説明

禁煙のための組成物および方法

本発明は、個々の喫煙者における禁煙または禁煙促進のための方法および組成物を開示する。記載された組成物は、ホスファチジン酸を有効成分として含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、禁煙のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
喫煙嗜癖ならびに乱用薬剤に対する嗜癖は、認知強化、生理的条件付け、ストレス適応および離脱症状の緩和に関することが公知である。これらのすべての要因の組み合わせは、巻きタバコおよび他のタバコ煙吸入装置によって引き起こされる健康上の大きな障害について把握している、十分に動機づけがなされた個人にとってすら、禁煙を極めて困難なものとする。
【0003】
17件の既発表の禁煙試験に関する最近のメタ分析は、さまざまな治療法によって治療された喫煙者5098人のうち、治療終了時に禁煙していたのは27%に過ぎず、これに対してプラセボ群では13%であったことを明らかにしている。集中的な入院治療ですら、1年間の追跡調査後に禁煙が生化学的に実証されたのは29%に過ぎなかった。
【0004】
喫煙からの成功裡の離脱を達成する上での主な障害の一つは、あらゆる化学物質依存症で乱用物質の離脱後に経験されるものに類似した、重い離脱症状が急速に生じることである。これらの症状には生理学的なものと心理学的なものの両方がある。主な症状には、めまい、胸苦しさ、便秘、咳、口内びらん、不安、被刺激性、睡眠障害、錯乱、摂食障害、およびタバコをいつまでも渇望することが含まれる。女性の喫煙者は、急速な体重増加をしばしば引き起こす、食欲の抑えられない亢進を特に恐れる。心拍数および血圧の変化が喫煙者では報告されているほか、ヘモグロビンレベルの上昇および白血球増加症をもたらす慢性的な骨髄刺激も報告されている(Bain BJ et al;Acute changes in haematological parameters on cessation of smoking. J R Soc Med, 1992, 85: 80-82(非特許文献1))。これらの変化は禁煙後に徐々に正常化する。
【0005】
喫煙者が禁煙の初期段階に起こる離脱症候群を克服するのを支援するために、さまざまな手法が適用されている。それらは、幅広く用いられているニコチン製剤、クロニジンなどの代用化学物質から、心理学的条件付け、さらに最近では抗うつ薬薬物療法までの範囲にわたる。禁煙は、血中コチニンレベルなどの生化学パラメーター、および呼気中の一酸化炭素の測定、自己報告による1日当たりの巻きタバコの本数(CPD)、ならびにファガストローム依存度質問票(Fagerstrom Tolerance Questionnaire)(FTQ)または改良型ファガストロームニコチン依存度(Fagerstrom Tolerance Nicotine Dependence)(FTND)質問票などの質問票の実施によってモニターすることができる。
【0006】
薬理学的介入には用量依存的な副作用が伴う。それらは主として吸収を制御することができないニコチン経皮パッチに伴って観察され、これには例えば心悸亢進、振戦および情動不安が含まれる。逆説的ではあるが、これらの症状は離脱症候群それ自体のものと類似しており、最も禁煙を必要とする人々である、心血管系に障害のある患者には特に有害である。
【0007】
すでに述べた通り、禁煙治療の総合的な結果は依然としてかなり好ましくない。毒性のない薬剤を利用しうること、簡便な投与経路、および離脱症状を抑制しうることにより、禁煙の成果は大きく改善されると思われる。
【0008】
マウスで調べられているような、乱用物質離脱症候群の病態生理を説明することを試みた1つの仮説は、中枢神経系(CNS)細胞膜の流動性の喪失により、嗜癖性化学物質の膜への取り込みが失われることでそれが引き起こされると主張している。流動性の喪失は、膜のコレステロール含有量の減少と関係している(Heron S, Shinitzky M, Samuel D;Alleviation of drug withdrawal symptoms by treatment with a potent mixture of natural lipids. Eur. J. Pharmacol., 1982, 83: 253-6(非特許文献2))。嗜癖性物質に対する渇望は、それが細胞に供給され、コレステロールの漏出を無効化すれば緩和される。閉経後症候群および加齢過程ではホルモン欠乏のために同様の変化が起こることが示唆されている。実際に、これらの病状における症状のいくつか、例えば錯乱、睡眠障害、被刺激性および記憶喪失などは、離脱症候群のものに類似している(Shinitzky et al, 未発表)。
【0009】
ShenfeldおよびShinitzkyに対する米国特許第6,051,564号(特許文献1)は、ホスファチジン酸を含むリン脂質組成物、および喫煙からのリハビリテーションに伴うものを含む離脱症状の治療のための方法におけるそれらの使用法を開示している。これらの組成物は、個人が離脱症状のいくつかを克服し、最終的には3週間の試験の終了時点で1日当たりに吸うタバコの本数を減らすのを支援することが示されている。
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,051,564号
【非特許文献1】Bain BJ et al;Acute changes in haematological parameters on cessation of smoking. J R Soc Med, 1992, 85: 80-82
【非特許文献2】Heron S, Shinitzky M, Samuel D;Alleviation of drug withdrawal symptoms by treatment with a potent mixture of natural lipids. Eur. J. Pharmacol., 1982, 83: 253-6
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
ホスファチジン酸(PA)を少なくとも約7%含むリン脂質組成物が禁煙を促進するのに有用な可能性があることが今回見いだされた。特に、本組成物はPAを75%を上回っては含まない。
【0012】
本発明の文脈において、「禁煙」という用語は、FDAにより定義された禁煙のことを指し、それは巻きタバコまたは他の形態のタバコの喫煙を、臨床試験の終了前に少なくとも連続28日間にわたって完全に絶つことを指す。コンプライアンスは典型的には呼気COレベルを測定することによって確かめる。本発明の範囲において、この用語はまた、指定された期間中、喫煙をほぼ完全に絶っていたことも含む。
【0013】
「禁煙治療」という用語は、喫煙を絶つことを結果的に起こさせる、本発明の範囲内にある治療のことを指す。このような治療には、任意の1つもしくは複数の離脱症状、または以下に説明するような任意の1つもしくは複数のその他の生理的もしくは心理学的症状が伴っても伴わなくてもよい。
【0014】
したがって、本発明の1つの局面においては、禁煙を促進するために個々の喫煙者によって用いられる組成物であって、少なくとも約7%のホスファチジン酸(PA)を含む組成物が提供される。典型的には、組成物は少なくとも約7%〜少なくとも約75%の範囲で含む。
【0015】
本発明の1つの態様において、PA組成物は少なくとも約10%〜少なくとも約50%のPAを含む。好ましくは、組成物は少なくとも約15%〜少なくとも約30%のPAを含む。より好ましくは、組成物は少なくとも約15%〜少なくとも約25%のPAを含む。最も好ましくは、組成物は少なくとも約16%、17%、18%、19%、20%、21%または22%のPAを含む。
【0016】
PA組成物は、より大きな効果および/またはより長い禁煙期間を達成するために、Zybanなどの公知の禁煙薬と同時に、すなわち1つの医用薬剤として、または同時にもしくは一方をもう一方の後で短時間以内に用いる2つの個別の医用薬剤として服用してもよく、またはそれらを前記の公知の禁煙薬の前または後に逐次的に服用してもよい。このような禁煙薬には副作用の恐れがあるため、本発明の組成物と同時または逐次的に投与する場合にはそれらの投与量を最小限に減らしてもよい。
【0017】
本発明はまた、ビタミンおよびβ-カロテンなどの抗酸化剤、ならびにホスファチジルセリン(PS)などの動物性または植物性の源からのリン脂質といった、少なくとも1つの化学物質を含む、本明細書で以上に開示したようなPA組成物も提供する。少なくとも1つの化学物質は、組成物中に存在するPAとの破壊的相互作用を最小限に抑えるために、その塩形態として、または任意の他の形態として存在してもよい。また、少なくとも1つの化学物質を、PA組成物と別々に逐次的な様式で、またはそれと同時に投与してもよい。
【0018】
「抗酸化剤」という用語は、他の化学物質の酸化を防止し、フリーラジカルが必須分子に障害を及ぼすのを防止する化学物質のことを指す。このような抗酸化性化学物質は、以下のようなビタミンでもあってもよい:レチノール(ビタミンAまたはβ-カロテン);アスコルビン酸(ビタミンC);およびビタミンE。別の抗酸化剤にはセレンがある。本発明の化合物と併用するのに適切な抗酸化剤の使用は、対象の臨床状態および臨床医に公知のその他のパラメーターに鑑みて選択することができる。
【0019】
PAおよび少なくとも1つの化学物質、例えばビタミンまたはPSは、組成物中にさまざまな比で存在してよい。1つの態様において、本発明の組成物は、PAおよびPSを1:1の比で含む。もう1つの態様において、組成物はPAおよびPSをそれぞれ1:0.5の比で含む。さらにもう1つの態様において、組成物はPAおよびPSを、それぞれ1:1.5または1:2というPA:PS比で含んでもよい。他のPA:PS比も可能であって本発明の範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0020】
本発明の組成物は、典型的には前記PA混合物を0.5〜4グラム含む。好ましくは、本組成物はPA混合物を0.5〜2グラムの範囲;最も好ましくは0.5〜1グラムの範囲で含む。
【0021】
本発明の組成物は、それ以前の禁煙の試みに副作用が全く伴わなかった症例であっても有効である。本組成物はまた、現在の禁煙のための試みにこのような副作用が全く存在しない個体に用いることもできる。したがって、本発明の組成物は、悪心、発汗、震え、物質渇望(substance craving)、顔面紅潮、不眠、口内乾燥、めまい、不安、便秘といった任意の実質的な副作用が随伴または付随してもしなくても、禁煙を促進するために利用することができる。
【0022】
1つの好ましい態様において、禁煙には1つまたは複数の生理的または心理学的な副作用が伴わない。
【0023】
組成物は、0.5〜4.0g/日の範囲にわたる投与量で経口投与することができる。好ましい投与量は、PAを含む組成物として0.5g/日から2.0g/日までの間である。最も好ましい投与量は0.5g/日〜1.0g/日である。しかし、適した投与量の範囲は、特に、喫煙性障害の重症度、治療の頻度および投与の経路に応じて決定されうる。好ましくは、組成物は単位剤形にある。例えば、製剤は、禁煙治療に用いるための印刷された説明書が付いたパックの形態であってもよい。
【0024】
組成物がさらに希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料を従来の様式で含んでもよく、そのような補足的な成分は当業者には公知である。1つの好ましい態様において、希釈剤は鉱油である。
【0025】
本発明のもう1つの局面によれば、個々の喫煙者に対して本発明のホスファチジン酸組成物の有効量を投与することを含む、禁煙治療のための方法が提供される。
【0026】
もう1つの局面によれば、巻きタバコまたは他の形態のタバコの喫煙を少なくとも連続28日間にわたって絶つための方法であって、個々の喫煙者に対して、本明細書で以上に開示したようなホスファチジン酸組成物の有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0027】
本発明のさらにもう1つの局面によれば、個々の喫煙者に対して本発明のホスファチジン酸組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙を促進するための方法が提供される。「禁煙を促進する」という用語は、本発明の組成物によって治療された個人によって喫煙される巻きタバコの本数の減少のことを指す。
【0028】
さらにもう1つの局面において、本発明は、PAを含む投与可能な形態の組成物および使用のための説明書を含む、禁煙のためのキットを提供する。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明の組成物のホスファチジン酸(PA)内容物は、ピーナッツ由来のホスホリパーゼ-Dを用いたレシチンリン脂質の部分的加水分解の産物である。これはヘキサン可溶性物質の複合的な混合物であり、ホスファチジン酸、他のリン脂質、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロールおよびリゾリン脂質(lysophospholipid)、ならびにトリグリセリドからなる。本明細書で「一次PA混合物」と称する濃縮混合物において、総PAは40%〜50%の間である。%単位で示された濃度は、全組成物100重量単位当たりの成分の重量単位の数(w/w)を表すものとする。
【0030】
一次PA混合物は、酵素ホスホリパーゼ-Dを含む合成性または天然の源を用いた酵素処理によって天然リン脂質調製物から入手することが好ましい。このような調製物の一つは、本発明と同じ発明者らに対する米国特許第6,051,564号に開示されている。
【0031】
PA混合物の調製のために有用な天然リン脂質調製物の典型的な例には、ダイズレシチンおよび卵黄があるが、それらには限定されない。典型的には、ホスホリパーゼ-Dの源には、ピーナッツ、キャベツ、細菌またはそれらに由来する画分があるが、それらには限定されない。
【0032】
本発明の組成物は、典型的には、一次PA混合物を、高粘度または時にはペースト状である一次PA混合物を溶解させることのできる少なくとも1つの適した可溶化剤と混合することによって調製される。組成物はビタミン、抗酸化剤、保存料、安定化剤などの他の成分を含んでもよいが、それらには限定されない。本出願の組成物におけるPAの総濃度は、典型的には少なくとも約7%から少なくとも約75%までの範囲である。本発明の組成物中のPAの濃度に言及して、例えば「少なくとも約7%」という表現において用いる場合、「少なくとも約」という用語は、PAが7%+/-2%であること、すなわちそれを5%含む組成物も本発明の範囲に含まれることを意味する。
【0033】
本発明の組成物は、適切と思われる、任意の投与可能な製剤の形態で投与することができる。このような「投与可能な形態」は、以下にさらに詳述するように、経口的、局部的、腹腔内、関節内、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、髄腔内、静脈内または皮下に投与しうる製剤であってよいが、それらには限定されない。当業者に公知である他の方法も適用可能である。ほとんどの場合には、組成物は経口用途用に、例えば油中にある状態で調製される。
【0034】
用いる製剤によっては、適した薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を用いることもできる。本明細書に記載の薬学的に許容される担体、例えば媒体、添加剤、賦形剤または希釈剤は、当業者に周知であり、容易に一般的に入手可能である。薬学的に許容される担体は、PAに対して化学的に不活性であるもの、および使用条件下で有害な副作用または毒性を有しないものであることが好ましい。
【0035】
担体の選択は、一部には、PA混合物の具体的な構成ならびに組成物を投与するために用いられる具体的な方法によって決まると考えられる。したがって、本発明の薬学的組成物には非常に多岐にわたる適した製剤が存在する。
【0036】
経口投与のために適した製剤は、(a)溶液剤、例えば、有効量の化合物が水、生理食塩水、油またはオレンジジュースなどの可溶化剤または希釈剤中に溶解されたものなど;(b)それぞれ既定量の活性組成物を固体または顆粒として含む、カプセル剤、薬袋、錠剤、ロゼンジ剤およびトローチ剤;(c)粉剤;(d)適切な液体による懸濁剤;ならびに(e)適した乳剤、からなりうる。
【0037】
経口投与のために用いられる可溶化剤は、典型的には、鉱油または植物油からなる群より選択される。好ましくは、可溶化剤は、キャノーラ油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ホホバ油、ゴマ油、落花生油、唐辛子油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油などより選択される植物油である。好ましい油は、キャノーラ油および落花生油である。最も好ましい油はキャノーラ油である。
【0038】
液体製剤は、本明細書の以上に述べた油、水、ならびにエタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールなどのアルコールといった希釈剤を含んでもよく、さらに薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を添加しても添加しなくてもよい。
【0039】
カプセル剤の剤形は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、ならびにラクトース、スクロース、リン酸カルシウムおよびコーンスターチなどの不活性充填剤を含む、通常の硬いまたは柔らかい皮殻のゼラチンのタイプでありうる。
【0040】
錠剤の剤形は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微結晶性セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアーゴム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウムタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ならびにその他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存料、香味剤および薬理学的に適合性のある担体のうち1つまたは複数を含んでもよい。
【0041】
ロゼンジ剤の剤形は、PA混合物が香味剤中、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中にあるもの、ならびにPA混合物を、有効成分に加えてゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴム、乳剤、ゲルなどの不活性基剤中に含むトローチ剤を含むことができ、そのような担体は当技術分野で公知である。
【0042】
非経口的投与のために適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、制菌剤および製剤を意図したレシピエントの血液と等張性にする溶質を含みうる水性および非水性の等張滅菌注射液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および保存料を含む水性および非水性の滅菌注射液が含まれる。組成物は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液および関連した糖の溶液、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールなどのグリセロールケタール、ポリ(エチレングリコール)400などのエーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステル、またはグリセリドもしくはアセチル化脂肪酸グリセリドを含む、無菌の液体または液体の混合物などの薬学的担体中にある、生理的に許容される希釈剤中において投与することができ、これに石鹸もしくは洗浄剤などの薬学的に許容される界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、または乳化剤およびその他の薬学的補助剤が添加されても添加されなくてもよい。
【0043】
非経口的製剤中に用いうる油には、石油、動物性、植物性または合成性の油が含まれる。油の具体的な例には、ピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリンおよび鉱油が含まれる。非経口的製剤中に用いるのに適した脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸が含まれる。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適した脂肪酸エステルの例である。非経口的製剤中に用いるのに適した石鹸には、脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミン塩が含まれ、適した洗浄剤には、(a)陽イオン洗浄剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物およびアルキルピリジニウムハロゲン化物など、(b)陰イオン洗浄剤、例えば、アルキル、アリールおよびオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセリド硫酸塩ならびにスルホスクシネートなど、(c)非イオン性洗浄剤、例えば脂肪アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリオキシエチレンポリプロピレンなど、(d)両性洗浄剤、例えば、アルキル-β-アミノアミノプリオピオネート(alkyl-β-aminopriopionate)および2-アルキル-イミダゾリン四級アンモニウム塩、ならびに(3)それらの混合物が含まれる。
【0044】
適した保存料および緩衝液をこのような製剤中に用いることができる。注射部位での刺激作用を最小限に抑えるか無くすために、このような組成物が、親水性疎水性バランス(HLB)が約12〜約17である1つまたは複数の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。このような製剤中の界面活性剤の量は、重量比で約5%から約15%までの範囲にわたる。適した界面活性剤には、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルが含まれ、例えばソルビタンモノオレエート、および、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物であって、これはプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される。非経口的製剤は、単回投与分または多回投与分が封入されたアンプルおよびバイアルなどの容器として提供することができ、使用直前に注射のために例えば水などの無菌液体担体を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存することができる。即時調合による注射液および懸濁剤は、前記の種類の無菌の粉剤、顆粒剤または錠剤から調製することができる。
【0045】
本発明の組成物を、注射用製剤として製造することもできる。注射用組成物のための有効な薬学的担体の必要条件は当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J.B. Lippincott Co., Philadelphia, Pa., Banker and Chalmers, eds, pages 238-250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630(1986)を参照されたい。
【0046】
さらに、本発明の組成物を、乳化用基剤または水溶性基剤などの種々の基剤と混合することにより、坐薬として製造することもできる。
【0047】
本発明の組成物を、一般用(OTC)治療薬または処方薬などの、市場で公知の別の禁煙用医用薬剤と併用して投与することもできる。OTC治療薬の例には、パラセタモール、ロラタジンなどがある。処方治療薬の例には、セファロスポリン系抗生物質、アテノロール、シンバスタチンがある。
【0048】
また、対象の治療を強化するために、組成物を生理的治療と組み合わせて投与することもできる。
【0049】
1つのさらなる局面において、本発明は、PAを含む投与可能な形態の組成物および使用のための説明書を含む、禁煙のためのキットを提供する。
【0050】
実施例1:PA組成物
ゼラチン(Type LB, Gel Formula 3A)製で、サイズ22、長楕円形、褐色(151A)のカプセルを用いた。それぞれのカプセルには以下を含めた:PA混合物、油およびビタミンEを、総重量1000mg。そのような組成物における総PAは15〜25%w/wの範囲とした。
【0051】
製剤1には、7%のPA:400mgキャノーラ油、約50〜80mgのホスファチジン酸、ビタミンEおよび約440mgの他のリン脂質を含めた。
【0052】
製剤2には、16%のPA:400mgキャノーラ油、約160mgのホスファチジン酸、3.5mgのビタミンEおよび約436mgの他のリン脂質を含めた。
【0053】
製剤3には、18%のPA:400〜500mgのキャノーラ油または落花生油、約180mgのホスファチジン酸、3.5mgのビタミンEおよび約300〜407mgの他のリン脂質を含めた。
【0054】
製剤4には、22%のPA:400〜500mgのキャノーラ油、約200〜220mgのホスファチジン酸、3.5mgのビタミンEおよび約300〜400mgの他のリン脂質を含めた。
【0055】
製剤5には、PAおよびPSを同じ重量で含めた(比1:1):このような製剤は、PAおよびPSを、例えば担体としてのキャノーラ油と混合することによって調製される。ビタミンEなどの他の成分を添加してもよい。
【0056】
これらの製剤は一般に、6〜8%のホスファチジルコリン、9〜11%のホスファチジルエタノールアミン、8〜10%のホスファチジルイノシトール、約20%の他のリン脂質および約40%のトリグリセリドを含む。組成物の配合分析により、さらに以下のデータが得られた:
1.遊離酸価――7を上回らない。
2.過酸化物価――10を上回らない(5グラムの試料を基にした)。
3.重金属――20ppmを上回らない。
4.残留溶媒――290ppmヘキサンを上回らない。
5.微生物混入――大腸菌およびサルモネラ菌に関して陰性。
【0057】
実施例2:インビボ試験
試験1:少なくとも1年間にわたる喫煙を認めていて、しかも禁煙することができなかった健常な男性または(妊娠していない)女性であって、1日当たりの巻きタバコ本数(CPD)が10本を上回る喫煙者41例が、トリグリセリド中に15〜25%というさまざまな量のホスファチジン酸(PA)を含む単回投与用で1日2回投与される組成物を禁煙の2日前に開始して3週間にわたり液体製剤として経口投与する二重盲検プラセボ対照試験(プラセボはトリグリセリドのみを含む)を完了した。
【0058】
1つの試験群では、男性19例および女性22例であり、20例が実薬投与群、21例がプラセボ群であった。ニコチン依存および離脱症状を、ファガストロームタバコ依存度質問票(FTQ)から転用した質問票によって評価した。1〜5の範囲にわたる最終スコアを統計学的評価に利用した。プラセボ投与群と比較して、PA投与群では、1週間後に食物に対する渇望の低下(p<0.05)、3週間後には巻きタバコに対する渇望の有意な低下(p<0.05)が観察された。個体18例中10例(66%、または包括解析(intent to treat)では20例中10例‐50%)がPA組成物の3週間の投与後に完全に禁煙しており(CPD=0)、これに対してプラセボ群では19例中3例であった(15.5%、または包括解析では21例中3例‐14.2%)。
【0059】
試験2:以上の試験の結果に基づき、第IIB相試験がFDAの規制要件に従ってイスラエルで完了している。この試験は公認CR0(Quintiles Ltd)によってモニターされた。プロトコールは、確定的なZyban臨床試験(Jorenby DE et al, A controlled trial of sustained-release bupropion,a nicotine patch or both for smoking cessation. New Engl. J. Med. 1999, 340: 685-91)を雛型として開発され、Quintiles社のFDAコンサルタントの承認を得た。
【0060】
試験はイスラエルの2つの異なる場所にランダムに等分して行われた。医師および看護師による2つのチームはこの作業に特に熟練していた。1年以上にわたって1日当たりの巻きタバコ本数(CPD)が10本以上である喫煙者493例が、上記の製剤のゼラチンカプセルを63日間投与し、その後に投与は行わずに28日間の追跡調査を行うという、二重盲検、ランダム化(randomized)、5アーム(arm)、用量設定の禁煙試験に参加した。1日量は、PA組成物4.0g、2.0g. 1.0g、0.5gおよびプラセボとした。全体的ヘモグラム、肝機能および腎機能を含む標準的な血液生化学検査を、投与開始前の登録時、ならびに試験の第56日および第84日に行った。有害作用はすべて記録した。一次エンドポイントは、28日間以上にわたる完全な禁煙(FDAの定義)または禁煙率(SQR)とした。禁煙状態は呼気COの測定によって確認した。
【0061】
SQRの百分率は表1にまとめられており、図1に描写されている。
【0062】
【表1】

表1:禁煙率の結果
【0063】
図1は、それぞれの日について総SQRからプラセボの値を差し引いた後のSQRを示している。表1および図1から認められるように、2.0g群における結果は、SQRが7%に過ぎないという異常な歪みのため提示していない。人口統計学的分析により、綿密なランダム化にもかかわらず、この群はCPDが30未満である高齢男性を高い比率で含んでいたことが示された。これらの特徴が、この群のコンプライアンスに負の影響を及ぼした可能性がある。全体的にみて、最良かつ最も有意な差は、1.0g群において、投与を行わなくなって1カ月後である第84日にプラセボ効果の減少に伴って得られている。正味のSQR(プラセボを差し引いたもの)は11.8%であり、オッズ比(OR)は2.57である。
【0064】
これらの結果は、鼻腔内投与によるニコチン補充療法(NRT)およびZybanと同じ範囲内にあるが、安全性プロフィールははるかに優れている。Zybanの有害事象には不眠、けいれん発作および幻覚が含まれ、最近は50件を上回る死亡例との関連も疑われている。NRTは主として、心悸亢進および血圧上昇といった心血管系作用を引き起こす。
【0065】
被験者の血液学的および生化学的なプロフィール上、本発明のPA組成物の有害作用は認められなかった。被験者の約5%は軽度の副作用を呈したが、それらはすべての群に等しく分布しており、主として、悪心、ある程度の軟便および一過性の腹部不快感(表3)といった消化管に関するものであった(予想された通り)。
【0066】
図2には、表1に提示されたデータが、グラフ表示として示されている。禁煙者の絶対数が半減し、投与期間の終了時にほぼ一定となっていることから、プラセボには長期的な禁煙を維持させる能力がないことが示されている。これに比して、さまざまな濃度のPAを投与された禁煙者の絶対数は、ごくわずかな程度しか減少しなかった。1日当たり1.0gのPAを投与された個体の絶対数は投与を中止した後にもほぼ同じに保たれており、このことはPA組成物に長期的な禁煙を維持させる能力があることを示している。
【0067】
本発明の組成物が禁煙を持続させる能力は、PA組成物の絶対的禁煙率をニコチン関連療法のための一般用医用薬剤と比較した試験からも結論づけることができる。
【0068】
【表2】

表2:PA組成物およびその他の禁煙用医用薬剤を用いた絶対的禁煙率の比較
(絶対的禁煙率=禁煙率−プラセボの禁煙率)
【0069】
表2に要約されているように、本発明のPA組成物は、Zybanなどの禁煙のための公知の医用薬剤と少なくとも同程度に有効である。組成物の毒性および副作用(表3)を市場で公知の他の医用薬剤に伴うものと比較すると、その有効性がさらに良くわかる。被験者によって報告された主要な副作用は腹部不快感であった(13%、これに対してプラセボを投与された者では6%)。報告されたその他の副作用は悪心(3%、プラセボでは4%)および胸焼け(2%、プラセボでは0%)であった。
【0070】
【表3】

表3:それぞれの禁煙用医用薬剤に伴う副作用
【0071】
ヘモグラム、リンパ球画分ならびにルーチン的な生化学および免疫グロブリンのレベルに関して、いずれの投与群にも試験期間を通じて変化は認められなかった。試験1において市販のELISAキット(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって実施された、いくつかの血清サイトカインのスクリーニングにより、PA組成物の投与後のインターフェロンγ(IFN-γ)のレベルの上昇が明らかになった。
【0072】
試験3:以上のプロトコールに基づき、13%のPAを含む組成物を、被験者45例の群に対して84日間にわたって投与した。第56日の終了時点で、合計12例の被験者が群から脱落した。残りの被験者33例のうち、18例(55%)は完全に喫煙を止め、6例(18%)では、1日当たりに喫煙する巻きタバコの本数が30本超/日から5本/日に減少した。残りの被験者9例は喫煙を続けていた。
【0073】
実施例3:体重増加と禁煙
体重増加は、禁煙に伴う副作用のうち最も恐れられているものの一つである。以下に示すように、本発明の組成物の投与によってもたらされた、喫煙を止めた被験者の体重増加は、プラセボを投与された被験者に比してはるかに少なかった。
【0074】
体重増加は、試験終了まで到達した被験者(いわゆる「パープロトコール」(per protocol))について測定し、第70日(最後の体重測定)の体重から第7日(最初の体重測定)の体重を差し引くことによって算出した。表4に示されているように、「治療」群と「プラセボ」群との比較において、プラセボを投与されて喫煙を止めた被験者の体重増加は3.42kgであったが、0.5グラムまたは1.0グラムのPAを含む組成物を投与された被験者の体重増加は平均1.52kgであった(P=0.006)。
【0075】
もう1つの驚くべき観察所見は、少量喫煙者と比較した場合のヘビースモーカーに対する効果である。表4から見られるように、「治療」と「プラセボ」をヘビースモーカーおよび少量喫煙者の両方について比較すると、ヘビースモーカーに対する組成物の効果は少量喫煙者よりも大きいことが明らかである。
【0076】
この観察所見は臨床的に驚くべきものであって、医学専門家が信じていたのと同様に、ヘビースモーカーが禁煙するのは1日当たりに喫煙する巻きタバコの本数が少ない者よりも難しいと従来信じていたヘビースモーカーにとって、大きな意義がある。
【0077】
【表4】

表4:分析したカテゴリー別にみた被験者の平均体重増加(Kg単位)のまとめ
【0078】
実施例4:禁煙の管理項目としてのCOHbレベル
すべての禁煙試験には、報告の信憑性という問題があると思われる。被験者は実際には禁煙していなくても喫煙を止めたと報告するかもしれない。これは被験者が試験担当者を喜ばせようと思った場合、または不履行を認めるのを嫌がった場合に起こりうる。その反対のケースも起こる可能性があり、これは特に被験者が試験の実施に不満であり、そのため正規の手続きを妨げようとする場合にはそうである。このようなリスクをできるだけ軽減するために、被験者が医療機関に受診するたびにCO検査を実施して記録した。
【0079】
この目的に用いるための装置は、被験者に息を20秒程度止めさせた後に呼気中のCO濃度を百万分率(ppm)として測定する。息を止めている間に平衡条件が得られたと仮定して、得られた値を血中のCOHb率に換算する。経験的に、11%よりも低いCOHb値は喫煙していないことに一致し、より高い値は喫煙に一致する。
【0080】
CO測定は、試験開始から第84日目の最終受診時(6回目の受診)に行った。この受診に関する入手可能な全データは354例の被験者に関するものである。以下の表5では、禁煙を申告した被験者の数と禁煙しなかった者の数との比較およびそれぞれのCO測定値をデータとして示している。
【0081】
【表5】

表5:禁煙を申告した被験者の数、禁煙していないと申告した者の数およびそれぞれのCO測定値を示したデータのまとめ
【0082】
示したデータ間の関連性の検定にはフィッシャーの直接確率検定を用いた。得られた値はP<0.0001であり、これは極めて有意である。陽性適中率および陰性的中率を算出して得た:陽性適中率の値は0.9615で95%信頼限界は0.8680〜0.9953であり、陰性適中率の値は0.9272で95%信頼限界は0.8916〜0.9537であった。これらの結果は、本明細書に開示した試験では、禁煙したことまたは禁煙していないことの自己報告と、独立したCOHb測定値との間に非常によい相関が認められたことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本発明を理解するため、およびそれを実際にどのように実施しうるか分かるように、好ましい態様を、添付の図面を参照しながら以下に述べるが、これは非限定的な例に過ぎない。
【図1】治療終了時の絶対的禁煙率を示している。
【図2】2か月間の治療後のプラセボの効果をPA組成物の効果と比較した成果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約7%(w/w)のホスファチジン酸(PA)と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む、禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物。
【請求項2】
約7%〜少なくとも約75%のホスファチジン酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも約15%〜少なくとも約50%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも約15%〜少なくとも約30%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも約15%〜少なくとも約25%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも約16%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも約17%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも約18%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも約19%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも約20%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも約21%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも約22%のホスファチジン酸を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項13】
禁煙に実質的な副作用が全く伴わない、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
禁煙に少なくとも1つの副作用が伴う、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
副作用が悪心、発汗、震え、物質渇望、顔面紅潮、不眠、口内乾燥、めまい、不安、便秘より選択される、請求項13または14記載の組成物。
【請求項16】
投与可能な形態にある、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
投与可能な形態が、経口的、局部的、腹腔内、関節内、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、髄腔内、静脈内および皮下からなる群より選択される、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
経口投与用に適合化されている、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つのビタミンをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
ホスファチジルセリン(PS)をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
PAおよびPSが1:1の比にある、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも約16%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む、禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物。
【請求項23】
少なくとも約18%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む、禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物。
【請求項24】
少なくとも約22%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む、禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物。
【請求項25】
ホスファチジルセリンをさらに含む、請求項22〜24のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
個々の喫煙者に対して、ホスファチジン酸を含む組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙を促進するための方法。
【請求項27】
個々の喫煙者に対して、ホスファチジン酸を含む組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙治療のための方法。
【請求項28】
組成物が約7%〜少なくとも約75%のホスファチジン酸を含む、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約50%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約30%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約25%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項32】
組成物が少なくとも約16%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
組成物が少なくとも約17%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
組成物が少なくとも約18%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
組成物が少なくとも約19%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項36】
組成物が少なくとも約20%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項37】
組成物が少なくとも約21%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項38】
組成物が少なくとも約22%のホスファチジン酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項39】
投与可能な形態にある、請求項26または27記載の方法。
【請求項40】
投与可能な形態が、経口的、局部的、腹腔内、関節内、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、髄腔内、静脈内および皮下からなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
経口投与用に適合化されている、請求項40記載の方法。
【請求項42】
組成物が少なくとも1つの抗酸化剤をさらに含む、請求項26または27記載の方法。
【請求項43】
組成物がPSをさらに含む、請求項26または27記載の方法。
【請求項44】
個々の喫煙者に対して、ホスファチジン酸と薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む組成物の有効量を投与する段階を含む、巻きタバコまたは他の形態のタバコの喫煙を少なくとも連続28日間にわたって絶つことを達成するための方法。
【請求項45】
個々の喫煙者に対して、少なくとも約16%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙または禁煙促進のための方法。
【請求項46】
個々の喫煙者に対して、少なくとも約18%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙または禁煙促進のための方法。
【請求項47】
個々の喫煙者に対して、少なくとも約22%(w/w)のホスファチジン酸と、少なくとも1つの抗酸化剤と、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む組成物の有効量を投与する段階を含む、禁煙または禁煙促進のための方法。
【請求項48】
組成物がPSをさらに含む、請求項45〜47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
少なくとも約10%(w/w)のホスファチジン酸を含む投与可能な形態の組成物と使用のための説明書とを含む、禁煙のためのキット。
【請求項50】
少なくとも約16%(w/w)のホスファチジン酸を含む投与可能な形態の組成物と使用のための説明書とを含む、禁煙のためのキット。
【請求項51】
少なくとも約18%(w/w)のホスファチジン酸を含む投与可能な形態の組成物と使用のための説明書とを含む、禁煙のためのキット。
【請求項52】
少なくとも約22%(w/w)のホスファチジン酸を含む投与可能な形態の組成物と使用のための説明書とを含む、禁煙のためのキット。
【請求項53】
投与可能な形態が、経口的、局部的、腹腔内、関節内、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、髄腔内、静脈内および皮下からなる群より選択される、請求項49〜52のいずれか一項記載のキット。
【請求項54】
禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物の製造のためのリン脂質調製物の使用法であって、該組成物が少なくとも約7%(w/w)のホスファチジン酸と薬学的に許容される希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、潤滑剤または保存料とを含む、使用法。
【請求項55】
組成物が約7%〜少なくとも約75%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項56】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約50%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項57】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約30%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項58】
組成物が少なくとも約15%〜少なくとも約25%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項59】
組成物が少なくとも約16%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項60】
組成物が少なくとも約17%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項61】
組成物が少なくとも約18%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項62】
組成物が少なくとも約19%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項63】
組成物が少なくとも約20%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項64】
組成物が少なくとも約21%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項65】
組成物が少なくとも約22%のホスファチジン酸を含む、請求項54記載の使用法。
【請求項66】
組成物が投与可能な形態にある、請求項54記載の使用法。
【請求項67】
投与可能な形態が、経口的、局部的、腹腔内、関節内、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼内、髄腔内、静脈内および皮下からなる群より選択される、請求項66記載の使用法。
【請求項68】
組成物が経口投与用に適合化されている、請求項67記載の使用法。
【請求項69】
組成物が少なくとも1つのビタミンをさらに含む、請求項54記載の使用法。
【請求項70】
組成物がPSをさらに含む、請求項54記載の使用法。
【請求項71】
禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物の製造のためのリン脂質調製物の使用法であって、該組成物が少なくとも約16%(w/w)のホスファチジン酸を含む、使用法。
【請求項72】
禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物の製造のためのリン脂質調製物の使用法であって、該組成物が少なくとも約18%(w/w)のホスファチジン酸を含む、使用法。
【請求項73】
禁煙または禁煙促進のための薬学的組成物の製造のためのリン脂質調製物の使用法であって、該組成物が少なくとも約22%(w/w)のホスファチジン酸を含む、使用法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−508257(P2008−508257A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523235(P2007−523235)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000789
【国際公開番号】WO2006/011140
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507030508)モダス バイオロジカル メンブレインズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】