磁気共鳴イメージング装置及び輝度不均一補正方法
【課題】 背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正する。
【解決手段】 部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得し、その感度分布に基づいて輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行う。
【解決手段】 部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得し、その感度分布に基づいて輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を計測し、核磁化の密度分布や緩和時間分布を画像化する核磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)技術に関し、特に、感度分布が空間的に不均一な部位撮像用RFコイルを用いて得た画像の輝度不均一を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
上記MRI装置において、良好な信号対雑音比(SNR)を得るため、少なくとも1つの要素コイルを組み合わせて成る部位撮像用RFコイルを用いて撮像が行なわれる。しかし、部位撮像用RFコイルはその感度分布が空間的に不均一であるため、この様な部位撮像用RFコイルを用いて計測されるエコーデータは感度分布不均一の影響を受け、再構成画像に輝度不均一等が発生し画質が劣化する。このような感度分布の不均一に基づく画質劣化を補正するため、補助計測を行って得られた感度分布不均一の補正値を用いて、エコーデータから生成される画像の輝度不均一を補正する。特許文献1には、全検査領域に亘って空間的にほぼ均一な感度分布を有する全身用RFコイルを用いる計測と、部位撮像用RFコイルを用いる計測とを補助計測として実行し、両計測で得られる画像データに基づいて、部位撮像用RFコイルで得られる画像の輝度不均一の補正値を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-56928号公報
【特許文献2】特開平10-248822号公報
【特許文献3】特開2009-268569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の手法によれば、感度の低い背景ノイズ領域の感度も補正されて強調されるので、補正後の画像の見え方として、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上がってしまう可能性が未解決のまま残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記未解決の課題を鑑みてなされたものであり、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正することが可能なMRI装置及び輝度不均一補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得し、その感度分布に基づいて輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行う。
【0008】
具体的には、本発明のMRI装置は、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得する感度分布算出部と、 感度分布に基づいて、輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出部と、補正値を用いた画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する背景ノイズ持ち上がり防止部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の輝度不均一補正方法は、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得するステップと、感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出ステップと、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止するステップと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法によれば、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るMRI装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】実施例1における演算処理部114の機能ブロック図。
【図3】実施例1の処理フローを示すフローチャート。
【図4】図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す図。
【図5】実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用する場合の課題を説明する図。
【図6】実施例2の処理フローを示すフローチャート。
【図7】図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す図。
【図8】実施例3の処理フローを示すフローチャート。
【図9】全身用RFコイルを用いて第1の補助計測を行って取得できる輝度が均一な画像の一例。
【図10】部位撮像用RFコイルを用いて第2の補助計測を行って取得できる輝度が不均一な画像の一例。
【図11】部位撮像用RFコイルの感度分布の一例
【図12】感度分布データから算出した補正値の一例
【図13】修正補正値の一例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
最初に、本発明に係るMRI装置を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、RF送信コイル104及びRF送信部110と、RF受信コイル105及び信号検出部106と、信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部108と、表示・操作部113と、被検体101を搭載する天板を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド112と、を備えて構成される。
【0015】
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0016】
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、NMR信号(エコー信号)にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。
【0017】
RF送信コイル104は、被検体101にRFパルスを照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子のスピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスが振幅変調され、増幅された後に被検体101に近接して配置されたRF送信コイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
【0018】
RF受信コイル105は、被検体101の生体組織を構成するスピンのNMR現象により放出されるエコー信号を受信するコイルであり、信号検出部106に接続されて受信したエコー信号が信号検出部106に送られる。このRF受信コイル105として、1つ以上の要素コイルを組み合わせて成る部位撮像用RFコイルと、広い領域に亘って空間的にほぼ均一な感度を有する全身用RFコイルとを備える。
【0019】
信号検出部106は、RF受信コイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、RF送信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置されたRF受信コイル105で受信され、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号検出部106が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換し、後述の信号処理部107に送る。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。
【0020】
信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理したエコーデータを計測制御部111に送る。
【0021】
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なエコーデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号検出部106に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部108の制御で動作し、ある所定のパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号検出部106を制御して、被検体101へのRFパルスの照射及び傾斜磁場パルスの印加と、被検体101からのエコー信号の検出と、を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータの収集を制御する。繰り返しの際には、2次元撮像の場合には位相エンコード傾斜磁場の印加量を、3次元撮像の場合には更にスライスエンコード傾斜磁場の印加量も、変えて行なう。位相エンコードの数は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれ、スライスエンコードの数は、通常16,32,64等の値が選ばれる。これらの制御により信号処理部107からのエコーデータを全体制御部108に出力する。
【0022】
全体制御部108は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、CPU及びメモリを内部に有する演算処理部114と、光ディスク、磁気ディスク等の記憶部115とを有して成る。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリ内のK空間に相当する領域に記憶させる。メモリ内のK空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をK空間データともいう。そして演算処理部114は、このK空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部113に表示させると共に記憶部115に記録させる。
【0023】
表示・操作部113は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部108で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0024】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0025】
(発明の概要)
本発明は、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行い、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上がってしまうことを防止する。つまり、部位撮像用RFコイルの感度分布に基づいて、画像の輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する。以下、画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する本発明の各実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
次に、本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例1を説明する。本実施例は、部位撮像用RFコイルを用いて取得した画像データからその背景ノイズ領域の画素値の平均値を減算した後に、部位撮像用RFコイルの感度不均一に基づく画像の輝度不均一の補正処理を行い、補正後の画像データに平均値を加算して元に戻す。これにより、背景ノイズの持ち上がりを防止する。以下、図2〜4に基づいて本実施例を詳細に説明する。なお、本実施例の手法を、以下、背景ノイズ持ち上がり防止手法という。
【0027】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、計測部201と、画像再構成部202と、感度分布算出部203と、補正値算出部204と、補正部205と、背景ノイズ算出部206と、背景ノイズ減算部207と、背景ノイズ加算部208と、を有してなる。
【0028】
計測部201は、操作者により指定されたパルスシーケンスのタイムチャートと、操作者により設定された撮像条件とに基づいて、該パルスシーケンスを構成するRFパルスと傾斜磁場パルスの印加タイミング及び印加強度、或いは、サンプリングタイミング等を具体的に規定するデータを求めて該パルスシーケンスを生成する。そして、計測制御部111に求めたデータを通知し、計測制御部111にパルスシーケンスを実行させる。本実施例では、計測部201は、部位撮像用RFコイルを用いて画像用のエコーデータを計測する本計測用のパルスシーケンスと、該本計測に先立って部位撮像用RFコイルの感度補正用データを取得する補助計測用のパルスシーケンスをそれぞれ生成し、計測制御部111に該2つのパルスシーケンスを実行させる。また、補助計測として、全身用RFコイルを用いた第1の補助計測と部位撮像用RFコイルを用いた第2の補助計測とを行う。第1の補助計測と第2の補助計測はどちらが先でも良い。補助計測用のパルスシーケンスとしては、例えば、特許文献3に記載のパルスシーケンスを用いることができる。また、本計測用のパルスシーケンスは何れのパルスシーケンスでも良い。
【0029】
画像再構成部202は、第1の補助計測で取得されたエコーデータを用いて画像(以下、第1の感度画像という)を再構成する。同様に、第2の補助計測で取得されたエコーデータを用いて画像(以下、第2の感度画像という)を再構成する。また、本計測取得されたエコーデータを用いて画像(以下、本計測画像という)を再構成する。
感度分布算出部203は、第1の補助計測で取得された第1の感度画像と、第2の補助計測で取得された第2の感度画像とで、画素毎に画素値の比を算出して部位撮像用RFコイルの感度分布を求める。具体的には、以下の(1)式のように求める。
【0030】
感度分布(r)=規格化処理[第1の感度画像(r)/第2の感度画像(r)] (1)
ここで、rは座標を表し、2次元画像であればr=(x,y)であり、3次元であればr=(x,y,z)である。また規格化処理は、第2の感度画像の画素値が最大値となる画素位置における感度分布の値が所定の基準値(例えば1)となるように、全体を規格化することを意味する。
【0031】
補正値算出部204は、(1)式で求められた部位撮像用RFコイルの感度分布を用いて、本計測画像の輝度不均一を補正する補正値を算出する。具体的には、(2)式で補正値を算出する。
【0032】
補正値(r)=1/感度分布(r) (2)
補正部205は、本計測画像(補正前画像)の輝度不均一を、補正値算出部204が算出した補正値で補正して補正画像を取得する。具体的には、(3)式で補正する。
【0033】
補正画像(r)=補正前画像(r)*補正値(r) (3)
背景ノイズ算出部206は、画像における背景ノイズを判定するために閾値の算出と、算出した閾値未満の画素値を背景ノイズと見なして、背景ノイズの平均値を算出する。具体的には、画像の画素値の最大値の10%を閾値として、該閾値未満の画素値を背景ノイズと判定する。そして、閾値未満の画素値を有する全画素について、画素値の平均値、即ち背景ノイズの平均値を求める。
【0034】
背景ノイズ減算部207は、本計測画像の各画素値から背景ノイズ算出部206で算出された背景ノイズ領域の平均値を画素毎に減算処理する。
【0035】
背景ノイズ加算部208は、輝度不均一補正後の本計測画像の各画素値に背景ノイズの平均値を画素毎に加算処理する。
【0036】
なお、上記各機能は、予め記憶部115に格納されたプログラムを、メモリ(不図示)にロードして実行することにより実現される。
【0037】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図3及び図4に基づいて説明する。図3は、本実施例の処理フローを示すフローチャートであり、図4は、図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す。
【0038】
ステップ301で、部位撮像用RFコイルの感度分布データの取得が行なわれる。そのためには、計測部201は、第1の補助計測と第2の補助計測を計測制御部111に実行させて、各補助計測のエコーデータを取得する。次に、画像再構成部202は、補助計測毎に取得されたエコーデータを用いてそれぞれ第1の感度画像及び第2の感度画像を再構成する。次に、感度分布算出部203は、第1の感度画像と第2の感度画像とに基づいて、部位撮像用RFコイルの感度分布を算出する。詳細は、上述したとおりである。
【0039】
ステップ302で、本計測が実行されて被検体の画像が取得される。そのためには、計測部201は、計測制御部に本計測を実行させて、本計測のエコーデータを取得する。次に、画像再構成部202は、本計測で取得されたエコーデータを用いて、本計測画像を再構成する。図4に本計測画像の一例として、画像401と画像401の中心を通る直線上の画素値プロファイル405を示す。部位撮像用RFコイルの感度不均一により、本計測画像401の被検体領域には輝度不均一が生じている。画像401とプロファイル405は、画像の左端から右端に向けて輝度が略線形に減少する輝度不均一の例を示している。
【0040】
ステップ303で、本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値が画素毎に減算される。そのためには、背景ノイズ算出部206が本計測画像における背景ノイズを判別して、背景ノイズと判別した画素の画素値の平均値を算出する。背景ノイズ減算部207が本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値を画素毎に減算することで、本計測画像から背景ノイズを除去する。図4に、本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値を画素毎に減算した結果の一例として、画像402及びと画像402の中心を通る直線上の画素値プロファイル406を示す。背景ノイズの平均値αの減算により、画像の画素値(輝度)及びプロファイル値が全体としてαだけ下がっている。
【0041】
ステップ304で、本計測画像における輝度不均一の補正を行うための補正値の算出が行われる。そのためには、補正値算出部204が、ステップ301で取得された部位撮像用RFコイルの感度分布を用いて補正値を算出する。図4に補正値の一例として、補正値分布410とその中央の点線上の値のプロファイル411を示す。補正値分布410とプロファイル411は、画像401とプロファイル405に示す輝度歪みと比較して逆の変化をしており、この補正値分布410により画像402の輝度不均一を補正する。
【0042】
ステップ305で、補正値を用いて本計測画像における輝度不均一の補正が行われる。そのためには、補正部205が算出された補正値分布410を本計測画像の各画素値に掛けて、本計測画像の輝度不均一を補正する。図4に輝度不均一補正した結果の一例として、画像403と画像403の中心を通る直線上の画素値プロファイル407を示す。輝度不均一補正の結果、画像403とプロファイル407は共に略フラットな輝度変化となっている。
【0043】
ステップ306で、輝度不均一補正された本計測画像の各画素値に背景ノイズの平均値が画素毎に加算される。そのためには、背景ノイズ加算部207が、ステップ305で輝度不均一補正された本計測画像の各画素値に、ステップ303で取得された背景ノイズの平均値αを画素毎に加算して、背景ノイズを元に戻す。図4に背景ノイズの平均値αを本計測画像の各画素値に加算した結果の一例として、画像404と画像404の中心を通る直線上の画素値プロファイル408を示す。背景ノイズの平均値αの加算により、画像の画素値(輝度)及びプロファイル値が全体としてαだけ上がっている。
【0044】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0045】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減算した後に、輝度不均一の補正処理を行い、最後に背景ノイズの平均値を加算して元に戻す。その結果、背景ノイズの画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、画像の画質を向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例2を説明する。本実施例は、前述の実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止のために求めた補正値を、同じ計測で出力されるSNRが高い画像データを用いて修正し、その修正補正値を用いてSNRが低い画像も補正する。以下、本実施例を図5〜7に基づいて詳細に説明する。
【0047】
前述の実施例1で説明した背景ノイズ持ち上がり防止手法を、SNRが低い画像に適用する場合に、被検体領域と背景ノイズ領域との画素値の差が小さいために、画像の画素値から背景ノイズの平均値を減算すると、背景ノイズ領域だけでなく、被検体領域の一部領域もゼロに近くなってしまい、正しく輝度不均一を補正することができない可能性が残る。この、SNRが低い画像に前述の実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用する場合の課題について、図5を用いて説明する。
【0048】
SNRが低い画像501と、その画像501の中心を通る直線上の画素値プロファイル505に示す通り、SNRが低い画像では、背景ノイズ領域の画素値の平均値αと被検体領域の画素値(D)がそれほど変わらない。そのため、画像501から平均値αを引いたノイズなし画像502と、そのノイズなし画像502の中心を通る直線上の画素値プロファイル506に示す様に、平均値αを引いた後の被検体領域の画素値の大きさ(D−α)が極端に小さくなってしまう。その結果、補正値410をノイズなし画像502に乗算しても十分に輝度不均一を補正することができず、輝度不均一が残ったままの画像となってしまう。補正値410を乗算しても輝度不均一が補正されない画像の一例として、画像503及びこの画像503の中心を通る直線上の画素値プロファイル507を示す。当然の結果として、最後に背景ノイズの平均値αを補正後の画像503に加算しても、輝度不均一は残ったままとなる。その一例を画像504と画像504の中心を通る直線上の画素値プロファイル508に示す。
【0049】
そこで、本実施例は、SNRが高い画像とSNRが低い画像が出力される計測において、SNRが低い画像に関しても、不必要な背景ノイズ領域の輝度強調を低減しつつ、被検体領域の輝度不均一を補正して輝度が均一な画像を取得する。
【0050】
最初に、SNRが低い画像に対し背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用することができない課題を解決するための本実施例の手法の概要について、以下に説明する。
まず、背景ノイズ持ち上がり防止手法を数式で表すと、(4)式となる。
【0051】
Signalは原画像の画素値(絶対値)を、Signalcorrは、補正画像の画素値(絶対値)を表し、aは補正値を、Noiseaveは背景ノイズの平均値を表す。また、x、y、zはそれぞれ、周波数エンコード方向、位相エンコード方向、スライス方向の座標を表す。
原画像の画素値に対する補正画像の画素値の比は(5)式の様に求まる。
【0052】
また、(5)式に於いて、原画像の画素値が背景ノイズの平均値に対して、非常に大きい場合、(5)式は、(6)式の様になり、通常の補正処理となる。
【0053】
一方、原画像の画素値が背景ノイズの平均値にほぼ等しい場合には、(5)式は、(7)式の様になり、補正処理の効果が一切なくなる。
【0054】
ここで、(5)式は画像における、背景ノイズ持ち上がり防止手法を考慮した補正値といえる。また、補正値は、部位撮像用RFコイルの感度不均一に起因するが画像の輝度不均一を補正するための処理であり、SNRには影響されない。さらに、背景ノイズ領域の位置も、SNRの違いには影響を受けない。そこで、同じ計測で得られるSNRが高い画像を用いて得た補正値を、背景ノイズ持ち上がり防止処理を考慮して、(5)式の様に修正して修正補正値を得る。この修正補正値を、同じ計測で得られた全ての画像に共通な補正値とすることで、背景ノイズ持ち上がり防止処理を考慮した補正値を作成することができる。
【0055】
そこで本実施例では、(5)式を用いて補正値を修正し、その修正補正値を用いてSNRが低い画像の輝度不均一を補正することにより、SNRが低い画像に対する背景ノイズ持ち上がり防止を考慮した輝度不均一補正を行う。その本実施例の処理フローを図6及び図7に基づいて説明する。図6は、本実施例の処理フローを示すフローチャートであり、図7は、図6に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す。
【0056】
ステップ601で、背景ノイズ算出部206はSNRが高い画像701を用いて、画像701のノイズ平均値602を求める。
【0057】
ステップ602で、補正値算出部203は、前述の実施例1で説明した処理により補正値703を算出する。
【0058】
ステップ603で、補正値算出部203は、SNRが高い画像701とノイズ平均値702と補正値703とを用いて、(5)式に基づいて、修正補正値704を算出する。修正補正値704は、SNRが高い画像701の画素値がノイズ領域の平均値に対して非常に大きい画素(主に中心の被検体領域)については、前述の実施例1と同様の補正値となり、SNRが高い画像の画素値がノイズ平均値にほぼ等しい画素(主に周りの背景領域)については、補正値は1に近くなる。
【0059】
ステップ604で、補正部205は、ステップ603で求めた修正補正値704を、SNRが高い画像705に乗算することにより、ノイズ領域は補正されず被検体領域だけ補正されたSNRが高い画像データ706を得る。図7に、輝度不均一を有するSNRが高い画像705に修正補正値704を乗算して輝度不均一補正後のSNRが高い画像706を得る例を示す。画像705の中心を通る直線上の画素値プロファイル715の不均一が補正されて、画像706の中心を通る直線上の画素値プロファイル716の様に均一になっている。
【0060】
ステップ605で、補正部205は、ステップ603で求めた修正補正値704を、SNRの低い画像707に乗算することにより、背景ノイズ持ち上がり防止を考慮して、背景ノイズ領域は補正されず被検体領域だけ補正されたSNRが低い画像データ708を得る。図7に、輝度不均一を有するSNRが低い画像707に修正補正値704を乗算して輝度不均一補正後のSNRが低い画像708を得る例を示しており、画像707の中心を通る直線上の画素値プロファイル717の不均一が補正されて、低い画像708の中心を通る直線上の画素値プロファイル718の様に均一になっている。
【0061】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0062】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、背景ノイズ持ち上がり防止のために求めた補正値を、同じ計測で出力されるSNRが高い画像データを用いて修正し、その修正補正値を用いて画像の輝度不均一を補正する。その結果、SNRの高低にかかわらずに、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、画像の画質を向上させることが可能になる。例えば、SNRが高い画像とSNRが低い画像が出力される計測において、SNRが高い画像データを参照して、輝度不均一を補正するための補正値を修正し、該修正補正値を用いて画像の輝度不均一を補正することにより、画像の背景ノイズの不必要な輝度強調が低減された、輝度が均一な画像を取得することができる。
【実施例3】
【0063】
次に、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例3を説明する。本実施例は、同じ計測でSNRが高い画像と低い画像が得られる計測として、拡散強調計測(以下、DWI計測という)に、部位撮像用RFコイルの感度不均一に基づく輝度不均一補正を適用する。以下、図8〜11に基づいて本実施例を詳細に説明する。
【0064】
DWI計測は、同じ部位撮像用RFコイルを用いて、MPG(Motion Proving Gradient)を印加しないB0画像と、MPGを印加するMPG画像を得る。このB0画像はSNRが高い画像となり、MPG画像はSNRが低い画像となる。DWI計測の詳細は、特許文献2に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0065】
このようなDWI計測において、前述の実施例2に記載の修正補正値を用いた輝度不均一補正を行う本実施例の処理フローを、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0066】
ステップ801で、部位撮像用RFコイルの感度分布データを取得するための補助計測が行なわれる。具体的には、計測部201は、全身用RFコイルを用いて第1の補助計測を行ない、例えば図9のような輝度が均一な画像を取得し、部位撮像用RFコイルを用いて第2の補助計測を行ない、例えば図10のような輝度が不均一な画像を取得する。
【0067】
ステップ802で、部位撮像用RFコイルの感度分布データが作成される。具体的には、感度分布演算部203は、(1)式に基づいて部位撮像用RFコイルの感度分布データを作成する。その際、背景ノイズ領域などの被検体領域以外の領域に対してはマスク処理を行い、その後に背景ノイズ領域に基準値(例えば1)を代入する。感度分布の一例を図11に示す。
【0068】
ステップ803で、補正値が作成される。具体的には、補正値算出部204は、(2)式に基づいて、ステップ802で作成された感度分布データから補正値を算出する。補正値データの一例を図12に示す。
【0069】
ステップ804で、部位撮像用RFコイルを用いてMPGを印加しないB0画像が取得される。このB0画像はSNRが高い画像となる。具体的には、計測部201がB0画像取得のためのMPGを印加しないDWIシーケンスを具体的に規定するデータを生成し、計測制御部111にそのデータを通知して、計測制御部111にMPGを印加しないDWIシーケンスを実行させてエコーデータを取得する。そして、画像再構成部202が取得されたエコーデータを用いてB0画像を再構成する。
【0070】
ステップ805で、ステップ803で算出された補正値を修正して修正補正値が算出される。具体的には、補正値演算部204は、ステップ804で取得されたSNRが高い画像であるB0画像を用いて、ステップ803で算出された補正値を修正し、修正補正値を算出する。図13に修正補正値データの一例を示す。
【0071】
ステップ806で、B0画像の輝度不均一補正処理が行われる。具体的には、補正部205は、ステップ805で算出された修正補正値を用いて、ステップ804で取得されたB0画像の輝度不均一を補正する。
【0072】
ステップ807で、ステップ806で輝度不均一が補正されたB0画像が表示部に表示される。
【0073】
ステップ808で、部位撮像用RFコイルを用いてMPGを印加してMPG画像が取得される。このMPG画像はSNRが低い画像となる。具体的には、計測部201がMPG画像取得のためのMPGを印加するDWIシーケンスを具体的に規定するデータを生成し、計測制御部111にそのデータを通知して、計測制御部111にMPGを印加するDWIシーケンスを実行させてエコーデータを取得する。そして、画像再構成部202が取得されたエコーデータを用いてMPG画像を再構成する。
【0074】
ステップ809で、MPG画像の輝度不均一補正処理が行われる。具体的には、補正部205は、ステップ805で算出された修正補正値を用いて、ステップ808で取得されたMPG画像の輝度不均一を補正する。
【0075】
ステップ810で、ステップ809で輝度不均一が補正されたMPG画像が表示部に表示される。
【0076】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0077】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、DWI計測で、SNRが高いB0画像と低いMPG画像を得て、B0画像に基づいて補正値を修正して修正補正値を得て、B0画像とMPG画像を共に輝度不均一補正する。これにより、SNRの高低にかかわらずに、B0画像とMPG画像共に、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく両画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、両画像の画質を向上させることが可能になる。
【0078】
以上、本発明の実施例を述べたが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、前述の各実施例では、背景ノイズの平均値を画像の各画素値に対して加減算する例を説明したが、画像における背景ノイズ領域と被検体領域を判別し、背景ノイズ領域の画素をゼロに置換してから被検体領域における輝度不均一を補正し、補正後にゼロに置換した背景ノイズ領域を元に戻しても良い。
【符号の説明】
【0079】
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 RF受信コイル、106 信号検出部106、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113 表示・操作部、114 演算処理部、115 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を計測し、核磁化の密度分布や緩和時間分布を画像化する核磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)技術に関し、特に、感度分布が空間的に不均一な部位撮像用RFコイルを用いて得た画像の輝度不均一を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
上記MRI装置において、良好な信号対雑音比(SNR)を得るため、少なくとも1つの要素コイルを組み合わせて成る部位撮像用RFコイルを用いて撮像が行なわれる。しかし、部位撮像用RFコイルはその感度分布が空間的に不均一であるため、この様な部位撮像用RFコイルを用いて計測されるエコーデータは感度分布不均一の影響を受け、再構成画像に輝度不均一等が発生し画質が劣化する。このような感度分布の不均一に基づく画質劣化を補正するため、補助計測を行って得られた感度分布不均一の補正値を用いて、エコーデータから生成される画像の輝度不均一を補正する。特許文献1には、全検査領域に亘って空間的にほぼ均一な感度分布を有する全身用RFコイルを用いる計測と、部位撮像用RFコイルを用いる計測とを補助計測として実行し、両計測で得られる画像データに基づいて、部位撮像用RFコイルで得られる画像の輝度不均一の補正値を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-56928号公報
【特許文献2】特開平10-248822号公報
【特許文献3】特開2009-268569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の手法によれば、感度の低い背景ノイズ領域の感度も補正されて強調されるので、補正後の画像の見え方として、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上がってしまう可能性が未解決のまま残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記未解決の課題を鑑みてなされたものであり、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正することが可能なMRI装置及び輝度不均一補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得し、その感度分布に基づいて輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行う。
【0008】
具体的には、本発明のMRI装置は、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得する感度分布算出部と、 感度分布に基づいて、輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出部と、補正値を用いた画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する背景ノイズ持ち上がり防止部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の輝度不均一補正方法は、部位撮像用RFコイルの感度分布を取得するステップと、感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出ステップと、補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止するステップと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法によれば、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るMRI装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】実施例1における演算処理部114の機能ブロック図。
【図3】実施例1の処理フローを示すフローチャート。
【図4】図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す図。
【図5】実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用する場合の課題を説明する図。
【図6】実施例2の処理フローを示すフローチャート。
【図7】図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す図。
【図8】実施例3の処理フローを示すフローチャート。
【図9】全身用RFコイルを用いて第1の補助計測を行って取得できる輝度が均一な画像の一例。
【図10】部位撮像用RFコイルを用いて第2の補助計測を行って取得できる輝度が不均一な画像の一例。
【図11】部位撮像用RFコイルの感度分布の一例
【図12】感度分布データから算出した補正値の一例
【図13】修正補正値の一例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
最初に、本発明に係るMRI装置を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、RF送信コイル104及びRF送信部110と、RF受信コイル105及び信号検出部106と、信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部108と、表示・操作部113と、被検体101を搭載する天板を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド112と、を備えて構成される。
【0015】
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0016】
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、NMR信号(エコー信号)にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。
【0017】
RF送信コイル104は、被検体101にRFパルスを照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子のスピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスが振幅変調され、増幅された後に被検体101に近接して配置されたRF送信コイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
【0018】
RF受信コイル105は、被検体101の生体組織を構成するスピンのNMR現象により放出されるエコー信号を受信するコイルであり、信号検出部106に接続されて受信したエコー信号が信号検出部106に送られる。このRF受信コイル105として、1つ以上の要素コイルを組み合わせて成る部位撮像用RFコイルと、広い領域に亘って空間的にほぼ均一な感度を有する全身用RFコイルとを備える。
【0019】
信号検出部106は、RF受信コイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、RF送信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置されたRF受信コイル105で受信され、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号検出部106が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換し、後述の信号処理部107に送る。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。
【0020】
信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理したエコーデータを計測制御部111に送る。
【0021】
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なエコーデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号検出部106に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部108の制御で動作し、ある所定のパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号検出部106を制御して、被検体101へのRFパルスの照射及び傾斜磁場パルスの印加と、被検体101からのエコー信号の検出と、を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータの収集を制御する。繰り返しの際には、2次元撮像の場合には位相エンコード傾斜磁場の印加量を、3次元撮像の場合には更にスライスエンコード傾斜磁場の印加量も、変えて行なう。位相エンコードの数は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれ、スライスエンコードの数は、通常16,32,64等の値が選ばれる。これらの制御により信号処理部107からのエコーデータを全体制御部108に出力する。
【0022】
全体制御部108は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、CPU及びメモリを内部に有する演算処理部114と、光ディスク、磁気ディスク等の記憶部115とを有して成る。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリ内のK空間に相当する領域に記憶させる。メモリ内のK空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をK空間データともいう。そして演算処理部114は、このK空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部113に表示させると共に記憶部115に記録させる。
【0023】
表示・操作部113は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部108で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0024】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0025】
(発明の概要)
本発明は、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する際に、画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する処理を行い、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上がってしまうことを防止する。つまり、部位撮像用RFコイルの感度分布に基づいて、画像の輝度不均一を補正するための補正値を求め、補正値を用いた画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する。以下、画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する本発明の各実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
次に、本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例1を説明する。本実施例は、部位撮像用RFコイルを用いて取得した画像データからその背景ノイズ領域の画素値の平均値を減算した後に、部位撮像用RFコイルの感度不均一に基づく画像の輝度不均一の補正処理を行い、補正後の画像データに平均値を加算して元に戻す。これにより、背景ノイズの持ち上がりを防止する。以下、図2〜4に基づいて本実施例を詳細に説明する。なお、本実施例の手法を、以下、背景ノイズ持ち上がり防止手法という。
【0027】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、計測部201と、画像再構成部202と、感度分布算出部203と、補正値算出部204と、補正部205と、背景ノイズ算出部206と、背景ノイズ減算部207と、背景ノイズ加算部208と、を有してなる。
【0028】
計測部201は、操作者により指定されたパルスシーケンスのタイムチャートと、操作者により設定された撮像条件とに基づいて、該パルスシーケンスを構成するRFパルスと傾斜磁場パルスの印加タイミング及び印加強度、或いは、サンプリングタイミング等を具体的に規定するデータを求めて該パルスシーケンスを生成する。そして、計測制御部111に求めたデータを通知し、計測制御部111にパルスシーケンスを実行させる。本実施例では、計測部201は、部位撮像用RFコイルを用いて画像用のエコーデータを計測する本計測用のパルスシーケンスと、該本計測に先立って部位撮像用RFコイルの感度補正用データを取得する補助計測用のパルスシーケンスをそれぞれ生成し、計測制御部111に該2つのパルスシーケンスを実行させる。また、補助計測として、全身用RFコイルを用いた第1の補助計測と部位撮像用RFコイルを用いた第2の補助計測とを行う。第1の補助計測と第2の補助計測はどちらが先でも良い。補助計測用のパルスシーケンスとしては、例えば、特許文献3に記載のパルスシーケンスを用いることができる。また、本計測用のパルスシーケンスは何れのパルスシーケンスでも良い。
【0029】
画像再構成部202は、第1の補助計測で取得されたエコーデータを用いて画像(以下、第1の感度画像という)を再構成する。同様に、第2の補助計測で取得されたエコーデータを用いて画像(以下、第2の感度画像という)を再構成する。また、本計測取得されたエコーデータを用いて画像(以下、本計測画像という)を再構成する。
感度分布算出部203は、第1の補助計測で取得された第1の感度画像と、第2の補助計測で取得された第2の感度画像とで、画素毎に画素値の比を算出して部位撮像用RFコイルの感度分布を求める。具体的には、以下の(1)式のように求める。
【0030】
感度分布(r)=規格化処理[第1の感度画像(r)/第2の感度画像(r)] (1)
ここで、rは座標を表し、2次元画像であればr=(x,y)であり、3次元であればr=(x,y,z)である。また規格化処理は、第2の感度画像の画素値が最大値となる画素位置における感度分布の値が所定の基準値(例えば1)となるように、全体を規格化することを意味する。
【0031】
補正値算出部204は、(1)式で求められた部位撮像用RFコイルの感度分布を用いて、本計測画像の輝度不均一を補正する補正値を算出する。具体的には、(2)式で補正値を算出する。
【0032】
補正値(r)=1/感度分布(r) (2)
補正部205は、本計測画像(補正前画像)の輝度不均一を、補正値算出部204が算出した補正値で補正して補正画像を取得する。具体的には、(3)式で補正する。
【0033】
補正画像(r)=補正前画像(r)*補正値(r) (3)
背景ノイズ算出部206は、画像における背景ノイズを判定するために閾値の算出と、算出した閾値未満の画素値を背景ノイズと見なして、背景ノイズの平均値を算出する。具体的には、画像の画素値の最大値の10%を閾値として、該閾値未満の画素値を背景ノイズと判定する。そして、閾値未満の画素値を有する全画素について、画素値の平均値、即ち背景ノイズの平均値を求める。
【0034】
背景ノイズ減算部207は、本計測画像の各画素値から背景ノイズ算出部206で算出された背景ノイズ領域の平均値を画素毎に減算処理する。
【0035】
背景ノイズ加算部208は、輝度不均一補正後の本計測画像の各画素値に背景ノイズの平均値を画素毎に加算処理する。
【0036】
なお、上記各機能は、予め記憶部115に格納されたプログラムを、メモリ(不図示)にロードして実行することにより実現される。
【0037】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図3及び図4に基づいて説明する。図3は、本実施例の処理フローを示すフローチャートであり、図4は、図3に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す。
【0038】
ステップ301で、部位撮像用RFコイルの感度分布データの取得が行なわれる。そのためには、計測部201は、第1の補助計測と第2の補助計測を計測制御部111に実行させて、各補助計測のエコーデータを取得する。次に、画像再構成部202は、補助計測毎に取得されたエコーデータを用いてそれぞれ第1の感度画像及び第2の感度画像を再構成する。次に、感度分布算出部203は、第1の感度画像と第2の感度画像とに基づいて、部位撮像用RFコイルの感度分布を算出する。詳細は、上述したとおりである。
【0039】
ステップ302で、本計測が実行されて被検体の画像が取得される。そのためには、計測部201は、計測制御部に本計測を実行させて、本計測のエコーデータを取得する。次に、画像再構成部202は、本計測で取得されたエコーデータを用いて、本計測画像を再構成する。図4に本計測画像の一例として、画像401と画像401の中心を通る直線上の画素値プロファイル405を示す。部位撮像用RFコイルの感度不均一により、本計測画像401の被検体領域には輝度不均一が生じている。画像401とプロファイル405は、画像の左端から右端に向けて輝度が略線形に減少する輝度不均一の例を示している。
【0040】
ステップ303で、本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値が画素毎に減算される。そのためには、背景ノイズ算出部206が本計測画像における背景ノイズを判別して、背景ノイズと判別した画素の画素値の平均値を算出する。背景ノイズ減算部207が本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値を画素毎に減算することで、本計測画像から背景ノイズを除去する。図4に、本計測画像の各画素値から背景ノイズの平均値を画素毎に減算した結果の一例として、画像402及びと画像402の中心を通る直線上の画素値プロファイル406を示す。背景ノイズの平均値αの減算により、画像の画素値(輝度)及びプロファイル値が全体としてαだけ下がっている。
【0041】
ステップ304で、本計測画像における輝度不均一の補正を行うための補正値の算出が行われる。そのためには、補正値算出部204が、ステップ301で取得された部位撮像用RFコイルの感度分布を用いて補正値を算出する。図4に補正値の一例として、補正値分布410とその中央の点線上の値のプロファイル411を示す。補正値分布410とプロファイル411は、画像401とプロファイル405に示す輝度歪みと比較して逆の変化をしており、この補正値分布410により画像402の輝度不均一を補正する。
【0042】
ステップ305で、補正値を用いて本計測画像における輝度不均一の補正が行われる。そのためには、補正部205が算出された補正値分布410を本計測画像の各画素値に掛けて、本計測画像の輝度不均一を補正する。図4に輝度不均一補正した結果の一例として、画像403と画像403の中心を通る直線上の画素値プロファイル407を示す。輝度不均一補正の結果、画像403とプロファイル407は共に略フラットな輝度変化となっている。
【0043】
ステップ306で、輝度不均一補正された本計測画像の各画素値に背景ノイズの平均値が画素毎に加算される。そのためには、背景ノイズ加算部207が、ステップ305で輝度不均一補正された本計測画像の各画素値に、ステップ303で取得された背景ノイズの平均値αを画素毎に加算して、背景ノイズを元に戻す。図4に背景ノイズの平均値αを本計測画像の各画素値に加算した結果の一例として、画像404と画像404の中心を通る直線上の画素値プロファイル408を示す。背景ノイズの平均値αの加算により、画像の画素値(輝度)及びプロファイル値が全体としてαだけ上がっている。
【0044】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0045】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減算した後に、輝度不均一の補正処理を行い、最後に背景ノイズの平均値を加算して元に戻す。その結果、背景ノイズの画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、画像の画質を向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例2を説明する。本実施例は、前述の実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止のために求めた補正値を、同じ計測で出力されるSNRが高い画像データを用いて修正し、その修正補正値を用いてSNRが低い画像も補正する。以下、本実施例を図5〜7に基づいて詳細に説明する。
【0047】
前述の実施例1で説明した背景ノイズ持ち上がり防止手法を、SNRが低い画像に適用する場合に、被検体領域と背景ノイズ領域との画素値の差が小さいために、画像の画素値から背景ノイズの平均値を減算すると、背景ノイズ領域だけでなく、被検体領域の一部領域もゼロに近くなってしまい、正しく輝度不均一を補正することができない可能性が残る。この、SNRが低い画像に前述の実施例1の背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用する場合の課題について、図5を用いて説明する。
【0048】
SNRが低い画像501と、その画像501の中心を通る直線上の画素値プロファイル505に示す通り、SNRが低い画像では、背景ノイズ領域の画素値の平均値αと被検体領域の画素値(D)がそれほど変わらない。そのため、画像501から平均値αを引いたノイズなし画像502と、そのノイズなし画像502の中心を通る直線上の画素値プロファイル506に示す様に、平均値αを引いた後の被検体領域の画素値の大きさ(D−α)が極端に小さくなってしまう。その結果、補正値410をノイズなし画像502に乗算しても十分に輝度不均一を補正することができず、輝度不均一が残ったままの画像となってしまう。補正値410を乗算しても輝度不均一が補正されない画像の一例として、画像503及びこの画像503の中心を通る直線上の画素値プロファイル507を示す。当然の結果として、最後に背景ノイズの平均値αを補正後の画像503に加算しても、輝度不均一は残ったままとなる。その一例を画像504と画像504の中心を通る直線上の画素値プロファイル508に示す。
【0049】
そこで、本実施例は、SNRが高い画像とSNRが低い画像が出力される計測において、SNRが低い画像に関しても、不必要な背景ノイズ領域の輝度強調を低減しつつ、被検体領域の輝度不均一を補正して輝度が均一な画像を取得する。
【0050】
最初に、SNRが低い画像に対し背景ノイズ持ち上がり防止手法を単純に適用することができない課題を解決するための本実施例の手法の概要について、以下に説明する。
まず、背景ノイズ持ち上がり防止手法を数式で表すと、(4)式となる。
【0051】
Signalは原画像の画素値(絶対値)を、Signalcorrは、補正画像の画素値(絶対値)を表し、aは補正値を、Noiseaveは背景ノイズの平均値を表す。また、x、y、zはそれぞれ、周波数エンコード方向、位相エンコード方向、スライス方向の座標を表す。
原画像の画素値に対する補正画像の画素値の比は(5)式の様に求まる。
【0052】
また、(5)式に於いて、原画像の画素値が背景ノイズの平均値に対して、非常に大きい場合、(5)式は、(6)式の様になり、通常の補正処理となる。
【0053】
一方、原画像の画素値が背景ノイズの平均値にほぼ等しい場合には、(5)式は、(7)式の様になり、補正処理の効果が一切なくなる。
【0054】
ここで、(5)式は画像における、背景ノイズ持ち上がり防止手法を考慮した補正値といえる。また、補正値は、部位撮像用RFコイルの感度不均一に起因するが画像の輝度不均一を補正するための処理であり、SNRには影響されない。さらに、背景ノイズ領域の位置も、SNRの違いには影響を受けない。そこで、同じ計測で得られるSNRが高い画像を用いて得た補正値を、背景ノイズ持ち上がり防止処理を考慮して、(5)式の様に修正して修正補正値を得る。この修正補正値を、同じ計測で得られた全ての画像に共通な補正値とすることで、背景ノイズ持ち上がり防止処理を考慮した補正値を作成することができる。
【0055】
そこで本実施例では、(5)式を用いて補正値を修正し、その修正補正値を用いてSNRが低い画像の輝度不均一を補正することにより、SNRが低い画像に対する背景ノイズ持ち上がり防止を考慮した輝度不均一補正を行う。その本実施例の処理フローを図6及び図7に基づいて説明する。図6は、本実施例の処理フローを示すフローチャートであり、図7は、図6に示すフローチャートの各ステップにおける画像とその中心プロファイルを示す。
【0056】
ステップ601で、背景ノイズ算出部206はSNRが高い画像701を用いて、画像701のノイズ平均値602を求める。
【0057】
ステップ602で、補正値算出部203は、前述の実施例1で説明した処理により補正値703を算出する。
【0058】
ステップ603で、補正値算出部203は、SNRが高い画像701とノイズ平均値702と補正値703とを用いて、(5)式に基づいて、修正補正値704を算出する。修正補正値704は、SNRが高い画像701の画素値がノイズ領域の平均値に対して非常に大きい画素(主に中心の被検体領域)については、前述の実施例1と同様の補正値となり、SNRが高い画像の画素値がノイズ平均値にほぼ等しい画素(主に周りの背景領域)については、補正値は1に近くなる。
【0059】
ステップ604で、補正部205は、ステップ603で求めた修正補正値704を、SNRが高い画像705に乗算することにより、ノイズ領域は補正されず被検体領域だけ補正されたSNRが高い画像データ706を得る。図7に、輝度不均一を有するSNRが高い画像705に修正補正値704を乗算して輝度不均一補正後のSNRが高い画像706を得る例を示す。画像705の中心を通る直線上の画素値プロファイル715の不均一が補正されて、画像706の中心を通る直線上の画素値プロファイル716の様に均一になっている。
【0060】
ステップ605で、補正部205は、ステップ603で求めた修正補正値704を、SNRの低い画像707に乗算することにより、背景ノイズ持ち上がり防止を考慮して、背景ノイズ領域は補正されず被検体領域だけ補正されたSNRが低い画像データ708を得る。図7に、輝度不均一を有するSNRが低い画像707に修正補正値704を乗算して輝度不均一補正後のSNRが低い画像708を得る例を示しており、画像707の中心を通る直線上の画素値プロファイル717の不均一が補正されて、低い画像708の中心を通る直線上の画素値プロファイル718の様に均一になっている。
【0061】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0062】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、背景ノイズ持ち上がり防止のために求めた補正値を、同じ計測で出力されるSNRが高い画像データを用いて修正し、その修正補正値を用いて画像の輝度不均一を補正する。その結果、SNRの高低にかかわらずに、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、画像の画質を向上させることが可能になる。例えば、SNRが高い画像とSNRが低い画像が出力される計測において、SNRが高い画像データを参照して、輝度不均一を補正するための補正値を修正し、該修正補正値を用いて画像の輝度不均一を補正することにより、画像の背景ノイズの不必要な輝度強調が低減された、輝度が均一な画像を取得することができる。
【実施例3】
【0063】
次に、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法の実施例3を説明する。本実施例は、同じ計測でSNRが高い画像と低い画像が得られる計測として、拡散強調計測(以下、DWI計測という)に、部位撮像用RFコイルの感度不均一に基づく輝度不均一補正を適用する。以下、図8〜11に基づいて本実施例を詳細に説明する。
【0064】
DWI計測は、同じ部位撮像用RFコイルを用いて、MPG(Motion Proving Gradient)を印加しないB0画像と、MPGを印加するMPG画像を得る。このB0画像はSNRが高い画像となり、MPG画像はSNRが低い画像となる。DWI計測の詳細は、特許文献2に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0065】
このようなDWI計測において、前述の実施例2に記載の修正補正値を用いた輝度不均一補正を行う本実施例の処理フローを、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0066】
ステップ801で、部位撮像用RFコイルの感度分布データを取得するための補助計測が行なわれる。具体的には、計測部201は、全身用RFコイルを用いて第1の補助計測を行ない、例えば図9のような輝度が均一な画像を取得し、部位撮像用RFコイルを用いて第2の補助計測を行ない、例えば図10のような輝度が不均一な画像を取得する。
【0067】
ステップ802で、部位撮像用RFコイルの感度分布データが作成される。具体的には、感度分布演算部203は、(1)式に基づいて部位撮像用RFコイルの感度分布データを作成する。その際、背景ノイズ領域などの被検体領域以外の領域に対してはマスク処理を行い、その後に背景ノイズ領域に基準値(例えば1)を代入する。感度分布の一例を図11に示す。
【0068】
ステップ803で、補正値が作成される。具体的には、補正値算出部204は、(2)式に基づいて、ステップ802で作成された感度分布データから補正値を算出する。補正値データの一例を図12に示す。
【0069】
ステップ804で、部位撮像用RFコイルを用いてMPGを印加しないB0画像が取得される。このB0画像はSNRが高い画像となる。具体的には、計測部201がB0画像取得のためのMPGを印加しないDWIシーケンスを具体的に規定するデータを生成し、計測制御部111にそのデータを通知して、計測制御部111にMPGを印加しないDWIシーケンスを実行させてエコーデータを取得する。そして、画像再構成部202が取得されたエコーデータを用いてB0画像を再構成する。
【0070】
ステップ805で、ステップ803で算出された補正値を修正して修正補正値が算出される。具体的には、補正値演算部204は、ステップ804で取得されたSNRが高い画像であるB0画像を用いて、ステップ803で算出された補正値を修正し、修正補正値を算出する。図13に修正補正値データの一例を示す。
【0071】
ステップ806で、B0画像の輝度不均一補正処理が行われる。具体的には、補正部205は、ステップ805で算出された修正補正値を用いて、ステップ804で取得されたB0画像の輝度不均一を補正する。
【0072】
ステップ807で、ステップ806で輝度不均一が補正されたB0画像が表示部に表示される。
【0073】
ステップ808で、部位撮像用RFコイルを用いてMPGを印加してMPG画像が取得される。このMPG画像はSNRが低い画像となる。具体的には、計測部201がMPG画像取得のためのMPGを印加するDWIシーケンスを具体的に規定するデータを生成し、計測制御部111にそのデータを通知して、計測制御部111にMPGを印加するDWIシーケンスを実行させてエコーデータを取得する。そして、画像再構成部202が取得されたエコーデータを用いてMPG画像を再構成する。
【0074】
ステップ809で、MPG画像の輝度不均一補正処理が行われる。具体的には、補正部205は、ステップ805で算出された修正補正値を用いて、ステップ808で取得されたMPG画像の輝度不均一を補正する。
【0075】
ステップ810で、ステップ809で輝度不均一が補正されたMPG画像が表示部に表示される。
【0076】
以上までが、本実施例の処理フローの説明である。
【0077】
以上説明したように、本実施例のMRI装置及び輝度不均一補正方法は、DWI計測で、SNRが高いB0画像と低いMPG画像を得て、B0画像に基づいて補正値を修正して修正補正値を得て、B0画像とMPG画像を共に輝度不均一補正する。これにより、SNRの高低にかかわらずに、B0画像とMPG画像共に、背景ノイズ領域の画素値が不自然に持ち上げられることなく、部位撮像用RFコイルの感度分布不均一に基づく両画像の輝度不均一を補正して均一な輝度の画像を取得することが可能となり、両画像の画質を向上させることが可能になる。
【0078】
以上、本発明の実施例を述べたが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、前述の各実施例では、背景ノイズの平均値を画像の各画素値に対して加減算する例を説明したが、画像における背景ノイズ領域と被検体領域を判別し、背景ノイズ領域の画素をゼロに置換してから被検体領域における輝度不均一を補正し、補正後にゼロに置換した背景ノイズ領域を元に戻しても良い。
【符号の説明】
【0079】
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 RF受信コイル、106 信号検出部106、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113 表示・操作部、114 演算処理部、115 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する演算処理部を備えた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記演算処理部は、
前記部位撮像用RFコイルの感度分布を取得する感度分布算出部と、
前記感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出部と、
前記補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する背景ノイズ持ち上がり防止部と、
を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記背景ノイズ持ち上がり防止部は、
前記画像の背景ノイズの平均値を算出する背景ノイズ算出部と、
前記画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減じる背景ノイズ減算部 と、
前記背景ノイズの平均値が減じられた画像の輝度不均一を、前記補正値を用いて補正する補正部と、
前記補正後の画像の各画素値に前記背景ノイズの平均値を加算する背景ノイズ加算部と、
を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記補正値算出部は、SNRの高い画像を用いて前記補正値を修正して修正補正値を取得し、
前記背景ノイズ持ち上がり防止部は、前記修正補正値を用いてSNRの低い画像の輝度不均一を補正することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記SNRの高い画像は、DWI計測でMPGを印加しないで得られたB0画像であり、
前記SNRの低い画像は、DWI計測でMPGを印加して得られたMPG画像であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
磁気共鳴イメージング装置が作動して、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する輝度不均一補正方法であって、
前記部位撮像用RFコイルの感度分布を取得するステップと、
前記感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出ステップと、
前記補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止するステップと、
を備えていることを特徴とする輝度不均一補正方法。
【請求項6】
請求項5記載の輝度不均一補正方法であって、
前記背景ノイズの持ち上がりを防止するステップは、
前記画像の背景ノイズの平均値を算出するステップと、
前記画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減じるステップと、
前記背景ノイズの平均値が減じられた画像の輝度不均一を、前記補正値を用いて補正するステップと、
前記補正後の画像の各画素値に前記背景ノイズの平均値を加算するステップと、
を有することを特徴とする輝度不均一補正方法。
【請求項7】
請求項5記載の輝度不均一補正方法であって、
前記補正値を算出するステップは、SNRの高い画像を用いて前記補正値を修正して修正補正値を取得し、
前記背景ノイズの持ち上がりを防止するステップは、前記修正補正値を用いてSNRの低い画像の輝度不均一を補正することを特徴とする輝度不均一補正方法。
【請求項1】
部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する演算処理部を備えた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記演算処理部は、
前記部位撮像用RFコイルの感度分布を取得する感度分布算出部と、
前記感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出部と、
前記補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止する背景ノイズ持ち上がり防止部と、
を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記背景ノイズ持ち上がり防止部は、
前記画像の背景ノイズの平均値を算出する背景ノイズ算出部と、
前記画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減じる背景ノイズ減算部 と、
前記背景ノイズの平均値が減じられた画像の輝度不均一を、前記補正値を用いて補正する補正部と、
前記補正後の画像の各画素値に前記背景ノイズの平均値を加算する背景ノイズ加算部と、
を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記補正値算出部は、SNRの高い画像を用いて前記補正値を修正して修正補正値を取得し、
前記背景ノイズ持ち上がり防止部は、前記修正補正値を用いてSNRの低い画像の輝度不均一を補正することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記SNRの高い画像は、DWI計測でMPGを印加しないで得られたB0画像であり、
前記SNRの低い画像は、DWI計測でMPGを印加して得られたMPG画像であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
磁気共鳴イメージング装置が作動して、部位撮像用RFコイルを用いて得られた画像における、該部位撮像用RFコイルの不均一な感度分布に基づく輝度不均一を補正する輝度不均一補正方法であって、
前記部位撮像用RFコイルの感度分布を取得するステップと、
前記感度分布に基づいて、前記輝度不均一を補正するための補正値を求める補正値算出ステップと、
前記補正値を用いた前記画像の輝度不均一の補正の際に、該画像の背景ノイズの持ち上がりを防止するステップと、
を備えていることを特徴とする輝度不均一補正方法。
【請求項6】
請求項5記載の輝度不均一補正方法であって、
前記背景ノイズの持ち上がりを防止するステップは、
前記画像の背景ノイズの平均値を算出するステップと、
前記画像の各画素値から背景ノイズの平均値を減じるステップと、
前記背景ノイズの平均値が減じられた画像の輝度不均一を、前記補正値を用いて補正するステップと、
前記補正後の画像の各画素値に前記背景ノイズの平均値を加算するステップと、
を有することを特徴とする輝度不均一補正方法。
【請求項7】
請求項5記載の輝度不均一補正方法であって、
前記補正値を算出するステップは、SNRの高い画像を用いて前記補正値を修正して修正補正値を取得し、
前記背景ノイズの持ち上がりを防止するステップは、前記修正補正値を用いてSNRの低い画像の輝度不均一を補正することを特徴とする輝度不均一補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−29999(P2012−29999A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174083(P2010−174083)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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