説明

磁気データの復調方法および磁気データの復調装置

【課題】磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合等であっても、磁気データを適切に復調することが可能になる磁気データの復調方法を提供する。
【解決手段】この復調方法では、磁気ヘッドからの読取信号のピーク間隔であるインターバルに基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する。予備データ列は、インターバルに基づいて特定される複数ビットの第1個別データによって構成されている。予備データ列の生成時には、第1個別データの“0”、“1”を判別するための基準インターバルを特定し、予め記憶されたテンプレートにこの基準インターバルを割り振り、判定用のインターバルとテンプレートに割り振られた基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較し、この比較結果から、予備データ列に相当するビットパターンを特定し、特定されたビットパターンを予備データ列とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法および磁気データの復調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成するための磁気データの復調方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の復調方法では、判別されるビットの1つ前の隣接ビットのインターバルに対して一定の比率をかけた時間(基準インターバル)と、判別されるビットのインターバルとを比較して、判別されるビットのデータが“0”であるのか、あるいは、“1”であるのかを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−50611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の復調方法では、1つの基準インターバルと、判別されるビットのインターバルとを比較して、ビットのデータを判別しているため、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合に、磁気データを適切に復調できずに、エラーとなる可能性が高い。
【0005】
そこで、本発明の課題は、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、磁気データを適切に復調することが可能になる磁気データの復調方法を提供することにある。また、本発明の課題は、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、磁気データを適切に復調することが可能な磁気データの復調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気データの復調方法は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法において、アナログ状の磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔または読取信号から生成されるデジタル信号の反転時間間隔であるインターバルに基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成ステップを備え、予備データ列は、インターバルに基づいて特定される第1個別データによって構成されるとともに、複数ビットの第1個別データによって構成され、予備データ生成ステップは、予備データ列の第1個別データが“0”であると判別するための基準となるインターバルである第1基準インターバルと、第1個別データが“1”であると判別するための基準となるインターバルである第2基準インターバルとを特定する基準インターバル特定ステップと、予備データ列を構成する第1個別データと同数の複数ビットの第2個別データによって構成される複数のビットパターンの全部または一部が列挙されたテンプレートに、第2個別データごと、かつ、第2個別データが“0”であれば第1基準インターバルを、第2個別データが“1”であれば第2基準インターバルを割り振る基準インターバル割振りステップと、第1個別データを特定するためのインターバルである複数の判定用インターバルと、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列とする予備データ特定ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の磁気データの復調方法では、比較ステップで、予備データ列を構成する第1個別データを特定するためのインターバルである複数の判定用インターバルと、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較し、予備データ特定ステップで、比較ステップでの比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列としている。すなわち、本発明では、複数の判定用インターバルを用いて、予備データ列を特定している。そのため、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、予備データ列を適切に特定することが可能になり、複数の予備データ列から適切な復調データを生成することが可能になる。すなわち、本発明では、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、磁気データを適切に復調することが可能になる。
【0008】
本発明において、比較ステップでは、判定用インターバルと、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとの差の絶対値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出し、予備データ特定ステップでは、比較ステップでビットごとに算出された絶対値のビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された総和値が最小となるビットパターンを予備データ列とすることが好ましい。このように構成すると、比較的容易な処理で、予備データ列を適切に特定することが可能になる。
【0009】
本発明において、比較ステップでは、判定用インターバルと、テンプレートで割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとの差の二乗である二乗値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出し、予備データ特定ステップでは、比較ステップでビットごとに算出された二乗値のビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された総和値が最小となるビットパターンを予備データ列としても良い。この場合には、判定用インターバルと、テンプレートで割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとの大小の比較を行わなくても、予備データ列を適切に特定することが可能になる。
【0010】
本発明において、基準インターバル特定ステップでは、複数の判定用インターバルの直前の1または2以上のインターバルに基づいて、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出して特定することが好ましい。このように構成すると、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合であっても、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルをより適切に特定することが可能になる。したがって、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合であっても、磁気データをより適切に復調することが可能になる。
【0011】
本発明において、予備データ列は、3〜8ビットの第1個別データによって構成されていることが好ましい。予備データ列が3ビット以上の第1個別データによって構成されていれば、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、予備データ列をより適切に特定することが可能になる。一方、予備データ列が8ビット以下の第1個別データによって構成されていれば、予備データ列の生成処理時間が必要以上に長くなるのを防止することが可能になる。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明の磁気データの復調装置は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドと、磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調して復調データを生成するデータ復調部とを備え、データ復調部は、磁気ヘッドから出力されるアナログ状の磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔または読取信号から生成されるデジタル信号の反転時間間隔であるインターバルに基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成部と、予備データ生成部で生成された複数の予備データ列に基づいて復調データを生成する復調データ生成部とを備え、予備データ列は、インターバルに基づいて特定される第1個別データによって構成されるとともに、複数ビットの第1個別データによって構成され、予備データ生成部には、予備データ列を構成する第1個別データと同数の複数ビットの第2個別データによって構成される複数のビットパターンの全部または一部が列挙されたテンプレートが記憶され、予備データ生成部は、予備データ列の第1個別データが“0”であると判別するための基準となるインターバルである第1基準インターバルと、第1個別データが“1”であると判別するための基準となるインターバルである第2基準インターバルとを特定し、テンプレートに、第2個別データごと、かつ、第2個別データが“0”であれば第1基準インターバルを、第2個別データが“1”であれば第2基準インターバルを割り振り、第1個別データを特定するためのインターバルである複数の判定用インターバルと、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較し、この比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列とすることを特徴とする。
【0013】
本発明の磁気データの復調装置では、予備データ生成部は、予備データ列を構成する第1個別データを特定するためのインターバルである複数の判定用インターバルと、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較し、この比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列としている。すなわち、本発明では、複数の判定用インターバルを用いて、予備データ列を特定している。そのため、本発明では、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、予備データ列を適切に特定することが可能になり、適切に特定された複数の予備データ列に基づいて磁気データを適切に復調することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の磁気データの復調方法および磁気データの復調装置では、磁気情報記録媒体の移動速度の変動が大きい場合や、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、磁気データを適切に復調することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかる磁気データの復調装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すデータ復調部における復調データの生成手順の概略を説明するための図である。
【図3】図1に示す予備データ生成部で生成される複数の予備データ列を説明するための表である。
【図4】図1に示す予備データ生成部に記憶されるテンプレートを説明するための表である。
【図5】図1に示す予備データ生成部に格納されるインターバルを説明するための表である。
【図6】図1に示す予備データ生成部での予備データ列の生成方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6に示す基準インターバル特定ステップでの具体的な基準インターバルの特定方法を説明するための表である。
【図8】本発明の他の実施の形態にかかる復調データの生成手順の概略を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(磁気データの復調装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる磁気データの復調装置1の概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すデータ復調部4における復調データの生成手順の概略を説明するための図である。図3は、図1に示す予備データ生成部5で生成される複数の予備データ列を説明するための表である。図4は、図1に示す予備データ生成部5に記憶されるテンプレートを説明するための表である。図5は、図1に示す予備データ生成部5に格納されるインターバルを説明するための表である。
【0018】
本形態の磁気データの復調装置1は、磁気情報記録媒体としてのカード2に記録された磁気データを読み取って復調データを生成するための装置であり、たとえば、手動でカード2を移動させながらカード2の磁気データを読み取る手動式のカードリーダである。この復調装置1は、カード2に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッド3と、磁気ヘッド3で読み取った磁気データを復調して復調データを生成するデータ復調部4とを備えている。本形態では、F2F周波数変調方式によって、カード2に磁気データが記録されている。
【0019】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカードには、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カードには、ICチップが固定されたり、データ通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0020】
データ復調部4は、ROM、RAM等の記憶手段やCPU等の演算手段等によって構成されている。このデータ復調部4は、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成部5と、予備データ生成部5で生成された複数の予備データ列に基づいて復調データを生成する復調データ生成部6とを備えている。
【0021】
予備データ生成部5は、磁気ヘッド3から出力されるアナログ状の磁気データの読取信号(図2参照)のピーク間の時間間隔であるインターバルt1〜t19に基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する。本形態の予備データ列は、インターバルt1〜t19に基づいて特定される“0”、“1”データである第1個別データによって構成されるとともに、連続する5ビットの第1個別データによって構成されている。
【0022】
後述のように、本形態では、磁気ヘッド3から出力される読取信号のピークが検出されるたびに、予備データ列が生成されており、図2に示す読取信号の範囲では、予備データ生成部5は、図3に示すように、予備データ列1〜予備データ列15の15個の予備データ列を生成する。予備データ生成部5における予備データ列の生成方法の詳細については、後述する。なお、図2には、説明の便宜上、カード2が等速で移動している場合の読取信号の波形の一例が図示されている。
【0023】
復調データ生成部6は、予備データ列を構成する第1個別データに基づいて復調データを生成する。図2に示すように、本形態では、第1個別データが“0”データである場合に、復調データは、そのまま1個の“0”データとなり、連続する2個の第1個別データが
“1”データである場合に、復調データは、1個の“1”データとなる。そのため、本形態では、第1個別データ“0”の間に奇数個の第1個別データ“1”がくることはない。
【0024】
また、予備データ生成部5には、5ビットの第2個別データによって構成される複数のビットパターンの一部が列挙されたテンプレートが記憶されている。本形態のテンプレートでは、図4に示すように、5ビットのビットパターンとして考えられる32個のビットパターンのうちの13個のビットパターン1〜ビットパターン13が列挙されている。なお、上述のように、第1個別データ“0”の間に奇数個の第1個別データ“1”がくることはないため、“0”データの間に奇数個の“1”データがくるビットパターンは、予備データ生成部5に記憶されるテンプレートに列挙されていない。ちなみに、“0”データの間に奇数個の“1”データがくるビットパターンは、12個ある。
【0025】
磁気ヘッド3から出力される読取信号のピークが検出されるたびに、予備データ生成部5のデータ格納部には、ピーク間の時間間隔であるインターバルが順次、実測されて格納される。本形態では、予備データ生成部5に10個のデータ格納部(0)〜(9)があり(図5参照)、最新のインターバルがデータ格納部(9)に格納される。最新のインターバルがデータ格納部(9)に格納されると、これまで、データ格納部(N、(Nは1から9までの整数))に格納されていたインターバルがデータ格納部(N−1)に格納される。すなわち、データ格納部(9)に格納されたインターバルt1〜t19は、読取信号のピークが検出されるたびに、図5に示すように、データ格納部(9)→データ格納部(8)→・・・データ格納部(1)→データ格納部(0)へ順次シフトしていく。
【0026】
本形態では、データ格納部(9)〜(5)に格納されたインターバルは、第1個別データを特定して5ビットの予備データ列を生成するための判定用インターバルであり、データ格納部(9)〜(5)に格納された判定用インターバルに基づいて、第1個別データが特定され、5ビットの予備データ列が生成される。たとえば、図5に示すように、データ格納部(9)〜(5)に格納された判定用インターバルt9〜t5に基づいて5ビットの予備データ列が生成され、あるいは、データ格納部(9)〜(5)に格納された判定用インターバルt10〜t6に基づいて5ビットの予備データ列が生成される。以下では、データ格納部(5)に格納される判定用インターバルを判定用インターバル1とし、データ格納部(6)に格納される判定用インターバルを判定用インターバル2とし、データ格納部(7)に格納される判定用インターバルを判定用インターバル3とし、データ格納部(8)に格納される判定用インターバルを判定用インターバル4とし、データ格納部(9)に格納される判定用インターバルを判定用インターバル5とする。
【0027】
また、データ格納部(4)〜(1)に格納されたインターバルは、予備データ列を構成する第1個別データが“0”であるのか、あるいは、“1”であるのかを判別するための基準インターバルを算出するための算出用インターバルであり、データ格納部(4)〜(1)に格納された算出用インターバルに基づいて、後述のように、基準インターバルが算出される。以下では、データ格納部(4)に格納される算出用インターバルを算出用インターバル4とし、データ格納部(3)に格納される算出用インターバルを算出用インターバル3とし、データ格納部(2)に格納される算出用インターバルを算出用インターバル2とし、データ格納部(1)に格納される算出用インターバルを算出用インターバル1とする。
【0028】
また、データ格納部(0)に格納されたインターバルは、ノイズの影響を排除するためのインターバルである。データ格納部(9)に格納された最新のインターバルが一定値以下であり、ノイズのピークが検出されたと推定される場合には、データ格納部(9)に新たに格納されたインターバルとデータ格納部(8)に格納されたインターバルとの和がデータ格納部(9)に格納され、かつ、データ格納部(m−1(mは、1から7までの整数))に格納されたインターバルがデータ格納部(m)に格納される。すなわち、この場合には、データ格納部(9)に新たに格納されたインターバルとデータ格納部(8)に格納されたインターバルとの和がデータ格納部(9)に格納され、かつ、データ格納部(0)〜データ格納部(8)に格納されたインターバルがデータ格納部(0)→データ格納部(1)→・・・データ格納部(7)→データ格納部(8)へ順次シフトしていく。
【0029】
(磁気データの復調方法)
図6は、図1に示す予備データ生成部5での予備データ列の生成方法を説明するためのフローチャートである。図7は、図6に示す基準インターバル特定ステップS1での具体的な基準インターバルの特定方法を説明するための表である。
【0030】
以下、データ復調部4における磁気データの復調方法を説明する。なお、データ復調部4での磁気データの復調は、ハードウエアによって実現されても良いし、ソフトウエアによって実現されても良い。ハードウエアによって磁気データの復調が実現される場合には、ソフトウエアによって磁気データの復調が実現される場合と比較して、高速での復調処理が可能になる。一方、ソフトウエアによって磁気データの復調が実現される場合には、プログラムの書き換えによって、予備データ列を構成する第1個別データのビット数等を容易に変更することが可能になる。
【0031】
予備データ生成部5のデータ格納部に格納されるインターバルが7個以上になると、読取信号のピークが検出されて最新のインターバルがデータ格納部(9)に格納されるたびに、予備データ列の生成が開始される。予備データ列の生成が開始されると、予備データ生成部5は、まず、図6に示すように、予備データ列を構成する第1個別データが“0”であるのか、あるいは、“1”であるのかを判別するための基準インターバルを特定する(ステップS1)。
【0032】
たとえば、n個目の予備データ列を生成する場合を考えると、本形態では、n−1個目までの予備データ列の生成過程で、データ格納部(4)〜(1)に格納された算出用インターバル4〜1に基づいて、算出用インターバル4〜1に対応する第1個別データの“0”、“1”が判別されている。ステップS1では、予備データ生成部5は、算出用インターバル4〜1に基づいて“0”、“1”が判別された第1個別データに応じて、以下のように、基準インターバルを計算し、計算後の基準インターバルを新たな基準インターバルとして、基準インターバルを更新する。すなわち、計算された新たな基準インターバルをn個目の予備データ列を生成する場合の基準インターバルとして特定する。
【0033】
図7のパターンAに示すように、算出用インターバル4、3に基づいて判別された第1個別データがいずれも“0”である場合には、算出用インターバル4、3の平均値を、第1個別データが“0”であると判別するための基準となる第1基準インターバルとして特定し、かつ、この第1基準インターバルの半分の値を、第1個別データが“1”であると判別するための基準となる第2基準インターバルとして特定する。すなわち、パターンAの場合には、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。なお、以下に示す式の中では、算出用インターバル4を「算出用IV4」、算出用インターバル3を「算出用IV3」、算出用インターバル2を「算出用IV2」、算出用インターバル1を「算出用IV1」と表記する。
第1基準インターバル=(算出用IV4+算出用IV3)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0034】
また、図7のパターンBに示すように、算出用インターバル4に基づいて判別された第1個別データが“0”であり、算出用インターバル3に基づいて判別された第1個別データが“1”である場合には、上述のように、第1個別データ“0”の間に奇数個の第1個別データ“1”がくることはなく、算出用インターバル2に基づいて判別された第1個別データが“1”であると推定されるため、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV4+算出用IV3+算出用IV2)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0035】
また、図7のパターンCに示すように、算出用インターバル4に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル3に基づいて判別された第1個別データが“0”であり、算出用インターバル2に基づいて判別された第1個別データが“0”である場合には、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV3+算出用IV2)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0036】
また、図7のパターンDに示すように、算出用インターバル4に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル3に基づいて判別された第1個別データが“0”であり、算出用インターバル2に基づいて判別された第1個別データが“1”である場合には、算出用インターバル1に基づいて判別された第1個別データが“1”であると推定されるため、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV3+算出用IV2+算出用IV1)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0037】
また、図7のパターンEに示すように、算出用インターバル4に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル3に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル2に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル1に基づいて判別された第1個別データが“0”である場合には、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV3+算出用IV2+算出用IV1)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0038】
また、図7のパターンFに示すように、算出用インターバル4〜1に基づいて判別された第1個別データがいずれも“1”である場合には、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV4+算出用IV3+算出用IV2+算出用IV1)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0039】
また、図7のパターンGに示すように、算出用インターバル4に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル3に基づいて判別された第1個別データが“1”であり、算出用インターバル2に基づいて判別された第1個別データが“0”である場合には、下式に基づいて算出される値を、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルとして特定する。
第1基準インターバル=(算出用IV4+算出用IV3+算出用IV2)/2
第2基準インターバル=第1基準インターバル/2
【0040】
ステップS1で基準インターバルが特定されると、予備データ生成部5は、予備データ生成部5に記憶されるテンプレートに基準インターバルを割り振る(ステップS2)。ステップS2では、予備データ生成部5は、ビットパターンを構成する第2個別データごと、かつ、第2個別データが“0”であれば第1基準インターバルを、第2個別データが“1”であれば第2基準インターバルをテンプレートに割り振る。たとえば、第1基準インターバルが681(μsec)であり、第2基準インターバルが340.5(μsec)である場合には、図4に示すように、第2個別データ“0”に第1基準インターバル681(μsec)を割り振り、第2個別データ“1”に第2基準インターバル340.5(μsec)を割り振る。
【0041】
その後、予備データ生成部5は、ビットパターンを構成する第2個別データに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルと、判定用インターバル5〜1との差の絶対値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出する(ステップS3)。ステップS3では、予備データ生成部5は、1つのビットパターンについて、第2個別データに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルと、判定用インターバル5〜1との差の絶対値を、ビットごとに算出する。たとえば、ステップS3では、予備データ生成部5は、ビットパターン1について、図4に示すように、差の絶対値として、「240」、「403」、「343」、「50」、「44」を算出する。
【0042】
その後、予備データ生成部5は、ビットごとに算出された差の絶対値の総和(すなわち、ビットパターンごとの総和)である総和値を算出する(ステップS4)。たとえば、ステップS4では、予備データ生成部5は、ビットパターン1について、図4に示すように、総和値として、「1080」を算出する。
【0043】
その後、予備データ生成部5は、算出された総和値が最小値であるか否かを判断し(ステップS5)、算出された総和値が最小値である場合(ステップS5で“Yes”の場合)には、総和値が最小となるビットパターンを記憶する(ステップS6)。その後、予備データ生成部5は、全てのビットパターンについて、総和値の算出が終了したか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7で、全てのビットパターンについて、総和値の算出が終了していない場合(ステップS7で“No”の場合)には、ステップS3へ戻る。また、ステップS5で、算出された総和値が最小値でない場合(ステップS5で“No”の場合)には、ステップS7へ進む。
【0044】
一方、ステップS7で、全てのビットパターンについて、総和値の算出が終了している場合(ステップS7で“Yes”の場合)には、予備データ生成部5は、ステップS6で記憶されたビットパターンを予備データ列として特定する(ステップS8)。たとえば、図4に示すように、総和値の最小値は、ビットパターン3のときの「399」であるため、ステップS8において、予備データ生成部5にはビットパターン3が記憶されており、予備データ生成部5は、ビットパターン(01100)を予備データ列として特定する。すなわち、ステップS8で、予備データ生成部5は、予備データ列(01100)を生成する。
【0045】
ステップS8で、予備データ列が生成されると、たとえば、n個目の予備データ列の生成が終了する。また、n個目の予備データ列の生成が終了した後に、最新のインターバルがデータ格納部(9)に格納されると、図6に示すフローにしたがって、n+1個目の予備データ列が生成される。このようにして全ての予備データ列が生成されると、全ての第1個別データの“0”、“1”が判別され、判別された第1個別データに基づいて、復調データ生成部6が復調データを生成する。
【0046】
なお、判定用インターバルは、判定用インターバル5〜1まで順次、シフトしていくため、1つの判定用インターバルに対応する第1個別データの“0”、“1”の判別は、合計で5回、行われる。本形態では、判定用インターバル1に対応する第1個別データが“0”であるのか、あるいは、“1”であるのかが判別されると、最終的に第1個別データが
“0”であるのか、あるいは、“1”であるのかが確定する。
【0047】
本形態のステップS1は、予備データ列の第1個別データが“0”であると判別するための基準となる第1基準インターバルと、第1個別データが“1”であると判別するための基準となる第2基準インターバルとを特定する基準インターバル特定ステップであり、ステップS1では、5個の判定用インターバル5〜1の直前の4個の算出用インターバル4〜1に基づいて、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出して特定している。
【0048】
また、本形態のステップS2は、予備データ生成部5に記憶されるテンプレートに、第2個別データごと、かつ、第2個別データが“0”であれば第1基準インターバルを、第2個別データが“1”であれば第2基準インターバルを割り振る基準インターバル割振りステップである。さらに、本形態のステップS3は、判定用インターバル5〜1と、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較する比較ステップである。
【0049】
また、本形態のステップS4〜S6、S8は、比較ステップであるステップS3での比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列とする予備データ特定ステップであり、ステップS4〜S6、S8では、比較ステップであるステップS3でビットごとに算出された絶対値のビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された総和値が最小となるビットパターンを予備データ列としている。
【0050】
さらに、本形態のステップS1〜S8は、磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔であるインターバルに基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成ステップである。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ステップS3において、判定用インターバル5〜1と、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとを、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに比較し、ステップS4〜S6、S8において、ステップS3での比較結果に基づいて、予備データ列に相当するビットパターンを特定して、特定されたビットパターンを予備データ列としている。すなわち、本形態では、5個の判定用インターバル5〜1を用いて、予備データ列を特定している。そのため、カード2の移動速度の変動が大きい場合や、カード2に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、予備データ列を適切に特定することが可能になり、複数の予備データ列から適切な復調データを生成することが可能になる。すなわち、本形態では、カード2の移動速度の変動が大きい場合や、カード2に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、磁気データを適切に復調することが可能になる。
【0052】
本形態では、ステップS3において、判定用インターバル5〜1と、テンプレートに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとの差の絶対値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出し、ステップS4において、ビットごとに算出された絶対値のビットパターンごとの総和である総和値を算出し、ステップS5、S6、S8において、算出された総和値が最小となるビットパターンを予備データ列としている。そのため、比較的容易な処理で、予備データ列を適切に特定することが可能になる。
【0053】
本形態では、ステップS1において、5個の判定用インターバル5〜1の直前の4個の算出用インターバル4〜1に基づいて、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出して特定している。そのため、カード2の移動速度の変動が大きい場合であっても、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルをより適切に特定することが可能になる。したがって、本形態では、カード2の移動速度の変動が大きい場合であっても、磁気データをより適切に復調することが可能になる。
【0054】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0055】
上述した形態では、予備データ生成部5は、磁気ヘッド3から出力されるアナログ状の磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔であるインターバルt1〜t19に基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成している。この他にもたとえば、予備データ生成部5は、アナログ状の磁気データの読取信号から生成されるデジタル信号(図8参照)の反転時間間隔であるインターバルt1〜t19に基づいて、復調データを生成するための複数の予備データ列を生成しても良い。
【0056】
上述した形態では、ステップS3において、予備データ生成部5は、ビットパターンを構成する第2個別データに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルと、判定用インターバル5〜1との差の絶対値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出している。この他にもたとえば、ステップS3において、予備データ生成部5は、ビットパターンを構成する第2個別データに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルと、判定用インターバル5〜1との差の二乗である二乗値を、ビットパターンごとに、かつ、ビットパターンのビットごとに算出しても良い。この場合には、予備データ生成部5は、ステップS4で、ビットごとに算出された二乗値のビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された総和値が最小値であれば(ステップS5で“Yes”であれば)、ステップS6で、総和値が最小となるビットパターンを記憶する。この場合には、判定用インターバル5〜1と、ビットパターンを構成する第2個別データに第1基準インターバルまたは第2基準インターバルとの大小の比較を行わなくても、予備データ列を適切に特定することが可能になる。
【0057】
また、予備データ生成部5は、ステップS3において、ビットパターンを構成する第2個別データに割り振られた第1基準インターバルまたは第2基準インターバルと、判定用インターバル5〜1との偏差を、ビットパターンごとに算出しても良い。
【0058】
上述した形態では、予備データ列は、5ビットの第1個別データによって構成されている。この他にもたとえば、予備データ列は、2ビット〜4ビットの第1個別データによって構成されても良いし、6ビット以上の第1個別データによって構成されても良い。この場合には、予備データ列の第1個別データのビット数と同じビット数の第2個別データからなるビットパターンがテンプレートに列挙される。なお、3ビット以上の第1個別データによって予備データ列が構成されている場合には、カード2の移動速度の変動が大きい場合や、カード2に記録された磁気データの記録精度が低い場合であっても、予備データ列をより適切に特定することが可能になる。一方、8ビット以下の第1個別データによって予備データ列が構成されている場合には、予備データ列の生成処理時間が必要以上に長くなるのを防止することが可能になる。
【0059】
上述した形態では、予備データ生成部5は、ステップS1において、算出用インターバルに対応する第1個別データが“0”であるときの2ビット分の算出用インターバルに基づいて、または、算出用インターバルに対応する第1個別データが“0”であるときの1ビット分の算出用インターバルと算出用インターバルに対応する第1個別データが“1”であるときの2ビット分の算出用インターバルとに基づいて、あるいは、算出用インターバルに対応する第1個別データが“1”であるときの4ビット分の算出用インターバルに基づいて第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出している。すなわち、予備データ生成部5は、ステップS1において、第1個別データが“0”であるときの2ビット分の算出用インターバルに基づいて第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出している。この他にもたとえば、第1個別データが“0”であるときの1ビット分の算出用インターバルに基づいて第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出しても良いし、第1個別データが“0”であるときの3ビット分以上の算出用インターバルに基づいて第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを算出しても良い。
【0060】
上述した形態では、予備データ生成部5に記憶されるテンプレートに、5ビットのビットパターンとして考えられる32個のビットパターンのうちの13個のビットパターン1〜ビットパターン13が列挙されている。この他にもたとえば、5ビットのビットパターンとして考えられる32個のビットパターンのうちの、“0”データの間に奇数個の“1”データがくる12個のビットパターンを除く20個のビットパターンがテンプレートに列挙されても良い。
【0061】
上述した形態では、磁気データの復調装置1は、手動式のカードリーダであるが、磁気データの復調装置1は、搬送ローラ等のカード2の搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであっても良い。この場合には、上述した形態と同様に、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを特定しても良いし、第1基準インターバルおよび第2基準インターバルが固定値であっても良い。第1基準インターバルおよび第2基準インターバルが固定値である場合には、予め、テンプレートに第1基準インターバルおよび第2基準インターバルを割り振っておけば良い。
【0062】
上述した形態では、F2F周波数変調方式によって、カード2に磁気データが記録されているが、F3F周波数変調方式等の他の磁気記録方式によって、カード2の磁気データが記録されても良い。また、上述した形態では、磁気情報記録媒体は、カード2であるが、磁気情報記録媒体は、通帳等の他の媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 磁気データの復調装置
2 カード(磁気情報記録媒体)
3 磁気ヘッド
4 データ復調部
5 予備データ生成部
6 復調データ生成部
S1 基準インターバル特定ステップ(予備データ生成ステップの一部)
S2 基準インターバル割振りステップ(予備データ生成ステップの一部)
S3 比較ステップ(予備データ生成ステップの一部)
S4〜S6、S8 予備データ特定ステップ(予備データ生成ステップの一部)
S7 予備データ生成ステップの一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法において、
アナログ状の前記磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔または前記読取信号から生成されるデジタル信号の反転時間間隔であるインターバルに基づいて、前記復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成ステップを備え、
前記予備データ列は、前記インターバルに基づいて特定される第1個別データによって構成されるとともに、複数ビットの前記第1個別データによって構成され、
前記予備データ生成ステップは、
前記予備データ列の前記第1個別データが“0”であると判別するための基準となる前記インターバルである第1基準インターバルと、前記第1個別データが“1”であると判別するための基準となる前記インターバルである第2基準インターバルとを特定する基準インターバル特定ステップと、
前記予備データ列を構成する前記第1個別データと同数の複数ビットの第2個別データによって構成される複数のビットパターンの全部または一部が列挙されたテンプレートに、前記第2個別データごと、かつ、前記第2個別データが“0”であれば前記第1基準インターバルを、前記第2個別データが“1”であれば前記第2基準インターバルを割り振る基準インターバル割振りステップと、
前記第1個別データを特定するための前記インターバルである複数の判定用インターバルと、前記テンプレートに割り振られた前記第1基準インターバルまたは前記第2基準インターバルとを、前記ビットパターンごとに、かつ、前記ビットパターンのビットごとに比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記予備データ列に相当する前記ビットパターンを特定して、特定された前記ビットパターンを前記予備データ列とする予備データ特定ステップとを備えることを特徴とする磁気データの復調方法。
【請求項2】
前記比較ステップでは、前記判定用インターバルと、前記テンプレートに割り振られた前記第1基準インターバルまたは前記第2基準インターバルとの差の絶対値を、前記ビットパターンごとに、かつ、前記ビットパターンのビットごとに算出し、
前記予備データ特定ステップでは、前記比較ステップでビットごとに算出された前記絶対値の前記ビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された前記総和値が最小となる前記ビットパターンを前記予備データ列とすることを特徴とする請求項1記載の磁気データの復調方法。
【請求項3】
前記比較ステップでは、前記判定用インターバルと、前記テンプレートで割り振られた前記第1基準インターバルまたは前記第2基準インターバルとの差の二乗である二乗値を、前記ビットパターンごとに、かつ、前記ビットパターンのビットごとに算出し、
前記予備データ特定ステップでは、前記比較ステップでビットごとに算出された前記二乗値の前記ビットパターンごとの総和である総和値を算出し、算出された前記総和値が最小となる前記ビットパターンを前記予備データ列とすることを特徴とする請求項1記載の磁気データの復調方法。
【請求項4】
前記基準インターバル特定ステップでは、複数の前記判定用インターバルの直前の1または2以上の前記インターバルに基づいて、前記第1基準インターバルおよび前記第2基準インターバルを算出して特定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気データの復調方法。
【請求項5】
前記予備データ列は、3〜8ビットの前記第1個別データによって構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気データの復調方法。
【請求項6】
磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドで読み取った前記磁気データを復調して復調データを生成するデータ復調部とを備え、
前記データ復調部は、前記磁気ヘッドから出力されるアナログ状の前記磁気データの読取信号のピーク間の時間間隔または前記読取信号から生成されるデジタル信号の反転時間間隔であるインターバルに基づいて、前記復調データを生成するための複数の予備データ列を生成する予備データ生成部と、前記予備データ生成部で生成された複数の前記予備データ列に基づいて前記復調データを生成する復調データ生成部とを備え、
前記予備データ列は、前記インターバルに基づいて特定される第1個別データによって構成されるとともに、複数ビットの前記第1個別データによって構成され、
前記予備データ生成部には、前記予備データ列を構成する前記第1個別データと同数の複数ビットの第2個別データによって構成される複数のビットパターンの全部または一部が列挙されたテンプレートが記憶され、
前記予備データ生成部は、
前記予備データ列の前記第1個別データが“0”であると判別するための基準となる前記インターバルである第1基準インターバルと、前記第1個別データが“1”であると判別するための基準となる前記インターバルである第2基準インターバルとを特定し、
前記テンプレートに、前記第2個別データごと、かつ、前記第2個別データが“0”であれば前記第1基準インターバルを、前記第2個別データが“1”であれば前記第2基準インターバルを割り振り、
前記第1個別データを特定するための前記インターバルである複数の判定用インターバルと、前記テンプレートに割り振られた前記第1基準インターバルまたは前記第2基準インターバルとを、前記ビットパターンごとに、かつ、前記ビットパターンのビットごとに比較し、
この比較結果に基づいて、前記予備データ列に相当する前記ビットパターンを特定して、特定された前記ビットパターンを前記予備データ列とすることを特徴とする磁気データの復調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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