説明

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法

【課題】板状ガラス素材からガラスディスクを切り出して磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合の加工品質を高め、しかも歩留りを高めることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、ガラスシート材に温度変化を与えて該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出す磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。HDD等に搭載される磁気ディスクでは、高容量化の要請により400Gbit/inch(1inchは25.4mm)以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
ところで最近では、高記録密度化に適した磁気ディスク用基板として、ガラス基板が多く用いられている。ガラス基板は、従来のAl等の金属の基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適し、また、平滑で平坦な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させることが容易であり、記録信号のS/N比の向上と高記録密度化に好適である。
【0003】
通常、磁気ディスク用のガラス基板は、所定の大きさに形成したガラスディスクの表面を研削及び研磨することにより製造される。ここで、所定の大きさのガラスディスクを形成する方法としては、例えばフロート法で板状に成形されたシート材をカッティングした板状ガラスからガラスディスクを切り出す方法がある。例えば下記特許文献1には、カッターを用いてガラス板に切り筋を形成し、ガラス板から分離して得られるディスク用ガラス基板について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−223828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法についてもう少し詳しく説明すると、図2に示すように、フロート法で板状に成形された1枚のガラスシート材100(同図(a)参照)を縦横それぞれ複数の切断線100A,100Bに沿って所定の大きさにカッティングする(同図(b)参照)。カッティングされた多数枚の板状ガラス1、・・・は通常積層された状態で保管される(同図(c)参照)。ガラスディスクの切り出し工程では、このように積層された板状ガラスが1枚ずつ取り出されて、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描くそれぞれ円形の切り筋2,3を形成し(同図(d)参照)、1枚の板状ガラス1から1枚のガラスディスク(ディスク状のガラス基板)10を切り出していた(同図(e)参照)。なおこの際、板状ガラス1のトップ面1Aからボトム面1B側に向かって例えば略垂直に切り筋2,3を形成し(図3(a)、(b)参照)、板状ガラス1を加熱することにより上記切り筋2,3を進行させてから(図3(c)参照)、切り筋2で囲まれた内側の領域10a、10bを取り出し、さらに切り筋3で囲まれた領域10bを押し出すことにより、中心部に円孔を備えたガラスディスク(ディスク状のガラス基板)10を得ていた(図3(d)参照)。
【0006】
しかし、本発明者の検討によると、このような従来の方法によると、フロート法で板状に成形されたガラスシート材自体は、表面の平坦度に優れ、かつ粗さも良好であるため、後のラッピング(研削)および研磨工程の負荷が少なくて済むものの、ガラスシート材をカッティングして得られた板状ガラスが多数枚積層した状態で置かれるため、ガラス板間にカッティングの際の切屑等が挟まり、それが原因で、傷、クラック等が発生して、それらがサブストレート品質、そして生産歩留まりを悪化させる欠陥として表面や端面に残ってしまう問題があることが判明した。
【0007】
最近のHDDにおける高記録密度化においては、磁気ヘッドの浮上量を狭小化する方向にあり、例えば磁気ヘッドの浮上量は10nm以下、近年ではさらに5nm以下とすることが要求されるようになってきている。このような低浮上量化に伴い、HDDに搭載される磁気ディスク上に存在する、クラック、傷、その他の欠陥は、より深刻な障害(例えばサーマルアスペリティ障害など)を起こしやすくなる傾向にある。
【0008】
磁気ディスク用ガラス基板の製造においては、板状ガラスからガラスディスクを切り出した後に、所定の研削、研磨などの処理を行い、傷やクラック等を除去しているものの、それらを完全に除去することは困難である。従って、ガラスディスクを切り出した段階において、HDD故障の原因となり得る傷、クラック等は可能な限り低減しておく必要があるが、前述したように従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、ガラスシート材をカッティングして得られた多数枚の板状ガラスを積層しておく段階で、カッティング以降の後工程で取り去ることが困難な傷、クラック等の欠陥が生じやすく、とくにLUL方式のHDDに搭載される高品質の磁気ディスク用ガラス基板を高歩留りで安定した製造を行うには困難を伴っていた。
【0009】
そこで本発明の目的とするところは、従来の傷、クラック等の欠陥の発生要因を排除し、高品質の磁気ディスク用ガラス基板を高歩留りで安定した製造を行うことができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及びこの磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意研究した結果、フロート法で板状に成形されたガラスシート材を従来のように予めカッティングしないで使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数(多数)枚のディスク状のガラス基板を切り出すことにより、傷、クラック等の欠陥の発生を低減でき、高品質の磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造でき、シート材からガラスディスクを切り出して磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合の歩留りを高めることができることを見い出した。またさらに、このような方法は、従来よりも切り筋を進行させるための温度変化をかけやすい耐熱ガラス素材を使用する場合に特に好適であることも見い出した。
すなわち、本発明は次のような構成を有する。
【0011】
(構成1)
板状ガラスからディスク状のガラス基板を切り出す工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出すことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0012】
(構成2)
前記ガラスシート材の一方側の主表面に複数の前記切り筋を形成した後に、前記ガラスシート材に温度変化を与えることにより前記切り筋を前記ガラスシート材の他方側の主表面に向かって進行させることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0013】
(構成3)
前記ガラスシート材を加熱または冷却することにより温度変化を与えることを特徴とする構成2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0014】
(構成4)
前記ガラスシート材は、モル%表示にて、
SiOを50〜75%、
Alを0〜5%、
BaOを0〜2%、
LiOを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
NaOおよびKOを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスからなることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0015】
(構成5)
構成1乃至4のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出すことにより、傷、クラック等の欠陥の発生を低減でき、品質の高い良品の磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造することができ、製造歩留りを高めることができる。また、ガラス素材として耐熱ガラス素材を使用する場合に、本発明による製造方法は特に好適である。
【0017】
また、本発明の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造することにより、磁気ディスク用ガラス基板の加工品質が高いので、サーマルアスペリティ障害などを起こさない信頼性の高い磁気ディスクが得られ、また磁気ディスク用ガラス基板の製造歩留りが高いので、磁気ディスクの製造コストの低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるガラスシート材からディスク状のガラス基板を切り出す工程を説明するための平面図ないしは斜視図である。
【図2】従来方法による板状ガラスからディスク状のガラス基板を切り出す工程を示す平面図ないしは斜視図である。
【図3】板状ガラスからディスク状のガラス基板を切り出す工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明によるガラスシート材からディスク状のガラス基板を切り出す工程を説明するための平面図ないしは斜視図である。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、ガラスシート材からディスク状のガラス基板を切り出す工程を有し、該切り出し工程において、複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出すことを特徴としている。
【0020】
本発明における磁気ディスク用ガラス基板を製造するためのガラスシート材のガラスの種類としては、例えばアルミノシリケートガラスやソーダライムガラス等が挙げられる。アルミノシリケートガラスであれば化学強化ガラスとすることで高い剛性を得ることができるので好ましい。
このようなガラスとしては、たとえば、SiO:58〜75質量%、Al:5〜23質量%、LiO:3〜10質量%、NaO:4〜13質量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスからなることが好ましい。
【0021】
更に、前記ガラスの組成を、SiO:62〜75質量%、Al:5〜15質量%、LiO:4〜10質量%、NaO:4〜12質量%、ZrO:5.5〜15質量%を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの質量比が0.5〜2.0、Al/ZrOの質量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスであることが好ましい。
また、ZrOの未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiOを57〜74%、ZrOを0〜2.8%、AlOを3〜15%、LiOを7〜16%、NaOを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。
また、このようなガラスシート材の成形方法としてはフロート法、フュージョン法などが挙げられ、板状であれば成形方法は特に制限されないが、特に平坦で且つ平滑な面が得られ、研削・研磨工程の負荷が少なくて済むフロート法が好適といえる。
【0022】
図1(a)は上記ガラスシート材100の平面図である。例えばフロート法で板状に成形されたガラスシート材は、2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板を製造する場合、通常、580mm×1070mm以上の大きさを有するものであり、従来は、このガラスシート材を所望の寸法のディスクを切り出せる適当な大きさに予めカッティング(切断)して用いていた。カッティングされた板状ガラスは、切り出し工程に供されるまでは、多数枚が積層された状態で載置保管されていた。ガラスシート材のカッティング時に微小な切屑等が発生することは避けられず、この切屑等はカッティングされた板状ガラスの端面だけでなく主表面側にも回りこんで付着し、上記のように積層された板状ガラス間に挟まれ、そのことが傷、クラック等の欠陥が発生する要因となっていた。本発明では、このような傷、クラック等の欠陥の発生要因を排除するため、例えばフロート法で板状に成形されたガラスシート材100をカッティングせずにそのままの大きさで使用する。
【0023】
例えばフロート法で製造されるガラスシート材の場合、溶融金属の上で溶融ガラスが板状に成形されるため、製造段階で溶融金属(一般には溶融スズ)に接触した側の主表面(以下、「ボトム面」と称する。)と、該ボトム面に対向する側の主表面(以下、「トップ面」と称する。)との区別ができ、図1(a)に示すガラスシート材100の場合、表側の主表面がトップ面1Aで、裏側の主表面がボトム面1Bである(図3(a)も参照)。なお、上記ボトム面1B側には不可避的に10〜50μm厚程度の金属拡散層が形成されている。一方、上記トップ面1A側には製造段階で溶融金属は直接接触しないが、雰囲気中に気化した金属が浸透して金属拡散層が形成される場合もある。ただし、トップ面1A側に金属拡散層が形成されたとしても厚さはせいぜい数μm程度である。
【0024】
本実施の形態においては、例えば上記ガラスシート材100のトップ面1Aに対して、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成する。本実施の形態では、図1(b)に示すように、ガラスシート材100のトップ面1Aにガラスカッターで、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描くそれぞれ円形の切り筋2,3を形成した。なおここで、切り出すガラスディスクの大きさに基づき、1枚のガラスシート材100から切り出せるガラスディスクの枚数分だけの切り筋2,3を形成した。
【0025】
この場合の外周側及び内周側の切り筋2,3はガラスシート材の主表面に対し垂直に切り筋を形成してから加熱してガラスディスクを切り出すことが好ましい。これにより、内径、外径の寸法の調整がしやすくなる。また、切り出されたガラスディスク10の端面の側壁面として利用することができ、後工程で、側壁面の面取り、研磨加工は不要であり、面取面の面取り、研磨加工だけ行えばよいので、端面加工の負担が減るという利点もある。
【0026】
また、このような切り筋を形成するのに用いるガラスカッターとしては例えばホイールカッターが好適であり、ダイヤモンドカッターも用いることができる。
【0027】
次に、ガラスシート材100のトップ面に形成した前記切り筋2,3をボトム面側に向かって進行させる。これにより、切り筋2で囲まれる内側の領域はガラスシート材100から分離された状態となる。また、切り筋3で囲まれる内側部分は上記切り筋2で囲まれる領域から分離された状態となる。このようにガラスシート材100のトップ面に形成した前記切り筋2,3をボトム面側に向かって進行させる手段としては、ガラスシート材100に温度変化を与えることが好適である。例えばガラスシート材100を加熱することにより熱膨張差を生じさせる方法が好ましく挙げられる。ガラスシート材100を加熱することにより、ガラスシート材100の板厚方向に熱膨張差が生じて、ガラスシート材100が上方又は下方に凸形状となるように変形するので、この変形によってトップ面に形成した上記切り筋2,3がボトム面まで瞬間的に達する。
【0028】
ガラスシート材100を加熱する場合、オーブン等の加熱装置を用いてガラスシート材100全体を加熱してもよいが、特にガラスシート材100の片面側を加熱することが好適である。ガラスシート材100の片面側を加熱することにより、切り筋の進行がより確実になされるからである。なおこの場合、ガラスシート材100の片面側を全体的に加熱してもよいし、片面側を部分的に加熱するようにしてもよい。例えば、ガラスシート材100の片面側を全体的に加熱する場合は、上記切り筋2,3を形成したトップ面側を加熱することが好ましい。
また、この加熱による方法に限らず、例えばガラスシート材100をドライアイス等を用いて冷却(急冷)することにより熱収縮差を生じさせる方法を適用することも好適である。
【0029】
こうして切り筋に沿って分離されたガラスシート材100の、切り筋2で囲まれた内側の領域を取り出し、さらに切り筋3で囲まれた領域を押し出すことにより、中心部に円孔を備えたガラスディスク(ディスク状のガラス基板)10が得られる(図1(c)参照)。
【0030】
以上のようにして形成されるガラスディスク10の面取り加工、それに続く研磨加工は従来行われている方法を任意に適用することができる。
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出すことにより、傷、クラック等の欠陥の発生を低減できるため、品質の高い良品の磁気ディスク用ガラス基板を安定して製造することができ、製造歩留りを高めることができる。
【0032】
また、本実施の形態においては、例えば上記ガラスシート材100のトップ面に対して、切り筋2,3を形成しているが、これに限らず、ガラスシート材100のボトム面に対して、切り筋2,3を形成してもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、切り筋は、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁を描く閉曲線としたが、完全な閉曲線でなくてもよい。たとえば切り筋の始点と終点とが多少ずれた場合でも、この切り筋を進行させることによりディスク状のガラス基板を切り出すことは可能である。また、切り筋は、連続的な曲線でなくてもよく、たとえば磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁を破線状に描く切り筋を形成し、この切り筋を進行させることによりディスク状のガラス基板を切り出すことは可能である。
【0034】
また、現在のHDDにおいては、1平方インチ当り400ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに至っており、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに250ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば500ギガバイト、1テラバイトを実現するための手段としてたとえば熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この熱アシスト磁気記録方式に適用する磁気ディスクとしては、現状よりも高い耐熱性を要求される。従って、基板においても耐熱性の高いガラス素材を用いることが好適である。このような耐熱ガラス素材を使用する場合には、従来のガラス素材よりも切り筋を進行させるためのより大きな温度変化をかけやすいので、本発明は特に好適である。
【0035】
上記の耐熱性ガラスとしては、例えば、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜5%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
【0036】
磁気ディスクの高記録密度化を達成するためには、ガラス基板主表面の平滑性を向上させる必要がある。磁気ディスク用ガラス基板は、上述のようにガラスシート材100から所定の大きさに切り出されたガラスディスク10の主表面を研削及び研磨することにより製造される。通常、この研削工程は、ラッピング装置を用い、ガラスディスク10の寸法精度及び形状精度を向上させるため、所定の粒度の砥粒を用いて行う。また、この研磨工程は、研磨装置を用い、好ましい一実施の形態としては、研削工程で残留した傷や歪みを除去するため、ポリシャとして硬質ポリシャを用い、ガラス基板表面を研磨する第1研磨工程と、該第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、更に平滑な鏡面に仕上げるため、硬質ポリシャに替えて軟質ポリシャでガラスディスク表面を研磨する第2研磨工程とを行う。
【0037】
また、上記第1研磨工程終了後、第2研磨工程の前に、ガラス基板は、化学強化を施してもよい。ガラスの種類が特にアルミノシリケートガラスの場合、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。化学強化の方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に限定されないが、実用上、低温型イオン交換法による化学強化が好ましい。
【0038】
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の直径サイズについては特に限定はないが、本発明は、曲率の小さな円形の閉曲線を描く切り筋を形成して得られる2.5インチサイズ以下の小径の磁気ディスク用ガラス基板の製造においてより顕著な作用効果を奏する。
【0039】
また、本発明は、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても提供する。本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば,Cr系合金など立方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面に沿って配向させることができる。この場合、面内磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。また、例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
【0040】
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、サーマルアスペリティ障害などを起こさない信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
以下の(1)切り出し工程、(2)ラッピング工程、(3)面取り工程、(4)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(5)化学強化工程、(6)主表面研磨工程(第2研磨工程)、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
【0042】
(1)切り出し工程
フロート法で製造した厚さ0.95mmのアルミノシリケートガラスからなるガラスシート材(大きさ580mm×1070mm)を使用し、その一方の主表面にカッターホイールを押し付けながら回転させ、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描くそれぞれ円形の切り筋(回転中心からの距離は10mm、32.5mm)を形成した。この場合の切り筋は、外周側及び内周側の何れも板厚方向に対して垂直に形成した。上記の大きさのガラスシート材の1枚からは、2.5インチのガラス基板の120枚分を切り出すことができるので、その枚数分の上記切り筋を形成した。なお、このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75質量%、Al:5〜23質量%、LiO:3〜10質量%、NaO:4〜13質量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
【0043】
次いで、上記切り筋を形成したガラスシート材の面を全体的にヒータで300℃に加熱し、上記切り筋をガラスシート材の反対側の面に進行させ、さらに基板膨張により、外周側の切り筋より内側の領域を分離して切り出し、続いて内径(内周側の切り筋より内側の領域)についても同様の方法で切り出した。
以上のようにして、1枚の上記ガラスシート材から120枚分の2.5インチ用ガラスディスクを切り出した。
【0044】
(2)ラッピング工程
次に、両面ラッピング装置により、粒度#1000のアルミナ砥粒を用いて、ガラスディスク表面をラッピングすることにより、平坦度が3μm、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。なお、平坦度は平坦度測定装置にて、Rmax,Raは原子間力顕微鏡(AFM)にてそれぞれ測定した。上記ラッピング工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
【0045】
(3)面取り工程
端面は斜めに切り出されているため、面取面と側壁面を同時に回転砥石により加工し、引き続いて、ナイロン製、平均線径0.2mmの研磨用ブラシを用いて、研磨取代30μm以上研磨して、面取面と側壁面を鏡面化した。そして、上記面取り工程を終えたガラスディスクの表面を水洗浄した。
【0046】
(4)主表面研磨工程(第1研磨工程)
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラスディスクを密着させ、このキャリアを太陽歯車と内歯歯車とに噛合させ、上記ガラスディスクを上下研磨定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが研磨定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、研磨時間を15分とした。ここでRO水とは、RO(逆浸透圧膜)処理された純水のことである。
上記第1研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0047】
(5)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラスディスクに化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラスディスクを約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
化学強化を終えたガラスディスクを硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0048】
(6)主表面研磨工程(第2研磨工程)
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラスディスク主表面の表面粗さをRmaxで8nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨条件は、研磨液としてはコロイダルシリカ(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、研磨時間を5分とした。
上記第2研磨工程を終えたガラスディスクを、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
【0049】
また、上記各工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
【0050】
以上のようにして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を10万枚製造した。欠陥検査の結果、得られた10万枚のガラス基板のうち、クラック、傷、或いは欠け等の欠陥のある不良品は10枚であり、製造歩留りは99.99%と高かった。また、良品の表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となるような異物は存在しなかった。
【0051】
次に、本実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。
上記ガラス基板上に、Cr合金からなる付着層、CoTaZr合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、膜厚5nmの水素化カーボンとした。潤滑層は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成し、膜厚は0.9nmとした。
【0052】
次に、得られた磁気ディスクを以下のようにして評価した。
得られた磁気ディスクについて、浮上量が5nmである検査用ヘッドを用いて磁気ディスク上を浮上走行させるヘッドクラッシュ試験を実施した、その結果、本実施例の磁気ディスクでは、磁気ヘッドが異物等に接触することも無く、クラッシュ障害は発生しなかった。
【0053】
(実施例1−2)
実施例1−1の(1)切り出し工程において、上記切り筋を形成したガラスシート材をドライアイスで冷却(急冷)することにより、上記切り筋をガラスシート材の反対側の面に進行させて、ガラスディスクを切り出したこと以外は、実施例1−1と同様にして切り出し工程を実施した。
以上の切り出し工程以外は、実施例1−1と同様にして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を10万枚製造した。欠陥検査の結果、得られた10万枚のガラス基板のうち、クラック、傷、或いは欠け等の欠陥のある不良品は11枚であり、製造歩留りは99.989%と高かった。また、良品の表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となるような異物は存在しなかった。
【0054】
(実施例2−1)
本実施例では、ガラスシート材の硝種として、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜5%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲である耐熱性ガラス(Tg:650℃以上)を使用した。
【0055】
この耐熱性ガラスからなるガラスシート材に対して上記実施例1−1と同様の工程を施して磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
但し、切り出し工程においては、切り筋を形成したガラスシート材を400℃で加熱することにより、上記切り筋をガラスシート材の反対側の面に進行させてガラスディスクを切り出した。
以上のようにして製造した本実施例の磁気ディスク用ガラス基板10万枚のうち、欠陥検査の結果、クラック、傷等の欠陥のある不良品は7枚であり、製造歩留りは99.993%と非常に高かった。また、良品の表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となるような異物は存在しなかった。
【0056】
次に、本実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板に実施例1−1と同様の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。得られた磁気ディスクに対して、実施例1−1と同様のヘッドクラッシュ試験を実施した結果、本実施例の磁気ディスクでは、磁気ヘッドが異物等に接触することも無く、クラッシュ障害は発生しなかった。
【0057】
(実施例2−2)
実施例2−1の切り出し工程において、切り筋を形成したガラスシート材をドライアイスで冷却(急冷)することにより、上記切り筋をガラスシート材の反対側の面に進行させて、ガラスディスクを切り出したこと以外は、実施例2−1と同様にして切り出し工程を実施した。
以上の切り出し工程以外は、実施例2−1と同様にして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を10万枚製造した。欠陥検査の結果、得られた10万枚のガラス基板のうち、クラック、傷等の欠陥のある不良品は11枚であり、製造歩留りは99.989%と非常に高かった。また、良品の表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となるような異物は存在しなかった。
【0058】
(比較例)
フロート法で製造した厚さ0.95mmのアルミノシリケートガラスからなるガラスシート材を所定の大きさ(70 mm×70mm)の四角形に切断した板状ガラスを多数枚積層した状態で一定期間保管した。そして、このように積層した状態で保管された板状ガラスを順次1枚ずつ使用して、ガラス基板を製造した。なお、このアルミノシリケートガラスとしては、実施例1−1と同様の、SiO:58〜75質量%、Al:5〜23質量%、LiO:3〜10質量%、NaO:4〜13質量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
【0059】
上記板状ガラスの一方の主表面にカッターホイールを押し付けながら回転させ、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描くそれぞれ円形の切り筋(回転中心からの距離は10mm、32.5mm)を形成した。この場合の切り筋は、外周側及び内周側の何れも板厚方向に対して垂直に形成した。
次いで、上記切り筋を形成した板状ガラスの外径切り捨て部をヒータで300℃に加熱し、上記切り筋を板状ガラスの反対側の面に進行させ、さらに基板膨張により、外周側の切り筋より内側の領域を分離して切り出し、続いて内径(内周側の切り筋より内側の領域)についても同様の方法で切り出した。
【0060】
以上のようにして、1枚の上記板状ガラスから1枚の2.5インチ用ガラスディスクを切り出した。
このようにして切り出したガラスディスクに対して、実施例1−1と同様に、ラッピング工程、面取り工程、主表面研磨工程(第1研磨工程)、化学強化工程、主表面研磨工程(第2研磨工程)、を施して、本比較例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
【0061】
こうして比較例の製造工程で作製した10万枚の磁気ディスク用ガラス基板のうち、欠陥検査の結果、クラック、傷、欠け等の欠陥のある不良品は5000枚であり、製造歩留りは95%と上記実施例よりもかなり低く、実施例と同様のヘッドクラッシュ試験においてもクラッシュ障害の発生率が高かった。
【符号の説明】
【0062】
1 板状ガラス
2,3 切り筋
10 ディスク状のガラス基板(ガラスディスク)
100 ガラスシート材
100A,100B 切断線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ガラスからディスク状のガラス基板を切り出す工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
複数枚の磁気ディスク用ガラス基板を切り出せるだけの大きさを有するガラスシート材を使用し、該ガラスシート材の一方側の主表面に対して、複数個の磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の略周縁をなす曲線を描く切り筋を形成した後、該切り筋を進行させ、1枚のガラスシート材から複数枚のディスク状のガラス基板を切り出すことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記ガラスシート材の一方側の主表面に複数の前記切り筋を形成した後に、前記ガラスシート材に温度変化を与えることにより前記切り筋を前記ガラスシート材の他方側の主表面に向かって進行させることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記ガラスシート材を加熱または冷却することにより温度変化を与えることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記ガラスシート材は、モル%表示にて、
SiOを50〜75%、
Alを0〜5%、
BaOを0〜2%、
LiOを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
NaOおよびKOを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−64294(P2012−64294A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210290(P2010−210290)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(509088169)ホーヤ ガラスディスク ベトナム リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】HOYA GLASS DISK VIETNAM LTD.
【住所又は居所原語表記】Plot J3&4,Thang Long Industrial Park,Dong Anh District,Hanoi,Vietnam
【Fターム(参考)】