説明

神経膠芽腫GBMを治療するための組成物および方法

対象における悪性神経膠腫を治療する方法が開示される。本方法は、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含むウイルスベクターの治療的有効量を該対象へ投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野および背景
本発明は、そのいくつかの態様において、悪性神経膠腫を治療するための組成物および方法に関し、より具体的には、排他的にではないが、多形神経膠芽腫(GBM)を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な成人発症型神経学的新生物である悪性神経膠腫には、若年性毛様細胞性星細胞腫のような若年発症型新生物と共に、神経膠芽腫、星細胞腫、乏突起細胞腫、および上衣細胞腫を含む原発性中枢神経系腫瘍のファミリーが包含される。
【0003】
悪性神経膠腫は、典型的には、そのような腫瘍の抑制なしの成長に大きく寄与すると考えられている増殖因子/腫瘍関連抗原の過剰発現を特徴とする。神経膠芽腫のような様々な悪性神経膠腫が、侵襲性の増加および予後不良をもたらす、表皮増殖因子受容体(EGFR)過剰発現を示す。悪性神経膠腫は、血小板由来増殖因子受容体の過剰発現も示すことがあり、この現象も、悪性度の増加および予後不良と相関している。
【0004】
原発性脳腫瘍の最も一般的な型である悪性神経膠腫は、全てのヒト癌の中で最も致命的なものの一つである、侵襲性の、高度に浸潤性の、神経破壊性の腫瘍である。米国で毎年診断される推定17,000例の新たな脳腫瘍のうち、約半分が悪性神経膠腫である。悪性神経膠腫細胞は、白質および灰白質の両方の浸潤を含む、極めて浸潤性の脳腫瘍を生ずる。診断の時点で、神経軸索の大部分への悪性神経膠腫の顕微鏡的拡張が常例である。運動性の浸潤細胞によるそのような拡張は、小規模で限定的なものに見える場合ですら、大部分の神経膠腫が手術によって治癒不可能である理由である。
【0005】
悪性神経膠腫の最も重篤な型である多形神経膠芽腫(GBM)は、一般には、上部脳(大脳)において発生するが、脊髄、小脳、脳幹、または視交叉のような中枢神経系の他の場所にも起こり得る、極めて侵襲性の脳腫瘍である。星細胞腫、乏突起細胞腫、および毛様細胞性星細胞腫を含む、低グレードの神経膠腫は、全ての原発性脳腫瘍の25%を占め、これらの低グレード腫瘍の大多数が、次第に、より悪性度の高い神経膠腫へと脱分化する。びまん性星細胞腫は、主に成人の大脳半球に位置し、未分化星細胞腫および(二次性)神経膠芽腫へと進行する固有の傾向を有する。神経膠芽腫の大半は、同定可能な悪性度の低い前駆病変なしに、新たに発達する(原発性神経膠芽腫)。
【0006】
手術、放射線療法、およびテモゾロミド化学療法による最適の治療にも関わらず、神経膠芽腫を有する患者の生存期間中央値は、わずか12〜15ヶ月である。これらの腫瘍が再発した場合、従来の救援療法は、最小の利益しか与えず、患者の6ヶ月後の無増悪生存率(6M-PFS)はわずか8〜15%である。
【0007】
新血管新生は、神経膠芽腫の主要な特色である(Maher et al.,2001,Genes Dev.15:1311-1333(非特許文献1))。固形腫瘍が直径2〜3mmを越えて成長するためには、新血管新生が起こらなければならないという事実によって反映されるように(Goldbrunner et al.,2000,J.Neurooncol.50:53-62(非特許文献2))、血管形成の活性化因子は腫瘍成長において極めて重要である。この過程を調節する分子のうちの一つは、血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGF mRNAは、高度に血管新生化された多形神経膠芽腫において過剰発現されている(Maher et al.,2001,Genes Dev.15:1311-1333(非特許文献3))。アンチセンスVEGF相補性DNAおよびVEGFアンチセンスRNAをコードするベクターのトランスフェクションは、内在性VEGFのダウンレギュレーションをもたらし、マウスにおける神経膠腫の成長を阻害することが証明されている(Sasaki et al.,1999,Int.J.Dev.Neurosci.17:579-591(非特許文献4);Zheng et al.,2000,Acta Pharmacol.Sin.21:211-214(非特許文献5))。類似の効果が、血管形成阻害剤エンドスタチンの局所送達によって観察された(Read et al.,2001,Nat.Biotechnol.19:29-34(非特許文献6))。しかしながら、この戦略は細胞分裂阻害効果を有する。それは、腫瘍の成長を阻害するためには有効であるが、それらを実際に排除するためには有効でない。
【0008】
ベバシズマブ(Avastin(登録商標))は、VEGFに結合し、VEGFがその受容体、特に、VEGFR2を活性化するのを防止し、その後の生物学的効果を排除する、ヒト化モノクローナル抗体である。この薬物は、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、および乳癌において利益を示しており、これらの適応症のため、Food and Drug Administratioによって認可されている。いくつかの研究が、再発性悪性神経膠腫においてベバシズマブと化学療法剤イリノテカンとの組み合わせを評価しており、結果はより有望なものであった。
【0009】
ある第II相研究において、ベバシズマブとイリノテカンとの組み合わせは、再発性未分化神経膠腫において67%の応答率および56%の6M-PFSを生じ、再発性神経膠芽腫において57%の応答率および46%の6M-PFSを生じた。
【0010】
これらの予備的な所見は、単独のベバシズマブまたはイリノテカンと組み合わせられたベバシズマブにより処置された再発性GBMを有する患者167人の大規模な多施設無作為化第II相研究によって最近確認された[Cloughesy T,Prados M,Wen P,et al.Society for Neuro-Oncology 12th Annual Meeting,2007(非特許文献7)]。
【0011】
単独のベバシズマブを投与した患者は、20%の応答率および35.1%の6M-PFSを有したが、ベバシズマブとイリノテカンとの組み合わせを投与した患者は、34%の応答率および51%の6M-PFSを有した。生存期間中央値は、単独のベバシズマブ(Avastin)で9.7ヶ月、組み合わせで8.7ヶ月であった。さらに、ベバシズマブによる処置は、腫瘍周囲浮腫、および副腎皮質ステロイドの必要性の有意な低下にも関連していた。これらの研究の結果として、ベバシズマブのイリノテカンとの組み合わせは、再発性悪性神経膠腫を有する患者の治療のために使用されることが増えている。
【0012】
悪性神経膠腫の治療のために提唱されているもう一つの剤は、アフリベルセプト(VEGFトラップ)である。これは、免疫グロブリンG1 Fcドメインに融合したVEGFR-1およびVEGFR-2の一部分から構成された可溶性ハイブリッド受容体である。ベバシズマブと同様に、それは、循環血中のVEGFを枯渇させるよう設計されているが、ベバシズマブ自体よりVEGFに対する有意に大きな親和性を有する。
【0013】
さらに、VEGF受容体の阻害剤が、悪性神経膠腫の治療のために提唱されている。再発性神経膠芽腫を有する患者における、強力なパンVEGFR阻害剤セジラニブ(AZD2171;Recentin)の第II相治験において、50%を越える応答率が観察され、6M-PFSはおよそ25%にまで増加した。神経膠芽腫におけるソラフェニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、バンデタニブ(ZD6474;Zactima)、パゾパニブ(GW786034)、およびバタラニブ(PTK787)のようなその他のVEGFR阻害剤による研究も、進行中である。
【0014】
VEGFまたはVEGFRを標的とする薬物と比較して、その他の血管形成経路を阻害する剤はより少ない成功を収めている。メシル酸イマチニブ(Gleevec)のような、PDGF受容体を阻害する薬物は、無効であったが、それは、部分的には、血液脳関門への不十分な浸透のためである。αvβ3インテグリンおよびαvβ5インテグリンを阻害する薬物シレンギチド(Cilengitide)は、神経膠芽腫において中程度の活性を示しており、他の剤とそれを組み合わせる研究が進行中である。
【0015】
遺伝子送達剤としてのウイルスベクターの使用が、悪性神経膠腫の治療のために提唱されている。そのようなウイルスは、その産物が殺腫瘍効果を発揮するような転移遺伝子を発現することにより、抗癌活性を生ずるよう工作され得る。
【0016】
そのようなアプローチのいくつかは、実験的研究において抗腫瘍効率を示しており、悪性神経膠腫の治療のための最初の臨床試験が1990年代に実施された。HSV-tk遺伝子治療が、先駆的な、最も一般的に使用されているアプローチであるが、腫瘍退縮性の条件的に複製するアデノウイルスおよび単純ヘルペスウイルス変異ベクター、p53、インターロイキン、インターフェロン、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドも使用されている。
【0017】
米国特許第5,747,340号(特許文献1)は、血管形成性細胞に対して選択性を示すマウス内皮細胞特異的プロモーターの使用を教示している。
【0018】
国際出願WO/2008/132729(特許文献2)は、癌の治療のための、血管形成性細胞における転移遺伝子の発現を指図する内皮細胞特異的プロモーターを含むウイルスベクターを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,747,340号
【特許文献2】国際出願WO/2008/132729
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Maher et al.,2001,Genes Dev.15:1311-1333
【非特許文献2】Goldbrunner et al.,2000,J.Neurooncol.50:53-62
【非特許文献3】Maher et al.,2001,Genes Dev.15:1311-1333
【非特許文献4】Sasaki et al.,1999,Int.J.Dev.Neurosci.17:579-591
【非特許文献5】Zheng et al.,2000,Acta Pharmacol.Sin.21:211-214
【非特許文献6】Read et al.,2001,Nat.Biotechnol.19:29-34
【非特許文献7】Cloughesy T,Prados M,Wen P,et al.Society for Neuro-Oncology 12th Annual Meeting,2007
【発明の概要】
【0021】
本発明のいくつかの態様の一局面によると、悪性神経膠腫の治療のための医薬の調製用のウイルスベクターの使用であって、核酸構築物が、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含む、使用が提供される。
【0022】
本発明のいくつかの態様の一局面によると、悪性神経膠腫の治療のためのウイルスベクターの使用であって、核酸構築物が、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含む、使用が提供される。
【0023】
本発明のいくつかの態様の一局面によると、その必要がある対象において悪性神経膠腫を治療する方法であって、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列:
を含むウイルスベクターの治療的有効量を対象へ投与し、それにより、該悪性神経膠腫を治療する工程を含む、方法が提供される。
【0024】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:12に示される。
【0025】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:13に示される。
【0026】
本発明のいくつかの態様によると、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。
【0027】
本発明のいくつかの態様によると、アデノウイルスベクターは非複製型アデノウイルスベクターである。
【0028】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも1コピーを含む。
【0029】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも2コピーを含む。
【0030】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:7に示される配列を含む。
【0031】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:8に示される配列を含む。
【0032】
本発明のいくつかの態様によると、プロモーターはSEQ ID NO:5に示される低酸素応答エレメント(HRE)を含む。
【0033】
本発明のいくつかの態様によると、ウイルスベクターはSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10に示される配列からなる。
【0034】
本発明のいくつかの態様によると、悪性神経膠腫は、神経膠芽腫、星細胞腫、乏突起細胞腫、および上衣細胞腫、ならびに若年性毛様細胞性星細胞腫からなる群より選択される。
【0035】
本発明のいくつかの態様によると、核酸構築物の治療的有効量は約103〜約106ウイルス粒子である。
【0036】
本発明のいくつかの態様によると、核酸構築物の治療的有効量は約105〜約1013ウイルス粒子である。
【0037】
本発明のいくつかの態様によると、核酸構築物の治療的有効量は約107〜約1012ウイルス粒子である。
【0038】
本発明のいくつかの態様によると、核酸構築物の治療的有効量は約1×1012〜約5×1012ウイルス粒子である。
【0039】
本発明のいくつかの態様によると、核酸構築物の治療的有効量は約1×1013〜約5×1013ウイルス粒子である。
【0040】
本発明のいくつかの態様によると、投与は静脈内投与を含む。
【0041】
本発明のいくつかの態様によると、投与は局所投与を含む。
【0042】
本発明のいくつかの態様によると、投与はウイルスベクターの少なくとも2回、または少なくとも3回、またはそれ以上の投与である。
【0043】
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および/または科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載されたものに類似しているかまたは等価である方法および材料が、本発明の態様の実施または試行において使用され得るが、例示的な方法および/または材料が以下に記載される。矛盾する場合には、定義を含む本特許明細書が適用されるであろう。さらに、材料、方法、および例は、例示的なものに過ぎず、必ずしも限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のいくつかの態様が、添付の図面および画像を参照しながら、単なる例として、本明細書に記載される。ここで、図面および画像を詳細に具体的に参照することにより、示された具体例が、例であって、本発明の態様の例示的な考察のみを目的とすることが強調される。この点に関して、図面と共に説明を参照することにより、本発明の態様が如何にして実施され得るかが、当業者には明白になるであろう。
【図1】U87腫瘍細胞を予め接種されたヌードラットにおけるVB-111のインビボ効果を測定するための例示的な処置スケジュールを例示する時間表である。
【図2】U87腫瘍細胞を予め接種されたラットの生存率に対するVB-111の効果を例示するグラフである。
【図3】U87腫瘍細胞を予め接種されたラットの(ルシフェラーゼアッセイにより測定される)腫瘍サイズに対するVB-111の効果を例示するグラフである。
【図4】U87腫瘍細胞を予め接種されたラットの(MRIにより測定される)腫瘍サイズに対するVB-111の効果を例示するグラフである。
【図5】図5A〜Fは、U87腫瘍細胞を予め接種されたラットの(MRIにより測定される)腫瘍サイズに対するVB-111の効果を例示する脳スライスの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
発明の具体的な態様の説明
本発明は、そのいくつかの態様において、悪性神経膠腫を治療するための、より具体的には、排他的にではないが、多形神経膠芽腫(GBM)を治療するための組成物および方法に関する。
【0046】
本発明の少なくとも一つの態様を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明において示されるかまたは実施例によって例示される詳細に、その適用が必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の態様も可能であるか、または様々な方式で実行もしくは実施され得る。
【0047】
原発性脳腫瘍の最も一般的な亜型である悪性神経膠腫は、侵襲性の、高度に浸潤性の、神経破壊性の腫瘍である。これらの腫瘍は、全てのヒト癌の中で最も致命的なものの一つである。その最も侵襲性の型である神経膠芽腫(GBM)において、生存期間中央値は9〜12ヶ月の範囲である。脳神経外科および放射線治療における数十年間の技術的進歩にも関わらず、全体的な統計に有意な変化はなかった。
【0048】
悪性神経膠腫の治療のための遺伝子治療アプローチが試みられている。しかしながら、これらのアプローチはインビトロおよび動物モデルにおいては成功しているが、これらの戦略は臨床試験においては限られた成功しか収めていない。ベクターの低いインビボ感染効率は、神経膠芽腫の組織学的構造に関係があると考えられる。これらは、ウイルスのような大きな粒子の拡散に対してほぼ完全に不透過性の、極めて充実性の腫瘍である。
【0049】
本発明者らは、驚くべきことに、内皮細胞における転写を指図するプロモーターの制御下で毒性分子(Fasキメラ(Fas-c))をコードするウイルスベクターを使用して、動物における神経膠芽腫の治療が、効果的に実施され得ることを見出した。
【0050】
ラットにU87腫瘍細胞を予め接種した神経膠芽腫の動物モデルを使用して、本発明者らは、そのようなウイルスベクターの投与が、ルシフェラーゼ活性(図3)およびMRI(図4および5)によって測定される、ルシフェラーゼタグ付き腫瘍のサイズを減少させることを示した。本発明者らは、そのようなウイルスベクターの投与が、ラットの生存率を増加させることをさらに示した(図2)。
【0051】
従って、本発明の一つの局面によると、
(i)Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;および
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列:
を含むウイルスベクターの治療的有効量を対象へ投与し、それにより、悪性神経膠腫を治療する工程を含む、その必要がある対象において悪性神経膠腫を治療する方法が提供される。
【0052】
本明細書において使用されるように、「悪性神経膠腫」という語句は、典型的には、増殖因子受容体および/または腫瘍関連抗原の過剰発現を特徴とする、原発性の中枢神経系腫瘍をさす。一つの態様によると、悪性神経膠腫は表皮増殖因子受容体(EGFR)過剰発現を示す。一つの態様によると、悪性神経膠腫は血小板由来増殖因子受容体(PDFR)過剰発現を示す。もう一つの態様によると、悪性神経膠腫は血小板由来増殖因子受容体(PDFR)過剰発現および表皮増殖因子受容体(EGFR)過剰発現の両方を示す。
【0053】
悪性神経膠腫の例には、神経膠芽腫、星細胞腫、乏突起細胞腫、上衣細胞腫、および若年性毛様細胞性星細胞腫のような若年発症型新生物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
治療されることが企図される対象には、哺乳動物、例えば、ヒトが含まれる。一つの態様によると、対象は、悪性神経膠腫に対する治療(例えば、放射線治療および/または化学療法)を過去に受けたことがあり、悪性神経膠腫が再発したものである。もう一つの態様によると、対象は、悪性神経膠腫に対する治療を過去に受けたことがないものである。
【0055】
「ウイルスベクター」という語句は、宿主に核酸分子を移入することができる、複製能を有するウイルス粒子または複製欠損ウイルス粒子をさす。
【0056】
本発明者らは、複製欠陥ベクター、および複製欠陥ベクターを産生するパッケージング細胞の使用を企図する。そのようなベクターの例は、アデノウイルスベクター、AAVベクター、およびレトロウイルスベクター、ならびにShir et al,Cellular and Molecular Neurobiology,Vol.21,No.6,December 2001(これの内容は、参照によって本明細書に組み入れられる)に記載されたその他のベクターである。
【0057】
「ウイルス」という用語は、タンパク質合成またはエネルギー発生の機序を有しない絶対細胞内寄生体をさす。ウイルスゲノムは、脂質膜のタンパク質のコーティングされた構造により含有されたRNAまたはDNAであり得る。本発明の実施において有用なウイルスの例には、バキュロウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、アデノウイルス科、ピコビルナウイルス科が含まれる。組換えウイルスという用語には、キメラ(または多量体)ウイルス、即ち、複数のウイルス亜型からの補足的なコーディング配列を使用して構築されたベクターが含まれる(例えば、Feng,et al.Nature Biotechnology 15:866-870を参照のこと)。「アデノウイルス」という用語は、「アデノウイルスベクター」という用語と同義であり、アデノウイルス属のウイルスをさす。アデノウイルス科という用語は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、マウス、およびサルのアデノウイルス亜属を含むが、これらに限定されない、マストアデノウイルス属の動物アデノウイルスを集合的にさす。特に、ヒトアデノウイルスには、A〜F亜属およびそれらの個々の血清型が含まれ、個々の血清型およびA〜F亜属には、ヒトアデノウイルス1型、2型、3型、4型、4a型、5型、6型、7型、8型、9型、10型、11型(Ad11AおよびAd11P)、12型、13型、14型、15型、16型、17型、18型、19型、19a型、20型、21型、22型、23型、24型、25型、26型、27型、28型、29型、30型、31型、32型、33型、34型、34a型、35型、35p型、36型、37型、38型、39型、40型、41型、42型、43型、44型、45型、46型、47型、48型、ならびに91型が含まれるが、これらに限定されるわけではない。ウシアデノウイルスという用語には、ウシアデノウイルス1型、2型、3型、4型、7型、および10型が含まれるが、これらに限定されない。イヌアデノウイルスという用語には、イヌ1型(CLL株、Glaxo株、RI261株、Utrect株、Toronto 26-61株)および2型が含まれるが、これらに限定されない。ウマアデノウイルスという用語には、ウマ1型および2型が含まれるが、これらに限定されない。ブタアデノウイルスという用語には、ブタ3型および4型が含まれるが、これらに限定されない。本発明の一つの態様において、アデノウイルスは、ヒトアデノウイルス血清型2型または5型に由来する。本発明の目的のため、アデノウイルスベクターは、標的細胞における複製能を有していてもよいし、または複製欠損であってもよい。いくつかの態様において、アデノウイルスベクターは、ウイルス複製に必要とされる遺伝子が、細胞および/または環境に特異的なプロモーターに機能的に連結されている、条件的に複製するアデノウイルスまたは選択的に複製するアデノウイルスである。選択的に複製するアデノウイルスまたは条件的に複製するウイルスベクターの例は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許第7,691,370号を参照のこと)。一つの態様において、アデノウイルスベクターは、E1遺伝子がプレプロエンドセリンプロモーターPPE-1(PPE-1、SEQ ID NO:13)の転写制御下にある、条件的に複製するアデノウイルスである。もう一つの態様において、アデノウイルスベクターは、E1遺伝子が修飾型プレプロエンドセリンプロモーターPPE-1-3X(PPE-1-3X、SEQ ID NO:12)の転写制御下にある、条件的に複製するアデノウイルスまたは選択的に複製するアデノウイルスである。いくつかの態様において、本発明において使用するのに適しているアデノウイルスベクターには、ヘキソンタンパク質構造を有する全てのアデノウイルス血清型が含まれる。治療的使用に適しているウイルスベクターには、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、AAV、ヘルペスウイルスベクター等が含まれる。例えば、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,732,129号または第6,649,158号に詳細に記載されるように、ウイルスベクターの操作および作製は、当技術分野において周知である。具体的な態様において、アデノウイルスは、C型アデノウイルス(Ad5、Ad2)、B型アデノウイルス(Ad3、Ad16、Ad21、Ad35、Ad50)、E型アデノウイルス(Ad4)、またはF型アデノウイルス(Ad41)である。
【0058】
本明細書において使用されるように、アデノウイルスベクターという語句は、ウイルス粒子内の核酸分子のうち、ウイルスベクターとして機能するのに必要な配列が、アデノウイルスゲノムに基づくベクターをさす。
【0059】
一つの態様によると、アデノウイルスベクターは、非複製型血清型5型(Ad5)アデノウイルスベクターである。
【0060】
もう一つの態様によると、アデノウイルスベクターは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:11に示される配列を含む。
【0061】
本発明が、癌細胞において繁殖し、その後、最初に感染した細胞を溶解によって死滅させる腫瘍退縮性ウイルスの使用も企図することが認識されるであろう。そのようなウイルスは近隣の細胞への感染に進み、そのようにして、そのサイクルを繰り返す。腫瘍退縮性ウイルスの企図される例には、単純ヘルペスウイルス、条件的複製型Ad(CRAd)、およびレオウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
CRAdベクターの開発のための二つの主要な戦略は、ウイルス複製を標的細胞に制限し、正常組織においては複製しないよう、初期1(E1)遺伝子を遺伝子操作することに主として焦点を当てて開発されている。Ad524のような遺伝子補完型(1型)CRAdは、腫瘍細胞においては補完されるが、正常細胞においては補完されない、最初期(E1A)または初期(E1B)アデノウイルス領域における変異を有する。トランス補完型(2型)CRAdにおいて、ウイルス複製は、腫瘍/組織特異的プロモーターを介して制御される。
【0063】
レオウイルスは、複製のために腫瘍細胞の活性化されたRasシグナリング経路を必要とする、天然に存在する腫瘍退縮性ウイルスである。Ras経路は、受容体チロシンキナーゼによる上流シグナリングを介して、大多数の悪性神経膠腫において活性化されている。
【0064】
前述のように、本発明のこの局面のウイルスベクターは、
(i)Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;および
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列:を含み、それにより、悪性神経膠腫を治療する。
【0065】
典型的には、そのようなウイルスベクターは、遺伝子組み換えテクノロジーを使用して構築される(即ち、組換えウイルスベクター)。
【0066】
Fasキメラ(Fas-c)は、TNFR1の細胞外領域(SEQ ID NO:2)と、Fasの膜貫通領域および細胞内領域(SEQ ID NO:3)とから構築された、2種の「デスレセプター」の以前に記載された融合体である[Boldin MP et al.J Biol Chem(1995)270(14):7795-8]。
【0067】
一つの態様によると、Fas-cは、SEQ ID NO:4に示されるポリヌクレオチドによってコードされる。
【0068】
本発明は、悪性神経膠腫の治療のための、その他の細胞障害性ポリペプチドに機能的に連結された内皮/内皮周囲細胞特異的プロモーターを含むウイルス構築物(例えば、アデノウイルス構築物)の使用も企図することが認識されるであろう。
【0069】
そのようなポリペプチドには、p53およびegr-1-TNFαのような自殺ポリペプチド、ガンシクロビル/チミジンキナーゼおよび5-フルオロシトシン/シトシンデアミナーゼのような薬物感受性治療(drug susceptibility therapy)のための細胞障害性プロドラッグ/酵素、ならびに5E1Aのような抗転移性ポリペプチドが含まれるが、これらに限定さない。
【0070】
「プロモーター」という用語は、本明細書において使用されるように、構成性または誘導可能な様式で、機能的に連結されたポリヌクレオチド配列の細胞における転写を指図するDNA配列をさす。プロモーターには、連結されたプロモーターからの転写を刺激するエンハンサーエレメントも含まれ得る。
【0071】
本明細書において使用されるように、内皮細胞特異的プロモーターとは、内皮細胞における発現レベルが、非内皮細胞における発現レベルより少なくとも2倍高くなるよう、機能的に連結された遺伝子の内皮細胞における発現を指図するプロモーターをさす。特定の態様によると、内皮細胞における発現レベルは、非内皮細胞における発現レベルより少なくとも5倍高い。
【0072】
本明細書において使用されるように、内皮周囲細胞特異的プロモーターとは、内皮細胞における発現レベルが、非内皮周囲細胞における発現レベルより少なくとも2倍高くなるよう、機能的に連結された遺伝子の内皮周囲細胞(即ち、小血管の周皮細胞またはより大きい血管の平滑筋細胞)における発現を指図するプロモーターをさす。特定の態様によると、内皮周囲細胞における発現レベルは、非内皮周囲細胞における発現レベルより少なくとも5倍高い。
【0073】
例示的な内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターには、プレプロエンドセリン-1(PPE-1)プロモーター、および本明細書中に後述されるようなその修飾型、TIE-1プロモーター、TIE-2プロモーター、エンドグリンプロモーター、フォン・ヴィルブランドプロモーター、KDR/flk-1プロモーター、FLT-1プロモーター、Egr-1プロモーター、ICAM-1プロモーター、VCAM-1プロモーター、PECAM-1プロモーター、ならびに大動脈カルボキシペプチダーゼ様タンパク質(ACLP)プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
プレプロエンドセリンプロモーターとは、哺乳動物起源のプレプロエンドセリン-1プロモーターをさす。一つの態様において、プレプロエンドセリン-1プロモーターは、SEQ ID NO:13に示されるマウスプレプロエンドセリン-1プロモーターである。
【0075】
一つの態様によると、プロモーターは、内皮細胞特異的な転写活性を付与するエンハンサーエレメントの少なくとも1コピーを含む。一つの態様によると、エンハンサーエレメントは、(SEQ ID NO:6に示される)マウスPPE-1プロモーターの-364bp〜-320bpの位置に天然に見出される。好ましくは、プロモーターは、上記エンハンサーエレメントを少なくとも2個、より好ましくは3個、含む。具体的な態様によると、プロモーターは、(SEQ ID NO:7に示されるように)プロモーターDNAの一方の鎖に上記エンハンサーエレメントのうちの2個を含み、プロモーターDNAの相補鎖に上記エンハンサーエレメントのうちの1個を含む。
【0076】
もう一つの態様によると、プロモーターは、例えば、SEQ ID NO:5に示される配列を含む、少なくとも1個の低酸素応答エレメントをさらに含む。
【0077】
本発明に関して使用され得る例示的なプロモーターには、SEQ ID NO:12に示される配列が含まれる。このプロモーターは、本明細書において、PPE-1-3xプロモーターとも呼ばれる。この配列は、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:7(これ自体は、SEQ ID NO:8の1コピーの両側にSEQ ID NO:6の2コピーを含む)を含む。
【0078】
本発明のこの局面の特定の態様によると、ウイルスベクターは、SEQ ID NO:9または10に示される配列からなる。このウイルスベクターは、本明細書において、VB111およびAD5PPE-1-3X-fasキメラとも呼ばれる。
【0079】
この配列は、460〜1437位にアンチセンス方向でSEQ ID NO:12を含む。
【0080】
この配列は、894〜1036位にアンチセンス方向でSEQ ID NO:7;951〜997位にアンチセンス方向でSEQ ID NO:8の単一コピー;907〜950位にアンチセンス方向でSEQ ID NO:6の第一コピー;993〜1036位にアンチセンス方向でSEQ ID NO:6の第二コピー;そして823〜866位にセンス方向でSEQ ID NO:6の第三コピーも含む。
【0081】
本発明のいくつかの態様において、ウイルスベクターは、内皮特異的プロモーターの転写活性を増強するかまたは阻害することができる追加のポリヌクレオチド配列を含む。本発明のいくつかの態様の一局面によると、追加のポリヌクレオチド配列は、プレプロエンドセリン(PPE-1)プロモーターのエレメントXの少なくとも6ヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドを含む。ここで、エレメントXはSEQ ID NO:6に示される野生型配列を有し、少なくとも6個のヌクレオチドは、SEQ ID NO:6に由来する少なくとも2個の連続配列を含み、少なくとも2個の連続配列は、各々、少なくとも3個のヌクレオチドを含み、少なくとも3個のヌクレオチドのうちの少なくとも1個は、
(i)SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチド;
(ii)SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチド;
(iii)SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチド;
(iv)SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6配列の少なくとも1個のヌクレオチド;
(v)SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1個のヌクレオチド;
(vi)SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列の少なくとも1個のヌクレオチド;および
(v)SEQ ID NO:21に(CTTTT)示された野生型M3配列の少なくとも1個のヌクレオチド:
からなる群より選択される、SEQ ID NO:6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の隣りに位置しており;少なくとも1個のヌクレオチド位置は、少なくとも1個のヌクレオチド置換、少なくとも1個のヌクレオチド欠失、および/または少なくとも1個のヌクレオチド挿入により、SEQ ID NO:6と比較して変異している。ただし、単離されたポリヌクレオチドが、PPE-1プロモーターに組み込まれ、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼコーディング配列)の上流に置かれた時、SEQ ID NO:6が、PPE-1プロモーターに同様に組み込まれ、レポーター遺伝子コーディング配列の上流に置かれた場合と比較して、レポーター遺伝子の発現レベルがアップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされるよう、少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異は、SEQ ID NO:6の21〜24位におけるヌクレオチドGGTAおよび/またはSEQ ID NO:6の29〜32位におけるヌクレオチドCATGをもたらさない。
【0082】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、生物のゲノムまたは完全染色体配列に、天然には存在しない。
【0083】
本明細書において使用されるように、「天然に存在する」という語句は、人工的な修飾なしに自然界に見出されることをさす。
【0084】
上記のように、エレメントXの少なくとも6個のヌクレオチドは、SEQ ID NO:6に由来する少なくとも2個の連続配列を含む。
【0085】
本明細書において使用されるように、「SEQ ID NO:6に由来する連続配列」という語句は、ヌクレオチドが、それらが由来するSEQ ID NO:6の核酸配列と同一の順序で出現する核酸配列(ポリヌクレオチド)をさす。ヌクレオチドの順序は、先行するヌクレオチドの3'-OHと、後続のヌクレオチドの5'-リン酸との間で形成された化学結合(ホスホジエステル結合)によって決定されることに注意するべきである。
【0086】
本発明のいくつかの態様によると、少なくとも2個の連続配列は、各々、SEQ ID NO:6の少なくとも3ヌクレオチド、例えば、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、 31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチドを含む。
【0087】
前記のように、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:6に由来する少なくとも2個の連続配列を含む。本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:6に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14の連続配列を含む。
【0088】
本明細書において使用されるように、ヌクレオチド配列に関して「野生型」という語句は、SEQ ID NO:6に出現する核酸配列をさす。例には、野生型M4配列(SEQ ID NO:15)、野生型M5配列(SEQ ID NO:16)、野生型M8(SEQ ID NO:19)、野生型M6配列(SEQ ID NO:17)、野生型M7配列(SEQ ID NO:18)、野生型M1(SEQ ID NO:20)、および野生型M3配列(SEQ ID NO:21)が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明のいくつかの態様によると、変異は、SEQ ID NO:6に関するヌクレオチド位置における少なくとも1個のヌクレオチドの挿入である。本発明のいくつかの態様によると、挿入は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド、例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、またはそれ以上のヌクレオチドを含む。
【0090】
変異によって挿入される配列は、任意の起源(例えば、種、組織、または細胞型)に由来してよく、エレメントXの配列の起源に限定されないことに注意するべきである。
【0091】
本発明のいくつかの態様によると、変異は、上記の変異の型、即ち、置換、挿入、および欠失の任意の組み合わせである。例えば、SEQ ID NO:6の1個のヌクレオチド位置が置換変異を受け、SEQ ID NO:6のもう1個のヌクレオチド位置が欠失または挿入を受けてもよい。さらに、または、あるいは、SEQ ID NO:6の1個のヌクレオチド位置が欠失変異を受け、SEQ ID NO:6のもう1個のヌクレオチド位置が置換または挿入を受けてもよい。さらに、または、あるいは、SEQ ID NO:6の1個のヌクレオチド位置が挿入変異を受け、SEQ ID NO:6のもう1個のヌクレオチド位置が置換または欠失を受けてもよい。その他の様々な組み合わせも可能であることに注意するべきである。
【0092】
本発明の具体的な態様によると、本発明の単離されたポリヌクレオチドの変異は、SEQ ID NO:6の21〜24位におけるヌクレオチドGGTAおよび/またはSEQ ID NO:6の29〜32位におけるヌクレオチドCATGをもたらさない。
【0093】
本明細書において使用されるように、「PPE-1プロモーターに組み込まれた」という語句は、PPE-1プロモーター配列内に共有結合で接合したヌクレオチド配列(単離されたポリヌクレオチド)をさす。
【0094】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、以下のものからなる群より選択される核酸配列の少なくとも1コピーをさらに含む:
(i)SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列、
(ii)SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列、
(iii)SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列、
(iv)SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6配列、
(v)SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列;
(vi)SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列、および
(vii)SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列。
【0095】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、任意の公知の(または未知の)プロモーター配列の内部(内側)、下流、または上流に組み込まれ、それにより、プロモーターの転写促進活性を調節する(例えば、増加させる、減少させる、組織特異性を改変する、誘導性または構成性の発現を改変する)。
【0096】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、機能的に連結された異種ポリヌクレオチドの内皮細胞における発現を増加させるためのものである。そのようなポリヌクレオチドは、エレメントX由来の追加の配列の存在下もしくは非存在下で、かつ/またはエレメントX由来の他の変異型配列の存在下で、M4および/またはM5の野生型配列を含み得る。
【0097】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピーを含む。
【0098】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0099】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0100】
本発明のいくつかの態様によると、SEQ ID NO:6と比較して変異している少なくとも1個のヌクレオチド位置は、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドである。そのような単離されたポリヌクレオチドは、野生型M6配列(SEQ ID NO:17)および/または野生型M7配列(SEQ ID NO:18)をさらに含んでいてもよいことに注意するべきである。
【0101】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:55〜62に提供される。
【0102】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:63〜66に提供される。
【0103】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:67〜70に提供される。
【0104】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0105】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:71〜105に提供される。
【0106】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:106〜136に提供される。
【0107】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:137〜152に提供される。
【0108】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、機能的に連結された異種ポリヌクレオチドの内皮細胞における発現を低下させる。そのようなポリヌクレオチドは、エレメントX由来の追加の配列の存在下もしくは非存在下で、かつ/またはエレメントX由来の他の変異型配列の存在下で、M4および/またはM5の変異を含み得る。
【0109】
本発明のいくつかの態様によると、SEQ ID NO:6と比較して変異している少なくとも1個のヌクレオチド位置は、SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドである。
【0110】
SEQ ID NO:46(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:153〜162に提供される。
【0111】
本発明のいくつかの態様によると、SEQ ID NO:6と比較して変異している少なくとも1個のヌクレオチド位置は、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドである。
【0112】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:163〜171に提供される。
【0113】
本発明のいくつかの態様によると、SEQ ID NO:6と比較して変異している少なくとも1個のヌクレオチド位置は、SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチド、およびSEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドである。
【0114】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:172〜180に提供される。
【0115】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、機能的に連結された異種ポリヌクレオチドの、内皮細胞以外の細胞における発現を増加させるためのものである。そのようなポリヌクレオチドは、エレメントX由来の追加の配列の存在下もしくは非存在下で、かつ/またはエレメントX由来の他の変異型配列の存在下で、M4および/またはM5の変異、ならびにM6および/またはM7の野生型配列を含み得る。
【0116】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、M4(SEQ ID NO:15)および/またはM5(SEQ ID NO:16)の変異、ならびにSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピーおよび/またはSEQ ID NO:18に示される野生型M7の少なくとも1コピーを含む。
【0117】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:181〜182に提供される。
【0118】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:183〜189に提供される。
【0119】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:190〜191に提供される。
【0120】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0121】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:192〜195に提供される。
【0122】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:196〜198に提供される。
【0123】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:199〜202に提供される。
【0124】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0125】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:203〜205に提供される。
【0126】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:206〜207に提供される。
【0127】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:208〜209に提供される。
【0128】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、機能的に連結された異種ポリヌクレオチドの細胞における発現を低下させる。そのようなポリヌクレオチドは、エレメントX由来の追加の配列の存在下もしくは非存在下で、かつ/またはエレメントX由来の他の変異型配列の存在下で、M4、M5、 M6、および/またはM7の変異を含み得る。
【0129】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M4(SEQ ID NO:15)および/または野生型M5(SEQ ID NO:47)ならびにSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個の変異を含む。
【0130】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:210〜213に提供される。
【0131】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:214〜222に提供される。
【0132】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:223〜231に提供される。
【0133】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個の変異をさらに含む。
【0134】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:232〜236に提供される。
【0135】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:237〜240に提供される。
【0136】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:241〜248に提供される。
【0137】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個の変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個の変異をさらに含む。
【0138】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:249〜258に提供される。
【0139】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:259〜264に提供される。
【0140】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:265〜270に提供される。
【0141】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、エレメントX(SEQ ID NO:6)に由来する追加の野生型または変異型の配列と共に、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む。
【0142】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:271〜279に提供される。
【0143】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:280〜287に提供される。
【0144】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:288〜291に提供される。
【0145】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:294〜298に提供される。
【0146】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:299〜301に提供される。
【0147】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:302〜303に提供される。
【0148】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:304〜308に提供される。
【0149】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:309〜311に提供される。
【0150】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:312〜315に提供される。
【0151】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:316に提供される。
【0152】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:317に提供される。
【0153】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:318に提供される。
【0154】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:319〜327に提供される。
【0155】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:328〜333に提供される。
【0156】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:334〜337に提供される。
【0157】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:338〜344に提供される。
【0158】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:345〜348に提供される。
【0159】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:349〜354に提供される。
【0160】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:355〜361に提供される。
【0161】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:362〜365に提供される。
【0162】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:366〜369に提供される。
【0163】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、エレメントX(SEQ ID NO:6)に由来する追加の野生型または変異型の配列と共に、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む。
【0164】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:378〜384に提供される。
【0165】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:628〜634に提供される。
【0166】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:370〜377に提供される。
【0167】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:385〜390に提供される。
【0168】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:391〜396に提供される。
【0169】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:397〜401に提供される。
【0170】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:402〜409に提供される。
【0171】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:410〜417に提供される。
【0172】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:418〜423に提供される。
【0173】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:424〜425に提供される。
【0174】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:538〜540に提供される。
【0175】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:426に提供される。
【0176】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:427〜435に提供される。
【0177】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:436〜444に提供される。
【0178】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:445〜451に提供される。
【0179】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:452〜458に提供される。
【0180】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:459〜465に提供される。
【0181】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:466に提供される。
【0182】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:467〜471に提供される。
【0183】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:472〜477に提供される。
【0184】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:478〜483に提供される。
【0185】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、エレメントX(SEQ ID NO:6)に由来する追加の野生型または変異型の配列と共に、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0186】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:484〜495に提供される。
【0187】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:496〜507に提供される。
【0188】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:508〜515に提供される。
【0189】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:516〜519に提供される。
【0190】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:520〜523に提供される。
【0191】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:524〜525に提供される。
【0192】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:526〜529に提供される。
【0193】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:530〜533に提供される。
【0194】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:534〜535に提供される。
【0195】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:536〜537に提供される。
【0196】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:538〜539に提供される。
【0197】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:540に提供される。
【0198】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:541〜547に提供される。
【0199】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:548〜554に提供される。
【0200】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:555〜559に提供される。
【0201】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:560〜566に提供される。
【0202】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:567〜573に提供される。
【0203】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:574〜578に提供される。
【0204】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:579〜583に提供される。
【0205】
SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:584〜588に提供される。
【0206】
SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7の少なくとも1個のヌクレオチド位置の変異、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:589〜592に提供される。
【0207】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M6(SEQ ID NO:17)および/または野生型M7(SEQ ID NO:50)の少なくとも1個の変異と共に、野生型M3配列(SEQ ID NO:21)の少なくとも1コピーおよび野生型M8配列(SEQ ID NO:19)の少なくとも1コピーを含む。
【0208】
野生型M6配列(SEQ ID NO:17)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、および/または野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異と共に、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:593〜600に提供される。
【0209】
本発明者らは、組織特異的エンハンサー(例えば、野生型M4および/もしくは野生型M5)、ならびに/または誘導型エンハンサー(例えば、発達関連エンハンサーもしくはストレス関連エンハンサー)に加えて、野生型M8配列(SEQ ID NO:19)および/または野生型M3(SEQ ID NO:21)配列を含む、単離されたポリヌクレオチドは、非標的細胞においては、または非誘導条件下では、発現を抑制することにより、より特異的な調節効果を発揮すると予想されると考えた。
【0210】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーおよび内皮特異的エンハンサー配列を含む。
【0211】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピーを含む。
【0212】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0213】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0214】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーおよび内皮特異的エンハンサー配列を含む。
【0215】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピーを含む。
【0216】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピーおよびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0217】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0218】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、および内皮特異的エンハンサー配列を含む。
【0219】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピーを含む。
【0220】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0221】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:15に示される野生型M4配列の少なくとも1コピー、およびSEQ ID NO:16に示される野生型M5配列の少なくとも1コピーを含む。
【0222】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列の少なくとも1コピー、SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列の少なくとも1コピー、ならびに野生型M6(SEQ ID NO:17)および/または野生型M7配列(SEQ ID NO:18)のような少なくとも1個のエンハンサーエレメントを含む。
【0223】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M8配列(SEQ ID NO:19)の少なくとも1コピー、野生型M7(SEQ ID NO:18)および/または野生型M9配列(SEQ ID NO:14、CTGGA)の少なくとも1コピーのような追加の隣接配列と共に、野生型M8の少なくとも1コピーを含み;かつ/または単離されたポリヌクレオチドは、M9(SEQ ID NO:22)と共に、またはM9なしに、野生型M8の少なくとも1コピーおよびM7の少なくとも1個の変異を含む。そのようなポリヌクレオチドは、非特異的リプレッサーとして使用され得る。
【0224】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、機能的に連結された異種ポリヌクレオチドの細胞/組織における発現を増加させるためのものである。
【0225】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6配列の少なくとも1コピーおよび/またはSEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列の少なくとも1コピーを含む。
【0226】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M6(SEQ ID NO:17)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む。
【0227】
野生型M6(SEQ ID NO:17)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:23〜26に提供される。
【0228】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む。
【0229】
野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:27〜28に提供される。
【0230】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M6(SEQ ID NO:17)の少なくとも1コピー、野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1コピー、および野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む。
【0231】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M1(SEQ ID NO:20)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む。
【0232】
野生型M1(SEQ ID NO:20)の少なくとも1コピーおよび野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:43〜54および601〜632に提供される。
【0233】
本発明のいくつかの態様によると、単離されたポリヌクレオチドは、野生型M1(SEQ ID NO:20)の少なくとも1コピー、野生型M6(SEQ ID NO:17)の少なくとも1コピー、および/または野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1コピー、ならびに野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異を含む。
【0234】
野生型M8(SEQ ID NO:19)の少なくとも1個のヌクレオチドの変異、ならびに野生型M1(SEQ ID NO:20)、野生型M6(SEQ ID NO:17)、および/または野生型M7(SEQ ID NO:18)の少なくとも1コピーを含む、単離されたポリヌクレオチドの非限定的な例は、SEQ ID NO:29〜42に提供される。
【0235】
本発明のいくつかの態様に従って使用され得る、調節性の単離されたポリヌクレオチドの追加の例は、以下の実施例セクションに提供される(SEQ ID NO:633〜644)。
【0236】
本発明のいくつかの態様の一局面によると、SEQ ID NO:13に示されるプレプロエンドセリン(PPE-1)プロモーターを含む第1のポリヌクレオチドと、以下のものからなる群より選択される核酸配列の少なくとも1コピーを含む第2のポリヌクレオチドとを含む核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチドが提供される:
(i)SEQ ID NO:15(CATTC)に示される野生型M4配列、
(ii)SEQ ID NO:16(CAATG)に示される野生型M5配列、
(iii)SEQ ID NO:19(GCTTC)に示される野生型M8配列、
(iv)SEQ ID NO:17(GGGTG)に示される野生型M6配列、
(v)SEQ ID NO:18(ACTTT)に示される野生型M7配列;
(vi)SEQ ID NO:20(GTACT)に示される野生型M1配列、および
(vii)SEQ ID NO:21(CTTTT)に示される野生型M3配列;
ただし、第2のポリヌクレオチドはSEQ ID NO:6(エレメントX)ではなく、かつ単離されたポリヌクレオチドはSEQ ID NO:12(PPE-1-3X)ではない。
【0237】
本発明のいくつかの態様によると、野生型M4、M5、M8、M6、M7、および/またはM1配列の各々は、SEQ ID NO:13に示されるPPE-1プロモーターに対して頭-尾(5'→3')方向に置かれる。
【0238】
本発明のいくつかの態様によると、野生型M4、M5、M8、M6、M7、および/またはM1配列の各々は、SEQ ID NO:13に示されるPPE-1プロモーターに対して尾-頭(3'→5')方向に置かれる。
【0239】
本発明のいくつかの態様によると、野生型M4、M5、M8、M6、M7、および/もしくはM1配列は、他の野生型M4、M5、M8、M6、M7、および/もしくはM1配列に対して、かつ/またはSEQ ID NO:13の方向に対して、様々な方向(頭-尾もしくは尾-頭)および/または配列順序で置かれる。
【0240】
そのようなウイルスベクターの構築は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992),in Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989)、Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995)、Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)、およびGilboa et at.[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に記載されたもののような公知の分子生物学技術を使用して達成され得る。
【0241】
SEQ ID NO:9のウイルスベクターの構築は、国際出願WO/2008/132729に記載されており、その内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0242】
本発明のこの局面のウイルスベクターは、そのまま投与されてもよいし、または生理学的に許容される担体も含む薬学的組成物の一部分として投与されてもよい。薬学的組成物の目的は、有効成分の生物への投与を容易にすることである。
【0243】
本明細書において使用されるように、「薬学的組成物」とは、生理学的に適切な担体および賦形剤のようなその他の化学成分を含む、本明細書に記載された有効成分のうちの一つまたは複数の調製物をさす。薬学的組成物の目的は、化合物の生物への投与を容易にすることである。
【0244】
本明細書において、「有効成分」という用語は、生物学的効果を担う本発明のウイルスベクターをさす。
【0245】
以後、交換可能に使用され得る「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に対して有意な刺激を引き起こさず、投与される化合物の生物学的活性および特性を抑止しない担体または希釈剤をさす。佐剤は、これらの語句に含まれる。
【0246】
本明細書において、「賦形剤」という用語は、有効成分の投与をさらに容易にするために薬学的組成物に添加される不活性物質をさす。賦形剤の例には、非限定的に、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖および型のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ならびにポリエチレングリコールが含まれる。
【0247】
薬物の製剤化および投与のための技術は、参照によって本明細書に組み入れられる「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.,Easton,PA)最新版に見出され得る。
【0248】
適切な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に、経鼻送達、腸管送達、または筋肉内注射、皮下注射、および髄内注射を含む非経口送達が含まれ、くも膜下腔内注射、直接脳室内注射、心臓内注射、例えば、右心室もしくは左心室への注射、総頸動脈への注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、または眼球内注射も含まれ得る。脊髄液へのウイルスベクターの注射も、投与モードとして使用され得る。
【0249】
中枢神経系(CNS)へのウイルスの送達を増強するためには、様々なアプローチが採用され得る。これらには、神経外科的戦略(例えば、脳内注射または脳室内注入)およびウイルスの分子的操作が含まれる。従って、例えば、Tang et al.,Gene Therapy(2007)14,523-532は、全長メラノトランスフェリン(melanotransferrin)(sCAR-MTf)ポリペプチドを発現するようウイルスを操作することにより、BBBを通過するため、MTfトランスサイトーシス経路へAd5ベクターを差し向けることを教示している。
【0250】
CNSへのウイルスの送達を増強するためのその他のアプローチには、剤の脂溶性を増加させるために設計された薬理学的戦略(例えば、水溶性剤の脂質担体またはコレステロール担体へのコンジュゲーション);および(頚動脈へのマンニトール溶液の注入またはアンジオテンシンペプチドのような生物学的に活性な剤の使用に起因する)高浸透圧破壊による、BBBの完全性の一時的な破壊が含まれる。
【0251】
本発明は、免疫応答を回避するか、抑制するか、または操作し、理想的には、持続的な発現および導入遺伝子生成物に対する免疫寛容をもたらすためのウイルスベクターの操作も企図する。そのような方法は、例えば、参照によって本明細書に組み入れられる、Nayak et al.,Gene Therapy(12 November 2009)に記載されている。
【0252】
あるいは、例えば、患者の脳への薬学的組成物の直接注射、さらに直接的には、腫瘍細胞自体への注射を介して、全身的にではなく局所的に薬学的組成物を投与することも可能である。
【0253】
本発明の薬学的組成物は、当技術分野において周知の過程、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作成、粉砕、乳化、封入、閉じ込め、または凍結乾燥の過程によって製造され得る。
【0254】
従って、本発明に従い使用するための薬学的組成物は、薬学的に使用され得る調製物への有効成分の加工を容易にする、賦形剤および助剤を含む一つまたは複数の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で製剤化され得る。適切な製剤は、選ばれた投与経路に依存する。
【0255】
注射の場合、薬学的組成物の有効成分は、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、または生理学的塩緩衝液のような生理学的に適合性の緩衝液で、水性溶液へと製剤化され得る。経粘膜投与の場合、浸透すべき関門にとって適切な浸透剤が、製剤において使用される。そのような浸透剤は、当技術分野において一般に公知である。
【0256】
頬投与の場合、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0257】
鼻吸入による投与の場合、本発明に従い使用するための有効成分は、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素の使用により、加圧されたパックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位は、一定量を送達する弁を準備することにより、決定され得る。ディスペンサーにおいて使用するためのカプセルおよびカートリッジ、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物と、乳糖またはデンプンのような適切な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化され得る。
【0258】
本明細書に記載された薬学的組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による、非経口投与のために製剤化され得る。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルにおいて提示されてもよいし、または多用量容器において提示されてもよく、任意で、保存剤が添加され得る。組成物は、油性もしくは水性のビヒクルによる懸濁物、溶液、またはエマルションであり得、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤のような製剤化用の剤を含有していてもよい。
【0259】
非経口投与用の薬学的組成物には、水溶性の形態の活性調製物の水性溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁物が、適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製されてもよい。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチル、トリグリセリド、もしくはリポソームのような合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射用懸濁物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような、懸濁物の粘性を増加させる物質を含有していてもよい。任意で、懸濁物は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするため、適切な安定剤、または有効成分の溶解度を増加させる剤を含有していてもよい。
【0260】
あるいは、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱性物質を含まない水性溶液により再生させるため、粉末形態であってもよい。
【0261】
本発明の薬学的組成物は、例えば、カカオ脂またはその他のグリセリドのような従来の坐剤用基剤を使用して、坐剤または停留浣腸のような直腸用組成物へと製剤化されてもよい。
【0262】
本発明に関して使用するために適切な薬学的組成物には、意図された目的を達成するのに有効な量で有効成分が含有されている組成物が含まれる。より具体的には、治療的有効量とは、障害(例えば、神経膠芽腫)の症状を防止するか、軽減するか、もしくは寛解させるか、または治療されている対象の生存を延長するために有効な有効成分(即ち、ウイルス粒子)の量を意味する。
【0263】
治療的有効量の決定は、特に、本明細書に提供される詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0264】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療的有効量または用量は、インビトロアッセイおよび細胞培養アッセイから最初に推定され得る。例えば、用量は、所望の濃度または力価を達成するため、動物モデルにおいて公式化され得る。そのような情報が、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。
【0265】
本明細書に記載された有効成分の毒性および治療効果は、インビトロで、細胞培養物で、または実験動物で、標準的な薬学的手法によって決定され得る。これらのインビトロアッセイ、細胞培養アッセイ、および動物研究から入手されたデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を公式化するために使用され得る。投薬量は、利用される剤形および利用される投与経路に依って変動し得る。正確な製剤、投与経路、および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選ばれ得る(例えば、Fingl,et al.,1975,in "The Pharmacological Basis of Therapeutics",Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0266】
投薬量および間隔は、生物学的効果を誘導するかまたは抑制するのに十分な有効成分の脳内レベル(最小有効濃度、MEC)を提供するため、個々に調整され得る。MECは、各調製物について変動するであろうが、インビトロデータから推定され得る。MECを達成するのに必要な投薬量は、個々の特徴および投与経路に依るであろう。検出アッセイが、血漿濃度を決定するために使用され得る。
【0267】
治療すべき状態の重度および応答性に依って、投与は、単回投与であってもよいし、または複数回投与であってもよく、治療の課程は、数日〜数週間、または治癒が達成されるかもしくは疾患状態の縮小が達成されるまで、継続される。
【0268】
投与される組成物の量は、当然、治療される対象、罹患の重度、投与の様式、処方する医師の判断等に依存するであろう。
【0269】
治療的有効量の有効成分は、単位用量へ製剤化され得る。本明細書において使用されるように、「単位用量」とは、個々にまたは集合的に抗癌効果のような所望の効果を生ずるよう計算された活性材料の予定された量を含有している、物理的に不連続の単位をさす。単回の単位用量または複数回の単位用量が、抗癌治療効果のような所望の効果を提供するために使用され得る。
【0270】
一つの態様によると、約103〜約1016ウイルス粒子が、対象に投与される。
【0271】
もう一つの態様によると、約105〜約1013ウイルス粒子が、対象に投与される。
【0272】
一つの態様によると、約107〜約1012ウイルス粒子が、対象に投与される。
【0273】
一つの態様によると、約1×1012〜約5×1012ウイルス粒子が、対象に投与される。
【0274】
一つの態様によると、約1×1013〜約5×1013ウイルス粒子が、対象に投与される。
【0275】
さらにもう一つの態様によると、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10の1×1012〜1×1013ウイルス粒子が、対象に静脈内投与される。
【0276】
さらにもう一つの態様によると、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10の1×1012〜1×1013ウイルス粒子が、少なくとも2回、対象に静脈内投与される。さらにもう一つの態様によると、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10の1×1012〜1×1013ウイルス粒子が、少なくとも3回またはそれ以上、対象に静脈内投与される。特定の態様において、少なくとも2回の投与は、少なくとも約1日、少なくとも約3日、少なくとも約5日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約1.25年、少なくとも約1.5年、少なくとも約1.75年、少なくとも約2年、少なくとも約2.5年、少なくとも約3年、またはそれ以上の間隔で行われる。
【0277】
本発明の組成物は、望まれる場合、有効成分を含有している一つまたは複数の単位剤形を含有していてもよいFDA認可キットのようなパックまたはディスペンサー装置で提示され得る。パックは、例えば、ブリスターパックのような、金属またはプラスチックのフォイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与についての説明が添付され得る。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態で、組成物の形態またはヒトもしくは獣医学的な投与の、機関による承認を反映する、容器に関連した通知に適合していてもよい。そのような通知は、例えば、処方薬についてのU.S.Food and Drug Administrationによって認可された表示、または認可された製品インサートであり得る。適合性の薬学的担体で製剤化された本発明の調製物を含む組成物は、さらに上に詳述されたように、調製され、適切な容器に置かれ、適応症の治療についての表示を付され得る。
【0278】
本発明のベクターは、細胞による核酸構築物の取り込み、細胞における核酸構築物によるキメラポリペプチドの発現、または発現されたキメラポリペプチドの活性を改善することができる追加の成分と共に投与され得る。
【0279】
例えば、操作された抗体または低分子ペプチドによりベクターを処理することによって、EC細胞へのアデノウイルスベクターの取り込みを増強することができる。そのような「アデノボディ(adenobody)」処理は、細胞上のEGF受容体にアデノウイルス構築物を差し向けるために有効であることが示された(Watkins et al 1997,Gene Therapy 4:1004-1012)。さらに、Nicklinらは、ファージディスプレイを介して単離された低分子ペプチドが、培養物中で、内皮細胞におけるベクターの特異性および効率を増加させ、肝細胞における発現を減少させることを示した(Nicklin et al 2000,Circulation 102:231-237)。最近の研究において、FGFによって再ターゲティングされたアデノウイルスベクターは、マウスにおけるtkの毒性を低下させた(Printz et al 2000,Human Gene Therapy 11:191-204)。
【0280】
低線量放射線は、主としてG2/M期に、DNA鎖の破損、細胞膜傷害を引き起こし、傍観者効果を増強することが示されており、従って、組み合わせ投与された時に、他の細胞障害治療および抗新生物治療を強化し得る。低線量放射線は、微小血管内皮細胞のアポトーシス系を特異的に標的とすることが証明されているため、血管内皮細胞は、そのような組み合わせ治療または補助治療に特に適している可能性がある(Kolesnick et al.,Oncogene 2003;22:5897-906)。アンジオスタチンは、低線量放射線の治療効果を強化することが示されている(Gorski et al.Can Res 1998;58:5686-89)。しかしながら、照射は血管形成促進性の「組織修復因子」を増加させることも示されているため(Itasaka et al.,Am Assoc Cane Res,2003;abstract 115)、放射線の効果は未だ十分には理解されていない。同様に、ある種の化学療法剤は、特定の細胞障害経路およびアポトーシス経路を活性化することが示されている[ドキソルビシン、シスプラチン、およびマイトマイシンCは、FADD/MORT-1経路における、Fas受容体、FADD、およびその他のアポトーシス促進性シグナルの蓄積を誘導する(Micheau et al.,BBRC 1999 256:603-07)]。
【0281】
例えば、国際出願WO/2008/132729は、内皮細胞(BAEC)における、ドキソルビシンおよびAdPPE-1(3x)-Fas-cキメラ構築物の組み合わせの投与を教示している。従って、本発明のウイルスベクターおよびそれを含む薬学的組成物は、悪性神経膠腫を治療するため、単独で、またはそのような障害のための一つもしくは複数の他の確立されたもしくは試験的な治療レジメンと組み合わせて、使用され得る。本発明のウイルスベクターと組み合わせるのに適切な悪性神経膠腫の治療のための治療レジメンには、化学療法、放射線療法、光線療法および光線力学療法、手術、栄養療法、切除療法、放射線療法と化学療法との組み合わせ、近接照射療法、陽子線療法、免疫療法、細胞療法、ならびに光子線手術療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0282】
本発明の化合物と共に投与され得る抗癌薬には、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール(Acodazole)塩酸塩;アクロニン;アドリアマイシン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン(Ambomycin);アメタントロン(Ametantrone)酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン(Asperlin);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン(Azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ(Benzodepa);ビカルタミド;ビサントレン(Bisantrene)塩酸塩;メシル酸ビスナフィド(Bisnafide Dimesylate);ビセレシン;ブレオマイシン硫酸塩;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン(Cactinomycin);カルステロン(Calusterone);カラセミド(Caracemide);カルベチマー(Carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン(Carzelesin);セデフィンゴール(Cedefingol);クロラムブシル;シロレマイシン(Cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール(Crisnatol);シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン(Dexormaplatin);デザグアニン(Dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジクオン(Diaziquone);ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン(Droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(Duazomycin);エダトレキサート;エフロールニチン塩酸塩;エルサミトルシン(Elsamitrucin);エンロプラチン(Enloplatin);エンプロメート(Enpromate);エピプロピジン(Epipropidine);エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール(Erbulozole);エソルビシン(Esorubicin)塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン(Etoprine);ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン(Fazarabine);フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン(Flurocitabine);フォスキドン(Fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモフォシン(Ilmofosine);インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン(Iproplatin);イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;リュープロリド酢酸塩;リアロゾール(Liarozole)塩酸塩;ロメトレキソール(Lometrexol)ナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン(Losoxantrone)塩酸塩;マソプロコール;マイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン(Metoprine);メツレデパ(Meturedepa);ミチンドミド(Mitindomide);マイトカルシン(Mitocarcin);マイトクロミン(Mitocromin);マイトギリン(Mitogillin);マイトマルシン(Mitomalcin);マイトマイシン;マイトスペル(Mitosper);ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン(Ormaplatin);オキシスラン(Oxisuran);パクリタクセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン(Peliomycin);ペンタムスチン(Pentamustine);ペプロマイシン硫酸塩;ペルフォスファミド(Perfosfamide);ピポブロマン;ピポスルファン(Piposulfan);ピロキサントロン(Piroxantrone)塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン(Plomestane);ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン(Pyrazofurin);リボプリン(Riboprine);ログレチミド(Rogletimide);サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン(Simtrazene);;スパルフォセート(Sparfosate)ナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム(Spirogermanium)塩酸塩;スピロムスチン(Spiromustine);スピロプラチン(Spiroplatin);ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル(Sulofenur);タリソマイシン(Talisomycin);タキソール;テコガラン(Tecogalan)ナトリウム;テガフール;テロキサントロン(Teloxantrone)塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン(Teroxirone);テストラクトン;チアミプリン(Thiamiprine);チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポテカン塩酸塩;トレミフェンクエン酸塩;トレストロン(Trestolone)酢酸塩;リン酸トリシリビン(Triciribine);トリメトレキサート;テモゾロミド(Temodar(商標));ベバシズマブ、ドラフィニブ、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、バンデタニブ(ZD6474;Zactima(商標))、パゾパニブ(GW786034)、およびバタラニブ(PTK787)、グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール(Tubulozole)塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ(Uredepa);バプレオチド(Vapreotide);ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン(Vinepidine)硫酸塩;ビングリシネート(Vinglycinate)硫酸塩;ビンロイロシン(Vinleurosine)硫酸塩;ビノレルビン酒石酸塩;ビンロシジン(Vinrosidine)硫酸塩;ビンゾリジン(Vinzolidine)硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン(Zeniplatin);ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩が含まれるが、これらに限定されない。追加の抗新生物剤には、GoodmanおよびGilmanの「The Pharmacological Basis of Therapeutics」(Eighth Edition,1990,McGraw-Hill,Inc.(Health Professions Division))のチャプター52、Antineoplastic Agents(Paul Calabresi and Bruce A.Chabner)およびその序論、1202-1263に開示されたものが含まれる。
【0283】
本発明のウイルスベクターは、アデノウイルスにより媒介される一過性発現における導入遺伝子の発現を増強する剤と共に投与されてもよい。例えば、国際出願WO/2008/132729は、AdPPE-1(3x)-Fas-cキメラ構築物の投与前の副腎皮質ステロイド(例えば、デキサメタゾンおよび/もしくはN-アセチルシステイン(NAC)の投与を教示している。
【0284】
さらに、本発明のウイルスベクターは、反復投与を可能にするため、例えば、デオキシスパガリン(DSG)またはシクロホスファミド(例えば、Smith et al.,Gene Ther.1996 Jun;3(6):496-502を参照のこと)のような、一過性の免疫抑制をもたらす剤と共に投与されてもよい。
【0285】
この出願から特許成立までの期間に、多くの関連する化学療法剤が開発されるであろうことが予想され、化学療法剤という用語の範囲は、そのような新たな技術を全て演繹的に含むものとする。
【0286】
本明細書において使用されるように、「約」という用語は、±10%をさす。
【0287】
「を含む(comprises)」、「を含む(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含む(including)」、「を有する」という用語、およびそれらの活用形は、「を含むが、これらに限定されない」を意味する。
【0288】
「からなる」という用語は、「を含み、これらに限定される」を意味する。
【0289】
「から本質的になる」という用語は、追加の成分、工程、および/または部分が、添付の特許請求の範囲に記載された組成物、方法、または構造の基本的な新規の特徴を実質的に改変しない限り、組成物、方法、または構造が、追加の成分、工程、および/または部分を含んでいてもよいことを意味する。
【0290】
本明細書において使用されるように、単数形「ある(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」には、状況が明白にそうでないことを指示しない限り、複数の言及が含まれる。例えば、「化合物」または「少なくとも一つの化合物」という用語には、それらの混合物を含む、複数の化合物が含まれ得る。
【0291】
本願の全体にわたって、本発明の様々な態様は、範囲の形式で提示されてもよい。範囲の形式での説明は、便利および簡潔のためのものに過ぎず、本発明の範囲に対する順応性のない限定として解釈されるべきでないことを理解するべきである。従って、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1〜6のような範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等のような部分範囲、およびその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは範囲の広さに関わらず当てはまる。
【0292】
本明細書において数的な範囲が示される場合は常に、それは、示された範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を含むものとする。第1の示された数と第2の示された数と「の間の範囲」、および第1の示された数「から」第2の示された数「までの範囲」という語句は、本明細書において交換可能に使用され、第1の示された数および第2の示された数、ならびにその間にある全ての分数および整数を含むものとする。
【0293】
本明細書において使用されるように、「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の分野の実務者に公知の様式、手段、技術、および手法、または公知の様式、手段、技術、および手法から容易に開発される様式、手段、技術、および手法を含むが、これらに限定されない、与えられた課題を達成するための様式、手段、技術、および手法をさす。
【0294】
本明細書において使用されるように、「治療」という用語には、状態の進行を抑止するか、実質的に阻害するか、遅延させるか、もしくは逆転させること、状態の臨床的もしくは審美的な症状を実質的に寛解させること、または状態の臨床的もしくは審美的な症状の出現を実質的に防止することが含まれる。
【0295】
明瞭化のため、別々の態様に関して記載された本発明のある種の特色が、単一の態様において組み合わせられて提供されてもよいことが認識される。反対に、簡潔のため、単一の態様に関して記載された本発明の様々な特色が、別々に、または任意の適切な部分的組み合わせで、または本発明の他の記載された態様において適切に、提供されてもよい。様々な態様に関して記載されたある種の特色は、それらの要素がないと態様が無効となる場合を除き、それらの態様の本質的な特色とは見なされない。
【0296】
上記に概説され添付の特許請求の範囲に記載される本発明の様々な態様および局面は、以下の実施例において実験的に支持される。
【実施例】
【0297】
ここからは以下の実施例を参照する。これらは、上記の説明と共に、本発明のいくつかの態様を非限定的な様式で解説するものである。
【0298】
全体として、本明細書で使用する用語体系および本発明において利用する検査室手順は、分子学、生化学、微生物学および組み換えDNA技術を含んでいる。そのような技術は、文献により十分に説明されている。例えば、"Molecular Cloning: A laboratory Manual" Sambrook et al., (1989); "Current Protocols in Molecular Biology" Volumes I-III Ausubel, R. M., ed. (1994); Ausubel et al., "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989); Perbal, "A Practical Guide to Molecular Cloning", John Wiley & Sons, New York (1988); Watson et al., "Recombinant DNA", Scientific American Books, New York; Birren et al. (eds) "Genome Analysis: A Laboratory Manual Series", Vols. 1-4, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に示される方法論; "Cell Biology: A Laboratory Handbook", Volumes I-III Cellis, J. E., ed. (1994); Freshneyによる"Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique", Wiley-Liss, N.Y. (1994), Third Edition; "Current Protocols in Immunology" Volumes I-III Coligan J. E., ed. (1994); Stites et al. (eds), "Basic and Clinical Immunology" (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994); Mishell and Shiigi (eds), "Selected Methods in Cellular Immunology", W. H. Freeman and Co., New York (1980);利用できる免疫アッセイは特許および科学文献に広く記載されている、例えば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号および同第5,281,521号を参照のこと; "Oligonucleotide Synthesis" Gait, M. J., ed. (1984); "Nucleic Acid Hybridization" Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1985); "Transcription and Translation" Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1984); "Animal Cell Culture" Freshney, R. I., ed. (1986); "Immobilized Cells and Enzymes" IRL Press, (1986); "A Practical Guide to Molecular Cloning" Perbal, B., (1984) and "Methods in Enzymology" Vol. 1-317, Academic Press; "PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications", Academic Press, San Diego, CA (1990); Marshak et al., "Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual" CSHL Press (1996)を参照のこと; これらはすべて、その全体が示されているものとして、参照により本明細書に組み入れられる。その他の一般的な参考文献も本明細書を通して提供される。それらに記載されている手順は当技術分野で周知であると理解しているが、読み手の利便性を考慮して提供する。それらに含まれる情報はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。
【0299】
実施例1
神経膠芽腫の動物モデルにおけるVB-111の効果
材料および方法
ウイルスベクターの構築およびクローニング:
このベクターは、アデノウイルス5型のゲノムの大部分を含み、かつ組み換えが可能なようにアダプタープラスミドに対して部分的相同性を有する骨格を用いて構築した。
【0300】
E1初期転写ユニットを骨格プラスミドから除去し、さらにpWE25およびAmp耐性選択マーカー部位を除去することによって改変した。
【0301】
Ad5、CMVプロモーター、MCSおよびSV40ポリAの配列を含むアダプタープラスミドを、CMVプロモーターの除去により改変し、PPE-1プロモーターおよびFas-cフラグメントを制限消化により挿入した。
【0302】
改変PPE-1プロモーター(PPE-1-3X、SEQ ID NO:12)およびFas-キメラ導入遺伝子(Fas-c、SEQ ID NO:4)をアデノウイルスベクターの構築に利用した。PPE-1-(3X)-Fas-cエレメント(2115bp)を、PPE-1-(3X)-lucエレメントから構築した。このエレメントは、1.4kbのマウスプレプロエンドセリンPPE-1-(3X)プロモーター、ルシフェラーゼ遺伝子、SV40ポリA部位およびマウスET-1遺伝子の第1イントロンを含み、Harats et al(Harats D. et al., JCI, 1995)により使用されたpEL8プラスミド(8848bp)から得たものである。PPE-3-LucカセットをBam HI制限酵素を用いてpEL8プラスミドから抜き出した。ルシフェラーゼ遺伝子をFas-c遺伝子[ヒトTNF-R1(腫瘍壊死因子受容体1、SEQ ID NO:2)の細胞外および膜内ドメインならびにFas(p55)細胞内ドメイン(SEQ ID NO:3)で構成される(Boldin et al., JBC, 1995)]で置換し、PPE-1-3x-Fas-cカセットを得た。
【0303】
PPE-1(3X)-Fas-cプラスミド - このカセットをさらに制限消化により骨格プラスミドに導入し、PPE-1(3X)-Fas-cプラスミドを得た。
【0304】
アダプター-PPE-1(3X)-Fas-cプラスミド - PPE-1-3X-Fas-cエレメントを第1世代コンストラクトのPPE-1-3x-Fas-cプラスミドから抜き出し、5'および3'末端にそれぞれSnaB1およびEcoR1制限部位を導入する指定のPCRプライマーを用いて増幅した。これらの部位を使用して、SnaB1およびEcoR1で消化したアダプタープラスミドにPPE-Fas-cフラグメントをクローニングし、宿主細胞(例えば、PER.C6細胞)のトランスフェクションに使用するアダプター-PPE-1-3X-Fas-cを得た。
【0305】
異種移植:生物蛍光/生物発光タンパク質(ルシフェラーゼ)を発現するU87ヒト神経膠腫腫瘍細胞106個を、胸腺欠損ヌードラット(NxGen Biosciences)の線条体に頭蓋内移植した。動物は、移植前にイソフルランにより麻酔を受けた。簡単に説明すると、ルシフェラーゼを発現する神経膠腫腫瘍細胞を、胸腺欠損ヌードラット(NxGen Biosciences)の線条体に頭蓋内移植した。移植前に動物にイソフルランにより麻酔をかけ、Just for Mice Stereotaxic(Stoelting)装置上に固定して置いた。頭皮を1cm切開し、前頂部を同定した。同定された位置(前頂部の1mm前方かつ4mm側方)において、マウントされたMicromotorドリル(Stoelting)を使用して、小さな穿頭孔を頭蓋内に作成した。適切な配置を確実にするため、定位装置にマウントされた10ul Hamilton注射器を含有しているQuintessential Stereotaxic Injector(Stoelting)を使用して、5ulの容量の1×106個の細胞を5分かけて尾状核に注射した。イソフルラン鎮静後、IVIS化学発光系を使用した画像法に動物を供した。これらの腫瘍の蛍光/生物発光は、典型的には、急速な成長およびマーカーの高発現のため、7〜10日以内に検出可能となる。別の画像モダリティ、即ち、MRIも、腫瘍視覚化を支援するために利用した。MRI画像法のため、動物に、化学的な麻酔を投与した。腫瘍の確立および成長が検出された後(それぞれの株についての成長の速度に依って可変)、ラットをVB-111により処置した。総投与量は、100ulの容量で1011vpであった。対照群にはビヒクルのみを投与した。蛍光/発光の非侵襲性の画像法を通して、腫瘍の成長または応答について、動物をモニタリングした。典型的な処置およびモニタリングのレジメンに関しては、図1を参照のこと。
【0306】
実験プロトコル:腫瘍成長阻害(TGI)および腫瘍成長遅延(TGD)という二つの型の腫瘍成長実験を実施した。動物が腫瘍発症の臨床徴候を示した時、即ち、不活発、気力低下、または瀕死の状態になった時(以前の研究において、典型的には、28〜29日という生存期間中央値が観察されたため、一般的には、移植後4週間以内)、TGI実験を終了した。終了時、全てのラットを計量し、屠殺し、腫瘍を切除した。TGD実験のため、動物を個々に屠殺し、腫瘍関連パラメーター(例えば、サイズ)を測定した。全ての群について平均屠殺日を決定し、各処置群について対照群と比較した腫瘍増殖遅延(TGD)を計算した。
【0307】
MRI:磁気共鳴画像法は、侵襲性の測定なしに腫瘍血管系内の初期の変化を証明し得ることが示されている。血液量および血流、血管透過性、白質トラック(tracks)、ならびに見かけの拡散係数のマップを生成することが可能である。これらのパラメーターは、腫瘍の成長を特徴決定し、病期決定し、処置の効果を評価するために有益な臨床的に関連する生理学的情報を提示する。MRIを、Bruker 7 Teslaスキャナで実施した。血流および血液量は、ガドペンテト酸ジメグルミン(GdDTPA)の急速投与後、動的造影画像技術を使用して測定した。白質トラックおよび見かけの拡散係数は、拡散テンソルイメージングを使用して測定した。血管透過性は、造影剤(Gd-DTPA)注射の前後に入手されたT1強調MRIを使用して測定した。動的造影MRIについては、シングルショットグラジエントエコープラナーイメージング(EPI)を使用した(0.27×0.27×0.5mmの分解能、5スライス(ギャップなし)、マトリックス=96×96、有効視野=25.6×25.6mm、繰り返し時間TR=0.5s、エコー時間TE=20ms)。拡散テンソルイメージングについては、シングルショットスピンエコーエコープラナーイメージングを使用した(分解能0.27×0.27×0.5mm、15スライス(ギャップなし)、マトリックス=96×96、有効視野=25.6×25.6mm、繰り返し時間TR=2s、エコー時間TE=40ms、b値=0s/mm2、b=1100s/mm2の6拡散方向)。T1強調MRIについては、従来の収集を使用した(分解能0.27×0.27×0.5mm、15スライス(ギャップなし)、マトリックス=96×96、有効視野=25.6×25.6mm、繰り返し時間TR=0.5s、エコー時間TE=20ms)。分析されたスライスの数は、腫瘍領域全体を十分に覆い、大脳全体をほぼ覆っていた。
【0308】
標準的なソフトウェアを使用して上記マップを計算した。透過性マップについては、(造影剤のウォッシュイン(wash-in)速度にほぼ相当する)Ktransのマップを入手するため、Matlabにおいて暗号を使用してマップを処理した。Ktransは、流量もしくは透過性、またはその両方によって影響を受ける可能性がある。脳のような高流量器官において、流量による制限は一般的に問題とならず、疾患によって破壊されない限り、血液脳関門が厳密に透過性を制限している。そのような状態ですら、Ktransは、完全には透過性に対応せず、むしろ(流量によって制限されない状況においては)毛細血管床の透過性*表面積の積に関係している。
【0309】
組織病理学:顕微鏡レベルで変化をさらに特徴決定するため、動物を心臓穿刺によって屠殺し、続いて、生理食塩水およびホルマリンにより心臓内を洗浄した。剖検を実施し、脳に標準的なH&E処理を施した。中拡大1視野当たりの血管の数を計数した。
【0310】
結果
図2に例示されるように、動物の死亡はおよそ32日目に始まった。生存期間中央値は、対照群については39.25(+/-3.8)日、処置群については45.8日であった。
【0311】
ルシフェラーゼ活性:ルシフェリンのip注射およびXenogen系での光学イメージングにより、ルシフェラーゼ活性を追跡した。対象領域は、操作なしに自動的に生成され、全光子が記録された。図3に例示されるように、活性の明白な分離が33日目に観察され、平均値(SD)は、対照群においては9.7(2.9)×106、それに対し、処置群においては5.3(6.2)×105であった。
【0312】
MRI:図4に例示されるように、VB111処置群における腫瘍の最大直径の平均値は、対照のものより小さかった。
【0313】
実施例2
神経膠芽腫患者におけるVB-111の効果
処置計画:VB-111を、1×1012または3×1012の投与量の単回静脈内注入として投与する。
【0314】
研究は二つのコホートからなる。
コホート1a:3〜6人の対象、安全性(1×1012VP);
コホート1b:3〜6人の対象、安全性(3×1012VP);
コホート2:23〜26人の対象、効果&安全性(3×1012VP)。
【0315】
コホート1a&コホート1b:研究対象は順次登録される。各コホートの最初の対象を、14日間、処置し、観察する;投与量制限毒性(DLT)が観察されない場合には、さらに2人の対象をそのコホートに動員する。次のコホートの開始のためには、コホート1の6人全ての対象が最低14日間観察され、DLTを示さないことが必要とされる。特定の投薬コホートの1人の患者においてDLTが観察された場合、さらに3人の対象を同投薬コホートに追加し、安全性を再評価する。DLTが確認された場合、即ち、6人の対象のうち2人がDLTを経験した場合には、研究を中止する。コホート2を始める前に、コホート1aおよび1bの全ての対象を最低28日間観察しなければならない。
【0316】
研究はSimonの二段階法に従って実施される。3×1012VP投与量レベルで、計29人の対象が登録されると予測される(コホート2から3〜6人、コホート3から23〜26人)。第一段階は、この投与量レベルで、最初の10人の患者を含む。対象が、6ヶ月無増悪生存またはRano基準による少なくとも部分的な腫瘍応答のいずれかを有する場合、その対象は応答を有すると見なす。コホート2および3からの10人の患者が、研究を完了した後、中間分析を実施する。第一段階の対象において2例以上の応答が存在すれば、さらに19人の対象を登録して、第二段階を始める。
【0317】
研究を停止するための以下の研究中止規則を適用する:
(A)コホート1a&1bの6人の対象のうち3人(または9人中5人、または12人中6人)が薬物関連DLTを経験した場合。
(B)コホート1aの対象のうち2人がDLTを経験した場合。
(C)生成物を与えた後2週間以内に死亡が起こった場合。死亡が、疾患進行によるか、または明らかに研究薬物とは無関係である場合を除く。症例を審査し、登録を回復し得るか否かについて勧告するための特別緊急IDMC会議のため、登録を一時的に保留する。
【0318】
コホート1aおよび1bについて安全性エンドポイントが達成された時(28日目)、有資格対象を研究に登録し、コホート2を始める。付加的な安全性および効果のエンドポイントのため、26人のGBM対象がコホート2に登録されると予想される(または6人がコホート2において登録された場合、23人の患者)。
【0319】
スクリーニング診察後3週間以内に、VB111(1×1012、3×1012、または1×1013VP)を単回投与する。診察前に疾患進行が起こらなかった場合には、対象は、4日目、7日目、14日目、および28日目、そして毎月、56日目、84日目、112日目、140日目、および168日目に、追跡診察のため再受診する。
【0320】
7日目、14日目、28日目、56日目、112日目、および168日目に、RANO基準に基づく査定と共に、造影および非造影脳磁気共鳴画像法(MRI)を使用して、応答について、対象を査定する。
【0321】
研究後の追跡期間は、生存について追跡するため、168日目以降2ヶ月毎の電話連絡、早期終了、または疾患進行(いずれか早い方)を含む。追跡は、患者が死亡するまで、継続する。研究継続時間は、7ヶ月(投与後6ヶ月)であり、その後は、2ヶ月毎に、生存データのため、電話により対象を追跡する。投与後1年目までは2ヶ月毎、次いで、2年目まで(または進行まで)は3ヶ月毎に、サーベイランスMRIを実施する。
【0322】
集団:再発GBMを有する35人までの有資格対象(コホート1&コホート2)。
【0323】
主要な組み入れ基準:
1. インフォームドコンセント文書を理解する能力および署名する意思。
2. 18歳以上の対象。
3. 対象は、原発性悪性神経膠腫(多形神経膠芽腫、膠肉腫、または未分化星細胞腫、または未分化乏突起細胞腫)の組織学的に確認された診断を有していなければならない。診断病理学により悪性神経膠腫(多形神経膠芽腫、膠肉腫、または未分化星細胞腫、または未分化乏突起細胞腫)が確認された再発性疾患を有する対象は、再生検を必要としない。
4. 医学的に禁忌でない限り(その場合には、CTスキャンを使用する)、造影MRIで測定可能な再発性CNS新生物または残存する原発性CNS新生物の証拠。
5. RANO基準により測定可能な疾患。
6. Avastinおよび抗血管形成薬(スニチニブまたはソラフェニブのようなTKI)による処置を受けたことがない対象。
7. 放射線療法およびテモゾロミドによる標準治療処置の後の疾患進行または再発。
8. 過去の外科的切除と研究登録との間に少なくとも4週間の間隔。
9. 研究開始の90日以上前に放射線療法が完了している。
10. 過去の放射線療法とこのプロトコルへの登録との間に少なくとも12週間、または過去の化学療法とこのプロトコルへの登録との間に少なくとも4週間の間隔。
11. 初期介入の毒性効果からグレード1以下へ回復している。
12. カルノフスキーパフォーマンスステータス≧60%。
13. 以下の基準による十分な腎臓、肝臓、および骨髄の機能:
・絶対好中球数≧1500/mcL
・血小板≧125000/mcL
・正常値上限(ULN)内の総ビリルビン
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5×施設内ULN
・正常範囲内のクレアチニン、または正常範囲を超えるクレアチニンレベルを有する患者についてはクレアチニンクリアランス≧50mL/分
・正常値下限の80%を越えるPT、PTT
13. 対象は0日目に副腎皮質ステロイドにより処置されなければならない。対象は参加前の1週間、安定した投与量を維持しており、研究を通じてステロイド投与量の増加を必要としないと予測される。
14. ベースラインMRIまたはCTスキャンで出血の証拠がない。
15. 出産の可能性を有する男性および女性は、試験の課程を通じて、標準的な避妊法を利用しなければならない。
【0324】
コホート1aおよび1bの付加的な資格基準:腫瘍の主要なマスエフェクト(mass effect)がない対象。
【0325】
主要な除外基準:
1. 妊娠中または授乳中の対象。
2. 研究の結果に干渉する可能性がある同時薬物治療;例えば、副腎皮質ステロイド以外の免疫抑制剤。
3. 活動性の感染。
4. 3回を越える過去の再発。
5. ベースラインMRIまたはCTスキャンでのCNS出血CTCAEの証拠。
6. 治療的抗凝固を必要とする。
7. VEGF捕捉剤(例えば、ベバシズマブ、アフリベルセプト)またはVEGF阻害剤(例えば、セジラニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ)を含む過去の抗血管形成治療。
8. 過去の定位放射線療法。
9. 既知の活動性の二次性悪性疾患。
10. 研究期間中に手術を受けることが予想される。
11. 直近12ヶ月以内に急性心イベントに罹患した対象。
12. 心筋性または末梢性の活動性血管疾患を有する対象。
13. 増殖網膜症および/または血管網膜症を有する対象
14. 既知の肝疾患(アルコール性、薬物/毒素誘発型、遺伝性、または自己免疫性)を有する対象。
15. 既知の(GBM以外の)CNS転移性疾患を有する対象。
16. 既知の活動性の二次性悪性疾患を有する対象。
17. 以下のウイルス:HIV、HBV、およびHCVのうちの一つが陽性と判定された対象。
18. 登録前の直近4週間以内に大手術を受けた対象。
19. 対象は登録前4週間以内に他の治験薬を投与されていてはならない。
20. 進行中もしくは活動性の感染、症候性うっ血性心不全、不安定狭心症、不整脈、または研究要件に関するコンプライアンスを制限するであろう精神病/社会的状況を含むが、これらに限定されない、管理されていない介入性の疾病。
【0326】
試験薬物および製剤:VB-111(SEQ ID NO:9または10)を無菌ベクター溶液として製剤化する。溶液を、単回使用のプラスチックスクリューキャップバイアルで、凍結状態(-65℃未満)で供給する。各バイアルは、1×1012VP/mlのウイルス力価のベクター溶液1.1mLを含有する。ベクター溶液を、最大3時間の希釈および取り扱いの間、氷上で解凍し維持する。
【0327】
投薬量および投与:注入前に、注射用溶液を室温に戻す。生理食塩水中の薬物の室温での最大時間は1時間である。バイアルは生物学的安全キャビネットで開封し、薬物1mlにつき4mLの注入用通常生理食塩水に注入する。即ち;1×1012ウイルス粒子(VP)の投与量の場合、薬物1ml+生理食塩水4ml、3×1012VPの投与量の場合、薬物3ml+生理食塩水12ml。希釈されたVB-111およそ5mL/15mlの単回注入を、1mL/分で投与する。
【0328】
安全性評価:進行中、および試験薬物の投与後2ヶ月まで、有害イベントを記録する。有害イベントを、(CTCAE4.0に従って)重篤度、試験薬物との関連性、および重度について査定する。生命徴候を、スクリーニング時、投与前、投与後30分目、60分目、4時間目、および6時間目、ならびに全ての患者診察時に記録する。身体検査は、スクリーニング時、14日目、28日目、56日目、84日目、112日目、140日目、168日目、および研究終了時に実施する。12誘導ECGは、スクリーニング時、投与前、ならびに28日目および168日目(またはET)に入手する。安全性の実験的査定(血液学および化学、尿分析)は、スクリーニング時、投与前、4±1日目から168±7日目までの全ての患者の診察時に実施する。
【0329】
分布:(全血中および尿中の)ウイルスDNAならびに(全血中の)その転移遺伝子のレベルの評価のため、血液および尿の試料を、投与前、注入終了時、4日目、7日目、14日目、28日目、および56日目に収集する。
【0330】
腫瘍応答:腫瘍応答は、疾患の進行まで、RANO基準に基づく査定と共に、造影および非造影脳磁気共鳴画像法(MRI)を使用して、スクリーニング時、投与前、14日目、28日目、56日目、112日目、140日目、および168日目、次いで、投与後1年間は2ヶ月毎、2年間は3ヶ月毎に査定する(ローカルおよびセントラルの独立放射線学審査)。進行もせず死亡もしなかった患者については、別の抗癌治療の開始の時点、最後の放射線学的査定の日、または最後の連絡の時点で、PFSを打ち切る。
【0331】
本発明は、その特定の態様と関連づけて説明されてきたが、多くの変更、修正および派生が当業者に明らかとなるであろうことは明白である。したがって、そのような変更、修正および派生はすべて、添付の特許請求の範囲の精神および広義の範囲に包含されるものとして網羅されることが意図される。
【0332】
本明細書中で言及されたすべての刊行物、特許および特許出願は、各々個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み入れられることが示されているのと同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。加えて、本願における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明に関する先行技術として利用できることの承認であるとみなされるべきではない。各セクションで見出しが使用されている場合、それらは必須の限定であるとみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪性神経膠腫の治療のための医薬の調製用のウイルスベクターの使用であって、核酸構築物が、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含む、使用。
【請求項2】
悪性神経膠腫の治療のためのウイルスベクターの使用であって、核酸構築物が、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含む、使用。
【請求項3】
その必要がある対象において悪性神経膠腫を治療する方法であって、
(i)SEQ ID NO:2および3を含む、Fasキメラ(Fas-c)をコードする第一のポリヌクレオチド配列;ならびに
(ii)内皮細胞特異的プロモーターまたは内皮周囲細胞特異的プロモーターをコードする第二のポリヌクレオチド配列
を含むウイルスベクターの治療的有効量を該対象へ投与し、それにより、該悪性神経膠腫を治療する工程を含む、方法。
【請求項4】
前記プロモーターがSEQ ID NO:12に示される、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項5】
前記プロモーターがSEQ ID NO:13に示される、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項6】
前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項7】
前記アデノウイルスベクターが非複製型アデノウイルスベクターである、請求項6記載の使用または方法。
【請求項8】
前記プロモーターがSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも1コピーを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項9】
前記プロモーターがSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも2コピーを含む、請求項8記載の使用または方法。
【請求項10】
前記プロモーターがSEQ ID NO:8に示される配列を含む、請求項8記載の使用または方法。
【請求項11】
前記プロモーターがSEQ ID NO:7に示される配列を含む、請求項8記載の使用または方法。
【請求項12】
前記プロモーターがSEQ ID NO:5に示される低酸素応答エレメント(HRE)を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項13】
前記ウイルスベクターがSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10に示される配列からなる、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項14】
前記悪性神経膠腫が、神経膠芽腫、星細胞腫、乏突起細胞腫、および上衣細胞腫、ならびに若年性毛様細胞性星細胞腫からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用または方法。
【請求項15】
核酸構築物の治療的有効量が約103〜約106ウイルス粒子である、請求項3記載の方法。
【請求項16】
前記核酸構築物の治療的有効量が約105〜約1013ウイルス粒子である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記核酸構築物の治療的有効量が約107〜約1012ウイルス粒子である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記核酸構築物の治療的有効量が約1×1012〜約5×1012ウイルス粒子である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記核酸構築物の治療的有効量が約1×1013〜約5×1013ウイルス粒子である、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記投与が静脈内投与を含む、請求項3記載の方法。
【請求項21】
前記投与が局所投与を含む、請求項3記載の方法。
【請求項22】
前記投与が前記ウイルスベクターの少なくとも2回の投与である、請求項3記載の方法。
【請求項23】
前記投与が前記ウイルスベクターの少なくとも3回の投与である、請求項3記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−516456(P2013−516456A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547587(P2012−547587)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/IL2011/000009
【国際公開番号】WO2011/083466
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512176406)バスキュラー バイオジェニックス リミテッド (5)
【Fターム(参考)】