磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置
【課題】磁気ディスク装置の高周波化に対応して磁気記録媒体または磁気ヘッド検査の高精度化および高速化を実現する。
【解決手段】ディスク再生信号をN分配し且つサンプリングクロックをN分配して、該ディスク再生信号または該サンプリングクロックのいずれかに位相差を与え、ディスク再生信号に対してN個配設したA/D変換回路とメモリとを並列に動作させることで、ディスク再生信号を高速にディジタル値に変換して該メモリに保持する。
【解決手段】ディスク再生信号をN分配し且つサンプリングクロックをN分配して、該ディスク再生信号または該サンプリングクロックのいずれかに位相差を与え、ディスク再生信号に対してN個配設したA/D変換回路とメモリとを並列に動作させることで、ディスク再生信号を高速にディジタル値に変換して該メモリに保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き込みおよび読み出し可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドを検査する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークステーション等の情報処理装置において外部記憶装置として磁気記録装置が用いられてきた。特に磁気ディスク装置は、近年における磁性体または磁気ヘッドの改良や信号処理技術の向上等により記録密度の高密度化、記録周波数の高周波化および磁気ディスク装置の低価格化がすすみ、情報処理装置の高速化および低価格化の一端を担っていることはよく知られている。
【0003】
また磁気ディスク装置は、外部記憶装置として記録/再生したデータに対して高信頼性であることが要求されており、磁気ディスク装置に用いる磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査は、実使用周波数で磁気ディスクあるいは磁気ヘッドを用いて試験データの記録・再生を行って検査する方式がよく用いられている。
【0004】
特に磁気ディスクについては、磁気ディスクに記録した試験データを記録/再生して、例えば国際ディスクドライブ協会(IDEMA)において推奨されている試験パラメータである図11に示すようなディスク再生信号の平均振幅値であるTAA(Track Average Amplitude)または平均振幅値TAAの50%点におけるディスク再生信号の平均パルス幅であるPW50等を測定するパラメトリックテストを行って検査対象ディスクの評価および検査を行う。
【0005】
また、磁気ディスクに対して一定周期データの書き込み/読み出しを行った際に、ディスク再生信号振幅がデータパルス単位で平均ディスク再生信号振幅よりも過小な振幅で再生されるミッシングエラーや平均振幅よりも過大な振幅で再生されるスパイクエラー等を検出するサーティファイテスト等を行って検査対象ディスクの評価および検査を行う。
【0006】
図10は、従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成を示す図である。
【0007】
図10に示す検査装置では、まず検査対象とする磁気ディスク101をディスク回転部103により回転動作させ、これに対して、テスト信号発生回路602で周波数foのテスト信号Stを発生して書き込み制御回路603に加え、書き込み制御回路603でテストデータを生成し、書込/読出アンプ601においてテストデータを所定のレベルの書き込み電流に変換して、良品または磁気特性を認知しているR/Wヘッド102を介して磁気ディスク101に順次テストデータを書き込む。
【0008】
書き込み終了後、テストデータを書き込んだ磁気ディスク101上のトラックに対して、R/Wヘッド102により順次に書込/読出アンプ601を介して正相、逆相の2つの信号としてディスク再生信号を再生し、レベル調整用アンプ(AMP)604に送出する。ここでレベル調整された2つのディスク再生信号(それぞれ周波数foのテスト信号Stに対応する信号)Ss1、Ss2は、TAA検出回路605とPW検出回路607と波形比較回路608とに入力される。
【0009】
TAA検出回路605は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)と制御電流源とコンデンサとトラック1周積分回路とを用いて構成し(図示せず)、コンデンサ充電電圧とディスク再生波形電圧とを比較して、コンデンサ充電電圧よりもディスク再生信号電圧が高ければコンデンサを充電するように制御電流源をコンパレータにより制御してディスク再生信号のピーク値付近の包絡線電圧を検出し、トラック1周積分回路によりトラック1周期間の包絡線電圧積分値を検出する。包絡線電圧積分値に対してトラック1周分の時間で除算処理を行うこと、すなわちディスク再生信号の包絡線電圧に対して平均化処理を行うことでディスク再生信号の平均振幅値TAAを検出してスライスレベル作成回路606に出力する。
【0010】
また制御部110のCPU111は、TAA検出回路の出力である平均振幅値TAAを読み込み、TAA計測を行う。
【0011】
スライスレベル作成回路606では、TAAの電圧レベルに対して50%の電圧を閾値(スライスレベル)としてスライス設定1としてPW検出回路607に出力し、また制御部110のCPU111により出力された制御信号PによりTAAの電圧レベルに対してP%の電圧値をスライス設定2として波形比較回路608に出力する。
【0012】
PW検出回路607は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)と制御電流源とコンデンサとトラック1周積分回路とで構成し(図示せず)、上述のディスク再生信号がスライス設定1のレベルを超える時間だけコンデンサを充電するように制御電流源をコンパレータにより制御し、コンデンサ充電電圧をトラック1周積分回路においてトラック1周期間積分してパルス幅積分値(電圧)を検出する。制御部110のCPU111は、PW検出回路607の出力であるパルス幅積分値(電圧)を制御電流源の充電電流値とトラック1周期間のディスク再生信号パルス数で除算処理することで、前述の平均パルス幅PW50を計測する。
【0013】
波形比較回路608は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)で構成され、前述のディスク再生信号の電圧値とスライス設定2の電圧値との比較結果を検出信号としてエラー検出回路609に出力する。エラー検出回路609はゲート回路で構成され、上述のテスト信号発生回路602から送出されるテストデータの各ビットに対応するタイミング信号Tをもとに所定の設定期間のみディスク再生信号パルスのピーク位置を検出するウィンドウパルスを生成し、波形比較回路608の出力である検出信号とウィンドウパルスとから例えばミッシングエラーやスパイクエラー等のエラーを検出して、タイミング信号Tの各ビットに同期させてビットエラー信号Erをエラーメモリ610に出力する。エラー検出回路609はまた、制御部110のCPU111からの制御信号Pを受けて、上述のミッシングエラーやスパイクエラー等の各エラーを検出するように、エラーの種別に応じて動作状態を切り替えられる。
【0014】
エラーメモリ610は、テスト信号発生回路が602発生するタイミング信号Tを受けてエラーメモリ610のアドレスを順次更新し、またエラー検出回路609が出力するエラー信号Erを欠陥データ“1”、“0”として更新されたアドレスに順次記憶する。CPU111は、検査対象とする磁気ディスク101の全周のテストが終了した時点でエラーメモリ610の内容をバスを介してメモリ112に読み込んで磁気ディスク101の評価を行う。
【0015】
上述は検査対象が磁気ディスクであるが、検査対象が磁気ヘッドの場合には、図11の磁気ヘッド101として良品または磁気特性の認識している磁気ディスクを使用することで、同じ構成で、磁気ヘッドであるR/Wヘッド102の評価を行う。
従って図10に示した従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置は、検査対象とする磁気ディスク101に対して上述の回路動作を行うことで、TAAまたはPW50を測定してパラメトリックテストを実現し、またミッシングエラーまたはスパイクエラーを測定してサーティファイテストを実現する。本技術に関連した公知例としては、例えば特許文献1の特開平10−83501号公報に、従来のサーティファイアの概略として述べられている。
【特許文献1】特開平10−83501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来からのアナログ方式による磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、例えば上述の通り包絡線検波回路を用いてディスク再生信号振幅値を検出するため、図11に示したTAAを厳密に計測することについて考慮されておらず、さらにトラック1周積分回路を用いて平均化処理することでディスク再生信号からTAAおよびPW50を計測するため、例えば不連続な任意の数のディスク再生信号パルスにおけるパルス幅または振幅値等を検出して磁気ディスクに対する詳細で且つ高精度な検査を行うことについては考慮されていなかった。
【0017】
また、従来からのアナログ方式を用いた磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディスク再生信号が高周波になると、例えばTAA検出回路ではコンパレータの応答が入力の変化に間に合わずTAA検出精度が悪化する。今後の磁気ディスク装置の高周波化に対して従来方式と同様の検出精度でTAAを測定する場合、例えば現状で利得54dB/周波数帯域幅2GHzである性能のコンパレータに対して周波数帯域幅が8GHz以上と4倍以上のICプロセス性能の向上が必要であり、現状のICプロセス技術では実現が困難である。従って従来方式では今後の磁気ディスク装置の高周波化に対して磁気ディスクまたは磁気ヘッドを実使用周波数で高精度に検査出来ない可能性があり、すなわち高速/高精度な検査が出来ず、検査対象とする磁気ディスクまたは磁気ヘッドの信頼性が低下するという課題を有している。
【0018】
また、従来からのアナログ方式を用いた磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、ディスク再生信号をディジタルサンプリングオシロスコープ等を用いて波形観測して計測することで磁気ディスク装置の高周波化に対応した検査方式があるが、非周期的な任意の検査データ書き込みに対してディジタルサンプリングオシロスコープではディスク再生信号波形を観測して計測することが不可能であるという課題を有している。また周期的な検査データを用いてディジタルサンプリングオシロスコープ等によりディスク再生信号波形の計測を行う場合であっても、磁気ディスクの全トラックに対して試験データを記録/再生する検査を行う場合、検査時間の高速化が図れず磁気ディスクの検査工程におけるスループットが低下するため、磁気ディスクの低価格化が図れないという課題を有していた。
【0019】
本発明の目的は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査が実現可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査が実現可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0021】
また、本発明の目的は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気ディスクまたは磁気ヘッドの高速な検査を実現できる磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生試験データの平均振幅値TAA並びに平均パルス幅PW50を高速に計測することが実現できる磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0024】
また、本発明は、前記演算処理が、該変換したディジタル値を用いて任意の該再生試験データの波高値あるいは任意の閾値を越えるかもしくは下回る閾値時間を計測し、該波高値あるいは該閾値時間についての平均値あるいは分散値あるいは偏差値あるいは累積度数値を算出する統計演算処理または周波数解析演算処理であることを特徴とする検査装置である。
【0025】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換する変換手段と、該変換手段で変換されたディジタル値を保持する保持手段と、該保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0026】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体磁気記録媒体の検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは整数)の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0027】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする検査装置である。
【0028】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、所望の周波数で発振する第1の発振手段の出力により、該磁気記録媒体を保持する保持回転手段を回転動作させる回転制御手段と、該保持回転手段上の該磁気記録媒体に対向して配置される磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に該試験用データを記録する記録手段と、該磁気ヘッドにより該磁気記録媒体に記録された該試験用データを再生する再生手段と、再生した該試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、再生した該試験データを該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、所望の周波数で発振する第2の発振手段に基づくクロック信号により、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック分配手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段と、該第1の発振手段と該第2の発振手段の発振周波数および該変換手段を動作させるサンプリング周波数とを可変する制御手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする磁気記録媒体の検査装置である。
【0029】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、所望の周波数で発振する第1の発振手段の出力により、該磁気記録媒体を保持する保持回転手段を回転動作させる回転制御手段と、該回転制御手段よりの回転数を表すインデックス信号および回転位置を表す該エンコード信号をもとに、スタート信号およびストップ信号に応答して、書き込み開始および終了を表す書き込みモード信号と、読み出し開始および終了を表す読み出しモード信号とを生成するモードおよびタイミング制御手段と、該書き込みモード信号をもとに、該保持回転手段上の該磁気記録媒体に対向して配置される磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に該試験用データを記録する記録手段と、該読み出しモード信号をもとに、該磁気ヘッドにより該磁気記録媒体に記録された該試験用データを再生する再生手段と、再生した該試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、再生した該試験データを該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、所望の周波数で発振する第2の発振手段に基づくクロック信号により、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック分配手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段と、該第1の発振手段と該第2の発振手段の発振周波数および該変換手段を動作させるサンプリング周波数とを可変する制御手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする磁気記録媒体の検査装置である。
【0030】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、該磁気記録媒体に対向して配置されるL個の磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に記録された試験データをL個(Lは2以上の整数)の個別な信号として再生するL個の再生手段と、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは2以上の整数)の変換手段と、再生した該試験データを所望の接続状態にして該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0031】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、 再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置であって、該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、該係数手段の出力と該変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、所望の期間における該再生波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0032】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置であって、該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、該閾値保持手段の出力と該変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により所定の閾値における再生波形の平均パルス値を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、所望の期間における該再生波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気記録媒体よりの再生の試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をすることで、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査を実現できる効果を奏する。
【0034】
また、本発明によれば、磁気記録媒体よりの再生の試験データを、N個の変換手段を用いて高速にディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をすることで、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査を実現でき、今後の磁気ディスク装置の高周波化に対応した検査を実現できる効果を奏する。
【0035】
また本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、複数の再生試験データを、個別にディジタル値に変換して処理することで磁気記録媒体または磁気ヘッドの高速な検査を実現できる効果を奏する。
【0036】
また本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生試験データの平均振幅値TAA並びに平均パルス幅PW50を高速に計測することが実現できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態について示す構成図であり、例えば磁気記録媒体に対して設定した試験用データを記録し、該磁気記録媒体に記録した該試験データを再生し、該試験データ再生信号を用いて該磁気記録媒体または磁気記録ヘッドの良否判定、あるいは特性測定を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成図である。
【0039】
図1に示す磁気記録媒体または磁気記録ヘッドの検査装置1では、記録動作として、ディスク回転部103において磁気記録媒体であるディスク101を保持して回転動作させ、書き込みデータ生成部121において検査に用いる試験用データを生成して出力し、該書き込みデータ生成部121の該出力を書込アンプ122において増幅して出力し、ディスク101において試験目標とするトラック上にR/Wヘッド102を配置し、該書込アンプ122の該出力をもとに該R/Wヘッド102の磁界を変化させて磁気特性を有する該ディスク101に対して書き込み動作させて回転動作中の該ディスク101の試験目標トラックに該試験用データを円周方向に記録する。
【0040】
また、再生動作として、回転動作する該ディスク101に記録した試験データに基づく磁界の変化をR/Wヘッド102において検出し、該検出信号を再生アンプ131により増幅してディスク再生信号を出力し、該ディスク再生信号をディスク再生信号分配回路132により4分配(N=4)し、4分配された該ディスク再生信号をそれぞれ独立なサンプリングクロック信号を用いて4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144により各々独立にディジタル値に変換して出力し、該A/D変換回路141〜144が出力するディジタル値をメモリ151〜154に保持する。
【0041】
該メモリ151〜154に保持されたディジタル値化した該ディスク再生信号データをもとにデータ処理部135において該ディスク再生信号に対して目標とする測定値を演算処理等によって算出して出力し、該データ処理部135により出力した該ディスク再生信号の測定値をもとに、解析処理部136において検査対象とする該ディスクが正常であるか否かを演算して判定処理する判定動作とを行うことで、検査対象とする磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行う。
【0042】
ディスク回転制御部103は、制御部110に配設したCPU111の制御により所定の周波数で発振する可変周波数発振回路113の出力をもとに、ディスク回転制御信号を生成して、ディスク回転部103に対してディスク101を所定の回転数で一定に回転動作するように制御する。CPU111は上述の可変周波数発振回路113と後述する可変周波数発振回路114とを独立に制御するため、ディスク101は試験データの書き込みおよび読み出しとは独立に一定回転動作するように制御される。
【0043】
またディスク回転制御部104は、ディスク回転部103が出力するディスク回転数検出信号をもとにモード切替/タイミング制御部137に対してインデックス信号(ディスク1回転あたり1パルス出力)あるいはエンコーダ信号(例えばディスク1回転あたり1024あるいは2048パルス出力)を出力する。
【0044】
該モード切替/タイミング制御部137は、制御部110に配設したCPU111の制御により所定の周波数で発振する可変周波数発振回路114の出力である基準クロック信号を受けて回路動作し、内部の記録再生セクタ判別部(図示せず)において、例えばカウンタ等のパルス計数回路により、セクタカウンタを設けて、図2に示すごとく該ディスク回転制御部104が出力した該インデックス信号を用いて該セクタカウンタを0にリセットし且つ該エンコーダ信号のパルス数を計数動作することで該R/Wヘッド102により試験データの記録/再生を行う該ディスクのセクタ位置(以下、セクタ位置と記す)を判別する。
【0045】
また設定したスタートセクタ値およびストップセクタ値と該セクタカウンタの出力値であるセクタ位置とを一致比較することでスタート検出信号およびストップ検出信号を内部的に生成して該ディスク101に対する書き込みモードあるいは読み出しモードの開始/終了のタイミングを判別し、書き込みモード信号あるいは読み出しモード信号の生成を行って検査装置1の各部に対してモード切り替えとタイミング制御を行う。
【0046】
図2(1)は、インデックス信号とエンコーダ信号とを用いて任意のセクタを検査する例を示すもので、例えばディスク回転制御部104においてエンコーダ信号をディスク1回転あたり2048パルス出力し、スタートセクタ値を2でストップセクタ値を2044とした場合について、検査対象期間の判別および書き込みモード信号/読み出しモード信号の切り替え動作を行う例を示した図である。
【0047】
ここで、書き込みおよび読み出しの各モード期間は検査装置1のユーザが決定する所定の期間であり、制御部110内のメモリ112に保持したテストプログラムによりCPU111を介して、該モード切替/タイミング制御部137内のレジスタ等にスタートセクタ値およびストップセクタ値として設定する。該モード切替/タイミング制御部137において配設した上述の記録再生セクタ判別部により、スタート検出信号はセクタ位置とスタートセクタ値とが一致する期間のみ有効状態を表す電圧レベルを出力し、ストップ検出信号はセクタ位置とストップセクタ値とが一致する期間のみ効状態を表す電圧レベルを出力する。
【0048】
従って該モード切替/タイミング制御部137では、スタート検出信号パルス出力時からストップ検出信号出力時までの間を検査対象期間として判別可能であり、図2(1)に図示するように例えばディスクN回転目において検査対象とする期間に書き込みモード信号を生成し、ディスクN+1回転において検査対象とする期間に書き込みモード信号の生成を行うことで、ディスク101の任意のセクタに対して試験が可能となる。
【0049】
また図1および図2には特に図示していないが、記録再生セクタ判別部において試験データ書き込み時と読み出し時とにおいて各々スタートセクタ値とストップセクタ値とをモード毎に個別に設定できる構成とすることで、試験データの書き込み期間と読み出し期間とを各々独立して設定することが可能である。またインデックス信号計数回路を配設してディスク回転数判別機能を加えることで、任意の回転数で且つ任意のセクタに対して試験データの書き込みと読み出しとが可能となる。
【0050】
次に図2(2)にインデックス信号のみを用いてディスク検査を行う例を示す。図2(2)は書き込みモード信号あるいは読み出しモード信号が有効になって最初のインデックス信号パルスをスタートパルスとして出力し、書き込みあるいは読み出しモードにおいてスタートパルスとして用いたインデックス信号パルスの次のパルスをストップパルスとして出力することで、ディスク1回転分の書き込みあるいは読み出し動作を行う、すなわち磁気ディスク101のトラック毎の検査を行う例を示したものである。
【0051】
図2(2)では例えばディスク101のN回転目とN+2回転目とでスタートパルスを出力し、ディスク101のN+1回転目とN+3回転目とでストップパルスを出力する例を示している。ここで、図2(2)ではディスク101に対して回転数単位で書き込みあるいは読み出し動作を行う例を示しているが、記録再生セクタ判別部において任意の周波数のクロック信号で動作し且つ該インデックス信号でリセット動作するような計数回路を配設して図2(1)と同様にセクタ計数動作を行う機能を持たせることで、任意のセクタに対して検査することが可能となることはいうまでもない。
【0052】
また該モード切替/タイミング制御部137は、上述のセクタ判別動作に加えて、検査装置1の各部に対して例えば書き込み動作と読み出し動作と解析処理動作とからなる三つの動作状態について制御を行う。すなわち第一の動作状態である書き込み動作時において、該モード切替/タイミング制御部137は、前述のセクタ検出機能により書き込みセクタの判別を行って生成した書き込みモード信号をもとに、ディスク101への記録ビット周波数に等しく設定したデータ生成信号タイミング信号を書き込みデータ生成部121に対して出力して書き込みデータ生成制御を行い、またR/Wヘッド102において試験データに応じて書き込み磁界を変化させるため該書き込みモード信号により書き込みアンプ122の出力端子を出力可能になるように制御することで、該ディスク101に対してデータの書き込み動作を制御する。
【0053】
また、書き込み動作時において該モード切替/タイミング制御部137は読み出しモード信号を不可状態とすることで、該サンプリングクロック分配回路132と該A/D変換回路141〜144と該メモリ制御信号分配回路134と該メモリ151〜154とに対して各々の動作を停止するように各制御信号を出力して、該ディスク101への書き込み信号をディスク再生信号として誤って読み出すことのないように各部を制御する。上述の書き込み動作は、図2に示す検査対象期間(書き込み)中における検査装置の動作状態について述べたものである。
【0054】
第二の動作状態である読み出し動作時において、該モード切替/タイミング制御部137は、上述のセクタ検出機能により読み出しセクタの判別を行って生成した読み出しモード信号をもとに、ディスク再生信号分配回路132によって分配したディスク再生信号をN個配設した該A/D変換回路141〜144においてサンプリングするため、サンプリングクロック分配回路133において設定したタイミングでサンプリングクロックCLK1,CLK2,CLK3,CLK4を生成して出力するように読み出しモード信号とサンプリングクロックとをサンプリングクロック分配回路133に出力する。
【0055】
また同時に該モード切替/タイミング制御部137は、上述のサンプリング動作により得たディスク再生信号のディジタル値を該メモリ151〜154においてメモリアドレスを切り替えて順次メモリへ書き込み保持を行うため、アドレス制御信号およびライトイネーブル信号等からなるメモリ制御信号と読み出しモード信号とを該サンプリングクロックと等しいかまたはそれ以下の周波数でメモリ制御信号分配回路134に出力することで、ディジタル値化したディスク再生信号データの読み出し動作のタイミング制御を行う。
【0056】
また該モード切替/タイミング制御部137は、該書き込みデータ生成部121に対する該データ生成信号タイミング信号を停止して書き込みデータ生成部121を出力停止状態に制御し、且つ該書き込みアンプ122の出力端子を例えば高インピーダンス状態等にして出力を停止させるため該書き込みモード信号を無効状態に制御することで、読み出し動作中における該ディスクへの書き込み動作を停止させる。
【0057】
つまり該モード切替/タイミング制御部137は、上述の書き込み動作と読み出し動作とを同時に行わないように制御するため、書き込みモード信号と読み出しモード信号とを同時に有効にならないように相互に排他的に制御する。上述の読み込み動作は、図2に示す検査対象期間(読み込み)中における検査装置の動作状態について述べたものである。
【0058】
第三の動作状態である解析処理動作において、該モード切替/タイミング制御部137は、該メモリ151〜154に保持したディジタル値(以下データと記す)をもとにディスク再生信号の平均波高値(TAA)やパルス幅(PW50)等を求める演算処理を該データ処理部135において行うため、該メモリ151〜154に書き込まれたデータが有効であるか否かを示すデータ処理タイミング信号を該データ処理部135に出力し、該解析処理部136において演算処理に用いる該データ処理部135の演算処理結果が有効であるか否かを示す解析処理タイミング信号を該解析処理部136に出力する。
【0059】
例えばメモリ151〜154に書き込まれたデータが有効であれば上述の読み出し動作中または書き込み動作中であっても解析処理は可能であり、該データ処理タイミング信号あるいは該解析処理タイミング信号は書き込みモード信号および読み出しモード信号とは独立に制御される。すなわち上述の解析処理動作は、図2に示す検査対象期間(書き込み/読み出し)あるいは非検査対象期間の何れとも独立に並行して動作する検査装置の動作状態について述べたものである。
【0060】
また図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1において、制御部110に配設した中央演算処理ユニット(CPU)111は、メモリ112に書き込まれた動作制御プログラムに従って検査装置全体の動作を制御する。
【0061】
すなわち図1において、CPU111は、可変周波数発振回路113、114に対する発振周波数制御と、モード切替/タイミング制御部137に対するスタート/ストップセクタ値等のタイミング制御データおよび書き込み/読み出しモード等の設定と、書き込みデータ生成部121に対する書き込みデータの設定と、解析処理部136の出力である検査対象磁気ディスクまたは磁気ヘッドの良否判定結果あるいは検査装置各部の動作状態等を読み出してメモリ112に保持する保持動作と、外部に配設したホストコンピュータ2との通信処理とを行う。
【0062】
また図1に示すように、検査装置1では、表示装置160を配設し、該CPU111の制御により該データ処理部135で得たディスク再生信号の測定値、演算処理結果、判定処理結果あるいは検査装置各部の動作状態等を検査装置ユーザに対して表示する。
【0063】
ここで、図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1において、データ処理部135は例えばディジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)等の論理回路によって構成され、メモリ151に保持したディスク再生信号のディジタル値をもとに補間処理等を行って、任意のセクタ位置あるいは任意の数のディスク再生信号パルスに対してパルス毎の振幅値または平均振幅値または任意の閾値におけるパルス毎のパルス幅または平均パルス幅を演算処理して算出する。
【0064】
すなわち本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置は、任意のデータ再生期間あるいは全データ再生期間においてディスク再生信号をディジタル化してメモリに保持するため、保持した該ディジタル値をもとに図3に示す如くディスク再生信号の振幅値あるいは任意の閾値におけるパルス幅に対して、平均値、分散値、偏差値、累積度数値等を算出する統計演算処理を行い、または保持した該離散値に対してFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数解析演算処理を行うことで磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細な検査を行うことが可能である。
【0065】
なお、図3では説明のためディスク再生信号のパルスについて、a<bであるa番目からb番目の連続するディスク再生信号パルスに対する統計演算処理を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、任意の数のディスク再生信号パルス、例えばひとつおきのディスク再生信号パルス等の不連続なパルスについても演算処理可能であることはいうまでもない。
【0066】
また、上述の図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1では、検査対象として磁気記録媒体であるディスク101を用いた構成について述べているが、磁気記録媒体として良品または磁気特性の認知しているディスクと検査対象とする磁気ヘッドとを用いてディスクへの記録・再生を行うことで、磁気ヘッドの検査を行うことが可能である。
【0067】
また、図2では、ディスク回転制御部104からのインデックス信号あるいはエンコーダ信号を用いてディスク101上の記録/再生トラックにおける検査対象区間の判別を用いる構成および方法について説明しているが、本発明における検査装置はこれに限定するものではなく、例えばディスク101の記録/再生トラックに対してセクタ判別信号あるいは検査区間開始/終了信号を記録して、該セクタ判別信号あるいは検査区間開始/終了信号を再生して判別することで検査対象区間の判別を行い且つ磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査が可能である。
【0068】
また図2(2)において、ディスク回転制御部104からのインデックス信号を用いたディスク回転数単位での検査について説明しているが、本発明における検査装置はこれに限定するものではなく、例えばディスク101の回転数とディスク101への記録時間を計測して記録時間の判別/制御を行う、あるいは再生時間を計測して再生時間の判別/制御を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査が可能である。
【0069】
次に、図1に示す本発明に係る第1の実施形態におけるディスク再生信号のディジタル値への変換動作について、図4を用いて説明する。
【0070】
図4はA/D変換回路およびメモリを各々4個配設した際(N=4)のディジタル値変換動作について読み出しモード信号が有効になってからの変換動作例を示すものであり、A/D変換回路141〜144は各々サンプリング周波数fADCでサンプリング動作およびディジタル値変換動作を行い、またメモリ151〜154は各々fADCと等しい周波数でディジタル値データの保持動作を行う。
【0071】
各A/D変換回路141〜144の動作制御を行うサンプリングクロックは、ディスク再生信号に対して周波数が目標とするサンプリング周波数fsであり、図5に示した例では各A/D変換回路141〜144のサンプリング周波数fADCの4倍(N=4)であるサンプリングクロックCLK0をモード切替/タイミング制御部137において読み出しモード信号が有効である期間に生成し、サンプリングクロック分配回路133で該サンプリングクロックCLK0を4分周して、A/D変換回路141〜144のうち1つのA/D変換回路に対してCLK0が4パルスあたり1パルスを出力するように分周制御することでCLK1〜4に分配してそれぞれA/D変換回路141〜144に入力する。
【0072】
またメモリ制御信号は、各A/D変換回路141〜144に接続した各メモリ151〜154に対して読み出しモード信号が有効になってから周波数fADCで順次メモリアドレスを増加させるようにアドレス制御信号を出力し、また前述のアドレス制御信号と同一の周波数で且つ同位相でライトイネーブル信号を出力することで、該A/D変換回路141〜144で変換して得たディジタル値を該アドレス制御信号により制御したメモリアドレスに書き込み動作するように制御される。
【0073】
ここで、サンプリングクロック分配回路133においてCLK1〜4のサンプリングクロック間の位相差を例えばfADCの逆数であるA/D変換回路1回路当たりのサンプリング時間のN分の1に設定してディスク再生信号に対して各A/D変換回路141〜144を並列動作するように制御することで、各A/D変換回路141〜144はディスク再生信号を時分割でディジタル値に変換し、サンプリングデータData1〜4のS1→S2→S3→S4→S5→S6→…の時分割順で出力する。
【0074】
つまり、ディスク再生信号に対してN倍のfADCでの高速サンプリングおよびディジタル値への変換を実現するものである。また上述の説明では、ディスク再生信号に位相差を与えずに分配し、且つサンプリングクロックに位相差を与えて分配することで高速サンプリングを実現することを述べているが、これとは逆にサンプリングクロック分配回路133においてサンプリングクロックに位相差を与えずに分配し、且つディスク再生信号分配回路132においてディスク再生信号に位相差を与えて分配してサンプリングしても同様に高速サンプリングが実現できることはいうまでもない。
【0075】
図1および図4ではN=4の場合について説明しているが、A/D変換回路の並列数Nと、ディスク再生信号周波数finと、A/D変換回路1回路あたりのサンプリング周波数fADCと、finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比M(図4ではM=16)との間には数1に示す関係が成立する。ただしfinは、ディスク再生信号に対して目標とするパルス部分を計測するためのディスク再生信号周波数のn次高調波成分finaと、ディスク再生信号パルスの繰り返し周波数成分finbとのどちらかを用いる。図4に示したディスク再生信号波形では説明のため正弦波を用いており、正弦波は一般に知られるようにn次高調波成分を持たず繰り返し周波数と基本波周波数成分が同一で、従ってfinaとfinbとが一致している場合である。
【0076】
N≧M×fin/fADC 数1
ただし数1においてNは1以上の整数である。ディスク再生信号周波数finは制御部110に配設したCPU111により上述の可変周波数発振回路113、114の発振周波数を可変することで制御され、すなわち書き込みデータの記録周波数および記録/再生時のディスク回転数およびデータパターンにより決定される。
【0077】
またfinと目標サンプリング周波数との比Mは、検査対象とする磁気記録媒体または磁気ヘッドの特性に対して目標とする測定精度等を用いて規定するものであり、A/D変換回路1回路あたりのサンプリング周波数fADCはA/D変換回路の最高サンプリング周波数を上限として、モード切替/タイミング制御部137において生成するサンプリングクロックを分配した周波数である。
【0078】
従って、上述のfin、fADC、Mは、図1に示す磁気記録媒体または磁気ディスクの検査装置1において、既知の値で且つ検査装置ユーザが意図する値に設定可能である。
【0079】
従って、上述の構成によりディスク再生信号に対して時間軸方向で精細にサンプリングすることで、例えばディスク再生信号の急峻な変動を高精度にディジタル値に変換することが可能となり、例えばTAAまたはPW50等をディジタル演算処理により算出する際に高精度なディジタル値データを用いることで磁気ディスクまたは磁気ヘッドの高精度な検査が可能となる。
【0080】
すなわち本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査が実現可能である。
【0081】
また本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは整数)の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体の検査を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査が実現可能である。
【0082】
また本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、上述の一実施の形態のように、 N個の変換手段とサンプリングクロック再生手段とN個の保持手段とデータ処理手段と解析処理手段とを配設することで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して高速な検査を実現できる。 したがって、今後のディスク再生信号の高周波化に対応して高精度に磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行うことができる。
【0083】
次に、本発明に係る第2の実施の形態について図5を用いて説明する。図5では、検査対象とする磁気記録媒体であるディスクに対し、L個のR/Wヘッドと各R/Wヘッドに対応した再生アンプとを配設して、例えば異なるトラックあるいはセクタにおけるディスク再生信号を、各R/Wヘッドにより検出して再生アンプにより増幅してL個のディスク再生信号を得るとともに、N個配設した複数のA/D変換回路に対してディスク再生信号分配回路において分配制御信号により切り替えスイッチSWを制御してディスク再生信号の分配数および分配先を切り替えて出力し、各A/D変換回路においてサンプリング周波数fADCでディジタル値に変換してメモリに出力する。
【0084】
図5では、4個(L=4)のR/Wヘッド301〜304と再生アンプ311〜314とをディスク再生信号分配回路132に入力し、分配制御信号S1,S2を切り替えて該ディスク再生信号分配回路132の入出力間の接続状態を変更することで、4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対してディスク再生信号の分配数を可変制御する構成例を示している。
【0085】
またサンプリングクロック分配回路133は、図1のモード切替/タイミング制御部137が出力したサンプリングクロックを用いてカウンタ331を動作させ、読み出しモード時に、N個配設した比較回路332〜335において、該カウンタ331の出力とN個の設定値とが一致した時のみサンプリングパルスを出力するように構成し、該サンプリングクロックをN分周し且つ各サンプリングパルス間の位相差がN分周したサンプリングクロックの周期をN等分した時間に等しいN相のクロックに変換する構成とし、1つのA/D変換回路の動作周波数であるサンプリング周波数fADCのN倍の周波数であるサンプリングクロックを該モード切替/タイミング制御部137により生成することで、各A/D変換回路に対してサンプリング周波数がfADCで且つN相の位相差でサンプリングクロックを供給する。
ここではサンプリングクロック分配回路133としてカウンタ331と比較回路332〜335を用いた構成を用いて述べているが、回路構成としてはこれに限らず、例えば遅延素子等を用いてサンプリングクロックをN相の位相差で且つN分配する構成としてもよい。
【0086】
図5では、4倍(N=4)のfADCである周波数のサンプリングクロックをサンプリングクロック分配回路133に入力してカウンタ331を動作させ、カウンタ331の4つの出力状態すなわち00,01,10,11と設定値とを比較回路332〜335で比較し、遅延回路330で遅延したサンプリングクロックCLK0を該各比較回路332〜335の一致出力をもとにANDゲート336〜339でゲートして、該ANDゲート336〜339の出力をサンプリングクロックCLK1〜4として各A/D変換回路141〜144に対して出力する構成を示している。
【0087】
なお、各A/D変換回路141〜144の出力は図1に図示と同様のメモリ151〜154に供給され、その出力はデータ処理部135および解析処理部136に接続される。
【0088】
図6は図5に示した本発明に係る第2の実施の形態について、図1のモード切替/タイミング制御部137(図5では図示せず)においてスタートセクタを判別し読み出しモード信号を有効にしてサンプリング動作を開始した際のサンプリング回路動作を説明するものであり、図5に示した該分配制御信号がS1=‘L’で且つS2=‘H’である場合について示したものである。
【0089】
ここでディスク再生信号in1はR/Wヘッド101および再生アンプ311からの出力信号でありA/D変換回路141および143に分配して入力され、ディスク再生信号in2はR/Wヘッド302および再生アンプ312からの出力信号でありA/D変換回路142および144に分配して入力される例を示すものであり、すなわちディスク再生信号分配回路132において出力するディスク再生信号が2種類(L=2)である例である。また、2つのディスク再生信号in1、in2に対してディスク再生信号in1の再生セクタ番号が2であることを判別してサンプリング動作を開始する例を示している。
【0090】
すなわち各ディスク再生信号に対するサンプリング動作は、図6に示すように、A/D変換回路141および143に分配したディスク再生信号をそれぞれサンプリングクロックCLK1およびCLK3のタイミングでサンプリングしてサンプリングデータData1およびData3に変換し、且つA/D変換回路142および144に分配したディスク再生信号をそれぞれサンプリングクロックCLK2およびCLK4のタイミングでサンプリングしてサンプリングデータData2およびData4に変換する。
【0091】
従って、最終的にディスク再生信号in1はサンプリングデータとしてS1→S3→S5→S7→…の順にメモリ151および153(図示せず)に書き込まれ、またディスク再生信号in2はサンプリングデータとしてS2→S4→S6→S8→…の順にメモリ152および154(図示せず)に書き込まれる。
【0092】
なお、ここでは説明のため2つのディスク再生信号in1、in2に対してディスク再生信号in1の再生セクタ番号のみをサンプリング動作の開始判別に用いているが、実際には各ディスク再生信号に対して例えば個別にセクタ番号の判別を行い、設定した任意トラックあるいはセクタ区間に対してそれぞれ独立に検査することも可能である。
【0093】
また図5に示すディスク再生信号分配回路132において分配制御信号をS1=“L”で且つS2=“L”に設定した場合、これはディスク再生信号in1〜in4を各々4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対して各々1:1で分配することになり(L=4)、ディスク再生信号in1〜in4を周波数fADCでサンプリングすることになる。
【0094】
また図5に示すディスク再生信号分配回路132において分配制御信号をS1=“H”に設定した場合、これはディスク再生信号in1のみを4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対して分配することになり、この場合検査装置1の回路動作は図2に示した回路動作と等しく、ディスク再生信号in1をfADCの4倍の周波数でサンプリングすることと等しくなり、従ってディスク再生信号in1に対してS1→S2→S3→S4→S5→…の順にディジタル値に変換することになる。
【0095】
ここで、各A/D変換回路141〜144のサンプリング周波数をfADCとしてひとつのディスク再生信号に対するサンプリング周波数fsampleについて着目すると、fsampleは(N/L)×fADCに等しくなり、ディスク再生信号に対して分配制御信号を切り替えることでサンプリング周波数を可変制御可能となる。
【0096】
すなわち、上述したように磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置においてディスク再生信号周波数finは制御可能で既知の値であることから、数1に示した関係を用いて定めたA/D変換回路の並列数Nに対して、ディスク再生信号分配回路においてL個のディスク再生信号との接続状態を制御することで、ひとつのディスク再生信号に対するサンプリング周波数fsampleを数2に示す関係をもって制御可能となる。
【0097】
fsample=(N/L)×fADC 数2
従って、例えばディスク再生信号に対して計測目標とする周波数成分がA/D変換回路のサンプリング周波数に対して高い場合に数2に示した関係でL=1すなわち1個のR/Wヘッドと再生アンプおよびN個のA/D変換回路とを用いて、高速なサンプリング動作を実現する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、測定対象とするディスクまたは磁気ヘッドを用いた際に計測目標とするディスク再生信号の周波数成分がA/D変換回路のサンプリング周波数に対して高くない場合または測定精度に余裕がある場合等に、数2に示した関係でL>1(図5ではL=2)すなわちL個のR/Wヘッドと再生アンプおよびN個のA/D変換回路とを用いることでディスクの異なったトラックをL個の複数ヘッドを用いて同時に測定が可能となり、ディスクあるいは磁気ヘッドの検査工程におけるスループットの向上が可能となる。
【0098】
また本発明における検査装置では、検査するディスク数を限定するものではなく、例えば複数枚のディスクに対して複数個の磁気ヘッドと該磁気ヘッドに対応した再生アンプを用いることで、複数枚ディスクあるいは複数磁気ヘッドの同時測定が可能であり、またディスク検査のスループット向上を図るべくディスクの搬送装置を有する構成としてもよい。
【0099】
ここで図5および図6では、本発明に係る第2の実施の形態について説明のため、可変周波数発振回路および試験データの書き込み機能およびディスク再生波形をディジタル値化したディジタル値データの保持機能および該ディジタル値データから所望の測定値を算出する演算処理機能およびタイミング制御機能等について記載をしていないが、これらの機能については図1に示した本発明に係る第1の実施の形態と同じであり、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置ではこれらの機能を有している。
【0100】
また、図5および図6では説明のため各A/D変換回路毎にサンプリングクロックの位相を固定して供給する構成としているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばディスク再生信号分配回路132への分配制御信号に応じてサンプリングクロック分配回路133において分配するサンプリングクロックの位相差を切り替える構成としても可能であり、L個のディスク再生信号に対して各々数2に示すサンプリング周波数でサンプリングすることを実現するものであればよい。また、分配制御信号の制御すなわち1つの再生信号に対するA/D変換回路の並列数に応じてサンプリングクロック周波数を可変制御する構成としてもよい。
【0101】
すなわち本実施の形態では、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、該磁気記録媒体に記録した試験データを読み出して磁気記録媒体媒体または磁気ヘッドの試験を行う際に、L個配設したR/Wヘッドおよび再生アンプより出力されるL個のディスク再生信号をN個配設したA/D変換回路に再生信号分配回路を用いて分配する構成としたことで、複数の再生信号を並列で且つ別個にディジタル値に変換して処理することで、磁気記録媒体または磁気ヘッド検査の高速化を実現することができる。
【0102】
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、上述の通りディスク再生信号に対して平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測することで磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う。TAAおよびPW50は、ディスク再生波形の振幅およびパルス幅を計測し、図11に示す如く例えばディスク1周分について平均値処理することで得るものである。
【0103】
ここで、ディスク再生波形を一定の時間間隔でサンプリングする場合、ディスク再生波形の時間に対する電圧変化率すなわち傾きが大きい部分では振幅方向に関してサンプリング密度が低くなり、またディスク再生波形の傾きが小さい部分振幅方向に関してサンプリング密度が高くなる。
【0104】
例えば図8(1)に示すようなディスク再生信号では、サンプル値の発生頻度は0[V]付近とピーク値付近とで高くなる。この場合、ディスク再生信号ピーク値付近で最も発生頻度が高いサンプル値は、図11に示したディスク再生信号の平均振幅TAAとほぼ等価になる。従って、ディスク再生信号サンプル値の発生頻度を計測し、該発生頻度がピーク値であるサンプル値を判別することでTAA計測が可能である。
【0105】
また、図8(2)に示す如くディスク再生信号パルス毎にディスク再生信号振幅が閾値電圧よりも大きい間の時間計測用パルスのパルス数を計測し、該パルス数について上述のTAA計測と同様にパルス数毎の発生頻度を計測して、発生頻度が最も高い該パルス数を検出する。ここで該閾値電圧は、前述のTAA値の50%の値を用いる。該時間計測用パルスの発振周波数の逆数に該パルス数を乗算処理することで得たパルス幅時間は図11に示したディスク再生信号の平均パルス幅PW50とほぼ等価になる。従って、ディスク再生信号のパルス幅を再生信号パルス毎に計測し、該パルス幅の発生頻度がピーク値であるパルス幅を判別することでPW50計測が可能である。
【0106】
図7は、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気ディスクに書き込んだ試験データを再生して磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行う際に、上述の計測方式をもとにディスク再生信号波形の平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測する装置の構成について示した図である。
【0107】
すなわち図7に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディスク回転部103により回転動作し且つ試験データを書き込まれた磁気ディスク101からR/Wヘッド102と再生アンプ131とを介して試験データの波形再生を行い、これをA/D変換回路403においてサンプリングクロックCLK1に従ってサンプリングしてディジタル値に変換する。
【0108】
頻度計測部404は、例えば、A/D変換回路403が出力するディジタル値毎に頻度カウンタを内部に配設し、サンプリングクロックCLK1と同一周波数の頻度カウントクロックをもとに、該A/D変換回路403が出力したディジタル値に対応した頻度カウンタのカウント値を増加動作させる。ヒストグラム処理部406はゲート回路からなり、例えばディスク101の1周分の読み出し動作の終了と同時に該頻度計測部404に配設した複数の該頻度カウンタ出力を順次読み出し、ディスク再生波形振幅付近のピーク値をTAA計測値として出力する。
【0109】
また図7に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディジタルコンパレータ408において該A/D変換回路403の出力値と該ヒストグラム処理部404が出力するTAAを50%の値にした閾値データとを比較して、ディスク再生信号パルス数と同一のパルス数であるカウンタイネーブル信号Enを生成する。カウンタ409は発振回路402において生成された既知の周波数の時間計測用クロックCLK2と該カウンタイネーブル信号Enとでカウント動作し、Enパルス毎にEnが有効である期間のCLK2のパルス数を計測する。
【0110】
頻度計測部405は、例えば該カウンタ409が出力する離散値毎に頻度カウンタを内部に配設し、該カウンタイネーブル信号Enを頻度カウントクロックとして、該カウンタ409が出力した離散値に対応した頻度カウンタのカウント値を増加動作させる。ヒストグラム処理部407はゲート回路からなり、例えばディスク101の1周分の読み出し動作の終了と同時に該頻度計測部405に配設した複数の該頻度カウンタ出力を順次読み出し、該頻度カウンタ出力値が最大である該頻度カウンタに対応する該カウンタ値をPW計測値として出力する。
【0111】
ここでPW計測値は該時間測定用クロックCLK2のパルス数で与えられるが、該時間測定用クロックCLK2の発振周波数が既知であることから、制御部に配設したCPU(図示せず)等により該時間計測用クロックCLK2の発振周波数の逆数に該パルス数を乗算処理することでPW値を得る。
【0112】
上述の説明では頻度計測部404、405において複数のカウンタを用いる構成について述べているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば図9に示すようにメモリ511、521並びに加算回路512、522を用いた構成としてもよい。
【0113】
すなわちTAA計測においてはA/D変換回路403で変換されたディスク再生信号の離散値をもとに、メモリ511を用いて該ディジタル値に対応した該メモリ511のアドレスに書き込まれたデータを加算回路512を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測することも可能である。PW50計測についても、メモリ521を用いてカウンタ525の出力値に対応した該メモリ521のアドレスに書き込まれたデータを加算回路522を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測することも可能である。
【0114】
また、図9では任意の閾値データを保持したレジスタ523とA/D変換回路403との出力をディジタルコンパレータ524を用いて比較することでカウンタ525の動作制御を行う構成例であり,すなわち本構成によれば任意の閾値に対する平均パルス幅を計測することが可能であり、またPW50を計測する際には前述のTAA測定値の50%のデータをレジスタ523に設定して計測すればよいことは言うまでもない。
【0115】
また特に図示してはいないが、PW50については、試験データ読み出し期間中におけるカウンタイネーブル信号Enのパルス幅の合計とパルス数とを計測し、読み出し終了後に該パルス幅の合計値を該パルス数で除算して平均値処理することでも計測可能である。
【0116】
また、図7および図8および図9では、本発明に係る第3の実施の形態について説明のため、試験データの書き込み機能およびタイミング制御機能等について記載をしていないが、これらの機能については図1に示した本発明に係る第1の実施の形態と同じであり、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置ではこれらの機能を有する。
【0117】
すなわち本発明は、ディスク再生波形の平均振幅値TAAあるいは任意の閾値レベルにおける平均パルス幅PWを計測する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、計測値の頻度を求めることでTAAとPWとの両方あるいはいずれかを統計的に処理して計測することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置における第一の実施の形態を示す図である。
【図2】図1の動作を示す図である。
【図3】ディスク再生信号の波高値およびパルス幅についての統計演算処理を説明する図である。
【図4】図1の第一の実施形態について、複数のA/D変換回路を用いてディスク再生信号をサンプリングしてディジタル値に変換する動作を説明する図である。
【図5】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において第二の実施の形態を示す図である。
【図6】図2の第二の実施の形態について、複数のA/D変換回路を用いて、複数のディスク再生信号を個別にサンプリングしてディジタル値に変換する動作を説明する図である。
【図7】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において第三の実施の形態を示す図である。
【図8】図7の第三の実施の形態について、ディスク再生波形の平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測する原理を説明する図である。
【図9】図7の第三の実施の形態についての、別の実施の形態を示す図である。
【図10】従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成を示す図である。
【図11】ディスク再生信号に対するディスク再生信号平均振幅値(TAA)およびTAAの50%点におけるディスク再生信号平均パルス幅(PW50)の定義を説明する図である。
【符号の説明】
【0119】
1…磁気ディスク/磁気ヘッド検査装置、2…ホストコンピュータ、101…ディスク、102…R/Wヘッド、103…ディスク回転部、104…ディスク回転制御部、110…制御部、111…CPU、112…メモリ、113、114…可変周波数発振回路、121…書き込みデータ生成部、122…書込アンプ、131…再生アンプ、132…ディスク再生信号分配回路、133…サンプリングクロック分配回路、134…メモリ制御信号分配回路、135…データ処理部、136…解析処理部、137…モード切替/タイミング制御部、141、142、143、144…A/D変換回路、151、152、153、154…メモリ、160…表示装置、301、302、303、304…R/Wヘッド、311、312、313、314…再生アンプ、321、322、323、324、325、326、327、328…バッファアンプ(Buf)、330…遅延回路、331…カウンタ、332、333、334、335…比較回路、336、337、338、339…ANDゲート、401、402…発振回路、403…A/D変換回路、404、405…頻度計測部、406、407…ヒストグラム処理部、408…ディジタルコンパレータ、409…カウンタ、410…係数回路、501、502…発振回路、503、504…遅延回路、511、521…メモリ、521、522…加算回路、523…レジスタ、524…ディジタルコンパレータ、525…カウンタ、601…書込/読出アンプ、602…テスト信号発生回路、603…書込制御回路、604…レベル調整用アンプ(AMP)、605…TAA検出回路、606…スライスレベル作成回路、607…PW検出回路、608…波形比較回路、609…エラー検出回路、610…エラーメモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き込みおよび読み出し可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドを検査する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークステーション等の情報処理装置において外部記憶装置として磁気記録装置が用いられてきた。特に磁気ディスク装置は、近年における磁性体または磁気ヘッドの改良や信号処理技術の向上等により記録密度の高密度化、記録周波数の高周波化および磁気ディスク装置の低価格化がすすみ、情報処理装置の高速化および低価格化の一端を担っていることはよく知られている。
【0003】
また磁気ディスク装置は、外部記憶装置として記録/再生したデータに対して高信頼性であることが要求されており、磁気ディスク装置に用いる磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査は、実使用周波数で磁気ディスクあるいは磁気ヘッドを用いて試験データの記録・再生を行って検査する方式がよく用いられている。
【0004】
特に磁気ディスクについては、磁気ディスクに記録した試験データを記録/再生して、例えば国際ディスクドライブ協会(IDEMA)において推奨されている試験パラメータである図11に示すようなディスク再生信号の平均振幅値であるTAA(Track Average Amplitude)または平均振幅値TAAの50%点におけるディスク再生信号の平均パルス幅であるPW50等を測定するパラメトリックテストを行って検査対象ディスクの評価および検査を行う。
【0005】
また、磁気ディスクに対して一定周期データの書き込み/読み出しを行った際に、ディスク再生信号振幅がデータパルス単位で平均ディスク再生信号振幅よりも過小な振幅で再生されるミッシングエラーや平均振幅よりも過大な振幅で再生されるスパイクエラー等を検出するサーティファイテスト等を行って検査対象ディスクの評価および検査を行う。
【0006】
図10は、従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成を示す図である。
【0007】
図10に示す検査装置では、まず検査対象とする磁気ディスク101をディスク回転部103により回転動作させ、これに対して、テスト信号発生回路602で周波数foのテスト信号Stを発生して書き込み制御回路603に加え、書き込み制御回路603でテストデータを生成し、書込/読出アンプ601においてテストデータを所定のレベルの書き込み電流に変換して、良品または磁気特性を認知しているR/Wヘッド102を介して磁気ディスク101に順次テストデータを書き込む。
【0008】
書き込み終了後、テストデータを書き込んだ磁気ディスク101上のトラックに対して、R/Wヘッド102により順次に書込/読出アンプ601を介して正相、逆相の2つの信号としてディスク再生信号を再生し、レベル調整用アンプ(AMP)604に送出する。ここでレベル調整された2つのディスク再生信号(それぞれ周波数foのテスト信号Stに対応する信号)Ss1、Ss2は、TAA検出回路605とPW検出回路607と波形比較回路608とに入力される。
【0009】
TAA検出回路605は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)と制御電流源とコンデンサとトラック1周積分回路とを用いて構成し(図示せず)、コンデンサ充電電圧とディスク再生波形電圧とを比較して、コンデンサ充電電圧よりもディスク再生信号電圧が高ければコンデンサを充電するように制御電流源をコンパレータにより制御してディスク再生信号のピーク値付近の包絡線電圧を検出し、トラック1周積分回路によりトラック1周期間の包絡線電圧積分値を検出する。包絡線電圧積分値に対してトラック1周分の時間で除算処理を行うこと、すなわちディスク再生信号の包絡線電圧に対して平均化処理を行うことでディスク再生信号の平均振幅値TAAを検出してスライスレベル作成回路606に出力する。
【0010】
また制御部110のCPU111は、TAA検出回路の出力である平均振幅値TAAを読み込み、TAA計測を行う。
【0011】
スライスレベル作成回路606では、TAAの電圧レベルに対して50%の電圧を閾値(スライスレベル)としてスライス設定1としてPW検出回路607に出力し、また制御部110のCPU111により出力された制御信号PによりTAAの電圧レベルに対してP%の電圧値をスライス設定2として波形比較回路608に出力する。
【0012】
PW検出回路607は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)と制御電流源とコンデンサとトラック1周積分回路とで構成し(図示せず)、上述のディスク再生信号がスライス設定1のレベルを超える時間だけコンデンサを充電するように制御電流源をコンパレータにより制御し、コンデンサ充電電圧をトラック1周積分回路においてトラック1周期間積分してパルス幅積分値(電圧)を検出する。制御部110のCPU111は、PW検出回路607の出力であるパルス幅積分値(電圧)を制御電流源の充電電流値とトラック1周期間のディスク再生信号パルス数で除算処理することで、前述の平均パルス幅PW50を計測する。
【0013】
波形比較回路608は、例えば電圧比較回路(コンパレータ)で構成され、前述のディスク再生信号の電圧値とスライス設定2の電圧値との比較結果を検出信号としてエラー検出回路609に出力する。エラー検出回路609はゲート回路で構成され、上述のテスト信号発生回路602から送出されるテストデータの各ビットに対応するタイミング信号Tをもとに所定の設定期間のみディスク再生信号パルスのピーク位置を検出するウィンドウパルスを生成し、波形比較回路608の出力である検出信号とウィンドウパルスとから例えばミッシングエラーやスパイクエラー等のエラーを検出して、タイミング信号Tの各ビットに同期させてビットエラー信号Erをエラーメモリ610に出力する。エラー検出回路609はまた、制御部110のCPU111からの制御信号Pを受けて、上述のミッシングエラーやスパイクエラー等の各エラーを検出するように、エラーの種別に応じて動作状態を切り替えられる。
【0014】
エラーメモリ610は、テスト信号発生回路が602発生するタイミング信号Tを受けてエラーメモリ610のアドレスを順次更新し、またエラー検出回路609が出力するエラー信号Erを欠陥データ“1”、“0”として更新されたアドレスに順次記憶する。CPU111は、検査対象とする磁気ディスク101の全周のテストが終了した時点でエラーメモリ610の内容をバスを介してメモリ112に読み込んで磁気ディスク101の評価を行う。
【0015】
上述は検査対象が磁気ディスクであるが、検査対象が磁気ヘッドの場合には、図11の磁気ヘッド101として良品または磁気特性の認識している磁気ディスクを使用することで、同じ構成で、磁気ヘッドであるR/Wヘッド102の評価を行う。
従って図10に示した従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置は、検査対象とする磁気ディスク101に対して上述の回路動作を行うことで、TAAまたはPW50を測定してパラメトリックテストを実現し、またミッシングエラーまたはスパイクエラーを測定してサーティファイテストを実現する。本技術に関連した公知例としては、例えば特許文献1の特開平10−83501号公報に、従来のサーティファイアの概略として述べられている。
【特許文献1】特開平10−83501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来からのアナログ方式による磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、例えば上述の通り包絡線検波回路を用いてディスク再生信号振幅値を検出するため、図11に示したTAAを厳密に計測することについて考慮されておらず、さらにトラック1周積分回路を用いて平均化処理することでディスク再生信号からTAAおよびPW50を計測するため、例えば不連続な任意の数のディスク再生信号パルスにおけるパルス幅または振幅値等を検出して磁気ディスクに対する詳細で且つ高精度な検査を行うことについては考慮されていなかった。
【0017】
また、従来からのアナログ方式を用いた磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディスク再生信号が高周波になると、例えばTAA検出回路ではコンパレータの応答が入力の変化に間に合わずTAA検出精度が悪化する。今後の磁気ディスク装置の高周波化に対して従来方式と同様の検出精度でTAAを測定する場合、例えば現状で利得54dB/周波数帯域幅2GHzである性能のコンパレータに対して周波数帯域幅が8GHz以上と4倍以上のICプロセス性能の向上が必要であり、現状のICプロセス技術では実現が困難である。従って従来方式では今後の磁気ディスク装置の高周波化に対して磁気ディスクまたは磁気ヘッドを実使用周波数で高精度に検査出来ない可能性があり、すなわち高速/高精度な検査が出来ず、検査対象とする磁気ディスクまたは磁気ヘッドの信頼性が低下するという課題を有している。
【0018】
また、従来からのアナログ方式を用いた磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、ディスク再生信号をディジタルサンプリングオシロスコープ等を用いて波形観測して計測することで磁気ディスク装置の高周波化に対応した検査方式があるが、非周期的な任意の検査データ書き込みに対してディジタルサンプリングオシロスコープではディスク再生信号波形を観測して計測することが不可能であるという課題を有している。また周期的な検査データを用いてディジタルサンプリングオシロスコープ等によりディスク再生信号波形の計測を行う場合であっても、磁気ディスクの全トラックに対して試験データを記録/再生する検査を行う場合、検査時間の高速化が図れず磁気ディスクの検査工程におけるスループットが低下するため、磁気ディスクの低価格化が図れないという課題を有していた。
【0019】
本発明の目的は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査が実現可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査が実現可能な磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0021】
また、本発明の目的は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気ディスクまたは磁気ヘッドの高速な検査を実現できる磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生試験データの平均振幅値TAA並びに平均パルス幅PW50を高速に計測することが実現できる磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0024】
また、本発明は、前記演算処理が、該変換したディジタル値を用いて任意の該再生試験データの波高値あるいは任意の閾値を越えるかもしくは下回る閾値時間を計測し、該波高値あるいは該閾値時間についての平均値あるいは分散値あるいは偏差値あるいは累積度数値を算出する統計演算処理または周波数解析演算処理であることを特徴とする検査装置である。
【0025】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換する変換手段と、該変換手段で変換されたディジタル値を保持する保持手段と、該保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0026】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体磁気記録媒体の検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは整数)の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0027】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする検査装置である。
【0028】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、所望の周波数で発振する第1の発振手段の出力により、該磁気記録媒体を保持する保持回転手段を回転動作させる回転制御手段と、該保持回転手段上の該磁気記録媒体に対向して配置される磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に該試験用データを記録する記録手段と、該磁気ヘッドにより該磁気記録媒体に記録された該試験用データを再生する再生手段と、再生した該試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、再生した該試験データを該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、所望の周波数で発振する第2の発振手段に基づくクロック信号により、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック分配手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段と、該第1の発振手段と該第2の発振手段の発振周波数および該変換手段を動作させるサンプリング周波数とを可変する制御手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする磁気記録媒体の検査装置である。
【0029】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、所望の周波数で発振する第1の発振手段の出力により、該磁気記録媒体を保持する保持回転手段を回転動作させる回転制御手段と、該回転制御手段よりの回転数を表すインデックス信号および回転位置を表す該エンコード信号をもとに、スタート信号およびストップ信号に応答して、書き込み開始および終了を表す書き込みモード信号と、読み出し開始および終了を表す読み出しモード信号とを生成するモードおよびタイミング制御手段と、該書き込みモード信号をもとに、該保持回転手段上の該磁気記録媒体に対向して配置される磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に該試験用データを記録する記録手段と、該読み出しモード信号をもとに、該磁気ヘッドにより該磁気記録媒体に記録された該試験用データを再生する再生手段と、再生した該試験データをディジタル値に変換するN個の変換手段と、再生した該試験データを該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、所望の周波数で発振する第2の発振手段に基づくクロック信号により、該N個の変換手段を1個の変換手段につきサンプリング周波数fADCで動作させるサンプリングクロック分配手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段と、該データ処理手段の出力より該磁気記録媒体の判定処理をする解析処理手段と、該第1の発振手段と該第2の発振手段の発振周波数および該変換手段を動作させるサンプリング周波数とを可変する制御手段とを備え、且つ、再生した試験データの周波数finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比であるMと、該周波数finと、該変換手段を動作させるサンプリング周波数fADCとが、N≧ M×fin/fADC である関係で且つ整数であることを特徴とする磁気記録媒体の検査装置である。
【0030】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置において、該磁気記録媒体に対向して配置されるL個の磁気ヘッドにより、該磁気記録媒体に記録された試験データをL個(Lは2以上の整数)の個別な信号として再生するL個の再生手段と、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは2以上の整数)の変換手段と、再生した該試験データを所望の接続状態にして該N個の変換手段に分配して供給する再生信号分配手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0031】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、 再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置であって、該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、該係数手段の出力と該変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、所望の期間における該再生波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【0032】
また、本発明は、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験用データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う検査装置であって、該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により再生波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、該閾値保持手段の出力と該変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により所定の閾値における再生波形の平均パルス値を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、所望の期間における該再生波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする検査装置である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気記録媒体よりの再生の試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をすることで、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査を実現できる効果を奏する。
【0034】
また、本発明によれば、磁気記録媒体よりの再生の試験データを、N個の変換手段を用いて高速にディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をすることで、磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査を実現でき、今後の磁気ディスク装置の高周波化に対応した検査を実現できる効果を奏する。
【0035】
また本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、複数の再生試験データを、個別にディジタル値に変換して処理することで磁気記録媒体または磁気ヘッドの高速な検査を実現できる効果を奏する。
【0036】
また本発明によれば、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生試験データの平均振幅値TAA並びに平均パルス幅PW50を高速に計測することが実現できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態について示す構成図であり、例えば磁気記録媒体に対して設定した試験用データを記録し、該磁気記録媒体に記録した該試験データを再生し、該試験データ再生信号を用いて該磁気記録媒体または磁気記録ヘッドの良否判定、あるいは特性測定を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成図である。
【0039】
図1に示す磁気記録媒体または磁気記録ヘッドの検査装置1では、記録動作として、ディスク回転部103において磁気記録媒体であるディスク101を保持して回転動作させ、書き込みデータ生成部121において検査に用いる試験用データを生成して出力し、該書き込みデータ生成部121の該出力を書込アンプ122において増幅して出力し、ディスク101において試験目標とするトラック上にR/Wヘッド102を配置し、該書込アンプ122の該出力をもとに該R/Wヘッド102の磁界を変化させて磁気特性を有する該ディスク101に対して書き込み動作させて回転動作中の該ディスク101の試験目標トラックに該試験用データを円周方向に記録する。
【0040】
また、再生動作として、回転動作する該ディスク101に記録した試験データに基づく磁界の変化をR/Wヘッド102において検出し、該検出信号を再生アンプ131により増幅してディスク再生信号を出力し、該ディスク再生信号をディスク再生信号分配回路132により4分配(N=4)し、4分配された該ディスク再生信号をそれぞれ独立なサンプリングクロック信号を用いて4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144により各々独立にディジタル値に変換して出力し、該A/D変換回路141〜144が出力するディジタル値をメモリ151〜154に保持する。
【0041】
該メモリ151〜154に保持されたディジタル値化した該ディスク再生信号データをもとにデータ処理部135において該ディスク再生信号に対して目標とする測定値を演算処理等によって算出して出力し、該データ処理部135により出力した該ディスク再生信号の測定値をもとに、解析処理部136において検査対象とする該ディスクが正常であるか否かを演算して判定処理する判定動作とを行うことで、検査対象とする磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行う。
【0042】
ディスク回転制御部103は、制御部110に配設したCPU111の制御により所定の周波数で発振する可変周波数発振回路113の出力をもとに、ディスク回転制御信号を生成して、ディスク回転部103に対してディスク101を所定の回転数で一定に回転動作するように制御する。CPU111は上述の可変周波数発振回路113と後述する可変周波数発振回路114とを独立に制御するため、ディスク101は試験データの書き込みおよび読み出しとは独立に一定回転動作するように制御される。
【0043】
またディスク回転制御部104は、ディスク回転部103が出力するディスク回転数検出信号をもとにモード切替/タイミング制御部137に対してインデックス信号(ディスク1回転あたり1パルス出力)あるいはエンコーダ信号(例えばディスク1回転あたり1024あるいは2048パルス出力)を出力する。
【0044】
該モード切替/タイミング制御部137は、制御部110に配設したCPU111の制御により所定の周波数で発振する可変周波数発振回路114の出力である基準クロック信号を受けて回路動作し、内部の記録再生セクタ判別部(図示せず)において、例えばカウンタ等のパルス計数回路により、セクタカウンタを設けて、図2に示すごとく該ディスク回転制御部104が出力した該インデックス信号を用いて該セクタカウンタを0にリセットし且つ該エンコーダ信号のパルス数を計数動作することで該R/Wヘッド102により試験データの記録/再生を行う該ディスクのセクタ位置(以下、セクタ位置と記す)を判別する。
【0045】
また設定したスタートセクタ値およびストップセクタ値と該セクタカウンタの出力値であるセクタ位置とを一致比較することでスタート検出信号およびストップ検出信号を内部的に生成して該ディスク101に対する書き込みモードあるいは読み出しモードの開始/終了のタイミングを判別し、書き込みモード信号あるいは読み出しモード信号の生成を行って検査装置1の各部に対してモード切り替えとタイミング制御を行う。
【0046】
図2(1)は、インデックス信号とエンコーダ信号とを用いて任意のセクタを検査する例を示すもので、例えばディスク回転制御部104においてエンコーダ信号をディスク1回転あたり2048パルス出力し、スタートセクタ値を2でストップセクタ値を2044とした場合について、検査対象期間の判別および書き込みモード信号/読み出しモード信号の切り替え動作を行う例を示した図である。
【0047】
ここで、書き込みおよび読み出しの各モード期間は検査装置1のユーザが決定する所定の期間であり、制御部110内のメモリ112に保持したテストプログラムによりCPU111を介して、該モード切替/タイミング制御部137内のレジスタ等にスタートセクタ値およびストップセクタ値として設定する。該モード切替/タイミング制御部137において配設した上述の記録再生セクタ判別部により、スタート検出信号はセクタ位置とスタートセクタ値とが一致する期間のみ有効状態を表す電圧レベルを出力し、ストップ検出信号はセクタ位置とストップセクタ値とが一致する期間のみ効状態を表す電圧レベルを出力する。
【0048】
従って該モード切替/タイミング制御部137では、スタート検出信号パルス出力時からストップ検出信号出力時までの間を検査対象期間として判別可能であり、図2(1)に図示するように例えばディスクN回転目において検査対象とする期間に書き込みモード信号を生成し、ディスクN+1回転において検査対象とする期間に書き込みモード信号の生成を行うことで、ディスク101の任意のセクタに対して試験が可能となる。
【0049】
また図1および図2には特に図示していないが、記録再生セクタ判別部において試験データ書き込み時と読み出し時とにおいて各々スタートセクタ値とストップセクタ値とをモード毎に個別に設定できる構成とすることで、試験データの書き込み期間と読み出し期間とを各々独立して設定することが可能である。またインデックス信号計数回路を配設してディスク回転数判別機能を加えることで、任意の回転数で且つ任意のセクタに対して試験データの書き込みと読み出しとが可能となる。
【0050】
次に図2(2)にインデックス信号のみを用いてディスク検査を行う例を示す。図2(2)は書き込みモード信号あるいは読み出しモード信号が有効になって最初のインデックス信号パルスをスタートパルスとして出力し、書き込みあるいは読み出しモードにおいてスタートパルスとして用いたインデックス信号パルスの次のパルスをストップパルスとして出力することで、ディスク1回転分の書き込みあるいは読み出し動作を行う、すなわち磁気ディスク101のトラック毎の検査を行う例を示したものである。
【0051】
図2(2)では例えばディスク101のN回転目とN+2回転目とでスタートパルスを出力し、ディスク101のN+1回転目とN+3回転目とでストップパルスを出力する例を示している。ここで、図2(2)ではディスク101に対して回転数単位で書き込みあるいは読み出し動作を行う例を示しているが、記録再生セクタ判別部において任意の周波数のクロック信号で動作し且つ該インデックス信号でリセット動作するような計数回路を配設して図2(1)と同様にセクタ計数動作を行う機能を持たせることで、任意のセクタに対して検査することが可能となることはいうまでもない。
【0052】
また該モード切替/タイミング制御部137は、上述のセクタ判別動作に加えて、検査装置1の各部に対して例えば書き込み動作と読み出し動作と解析処理動作とからなる三つの動作状態について制御を行う。すなわち第一の動作状態である書き込み動作時において、該モード切替/タイミング制御部137は、前述のセクタ検出機能により書き込みセクタの判別を行って生成した書き込みモード信号をもとに、ディスク101への記録ビット周波数に等しく設定したデータ生成信号タイミング信号を書き込みデータ生成部121に対して出力して書き込みデータ生成制御を行い、またR/Wヘッド102において試験データに応じて書き込み磁界を変化させるため該書き込みモード信号により書き込みアンプ122の出力端子を出力可能になるように制御することで、該ディスク101に対してデータの書き込み動作を制御する。
【0053】
また、書き込み動作時において該モード切替/タイミング制御部137は読み出しモード信号を不可状態とすることで、該サンプリングクロック分配回路132と該A/D変換回路141〜144と該メモリ制御信号分配回路134と該メモリ151〜154とに対して各々の動作を停止するように各制御信号を出力して、該ディスク101への書き込み信号をディスク再生信号として誤って読み出すことのないように各部を制御する。上述の書き込み動作は、図2に示す検査対象期間(書き込み)中における検査装置の動作状態について述べたものである。
【0054】
第二の動作状態である読み出し動作時において、該モード切替/タイミング制御部137は、上述のセクタ検出機能により読み出しセクタの判別を行って生成した読み出しモード信号をもとに、ディスク再生信号分配回路132によって分配したディスク再生信号をN個配設した該A/D変換回路141〜144においてサンプリングするため、サンプリングクロック分配回路133において設定したタイミングでサンプリングクロックCLK1,CLK2,CLK3,CLK4を生成して出力するように読み出しモード信号とサンプリングクロックとをサンプリングクロック分配回路133に出力する。
【0055】
また同時に該モード切替/タイミング制御部137は、上述のサンプリング動作により得たディスク再生信号のディジタル値を該メモリ151〜154においてメモリアドレスを切り替えて順次メモリへ書き込み保持を行うため、アドレス制御信号およびライトイネーブル信号等からなるメモリ制御信号と読み出しモード信号とを該サンプリングクロックと等しいかまたはそれ以下の周波数でメモリ制御信号分配回路134に出力することで、ディジタル値化したディスク再生信号データの読み出し動作のタイミング制御を行う。
【0056】
また該モード切替/タイミング制御部137は、該書き込みデータ生成部121に対する該データ生成信号タイミング信号を停止して書き込みデータ生成部121を出力停止状態に制御し、且つ該書き込みアンプ122の出力端子を例えば高インピーダンス状態等にして出力を停止させるため該書き込みモード信号を無効状態に制御することで、読み出し動作中における該ディスクへの書き込み動作を停止させる。
【0057】
つまり該モード切替/タイミング制御部137は、上述の書き込み動作と読み出し動作とを同時に行わないように制御するため、書き込みモード信号と読み出しモード信号とを同時に有効にならないように相互に排他的に制御する。上述の読み込み動作は、図2に示す検査対象期間(読み込み)中における検査装置の動作状態について述べたものである。
【0058】
第三の動作状態である解析処理動作において、該モード切替/タイミング制御部137は、該メモリ151〜154に保持したディジタル値(以下データと記す)をもとにディスク再生信号の平均波高値(TAA)やパルス幅(PW50)等を求める演算処理を該データ処理部135において行うため、該メモリ151〜154に書き込まれたデータが有効であるか否かを示すデータ処理タイミング信号を該データ処理部135に出力し、該解析処理部136において演算処理に用いる該データ処理部135の演算処理結果が有効であるか否かを示す解析処理タイミング信号を該解析処理部136に出力する。
【0059】
例えばメモリ151〜154に書き込まれたデータが有効であれば上述の読み出し動作中または書き込み動作中であっても解析処理は可能であり、該データ処理タイミング信号あるいは該解析処理タイミング信号は書き込みモード信号および読み出しモード信号とは独立に制御される。すなわち上述の解析処理動作は、図2に示す検査対象期間(書き込み/読み出し)あるいは非検査対象期間の何れとも独立に並行して動作する検査装置の動作状態について述べたものである。
【0060】
また図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1において、制御部110に配設した中央演算処理ユニット(CPU)111は、メモリ112に書き込まれた動作制御プログラムに従って検査装置全体の動作を制御する。
【0061】
すなわち図1において、CPU111は、可変周波数発振回路113、114に対する発振周波数制御と、モード切替/タイミング制御部137に対するスタート/ストップセクタ値等のタイミング制御データおよび書き込み/読み出しモード等の設定と、書き込みデータ生成部121に対する書き込みデータの設定と、解析処理部136の出力である検査対象磁気ディスクまたは磁気ヘッドの良否判定結果あるいは検査装置各部の動作状態等を読み出してメモリ112に保持する保持動作と、外部に配設したホストコンピュータ2との通信処理とを行う。
【0062】
また図1に示すように、検査装置1では、表示装置160を配設し、該CPU111の制御により該データ処理部135で得たディスク再生信号の測定値、演算処理結果、判定処理結果あるいは検査装置各部の動作状態等を検査装置ユーザに対して表示する。
【0063】
ここで、図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1において、データ処理部135は例えばディジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)等の論理回路によって構成され、メモリ151に保持したディスク再生信号のディジタル値をもとに補間処理等を行って、任意のセクタ位置あるいは任意の数のディスク再生信号パルスに対してパルス毎の振幅値または平均振幅値または任意の閾値におけるパルス毎のパルス幅または平均パルス幅を演算処理して算出する。
【0064】
すなわち本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置は、任意のデータ再生期間あるいは全データ再生期間においてディスク再生信号をディジタル化してメモリに保持するため、保持した該ディジタル値をもとに図3に示す如くディスク再生信号の振幅値あるいは任意の閾値におけるパルス幅に対して、平均値、分散値、偏差値、累積度数値等を算出する統計演算処理を行い、または保持した該離散値に対してFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数解析演算処理を行うことで磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細な検査を行うことが可能である。
【0065】
なお、図3では説明のためディスク再生信号のパルスについて、a<bであるa番目からb番目の連続するディスク再生信号パルスに対する統計演算処理を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、任意の数のディスク再生信号パルス、例えばひとつおきのディスク再生信号パルス等の不連続なパルスについても演算処理可能であることはいうまでもない。
【0066】
また、上述の図1に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置1では、検査対象として磁気記録媒体であるディスク101を用いた構成について述べているが、磁気記録媒体として良品または磁気特性の認知しているディスクと検査対象とする磁気ヘッドとを用いてディスクへの記録・再生を行うことで、磁気ヘッドの検査を行うことが可能である。
【0067】
また、図2では、ディスク回転制御部104からのインデックス信号あるいはエンコーダ信号を用いてディスク101上の記録/再生トラックにおける検査対象区間の判別を用いる構成および方法について説明しているが、本発明における検査装置はこれに限定するものではなく、例えばディスク101の記録/再生トラックに対してセクタ判別信号あるいは検査区間開始/終了信号を記録して、該セクタ判別信号あるいは検査区間開始/終了信号を再生して判別することで検査対象区間の判別を行い且つ磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査が可能である。
【0068】
また図2(2)において、ディスク回転制御部104からのインデックス信号を用いたディスク回転数単位での検査について説明しているが、本発明における検査装置はこれに限定するものではなく、例えばディスク101の回転数とディスク101への記録時間を計測して記録時間の判別/制御を行う、あるいは再生時間を計測して再生時間の判別/制御を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査が可能である。
【0069】
次に、図1に示す本発明に係る第1の実施形態におけるディスク再生信号のディジタル値への変換動作について、図4を用いて説明する。
【0070】
図4はA/D変換回路およびメモリを各々4個配設した際(N=4)のディジタル値変換動作について読み出しモード信号が有効になってからの変換動作例を示すものであり、A/D変換回路141〜144は各々サンプリング周波数fADCでサンプリング動作およびディジタル値変換動作を行い、またメモリ151〜154は各々fADCと等しい周波数でディジタル値データの保持動作を行う。
【0071】
各A/D変換回路141〜144の動作制御を行うサンプリングクロックは、ディスク再生信号に対して周波数が目標とするサンプリング周波数fsであり、図5に示した例では各A/D変換回路141〜144のサンプリング周波数fADCの4倍(N=4)であるサンプリングクロックCLK0をモード切替/タイミング制御部137において読み出しモード信号が有効である期間に生成し、サンプリングクロック分配回路133で該サンプリングクロックCLK0を4分周して、A/D変換回路141〜144のうち1つのA/D変換回路に対してCLK0が4パルスあたり1パルスを出力するように分周制御することでCLK1〜4に分配してそれぞれA/D変換回路141〜144に入力する。
【0072】
またメモリ制御信号は、各A/D変換回路141〜144に接続した各メモリ151〜154に対して読み出しモード信号が有効になってから周波数fADCで順次メモリアドレスを増加させるようにアドレス制御信号を出力し、また前述のアドレス制御信号と同一の周波数で且つ同位相でライトイネーブル信号を出力することで、該A/D変換回路141〜144で変換して得たディジタル値を該アドレス制御信号により制御したメモリアドレスに書き込み動作するように制御される。
【0073】
ここで、サンプリングクロック分配回路133においてCLK1〜4のサンプリングクロック間の位相差を例えばfADCの逆数であるA/D変換回路1回路当たりのサンプリング時間のN分の1に設定してディスク再生信号に対して各A/D変換回路141〜144を並列動作するように制御することで、各A/D変換回路141〜144はディスク再生信号を時分割でディジタル値に変換し、サンプリングデータData1〜4のS1→S2→S3→S4→S5→S6→…の時分割順で出力する。
【0074】
つまり、ディスク再生信号に対してN倍のfADCでの高速サンプリングおよびディジタル値への変換を実現するものである。また上述の説明では、ディスク再生信号に位相差を与えずに分配し、且つサンプリングクロックに位相差を与えて分配することで高速サンプリングを実現することを述べているが、これとは逆にサンプリングクロック分配回路133においてサンプリングクロックに位相差を与えずに分配し、且つディスク再生信号分配回路132においてディスク再生信号に位相差を与えて分配してサンプリングしても同様に高速サンプリングが実現できることはいうまでもない。
【0075】
図1および図4ではN=4の場合について説明しているが、A/D変換回路の並列数Nと、ディスク再生信号周波数finと、A/D変換回路1回路あたりのサンプリング周波数fADCと、finに対して目標とするサンプリング周波数fsとの比M(図4ではM=16)との間には数1に示す関係が成立する。ただしfinは、ディスク再生信号に対して目標とするパルス部分を計測するためのディスク再生信号周波数のn次高調波成分finaと、ディスク再生信号パルスの繰り返し周波数成分finbとのどちらかを用いる。図4に示したディスク再生信号波形では説明のため正弦波を用いており、正弦波は一般に知られるようにn次高調波成分を持たず繰り返し周波数と基本波周波数成分が同一で、従ってfinaとfinbとが一致している場合である。
【0076】
N≧M×fin/fADC 数1
ただし数1においてNは1以上の整数である。ディスク再生信号周波数finは制御部110に配設したCPU111により上述の可変周波数発振回路113、114の発振周波数を可変することで制御され、すなわち書き込みデータの記録周波数および記録/再生時のディスク回転数およびデータパターンにより決定される。
【0077】
またfinと目標サンプリング周波数との比Mは、検査対象とする磁気記録媒体または磁気ヘッドの特性に対して目標とする測定精度等を用いて規定するものであり、A/D変換回路1回路あたりのサンプリング周波数fADCはA/D変換回路の最高サンプリング周波数を上限として、モード切替/タイミング制御部137において生成するサンプリングクロックを分配した周波数である。
【0078】
従って、上述のfin、fADC、Mは、図1に示す磁気記録媒体または磁気ディスクの検査装置1において、既知の値で且つ検査装置ユーザが意図する値に設定可能である。
【0079】
従って、上述の構成によりディスク再生信号に対して時間軸方向で精細にサンプリングすることで、例えばディスク再生信号の急峻な変動を高精度にディジタル値に変換することが可能となり、例えばTAAまたはPW50等をディジタル演算処理により算出する際に高精度なディジタル値データを用いることで磁気ディスクまたは磁気ヘッドの高精度な検査が可能となる。
【0080】
すなわち本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細で且つ高精度な検査が実現可能である。
【0081】
また本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、再生した試験データをディジタル値に変換するN個(Nは整数)の変換手段と、該N個の変換手段を1個の変換手段につき所定のサンプリング周波数で動作させるサンプリングクロック制御手段と、該N個の変換手段で変換されたディジタル値を保持するN個の保持手段と、該N個の保持手段に保持されたディジタル値より該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をするデータ処理手段とを備え、該磁気記録媒体の検査を行うことで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して詳細で且つより高精度な検査が実現可能である。
【0082】
また本発明は、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、上述の一実施の形態のように、 N個の変換手段とサンプリングクロック再生手段とN個の保持手段とデータ処理手段と解析処理手段とを配設することで、磁気記録媒体または磁気ヘッドに対して高速な検査を実現できる。 したがって、今後のディスク再生信号の高周波化に対応して高精度に磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行うことができる。
【0083】
次に、本発明に係る第2の実施の形態について図5を用いて説明する。図5では、検査対象とする磁気記録媒体であるディスクに対し、L個のR/Wヘッドと各R/Wヘッドに対応した再生アンプとを配設して、例えば異なるトラックあるいはセクタにおけるディスク再生信号を、各R/Wヘッドにより検出して再生アンプにより増幅してL個のディスク再生信号を得るとともに、N個配設した複数のA/D変換回路に対してディスク再生信号分配回路において分配制御信号により切り替えスイッチSWを制御してディスク再生信号の分配数および分配先を切り替えて出力し、各A/D変換回路においてサンプリング周波数fADCでディジタル値に変換してメモリに出力する。
【0084】
図5では、4個(L=4)のR/Wヘッド301〜304と再生アンプ311〜314とをディスク再生信号分配回路132に入力し、分配制御信号S1,S2を切り替えて該ディスク再生信号分配回路132の入出力間の接続状態を変更することで、4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対してディスク再生信号の分配数を可変制御する構成例を示している。
【0085】
またサンプリングクロック分配回路133は、図1のモード切替/タイミング制御部137が出力したサンプリングクロックを用いてカウンタ331を動作させ、読み出しモード時に、N個配設した比較回路332〜335において、該カウンタ331の出力とN個の設定値とが一致した時のみサンプリングパルスを出力するように構成し、該サンプリングクロックをN分周し且つ各サンプリングパルス間の位相差がN分周したサンプリングクロックの周期をN等分した時間に等しいN相のクロックに変換する構成とし、1つのA/D変換回路の動作周波数であるサンプリング周波数fADCのN倍の周波数であるサンプリングクロックを該モード切替/タイミング制御部137により生成することで、各A/D変換回路に対してサンプリング周波数がfADCで且つN相の位相差でサンプリングクロックを供給する。
ここではサンプリングクロック分配回路133としてカウンタ331と比較回路332〜335を用いた構成を用いて述べているが、回路構成としてはこれに限らず、例えば遅延素子等を用いてサンプリングクロックをN相の位相差で且つN分配する構成としてもよい。
【0086】
図5では、4倍(N=4)のfADCである周波数のサンプリングクロックをサンプリングクロック分配回路133に入力してカウンタ331を動作させ、カウンタ331の4つの出力状態すなわち00,01,10,11と設定値とを比較回路332〜335で比較し、遅延回路330で遅延したサンプリングクロックCLK0を該各比較回路332〜335の一致出力をもとにANDゲート336〜339でゲートして、該ANDゲート336〜339の出力をサンプリングクロックCLK1〜4として各A/D変換回路141〜144に対して出力する構成を示している。
【0087】
なお、各A/D変換回路141〜144の出力は図1に図示と同様のメモリ151〜154に供給され、その出力はデータ処理部135および解析処理部136に接続される。
【0088】
図6は図5に示した本発明に係る第2の実施の形態について、図1のモード切替/タイミング制御部137(図5では図示せず)においてスタートセクタを判別し読み出しモード信号を有効にしてサンプリング動作を開始した際のサンプリング回路動作を説明するものであり、図5に示した該分配制御信号がS1=‘L’で且つS2=‘H’である場合について示したものである。
【0089】
ここでディスク再生信号in1はR/Wヘッド101および再生アンプ311からの出力信号でありA/D変換回路141および143に分配して入力され、ディスク再生信号in2はR/Wヘッド302および再生アンプ312からの出力信号でありA/D変換回路142および144に分配して入力される例を示すものであり、すなわちディスク再生信号分配回路132において出力するディスク再生信号が2種類(L=2)である例である。また、2つのディスク再生信号in1、in2に対してディスク再生信号in1の再生セクタ番号が2であることを判別してサンプリング動作を開始する例を示している。
【0090】
すなわち各ディスク再生信号に対するサンプリング動作は、図6に示すように、A/D変換回路141および143に分配したディスク再生信号をそれぞれサンプリングクロックCLK1およびCLK3のタイミングでサンプリングしてサンプリングデータData1およびData3に変換し、且つA/D変換回路142および144に分配したディスク再生信号をそれぞれサンプリングクロックCLK2およびCLK4のタイミングでサンプリングしてサンプリングデータData2およびData4に変換する。
【0091】
従って、最終的にディスク再生信号in1はサンプリングデータとしてS1→S3→S5→S7→…の順にメモリ151および153(図示せず)に書き込まれ、またディスク再生信号in2はサンプリングデータとしてS2→S4→S6→S8→…の順にメモリ152および154(図示せず)に書き込まれる。
【0092】
なお、ここでは説明のため2つのディスク再生信号in1、in2に対してディスク再生信号in1の再生セクタ番号のみをサンプリング動作の開始判別に用いているが、実際には各ディスク再生信号に対して例えば個別にセクタ番号の判別を行い、設定した任意トラックあるいはセクタ区間に対してそれぞれ独立に検査することも可能である。
【0093】
また図5に示すディスク再生信号分配回路132において分配制御信号をS1=“L”で且つS2=“L”に設定した場合、これはディスク再生信号in1〜in4を各々4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対して各々1:1で分配することになり(L=4)、ディスク再生信号in1〜in4を周波数fADCでサンプリングすることになる。
【0094】
また図5に示すディスク再生信号分配回路132において分配制御信号をS1=“H”に設定した場合、これはディスク再生信号in1のみを4個(N=4)配設したA/D変換回路141〜144に対して分配することになり、この場合検査装置1の回路動作は図2に示した回路動作と等しく、ディスク再生信号in1をfADCの4倍の周波数でサンプリングすることと等しくなり、従ってディスク再生信号in1に対してS1→S2→S3→S4→S5→…の順にディジタル値に変換することになる。
【0095】
ここで、各A/D変換回路141〜144のサンプリング周波数をfADCとしてひとつのディスク再生信号に対するサンプリング周波数fsampleについて着目すると、fsampleは(N/L)×fADCに等しくなり、ディスク再生信号に対して分配制御信号を切り替えることでサンプリング周波数を可変制御可能となる。
【0096】
すなわち、上述したように磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置においてディスク再生信号周波数finは制御可能で既知の値であることから、数1に示した関係を用いて定めたA/D変換回路の並列数Nに対して、ディスク再生信号分配回路においてL個のディスク再生信号との接続状態を制御することで、ひとつのディスク再生信号に対するサンプリング周波数fsampleを数2に示す関係をもって制御可能となる。
【0097】
fsample=(N/L)×fADC 数2
従って、例えばディスク再生信号に対して計測目標とする周波数成分がA/D変換回路のサンプリング周波数に対して高い場合に数2に示した関係でL=1すなわち1個のR/Wヘッドと再生アンプおよびN個のA/D変換回路とを用いて、高速なサンプリング動作を実現する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、測定対象とするディスクまたは磁気ヘッドを用いた際に計測目標とするディスク再生信号の周波数成分がA/D変換回路のサンプリング周波数に対して高くない場合または測定精度に余裕がある場合等に、数2に示した関係でL>1(図5ではL=2)すなわちL個のR/Wヘッドと再生アンプおよびN個のA/D変換回路とを用いることでディスクの異なったトラックをL個の複数ヘッドを用いて同時に測定が可能となり、ディスクあるいは磁気ヘッドの検査工程におけるスループットの向上が可能となる。
【0098】
また本発明における検査装置では、検査するディスク数を限定するものではなく、例えば複数枚のディスクに対して複数個の磁気ヘッドと該磁気ヘッドに対応した再生アンプを用いることで、複数枚ディスクあるいは複数磁気ヘッドの同時測定が可能であり、またディスク検査のスループット向上を図るべくディスクの搬送装置を有する構成としてもよい。
【0099】
ここで図5および図6では、本発明に係る第2の実施の形態について説明のため、可変周波数発振回路および試験データの書き込み機能およびディスク再生波形をディジタル値化したディジタル値データの保持機能および該ディジタル値データから所望の測定値を算出する演算処理機能およびタイミング制御機能等について記載をしていないが、これらの機能については図1に示した本発明に係る第1の実施の形態と同じであり、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置ではこれらの機能を有している。
【0100】
また、図5および図6では説明のため各A/D変換回路毎にサンプリングクロックの位相を固定して供給する構成としているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばディスク再生信号分配回路132への分配制御信号に応じてサンプリングクロック分配回路133において分配するサンプリングクロックの位相差を切り替える構成としても可能であり、L個のディスク再生信号に対して各々数2に示すサンプリング周波数でサンプリングすることを実現するものであればよい。また、分配制御信号の制御すなわち1つの再生信号に対するA/D変換回路の並列数に応じてサンプリングクロック周波数を可変制御する構成としてもよい。
【0101】
すなわち本実施の形態では、磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、該磁気記録媒体に記録した試験データを読み出して磁気記録媒体媒体または磁気ヘッドの試験を行う際に、L個配設したR/Wヘッドおよび再生アンプより出力されるL個のディスク再生信号をN個配設したA/D変換回路に再生信号分配回路を用いて分配する構成としたことで、複数の再生信号を並列で且つ別個にディジタル値に変換して処理することで、磁気記録媒体または磁気ヘッド検査の高速化を実現することができる。
【0102】
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、上述の通りディスク再生信号に対して平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測することで磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査を行う。TAAおよびPW50は、ディスク再生波形の振幅およびパルス幅を計測し、図11に示す如く例えばディスク1周分について平均値処理することで得るものである。
【0103】
ここで、ディスク再生波形を一定の時間間隔でサンプリングする場合、ディスク再生波形の時間に対する電圧変化率すなわち傾きが大きい部分では振幅方向に関してサンプリング密度が低くなり、またディスク再生波形の傾きが小さい部分振幅方向に関してサンプリング密度が高くなる。
【0104】
例えば図8(1)に示すようなディスク再生信号では、サンプル値の発生頻度は0[V]付近とピーク値付近とで高くなる。この場合、ディスク再生信号ピーク値付近で最も発生頻度が高いサンプル値は、図11に示したディスク再生信号の平均振幅TAAとほぼ等価になる。従って、ディスク再生信号サンプル値の発生頻度を計測し、該発生頻度がピーク値であるサンプル値を判別することでTAA計測が可能である。
【0105】
また、図8(2)に示す如くディスク再生信号パルス毎にディスク再生信号振幅が閾値電圧よりも大きい間の時間計測用パルスのパルス数を計測し、該パルス数について上述のTAA計測と同様にパルス数毎の発生頻度を計測して、発生頻度が最も高い該パルス数を検出する。ここで該閾値電圧は、前述のTAA値の50%の値を用いる。該時間計測用パルスの発振周波数の逆数に該パルス数を乗算処理することで得たパルス幅時間は図11に示したディスク再生信号の平均パルス幅PW50とほぼ等価になる。従って、ディスク再生信号のパルス幅を再生信号パルス毎に計測し、該パルス幅の発生頻度がピーク値であるパルス幅を判別することでPW50計測が可能である。
【0106】
図7は、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、磁気ディスクに書き込んだ試験データを再生して磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行う際に、上述の計測方式をもとにディスク再生信号波形の平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測する装置の構成について示した図である。
【0107】
すなわち図7に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディスク回転部103により回転動作し且つ試験データを書き込まれた磁気ディスク101からR/Wヘッド102と再生アンプ131とを介して試験データの波形再生を行い、これをA/D変換回路403においてサンプリングクロックCLK1に従ってサンプリングしてディジタル値に変換する。
【0108】
頻度計測部404は、例えば、A/D変換回路403が出力するディジタル値毎に頻度カウンタを内部に配設し、サンプリングクロックCLK1と同一周波数の頻度カウントクロックをもとに、該A/D変換回路403が出力したディジタル値に対応した頻度カウンタのカウント値を増加動作させる。ヒストグラム処理部406はゲート回路からなり、例えばディスク101の1周分の読み出し動作の終了と同時に該頻度計測部404に配設した複数の該頻度カウンタ出力を順次読み出し、ディスク再生波形振幅付近のピーク値をTAA計測値として出力する。
【0109】
また図7に示す磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置では、ディジタルコンパレータ408において該A/D変換回路403の出力値と該ヒストグラム処理部404が出力するTAAを50%の値にした閾値データとを比較して、ディスク再生信号パルス数と同一のパルス数であるカウンタイネーブル信号Enを生成する。カウンタ409は発振回路402において生成された既知の周波数の時間計測用クロックCLK2と該カウンタイネーブル信号Enとでカウント動作し、Enパルス毎にEnが有効である期間のCLK2のパルス数を計測する。
【0110】
頻度計測部405は、例えば該カウンタ409が出力する離散値毎に頻度カウンタを内部に配設し、該カウンタイネーブル信号Enを頻度カウントクロックとして、該カウンタ409が出力した離散値に対応した頻度カウンタのカウント値を増加動作させる。ヒストグラム処理部407はゲート回路からなり、例えばディスク101の1周分の読み出し動作の終了と同時に該頻度計測部405に配設した複数の該頻度カウンタ出力を順次読み出し、該頻度カウンタ出力値が最大である該頻度カウンタに対応する該カウンタ値をPW計測値として出力する。
【0111】
ここでPW計測値は該時間測定用クロックCLK2のパルス数で与えられるが、該時間測定用クロックCLK2の発振周波数が既知であることから、制御部に配設したCPU(図示せず)等により該時間計測用クロックCLK2の発振周波数の逆数に該パルス数を乗算処理することでPW値を得る。
【0112】
上述の説明では頻度計測部404、405において複数のカウンタを用いる構成について述べているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば図9に示すようにメモリ511、521並びに加算回路512、522を用いた構成としてもよい。
【0113】
すなわちTAA計測においてはA/D変換回路403で変換されたディスク再生信号の離散値をもとに、メモリ511を用いて該ディジタル値に対応した該メモリ511のアドレスに書き込まれたデータを加算回路512を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測することも可能である。PW50計測についても、メモリ521を用いてカウンタ525の出力値に対応した該メモリ521のアドレスに書き込まれたデータを加算回路522を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測することも可能である。
【0114】
また、図9では任意の閾値データを保持したレジスタ523とA/D変換回路403との出力をディジタルコンパレータ524を用いて比較することでカウンタ525の動作制御を行う構成例であり,すなわち本構成によれば任意の閾値に対する平均パルス幅を計測することが可能であり、またPW50を計測する際には前述のTAA測定値の50%のデータをレジスタ523に設定して計測すればよいことは言うまでもない。
【0115】
また特に図示してはいないが、PW50については、試験データ読み出し期間中におけるカウンタイネーブル信号Enのパルス幅の合計とパルス数とを計測し、読み出し終了後に該パルス幅の合計値を該パルス数で除算して平均値処理することでも計測可能である。
【0116】
また、図7および図8および図9では、本発明に係る第3の実施の形態について説明のため、試験データの書き込み機能およびタイミング制御機能等について記載をしていないが、これらの機能については図1に示した本発明に係る第1の実施の形態と同じであり、本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置ではこれらの機能を有する。
【0117】
すなわち本発明は、ディスク再生波形の平均振幅値TAAあるいは任意の閾値レベルにおける平均パルス幅PWを計測する磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、計測値の頻度を求めることでTAAとPWとの両方あるいはいずれかを統計的に処理して計測することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置における第一の実施の形態を示す図である。
【図2】図1の動作を示す図である。
【図3】ディスク再生信号の波高値およびパルス幅についての統計演算処理を説明する図である。
【図4】図1の第一の実施形態について、複数のA/D変換回路を用いてディスク再生信号をサンプリングしてディジタル値に変換する動作を説明する図である。
【図5】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において第二の実施の形態を示す図である。
【図6】図2の第二の実施の形態について、複数のA/D変換回路を用いて、複数のディスク再生信号を個別にサンプリングしてディジタル値に変換する動作を説明する図である。
【図7】本発明に係る磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において第三の実施の形態を示す図である。
【図8】図7の第三の実施の形態について、ディスク再生波形の平均振幅値TAAおよび平均パルス幅PW50を計測する原理を説明する図である。
【図9】図7の第三の実施の形態についての、別の実施の形態を示す図である。
【図10】従来の磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置の構成を示す図である。
【図11】ディスク再生信号に対するディスク再生信号平均振幅値(TAA)およびTAAの50%点におけるディスク再生信号平均パルス幅(PW50)の定義を説明する図である。
【符号の説明】
【0119】
1…磁気ディスク/磁気ヘッド検査装置、2…ホストコンピュータ、101…ディスク、102…R/Wヘッド、103…ディスク回転部、104…ディスク回転制御部、110…制御部、111…CPU、112…メモリ、113、114…可変周波数発振回路、121…書き込みデータ生成部、122…書込アンプ、131…再生アンプ、132…ディスク再生信号分配回路、133…サンプリングクロック分配回路、134…メモリ制御信号分配回路、135…データ処理部、136…解析処理部、137…モード切替/タイミング制御部、141、142、143、144…A/D変換回路、151、152、153、154…メモリ、160…表示装置、301、302、303、304…R/Wヘッド、311、312、313、314…再生アンプ、321、322、323、324、325、326、327、328…バッファアンプ(Buf)、330…遅延回路、331…カウンタ、332、333、334、335…比較回路、336、337、338、339…ANDゲート、401、402…発振回路、403…A/D変換回路、404、405…頻度計測部、406、407…ヒストグラム処理部、408…ディジタルコンパレータ、409…カウンタ、410…係数回路、501、502…発振回路、503、504…遅延回路、511、521…メモリ、521、522…加算回路、523…レジスタ、524…ディジタルコンパレータ、525…カウンタ、601…書込/読出アンプ、602…テスト信号発生回路、603…書込制御回路、604…レベル調整用アンプ(AMP)、605…TAA検出回路、606…スライスレベル作成回路、607…PW検出回路、608…波形比較回路、609…エラー検出回路、610…エラーメモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに第1の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、
該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、
該係数手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに第2の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、
該第2の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体の検査を行うことを特徴とする磁気記録媒体の検査装置。
【請求項2】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、
該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、
該閾値保持手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、
該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該所定の閾値データにおける該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体の検査を行うことを特徴とする磁気記録媒体の検査装置。
【請求項3】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気ヘッドの検査を行う磁気ヘッドの検査装置において、
該再生した該試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気ヘッドの検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに第1の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、
該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、
該係数手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに第2の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、
該第2の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
【請求項4】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気ヘッドの検査を行う磁気ヘッドの検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気ヘッドの検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、
該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、
該閾値保持手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、
該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該所定の閾値データにおける該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
【請求項1】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに第1の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、
該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、
該係数手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに第2の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、
該第2の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体の検査を行うことを特徴とする磁気記録媒体の検査装置。
【請求項2】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気記録媒体の検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、
該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、
該閾値保持手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、
該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該所定の閾値データにおける該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気記録媒体の検査を行うことを特徴とする磁気記録媒体の検査装置。
【請求項3】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気ヘッドの検査を行う磁気ヘッドの検査装置において、
該再生した該試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気ヘッドの検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに第1の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第1の頻度計測手段と、
該第1の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
該第1のヒストグラム処理手段の出力に1/2の計数を乗算する係数手段と、
該係数手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを大小比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数で発振動作するクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該比較手段の出力の変化に基づいて動作し該パルス計数手段の出力したパルスをもとに第2の複数の計数手段を選択的に計数動作させる第2の頻度計測手段と、
該第2の頻度計測手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
【請求項4】
磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録するとともに、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し再生した試験データを所望の処理をすることで該磁気ヘッドの検査を行う磁気ヘッドの検査装置において、
該再生した試験データをディジタル値に変換し、変換したディジタル値より、該磁気記録媒体の磁気特性に関する演算処理をして、該磁気記録媒体の検査を行う磁気ヘッドの検査装置であって、
該演算処理は、該変換したディジタル値をもとに、該ディジタル値に対応した第1のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第1の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第1の頻度値保持手段と、
該第1の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該再生した試験データの波形の平均振幅値を計測して出力する第1のヒストグラム処理手段と、
所定の閾値データを保持する閾値保持手段と、
該閾値保持手段の出力と該再生した該試験データをディジタル値に変換する変換手段の出力とを比較して比較結果を出力する比較手段と、
該比較手段の出力が所定のレベルである期間においてのみ、所望の周波数のクロック信号パルスを計数動作するパルス計数手段と、
該パルス計数手段の出力をもとに、該ディジタル値に対応した第2のメモリのアドレスに書き込まれたデータを第2の加算回路を用いて加算して同じアドレスに書き込むことで頻度を計測する第2の頻度値保持手段と、
該第2の頻度値保持手段の出力をもとにヒストグラム演算処理により該所定の閾値データにおける該再生した試験データの波形の平均パルス幅を計測して出力する第2のヒストグラム処理手段とを備え、
所望の期間における該再生した試験データの波形の平均振幅値および平均パルス幅を計測することにより、該磁気ヘッドの検査を行うことを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−149333(P2007−149333A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1280(P2007−1280)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【分割の表示】特願2003−407562(P2003−407562)の分割
【原出願日】平成11年12月22日(1999.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【分割の表示】特願2003−407562(P2003−407562)の分割
【原出願日】平成11年12月22日(1999.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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