説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】心周期が変動した場合であっても、良好な画質の画像を得ることができる磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像用パルスシーケンス印加時の心周期を、前記撮像用パルスシーケンスの印加前の複数心周期分の心拍信号から予測する心周期予測部と、前記予測した心周期を用いて、心拍を表す基準信号からの遅延時間を決定する遅延時間決定部と、前記基準信号から前記遅延時間後に前記撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して磁気共鳴信号を収集するデータ収集部と、収集した前記磁気共鳴信号から画像を生成する画像生成部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から心電同期撮像法を用いた磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)が知られている。また、磁気共鳴イメージングの分野において、血流像を得る手法として、MRA(Magnetic Resonance Angiography)が知られている。MRAのうち、造影剤を使用しないものは非造影MRAと呼ばれる。この非造影MRAも通常、心電同期撮像法を用いて行われる。
【0003】
心電同期撮像法では、心拍に同期した信号(ECG(Electro cardiogram)信号等)に同期させてMR(Magnetic Resonance)信号を取得する。例えば、ECG信号の中のR波の位置から所定の遅延時間だけ遅らせたタイミングでMR信号を取得する。
【0004】
一方、非造影MRAでは血流速度によって撮像画像のコントラストが異なってくるため、心周期内のどのタイミングでMR信号を取得するか、即ち、R波等の基準信号からMR信号取得開始までの遅延時間をいくらに設定するかが非常に重要となる。
【0005】
そこで、非造影MRAの1つであるFS−FBI(Flow spoiled-Fresh Blood Imaging)等では、本スキャンの前にECG−prepスキャンと呼ばれる予備的なスキャンを行い、このECG−prepスキャンで得られる情報から最適な遅延時間を決定し、この最適遅延時間を用いて本スキャンを行う手法がとられることがある(例えば、特許文献1)。
【0006】
この手法では、ECG−prepスキャンによって心周期内で遅延時間の異なる複数の再構成画像を生成し、この中から特定の画像を選択する。画像の選択方法としては、例えば目視で選択する方法や、特許文献2に記載されるように、画像処理された画像の画素平均値等から自動的に選択する方法がある。そして、選択された特定の画像に対応する遅延時間を最適遅延時間として決定し、この最適遅延時間を用いて本スキャン用のパルスシーケンスの印加タイミングを決定している。ここでの最適遅延時間とは、収縮期において血流速度が最も高くなる収縮期の最適遅延時間や、拡張期において血流速度が最も低くなる拡張期の最適遅延時間等である。
【0007】
一方、心周期(R波とR波の間隔)或いは心拍数(HR:Heart Rate)から収縮期や拡張期の最適遅延時間を計算式、或いは参照テーブルを用いて求める手法もある。この手法では、患者の心周期や心拍数さえ測定できれば、計算式や参照テーブルから直ちに最適遅延時間を求めることができるため、必ずしもECG−prepスキャンを行う必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−200054号公報
【特許文献2】特開2008−23317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、同じ患者であってもその心周期或いは心拍数は時間と共に変動する。そこで、本スキャンの開始前の所定の期間、心周期や心拍数を測定して平均値を求め、その平均値を計算式や参照テーブルに入力して収縮期や拡張期の最適遅延時間を求める方法も考えられる。
【0010】
しかしながら、この場合であっても、心周期や心拍数を事前に測定したときから実際に本スキャンを開始するまでの間に心周期は変化しうる。また、本スキャンを開始してMR信号を取得している期間中にも心周期は変化しうる。心周期が変化すると、変化する前の心周期を用いて計算式や参照テーブルから予め求めた最適遅延時間は、もはや最適な遅延時間とは言えず、画質の低下をもたらす原因となる。
【0011】
また、反転パルス(Inversion pulse)を用いて背景信号を抑圧するような撮像方法では、心周期が変化して短くなった場合、収縮期の最適遅延時間よりも長い反転時間TIをもつ反転パルスは印加することができず、この場合にも期待した画質の画像を得ることができなくなる。
【0012】
そこで、心周期が変動した場合であっても、良好な画質の画像を得ることができる磁気共鳴イメージング装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像用パルスシーケンス印加時の心周期を、前記撮像用パルスシーケンスの印加前の複数心周期分の心拍信号から予測する心周期予測部と、前記予測した心周期を用いて、心拍を表す基準信号からの遅延時間を決定する遅延時間決定部と、前記基準信号から前記遅延時間後に前記撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して磁気共鳴信号を収集するデータ収集部と、収集した前記磁気共鳴信号から画像を生成する画像生成部と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】磁気共鳴イメージング装置の構成例を示す図。
【図2】磁気共鳴イメージング装置のコンピュータの機能ブロック図。
【図3】本実施形態との比較例として、従来の心電同期法によるデータ収集のシーケンス例を示す図。
【図4】第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の処理例を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の動作説明図。
【図6】予測心周期から最適遅延時間を求める方法の説明図。
【図7】拡張期における動脈及び静脈の画像を良好に得るための3D−高速SE法によるデータ収集タイミング、及びパルスシーケンスの例を示す図。
【図8】3次元高速SE法で得られるボリュームデータを模式的に示した図。
【図9】FS−FBI法の動作概念を示す図。
【図10】収縮期画像を生成するためのデータ収集シーケンスとパルスシーケンスを示す図。
【図11】第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の動作を説明する図。
【図12】第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】
(1)構成
図1は、本実施形態における磁気共鳴イメージング装置20の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石22と、静磁場用磁石22の内側において軸を同じにして設けられた筒状のシムコイル24と、傾斜磁場コイル26と、RFコイル28と、制御系30と、被検体Pが乗せられる寝台32とを備える。
【0017】
装置座標系の互いに直交するX軸、Y軸、Z軸において、静磁場用磁石22およびシムコイル24の軸方向をZ軸方向とし、鉛直方向をY軸方向とすると、寝台32は、その天板の載置用の面に垂直な方向がY軸方向となるように配置される。
【0018】
制御系30は、静磁場電源40と、シムコイル電源42と、傾斜磁場電源44と、RF送信器46と、RF受信器48と、シーケンスコントローラ56と、コンピュータ58とを備える。
【0019】
傾斜磁場電源44は、X軸傾斜磁場電源44xと、Y軸傾斜磁場電源44yと、Z軸傾斜磁場電源44zとで構成されている。また、コンピュータ58は、演算装置60と、入力装置62と、表示装置64と、記憶装置66とで構成されている。
【0020】
静磁場用磁石22は、静磁場電源40に接続され、静磁場電源40から供給された電流により撮像空間に静磁場を形成させる。シムコイル24は、シムコイル電源42に接続され、シムコイル電源42から供給される電流により、この静磁場を均一化する。静磁場用磁石22は、超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源40に接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。なお、静磁場電源40を設けずに、静磁場用磁石22を永久磁石で構成してもよい。
【0021】
傾斜磁場コイル26は、X軸傾斜磁場コイル26xと、Y軸傾斜磁場コイル26yと、Z軸傾斜磁場コイル26zとを有し、静磁場用磁石22の内側で筒状に形成されている。X軸傾斜磁場コイル26x、Y軸傾斜磁場コイル26y、Z軸傾斜磁場コイル26zはそれぞれ、X軸傾斜磁場電源44x、Y軸傾斜磁場電源44y、Z軸傾斜磁場電源44zに接続される。
【0022】
X軸傾斜磁場電源44x、Y軸傾斜磁場電源44y、Z軸傾斜磁場電源44zからX軸傾斜磁場コイル26x、Y軸傾斜磁場コイル26y、Z軸傾斜磁場コイル26zにそれぞれ供給される電流により、X軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzが撮像空間にそれぞれ形成される。
【0023】
即ち、装置座標系の3軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzを合成して、論理軸としてのスライス方向傾斜磁場Gss(またはスライスエンコード方向傾斜磁場Gse)、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、および、読み出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groの各方向を任意に設定できる。スライス方向、位相エンコード方向、および、読み出し方向の各傾斜磁場は、静磁場に重畳される。
【0024】
RF送信器46は、シーケンスコントローラ56から入力される制御情報に基づいて、核磁気共鳴を起こすためのラーモア周波数のRFパルス(RF電流パルス)を生成し、これを送信用のRFコイル28に送信する。RFコイル28には、ガントリに内蔵されたRFパルスの送受信用の全身用コイル(WBC:whole body coil)や、寝台32または被検体Pの近傍に設けられるRFパルスの受信用の局所コイルなどがある。送信用のRFコイル28は、RF送信器46からRFパルスを受けて被検体Pに送信する。受信用のRFコイル28は、被検体Pの内部の原子核スピンがRFパルスによって励起されることで発生したMR信号(高周波信号)を受信し、このMR信号は、RF受信器48により検出される。
【0025】
RF受信器48は、検出したMR信号に前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリングなどの各種の信号処理を施した後、A/D(analog to digital)変換を施すことで、デジタル化された複素データである生データ(raw data)を生成する。RF受信器48は、生成したMR信号の生データをシーケンスコントローラ56に出力する。
【0026】
シーケンスコントローラ56は、所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源44、RF送信器46およびRF受信器48を駆動させることにより、X軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRFパルスを発生させる。また、シーケンスコントローラ56は、RF受信器48から出力されるMR信号の生データ(raw data)を受けて、これをコンピュータ58に出力する。
【0027】
コンピュータ58は、演算装置(MPU)60、入力装置62、表示装置64、及び記憶装置66を有する。入力装置62は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、表示装置64は液晶パネル等から構成されるディスプレイ装置である。入力装置62と表示装置64とでユーザインタフェースを構成する。
【0028】
ECGユニット36は、被検体PからECG信号(electrocardiogram signal)を取得して、これをシーケンスコントローラ56に入力して、演算装置60に伝達する。なお、拍動を心拍情報として表すECG信号の代わりに、拍動を脈波情報として表す脈波同期(PPG:peripheral pulse gating)信号を取得することもできる。PPG信号は、例えば指先の脈波を光信号として検出した信号である。PPG信号を取得する場合には、PPG信号検出ユニットが設けられる。
【0029】
シーケンスコントローラ56は、演算装置60の指令に従って、傾斜磁場電源44、RF送信器46およびRF受信器48を駆動させるために必要な制御情報を記憶する。ここでの制御情報とは、例えば、傾斜磁場電源44に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報である。
【0030】
コンピュータ58の演算装置60は、上記のシステムコントローラ56の制御や磁気共鳴イメージング装置1全体のシステム制御の他、記憶装置66に保存されたプログラムにしたがって各種の機能を実現する。なお、これら各種機能の実現は、プログラムによらず、特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けて実現してもよい。
【0031】
図2は、図1に示すコンピュータ58の機能ブロック図である。
【0032】
コンピュータ58は、プログラムにより撮像条件設定部100、シーケンスコントローラ制御部101、画像生成部102(k空間データベース103を含む)、画像データベース104、画像処理部105、表示制御部106、心周期予測部107、遅延時間決定部108等として機能する。
【0033】
撮像条件設定部100は、入力装置62からの指示情報や、後述する遅延時間決定部108で決定される遅延時間等に基づいてパルスシーケンスを含む撮像条件を設定し、設定した撮像条件をシーケンスコントローラ制御部101に与える。シーケンスコントローラ制御部101は、撮像条件設定部100で設定されたパルスシーケンス等をシーケンスコントローラ56に設定する。
【0034】
撮像条件設定部100、シーケンスコントローラ制御部101、シーケンスコントローラ56、RF送信器46、RFコイル28、RF受信器48等でデータ収集部を構成し、撮像条件設定部100で設定された撮像条件に基づいて被検体Pからの磁気共鳴信号(MR信号)が生データとして収集される。
【0035】
画像生成部102は、RF受信器48からシーケンスコントローラ56を通って入力された生データをk空間データとしてk空間データベース103に配置する一方、k空間データベース103からk空間データを取り込み、これにフーリエ変換を含む画像再構成処理を施すことで画像データを生成する。そして、生成された画像データを画像データベース104に保存する。
【0036】
画像処理部105は、画像データベース104から必要な画像データを読み込み、これに差分処理等の画像処理やMIP処理等の表示処理を施すことで、表示用の画像データを生成し、生成した画像データを記憶装置66に保存する。
【0037】
表示制御部106は、記憶装置66に保存された表示用の画像データや、各種ユーザインタフェース用の文字や画像等を表示装置64に表示するための制御を行う。
【0038】
心周期予測部107は、撮像用パルスシーケンス印加時の心周期を、撮像用パルスシーケンスの印加前の複数心周期分の心拍信号から予測する。心拍信号は、ECGユニット36から出力される被検体PのECG信号や、脈波同期信号(PPG信号)等である。
【0039】
遅延時間決定部108は、心周期予測部107で予測した心周期を用いて、心拍を表す基準信号(例えばR波)から撮像用パルスシーケンスの印加開始までの遅延時間を決定する。
【0040】
心周期予測部107や遅延時間決定部108のより具体的な動作は後述する。
【0041】
(2)第1の実施形態
図3は、本実施形態との比較例として、従来の心電同期撮像法によるデータ収集のシーケンス例を示す図である。従来の心電同期撮像法では、図3(a)に示すように、撮像の開始前に患者の心電波形を事前に取得し、心電波形の基準信号(通常はR波)の間隔の平均値TAVEを求める。そして、この平均値TAVEから、撮像用パルスシーケンスの印加開始までの最適遅延時間Tdfixを決定する。
【0042】
一方、撮像時においても、図3(b)に示すように患者からR波信号を取得し、このR波に同期した撮像が行われる。このとき、各R波から、先に決定された最適遅延時間Tdfix(固定の値)だけ遅延させて撮像用のパルスシーケンスを患者に印加して、MR信号を収集する(図3(c))。
【0043】
最適遅延時間Tdfixは、撮像目的や撮像対象部位等によって異なる。また、血流像を得るための非造影MRAでは、血流速度等の血流条件によって最適遅延時間Tdfixは異なる。例えば、最も血流速度が高くなると想定される収縮期における最適遅延時間Tdfixと、最も血流速度が低くなると想定される拡張期における最適遅延時間Tdfixとは当然異なった値となる。
【0044】
一方、前述したように、人の心周期は健常者であっても決して一定ではなく時間と共に変動する。したがって、最適遅延時間Tdfixを決定するために事前に取得した心周期と、実際に撮像が行われるときの心周期は必ずしも同じではない。また、撮像中にも心周期は変動する。心周期が変動すると、R波から同じ遅延時間であっても、その遅延時間における血流条件は異なってくる。例えば、拡張期における血流速度が最低となるように最適遅延時間Tdfixを決定した場合でも、心周期が変動するとその最適遅延時間Tdfixにおける血流速度はもはや最低とはならず、「最適な」遅延時間とは言えなくなり、意図した血流条件とは異なる状態でデータ収集することになる。
【0045】
本実施形態はこのような不都合を解消するものであり、心周期の変動に伴って最適時間を動的に変化させて決定する手法を採っている。その動作を図4のフローチャートと図5を用いて説明する。
【0046】
図5(a)は、心周期が変動する例として、各R波(Rn-N波〜Rn+3波)の間隔(Tn-N〜Tn+2)が徐々に長くなるように変動する例を図示している。
【0047】
図4のステップST10では、対象とするRn波(即ち、最適遅延時間Td opt(n)を決定しようとするR波)の前のN個の心周期を取得する。図5(a)の例では、Rn波の直前のN個の心周期(Tn-N〜Tn-1)を取得する。
【0048】
ステップST11では、取得したN個の心周期から、Rn波に対応する心周期、即ち、Rn波とRn+1波の間隔Tpnを予測する。最も単純には、N個の心周期(Tn-N〜Tn-1)の単純平均値を予測心周期Tpnとすることができるが、これに限定されるものではない。例えば、対象とするRn波に近い心周期の重みをRn波に遠い心周期の重みよりも大きく設定する加重平均でもよい。また、Rn波の直前のN個の心周期(Tn-N〜Tn-1)からRn波の予測心周期Tpnを公知の予測フィルタ等で求めても良い。
【0049】
ステップST12では、予測心周期Tpnから、対象とするRn波からの最適遅延時間Td opt(n)を算出する。この算出は、図6(a)に示すように、予測心周期Tpnを計算式に代入することで求めても良いし、図6(b)に示すように、予測心周期Tpnに関連付けられて参照テーブルから求めても良い。
【0050】
例えば、予測心周期Tpnの関数fsで表される計算式から収縮期の最適遅延時間Tds opt(n)を求めることができる。この関数fsは、収縮期における血流速度が最大となるようなR波からの遅延時間と心周期との関連を示す多数の測定データから最小二乗法等を用いて得られる近似式として予め求めることができる。
【0051】
同様に、予測心周期Tpnの関数fdで表される計算式から拡張期の最適遅延時間Tdd opt(n)を求めることができる。この関数fdは、拡張期における血流速度が最小となるようなR波からの遅延時間と心周期との関連を示す多数の測定データから,上記と同様に、近似式として予め求めることができる。
【0052】
また、これら計算式の替わりに、心周期と収縮期における最適遅延時間とが関連付けられた収縮期用の参照テーブルや、心周期と拡張期における最適遅延時間とが関連付けられた拡張期用の参照テーブルから、最適遅延時間Tds opt、Tdd optをそれぞれ求めることもできる。
【0053】
ステップST12で、対象とするR波(Rn)に対する最適遅延時間Td opt(n)が算出されると、この最適遅延時間Td opt(n)に基づいて撮像用パルスシーケンスの印加タイミングが決定される。そして、対象とするR波(Rn)から最適遅延時間Td opt(n)後に所定の撮像用パルスシーケンスが被検体に印加され、被検体からのMR信号が収集される(ステップST13)。
【0054】
MR信号の収集を継続する場合には、ステップST10に戻り、次の対象R波(図5の例ではRn+1)に対して同様に最適遅延時間Td opt(n+1)が算出される。全てのMR信号の収集が終わると、収集したMR信号から画像が再構成される。
【0055】
このように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20では、対象R波ごとに、その前の(好ましくは直前の)N個の心周期データに基づいて順次予測心周期Tpを更新し、更新した最新の予測心周期Tpに基づいて最適遅延時間Td optを算出する。算出された最適遅延時間Td optは心周期の変動が反映されているため、心周期が時間的に変動したとしても、実質的に常に同じ血流条件(血流速度等)のMR信号を収集することができる。この結果、ユーザが当初意図した目的の画像を、当初意図した品質で生成することができる。
【0056】
(3)第1の実施形態の応用例(その1)
上述した第1の実施形態は、心電同期撮像法による種々のMR撮像に適用可能であり、特定の撮像法や特定のパルスシーケンスに限定されるものではない。以下に示す3次元高速SE法に基づくMRAのデータ収集シーケンスやパルスシーケンスは本実施形態の一例を示すものにすぎない。
【0057】
図7(a)、(b)は、拡張期における動脈及び静脈の画像を良好に得るための3D−高速SE(Fast Spin Echo)法によるデータ収集タイミング、及びパルスシーケンスの例を示す図である。
【0058】
この撮像法では、図7(b)に示すように、個々のパルスシーケンスは、1つの励起パルスと、これに続く複数のリフォーカスパルスで構成される。それぞれのリフォーカスパルスの後には、異なる位相エンコード量の傾斜磁場GPEが印加され、その後に続くリードアウト傾斜磁場GROの印加により、MR信号(エコー信号)が収集される。1つの励起パルスのよって複数の位相エンコードラインのデータが収集可能であり、この例では、1つの励起パルスによって、即ち、図7(b)に示す1つのパルスシーケンスによって、1スライス分に相当する位相エンコードラインのデータが収集される。
【0059】
一方、1つの励起パルスとそれに続く各リフォーカスパルスに対しては、つまり、1つのパルスシーケンスに対して、1つの同じスライスエンコード量の傾斜磁場GSEが印加される。そして、図7(a)に示すように、パルスシーケンス毎にスライスエンコード量を、・・SE(n)、SE(n)、・・、SE(n+m)、SE(n+m+1)、SE(n+m+2)と変えていくことによって、複数スライス分のボリュームデータを収集して3D−MR撮像を行っている。
【0060】
1つの励起パルスで1スライス分のデータを収集するため、1つのパルスシーケンスの長さは比較的長くなる。つまり、1つのパルスシーケンスで複数のR波(図7の例では2つのR波)に跨って1スライス分のデータ収集を行っている。一方、図7に示すように、エンコード量がゼロの位相エンコードラインのデータ(所謂k0データ)をパルスシーケンスの先頭に設けるデータ収集順序(所謂セントリックオーダ)としている。このため、再構成された画像の主要な構成や主要なコントラストは、k0データの位置、即ち、各パルスシーケンスの開始位置で殆ど決定され、パルスシーケンスの長さの影響は少ない。
【0061】
一方、画像の主要な構成や主要なコントラストはパルスシーケンスの開始位置近傍の収集データによって決定されるため、各R波から各パルスシーケンス開始までの遅延時間の選択及び設定は極めて重要である。そして、非造影MRAにおいては、この遅延時間は所望の血流速度等の血流条件の画像を得るために選択、設定される。
【0062】
しかしながら、前述したように心周期が変動すると同じ遅延時間であっても血流速度等も変化するため、所望の血流条件の画像が得られなくなってしまう。
【0063】
これに対して、本実施形態では、図7(a)の上段から下段に示すように、短い心周期から長い心周期に変動した場合であっても、対象R波ごとに心周期の変動が反映された最適遅延時間Td optを求めているため、実質的に常に同じ血流条件(血流速度等)のMR信号を収集することができる。
【0064】
このことは、本実施形態に係る3次元高速SE法では、スライスエンコード方向において常に同じ血流条件の血流画像を生成することができることを意味している。
【0065】
図8は、3次元高速SE法で得られるボリュームデータを模式的に示した図である。従来の3次元高速SE法では、各スライスデータを収集するパルスシーケンスが、R波から常に同じ遅延時間で開始されているため、心周期が変動すると血流条件がスライス毎に異なることとなり、スライス毎に異なる血流条件で収集されたMR信号に基づいて3次元画像を再構成していた。
【0066】
これに対して、本実施形態に係る3次元高速SE法では、心周期が変動した場合であっても、パルスシーケンスごとに心周期の変動が反映された最適遅延時間Td optを求めているため、どのスライスに対しても同じ血流条件(血流速度等)のMR信号を収集することができ、高品質の3次元血流画像を生成することができる。
【0067】
(4)第1の実施形態の応用例(その2)
図9は、FS−FBI(Flow Spoiled Fresh Blood Imaging)法の動作概念を示す図である。FS−FBI法は、特許文献1等に記載されるように心電同期撮像法による3次元非造影MRAの1つである。FS−FBI法では、収縮期に収集したMR信号を再構成した収縮期画像IMsysと、拡張期に収集したMR信号を再構成した拡張期画像IMdisとを差分処理する。
【0068】
収縮期画像IMsysは、動脈からのMR信号が最も低くなるような血流条件、即ち、収縮期において血流速度が最も高くなりフローボイド効果が最も大きくなるようなR波からの遅延時間にパルスシーケンスが印加されて、その画像が生成される。この結果、収縮期画像IMsysでは、動脈の信号強度が抑圧される一方、静脈の信号強度が保持された画像が得られる。フローボイド効果をさらに促進するため、図9の左端に示すように、例えばリードアウトパルスGRO本体の両端にディフェーズパルスを付加する場合もある。ディフェーズパルスの付加によりフローボイド効果が促進され、動脈信号をさらに抑制することができる。
【0069】
一方、拡張期画像IMdisは、動脈及び静脈の双方のMR信号が保持されるような血流条件、即ち、拡張期において動脈及び静脈の血流速度が最も低くなりフローボイド効果が最も小さくなるようなR波からの遅延時間にパルスシーケンスが印加されて、その画像が生成される。この結果、拡張期画像IMsysでは、動脈及び静脈の双方の信号強度が保持された画像が得られる。フローボイド効果をさらに低減するため、図9の右端に示すように、例えばリードアウトパルスGRO本体の両端にリフェーズパルスを付加する場合もある。リフェーズパルスの付加により、フローボイド効果はさらに抑制され、動脈及び静脈の信号強度を高めることができる。
【0070】
動脈が抑制され静脈が保持された収縮期画像IMsysと、動脈と静脈の双方が保持された拡張期画像IMdisとを差分することにより、動脈のみが保持された動脈画像IMARを生成することができる。また、動脈画像IMARと拡張期画像IMdisとをさらに差分することにより、静脈のみが保持された静脈画像をさらに生成することもできる。
【0071】
拡張期画像IMdisを生成するためのデータ収集シーケンスとパルスシーケンスは、図7に既に示したものである。一方、図10は、収縮期画像IMsysを生成するためのデータ収集シーケンスとパルスシーケンスを示す図である。図7と図10の第1の相違点は、最適遅延時間が図7では拡張期に設定されているのに対して、図10では収縮期に設定されている点である。第2の相違点は、図7(拡張期)ではリードアウトパルスGROの両端にリフェーズパルスが付加されているのに対して、図10(収縮期)ではリードアウトパルスGROの両端にディフェーズパルスが付加されている点である。
【0072】
本実施形態を適用するFS−FBI法は、図7及び図10に示すように、心周期が変動した場合であっても、パルスシーケンスごとに心周期の変動が反映された最適遅延時間Td optを求めているため、収縮期画像IMsys及び拡張期画像IMdisのいずれにおいても、どのスライスに対しても同じ血流条件(血流速度等)のMR信号を収集することができ、高品質の3次元血流画像を生成することができる。
【0073】
(5)第2の実施形態
図11は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20の動作を説明する図であり、図12は動作の処理例を示すフローチャートである。
【0074】
第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20で使用する撮像用のパルスシーケンスは、プリパルス(preparation pulse)と、このプリパルスに続く励起パルスを含むパルスシーケンスである。ここで、プリパルスとは、背景抑圧その他の目的のため、励起パルスよりも前に印加されるRFパルスのことである。プリパルスの種類や数は特に限定するものではない。プリパルスの種類としては、例えば反転パルス(inversion pulse)、タギングパルス(tagging pulse)、MTパルス(Magnetization Transfer pulse)、飽和パルス(saturation pulse)等がある。
【0075】
プリパルスと励起パルスとの間の時間はプリパルスの目的に応じて異なる。例えば反転パルスの場合は、反転時間TI(Inversion time)(反転パルスと励起パルスとの間の時間)を、背景の縦磁化が180°から0°に戻るまでの時間に設定することにより、背景を抑圧している。
【0076】
図11(a)は、第2の実施形態との比較のため、R波とプリパルス(図11の例では反転パルス)を含むパルスシーケンスの従来例の印加タイミングを示す図である。従来例では、Rn波を基準にして反転パルスの印加タイミングを決めているため、Rn波から励起パルスまでの遅延時間は、反転時間TI以上にしか設定できない。したがって、所望の血流条件で撮像するための最適遅延時間Td optが反転時間TIよりも短い場合には、Rn波から励起パルスまでの遅延時間を最適遅延時間Td optに設定することができなかった。また、遅延時間を最適遅延時間Td optに設定しようとすると、反転時間TIを短縮せざるをえなかった。
【0077】
これに対して、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20では、図11(b)に示すように、基準信号(Rn波)から励起パルスまでの最適遅延時間Td optが、プリパルス(例えば反転パルス)と励起パルスとの間の時間(例えば反転時間)よりも短い場合は、励起パルスの直前の基準信号(Rn波)の1つ前の基準信号(Rn-1波)からプリパルス(反転パルス)までの遅延時間Tdを予測心周期Tpを用いて決定し、1つ前の基準信号(Rn-1波)から遅延時間Td後に反転パルスから始まる撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して磁気共鳴信号を収集するように構成している。
【0078】
より具体的な手順を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0079】
反転時間TIは、撮像条件の1つとして撮像条件設定部100に設定される(ステップST20)。撮像準備が完了とすると、患者からの心電信号から、対象とするR波(Rn波)より前のN個の心周期(例えば、Rn-1波の直前のN個の心周期)が取得され、収集したN個の心周期から予測心周期Tpが算出される(ステップST21、22)。さらに、予測心周期Tpから、対象とするR波(Rn波)からの最適遅延時間Td optが算出される(ステップST23)。ステップST21乃至ステップST23の処理は、第1の実施形態(図4)におけるステップST10乃至ステップST12と同様の処理である。ただし、第1の実施形態における予測心周期Tpは、Rn波とRn+1波との間の心周期の予測値であったのに対して、第2の実施形態における予測心周期Tpは、Rn波とRn+1波との間の心周期の予測値であると共に、Rn-1波とRn波との間の心周期の予測値でもある。
【0080】
ステップST24では、算出された最適遅延時間Td optが反転時間TIより短いか否かが判定される。最適遅延時間Td optが反転時間TIより長い場合(Td opt≧TI)は(ステップST24のNO)、対象となるRn波から遅延時間(Td opt−TI)後に、反転パルスを先頭とするパルスシーケンスが印加される。
【0081】
これに対して、最適遅延時間Td optが反転時間TIより短い場合(Td opt<TI)には(ステップST24のYES)、1つ前のRn-1波からの遅延時間Tdを以下の式で算出する(ステップST26)。
Td=Tp−(TI−Td opt)
【0082】
そして、図11(b)に示すように、1つ前のRn-1波から遅延時間Td後に、反転パルスを先頭とするパルスシーケンスを被検体に印加してMR信号を収集し(ステップST27)、収集したMR信号から画像を再構成する(ステップST28)。
【0083】
第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20によれば、反転パルスを含むパルスシーケンスを対象とするRn波よりも前に印加することが可能となるため、所定の反転時間を確保しつつ、励起パルスをRn波のごく近傍まで接近させることができる。
【0084】
また、心周期の変動によって心周期が想定値より短くなり、その結果計算式等で求められる最適遅延時間Td optが反転時間TIより短くなった場合であっても、所定の反転時間と最適遅延時間Td optの双方が確保されたパルスシーケンスを印加することが可能となる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
20 磁気共鳴イメージング装置
58 コンピュータ
60 演算装置
56 シーケンスコントローラ
100 撮像条件設定部
101 シーケンスコントローラ制御部
102 画像生成部
105 画像処理部
107 心周期予測部
108 遅延時間決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用パルスシーケンス印加時の心周期を、前記撮像用パルスシーケンスの印加前の複数心周期分の心拍信号から予測する心周期予測部と、
前記予測した心周期を用いて、心拍を表す基準信号からの最適遅延時間を決定する遅延時間決定部と、
前記基準信号から前記最適遅延時間後に前記撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して磁気共鳴信号を収集するデータ収集部と、
収集した前記磁気共鳴信号から画像を生成する画像生成部と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記心周期予測部は、前記撮像用パルスシーケンスの印加直前の複数の前記心拍信号の間隔の平均値を前記予測した心周期とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記遅延時間決定部は、
前記予測した心周期から、計算式または参照テーブルを用いて、前記撮像用パルスシーケンスを印加すべき前記最適遅延時間を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記遅延時間決定部は、収縮期における第1の最適遅延時間と、拡張期における第2の遅延時間とを前記計算式または前記参照テーブルを用いて決定し、
前記データ収集部は、前記基準信号から前記第1の最適遅延時間後に第1の撮像用パルスシーケンスを印加して第1の磁気共鳴信号を収集し、前記基準信号から前記第2の最適遅延時間後に第2の撮像用パルスシーケンスを印加して第2の磁気共鳴信号を収集し、
前記画像生成部は、前記第1の磁気共鳴信号から第1の画像を生成し、前記第2の磁気共鳴信号から第2の画像を生成する、
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記撮像用パルスシーケンスは、1つの励起パルスによって複数の位相エンコード分の磁気共鳴信号を収集するパルスシーケンスである、
ことを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記複数の位相エンコード分の磁気共鳴信号の収集期間は複数の心周期に跨る、
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記画像生成部は、前記第1の画像と前記第2の画像とを差分して、さらに動脈画像を生成する、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
複数の前記撮像用パルスシーケンスを、その夫々に対応する複数のスライスエンコードを伴って印加して3次元の磁気共鳴信号を収集する場合において、
前記心周期予測部は、記前複数の撮像用パルスシーケンスに対して、それぞれの印加直前の複数の前記心拍信号の間隔の平均値を求め、各撮像用パルスシーケンスに対応する前記予測した心周期とし、
前記遅延時間決定部は、前記各撮像用パルスシーケンスに対応する前記予測した心周期から、計算式または参照テーブルを用いて、前記各撮像用パルスシーケンスを印加すべき夫々の最適遅延時間を決定し、
前記データ収集部は、前記基準信号から前記夫々の最適遅延時間後に前記各撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して前記3次元の磁気共鳴信号を収集し、
前記画像生成部は、収集した前記3次元の磁気共鳴信号を3次元逆フーリエ変換して3次元画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記遅延時間決定部は、収縮期における第1の最適遅延時間と拡張期における第2の遅延時間とを、前記各撮像用パルスシーケンスに対して、前記計算式または前記参照テーブルを用いて決定し、
前記データ収集部は、前記各撮像用パルスシーケンスに対して、前記基準信号から前記第1の最適遅延時間後に第1の撮像用パルスシーケンスを印加して第1の磁気共鳴信号を収集し、前記基準信号から前記第2の最適遅延時間後に第2の撮像用パルスシーケンスを印加して第2の磁気共鳴信号を収集し、
前記画像生成部は、前記第1の磁気共鳴信号から第1の3次元画像を生成し、前記第2の磁気共鳴信号から第2の3次元画像を生成する、
ことを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記各撮像用パルスシーケンスは、1つの励起パルスによって複数の位相エンコード分の磁気共鳴信号を収集するパルスシーケンスである、
ことを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記複数の位相エンコード分の磁気共鳴信号の収集期間は複数の心周期に跨る、
ことを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、前記第1の画像と前記第2の画像とを差分して、さらに動脈画像を生成する、
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記心拍を表す基準信号は心電信号のR波であり、前記心周期は隣接するR波の間隔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記撮像用パルスシーケンスは、プリパルスと、前記プリパルスの後に印加される励起パルスとを含むパルスシーケンスであり、
前記遅延時間決定部は、前記基準信号から前記励起パルスまでの所定の最適遅延時間が、前記プリパルスと前記励起パルスとの間の時間よりも短い場合は、前記励起パルスの直前の基準信号の1つ前の基準信号から前記プリパルスまでの遅延時間を前記予測した心周期を用いて決定し、
前記データ収集部は、前記1つ前の基準信号から前記決定した遅延時間後に前記撮像用パルスシーケンスを被検体に印加して磁気共鳴信号を収集する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
前記プリパルスは反転パルス(inversion pulse)であり、前記プリパルスと前記励起パルスとの間の時間は、反転時間(inversion time)である、
ことを特徴とする請求項14に磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
前記基準信号から前記励起パルスまでの最適遅延時間をTdopt、前記反転時間をTI、前記1つ前の基準信号から前記プリパルスまでの遅延時間をT、及び前記予測した心周期をTpとするとき、
前記遅延時間決定部は、Tdopt<TI、のとき、T=Tp−(TI−Tdopt)として、遅延時間Tを決定する、
ことを特徴とする請求項15に記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−200557(P2012−200557A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70753(P2011−70753)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】