磁気共鳴イメージング装置
【課題】 撮像パラメータの設定効率を向上させる。
【解決手段】 磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータを維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示される。
【解決手段】 磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータを維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に関し、特に撮像パラメータの値の設定効率を向上させる操作技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
磁気共鳴撮像における再構成画像の画質および撮像の時間は、撮像に用いるパルスシーケンスにより大きく異なるが、同種のパルスシーケンスであっても、その撮像パラメータの設定値(視野・パルスの繰返し時間(TR)・エコー時間(TE)・反転回復時間(TI)・スライス厚・スライス数・撮像のマトリクス数・信号の加算回数等)の違いにより大きな差を生じる。
【0004】
従って、操作者は被検体の負担を考え、医師が正確な診断を行える画像を得るために、被検体毎に撮像の時間・疾患種類・診断部位・撮像の領域を考慮し、細かに撮像パラメータの値を設定する必要がある。
【0005】
ところで、各撮像パラメータの間には種々の相関関係があり、独立に任意の値を設定することはできない。例えば、スライス数は、パルスの繰返し時間とエコー時間から決定される値以下の枚数までしか設定できないということである。操作者は、このような相関関係に基づく制約の下で、所望する撮像パラメータ値に最も近い条件を探し設定しなければならない。
【0006】
特許文献1には、相互に相関関係のある撮像パラメータの設定値と共にその設定可能範囲(変更可能範囲)を表示し、且つ、一の撮像パラメータの値の変更に伴って、関連する他の撮像パラメータの値の設定可能範囲(変更可能範囲)を変更して再表示する表示手段を備えたMRI装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、入力された撮像パラメータ値による撮像が不可能な場合に、該入力値を維持するために変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を演算し、表示手段は、前記他の撮像パラメータとその値の候補を表示するMRI装置が開示されている。すなわち、操作者が撮像パラメータ値を入力すると、撮像パラメータの入力値によって撮像が可能になるような推奨パラメータウィンドウが特許文献2の図6のように表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3335381号公報
【特許文献2】特開2006-280820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の従来技術では、操作者が推奨パラメータウィンドウから、ある推奨パラメータとその値を選択すると、選択したパラメータ値によって、撮像可能かどうか再び計算が行われ、条件によっては、再び推奨パラメータウィンドウの表示が必要となる場合がある。そしてこのことが、複数回繰り返される可能性がある。
【0010】
その場合には、操作者は以前に選択した推奨パラメータにおける撮像パラメータ値の組み合わせに設定を戻すことは困難であった。また、以前の推奨パラメータウィンドウを見ずに、複数回提示される推奨パラメータの前後間で撮影パラメータ値の組み合わせ等を比較・検討することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明によれば、磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの値の変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータの値を維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0012】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0013】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示されることを特徴とする記載の磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0014】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0015】
また、前記ウィンドウは、横ならびに表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0016】
また、前記ウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0017】
また、前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0018】
また、前記イメージクオリティパラメータには、SARとdB/dtの少なくとも一つが含まれることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮像パラメータの値の設定効率を向上させることができる。特に、複数の推奨パラメータにおける撮像パラメータの値の組み合わせを、選択した推奨パラメータの該選択の前後関係を考慮しながら、比較・検討し、所望の撮像パラメータの値の組み合わせを効率良く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を示す図
【図2】各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示する例を示す図
【図3】各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示する例を示す図(TRを大きくした例)
【図4】撮像パラメータの値の変更可能範囲の表示を行う際のフローチャート
【図5】撮像パラメータの相関関係の一例を説明するためのシーケンス図
【図6】特許文献2記載の実施例を説明するための図
【図7】実施例1の動作を示すフローチャート
【図8】実施例1の表示画面
【図9】実施例1でOKボタンを押した後のウインドウ71を示す図
【図10】実施例2の動作を示すフローチャート
【図11】実施例2の表示画面
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
【0023】
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0024】
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ-ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0025】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。
【0026】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力されたRFパルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調されたRFパルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
【0027】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。
【0028】
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有する。受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
【0029】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0030】
なお、図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0031】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0032】
次に、例えば上記ディスプレイ20に表示する撮像パラメータの表示方法について説明する。磁気共鳴撮像における再構成画像の画質および撮像時間は、前述のようにパルスシーケンスや撮像パラメータ値により大きく異なるので、被検体の症状により細かに撮像パラメータ値を設定する必要がある。また、撮像パラメータ値の設定は、各撮影パラメータ間の相関関係による制約の中で行わなければならない。
【0033】
撮像パラメータ値の変更にあたり、この制約を可視化するため、例えば図2に示すように、各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示することができる。図2によれば、外部記憶装置から読みだした撮像パラメータの項目30と、その設定値32と、各撮像パラメータ間の相関関係より計算した変更可能範囲31をディスプレイ20に表示する。図2において一番上に示されたパラメータは、撮像視野(FOV)であり、単位はmmである。上から2番目に示されたパラメータは、繰り返し時間(TR)であり、1つのスライスにおいて印加される2つの連続する90°パルスの間の時間を言い、単位はmsecである。上から3番目に示されたパラメータは、エコ-遅延時間(TE)であり、RFパルス印加後に、エコ-信号を受信するために少し待つための時間であり、単位はmsecである。上から4番目に示されたパラメータは、スライス厚であり、単位はmmである。上から5番目に示されたパラメータは、マルチスライスの数(スライス数)であり、マルチスライス撮影をする際のマルチスライスの枚数を示している。
【0034】
操作者が所望するスライス数が10枚の場合、図2ではスライス数の変更可能範囲が1〜12枚であるので、操作者は直ちにスライス数を10枚と設定して撮像を開始することができる。
【0035】
一方、操作者が所望するスライス数が15枚の場合、操作者はスライス数の変更可能範囲を参照することにより、15枚のスライス数設定が不可能であることを直ちに判断できる。
【0036】
このような場合には、操作者が所望する範囲内で、例えばTRの値を大きくした後(500msec→610msec)、図3に示すように、スライス数の変更可能範囲が1〜15枚になったことを確認し、スライス数を15枚と設定して撮像を開始することができる。
【0037】
たとえ、操作者が所望する撮像パラメータ値の許される範囲内でTRを大きくしても、スライス数の変更可能範囲が1〜14枚にしかならなかったとしても、操作者は所望する撮像パラメータ値の設定が不可能であることを直ちに判断できるので、無駄な操作をすることなく所望する撮像パラメータ値に最も近い条件(スライス数14枚)で撮像を開始することができる。
【0038】
上記の撮像パラメータ値の変更操作において、撮像パラメータ値の変更可能範囲の表示は、図4に示すフローチャートに従い行われる。すなわち、
(ステップ41)
操作者は所望とする撮像パラメータ値の組み合わせを操作部25内のキーボード24を用いて入力する。
【0039】
(ステップ42)
全ての撮像パラメータ値について、変更可能範囲をCPU8は計算する。
【0040】
(ステップ43)
ステップ42で計算した変更可能範囲をCPU8はディスプレイ20に表示する。
【0041】
(ステップ44)
撮像パラメータ値がすべて変更可能範囲内にあるかをCPU8はチェックする。変更可能範囲内にあれば、ステップ45へ移行する。変更可能範囲内になければ、ステップ46へ移行する。
【0042】
(ステップ45)
MRI装置は、イメージングを行う。
【0043】
(ステップ46)
操作者は、撮像パラメータ値の変更を行う。変更をした後、ステップ42へ移行し、変更された撮像パラメータと相関関係のある全ての撮像パラメータに対し、新たな変更可能範囲を計算し直す。ステップ43で新たな変更可能範囲をディスプレイ20にリアルタイムで表示する。
【0044】
図5に、撮像パラメータの値の相関関係の一例を示す。図5は、SEシーケンスにおけるTRと、TEと、スライス数の相関関係を示すシーケンスチャートであるが、これらの条件の値は、以下の(1)式を満たさなければならない。
【0045】
TR≧(TE+t1+2+t3)×スライス数
(t1,t2,t3はスライス厚によって変化する) (1)
t1,t2,t3の値は操作者にとって未知数であるため、操作者が(1)式を解くことはできない。たとえt1,t2,t3の値が分かっていても、いちいち計算するのは操作者にとって非常に面倒である。しかし、前述の各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示することにより、操作者は所望する撮像パラメータ値の設定が可能であるかを即座に判断することができる。
【0046】
次に、特許文献2記載の撮影条件設定方法の一実施形態について説明する。特許文献2記載の実施形態は、表示された変更可能範囲を越えて撮像パラメータ値を変更しようとする場合に、その撮像パラメータを入力された設定値にするための他の撮像パラメータの値の変更例を表示する形態である。
【0047】
特許文献2記載の一実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、図2に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を表示された変更可能範囲(1〜12)を越えて13に変更しようとした場合に、操作者に提示するメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の一例である。これらのメッセージと候補は、例えば、ディスプレイ20にポップアップウィンドウ50を表示して、そのポップアップウィンドウ50内に表示される。この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア51と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア52を有して成る。
【0048】
メッセージエリア51には、入力された設定値が、その撮像パラメータの設定可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2を表示する。例えば、図6には、メッセージ1として「撮像パラメータが設定可能範囲を超えました。」を表示し、メッセージ2として「以下のいずれかを選択してください:」を表示した例を示している。
【0049】
候補表示エリア52には、スライス数を13枚に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも表示する。更に、撮像パラメータの値の変更に伴う画質の変化量も表示してもよい。画質に関する項目としては、SNR(信号対雑音比)、CNR(コントラスト対雑音比)、及び分解能等があり、これらの内の少なくとも一つの項目の変化量を表示することができる。またその他に、スキャン時間を表示しても良い。図6に示した例では、SNRの変化割合、CNRの変化割合及びスキャン時間(Scan Time)を共に表示している。
【0050】
図6には2つの候補を提示する例を示している。候補1:「M.Acqを2に変更する。」は、13枚の撮像を2回に分けて撮像することを示し、この場合はSNRとCNRは変更前との比で変わらず、この比を%で表わしてSNR=100%、NR=100%と表示されている。Scantime=4:16で4分16秒となることを示している。
【0051】
また、候補2:「TRを600に延長する。」は、繰り返し時間TRを600msに変更する候補であり、この場合はSNR、CNRは変更前との比で1.1倍及び0.9倍となり、この比を%で表わしてSNR=110%、CNR=90%と表示されている。Scantime=2:33で2分33秒となることを示している。
【0052】
或いは、上記画質に関する項目及びスキャン時間の他に、撮像パラメータの値の変更に伴うSAR(Specific Absorption Ratio;高周波磁場印加に伴い人体に吸収される単位質量当たりの発熱量)やdB/dt(傾斜磁場の時間変化率)を求めて表示しても良い。何れも生体に対する安全性に関わる数値であるので、これらの値の表示は被検体への安全性を高める上で有用である。
【0053】
なお、候補リストの最後に、スライス数を13枚に変更する事を取り消すための選択肢:「変更を取り消す。」も用意しておく。
【0054】
以上の候補表示エリア52に表示された候補のいずれかを選択し、OKボタン53を押下することによって、スライス数を13枚に変更すると共に、選択した候補が提示した撮像パラメータの値の変更を行う。或いは、「変更を取り消す。」を選択した場合には、撮像パラメータの値は何も変更されない。一方、Cancelボタン54を押下した場合は、このポップアップウィンドウ上で行った操作を無効にする。何れの場合も、ポップアップウィンドウを消去して撮像パラメータの値の変更操作を終了する。
【0055】
なお、上記説明では、候補として一つの撮像パラメータの値を変更する場合を説明したが、複数の撮像パラメータの値を同時に変更する組み合わせを候補として表示しても良い。
【0056】
以上の様にして値の変更された撮像パラメータは、図2に示すような撮像パラメータの設定値とその変更可能範囲の表示に反映される。つまり、変更された撮像パラメータはその値が設定値として表示され、且つ、この撮像パラメータ値の変更に伴う各撮像パラメータの変更可能範囲を計算して、それらの変更可能範囲が再表示される。例えば、前述の候補2が選択された場合は、スライス数が3枚から13枚に変更され、TRが500msから600msに変更される。そして、これらの撮像パラメータ値の変更にともなって、各撮像パラメータ値の変更可能範囲も再計算されて表示される。
【0057】
なお、撮像パラメータ値の設定・変更及び変更可能範囲の計算は、例えばCPU8で行われる。また、選択操作や撮像パラメータの設定値の入力は、操作部25に備えられたキーボードやマウス等で行う。
【0058】
以上説明した様に、特許文献2記載の撮像パラメータの値の設定方法によれば、変更可能範囲を超えて撮像パラメータの値の変更を容易に行うことが可能になる。
【0059】
しかしながら、前述したように、推奨パラメータウィンドウが複数回繰り返し表示されるときに、操作者は以前に選択した推奨パラメータにおける撮像パラメータの値の組み合わせに戻すことは難しかった。また、以前の推奨パラメータウィンドウを見ずに、複数回提示される推奨パラメータの前後間で撮影パラメータ値の組み合わせ等を比較・検討することが難しい等の問題があった。それを解決した実施例を次に示す。
【実施例1】
【0060】
本発明の実施例1について図7のフローチャート及び図8の表示画面を用いて説明する。
実施例1は、図8左上に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を変更可能範囲(1〜12)を超えて13に変更しようとした場合に、操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補を纏めた推奨パラメータの提示を複数段階に亙って行うと、それらを同時に一つの画面で表示する一例である。
【0061】
次に、実施例1の動作について図7のフローチャートを用いて説明する。
(ステップ61)
操作者は所望とする撮像パラメータ値の組み合わせあるいは、値を変更するいずれかの撮像パラメータを操作部25内のキーボード24を用いて入力する。
【0062】
(ステップ62)
全ての撮像パラメータについて、変更可能範囲や、当該撮像パラメータで撮像を行った時の画質等をCPU8は計算する。
【0063】
(ステップ63)
CPU8は、撮像パラメータの値がすべて変更可能範囲内にあるかをチェックする。変更可能範囲内にあれば、ステップ64へ移行する。変更可能範囲内になければ、ステップ67へ移行する。
【0064】
(ステップ64)
ステップ62あるいはステップ69で計算した変更可能範囲等をCPU8はディスプレイ20に表示する。
【0065】
(ステップ65)
CPU8はOKボタンが押されたか判断する。押されていれば、ステップ66ヘ移行し、押されていなければ終了する。
【0066】
(ステップ66)
MRI装置はイメージングを行う。
【0067】
(ステップ67)
CPU8は、ステップ63において、変更可能範囲内にないものと判断されたパラメータについて、その値を維持するために変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を推奨パラメータとしてディスプレイ20に提示する。該推奨パラメータは1つである場合もあれば、2つ以上ある場合もある。
【0068】
(ステップ68)
CPU8は、推奨パラメータが2つ以上ある場合、初期で一番上の推奨パラメータが選択されている状態から推奨パラメータの選択を変更されたかを判断する。変更されていればステップ69へ、変更されていなければステップ63へ移行する。
【0069】
(ステップ69)
変更された推奨パラメータに撮像パラメータについて、変更可能範囲等の再計算を行う。
【0070】
ただし、本実施例ではステップ63→ステップ67→ステップ68(→ステップ69)→ステップ63のループが1回で終わらず2回以上ある場合があり、複数ループがある場合についての推奨パラメータの複数段階の提示が1つの画面に同時に横並びに表示されるようになっている。
【0071】
次に図8を用いて、本実施例において推奨パラメータの複数段階の提示が1つの画面で同時に行なわれる表示画面の例を示す。先ず図8において上側に示されたウィンドウ71は、特許文献1開示の技術であり、図2でも説明したものであり、相互に相関関係のある撮像パラメータの設定値と共にその変更可能範囲を表示したものである。
【0072】
ウィンドウ71において上から5番目に示されたパラメータはReadout Pointsであり、エコ-信号を信号読み出し傾斜磁場により読み出す際に、A/D変換器でエコ-信号をデジタルサンプリングする数を示している。上から6番目に示されたパラメータはBand Width(BW)であり、A/D変換器によるサンプリング間隔の逆数を、周波数kHzを単位として表したものである。
【0073】
ここで、図8は、図6と同様に、図1に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を表示された変更可能範囲(1〜12)を越えて13に変更しようとした場合に表示され、操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の提示を複数段階に亙って行ないそれらが一つの画面で同時に表示される一例であり、その詳細を次に説明する。
【0074】
これらのメッセージと候補は、例えば先ず、ディスプレイ20に1つのウィンドウであるポップアップウィンドウ(その1)72-1を表示して、そのポップアップウィンドウ(その1)72-1内に表示される。このポップアップウィンドウ(その1)72-1は、図7における1回目のループ(ステップ63→ステップ67→ステップ68(→ステップ69)→ステップ63)で表示されるポップアップウィンドウである。
【0075】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その1)73-1と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その1)74-1を有して成る。
【0076】
メッセージエリア(その1)73-1には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その1)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その1)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その1)として「TRが短く、撮像できません。」を表示し、メッセージ2(その1)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0077】
候補表示エリア(その1)74-1には、スライス数を13枚に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0078】
図8には2つの候補を提示する例を示している。
【0079】
候補1:「TR:280(現在値:250)」は、TRを250msecから280msecへ変更することによってスライス数を13枚とすることに対応することを示している。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、TRを280msecと変化することにより、SNRは110%になり、CNRは95%になり、Scan timeは37秒になることが示されている。
【0080】
候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」は、TEを15.0msecから13.5msecへ変更することによってスライス数を13枚とすることに対応することを示している。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、TEを13.5msecと変化することにより、SNRは105%になり、CNRは102%になり、Scan timeは30秒になることが示されている。
【0081】
本実施例では、候補2が選択されている状況が示されている。すなわち、図7のフローチャートにおける2ループ目が候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」に対応したループであり、ディスプレイ20に2番目のポップアップウィンドウ(その2)72-2が右横に同時に表示され、そこに候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」を選択した場合のメッセージと候補が右横に同時に表示される。
【0082】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その2)73-2と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その2)74-2を有して成る。
【0083】
メッセージエリア(その2)73-2には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その2)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その2)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その2)として「Readout 時間が長く、撮像できません。」を表示し、メッセージ2(その2)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0084】
候補表示エリア(その2)74-2には、TEを13.5msecに変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0085】
図8には2つの候補を提示する例を示している。
【0086】
候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」は、BW(A/D変換器によるサンプリング間隔の逆数を周波数単位kHzで表した値)を35.0から50.0に増やし、傾斜磁場強度を上げて、TEが短くなることに対応するものであり、例えばスピンエコ-法において、読み出し傾斜磁場パルスとスライス選択の傾斜磁場パルスが時間的に重なってしまうことを防ぐものである。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、BWを50.0と変更することにより、SNRは90%になり、CNRは100%になり、Scantimeは30秒になることが示されている。
【0087】
候補2:「Readout Points:224(現在値:256)」は、Readout Points(エコ-信号を信号読み出し傾斜磁場により読み出す際に、A/D変換器でエコ-信号をデジタルサンプリングする数)を256から224へ変更することによってTEを短くすることに対応するものであり、例えばスピンエコ-法において、読み出し傾斜磁場パルスとスライス選択の傾斜磁場パルスが時間的に重なってしまうことを防ぐものである。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、Readout Pointsを224と変化することにより、SNRは105%になり、CNRは100%になり、Scan timeは30秒になることが示されている。
【0088】
本実施例では、候補1が選択されている状況が示されている。すなわち、図7のフローチャートにおける3ループ目が候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」に対応したループであり、ディスプレイ20に3番目のポップアップウィンドウ(その3)72-3が右横に同時に表示され、そこに候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」を選択した場合のメッセージと候補が右横に同時に表示される。
【0089】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その3)73-3と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その3)74-3を有して成る。
【0090】
メッセージエリア(その3)73-3には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その3)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その3)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その3)として「Readout傾斜磁場の強度が制限を越えています。」を表示し、メッセージ2(その3)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0091】
候補表示エリア(その3)74-3には、BWを50.0に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0092】
図8には1つの候補を提示する例を示している。
候補1:「FOV:270.0(現在値:250.0)」は、FOVの値を250.0mmから270.0mmに増やし、傾斜磁場強度を下げて、BWを50.0kHzとすることに対応するものである。
【0093】
それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、FOVを270.0mmと変更することにより、SNRは120%になり、CNRは100%になり、Scantimeは30秒になることが示されている。
【0094】
ここで、FOV:270.0mmを選択して、撮像パラメータの値の選択を終了する。
最も右側のポップアップウィンドウには画面右下には、OKボタン75とCancelボタン76がある。OKボタン75を押下することによって、スライス数を13枚に変更すると共に、選択した候補が提示した撮像パラメータ値の変更を行い、ウィンドウ71が図9のようになる。一方、Cancelボタン76を押下した場合は、このポップアップウィンドウ上で行った操作を無効にする。最も右側のポップアップウィンドウには画面右上には、Sequence Defaultボタン77があり、このボタンを押すと、撮像パラメータ値の組み合わせの設定が初期値(マルチスライスの数を13枚とする前の状態)に戻る。
【0095】
本実施例によれば、操作者は、いくつかの撮像パラメータ値の組み合わせのうちいずれかを、変更可能範囲を超えて設定しようとした場合、すべての撮像パラメータが変更可能範囲となるための撮像パラメータ値の組み合わせを、推奨パラメータの段階的な選択候補を同時に表示することによって、見つけることができる。すなわち、該推奨パラメータの段階的な選択を、一つの画面で見ることができる。より具体的には、図8で左上に示されたウィンドウ71において示された6つの撮像パラメータの値のうち、マルチスライスの数(スライス数)を13に変更しようとすると、選択の初期値はTRの変更であり、TRの変更あるいはTEの変更が選択できるポップアップウィンドウその1が表示される。そして、選択を切り替えてTEの変更を指示すると、選択の初期値がBWの変更であり、BWの変更あるいはReadout Pointsの変更が選択できるポップアップウィンドウその2の表示がポップアップウィンドウその1の表示と伴に行われ、BWの変更に対応された、FOVの変更の提示を行うポップアップウィンドウその3の表示がポップアップウィンドウその2の表示と同時にポップアップウィンドウその1の表示と伴に行なわれる。
【0096】
すなわち、本実施例によれば、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
表示手段には、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示される。
また、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示される。
【0097】
少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示される。
【0098】
また、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示される。
また、ウィンドウは、横ならびに表示される。
【0099】
本実施例によれば、すべての撮像パラメータが変更可能範囲となる撮像パラメータ値の組み合わせを見つける際に、その撮像パラメータの値の変更の過程を一つの画面で確認することができる。一つの画面上で推奨パラメータを段階的に選択でき、各段階(ポップアップウィンドウその1からポップアップウィンドウその2、ポップアップウィンドウその2からポップアップウィンドウその3)を1画面で一遍に見渡せるので、ポップアップウィンドウの各段階の表示が行ったり来たりせず、操作回数が減少する。なお、前記ポップアップウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていても良い。
【0100】
また、段階的に行う操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補を纏めた推奨パラメータの提示が共に同時に一つの画面で表示されるようになっていても良いが、一遍に表示されなく、段階的に(履歴的に)表示されるようになっていても良い。
【0101】
すなわち、図8で左上に示されたウィンドウ71において示された6つの撮像パラメータの値のうち、マルチスライスの数(スライス数)を13に変更しようとすると、ポップアップウィンドウその1において、TRの変更あるいはTEの変更の提示が行われる。
【0102】
そして、TEの変更を指示すると、ポップアップウィンドウその2において、BWの変更あるいはReadout Pointsの変更の提示が新たに行われ、BWの変更が行われると、ポップアップウィンドウその3において、FOVの提示が新たに行なわれるように履歴的になっていても良い。すなわち、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面に段階的に表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供されても良い。
【0103】
また、ポップアップウィンドウの表示される数は、最初に入力される変更しようとするパラメータ(本実施例の場合はスライス数)の種類に応じて変更されるようになっていても良く、選択される推奨パラメータがどれかに応じて、変更されるようになっていれば良い。
【0104】
具体的に、本実施例に当てはめて考えれば、スライス数を13に変更したので、初期にはポップアップウィンドウその1で選択される推奨パラメータはTRであり、ポップアップウィンドウの数は1枚であったが、他のパラメータが変更される場合には、最初に表示されるポップアップウィンドウの数が2枚以上でも良い。また、ポップアップウィンドウその1で初期に選択された推奨パラメータは、TRの変更であったので、その場合表示されるポップアップウィンドウの数は1枚であったが、TEの変更が選択された場合には、表示されるポップアップウィンドウの数は3枚というように、選択される推奨パラメータに応じて変わっていても良い。
【実施例2】
【0105】
次に、実施例2について図10及び図11を用いて説明する。実施例1と異なる点は、実施例1と同様に推奨パラメータを段階的に表示させて最適な撮像パラメータ値の組み合わせを見つけるが、それと同時に各段階(ポップアップウィンドウその1でTEの変更を選択した段階(A段階)、ポップアップウィンドウその2でBWを選択した段階(B段階)、ポップアップウィンドウその3でFOVを選択した段階(C段階))で、SNR、CNR、撮像時間、SAR、dB/dt(以下、「イメージクオリティパラメータ」という)がどの程度になっているかを、グラフ表示する点である。
【0106】
次に、実施例2の動作について図10のフローチャートを用いて説明する。ただし、図10のフローチャートは、図7のフォローチャートと比して、ステップ62とステップ69の変更可能範囲等の計算にイメージクオリティパラメータの計算が加わり、ステップ62、ステップ68、ステップ69の次にステップ70が加わっているのみであるので、ステップ70のみ説明する。
【0107】
(ステップ70)
推奨パラメータを選択する各段階、より具体的には(ポップアップウィンドウその1でTEの変更を選択した段階(A段階)、ポップアップウィンドウその2でBWを選択した段階(B段階)、ポップアップウィンドウその3でFOVを選択した段階(C段階))で、イメージクオリティパラメータをグラフ表示する。
【0108】
図11は、本実施例においてディスプレイ20に表示される画面の表示例である。画面下側78には、5つのバーグラフが上から順番に並んでいて、それぞれのバーに、各段階におけるイメージクオリティパラメータが大小関係を比較できる形で表示されるようになっている。具体的上から順番に、SNR、CNR、撮像時間、SAR(Specific absorption ratio、単位:W/kg)、dB/dt(傾斜磁場の変化の割合)がグラフ表示されている。
【0109】
本実施例によれば、前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されるウィンドウを更に設けている。
【0110】
本実施例によれば、推奨パラメータをその候補値に変更した場合のイメージクオリティパラメータの変化が一目でわかることができる。ただし、5つのバーグラフは、各ポップアップウィンドウが表示される各段階で表示されなくても良く、最終的に撮像パラメータ値の組み合わせが設定できた3段階目で、表示されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0111】
71 ウィンドウ、72-1 ポップアップウィンドウ(その1)、73-1 メッセージエリア(その1)、74-1 候補表示エリア(その1)、72-2 ポップアップウィンドウ(その2)、73-2 メッセージエリア(その2)、74-2 候補表示エリア(その2)、72-3 ポップアップウィンドウ(その3)、73-3 メッセージエリア(その3)、74-3 候補表示エリア(その3)、75 OKボタン、76 Cancelボタン、77 Sequence Defaultボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に関し、特に撮像パラメータの値の設定効率を向上させる操作技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
磁気共鳴撮像における再構成画像の画質および撮像の時間は、撮像に用いるパルスシーケンスにより大きく異なるが、同種のパルスシーケンスであっても、その撮像パラメータの設定値(視野・パルスの繰返し時間(TR)・エコー時間(TE)・反転回復時間(TI)・スライス厚・スライス数・撮像のマトリクス数・信号の加算回数等)の違いにより大きな差を生じる。
【0004】
従って、操作者は被検体の負担を考え、医師が正確な診断を行える画像を得るために、被検体毎に撮像の時間・疾患種類・診断部位・撮像の領域を考慮し、細かに撮像パラメータの値を設定する必要がある。
【0005】
ところで、各撮像パラメータの間には種々の相関関係があり、独立に任意の値を設定することはできない。例えば、スライス数は、パルスの繰返し時間とエコー時間から決定される値以下の枚数までしか設定できないということである。操作者は、このような相関関係に基づく制約の下で、所望する撮像パラメータ値に最も近い条件を探し設定しなければならない。
【0006】
特許文献1には、相互に相関関係のある撮像パラメータの設定値と共にその設定可能範囲(変更可能範囲)を表示し、且つ、一の撮像パラメータの値の変更に伴って、関連する他の撮像パラメータの値の設定可能範囲(変更可能範囲)を変更して再表示する表示手段を備えたMRI装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、入力された撮像パラメータ値による撮像が不可能な場合に、該入力値を維持するために変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を演算し、表示手段は、前記他の撮像パラメータとその値の候補を表示するMRI装置が開示されている。すなわち、操作者が撮像パラメータ値を入力すると、撮像パラメータの入力値によって撮像が可能になるような推奨パラメータウィンドウが特許文献2の図6のように表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3335381号公報
【特許文献2】特開2006-280820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の従来技術では、操作者が推奨パラメータウィンドウから、ある推奨パラメータとその値を選択すると、選択したパラメータ値によって、撮像可能かどうか再び計算が行われ、条件によっては、再び推奨パラメータウィンドウの表示が必要となる場合がある。そしてこのことが、複数回繰り返される可能性がある。
【0010】
その場合には、操作者は以前に選択した推奨パラメータにおける撮像パラメータ値の組み合わせに設定を戻すことは困難であった。また、以前の推奨パラメータウィンドウを見ずに、複数回提示される推奨パラメータの前後間で撮影パラメータ値の組み合わせ等を比較・検討することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明によれば、磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの値の変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータの値を維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0012】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0013】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示されることを特徴とする記載の磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0014】
また、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0015】
また、前記ウィンドウは、横ならびに表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0016】
また、前記ウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0017】
また、前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0018】
また、前記イメージクオリティパラメータには、SARとdB/dtの少なくとも一つが含まれることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮像パラメータの値の設定効率を向上させることができる。特に、複数の推奨パラメータにおける撮像パラメータの値の組み合わせを、選択した推奨パラメータの該選択の前後関係を考慮しながら、比較・検討し、所望の撮像パラメータの値の組み合わせを効率良く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を示す図
【図2】各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示する例を示す図
【図3】各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示する例を示す図(TRを大きくした例)
【図4】撮像パラメータの値の変更可能範囲の表示を行う際のフローチャート
【図5】撮像パラメータの相関関係の一例を説明するためのシーケンス図
【図6】特許文献2記載の実施例を説明するための図
【図7】実施例1の動作を示すフローチャート
【図8】実施例1の表示画面
【図9】実施例1でOKボタンを押した後のウインドウ71を示す図
【図10】実施例2の動作を示すフローチャート
【図11】実施例2の表示画面
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
【0023】
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0024】
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ-ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0025】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。
【0026】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力されたRFパルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調されたRFパルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
【0027】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。
【0028】
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有する。受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
【0029】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0030】
なお、図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0031】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0032】
次に、例えば上記ディスプレイ20に表示する撮像パラメータの表示方法について説明する。磁気共鳴撮像における再構成画像の画質および撮像時間は、前述のようにパルスシーケンスや撮像パラメータ値により大きく異なるので、被検体の症状により細かに撮像パラメータ値を設定する必要がある。また、撮像パラメータ値の設定は、各撮影パラメータ間の相関関係による制約の中で行わなければならない。
【0033】
撮像パラメータ値の変更にあたり、この制約を可視化するため、例えば図2に示すように、各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示することができる。図2によれば、外部記憶装置から読みだした撮像パラメータの項目30と、その設定値32と、各撮像パラメータ間の相関関係より計算した変更可能範囲31をディスプレイ20に表示する。図2において一番上に示されたパラメータは、撮像視野(FOV)であり、単位はmmである。上から2番目に示されたパラメータは、繰り返し時間(TR)であり、1つのスライスにおいて印加される2つの連続する90°パルスの間の時間を言い、単位はmsecである。上から3番目に示されたパラメータは、エコ-遅延時間(TE)であり、RFパルス印加後に、エコ-信号を受信するために少し待つための時間であり、単位はmsecである。上から4番目に示されたパラメータは、スライス厚であり、単位はmmである。上から5番目に示されたパラメータは、マルチスライスの数(スライス数)であり、マルチスライス撮影をする際のマルチスライスの枚数を示している。
【0034】
操作者が所望するスライス数が10枚の場合、図2ではスライス数の変更可能範囲が1〜12枚であるので、操作者は直ちにスライス数を10枚と設定して撮像を開始することができる。
【0035】
一方、操作者が所望するスライス数が15枚の場合、操作者はスライス数の変更可能範囲を参照することにより、15枚のスライス数設定が不可能であることを直ちに判断できる。
【0036】
このような場合には、操作者が所望する範囲内で、例えばTRの値を大きくした後(500msec→610msec)、図3に示すように、スライス数の変更可能範囲が1〜15枚になったことを確認し、スライス数を15枚と設定して撮像を開始することができる。
【0037】
たとえ、操作者が所望する撮像パラメータ値の許される範囲内でTRを大きくしても、スライス数の変更可能範囲が1〜14枚にしかならなかったとしても、操作者は所望する撮像パラメータ値の設定が不可能であることを直ちに判断できるので、無駄な操作をすることなく所望する撮像パラメータ値に最も近い条件(スライス数14枚)で撮像を開始することができる。
【0038】
上記の撮像パラメータ値の変更操作において、撮像パラメータ値の変更可能範囲の表示は、図4に示すフローチャートに従い行われる。すなわち、
(ステップ41)
操作者は所望とする撮像パラメータ値の組み合わせを操作部25内のキーボード24を用いて入力する。
【0039】
(ステップ42)
全ての撮像パラメータ値について、変更可能範囲をCPU8は計算する。
【0040】
(ステップ43)
ステップ42で計算した変更可能範囲をCPU8はディスプレイ20に表示する。
【0041】
(ステップ44)
撮像パラメータ値がすべて変更可能範囲内にあるかをCPU8はチェックする。変更可能範囲内にあれば、ステップ45へ移行する。変更可能範囲内になければ、ステップ46へ移行する。
【0042】
(ステップ45)
MRI装置は、イメージングを行う。
【0043】
(ステップ46)
操作者は、撮像パラメータ値の変更を行う。変更をした後、ステップ42へ移行し、変更された撮像パラメータと相関関係のある全ての撮像パラメータに対し、新たな変更可能範囲を計算し直す。ステップ43で新たな変更可能範囲をディスプレイ20にリアルタイムで表示する。
【0044】
図5に、撮像パラメータの値の相関関係の一例を示す。図5は、SEシーケンスにおけるTRと、TEと、スライス数の相関関係を示すシーケンスチャートであるが、これらの条件の値は、以下の(1)式を満たさなければならない。
【0045】
TR≧(TE+t1+2+t3)×スライス数
(t1,t2,t3はスライス厚によって変化する) (1)
t1,t2,t3の値は操作者にとって未知数であるため、操作者が(1)式を解くことはできない。たとえt1,t2,t3の値が分かっていても、いちいち計算するのは操作者にとって非常に面倒である。しかし、前述の各撮像パラメータ値の変更可能範囲を表示することにより、操作者は所望する撮像パラメータ値の設定が可能であるかを即座に判断することができる。
【0046】
次に、特許文献2記載の撮影条件設定方法の一実施形態について説明する。特許文献2記載の実施形態は、表示された変更可能範囲を越えて撮像パラメータ値を変更しようとする場合に、その撮像パラメータを入力された設定値にするための他の撮像パラメータの値の変更例を表示する形態である。
【0047】
特許文献2記載の一実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、図2に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を表示された変更可能範囲(1〜12)を越えて13に変更しようとした場合に、操作者に提示するメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の一例である。これらのメッセージと候補は、例えば、ディスプレイ20にポップアップウィンドウ50を表示して、そのポップアップウィンドウ50内に表示される。この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア51と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア52を有して成る。
【0048】
メッセージエリア51には、入力された設定値が、その撮像パラメータの設定可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2を表示する。例えば、図6には、メッセージ1として「撮像パラメータが設定可能範囲を超えました。」を表示し、メッセージ2として「以下のいずれかを選択してください:」を表示した例を示している。
【0049】
候補表示エリア52には、スライス数を13枚に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも表示する。更に、撮像パラメータの値の変更に伴う画質の変化量も表示してもよい。画質に関する項目としては、SNR(信号対雑音比)、CNR(コントラスト対雑音比)、及び分解能等があり、これらの内の少なくとも一つの項目の変化量を表示することができる。またその他に、スキャン時間を表示しても良い。図6に示した例では、SNRの変化割合、CNRの変化割合及びスキャン時間(Scan Time)を共に表示している。
【0050】
図6には2つの候補を提示する例を示している。候補1:「M.Acqを2に変更する。」は、13枚の撮像を2回に分けて撮像することを示し、この場合はSNRとCNRは変更前との比で変わらず、この比を%で表わしてSNR=100%、NR=100%と表示されている。Scantime=4:16で4分16秒となることを示している。
【0051】
また、候補2:「TRを600に延長する。」は、繰り返し時間TRを600msに変更する候補であり、この場合はSNR、CNRは変更前との比で1.1倍及び0.9倍となり、この比を%で表わしてSNR=110%、CNR=90%と表示されている。Scantime=2:33で2分33秒となることを示している。
【0052】
或いは、上記画質に関する項目及びスキャン時間の他に、撮像パラメータの値の変更に伴うSAR(Specific Absorption Ratio;高周波磁場印加に伴い人体に吸収される単位質量当たりの発熱量)やdB/dt(傾斜磁場の時間変化率)を求めて表示しても良い。何れも生体に対する安全性に関わる数値であるので、これらの値の表示は被検体への安全性を高める上で有用である。
【0053】
なお、候補リストの最後に、スライス数を13枚に変更する事を取り消すための選択肢:「変更を取り消す。」も用意しておく。
【0054】
以上の候補表示エリア52に表示された候補のいずれかを選択し、OKボタン53を押下することによって、スライス数を13枚に変更すると共に、選択した候補が提示した撮像パラメータの値の変更を行う。或いは、「変更を取り消す。」を選択した場合には、撮像パラメータの値は何も変更されない。一方、Cancelボタン54を押下した場合は、このポップアップウィンドウ上で行った操作を無効にする。何れの場合も、ポップアップウィンドウを消去して撮像パラメータの値の変更操作を終了する。
【0055】
なお、上記説明では、候補として一つの撮像パラメータの値を変更する場合を説明したが、複数の撮像パラメータの値を同時に変更する組み合わせを候補として表示しても良い。
【0056】
以上の様にして値の変更された撮像パラメータは、図2に示すような撮像パラメータの設定値とその変更可能範囲の表示に反映される。つまり、変更された撮像パラメータはその値が設定値として表示され、且つ、この撮像パラメータ値の変更に伴う各撮像パラメータの変更可能範囲を計算して、それらの変更可能範囲が再表示される。例えば、前述の候補2が選択された場合は、スライス数が3枚から13枚に変更され、TRが500msから600msに変更される。そして、これらの撮像パラメータ値の変更にともなって、各撮像パラメータ値の変更可能範囲も再計算されて表示される。
【0057】
なお、撮像パラメータ値の設定・変更及び変更可能範囲の計算は、例えばCPU8で行われる。また、選択操作や撮像パラメータの設定値の入力は、操作部25に備えられたキーボードやマウス等で行う。
【0058】
以上説明した様に、特許文献2記載の撮像パラメータの値の設定方法によれば、変更可能範囲を超えて撮像パラメータの値の変更を容易に行うことが可能になる。
【0059】
しかしながら、前述したように、推奨パラメータウィンドウが複数回繰り返し表示されるときに、操作者は以前に選択した推奨パラメータにおける撮像パラメータの値の組み合わせに戻すことは難しかった。また、以前の推奨パラメータウィンドウを見ずに、複数回提示される推奨パラメータの前後間で撮影パラメータ値の組み合わせ等を比較・検討することが難しい等の問題があった。それを解決した実施例を次に示す。
【実施例1】
【0060】
本発明の実施例1について図7のフローチャート及び図8の表示画面を用いて説明する。
実施例1は、図8左上に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を変更可能範囲(1〜12)を超えて13に変更しようとした場合に、操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補を纏めた推奨パラメータの提示を複数段階に亙って行うと、それらを同時に一つの画面で表示する一例である。
【0061】
次に、実施例1の動作について図7のフローチャートを用いて説明する。
(ステップ61)
操作者は所望とする撮像パラメータ値の組み合わせあるいは、値を変更するいずれかの撮像パラメータを操作部25内のキーボード24を用いて入力する。
【0062】
(ステップ62)
全ての撮像パラメータについて、変更可能範囲や、当該撮像パラメータで撮像を行った時の画質等をCPU8は計算する。
【0063】
(ステップ63)
CPU8は、撮像パラメータの値がすべて変更可能範囲内にあるかをチェックする。変更可能範囲内にあれば、ステップ64へ移行する。変更可能範囲内になければ、ステップ67へ移行する。
【0064】
(ステップ64)
ステップ62あるいはステップ69で計算した変更可能範囲等をCPU8はディスプレイ20に表示する。
【0065】
(ステップ65)
CPU8はOKボタンが押されたか判断する。押されていれば、ステップ66ヘ移行し、押されていなければ終了する。
【0066】
(ステップ66)
MRI装置はイメージングを行う。
【0067】
(ステップ67)
CPU8は、ステップ63において、変更可能範囲内にないものと判断されたパラメータについて、その値を維持するために変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を推奨パラメータとしてディスプレイ20に提示する。該推奨パラメータは1つである場合もあれば、2つ以上ある場合もある。
【0068】
(ステップ68)
CPU8は、推奨パラメータが2つ以上ある場合、初期で一番上の推奨パラメータが選択されている状態から推奨パラメータの選択を変更されたかを判断する。変更されていればステップ69へ、変更されていなければステップ63へ移行する。
【0069】
(ステップ69)
変更された推奨パラメータに撮像パラメータについて、変更可能範囲等の再計算を行う。
【0070】
ただし、本実施例ではステップ63→ステップ67→ステップ68(→ステップ69)→ステップ63のループが1回で終わらず2回以上ある場合があり、複数ループがある場合についての推奨パラメータの複数段階の提示が1つの画面に同時に横並びに表示されるようになっている。
【0071】
次に図8を用いて、本実施例において推奨パラメータの複数段階の提示が1つの画面で同時に行なわれる表示画面の例を示す。先ず図8において上側に示されたウィンドウ71は、特許文献1開示の技術であり、図2でも説明したものであり、相互に相関関係のある撮像パラメータの設定値と共にその変更可能範囲を表示したものである。
【0072】
ウィンドウ71において上から5番目に示されたパラメータはReadout Pointsであり、エコ-信号を信号読み出し傾斜磁場により読み出す際に、A/D変換器でエコ-信号をデジタルサンプリングする数を示している。上から6番目に示されたパラメータはBand Width(BW)であり、A/D変換器によるサンプリング間隔の逆数を、周波数kHzを単位として表したものである。
【0073】
ここで、図8は、図6と同様に、図1に表示された撮像パラメータ毎の設定値及び変更可能範囲の内、スライス数を表示された変更可能範囲(1〜12)を越えて13に変更しようとした場合に表示され、操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の提示を複数段階に亙って行ないそれらが一つの画面で同時に表示される一例であり、その詳細を次に説明する。
【0074】
これらのメッセージと候補は、例えば先ず、ディスプレイ20に1つのウィンドウであるポップアップウィンドウ(その1)72-1を表示して、そのポップアップウィンドウ(その1)72-1内に表示される。このポップアップウィンドウ(その1)72-1は、図7における1回目のループ(ステップ63→ステップ67→ステップ68(→ステップ69)→ステップ63)で表示されるポップアップウィンドウである。
【0075】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その1)73-1と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その1)74-1を有して成る。
【0076】
メッセージエリア(その1)73-1には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その1)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その1)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その1)として「TRが短く、撮像できません。」を表示し、メッセージ2(その1)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0077】
候補表示エリア(その1)74-1には、スライス数を13枚に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0078】
図8には2つの候補を提示する例を示している。
【0079】
候補1:「TR:280(現在値:250)」は、TRを250msecから280msecへ変更することによってスライス数を13枚とすることに対応することを示している。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、TRを280msecと変化することにより、SNRは110%になり、CNRは95%になり、Scan timeは37秒になることが示されている。
【0080】
候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」は、TEを15.0msecから13.5msecへ変更することによってスライス数を13枚とすることに対応することを示している。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、TEを13.5msecと変化することにより、SNRは105%になり、CNRは102%になり、Scan timeは30秒になることが示されている。
【0081】
本実施例では、候補2が選択されている状況が示されている。すなわち、図7のフローチャートにおける2ループ目が候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」に対応したループであり、ディスプレイ20に2番目のポップアップウィンドウ(その2)72-2が右横に同時に表示され、そこに候補2:「TE:13.5(現在値:15.0)」を選択した場合のメッセージと候補が右横に同時に表示される。
【0082】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その2)73-2と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その2)74-2を有して成る。
【0083】
メッセージエリア(その2)73-2には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その2)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その2)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その2)として「Readout 時間が長く、撮像できません。」を表示し、メッセージ2(その2)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0084】
候補表示エリア(その2)74-2には、TEを13.5msecに変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0085】
図8には2つの候補を提示する例を示している。
【0086】
候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」は、BW(A/D変換器によるサンプリング間隔の逆数を周波数単位kHzで表した値)を35.0から50.0に増やし、傾斜磁場強度を上げて、TEが短くなることに対応するものであり、例えばスピンエコ-法において、読み出し傾斜磁場パルスとスライス選択の傾斜磁場パルスが時間的に重なってしまうことを防ぐものである。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、BWを50.0と変更することにより、SNRは90%になり、CNRは100%になり、Scantimeは30秒になることが示されている。
【0087】
候補2:「Readout Points:224(現在値:256)」は、Readout Points(エコ-信号を信号読み出し傾斜磁場により読み出す際に、A/D変換器でエコ-信号をデジタルサンプリングする数)を256から224へ変更することによってTEを短くすることに対応するものであり、例えばスピンエコ-法において、読み出し傾斜磁場パルスとスライス選択の傾斜磁場パルスが時間的に重なってしまうことを防ぐものである。それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、Readout Pointsを224と変化することにより、SNRは105%になり、CNRは100%になり、Scan timeは30秒になることが示されている。
【0088】
本実施例では、候補1が選択されている状況が示されている。すなわち、図7のフローチャートにおける3ループ目が候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」に対応したループであり、ディスプレイ20に3番目のポップアップウィンドウ(その3)72-3が右横に同時に表示され、そこに候補1:「BW:50.0(現在値:35.0)」を選択した場合のメッセージと候補が右横に同時に表示される。
【0089】
この表示は、操作者へのメッセージを表示するメッセージエリア(その3)73-3と変更可能な撮像パラメータ名とその値の候補を表示する候補表示エリア(その3)74-3を有して成る。
【0090】
メッセージエリア(その3)73-3には、入力された設定値が、その撮像パラメータの変更可能範囲を越えたことを警告するメッセージ1(その3)と、変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補の中から一つを選択するように操作者に促すメッセージ2(その3)を表示する。例えば、図8には、メッセージ1(その3)として「Readout傾斜磁場の強度が制限を越えています。」を表示し、メッセージ2(その3)として「推奨パラメータを選択してください。」を表示した例を示している。
【0091】
候補表示エリア(その3)74-3には、BWを50.0に変更できるようにするための、変更可能な他の撮像パラメータ名とその変更できる値を少なくとも一つ表示する。
【0092】
図8には1つの候補を提示する例を示している。
候補1:「FOV:270.0(現在値:250.0)」は、FOVの値を250.0mmから270.0mmに増やし、傾斜磁場強度を下げて、BWを50.0kHzとすることに対応するものである。
【0093】
それとともに、更に、撮像パラメータ値の変更に伴う画質の変化量が何%ぐらいになるか、Scan timeがどの程度になるかが示されている。実際に、FOVを270.0mmと変更することにより、SNRは120%になり、CNRは100%になり、Scantimeは30秒になることが示されている。
【0094】
ここで、FOV:270.0mmを選択して、撮像パラメータの値の選択を終了する。
最も右側のポップアップウィンドウには画面右下には、OKボタン75とCancelボタン76がある。OKボタン75を押下することによって、スライス数を13枚に変更すると共に、選択した候補が提示した撮像パラメータ値の変更を行い、ウィンドウ71が図9のようになる。一方、Cancelボタン76を押下した場合は、このポップアップウィンドウ上で行った操作を無効にする。最も右側のポップアップウィンドウには画面右上には、Sequence Defaultボタン77があり、このボタンを押すと、撮像パラメータ値の組み合わせの設定が初期値(マルチスライスの数を13枚とする前の状態)に戻る。
【0095】
本実施例によれば、操作者は、いくつかの撮像パラメータ値の組み合わせのうちいずれかを、変更可能範囲を超えて設定しようとした場合、すべての撮像パラメータが変更可能範囲となるための撮像パラメータ値の組み合わせを、推奨パラメータの段階的な選択候補を同時に表示することによって、見つけることができる。すなわち、該推奨パラメータの段階的な選択を、一つの画面で見ることができる。より具体的には、図8で左上に示されたウィンドウ71において示された6つの撮像パラメータの値のうち、マルチスライスの数(スライス数)を13に変更しようとすると、選択の初期値はTRの変更であり、TRの変更あるいはTEの変更が選択できるポップアップウィンドウその1が表示される。そして、選択を切り替えてTEの変更を指示すると、選択の初期値がBWの変更であり、BWの変更あるいはReadout Pointsの変更が選択できるポップアップウィンドウその2の表示がポップアップウィンドウその1の表示と伴に行われ、BWの変更に対応された、FOVの変更の提示を行うポップアップウィンドウその3の表示がポップアップウィンドウその2の表示と同時にポップアップウィンドウその1の表示と伴に行なわれる。
【0096】
すなわち、本実施例によれば、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
表示手段には、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示される。
また、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示される。
【0097】
少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示される。
【0098】
また、少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示される。
また、ウィンドウは、横ならびに表示される。
【0099】
本実施例によれば、すべての撮像パラメータが変更可能範囲となる撮像パラメータ値の組み合わせを見つける際に、その撮像パラメータの値の変更の過程を一つの画面で確認することができる。一つの画面上で推奨パラメータを段階的に選択でき、各段階(ポップアップウィンドウその1からポップアップウィンドウその2、ポップアップウィンドウその2からポップアップウィンドウその3)を1画面で一遍に見渡せるので、ポップアップウィンドウの各段階の表示が行ったり来たりせず、操作回数が減少する。なお、前記ポップアップウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていても良い。
【0100】
また、段階的に行う操作者へのメッセージ及び変更可能な他の撮像パラメータ名とその値の候補を纏めた推奨パラメータの提示が共に同時に一つの画面で表示されるようになっていても良いが、一遍に表示されなく、段階的に(履歴的に)表示されるようになっていても良い。
【0101】
すなわち、図8で左上に示されたウィンドウ71において示された6つの撮像パラメータの値のうち、マルチスライスの数(スライス数)を13に変更しようとすると、ポップアップウィンドウその1において、TRの変更あるいはTEの変更の提示が行われる。
【0102】
そして、TEの変更を指示すると、ポップアップウィンドウその2において、BWの変更あるいはReadout Pointsの変更の提示が新たに行われ、BWの変更が行われると、ポップアップウィンドウその3において、FOVの提示が新たに行なわれるように履歴的になっていても良い。すなわち、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面に段階的に表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供されても良い。
【0103】
また、ポップアップウィンドウの表示される数は、最初に入力される変更しようとするパラメータ(本実施例の場合はスライス数)の種類に応じて変更されるようになっていても良く、選択される推奨パラメータがどれかに応じて、変更されるようになっていれば良い。
【0104】
具体的に、本実施例に当てはめて考えれば、スライス数を13に変更したので、初期にはポップアップウィンドウその1で選択される推奨パラメータはTRであり、ポップアップウィンドウの数は1枚であったが、他のパラメータが変更される場合には、最初に表示されるポップアップウィンドウの数が2枚以上でも良い。また、ポップアップウィンドウその1で初期に選択された推奨パラメータは、TRの変更であったので、その場合表示されるポップアップウィンドウの数は1枚であったが、TEの変更が選択された場合には、表示されるポップアップウィンドウの数は3枚というように、選択される推奨パラメータに応じて変わっていても良い。
【実施例2】
【0105】
次に、実施例2について図10及び図11を用いて説明する。実施例1と異なる点は、実施例1と同様に推奨パラメータを段階的に表示させて最適な撮像パラメータ値の組み合わせを見つけるが、それと同時に各段階(ポップアップウィンドウその1でTEの変更を選択した段階(A段階)、ポップアップウィンドウその2でBWを選択した段階(B段階)、ポップアップウィンドウその3でFOVを選択した段階(C段階))で、SNR、CNR、撮像時間、SAR、dB/dt(以下、「イメージクオリティパラメータ」という)がどの程度になっているかを、グラフ表示する点である。
【0106】
次に、実施例2の動作について図10のフローチャートを用いて説明する。ただし、図10のフローチャートは、図7のフォローチャートと比して、ステップ62とステップ69の変更可能範囲等の計算にイメージクオリティパラメータの計算が加わり、ステップ62、ステップ68、ステップ69の次にステップ70が加わっているのみであるので、ステップ70のみ説明する。
【0107】
(ステップ70)
推奨パラメータを選択する各段階、より具体的には(ポップアップウィンドウその1でTEの変更を選択した段階(A段階)、ポップアップウィンドウその2でBWを選択した段階(B段階)、ポップアップウィンドウその3でFOVを選択した段階(C段階))で、イメージクオリティパラメータをグラフ表示する。
【0108】
図11は、本実施例においてディスプレイ20に表示される画面の表示例である。画面下側78には、5つのバーグラフが上から順番に並んでいて、それぞれのバーに、各段階におけるイメージクオリティパラメータが大小関係を比較できる形で表示されるようになっている。具体的上から順番に、SNR、CNR、撮像時間、SAR(Specific absorption ratio、単位:W/kg)、dB/dt(傾斜磁場の変化の割合)がグラフ表示されている。
【0109】
本実施例によれば、前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されるウィンドウを更に設けている。
【0110】
本実施例によれば、推奨パラメータをその候補値に変更した場合のイメージクオリティパラメータの変化が一目でわかることができる。ただし、5つのバーグラフは、各ポップアップウィンドウが表示される各段階で表示されなくても良く、最終的に撮像パラメータ値の組み合わせが設定できた3段階目で、表示されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0111】
71 ウィンドウ、72-1 ポップアップウィンドウ(その1)、73-1 メッセージエリア(その1)、74-1 候補表示エリア(その1)、72-2 ポップアップウィンドウ(その2)、73-2 メッセージエリア(その2)、74-2 候補表示エリア(その2)、72-3 ポップアップウィンドウ(その3)、73-3 メッセージエリア(その3)、74-3 候補表示エリア(その3)、75 OKボタン、76 Cancelボタン、77 Sequence Defaultボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの値の変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータの値を維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記ウィンドウは、横ならびに表示されることを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記ウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていることを特徴とする請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記イメージクオリティパラメータには、SARとdB/dtの少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項1】
磁場中に被検体を配置し、この被検体に高周波磁場を印加し、それによって発生する核磁気共鳴信号に基づいて前記被検体を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
複数の撮像パラメータの値を入力する入力手段と、該入力手段により入力された各撮像パラメータの値の変更可能範囲を演算する演算手段を備え、前記入力手段により、前記変更可能範囲を超えた撮像パラメータの値が入力された場合には、該変更可能範囲を超えて入力された撮像パラメータの値を維持するために、変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補を前記演算手段で演算して、それらを表示する表示手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
前記変更可能な他の撮像パラメータとその値の候補の演算が少なくとも2段階で行なわれると、
前記表示手段には、前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が一つの画面で表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補は、一つの画面にそれぞれの段階に分けて表示されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に表示され、2段階以降は、その前段階の他の撮像パラメータとその値の候補も含めて、一つの画面で表示されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記少なくとも2段階で演算された他の撮像パラメータとその値の候補が、各段階毎に1つのウィンドウで表示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記ウィンドウは、横ならびに表示されることを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記ウィンドウの内、最も段階の新しいものが、古いものと色あるいは枠の太さを異ならせて表示されるようになっていることを特徴とする請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記演算手段により他の撮像パラメータ及びその値の候補が計算されると、前記複数の撮像パラメータの値の組み合わせが更新され、当該組み合わせにより撮像した場合のイメージクオリティパラメータの値が、グラフ化して表示されることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記イメージクオリティパラメータには、SARとdB/dtの少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−200342(P2011−200342A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69029(P2010−69029)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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