TP)情報を生成する。第1コントローラCは、磁気ディスク50上の目標トラック位置(RP)と、磁気ディスク上における磁気ヘッド33の現在位置(TP)と目標トラック位置との位置誤差(E)と、に基づき、位置誤差が小さくなる方向にFB操作値U1を出力する。
【0052】
第2コントローラFは、磁気ディスク50上の磁性トラック形状やディスク回転に同期した振動等を補正するためのFF補償部であり、事前に較正した回転同期補償値をメモリテーブルに保存している。第2コントローラFは、通常、位置誤差(E)を使用せず、信号処理部Sから与えられる図示しないサーボセクタ情報を基に、テーブルを参照して、FF操作値U2を出力する。制御処理部は、第1および第2コントローラC、Fの出力U1およびU2を加算し、制御操作値UとしてHDC41を介してVCM16に供給し、磁気ヘッド33を駆動する。
なお、回転同期補償値テーブルは、初期動作時に較正処理されるが、位置誤差(E)が設定値以上に大きくなると再較正処理を開始し、同期補償値を更新する処理がなされる。
【0053】
次に、図7を参照して、再生信号から位置偏差を検出する動作について簡単に説明する。
磁気ディスク50は、スピンドルモータ15により一定回転速度で回転される。磁気ヘッド33は、サスペンション30に設けられたジンバルを介して弾性支持され、かつ、磁気ディスクの回転に伴なう空気圧とのバランスにより、磁気ディスク表面に対し微小隙間を保持した状態で浮上するように設計されている。これにより、ヘッド再生素子は一定の磁気空隙をもって、ディスク磁性層からの漏れ磁束を検出することができる。
【0054】
磁気ディスク50のサーボ領域パターン60は、磁気ディスクの回転により、一定周期で磁気ヘッド33の直下を通過し、このサーボ領域パターンの再生信号からトラック位置情報を検出することにより、一定周期のサーボ処理を実行できる。
【0055】
HDC41は、サーボ領域パターン60におけるサーボマークと呼ばれるサーボ領域識別フラグを一旦認識すると、このサーボマークは一定周期で設けられているため、磁気ヘッド直下にサーボ領域パターンが来るタイミングを予測可能となる。そこで、HDC41は磁気ヘッド直下にプリアンブル部70が来るタイミングで、チャネルにサーボ処理開始を促す。
【0056】
次に、チャネルでのアドレス再生処理構成について説明する。図10に示すように、磁気ヘッド33に接続されたヘッドアンプIC(HIC)からの出力信号は、チャネルICに読み込まれ、等化器45としてのアナログフィルタにより長手信号等化処理された後、ADC46でデジタル値としてサンプリングされる。
【0057】
磁気ディスク50からの漏れ磁界は垂直磁化であり、かつ、磁性/非磁性に基づくパターンである。しかし、HICの持つハイパス特性と、長手等化するためのチャネルIC前段部の等化器処理とにより、DCオフセット成分は完全に除去され、プリアンブル部70からのアナログフィルタ後出力は、ほぼ疑似正弦波となる。従来の垂直磁化メディアとの違いは、信号振幅の大きさが半減している程度である。
【0058】
本実施形態に係る磁気ディスクはパターンドメディアに限定されるものではないが、サーボ領域パターンの漏れ磁束方向をどちらに取るかで、1、0を誤認して、チャネルでのコード検出失敗を引起すことになる。そのため、磁気ヘッド極性は、パターン漏れ磁束に合わせて適正に設定される。
【0059】
チャネルICでは、その再生信号フェーズに応じて、その処理を切替える。再生信号クロックをメディアパターン周期に同期させる同期引込み処理、セクタシリンダ情報を読み取るアドレス判読処理、オフトラック量を検出するための必要情報であるバースト部処理等が行われる。
【0060】
同期引込み処理の詳細は省略するが、ADCサンプリングするタイミングを正弦波状再生信号と同期させ、かつ、デジタルサンプル値の信号振幅をあるレベルに揃えるAGC処理とを行なう。ディスクパターンの1、0周期を4点でサンプリングする。
【0061】
次いで、アドレス情報の再生では、サンプル値をFIRフィルタ47でノイズ低下させ、ビタビ複合器48による最尤推定に基づいたビタビ複合処理や、グレイ処理器49によるグレイコード逆変換処理を介して、セクタ情報・トラック情報に変換する。これにより、磁気ヘッド33のサーボトラック情報が取得できる。
【0062】
続いて、バースト部74では、チャネルはオフトラック量の検出処理に移行する。バースト信号パターンA、B、C、Dの順に、各信号振幅をサンプルホールド積分処理して、平均振幅相当の電圧値をMPU43に出力し、MPUへサーボ処理割込みを発行する。MPU43は、この割込みを受けると、内部ADCにて各バースト信号を時系列に読み込み、DSPでオフトラック量に変換する処理を行なう。このオフトラック量と、サーボトラック情報とにより、磁気ヘッド33のサーボトラック位置が精密に検出される。
【0063】
以上のように構成された磁気ディスク50およびHDDよれば、磁気ディスクの表面側のサーボ領域パターン60と裏面側のサーボ領域パターン60とで位相をずらした構成とすることにより、磁気ヘッドのシーク・オントラック時におけるヘッドアクチュエータ14の振動レベルを低減し、磁気ヘッドの位置決め精度向上を図ることができる。
【0064】
より詳細に述べると、図5に示したように、磁気ヘッド33は、磁気ディスク50の回転時に発生する空気流によってディスク表面から浮上した状態で、磁気ディスクに対するデータの読み出し、書き込みを行う。複数の磁気ヘッド33を有したHDDでは、磁気ヘッド33は一つの磁気ディスク50に対して表裏で対となり、ヘッドアクチュエータ14が回転すると上下の磁気ヘッド33が同時に回転する。
【0065】
磁気ディスク表面に対する磁気ヘッド33の浮上量は、磁気ディスク表面の単位面積あたりの凹凸比率によって決まる。これは、磁気ヘッド33を浮上させるスライダと磁気ディスク表面との間に発生する動圧が異なるためである。例えば、本実施形態の場合、前記のようにサーボ領域パターン60の凸部比率が40%、データ領域パターン58の凸部比率が70%であり、データ領域パターンの方が大きな動圧が発生し、磁気ヘッド33の浮上量も大きくなる。そのため、サーボ領域パターン60とデータ領域パターン58との第1および第2境界B1、B2では磁気ヘッド33に対する圧力変化が生じる。従って、図11(a)および図11(b)に示すように、磁気ヘッド33が境界B1、B2を通過する際、上下の磁気ヘッド33に対してインパルス的な力が発生する。
【0066】
図11(a)および図11(b)に示すように、上下の磁気ヘッド33は、境界B1を通過する際に発生した力により、サーボ領域パターン60の開始位置である境界B1を含む第1振動発生領域C1において振動を繰り返す。同様に、上下の磁気ヘッド33は、境界B2を通過する際に発生した力により、サーボ領域パターン60の終点位置である境界B2を含む第2振動発生領域C2において振動を繰り返す。
【0067】
本実施形態によれば、磁気ディスク50の表面側のサーボ領域パターン60と、裏面側のサーボ領域パターン60とは位相をずらして設けられ、表面側の各サーボ領域パターン60は、裏面側のサーボ領域パターン60と重なることなく、裏面側の隣合う2つのサーボ領域パターン60間の中間位置に対向している。これにより、磁気ディスク表面側の第1および第2振動発生領域C1、C2は、共に、裏面側の第1および第2振動発生領域C1、C2と全く重なることなく、円周方向にずれて位置している。
【0068】
図11(a)および図11(b)に示すように、片側の磁気ヘッド33にインパルス的な力が加わってその残留加振力が完全に消えた後、他方の磁気ヘッド33に全く別のタイミングでインパルス的な力が独立して加わることになる。従って、図11(c)に示すように、上下の磁気ヘッド33に同時にインパルス的な力が加わることが無い。このことから、上下の磁気ヘッドの振動が共振し、大きな振動となることがなくなる。その結果、ヘッドアクチュエータ14に加わる力は、各磁気ヘッド33に加わる大きさ以上になることがなく、ヘッドアクチュエータ14により、磁気ヘッド33を安定してかつ高い精度で位置決めすることができる。
【0069】
また、ヘッドアクチュエータ14の振動レベル低減により、HDDの騒音レベル低減にも効果がある。更に、可聴域内の耳につきやすい基本振動周波数成分が小さくなり、可聴域外または可聴域外に近い人間の耳には聞こえにくい高周波成分が大きくなるために、問題となる耳につく騒音レベルを低減することができる。例えば、サーボ領域パターン60が磁気ディスクの1周に100セクタ埋め込まれ、7200rpm(120Hz)で磁気ディスクを回転するHDDでは、基本振動数周波数は12000Hzであるが、上記のようにサーボ領域パターン60の位相をずらすことにより、基本周波数成分の12000Hzのレベルが下がり、高次成分の24000Hzのレベルが上がることになる。しかし、20kHz以上の成分は可聴域外となるため、全体の騒音レベルは下がることになる。
【0070】
また、上述した磁気ディスク50およびHDDよれば、サーボ領域パターン60を磁気ヘッド移動軌跡に対応した円弧状に形成することにより、シーク性能やディスク内外周間のSN劣化防止に有利であり、磁気ディスク装置の性能向上を図ることができる。
【0071】
DTR方式は、データ領域でのエラー率を改善し、面記録密度の向上が可能な磁気記録方式であり、高密度化により記録容量アップが可能となる。データトラックと共に、サーボ情報を埋め込み形成することで、サーボ・トラック・ライト(STW)が不要になる等も、パターンドメディアをHDDに採用する利点となる。
【0072】
より詳細には、磁気ディスク50は、HDDの構成に依存した円弧形状のサーボ領域パターン60を有し、表裏方向を合わせてHDDに組み込まれていることから以下の作用効果を奏することができる。
【0073】
その1つは、高いシーク性能を実現できる点にある。前述したように、磁気ヘッド33直下にサーボ領域パターン60が来るタイミングで、HDC41はチャネルにサーボ処理開始を依頼する。磁気ディスク50上にサーボ領域パターンが等間隔に形成され、磁気ヘッド33が径方向に固定されていれば、磁気ディスクの取り付け偏芯により、サーボ領域パターン横断周期が多少変動しても、そのタイミング誤差は、許容誤差程度で問題とならない。しかし、シーク時のように、磁気ヘッド33が磁気ディスク50の径方向に高速移動している場合、磁気ヘッドは円弧状に移動するため、径方向のみでなく周方向にも移動することが問題になる。
【0074】
例えば、サーボ領域パターンが完全な放射状に形成されている場合、サーボ領域パターンは半径方向位置に依存することなく一定な角度位相にある。しかし、磁気ヘッド33は周方向にも移動するため、スピンドルモータ15の回転中心からの角度位相が変化する。このため、磁気ヘッド33側から見たサーボ開始位相(サーボゲート立上り時の再生ヘッドが位置するサーボ領域開始からの距離)が変化することになる。この位相ズレは、シーク速度、磁気ヘッド軌跡誤差、および制御周期で決まるが、位相ズレが許容範囲を越えると、プリアンブル部70でのサーボ信号引込みが困難となる。これにより、アドレス部72の先頭に位置するサーボマーク(SAM)の検出に失敗して、サーボロストエラーとなる虞がある。
【0075】
シーク速度とシリンダ情報とからタイミング誤差時間を推定して、HDC41からのサーボゲート立ち上がり時間を補正調整することにより、高速シーク時でもサーボロストエラーの発生を防止することが可能である。しかし、この場合、制御周期変動によるサーボ特性変化が生じ、シーク性能劣化は否めない。ドライブ固有のヘッド移動軌跡に合わせて、サーボ領域パターンを円弧状に形成することは、高速シークを可能にするために有効かつ不可欠な要素と言える。
【0076】
第2の利点は、磁気ディスク50の内外周で、サーボ情報検出SN差を小さくできる点にある。磁気ディスク50の内周でのサーボ情報検出SNは、その線記録密度が高くなるため、サーボ領域パターン60が磁気ヘッド移動軌跡を取っていてもSN劣化は否めない。しかし、完全放射型のサーボ領域パターンでは、更に磁気ディスク内周側のSN劣化が激しくなり、また、磁気ディスク外周部でのSNも劣化することがシミュレーションで確認されている。その理由は、磁気ヘッドのスキュー角にあり、サーボ信号が磁気ヘッドに対して傾斜して進入するため、サーボ信号の立ち上がりが劣化し振幅低下を招くためである。
【0077】
特に、小径の磁気ディスクでは、フォーマット効率を上げるため、サーボ信号クロックを最大限まで高めている。そのため、磁気ディスク最内周のSN劣化は、アドレス判読や、オフトラック検出精度等に直結する。従って、本実施形態のように、サーボ領域パターン60が磁気ヘッド33に対し平行に進入するパターン形状が重要となる。本実施形態において、サーボ領域パターンのプリビット長の信号クロックは、目視確認可能なサーボ領域パターン周方向長の条件、磁気ディスク内周部での検出SN、およびスピンドルモータの回転速度により設定されている。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0079】
上述した実施形態において、磁気ディスク表面側のサーボ領域パターンは、磁気ディスク裏面側のサーボ領域パターンと重なることなく、基板円周方向にずれて設けれた構成とした。これに限らず、図12に示すように、磁気ディスク表面側のサーボ領域パターンと裏面側のサーボ領域パターンとは一部が重なって設けられていてもよい。この場合でも、磁気ディスク表面側の各サーボ領域パターン60は、第1境界B1に起因する残留加振力が発生している第1振動発生領域C1および第2境界B2に起因する残留加振力が発生している第2振動発生領域C2が、磁気ディスク裏面側の第1振動発生領域C1および第2振動発生領域C2のいずれとも重ならないように、裏面側の各サーボ領域パターンに対し、基板54の円周方向にずれて設けられている。このような構成においても、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0080】
また、磁気ディスク表面側の各サーボ領域パターン60は、プリアンブル部70の幅方向50%以上の領域が、磁気ディスク裏面側のサーボ領域パターンのプリアンブル部70と重ならないように、基板54の円周方向にずれて設けられた構成としてよい。この構成においても、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0081】
磁気ディスクのデータ領域パターンにおける凸部の割合、およびサーボ領域パターンにおける凸部の割合は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて増減可能である。その他、HDDにおいて、磁気ディスクの枚数は1枚に限らず、必要に応じて増加可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施形態に係る磁気ディスクの表面パターンおよび裏面パターンを示す平面図。
【図2】前記磁気ディスクのデータ領域パターンを拡大し一部破断して示す斜視図。
【図3】前記磁気ディスクのサーボ領域パターンを模式的に示す図。
【図4】前記磁気ディスクを概略的に示す断面図。
【図5】前記磁気ディスクのパターンと磁気ヘッドとの位置関係を模式的に示す断面図。
【図6】前記磁気ディスクの製造工程をそれぞれ示す断面図。
【図7】この発明の実施形態に係るHDDを示す分解斜視図。
【図8】前記HDDの構成を概略的に示すブロック図。
【図9】前記HDDにおけるヘッド位置決め制御を示す構成図。
【図10】前記HDDにおけるチャネルでのアドレス検出処理を示す構成図。
【図11】前記磁気ディスクの表面側および裏面側の磁気ヘッドに作用する力を示す図。
【図12】この発明の他の実施形態に係る磁気ディスクの表面側および裏面側の磁気ヘッドに作用する力を示す図。
【符号の説明】
【0083】
12…ベース、 15…スピンドルモータ、 33…磁気ヘッド、
50…磁気ディスク、 54…基板、 56…記録層、 58…データ領域パターン、
60…サーボ領域パターン、 62…磁性トラック、 64…非磁性ガード帯部、
70…プリアンブル部、 72…アドレス部、 74…バースト部、
C1…第1振動発生領域、 C2…第2振動発生領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ディスクおよびこれを備えた磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの外部記録装置や画像記録装置として磁気ディスク装置が広く用いられている。磁気ディスク装置は、一般に、矩形箱状の筐体を有している。筐体内には、磁気記録媒体としての磁気ディスク、この磁気ディスクを支持および回転させるスピンドルモータ、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行なう複数の磁気ヘッド、これらの磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ、ヘッドIC等を有する基板ユニット等が収納されている。筐体の外面には、基板ユニットを介してスピンドルモータ、ボイスコイルモータ、および磁気ヘッドの動作を制御するプリント回路基板がねじ止めされている。
【0003】
近年、磁気ディスク装置は、より多種の電子機器、特に、より小型の電子機器の記録装置として用いることができるように、一層の小型化が進められている。これに伴い、磁気ディスクの一層の小型化および高密度記録化が求められている。このような小型で高密度記録が可能な磁気ディスクとして、いわゆるディスクリート・トラック・記録(以下、DTRと称する)型の磁気ディスクが提案されている(例えば、特許文献1)。このDTR型の磁気ディスクは、ディスク表面が凹凸に形成され、その凹凸面に重ねて磁性体層が形成されている。そして、凸部により、サーボデータが記録される複数のサーボ領域パターン、およびユーザによるデータ記録が可能なデータ領域パターンが予めパターン化して形成されている。
【特許文献1】特開2003−22634
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなDTR型の磁気ディスクにおいて、サーボ領域パターンとデータ領域パターンとでは、それぞれ凹凸の比率が異なり、例えば、サーボ領域パターンでは凸部の割合が40%、データ領域パターンでは70%となっている。この場合、凹凸の単位面積あたりの比率によって、磁気ヘッドを浮上させるスライダと磁気ディスク表面との間に発生する動圧が異なり、磁気ヘッドの浮上量は、サーボ領域パターン部とデータ領域パターン部で異なってくる。そのため、サーボ領域パターンとデータ領域パターンとの境界では磁気ヘッドに対する圧力変化が生じ、磁気ヘッドに対してインパルス的な力が発生する。
【0005】
このような力が磁気ヘッドに作用すると、アクチュエータが振動する。そのため、磁気ヘッドの位置決め精度を悪化させる虞があるとともに、騒音発生の要因ともなり得る。特に、記録容量の増大を図る場合、磁気ディスクの両面に記録層を設けることが望ましいが、磁気ディスク表面側の磁気ヘッドの振動と、磁気ディスク裏面側の磁気ヘッドの振動とが共振し、ヘッドアクチュエータに大きな加振力が生じることも考えられる。この場合、アクチュエータが大きく振動し磁気ヘッドの位置決め精度の悪化や騒音発生を招いてしまう。
【0006】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、アクチュエータの振動レベルを低減し、ヘッドの位置決め精度向上および騒音低減を図ることが可能な磁気ディスクおよびこれを備えたディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る磁気ディスクは、中央孔を有した円盤状の基板と、前記基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域と、を備え、前記各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターンおよび前記基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターンを有し、前記表面側の記録領域のサーボ領域パターンと前記裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれていることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の態様に係る磁気ディスク装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の磁気ディスクと、前記磁気ディスクを支持し、一定速度で回転させる駆動部と、
前記磁気ディスクに対して情報処理を行うヘッドと、前記磁気ディスクに対して前記ヘッドを径方向に移動させるヘッドアクチュエータと、を備え、前記磁気ディスクは、前記各サーボ領域パターンと、前記磁気ディスク上における前記ヘッドの移動軌跡とが一致する方向に合わせて配設されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、基板の両面にデータ領域およびサーボ領域をパターン形成し、表裏のサーボ領域パターンの位相をずらして設けることにより、アクチュエータの振動レベルを低減し、ヘッドの位置決め精度向上および騒音低減を図ることが可能な磁気ディスクおよびこれを備えたディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る磁気ディスクについて詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る磁気ディスク50は、中央孔52を有した平坦な円盤状の基板54と、基板の少なくとも一方の面、ここでは、基板の表面および裏面に形成された記録層56と、を備えている。それぞれ記録領域を構成する記録層56は、基板54の内周縁部および外周縁部を除き、基板と同軸的な環状に形成されている。各記録層56は、強磁性体、例えば、CoCrPtによってパターン状に形成され、磁性体のない領域は非磁性体、例えば、SiO2により埋められている。これにより、表面が平坦化された垂直磁気記録用の磁気ディスクを構成している。
【0011】
磁気ディスク50は、DTRメディアとして形成され、図1(a)は磁気ディスク50の表面側における記録層56のパターン、図1(b)は磁気ディスクの裏面側における記録層56のパターンをそれぞれ示している。記録層56のパターンは、大別して、データ領域パターン58と複数のサーボ領域パターン60とを有している。
【0012】
図2に示すように、基板54は、例えば、ガラスで形成され、その表面および裏面には、下地層(SUL)66が形成されている。基板54は、ガラスに限らずアルミニウムで形成してもよい。データ領域パターン58およびサーボ領域パターン60は、下地層66に重ねて形成されている。
【0013】
図2に示すように、データ領域パターン58は、後述する磁気ディスク装置のヘッドによりユーザデータを記録再生する記録領域を形成するもので、基板54の表面上に磁性体によって形成された凸部により構成されている。すなわち、データ領域パターン58は、強磁性体(CoCrPt)によりそれぞれ円環状に形成され垂直記録層として機能する複数の磁性トラック62を有している。これらの磁性トラック62は中央孔52とほぼ同軸状に、かつ、基板54の半径方向に一定の周期、つまり、一定のトラックピッチTpで並んで設けられている。
【0014】
半径方向に隣合う磁性トラック62間は、凹所からなるデータ記録不能な非磁性ガード帯部64により分断されている。本実施形態によれば、ディスク表面の平坦化を目的として、各非磁性ガード帯部64には非磁性材からなる埋め込み材、例えば、SiO2が埋込まれている。また、磁気ディスク表面には、薄膜状にダイアモンドライクカーボン保護膜が形成され、更に、潤滑剤としてルブが塗布されている。なお、非磁性ガード帯部を埋めることなく、凹凸面の上に直接保護層を形成してもよい。
【0015】
基板54の径方向に沿った各磁性トラック62の径方向幅Twは、非磁性ガード帯部64の幅よりも大きく形成されている。本実施形態において、磁性トラック/非磁性ガード帯部の径方向の比は2:1であり、データ領域パターン58は、磁性占有率67%のパターンを取っている。このようなデータ領域パターン58は、例えば120kTPIを越える高トラック密度であるため、径方向のパターン周期(トラックピッチ)Tpは可視光波長よりも小さい。このため、本磁気ディスク50は、磁性トラック62に起因する光の回折によって形成される虹パターンを目視認識することはできない。
【0016】
図1に示すように、データ領域パターン58を構成した円環状の磁性トラック62は、複数のサーボ領域パターン60により基板54の周方向にセクタ分割されている。複数のサーボ領域パターン60は、基板54の円周方向に所定の位相で設けられている。複数のサーボ領域パターン60は、図1において、データ領域パターン58を15分割する構成で記載されているが、実際には、データ領域パターン58は100サーボセクタ以上に分割されている。
【0017】
各サーボ領域パターン60は、磁気ディスク装置のヘッドを位置決めするために必要な情報を磁性/非磁性で埋込み形成したプリビット領域である。各サーボ領域パターン60は、基板54の中央孔52側から外周縁部までほぼ放射状に延びているとともに、ヘッドの移動軌跡に一致した円弧状に形成されている。また、各サーボ領域パターン60は、基板54の円周方向に沿ったサーボ領域パターンの周方向長が、基板の半径方向位置に比例して長くなる、すなわち、基板の外周側に位置した領域ほど長くなる、周方向拡大パターンに形成されている。基板54の表面側記録層56のサーボ領域パターン60と裏面側記録層56のサーボ領域パターン60とは、その周方向配置順が異なる配置に形成され、例えば、表面側が反時計方向、裏面側が時計方向となっている。このように、磁気ディスク50の記録領域は磁性体形状がパターン化されているとともに、表面側と裏面側とでパターンが異っている。
【0018】
次に、図3を用いてサーボ領域パターン60について詳細に説明する。
図3は、磁気ディスク50の表面側に設けられたサーボ領域パターン60を示している。このサーボ領域パターン60は、磁気ディスク50をドライブに組み込んだ際、ヘッドが通過方向Xに沿って図中左から右に通過する個所のパターンである。円弧状サーボ領域パターン形状で表現すると、外周側円弧が図中の左、内周側円弧が図中の右に位置している。サーボ領域パターン60の左右両側には、前述したデータ領域パターン58が設けられている。データ領域パターン58に対して、各サーボ領域パターン60の外周側円弧は、磁気ディスクの回転方向上流側に位置した第1境界B1を形成し、内周側円弧は回転方向上流側に位置した第2境界2を形成している。
【0019】
サーボ領域パターン60は、大別すると、プリアンブル部70、アドレス部72、偏差検出用のバースト部74を有し、データ領域パターン58と同様に、強磁性体の凸部で形成された磁性パターンと、磁性パターン間に位置した凹部からなる非磁性パターンとにより構成されている。凹部は、非磁性の埋め込み材により埋められている。
【0020】
プリアンブル部70は、磁気ディスク50の回転偏芯等により生ずる時間ズレに対し、サーボ信号再生用クロックを同期させるPLL処理や、信号再生振幅を適正に保つAGC処理を行うために設けられている。このプリアンブル部70は、少なくとも基板54の半径方向に略円弧放射状に連続しているとともに基板の周方向に磁性/非磁性を繰返す繰返しパターン領域として形成され、磁性/非磁性比がほぼ1:1、すなわち、磁性占有率約50%で形成されている。尚、周方向の繰返し周期は半径距離に比例して異なるが、基板54の最外周部分であっても可視光波長以下であり、データ領域パターンと同様に、光学回折によるサーボ領域パターンの識別は困難である。
【0021】
アドレス部72は、サーボマークと呼ばれるサーボ信号認識コード、セクタ情報、シリンダ情報等が、プリアンブル部70の周方向ピッチと同一ピッチで、マンチェスタコードにより形成されている。シリンダ情報は、サーボトラック毎にその情報が変化するパターンとなる。そのため、ヘッドシーク動作時のアドレス判読ミスの影響が小さくなる様に、グレイコードと呼ばれる隣接トラックとの変化が最小となるコード変換をしてから、マンチェスタコード化して記録されている。アドレス部72における磁性占有率は約50%となっている。
【0022】
バースト部74は、シリンダアドレスのオントラック状態からのオフトラック量を検出するためのオフトラック検出用領域で、更にA、B、C、Dバーストと呼ぶ4つの径方向にパターン位相をずらしたマークが形成されている。各バーストには、周方向に複数個のマークがプリアンブル部と同一のピッチ周期で配置され、径方向周期は、アドレスパターンの変化周期に比例、換言すれば、サーボトラック周期に比例した周期で設けられている。本実施形態では、各バーストは、周方向に10周期分形成され、径方向に、サーボトラック周期の2倍長周期で繰返すパターンを取っている。ABCDバーストパターンでの磁性占有率は約75%となっている。
【0023】
マーク形状は基本的には矩形、厳密にはヘッドアクセス時のスキュー角を考慮した平行四辺形を目指して形成されている。しかし、スタンパ加工精度や転写形成等の加工性能により、各マークは、多少丸みを帯びた形状となる。また、マークは非磁性部として形成する。
【0024】
バースト部74に基づく位置検出原理については、詳細を省略するが、各ABCDバースト部再生信号の平均振幅値を演算処理して、オフトラック量が算出される。なお、本実施形態ではABCDバーストパターンを採用しているが、公知の位相差サーボパターン等を、オフトラック量検出手段としてパターン配置したものでもよい。ただし、位相差サーボパターンの場合は、この部分の磁性占有率は約50%となる。
【0025】
図4に示すように、上記のようなDTR型の磁気ディスク50において、各サーボ領域パターン60とデータ領域パターン58とでは、それぞれ凹凸の比率が異なり、例えば、サーボ領域パターン60では凸部の割合が40%、データ領域パターン58では70%となっている。
【0026】
図5に示すように、基板54の表面画側に設けられたサーボ領域パターン60と、裏面側に設けられたサーボ領域パターン60とは、互いに位相がずれて配設されている。本実施形態において、基板表面側の各サーボ領域パターン60は、基板裏面側の隣合う2つのサーボ領域パターン60間、すなわち、基板54の周方向において、2つのサーボ領域パターン60間の中間位置と対向して設けられている。基板54の表面画側に設けられたサーボ領域パターン60と、裏面側に設けられたサーボ領域パターン60とは、基板54の軸方向に重なることなく、基板の円周方向に交互に並んで設けられている。
【0027】
次に、上述した磁気ディスク50の製造方法について簡単に説明する。製造プロセスは、転写工程、磁性加工工程、仕上げ工程を含んでいる。
図6(a)に示すように、まず、ガラスあるいはSiからなる基板54を用意し、この基板の両面に下地層を形成し、更に、下地層に重ねて強磁性体からなる磁性体層80を形成する。基板サイズは3〜0.85インチと幅広く選択できる。磁性体層80の最上部には酸化防止のためカーボン保護膜が4nm程度成膜されている。図6(b)に示すように、各磁性体層80上にレジスト82をSOG(スピン・オン・グラス)により塗布する。レジスト82としては、例えばSiO2を用い、塗布厚は120nm程度が好ましい。
【0028】
続いて、転写工程に使用するパターンの基となるスタンパ84を用意する。スタンパ84の製造工程は、描画、現像、電鋳、仕上げに細分化される。パターン描画では、原盤回転型の電子線露光装置を用いて、磁気ディスクで非磁性化させる部位を、レジスト塗布された原盤上に、内周から外周まで露光描画する。これに現像、RIE等の処理を施し、凹凸パターンを持つ原盤を形成する。この原盤を導電化処理した後、原盤の表面にNiを電鋳する。続いて、Niを原盤から剥離し、内径/外径を打ち抜き加工することで、Niからなるディスク状のスタンパ84が形成される。スタンパ84は、非磁性化させる部位を凸部として形成されている。磁気ディスク表面用および裏面用のスタンパ84をそれぞれ形成する。
【0029】
図6(b)、図6(c)に示すように、転写工程では、両面同時転写型のインプリント装置を用い、インプリントリソグラフィー法によりスタンパ84の凹凸を磁気ディスク両面のレジスト82に転写する。すなわち、レジスト82の形成された基板54その中央孔52でチャッキングした状態で、基板54の両面を、裏面用、表面用に準備した2種のスタンパ84で挟み込み、全面を均等に押圧する。これにより、スタンパ84の凹凸パターンをレジスト82表面に転写する。転写工程により、非磁性化させる部位が、レジスト82の凹部として形成される。
【0030】
スタンパ84を用いて基板両面にインプリントする際、基板表面および裏面のサーボ領域パターンの位相が一致しないようにインプリントする。この位相をずらした表面側および裏面側のサーボ領域パターンの関係は、図5に示した通り、互いに重なることなく基板の円周方向に交互に並んだ状態となる。この位相のずれ量は任意に設定する。
【0031】
次に、凹凸パターンの転写されたレジスト82にUV照射を行い、160℃程度でベークする。これにより、レジスト82が架橋することで、イオンミリングに十分耐えうる硬度が得られる。
インプリント法による凹凸形成プロセスでは、パターン凹部底辺にレジスト残渣が残る。レジスト残渣が少ないほど磁性体加工には好ましいが、レジスト残渣が少なすぎるとインプリントによる形状転写性が悪くなる。
【0032】
図6(d)に示すように、レジスト残渣の除去には、例えば、SF6ガスを用いたRIEを用いる。レジスト82に転写された凹凸形状をできるだけ変化させずに残渣を除去するには、低圧、高密度のプラズマソースRIEが好適である。ICP(誘導結合プラズマ)やECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置を用いるのが良い。ICPエッチング装置で2mTorr程度のエッチング圧のSF6、RIEによって残渣除去を行う。凹凸の溝部分では、磁性体層80に形成されたカーボン保護膜も同時に剥離される。
【0033】
次に、磁性加工工程では、レジスト82の凹部の底に残っている残渣レジストを除去した後、非磁性化させる部位の磁性体層表面を露出させる。磁性体層80を残す部位はレジスト82が凸部として形成された状態になる。続いて、図6(e)に示すように、レジスト82をガード層として用い、Arイオンミリングすることで、凹部に位置する磁性体層80のみを除去し、磁性体を所望のパターンに加工する。この際、磁性体層80のダメージを無くすため、再付着(リデポ)現象を抑えるように、イオン入射角を30°、70°と変化させてエッチングする。再付着(リデポ)現象を抑えることに伴い、凸部パターンの側壁には、40°〜75°程度の傾斜角が付く。
【0034】
次いで、図6(f)に示すように、例えば、SOGにより磁気ディスクの両面に非磁性体としてSiO2からなるレジスト86を十分な厚さで塗布し、ディスク表面の凹凸をなくす。SiO2の膜厚はスピン回転数4000rpm振り切りで150nm(T−7)、90nm(FOX)程度である。その後、図6(g)に示すように、ミリングにより磁性体層80が出るまでエッチバックを行う。ミリングのエッチングレートを0.1nm/secとすることで、エッチバック後の媒体表面粗さ(Ra)を0.6nmとした。このエッチバックプロセスは、SOG膜の残差除去と同様にICPでSF6を用いて行うことができる。
【0035】
これにより、凹部が非磁性体で埋め込みまれ平坦化したパターン磁気ディスクが得られる。このような平坦化処理を行うことで、磁気ディスク表面はほぼ平坦となるが、磁性体層80が確実に表面に露出するまでエッチバックを行うことが必要であり、平坦化処理を行っても微少な凹凸が残る。
【0036】
最後の仕上げ工程では、ディスク表面を研磨仕上げして平坦度を更に向上させた後、カーボン保護層を形成し、更に、潤滑用ルブを塗布することにより本実施形態に係る磁気ディスクが完成する。
【0037】
次に、磁気ディスク装置として、上述した磁気ディスク50を備えたハードディクドライブ(以下、HDDと称する)について説明する。
図7および図8に示すように、磁気ディスク装置10は偏平な矩形状のディスクエンクロージャ13を備え、このディスクエンクロージャ13は、箱形形状のベース12と、ベース12の上面の開口部を密閉するトップカバー11とを有している。
【0038】
ディスクエンクロージャ13内には、前述した磁気ディスク50、磁気ディスクを支持および回転させるスピンドルモータ15、磁気ディスクに対してデータの記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド33、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク50に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ14、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)16、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した位置に保持するランプロード機構18、ヘッドクチュエータを退避位置に保持するイナーシャラッチ機構20、およびプリアンプ等の回路部品が実装されたフレキシブルプリント回路基板ユニット(以下、FPCユニットと称する)17が収納されている。ベース12は底壁を有し、スピンドルモータ15、ヘッドアクチュエータ14、VCM16等は、この底壁の内面上に設けられている。
【0039】
前述したように、磁気ディスク50は、両面をDTR用に加工した垂直磁化2層膜の小径パターンドメディアである。すなわち、磁気ディスク50は表面および裏面の両面に記録層56を有し、例えば、直径1.8インチあるいは0.85インチに形成されている。磁気ディスク50は、スピンドルモータ15の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね21によりハブに固定されている。磁気ディスク50は、駆動部としてもスピンドルモータ15によって支持され、所定の速度で回転される。
【0040】
ヘッドアクチュエータ14は、ベース12の底壁上に固定された軸受部24と、この軸受組立体に取り付けられた2本のアーム27と、各アームから延出したサスペンション30と、を有している。サスペンション30の延出端に、磁気ヘッド33が支持されている。アーム27、サスペンション30および磁気ヘッド33は、軸受部24の回りで回動自在に支持されている。図5に示すように、一対の磁気ヘッド33としては、磁気ディスク50の表面側記録層と対向するダウンヘッド、および磁気ディスクの裏面側記録層と対向するアップヘッドが設けられている。各磁気ヘッド33は、ヘッド本体であるスライダ(ABS)に、リード素子(GMR素子)及びライト素子を有する磁気ヘッド素子が実装されている。
【0041】
図7および図8に示すように、VCM16は、ヘッドアクチュエータ14に設けられたボイスコイル22と、ベース12に固定されボイスコイルと対向した一対のヨーク38、および一方のヨークに固定された図示しない磁石とを有している。VCM16は、アーム27に軸受部24周りの回転トルクを発生させ、磁気ヘッド33を磁気ディスク50の半径方向に移動させる。
【0042】
FPCユニット17は、ベース12の底壁上に固定された矩形状の基板本体34を有し、この基板本体上には、複数の電子部品およびコネクタ等が実装されている。FPCユニット17は、基板本体34とヘッドアクチュエータ14とを電気的に接続した帯状のメインフレキシブルプリント回路基板36を有している。ヘッドアクチュエータ14に支持された各磁気ヘッド33は、アーム27上に設けられた図示しない中継FPCおよびメインフレキシブルプリント回路基板36を介してFPCユニット17に電気的に接続されている。
【0043】
磁気ディスク50は、前述したように表裏があり、磁気ディスク装置のヘッド移動軌跡と、磁気ディスクのサーボ領域パターン60の円弧形状とが略一致する方向に表裏を合わせてベース12内に組み込まれている。磁気ディスク50の仕様は、磁気ディスク装置に適応した外径や内径、記録再生特性等を満足するものである。円弧形状に形成された各サーボ領域パターン60は、磁気ディスク回転中心からヘッドアクチュエータ14の軸受部24中心までの距離を半径とし磁気ディスクと同芯の円周上に、円弧中心を持ち、円弧半径が軸受部24から磁気ヘッド33素子までの距離として形成されている。言い変えると、各サーボ領域パターン60は、磁気ディスクが回転しても、常にヘッド移動軌跡とほぼ一致する円弧状に形成されている。各サーボ領域パターン60の円弧半径が、軸受部24から磁気ヘッド33素子までの距離で、円弧中心がパターン形成される磁気ディスク上の角度位相に同期して変化する磁気ディスクと同芯の円軌跡をとり、その円弧中心軌跡の半径が、スピンドルモータ15中心から軸受部24中心までの距離であるように形成されている。
【0044】
ベース12の底壁外面には、FPCユニット17を介してスピンドルモータ15、VCM16、および磁気ヘッドの動作を制御するプリント回路基板(以下、PCBと称する)40が固定され、ベース底壁と対向している。
【0045】
図8に示すように、PCB40上には多数の電子部品が実装されている。これらの電子部品は、主としてディスクコントローラ(HDC)41、リード/ライトチャネルIC42、MPU43、およびモータドライバIC44の4つのシステムLSIを含んでいる。また、PCB40には、FPCユニット17側のコネクタと接続可能なコネクタ、およびHDDをパーソナルコンピュータ等の電子機器に接続するための主コネクタが実装されている。
【0046】
MPU43は、ドライブ駆動システムの制御部であり、本実施形態に係るヘッド位置決め制御システムを実現するROM、RAM、CPU、およびロジック処理部を含む構成である。ロジック処理部は、ハードウェア回路で構成された演算処理部であり、高速演算処理に用いられる。また、動作ソフト(FW)は、ROMに保存され、このFWに従ってMPUがドライブを制御する。
【0047】
HDC41は、HDD内のインターフェース部であり、ディスクドライブとホストシステム、例えばパーソナルコンピュータ、とのインターフェースや、MPU43、リード/ライトチャネルIC42、モータドライバIC44への情報交換を行ないHDD全体を管理する。
【0048】
リード/ライトチャネルIC42は、リード/ライトに関連するヘッド信号処理部であり、ヘッドアンプICのチャネル切替えや、リード/ライト等の記録再生信号を処理する回路で構成されている。モータドライバIC44は、VCM16およびスピンドルモータ15の駆動ドライバ部であり、スピンドルモータを一定回転に駆動制御するとともに、MPU43からのVCM操作量を、電流値としてVCMに与え、ヘッドアクチュエータ14を駆動する。
【0049】
次に、ヘッド位置決めの制御部の構成を、図9を用いて簡単に説明する。
図9は、ヘッド位置決め制御部のブロック構成図であり、図中のC、F、P、Sはそれぞれシステムの伝達関数を意味している。制御対象Pは、具体的にはVCM16を含むヘッドアクチュエータ14に相当し、信号処理部Sは具体的にはチャネルICとMPU(オフトラック量検出処理の一部はMPU)とにより実現される要素である。
【0050】
制御処理部は、フィードバック制御部C(以下、第1コントローラと称する)および同期抑圧補償部F(以下、第2コントローラと称する)により構成され、具体的にはMPUにより実現される。
【0051】
動作詳細は後述するが、信号処理部Sは、ヘッド位置(HP)直下の、サーボ領域パターンからのアドレス情報等を含む再生信号に基づき、磁気ディスク上のトラック現在位置(TP)情報を生成する。第1コントローラCは、磁気ディスク50上の目標トラック位置(RP)と、磁気ディスク上における磁気ヘッド33の現在位置(TP)と目標トラック位置との位置誤差(E)と、に基づき、位置誤差が小さくなる方向にFB操作値U1を出力する。
【0052】
第2コントローラFは、磁気ディスク50上の磁性トラック形状やディスク回転に同期した振動等を補正するためのFF補償部であり、事前に較正した回転同期補償値をメモリテーブルに保存している。第2コントローラFは、通常、位置誤差(E)を使用せず、信号処理部Sから与えられる図示しないサーボセクタ情報を基に、テーブルを参照して、FF操作値U2を出力する。制御処理部は、第1および第2コントローラC、Fの出力U1およびU2を加算し、制御操作値UとしてHDC41を介してVCM16に供給し、磁気ヘッド33を駆動する。
なお、回転同期補償値テーブルは、初期動作時に較正処理されるが、位置誤差(E)が設定値以上に大きくなると再較正処理を開始し、同期補償値を更新する処理がなされる。
【0053】
次に、図7を参照して、再生信号から位置偏差を検出する動作について簡単に説明する。
磁気ディスク50は、スピンドルモータ15により一定回転速度で回転される。磁気ヘッド33は、サスペンション30に設けられたジンバルを介して弾性支持され、かつ、磁気ディスクの回転に伴なう空気圧とのバランスにより、磁気ディスク表面に対し微小隙間を保持した状態で浮上するように設計されている。これにより、ヘッド再生素子は一定の磁気空隙をもって、ディスク磁性層からの漏れ磁束を検出することができる。
【0054】
磁気ディスク50のサーボ領域パターン60は、磁気ディスクの回転により、一定周期で磁気ヘッド33の直下を通過し、このサーボ領域パターンの再生信号からトラック位置情報を検出することにより、一定周期のサーボ処理を実行できる。
【0055】
HDC41は、サーボ領域パターン60におけるサーボマークと呼ばれるサーボ領域識別フラグを一旦認識すると、このサーボマークは一定周期で設けられているため、磁気ヘッド直下にサーボ領域パターンが来るタイミングを予測可能となる。そこで、HDC41は磁気ヘッド直下にプリアンブル部70が来るタイミングで、チャネルにサーボ処理開始を促す。
【0056】
次に、チャネルでのアドレス再生処理構成について説明する。図10に示すように、磁気ヘッド33に接続されたヘッドアンプIC(HIC)からの出力信号は、チャネルICに読み込まれ、等化器45としてのアナログフィルタにより長手信号等化処理された後、ADC46でデジタル値としてサンプリングされる。
【0057】
磁気ディスク50からの漏れ磁界は垂直磁化であり、かつ、磁性/非磁性に基づくパターンである。しかし、HICの持つハイパス特性と、長手等化するためのチャネルIC前段部の等化器処理とにより、DCオフセット成分は完全に除去され、プリアンブル部70からのアナログフィルタ後出力は、ほぼ疑似正弦波となる。従来の垂直磁化メディアとの違いは、信号振幅の大きさが半減している程度である。
【0058】
本実施形態に係る磁気ディスクはパターンドメディアに限定されるものではないが、サーボ領域パターンの漏れ磁束方向をどちらに取るかで、1、0を誤認して、チャネルでのコード検出失敗を引起すことになる。そのため、磁気ヘッド極性は、パターン漏れ磁束に合わせて適正に設定される。
【0059】
チャネルICでは、その再生信号フェーズに応じて、その処理を切替える。再生信号クロックをメディアパターン周期に同期させる同期引込み処理、セクタシリンダ情報を読み取るアドレス判読処理、オフトラック量を検出するための必要情報であるバースト部処理等が行われる。
【0060】
同期引込み処理の詳細は省略するが、ADCサンプリングするタイミングを正弦波状再生信号と同期させ、かつ、デジタルサンプル値の信号振幅をあるレベルに揃えるAGC処理とを行なう。ディスクパターンの1、0周期を4点でサンプリングする。
【0061】
次いで、アドレス情報の再生では、サンプル値をFIRフィルタ47でノイズ低下させ、ビタビ複合器48による最尤推定に基づいたビタビ複合処理や、グレイ処理器49によるグレイコード逆変換処理を介して、セクタ情報・トラック情報に変換する。これにより、磁気ヘッド33のサーボトラック情報が取得できる。
【0062】
続いて、バースト部74では、チャネルはオフトラック量の検出処理に移行する。バースト信号パターンA、B、C、Dの順に、各信号振幅をサンプルホールド積分処理して、平均振幅相当の電圧値をMPU43に出力し、MPUへサーボ処理割込みを発行する。MPU43は、この割込みを受けると、内部ADCにて各バースト信号を時系列に読み込み、DSPでオフトラック量に変換する処理を行なう。このオフトラック量と、サーボトラック情報とにより、磁気ヘッド33のサーボトラック位置が精密に検出される。
【0063】
以上のように構成された磁気ディスク50およびHDDよれば、磁気ディスクの表面側のサーボ領域パターン60と裏面側のサーボ領域パターン60とで位相をずらした構成とすることにより、磁気ヘッドのシーク・オントラック時におけるヘッドアクチュエータ14の振動レベルを低減し、磁気ヘッドの位置決め精度向上を図ることができる。
【0064】
より詳細に述べると、図5に示したように、磁気ヘッド33は、磁気ディスク50の回転時に発生する空気流によってディスク表面から浮上した状態で、磁気ディスクに対するデータの読み出し、書き込みを行う。複数の磁気ヘッド33を有したHDDでは、磁気ヘッド33は一つの磁気ディスク50に対して表裏で対となり、ヘッドアクチュエータ14が回転すると上下の磁気ヘッド33が同時に回転する。
【0065】
磁気ディスク表面に対する磁気ヘッド33の浮上量は、磁気ディスク表面の単位面積あたりの凹凸比率によって決まる。これは、磁気ヘッド33を浮上させるスライダと磁気ディスク表面との間に発生する動圧が異なるためである。例えば、本実施形態の場合、前記のようにサーボ領域パターン60の凸部比率が40%、データ領域パターン58の凸部比率が70%であり、データ領域パターンの方が大きな動圧が発生し、磁気ヘッド33の浮上量も大きくなる。そのため、サーボ領域パターン60とデータ領域パターン58との第1および第2境界B1、B2では磁気ヘッド33に対する圧力変化が生じる。従って、図11(a)および図11(b)に示すように、磁気ヘッド33が境界B1、B2を通過する際、上下の磁気ヘッド33に対してインパルス的な力が発生する。
【0066】
図11(a)および図11(b)に示すように、上下の磁気ヘッド33は、境界B1を通過する際に発生した力により、サーボ領域パターン60の開始位置である境界B1を含む第1振動発生領域C1において振動を繰り返す。同様に、上下の磁気ヘッド33は、境界B2を通過する際に発生した力により、サーボ領域パターン60の終点位置である境界B2を含む第2振動発生領域C2において振動を繰り返す。
【0067】
本実施形態によれば、磁気ディスク50の表面側のサーボ領域パターン60と、裏面側のサーボ領域パターン60とは位相をずらして設けられ、表面側の各サーボ領域パターン60は、裏面側のサーボ領域パターン60と重なることなく、裏面側の隣合う2つのサーボ領域パターン60間の中間位置に対向している。これにより、磁気ディスク表面側の第1および第2振動発生領域C1、C2は、共に、裏面側の第1および第2振動発生領域C1、C2と全く重なることなく、円周方向にずれて位置している。
【0068】
図11(a)および図11(b)に示すように、片側の磁気ヘッド33にインパルス的な力が加わってその残留加振力が完全に消えた後、他方の磁気ヘッド33に全く別のタイミングでインパルス的な力が独立して加わることになる。従って、図11(c)に示すように、上下の磁気ヘッド33に同時にインパルス的な力が加わることが無い。このことから、上下の磁気ヘッドの振動が共振し、大きな振動となることがなくなる。その結果、ヘッドアクチュエータ14に加わる力は、各磁気ヘッド33に加わる大きさ以上になることがなく、ヘッドアクチュエータ14により、磁気ヘッド33を安定してかつ高い精度で位置決めすることができる。
【0069】
また、ヘッドアクチュエータ14の振動レベル低減により、HDDの騒音レベル低減にも効果がある。更に、可聴域内の耳につきやすい基本振動周波数成分が小さくなり、可聴域外または可聴域外に近い人間の耳には聞こえにくい高周波成分が大きくなるために、問題となる耳につく騒音レベルを低減することができる。例えば、サーボ領域パターン60が磁気ディスクの1周に100セクタ埋め込まれ、7200rpm(120Hz)で磁気ディスクを回転するHDDでは、基本振動数周波数は12000Hzであるが、上記のようにサーボ領域パターン60の位相をずらすことにより、基本周波数成分の12000Hzのレベルが下がり、高次成分の24000Hzのレベルが上がることになる。しかし、20kHz以上の成分は可聴域外となるため、全体の騒音レベルは下がることになる。
【0070】
また、上述した磁気ディスク50およびHDDよれば、サーボ領域パターン60を磁気ヘッド移動軌跡に対応した円弧状に形成することにより、シーク性能やディスク内外周間のSN劣化防止に有利であり、磁気ディスク装置の性能向上を図ることができる。
【0071】
DTR方式は、データ領域でのエラー率を改善し、面記録密度の向上が可能な磁気記録方式であり、高密度化により記録容量アップが可能となる。データトラックと共に、サーボ情報を埋め込み形成することで、サーボ・トラック・ライト(STW)が不要になる等も、パターンドメディアをHDDに採用する利点となる。
【0072】
より詳細には、磁気ディスク50は、HDDの構成に依存した円弧形状のサーボ領域パターン60を有し、表裏方向を合わせてHDDに組み込まれていることから以下の作用効果を奏することができる。
【0073】
その1つは、高いシーク性能を実現できる点にある。前述したように、磁気ヘッド33直下にサーボ領域パターン60が来るタイミングで、HDC41はチャネルにサーボ処理開始を依頼する。磁気ディスク50上にサーボ領域パターンが等間隔に形成され、磁気ヘッド33が径方向に固定されていれば、磁気ディスクの取り付け偏芯により、サーボ領域パターン横断周期が多少変動しても、そのタイミング誤差は、許容誤差程度で問題とならない。しかし、シーク時のように、磁気ヘッド33が磁気ディスク50の径方向に高速移動している場合、磁気ヘッドは円弧状に移動するため、径方向のみでなく周方向にも移動することが問題になる。
【0074】
例えば、サーボ領域パターンが完全な放射状に形成されている場合、サーボ領域パターンは半径方向位置に依存することなく一定な角度位相にある。しかし、磁気ヘッド33は周方向にも移動するため、スピンドルモータ15の回転中心からの角度位相が変化する。このため、磁気ヘッド33側から見たサーボ開始位相(サーボゲート立上り時の再生ヘッドが位置するサーボ領域開始からの距離)が変化することになる。この位相ズレは、シーク速度、磁気ヘッド軌跡誤差、および制御周期で決まるが、位相ズレが許容範囲を越えると、プリアンブル部70でのサーボ信号引込みが困難となる。これにより、アドレス部72の先頭に位置するサーボマーク(SAM)の検出に失敗して、サーボロストエラーとなる虞がある。
【0075】
シーク速度とシリンダ情報とからタイミング誤差時間を推定して、HDC41からのサーボゲート立ち上がり時間を補正調整することにより、高速シーク時でもサーボロストエラーの発生を防止することが可能である。しかし、この場合、制御周期変動によるサーボ特性変化が生じ、シーク性能劣化は否めない。ドライブ固有のヘッド移動軌跡に合わせて、サーボ領域パターンを円弧状に形成することは、高速シークを可能にするために有効かつ不可欠な要素と言える。
【0076】
第2の利点は、磁気ディスク50の内外周で、サーボ情報検出SN差を小さくできる点にある。磁気ディスク50の内周でのサーボ情報検出SNは、その線記録密度が高くなるため、サーボ領域パターン60が磁気ヘッド移動軌跡を取っていてもSN劣化は否めない。しかし、完全放射型のサーボ領域パターンでは、更に磁気ディスク内周側のSN劣化が激しくなり、また、磁気ディスク外周部でのSNも劣化することがシミュレーションで確認されている。その理由は、磁気ヘッドのスキュー角にあり、サーボ信号が磁気ヘッドに対して傾斜して進入するため、サーボ信号の立ち上がりが劣化し振幅低下を招くためである。
【0077】
特に、小径の磁気ディスクでは、フォーマット効率を上げるため、サーボ信号クロックを最大限まで高めている。そのため、磁気ディスク最内周のSN劣化は、アドレス判読や、オフトラック検出精度等に直結する。従って、本実施形態のように、サーボ領域パターン60が磁気ヘッド33に対し平行に進入するパターン形状が重要となる。本実施形態において、サーボ領域パターンのプリビット長の信号クロックは、目視確認可能なサーボ領域パターン周方向長の条件、磁気ディスク内周部での検出SN、およびスピンドルモータの回転速度により設定されている。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0079】
上述した実施形態において、磁気ディスク表面側のサーボ領域パターンは、磁気ディスク裏面側のサーボ領域パターンと重なることなく、基板円周方向にずれて設けれた構成とした。これに限らず、図12に示すように、磁気ディスク表面側のサーボ領域パターンと裏面側のサーボ領域パターンとは一部が重なって設けられていてもよい。この場合でも、磁気ディスク表面側の各サーボ領域パターン60は、第1境界B1に起因する残留加振力が発生している第1振動発生領域C1および第2境界B2に起因する残留加振力が発生している第2振動発生領域C2が、磁気ディスク裏面側の第1振動発生領域C1および第2振動発生領域C2のいずれとも重ならないように、裏面側の各サーボ領域パターンに対し、基板54の円周方向にずれて設けられている。このような構成においても、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0080】
また、磁気ディスク表面側の各サーボ領域パターン60は、プリアンブル部70の幅方向50%以上の領域が、磁気ディスク裏面側のサーボ領域パターンのプリアンブル部70と重ならないように、基板54の円周方向にずれて設けられた構成としてよい。この構成においても、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0081】
磁気ディスクのデータ領域パターンにおける凸部の割合、およびサーボ領域パターンにおける凸部の割合は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて増減可能である。その他、HDDにおいて、磁気ディスクの枚数は1枚に限らず、必要に応じて増加可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施形態に係る磁気ディスクの表面パターンおよび裏面パターンを示す平面図。
【図2】前記磁気ディスクのデータ領域パターンを拡大し一部破断して示す斜視図。
【図3】前記磁気ディスクのサーボ領域パターンを模式的に示す図。
【図4】前記磁気ディスクを概略的に示す断面図。
【図5】前記磁気ディスクのパターンと磁気ヘッドとの位置関係を模式的に示す断面図。
【図6】前記磁気ディスクの製造工程をそれぞれ示す断面図。
【図7】この発明の実施形態に係るHDDを示す分解斜視図。
【図8】前記HDDの構成を概略的に示すブロック図。
【図9】前記HDDにおけるヘッド位置決め制御を示す構成図。
【図10】前記HDDにおけるチャネルでのアドレス検出処理を示す構成図。
【図11】前記磁気ディスクの表面側および裏面側の磁気ヘッドに作用する力を示す図。
【図12】この発明の他の実施形態に係る磁気ディスクの表面側および裏面側の磁気ヘッドに作用する力を示す図。
【符号の説明】
【0083】
12…ベース、 15…スピンドルモータ、 33…磁気ヘッド、
50…磁気ディスク、 54…基板、 56…記録層、 58…データ領域パターン、
60…サーボ領域パターン、 62…磁性トラック、 64…非磁性ガード帯部、
70…プリアンブル部、 72…アドレス部、 74…バースト部、
C1…第1振動発生領域、 C2…第2振動発生領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央孔を有した円盤状の基板と、前記基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域と、を備え、前記各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターンおよび前記基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターンを有し、
前記表面側の記録領域のサーボ領域パターンと前記裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれている磁気ディスク。
【請求項2】
前記複数のサーボ領域パターンは、それぞれ前記基板の中央孔側から外周縁部までほぼ放射状に延び、前記データ領域パターンを前記基板の周方向に複数に分断して設けられ、
前記各サーボ領域パターンおよびデータ領域パターンは、凹凸パターンにより構成され、前記各サーボ領域パターンにおける凸部の割合と、前記データ領域パターンにおける凸部の割合とが相違している請求項1に記載の磁気ディスク。
【請求項3】
前記表面側の記録領域の各サーボ領域パターンは、前記裏面側の記録領域の隣合う2つのサーボ領域パターン間と対向して設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項4】
前記各サーボ領域パターンは、前記データ領域パターンに対し、前記基板の回転方向下流側に位置した第1境界と前記回転方向上流側に位置した第2境界とを有し、前記各記録領域は、前記第1境界に起因する第1振動発生領域と、前記第2境界に起因する第2振動発生領域と、を有し、
前記表面側の各サーボ領域パターンは、前記第1振動発生領域および第2振動発生領域が、前記裏面側の前記第1振動発生領域および第2振動発生領域と重ならないように、前記裏面側の各サーボ領域パターンに対し、前記基板の円周方向にずれて設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項5】
前記各サーボ領域パターンは、前記基板の円周方向に並んだプリアンブル部、アドレス部、およびバースト部を含み、
前記表面側の各サーボ領域パターンは、前記プリアンブル部の幅方向50%以上の領域が前記裏面側のサーボ領域パターンのプリアンブル部と重ならないように、前記基板の円周方向にずれて設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項6】
前記各サーボ領域パターンは、前記基板の最外周半径よりも大きいな半径を有し前記基板と同芯の円軌跡上に円弧中心を持ち、前記基板の周方向に沿った周方向長が基板の外周側に位置した領域ほど長くなるように領域形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
【請求項7】
前記データ領域パターンおよびサーボ領域パターンは、磁性体により形成された多数の凸部と、凸部間を磁性分断した凹部と、を有し、前記凹部は非磁性の埋め込み材により埋められている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の磁気ディスクと、
前記磁気ディスクを支持し、一定速度で回転させる駆動部と、
前記磁気ディスクに対して情報処理を行うヘッドと、
前記磁気ディスクに対して前記ヘッドを径方向に移動させるヘッドアクチュエータと、を備え、
前記磁気ディスクは、前記各サーボ領域パターンと、前記磁気ディスク上における前記ヘッドの移動軌跡とが一致する方向に合わせて配設されている磁気ディスク装置。
【請求項1】
中央孔を有した円盤状の基板と、前記基板の表面および裏面にそれぞれ設けられた記録領域と、を備え、前記各記録領域は磁性体形状がパターン化されたデータ領域パターンおよび前記基板の円周方向に所定の位相で設けられた複数のサーボ領域パターンを有し、
前記表面側の記録領域のサーボ領域パターンと前記裏面側の記録領域のサーボ領域パターンとは、互いに位相がずれている磁気ディスク。
【請求項2】
前記複数のサーボ領域パターンは、それぞれ前記基板の中央孔側から外周縁部までほぼ放射状に延び、前記データ領域パターンを前記基板の周方向に複数に分断して設けられ、
前記各サーボ領域パターンおよびデータ領域パターンは、凹凸パターンにより構成され、前記各サーボ領域パターンにおける凸部の割合と、前記データ領域パターンにおける凸部の割合とが相違している請求項1に記載の磁気ディスク。
【請求項3】
前記表面側の記録領域の各サーボ領域パターンは、前記裏面側の記録領域の隣合う2つのサーボ領域パターン間と対向して設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項4】
前記各サーボ領域パターンは、前記データ領域パターンに対し、前記基板の回転方向下流側に位置した第1境界と前記回転方向上流側に位置した第2境界とを有し、前記各記録領域は、前記第1境界に起因する第1振動発生領域と、前記第2境界に起因する第2振動発生領域と、を有し、
前記表面側の各サーボ領域パターンは、前記第1振動発生領域および第2振動発生領域が、前記裏面側の前記第1振動発生領域および第2振動発生領域と重ならないように、前記裏面側の各サーボ領域パターンに対し、前記基板の円周方向にずれて設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項5】
前記各サーボ領域パターンは、前記基板の円周方向に並んだプリアンブル部、アドレス部、およびバースト部を含み、
前記表面側の各サーボ領域パターンは、前記プリアンブル部の幅方向50%以上の領域が前記裏面側のサーボ領域パターンのプリアンブル部と重ならないように、前記基板の円周方向にずれて設けられている請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
【請求項6】
前記各サーボ領域パターンは、前記基板の最外周半径よりも大きいな半径を有し前記基板と同芯の円軌跡上に円弧中心を持ち、前記基板の周方向に沿った周方向長が基板の外周側に位置した領域ほど長くなるように領域形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
【請求項7】
前記データ領域パターンおよびサーボ領域パターンは、磁性体により形成された多数の凸部と、凸部間を磁性分断した凹部と、を有し、前記凹部は非磁性の埋め込み材により埋められている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の磁気ディスクと、
前記磁気ディスクを支持し、一定速度で回転させる駆動部と、
前記磁気ディスクに対して情報処理を行うヘッドと、
前記磁気ディスクに対して前記ヘッドを径方向に移動させるヘッドアクチュエータと、を備え、
前記磁気ディスクは、前記各サーボ領域パターンと、前記磁気ディスク上における前記ヘッドの移動軌跡とが一致する方向に合わせて配設されている磁気ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−31848(P2006−31848A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210455(P2004−210455)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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