説明

磁気処理装置

【課題】液体全体に対して万遍無く磁気処理を施すことで、除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を図ることが可能な磁気特性に優れた磁気処理装置を提供する。
【解決手段】流動経路中の各種液体に対して磁気処理を施す磁気処理装置であり、永久磁石が組み込まれた複数本の磁気発生ユニット2と、これら磁気発生ユニットを囲むように配置された磁性体覆い部材4と、磁気発生ユニットと磁性体覆い部材との間に介挿された少なくとも1本の磁性体シャフト6とを具備し、永久磁石は、複数の磁性材を成形して焼結した所定形状の焼結材から成る磁石構成体を接合材で相互に接合することで一体成形されており、当該永久磁石が組み込まれた磁気発生ユニットと磁性体覆い部材及び磁性体シャフトとの間の磁気相互作用により、磁性体覆い部材で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力を生じさせて、当該領域に沿って流動する液体全体に対して磁気処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水系、給湯系、各種冷却水系、空調冷温水系など、各種の液体を対象とした全ての配管についての除錆、防蝕、各種スケール(炭酸カルシウム、珪素化合物など)の除去及び付着防止を図るための磁気特性に優れた磁気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水系、給湯系、各種冷却水系、空調冷温水系などの配管内を流動する液体(例えば、水)には、例えば、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、二酸化炭素などの各種成分が含まれており、赤錆の発生やスケールの析出付着といった障害の原因となっている。そこで、このような障害を除去するための技術として、例えば特許文献1に示すような装置が提案されている。かかる装置は、給水管の外側に複数の永久磁石が対向配置されるようになっており、これら複数の永久磁石により給水管内を流動する液体(水)に対する磁気処理が施される。
【0003】
ところで、永久磁石の磁力をそのまま効果的に液体(水)に作用させるためには、永久磁石の間に障害物を介在させないことが好ましい。しかし、従来の装置では、永久磁石の間に給水管が介在しているため、永久磁石の磁力は給水管で減ぜられてしまう。この場合、給水管内を流動する液体(水)全体に対して高い磁力を万遍無く均一に作用させることができないため、水全体に対する磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが困難になる。
【0004】
また、液体(水)に対して充分に且つ効果的に磁気処理を施すためには、永久磁石を液体(水)に近接及び直接接触させるように配置することが好ましい。しかし、給水管の外側に永久磁石を対向配置する構成では、給水管の中央部分に向うに従って永久磁石からの距離が大きくなるため、それに応じて磁力の大きさ(強さ)が給水管の中央部分に向うに従って小さく(弱く)なる。この場合、液体(水)全体に対して万遍無く均一の磁力を作用させることができないため、磁気処理の程度に差が出てしまう。つまり、給水管内を流動する液体(水)に対して充分に磁気処理を施すことができる部分とそうでない部分とが生じ、その結果、液体(水)全体に対する磁気処理を充分に且つ効果的に施すことが困難になる。
【0005】
ここで、上述したような永久磁石は、その状態や製造方法により、焼結磁石(特許文献2)やボンド磁石(特許文献3)などに分類することができる。この場合、焼結磁石は、例えばフェライトや希土類元素などの硬磁性を示す磁性材(磁性粉)を基本材とし、これに必要に応じて焼結助剤を添加して成形し、その成形体に対して加熱焼結及び時効処理(析出硬化処理)を施した後、着磁させることで製造される。
【0006】
ところで、焼結磁石の製造工程において、成形体に対する焼結処理では、その冷却工程に際して磁性材が収縮することで当該成形体に大きな歪みが発生してしまう場合がある。このため、例えば0.1〜0.01mm以下の寸法精度が要求される精密機器の用途では、焼結磁石(成形体)の表面に切削、研削及び研磨などの機械加工を施すことで、歪みを解消させて所望の寸法精度を確保している。しかしながら、このような機械加工は、手間がかかると共に、それに要する時間もかかるため、磁石の製造コストが上昇してしまう。
【0007】
また、近年では各種機器の多様化に伴って、当該機器に組み込まれる焼結磁石の肉薄化や大径化などが要求されているが、その肉薄化や大径化の程度によっては、焼結処理に際して成形体の割れ、ひび及び欠けなどが生じてしまう場合がある。この場合、焼結磁石としての歩留まりが悪くなり、製造効率が低下してしまうだけで無く、その多くは不良品として廃棄されることになり、その廃棄処分のためのコストが別途発生してしまう。
【0008】
これに対し、ボンド磁石は、例えば磁性粉を各種の非磁性の樹脂と混合し、これを射出成形や圧縮成形(プレス成形)などの各種成形処理により様々な形状に成形した後、その成形体に対して着磁処理を施すことで製造される。このようなボンド磁石は、上述した焼結磁石と比べて、その成形性に優れていると共に、加工の自由度も高い。また、ボンド磁石の製造工程では、焼結処理が不要となり、結合材(混合樹脂)に大きな歪みが発生することも無いため、成形体の表面に切削、研削及び研磨などの機械加工を施すこと無く所望の寸法精度を確保することが可能である。
【0009】
ところで、ボンド磁石は、非磁性の樹脂が混在しているため、焼結磁石と比べて、磁気特性が低下しまう場合がある。例えば磁性粉と樹脂とを重量比で8:2の割合で混合してボンド磁石を製造すると、当該ボンド磁石における磁性粉と樹脂との体積比は、5:5程度になる場合が多い。この場合、磁性粉の樹脂に対する体積比を高めれば、ボンド磁石の全体積中に占める磁性粉の割合(磁性粉密度)が大きくなるため、磁気特性を向上させることができる。
【0010】
しかしながら、磁性粉の樹脂に対する体積比を高めると、例えば射出成形時の流動性が低下し、成形金型の隅々に樹脂をスムーズに行き渡らせるのが困難になってしまう場合がある。この場合、射出成形時の流動性を一定に保つために、磁性粉の樹脂に対する体積比を高めることには限界があった。このため、ボンド磁石の磁気特性を向上させることにも一定の限界があった。
【0011】
なお、このようなボンド磁石では、例えば各磁性粉の磁場配向を一定方向に揃えて成形体を形成し、当該成形体に着磁処理を施すことで異方性磁石となり、その磁気特性を向上させることができる。しかしながら、このような配向処理は、ボンド磁石の成形時に磁場を印加した状態で行わなければならない。この場合、成形作業の制御と同時に、磁場の印加制御も行われるため、その制御が煩雑化して手間や時間がかかり、その結果、ボンド磁石の製造コストが上昇してしまう。
【特許文献1】特開2004−8875号公報
【特許文献2】特開2001−335808号公報
【特許文献3】特開2000−100611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、液体全体に対して万遍無く磁気処理を施すことで、除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を図ることが可能な磁気特性に優れた磁気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明は、各種の液体の流動経路中に配設可能であり、当該液体に対して磁気処理を施す磁気処理装置であって、永久磁石が組み込まれた複数本の磁気発生ユニットと、これら磁気発生ユニットを囲むように配置された磁性体覆い部材と、磁気発生ユニットと磁性体覆い部材との間に介挿された少なくとも1本の磁性体シャフトとを具備している。この場合、永久磁石は、複数の磁性材を成形して焼結した所定形状の焼結材から成る磁石構成体を接合材で相互に接合することで一体成形されており、当該永久磁石が組み込まれた磁気発生ユニットと磁性体覆い部材及び磁性体シャフトとの間の磁気相互作用により、磁性体覆い部材で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力を生じさせて、当該領域に沿って流動する液体全体に対して磁気処理を施す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の磁性材を成形して焼結した所定形状の焼結材から成る磁石構成体を接合材で相互に接合することで永久磁石を一体成形し、当該永久磁石を組み込んだ磁気発生ユニットと磁性体覆い部材との間に少なくとも1本の磁性体シャフトを介挿したことで、磁気特性に優れた磁気処理装置が実現される。この場合、液体全体に対して均一の磁力を作用させることができるため、当該液体全体に万遍無く磁気処理を施すことができる。これにより、流動経路内における除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を図ることができる。
【0015】
また、磁気発生ユニットにおいて、少なくとも隣り合う一対の永久磁石を同極同士で対向させ、そして、これら同極同士が対向する一対の永久磁石の間に磁性体製のヨーク板を介在させたことで、磁束密度を向上させることができる。これに加えて、永久磁石を磁性体カバーで被覆することで、更に磁束密度を向上させることができる。これにより、液体に対する磁気処理能力を飛躍的に高めることができる。
【0016】
更に、磁性体覆い部材で囲まれた領域に磁力作用増大機構を設けたことで、当該領域に沿って流動する液体に対する磁力の作用を増大させることができる。具体的には、磁力作用増大機構として磁性体製の螺旋構造体を適用し、磁力線を螺旋状に発生させることで、磁場の広さ(強さ)を格段に向上させることができる。そして、かかる効果に加えて、螺旋構造体に沿って流動する液体の滞留時間を長引かせることにより、磁性体覆い部材で囲まれた領域に沿って流動する液体が磁力線と接触する回数を増大させることができる。
【0017】
また、磁性体覆い部材に形成された複数の開口により、当該磁性体覆い部材で囲まれた領域に沿って流動する液体に乱流を生じさせることができるため、流動する液体が磁力線と接触する回数を更に増大させることができる。これにより、液体全体に対して効率良く且つ確実に磁気処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係る磁気処理装置について、添付図面を参照して説明する。磁気処理装置の用途としては、例えば住居や集合住宅、医療施設や商業施設、温泉や宿泊施設などに構築された給水系、給湯系、各種冷却水系、空調冷温水系などの各種流動経路(配管)中に配設可能であり、当該配管内を流動する液体(例えば、水、冷却水、温泉水など)の全体に対して万遍無く効率的に且つ確実に磁気処理を施すことができる。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態の磁気処理装置は、永久磁石(図2及び図5参照)が組み込まれた複数本の磁気発生ユニット2と、これら磁気発生ユニット2を囲むように配置された磁性体覆い部材4と、磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間に介挿された少なくとも1本の磁性体シャフト6とを備えており、磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4及び磁性体シャフト6との間の磁気相互作用により、磁性体覆い部材4で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力を生じさせて、当該領域に沿って流動する液体全体に対して磁気処理を施すように構成されている。
【0020】
本実施の形態では一例として、6本の磁気発生ユニット2が中空円筒状の磁性体覆い部材4で囲まれた領域内に配置されており、当該磁性体覆い部材4の両側に設けられた円板状の支持板8により各磁気発生ユニット2が磁性体覆い部材4で囲まれた領域内に位置決め支持されている。なお、支持板8の材料としては、例えば300番系(301,304,316など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス304が好ましい。
【0021】
具体的に説明すると、それぞれの磁気発生ユニット2には、磁性体覆い部材4に沿って延出した支持シャフト10が挿通されており、当該支持シャフト10の両端側には、ねじ部(例えば、雄ねじ)10sが形成されている(図2参照)。この場合、6本の磁気発生ユニット2を磁性体覆い部材4で囲まれた領域内にセットした後、各磁気発生ユニット2の両端側のねじ部10sを双方の支持板8に形成された固定用孔(図示しない)から外部に突出させた状態で、各支持板8の外部からねじ部10sにナット12(内径に雌ねじが切られたナット)を螺合させて締め付けることにより、支持シャフト10を支持板8相互間に支持することができる。
【0022】
そして、更にナット12を各ねじ部10sに沿って螺進させて締め付けることで、各支持板8を磁性体覆い部材4の両側に圧接して固定させることができ、これにより、支持板8相互間に支持された6本の磁気発生ユニット2を磁性体覆い部材4で囲まれた領域内に位置決めして支持することができる。なお、これ以外の支持方法としては、支持シャフト10の両端側を支持板8に溶接又は溶着、或いは接着剤で接着させても良い。
【0023】
図1の構成例では、中空円筒状の磁性体覆い部材4に対して円板状の支持板8が同中心に固定されており、6本の磁気発生ユニット2は、その1本が磁性体覆い部材4と同中心となるように支持板8の中心に位置決め支持され、当該1本の磁気発生ユニット2の周りに残りの5本が同心円状に且つ周方向に沿って等間隔に位置決め支持されている。この場合、6本の磁気発生ユニット2の中心間距離(支持シャフト10相互間距離)は、互いに等しくなるように設定されている。なお、支持シャフト10の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。
【0024】
図2(a)に示すように、磁気発生ユニット2には、複数の永久磁石14が組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石14は、同極同士が対向するように配列されている。また、同極同士が対向する一対の永久磁石14の間には、磁性体で形成されたヨーク板16が介在されており、各永久磁石14は、磁性体で形成された磁性体カバー18で被覆されている。具体的に説明すると、円板状の永久磁石14を2枚ずつ合わせて配列すると共に、その間に円板状のヨーク板16を同心円状に挟み込んだものを基本ユニット2aとして構成する。そして、ヨーク板16の両側に配列された2枚の永久磁石を中空円筒状の磁性体カバー18で被覆する。
【0025】
この場合、ヨーク板16及び磁性体カバー18の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。また、ヨーク板16の両側に被覆した磁性体カバー18は防水性を有しており、ヨーク板16に磁性体カバー18を装着(例えば、溶接又は溶着、接着剤で接着)すると、その内部が気密及び液密状態となるため、ヨーク板16の両側の永久磁石14が液体に直接さらされることは無い。
【0026】
図2(a)の構成例では、N極同士を対向させた永久磁石14の間にヨーク板16が介在されており、これによりヨーク板16からN極磁性の磁力線を生じさせるN波基本ユニット2aが構成される。また、N波基本ユニット2aには、その中心に永久磁石14からヨーク板16及び磁性体カバー18に亘って貫通した貫通孔2hが形成されている。この場合、当該貫通孔2hに支持シャフト10を挿通し、複数のN波基本ユニット2aを支持シャフト10に沿って配列させる。そして、支持シャフト10の両側(ねじ部10s)から固定ナット20で締め付けることで、複数のN波基本ユニット2aが支持シャフト10に固定された1本の磁気発生ユニット2を構成することができる。この場合、支持シャフト10に配列させるN波基本ユニット2aの個数に応じて、磁束密度を任意の強さ(ガウス)に設定することができる。
【0027】
例えば、1個の永久磁石14の強さが800ガウスとすると、これが組み込まれたN波基本ユニット2aの磁束密度は約4,200ガウスとなり、更に、ヨーク板16の両側の2枚の永久磁石を磁性体カバー18で被覆すると、その磁束密度は約5,000ガウスに上昇する。そして、このようなN波基本ユニット2aを支持シャフト10に沿って複数配列することで、磁束密度を約7,000ガウス以上に設定することができる。なお、N波基本ユニット2aの配列個数は、使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0028】
ここで、磁気発生ユニット2に適用可能な永久磁石14の一例としては、ネオジウム系磁石を適用することが好ましい。ネオジウム系磁石は、市販されている永久磁石の中では最も強力な磁石であり、その磁力は、通常のフェライト磁石の10倍以上、アルニコ磁石の6〜7倍である。この結果、ネオジウム系磁石を用いた磁気発生ユニット2では、略7000ガウス程度の強力な磁力を発生させることが可能となる。ただし、ネオジウム磁石は熱に弱く、一定の温度を超過すると磁力が低下する場合がある。そのような場合を考慮すると、耐熱ネオジウム磁石を適用しても良い。なお、これ以外の永久磁石14として、例えば、フェライト磁石(Baフェライト、Srフェライト)、アルニコ磁石、サマリウム系磁石の他に、ボロン、コバルト、鉄などを適用しても良い。
【0029】
本実施の形態において、永久磁石14は、例えば図5(h)に示すように、複数の磁性材(図示しない)を成形して焼結した所定形状の焼結材から成る磁石構成体14aを接合材14bで相互に接合することで一体成形されている。この場合、磁性材として、少なくとも上述したようなネオジウム、ボロン、サマリウム、コバルト、鉄、フェライトのいずれか1つを含む硬磁性の磁性素材(磁性粉)が適用され、かかる磁性素材(磁性粉)を成形した上で焼結することで、所定形状を成す焼結材として磁石構成体14aが構成されている。そして、接合材14bとして、所定の設定条件で結合特性を有する素材(例えば、樹脂、接着剤など)が適用され、かかる接合材14bにより複数の磁石構成体14aを互いに接合することで、所定の輪郭形状を成す永久磁石14が一体成形されている。
なお、かかる永久磁石14の製造方法については、例えば図5において後述する。
【0030】
このような磁気発生ユニット2において、各N波基本ユニット2aの相互間には、環状のスペーサ22が介在されており、当該スペーサ22の幅寸法に応じてN波基本ユニット2a相互間に所定の隙間Wが構成されている。このように隙間Wを構成すると、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体は、その一部が隙間Wに入り込むことで、磁気発生ユニット2の周りを例えば螺旋状に回転しながら流動する。この場合、当該液体がヨーク板16から生じているN極磁性の磁力線と接触する回数が増大するため、液体に対する磁気処理効率が向上することになる。また、液体の回転流動は、N波基本ユニット2a相互の隙間Wの大きさに応じて変化させることができるが、当該隙間Wは、磁気発生ユニット2の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に数値限定はしない。
【0031】
ここで、磁気発生ユニット2の構成としては図2(a)に限定されることは無く、これに代えて例えば図2(b)に示すように、S極同士を対向させた永久磁石14の間にヨーク板16を介在させても良い。この場合、ヨーク板16からS極磁性の磁力線を生じさせるS波基本ユニット2bから成る磁気発生ユニット2が構成される。また、例えば図2(c)に示すように、N波基本ユニット2aとS波基本ユニット2bとを組み合わせて磁気発生ユニット2を構成しても良い。なお、いずれの構成(図2(b),(c))においても、その効果は、図2(a)に示す磁気発生ユニット2と同様であるため、その説明は省略する。
【0032】
また、磁性体覆い部材4には、複数の開口4h(図1参照)が形成されており、これら開口4hにより磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体に乱流を生じさせることができる。具体的に説明すると、支持板8に形成された複数の液体流動口8h(図1参照)を通して磁性体覆い部材4に流動した液体は、その一部が複数の開口4hを循環することで液体全体が撹拌され、その結果、当該液体は乱流となって磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する。同時に、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体は、その一部が隙間Wに入り込むことで、磁気発生ユニット2の周りを例えば螺旋状に回転しながら流動する。これにより、液体がヨーク板16から生じているN極磁性の磁力線と接触する回数が増大し、液体に対する磁気処理効率を飛躍的に向上させることができる。
【0033】
なお、各開口4hの大きさや単位面積当りの数については、磁気発生ユニット2の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に数値限定はしない。また、液体流動口8hの大きさや数、位置については、液体が磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿ってスムーズに流動できれば、任意に設定することができる。ただし、後述する磁性体シャフト6を介挿させるために、少なくとも磁性体シャフト6の両端側を支持する部分を避けて液体流動口8hを形成することが好ましい。
【0034】
また、図1に示すように、本実施の形態の磁気処理装置において、複数(図面では6本)の磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間には、磁性体シャフト6が介挿されている。ここで、1本の磁気発生ユニット2の周りに同心円状に且つ周方向に沿って等間隔に位置決め支持された5本の磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との位置関係を考察すると、これら5本の磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間には、比較的広い5つのスペースが周方向に沿って等間隔に形成されることになる。この場合、5つのスペースは、その中央部分が磁気発生ユニット2及び磁性体覆い部材4から比較的離れた位置となるため、当該中央部分の磁束密度が他の部分よりも低下してしまう。
【0035】
そこで、これら5つのスペースの中央部分にそれぞれ1本の磁性体シャフト6を介挿すると、当該磁性体シャフト6が磁気発生ユニット2の磁力作用を受けることで着磁し、当該磁性体シャフト6周りに磁場が形成され、その結果、これら5つのスペースにおける磁束密度を他の部分と同一の大きさ(強さ)に向上させることができる。これにより、磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4及び磁性体シャフト6との間の磁気相互作用により、磁性体覆い部材4で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力を生じさせることが可能となり、当該領域に沿って流動する液体全体に対して万遍無く磁気処理を施すことができる。
【0036】
なお、磁性体シャフト6の介挿方法としては、例えば磁性体シャフト6の両端側にねじ部(例えば、雄ねじ)6sが形成されている場合、まず、当該磁性体シャフト6の両端側のねじ部6sを双方の支持板8に形成された固定用孔(図示しない)から外部に突出させる。そして、この状態で、各支持板8の外部からねじ部6sにナット24(内径に雌ねじが切られたナット)を螺合させて締め付ける。これにより、磁性体シャフト6を磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間に介挿した状態で、支持板8相互間に固定することができる。なお、これ以外の方法としては、磁性体シャフト6の両端側を支持板8に溶接又は溶着、或いは接着剤で接着させても良い。また、磁性体シャフト6の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。
【0037】
ここで、本実施の形態の磁気処理装置を例えば給水系の流動経路(配管)に配設し、当該流動経路(配管)を流動する液体(水)に磁気処理を施すプロセスについて説明する。
給水系の流動経路(配管)を通って流動する液体(水)は、磁気処理装置において、支持板8の複数の液体流動口8hから磁性体覆い部材4に流れ込む。このとき、磁性体覆い部材4に流動した液体(水)は、その一部が複数の開口4hを循環することで液体(水)全体が撹拌され、その結果、当該液体(水)は乱流となって磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する。同時に、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体(水)は、その一部が磁気発生ユニット2の隙間Wに入り込むことで、当該磁気発生ユニット2の周りを例えば螺旋状に回転しながら流動する。
【0038】
即ち、磁性体覆い部材4に流れ込んだ液体(水)は、乱流と螺旋状の回転を繰り返すことで、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って滞留時間を長引かせながら流動する。このとき、液体(水)は、磁性体覆い部材4で囲まれた領域において、磁気発生ユニット2から生じる磁力線と接触する回数を増大させながら流動し、その間に当該液体(水)全体に対して効率良く且つ確実に磁気処理が施される。また、磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間には、磁性体シャフト6が介挿されており、磁性体覆い部材4で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力が生じているため、当該領域を流動する液体(水)全体に対して万遍無く磁気処理が施される。
【0039】
ここで、磁気処理とは、磁界の中で導体(水)が動くと、当該導体に電流が流れる現象(電磁誘導現象)を利用した処理方法であり、液体(水)に磁気処理を施す際には、当該液体(水)が磁界(磁場)に対して直角に通過することが条件になる。これはフレミングの左手の法則により、磁界、電流、水流(力)が互いに直角に作用することで磁気処理が成立するからである。かかる磁気処理プロセスによれば、液体(水)に含まれる例えば錆やスケールの原因となり得る各種成分(例えば、鉄イオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、二酸化炭素など)の結晶構造が変化し、その結晶が大きくならない安定した平衡形になる。
【0040】
具体的に説明すると、スケールの主成分は水中のカルシウムイオンが析出したものであるが、磁気処理された液体(水)では、カルシウムの結晶構造が小さく(安定した平衡形に)なり、その結晶の成長が抑制されて分散(溶解)しやすい状態となる。これにより、給水系の流動経路(配管)にスケールとして付着し難くなり、流動経路(配管)に留まること無く流出される。また、既に流動経路(配管)に固着しているスケールは、その結晶構造(粒子)が丸みを帯びて相互間の付着力が低下し、徐々に剥離して流出される。更に、磁気処理された液体(水)は、自然界に存在する水本来の性質を取り戻す作用があるため、例えばスライムや藻の発生が防止される。
【0041】
また、錆には、「赤錆」と称される三酸化鉄(Fe)と「黒錆」と称される四酸化鉄(Fe)とがあるが、赤錆は不安定であり常に成長し、赤水の原因となり、一方、黒錆は強固な不動態となる。この場合、液体(水)を磁気処理すると、赤錆がマグネタイト(四酸化鉄)化され、当該マグネタイトが不動態保護被膜となることで、赤錆の成長や赤水の発生を防止する。即ち、赤錆の表面にマグネタイトが被膜生成されると、液体(水)中の酸素や腐食因子が遮断されるため、赤錆の成長や赤水の発生が防止される。同時に、マグネタイト化された赤錆は、剥離しやすい状態となるため、剥離とマグネタイト化とが繰り返されることで、流動経路(配管)に固着している赤錆は徐々に剥離して流出される。
【0042】
以上、本実施の形態の磁気処理装置によれば、磁気発生ユニット2と磁性体覆い部材4との間に磁性体シャフト6を介挿したことで、液体全体に対して均一の磁力を作用させることができるため、当該液体全体に万遍無く磁気処理を施すことができる。これにより、流動経路内における除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を図ることができる。
【0043】
また、磁気発生ユニット2において、少なくとも隣り合う一対の永久磁石14を同極同士で対向させ、そして、これら同極同士が対向する一対の永久磁石14の間に磁性体製のヨーク板16を介在させたことで、磁束密度を向上させることができる。これに加えて、永久磁石14を磁性体カバー18で被覆することで、更に磁束密度を向上させることができる。これにより、液体に対する磁気処理能力を飛躍的に高めることができる。
【0044】
更に、磁性体覆い部材4に形成された複数の開口4hにより、当該磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体に乱流を生じさせることができるため、流動する液体が磁力線と接触する回数を更に増大させることができる。これにより、液体全体に対して効率良く且つ確実に磁気処理を施すことができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることは無く、以下のように変更することが可能である。
例えば図3(a)〜(d)に示された磁気処理装置において、磁性体覆い部材4(図1参照)で囲まれた領域に、当該領域に沿って流動する液体に対する磁力の作用を増大させる磁力作用増大機構を設けても良い。この場合、磁力作用増大機構は、例えば磁気発生ユニット2及び磁性体シャフト6の一方或いは双方に設けることが可能であり、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って螺旋状に延出した磁性体製の螺旋構造体26,28,30,32を備えている。
【0046】
図3(a)には、磁気発生ユニット2に設けられた螺旋構造体26の構成例が示されている。螺旋構造体26は、磁気発生ユニット2とは別体で構成されており、当該磁気発生ユニット2の外周に沿って所定の旋回ピッチPで螺旋状に巻き付けられている。この場合、螺旋構造体26は、所定の径寸法の断面略円形を成しており、その両端側が磁気発生ユニット2に固定されている。なお、螺旋構造体26の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。
【0047】
かかる構成によれば、螺旋構造体26により磁力線を螺旋状に発生させることで、磁場の広さ(強さ)を格段に向上させることができると共に、当該螺旋構造体26に沿って流動する液体の滞留時間を長引かせることができるため、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体が磁力線と接触する回数を増大させることができる。これにより、流動経路内における除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を更に効率的に且つ確実に図ることができる。なお、螺旋構造体26の旋回ピッチP及び径寸法は、磁気処理装置の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0048】
図3(b)には、単体の磁性体カバー18で複数の永久磁石14及びヨーク板16の全体が覆われた磁気発生ユニット2が例示されている。この例において、螺旋構造体28は、磁気発生ユニット2と一体的に構成されており、磁性体カバー18の外周面に沿って所定の旋回ピッチPで螺旋状に巻きつけられている。この場合、螺旋構造体28は、所定の幅寸法の断面略矩形の薄板状を成している点を除いて、その効果は、上述した螺旋構造体26(図3(a)参照)と同様であるため、その説明は省略する。
【0049】
ここで、螺旋構造体28を磁性体カバー18と一体化させる方法としては、例えば、螺旋構造体28を磁性体カバー18の外周面に後付け(溶接、溶着、接着)しても良いし、又は、磁性体カバー18の成形と同時に螺旋構造体28を一体的に成形しても良い。また、螺旋構造体28の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。なお、螺旋構造体28の旋回ピッチP及び幅寸法は、磁気処理装置の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0050】
また、図3(c)には、磁性体シャフト6に設けられた螺旋構造体30の構成例が示されている。螺旋構造体30は、磁性体シャフト6とは別体で構成されており、当該磁性体シャフト6の外周に沿って所定の旋回ピッチPで螺旋状に巻き付けられている。この場合、螺旋構造体30は、所定の径寸法の断面略円形を成しており、その両端側が磁性体シャフト6に固定されている。なお、螺旋構造体30の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。
【0051】
かかる構成によれば、螺旋構造体30により磁力線を螺旋状に発生させることで、磁場の広さ(強さ)を格段に向上させることができると共に、当該螺旋構造体30に沿って流動する液体の滞留時間を長引かせることができるため、磁性体覆い部材4で囲まれた領域に沿って流動する液体が磁力線と接触する回数を増大させることができる。これにより、流動経路内における除錆や防蝕、各種スケールの除去・付着防止を更に効率的に且つ確実に図ることができる。なお、螺旋構造体30の旋回ピッチP及び径寸法は、磁気処理装置の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0052】
図3(d)には、磁性体シャフト6と一体的に構成された螺旋構造体32が例示されている。螺旋構造体32は、磁性体シャフト6と一体的に構成されており、磁性体シャフト6の外周面に沿って所定の旋回ピッチPで螺旋状に巻きつけられている。この場合、螺旋構造体32は、所定の幅寸法の断面略矩形の薄板状を成している点を除いて、その効果は、上述した螺旋構造体30(図3(c)参照)と同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
ここで、螺旋構造体32を磁性体シャフト6と一体化させる方法としては、例えば、螺旋構造体32を磁性体シャフト6の外周面に後付け(溶接、溶着、接着)しても良いし、又は、磁性体シャフト6の成形と同時に螺旋構造体32を一体的に成形しても良い。また、螺旋構造体32の材料としては、例えば400番系(403,405,410,430,434など)のステンレス(SUS)を適用することができるが、特にステンレス430が好ましい。なお、螺旋構造体32の旋回ピッチP及び幅寸法は、磁気処理装置の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0054】
また、上述した実施の形態の磁気発生ユニット2において、スペーサ22(図1及び図2参照)は必ずしも必要な構成品では無く、スペーサ22の代わりにヨーク板16を介在させて、当該ヨーク板16の両側に同極同士の永久磁石14を隣接するように構成しても良い。例えば図4(a)には、図2(a)の磁気発生ユニット2において、スペーサ22の代わりにヨーク板16を介在した構成例が示されている。また、例えば図4(b)には、図2(b)の磁気発生ユニット2において、スペーサ22の代わりにヨーク板16を介在した構成例が示されている。なお、これらの構成例では、ヨーク板16を2枚の永久磁石14ごとに介在させているが、これに限定されることは無く、例えば図4(c),(d)に示すように、永久磁石14の1枚ごとにヨーク板16を介在させても良い。
【0055】
また、上述した実施の形態の磁気処理装置において、液体中に銀イオンを放出する銀含有素材を盛り込んで、当該液体中の塩素を除去するようにしても良い。この場合、銀含有素材としては、例えば銀のほか、各種の銀の化合物でも良いが、銀イオンの放出量は銀の含有量に比例して増減するため、銀の含有量が多い素材を選択することが好ましい。
なお、銀含有素材の盛り込み方法としては、例えば磁気発生ユニット2や磁性体覆い部材4、或いは磁性体シャフト6の表面に塗布したり、埋め込めば良い。
【0056】
ここで、上述した実施の形態に適用した永久磁石14の製造方法について、図5(a)〜(h)を参照して説明する。
まず、製造する永久磁石14の厚さや大きさ(例えば、直径)に応じて、必要な数の磁石構成体14aと共に(図5(a))、永久磁石14の輪郭を成形するための所定の輪郭形状を成す収容体34を用意する(図5(b))。そして、所定数の磁石構成体14aを収容体34に収容した後(図5(c):磁石構成体収容工程)、接合材14bを収容体34に充填して各磁石構成体14aを相互に接合する(図5(d),図5(e):接合材充填工程)。
【0057】
続いて、収容体34に対して押圧型36を押し当てることで、当該収容体34の輪郭形状に沿って成形体14mを一体成形する(図5(f)、成形体形成工程)。この後、収容体34から成形体14mを取り出して所定の表面処理(例えば、バリや塵の除去、表面仕上げなど)を施すことで、当該成形体14mを図5(h)に示すような永久磁石14として製造することができる。なお、収容体34としては、例えば、各種の型、容器及び袋などを任意に選択して適用することができるが、本実施の形態においては、一例として金型を適用した場合を想定する。
【0058】
上述したように、磁石構成体14aの磁性材は、ネオジウム、ボロン、サマリウム、コバルト、鉄及びフェライトのいずれか少なくとも1つを含む硬磁性の磁性素材で構成することができる。例えば、Nd-Fe-B系の希土類磁石やSm-Co系の希土類磁石などの硬磁性且つ強磁性の磁石粉を任意に選択し、磁石構成体14aの磁性材の素材として適用すればよい。本実施の形態において、磁石構成体14aは、このような磁石粉を成形した上で焼結した所定形状を成す焼結材で構成されている。この場合、焼結時の温度や時間など各種条件については、例えば、磁性材(磁石粉)の種類や材質などによって所定条件に設定されるため、ここでは特に限定しない。また、磁性材(磁石粉)を焼結する際には、所定の焼結助剤を添加してもよい。また、焼結後の焼結材には、時効処理(析出硬化処理)が施されており、当該時効処理が施された焼結材が所定形状に加工(例えば、切削や研削など)されて、磁石構成体14aを構成している。
【0059】
なお、磁石構成体14aは、収容体(金型)34に収容可能な任意の形状及び大きさに設定することができるため、特に限定はしないが、例えば各磁石構成体14aを全て同一の形状及び大きさに設定しても良いし、互いに異なる形状及び大きさに設定しても良い。また、各磁石構成体14aとして、例えば立方体、直方体、多角形体、球体及び円板などの形状を適用しても良いし、或いは、板状、棒状、線状及び環状などの形状を適用しても良い。更に、例えば焼結磁石の製造工程における焼結及び加工処理において、ひび、割れ及び欠けなどが生じたことによる不良品の廃材や端材などをそのまま磁石構成体14aとして適用することもできる。このため、希少で高価な資源である希土類元素の焼結磁性材を再利用及び有効活用することが可能となり、廃棄物として処分される廃材や端材の量を大幅に減らすことができる。また、これらの廃材や端材を処分するためのコストも大幅に削減することができる。
【0060】
また、磁石構成体収容工程(図5(c)において、収容体(金型)34に収容する磁石構成体14aの個数は特に限定されず、1つだけでも良いが、複数(多数)収容しても良い。図5(g)には、収容体(金型)34に複数の磁石構成体14aを収容した状態が斜視的に示されているが、この場合、各磁石構成体14aは、その相互間に所定の隙間を確保した状態で収容しても良いし、間隔を空けずに敷き詰めた状態で収容しても良い。また、各磁石構成体14aは、任意の方向(縦、横及び斜め方向など)に寝かせた状態や直立させた状態で相互に重なり合うように収容しても良い。
【0061】
なお、磁石構成体14aには、焼結材の各磁性材の磁場を所定の一方向に揃えるための磁場配向処理を施してもよい。このような磁場配向処理を予め施した場合、当該磁石構成体14aは、異方性を有するため、着磁させた際の磁気特性を向上させることができ、当該磁石構成体14aを着磁させて成る磁石は、より強力な磁場を作り出すことができるとともに、保磁力が高く(減磁し難く)、安定した強い磁力を発生させることができる。この場合、予め磁場配向処理が施された磁石構成体14aを用いて磁石構成体収容工程(図5(c)を行うときは、各磁石構成体14aは、その磁場方向を一定方向に(例えば、図5(c)の上下方向)に揃えて収容体(金型)34に収容させる必要がある。
【0062】
本実施の形態において、接合材14bは、所定の設定条件で結合特性を有する素材で構成されており、その素材の一例として、各種の樹脂(ゴム、合成樹脂(プラスチック))や各種の接着剤を適用することができる。この場合、合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアミドなどの所定温度に加熱すると軟化する熱可塑性樹脂、エポキシ、フェノール及びポリエステルなどの所定温度に加熱すると硬化する熱硬化性樹脂を任意に適用することができる。また、接着剤としては、例えば、二液を混合することで固化する反応型の接着剤(エポキシ系接着剤等)などを任意に適用することができる。なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、成形体形成工程における成形方法によって、選択的に適用すればよい。
また、接合材14bの形態としては、固形体、流動体、粒状体及び粉状体など所定温度下や所定圧力下において各種の形態を成す素材を適用することができる。例えば、接合材14bとして、上述した各種樹脂製のコンパウンドやペレットなどを適用してもよい。
【0063】
また、接合材充填工程(図5(d),図5(e))においては、上述したような接合材14bを例えばシリンダ38内で加熱して流動性を持たせた状態で収容体(金型)34へ高圧注入(例えば、射出)することが好ましい。これにより、接合材14bを収容体(金型)34の隅々に隙間無く(むら無く)行き渡らせることができ、これにより、各磁石構成体14aを隙間無く相互に接合させることができる。この場合、接合材14bの充填量(注入量)は、例えば、収容体(金型)34の大きさや当該収容体(金型)34に収容した磁石構成体2の量(個数や体積等)などによって任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。また、接合材14bの充填条件(例えば、注入時の圧力や速度など)は、例えば、当該接合材14bの材質(例えば、粘性)などによって任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0064】
このような接合材充填工程によれば、収容体(金型)34への充填時(注入時)における接合材14bの流動性を確保するために、磁石構成体14aに対する接合材14bの量を増やす必要は全くない。このため、磁石構成体14aの接合材14bに対する重量比を低下させることがなく、また、磁石構成体14aの接合材14bに対する体積比を容易に且つ格段に高めることができる。この結果、磁石構成体14aに対する接合材14bの体積比が10〜20%であっても、十分に結合強度の確保が可能な成形性に優れた永久磁石14を製造することができる。また、磁気特性が焼結磁石の80%程度であって、ボンド磁石より50%以上の高磁気特性を有する永久磁石14を製造することが可能となる。
【0065】
また、接合材14bの収容体(金型)34への充填後、成形体形成工程(図5(f))では、各磁石構成体14aと接合材14bとを収容体(金型)34の輪郭形状に沿って一体的に成形した成形体14mを形成している。この場合、成形体14mの成形方法は、特に限定されず、例えば、射出成形や圧縮成形(プレス成形)などの任意の方法を適用することができる。ここで、成形方法として射出成形を適用した場合、上述した接合材充填工程で収容体(金型)34に高圧注入して充填された接合材14bを磁石構成体14aとともに所定の温度に冷却して結合(固着)させることで、成形体14mを当該収容体(金型)34の輪郭形状に沿って一体成形することができる。この場合、接合材14bとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアミドなどの熱可塑性樹脂を用いればよい。
【0066】
これに対して、成形方法として圧縮成形(プレス成形)を適用した場合には、成形体形成工程において、収容体(金型)34に対して圧力及び熱を加えて、当該収容体(金型)34に高圧注入して充填された接合材14bを磁石構成体14aとともに圧縮して結合(固着)させることで、成形体14mを当該収容体(金型)34の輪郭形状に沿って一体成形することができる。この場合、接合材14bとしては、例えばエポキシ、フェノール及びポリエステルなどの熱硬化性樹脂を用いればよい。なお、成形体形成工程において、型締め処理を行い、当該収容体(金型)34に注入した接合材14bを磁石構成体14aとともに賦形した後、加圧、加熱及び圧縮することで、成形体14mを当該収容体(金型)34の輪郭形状に沿って一体成形させてもよい。
【0067】
いずれの成形方法でも、成形体14mは、複数の磁石構成体14aが接合材14bで互いに接合されて1つの永久磁石14を成すような構成となる。この場合、成形時の圧力の大きさや温度などの条件は、例えば成形体14mの大きさや接合材14bの材質などによって任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
このような成形方法によれば、収容体(金型)34の形状を変えるだけで、例えば円板にその上面から下面を貫通する多数の貫通孔を設けたような複雑な形状を成す成形体14mでも、容易に且つ高精度に一体成形することができる。この結果、磁気処理装置の使用環境や使用目的に応じて、任意の形状の永久磁石14を提供することが可能となる。また、かかる成形方法によれば、従来の磁石製造工程で生じていたようなひび、割れ及び欠けなどの発生も無い。
【0068】
なお、本実施の形態において、収容体34として金型を適用したが、例えば、収容体34として容器や袋などを適用しても良い。この場合、例えば当該容器等を上述した熱可塑性樹脂などで構成し、磁石構成体収容工程において、当該容器等の中に磁石構成体14aを収容した後、接合材充填工程において接合材14bを注入して充填する。そして、成形体形成工程において、当該容器等を密封して磁石構成体14a及び接合材14bとともに加熱、加圧し、当該容器等をこれらと一体的に結合(固着)させる。これによれば、成形体14mは、当該容器等の外郭形状がそのまま当該成形体14mの外形を成すように成形されることになる。
【0069】
また、本実施の形態において、成形体形成工程の後、当該成形体14mに対して、着磁処理を施すようにしても良い(成形体着磁工程)。かかる成形体着磁工程では、着磁処理を施すことで当該成形体14mを着磁された永久磁石14として構成することができる。この場合、成形体14mに対する着磁処理は、例えば、永久磁石14の用途や目的などにより、両面着磁、片面2極着磁、片面多極着磁及び両面2極着磁などの着磁形態を任意に選択し、当該成形体14mの所定箇所が所定磁極を成すように、所定の着磁方法により施せばよい。また、成形体14mが環状(リング状)を成す場合、例えば、当該成形体14mを外周2極着磁、外周多極着磁、内周2極着磁及び内周多極着磁させて、永久磁石14を構成すればよい。なお、成形体14mに対する着磁方法は、特に限定されず、例えば、静磁場着磁やパルス着磁などの任意の方法を適用することができる。また、成形体着磁工程前に、必要に応じて成形体14mに対して表面処理を施してもよい。
【0070】
ここで、本実施の形態に係る着磁された永久磁石(以下、本件磁石という)の磁気特性について、試験を行い検証した。以下、当該試験内容及び試験結果について、説明する。
なお、かかる試験においては、試料として、本件磁石、所定の焼結磁石(以下、比較磁石という)の2つの永久磁石を用意し、当該各磁石の磁束をそれぞれ測定して比較した。
【0071】
この場合、本件磁石としては、磁石構成体、接合材及び収容体が一体を成して成形された磁石を用いた。
なお、本件磁石の磁石構成体は、Nd-Fe-B系の焼結磁石(最大エネルギー積:44(MGOe))を焼結材として用いており、当該焼結磁石を直方体(縦:4.0(mm)、横:4.0(mm)、厚さ:1.4(mm)程度)に構成した。また、本件磁石の収容体には、環状(リング状)の収容部(外径:26.9(mm)、内径:12.1(mm)、厚さ:4(mm)、断面積:4.53(mm))を有する樹脂ケース(重量:2.1(g))を用いた。なお、当該樹脂ケースは、全体形状が収容部と同心の環状を成すように構成した。
また、試験の前処理として、複数の上記磁石構成体を樹脂ケースの中へ敷き詰めた状態で収容し、さらに接合材を当該樹脂ケースの中に充填して固着させた後、着磁させた。なお、接合材には、樹脂剤を用いており、当該樹脂剤を0.48(g)充填した。
【0072】
これに対し、比較磁石は、本件磁石の磁石構成体と同様のNd-Fe-B系の焼結磁石(最大エネルギー積:44(MGOe))を用いており、当該焼結磁石を環状(リング状)(外径:26.9(mm)、内径:12.1(mm)、厚さ:0.98(mm)、断面積:4.53(mm2))に成形し、これを4つ重ねて構成した。これにより、比較磁石は、その体積が本件磁石の樹脂ケースの収容部の容積とほぼ同一の大きさとなるようにした。なお、比較磁石全体の形態を本件磁石と同様構成にするため、試験の前処理として、比較磁石を本件磁石と同様の樹脂ケースの中へ収容し、さらに本件磁石と同様の樹脂剤を当該樹脂ケースの中に0.38(g)だけ充填して固着させた(以下、前処理後の比較磁石を比較磁石体という)。
【0073】
試験においては、まず、本件磁石の総重量と比較磁石体の総重量を測定し、当該総重量から樹脂ケースの重量、及び樹脂剤の重量をそれぞれ差し引くことで、本件磁石の磁石構成体の総重量(本件磁石総重量W1)、及び比較磁石の重量(比較磁石重量W2)をそれぞれ算出した。この結果、本件磁石の総重量は、14.4(g)であり、本件磁石総重量W1が、11.82(g)(W1=14.4−2.1−0.48)と算出された。これに対し、比較磁石体の総重量は、15.8(g)であり、比較磁石重量W2が、13.32(g)(W2=15.8−2.1−0.38)と算出された。この場合、本件磁石総重量W1の比較磁石重量W2に対する重量比(体積に対する集合密度)Xは、0.887(X=W1/W2=11.82/13.32)であった。
【0074】
次に、本件磁石と比較磁石の磁束量(MaxWell)を測定し、本件磁石の磁束量(本件磁石磁束Φ1)の比較磁石の磁束量(比較磁石磁束Φ2)に対する磁束量の比(磁束比Y)を算出した。この結果、本件磁石磁束Φ1は、6260(MaxWell)であったのに対し、比較磁石磁束Φ2は、7020(MaxWell)であった。これにより、本件磁石磁束Φ1の比較磁石磁束Φ2に対する磁束比Yは、0.891(Y=Φ1/Φ2=6260/7020)と算出された。
なお、本件磁石の磁束密度(本件磁石磁束密度B1)を樹脂ケースの収容部の断面積に対する磁束量(本件磁石磁束Φ1)として算出した場合、本件磁石磁束密度B1は、1.382(G)(B1=6260/4.53)となった。これに対し、比較磁石の磁束密度(比較磁石磁束密度B2)を当該比較磁石の断面積に対する磁束量(比較磁石磁束Φ2)として算出した場合、比較磁石磁束密度B2は、1.550(G)(B2=7020/4.53)となった。
【0075】
この結果、本件磁石は、比較磁石に対する磁束比(0.891)が、当該比較磁石に対する重量比(0.887)とほぼ等しいことが検証できた。また、樹脂ケースの収容部の容積と比較磁石の体積とをほぼ同一の大きさとした場合、本件磁石は、比較磁石に対する磁束比が0.89(89%)であることが検証できた。すなわち、本件磁石は、樹脂ケースの収容部と比較磁石の体積比(容積比)がほぼ等しい場合、比較磁石(Nd-Fe-B系の焼結磁石)の89%の磁気特性(磁束)を有することが検証できた。
なお、比較磁石のような環状(リング状)の焼結磁石を製造することは、上述したように、非常に手間がかかるとともにコストも要するのに対し、本件磁石であれば、非常に容易に且つ低コストで、焼結磁石とほぼ同等の磁気特性を有する環状(リング状)の永久磁石を製造することができる。
【0076】
以上のような永久磁石製造方法により永久磁石14を製造することで、磁気特性に優れた永久磁石14を容易に且つ確実に製造することができるとともに、成形性に優れた永久磁石14を容易に且つ確実に製造することができる。これにより、磁気特性及び成形性に優れた永久磁石14の製造時における歩留まりを格段に向上させることができる。また、磁気特性に優れた永久磁石14に対する形状や大きさへの細分化されたニーズへ充分に且つ的確に応えることができる。
【0077】
さらに、上述したように、磁石構成体14aには、任意の形状及び大きさの焼結磁性材が適用可能であるため、例えば、各種の焼結磁性材(成形体14m)の廃材や端材などであっても、磁石構成体14aとして適用することができる。このため、希少で高価な資源である希土類元素の焼結磁性材の再利用及び有効活用を図りながら、磁気特性及び成形性に優れた永久磁石14を製造することができる。この結果、廃棄物として処分される廃材や端材の量を大幅に減らすことができるとともに、これらの廃材や端材を処分するためのコストも大幅に削減することができる。また、高価な希土類元素の焼結磁性材の再利用及び有効活用ができるため、磁気特性及び成形性に優れた永久磁石14を低コストで製造することが可能となる。
【0078】
なお、上述した本実施形態に係る永久磁石製造方法により製造された永久磁石14は、必ずしもその内部の磁石構成体14aが均等に配置されていないため(図5(h)参照)、その残留磁束密度が厳密には均等にならず、当該永久磁石14が作り出す磁場にもムラが生じる場合がある。しかしながら、永久磁石14の全体、特にその磁極面(例えば、図5(h)の上面と下面)から所定の大きさ以上の磁場が作り出されていれば、当該永久磁石14としては、例えば一般家庭用の各種電気製品、産業用の各種設備や装置など、広範な各種の用途に対してその実用に耐え得ることは経験上明らかである。
【0079】
例えば、水道水の塩素除去やスケール除去などのために永久磁石を用いる場合、水道水に対して所定の大きさの磁力が作用すればよく、当該永久磁石の残留磁束密度が厳密に均等となっていなくとも全く問題はない。このように、上述した本実施形態に係る永久磁石及びその製造方法によれば、容易に強力な磁場を作り出すことが可能な永久磁石14を低コストで製造することができるため、係るコストメリットにより、永久磁石が必要となる広範な分野のニーズに低コストで応えることが可能となる。
【0080】
また、このような永久磁石14は、その磁石構成体14aの全体が接合材14bで覆われており、外部に直接さらされていないため、かかる永久磁石14を例えば図1に示すような磁気処理装置の磁気発生ユニット2に組み込む場合、必ずしも各永久磁石14を磁性体カバー18で被覆する必要は無い。これにより、磁気処理装置の部品点数を削減させることが可能となり、その結果、当該装置のコンパクト化並びに製造コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気処理装置の構成を示す図であって、(a)は、支持板側から見た平面図、(b)は、磁気処理装置の内部構成を示す側面図。
【図2】(a)は、磁気発生ユニットに組み込まれた永久磁石の配列構成例を示す図、(b)は、磁気発生ユニットに組み込まれた永久磁石の他の配列構成例を示す図、(c)は、磁気発生ユニットに組み込まれた永久磁石の他の配列構成例を示す図。
【図3】本発明の変形例に係る磁気処理装置を示す図であって、(a)は、磁気発生ユニットの外周に別体で設けられた螺旋構造体の構成を示す図、(b)は、磁気発生ユニットの外周面に一体的に設けられた螺旋構造体の構成を示す図、(c)は、磁性体シャフトの外周に別体で設けられた螺旋構造体の構成を示す図、(d)は、磁性体シャフトの外周面に一体的に設けられた螺旋構造体の構成を示す図。
【図4】本発明の変形例に係る磁気処理装置を示す図であって、(a)〜(d)は、複数の永久磁石の配列の変形例を示す図。
【図5】本発明の一実施の形態に係る永久磁石を製造する方法例を示す図であって、(a)は、磁石構成体の構成例を示す斜視図、(b)は、収容体の構成例の断面図、(c)は、磁石構成体を収容体に収容した状態を示す断面図、(d)は、収容体に接合材を充填している状態を示す断面図、(e)は、所定量の接合材が収容体に充填された状態を示す断面図、(f)は、接合材を磁石構成体と共に圧縮した状態を示す断面図、(g)は、磁石構成体を収容体に収容した状態を示す斜視図、(h)は、完成した永久磁石の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0082】
2 磁気発生ユニット
4 磁性体覆い部材
6 磁性体シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の液体の流動経路中に配設可能であり、当該液体に対して磁気処理を施す磁気処理装置であって、
永久磁石が組み込まれた複数本の磁気発生ユニットと、
これら磁気発生ユニットを囲むように配置された磁性体覆い部材と、
磁気発生ユニットと磁性体覆い部材との間に介挿された少なくとも1本の磁性体シャフトとを具備し、
永久磁石は、複数の磁性材を成形して焼結した所定形状の焼結材から成る磁石構成体を接合材で相互に接合することで一体成形されており、
当該永久磁石が組み込まれた磁気発生ユニットと磁性体覆い部材及び磁性体シャフトとの間の磁気相互作用により、磁性体覆い部材で囲まれた領域全体に亘って均一の磁力を生じさせて、当該領域に沿って流動する液体全体に対して磁気処理を施すことを特徴とする磁気処理装置。
【請求項2】
磁気発生ユニットには、複数の永久磁石が組み込まれており、少なくとも隣り合う一対の永久磁石は、同極同士が対向するように配列されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気処理装置。
【請求項3】
同極同士が対向する一対の永久磁石の間には、磁性体で形成されたヨーク板が介在されていることを特徴とする請求項2に記載の磁気処理装置。
【請求項4】
磁気発生ユニットにおいて、永久磁石は、磁性体で形成された磁性体カバーで被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項5】
磁性体覆い部材には、複数の開口が形成されており、これら開口により磁性体覆い部材で囲まれた領域に沿って流動する液体に乱流を生じさせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項6】
磁性体覆い部材で囲まれた領域には、当該領域に沿って流動する液体に対する磁力の作用を増大させる磁力作用増大機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項7】
磁力作用増大機構は、磁気発生ユニット及び磁性体シャフトの少なくとも一方に設けられ、磁性体覆い部材で囲まれた領域に沿って螺旋状に延出した磁性体製の螺旋構造体を備えており、
螺旋構造体により磁力線を螺旋状に発生させると共に、当該螺旋構造体に沿って流動する液体の滞留時間を長引かせることにより、磁性体覆い部材で囲まれた領域に沿って流動する液体が磁力線と接触する回数を増大させることを特徴とする請求項6に記載の磁気処理装置。
【請求項8】
磁石構成体は、焼結材の各磁性材の磁場を一方向に揃えるための磁場配向処理を施して形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項9】
磁石構成体の磁性材は、少なくともネオジウム、ボロン、サマリウム、コバルト、鉄及びフェライトのいずれか1つを含む硬磁性の磁性素材で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の磁気処理装置。
【請求項10】
接合材は、所定の設定条件で結合特性を有する素材で構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の磁気処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−330869(P2007−330869A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164266(P2006−164266)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(504186529)株式会社 日本磁化学研究所 (10)
【出願人】(305040363)
【Fターム(参考)】