説明

磁気共鳴イメージング法における到達時刻マッピング法

関心のある組織内の造影剤の到達時刻を示す画像の作成方法を提供する。具体的には、一連の時系列の磁気共鳴(MR)画像内の各ボクセル位置について、到達時刻が計算される。到達時刻の正確な提示の改善は、MR画像取得の基礎が一貫性を有し、k空間中央部のサンプリングが密であり、画像毎の時間的フットプリントが最小であり、そしてアーチファクトが無視できる程度である時に達成される。さらに、例えば閾値を用いて背景組織からの信号を抑制したり到達時刻情報をカラースケールに変換したりすることにより、到達時刻の提示がさらに改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、「磁気共鳴イメージング法における到達時刻マッピング法」と称する2008年10月14日出願の米国特許仮出願第61/195,974号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国立衛生研究所(NIH EB000212)により認められた米国政府の支援のもとで行われ、米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)の方法及びシステムに関し、特にコントラストが強調されたMRIに関する。
【背景技術】
【0004】
人体組織などの物質が均一磁場(分極磁場B0)にさらされると、該組織内の核の個別の磁気モーメントはこの分極磁場に沿って整列しようとして該組織固有のラーモア周波数で分極磁場の周りをランダムに歳差運動する。この物質又は組織がxy平面内にあるラーモア周波数に近い周波数をもつ磁場(励起磁場B1)にさらされると、整列後の正味モーメントMzはxy平面内で回転し又はxy平面内に向かって「傾き(tipped)」正味横磁気モーメントMxyが生成される。励起信号B1が停止すると励起された核又は「スピン」により信号が放出され、この信号を受信し処理することで画像が形成される。
【0005】
上記の「MR」信号を利用して画像を形成する際には磁場勾配(Gx、Gy及びGz)が用いられる。通常、画像化しようとする領域は使用される位置特定方法に応じて勾配が変化するような一連の測定サイクルを用いてスキャンされる。受信された「MR」信号のセットはデジタル化されて処理され種々の周知の再構成技法のうちの1つを用いて画像が再構成される。
【0006】
各MR信号を取得するために用いられる測定サイクルは、パルスシーケンサにより生成されるパルスシーケンスの指示に基づいて実施される。臨床的に利用可能なMRIシステムは、種々の臨床応用の要求を満たすよう構成されるパルスシーケンスのライブラリを格納する。検査用MRIシステムは、臨床実績のあるパルスシーケンスのライブラリを有するとともに新たなパルスシーケンスの発展を可能とする。
【0007】
MRIシステムを用いて取得されたMR信号は、フーリエ空間又は「k空間」と呼ばれる空間内の検査中の対象の信号サンプルである。各MR測定サイクル又はパルスシーケンスは、通常、そのパルスシーケンスに特有のサンプリングトラジェクトリに沿ってk空間の一部をサンプリングする。パルスシーケンスの多くは、「スピンワープ」スキャン、「フーリエ」スキャン、「直線」スキャン又は「カーテシアン」スキャンとも呼ばれる、ラスタースキャンのようなパターンでk空間をサンプリングする。スピンワープスキャン技法では、NMRスピンエコー信号の取得の前に、可変振幅の位相エンコード用磁場勾配パルスを利用し、空間情報をこの勾配方向に位相エンコードしている。例えば、2次元での実施(2DFT)では、1つの方向に沿って位相エンコード勾配Gyを印加することにより該方向で空間情報がエンコードされ、次いで位相エンコード方向に直交する方向にあるリードアウト磁場勾配Gxの存在下でNMR信号が取得される。スピンエコー取得中に存在するリードアウト磁場勾配は直交方向で空間情報をエンコードする。典型的な2DFTパルスシーケンスでは、一連の測定サイクル又は全体画像が再構成されるNMRデータのセットを作成するためにスキャン時に取得される一連の「ビュー」において、位相エンコード勾配パルスGyの大きさがΔGyだけ増加する。
【0008】
MRIシステムに用いられるk空間のサンプリングパターンはその他にも多く存在する。例として「ラジアル」スキャン又は「投影再構成」スキャンがあり、これらのスキャンではk空間中央からのびる放射線状のサンプリングトラジェクトリのセットとしてk空間がサンプリングされる。ラジアルスキャン用パルスシーケンスの特徴は、位相エンコード勾配が無いこと及び一つのパルスシーケンスのビューから次のパルスシーケンスのビューへと方向を変化させるリードアウト勾配が存在することである。また、ラジアルスキャンと密接に関係するk空間サンプリング法も存在し、この方法では直線的な放射線状トラジェクトリよりもむしろ屈曲したk空間サンプリングトラジェクトリに沿ってサンプリングを行う。
【0009】
磁気共鳴血管造影法(MRA)は、磁気共鳴現象を利用して人間の血管系の画像を作成する。MRAの診断能力を高めるためにMRAスキャン前にガドリニウムなどの造影剤が患者に導入される。このようなコントラストが改善されたコントラスト強調(CE(contrast enhanced))MRA法では、造影剤のボーラスが関心のある血管系を通って流れる瞬間に中央のk空間ビューが取得される。動脈のコントラストが強調されるピークでのk空間の中央線の収集は、CE−MRA検査を成功させるために非常に重要である。造影剤が到達する前にk空間の中央線が取得された場合には顕著な画像アーチファクトが生じ画像の診断情報が制限されてしまう。あるいは、動脈のコントラストが強調されるピークを過ぎた後に取得された動脈の画像は、静脈が強調されてしまうことがあり不鮮明となる。頸動脈や腎臓動脈などを含む多くの解剖学的領域においては、動脈の強調と静脈の強調との間の分離を6秒という短い時間とすることができる。
【0010】
動脈の強調及び静脈の強調間の短い分離時間に基づいて、低空間分解能の取得シーケンス又は非常に短い繰り返し時間(TR)の取得シーケンスのいずれかの使用が決定される。短TR取得シーケンスの場合、取得される画像の信号ノイズ比(SNR)は長TR取得シーケンスが用いられる検査に比べてかなり制限される。したがって、初回通過CE−MRA法が要求する高速の取得によって空間分解能又は時間分解能のいずれかに上限が課せられる。
【0011】
上記したように、MRAデータの取得は、造影剤のボーラスが関心のある動脈に到達したときにk空間の中央域が取得されるようなタイミングで行われる。多くの応用では、造影剤の到達時刻を決定する能力が大幅に異なりまた適切な時刻決定も困難であることから、動的検査において動脈及び静脈の分離が強調された一連のMRA画像フレームを取得することが非常に有用である。そのような一連の時系列画像フレームは病気が原因で生じる遅延血管流入障害の観測にも有用である。このような要求に対して、3次元「フーリエ」取得を用いて一連の時間分解画像を取得することで部分的に対処されてきた。この3次元「フーリエ」取得は、F.Korosecら著「時間分解コントラスト強調3DMR血管造影法」(Magn.Reson.Med.、1996年、36巻345−351頁))及び米国特許第5,713,358号に記載されている。動的検査の場合、各画像フレームに対してk空間データがどの程度高速で取得されるかにより時間分解能が決定する。しかしながら、アーチファクトをアンダーサンプリングせずに所定分解能を有する画像フレームの作成に必要とされる全k空間データを取得する場合、この時間分解能の目標はしばしば低下する。
【0012】
したがって、動脈及び静脈間の識別をより明確にする、対象の血管系の画像を作成するための方法を提供することが所望される。そのような方法は、動脈及び静脈の両方を示す画像、動脈のみを示す画像、及び静脈のみを示す画像の全てを、同一の取得画像データから生成することが所望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記した問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、関心のある組織内の造影剤の到達時刻を示す画像を作成するための方法を提供する。詳細には、一連の時系列磁気共鳴(MR)画像内の各ボクセルについて該到達時刻が計算される。提示される到達時刻の精度を向上させるには、MR画像取得の基礎が一貫性を有し、k空間中央域のサンプリングが密であり、画像毎の時間的フットプリントが最小であり、またアーチファクトが無視できる程度でなければならない。例えば閾値を用いて背景組織からの信号を抑制又は到達時刻情報をカラースケールに変換することにより、提示される到達時刻の精度がさらに向上する。
【0015】
本発明の上記及びその他の利点について以下に記載するが、以下の記載は本明細書に添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明するものである。記載される実施形態は本発明の全範囲を表わすものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲の項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を用いる磁気共鳴イメージング(MRI)システムを示すブロック図である。
【図2】対象内の造影剤の到達時刻のマップ作成方法の一実施例の中で図1のMRIシステムにより用いられるパルスシーケンスの例を示す図である。
【図3】造影剤が特定のボクセル位置を通過中の該ボクセル位置における信号強度の変化をプロットした図である。
【図4】楕円セントリックオーダー(elliptical centric view order)を用いるk空間サンプリングパターンの例を表わす図である。
【図5】対象の関心組織に造影剤が到達した時刻を示す到達時刻マップを作成する方法に含まれるステップのフローチャートである。
【図6】時系列画像内のボクセル位置の関心組織を通過する造影剤の到達時刻を決定する方法の一例に含まれるステップのフローチャートである。
【図7】時系列画像内のボクセル位置の関心組織を通過する造影剤の到達時刻を決定する方法の別の例に含まれるステップのフローチャートである。
【図8】対象の関心組織を通過する造影剤の信号強度の時間変化を動脈及び静脈についてプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、好ましい実施形態に基づく本発明を用いた磁気共鳴イメージング(MRI)システムが示されている。MRIシステムは、ディスプレイ112及びキーボード114を有するワークステーション110を備える。ワークステーション110は、市販の動作システムを走らせるようプログラム可能な市販のプロセッサ116を備える。ワークステーション110はMRIシステムにスキャン指示を入力するオペレータインターフェースである。ワークステーション110は、パルスシーケンスサーバ118、データ取得サーバ120、データ処理サーバ122及びデータ格納サーバ123の4つのサーバと接続する。ワークステーション110と各サーバ118、120、122及び123とは互いに通信するよう接続されている。
【0018】
パルスシーケンスサーバ118は、ワークステーション110からダウンロードされた命令に応じて機能し勾配システム124及び高周波(RF)システム126を作動させる。規定のスキャンを実行するために必要な勾配波形が作成され、これがアセンブリ128内の磁場勾配コイルを励起する勾配システム124に印加されて、位置エンコードMR信号に用いられる磁場勾配Gx、Gy及びGzが生成される。磁場勾配コイルアセンブリ128は分極用磁石132及び全身RFコイル134を有する磁石アセンブリ130の一部を形成する。
【0019】
RFシステム126によってRF励起波形がRFコイル134に印加されることで規定の磁気共鳴パルスシーケンスが実行される。RFコイル134又は別個の局所コイル(図示せず)により検出された応答MR信号は、RFシステム126により受信され、増幅され、復調され、フィルターをかけられ、そしてデジタル化され、これはパルスシーケンスサーバ118からの命令に基づいて行われる。RFシステム126はMRパルシーケンスに用いられる様々なRFパルスを作成するためのRFトランスミッタを有する。RFトランスミッタは、スキャン指示及びパルスシーケンスサーバ118からの命令に応じて、所望の周波数、位相及びパルス振幅を有する波形のRFパルスを生成する。発生したRFパルスは全身RFコイル134又は一以上の局所コイル又はコイルアレイ(図示せず)に印加される。
【0020】
RFシステム126は一以上のRF受信チャンネルをさらに有する。各RF受信チャンネルは、コイルに接続しかつ該コイルを介して受信されるMR信号を増幅するRF増幅器と、受信されたMR信号のI及びQ直交成分を検出及びデジタル化する検出器と、を有する。したがって、受信されるMR信号の大きさはサンプリングされた任意のポイントにおいてI及びQ成分の二乗の和の二乗根で決定され、下式のとおりとなる。
【0021】
【数1】

【0022】
また、受信されたMR信号の位相も下式で表わされるように決定される。
【0023】
【数2】

【0024】
パルスシーケンスサーバ118もまた、任意的に、生理学的取得コントローラ136から患者データを受信する。コントローラ136は、患者に接続された多数の異なるセンサから信号を受信し、例えば電極からECG信号を受信したりベローズから呼吸信号を受信したりする。そのような信号は通常パルスシーケンスサーバ118により用いられ、これによりスキャンの実行を対象の呼吸又は心拍と同期又は「ゲート」させる。
【0025】
パルスシーケンスサーバ118はスキャンルームインターフェース回路138にも接続され、該スキャンルームインターフェース回路138は患者の状態に関連する様々なセンサ及び磁石システムから信号を受信する。患者位置決めシステム140はスキャンルームインターフェース回路138を介して命令を受信してスキャン中に患者を所望の位置に移動させる。
【0026】
RFシステム126により生成されたデジタル化されたMR信号のサンプリングは、データ取得サーバ120により受信される。データ取得サーバ120は、ワークステーション110からダウンロードされた命令に応じて動作し、リアルタイムMRデータを受信してこれをデータのオーバーランによりデータが失われないようバッファー記憶装置に提供する。いくつかのスキャンでは、データ取得サーバ120は取得されたMRデータをデータプロセッササーバ122へ送る程度の機能しか果たさない。しかしながら、スキャンの更なる実行を制御するために取得されたMRデータから得られた情報が必要となるスキャンにおいては、データ取得サーバ120はそのような情報を作成して該情報をパルスシーケンスサーバ118に伝えるようプログラムされている。例えば、プリスキャン中にMRデータを取得し、これがパルスシーケンスサーバ118により実行されるパルスシーケンスを較正するために用いられる。また、スキャン中にナビゲータ信号を取得して、これをRF又は勾配システム動作パラメータを調整したりk空間をサンプリングする順番を制御したりするために用いてもよい。これらの全ての例において、データ取得サーバ120はMRデータを取得するとともにこれをリアルタイムで処理してスキャンを制御するための情報が作成される。
【0027】
データ処理サーバ122はデータ取得サーバ120からMRデータを受信してこれをワークステーション110からダウンロードされた命令に基づいて処理する。そのような処理は、例えば、生のk空間MRデータをフーリエ変換して二次元又は三次元画像を作成する処理、再構成画像にフィルターをかける処理、取得されたMRデータの逆投影画像再構成の実行、機能的MR画像の計算及びモーション又はフロー画像の計算などを含んでもよい。
【0028】
データ処理サーバ122により再構成された画像はワークステーション110に戻されてそこに格納される。リアルタイム画像は、データベースメモリキャッシュ(図示せず)に格納され、そこから磁石アセンブリ130の近くに位置する医師などが使用するオペレータディスプレイ112又はディスプレイ142に出力される。バッチモード画像又は選択されたリアルタイム画像はディスクストレージ144のホストデータベース内に格納される。そのような画像が再構成されてストレージに送られると、データ処理サーバ122はワークステーション110のデータ格納サーバ123に通知する。ワークステーション110はオペレータにより用いられてもよくこれにより画像がアーカイブに保管され、フィルムが作成され、又は画像がネットワークを介してその他の施設に送られる。
【0029】
図2には、3DFTNMRスキャンを実施するパルスシーケンスの例が示されている。例えばz軸方向に沿うスラブ選択勾配Gzパルス202の存在下でRF励起パルス200を用いて関心領域全体を選択的に励起にすることで、パルスシーケンスが開始する。励起パルス200の周波数及びスラブ選択Gzパルス202の大きさが選択されて、3Dスキャンの対象である領域内に横方向磁化が生成される。その後、負のGzパルス204が生成されて位相エンコード及びリードアウトに備えてスピンがリフェーズされる。
【0030】
位相エンコードは二つの軸に沿って実施される。具体的には、上記の軸の慣例に基づき、これらはz軸及びy軸である。Gz位相エンコードパルス206を印加することによりz軸エンコードが達成され、そしてGy位相エンコードパルス208を印加することによりy軸エンコードが達成される。当業者にとって周知であるように、位相エンコードパルス206及び208の大きさは、スキャン中、正負の一連の値にわたって段階的に変化し(stepped)、各々は各パルスシーケンスについて一つの値に設定される。以下に詳細に記載するように、本発明において特徴的なのは、これらの位相エンコードパルス206及び208がそれらの値のセットにわたって段階的に変化する順番である。当該分野で周知のように、位相エンコード勾配パルスの大きさは、該パルスの期間にわたる該パルスの振幅の積分、即ち該パルスの面積により決定される。周知のパルスシーケンスにおいて、前記期間は一定に保たれ、位相エンコードパルスの振幅を変えることにより該パルスの大きさが該パルスの値にわたって段階的に変化する。
【0031】
横方向磁化が位相エンコードされた後、Gxリードアウト勾配212の存在下でNMR信号210がリードアウトされる。このリードアウトは負のGx勾配パルス214により先導され、これにより通常の方法で勾配リフォーカスNMRエコー信号210が作成される。その後、直後に続く次のパルスシーケンスについての磁化の準備ために大きなGxスポイラ勾配パルス216及びGyリワインダ勾配パルス218が印加されて3DFTパルスシーケンスが終了する。当業者にとって周知のように、スポイラパルス216は横方向磁化をデフェーズし、リワインダパルス218は次のパルスシーケンスの準備をするために横方向磁化をy軸に沿ってリフォーカスする。リワインダパルス218はGy位相エンコードパルス208と同じ大きさでかつ極性が反対である。あるいは、当業者にとって明らかなように、RF励起パルス200の位相を一つのサイクル又は繰り返し時間から次のサイクル又は繰り返し時間に調整することにより残留横方向磁化をばらばらにしてもよい。
【0032】
3DFTにおけるデータ取得は、三次元「k空間」のサンプリングとして考えることができる。二つの次元即ち上の例においてのky及びkzが、スキャンの各パルスシーケンス中に異なる位相エンコード勾配Gy及びGzを印加することによりサンプリングされ、取得されたNMR信号は各々kx方向の線に沿う256個のサンプリングを含む。パルスシーケンスは、所望されるky及びkz値の全てをサンプリングするのに必要な数だけ繰り返される。例えば、kyは128個の異なる値でありkzは64個の異なる値であるとしてもよい。この場合、図2のパルスシーケンスの繰り返しの数は128×64即ち8192となる。
【0033】
従来の3DFTスキャンでは、ky及びkzの所望の値は二つのループの群を用いてサンプリングされる。例えば、内側ループはkyをその128個の値を用いて増分し、与えられたkzの値についてそのようなサンプリングが終わると、外側ループがkzを増分させる。このプロセスはkyの128個の値全てがkzの64個の値のそれぞれについてサンプリングされるまで続く。
【0034】
一般的に、到達時刻マップを作成するには、3D関心体積内のボクセル位置rが分析される。特に、造影剤が関心体積の外側で静脈内投与された場合、その体積内の各ボクセルの信号強度値は、最初、平均的なベースラインに相当する。しかしながら、造影剤がボクセル位置rに到達すると、そのボクセル位置rにおける信号は造影剤の通過に従って時間と共に変化する。この情報は、そのボクセル位置rについての造影剤の「到達時刻」を割り当てる(assign)ために利用される。このプロセスは体積内の全てのボクセル位置rについて別々に繰り返される。
【0035】
このプロセスについて図3を参照しながらさらに説明する。図3は、3D体積内の仮想ボクセル位置rにおける信号強度300を時間に対してプロットした例である。ここで、画像フレーム間の時間はΔTである。最初のいくつかの画像フレームについては、信号強度300は符号302で示すようにベースライン付近にある。このベースラインの値からのズレは統計的不確定性即ち測定における雑音に起因するものである。信号強度300は符号304で示すように次第に増加し始め、符号306で示す最大値に最終的に到達するまで増加し続ける。その後、信号強度300は符号308で示すように徐々に減少し始める。
【0036】
例えば図3に示されるような信号強度のセットに一つの到達時刻を割り当てる方法はいくつか存在する。そのような到達時刻を選択する方法の一つは、測定された信号強度300が初めて特定の閾値THよりも大きくなった時の画像フレーム又は該画像フレームが取得された時点を選択する方法である。例えば、図3に示す閾値THを用いてボクセル位置rについての到達時刻が時点T1(ポイント310)として選択される。あるいは、最初にボクセル位置rで得られた信号強度300の最大値306が決定され、その後、信号強度300が最大値306又は最大値306のあるパーセンテージ値、例えば70パーセント、の値となる時点T2が到達時刻として定義される。無論、異なるパーセンテージ値を用いてもよいことは当業者にとって明らかである。通常は、この特定のパーセンテージ最大値は実際に測定される時点と厳密には対応しない。したがって、まず70パーセント最大値の信号強度の値を挟む信号強度の値それぞれにおける時点が選択され、そしてこれらの時点間の直線補間を用いて到達時刻が計算される。この補間された時刻は補間ポイント312として示され、これが時点T3に対応する。到達時刻を決定するためのその他の定義及び方法が用いられてもよいことは当業者にとって明らかである。
【0037】
到達時刻を決定する特定の方法が選択されると、この方法が3D体積内の全てのボクセル位置について適用される。その結果、各ボクセルに割り当てられた値がそのボクセル位置rについての到達時刻に対応するような単一3D画像が得られる。この3D画像はその後臨床医などが用いる種々の手段に表示される。
【0038】
描写された到達時刻が各ボクセル内の造影剤の実際の到達時刻を有意に表現するような到達時刻マップを作成するためには、画像データ取得のストラテジーが一貫しているべきであり、k空間の中央域が密にサンプリングされるべきであり、「時間的フットプリント」とも呼ばれる画像毎の取得期間が最小化されるべきであり、そしてイメージングアーチファクトがほぼ最小化されるべきである。これらのそれぞれの条件を満たす方法を以下に記載する。
【0039】
まず、画像データ取得のストラテジーに一貫性を持たせるためには、データ取得時間内でk空間をサンプリングするときの時間順序が、一連の時系列画像フレームの全てについて実質的に同じとなるように選択される。すなわち、ある最初の画像についてk空間の中央部が取得時間の初期にサンプリングされた場合、後続の全ての画像についてもk空間の中央部は同じ相対的時間的位置でサンプリングされるべきである。これにより、確実に、例えば直線速度で移動する対象を得られた時系列MR画像フレームでそのように描写することができる。一貫性に関するコンセプトは、例えばC.R.Haiderら著の「能全体の3D高時間及び空間分解能コントラスト強調MR血管造影法」、Magnetic Resonance in Medicine,2008年、60巻、749−760頁に詳細に記載されている。一般的に、3D時系列で再構成されるどの画像も、与えられた期間にわたって取得されたk空間サンプルのセットから形成される。そのような時系列画像内の画像が一貫性を有しているということは、対応する画像データが取得される期間中に時系列内にあるどの画像もほぼ同じk空間サンプル分布を有しているこということである。例えば、時系列内の第一の画像に用いられる中央k空間サンプルが、該第一の画像を形成するのに用いられるデータのうちの時間期間内の終盤段階に取得されたものである場合、全画像の各々の中央k空間サンプルも、これら全画像を形成するためのデータ収集にかかる各時間期間内の同段階に取得されたものであるべきである。
【0040】
k空間の中央部を密にサンプリングするためには、該k空間の中央部のサンプリングをできるだけ短時間で行う。3DFT取得法では、全ての中央k空間エンコードが時間的に継続して測定される楕円セントリックオーダーが用いられる。楕円セントリックオーダー方法の例は、例えばA.H.Wilmanら著の「楕円セントリックオーダーを用いるX線誘発コントラスト強調三次元MR血管造影法、腎動脈への応用」、Radiology,1997年、205巻、137−146頁に記載されている。
【0041】
セントリックオーダーは、ほとんどの対象において信号強度の大部分が(ky,kz)空間の原点付近で得られたサンプル内に含まれ、そしてこれらのサンプルこそが再構成された画像の見た目に非常に大きく寄与するものである、との認識に基づいている。このことは、スキャン中に取得されたNMR信号がkx、ky及びkz方向に沿ってフーリエ変換されて実空間の画像の強度値が作成される、との事実に由来する。上記フーリエ変換の本質は、原点(ky=0,kz=0)付近のサンプルが再構成された画像の信号強度に不均衡な配分を与えることである。したがって、セントリックオーダーの基本的な考えとは、できるだけ短時間で且つできるだけスキャンの開始近くで最大の信号強度を含む(ky,kz)の点をサンプリングするというものである。このことは、(ky,kz)空間のサンプリングに用いるトラジェクトリを修正することにより達成される。例えば図4に示す楕円螺旋状(ky,kz)トラジェクトリが用いられる。スキャンは、(ky,kz)空間の原点で又はその付近で開始し、螺旋状に外側に向けて進行する。図4には8x8配列のk空間サンプルが示されるが、これは概略図であり、実際にはこれよりも多くのサンプルが取得されて適切な分解能で視野がカバーされる。例えば米国特許第5,122,747号には、螺旋状トラジェクトリスキャンを達成するためにGy及びGz位相エンコード勾配の値が段階的に変化する様子が記載される。
【0042】
あるいは、いわゆる投影再構成(PR)取得法を用いて画像データを取得することもでき、この方法ではk空間の中央から外側に延びる一連の放射投影を用いてk空間がサンプリングされる。しかしながら、PR取得法に基づくデータ取得スキームは各放射投影を用いてk空間の中央部をサンプリングする。したがって、3DFT取得におけるセントリックオーダーのように取得時間内の固定持続期間内で対象の動き又は状態を止めるよりもむしろ、PRデータ取得法での上記効果は、画像内の対象の状態を、全体の画像取得時間を代表するぼやけたバージョンとする。一つの画像の取得時間中における造影剤ボーラスの進展に起因するぼやけを最小化するためには、画像取得時間を最小化しなければならない。これは2DSENSE法などの様々な加速技法を用いて達成することができる。
【0043】
信号アーチファクトを生じる信号はMRI内の考えられるいくつもの信号源に起因する。到達時刻マッピングの精度を高めるためには、脈管に任意の信号を割り当てる(付与する)(assign)際に、造影剤がその脈管にすでに到達した後でのみ割り当てることが望ましい。造影剤が実際に到達する前に脈管に割り当てられた信号は、いわゆる「予期」アーチファクトと呼ばれる。このアーチファクトは、ある時点に帰する画像を作成するのに用いられるk空間サンプルが前記時点より後の時刻に測定された場合に生じる。正確な到達時刻マッピングのためには、予期アーチファクトが無いことが望ましい。予期アーチファクトを回避することができない場合、通過する造影剤の先端が加工されて延びないようアーチファクトのレベルを空間的に制限して、到達時刻が実際よりも早く生じたように割り当てられないようにすることが望ましい。与えられた画像フレームについてのデータ取得の時間の終盤にk空間の中央部がサンプリングされた場合、予期アーチファクトを大幅に抑制することができる。
【0044】
血管床を含む典型的な3D体積においては、ボクセルの大多数が軟組織や脂肪や骨などの血管の無い物質に位置する。これらの構造について造影剤の到達時刻を定義しようとすることは無意味であるし、またこれらの物質について到達時刻を描写しようとすれば、実際の血管構造内の到達時刻の値に関する表現を混乱させてしまう。これを回避するためにはこれらの血管の無い構造については到達時刻を描写しないことが望ましく、それには様々な方法があり、例えば時系列画像フレームを利用して一連の差分画像を作成する方法がある。この方法ではコントラストの推移を描写する画像の各々が、それより前に取得されたコントラストが強調されていない一連の時系列画像フレームから差し引かれる。この場合、背景物質に見られるコントラストの強調はわずかである。そのようなボクセルを取り除いて表示されないようにする簡単な方法の一つは、差分画像に閾値を適用する方法である。特定のボクセルにおける差分信号が閾値を超えなければ、このボクセルについて特定された到達時刻は取り除かれるのでディスプレイ上には描写されない。
【0045】
図5に、本発明に基づく到達時刻マップの作成方法の一例に含まれるステップを示す。この方法は、ステップ500において造影剤が対象に導入されることから開始する。ステップ502で、造影剤が対象の関心組織を通過するにしたがって一連の時系列画像データが取得される。画像データは、例えば図2に示されるような3DFTGREパルスシーケンスを用いて取得される。続いてステップ504で、取得された時系列画像データから対応する一連の時系列画像フレームが再構成される。一連の時系列画像フレームは、造影剤が通過する関心組織が含まれる対象内の同じ関心体積を示す複数の画像を含む。この関心体積は、時系列にわたって同じ視野を占めるので、時系列の最初の画像フレーム内のボクセル位置は時系列の任意の後続の画像フレーム内の同じボクセル位置に対応する。これらの画像は、データ取得持続期間にわたって関心組織内の造影剤の通過を描写しているという観点からいうと、時間分解された画像に相当する。
【0046】
あるいは、造影剤の導入前又は関心体積内に造影剤が到達する前に取得された時系列画像データから一以上の画像フレームが作成される。このような「プリコントラスト(pre-contrast)」画像フレームのうちの一つが、その後造影剤が到達した後(post contrast)の時系列の各画像フレームから差し引かれて、一連の時系列差分画像が作成される。これらの差分画像において、背景組織に対応するボクセル位置の画像強度は大幅に抑制されている。このようにして、血管系に対応しない上記ボクセルが後続の解析により効率的に取り除かれるので、続いて実施する各ボクセル位置の到達時刻の決定がより効率的に行われる。
【0047】
一連の時系列画像フレームが再構成された後、ステップ506でボクセル位置rが解析のために選択される。ステップ508でこのボクセル位置rを用いてボクセルベクトルxが作成される。このボクセルベクトルxは、一連の時系列画像フレーム内の同じボクセル位置rを有する全ボクセルから作成される。したがって、ボクセルベクトルxはボクセル位置rにおける信号の時間変化を示し、ボクセルベクトルxの長さはNである。ここでNはその時系列内にある時点の数である。ボクセルベクトルは例えば以下の形で表わされる。
【0048】
【数3】

【0049】
ここで、xnは、一連の時系列画像フレーム内のn番目の時点におけるボクセルベクトルxに対応するボクセル位置rでの画像強度値である。具体的には、一連の時系列画像フレーム内のn番目の「時点」はその時系列内のn番目の画像フレームに対応する。ステップ510において、このボクセルベルトルxから、対応するボクセル位置rにおいて到達時刻が決定される。到達時刻を決定するための二つの方法の例を以下で詳細に記載する。その後、ステップ512で所望のボクセル位置rの全てが処理されたか否かが決定される。もし処理されていなければ次のボクセル位置rがステップ514で選択されて、そのボクセル位置についての到達時刻がステップ508及び510で記載したように決定される。
【0050】
画像体積内の各ボクセル位置rについて到達時刻が決定された後、ステップ516で各ボクセル位置rでの造影剤の到達時刻を示す画像が作成される。そのような「到達時刻マップ」は、例えば各決定された到達時刻値をグレースケールで表わされる画像強度値に変換することで作成される。例えば、一番早い到達時刻を黒、一番遅い時刻を白としてエンコードし、中間の値をグレースケールの色スペクトルの適切な濃度の灰色でエンコードする。あるいは、早い到達時刻及び遅い到達時刻をそれぞれ深い赤及び深い青でエンコードし、中間の到達時刻の値を赤から青の色スペクトルでエンコードしてもよい。一般的に、任意の色スペクトルを用いて到達時刻画像強度値を対応する色にマップ化してもよく、これにより到達時刻が適切に表示される。
【0051】
上記の方法で作成された到達時刻マップによって動脈構造及び静脈構造が区別される。上記の方法を用いる到達時刻マップの作成は多くの多用途性を提供する。例えば、到達時刻マップを作成する際、決定された時刻到達値に「時間ウィンドウ」を適用してもよい。この場合、選択された時間ウィンドウの二つの端点の範囲内にある到達時刻のみが到達時刻マップの中でエンコードされ、これらのボクセル位置rのうちの対応する到達時間が時間ウィンドウの範囲外にあるボクセル位置が、得られる到達時刻マップにおいてゼロとされ、これにより効率的に非表示にすることができる。そのような時間ウィンドウを用いた到達時刻マップは、動脈血流と静脈血流とを分離するのに有用であり、これにより、それぞれ実質的に動脈又は静脈のみを含む画像が作成される。
【0052】
図6には、一実施例に基づくボクセルベクトルから造影剤の到達時刻を決定する方法に含まれるステップが示される。この方法において、まずステップ600で信号強度閾値が選択される。その後ステップ602でボクセルベクトルx内の画像強度値が閾値に対して解析される。ステップ604で、選択された閾値より大きな画像強度値が検出されると、これに対応する「時点」が対応するボクセル値rについての到達時刻として記録される。つまり、対応する画像フレームが取得された時点が到達時刻として選択される。この時刻の値は、時刻の値としてゼロが割り当てられている対象への造影剤導入の時刻から測定された値である。
【0053】
図7には、別の実施例に基づくボクセルベクトルから造影剤の到達時刻を決定する方法に含まれるステップが示される。この方法では、ステップ700でボクセルベクトルxがまず解析されてそのボクセルベクトル内の画像強度最大値が決定される。その後ステップ702でパーセンテージ値が選択される。ステップ704で、上記の選択に続いて、ボクセルベクトルx内の画像強度値が画像強度最大値に対するパーセンテージ値(パーセンテージ最大値)に対して再度解析される。パーセンテージ最大値は、選択されたパーセンテージ値を決定された画像強度最大値に適用することにより決定される。パーセンテージ値の例は30、70、100パーセントであるが、任意の適切なパーセンテージ値を同様に用いてもよい。ボクセルベクトルx内の二つのエントリー間でパーセンテージ最大値に対応する的確な時点が生じる可能性は低いと考えられる。このような状況では、パーセンテージ最大値を挟む二つの画像強度値間の補間が行われる。これにより、このパーセンテージ最大値に対応する時点がより正確に決定される。ステップ706で、上記したボクセルベクトルxの解析により、対応するボクセルベクトルxについての到達時刻が決定されて記録される。上記したように、対応する画像フレームが取得された時刻が、到達時刻として選択される。しかしながら、時点間の補間を利用する場合にはこの時刻値が到達時刻として選択される。再度になるが、時刻値は、時刻値がゼロである対象への造影剤導入時点から測定されたものである。
【0054】
例として、図8を参照すると、対象の動脈内を造影剤が通過することにより動脈曲線800で示される与えられたボクセルでの信号強度変化が生成される。同様に、対象の静脈内を造影剤が通過することにより静脈曲線802で示される異なるボクセル位置での信号強度変化が生成される。これら二つの曲線はある時間期間重なる可能性があることから、従来のコントラスト強調MR血管造影法により作成された画像内で動脈血管系と静脈血管系とを区別することが困難となる。しかしながら、この問題は上記した本発明に係る方法を用いて到達時刻マップを作成することにより解決する。
【0055】
さらなる例として、図6を用いて記載した到達時刻を決定する閾値を利用する方法を用いることにより、動脈に対応するボクセル位置の到達時刻が静脈に対応するボクセル位置の到達時刻よりも大幅に早くなる。この点は閾線804と動脈曲線800及び静脈曲線802との交差点によりそれぞれ示される。結果として、時刻到達マップを作成する時に対応する到達時刻のエンコードが異なる。例えば、赤から青のエンコードスキームが用いられた場合、到達時刻マップ内で動脈に対応するボクセル位置が赤で示され、一方で静脈に対応するボクセル位置が青で示される。これにより、動脈及び静脈の識別が格段に容易な画像が得られる。さらに、同じ時系列画像及び決定された到達時刻の同じセットを用いることにより、対象の血管系の画像を複数作成することができる。上記したように、後期に生じる到達時刻を取り除く時間ウィンドウを用いて対象の動脈に対応する動脈到達時刻マップの一つを生成することができる。さらに、早期に生じる到達時刻を取り除く時間ウィンドウを用いることにより第二の静脈到達時刻マップを作成することができる。
【0056】
上記した方法に加えて、到達時刻マップが示すものと同じ関心体積又は視野を示す固定解剖学的情報を含む画像を利用することにより、作成された到達時刻マップをさらに改善することができる。例えば、関心体積内の骨構造の画像を作成して到達時刻マップと結合させてもよい。これにより、血管構造の骨の目印に対する相対的な位置の視覚化が容易になる。そのような画像は手術計画において特に有用である。参照構造の画像は、時刻到達マップの作成に用いられるオリジナルの時系列画像を用いて決定されてもよく、あるいは取得された後に到達時刻マップと共に登録された画像の個別のセットを用いて決定されてもよい。
【0057】
本発明は一以上の好ましい実施形態として記載されているが、本明細書内で明示的に記載された実施形態とは別に、同等な、代替の及び修正された実施形態も可能であり本発明の範囲内であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象内の関心組織内における造影剤の通過を示す画像を作成するための磁気共鳴イメージング(MRI)システムの作動方法において、
a)前記MRIシステムを介して、前記関心組織内を前記造影剤が通過する間に一連の時系列画像データを取得するステップと、
b)前記一連の時系列画像データから一連の時系列画像フレームを再構成するステップと、
c)前記再構成された一連の時系列画像フレームから、該再構成された一連の時系列画像フレームに共通な視野内の各ボクセル位置における前記関心組織内の前記造影剤の到達時刻を決定するステップと、
d)各ボクセル位置についての前記決定された到達時刻に対応する画像強度値を、各ボクセル位置に割り当てることにより、画像を作成するステップと、
を含む
ことを特徴とするMRIシステムの作動方法。
【請求項2】
前記ステップc)が、前記視野内の各ボクセル位置について、前記一連の時系列画像フレームの各画像フレームにおける該ボクセル位置の画像強度値をつなぎ合わせることにより、前記各ボクセル位置に対応するボクセルベクトルを作成することを含むことを特徴とする請求項1に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項3】
前記ステップc)が、画像強度閾値を選択し、該選択された画像強度閾値を用いて各ボクセルベクトルを解析することをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項4】
前記ステップc)が、前記一連の時系列画像フレームについて時点を決定することをさらに含み、前記時点が、選択されたボクセル位置における前記画像強度が前記選択された画像強度閾値よりも大きくなった時の時点であることを特徴とする請求項3に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項5】
前記ステップc)が、前記一連の時系列画像フレームについて時点を決定することをさらに含み、前記時点が、選択されたボクセル位置における前記画像強度が前記選択された画像強度閾値と同じである時の時点であることを特徴とする請求項3に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項6】
前記ステップd)が、カラースケールを前記画像強度値にマッピングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項7】
前記カラースケールが、グレースケール並びに赤及び青カラースケールのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項8】
前記ステップa)が、セントリックオーダーを用いてk空間の中央部をサンプリングすることを特徴とする請求項1に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項9】
前記セントリックオーダーが楕円セントリックオーダーであることを特徴とする請求項8に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項10】
前記ステップd)が時間ウィンドウを選択することを含み、
前記選択された時間ウィンドウ内で生じた到達時刻を有するボクセル位置にのみ画像強度値としてゼロでない値を割り当てるとともに前記選択された時間ウィンドウ外で生じた到達時刻を有するボクセル位置にのみ画像強度値としてゼロを割り当てることにより、前記画像を作成する
ことを特徴とする請求項1に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項11】
前記MRIシステムを介して、前記関心組織を前記造影剤が通過する前に、一連の時系列プリコントラスト画像データを取得するステップと、
前記一連の時系列プリコントラスト画像データから一連の時系列プリコントラスト画像フレームを再構成するステップと、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項12】
前記一連の時系列画像フレーム及び前記一連のプリコントラスト画像フレームを差し引くことにより、一連の時系列画像を作成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項13】
前記ステップc)が、前記一連の差分画像に共通な視野内の各ボクセル位置における前記関心組織内の前記造影剤の前記到達時刻を決定することを含むことを特徴とする請求項12に記載のMRIシステムの作動方法。
【請求項14】
前記ステップa)が実施される前に、前記一連の時系列プリコントラスト画像データを取得することを特徴とする請求項11に記載のMRIシステムの作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−505708(P2012−505708A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532129(P2011−532129)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058587
【国際公開番号】WO2010/045003
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(510264187)メイヨ フォンデーシヨン フォー メディカル エジュケーション アンド リサーチ (6)
【Fターム(参考)】