説明

磁気記録装置

【課題】主磁極の周囲にトレーリングシールドとサイドシールドを有する磁気ヘッドを搭載した垂直磁気記録装置において、高い線記録密度度と、高い記録トラック密度を実現し、面記録密度を向上する。
【解決手段】磁気情報を記録する主磁極22のトレーリング側と両サイドにシールドを有し、主磁極22とトレーリングシールド21との磁気的な最短距離をT-Gap、主磁極とその両サイドに配置されるサイドシールド23との磁気的な最短距離をS-Gap、主磁極表面から記録媒体を構成する磁気記録層41下面までの距離をLmag、主磁極表面から記録媒体の下部軟磁性層43上面までの距離をHUSと定義したとき、Lmag <T-GapおよびHUS<S-Gapの関係を満足するように各磁気的な距離を設定する。さらに、Lmag <T-Gap<HUS<S-Gapの関係を満足するように各磁気的な距離を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高密度の磁気情報を記録するのに好適な垂直磁気記録方式を用いた磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器の記憶(記録)装置には、主に半導体メモリと磁性体メモリが用いられる。アクセス時間の観点から内部記憶装置に半導体メモリが用いられ、大容量かつ不揮発性の観点から外部磁気記憶装置に磁気ディスク装置が用いられる。記憶容量は磁気ディスク装置の性能を表す重要な指標であり、近年の情報社会の発展に伴い大容量かつ小型の磁気ディスク装置が市場から要求されている。この要求に好適な記録方式に垂直記録方式がある。この方式は高密度化が可能であるため従来の長手記録方式に代わって主流になると考えられている。
【0003】
特許文献1及び2には、主磁極とその両側に設けた軟磁性膜との最短距離が主磁極のトレーリング側に設けた軟磁性膜との最短距離に比べ長い垂直記録用磁気ヘッドが開示されている。特許文献3には主磁極と補助磁極との最短距離が、記録媒体の下面に配置された軟磁性膜表面と主磁極表面との距離に比べ1から5倍長い垂直記録用磁気ヘッドが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−120223号公報
【特許文献2】特開2005−310363号公報
【特許文献3】特開2004−326990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
垂直記録方式の磁気記録媒体の磁化方向は、媒体面に対して垂直方向となるため、隣り合う磁区との間に作用する反磁界の影響が長手記録方式に比べ小さい。このため、高密度磁気情報を媒体に記録することが出来、大容量の磁気ディスクを構成することが可能である。
この特徴を有効に引き出すために、主磁極のトレーリング側にはシールドが設けられ、記録磁界の磁界勾配を急峻にしている。また、隣接トラックへの記録磁界の漏れを防ぐ目的で主磁極の両サイドにはシールドが設けられている。
これらのシールド構造について、特許文献1には、主磁極とトレーリング側シールドとの距離が、主磁極とサイドシールドとの距離よりも短い垂直記録用磁気ヘッドが開示され、特許文献2でも同様に主磁極とトレーリング側シールドとの距離が、主磁極と両サイドに配置されたシールドとの距離よりも短い垂直記録ヘッドが開示されている。また特許文献3では磁気ディスクの下部軟磁性層表面と主磁極との間の最短距離に対し、主磁極と媒体からの磁束を戻す補助磁極との距離を、1倍から5倍に設定する磁気ディスク装置が開示されている。
【0006】
これらの従来技術は、垂直磁気記録の高密度化を進める上で有効となる技術であると考えられる。しかし、これらの従来技術では、主磁極とサイドシールドおよびトレーリングシールドとの距離の最適化手法について言及しておらず、垂直磁気記録媒体を構成する下部軟磁性層条件、垂直記録層条件によっては期待したほど記録密度が向上しないという解決すべき課題がある。
【0007】
本発明の目的は、垂直磁気記録媒体を備えた磁気記録装置において、高記録密度を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の代表的な磁気記録装置は、以下の構成を有する。
磁気情報を記録する主磁極のトレーリング側と両サイドにシールドを有し、主磁極とトレーリングシールドとの磁気的な最短距離をT-Gap、主磁極とその両サイドに配置されるサイドシールドとの磁気的な最短距離をS-Gap、記録動作時における主磁極表面から垂直磁気記録媒体を構成する記録層下面までの距離をLmag、同じく記録動作時における主磁極表面から垂直磁気記録媒体の下部軟磁性層上面までの距離をHUSと定義したとき、Lmag <T-Gapおよび<HUS<S-Gapの関係を満足するように各磁気的な距離を設定する。
前記磁気記録装置において、記録動作時における主磁極表面から下部軟磁性層下面までの距離をLSLと定義したとき、S-Gap<LSLであることが望ましい。
前記磁気記録装置において、さらにLmag<T-Gap<HUS<S-Gapを満足することが望ましい。
また、垂直磁気記録媒体と、主磁極を有する磁気ヘッドを備えた磁気記録装置において、磁気ヘッドにより任意の固定周波数で垂直磁気記録媒体に記録された磁気情報を、磁気ヘッドをトラック幅方向にシークさせることにより得られる出力信号の振幅分布の半値幅から定義される磁気的な記録トラック幅WCと、磁気情報を記録し再生した際のエラーレートBERの関係において、磁気的なトラック幅の変化量をδWC、前記コイルに供給する記録電流条件に対するエラーレートの変化量をδBERと定義したとき、δBER/δWCの変化幅がδWC=10nmあたり0.25-0.45の傾き範囲にあるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い線記録密度度と、高い記録トラック密度を実現し、磁気記録装置の面記録密度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図2に垂直記録方式を用いた磁気記録装置(磁気ディスク装置)10の基本構成を示す。同図(a)は装置の平面図、(b)は断面図である。垂直磁気記録媒体(磁気ディスク)2は、スピンドルモータ3に直結されており、情報の入出力時に回転される。磁気ヘッド1は、サスペンション8に支持され、サスペンション8はアーム7を介してアクチュエータ4に支持される。サスペンション8は、磁気ヘッド1を磁気ディスク2上に所定の力で保持する機能を有する。記録信号及び再生信号の処理、情報の入出力処理は、筐体内部に設けられた記録再生用回路6、筐体外部に取付けられた回路基板5に実装された信号処理回路にて行われる。垂直磁気記録方式にて得られる再生波形(時間軸に対する再生信号の振幅変化)は長手記録方式で見られるローレンツ型波形と異なり、台形波となるため、信号処理回路、波形等価回路は面内磁気記録方式のものと異なっている。
【0011】
垂直記録方式は記録面に対して垂直方向に磁化の容易軸を有する磁気ディスク2が用いられる。基板には、ガラスないしはAl基板が用いられ、その基板上に垂直磁気記録層となる磁性薄膜が成膜されている。磁気ヘッド1からの記録磁界は磁気ディスク2に作用し、垂直磁気記録層の磁化を反転させる。垂直磁気記録ではこの垂直方向の磁界成分を用いて記録を行う必要があるため、垂直磁気記録層と基板との間に下部軟磁性層(SUL:soft under layer)が設けられている。
【0012】
磁気ヘッド1は、磁気情報を記録するための主磁極を有する記録ヘッドと、磁気情報を再生するための再生ヘッドとを有する。再生ヘッドは、磁気抵抗現象ないしは巨大磁気抵抗現象あるいは電磁誘導現象を利用した再生素子が用いられる。これらの記録ヘッド及び再生ヘッドはスライダーに搭載される。スライダーに搭載された磁気ヘッド1は、アクチュエータ4の回転と共に磁気ディスク2の面上を半径方向に移動し、任意の場所(トラック)に位置決めされた後、磁気情報の記録、ないしは再生を行う。アクチュエータ4を制御する電気回路は信号処理回路と共に回路基板5に実装されている。
【0013】
次に、図3を参照して磁気ヘッド1の基本構成について説明する。図3は主磁極22の中心を通り、浮上面(Air Bearing Surface)98に対して垂直な素子断面図である。素子は、スライダー部材の基板30の上に下地層19を介して再生ヘッド100と記録ヘッド200が順次積層された構造からなる。再生ヘッド100は、下部シールド11と上部シールド12、さらに上下のシールドに囲まれ、その一部が浮上面に露出された磁気抵抗素子18から構成される。磁気抵抗素子18には、電極が接続されており、磁気抵抗素子18からの電気情報を信号処理回路に伝達する。磁気抵抗素子18は、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR素子あるいはTMR素子等が用いられる。CPP構造では下部シールド11と上部シールド12が電極を兼ねる場合がある。下部シールド11と上部シールド12には、Niが80%以上のNiFeからなるパーマロイが用いられる。
【0014】
スライダー部材の基板30は、Al2O3−TiC(アルミナチタン酸カーバイド)で形成されている。シールド部材、磁気抵抗素子等は非磁性かつ絶縁性(ないしは電気抵抗の極めて高い)材料であるAl2O3(アルミナ)等で分離されている。
【0015】
記録ヘッド200は、下部コイル16、上部コイル17に挟まれた軟磁性膜パターン(ヨーク)14、同ヨーク14に接続され媒体に書込を行う主磁極を構成する磁性層22と、媒体からの磁束を返す副磁極を構成する磁性膜13(下部コイル16が発生させる再生ヘッドに及ぼす磁界の影響を低減させるシールドとしての機能を兼ねる)、副磁極13とヨーク14を磁気的に接続する軟磁性膜パターン26及び磁性膜15を基本構成とする。磁性膜15は浮上面98に広い面積を有し、かつ奥行き方向には薄い構造を有する。これは記録時における磁性膜15における磁束分布の低減化(広い面積)と主磁極22から直接漏れる磁束を低減化(薄い構造)する目的である。
【0016】
媒体に書込を行う主磁極を構成する磁性層22は、浮上面98に露出し、記録トラック幅を規定する。主磁極22のトレーリング側(流出端側)には絶縁層を介してトレーリングシールド21が設けられ、主磁極22の両側には絶縁層を介してサイドシールド23が設けられている。また、浮上面98に露出して軟磁性膜の台座パターン24が設けられている。主磁極22の後端はヨーク14に繋がれ、ヨーク14の後端でバックギャップを構成する。バックギャップ部では磁性膜15及びヨーク14が軟磁性膜間ターン26にて磁気的に接続される。
【0017】
ヨーク14と磁性膜15間に上部コイル17が配置され、上部コイル17とヨーク14との電気的な絶縁を確保するため絶縁層20が設けられている。同様に下部コイル16の下部にも電気的な絶縁を確保するため絶縁層29を設けられている。また、上部コイル17と磁性膜15との電気的な絶縁を確保するため絶縁層33が充填されている。主磁極22の下部の絶縁層25は下部コイル16とヨーク14との絶縁を確保するためのものでアルミナを選択した。
【0018】
<実施例1>
図1A〜図1Cは、図3を用いて説明した磁気ヘッド1の主磁極22およびその周辺部の拡大図である。図1A〜図1Cを用いて実施例1の特徴を述べる。図1Aは主磁極22の浮上面の形状を示す。図1Bは図1AのX−X線断面であり、主磁極22の略膜厚中心を通り、浮上面98に対して垂直な平面で切った断面図である。図1Cは図1AのY−Y線断面であり、主磁極22の略トラック幅中心を通り、浮上面98に対して垂直な平面で切った断面図である。図1Aに示すように、主磁極22は浮上面において逆台形形状である。磁気ディスクの記録媒体面は紙面の上向き方向に移動する。図1Bに示すように、主磁極22は奥行き方向に一定幅の先端部と、奥行き方向に幅が広がるフレア部を有している。浮上面からフレア部までの長さをフレア長FPと呼ぶことにする。また、主磁極の両サイドにはサイドシールド23が配置される。ここで主磁極22とサイドシールド23との最短距離をS-Gapと定義する。図1Cに示すように、磁気ディスク面の移動方向の後流(トレーリング)側にトレーリングシールド21が配置される。ここで主磁極22とトレーリングシールド21との最短距離をT-Gapと定義する。主磁極22とシールド部材21,23との距離は磁気的な空隙を意味し、主磁極エッジから生じる磁界分布を制御する目的で設定される。なお、上記説明では、サイドシールド23とトレーリングシールド21を別の構成として扱ったが、これらが同一材で、かつ同一工程で形成されても良いことは言うまでもない。
【0019】
垂直磁気記録装置では上記磁気ヘッド1と共に膜面に対して垂直方向に磁化容易磁区を有する磁気記録層を備えた記録媒体を用いる。図1B及び図1Cに垂直磁気記録媒体(磁気ディスク)2を合わせて示してある。磁気ディスク2には、垂直磁気記録層(以下、磁気記録層と略す)41と、磁気ヘッド1からの垂直磁界を高効率で磁気記録層41に誘導させる目的で、中間層42を介して下部軟磁性層43が設けられる。下部軟磁性層43は磁気ヘッド1から見て磁気記録層41より遠い位置に配置され、主磁極22からの磁束を受けて副磁極13に戻す働きをする。下部軟磁性層43は、主磁極22からの磁束を誘導すると共に磁気記録層41の下面に配置さえるが故、磁気ディスク2の製造過程において磁気記録層41の結晶成長にも間接的に影響を与える。中間層42はこの影響を制御する働きを兼ねる。主磁極22から多くの磁束を誘導するため、すなわち微細磁気情報の安定性を決定する指標である熱減磁特性が優れる高Hk媒体への記録を実現するために、下部軟磁性層43の膜厚は厚い方が望ましいが、磁気記録層41の結晶成長に与える影響を考慮すると任意に選択することはできない。また、厚い下部軟磁性層43は膜厚成長に時間がかかるため、成膜装置の生産性に問題が生じることも容易に理解される。
【0020】
また、下部軟磁性層43は、高飽和磁束密度材料の方が主磁極22からの磁束を受け易いが、上記と同様に磁気記録層41の結晶成長に与える影響から制約が生じる。種々の検討が推進されている状況であるが、下部軟磁性層43の飽和磁束密度としては1.3Tから2.0Tが概ね適用の範囲である。また、膜厚については25nmから100nmの範囲が実用範囲と考えられる。
【0021】
下部軟磁性層43に磁区が生じると、磁区表面に発生する磁荷が磁気ヘッドの再生部に影響し、ノイズとして作用してしまう問題がある。これを防ぐために、複数の下部軟磁性層をRuなどの反強磁性層を介して積層する構成が有効である。Ruの膜厚としては交換結合が最大となる約0.5nmが選択される。記録ヘッドから見た下部軟磁性層の機能はRuの存在により影響は受けない。これはヘッド磁界が交換結合磁界より強いことに起因する。しかし、読み出し時には下部軟磁性層にノイズの原因となる磁区が発生しないように機能する。
【0022】
磁気情報を記録する際には、磁気ヘッド1は磁気ディスク2に接近した状態で浮上維持される。この浮上状態における磁気ヘッド主磁極22の表面から磁気ディスク2を構成する磁気記録層41下面までの距離をLmagと定義し、また、磁気ヘッド主磁極22の表面から磁気ディスクを構成する下部軟磁性層43上面までの距離をHUSと定義し、さらに磁気ヘッド主磁極22の表面から下部軟磁性層43層下面までの距離をLSLと定義したとき、本実施例1では、Lmag、T-Gap、HUS、S-Gapの関係を、Lmag<T-GapおよびHUS<S-Gapを満足するように設定した。また、Lmag<T-Gap<HUS<S-Gapを満足するように設定した。
【0023】
以下この根拠となった計算結果について説明する。計算に用いた条件は以下である。主磁極22の最大幅100nm、主磁極の膜厚200nm、主磁極の飽和磁束密度2.4T、主磁極に設けたフレアポイント長(FP)100nm、磁気ディスク2を構成する下部軟磁性層43の膜厚75nm、下部軟磁性層43と磁気記録層41間の中間層42の膜厚26nm、磁気記録層41の膜厚(tmag)18nm。主磁極表面と磁気記録層表面までの距離17.3nm。トレーリングシールド21の奥行き方向の長さ100nm、サイドシールド23の奥行き方向の長さ100nm。計算ツールとしては市販のMAGICプログラムを用いた。
【0024】
上記設定の下では、Lmag=18nm+17.3nm=35.3nmとなる。ここでT-Gapを20nmから80nmまで変化させて磁気ディスク2の中心に作用する磁界に着目する。図4に主磁極22の表面から磁気記録層41表面までの距離hmを17.3nmに設定した場合の計算結果を示す。図の横軸はT-Gapであり左縦軸は磁界強度(Field Intensity)、右縦軸は記録に寄与する最大磁界勾配値(Field Gradient)を表す。結果に着目すると磁界強度はT-Gapが広くなるにつれて強度が増すことが分かる。しかし、実際の記録動作に寄与する磁界強度における磁界勾配は約36nmでピークを持ち、T-Gapを狭めても改善しないことが分かる。この磁界勾配がピークとなるT-Gap条件は、Lmag=35.3nmと略一致していることが分かる。
【0025】
確認のため、hmを21.3nmにした、すなわちLmag=39.3nmとした計算を行った。結果を同図にあわせて示す。図から明らかなようにhmを高めた場合には、磁界勾配のピーク位置は、略T-Gap=40nmに移行している。すなわち、この場合にもLmagと最大磁界勾配のピーク位置は略一致していることが分かる。
【0026】
さらに本関係を検証する目的で更に高密度を狙った条件についても計算を行った。計算条件は、主磁極の最大幅97nm、主磁極の膜厚145nm、主磁極の飽和磁束密度2.4T、主磁極に設けたフレアポイント長(FP)100nm、磁気ディスク2を構成する下部軟磁性層43の膜厚100nm、下部軟磁性層と記録層間の中間層膜厚12nm、磁気記録層の膜厚15nm。主磁極表面と磁気記録層表面までの距離11nm。トレーリングシールド21の奥行き方向の長さ100nm、サイドシールド23の奥行き方向の長さ100nmである。結果を図5に示す。この場合、Lmag=11nm+15nm=26nmとなる。結果に着目すると最大磁界勾配点は約25nm近傍とややLmagの値より狭い条件にピークが移動しているがその差は小さく、より高磁界が得られるT-Gap= Lmagが最適点と考えられる。
【0027】
高密度の磁気情報を記録するためには、磁界勾配を高める必要があることは周知である。また、T-Gapを狭めることで磁界勾配が改善されることは当業者には周知のことである。しかし、その限界が磁気記録層の膜厚を含めたLmagによって制限されることは知られていない。従って、高密度記録を実現させる目的でT-Gapの下限条件を明確にすることは有意義である。
【0028】
次に本発明者らは上記の計算を更に展開し、S-Gapの下限値に新たな限界を見出した。サイドシールド23は主磁極22から隣の記録トラックに漏れる磁界を低減させる目的で設ける。S-Gap条件は磁界の低減量を調整するパラメータである。従ってこの設定値の限界値を明確にすることは高密度トラック記録技術を実現する上で有意義である。計算は主磁極の最大幅を90nm,110nm,130nmの3種類、主磁極の膜厚200nm、主磁極の飽和磁束密度2.4T、主磁極に設けたフレア長100nm、磁気ディスクを構成する下部軟磁性層43の膜厚75nm、下部軟磁性層と磁気記録層間の中間層膜厚26nm、磁気記録層の膜厚18nm。主磁極表面と磁気記録層表面までの距離17.3nm。トレーリングシールド21の奥行き方向の長さ100nm、サイドシールド23の奥行き方向の長さ100nm。S-Gap条件として60nmと140nmの2種類を計算した。
【0029】
図6に計算結果を示す。横軸は発生磁界(記録磁界)の強度(Heffmax)、縦軸は記録磁界が及ぼす影響範囲(距離)(δHeff)を示す。影響範囲は、記録磁界の最大値に対して1/2.6の磁界が及ぼす範囲を定義した。この定義はヘッド磁界の広がりを規格化するものであり、異なる記録磁界強度環境下で高密度記録性能を比較する上で有効な手法である。計算結果に着目すると、S-Gap=60nmとした場合、いずれの主磁極22の幅でも記録磁界強度に対する記録磁界の広がり量が略一定していることが分かる。一方、S-Gap=140nmの条件では、記録磁界強度が増加すると共に記録磁界の広がり量が顕著である。ヘッド磁界に対し磁界が広がる割合を計算すると約2.8×10-12m/Oeとなる。
【0030】
記録磁界強度は、記録電流、主磁極のフレア長によって変化することが知られており、主磁極の幅を高精度に形成しても磁気的な幅を一定に設定できない問題があることは周知である。この磁気的な幅は記録磁界の広がり幅を一定に出来れば一定にできる。したがって、今回の計算で得られたS-Gap=60nmの条件は記録磁界の変化に伴う磁気的な記録トラック幅を一定にできるものと推定される。
【0031】
今回の計算は、hm=17.3nm、磁気記録層41の膜厚18nm、下部軟磁性層43と磁気記録層41間の中間層膜厚26nmとした。すなわちHUS=61.3nmとした。S-Gap=60nm条件はこのHUSと略等しいことが分かる。S-Gapを60nmより狭くした場合にも同様に強磁界条件下でヘッド磁界の広がりを制限することができると推定される。しかし、S-Gapを狭めるほど主磁極22からサイドシールド23に漏れる磁束が増加し記録磁界が大幅に低下してしまう。今回の計算で開示された条件は、S-Gap=140nmに対して同一主磁極幅条件で約1KOe以内であり実用上問題が無い。従ってS-Gap条件としては、最少幅をHUSとすることでヘッド磁界の広がり幅を一定にし、磁界強度を高く保つことができる。HUSによるS-Gap条件の規定はこれまでに開示されておらず、本計算結果は有意義なものである。
【0032】
次にS-Gapの上限を検討する。図7は、S-Gapを無限大、すなわちサイドシールド23を除いた場合の計算結果である。トレーリングシールド21は上記条件のまま残してある。同結果は、各種トラック幅(90-140nm)、T-Gap条件(30-80nm)の結果を含んでいる。図から明らかなようにヘッド磁界が強いほどヘッド磁界の広がりが拡大していることが分かる。この広がりの傾きは、約3×10-12m/Oeであり、S-Gap=140nmの場合と略一致する。従ってヘッド磁界の広がりを抑える効果はS-Gap=140nmを略上限として、それ以上S-Gapを広げてもS-Gap=∞と同じであることが類推できる。
【0033】
次にヘッド磁界の広がりを抑える効果がS-Gap=140nmを上限とする理由を検討する。図8は下部軟磁性層43の膜厚を種々変えることで磁気ディスクの下部軟磁性層43下面までの距離LSLを変更した計算結果である。図の横軸はLSL、縦軸は同じくヘッド磁界の広がり幅(δHeff)である。結果からLSLがS-Gapと略等しい140nmとなる条件からLSLに対するヘッド磁界の広がり幅の変化が低下していることが分かる。ヘッド磁界の広がり幅の変化が少なくなる現象はサイドシールド23の効果が少なくなることを意味する。この点からS-Gap=140nmの効果が得られるLSL範囲は140nm以上であると言える。
【0034】
上記傾向をS-Gap=120nmについても調べてみた。その結果を同図にあわせて示す。結果に着目するとLSL=130nmの条件からヘッド磁界の広がり幅の傾向が変わることが分かる。つまり、S-Gap=120nmの条件下ではLSL=130nm以下の条件でサイドシールドの効果が得られることが分かる。
【0035】
以上の2条件であるが、何れの計算もS-Gap<LSL(図中破線で両変化点を繋いだ)を満足させることでサイドシールドの効果を出せると言える。
【0036】
以上説明したとおり、実施例1によれば、トレーリングギャップ(T-Gap)の範囲を媒体条件(Lmag)にて規定することで高線密度記録を実現できることを明確にした。また、主磁極のサイドに配置されたシールドとの距離に相当するサイドギャップ(S-Gap)条件を磁気ディスクの下部軟磁性層条件(HUS)を用いて規定することで高トッラク密度性能を実現できることを明確にした。さらにLmag<T-Gap<HUS<S-Gapを満足することにより、磁気ディスク装置を構成する上で最も重要な面記録密度を向上できることを明確にした。
【0037】
<実施例2>
次に、図9及び図10を参照して実施例2による磁気ディスク装置を説明する。図9は、実際に磁気ヘッドを作成し、その磁気的なトラック幅WCと磁気情報を記録し再生した際のエラーレートBERを測定した結果を示す。磁気的な記録トラック幅WCは、磁気ヘッドにより任意の固定周波数で磁気ディスクに記録された磁気情報を、磁気ヘッドをトラック幅方向にシークさせることにより得られる出力信号の振幅分布の半値幅から定義される。磁気ヘッドの仕様は、実施例1の磁気ヘッド1と同じであり、主磁極の最大幅を100nm、主磁極の膜厚を200nm、主磁極の飽和磁束密度2.4T、主磁極に設けたフレア長100nm、磁気ディスクを構成する下部軟磁性層の膜厚75nm、下部軟磁性層と磁気記録層間の中間層膜厚26nm、磁気記録層の膜厚18nm、主磁極表面と磁気記録層表面までの距離17.3nm、トレーリングシールドの奥行き方向の長さ100nm、サイドシールドの奥行き方向の長さ100nmとした。磁気ディスクの仕様は実施例1の磁気ディスク2と同じであり、磁気記録層の保磁力は約4kOe(320kA/m)、Hkは16kOe(1280kA/m)である。上記仕様は中心値である。実際にヘッドを製造した場合、各部の寸法ばらつき、膜厚ばらつき、層間のあわせずれ等の分布が生じることは周知である。図はこれらプロセスばらつきから生じた性能の分散の中心をプロットした曲線である。
【0038】
プロットした曲線に着目すると、磁気的なトラック幅はヘッド磁界が強いほど共に広がり、エラーレートも向上する。逆にヘッド磁界が弱い場合には磁気的なトラック幅が狭くなり、エラーレートが低下する。但し、強磁界側に比べ低磁界側でのエラーレートの低下は著しく、図から明らかなようにL字型の様になる。
【0039】
素子作製時にプロセス条件の最適化および一般に高額となる高精度の製造装置を導入することで公差範囲を狭めることは可能である。ここで仮に135nmと187nmを境界とする狭い3つの正規分布を仮定してみる。磁気的な幅が狭くエラーレートが低い分布のA、磁気的な幅は135nmと187nmの範囲にありエラーレートは飽和に近いところに分布するB、磁気的なトラック幅は最も広いが最もエラーレートが良い分布C。
【0040】
磁気ディスク装置を構成する上では、所定の磁気記録媒体上で磁気ヘッドのエラーレート10-6台が必要である。従って分布Aの磁気ヘッドは線記録密度を下げた条件で使用しなければならない。しかし、トラック幅が狭く高トラック密度記録を実現できる長所がある。一方、分布Cのヘッドは十分なエラーレート(10-8台)が得られているがトラック密度を高められない欠点がある。分布Bはこれらの中間的な性能と予想される。
【0041】
図10はこれら3種の分布を用いて磁気ディスク装置を構成した場合に得られた面記録密度(線密度(KBPI)×トラック密度(KTPI))の計算結果である。各分布のヘッドによる達成可能な記録密度を定量的に表している。すなわち、分布Aのヘッドは約85 KBPIと線密度性能は低いが、高いトラック密度170 KTPI条件で使用できる。一方分布Cのヘッドは約100 KBPIの高い線密度を達成できるが、トラック密度は120 KTPIに留まる。分布Bのヘッドでは、中間的であるが、線密度的な劣化は少なく、かつトラック密度的な劣化も少ない。これは上記に述べた磁気的なトラック幅の変化とエラーレートの変化が略L字型で推移し、分布Bがその屈曲点を含む分布であるためと考えられる(横軸に対しても、縦軸に対しても略飽和性能を示す)その結果として破線で示す到達面記録密度の等高線の最も高い領域に分布することとなる。
【0042】
このL型分布の屈曲点は幾何学的なトラック幅によって左右に移動することが発明者らの実験から明らかである。また、幾何学的なトラック幅に対して磁気的なトラック幅は約40-50nm広がる。広がり幅は、磁気ディスクの動的な保磁力と飽和記録磁界の差によって説明することができ、概念的にはM-Hループの傾きが急峻な磁気ディスクでは傾きが緩い磁気ディスクに比べ広がり幅が狭い。
【0043】
幾何学的なトラック幅(主磁極の最大幅)と上記屈曲点の関係は、磁気ディスクの仕様が固定されれば決定し、ヘッド製造公差によって分布範囲が上下方向と左右方向に移動する(磁界強度変化―幾何学的な幅の変化)。この屈曲点の存在を小さな分布範囲から確認する手段としては、媒体によらず記録電流条件に対するエラーレートの変化量δBERと磁気的なトラック幅の変化量δWCから求めることができる。発明者らの実験によれば、δWC=10nmあたり0.25-0.45の範囲(分布Bの中点における傾き範囲)の磁気ヘッドで磁気ディスク装置を構成した場合、最も記録密度を高めることができた。磁気的なトラック幅の変化は、既に述べたようにヘッド間ばらつきを基本としているが、単一ヘッドに着目した場合においても記録電流の振幅、記録電流のオーバーシュート条件等、他の記録条件にも展開できることを確認している。この理由は、磁気ヘッドの記録性能(発生磁界)は主にフレア長によって決まるためである。既に述べたようにL字型の分布は製造ばらつきに起因するが主原因はフレア長のばらつきと考えて良く、それによって生じる変化量は記録磁界である。従って磁気ヘッドの記録条件を変化させる場合(記録磁界を変化させる)においてもフレア長の変化と同様の傾向を示すと理解できる。
【0044】
この現象を各種媒体、ヘッド条件を変えて測定したが一致した結果を示し、この範囲が垂直磁気記録(主磁極形状をフットプリントする記録形態)に広く応用できることを確認した。
【0045】
磁気ディスク装置を構成する上で高線密度性能と磁気的なトラック幅の制御は最も重要である。実施例1では、トレーリングギャップの範囲を媒体条件にて規定することで高線密度記録を実現できることを明確にした。また、主磁極のサイドに配置されたシールドとの距離に相当するサイドギャップ条件を記録媒体の下部軟磁性層条件を用いて規定することで高トッラク密度性能を実現できることを明確にした。実施例1を適用すれば、主磁極の幾何学的な幅に対し磁気的な幅が大幅に広がることを防止することができる。この効果から前述の分布Cに相当する領域への分布の拡大を防ぐことが出来る。
【0046】
前述の分布A領域に対する分布拡大は基本的には主磁極の幾何学的な幅とフレア長の管理にて行うのが基本である。しかし、安価に磁気ヘッドを製造する目的から高額の製造装置が使用できない場合においては、記録電流にて磁気的な幅を調整することが可能である。既に述べたように、垂直磁気記録では、主磁極の形状を媒体にフットプリントすることで記録が行われる。従って、サイドシールドにて記録幅が制限されている構造では記録電流を高めることで幾何学的な幅の不足を補償できる。
【0047】
具体的には、幾何学的なトラック幅Wpとフレア長FPから求まるFP/Wpに比例して電流振幅を調整する。フレア長FPが長い場合、磁界強度が低下するため、その補償用に強い記録電流を流し、同じく幾何学的な幅が狭い場合において補償用に強い記録電流を流すことを意味する。発明者らの媒体を用いた実験によれば、フレア長FPのヘッド磁界に与える感度は最も高く、幾何学的なトラック幅Wpの感度は第2位であった。従って異なるFP/Wp条件にて調整した記録電流にてヘッド磁界を制御することで再現性良く、分布Bの範囲にヘッド磁界、すなわち性能を留めることが可能となった。
【0048】
上記関係は、記録媒体が異なることで変化すると考えられるが、FPとWpの感度は上記の調整が可能な領域に存在する(領域Aにあり領域Bに接近する分布)ヘッドであれば略線形であることが確認されており、本調整により磁気的なトラック幅の制御が可能となることが理解できる。
【0049】
以上の説明のとおり実施例2によれば、高い記録線密度と高い記録トラック密度を実現することができ、この効果から目的とする高密度記録磁気ディスク装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】実施例1における磁気ヘッドの主磁極周辺を浮上面から見た図である。
【図1B】図1AのX−X線断面図である。
【図1C】図1AのY−Y線断面図である。
【図2】実施例1による磁気ディスク装置の基本構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】実施例1における磁気ヘッドの基本構成を示す断面図である。
【図4】トレーリングギャップ長と磁界強度及び磁界勾配の関係を示す図である。
【図5】異なる条件下でのトレーリングギャップ長と磁界強度及び磁界勾配の関係を示す図である。
【図6】サイドギャップ長と磁界の広がり距離との関係を示す図である。
【図7】無限長サイドギャップ条件下での磁界の広がり距離を示す図である。
【図8】LSL条件と磁界の広がり距離との関係を示す図である。
【図9】実験ヘッドにおける磁気的トラック幅とエラーレートの関係を示す図である。
【図10】実験ヘッドにおける線記録密度とトッラク密度及び到達面記録密度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…磁気ヘッド、2…磁気ディスク、3…スピンドルモータ、4…アクチュエータ、5…回路基板、6…記録再生用回路、7…アーム、8…サスペンション、10…磁気ディスク装置、11…下部磁気シールド、12…上部磁気シールド、13…副磁極、14…ヨーク、15…磁性膜、16…下部コイル,17…上部コイル、18…磁気抵抗素子、22…主磁極、21…トレーリングシールド、23…サイドシールド、30…スライダー基板、41…磁気記録層、42…中間層、43…下部軟磁性層、98…浮上面、100…再生ヘッド、200…記録ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に下部軟磁性層と、磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体と、
主磁極と、該主磁極のトレーリング側に配置されたトレーリングシールドと、当該主磁極の両サイドに配置されたサイドシールドと、副磁極と、前記主磁極に磁束を発生させるコイルとを有する磁気ヘッドとを備えた磁気記録装置において、
前記主磁極とトレーリングシールドとの磁気的な最短空隙をT-Gap、主磁極とサイドシールドとの磁気的な最短空隙をS-Gap、記録動作時における主磁極表面から磁気記録層下面までの距離をLmag、同じく記録動作時における主磁極表面から下部軟磁性層上面までの距離をHUSと定義したとき、Lmag<T-GapおよびHUS<S-Gapを満足することを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気記録装置において、前記主磁極表面から下部軟磁性層下面までの距離をLSLと定義したとき、S-Gap<LSLであることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気記録装置において、Lmag<T-Gap<HUS<S-Gapを満足することを特徴とする磁気記録装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁気記録装置において、前記主磁極表面から下部軟磁性層下面までの距離をLSLと定義したとき、S-Gap<LSLであることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項5】
基板の上部に下部軟磁性層と、磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体と、
主磁極と、該主磁極のトレーリング側に配置されたトレーリングシールドと、当該主磁極の両サイドに配置されたサイドシールドと、副磁極と、前記主磁極に磁束を発生させるコイルとを有する磁気ヘッドとを備えた磁気記録装置において、
前記磁気ヘッドにより任意の固定周波数で前記垂直磁気記録媒体に記録された磁気情報を、該磁気ヘッドをトラック幅方向にシークさせることにより得られる出力信号の振幅分布の半値幅から定義される磁気的な記録トラック幅WCと、磁気情報を記録し再生した際のエラーレートBERの関係において、磁気的なトラック幅の変化量をδWC、前記コイルに供給する記録電流条件に対するエラーレートの変化量をδBERと定義したとき、δBER/δWCの変化幅がδWC=10nmあたり0.25-0.45の傾き範囲にあることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項6】
請求項5記載の磁気記録装置において、前記主磁極とトレーリングシールドとの磁気的な最短空隙をT-Gap、主磁極とサイドシールドとの磁気的な最短空隙をS-Gap、記録動作時における主磁極表面から磁気記録層下面までの距離をLmag、同じく記録動作時における主磁極表面から下部軟磁性層上面までの距離をHUSと定義したとき、Lmag<T-GapおよびHUS<S-Gapを満足することを特徴とする磁気記録装置。
【請求項7】
請求項6記載の磁気記録装置において、記録動作時における前記主磁極表面から下部軟磁性層下面までの距離をLSLと定義したとき、S-Gap<LSLであることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項8】
請求項5記載の磁気記録装置において、Lmag<T-Gap<HUS<S-Gapを満足することを特徴とする磁気記録装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁気記録装置において、記録動作時における前記主磁極表面から下部軟磁性層下面までの距離をLSLと定義したとき、S-Gap<LSLであることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項10】
請求項5記載の磁気記録装置において、前記主磁極の浮上面に露出する幾何学的トラック幅をWp、奥行き方向の長さをFPと定義したとき、FP/Wpに比例して前記記録電流の振幅を調整することにより、前記δBER/δWCの変化幅をδWC=10nmあたり0.25−0.45の傾き範囲内とすることを特徴とする磁気記録装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−186555(P2008−186555A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21550(P2007−21550)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】