説明

磁気記録媒体の製造装置

【課題】磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を均一の膜厚で形成することを可能とした磁気記録媒体の製造装置を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体100の中心孔100aに挿通されて当該磁気記録媒体100を吊り下げた状態で支持するハンガー機構2と、ハンガー機構2と浸漬槽1との何れか一方を他方に対して昇降操作する昇降機構3とを備え、ハンガー機構2は、その上端部が磁気記録媒体100の内周部と当接される支持プレート4a,4bと、支持プレート4a,4bの上端部よりも下方に位置する上端部と磁気記録媒体100の内周部との間に間隙を設けて支持プレート4a,4bと対向配置された防波プレート7a,7bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体を液体潤滑剤の入った浸漬槽に浸漬した後、この浸漬槽から磁気記録媒体を引き上げることによって、磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を形成する磁気記録媒体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブ(HDD)等に用いられる磁気記録媒体の分野では、記録密度の向上が著しく、最近では記録密度が1年間で1.5倍程度と、驚異的な速度で伸び続けている。このような記録密度の向上を支える技術は多岐にわたるが、キーテクノロジーの一つとして、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間における摺動特性の制御技術を挙げることができる。
【0003】
例えば、ウインチェスター様式と呼ばれる、磁気ヘッドの起動から停止までの基本動作を磁気記録媒体に対して接触摺動−浮上−接触摺動としたCSS(接触起動停止)方式がハードディスクドライブの主流となって以来、磁気記録媒体上での磁気ヘッドの接触摺動は避けることのできないものとなっている。
【0004】
このため、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間のトライボロジーに関する問題は、宿命的な技術課題となって現在に至っており、磁気記録媒体の磁性膜上に積層される保護膜を改善する努力が営々と続けられていると共に、この媒体表面における耐摩耗性及び耐摺動性が、磁気記録媒体の信頼性向上の大きな柱となっている。
【0005】
磁気記録媒体の保護層としては、様々な材質からなるものが提案されているが、成膜性や耐久性等の総合的な見地から、主に炭素膜が採用されている。また、この炭素膜の硬度、密度、動摩擦係数等は、磁気記録媒体のCSS特性、あるいは耐コロージョン特性に如実に反映されるため、非常に重要である。
【0006】
しかしながら、保護層を設けただけでは、磁気記録媒体の耐久性が劣るため、この保護層の表面に潤滑剤膜を形成している。この潤滑剤膜の主な役割は、磁気記録媒体の保護層等が大気に直接触れることを防ぎ、その耐食性を高めること、並びに、磁気ヘッドスライダが偶発的に磁気記録媒体のデータ面接触した際に、磁気ヘッドスライダが保護層と直接接触するのを防止すると共に、磁気記録媒体上を摺動する磁気ヘッドスライダの摩擦力を著しく低減させることにある。
【0007】
ここで、磁気記録媒体の表面に形成される潤滑剤膜は、サブnm単位で膜厚を厳密に管理するようにしており、その潤滑膜の形成方法としては、液体潤滑剤の入った浸漬槽に磁気記録媒体を浸漬した後、この浸漬槽から磁気記録媒体を引き上げることによって、磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を均一の膜厚で形成する、いわゆるディッピング法が従来より広く用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。また、このディッピング法では、量産性の面から一般にバッチ処理方式が採られており、磁気記録媒体を複数並べた状態で浸漬槽に浸漬し、一括して処理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−150307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したディッピング法を用いた潤滑膜の塗布方法では、浸漬槽から磁気記録媒体を引き上げる際に、液体潤滑剤の液面を揺らさないように一定の速度で引き上げることが重要となる。これは、液体潤滑剤の液面が揺れてしまうと、磁気記録媒体の表面に形成される潤滑剤膜の膜厚分布に線状の塗布ムラが生じてしまうためである。
【0010】
具体的に、浸漬槽に浸漬された磁気記録媒体は、その中心孔に挿通されたハンガーによって吊り下げた状態で支持されており、このハンガーを液体潤滑剤の入った浸漬槽から引き上げる際に、液体潤滑剤の液面に乱れ(揺れ)が生じることになる。特に、ハンガーが液面から出る瞬間に、ハンガーに付着した液滴(液溜まり)が弾けたり、垂れ落ちたりするため、磁気記録媒体の表面に形成される潤滑剤膜の膜厚分布にムラが生じ易くなる。
【0011】
上述した特許文献1に記載の発明では、このような問題を解決するために、磁気記録媒体の内周部と当接するハンガーの上端部に鋭角なエッジを形成し、液溜まりの発生を防止することが行われている。しかしながら、この場合も、エッジによって液体潤滑剤の液面が切れる瞬間に、エッジに生じた僅かな液溜まりが弾け、液体潤滑剤の液面に揺れが生じてしまうため、磁気記録媒体の表面に形成される潤滑剤膜の膜厚分布にムラが生じることになる。
【0012】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を均一の膜厚で形成することを可能とした磁気記録媒体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体を液体潤滑剤の入った浸漬槽に浸漬した後、この浸漬槽から磁気記録媒体を引き上げることによって、磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を形成する磁気記録媒体の製造装置であって、
前記磁気記録媒体の中心孔に挿通されて当該磁気記録媒体を吊り下げた状態で支持するハンガー機構と、
前記ハンガー機構と前記浸漬槽との何れか一方を他方に対して昇降操作する昇降機構とを備え、
前記ハンガー機構は、その上端部が前記磁気記録媒体の内周部と当接される支持プレートと、前記支持プレートの外側において当該支持プレートと平行に並ぶ防波プレートとを有し、
前記防波プレートの上端部は、前記支持プレートの上端部よりも下方に位置して、前記磁気記録媒体の内周部との間に間隙を形成すると共に、前記磁気記録媒体の内周部と前記支持プレートとの間の隙間に溜まった液溜まりが液切れするときの液面高さよりも上方に位置することを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
(2) 前記ハンガー機構は、その上端部が前記磁気記録媒体の内周部と当接される一対の支持プレートと、前記一対の支持プレートの外側において当該支持プレートと平行に並ぶ一対の防波プレートとを有することを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造装置。
(3) 前記支持プレートの上端部には、前記磁気記録媒体の内周部が係合される溝部が設けられていることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造装置。
(4)
前記溝部の底部には、前記支持プレートを鉛直下向きに切り欠くスリットが設けられていることを特徴とする前項(3)に記載の磁気記録媒体の製造装置。
(5) 前記ハンガー機構は、前記磁気記録媒体を複数並べた状態で支持することを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、磁気記録媒体を液体潤滑剤の入った浸漬槽から引き上げる際に、支持プレートによって液体潤滑剤の液面が切れる瞬間に生じる液面の揺れを防波プレートを設けることによって低く抑えることができる。
【0015】
したがって、本発明によれば、磁気記録媒体の表面に形成される潤滑剤膜の膜厚分布に線状の塗布ムラが生じることを防ぎつつ、この磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を均一の膜厚で形成することが可能なことから、磁気ヘッドの低浮上化に適し、耐摩耗性及び耐環境性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明を適用したディッピング装置の一例を示す側面図である。
【図2】図2は、図1に示す線分X−X’によるハンガー機構の断面図である。
【図3】図3は、図1に示すハンガー機構を上方から見た要部平面図である。
【図4】図4は、図3中に示す線分Y−Y’によるハンガー機構の断面図である。
【図5】図5は、磁気記録媒体を浸漬槽から引き上げる際の液体潤滑剤の液面の状態を比較したシミュレーション結果を示し、液溜まりが形成される前の状態を示す側面図である。
【図6】図6は、磁気記録媒体を浸漬槽から引き上げる際の液体潤滑剤の液面の状態を比較したシミュレーション結果を示し、液溜まりが形成された状態を示す側面図である。
【図7】図7は、磁気記録媒体を浸漬槽から引き上げる際の液体潤滑剤の液面の状態を比較したシミュレーション結果を示し、液溜まりが切れた状態を示す側面図である。
【図8】図8は、磁気記録媒体を浸漬槽から引き上げる際の液体潤滑剤の液面の高さを測定したシミュレーションを示す特性図である。
【図9】図9は、図8に示すグラフの液切れポイント付近を拡大して示す特性図である。
【図10】図10は、磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
【図11】図11は、磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(磁気記録媒体の製造装置)
本発明を適用した磁気記録媒体の製造装置は、例えば図1に示すように、中心孔100aを有する円盤状の磁気記録媒体100を液体潤滑剤Lの入った浸漬槽1に浸漬した後、この浸漬槽1から磁気記録媒体100を引き上げることによって、磁気記録媒体100の表面に潤滑剤膜を形成する、いわゆるディッピング装置である。
【0018】
具体的に、このディッピング装置は、図1、図2、図3及び図4に示すように、磁気記録媒体100の中心孔100aに挿通されて当該磁気記録媒体100を吊り下げた状態で支持するハンガー機構2と、このハンガー機構2と浸漬槽1との何れか一方を他方に対して昇降操作する昇降機構3とを備えている。
【0019】
ハンガー機構2は、互いに平行な状態で水平方向に延長して設けられた一対の支持プレート4a,4bを有している。また、これら一対の支持プレート4a,4bの上端部には、磁気記録媒体100の内周部が係合されるV字状の溝部5が一定の間隔で複数並んで設けられている。これにより、複数の磁気記録媒体100を長手方向に平行に並べた状態で支持する。また、このような溝部5に磁気記録媒体100の内周部が当接されることによって、磁気記録媒体100を安定的に保持することが可能である。
【0020】
さらに、溝部5の底部には、一対の支持プレート4a,4bを鉛直下向きに切り欠くスリット6が設けられている。このスリット6は、溝部5とこの溝部5に係合された磁気記録媒体100の内周部との間に溜まった液体潤滑剤Lを速やかに下方へと導くためのものであり、磁気記録媒体100の厚みよりも狭い幅で直線状(又はV字状であってもよい。)に切り欠き形成されている。
【0021】
ハンガー機構2は、一対の支持プレート4a,4bの外側において、これら一対の支持プレート4a,4bと平行に並ぶ防波プレート7a,7bを有している。一対の防波プレート7a,7bは、一対の支持プレート4a,4bの外側において、互いに平行な状態で水平方向に延長して設けられている。また、防波プレート7a,7bの上端部は、支持プレート4a,4bの上端部よりも下方に位置して、磁気記録媒体100の内周部との間に間隙Sを形成している。また、これら支持プレート4a,4b及び防波プレート7a,7bの下端部は、磁気記録媒体100の中心を通る水平線よりも上方に位置している。
【0022】
昇降機構3は、磁気記録媒体100を液体潤滑剤Lの入った浸漬槽1に浸漬したり、この浸漬槽1から磁気記録媒体100を引き上げたりすることが可能な機構であれば、特に限定されるものではなく、例えば支持プレート4a,4b及び防波プレート7a,7bの基端側を片持ち支持する支持ポール8と、この支持ポール8に取り付けられたナット部9と、このナット部9と噛合されるリードスクリュー10と、このリードスクリュー10を回転駆動する駆動モータ11とを有して、駆動モータ11がリードスクリュー10を回転駆動しながら、このリードスクリュー10と噛合されたナット部9と共に支持ポール8を上下方向に移動操作することによって、一対の支持プレート4a,4bを浸漬槽1に対して昇降操作することが可能となっている。
【0023】
以上のような構造を有するディッピング装置では、浸漬槽1内の液体潤滑剤Lに浸漬された磁気記録媒体100を浸漬槽1から引き上げる際に、支持プレート4a,4bによって液体潤滑剤Lの液面が切れる瞬間に生じる液面の揺れを防波プレート7a,7bを設けることによって低く抑えることができる。
【0024】
具体的に、上記防波プレート7a,7bが設けられた本発明のディッピング装置と、防波プレート7a,7bが設けられていない従来のディッピング装置について、磁気記録媒体100を浸漬槽1から引き上げる際の液体潤滑剤Lの液面の状態を比較したシミュレーション結果を図5〜図7に示す。
【0025】
なお、図5〜図7に示すシミュレーション結果のうち、(a)は従来のディッピング装置の場合であり、(b)は本発明のディッピング装置の場合である。また、何れも磁気記録媒体100の内周部と支持プレート4aとの当接位置付近を拡大して示すものとする。
【0026】
従来のディッピング装置では、図5(a)に示すように、浸漬槽1内の液体潤滑剤Lに浸漬された磁気記録媒体100を浸漬槽1から一定の速度で引き上げることによって、液体潤滑剤Lの液面tが磁気記録媒体100の表面に沿って下方へと移動する。
【0027】
そして、図6(a)に示すように、支持プレート4aの上端部と磁気記録媒体100の内周部との当接位置が液体潤滑剤Lの液面tよりも上方に出たとき、支持プレート4aの上端部によって分断された液体潤滑剤Lの液面tが、磁気記録媒体100の内周部と支持プレート4aとの間の隙間S’に液溜まりd’を形成しながら、下方へと移動することになる。この液溜まりd’は、液体潤滑剤Lの表面張力により生じたものであり、下方へと移動する液体潤滑剤Lの液面tに引っ張られて、その厚みが徐々に薄くなる。
【0028】
そして、図7(a)に示すように、液溜まりd’が切れた瞬間、この液溜まりdを形成していた残液z’が、液体潤滑剤Lの液面tに引っ張られて、磁気記録媒体100の内周部に沿って液体潤滑剤Lの液面tまで移動する。このとき、残液zの移動に伴う液面tとの落差に応じた波動が液体潤滑剤Lの液面tへと伝わり、この液体潤滑剤Lの液面tに揺れ(乱れ)を生じさせることになる。
【0029】
これに対して、本発明のディッピング装置では、図5(b)に示すように、浸漬槽1内の液体潤滑剤Lに浸漬された磁気記録媒体100を浸漬槽1から一定の速度で引き上げることによって、液体潤滑剤Lの液面tが磁気記録媒体100の表面に沿って下方へと移動する。
【0030】
そして、図6(b)に示すように、支持プレート4aの上端部と磁気記録媒体100の内周部との当接位置が液体潤滑剤Lの液面tよりも上方に出たとき、支持プレート4aの上端部によって分断された液体潤滑剤Lの液面tが、磁気記録媒体100の内周部と支持プレート4a及び防波プレート7aとの間の隙間S’に液溜まりdを形成しながら、下方へと移動することになる。この液溜まりdは、液体潤滑剤Lの表面張力により生じたものであり、下方へと移動する液体潤滑剤Lの液面tに引っ張られて、その厚みが徐々に薄くなる。
【0031】
そして、図7(b)に示すように、液溜まりdが切れた瞬間、この液溜まりdを形成していた残液zが、液体潤滑剤Lの液面tに引っ張られて、磁気記録媒体100の内周部に沿って液体潤滑剤Lの液面tまで移動する。このとき、残液zの移動に伴う液面tとの落差に応じた波動が液体潤滑剤Lの液面tへと伝わるのを、その上端部が液面tよりも僅かに上方に位置する防波プレート7aが遮ることにより、液体潤滑剤Lの液面tが切れる瞬間に生じる液面tの揺れ(乱れ)を低く抑えることが可能である。
【0032】
また、本発明のディッピング装置と従来のディッピング装置について、磁気記録媒体100を浸漬槽1から引き上げる際の液体潤滑剤Lの液面の高さを測定したシミュレーション結果を図8及び図9に示す。
【0033】
なお、本シミュレーションでは、従来のディッピング装置については、外径65mm、内径20mm、厚み0.8mmの磁気記録媒体100を厚み0.2mm、高さ7mmの支持プレート4a(4b)に6.35mm間隔で並べて配置し、この磁気記録媒体の内周部と支持プレート4a(4b)との当接位置に幅0.3mm、深さ3mmのスリット6を設けた解析モデルとした。一方、本発明のディッピング装置については、支持プレートと防波プレートとの間隔を2mm、磁気記録媒体100の内周部と防波プレート7a(7b)の上端部との間の間隙Sを0.58mmに設定する以外は、従来のディッピング装置と同様の解析モデルとした。また、液体潤滑剤については、表面張力係数を水の1/10、接触角を60゜に設定し、3mm/秒の速度で液面tが降下する場合を解析した。
【0034】
その結果、図8及び図9に示すように、本発明のディッピング装置は、従来のディッピング装置に比べて、液体潤滑剤Lの液面tが切れる瞬間に生じる液面tの揺れ(乱れ)を低く抑えることが可能である。なお、図9に示すグラフは、図8に示すグラフの液切れポイント付近を拡大して示したものである。
【0035】
以上のように、本発明のディッピング装置では、磁気記録媒体100の表面に形成される潤滑剤膜の膜厚分布に線状の塗布ムラが生じることを防ぎつつ、この磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を均一の膜厚で形成することが可能である。そして、このようなディッピング装置を用いることによって、磁気ヘッドの低浮上化に適し、耐摩耗性及び耐環境性に優れた磁気記録媒体を製造することが可能である。
【0036】
(磁気記録媒体)
次に、本発明のディッピング装置を用いて製造される磁気記録媒体の具体的な構成について、例えば図10に示すディスクリート型の磁気記録媒体30を例に挙げて詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される磁気記録媒体30はほんの一例であり、本発明を適用して製造される磁気記録媒体は、そのような構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0037】
この磁気記録媒体30は、図10に示すように、非磁性基板31の両面に、軟磁性層32と、中間層33と、磁気記録パターン34aを有する記録磁性層34と、保護層35とが順次積層された構造を有し、更に最表面に潤滑剤膜36が形成された構造を有している。また、軟磁性層32、中間層33及び記録磁性層34によって磁性層37が構成されている。なお、図10においては、非磁性基板31の片面のみを図示するものとする。
【0038】
非磁性基板31としては、例えば、Al−Mg合金などのAlを主成分としたAl合金基板、ソーダガラスやアルミノシリケート系ガラス、結晶化ガラスなどのガラス基板、シリコン基板、チタン基板、セラミックス基板、樹脂基板等の各種基板を挙げることができるが、その中でも、Al合金基板や、ガラス基板、シリコン基板を用いることが好ましい。また、非磁性基板31の平均表面粗さ(Ra)は、1nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下であり、さらに好ましくは0.1nm以下である。
【0039】
軟磁性層32は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするために、また情報が記録される垂直磁性層の磁化の方向をより強固に非磁性基板と垂直な方向に固定するために設けられている。この作用は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなる。
【0040】
軟磁性層32としては、例えば、Feや、Ni、Coなどを含む軟磁性材料を用いることができる。具体的な軟磁性材料としては、例えば、CoFe系合金(CoFeTaZr、CoFeZrNbなど。)、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど。)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど。)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど。)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど。)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど。)、FeMg系合金(FeMgOなど。)、FeZr系合金(FeZrNなど。)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
【0041】
中間層33は、磁性層の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善することができる。このような材料としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金が好ましく、またこれらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
【0042】
例えば、Ni系合金であれば、Niを33〜96at%含む、NiW合金、NiTa合金、NiNb合金、NiTi合金、NiZr合金、NiMn合金、NiFe合金の中から選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。また、Niを33〜96at%含み、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cのうち少なくとも1種又は2種以上を含む非磁性材料であってもよい。この場合、中間層33としての効果を維持し、磁性を持たない範囲とするため、Niの含有量は33at%〜96at%の範囲とすることが好ましい。
【0043】
中間層33の厚みは、多層の場合は合計の厚みで、5〜40nmとすることが好ましく、より好ましくは8〜30nmである。中間層33の厚みが上記範囲にあるとき、直磁性層の垂直配向性が特に高くなり、且つ記録時における磁気ヘッドと軟磁性層との距離を小さくすることができるため、再生信号の分解能を低下させることなく記録再生特性を高めることができる。
【0044】
記録磁性層34は、面内磁気記録媒体用の水平磁性層でも、垂直磁気記録媒体用の垂直磁性層でもかまわないが、より高い記録密度を実現するためには垂直磁性層が好ましい。また、記録磁性層34は、主としてCoを主成分とする合金から形成することが好ましく、例えば、CoCrPt系、CoCrPtB系、CoCrPtTa系の磁性層や、これらにSiOや、Cr等の酸化物を加えたグラニュラ構造の磁性層を用いることができる。
【0045】
垂直磁気記録媒体の場合には、例えば軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる軟磁性層32と、Ru等からなる中間層33と、60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金からなる記録磁性層34とを積層したものを利用できる。また、軟磁性層32と中間層33との間にPt、Pd、NiCr、NiFeCrなどからなる配向制御膜を積層してもよい。
【0046】
一方、面内磁気記録媒体の場合には、磁性層37として、非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa磁性層とを積層したものを利用できる。
【0047】
記録磁性層34の厚みは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とし、使用する磁性合金の種類と積層構造に合わせて、十分なヘッド出入力が得られるように形成すればよい。また、記録磁性層34は、再生の際に一定以上の出力を得るのにある程度以上の膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す諸パラメーターは出力の上昇とともに劣化するのが通例であるため、最適な膜厚に設定する必要がある。磁性層37は、通常はスパッタ法により薄膜として形成する。
【0048】
グラニュラ構造の記録磁性層34としては、少なくとも磁性粒子としてCoとCrを含み、磁性粒子の粒界部に少なくともSi酸化物、Cr酸化物、Ti酸化物、W酸化物、Co酸化物、Ta酸化物、Ru酸化物の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むものが好ましい。具体的には、例えば、CoCrPt−Si酸化物、CoCrPt−Cr酸化物、CoCrPt−W酸化物、CoCrPt−Co酸化物、CoCrPt−Cr酸化物−W酸化物、CoCrPt−Cr酸化物−Ru酸化物、CoRuPt−Cr酸化物−Si酸化物、CoCrPtRu−Cr酸化物−Si酸化物などを挙げることができる。
【0049】
グラニュラ構造を有する磁性結晶粒子の平均粒径は、1nm以上、12nm以下であることが好ましい。また磁性層中に存在する酸化物の総量は、3〜15モル%であることが好ましい。また、グラニュラ構造ではない磁性層としては、CoとCrを含み、好ましくはPtを含む磁性合金を用いた層が例示できる。
【0050】
また、この磁気記録媒体30は、記録磁性層34に形成された磁気記録パターン34aが磁気特性が改質された領域(例えば、非磁性領域又は記録磁性層34に対して80%程度保磁力が低下した領域)38によって磁気的に分離されてなる、いわゆるディスクリート型の磁気記録媒体である。
【0051】
また、ディスクリート型の磁気記録媒体30は、その記録密度を高めるために、記録磁性層34のうち、磁気記録パターン34aの幅L1を200nm以下、改質領域38の幅L2を100nm以下とすることが好ましい。また、この磁気記録媒体30のトラックピッチP(=L1+L2)は、300nm以下とすることが好ましく、記録密度を高めるためにはできるだけ狭くすることが好ましい。
【0052】
保護層35には、磁気記録媒体において通常使用される材料を用いればよく、そのような材料として、例えば、炭素(C)、水素化炭素(HXC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質材料や、SiO、Zr、TiNなどを挙げることができる。また、保護層35は、2層以上積層したものであってもよい。保護層35の厚みは、10nmを越えると、磁気ヘッドと磁性層37との距離が大きくなり、十分な入出力特性が得られなくなるため、10nm未満とすることが好ましい。
【0053】
潤滑剤膜36は、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などのフッ素系潤滑剤や、炭化水素系潤滑剤、これらの混合物等からなる潤滑剤を保護層35上に塗布することにより形成することができる。また、潤滑剤膜36の膜厚は、通常は1〜4nm程度である。
【0054】
また、潤滑剤を生成する未精製潤滑剤としては、化学的に安定で、低摩擦で、低吸着性を有するものが好適に用いられる。具体的には、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物を含むパーフルオロポリエーテル系潤滑剤などのフッ素樹脂系潤滑剤を用いることが好ましい。
【0055】
パーフルオロポリエーテル系潤滑剤としては、1種類のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いてもよいし、環状トリフォスファゼン系潤滑剤とパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を組み合わせた潤滑剤や、末端基にホスファゼン環を有するパーフルオロポリエーテル化合物と末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物をと組み合わせた潤滑剤を用いてもよい。
【0056】
パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物を含む潤滑剤としては、例えばSolvay Solexis社製のFomblin Z−DOL、Fomblin Z−TETRAOL(商品名)等が挙げられる。また、環状トリフォスファゼン系潤滑剤としては、DowChemical社製のX−1p(商品名)などが挙げられる。また、末端基にホスファゼン環を有するパーフルオロポリエーテル化合物としては、松村石油研究所(MORESCO)社製のMORESCO PHOSPHAROLA20H−2000(商品名)などが挙げられる。
【0057】
続いて、このようにして得られた潤滑剤を溶媒に溶解し、塗布方法に適した濃度を有する塗布溶液(液体潤滑剤)とする。ここで用いる溶媒としては、上述した潤滑剤を希釈する溶剤と同じく、フッ素系溶媒などが用いられる。
【0058】
その後、このようにして得られた塗布溶液を保護層上に塗布する。塗布工程には、上記図1に示す本発明のディッピング装置を用いて、ディッピング法(ディップコート法)により行う。ディップコート法は、上述した塗布溶液(液体潤滑剤L)をディッピング装置の浸漬槽1に入れ、この浸漬槽1に保護層までの各層が形成された非磁性基板を浸漬し、その後、浸漬槽1から非磁性基板を所定の速度で引き上げて非磁性基板の保護層上の表面に均一な膜厚の潤滑剤膜を形成する方法である。
【0059】
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用した磁気記録再生装置(HDD)について説明する。
本発明を適用した磁気記録再生装置は、例えば図11に示すように、上記磁気記録媒体30と、上記磁気記録媒体30を回転駆動する回転駆動部51と、上記磁気記録媒体30に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッド52と、磁気ヘッド52を上記磁気記録媒体30の径方向に移動させるヘッド駆動部53と、磁気ヘッド52への信号入力と磁気ヘッド52から出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系54とを備えている。
【0060】
この磁気記録再生装置では、上記ディスクリートトラック型の磁気記録媒体30を用いることにより、この磁気記録媒体30に磁気記録を行う際の書きにじみをなくし、高い面記録密度を得ることが可能である。すなわち、上記磁気記録媒体30を用いることで記録密度の高い磁気記録再生装置を構成することが可能となる。また、上記磁気記録媒体30の記録トラックを磁気的に不連続に加工したことによって、従来はトラックエッジ部の磁化遷移領域の影響を排除するために再生ヘッド幅を記録ヘッド幅よりも狭くして対応していたものを、両者をほぼ同じ幅にして動作させることができる。これにより十分な再生出力と高いSNRを得ることができるようになる。
【0061】
さらに、磁気ヘッド52の再生部をGMRヘッド又はTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録再生装置を実現することができる。また、この磁気ヘッド52の浮上量を0.005μm〜0.020μmの範囲内とし、従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置SNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録再生装置を提供することができる。
【0062】
さらに、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度100kトラック/インチ以上、線記録密度1000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり100Gビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なSNRが得られる。
【0063】
なお、本発明は、磁気的に分離された磁気記録パターンMPを有する磁気記録媒体に対して幅広く適用することが可能であり、磁気記録パターンを有する磁気記録媒体としては、磁気記録パターンが1ビットごとに一定の規則性をもって配置された、いわゆるパターンドメディアや、磁気記録パターンがトラック状に配置されたメディア、その他、サーボ信号パターン等を含む磁気記録媒体を挙げることができる。本発明は、この中でも磁気的に分離された磁気記録パターンが磁気記録トラック及びサーボ信号パターンである、いわゆるディスクリート型の磁気記録媒体に適用することが、その製造における簡便性から好ましい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0065】
(磁気記録媒体の製造)
本実施例では、先ず、HD用ガラス基板をセットした真空チャンバを予め1.0×10−5Pa以下に真空排気した。ここで使用したガラス基板は、LiSi、Al−KO、Al−KO、MgO−P、Sb−ZnOを構成成分とする結晶化ガラスを材質とし、外径が65mm、内径が20mm、厚み0.8mm、平均表面粗さ(Ra)が2オングストロームである。
【0066】
次に、このガラス基板にDCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として層厚60nmのFeCoB膜、中間層として層厚10nmのRu膜と、記録磁性層として層厚15nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜、層厚14nmの70Co−5Cr−15Pt合金膜と、保護膜としてCVDカーボン膜を5nmこの順で積層した。
【0067】
(実施例1)
実施例1では、以上のように作製された磁気記録媒体について潤滑剤を塗布した。具体的には、潤滑剤が溶剤に溶解された塗布溶液を、ディッピング装置を用いてディップ法で塗布し、磁気記録媒体の保護層の表面に1.5nmの潤滑剤膜を形成した。
【0068】
ディッピング装置としては、上記図1〜図4に示す本発明のディッピング装置と同様の装置を使用した。具体的には、長さ200mm、厚み0.2mm、高さ10mmの一対の支持プレートを5mm間隔で平行に設け、これら一対の支持プレートのV字状の溝部に磁気記録媒体を6.35mm間隔で、25枚並べて配置し、この磁気記録媒体の内周部と支持プレートとの当接位置に幅0.3mm、深さ0.5mmのスリットを設けた。また、一対の支持プレートの外側に、これら一対の支持プレートと平行に並ぶ防波プレートを設けた。この防波プレートは、長さ200mm、厚みが0.3mm、高さが6mm、支持プレートとの間隔が3mmである。また、防波プレートの上端部は、支持プレートの上端部よりも下方に位置して、磁気記録媒体の内周部と支持プレートとの間の隙間に溜まった液溜まりが液切れするときの液面高さよりも0.5mmだけ上方に位置させた。
【0069】
潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル構造を有する化合物であるFomblin Z−TETRAOLを使用した。また、潤滑剤を溶解するための溶剤として、三井デュポンフロロケミカル社製のバートレルXF(商品名)を用いた。塗布溶液中における潤滑剤の濃度は何れも0.3質量%とし、磁気記録媒体の引き上げ速度は、3mm/秒とし、塗布膜厚は15Åとした。
【0070】
(比較例1)
比較例1では、上記ディッピング装置において防波プレートを設けなかった以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体に潤滑剤を塗布した。
【0071】
(磁気記録媒体の評価)
以上のように作製された実施例1及び比較例2の磁気記録媒体の潤滑剤膜の膜厚分布を測定した。膜厚分布の測定には、光学式表面検査装置、KLA−Tencor社(米国)製、Candela 6100(商品名)を使用した。
【0072】
その結果、比較例1の磁気記録媒体では、支持プレートの当接位置から直線状に潤滑剤膜の塗布ムラによる縞模様が観察された。これに対して、実施例1の磁気記録媒体では、潤滑剤膜の塗布ムラによる縞模様は一切観察されなかった。なお、比較例1で観察された縞模様による潤滑剤膜の膜厚変動は±2Åであった。
【符号の説明】
【0073】
1…浸漬槽 2…ハンガー機構 3…昇降機構 4a,4b…支持プレート 5…溝部 6…スリット 7a,7b…防波プレート 8…支持ポール 9…ナット部 10…リードスクリュー 11…駆動モータ
30…磁気記録媒体 31…非磁性基板 32…軟磁性層 33…中間層 34…記録磁性層 34a…磁気記録パターン 35…保護層 36…潤滑膜 37…磁性層 38…改質領域
51…回転駆動部 52…磁気ヘッド 53…ヘッド駆動部 54…記録再生信号処理系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体を液体潤滑剤の入った浸漬槽に浸漬した後、この浸漬槽から磁気記録媒体を引き上げることによって、磁気記録媒体の表面に潤滑剤膜を形成する磁気記録媒体の製造装置であって、
前記磁気記録媒体の中心孔に挿通されて当該磁気記録媒体を吊り下げた状態で支持するハンガー機構と、
前記ハンガー機構と前記浸漬槽との何れか一方を他方に対して昇降操作する昇降機構とを備え、
前記ハンガー機構は、その上端部が前記磁気記録媒体の内周部と当接される支持プレートと、前記支持プレートの外側において当該支持プレートと平行に並ぶ防波プレートとを有し、
前記防波プレートの上端部は、前記支持プレートの上端部よりも下方に位置して、前記磁気記録媒体の内周部との間に間隙を形成すると共に、前記磁気記録媒体の内周部と前記支持プレートとの間の隙間に溜まった液溜まりが液切れするときの液面高さよりも上方に位置することを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
【請求項2】
前記ハンガー機構は、その上端部が前記磁気記録媒体の内周部と当接される一対の支持プレートと、前記一対の支持プレートの外側において当該支持プレートと平行に並ぶ一対の防波プレートとを有することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項3】
前記支持プレートの上端部には、前記磁気記録媒体の内周部が係合される溝部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項4】
前記溝部の底部には、前記支持プレートを鉛直下向きに切り欠くスリットが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項5】
前記ハンガー機構は、前記磁気記録媒体を複数並べた状態で支持することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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