説明

磁気安全ニードルアセンブリ

【課題】最小数の部品を含み、信頼性を犠牲にしない安全ニードルアセンブリを提供する。
【解決手段】ハブと、ハブに固定されたニードルであって、患者への挿入のために形成された遠位端を有するニードルと、ハブに対し移動可能なシールドであって、シールドがニードルの遠位端を覆う第1の位置から、ニードルの遠位端が露出されシールドによって覆われない第2の位置へと移動可能なシールドと、ハブに固定された第1の磁気要素と、シールドに固定された第2の磁気要素と、を備える安全ニードルアセンブリがここに提供される。第1および第2の磁気要素は、これらの間に、第1および第2の磁気要素を離すよう付勢する斥力を画成するよう形成される。斥力は、シールドを第1の位置に向けて付勢する。有利には、本発明により、最小数の部品を含み、信頼性を犠牲にしない安全ニードルアセンブリが提供され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射器用ニードルアセンブリに係り、特に安全ニードルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、ペン注射器と共に使用するための安全ペンニードルアセンブリを含む安全ニードルアセンブリが知られている。アセンブリは典型的に注射器に個々に取付可能である。注射の後、使用されたニードルを遮蔽(シールド)し、ユーザが不意に「ニードル穿刺」を受けるのを防止するよう、アセンブリが形成される。典型的に、アセンブリは、使用後に注射器から取り外され廃棄されるよう形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安全ニードルアセンブリにとって、コストへの考慮および高い信頼性が重要なファクターである。最小数の部品が概して望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ハブと、ハブに固定されたニードルであって、患者への挿入のために形成された遠位端を有するニードルと、ハブに対し移動可能なシールドであって、シールドがニードルの遠位端を覆う第1の位置から、ニードルの遠位端が露出されシールドによって覆われない第2の位置へと移動可能なシールドと、ハブに固定された第1の磁気要素と、シールドに固定された第2の磁気要素と、を備える安全ニードルアセンブリがここに提供される。第1および第2の磁気要素は、これらの間に、第1および第2の磁気要素を離すよう付勢する斥力を画成するよう形成される。斥力は、シールドを第1の位置に向けて付勢する。有利には、本発明により、最小数の部品を含み、信頼性を犠牲にしない安全ニードルアセンブリが提供され得る。
【0005】
本発明のこれらおよび他の特徴が、以下の詳細な説明および添付図面の検討を通じてより良好に理解されるであろう。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、最小数の部品を含み、信頼性を犠牲にしない安全ニードルアセンブリが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に従う遮蔽位置の安全ニードルアセンブリを示す。
【図2】本発明に従う非遮蔽位置の安全ニードルアセンブリを示す。
【図3】図1の線3−3に沿った断面図である。
【図4】図2の線4−4に沿った断面図である。
【図5】遮蔽位置における安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図6】非遮蔽位置における安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図7】図5の線7−7に沿った断面図である。
【図8】図6の線8−8に沿った断面図である。
【図9】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図10】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図11】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図12】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図13】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図14】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図15】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【図16】少なくとも三つの磁気要素を含む安全ニードルアセンブリの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を参照すると、安全ニードルアセンブリ10が示されている。安全ニードルアセンブリ10は、概して、ニードル14が固定されるハブ12と、シールド16とを含む。ニードル14は、いかなる公知のタイプであってもよく、患者への挿入のために形成された遠位端18と、近位端20と、これらの間を延びる内腔(ルーメン;lumen)22とを含む。
【0009】
ここで使われるように、用語「遠位」とその派生語は、使用時に患者に向かう方向をいう。他方、用語「近位」とその派生語は、使用時に患者から離れる方向をいう。
【0010】
図1および図2を参照して、シールド16はハブ12に対し、特に第1の位置から第2の位置へと移動可能である。第1の位置は図1に示され、第1の位置ではシールド16がニードル14の遠位端18を覆う。第2の位置は図2に示され、第2の位置ではニードル14の遠位端18が露出され、シールド16によって覆われない。第2の位置においてニードル14が使用可能である。
【0011】
本発明の第1実施形態において、図1に示されるように、シールド16が第1の位置に維持されるのが好ましい。このため、第1の磁気要素24がハブ12に固定され、第2の磁気要素26がシールド16に固定されている。第1および第2の磁気要素24,26は、それらの間に、第1および第2の磁気要素24,26を離すよう付勢する斥力(反発力)を画成するように形成される。例えば、第1および第2の磁気要素24,26の磁極は、協働して斥力を発生するように配置されることができる。斥力は、シールド16を、第1の遮蔽位置に向かって付勢する。
【0012】
好ましくは、ハブ12に対するシールド16の遠位方向の移動の程度を制限する要素が、ハブ12および/またはシールド16に画成される。この方法において、シールド16のハブ12からの離脱につながりかねないシールド16の過度の遠位方向の移動が回避され得る。非限定的な例として、図3に示されるように、要素は、ハブ12に形成された少なくとも一つの第1の移動止め28と、シールド16に形成された少なくとも一つの第2の移動止め30とを含むことができる。第1および第2の移動止め28,30は、干渉係合して、ハブ12に対するシールド16の遠位方向の移動の程度を制限するよう、形成されることができる。第1および第2の移動止め28,30は、第1の遮蔽位置と同じ位置に、シールド16の移動を制限するよう、形成されることができる。シールド16に穴32が画成されている点に留意すべきである。シールド16が第1の位置から第2の位置に移動するとき、ニードル14が穴32を通過する。図3に示されるように、ニードル14の遠位端18は、第1の遮蔽位置において、穴32の中に位置されることができる。ニードル14の遠位端18が穴32の中に位置され、またシールド16の最遠位端34より近位側にあるときに、ニードル14の遠位端18は遮蔽されることができる。
【0013】
製造を容易にするため、第1および第2の移動止め28,30は、協働するネジとして形成されることができる。これらネジは、シールド16がハブ12に螺合し、第2の移動止め30が第1の移動止め28を最終的に完全に迂回することを許容する。当業者に認識されるように、第1および第2の移動止め28,30の種々の形態が、本発明に関連して利用されることができる。
【0014】
好ましくは、第1および第2の磁気要素24,26が、軸方向に整列され、適切な磁極配列を維持する。より好ましくは、第1および第2の磁気要素24,26は、環状に形成され、ハブ12および/またはシールド16の回転ずれによるあらゆる効果を最小化する。図1〜図4に示されるように、第1および第2の磁気要素24、26は、ハブ12およびシールド16のそれぞれの周縁部に配置されることができる。特に、第2の磁気要素26は、シールド16の近位端36に固定され、第1の磁気要素24は、外方に突出するフランジ38に固定されることができる。代替的に、図5〜図8の実施形態に示されるように、第1および第2の磁気要素24,26は、ハブ12およびシールド16の内部の面に固定されることができる。特に、第1の磁気要素24は、ハブ12の遠位面40に固定されることができる。遠位面40はニードル14の境界を定める。第2の磁気要素26は、穴32の境界を定める近位面42に固定されることができる。両形態において、第1および第2の磁気要素24,26は好ましくは軸方向に整列される。
【0015】
第1および第2の磁気要素24,26は、あらゆる公知の方法でハブ12およびシールド16に固定されることができる。例えば、第1および第2の磁気要素24,26はそれぞれ、ハブ12およびシールド16に一体成形(molded)、例えば埋込み成形(overmolded)されることができる。融着(fusion)、例えば超音波もしくはレーザー溶接、または接着も利用可能である。さらに圧入や締まり嵌め等の機械的接続も利用可能である。
【0016】
図1〜図8に示される安全ニードルアセンブリ10において、ニードル14はまず、図1および図5に示されるように、第1の遮蔽位置にあるシールド16により覆われる。この方法において、ニードル14は使用の前に完全に覆われる。ハブ12にはニードル取付要素44(図7)が設けられてもよい。ニードル取付要素44は例えば、医療用注射器に安全ニードルアセンブリ10を取り付けるよう構成されたネジおよび/または表面形状(例えばルアー面)からなる。ニードル取付要素44により、安全ニードルアセンブリ10は使用後に取り外し可能であるよう形成される。代替的に、安全ニードルアセンブリ10は、医療用注射器の筒もしくは他の部品に接着され、融着され、または一体的に形成されることなどにより、医療用注射器に強固に固定されていてもよい。好ましくは、ニードル取付要素44が設けられたハブ12が、安全ニードルアセンブリ10の取付けを生じさせるべく係合される。
【0017】
安全ニードルアセンブリ10が注射に準備されかつ用意している状態で、シールド16は患者の皮膚に適用される。このとき対応する注射器を通じて、ハブ12に圧力が付加される。図2および図6に示されるように、所定レベルの力により、第1および第2の磁気要素24,26の間に生成された斥力は克服され(打ち負かされ)、ハブ12はシールド16に対し遠位方向に移動される。ハブ12がシールド16に対し遠位方向に移動することで、図2および図6に示されるように、ニードル14は露出する。この露出は、患者へのニードル14の挿入も許容する。第1および第2の磁気要素24,26によって生成された斥力は、シールド16に対しハブ12に付加された所定量の力によって克服可能である。注射が完了し、押圧力がハブ12から除去されると、第1および第2の磁気要素24,26によって発生された斥力の移動力の下で、シールド16はハブ12に対し遠位方向に付勢され、第1の遮蔽位置に戻る。
【0018】
図9〜図16を参照して、第3の磁気要素46が、ハブ12またはシールド16に設けられ、安全ニードルアセンブリ10の異なるモードの作動を提供してもよい。第3の磁気要素46は、第1または第2の磁気要素24,26の180°反対側の位置において、ハブ12またはシールド16に配置されるのが好ましい。加えて、第3の磁気要素46は、第3の磁気要素46を有するハブ12またはシールド16に配置された対応する磁気要素と反対の磁極を提供するように形成される。よって図9〜図12を参照して、第3の磁気要素46は、第1の磁気要素24を有するハブ12に固定され、第1および第3の磁気要素24,46は反対の磁極を有してシールド16に対面することができる。この方法において、第1または第3の磁気要素24,46に対する第2の磁気要素26の回転的整列は、整列された磁気要素の極性に応じて、磁気引力もしくは斥力をもたらすであろう。よって、ニードル14の初期の露出が望まれる場合、シールド16は、第2および第3の磁気要素26,46の間の磁気引力を生成するよう回転的に整列され、シールド16がハブ12に引き付けられる。この方法において、図11および図12に示されるように、シールド16は、ニードル14が使用のために露出される第2の位置にある。図9および図10に示されるように、第2の磁気要素26が第1の磁気要素24に整列するよう、シールド16がハブ12に対して回転的に調節され、これにより、それらの間に生成された磁気的斥力に帰結し、シールド16がハブ12から離れる第1の遮蔽位置に付勢される。ハブ12に対するシールド16の不意な回転を制限するため、解放可能な舌片および溝装置のような、一以上の解放可能な保持装置48がシールド16とハブ12の間に設けられてもよい。図9および図11にそれぞれ示されるように、解放可能な保持装置48は、整列された磁気要素に解放可能な保持を提供するよう配置されることができる。
【0019】
当業者に認識されるように、第3の磁気要素46は、図13〜図16に示されるように、第2の磁気要素26を有するシールド16に取り付けられてもよい。ここで、第3の磁気要素46は、ハブ12に面する第2の磁気要素26と反対の磁極を有するよう形成される。ハブ12に対するシールド16の回転的調節は、上記方法と同様、第1の位置(図13および図14)と第2の位置(図15および図16)の間のシールド16の移動を生じさせる。
【0020】
種々の数と形態の磁気要素が利用可能である。好ましくは、図9〜図16の実施形態において、第1〜第3の磁気要素24,26,46は環状に形成されない。図1〜図8に関連して上記で論じられた全ての他の点および考察は、図9〜図16の実施形態に等しく適用される。
【符号の説明】
【0021】
12 ハブ
14 ニードル
18 遠位端
16 シールド
24 第1の磁気要素
26 第2の磁気要素
46 第3の磁気要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブと、
前記ハブに固定されたニードルであって、患者への挿入のために形成された遠位端を有するニードルと、
前記ハブに対し移動可能なシールドであって、前記シールドが前記ニードルの前記遠位端を覆う第1の位置から、前記ニードルの前記遠位端が露出され前記シールドによって覆われない第2の位置へと移動可能なシールドと、
前記ハブに固定された第1の磁気要素と、
前記シールドに固定された第2の磁気要素と、
を備え、
前記第1および第2の磁気要素が、これらの間に、前記第1および第2の磁気要素を離すよう付勢する斥力を画成するよう形成され、前記斥力が前記シールドを前記第1の位置に向けて付勢する
安全ニードルアセンブリ。
【請求項2】
前記斥力が所定レベルの力によって克服され、これが前記シールドを前記ハブに対し前記第1の位置から前記第2の位置へと移動させる
請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ハブに固定された第3の磁気要素をさらに備え、
前記第2および第3の磁気要素が、これらの間に、前記第2および第3の磁気要素を互いに向けて付勢する引力を画成するよう形成され、前記引力が前記シールドを前記第2の位置に付勢する
請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第2の磁気要素を前記第1および第3の磁気要素に選択的に整列させるよう、前記シールドが前記ハブに対し回転的に調節される
請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記シールドに固定された第3の磁気要素をさらに備え、
前記第1および第3の磁気要素が、これらの間に、前記第1および第3の磁気要素を互いに向けて付勢する引力を画成するよう形成され、前記引力が前記シールドを前記第2の位置に付勢する
請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の磁気要素を前記第2および第3の磁気要素に選択的に整列させるよう、前記シールドが前記ハブに対し回転的に調節される
請求項5に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−455(P2012−455A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−130496(P2011−130496)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】