説明

磁気刺激による治療を容易にする装置

【解決手段】 本発明は、患者の頭部に治療コンポーネントを配置するための装置とシステムと方法とを提供するものである。本発明の装置は、前記治療コンポーネントを患者の頭部に取り付ける装着フレーム部材を含む。この装着フレーム部材は窓部も含む。また、受容機構は、前記治療コンポーネントを前記装着フレーム部材に保持し、アラインメント構造は、患者頭部の望ましい位置に前記治療コンポーネントを位置決めできるようにする。本発明の装置は、患者の耳に入る音を低減し、前記装着フレーム部材の振動を低減できる(またはそのいずれかを行える)アイソレータコンポーネントも含みうる。本発明の装置は、治療に基づきデータ送受信を行うための電気コネクタ、および当該装置を各患者用に調整できる調整構造も含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年3月7日出願済み米国仮出願第60/452,477号、表題"Divice,Method,and System for the Reduction of Discomfort Associated with andFacilitating Treatment via Magnetic Stimulation"(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に対して米国特許法119条(35 U.S.C.§119)に基づく優先権を主張するものである。本出願は、2003年9月8日出願済み同時係属米国特許出願第10/657,296号(NNI−0002)表題"Reducing Discomfort Caused by Electrical Stimulation"と、2003年9月26日出願済み米国特許出願第10/672,833号(NNI−0005)表題"Reducing Discomfort Caused by Electrical Stimulation"と、2003年12月5日出願済み米国特許出願第10/729,243号(NNI−0006)表題"Reducing Discomfort Caused by Electrical Stimulation"と、2004年3月4日出願済み米国特許出願第___号(NNI−0015)表題"Reducing Discomfort Caused by Electrical Stimulation"とに関する(これらはすべてこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0002】
本発明は、磁気刺激の分野に関する。より具体的には、本発明は、経皮的磁気刺激の適用を容易にする工程に関するものである。
【背景技術】
【0003】
いくつかの疾患は、患者の身体の疾患部位に磁場を与えることにより治療されるか治療することができる。神経細胞および筋肉細胞は、電気信号を伝達し電磁刺激に応答する生物回路の一形態である。通常の導線に磁場を通過させると、その導線には誘導電流が流れる。同じ原理が生物組織にもあてはまる。強い磁場が身体の一部に印加されると、神経細胞は脱分極して刺激される。刺激された神経細胞に付随する筋肉は、神経細胞から通常の刺激を受けたかのように収縮する。
【0004】
このように、磁気刺激を使用すると、損傷または麻痺した筋群のリハビリテーションに非常に効果的である。さらに、磁場は容易に患者の皮膚を通過するため、上記の工程は非侵襲性である。大腿部や腹部などの大きな筋群の刺激とは別に、心臓刺激の実験も行われてきている。これに関連して、総体的な刺激を心臓全体に一度に与える方法であるCPRや電気刺激より、心臓の磁気刺激の方がより優れていると実証できる可能性がある。磁気刺激装置は、適切な順序で各心室を別個に刺激する外部ペーサーとして使用しうる。磁気刺激の効果を実証しうるもう1つの分野としては、背骨の治療がある。脊髄は脊椎に囲まれているため、直接アクセスすることが困難だが、磁気刺激は、腰痛の原因である、背中の神経を通じた痛みの伝達をブロック(遮断)することに使用できる。
【0005】
また、磁気刺激は、ほとんど神経組織からなる脳の諸領域を刺激する上でも効果が実証されており、その関心領域の1つに、うつ病治療がある。現在、2800万人以上の米国人が何らかの神経精神疾患に苦しんでいると考えられており、その疾患には、うつ病、統合失調症、躁病、強迫性障害、パニック障害などが含まれる。うつ病は精神疾患における「風邪」であり、米国では1900万人、可能性として世界全体では3億4000万人が影響を受けていると考えられている。現代医学では、数クラスの抗うつ薬(SARI、MAI、三環系)、リチウム、電気けいれん療法(電気ショック療法、略称ECT)など、うつ病患者にいくつかの治療オプションを提供している。しかし、患者の多くは、うつ病症状に対しいまだ満足のいく結果を得られていない。今日ではECTがうつ病療法の主流となっているが、副作用が深刻であるため多数の患者はこの処置を拒否している。
【0006】
近年、従来の方法に反応しない患者に対し、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が有意な抗うつ効果をもたらすことが示されてきた。rTMSの原理は、亜けいれん性(subconvulsive)の刺激を繰り返し前頭前野に与え、皮質神経細胞に脱分極を起こすというものである。非侵襲的に与えた磁場を高速変化させると1V/cmを超える小さな電場が誘導され、膜は脱分極する。
【0007】
現在では、脳の左および右の前頭前野領域は、気分および行動全般を制御する「回路」を含んだ辺縁系構造に強い通信リンクを有することが確立されている。rTMSの目的は、非侵襲的で亜けいれん性の技術でこれらの回路に刺激を提供し、ECTまたは薬剤による多数の副作用を排除してうつ病症状を緩和することである。rTMSについて報告されている主な副作用は、刺激部位の不快感である。これは、頭皮内の神経細胞膜の脱分極、およびその結果当該刺激の周波数に合わせて起こる頭皮と筋肉の収縮に起因する。約25%の患者は、この問題を非常に不快なレベルのものとして訴えている。一般に、刺激の電力が高く周波数が高いほど、報告される不快感は増す。ただし、より深い中脳構造を直接刺激するには、より高い電力が必要であることが示されており、高周波数(例えば1Hzより大きい)は、抗うつ効果があることが示されている。
【0008】
rTMSについては多大な研究が行われてきているが、頭皮不快感の問題はいまだ取り上げられていない。例えば、米国特許第6,198,958号および米国特許第6,571,123号は、TMS中の患者の脳機能をモニタする方法に関するものである。これらの参考文献では、TMS中のEEG記録方法と、TMS中のMRIスキャンモニタ方法とを開示しており、また、TMSパルスにより金属電極中で誘導され当該金属電極を加熱して患者頭皮に熱傷を起こす、渦電流についても説明している。
【0009】
磁気刺激(rTMS)に関しては、患者頭部の適切な位置にすばやく再現可能な方法でコイルを正確に配置しているかどうかも、潜在的に不快感を左右する。患者が始めてrTMS治療を受ける際には、必要かつ許容される磁場強度と、医師および/または技術者が刺激コイルを配置すべき当該患者頭部の精確な位置とを決定するための試験手続きが当該患者に対して実施される。この試験で決定された正しい位置は、以後盲目的に捜さないことが望ましいため、患者頭部の当該位置には印が付けられる。典型的には、刺激コイルの正しい位置を示すため記載がなされた水泳帽が患者に提供される。ただし、治療のたび、頭部の位置または配置について厳密に同じように患者が水泳帽を被るとは限らない。そのため、患者頭部に直接ペンで印を付けるという別の措置も取られてきた。この方法では、患者の頭部を部分的または全体的に剃らなければならないため、患者はこの手続きを不満に感じることがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、患者の頭部に治療コンポーネントを配置するための装置とシステムと方法とを提供するものである。本発明の装置は、前記治療コンポーネントを患者の頭部に取り付ける装着フレーム部材を含む。この装着フレーム部材は窓部も含む。また、受容機構は、前記治療コンポーネントを前記装着フレーム部材に保持し、アラインメント構造は、患者頭部の望ましい位置に前記治療コンポーネントを位置決めできるようにする。本発明の装置は、患者の耳に入る音を低減し、前記装着フレーム部材の振動を低減できる(またはそのいずれかを行える)アイソレータコンポーネントも含みうる。本発明の装置は、治療に基づきデータ送受信を行うための電気コネクタ、および当該装置を各患者用に調整できる調整構造も含みうる。この調整構造は、患者頭部の外形に合わせて前記装置を成形する際に役立つ可鍛材料で作りうる。また、前記可鍛材料は、所定波長の光、熱、および/または超音波信号により硬化するよう作りうる。前記アラインメント構造は、各患者について各治療時に実質的に同じ位置へ前記治療コンポーネントを装着できるようにし、患者の鼻まで延長しうる。本発明の装置は、鼻梁コンポーネント、顎ひもコンポーネント、および/または後部ひもコンポーネントを含む固定構造も含みうる。また、前記装着フレーム部材は、例えば前記装着フレーム部材、前記電気コネクタ、前記アラインメント構造、前記受容機構、および/または前記可鍛材料を修正することにより、各患者の治療終了時、再使用可能または使用不能にできるように構成しうる。
【0011】
本発明のシステムは、治療コンポーネントと、頭部フレームコンポーネントと、前記頭部フレームコンポーネントに取り付け自在な可撓性回路と、前記可撓性回路と通信自在な電気コネクタであって、前記治療コンポーネントの機能としてデータ通信を行う電気コネクタとを含む。前記頭部フレームコンポーネントは、患者の頭部に前記治療コンポーネントを配置するのを容易にする。前記可撓性回路は、患者に提供される磁場を測定するための磁場センサを含みうる。前記治療コンポーネントは、例えば、患者の経皮的磁気刺激治療に使用する磁気刺激装置であってよい。この場合、この磁気刺激装置は角度360度未満の弧形状のコア部材を含むことができ、このコア部材は少なくとも0.5テスラの磁気飽和を有する高度に可飽和な磁性材料を含む。
【0012】
また、本発明では、患者上に治療装置を配置する新規性のある方法であって、頭部フレームコンポーネントを患者の頭部に配置する工程と、前記頭部フレームコンポーネントを患者の頭部で位置調整する工程と、前記頭部フレームコンポーネントを患者の頭部に固定する工程と、治療装置を前記頭部フレームコンポーネントに取り付ける工程とを含む新規性のある方法も検討している。本発明の方法は、前記頭部フレームコンポーネントをコンピュータ装置に接続する工程も含みうる。この方法では、前記調整構造の可鍛部を患者の頭部に沿って成形するなどにより、前記頭部フレーム装置(コンポーネント)を患者用に調整する工程も検討している。このような前記可鍛部硬化は、例えば所定波長の光、熱、および/または超音波信号を使用することにより実現しうる。
【0013】
本発明は、本発明の装置が確実に適切に配置されるようにするためのシステムをさらに含む。万一ウエハー回路の位置調整を誤った場合、電場は完全には相殺されない。好適なrTMS実施形態では、rTMSを行う患者の頭部に繰り返し固定できるフレーム部材を提供することにより、磁気刺激装置コイルまたは前記コア部材、およびウエハーを一貫して患者頭部の厳密に同じ位置に配置することが可能になる。
【0014】
前記治療(頭部)フレーム部材には、所与の患者に関する識別情報および磁場/治療情報を受信および格納するメモリ回路が設けられる。
【0015】
ウエハー回路は、前記rTMS装置により生じた磁場をモニタ可能にするため、時間的に変化する磁場の存在を検出するように特別構成されたワイヤループをさらに含むことも含まないこともある。また、このウエハー回路は、対向する電場のアラインメントを確実に補正するため、特別に構成された(光学的な、またはそれ以外の)位置システムを含むことも含まないこともある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1および2を参照して説明を行う。これらの図面は例示的な性質ものであり、本発明の範囲を限定するためのものでは一切ないことを理解すべきである。
【0017】
図1および図2に示したように、可撓性回路、すなわちウエハー回路10は、銅線が埋め込まれた高分子またはプラスチックの基板12で作りうる。この銅線は、コンピュータ装置など外部ソースからの電気信号をウエハー回路10が通信できるようにするリード線14へ延出しうる。基板12は、前記ウエハー回路が確実かつ適切に配向されるようにするためのアラインメント用突出部16を含みうる。(例えば較正用または障害検出用に)患者に与えられる磁場を測定するため、および/または患者から生物学的測定値を取得するため、磁場センサおよび/または他のセンサを前記基板内に設けてもよい。基板12は、治療する頭部および患者身体に対し特定の位置にウエハー回路10を固定するための取り付け孔15をさらに含みうる。
【0018】
ウエハー回路10は使い捨て品であってよく、少量の導電性ゲルを使って患者の皮膚上に配置される。ウエハー回路10は、少量の導電性ゲル(図示せず)、および着脱自在な紙製またはプラスチック製シール(図示せず)をそれぞれ付随させて提供してもよい。前記紙製またはプラスチック製のシールを取り外すと、前記ゲルが露出し、ウエハー回路10を患者に固定できるようになる。
【0019】
上記のとおり、本発明は、前記ウエハー回路および磁気刺激装置を、再現可能な方法で患者に、精確に適切な位置に配置することを容易にする。そのようにして、本発明の位置決めシステム5は、患者に固定した装着が可能な治療フレーム部材30を含む。上記に示した実施形態例では、フレーム部材30は、rTMS療法のために患者の頭部へ装着される。rTMS装置100による音を緩和する、および/または当該rTMS装置100に起因する振動を抑制するための耳保護部材37を、治療フレーム部材30の反対側に設けてもよい。患者の耳は、中空内部を有する耳保護部材37の内側に配置される。フレーム部材30は、治療用の窓部31であって、その上にウエハー回路10を設けうる窓部31を含みうる。窓部31の周囲には、取り付け用のペグ55を受容する一連の取り付け孔35があってよい。これらのペグ55は、ウエハー回路10を治療フレーム部材30にしっかり取り付けるため、サブフレーム部材40の上方および下方へと延出してよく、またウエハー回路10の取り付け孔15に挿通してよい。また、前記フレーム部材30に対し、異なる位置のいずれにもウエハー回路10を固定できるよう、窓部31の周囲に一連の取り付け孔35を設けてよい。取り付け孔35は、凹部33内に設けうる。窓部31は、ウエハー回路10の突出部16を収容するための切り取り部36を含みうる。
【0020】
治療フレーム部材30は、実質的に同じ方法で実質的に患者頭部の同じ位置へ前記フレーム部材が配置されるのを確実にする固定手段32をさらに含みうる。固定手段32は、鼻梁部32Aと、顎ひも32Bと、後部ひも32Cとを含みうる。ひも32Bおよび32Cは、バックル、ベルクロなどの摩擦式固定部材、伸縮素材といった、従来サイズの調整構造で設けうる。これらのひもは、それぞれ単一の部品であっても、また2つからなる部品であって、それぞれ前記治療フレーム部材の反対側に取り付けられ互いに縛り合わされるか固定される2つの材料であってもよい。
【0021】
治療フレーム部材30は、患者間で再使用可能であっても、単一患者専用としてもよい。例えば、フレーム部材30の本体内に可鍛物質を提供し、患者頭部の特定の外形に合わせて医療提供者が前記フレーム部材をより永久的に成形できるようにしてもよい。前記フレーム部材を患者に固定するための追加手段として、特定波長の光、熱、超音波など特定条件では硬化するが可鍛性のある硬化自在な樹脂でこのフレーム部材の一部または全部を提供してもよい。治療フレーム部材30について、このように硬化自在な樹脂を提供する上で特に理想的な部分は、前記鼻梁部32Aである。これは、ヒトの顔の鼻および鼻梁部分が位相幾何学的に非常に個人差が大きく、樹脂硬化前に型を取のが容易なことによる。
【0022】
アラインメントサブフレーム部材40を追加コンポーネントとして提供してもよい。前記サブフレーム部材40は、治療用の窓部31と実質的に同じ形状であってよく(ただし、少なくとも1方向で前記窓部31より小型にしてよい)、凹部33に嵌入しうる。サブフレーム部材40には、ペグ55用の孔45が設けられることが好ましい。この実施形態では、ウエハー回路10はサブフレーム部材40に固定してよく、サブフレーム部材40はペグ55で治療フレーム部材30上に配置してよい。サブフレーム部材40を設けると、磁場および治療を2段階でrTMS患者に与える過程において特に有利である。この過程では、まず患者の頭蓋骨の運動中枢上にウエハー回路30を装着し、この患者の神経細胞に影響を与えるために必要な最小電流を決定する。運動中枢が好適な磁場適用量インジケータとして選ばれているのは、(身体の一部が動くことにより)結果を見分けるのが非常に容易なためである。いったん適切な磁場適用量を決定したら、患者のうつ病にかかわる神経細胞に影響を与えるため、ウエハー回路10を治療位置に移動してよい。システム5にサブフレーム部材40を設けると、主要な治療フレーム部材に障害を及ぼすことなく前記ウエハー回路をある位置から別の位置へと、より容易に移動できるようになる。治療セッション中にアラインメントを維持するため、追加支持装置を使用してもよい。
【0023】
作動時、治療フレーム部材30は患者頭部に固定され、ウエハー回路10は、フレーム部材30に固定される(サブフレーム部材40によってもよらなくてもよい)。rTMS装置100の(電気的および他の任意の導管を支持する)支持アーム部材104は、治療ヘッド102を直接治療窓部31上に位置決めできるよう移動される。(電源へのリード線を有する)接続部39の差し込み口34に挿入したリード線14を通じて電気信号をウエハー回路10に供給すると、回路10は電場を生じうる。ウエハー回路10は、rTMS装置100内の蓄積容量の放電をゲートする信号によりゲートされた電気信号を波形発生器から供給され、(コイルから)パルス磁場を生じるが、この磁場は望ましくない電場を頭皮内に誘導する。このようにして、(rTMSおよびウエハー回路10から)生じた場が実質的に同時に頭皮に存在することになる。前記ウエハー回路に供給される信号の振幅は、ウエハー回路10により生じる電場の極性が、前記コイルの極性と実質的に反対になるように、前記コイルに供給される信号の振幅を追跡するようにできる。
【0024】
ウエハー回路10は、導電性ゲルタイプの物質を使用することにより、頭皮と電気的に接触する。磁場の経路上に置かれるこの物質は、前記rTMS装置により生じた誘導電場を、患者の大脳皮質内で実質的にゆがませず、かつ低下させないように作られる。
【0025】
本発明は上記の説明に限定されるものではない。当業者であれば容易に理解できる修正形態は、本発明の範囲内であると見なされる。例えば、本発明は特にうつ病治療用のrTMSに役立つと説明しているが、治療中の顎の筋肉の刺激は非常に不快であるため、てんかん、具体的には側頭葉てんかんの治療にも有用である。その他考えうる状態には、てんかん、統合失調症、パーキンソン病、トゥレットトゥレット症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害、肥満症、双極性障害/躁病、不安障害(広場恐怖症、社会不安障害として知られる対人恐怖、急性ストレス障害、全般性不安障害を伴う、または伴わないパニック障害)、外傷後ストレス障害(DSMにおける不安障害の1つ)、強迫性障害(DSMにおける不安障害の1つ)、痛み(片頭痛、三叉神経痛、神経因性疼痛を含む慢性痛(糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛による痛みなど)、突発性疼痛性障害(線維筋痛、局所的な筋筋膜疼痛症候群など)、脳卒中後のリハビリテーション(神経可塑性の誘導)、耳鳴り、融合を促進するための移植神経の刺激、物質関連障害(依存症と乱用、およびアルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ニコチン、大麻の禁断症状)、脊髄損傷および脊髄再生/リハビリテーション、頭部損傷、睡眠遮断逆転(DARPA)、原発性睡眠障害(原発性不眠、原発性睡眠過剰、概日リズム睡眠障害)、認知能力の向上、痴呆、月経前不快気分障害(PMS)、薬物送達システム(医薬品への細胞膜透過性を変化させる)、タンパク質合成の誘導(転写と翻訳の誘導)、吃音症、失語症、嚥下障害、本態性振戦、摂食障害(過食症、無食欲症、過食症)などがある。
【0026】
実際に、上記で開示したタイプの患者頭部用フレーム部材は、ヒト身体の種々の形状に合わせた幾何学的変更により他の身体部分にも同等に適合自在である。また、本発明は、誘導電流と実質的に等しい強度の電流または電場を適用して皮膚内の電場を相殺するものとして説明している。さらに、単に皮膚内の電場を低減して不快感を軽減するよう、誘導電流未満の(または便宜に応じて誘導電流より大きい)電流を適用することも検討している。本発明では、EEGなど、他のモニタリング装置、治療装置、または画像装置に役立てることも検討している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、rTMS中に頭皮神経膜の脱分極を低減する、本発明に係る装置の分解斜視図。
【図2】図2は、図1に示した、rTMS中に頭皮神経膜の脱分極を低減する、本発明に係る装置の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部に治療コンポーネントを配置するための装置であって、
前記治療コンポーネントを患者頭部に取り付けるための装着フレーム部材であって、窓部を有する装着フレーム部材と、
前記治療コンポーネントを前記装着フレーム部材に保持する受容機構と、
患者頭部の望ましい位置に前記治療コンポーネントを位置決めできるようにするアラインメント構造と
を有する装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記アラインメント構造は、患者頭部に印を付けられるようにする少なくとも1つの孔を有する。
【請求項3】
請求項1の装置であって、この装置は、さらに、
アイソレータコンポーネントを有するものである。
【請求項4】
請求項3の装置において、前記アイソレータコンポーネントは、患者の耳に入る音の低減と、前記装着フレーム部材の振動の低減とのうち少なくとも1つを実現するものである。
【請求項5】
請求項1の装置であって、この装置は、さらに、
治療機能としてデータ送受信を行うための電気コネクタを有する装置。
【請求項6】
請求項1の装置であって、この装置は、さらに、
当該装置を各患者用に調整できる構造を有するものである。
【請求項7】
請求項6の装置において、前記調整構造は、患者頭部に合わせて成形するための可鍛材料を有するものである。
【請求項8】
請求項7の装置において、前記可鍛材料は、所定の光波長と、熱と、超音波信号とのうち少なくとも1つを関数として硬化するものである。
【請求項9】
請求項6の装置において、前記アラインメント構造は、各患者について各治療時に実質的に同じ位置へ前記治療コンポーネントを装着できるようにするものである。
【請求項10】
請求項6の装置において、前記調整構造の少なくとも一部は患者の鼻まで延長するものである。
【請求項11】
請求項1の装置において、前記窓部は、可撓性回路への取り付けを可能にする少なくとも1つの孔を含むものである。
【請求項12】
請求項1の装置であって、この装置は、さらに、
鼻梁コンポーネントと、顎ひもコンポーネントと、後部ひもコンポーネントとのうち少なくとも1つを含む固定構造を有するものである。
【請求項13】
請求項1の装置において、前記装着フレーム部材は再使用可能である。
【請求項14】
請求項1の装置において、前記装着フレーム部材は使用不能にされるものである。
【請求項15】
請求項14の装置において、前記装着フレーム部材は各患者の治療終了時に、前記装着フレーム部材、前記電気コネクタ、前記アラインメント構造、前記受容機構、および前記可鍛材料のうち少なくとも1つの修正機能として自動的に使用不能にされるものである。
【請求項16】
請求項1の装置において、前記治療コンポーネントは、患者の経皮的磁気刺激治療に使用される磁気刺激装置である。
【請求項17】
請求項16の装置において、前記磁気刺激装置は、角度360度未満の弧形状のコア部材を有し、前記コア部材は少なくとも0.5テスラの磁気飽和を有する高度に可飽和な磁性材料を有するものである。
【請求項18】
患者上に治療装置を配置するためのシステムであって、
治療コンポーネントと、
患者の頭部に前記治療コンポーネントを配置するための頭部フレームコンポーネントであって、
前記治療コンポーネントを患者頭部に取り付けるための装着フレーム部材であって、
窓部と、
前記治療コンポーネントを前記装着フレーム部材に保持する受容機構と、
患者頭部の望ましい位置に前記治療コンポーネントを位置決めできるようにするアラインメント構造と
を有する装着フレーム部材と、
前記頭部フレームコンポーネントに取り付け自在な可撓性回路と、
前記治療コンポーネントの機能としてデータ通信を行う電気コネクタであって、前記可撓性回路と通信自在な、前記電気コネクタと
を有する頭部フレームコンポーネントと
を有するシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムにおいて、前記可撓性回路は、患者に提供される磁場を測定するための磁場センサを有するものである。
【請求項20】
請求項18のシステムにおいて、通信されるデータは、較正情報と、障害の検出情報または治療装置の操作情報と、患者の生物学的測定値とのうち少なくとも1つを有するものである。
【請求項21】
請求項18のシステムにおいて、前記治療コンポーネントは、患者の経皮的磁気刺激治療に使用される磁気刺激装置である。
【請求項22】
請求項21のシステムにおいて、前記磁気刺激装置は、角度360度未満の弧形状のコア部材を有し、前記コア部材は少なくとも0.5テスラの磁気飽和を有する高度に可飽和な磁性材料を有するものである。
【請求項23】
患者上に治療装置を配置する方法であって、
頭部フレームコンポーネントを患者の頭部に配置する工程と、
前記頭部フレームコンポーネントを患者の頭部で位置調整する工程と、
前記頭部フレームコンポーネントを患者の頭部に固定する工程と、
治療装置を前記頭部フレームコンポーネントに取り付ける工程と
を有する方法。
【請求項24】
請求項23の方法であって、この方法は、さらに、
前記頭部フレームコンポーネントをコンピュータ装置に接続する工程を有する方法。
【請求項25】
請求項23の方法であって、この方法は、さらに、
前記頭部フレーム装置(コンポーネント)を患者用に調整する工程を有するものである。
【請求項26】
請求項23の方法であって、この方法は、さらに、
所定波長の光と、熱と、超音波信号とのうち少なくとも1つを提供することにより、前記調整構造の可鍛部を患者の頭部に沿って成形する工程を有するものである。
【請求項27】
請求項23の方法であって、この方法は、さらに、
前記頭部フレームコンポーネントを、前回の患者治療時と実質的に同じ位置に配置する工程を有するものである。
【請求項28】
請求項23の方法であって、この方法は、さらに、
前記頭部フレームコンポーネントを使用不能にする工程を有するものである。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−520671(P2006−520671A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509153(P2006−509153)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006715
【国際公開番号】WO2004/080526
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505338442)ニューロネティクス、インク. (13)
【Fターム(参考)】