説明

磁気転写用マスターディスク及びその製造方法並びに磁気転写方法

【課題】反り量や歪み量が小さく平坦性に優れた磁気転写用マスターディスクを製造できる。
【解決手段】情報を凹凸パターンP’で形成した原版17上に電鋳を施して、該原版17上に結晶方位の同じ第1層11Aと第3層11Cとの間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層11Bを挟んだ3層構造の電鋳層から成る金属盤18を積層して該金属盤18面に凹凸パターンPを転写する電鋳工程と、金属盤18を原版17上から剥離してマスター基板11とする剥離工程と、マスター基板11の凹凸パターンP上に磁性層12を成膜する磁性層成膜工程と、を備えて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気転写用マスターディスク及びその製造方法並びに磁気転写方法に係り、特にハードディスク装置等に用いられる磁気ディスクにフォーマット情報等の磁気情報を転写するのに好適な磁気転写用マスターディスク及びその製造方法並びに磁気転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているハードディスクドライブに使用される磁気ディスク(ハードディスク)は、磁気ディスクメーカーよりドライブメーカーに納入された後、ドライブに組み込まれる前に、フォーマット情報やアドレス情報が書き込まれるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、フォーマット情報やアドレス情報が書き込まれたマスターディスクより一括転写する方法が効率的であり、好ましい。
【0003】
この一括転写する磁気転写方法は、マスターディスクと被転写用ディスク(スレーブディスク)とを密着させた状態で、片面又は両面に電磁石装置、永久磁石装置等の磁界生成手段を配設して転写用磁界を印加することにより、マスターディスクの有する情報(例えばサーボ信号)をスレーブディスクに磁気転写する。そして、磁気転写を精度良く行うには、マスターディスクとスレーブディスクとを均一に隙間なく密着させることが極めて重要である。
【0004】
ところで、この磁気転写方法に使用されるマスターディスクとしては、特許文献1のように、基板の表面に情報信号に対応する凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンの表面に磁性層を被覆したものが通常使用されている。この磁気転写用のマスターディスクは、情報を凹凸パターンで形成した原版上に電鋳を施して、電鋳層から成る金属盤を原版上に積層して該金属盤面に凹凸パターンを転写する電鋳工程、金属盤を原版上から剥離する剥離工程、剥離した金属盤を所定サイズに打ち抜きする打ち抜き工程を経た後、凹凸パターンの面に磁性層を被覆することにより製造されるのが一般的である。
【特許文献1】特開2001−256644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の工程によって製造された従来のマスターディスクは、金属盤を原版から剥離する剥離工程や所定サイズに打ち抜く打ち抜き工程等の加工時に発生した変形によりマスターディスクは必ずしも平坦面ではなく、反りや歪みを有している。また、電鋳後の打ち抜き以外の工程としてフォトエッチングの工程があるが、この場合にも反りや歪みが生じる場合がある。このように、マスターディスクに反りや歪みがあると、マスターディスクとスレーブディスクとの密着状態を良好にできず、高精度な磁気転写を行えないという問題がある。
【0006】
かかる問題の対策として、スレーブディスクとの密着性を良くするために、マスターディスクの裏面に緩衝材(クッション材)を設けたり、密着圧力を高めたり、真空吸引によりマスターディスクとスレーブディスクとの密着面のエアーを排除したりすることが行われている。しかし、これらの対策によっても、密着性の問題が完全に解決された訳ではなく、本質的にはマスターディスクの反りや歪みをなくして平坦性を良くすることが必要である。また、密着圧力を高めることはマスターディスクの凹凸パターンを破損したり変形を発生させる可能性があり、マスターディスクの耐久性能を低下させる原因になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、反り量や歪み量が小さく平坦性に優れた磁気転写用マスターディスク及びその製造方法並びに磁気転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
マスター基板を製作する際に、上述した剥離工程や打ち抜き工程等の加工工程において発生する変形に起因するマスターディスクの反りや歪みは、電鋳層(金属盤)の結晶方位に強く依存しており、剥離や打ち抜きを行う際にマスターディスクの面内において特定の結晶方位に集中して反りや歪みが発生し易い。
【0009】
この反りや歪みを抑制する対策の一つとして、金属盤を構成する電鋳層の層構成を結晶方位の異なる2層構造とし、電鋳時に2層の結晶方位と層厚関係とを制御する方法が考えられる。即ち、結晶方位の異なる2層構造にすることにより、それぞれの層の滑り面や滑り方向が異なると共に、それぞれの層自身に内在する内部応力(残留応力)も異なる。これにより、それぞれの層によって剥離や打ち抜きを行う加工時の変形抵抗の方向が異なる。従って、2層の変形抵抗の違いを利用することで、剥離や打ち抜きを行う際の変形量を小さくすることができるので、マスターディスクの反りや歪みの発生を顕著に抑制することができる。
【0010】
しかしながら、2層構造の場合、電鋳時において2層の結晶方位を高精度に制御できれば2層の層厚関係を制御することは難しくないので反りや歪み対策を行うことができるが、結晶方位はメッキ浴の電流密度に依存し、電流密度はメッキ浴の経時的な変化で変動する。従って、電鋳層を2層構造にすることによって、マスターディスクの反りや歪みを抑制するには、電鋳時の精密な電流密度の制御が必要になる。本発明はこのような問題点を解決して、反り量や歪み量が小さく平坦性に優れた磁気転写用マスターディスクを得るようにしたものである。
【0011】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、電鋳によって表面に転写情報に対応する凹凸パターンが転写された金属盤であって、該金属盤を構成する電鋳層の層構成が結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んで成る3層構造のマスター基板と、前記マスター基板の前記凹凸パターン上に成膜された磁性層と、を備えたことを特徴とする磁気転写用マスターディスクを提供する。
【0012】
本発明の請求項1によれば、金属盤を構成する電鋳層の層構成が結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んだ3層構造とした。これにより、電鋳層には結晶方位の異なる2種類の層を有するので、上述したように、それぞれの層によって剥離や打ち抜き、或いはフォトエッチングを行う際の変形抵抗の方向が異なるようにできる。しかも、本発明の3層構造の場合には、電鋳層の表面と裏面を構成する二つの層(第1層と第3層)の結晶方位が同じで物性が同じになり電鋳層全体の物性バランスが良くなるので、第1層と第3層の層厚関係を制御することで、反りや歪みに対する電鋳層全体の耐性を容易に制御することができる。従って、2層構造の場合のように、電鋳時において精密な電流密度の制御を必要としない。ちなみに、上述した2層構造の場合には、電鋳層の表面と裏面を構成する二つの層の結晶方位が異なり物性が異なるので、反りや歪みに対する電鋳層全体の耐性を制御しようとすると、二つの層の異なる結晶方位と層厚関係の両方で電鋳層全体の物性バランスを制御しなくてはならないので、電鋳時において精密な電流密度の制御が必要になる。
【0013】
請求項2は請求項1において、前記電鋳層を構成する第1層から第3層のそれぞれの層厚みが異なることを特徴とする。
【0014】
3層構造のそれぞれの層の変形抵抗を結晶方位だけで制御しようとすると、結晶方位はメッキ液成分等の経時的な変化に大きく影響を受けるため電鋳条件を精密に制御する必要がある。本発明の請求項2によれば、それぞれの層の変形抵抗を、結晶方位と層厚みの両方で制御するようにしたので、電鋳条件の制御が容易になり、反りや歪みの発生を一層精度良く抑制することができる。
【0015】
請求項3は請求項1又は2において、前記電鋳層はNi電鋳層であることを特徴とする。
【0016】
マスター基板の金属盤(電鋳層)には各種の金属を使用可能であるが、Ni電鋳層がより好ましいからである。
【0017】
請求項4は請求項3において、前記第1層及び第3層はNi(220)を優先配向とすると共に、前記2層の結晶方位はNi(200)を優先配向とすることを特徴とする。
【0018】
ここで、結晶方位の優先配向は、結晶成長方向(板厚方向)に対する配向を前提としており、EBSD(electron backscattered diffraction) による結晶方位の解析時にも結晶成長方向にあたる板厚方向のIPF像(Invers pole figure) より方位を決定する。
【0019】
電鋳層を3層構造のNi電鋳層とした場合、凹凸パターン面側を構成する表面側の第1層と裏面側の第3層の結晶方位をNi(220)を優先配向とし、第1層と第3層で挟まれる第2層(中間層)の結晶方位をNi(200)を優先配向とすることにより、反り量や歪み量の小さなマスターディスクを得ることができるからである。
【0020】
請求項5は請求項4において、前記第1層の層厚をaとし、前記第3層の層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係にあることを特徴とする。
【0021】
請求項5は、3層構造の同じ結晶方位を有する第1層と第3層との層厚関係を規定したものであり、第1層の層厚をaとし、第3層の層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係を有することが好ましい。反り量や歪み量の一層小さなマスターディスクを得ることができるからである。
【0022】
請求項6は請求項5において、前記層厚関係を満足し、且つ前記第3層の層厚が10μm以上であることを特徴とする。
【0023】
請求項5のa/(a+c)の層厚関係を満足し、且つ第3層の層厚を10μm以上にすることで、マスターディスクの反りを更に抑制できるからである。
【0024】
請求項7は請求項1〜6の何れか1において、前記磁気転写用マスターディスクの反り量は2.5インチのマスターディスクサイズにおいて50μm以下であることを特徴とする。
【0025】
磁気転写の際に被転写用ディスクとの良好な密着性を確保するには、マスターディスクの反り量は2.5インチサイズのマスターディスクにおいて50μm以下であることが好ましい。50μm以下の反り量にするには、請求項1〜6の何れか1の構成により達成することができる。尚、マスターディスクの反り量は2.5インチサイズのマスターディスクにおいて30μm以下であることがより好ましい。
【0026】
ところで、請求項7は大径サイズで反りが発生し易い2.5インチサイズの反り量を規定したものであるが、本発明は2.5インチサイズのマスターディスクにのみ適用されるものではない。例えば、2.5インチよりもサイズの小さな0.85インチ、1インチ、1.8インチのマスターディスクにも適用することができ、この場合の反り量は2.5インチサイズのマスターディスクよりも更に反り量を小さくすることができる。
【0027】
本発明の請求項8は前記目的を達成するために、情報を凹凸パターンで形成した原版上に電鋳を施して、該原版上に結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んだ3層構造の電鋳層から成る金属盤を積層して該金属盤面に前記凹凸パターンを転写する電鋳工程と、前記金属盤を前記原版上から剥離してマスター基板とする剥離工程と、前記マスター基板の前記凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁性層成膜工程と、を備えたことを特徴とする磁気転写用マスターディスクの製造方法を提供する。
【0028】
請求項8の製造方法によれば、電鋳工程において、原版上に結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んだ3層構造の電鋳層から成る金属盤を積層して該金属盤面に原版の記凹凸パターンを転写するようにしたので、反り量や歪み量の小さな磁気転写用マスターディスクを製造することができる。
【0029】
また、反り量や歪み量の小さな磁気転写用マスターディスクを製造することができるので、製造歩留りが向上する。
【0030】
請求項9は請求項8において、前記電鋳工程では、前記第1層から第3層の結晶方位の制御と、それぞれの層の層厚みとの両方を制御することを特徴とする。
【0031】
請求項9のように、それぞれの層の変形抵抗を、結晶方位と層厚みの両方で制御するようにしたので、電鋳条件の制御が容易になり、反りや歪みの発生を一層精度良く抑制することができる。
【0032】
請求項10は請求項9において、前記電鋳工程では、前記第1層の層厚をaとし、前記第3層の層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係になるように層厚みを制御することを特徴とする。
【0033】
この層厚関係にすることで、反り量や歪み量の一層小さなマスターディスクを得ることができるからである。
【0034】
本発明の請求項11は前記目的を達成するために、請求項1〜7の何れか1の磁気転写用マスターディスクの凹凸パターン面に被転写用ディスクを密着させる密着工程と、前記密着された磁気転写用マスターディスクと被転写用ディスクとに転写用磁界を印加し、前記磁気転写用マスターディスクの凹凸パターンを前記被転写用ディスクに転写する磁界印加工程と、を備えたことを特徴とする磁気転写方法。
【0035】
請求項11によれば、本発明の反り量や歪み量の小さな磁気転写用マスターディスクを用いて被転写用ディスクに磁気転写するようにした。これにより、マスターディスクの反りや歪みによる影響を排除し、良好な密着状態で磁気転写することができるので、転写精度が向上する。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明に係る磁気転写用マスターディスク及びその製造方法によれば、反り量や歪み量が小さく平坦性に優れたマスターディスクを得ることができる。従って、本発明のマスターディスクを使用して被転写用ディスクに磁気転写を行えば、磁気転写の際の被転写用ディスクとの密着性を良好に形成することができるので、高精度な磁気転写を行うことができる。
【0037】
また、反り量や歪み量が大きいマスターディスクは不良品になり製造歩留りの低下を招くが、本発明の磁気転写用マスターディスクの製造方法を採用すれば、反り量や歪み量が小さく平坦性に優れたマスターディスクを製造できるので、製造歩留りを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、添付図面に従って、本発明に係る磁気転写用マスターディスク及びその製造方法並びに磁気転写方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0039】
図1は本発明の磁気転写用マスターディスク10(以下、マスターディスク10という)の部分斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿った断面図であり、被転写用ディスク(スレーブディスク14)を想像線で示したものである。
【0040】
図1及び図2に示すように、マスターディスク10は、金属製のマスター基板11と磁性層12とで構成され、マスター基板11の表面に転写情報に対応する微細な凹凸パターンP(例えばサーボ情報パターン)を有すると共にその凹凸パターンPに磁性層12が被覆されている。これにより、マスター基板11の片面に磁性層12が被覆された微細な凹凸パターンPを有する情報担持面13が形成される。図1から分かるように、この微細な凹凸パターンPは、平面視で長方形であり、厚さtの磁性層12が形成された状態でトラック方向(図の矢印方向)の長さpと、半径方向の長さLとによりなる。この長さpと長さLとの最適値は、記録密度や記録信号波形により異なるが、例えば長さpを80nm、長さLを200nmにできる。この微細な凹凸パターンPはサーボ信号の場合は、半径方向に長く形成される。この場合、例えば半径方向の長さLが0.05〜20μm、トラック方向(円周方向)の長さpが0.01〜5μmであることが好ましい。この範囲で半径方向の方が長い凹凸パターンPを選ぶことがサーボ信号を担持するパターンとして好ましい。凹凸パターンPの深さt(突起の高さ)は、30〜800nmの範囲が好ましく、50〜300nmの範囲がより好ましい。
【0041】
マスター基板11は、電鋳により作製され、図3に示すように、中心孔11Gを有する円盤状に形成され、片面の(情報担持面)の内周部11D及び外周部11Eを除く円環状領域11Fに凹凸パターンPが形成される。このマスター基板11は、図1及び図2に示すように、電鋳によって表面に転写情報に対応する凹凸パターンが転写された3層構造の金属盤(電鋳層)として構成される。この3層構造は、電鋳層の表面側(凹凸パターン側)と裏面側とを構成する第1層と第3層の結晶方位が同じであり、この二つの層の間に第1層と第3層とは結晶方位の異なる第2層(中間層)が挟まれた層構成に形成される。
【0042】
本発明における3層構造の電鋳層としては、各種金属や合金類を使用できるが、本実施の形態では好ましい一例として、3層構造から成るNi電鋳層の例で以下に説明する。
【0043】
図1及び図2に示すように、Ni電鋳層は、第1層11Aと第3層11Cの結晶方位がNi(220)を優先配向とすると共に、第1層11Aと第3層11Cに挟まれる第2層11Bの結晶方位がNi(200)を優先配向とする。この場合、第1層11Aの層厚をaとし、第3層11Cの層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係にあることが好ましい。また、第3層の層厚はa/(a+c)の関係を満足し、且つ10μm以上であることが好ましい。
【0044】
次に、上記の如く構成される本発明のマスターディスク10の製造方法を詳細に説明する。
【0045】
図4はマスターディスク10を製造するステップを示す工程図である。
【0046】
先ず、図4(a)に示すように、表面が平滑且つ清浄なシリコーンウエハーによる原板15(ガラス板、石英板でもよい)の上に、密着層形成等の前処理を行い、電子線レジスト液をスピンコート等で塗布してレジスト膜16を形成し、ベーキングする。そして、高精度な回転ステージ又はX−Yステージを備えた電子ビーム露光装置(図示せず)にて、そのステージに搭載した原板15にサーボ信号等に対応して変調した電子ビームBを照射し、レジスト膜16に所望の凹凸パターンP' を描画露光する。
【0047】
次に、図4(b)に示すように、レジスト膜16を現像処理し、露光部分を除去して残ったレジスト膜16によって所望の凹凸パターンP' を形成する。この凹凸パターンP' 上に例えばスタッパリングによりNi導電膜(図示せず)を付与し、電鋳可能な原版17を作製する。
【0048】
次に、この原版を図4(c)に示すように、原版17の全面に電鋳装置で電鋳処理を施し、Ni金属による所望厚みの金属盤18(Ni電鋳層)を積層する。この金属盤18を原版17から剥離し、残留するレジスト膜16を除去・洗浄する。これにより、図4(d)に示すように、反転した凹凸パターンPを有し、且つ所定サイズに打ち抜く前の外径Dを有するマスター基板11の原盤11' が得られる。この原盤11' を打ち抜いて、図4(e)に示す外径dの所定サイズのマスター基板11が得られる。このマスター基板11の凹凸パターン面に磁性層12を成膜することでマスターディスク10を製造することができる。
【0049】
尚、マスターディスク10の他の製造工程としては、原版17に電鋳を施して第2原版を作製する。そして、この第2原版を使用して電鋳を行い、反転した凹凸パターンを有する金属盤を作製し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板としてもよい。更には、第2原版に電鋳を行うか、樹脂液を押しつけて硬化を行って第3原版を作製し、この第3原版に電鋳を行って金属盤を作製し、更に反転した凹凸パターンを有する金属盤を剥離してマスター基板としてもよい。第2原版又は第3原版を繰り返し使用し、複数の金属盤18を作製することができる。また、原版の作製において、レジスト膜を露光・現像処理した後、エッチング処理を行って、原版の表面にエッチングによる凹凸パターンを形成してからレジスト膜を除去してもよい。
【0050】
磁性層12の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法、塗布法等により成膜する。磁性層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN等)、Ni、Ni合金(NiFe等)、を用いることができる。特にFeCo、FeCoNiを好ましく使用することができる。磁性層12の厚みは30〜500nmの範囲が好ましく、50〜400nmの範囲が更に好ましい。
【0051】
尚、磁性層12の上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、スパッタカーボン等の保護膜を設けることが好ましく、保護膜の上に更に潤滑剤層を設けても良い。この場合、保護膜として厚さが3〜30nmのDLC膜と潤滑剤層とする構成が好ましい。また、磁性層と保護膜との間に、Si等の密着強化層を設けるようにしても良い。潤滑剤はスレーブディスク14との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する効果を有する
上記説明したマスターディスク10の製造過程において、マスター基板11を作製するために、原版17から金属盤18を剥離する剥離工程やマスター基板11の原盤11' を所定サイズにするための打ち抜き工程における変形により、マスターディスク10に反りや歪みが発生し易い。
【0052】
かかる反りや歪みの改良策として、本発明の実施の形態では、電鋳処理による金属盤18の積層において、結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んで成る3層構造のNi電鋳層が形成されるように電鋳するようにした。即ち、Ni導電膜が付与された原版17を、Ni電鋳浴に浸漬させて50〜150rpmの回転速度で回転させながら図5に示すようにNi電鋳浴中に通電する電流の電流密度を変えることにより、Ni電鋳層を構成する3層の結晶方位と層厚を制御する。
【0053】
図5は、電鋳時間に対する電流密度(A/dm2 )の変化を示したものである。表面側(凹凸パターンPが転写される原版17に接触する面側)を構成する第1層11Aの形成は、結晶方位がNi(220)を優先配向とすると共に、微細な凹凸パターン形状をその形状に倣って被覆可能な低電流密度で電鋳する必要がある。この為、X線回折装置でNi(220)優先配向となるように電流密度を図5のX(A/dm2 )に設定する。電流密度Xは、Ni電鋳浴や電鋳条件により多少異なるものの、1〜10(A/dm2 )の範囲内で設定することが好ましい。そして、設定した電流密度Xまで到達したら(t1 )、Ni(220)優先配向の第1層11Aを所定の厚み(例えば50μm)になるように所定時間(t1 〜t2 )を保持する。これにより、図4に示す第1層11Aが形成される。
【0054】
次に、第1層11Aの形成に連続して、結晶方位がNi(200)を優先配向とする第2層11Bを形成する。この場合も、X線回折装置でNi(200)優先配向となるように電流密度を図5の高電流密度Y(A/dm2 )に設定する。電流密度Yは、Ni電鋳浴や電鋳条件により多少異なるものの20(A/dm2 )程度に設定することが好ましい。そして、設定した電流密度Yまで達したら(t3 )、Ni(200)優先配向の第2層11Bを所定の厚み(例えば230μm)になるように所定時間(t3 〜t4 )を保持する。電流密度Yは、Ni(200)を優先配向となる条件であれば、30(A/dm2 )まで上げることができるが、電流密度が高過ぎると巣が生じるので、20(A/dm2 )程度が好ましい。これにより、図4に示す第2層11Bが形成される。
【0055】
次に、第2層11Bの形成に連続して、結晶方位がNi(220)を優先配向とする第3層11Cを形成する。即ち、第2層11Bを形成した電流密度Yを、第1層11Aで設定した電流密度Xに低下させ、電流密度Xまで達したら(t5 )Ni(220)優先配向の第3層11Cを所定の厚み(例えば10μm)になるように所定時間(t5 〜t6 )を保持する。これにより、図4に示す第3層11Cが形成される。
【0056】
このように、本実施の形態では、金属盤18を構成するNi電鋳層の層構成を結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んで成る3層構造で構成したので、第1層11Aや第3層11Cと、第2層11Bの滑り面や滑り方向が異なると共に、それぞれの層11A,11B,11C自身に内在する内部応力(残留応力)も異なる。これにより、それぞれの層11A,11B,11Cによって剥離や打ち抜きを行う加工時の変形抵抗の方向が異なる。従って、金属盤18を構成する電鋳層の層構成を3層構造で構成し、変形抵抗の方向が異なるので、剥離や打ち抜きを行う際の変形量を小さくすることができる。しかも、本発明の3層構造の場合には、電鋳層の表面と裏面を構成する二つの層(第1層11Aと第3層11C)の結晶方位が同じで物性が同じになり電鋳層全体の物性バランスが良くなるので、第1層11Aと第3層11Cの層厚関係を制御することで、反りや歪みに対する電鋳層全体の耐性を制御することができる。この場合、第1層11Aの層厚をaとし、第3層11Cの層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係になるように電鋳する。また、第3層の層厚はa/(a+c)の関係を満足し、且つ10μm以上になるように電鋳する。
【0057】
これにより、マスター基板11を製作する際の剥離時や打ち抜き時において金属盤18が変形し難くなるので、製造されたマスターディスク10の反りや歪みの発生を顕著に抑制することができる。
【0058】
また、通常、マスターディスク10に使用される金属はニッケル(Ni)であるが、マスターディスク10を電鋳で製造する場合には、応力の小さなマスター基板11が得られ易いスルファミン酸ニッケル浴を使用することが好ましい。スルファミン酸ニッケル浴は、例えば、スルファミン酸ニッケルを400〜800g/L、ホウ酸を20〜50g/L(過飽和)をベースとして界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等の添加物を必要に応じて添加したものである。メッキ浴の浴温度は40〜60°Cが好適である。電鋳時の対極にはチタンケースに入れたニッケルボールを使用することが好ましい。
【0059】
次に、上記の如く製造したマスターディスク10の凹凸パターンPをスレーブディスク14に転写する磁気転写方法について説明する。図6は本発明に係るマスターディスク10を使用して磁気転写を行うための磁気転写装置20の要部斜視図である。
【0060】
磁気転写時には図8(a)に示される後記する初期直流磁化を行った後のスレーブディスク14のスレーブ面(磁気記録面)を、マスターディスク10の情報担持面に接触させ、所定の押圧力で密着させる。そして、このスレーブディスク14とマスターディスク10との密着状態で、磁界生成手段30により転写用磁界を印加して、マスターディスク10の凹凸パターンPをスレーブディスク14に転写する。
【0061】
スレーブディスク14は、両面又は片面に磁気記録層が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等の円盤状記録媒体であり、マスターディスク10に密着させる以前に、グライドヘッド、研磨体などにより表面の微小突起及び付着塵埃を除去するクリーニング処理(バーニッシィング等)が必要に応じて施される。
【0062】
スレーブディスク14の磁気記録層には、塗布型磁気記録層、メッキ型磁気記録層、又は金属薄膜型磁気記録層を採用できる。金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi等)、Ni、Ni合金(NiFe等)、を用いることができる。これらは磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら面内方向)の磁界異方性を有していることにより、明瞭な転写を行えるため好ましい。そして、磁性材料の下(支持体側)に必要な磁気異方性を付与するために、非磁性の下地層を設けることが好ましい。この下地層には、結晶構造と格子定数を磁性層12に合わすことが必要である。その為には、Cr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru等を用いることが好ましい。
【0063】
マスターディスク10による磁気転写は、スレーブディスク14の片面にマスターディスク10を密着させて片面に転写を行う場合と、図示しないが、スレーブディスク14の両面に一対のマスターディスク10を密着させて両面で同時転写を行う場合とがある。転写用磁界を印加する磁界生成手段30は、密着保持されたスレーブディスク14とマスターディスク10の半径方向に延びるギャップ31を有するコア32にコイル33が巻き付けられた電磁石装置34、34が上下両側に配設されており、上下で同じ方向にトラック方向と平行な磁力線G(図7参照)を有する転写用磁界を印加する。図7は、円周トラック40A、40A…と磁力線Gとの関係を示したものである。
【0064】
磁界印加時には、スレーブディスク14とマスターディスク10とを一体的に回転させつつ磁界生成手段30によって転写用磁界を印加させ、マスターディスク10の凹凸パターンをスレーブディスク14のスレーブ面に磁気的に転写する。尚、この構成以外に磁界生成手段の方を回転移動させるようにしてもよい。
【0065】
転写用磁界は、最適転写磁界強度範囲(スレーブディスク14の保磁力Hcの0.6〜1.3倍)の最大値を超える磁界強度がトラック方向のいずれにも存在せず、最適転写磁界強度範囲内の磁界強度となる部分が1つのトラック方向で少なくとも1カ所以上存在し、これと逆向きのトラック方向の磁界強度が何れのトラック方向位置においても最適転写磁界強度範囲内の最小値未満である磁界強度分布の磁界をトラック方向の一部分で発生させている。
【0066】
図8は、面内記録による磁気転写方法の基本工程を説明する説明図である。
【0067】
先ず、図8( a) に示すように、予めスレーブディスク14に初期磁界Hi をトラック方向の一方向に印加して初期磁化( 直流消磁) を施しておく。次に、図8( b) に示すように、このスレーブディスク14の記録面(磁気記録部)とマスターディスク10の凹凸パターンPが形成された情報担持面とを密着させ、スレーブディスク14のトラック方向に初期磁界Hi とは逆方向に転写用磁界Hdを印加して磁気転写を行う。転写用磁界Hdが凹凸パターンPの凸部の磁性層12に吸い込まれてこの部分の磁化は反転せず、その他の部分の磁界が反転する結果、図8( c) に示すように、スレーブディスク14の磁気記録面にはマスターディスク10の凹凸パターンPが磁気的に転写記録される。
【0068】
かかる磁気転写において、スレーブディスク14とマスターディスク10とを良好に密着させることが高精度な転写を行う上で重要であるが、本発明のマスターディスク10を使用することにより、良好な密着を行うことができる。
【実施例】
【0069】
次に、本発明の実施例を説明するが、この実施例に限定するものではない。
【0070】
表1は、Ni電鋳層を3層構造で構成した2.5インチサイズのマスターディスク10(ディスク外径65mm、内径24mm)について、表面側と裏面側の第1層11Aと第3層11Cの結晶方位をNi(220)を優先配向とし、第1層11Aと第3層11Cで挟まれる第2層11Bの結晶方位をNi(200)を優先配向としたときに、第1層11Aと第3層11Cとの層厚関係(a/a+c)と反り量との関係を示したものである。
【0071】
第1層11A,第2層11B及び第3層11Cにおける結晶方位と層厚の測定は、EBSD(electron backscattered diffraction) 法で測定した。即ち、EBSDによるマスター基板断面の結晶方位を評価し、マスター基板断面において結晶方位(220)方位が10〜85%の占有率にある層を第2層11Bの厚みとし、第2層11Bに対して表面側の層の厚みを第1層11Aの層厚みとし、裏面側の層の厚みを第3層11Cの厚みとした。
【0072】
表1の反り量の測定は、マスターディスク10をスピンドルモータに固定し、10rpmで回転させる。マスターディスク10の面に対して垂直になるようにレーザー変位計(KEYENCE 製:LC-2430 )を設置し、その半径位置における1周の垂直方向の変位量を測定した後、ステッピングモータで1mmごとに半径方向に送りながら全面(半径位置=12.5〜32.5mm)を測定する。そして、半径ごとにデータの平均値を算出し、半径と平均値をプロットしたときの最大値と最小値の差を反り量と定義する。また、歪み量は半径位置において平均値からの偏差である。
【0073】
反りは、マスターディスク10の1周の間、即ち1トラックにおける歪みはなくても、マスターディスク10の内周部位と外周部位とで高さが異なる変形であり、例えば球面状の変形がある。従って、反り量の測定は、上述した歪み量の測定において、同心円状の各トラックに対してレーザー変位計で測定された変位値の平均をとったとき、最も変位値の高いトラックと最も変位値の低いトラックとの差として算出した。表1における反り量の「+」と「−」とは、反る方向が互いに逆であることを意味する。また、表1における反り量の±は、実施例及び比較例ごとに繰り返し試験を5回行ったときのバラツキを示す。例えば、実施例1の反り量である「−10±16」は、平均値が−10μmで、5回の繰り返しのバラツキが±16μmあったことを意味する。従って、実施例1は反り量は「−26〜+6」の範囲であり、反り量の最大が−26になる。
【0074】
【表1】

【0075】
表1の結果から分かるように、実施例1〜5のように、第1層11Aと第3層11Cとの層厚関係(a/a+c)が0.70〜0.85の範囲内であれば、反り量の最大は、+50μm以下(又は−50μm以下)になり合格である。特に、実施例2、実施例4、実施例5のように、(a/a+c)が0.70〜0.80の範囲内において反り量を顕著に小さくすることができた。また、実施例4と実施例5との対比から分かるように、電鋳層の合計層厚は同じ300μmで、第2層の層厚も同じ250μmであるが、第3層を20μmにした実施例4は、第3層を10μmにした実施例5よりも良い結果であった。このことは、(a/a+c)を0.70〜0.85の範囲内に満足しながら第3層の厚みをできるだけ厚くすることが好ましいものと考察される。
【0076】
これに対して、(a/a+c)が0.70未満である0.63の比較例3は反り量の最大が+51μmであり、合格ラインをオーバーした。また、(a/a+c)が0.85を超えた0.91の比較例2は反り量の最大が−55μmであり、合格ラインをオーバーした。また、結晶方位の異なる2層構造とした比較例1は、反り量の最大が−79μmとなり、大きな反り量となった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明のマスターディスクの部分斜視図
【図2】図1のA−A線に沿った断面図
【図3】マスター基板の平面図
【図4】本発明のマスターディスクの製造方法の一実施の形態における工程図
【図5】マスター基板を作製する電鋳処理における電鋳時間に対する電流密度の変化を説明する説明図
【図6】本発明の磁気転写方法を実施する磁気転写装置の要部斜視図
【図7】転写用磁界の印加方法を示す平面図
【図8】磁気転写方法の基本工程を示す工程図
【符号の説明】
【0078】
10…マスターディスク、11…マスター基板、11A…第1層、11B…第2層、11C…第3層、12…磁性層、14…スレーブディスク、15…原板、16…レジスト膜、17…原版、18…金属板、20…磁気転写装置、30…磁界生成手段、31…ギャップ、32…コア、33…コイル、34…電磁石装置、P…凹凸パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電鋳によって表面に転写情報に対応する凹凸パターンが転写された金属盤であって、該金属盤を構成する電鋳層の層構成が結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んで成る3層構造のマスター基板と、
前記マスター基板の前記凹凸パターン上に成膜された磁性層と、を備えたことを特徴とする磁気転写用マスターディスク。
【請求項2】
前記電鋳層を構成する第1層から第3層のそれぞれの層厚みが異なることを特徴とする請求項1の磁気転写用マスターディスク。
【請求項3】
前記電鋳層はNi電鋳層であることを特徴とする請求項1又は2の磁気転写用マスターディスク。
【請求項4】
前記第1層及び第3層はNi(220)を優先配向とすると共に、前記2層の結晶方位はNi(200)を優先配向とすることを特徴とする請求項3の磁気転写用マスターディスク。
【請求項5】
前記第1層の層厚をaとし、前記第3層の層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係にあることを特徴とする請求項4の磁気転写用マスターディスク。
【請求項6】
前記層厚関係を満足し、且つ前記第3層の層厚が10μm以上であることを特徴とする請求項5の磁気転写用マスターディスク。
【請求項7】
前記磁気転写用マスターディスクの反り量は2.5インチのマスターディスクサイズにおいて50μm以下であることを特徴とする請求項1〜6の磁気転写用マスターディスク。
【請求項8】
情報を凹凸パターンで形成した原版上に電鋳を施して、該原版上に結晶方位の同じ第1層と第3層との間に該二つの層とは結晶方位の異なる第2層を挟んだ3層構造の電鋳層から成る金属盤を積層して該金属盤面に前記凹凸パターンを転写する電鋳工程と、
前記金属盤を前記原版上から剥離してマスター基板とする剥離工程と、
前記マスター基板の前記凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁性層成膜工程と、を備えたことを特徴とする磁気転写用マスターディスクの製造方法。
【請求項9】
前記電鋳工程では、前記第1層から第3層の結晶方位の制御と、それぞれの層の層厚みとの両方を制御することを特徴とする請求項8の磁気転写用マスターディスクの製造方法。
【請求項10】
前記電鋳工程では、前記第1層の層厚をaとし、前記第3層の層厚をcとしたときに、a/(a+c)が0.70〜0.85の範囲内の層厚関係になるように層厚みを制御することを特徴とする請求項9の磁気転写用マスターディスクの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜7の何れか1の磁気転写用マスターディスクの凹凸パターン面に被転写用ディスクを密着させる密着工程と、
前記密着された磁気転写用マスターディスクと被転写用ディスクとに転写用磁界を印加し、前記磁気転写用マスターディスクの凹凸パターンを前記被転写用ディスクに転写する磁界印加工程と、を備えたことを特徴とする磁気転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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