説明

磁気ヘッドサスペンション

【課題】荷重曲げ部のバネ定数を不当に上げることなく耐衝撃性を向上させつつ、振動モードの共振周波数を向上させる。
【解決手段】サスペンション長手方向に延びる一対の板バネの先端部が支持部における一対の支持片に連結され且つ基端部がロードビーム部の基端側に連結された状態で、少なくとも前記磁気ヘッドサスペンションの作動時には前記ロードビーム部における先端側及び基端側の間に位置する一対の重合領域が、前記板バネよりサスペンション幅方向外方側且つサスペンション長手方向先端側に位置する一対の凸部を介して前記一対の支持片に押圧されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ヘッドスライダによって記録媒体に対してデータをリード及び/又はライトするデータ記憶装置は、ノートブック型PC、ビデオカメラや携帯音楽プレーヤー等のモバイル機器においても広く利用されており、これに伴い、前記磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションにもより高い耐衝撃性が求められている。
【0003】
耐衝撃性は、一般的に、前記磁気ヘッドスライダの前記ディスク面から離間する方向への跳躍動作を引き起こす衝撃力の加速度(限界加速度)を用いて評価される。
詳しくは、前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面から離間させるような方向の衝撃力(以下、跳躍方向衝撃力という)を前記磁気ヘッドサスペンションに与え、且つ、前記跳躍方向衝撃力の加速度を徐々に増加させることで、前記磁気ヘッドスライダの前記ディスク面から離間する方向への跳躍動作を引き起こす際の前記跳躍方向衝撃力の加速度(限界加速度)を測定又は算出する。
【0004】
即ち、前記データ記憶装置が落下して床面に衝突する際等においては、前記磁気ヘッドサスペンションには、前記跳躍方向衝撃力が印可される。前記跳躍方向衝撃力が限界加速度を超える加速度を有する場合には、前記磁気ヘッドスライダの跳躍動作が生じる。前記磁気ヘッドスライダが跳躍すると、この跳躍の揺れ戻しの際に前記磁気ヘッドスライダがディスク面に衝突し、前記磁気ヘッドスライダ及び/又は前記ディスク面が損傷する恐れがある。従って、前記磁気ヘッドサスペンションには、より大きな加速度の跳躍方向衝撃力が印可されても前記磁気ヘッドスライダが跳躍しないことが望まれる。このような理由から、耐衝撃性を評価する方法として、前記跳躍方向衝撃力の限界加速度が用いられており、前記限界加速度が大きいほど耐衝撃性に優れていることになる。
【0005】
磁気ヘッドサスペンションの耐衝撃性を向上させる一つの手段としては、衝撃力の印可時に前記磁気ヘッドサスペンションにおける荷重曲げ部より先端側に位置する部分に生じる前記衝撃力によるモーメントを低減させることが考えられる。
詳しく説明すると、前記磁気ヘッドサスペンションは、アーム又はベースプレート等の支持部と、磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され、前記荷重曲げ部によって発生された荷重を先端側へ伝達するロードビーム部と、磁気ヘッドスライダを支持するヘッド搭載領域を有し、前記ヘッド搭載領域が前記ロードビーム部に設けられたディンプルに係合された状態で前記ロードビーム部に接合されるフレクシャ部とを備えている。
【0006】
前記磁気ヘッドサスペンションは、前記荷重曲げ部によって発生され且つ前記ロードビーム部によって前記磁気ヘッドスライダに伝達された荷重がディスク面の回転に伴って前記磁気ヘッドスライダに作用する空気圧と釣り合うように構成されており、これにより、前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面上において所定高さに保持し得るようになっている。
【0007】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンションにおいて、前記ロードビーム部及び前記荷重曲げ部の連結点と前記ディンプルとの間のサスペンション長手方向距離(以下、荷重伝達長さLdという)を短くすると、前記ロードビーム部の質量に比例して発生する前記跳躍方向衝撃力による前記連結点回りのモーメントを低減でき、これにより、前記ディスク面との衝突を引き起こすような前記磁気ヘッドスライダの跳躍動作を防止することができる。
【0008】
しかしながら、前記荷重伝達長さLdを短くし過ぎると、結果的に前記荷重曲げ部のバネ定数K(磁気ヘッドスライダのz方向への変位に対する荷重曲げ部の剛性)が高くなり過ぎてしまい、前記磁気ヘッドサスペンションの作動状態において前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面上の所定高さに保持できないという不都合が生じる。
【0009】
即ち、前記磁気ヘッドスライダはサスペンション長手方向に関し前記ディンプルと同一位置に位置している。ここで、前記荷重伝達長さLdがX1の場合において前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面上で所定高さHだけ浮上させる際の前記荷重曲げ部の弾性変形量がY1であったと仮定する。前記荷重伝達長さLdをX1より短いX2とすると、前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面上で所定高さHに保持する為には前記荷重曲げ部はY1より大きく弾性変形しなければならなくなる。より詳しくは、前記荷重曲げ部のバネ定数Kと前記荷重伝達長さLdとは、K∝1/(Ld)の関係にある為、前記荷重伝達長さLdを短くすることによって耐衝撃性を向上させ得るものの、前記荷重曲げ部のバネ定数Kが大きくなり過ぎるという問題が生じる。
【0010】
前記荷重曲げ部のバネ定数Kを所望範囲に維持しつつ、耐衝撃性を向上させる為の構成が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
詳しくは、前記特許文献1に記載の磁気ヘッドサスペンションは、ロードビーム部として作用する支持アームであって、先端側において磁気ヘッドスライダを支持し且つ基端側において平衡質量体を支持する支持アームと、アームの形態をなす支持部と、前記支持部及び前記支持アームを連結する荷重曲げ部とを備えている。
【0011】
前記支持部は、互いに重合した状態で接合されるベースアーム及びアームプレートを有している。
前記アームプレートは、単一のプレート部材によって前記支持アーム及び前記荷重曲げ部と一体形成されており、前記ベースアームにおけるディスク面側の表面に接合されている。前記アームプレートは、本体領域と、前記本体領域の幅方向両側から先端側へ延びる一対の延長領域とを有している。
前記支持アームは、前記一対の延長領域によって画される凹部内においてサスペンション長手方向に沿って延びている。
前記荷重曲げ部は、前記凹部内において前記支持アームのサスペンション幅方向両側に位置した状態でサスペンション長手方向に沿って延びる一対の板バネを有しており、前記一対の板バネは、先端側が前記一対の延長領域の先端部に連結され且つ基端側が前記支持アームの基端側に連結されている。
【0012】
さらに、前記ベースアームには、前記ディスク面に近接する方向へ突出した一対の凸部であって、磁気ヘッドサスペンションの長手方向中心線を基準にして対称に配置された一対の凸部が設けられており、前記一対の凸部が前記支持アームにおけるディスク面とは反対側の表面に係合されている。
【0013】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンションは、前記ロードビーム部として作用する前記支持アームが前記一対の凸部を支点として前記ディスク面に接離する方向に回動する為、前記荷重曲げ部のバネ定数Kを大きくすることなく、耐衝撃性を向上させることができる点で有用である。
【0014】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションの作動時には、前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記支持アームは前記一対の凸部を回動支点として先端側が前記ディスク面から離間し且つ基端側が前記ディスク面に近接する方向へ回動し、前記支持アームの回動に応じて前記一対の板バネが弾性変形することで前記一対の板バネが前記磁気ヘッドスライダを前記ディスク面へ押し付ける荷重を発生する。
一方、前記磁気ヘッドサスペンションに跳躍方向衝撃力が印可された際には、前記支持アームのうち前記一対の凸部より先端側に位置する部分及び基端側に位置する部分に、それぞれ、前記ディスク面から離間する方向へ前記衝撃力によるモーメントが作用する。つまり、跳躍方向衝撃力の印可時には、前記一対の凸部を基準にして前記支持アームの先端側及び基端側には互いに相殺する方向に前記衝撃力によるモーメントが作用し、これにより、跳躍方向衝撃力印可時における前記磁気ヘッドスライダの跳躍動作を有効に防止することができる。
【0015】
このように、前記特許文献1に記載の磁気ヘッドサスペンションは、前記ロードビーム部として作用する前記支持アームの長さを必要以上に短くすることなく、耐衝撃性の向上を図ることができるが、首振りモード(sway mode)及び/又はや捩りモード(torsion mode)を引き起こす振動の共振周波数の高域化については考慮されていない。
【0016】
即ち、前記支持部として作用する前記ベースアームに設けられた前記一対の凸部は、サスペンション幅方向に関し前記一対の板バネの間において前記ロードビーム部として作用する前記支持アームに係合されている。斯かる構成においては、前記一対の凸部によって首振り動作及び/又は捩り動作に関する前記支持アームの支持安定化を図ることができず、結果として、首振りモード及び捩りモードの振動の共振周波数を高域化することができない。この振動の共振周波数の高域化は、前記磁気ヘッドスライダを目的のトラック上に高速に移動させる際に重要な要因となる。
【特許文献1】特許第3966229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、荷重曲げ部のバネ定数Kを不当に上げることなく耐衝撃性を向上させ得る磁気ヘッドサスペンションであって、さらに、振動モードの共振周波数を向上させ得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前記目的を達成する為に、アクチュエータによって直接又は間接的に回動基準軸回りにディスク面と平行な方向に回動される支持部と、一端部が前記支持部に連結され、磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記支持部より前記ディスク面に近接する側に位置された状態で前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持されたロードビーム部と、前記ロードビーム部に接合され且つ前記磁気ヘッドスライダを支持するフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部は、前記アクチュエータによって直接又は間接的に回動される本体領域と、サスペンション幅方向に関し両者の間に間隙が存する状態で前記本体領域から先端側へ延びる一対の支持片とを有し、前記ロードビーム部は、基端側が平面視において前記間隙内に位置し且つ先端側が前記一対の支持片の先端よりも先端側に位置するようにサスペンション長手方向に延び、前記荷重曲げ部は、平面視において前記間隙内に位置する状態で前記ロードビーム部のサスペンション幅方向両側においてサスペンション長手方向に延び、先端側が前記一対の支持片にそれぞれ連結され且つ基端側が前記ロードビーム部に連結された一対の板バネを有し、前記ロードビーム部には、前記一対の支持片及び前記一対の板バネの連結点よりも先端側に位置し且つ平面視において前記一対の支持片にそれぞれ重合される一対の重合領域が設けられており、前記一対の重合領域及び前記一対の支持片の少なくとも一方には、サスペンション長手方向中心線を基準にして対称に配置され且つ前記一対の重合領域及び前記一対の支持片の他方に向けて突出された一対の凸部が設けられており、少なくとも前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダが所定高さに浮上している磁気ヘッドサスペンションの作動状態の際には、前記一対の重合領域が前記一対の凸部を介して前記一対の支持片に向けて押圧される磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0019】
好ましくは、前記支持部は前記一対の支持片の間を連結する連結片を有し得る。
又、好ましくは、前記荷重曲げ部、前記ロードビーム部、前記フレクシャ部及び前記磁気ヘッドスライダからなるアッセンブリのうち前記一対の凸部を結ぶ揺動軸線より先端側に位置する部分及び基端側に位置する部分の質量が等しくなるように、前記一対の凸部のサスペンション長手方向位置を画することができる。
【0020】
好ましくは、前記ロードビーム部は、第1プレート部材と、前記第1プレート部材より板厚の薄い第2プレート部材であって、前記第1プレート部材に固着される第2プレート部材とを含み得る。
前記第1プレート部材は、平面視において前記間隙内に位置する領域及び前記一対の重合領域を含む。前記第2プレート部材は、前記フレクシャ部における磁気ヘッド搭載領域の前記ディスク面とは反対側の裏面に当接するディンプルと、サスペンション長手方向に関し前記一対の凸部より先端側に位置する領域のサスペンション幅方向両側縁に、サスペンション長手方向に関し前記ディンプルを跨ぐように設けられた一対のフランジとを有する。
前記第1プレート部材の先端部が前記一対のフランジの間に突入された状態で前記第1及び第2プレート部材が固着される。
【0021】
好ましくは、前記第2プレート部材は、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材より先端側に位置し、前記ディンプルを含む先端側領域と、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材と同一位置に位置される基端側領域と、前記一対の板バネを形成するように前記基端側領域から延びる板バネ形成領域とを一体的に備え得る。
【0022】
前記種々の構成において、好ましくは、前記ロードビーム部に設けられた係合片と、前記係合片との間に前記ディスク面と直交する方向に空間が存する状態で前記係合片より前記ディスク面に近接する側に位置し且つ平面視において前記係合片とオーバーラップするように前記支持部に直接又は間接的に設けられた停止片と備え得る。
好ましくは、前記停止片は、少なくとも一部がサスペンション長手方向に関し前記一対の凸部とオーバーラップするように、配置される。
【0023】
前記種々の構成において、好ましくは、前記一対の支持片は前記本体領域よりも前記ディスク面から離間された一対の離間領域を有し、前記一対の重合領域は前記一対の凸部を介して前記一対の離間領域に係合される。
【0024】
前記種々の構成において、好ましくは、板面が前記ディスク面に略平行で且つ長手方向がサスペンション幅方向に沿うようにサスペンション幅方向外方側に位置する外端部が前記支持片に直接又は間接的に連結され且つサスペンション幅方向内方側に位置する内端部が前記ロードビーム部に連結された一対の押し付けバネであって、前記一対の重合領域を前記一対の凸部を介して前記一対の支持片へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生しつつ、捩れ弾性変形することで前記ロードビーム部の前記揺動軸線回りの揺動動作を許容する一対の押し付けバネを備え得る。
【0025】
より好ましくは、前記押し付けバネの長手方向中心線は前記一対の凸部を結ぶ揺動軸線とサスペンション長手方向に関し同一位置に位置される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、荷重曲げ部のバネ定数を不当に上げることなく耐衝撃性を向上させつつ、さらに、振動モードの共振周波数を向上させることができる。
即ち、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションにおいては、サスペンション長手方向に延びる一対の板バネの先端部が支持部における一対の支持片に連結され且つ基端部がロードビーム部の基端側に連結された状態で、少なくとも前記磁気ヘッドサスペンションの作動時には前記ロードビーム部における先端側及び基端側の間に位置する一対の重合領域が、前記板バネよりサスペンション幅方向外方側且つサスペンション長手方向先端側に位置する一対の凸部を介して前記一対の支持片に押圧されている。
【0027】
前記構成によれば、跳躍方向衝撃力が加わった際に、前記一対の凸部を基準にして前記ロードビーム部の先端側及び基端側には互いに対して相殺する方向に衝撃力によるモーメントが作用することになる。従って、前記一対の板バネのバネ定数を不当に上げることなく、跳躍方向衝撃力に対する耐衝撃性を有効に向上させることができる。
【0028】
さらに、前記構成によれば、前記磁気ヘッドサスペンションの作動時に、前記ロードビーム部における前記一対の重合領域が前記一対の凸部を介して前記一対の支持片に押圧されている。つまり、前記ロードビーム部は、前記一対の凸部を結ぶ揺動軸線回りに揺動可能とされた状態で、前記一対の板バネより磁気ヘッドサスペンション幅方向外方に位置された前記一対の凸部を介して前記一対の支持片に係合支持されている。
従って、Swayモードの振動及びTorsionモードの振動に関する共振周波数を有効に高域化させることができ、前記磁気ヘッドスライダを目的のトラック上に安定して高速に移動させることができる。
【0029】
又、前記一対の重合領域が前記一対の凸部を介して前記一対の支持片に押し付けられる力は、磁気ヘッドスライダをディスク面に近接させるような方向の近接方向衝撃力に抗するように作用する。従って、近接方向衝撃力の印可時に、前記ロードビーム部,前記フレクシャ部及び前記磁気ヘッドスライダからなるアッセンブリ全体が前記ディスク面へ向けて押動されることを有効に防止又は低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの上面図(ディスク面とは反対側から見た図)及び下面図(ディスク面側から見た図)を示す。
又、図2(a)に前記磁気ヘッドサスペンション1Aの側面図を、図2(b)に図2(a)におけるII部の拡大図を示す。なお、図中の符号90は溶接点である。
【0031】
前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、図1及び図2に示すように、アクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的に回動基準軸回りにディスク面と平行な方向に回動される支持部10と、一端部が前記支持部10に連結され、磁気ヘッドスライダ100をディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部40と、前記支持部10より前記ディスク面に近接する側に位置された状態で前記荷重曲げ部40を介して前記支持部10に支持されたロードビーム部20と、前記ロードビーム部20に接合され且つ前記磁気ヘッドスライダ100を支持するフレクシャ部30とを備えている。
【0032】
前記支持部10は、図1及び図2に示すように、前記アクチュエータによって直接又は間接的に回動される本体領域11と、サスペンション幅方向に関し両者の間に間隙15が存する状態で前記本体領域11から先端側へ延びる一対の支持片12とを有している。
【0033】
本実施の形態においては、図1(a)に示すように、前記支持部10は、さらに、前記一対の支持片12の先端部同士を連結する連結片13を有している。前記連結片13を備えることにより、前記一対の支持片12の剛性を効果的に向上させることができる。
【0034】
本実施の形態においては、前記支持部10は、図1に示すように、前記アクチュエータによって回動基準軸回りに回動されるEブロックのアーム(図示せず)の先端にスウェッジ加工により接合されるボス部19を備えたベースプレートとされているが、これに代えて、前記支持部10を前記アクチュエータの前記回動基準軸に直接的に連結されるアームとすることも可能である。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mm程度のステンレス板によって形成され得る。
【0035】
前記ロードビーム部20は、前記荷重曲げ部40によって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ100に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
詳しくは、板厚の厚い部材によって形成すること及び/又はサスペンション幅方向両側にフランジを形成することによって、前記所定の剛性を得ることができる。前記ロードビーム部20は、例えば、厚さ0.015mm〜0.1mm程度のステンレス板によって形成される。
【0036】
前記ロードビーム部20の先端部には、所謂ディンプルと呼ばれる突起21が設けられている。
前記突起21は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.04mm〜0.1mm程度突出されている。この突起21は、前記フレクシャ部30におけるヘッド搭載領域33の裏面(ディスク面とは反対側の面)に接触しており、前記荷重曲げ部40によって発生される前記荷重はこの突起21を介して前記フレクシャ部30のヘッド搭載領域33に伝達される。
【0037】
前記ロードビーム部20は、図1に示すように、基端側が平面視において前記間隙15内に位置し且つ先端側が前記一対の支持片12の先端よりも先端側に位置するようにサスペンション長手方向に延びている。
なお、前記ロードビーム部20の詳細構成については後述する。
【0038】
前記フレクシャ部30は、前記磁気ヘッドスライダ100を支持した状態で前記ロードビーム部20に溶接等により接合される。
詳しくは、前記フレクシャ部30は、図1に示すように、前記ロードビーム部20の下面(ディスク面に対向する側の面)に溶接等によって接合される本体領域31と、前記本体領域31から先端側へ延びる一対の支持片32と、前記支持片32によって支持された前記ヘッド搭載領域33とを有している。
【0039】
前記ヘッド搭載領域33は、ディスク面と対向する対向面において前記磁気ヘッドスライダ100を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域33の裏面には前記突起21が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域33は前記突起21を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0040】
前記フレクシャ部30は、前記ヘッド搭載領域33がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部20よりも低剛性の部材によって形成される。前記フレクシャ部30は、例えば、厚さ0.015mm〜0.025mm程度のステンレス板によって形成される。
なお、前記フレクシャ部30には、前記磁気ヘッドスライダ100に書き込み信号及び/又は読み取り信号を伝達する為の配線をプリント回路として一体的に設けることも可能である。即ち、前記フレクシャ部30を形成するステンレス板等の板材に、絶縁層及び前記配線を形成する導体層を一体的に積層させることも可能である。
【0041】
前記荷重曲げ部40は、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの長手方向中心線CLを基準にして互いに対して対称とされた状態で前記支持部10及び前記ロードビーム部20の間に延びる一対の板バネ51を有している。
詳しくは、図1に示すように、前記一対の板バネ51は、平面視において前記間隙15内に位置する状態で前記ロードビーム部20のサスペンション幅方向両側においてサスペンション長手方向に沿って延びており、先端側が前記一対の支持片12にそれぞれ連結され且つ基端側が前記ロードビーム部20に連結されている。
【0042】
本実施の形態においては、前記一対の板バネ51は単一のプレート部材50Aによって一体形成されている。
詳しくは、前記プレート部材50Aは、図1に示すように、前記一対の支持片12におけるディスク面側の表面に当接された状態で該表面に溶接等により固着される一対の支持部側接合領域53と、前記一対の板バネ51と、前記ロードビーム部20の基端側におけるディスク面側の表面に当接された状態で該表面に溶接等により固着されるロードビーム部側接合領域55と、前記一対の支持部側接合領域53及び前記一対の板バネ51の先端側の間をそれぞれ連結する一対の先端側湾曲領域52と、前記ロードビーム部側接合領域55及び前記一対の板バネ51の基端側の間をそれぞれ連結する一対の基端側湾曲領域54とを含んでいる。
【0043】
ここで、前記ロードビーム部20の詳細構成について説明する。
図1に示すように、前記ロードビーム部20には、前記一対の支持片12及び前記一対の板バネ51の連結点よりも先端側に位置し且つ平面視において前記一対の支持片12にそれぞれ重合される一対の重合領域25が設けられている。
【0044】
詳しくは、前記ロードビーム部20は、基端側が平面視において前記凹部15内に位置し且つ先端側が前記一対の支持片12よりも先端側に位置する本体領域22であって、前記一対の支持片12よりも先端側において前記ディンプル21が設けられた本体領域22と、前記本体領域22から磁気ヘッドサスペンション幅方向両側へ延在された前記一対の重合領域25とを有している。
【0045】
さらに、前記磁気ヘッドサスペンション1Aには、図2に示すように、前記一対の重合領域25及び前記一対の支持片12の少なくとも一方に、サスペンション長手方向中心線CLを基準にして対称に配置され且つ前記一対の重合領域25及び前記一対の支持片12の他方に設けて突出された一対の凸部60が設けられている。
【0046】
前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、少なくとも前記磁気ヘッドサスペンション1Aが作動状態の際には前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に向けて押圧されるように構成されている。
即ち、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時には、前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダ100が前記ディスク面から所定距離だけ浮上し、前記ロードビーム部20は先端側が前記ディスク面から離間するように揺動する。本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aは、少なくとも前記磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時における前記ロードビーム部20の揺動動作の際には、前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に向けて押圧されるように構成されている。
【0047】
なお、本実施の形態においては、図2(b)に示すように、前記一対の凸部60は、前記一対の支持片12へ向けて突出するように前記一対の重合領域25に設けられている。
これに代えて、前記一対の凸部60を、前記一対の重合領域25へ向けて突出するように前記一対の支持片12に設けることも可能である。
【0048】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンション1Aによれば、前記荷重曲げ部40を形成する前記一対の板バネ51のバネ定数(磁気ヘッドスライダ100のz方向(前記ディスク面と直交する方向)への変位に対する前記一対の板バネ51の剛性)を不当に上げることなく耐衝撃性を向上させることができ、さらに、振動モードの共振周波数も向上させることができる。
【0049】
即ち、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前述の通り、サスペンション長手方向に延びる前記一対の板バネ51の先端部が前記一対の支持片12に連結され且つ基端部が前記ロードビーム部20の基端側に連結された状態で、少なくとも前記磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時には前記ロードビーム部20における先端側及び基端側の間に位置する前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押圧されている。
【0050】
斯かる構成によれば、前記ディスク面から離間する方向へ前記磁気ヘッドスライダ100を跳躍させるような跳躍方向衝撃力が印可された際に、前記ロードビーム部20のうちサスペンション長手方向に関し前記一対の凸部60より先端側に位置する部分及び基端側に位置する部分の双方に前記ディスク面から離間する方向へ前記衝撃力によるモーメントが作用する。即ち、前記跳躍方向衝撃力が加わると、前記一対の凸部60を基準にして前記ロードビーム部20の先端側及び基端側には互いに対して相殺する方向に前記衝撃力によるモーメントが作用することになる。従って、前記一対の板バネ51のバネ定数を不当に上げることなく、跳躍方向衝撃力に対する耐衝撃性を有効に向上させることができる。
【0051】
さらに、前記構成においては、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時(即ち、前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダ100が前記ディスク面上で所定高さHだけ浮上している際)に、前記ロードビーム部20における前記一対の重合領域25は前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押圧されることになる。
【0052】
つまり、前記ロードビーム部20は、前記一対の凸部60を結ぶ揺動軸線SL回りに揺動可能とされた状態で、前記一対の板バネ51より磁気ヘッドサスペンション幅方向外方に位置された前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片に係合支持されることになる。
【0053】
従って、Swayモードの振動(前記ロードビーム部20の先端側を前記ディスク面と平行な方向へ首振り動作させるような振動)及びTorsionモードの振動(前記ロードビーム部20を前記長手方向中心線CL回りに捩れ動作させるような振動)に関する共振周波数を有効に高域化させることができる。この振動の共振周波数の高域化は、前記磁気ヘッドスライダ100を目的のトラック上に高速に移動させる際に重要な要因となる。
【0054】
前記磁気ヘッドスライダ100が回転駆動されているディスク面上に位置された前記磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時においては、前記磁気ヘッドスライダ100は、前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダ100が前記ディスク面から離間する方向へ前記ロードビーム部20の先端側が前記揺動軸線SL回りに押圧される力(以下、空気圧による力という)と前記磁気ヘッドサスペンション1A(主には前記荷重曲げ部)が前記磁気ヘッドスライダ100をディスク面に向けて押し付ける力(荷重)とが釣り合った状態で、ディスク面上において安定的に浮上する。
この磁気ヘッドサスペンション1Aの作動時において前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押し付けられる押し付け力は、前記空気圧と前記ロードビーム部20の前記揺動軸線SL回りの揺動動作に応じて前記一対の板バネ51によって発生され且つ前記ロードビーム部20の基端側に作用する力との合力と等しくなる。
【0055】
つまり、前記空気圧によって前記ロードビーム部20の先端側を前記ディスク面から離間させる方向へxの力が作用すると、このxの力によって前記ロードビーム部20は前記揺動軸線SL回りに先端側が前記ディスク面から離間し且つ基端側が前記ディスク面へ近接する方向へ揺動する。この前記ロードビーム部20の揺動動作に応じて前記一対の板バネ51は弾性変形して、前記ロードビーム部20の基端側が前記ディスク面から離間する方向へ力を発生する。
仮に、前記ロードビーム部20の基端側及び前記一対の板バネ51の連結点と前記一対の凸部60との間のサスペンション長手方向距離が、前記一対の凸部60と前記ディンプル21との間のサスペンション長手方向距離と等しく、且つ、前記ロードビーム部20が全く弾性変形しない剛体であると仮定すると、前記一対の板バネ51によって発生される前記力は前記空気圧による力と同一のxとなり、前記押し付け力は2xとなる。
【0056】
即ち、前記ロードビーム部20は、前記一対の板バネ51よりサスペンション幅方向外方に位置する前記一対の凸部60を介して前記押し付け力(前記仮定においては前記空気圧による力の2倍の力)で前記一対の支持片12に押し付けられることになる。
従って、Swayモード及びTorsionモードの振動に関する共振周波数は有効に高域化される。
【0057】
さらに、前記押し付け力は、跳躍方向衝撃力とは反対方向の衝撃力に対する耐衝撃性の向上にも有効に寄与する。
即ち、前記磁気ヘッドスライダ100を前記ディスク面に近接させるような方向の衝撃力(以下、近接方向衝撃力という)が印可されると、前記近接方向衝撃力は、前記ロードビーム部20,前記フレクシャ部30及び前記磁気ヘッドスライダ100からなるアッセンブリを全体的に前記ディスク面へ向けて押動する力として作用する。
【0058】
この点に関し、本実施の形態においては、前述の通り、前記ロードビーム部20が全く弾性変形しない剛体であると仮定した場合には、前記ロードビーム部20は、前記一対の板バネ51よりサスペンション幅方向外方に位置する前記一対の凸部60を介して前記空気圧による力の2倍の前記押し付け力で前記一対の支持片12に押し付けられている。
従って、前記近接方向衝撃力の印可時に、前記ロードビーム部20,前記フレクシャ部30及び前記磁気ヘッドスライダ100からなるアッセンブリ全体が前記ディスク面へ向けて押動されることを有効に防止又は低減できる。
【0059】
好ましくは、前記一対の凸部60は球面形状を有することができる。
斯かる構成によれば、前記一対の凸部60の形成容易化を図りつつ、前記ロードビーム部20の前記揺動軸線SL回りの揺動動作の安定化を図ることができる。
【0060】
又、好ましくは、前記荷重曲げ部40,前記ロードビーム部20,前記フレクシャ部30及び前記磁気ヘッドスライダ100を含むアッセンブリのうち前記一対の凸部60より先端側に位置する部分の質量と基端側に位置する部分の質量とが同一となるように、前記一対の凸部60のサスペンション長手方向位置を決定することができる。
斯かる構成によれば、跳躍方向衝撃力が印可された際に前記アッセンブリのうち前記一対の凸部60より先端側に位置する部分及び基端側に位置する部分に生じる前記衝撃力によるモーメントを等しくすることができ、従って、跳躍方向衝撃力に対する耐衝撃性をより向上させることができる。
【0061】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図3(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bの上面図及び下面図を示す。
なお、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0062】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bは、前記ロードビーム部20が2つの部材によって形成されている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aと相違している。
【0063】
即ち、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記ロードビーム部20は単一のプレート部材によって形成されている。
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションにおいては、前記ロードビーム部20は、溶接等により互いに接合される第1プレート部材210B及び第2プレート部材220Bによって形成されている。
【0064】
詳しくは、前記ロードビーム部20における前記本体領域22は、平面視において前記間隙15内に位置する基端側領域22aと、前記一対の凸部60よりサスペンション長手方向先端側に位置し、前記ディンプル21が設けられた先端側領域22cと、前記一対の凸部60を結ぶ前記揺動軸線SLを跨ぐように前記基端側領域22a及び前記先端側領域22cの間に延びる中間領域22bとを含んでいる。
そして、前記一対の重合領域25は、前記中間領域22bからサスペンション幅方向外方へ延在されている。
【0065】
斯かる構成において、図3に示すように、前記第1プレート部材210Bは、前記基端側領域22a、前記中間領域22b及び前記一対の重合領域25を形成している。
一方、前記第2プレート部材220Bは、前記第1プレート部材210Bより板厚が薄いものとされ、前記先端側領域22cを形成している。
【0066】
このように、前記ロードビーム部20の前記先端側領域22cを板厚の薄い前記第2プレート部材220Bによって形成し、且つ、前記ロードビーム部20の前記基端側領域22a及び一対の重合領域25を板厚の厚い前記第1プレート部材210Bによって形成することにより、前記ロードビーム部20の基端側領域22a及び一対の重合領域25の剛性を確保しつつ、前記ロードビーム部20の先端側領域22cの質量軽減を図ることができる。従って、耐衝撃性の向上及び振動モードの高域化をより効果的に図ることができる。
【0067】
好ましくは、前記第2プレート部材220Bには、サスペンション長手方向に関し前記一対の凸部60より先端側の領域のサスペンション幅方向両側縁に、サスペンション長手方向に関し前記ディンプル21を跨ぐように一対のフランジ28が設けられる。
そして、前記第1プレート部材210Bは、先端部が前記一対のフランジ28の間に突入された状態で前記第2プレート部材220Bに溶接等により接合される。
斯かる構成によれば、前記第2プレート部材220Bによって形成される前記ロードビーム部20の先端側領域22c、並びに、前記第1プレート部材210B及び前記第2プレート部材220B間の連結部位の剛性を効果的に向上させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、前記荷重曲げ部40は前記第2プレート部材220Bによって一体形成されている。
詳しくは、前記第2プレート部材220Bは、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材210Bより先端側に位置し、前記ディンプル21が設けられた先端側領域221Bと、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材210Bと同一位置に位置される基端側領域222Bと、前記一対の板バネ51を形成するように前記基端側領域222Bから延びる板バネ形成領域223Bとを一体的に備え、前記基端側領域222Bが前記第1プレート部材20Bに重合された状態で該第1プレート部材210Bに溶接によって接合されている。
【0069】
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部20に対する前記板バネ51の位置合わせを不要化でき、前記磁気ヘッドサスペンション1Bの製造効率の向上を図ることができる。
なお、前記板バネ形成領域223Bは、前記一対の支持部側接合領域53と、前記一対の板バネ51と、前記ロードビーム部側接合領域55と、前記一対の先端側湾曲領域52と、前記一対の基端側湾曲領域54とを含んでいる。
【0070】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図4(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cの上面図及び下面図を示す。
又、図5(a)に前記磁気ヘッドサスペンション1Cの側面図を、図5(b)に図5(a)におけるV部の拡大図を示す。
さらに、図6に、図4(a)におけるVI-VI線に沿った断面図を示す。
なお、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0071】
本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Cは、前記近接方向衝撃力が印可された際に、前記ロードビーム部20,前記フレクシャ部30及び前記磁気ヘッドスライダ100からなるアッセンブリが前記ディスク面に向けて押動されて前記ディスク面に衝突することを防止するストッパ機構を備えている。
【0072】
詳しく説明すると、前記実施の形態1及び2に係る前記磁気ヘッドサスペンション1A,1Bにおいては、前述の通り、前記ロードビーム部20が全く弾性変形しない剛体であると仮定した場合には、前記ロードビーム部20は、前記一対の板バネ51よりサスペンション幅方向外方に位置する前記一対の凸部60を介して前記空気圧による力の2倍の前記押し付け力で前記一対の支持片12に押し付けられている。
従って、前記近接方向衝撃力が前記押し付け力より小さい場合には、前記アッセンブリは前記ディスク面に近接する方向へは移動しない。
【0073】
しかしながら、前記近接方向衝撃力が前記押し付け力より大きい場合には、前記近接方向衝撃力と前記押し付け力との差分に応じて、前記アッセンブリが前記ディスク面に近接する方向へ移動することになる。
本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Cは前記ストッパ機構を備えることにより、前記押し付け力よりも大きな前記近接方向衝撃力が印可された場合であっても、前記アッセンブリの前記ディスク面に近接する方向への変位量を制限し、これにより、前記アッセンブリが前記ディスク面に衝突することを防止し得るように構成されている。
【0074】
具体的には、前記ストッパ機構は、図5(b)に示すように、前記ロードビーム部20に設けられた係合片71と、前記係合片71に対応するように前記支持部10に直接又は間接的に設けられた停止片72とを有している。
【0075】
前記停止片72は、前記磁気ヘッドサスペンション1Cの作動時に前記ロードビーム部20が前記揺動軸線SL回りに揺動することを許容しつつ、前記アッセンブリ全体が前記ディスク面に近接する方向へ所定値を越えて変位すると前記係合片71と係合して前記アッセンブリがそれ以上に前記ディスク面に近接する方向へ移動することを防止し得るように構成されている。
【0076】
詳しくは、前記停止片72は、前記磁気ヘッドサスペンション1Cの通常の作動時(即ち、衝撃力が印可されていない状態の前記磁気ヘッドサスペンション1Cの作動時)においては前記係合片71との間に空間が生じる状態で前記係合片71より前記ディスク面に近接する側に位置し(図5及び図6参照)且つz方向に沿った平面視において前記係合片71とオーバーラップするように(図4参照)、前記支持部10に直接又は間接的に設けられている。
【0077】
なお、前記空間のz方向距離は仕様に応じて適宜設定される。
本実施の形態においては、前記係合片71及び前記停止片72は、前記長手方向中心線CLを基準にして左右に設けられている。
【0078】
斯かる構成の前記ストッパ機構によれば、前記空間の存在によって前記ロードビーム部20が前記揺動軸線SL回りに揺動することを許容しつつ、前記近接方向衝撃力の印可時に前記アッセンブリが前記空間のz方向距離を超えて前記ディスク面に近接する方向へ移動することを防止できる。従って、近接方向衝撃力に関する耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0079】
好ましくは、前記停止片72は、サスペンション長手方向に関し前記一対の凸部60と略同一位置に位置させることができる。
斯かる構成によれば、前記空間のz方向距離を可及的に小さくしつつ、前記ロードビーム部20の前記揺動軸線SL回りの揺動動作を許容することができる。
本実施の形態においては、図5に示すように、サスペンション長手方向に関し前記停止片72の少なくとも一部が前記一対の凸部60とオーバーラップするように、前記停止片72が位置されている。
【0080】
又、好ましくは、前記係合片71は、図4に示すように、z方向に沿った平面視において前記停止片72以外の部材とはオーバーラップしないように前記ロードビーム部20に設けられている。
【0081】
本実施の形態においては、前記係合片71は前記ロードビーム部20に一体形成されており、これにより、前記係合片71の形成容易化を図っている。
図7に、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Cの分解上面図を示す。
【0082】
図4及び図7に示すように、前記ロードビーム部20は、前記実施の形態2におけると同様に、2つのプレート部材によって形成されている。
即ち、前記ロードビーム部20は、板厚の厚い第1プレート部材210Cと、板厚の薄い第2プレート部材220Cとを含んでいる。
【0083】
前記第1プレート部材210Cは、図7に示すように、前記基端側領域22a、前記中間領域22b及び前記一対の重合領域25に加えて、前記一対の重合領域25からサスペンション幅方向外方へそれぞれ延在された前記一対の係合片71を一体的に有している。
【0084】
図5及び図6に示すように、前記一対の係合片71は、前記ディスク面と対向する側の表面(下面)が他の領域の下面よりも前記ディスク面から離間するように、前記他の領域に比して薄肉とされている。
このように、前記一対の係合片71を前記他の領域に比して薄肉とすることにより、前記係合片71と前記停止片72との間の前記空間のz方向距離を有効に確保することができる。
【0085】
前記一対の係合片71の薄肉化は、例えば、エッチング加工によって容易に行うことができる。
即ち、前記ロードビーム部20(本実施の形態においては前記第1プレート部材210C)はエッチング加工によって好適に形成される。従って、エッチング加工によって前記ロードビーム部20を形成する際に、前記他の領域をマスクで覆った状態で前記一対の係合片71の下面をエッチングすることにより、前記一対の係合片71の薄肉化を容易に行うことができる。
【0086】
前記停止片72は、前記支持部に直接又は間接的に設けられている限り、種々の構成を有し得る。
本実施の形態においては、製造容易化を図る為に、前記一対の停止片72は前記第2プレート部材220Cによって形成されている。
【0087】
図8(a)に、前記第2プレート部材220Cの上面図を示す。
図8(a)に示すように、前記第2プレート部材220Cは、前記実施の形態2におけると同様に、前記先端側領域221Bと前記基端側領域222Bと前記板バネ形成領域223Bとを一体的に有している。
さらに、前記第2プレート部材220Cは、図8(a)に示すように、前記板バネ形成領域223Bにおける前記一対の支持部側接合領域53のサスペンション幅方向外縁から前記ディスク面へ向けて折り曲げられた曲げ領域225Cを一体的に有している。
【0088】
図8(b)に、前記曲げ領域225C近傍の拡大側面図を示す。
図8(b)に示すように、前記曲げ領域225Cは、前記支持部側接合領域53のサスペンション幅方向外縁から前記ディスク面へ向けて折り曲げられた第1部位226Cと、前記第1部位226Cにおける前端縁のうち下端側の部分(前記ディスク面に近接された側の部分)から先端側へ延びる第2部位227Cと、前記第2部位227Cの上端(前記ディスク面から離間された側の端部)からサスペンション幅方向内方へ折り曲げられた第3部位228Cとを有しており、前記第3部位228Cが前記停止片72を形成している。
【0089】
前述の通り、前記第2プレート部材220Cは板厚が薄い為、前記第2プレート部材220Cによって前記停止片72を形成することにより、前記停止片72を容易に形成することができる。
【0090】
実施の形態4
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図9(a)及び(b)に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Dの上面図及び下面図を示す。
又、図10(a)に前記磁気ヘッドサスペンション1Dの側面図を、図10(b)に図10(a)におけるX部の拡大図を示す。
なお、前記実施の形態におけると同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0091】
図9及び図10に示すように、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Dは、前記一対の支持片12が前記本体領域11より前記ディスク面から離間された離間領域12cを有しており、前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記離間領域12cにおいて前記一対の支持片12に係合されている点において、主に前記各実施の形態と相違している。
【0092】
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部20の前記ディスク面からの距離を広げることができ、従って、前記近接方向衝撃力の印可時に前記ロードビーム部20,前記フレクシャ部30及び前記磁気ヘッドスライダ100からなるアッセンブリが前記ディスク面に衝突することをより有効に防止することができる。
【0093】
具体的には、前記支持部10は、図9及び図10に示すように、サスペンション幅方向に沿った第1曲げ位置10(1)と、前記第1曲げ位置10(1)よりサスペンション長手方向先端側においてサスペンション幅方向に沿った第2曲げ位置10(2)とを有しており、サスペンション長手方向に関し前記第1及び第2曲げ位置10(1),10(2)の間に位置する部分は先端側へ行くに従って前記ディスク面から離間するような傾斜領域12bとされ、且つ、前記第2曲げ位置よりサスペンション長手方向先端側に位置する部分が前記離間領域12cとされている。
【0094】
図11に、前記磁気ヘッドサスペンションにおける分解上面図を示す。
図9〜図11に示すように、本実施の形態においては、前記第1及び第2曲げ位置10(1),10(2)は前記一対の支持片12に設けられている。
即ち、前記一対の支持片12は、前記本体領域11と同一平面上に位置するように前記本体領域11からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の延在領域12aと、前記第1曲げ位置10(1)において前記一対の延在領域12aから折り曲げられた前記一対の傾斜領域12bと、前記第2曲げ位置10(2)において前記一対の傾斜領域12bから折り曲げられた前記一対の離間領域12cとを有している。
【0095】
なお、前記支持部10は、前記各実施の形態におけると同様に、前記一対の支持片12を連結する前記連結片13を有している。
前記連結片13は、図9〜図11に示すように、前記一対の離間領域12cと同一平面上に位置した状態で前記一対の離間領域12cの間を連結している。
【0096】
本実施の形態においても、前記ロードビーム部20は板厚の異なる2つのプレート部材によって形成されている。
即ち、前記ロードビーム部20は、図11に示すように、基端側に位置する板厚の厚い第1プレート部材210Dと、先端側に位置するように前記第1プレート部材210Dに溶接等により接合される板厚の薄い第2プレート部材220Dとを有している。
【0097】
前記第1プレート部材210Dは、図11に示すように、前記基端側領域22a、前記中間領域22b及び前記一対の重合領域25に加えて、前記一対の係合片71を形成している。
一方、前記第2プレート部材220Dには前記ディンプル21が設けられている。
【0098】
前記一対の板バネ51は、図11に示すように、単一のプレート部材500Dによって一体形成されている。
図12(a)及び(b)に、それぞれ、前記プレート部材500Dの上面図及び側面図を示す。
【0099】
図9,図11及び図12に示すように、本実施の形態においては、前記プレート部材500Dによって前記一対の停止片72が形成されている。
詳しくは、前記プレート部材500Dは、図12に示すように、前記一対の支持部側接合領域53、前記一対の板バネ51、前記ロードビーム部側接合領域55、前記一対の先端側湾曲領域52及び前記一対の基端側湾曲領域54に加えて、前記一対の係合片71より前記ディスク面に近接する側に位置し且つ平面視において前記一対の係合片71とオーバーラップするように、前記一対の支持部側接合領域53からサスペンション長手方向先端側へ延びる前記一対の停止片72を一体的に備えている。
【0100】
好ましくは、前記プレート部材500Dは、前記一対の支持部側接合領域53及び前記一対の停止片72のサスペンション幅方向外側縁において前記ディスク面から離間する方向に折り曲げられた一対の曲げ領域510Dを備えることができる。
前記一対の曲げ領域510Dを備えることにより、前記一対の停止片72の剛性を有効に確保することができる。
【0101】
実施の形態5
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図13に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Eの下面図を示す。
又、図14に、前記磁気ヘッドサスペンション1Eの分解上面図を示す。
さらに、図15(a)に前記磁気ヘッドサスペンション1Eの部分拡大側面図を、図15(b)に図13におけるXV-XV線に沿った断面図を示す。
なお、前記実施の形態におけると同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0102】
本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Eは、前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に向けて押圧されるように前記ロードビーム部20を前記一対の支持片12に向けて押圧する一対の押し付けバネ80を有する点において、主に前記各実施の形態と相違している。
【0103】
即ち、前記各実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1A〜1Dは、少なくとも前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダ100が所定高さに浮上している磁気ヘッドサスペンションの作動状態の際に、前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押圧されるように構成されているが、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Eは、データ記憶装置への実装前の状態において前記一対の重合領域25が前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押圧されるように前記一対の押し付けバネ80によって前記ロードビーム部20が予め前記一対の支持片12へ向けて押圧されるように構成されている。
【0104】
具体的には、前記押し付けバネ80は、板面が前記ディスク面に略平行で且つ長手方向がサスペンション幅方向に沿うようにサスペンション幅方向外方側に位置する外端部が前記支持片12に直接又は間接的に連結され且つサスペンション幅方向内方側に位置する内端部が前記ロードビーム部20に連結されており、前記ディスク面に直交するz方向に前記押し付け荷重を発生しつつ前記ロードビーム部20が前記揺動軸線SL回りに揺動する際には磁気ヘッドサスペンション幅方向に沿った捩れ軸線回りに捩れ弾性変形するように構成されている。
【0105】
前記一対の押し付けバネ80を備えた前記磁気ヘッドサスペンション1Eによれば、前記各実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1A〜1Dに比して、前記近接方向衝撃力に対する耐衝撃性をより向上させることができる。
即ち、前記ロードビーム部20が全く弾性変形しない剛体であると仮定すると、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Eにおいては、前記ロードビーム部20は、前記空気圧による力の2倍の押し付け力と前記一対の押し付けバネ80による押し付け力との合力によって前記一対の凸部60を介して前記一対の支持片12に押し付けられることになる。
従って、前記近接方向衝撃力に対する耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0106】
本実施の形態においては、前記押し付けバネ80は、前記磁気ヘッドサスペンション1Eへの組み付け前の状態において前記内端部が前記外端部より前記ディスク面から離間するように塑性変形され且つ組み付け後の状態においては前記内端部が前記ディスク面に近接する方向へ弾性的に曲げ戻されており、これにより、前記押し付け荷重を発生している。
【0107】
好ましくは、前記押し付けバネ80は、長手方向中心線が平面視において前記揺動軸線SLと一致するように配置される。
斯かる構成によれば、前記磁気ヘッドサスペンション1Eの作動時に前記ロードビーム部20が前記揺動軸線SL回りの揺動する際に、前記一対の押し付けバネ80は長手方向中心線回りに捩れることになる(即ち、前記捩れ軸線が前記押し付けバネ80の長手方向中心線と一致することになる)。従って、前記押し付けバネ80の存在によって前記ロードビーム部20の前記揺動軸線SL回りの揺動動作が阻害されることを可及的に防止できる。
【0108】
本実施の形態においては、前記一対の押し付けバネ80は、前記一対の板バネ51を形成するプレート部材500Eによって形成されている。
即ち、図14に示すように、前記プレート部材500Eは、前記一対の支持部側接合領域53、前記一対の板バネ51、前記ロードビーム部側接合領域55、前記一対の先端側湾曲領域52及び前記一対の基端側湾曲領域54に加えて、前記一対の押し付けバネ80を形成する押し付けバネ形成領域550Eを一体的に備えている。
【0109】
図16(a)及び(b)に、前記プレート部材500Eの上面図及び側面図を示す。
図16に示すように、前記押し付けバネ形成領域550Eは、前記一対の支持部側接合領域53からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の延在領域551Eと、前記一対の延在領域551Eからサスペンション幅方向内方へ延びる前記一対の押し付けバネ80と、前記一対の押し付けバネ80よりサスペンション幅方向内方側に位置し前記ロードビーム部20に接合されるロードビーム部側接合領域552Eとを有している。
【0110】
なお、本実施の形態においては、前記プレート部材500Eは、剛性を確保する為に前記一対の延在領域551E及び前記一対の支持部側接合領域53のサスペンション幅方向外縁から上方へ折り曲げられた曲げ領域555Eを備えている。
【0111】
又、本実施の形態においては、前記プレート部材500Eは、さらに、前記一対の停止片72を一体的に備えている。
具体的には、図16に示すように、前記一対の延在領域551Eの先端部位が前記一対の停止片72として作用している。
【0112】
一方、前記空気圧に応じた押し付け力及び前記一対の押し付けバネ80による押し付け力の合力を越えるような近接方向衝撃力が印可された際に、前記一対の停止片72に係合する前記一対の係合片71は、前記ロードビーム部20に形成されている。
【0113】
図14に示すように、前記ロードビーム部20は、前記実施の形態4におけると同様に、前記第1プレート部材210D及び前記第2プレート部材220Dを有している。
そして、前記第1プレート部材210Dに前記一対の係合片71が形成されている。
【0114】
なお、前記係合片71と前記停止片72との間の前記空間は、下記構成により確保される。
即ち、前記支持片12は、図14及び図15に示すように、前記延在領域12a、前記傾斜領域12b及び前記離間領域12cを有している。
前記一対の板バネ51を形成する前記プレート部材500Eの前記支持部側接合領域53は、前記支持片12における前記延在領域12aの下面に接合されている。
前記ロードビーム部20の前記重合領域25は前記凸部60を介して前記離間領域12cの下面に係合されている。
前記プレート部材500Eの前記延在領域551Eは前記支持部側接合領域53と同一平面上に位置し、前記押し付けバネ80は内端部が外端部より前記ディスク面から離間するように折り曲げられており(図15参照)、前記内端部と同一平面上に位置する前記ロードビーム部接合領域552Eが前記ロードビーム部20の下面に接合されている。
斯かる構成により、前記延在領域551Eの先端部位によって形成される前記停止片72と前記重合領域25のサスペンション幅方向外方部位によって形成される前記係合片71との間に前記空間が確保されている。
【0115】
前記各実施の形態において、好ましくは、前記ロードビーム部20における基端側の部分がサスペンション長手方向基端側へ行くに従って前記ディスク面から離間するように構成することができる。
即ち、前記ロードビーム部20のうち平面視において前記間隙15内に位置する部分に折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部より基端側の部分が、サスペンション長手方向基端側へ行くに従って前記ディスク面から離間するように構成することができる。
斯かる構成によれば、前記跳躍方向衝撃力が印可されて前記ロードビーム部20の先端側が前記ディスク面から離間され且つ基端側が前記ディスク面に近接するように前記ロードビーム部20が前記揺動軸線SL回りに揺動する際に、前記ロードビーム部20の基端側が前記ディスク面に衝突することを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの側面図及び図2(a)におけるII部拡大図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの側面図及び図5(a)におけるV部の拡大図である。
【図6】図6は、図4(a)におけるVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図7は、前記実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの分解上面図である。
【図8】図8(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部の一部及び一対の板バネを形成する第2プレート部材の上面図及び拡大側面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図及び下面図である。
【図10】図10(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションの側面図及び図10(a)におけるX部の拡大図である。
【図11】図11は、前記実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションの分解上面図である。
【図12】図12(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションにおける一対の板バネを形成するプレート部材の上面図及び側面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図14】図14は、前記実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションの分解上面図である。
【図15】図15(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションの部分拡大側面図及び図13におけるXV-XV線に沿った断面図である。
【図16】図16(a)及び(b)は、それぞれ、前記実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションにおける一対の板バネを形成するプレート部材の上面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0117】
1A〜1E 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
11 本体領域
12 支持片
12c 離間領域
13 連結片
15 間隙
20 ロードビーム部
21 ディンプル
25 重合領域
28 フランジ
30 フレクシャ部
40 荷重曲げ部
51 板バネ
60 凸部
71 係合片
72 停止片
80 押し付けバネ
100 磁気ヘッドスライダ
210B,210C,210D 第1プレート部材
220B,220C,220D 第2プレート部材
221B 先端領域
222B 基端側領域
223B 板バネ形成領域
SL 揺動軸線
CL 長手方向中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって直接又は間接的に回動基準軸回りにディスク面と平行な方向に回動される支持部と、一端部が前記支持部に連結され、磁気ヘッドスライダをディスク面へ向けて押し付ける為の荷重を発生する荷重曲げ部と、前記支持部より前記ディスク面に近接する側に位置された状態で前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持されたロードビーム部と、前記ロードビーム部に接合され且つ前記磁気ヘッドスライダを支持するフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記支持部は、前記アクチュエータによって直接又は間接的に回動される本体領域と、サスペンション幅方向に関し両者の間に間隙が存する状態で前記本体領域から先端側へ延びる一対の支持片とを有し、
前記ロードビーム部は、基端側が平面視において前記間隙内に位置し且つ先端側が前記一対の支持片の先端よりも先端側に位置するようにサスペンション長手方向に延び、
前記荷重曲げ部は、平面視において前記間隙内に位置する状態で前記ロードビーム部のサスペンション幅方向両側においてサスペンション長手方向に延び、先端側が前記一対の支持片にそれぞれ連結され且つ基端側が前記ロードビーム部に連結された一対の板バネを有し、
前記ロードビーム部には、前記一対の支持片及び前記一対の板バネの連結点よりも先端側に位置し且つ平面視において前記一対の支持片にそれぞれ重合される一対の重合領域が設けられており、
前記一対の重合領域及び前記一対の支持片の少なくとも一方には、サスペンション長手方向中心線を基準にして対称に配置され且つ前記一対の重合領域及び前記一対の支持片の他方に向けて突出された一対の凸部が設けられており、
少なくとも前記ディスク面の回転に伴う空気圧によって前記磁気ヘッドスライダが所定高さに浮上している磁気ヘッドサスペンションの作動状態の際には、前記一対の重合領域が前記一対の凸部を介して前記一対の支持片に向けて押圧されることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記支持部は前記一対の支持片の間を連結する連結片を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記荷重曲げ部、前記ロードビーム部、前記フレクシャ部及び前記磁気ヘッドスライダからなるアッセンブリのうち前記一対の凸部を結ぶ揺動軸線より先端側に位置する部分及び基端側に位置する部分の質量が等しくなるように、前記一対の凸部のサスペンション長手方向位置が画されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記ロードビーム部は、第1プレート部材と、前記第1プレート部材より板厚の薄い第2プレート部材であって、前記第1プレート部材に固着される第2プレート部材とを含み、
前記第1プレート部材は、平面視において前記間隙内に位置する領域及び前記一対の重合領域を含み、
前記第2プレート部材は、前記フレクシャ部における磁気ヘッド搭載領域の前記ディスク面とは反対側の裏面に当接するディンプルと、サスペンション長手方向に関し前記一対の凸部より先端側に位置する領域のサスペンション幅方向両側縁に、サスペンション長手方向に関し前記ディンプルを跨ぐように設けられた一対のフランジとを有し、
前記第1プレート部材の先端部が前記一対のフランジの間に突入された状態で前記第1及び第2プレート部材が固着されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記第2プレート部材は、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材より先端側に位置し、前記ディンプルを含む先端側領域と、サスペンション長手方向に関し前記第1プレート部材と同一位置に位置される基端側領域と、前記一対の板バネを形成するように前記基端側領域から延びる板バネ形成領域とを一体的に備えていることを特徴とする請求項4に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記ロードビーム部に設けられた係合片と、前記係合片との間に前記ディスク面と直交する方向に空間が存する状態で前記係合片より前記ディスク面に近接する側に位置し且つ平面視において前記係合片とオーバーラップするように前記支持部に直接又は間接的に設けられた停止片とを備えていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項7】
前記停止片は、少なくとも一部がサスペンション長手方向に関し前記一対の凸部とオーバーラップするように、位置されていることを特徴とする請求項6に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項8】
前記一対の支持片は、前記本体領域よりも前記ディスク面から離間された一対の離間領域を有しており、
前記一対の重合領域は前記一対の凸部を介して前記一対の離間領域に係合されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項9】
板面が前記ディスク面に略平行で且つ長手方向がサスペンション幅方向に沿うようにサスペンション幅方向外方側に位置する外端部が前記支持片に直接又は間接的に連結され且つサスペンション幅方向内方側に位置する内端部が前記ロードビーム部に連結された一対の押し付けバネであって、前記一対の重合領域を前記一対の凸部を介して前記一対の支持片へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生しつつ、捩れ弾性変形することで前記ロードビーム部の前記揺動軸線回りの揺動動作を許容する一対の押し付けバネを備えていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項10】
前記押し付けバネの長手方向中心線は前記一対の凸部を結ぶ揺動軸線とサスペンション長手方向に関し同一位置に位置していることを特徴とする請求項9に記載の磁気ヘッドサスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−86625(P2010−86625A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256279(P2008−256279)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】