磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法
【課題】ポールイレーズの検査を高確度で行うこと。
【解決手段】記録媒体における複数のトラックを含む所定の書き込み領域に対して、同一極性の情報である第一の情報を書き込み、第一の情報を書き込む領域内に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む。そして、標的トラックにおいて第二の情報が書き込まれない領域に対して、書き終りが第一の情報の極性とは逆の極性の情報である第三の情報を書き込む。そして、第三の情報が書き込まれた前後で読み出した第二の情報を比較して、ポールイレーズの発生を判定する。
【解決手段】記録媒体における複数のトラックを含む所定の書き込み領域に対して、同一極性の情報である第一の情報を書き込み、第一の情報を書き込む領域内に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む。そして、標的トラックにおいて第二の情報が書き込まれない領域に対して、書き終りが第一の情報の極性とは逆の極性の情報である第三の情報を書き込む。そして、第三の情報が書き込まれた前後で読み出した第二の情報を比較して、ポールイレーズの発生を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気記録装置の高記録密度化を実現するための記録方式として、垂直磁気記録方式が知られている。垂直磁気記録方式は、ヘッドに対向する記録媒体の磁性層を垂直に磁化することで、情報を記録する。
【0003】
具体的には、垂直磁気記録方式により情報を記録する磁気記録装置は、記録を行う主磁極と磁力線を回収する補助磁極とを記録ヘッドに有する。主磁極は、磁性層に対して垂直に磁力線を発することで磁性層を磁化して情報を記録し、補助磁極は、磁性層を磁化した磁力線を回収する。
【0004】
ここで、垂直磁気記録方式には、ライトポールイレーズ現象(以下、ポールイレーズと記す)が発生する問題がある。ポールイレーズは、磁力線を発生させる記録電流を停止した時点で最後の磁力線が流れた方向の磁気が記録ヘッドに残り、残った磁気(残留磁気)によって記録媒体の記録情報が消去される現象のことである。
【0005】
そして、ポールイレーズは、磁気記録装置ごとに発生頻度が異なることから、磁気記録装置ごとにポールイレーズが発生しやすいか否かを検査するための検査装置や検査方法の開発が求められている。
【0006】
そこで近年、記録媒体のトラックに下書き情報を書き込み、書き込んだ下書き情報の一部を上書きして、上書きを行った位置の直後の下書き情報の信号振幅に基づいてポールイレーズを検出する検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、上記した検査装置は、下書き情報の信号を、上書きを実行する前後で読み出し、上書き前の信号振幅に対して、上書き後の信号振幅が閾値以下に低下した場合、ポールイレーズが発生したとして検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−263702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来技術では、ポールイレーズの検査を高確度かつ高速で行うことができないという課題があった。すなわち、上記した従来技術では、書き込みテストによって偶発的に発生するポールイレーズを期待しているに過ぎず、ポールイレーズの検査を高確度で行うことができない。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、書き込み制御部が、記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理を実行するように制御する。また、書き込み制御部が、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理を実行するように制御する。さらに、書き込み制御部が、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理を実行するように制御する。そして、読み出し制御部が、前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御し、判定部が、前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【発明の効果】
【0011】
開示の装置は、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、実施例2における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図3は、パターンAの書き込み処理を説明するための図である。
【図4】図4は、パターンBの書き込み処理を説明するための図である。
【図5】図5は、パターンCの書き込み処理を説明するための図である。
【図6】図6は、判定部を説明するための図である。
【図7】図7は、実験結果を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図9】図9は、信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図10】図10は、誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本願の開示する磁気記録装置、スピンスタンド評価装置を実施例として説明する。
【実施例1】
【0014】
[実施例1における磁気記録装置の構成]
まず最初に、図1を用いて、実施例1における磁気記録装置の構成を説明する。図1は、実施例1における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0015】
図1に示すように、実施例1における磁気記録装置10は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40とを有する。
【0016】
ヘッド30は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ヘッドである。
【0017】
記録媒体40は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ディスクである。
【0018】
制御部20は、ヘッド30が実行する各種処理を制御し、特に本実施例に密接に関係するものとしては、書き込み制御部21と、読み出し制御部22と、判定部23とを有する。
【0019】
書き込み制御部21は、記録媒体40の複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに第二の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。
【0020】
さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいて第二の情報が書き込まれない領域に対して、書き終わりが第一の情報の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。
【0021】
読み出し制御部22は、書き込み制御部21の制御によって第二の情報が書き込まれた後に、第二の情報を読み出すようにヘッド30を制御する。
【0022】
また、読み出し制御部22は、書き込み制御部21の制御によって第三の情報が書き込まれた後に、第二の情報を読み出すようにヘッド30を制御する。
【0023】
判定部23は、読み出し制御部22の制御によって、第二の情報が書き込まれた後に読み出された第二の情報と、第三の情報が書き込まれた後に読み出された第二の情報を用いて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0024】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、書き込み制御部21は、記録媒体40の複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに第二の情報を書き込む第二書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいて第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終わりが第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、第二書き込み処理後および第三書き込み処理後それぞれにおいて第二の情報を読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、第一の情報の極性に対して逆の極性を書き終わりに有する第三の情報を書き込むことによってポールイレーズを加速することができ、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、ポールイレーズの偶発的な発生を期待するのではなく、ポールイレーズを誘発させることができ、ポールイレーズの検査を高速で行うことが可能となる。
【実施例2】
【0025】
実施例2では、上述した実施例1における制御部20が実行する処理内容の具体的な一例について説明する。
【0026】
[実施例2における磁気記録装置の構成]
まず最初に、図2〜7を用いて、実施例2における磁気記録装置の構成を説明する。図2は、実施例2における磁気記録装置の構成を説明するための図であり、図3は、パターンAの書き込み処理を説明するための図であり、図4は、パターンBの書き込み処理を説明するための図である。また、図5は、パターンCの書き込み処理を説明するための図であり、図6は、判定部を説明するための図であり、図7は、実験結果を説明するための図である。
【0027】
図2に示すように、実施例2における磁気記録装置10は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40と、記憶部50と、入出力制御I/F部60とを有し、ホストコンピュータ70と接続される。
【0028】
ホストコンピュータ70は、例えば、PC(Personal Computer)などの計算機装置であり、ポールイレーズ検出コマンドとともに、記録媒体40に書き込む情報を、磁気記録装置10に送信する。なお、磁気記録装置10は、ホストコンピュータ70の外部に接続されている場合であっても、ホストコンピュータ70に内蔵されている場合であってもよい。
【0029】
入出力制御I/F部60は、ホストコンピュータ70と磁気記録装置10との間で送受信されるデータを中継するインターフェースである。
【0030】
ヘッド30は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ヘッドであり、記録ヘッド31と再生ヘッド32を有する。
【0031】
記録ヘッド31は、後述する制御部20によって制御される書き込み処理を実行する。なお、記録ヘッド31は、図示していないが、記録を行う主磁極と主磁極が発した磁力線を回収する補助磁極とを有する。
【0032】
再生ヘッド32は、後述する制御部20によって制御される読み出し処理を実行する。
【0033】
記録媒体40は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ディスクである。
【0034】
記憶部50は、後述する制御部20の制御によって実行された処理結果を記憶し、本実施例に密接に関係するものとして、読み出し情報記憶部51を有する。
【0035】
読み出し情報記憶部51は、後述する制御部20の制御によって実行された読み出し情報を記憶する。なお、読み出し情報については、後に詳述する。
【0036】
制御部20は、入出力制御I/F部60を介してホストコンピュータ70から受信したポールイレーズ検出コマンドを実行し、本実施例に密接に関係するものとして、書き込み制御部21と、読み出し制御部22と、判定部23と、サーボ制御部24とを有する。
【0037】
サーボ制御部24は、記録媒体40によって記録されているサーボ情報に基づいて、ヘッド30がオントラックするように制御する。ここで、サーボ制御部24は、記録媒体40の各トラック上にあるサーボ領域でサーボゲートをオンにして、ヘッド30からサーボ情報を取得するように制御する。
【0038】
書き込み制御部21は、記録媒体40における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報をパターンAとして書き込むように記録ヘッド31を制御する。具体的には、書き込み制御部21は、図3の(A)に示すように、記録媒体40に予め設定されたパターンA書き込み領域のすべてのトラックに対して、記録ヘッド31の主磁極および補助磁極にパターンAの書き込みを行わせる。
【0039】
例えば、書き込み制御部21は、図3の(B)に示すように、パターンA書き込み領域のトラック1〜トラックnまでを+極性のDCイレーズで書き込みを行うように記録ヘッド31を制御する。ここで、書き込み制御部21は、図3の(C)に示すように、パターンA書き込み領域のすべてのトラックにおいて、トラックのサーボ情報が記憶されているサーボ領域以外の領域のすべてのセクタにパターンAを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0040】
なお、パターンA書き込み領域は、任意に設定可能であり、例えば、図3の(B)に示すように、記録ヘッド31が有する補助磁極の幅に相当するトラック分の領域として設定される。
【0041】
そして、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込むように記録ヘッド31を制御する。具体的には、書き込み制御部21は、第二の情報として、ポールイレーズを検査するための評価用パターンであるパターンBを、標的トラックに対して、記録ヘッド31の主磁極および補助磁極に書き込みを行わせる。
【0042】
例えば、書き込み制御部21は、図4の(A)に示すパターンA書き込み領域内の標的トラックに対して、パターンBを書き込むように記録ヘッド31を制御する。すなわち、書き込み制御部21は、図4の(B)に示すように、標的トラックのパターンAが書き込まれていたセクタに対してパターンBを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0043】
ここで、書き込み制御部21は、図4の(B)に示すように、標的トラック上でサーボゲートがオンになっていない領域のセクタに対して、書き込みを行うライトゲートをオンにすることで、記録ヘッド31にパターンBの書き込みを行わせる。
【0044】
上述したパターンBは、極性が周期的に変化する情報または極性が非周期的に変化する情報である。例えば、書き込み制御部21は、図4の(C)に示すように、極性が周期的に変化するパターンBとして、+極性と−極性とが交互に変化する情報を書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0045】
なお、パターンBの書き込み場所は、標的トラック上のサーボ領域以外のセクタで任意に設定することができ、例えば、標的トラック上に128箇所設けてもよい。
【0046】
そして、書き込み制御部21は、標的トラック上でパターンBの書き込みが実行されない領域に対して、書き終りがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを第三の情報として書き込むように制御する。具体的には、書き込み制御部21は、図5の(A)に示すように、標的トラック上でパターンBの書き込みが行われなかったセクタに対して、パターンCを書き込むように制御する。
【0047】
例えば、書き込み制御部21は、パターンAの極性が+極性であった場合、少なくとも書き終りが−極性となるパターンCを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0048】
また、書き込み制御部21は、第三の情報として、書き始めから書き終りまでが第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御する。例えば、パターンAの極性が+極性であった場合、書き込み制御部21は、図5の(B)に示すように、書き始めから書き終わりまでが−極性であるパターンCを書き込むように制御する。
【0049】
ここで、書き込み制御部21は、サーボ領域からパターンBを書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、パターンCを書き込むように制御する。具体的には、書き込み制御部21は、サーボ制御部24によって制御されたサーボゲートがオフになった際に、パターンCを標的トラックに書き込むように制御する。
【0050】
例えば、書き込み制御部21は、図5の(A)に示すように、サーボゲートがサーボ領域でオンになり、パターンBの領域まで延長されオフになった後に、ライトゲートをオンにして、標的トラック上のパターンB以外のセクタにパターンCを書き込むように制御する。
【0051】
図2に戻って、読み出し制御部22は、パターンBが書き込まれた後、書き込まれたパターンBを読み出すように、再生ヘッド32を制御する。
【0052】
そして、読み出し制御部22は、パターンBが書き込まれた後に再生ヘッド32によって読み出された読み出し情報(初期結果)を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0053】
そして、読み出し制御部22は、パターンCが書き込まれた後に、パターンBを読み出すように、再生ヘッド32を制御する。
【0054】
そして、読み出し制御部22は、パターンCが書き込まれた後に再生ヘッド32によって読み出された読み出し情報(上書き後結果)を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0055】
判定部23は、読み出し制御部22によって読み出し情報記憶部51に格納された初期結果および上書き後結果を比較し、比較結果が閾値以上である場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0056】
以下、パターンBの極性が、周期的な情報である場合および非周期的な情報である場合それぞれについて説明する。
【0057】
まず、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBの極性が周期的に変化する情報である場合、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果および上書き後結果の信号振幅と閾値とに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0058】
具体的には、判定部23は、図6の(A)に示すように、初期結果および上書き後結果それぞれの信号において、矢印で示した正のピーク電圧値の平均値と矢頭で示した負のピーク電圧値の平均値との差を信号振幅として算出する。そして、判定部23は、算出した上書き後結果の信号振幅が初期結果の信号振幅に対して、閾値以上低下をした場合、ポールイレーズが発生したと判定する。例えば、判定部23は、上書き後結果の信号振幅が初期結果の信号振幅と比較して、10%以上低下した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0059】
また、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBの極性が非周期的に変化する情報である場合、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果および上書き後結果の誤り率と閾値とに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0060】
例えば、判定部23は、図6の(B)に示すように、パターンBを書き込む際に、予め付加されたパリティビットに基づいて、初期結果および上書き後結果それぞれの誤り率を算出する。そして、判定部23は、算出した上書き後結果の誤り率が初期結果の誤り率に対して、閾値以上増加した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。例えば、判定部23は、上書き後結果の誤り率が初期結果の誤り率と比較して、10%以上増加した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0061】
なお、上記では、パリティビットを用いて誤り率を算出する場合について説明したが、本実施例は、これに限定されるものではなく、例えば、ビタビ符号やECC(Error Correcting Code)を用いる場合であってもよい。
【0062】
上述したパターンA、BおよびCを用いて行ったポールイレーズ検出の実験結果を以下に説明する。
【0063】
図7に示す実験では、補助磁極の幅とほぼ等しい20μm幅のパターンA書き込み領域内に標的トラックを設け、1トラックに128箇所のサーボ領域を設けた。そして、サーボ領域直後にパターンBの記録領域を配し、続けてパターンCの記録領域を配した記録媒体40に対して、ポールイレーズ検出を実施した。なお、各グラフの縦軸は、信号振幅(μV)を示し、横軸は、128箇所のパターンBの番号を示す。
【0064】
図7の(A)は、パターンAを極性がランダムであるACイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りの極性を限定しない場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを比較し、比較結果からポールイレーズ検出を行った。すなわち、上書き後結果は、パターンCを128×100=12800回記録した後のパターンBを示している。
【0065】
図7の(A)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅が3箇所で低下しており、ポールイレーズが3箇所のみ発生したことを示している。
【0066】
図7の(B)は、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りをパターンAの逆極性である−極性で書き込んだ場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを示している。すなわち、図7の(A)と同様に、上書き後結果は、12800回記録した後のパターンBを示している。
【0067】
図7の(B)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅がほとんどすべてのパターンBで低下しており、図7の(A)と比較して、より高頻度でポールイレーズが発生していることを示している。
【0068】
図7の(C)は、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りをパターンAと同一の+極性で書き込んだ場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを示している。すなわち、図7の(A)と同様に、上書き後結果は、12800回記録した後のパターンBを示している。
【0069】
図7の(C)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅はまったく低下しておらず、ポールイレーズが発生していないことを示している。
【0070】
上記の結果から、パターンAを同一極性で書き込み、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性であるパターンCを書き込むことにより、ポールイレーズが加速されることが示されている。
【0071】
なお、上記した本実施例では、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンCの書き終りを−極性で書き込む場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、パターンAを−極性のDCイレーズで書き込み、パターンCの書き終りを+極性で書き込む場合であってもよい。
【0072】
[実施例2における磁気記録装置による処理の手順]
次に、図8を用いて、実施例2における磁気記録装置による処理を説明する。図8は、実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0073】
[実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順]
図8に示すように、まず、実施例2における磁気記録装置10は、ホストコンピュータ70にて検査コマンドが実行されると(ステップS101肯定)、書き込み制御部21は、ヘッド30を標的トラック近傍にシークさせる(ステップS102)。そして、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、パターンA書き込み領域におけるサーボ領域以外の領域に対して、同一極性の情報であるパターンAを書き込む(ステップS103)。
【0074】
続いて、書き込み制御部21は、ヘッド30を、標的トラックにシークさせ(ステップS104)、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、標的トラックのサーボ領域以外の領域に対して、パターンBを書き込む(ステップS105)。例えば、記録ヘッド31は、標的トラックの128箇所にパターンBを書き込む。
【0075】
そして、再生ヘッド32は、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBを、読み出し制御部22の制御により読み出し、読み出し制御部22は、再生ヘッド32によって読み出された初期結果を読み出し情報記憶部51に格納する(ステップS106)。例えば、再生ヘッド32は、標的トラックに書き込まれた128箇所のパターンBをそれぞれ読み出し、読み出し制御部22は、読み出された128箇所の初期結果それぞれを読み出し情報記憶部51に格納する。
【0076】
続いて、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、標的トラックのパターンBが書き込まれていない領域に対して、書き終りがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込む(ステップS107)。
【0077】
そして、書き込み制御部21は、パターンCが指定回数記録したか否かの判定を行う(ステップS108)。具体的には、書き込み処理部21は、記録ヘッド31によってパターンBと同一数のパターンCが書き込まれたか否かの判定を行う。
【0078】
ここで、指定回数記録していない場合(ステップS108否定)、書き込み処理部21は、ステップS107に戻って、パターンCの書き込みを記録ヘッド31に実行させる。
【0079】
一方、指定回数記録した場合(ステップS108肯定)、読み出し制御部22は、再生ヘッド32にパターンBの読み出しを実行させ、上書き後結果を読み出し情報記憶部51に格納する(ステップS109)。例えば、読み出し制御部22は、128箇所のパターンBを再生ヘッド32に読み出させ、読み出した128箇所それぞれの上書き後結果を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0080】
そして、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果と上書き後結果とを比較し(ステップS110)、比較結果が閾値以上か否かの判定を行う(ステップS111)。具体的には、判定部23は、128箇所の初期結果と128箇所の上書き後結果とを同一箇所から読み出した結果の間で比較する。
【0081】
ここで、比較結果が閾値以上であった場合(ステップS111肯定)、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS112)、処理を終了する。
【0082】
一方、比較結果が閾値以上ではなかった場合(ステップS111否定)、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定し(ステップS113)、処理を終了する。
【0083】
[信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順]
図8に示す処理の手順では、パターンAの後に書き込まれるパターンBの極性変化が限定されていないが、以下、周期的に極性が変化するパターンBを書き込んだ場合のポールイレーズ検出処理の手順について、図9を用いて説明する。なお、図9は、信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0084】
図9に示す信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8の処理の手順と比較して、ステップS210およびステップS211の処理が異なる。
【0085】
すなわち、ステップS205のパターンBの書き込みにおいて、書き込まれたパターンBの極性が周期的に変化する情報である場合、判定部23は、ステップS210において、初期結果の信号振幅と上書き後結果の信号振幅とを算出し、算出結果を比較する。そして、判定部23は、ステップS211において、振幅低下が閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで、上書き後結果の信号振幅の低下が、初期結果と比較して、閾値以上であった場合、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS212)、処理を終了する。
【0086】
一方、上書き後の信号振幅の低下が、初期結果と比較して、閾値以上ではなかった場合、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定して(ステップS213)、処理を終了する。
【0087】
[誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順]
次に、非周期的に極性が変化するパターンBを書き込んだ場合のポールイレーズ検出処理の手順について、図10を用いて説明する。なお、図10は、誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0088】
図10に示す誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8の処理の手順と比較して、ステップS310およびステップS311の処理が異なる。
【0089】
ステップS305のパターンBの書き込みにおいて、書き込まれたパターンBの極性が非周期的に変化する情報である場合、判定部23は、ステップS310において、初期結果の誤り率と上書き後結果の誤り率とを算出し、算出結果を比較する。そして、判定部23は、ステップS311において、誤り率が閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで、上書き後結果の誤り率が、初期結果と比較して、閾値以上であった場合、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS312)、処理を終了する。
【0090】
一方、上書き後の誤り率が、初期結果と比較して、閾値以上ではなかった場合、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定して(ステップS313)、処理を終了する。
【0091】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、書き込み制御部21は、記録媒体40のパターンA書き込み領域に対して、同一極性であるパターンAを書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックにパターンBを書き込むようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいてパターンBが書き込まれない領域に対して、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込むようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれにおいてパターンBを読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBそれぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンAの極性に対して逆の極性を書き終わりに有するパターンCを書き込むことによって、ポールイレーズを加速することができ、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、ポールイレーズの偶発的な発生を期待するのではなく、ポールイレーズを誘発させることができ、ポールイレーズの検査を高速で行うこと可能となる。
【0092】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、標的トラックに対して、複数のパターンBおよび複数のパターンCを書き込むように制御し、読み出し制御部22は、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれで、複数のパターンBを記録媒体40の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって続けて読み出された複数のパターンBそれぞれのパターンB書き込み後およびパターンC書き込み後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、標的トラック一周で複数回の書き込みテストを実行することができ、ポールイレーズの検査をさらに高速に行うことが可能となる。また、複数のパターンCを標的トラックに配置することにより、ポールイレーズ発生後、記録媒体40が一回転する前に再度記録電流が発生することとなり、サーボ領域への影響を軽減することが可能となる。
【0093】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンCとして、書き始めから書き終わりまでがパターンAの極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御する。従って、パターンCの書き終わりが必ずパターンAの逆極性にすることができ、ポールイレーズの誘発が確実になる。
【0094】
あるいは、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンBとして、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBの読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンBを単一周波数の繰り返しで書き込んだ場合でもポールイレーズを正確に判定することが可能となる。
【0095】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンBとして、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBの誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンBをランダムな極性で書き込んだ場合でもポールイレーズを正確に判定することが可能となる。
【0096】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、サーボ領域からパターンBを書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、パターンCを書き込むように制御する。従って、パターンBの書き込み領域を上書き禁止領域にすることが可能となる。
【実施例3】
【0097】
上述した実施例2では、ホストコンピュータ70に組み込まれた磁気記録装置が自装置のポールイレーズを検出する場合について説明したが、実施例3では、スピンスタンド装置を用いて磁気記録装置のポールイレーズを検出する場合について説明する。
【0098】
[実施例3におけるスピンスタンド装置の構成]
まず最初に、図11を用いて、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明する。図11は、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0099】
図11に示すように、実施例3におけるスピンスタンド装置80は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40と、記憶部50と、スピンドル90と、ヘッドアンプ100とを有する。
【0100】
スピンドル90は、モーターを動力とし、記録媒体40を回転させる軸である。
【0101】
ヘッドアンプ100は、再生ヘッド32から読み出した磁化波形を増幅する増幅部である。
【0102】
なお、制御部20が有する書き込み制御部21、読み出し制御部22、判定部23およびサーボ制御部24の処理内容は、実施例2と同様である。また、ヘッド30が有する記録ヘッド31および再生ヘッド32それぞれの制御部20による記録媒体40への処理内容と、記憶部50が有する読み出し情報記憶部51が記憶する内容とは、実施例2と同様である。
【0103】
すなわち、スピンスタンド装置80は、実施例2と同様に、パターンA、BおよびCの書き込み処理と、パターンCの書き込み処理前後で読み出したパターンBの読み出し結果を比較することで、ポールイレーズを検出する。
【0104】
具体的には、書き込み制御部21は、記録媒体40のパターンA書き込み領域に対して、同一極性であるパターンAを書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックにパターンBを書き込むようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいてパターンBが書き込まれない領域に対して、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込むようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれにおいてパターンBを読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBそれぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0105】
なお、スピンスタンド装置80によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8〜10を用いて説明した磁気記録装置10による処理の手順と同様であるので、説明を省略する。
【0106】
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、スピンスタンド装置80は、ヘッド30、記録媒体40およびスピンドル90とからなる磁気記録装置のポールイレーズの検査を行う。従って、記憶部50および制御部20を組み込んでいない磁気記録装置のポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、記憶部50および制御部20を組み込んでいない磁気記録装置のポールイレーズの検査を高速で行うことが可能となる。
【0107】
なお、上記した実施例3では、スピンスタンド装置80が磁気記録装置のポールイレーズの検査を行う場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、制御部20および記憶部50を有するヘッド評価装置がヘッド30のポールイレーズの検査を行う場合であってもよい。
【実施例4】
【0108】
さて、これまで実施例1、実施例2および実施例3について説明したが、上述した実施例1、実施例2および実施例3以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、種々の異なる実施例を(1)〜(4)に区分けして説明する。
【0109】
(1)標的トラック
上記した実施例1〜3では、標的トラックがパターンA書き込み領域内に位置する場合について説明したが、本実施例はこれに限定するものではなく、例えば、標的トラックがパターンA書き込み領域の近傍に位置する場合であってもよい。
【0110】
(2)パターンBおよびパターンCの書き込み位置
上記した実施例1〜3では、標的トラックにおいて、サーボ領域、パターンBの書き込み領域、パターンCの書き込み領域が順に配置される場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、パターンBの書き込み領域とパターンCの書き込み領域の配置が逆になる場合であってもよい。すなわち、サーボ領域、パターンCの書き込み領域、パターンBの書き込み領域の順に配置されてもよい。
【0111】
(3)記録媒体における検査位置
上記した実施例1〜3では、記録媒体における標的トラックが一箇所である場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、同一記録媒体上に複数の標的トラックを設定する場合であってもよい。
【0112】
(4)システム構成等
また、上記の実施例において説明した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に更新することができる。例えば、本実施例は、ポールイレーズの発生を、同一記録媒体の同一位置において、複数回のポールイレーズ検査を実行した後の検査結果に基づいて判定する場合であってもよい。
【0113】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示された構成要素と同一であることを要しない。すなわち、各処理部および各記憶部の分散・統合の具体的形態(例えば、図2の形態)は図示のものとは限られない。例えば、磁気記録装置10に複数のヘッド30および複数の記録媒体40が内蔵される場合であってもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0114】
以上の本実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0115】
(付記1)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とする磁気記録装置。
【0116】
(付記2)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記1に記載の磁気記録装置。
【0117】
(付記3)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0118】
(付記4)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0119】
(付記5)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記4に記載の磁気記録装置。
【0120】
(付記6)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0121】
(付記7)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするヘッド評価装置。
【0122】
(付記8)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記7に記載のヘッド評価装置。
【0123】
(付記9)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0124】
(付記10)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0125】
(付記11)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記10に記載のヘッド評価装置。
【0126】
(付記12)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0127】
(付記13)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするスピンスタンド装置。
【0128】
(付記14)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記13に記載のスピンスタンド装置。
【0129】
(付記15)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0130】
(付記16)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0131】
(付記17)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記16に記載のスピンスタンド装置。
【0132】
(付記18)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0133】
(付記19)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込みステップと、
前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込みステップと、
前記標的トラックにおいて前記第二書き込みステップが実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込みステップの極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込みステップと、
前記第二書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第一読み出しステップと、
前記第三書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第二読み出しステップと、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定ステップと、
を含んだことを特徴とするライトポールイレーズ評価方法。
【0134】
(付記20)前記第二書き込みステップおよび前記第三書き込みステップは、前記標的トラックに対して、それぞれ複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込み、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップは、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出し、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記19に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0135】
(付記21)前記第三書き込みステップは、前記第三の情報として、書き始めから書き終りまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むことを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0136】
(付記22)前記第二書き込みステップは、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込み、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0137】
(付記23)前記第二書き込みステップは、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込み、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記22に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0138】
(付記24)前記第三書き込みステップは、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むことを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【符号の説明】
【0139】
10 磁気記録装置
20 制御部
21 書き込み制御部
22 読み出し制御部
23 判定部
24 サーボ制御部
30 ヘッド
31 記録ヘッド
32 再生ヘッド
40 記録媒体
50 記憶部
51 読み出し情報記憶部
60 入出力制御I/F部
70 ホストコンピュータ
80 スピンスタンド装置
90 スピンドル
100 ヘッドアンプ
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気記録装置の高記録密度化を実現するための記録方式として、垂直磁気記録方式が知られている。垂直磁気記録方式は、ヘッドに対向する記録媒体の磁性層を垂直に磁化することで、情報を記録する。
【0003】
具体的には、垂直磁気記録方式により情報を記録する磁気記録装置は、記録を行う主磁極と磁力線を回収する補助磁極とを記録ヘッドに有する。主磁極は、磁性層に対して垂直に磁力線を発することで磁性層を磁化して情報を記録し、補助磁極は、磁性層を磁化した磁力線を回収する。
【0004】
ここで、垂直磁気記録方式には、ライトポールイレーズ現象(以下、ポールイレーズと記す)が発生する問題がある。ポールイレーズは、磁力線を発生させる記録電流を停止した時点で最後の磁力線が流れた方向の磁気が記録ヘッドに残り、残った磁気(残留磁気)によって記録媒体の記録情報が消去される現象のことである。
【0005】
そして、ポールイレーズは、磁気記録装置ごとに発生頻度が異なることから、磁気記録装置ごとにポールイレーズが発生しやすいか否かを検査するための検査装置や検査方法の開発が求められている。
【0006】
そこで近年、記録媒体のトラックに下書き情報を書き込み、書き込んだ下書き情報の一部を上書きして、上書きを行った位置の直後の下書き情報の信号振幅に基づいてポールイレーズを検出する検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、上記した検査装置は、下書き情報の信号を、上書きを実行する前後で読み出し、上書き前の信号振幅に対して、上書き後の信号振幅が閾値以下に低下した場合、ポールイレーズが発生したとして検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−263702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した従来技術では、ポールイレーズの検査を高確度かつ高速で行うことができないという課題があった。すなわち、上記した従来技術では、書き込みテストによって偶発的に発生するポールイレーズを期待しているに過ぎず、ポールイレーズの検査を高確度で行うことができない。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、書き込み制御部が、記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理を実行するように制御する。また、書き込み制御部が、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理を実行するように制御する。さらに、書き込み制御部が、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理を実行するように制御する。そして、読み出し制御部が、前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御し、判定部が、前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【発明の効果】
【0011】
開示の装置は、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、実施例2における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図3は、パターンAの書き込み処理を説明するための図である。
【図4】図4は、パターンBの書き込み処理を説明するための図である。
【図5】図5は、パターンCの書き込み処理を説明するための図である。
【図6】図6は、判定部を説明するための図である。
【図7】図7は、実験結果を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図9】図9は、信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図10】図10は、誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本願の開示する磁気記録装置、ヘッド評価装置、スピンスタンド装置およびライトポールイレーズ評価方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本願の開示する磁気記録装置、スピンスタンド評価装置を実施例として説明する。
【実施例1】
【0014】
[実施例1における磁気記録装置の構成]
まず最初に、図1を用いて、実施例1における磁気記録装置の構成を説明する。図1は、実施例1における磁気記録装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0015】
図1に示すように、実施例1における磁気記録装置10は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40とを有する。
【0016】
ヘッド30は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ヘッドである。
【0017】
記録媒体40は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ディスクである。
【0018】
制御部20は、ヘッド30が実行する各種処理を制御し、特に本実施例に密接に関係するものとしては、書き込み制御部21と、読み出し制御部22と、判定部23とを有する。
【0019】
書き込み制御部21は、記録媒体40の複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに第二の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。
【0020】
さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいて第二の情報が書き込まれない領域に対して、書き終わりが第一の情報の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込むようにヘッド30を制御する。
【0021】
読み出し制御部22は、書き込み制御部21の制御によって第二の情報が書き込まれた後に、第二の情報を読み出すようにヘッド30を制御する。
【0022】
また、読み出し制御部22は、書き込み制御部21の制御によって第三の情報が書き込まれた後に、第二の情報を読み出すようにヘッド30を制御する。
【0023】
判定部23は、読み出し制御部22の制御によって、第二の情報が書き込まれた後に読み出された第二の情報と、第三の情報が書き込まれた後に読み出された第二の情報を用いて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0024】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、書き込み制御部21は、記録媒体40の複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに第二の情報を書き込む第二書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいて第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終わりが第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理を実行するようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、第二書き込み処理後および第三書き込み処理後それぞれにおいて第二の情報を読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、第一の情報の極性に対して逆の極性を書き終わりに有する第三の情報を書き込むことによってポールイレーズを加速することができ、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、ポールイレーズの偶発的な発生を期待するのではなく、ポールイレーズを誘発させることができ、ポールイレーズの検査を高速で行うことが可能となる。
【実施例2】
【0025】
実施例2では、上述した実施例1における制御部20が実行する処理内容の具体的な一例について説明する。
【0026】
[実施例2における磁気記録装置の構成]
まず最初に、図2〜7を用いて、実施例2における磁気記録装置の構成を説明する。図2は、実施例2における磁気記録装置の構成を説明するための図であり、図3は、パターンAの書き込み処理を説明するための図であり、図4は、パターンBの書き込み処理を説明するための図である。また、図5は、パターンCの書き込み処理を説明するための図であり、図6は、判定部を説明するための図であり、図7は、実験結果を説明するための図である。
【0027】
図2に示すように、実施例2における磁気記録装置10は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40と、記憶部50と、入出力制御I/F部60とを有し、ホストコンピュータ70と接続される。
【0028】
ホストコンピュータ70は、例えば、PC(Personal Computer)などの計算機装置であり、ポールイレーズ検出コマンドとともに、記録媒体40に書き込む情報を、磁気記録装置10に送信する。なお、磁気記録装置10は、ホストコンピュータ70の外部に接続されている場合であっても、ホストコンピュータ70に内蔵されている場合であってもよい。
【0029】
入出力制御I/F部60は、ホストコンピュータ70と磁気記録装置10との間で送受信されるデータを中継するインターフェースである。
【0030】
ヘッド30は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ヘッドであり、記録ヘッド31と再生ヘッド32を有する。
【0031】
記録ヘッド31は、後述する制御部20によって制御される書き込み処理を実行する。なお、記録ヘッド31は、図示していないが、記録を行う主磁極と主磁極が発した磁力線を回収する補助磁極とを有する。
【0032】
再生ヘッド32は、後述する制御部20によって制御される読み出し処理を実行する。
【0033】
記録媒体40は、磁気記録装置10に内蔵される磁気ディスクである。
【0034】
記憶部50は、後述する制御部20の制御によって実行された処理結果を記憶し、本実施例に密接に関係するものとして、読み出し情報記憶部51を有する。
【0035】
読み出し情報記憶部51は、後述する制御部20の制御によって実行された読み出し情報を記憶する。なお、読み出し情報については、後に詳述する。
【0036】
制御部20は、入出力制御I/F部60を介してホストコンピュータ70から受信したポールイレーズ検出コマンドを実行し、本実施例に密接に関係するものとして、書き込み制御部21と、読み出し制御部22と、判定部23と、サーボ制御部24とを有する。
【0037】
サーボ制御部24は、記録媒体40によって記録されているサーボ情報に基づいて、ヘッド30がオントラックするように制御する。ここで、サーボ制御部24は、記録媒体40の各トラック上にあるサーボ領域でサーボゲートをオンにして、ヘッド30からサーボ情報を取得するように制御する。
【0038】
書き込み制御部21は、記録媒体40における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報をパターンAとして書き込むように記録ヘッド31を制御する。具体的には、書き込み制御部21は、図3の(A)に示すように、記録媒体40に予め設定されたパターンA書き込み領域のすべてのトラックに対して、記録ヘッド31の主磁極および補助磁極にパターンAの書き込みを行わせる。
【0039】
例えば、書き込み制御部21は、図3の(B)に示すように、パターンA書き込み領域のトラック1〜トラックnまでを+極性のDCイレーズで書き込みを行うように記録ヘッド31を制御する。ここで、書き込み制御部21は、図3の(C)に示すように、パターンA書き込み領域のすべてのトラックにおいて、トラックのサーボ情報が記憶されているサーボ領域以外の領域のすべてのセクタにパターンAを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0040】
なお、パターンA書き込み領域は、任意に設定可能であり、例えば、図3の(B)に示すように、記録ヘッド31が有する補助磁極の幅に相当するトラック分の領域として設定される。
【0041】
そして、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込むように記録ヘッド31を制御する。具体的には、書き込み制御部21は、第二の情報として、ポールイレーズを検査するための評価用パターンであるパターンBを、標的トラックに対して、記録ヘッド31の主磁極および補助磁極に書き込みを行わせる。
【0042】
例えば、書き込み制御部21は、図4の(A)に示すパターンA書き込み領域内の標的トラックに対して、パターンBを書き込むように記録ヘッド31を制御する。すなわち、書き込み制御部21は、図4の(B)に示すように、標的トラックのパターンAが書き込まれていたセクタに対してパターンBを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0043】
ここで、書き込み制御部21は、図4の(B)に示すように、標的トラック上でサーボゲートがオンになっていない領域のセクタに対して、書き込みを行うライトゲートをオンにすることで、記録ヘッド31にパターンBの書き込みを行わせる。
【0044】
上述したパターンBは、極性が周期的に変化する情報または極性が非周期的に変化する情報である。例えば、書き込み制御部21は、図4の(C)に示すように、極性が周期的に変化するパターンBとして、+極性と−極性とが交互に変化する情報を書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0045】
なお、パターンBの書き込み場所は、標的トラック上のサーボ領域以外のセクタで任意に設定することができ、例えば、標的トラック上に128箇所設けてもよい。
【0046】
そして、書き込み制御部21は、標的トラック上でパターンBの書き込みが実行されない領域に対して、書き終りがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを第三の情報として書き込むように制御する。具体的には、書き込み制御部21は、図5の(A)に示すように、標的トラック上でパターンBの書き込みが行われなかったセクタに対して、パターンCを書き込むように制御する。
【0047】
例えば、書き込み制御部21は、パターンAの極性が+極性であった場合、少なくとも書き終りが−極性となるパターンCを書き込むように記録ヘッド31を制御する。
【0048】
また、書き込み制御部21は、第三の情報として、書き始めから書き終りまでが第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御する。例えば、パターンAの極性が+極性であった場合、書き込み制御部21は、図5の(B)に示すように、書き始めから書き終わりまでが−極性であるパターンCを書き込むように制御する。
【0049】
ここで、書き込み制御部21は、サーボ領域からパターンBを書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、パターンCを書き込むように制御する。具体的には、書き込み制御部21は、サーボ制御部24によって制御されたサーボゲートがオフになった際に、パターンCを標的トラックに書き込むように制御する。
【0050】
例えば、書き込み制御部21は、図5の(A)に示すように、サーボゲートがサーボ領域でオンになり、パターンBの領域まで延長されオフになった後に、ライトゲートをオンにして、標的トラック上のパターンB以外のセクタにパターンCを書き込むように制御する。
【0051】
図2に戻って、読み出し制御部22は、パターンBが書き込まれた後、書き込まれたパターンBを読み出すように、再生ヘッド32を制御する。
【0052】
そして、読み出し制御部22は、パターンBが書き込まれた後に再生ヘッド32によって読み出された読み出し情報(初期結果)を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0053】
そして、読み出し制御部22は、パターンCが書き込まれた後に、パターンBを読み出すように、再生ヘッド32を制御する。
【0054】
そして、読み出し制御部22は、パターンCが書き込まれた後に再生ヘッド32によって読み出された読み出し情報(上書き後結果)を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0055】
判定部23は、読み出し制御部22によって読み出し情報記憶部51に格納された初期結果および上書き後結果を比較し、比較結果が閾値以上である場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0056】
以下、パターンBの極性が、周期的な情報である場合および非周期的な情報である場合それぞれについて説明する。
【0057】
まず、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBの極性が周期的に変化する情報である場合、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果および上書き後結果の信号振幅と閾値とに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0058】
具体的には、判定部23は、図6の(A)に示すように、初期結果および上書き後結果それぞれの信号において、矢印で示した正のピーク電圧値の平均値と矢頭で示した負のピーク電圧値の平均値との差を信号振幅として算出する。そして、判定部23は、算出した上書き後結果の信号振幅が初期結果の信号振幅に対して、閾値以上低下をした場合、ポールイレーズが発生したと判定する。例えば、判定部23は、上書き後結果の信号振幅が初期結果の信号振幅と比較して、10%以上低下した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0059】
また、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBの極性が非周期的に変化する情報である場合、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果および上書き後結果の誤り率と閾値とに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0060】
例えば、判定部23は、図6の(B)に示すように、パターンBを書き込む際に、予め付加されたパリティビットに基づいて、初期結果および上書き後結果それぞれの誤り率を算出する。そして、判定部23は、算出した上書き後結果の誤り率が初期結果の誤り率に対して、閾値以上増加した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。例えば、判定部23は、上書き後結果の誤り率が初期結果の誤り率と比較して、10%以上増加した場合、ポールイレーズが発生したと判定する。
【0061】
なお、上記では、パリティビットを用いて誤り率を算出する場合について説明したが、本実施例は、これに限定されるものではなく、例えば、ビタビ符号やECC(Error Correcting Code)を用いる場合であってもよい。
【0062】
上述したパターンA、BおよびCを用いて行ったポールイレーズ検出の実験結果を以下に説明する。
【0063】
図7に示す実験では、補助磁極の幅とほぼ等しい20μm幅のパターンA書き込み領域内に標的トラックを設け、1トラックに128箇所のサーボ領域を設けた。そして、サーボ領域直後にパターンBの記録領域を配し、続けてパターンCの記録領域を配した記録媒体40に対して、ポールイレーズ検出を実施した。なお、各グラフの縦軸は、信号振幅(μV)を示し、横軸は、128箇所のパターンBの番号を示す。
【0064】
図7の(A)は、パターンAを極性がランダムであるACイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りの極性を限定しない場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを比較し、比較結果からポールイレーズ検出を行った。すなわち、上書き後結果は、パターンCを128×100=12800回記録した後のパターンBを示している。
【0065】
図7の(A)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅が3箇所で低下しており、ポールイレーズが3箇所のみ発生したことを示している。
【0066】
図7の(B)は、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りをパターンAの逆極性である−極性で書き込んだ場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを示している。すなわち、図7の(A)と同様に、上書き後結果は、12800回記録した後のパターンBを示している。
【0067】
図7の(B)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅がほとんどすべてのパターンBで低下しており、図7の(A)と比較して、より高頻度でポールイレーズが発生していることを示している。
【0068】
図7の(C)は、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンBとして極性が周期的に変化する情報を書き込み、パターンCの書き終りをパターンAと同一の+極性で書き込んだ場合の実験結果を示している。そして、本実験では、初期結果の信号振幅と128箇所のパターンCに対して100回の書き込みを行った後の上書き後結果の信号振幅とを示している。すなわち、図7の(A)と同様に、上書き後結果は、12800回記録した後のパターンBを示している。
【0069】
図7の(C)に示すように、初期結果と比較して、上書き後結果の信号振幅はまったく低下しておらず、ポールイレーズが発生していないことを示している。
【0070】
上記の結果から、パターンAを同一極性で書き込み、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性であるパターンCを書き込むことにより、ポールイレーズが加速されることが示されている。
【0071】
なお、上記した本実施例では、パターンAを+極性のDCイレーズで書き込み、パターンCの書き終りを−極性で書き込む場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、パターンAを−極性のDCイレーズで書き込み、パターンCの書き終りを+極性で書き込む場合であってもよい。
【0072】
[実施例2における磁気記録装置による処理の手順]
次に、図8を用いて、実施例2における磁気記録装置による処理を説明する。図8は、実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0073】
[実施例2における磁気記録装置によるポールイレーズ検出処理の手順]
図8に示すように、まず、実施例2における磁気記録装置10は、ホストコンピュータ70にて検査コマンドが実行されると(ステップS101肯定)、書き込み制御部21は、ヘッド30を標的トラック近傍にシークさせる(ステップS102)。そして、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、パターンA書き込み領域におけるサーボ領域以外の領域に対して、同一極性の情報であるパターンAを書き込む(ステップS103)。
【0074】
続いて、書き込み制御部21は、ヘッド30を、標的トラックにシークさせ(ステップS104)、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、標的トラックのサーボ領域以外の領域に対して、パターンBを書き込む(ステップS105)。例えば、記録ヘッド31は、標的トラックの128箇所にパターンBを書き込む。
【0075】
そして、再生ヘッド32は、書き込み制御部21の制御によって書き込まれたパターンBを、読み出し制御部22の制御により読み出し、読み出し制御部22は、再生ヘッド32によって読み出された初期結果を読み出し情報記憶部51に格納する(ステップS106)。例えば、再生ヘッド32は、標的トラックに書き込まれた128箇所のパターンBをそれぞれ読み出し、読み出し制御部22は、読み出された128箇所の初期結果それぞれを読み出し情報記憶部51に格納する。
【0076】
続いて、記録ヘッド31は、書き込み制御部21の制御によって、標的トラックのパターンBが書き込まれていない領域に対して、書き終りがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込む(ステップS107)。
【0077】
そして、書き込み制御部21は、パターンCが指定回数記録したか否かの判定を行う(ステップS108)。具体的には、書き込み処理部21は、記録ヘッド31によってパターンBと同一数のパターンCが書き込まれたか否かの判定を行う。
【0078】
ここで、指定回数記録していない場合(ステップS108否定)、書き込み処理部21は、ステップS107に戻って、パターンCの書き込みを記録ヘッド31に実行させる。
【0079】
一方、指定回数記録した場合(ステップS108肯定)、読み出し制御部22は、再生ヘッド32にパターンBの読み出しを実行させ、上書き後結果を読み出し情報記憶部51に格納する(ステップS109)。例えば、読み出し制御部22は、128箇所のパターンBを再生ヘッド32に読み出させ、読み出した128箇所それぞれの上書き後結果を読み出し情報記憶部51に格納する。
【0080】
そして、判定部23は、読み出し情報記憶部51によって記憶された初期結果と上書き後結果とを比較し(ステップS110)、比較結果が閾値以上か否かの判定を行う(ステップS111)。具体的には、判定部23は、128箇所の初期結果と128箇所の上書き後結果とを同一箇所から読み出した結果の間で比較する。
【0081】
ここで、比較結果が閾値以上であった場合(ステップS111肯定)、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS112)、処理を終了する。
【0082】
一方、比較結果が閾値以上ではなかった場合(ステップS111否定)、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定し(ステップS113)、処理を終了する。
【0083】
[信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順]
図8に示す処理の手順では、パターンAの後に書き込まれるパターンBの極性変化が限定されていないが、以下、周期的に極性が変化するパターンBを書き込んだ場合のポールイレーズ検出処理の手順について、図9を用いて説明する。なお、図9は、信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0084】
図9に示す信号振幅によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8の処理の手順と比較して、ステップS210およびステップS211の処理が異なる。
【0085】
すなわち、ステップS205のパターンBの書き込みにおいて、書き込まれたパターンBの極性が周期的に変化する情報である場合、判定部23は、ステップS210において、初期結果の信号振幅と上書き後結果の信号振幅とを算出し、算出結果を比較する。そして、判定部23は、ステップS211において、振幅低下が閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで、上書き後結果の信号振幅の低下が、初期結果と比較して、閾値以上であった場合、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS212)、処理を終了する。
【0086】
一方、上書き後の信号振幅の低下が、初期結果と比較して、閾値以上ではなかった場合、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定して(ステップS213)、処理を終了する。
【0087】
[誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順]
次に、非周期的に極性が変化するパターンBを書き込んだ場合のポールイレーズ検出処理の手順について、図10を用いて説明する。なお、図10は、誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順を説明するための図である。
【0088】
図10に示す誤り率によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8の処理の手順と比較して、ステップS310およびステップS311の処理が異なる。
【0089】
ステップS305のパターンBの書き込みにおいて、書き込まれたパターンBの極性が非周期的に変化する情報である場合、判定部23は、ステップS310において、初期結果の誤り率と上書き後結果の誤り率とを算出し、算出結果を比較する。そして、判定部23は、ステップS311において、誤り率が閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで、上書き後結果の誤り率が、初期結果と比較して、閾値以上であった場合、判定部23は、ポールイレーズが発生したと判定し(ステップS312)、処理を終了する。
【0090】
一方、上書き後の誤り率が、初期結果と比較して、閾値以上ではなかった場合、判定部23は、ポールイレーズ無しと判定して(ステップS313)、処理を終了する。
【0091】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、書き込み制御部21は、記録媒体40のパターンA書き込み領域に対して、同一極性であるパターンAを書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックにパターンBを書き込むようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいてパターンBが書き込まれない領域に対して、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込むようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれにおいてパターンBを読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBそれぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンAの極性に対して逆の極性を書き終わりに有するパターンCを書き込むことによって、ポールイレーズを加速することができ、ポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、ポールイレーズの偶発的な発生を期待するのではなく、ポールイレーズを誘発させることができ、ポールイレーズの検査を高速で行うこと可能となる。
【0092】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、標的トラックに対して、複数のパターンBおよび複数のパターンCを書き込むように制御し、読み出し制御部22は、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれで、複数のパターンBを記録媒体40の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって続けて読み出された複数のパターンBそれぞれのパターンB書き込み後およびパターンC書き込み後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、標的トラック一周で複数回の書き込みテストを実行することができ、ポールイレーズの検査をさらに高速に行うことが可能となる。また、複数のパターンCを標的トラックに配置することにより、ポールイレーズ発生後、記録媒体40が一回転する前に再度記録電流が発生することとなり、サーボ領域への影響を軽減することが可能となる。
【0093】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンCとして、書き始めから書き終わりまでがパターンAの極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御する。従って、パターンCの書き終わりが必ずパターンAの逆極性にすることができ、ポールイレーズの誘発が確実になる。
【0094】
あるいは、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンBとして、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBの読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンBを単一周波数の繰り返しで書き込んだ場合でもポールイレーズを正確に判定することが可能となる。
【0095】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、パターンBとして、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、判定部23は、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBの誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。従って、パターンBをランダムな極性で書き込んだ場合でもポールイレーズを正確に判定することが可能となる。
【0096】
また、実施例2によれば、書き込み制御部21は、サーボ領域からパターンBを書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、パターンCを書き込むように制御する。従って、パターンBの書き込み領域を上書き禁止領域にすることが可能となる。
【実施例3】
【0097】
上述した実施例2では、ホストコンピュータ70に組み込まれた磁気記録装置が自装置のポールイレーズを検出する場合について説明したが、実施例3では、スピンスタンド装置を用いて磁気記録装置のポールイレーズを検出する場合について説明する。
【0098】
[実施例3におけるスピンスタンド装置の構成]
まず最初に、図11を用いて、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明する。図11は、実施例3におけるスピンスタンド装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0099】
図11に示すように、実施例3におけるスピンスタンド装置80は、制御部20と、ヘッド30と、記録媒体40と、記憶部50と、スピンドル90と、ヘッドアンプ100とを有する。
【0100】
スピンドル90は、モーターを動力とし、記録媒体40を回転させる軸である。
【0101】
ヘッドアンプ100は、再生ヘッド32から読み出した磁化波形を増幅する増幅部である。
【0102】
なお、制御部20が有する書き込み制御部21、読み出し制御部22、判定部23およびサーボ制御部24の処理内容は、実施例2と同様である。また、ヘッド30が有する記録ヘッド31および再生ヘッド32それぞれの制御部20による記録媒体40への処理内容と、記憶部50が有する読み出し情報記憶部51が記憶する内容とは、実施例2と同様である。
【0103】
すなわち、スピンスタンド装置80は、実施例2と同様に、パターンA、BおよびCの書き込み処理と、パターンCの書き込み処理前後で読み出したパターンBの読み出し結果を比較することで、ポールイレーズを検出する。
【0104】
具体的には、書き込み制御部21は、記録媒体40のパターンA書き込み領域に対して、同一極性であるパターンAを書き込むようにヘッド30を制御する。また、書き込み制御部21は、パターンA書き込み領域内もしくは近傍に位置する標的トラックにパターンBを書き込むようにヘッド30を制御する。さらに、書き込み制御部21は、標的トラックにおいてパターンBが書き込まれない領域に対して、書き終わりがパターンAの極性とは逆の極性となるパターンCを書き込むようにヘッド30を制御する。そして、読み出し制御部22が、パターンB書き込み後およびパターンC書き込み後それぞれにおいてパターンBを読み出すように制御し、判定部23が、読み出し制御部22の制御によって読み出されたパターンBそれぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する。
【0105】
なお、スピンスタンド装置80によるポールイレーズ検出処理の手順は、図8〜10を用いて説明した磁気記録装置10による処理の手順と同様であるので、説明を省略する。
【0106】
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、スピンスタンド装置80は、ヘッド30、記録媒体40およびスピンドル90とからなる磁気記録装置のポールイレーズの検査を行う。従って、記憶部50および制御部20を組み込んでいない磁気記録装置のポールイレーズの検査を高確度で行うことが可能となる。また、記憶部50および制御部20を組み込んでいない磁気記録装置のポールイレーズの検査を高速で行うことが可能となる。
【0107】
なお、上記した実施例3では、スピンスタンド装置80が磁気記録装置のポールイレーズの検査を行う場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、制御部20および記憶部50を有するヘッド評価装置がヘッド30のポールイレーズの検査を行う場合であってもよい。
【実施例4】
【0108】
さて、これまで実施例1、実施例2および実施例3について説明したが、上述した実施例1、実施例2および実施例3以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、種々の異なる実施例を(1)〜(4)に区分けして説明する。
【0109】
(1)標的トラック
上記した実施例1〜3では、標的トラックがパターンA書き込み領域内に位置する場合について説明したが、本実施例はこれに限定するものではなく、例えば、標的トラックがパターンA書き込み領域の近傍に位置する場合であってもよい。
【0110】
(2)パターンBおよびパターンCの書き込み位置
上記した実施例1〜3では、標的トラックにおいて、サーボ領域、パターンBの書き込み領域、パターンCの書き込み領域が順に配置される場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、パターンBの書き込み領域とパターンCの書き込み領域の配置が逆になる場合であってもよい。すなわち、サーボ領域、パターンCの書き込み領域、パターンBの書き込み領域の順に配置されてもよい。
【0111】
(3)記録媒体における検査位置
上記した実施例1〜3では、記録媒体における標的トラックが一箇所である場合について説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、同一記録媒体上に複数の標的トラックを設定する場合であってもよい。
【0112】
(4)システム構成等
また、上記の実施例において説明した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に更新することができる。例えば、本実施例は、ポールイレーズの発生を、同一記録媒体の同一位置において、複数回のポールイレーズ検査を実行した後の検査結果に基づいて判定する場合であってもよい。
【0113】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示された構成要素と同一であることを要しない。すなわち、各処理部および各記憶部の分散・統合の具体的形態(例えば、図2の形態)は図示のものとは限られない。例えば、磁気記録装置10に複数のヘッド30および複数の記録媒体40が内蔵される場合であってもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0114】
以上の本実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0115】
(付記1)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とする磁気記録装置。
【0116】
(付記2)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記1に記載の磁気記録装置。
【0117】
(付記3)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0118】
(付記4)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0119】
(付記5)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記4に記載の磁気記録装置。
【0120】
(付記6)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0121】
(付記7)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするヘッド評価装置。
【0122】
(付記8)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記7に記載のヘッド評価装置。
【0123】
(付記9)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0124】
(付記10)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0125】
(付記11)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記10に記載のヘッド評価装置。
【0126】
(付記12)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記7または8に記載のヘッド評価装置。
【0127】
(付記13)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするスピンスタンド装置。
【0128】
(付記14)前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記13に記載のスピンスタンド装置。
【0129】
(付記15)前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0130】
(付記16)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0131】
(付記17)前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記16に記載のスピンスタンド装置。
【0132】
(付記18)前記書き込み制御部は、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むように制御することを特徴とする付記13または14に記載のスピンスタンド装置。
【0133】
(付記19)記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込みステップと、
前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込みステップと、
前記標的トラックにおいて前記第二書き込みステップが実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込みステップの極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込みステップと、
前記第二書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第一読み出しステップと、
前記第三書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第二読み出しステップと、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定ステップと、
を含んだことを特徴とするライトポールイレーズ評価方法。
【0134】
(付記20)前記第二書き込みステップおよび前記第三書き込みステップは、前記標的トラックに対して、それぞれ複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込み、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップは、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出し、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記19に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0135】
(付記21)前記第三書き込みステップは、前記第三の情報として、書き始めから書き終りまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むことを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0136】
(付記22)前記第二書き込みステップは、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込み、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0137】
(付記23)前記第二書き込みステップは、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込み、
前記判定ステップは、前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする付記22に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【0138】
(付記24)前記第三書き込みステップは、サーボ領域から前記第二の情報を書き込む領域まで延長されるサーボゲートに同期して、前記第三の情報を書き込むことを特徴とする付記19または20に記載のライトポールイレーズ評価方法。
【符号の説明】
【0139】
10 磁気記録装置
20 制御部
21 書き込み制御部
22 読み出し制御部
23 判定部
24 サーボ制御部
30 ヘッド
31 記録ヘッド
32 再生ヘッド
40 記録媒体
50 記憶部
51 読み出し情報記憶部
60 入出力制御I/F部
70 ホストコンピュータ
80 スピンスタンド装置
90 スピンドル
100 ヘッドアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録装置。
【請求項6】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするヘッド評価装置。
【請求項7】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするスピンスタンド装置。
【請求項8】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込みステップと、
前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込みステップと、
前記標的トラックにおいて前記第二書き込みステップが実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込みステップの極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込みステップと、
前記第二書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第一読み出しステップと、
前記第三書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第二読み出しステップと、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定ステップと、
を含んだことを特徴とするライトポールイレーズ評価方法。
【請求項1】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域内もしくは近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
前記書き込み制御部は、前記標的トラックに対して、複数の第二の情報および複数の第三の情報を書き込むように制御し、
前記読み出し制御部は、前記第二書き込み処理後および前記第三の書き込み処理後それぞれで、前記複数の第二の情報を前記記録媒体の回転に合わせて続けて読み出すように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって続けて読み出された複数の第二の情報それぞれの第二書き込み処理後および第三書き込み処理後の読み出し結果に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記書き込み制御部は、前記第三の情報として、書き始めから書き終わりまでが前記第一の情報の極性とは逆の同一極性の情報を書き込むように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の読み出し信号の振幅に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記書き込み制御部は、前記第二の情報として、極性が非周期的に変化する情報を書き込むように制御し、
前記判定部は、前記読み出し制御部の制御によって読み出された当該第二の情報の誤り率に基づいて、ポールイレーズの発生を判定することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録装置。
【請求項6】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするヘッド評価装置。
【請求項7】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込み処理と、前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込み処理と、前記標的トラックにおいて前記第二書き込み処理が実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込み処理の極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込み処理とを実行するように制御する書き込み制御部と、
前記第二書き込み処理後および前記第三書き込み処理後それぞれにおいて前記第二の情報を読み出すように制御する読み出し制御部と、
前記読み出し制御部の制御によって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定部と、
を有したことを特徴とするスピンスタンド装置。
【請求項8】
記録媒体における複数のトラックを含む所定の領域に対して、同一極性である第一の情報を書き込む第一書き込みステップと、
前記所定の領域の近傍に位置する標的トラックに対して、第二の情報を書き込む第二書き込みステップと、
前記標的トラックにおいて前記第二書き込みステップが実行されない領域に対して、書き終りが前記第一書き込みステップの極性とは逆の極性となる第三の情報を書き込む第三書き込みステップと、
前記第二書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第一読み出しステップと、
前記第三書き込みステップ後に前記第二の情報を読み出す第二読み出しステップと、
前記第一読み出しステップおよび前記第二読み出しステップによって読み出された第二の情報それぞれに基づいて、ポールイレーズの発生を判定する判定ステップと、
を含んだことを特徴とするライトポールイレーズ評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−277624(P2010−277624A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126956(P2009−126956)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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