説明

秩序化したメソポーラスシリカ材料

COK−10で示される、一群の新規な、秩序化したメソポーラスシリカ材料は、温和な酸性もしくは中性のpH条件下において、両親媒性ブロック共重合体と、任意で用いられるテトラアルキルアンモニウム化合物とを組み合わせることによって合成される。そのメソポアサイズは、実質的に均一であり、4〜30nmの範囲内であり、合成条件を状況に合わせて変化させることによって微調整することができる。COK−12で示される、一群の新規な、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料もまた、温和な酸性もしくは中性のpH条件下において、両親媒性ブロック共重合体と、pHが2より高く8未満のバッファーとを組み合わせることによって合成される。そのメソポアサイズは、実質的に均一であり、4〜12nmの範囲内であり、合成条件を状況に合わせて変化させることによって微調整することができる。これらの秩序化したメソポーラスシリカ材料は、難溶解性の薬物分子における製剤のためのキャリア材料として、および短時間作用型の利用のための経口薬物製剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温和な酸、または中性のpH条件下での、反応混合物中の秩序化したメソポーラスシリカ材料および2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己組織化方法に関係する。更には、本発明は、そのような方法によって得られた、狭い(実質的に均一な)メソポアサイズ分布を有する秩序化したメソポーラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、数種類の秩序化したメソポーラスシリカ材料が、強酸(pH<2)または強塩基(pH>9)の反応条件で合成されていた。界面活性剤および両親媒性ポリマーを、秩序化したメソポーラスシリカ材料の配向剤として使用することは、従来技術において知られている。Kresgeら(Nature 1992,359,710-712)は、チューブ状のメソポアの六方晶系配列を示す、MCM−41材料の合成について報告している。MCM−41合成は、カチオン性界面活性剤を用いた塩基性条件下で実行される。
【0003】
Zhaoら(Science,1998,279,548-552)は、強酸条件下でのSBA型材料の合成について報告している。4.6〜10nmの均一な細孔を有するSBA−15を合成している。シリカゲルまたはアモルファスシリカの形成を避ける条件について、各種ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体(例えば、PEO−PPO−PEOおよび逆PPO−PEO−PPO)およびシリカ源としてのTMOSを用いて詳細に検討が行なわれた。この論文は、適切な条件には、(a)反応混合物におけるトリブロック共重合体の濃度が0.5〜6重量%であること、(b)温度が35〜80℃であること、および(c)pHがシリカの等電点より低いこと、が含まれることを示唆している。Zhaoら(J.Am.Chem.Soc.1998,120,6024-6036)による発表では、1.6〜10nmのポアサイズを有する、立方晶系および六方晶系のメソポーラスシリカ構造の合成に、強酸媒体でのアルキルポリ(エチレンオキシド)オリゴマーの界面活性剤およびポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体を使用することが報告されている。ポアサイズが1.6〜3.1nmのものは、アルキルポリ(エチレンオキシド)オリゴマーの界面活性剤を用いて室温において既に得られている。3〜10nmの細孔を有する秩序化したメソポーラス材料は、35〜80℃において、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体を用いて得られている。
【0004】
上記従来技術では、メソ−スケール(2〜50nm)でシリカの秩序化を行なうためには、合成混合物のpHを、シリカの等電点である2より低く調整することが必須となることを教示している。その上、Attardら(Nature 1995,378,366-368)およびWeissenbergerら(Ber.Bunsenges.Phys.Chem.1997,101,1679-1682)によって報告された、pH=2で合成されたメソポーラス材料の秩序化の特性は、より酸性の条件下で合成された材料よりも低かった。
【0005】
2001年のJournal of Physical Chemistry B,volume 105,pages 7663-7670において、S.Su Kimらは、シリカ源(27%SiO,14%NaOH)としてケイ酸ナトリウムと、非イオン構造配向性トリブロック共重合体界面活性剤としてのプルロニック(Pluronic)P123を用いた、1段または2段の組織化工程による、MSU−Hシリカの組織化について報告している。1段工程では、308K、318K及び333Kの一定の組織化温度でメソ構造を形成し、界面活性剤と、ケイ酸ナトリウム溶液のハイドロオキシド含有量と当量の酢酸とを周囲温度で混合し、構造配向性界面活性剤存在下でケイ酸ナトリウム溶液を加え、反応性シリカが形成される。これによって、シリカ前駆体と界面活性剤との両方が、酢酸ナトリウム/酢酸混合物が緩衝作用を及ぼすpHの範囲外の、主として非イオン分子種(pH=約6.5)であるpH条件下において、六方晶系骨格が組織化される(以下の「定義」参照)。良好に秩序化したメソポーラス材料を得るためには、308Kにおいて合成混合物を加熱することが要求される。表面積および細孔体積の両方が、合成温度と共に増加し、最も低い温度で合成された材料は、あまり構造化しておらず、多孔性ではない領域を含んでいた。pH2よりも高いpHで合成された秩序化したメソポーラスシリカ材料は、構造的な均一性を向上させることが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記工程において、1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を使用または添加することなく、メソポアサイズが4〜30nm、好ましくは7〜30nm、特に好ましくは11〜30nm、更に好ましくは15〜30nmである材料を製造するために、合成工程において、より具体的には、秩序化したメソポーラスシリカ材料の組織化における反応混合物において、厳しい酸性条件(pH<2)または厳しい塩基性条件(pH>9)を用いなければならない技術に関連する問題を解決する。
【0007】
本発明は、1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を使用または反応混合物へ添加することなく、10nmより大きい実質的に均一な大きさのメソポアを有する材料を作製するために、反応混合物において、厳しい酸性条件(pH<2)または厳しい塩基性条件(pH>9)を用いなければならない関連する技術の問題をも解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
10nmより大きい実質的に均一なポアサイズを有する、本発明の秩序化したメソポーラスシリカ材料は、1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を用いることなく、pH2〜8の温和なpH条件において自己組織化した反応混合物と共に作製される。
【0009】
実質的に均一なポアサイズを有する、本発明における2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料は、バッファーにおける酸成分のバッファー領域内であれば、室温であっても、1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を用いずに、pH2〜8の温和なpH条件において、2より高く8未満のpHを有するバッファーの反応混合物を加えることによって、自己組織化した反応混合物と共に作製される。
【0010】
驚くことに、pKa<2の酸、pKaの範囲が3〜9である酸、またはバッファーを有するポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体水溶液をアルカリ性ケイ酸塩水溶液へ加えることによって、温和な酸性(pH>2)〜温和な塩基性(pH<8)のpH条件とし、緩衝化したpHおよび10〜100℃の温度範囲において成分間の反応を起こさせ、当該反応混合物を濾過、乾燥、焼成することによって、反応を室温で行ったとしても、実質的に均一なポアサイズを有する秩序化したメソポーラスシリカ材料が生成される。その実質的に均一なポアサイズは、5nm、7nm、9nm、11nm、13nm、15nm、17nm、19nm、21nm、23nm、25nm、27nmまたは29nmから選択される最大ポアサイズ前後の狭いメソポアサイズ分布を有する。pKa<2の酸を有するポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体水溶液を使用した場合、アルカリ性ケイ酸塩水溶液に加える前の溶液におけるアルカリもしくはアルカリ土類水酸化物が更に存在すると、秩序化したメソポーラスシリカ材料の組織化において悪影響を与えることが見出された。
【0011】
しかしながら、pKa<2の酸を有するポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体水溶液において、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキシドのような分子を発生させる、テトラアルキルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムまたはテトラプロピルアンモニウム、好ましくはテトラプロピルアンモニウムまたはテトラプロピルアンモニウムのような有機カチオン性種が更に存在していても、実質的に均一なポアサイズを有する秩序化したメソポーラスシリカにおいては悪影響がなく、有益であった。
【0012】
上記ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体水溶液中におけるpKaが11.43である水酸化カルシウム、pKaが16.02である水酸化バリウム、pKaが13.8である水酸化ナトリウム、pKaが13.5である水酸化カリウム、およびpKaが14.36である水酸化リチウムのような、アルカリもしくはアルカリ土類の水酸化物と、pHが2未満である酸との存在による、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドとして、テトラアルキルアンモニウムカチオン、pKaが13.8である強塩基、を更に添加する場合と比べて異なる効果は、同様のpKaであることを考慮すると驚くべきことである。
【0013】
pKa<2の酸存在下で生成されたCOK−10材料と、pKa3〜9の範囲の酸またはバッファー存在下で生成されたCOK−12材料とは、その技術において知られている、秩序化したメソポーラス材料と比較して様々な優位点を有し、その中の幾つかの重要な優位点について、以下に要約する。
1.合成において、非常に酸性の強い条件(例えば、SBA材料の合成のための手段における条件)または塩基性条件(例えば、MCM−41の合成のための条件)を用いることが避けられる。製造において合成容器が腐食され難い。強酸もしくは強塩基の廃棄物の流れを発生させない。
2.合成は、2〜10nmのメソポアサイズを有する材料へ典型的に導く既知の技術と似ている。10nmよりも大きい細孔の合成は困難であり、トリメチルベンゼンのような膨張剤を使用する必要がある。本発明では、温和なpH条件によって4〜30nmの範囲のメソポアの形成が促進される。
3.大きいメソポアを有するCOK−10材料は、例えば、溶解性の低い薬物の即時放出や、HPLCカラムの作製や、バイオテクノロジーにおける、酵素、タンパク質、核酸または他の種類の生体分子を補助することのような多くの利用において望ましい。
【0014】
本発明の目的に従って、ここでは、具体化し広く記載するように、発明の1つの具体的表現は、温和な酸性(pH>2)〜温和な塩基性(pH<8)から選択されるpHである自己集合反応媒体におけるpH条件下で狭いメソポアサイズ分布の新規メソポーラス材料(COK−10)を製造する、魅力的な新規方法へ方向付けられる。
【0015】
反応媒体におけるより厳しいpH条件下(pH>2またはpH<8)で製造されたMCMもしくはSBA骨格メソポーラスシリカ材料と比較して、これらCOK−10材料は、水難溶性生理活性種をその細孔へ取り込む場合、これら水難溶性生理活性種の水性媒体への放出速度が改善される。
【0016】
本発明の態様は、4〜30nm、好ましくは7〜30nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する秩序化したメソポーラスシリカ材料を自己組織化する方法であって、アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、水酸化ナトリムのようなアルカリ水酸化物等の、アルカリもしくはアルカリ土類水酸化物を含まず、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体およびpKa2未満(好ましくはpKa1未満)の酸を含む水溶液2を作製する工程と、上記水溶液1を上記水溶液2へ添加して、pHを2より高く8より低い範囲として、成分間の反応を10〜100℃(好ましくは20〜90℃)の温度範囲で起こさせる工程と、濾過する工程と、乾燥する工程と、反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、を含む方法によって実現される。
【0017】
本発明の態様は、また、上記方法によって得ることができる、4〜30nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する秩序化したメソポーラスシリカ材料によっても実現される。
【0018】
本発明の態様は、また、上述した秩序化したメソポーラスシリカ材料と生理活性種とを含む薬品組成物によっても実現される。
【0019】
本発明の態様は、また、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法であり、アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体と、酸および塩基成分を含有するpHが2より高く8未満であるバッファーとを含む水溶液3を作製する工程と、上記アルカリシリケート水溶液を上記水溶液に加え、pHを2より高く8より低い範囲として、成分間の反応を10〜100℃(好ましくは20〜90℃)の温度範囲で起こさせる工程と、濾過する工程と、乾燥する工程と、反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、を含む方法によっても実現される。
【0020】
本発明の態様は、また、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法であり、アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体と、pKaが3〜9の酸とを含む水溶液4を作製する工程と、上記水溶液1を上記水溶液3へ加え、それによって、pHを、pKaが3〜9の上記酸のpKaと同じ数値を有するpHより1.5高く且つ1.5低い範囲内である、2より高く8より低くし、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、濾過する工程と、乾燥する工程と、反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、を含む方法によっても実現される。
【0021】
本発明の態様は、また、上述した方法によって得ることができる、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有し、29Si MAS NMRを用いて得られた、Q4に対するQ3のシリカの比が0.65未満(特に好ましくは0.60未満)である、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料によっても実現される。
【0022】
本発明の態様は、また、上述した2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料と生理活性種とを含む薬品組成物によっても実現される。
【0023】
本発明が適用される更なる範囲は、以下に記載される詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内における各種変更および修正は、当業者にとって、この詳細な記載から明らかであるため、その詳細な記載および具体的な実施例は、発明の好ましい実施形態を示しているが、図解のみによって与えられている。このような一般的記載および以下の詳細な記載は、典型的で説明のためのみのものであり、クレーム化された発明を限定するものではない。本発明は、以下に示す詳細な記載、および図解のみによって与えられ、本発明を限定するものではない添付の図面から十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例1の合成した材料のX線散乱パターンを示す。
【図2】上部は、実施例1の焼成したCOK−10材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。
【図3】実施例1の焼成したCOK−10材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図4】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例2の合成した材料のX線散乱パターンを示す。
【図5】上部は、実施例2の焼成したCOK−10材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。
【図6】実施例2の焼成したCOK−10 材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図7】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例3の合成した材料のX線散乱パターンを示す。
【図8】実施例3の焼成した材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図9】上部は、実施例3の合成した材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、BJHモデルに従ったメソポアサイズ分布を示す。
【図10】上部は、実施例4の焼成した材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。
【図11】実施例4の焼成したSBA−15材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図12】上部は、実施例7の焼成したCOK−10材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。
【図13】実施例7の焼成したCOK−10材料のSEM画像を示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図14】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例7の焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンを示す。
【図15】実験1のCOK−10サンプルからイトラコナゾールの生体外での放出を示すグラフである(放出媒体:0.05重量%SLSを含む擬似胃液)。
【図16】実験3で作製した本発明に従わないメソポーラス材料からのイトラコナゾールの生体外での放出を示すグラフである(放出媒体:0.05重量%SLSを含む擬似胃液)。
【図17】比較例4の合成したSBA−15からのイトラコナゾールの生体外での放出を示すグラフである(放出媒体:0.05重量%SLSを含む擬似胃液)。
【図18】上部は、実施例11の焼成したCOK−10材料における窒素吸着(右曲線)および脱離等温線(左曲線)であり、下部は、吸着分岐から計算されたBJHポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 装置で行なわれた。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。
【図19】実施例11の焼成したCOK−10材料のSEM画像である。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図20】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例11の焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンを示す。
【図21】上部は、実施例12の焼成したCOK−10材料における窒素吸着(右曲線)および脱離等温線(左曲線)であり、下部は、吸着分岐から計算されたBJHポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 装置で行なわれた。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。
【図22】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例12の焼成した材料のX線散乱パターンを示す。
【図23】上部は、実施例13の焼成したCOK−10材料における窒素吸着(右曲線)および脱離等温線(左曲線)であり、下部は、吸着分岐から計算されたBJHポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 装置で行なわれた。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。
【図24】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例13の焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンを示す。
【図25】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例14の、合成した(細線)および焼成した(太線)材料のX線散乱パターンを示す。
【図26】上部は、実施例14の焼成したCOK−10材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図27】実施例14の焼成したCOK−12材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図28】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例15の焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図29】上部は、焼成した実施例15のCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図30】実施例15の焼成したCOK−12材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図31】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例16の、合成した(細線)および焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図32】上部は、焼成した実施例16のCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図33】実施例16の焼成したCOK−12材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図34】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例17の焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図35】上部は、実施例17の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図36】上部は、実施例18の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図37】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例19の、合成した(細線)および焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図38】上部は、実施例19の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図39】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例20の、合成した(細線)および焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図40】上部は、実施例20の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図41】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例21の、合成した(細線)および焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図42】上部は、実施例21の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図43】実施例21の焼成したCOK−12材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図44】透過幾何学における欧州シンクロトロン放射光装置(ESRF)のBM26Bビームラインで記録した、実施例22の、合成した(細線)および焼成した(太線)COK−12材料のX線散乱パターンを示す。
【図45】上部は、実施例22の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図46】実施例22の焼成したCOK−10材料のSEM画像を2つの倍率で示す。サンプルは、金でコートした。画像はPhilips (FEI) SEM XL30 FEGで得た。
【図47】上部は、実施例23の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【図48】上部は、実施例24の焼成したCOK−12材料の窒素吸着等温線を示し、下部は、脱離分岐から計算したBJHメソポアサイズ分布を示す。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを200℃で10時間前処理した(勾配:5℃/分)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の発明の詳細な記載では添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じもしくは類似の要素を特定する。また、以下の詳細な記載は、上記発明を限定しない。代わりに、上記発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物によって規定される。
【0026】
幾つかの文献が、この明細書の本文の至る所で言及されている。ここでの各文献(任意の製造設計書、取り扱い説明書等を含む)は、ここでは参照として取り込まれる。しかしながら、言及される任意の文献は、実際には本発明の従来技術である。
【0027】
本発明は、特定の態様に関し、一定の図面を参照して記載されているが、本発明は、請求項を除いてはそのことに限定されない。記載された図面は、最適な概略図であり、これには限定されない。図面において、要素のサイズの幾つかは、事実を微妙に変えているかもしれず、説明のために実際のスケールでは描写していないかもしれない。寸法および相対寸法は、本発明の実施からの実際の縮図とは対応していない。
【0028】
更には、明細書および請求項における、用語「第一の」、「第二の」、「第三の」等は、同様の要素間を区別するために用いられ、必ずしも順次的または年代の順番を記述するものではない。用いられる上記用語は、適切な状況において取替え可能であり、ここで記載される発明の形態は、ここで記載または描写された以外の順序で実施することができることが理解される。
【0029】
更には、明細書および請求項における、用語「上部(top) 」、「下部(bottom)」、「上に(over)」、「下に(under) 」等は、説明の目的で用いられ、必ずしも相対的な位置を記述するものではない。用いられる上記用語は、適切な状況において取替え可能であり、ここで記載される発明の形態は、ここで記載または描写された以外の方向で実施することができることが理解される。
【0030】
請求項で用いられる用語「含む(comprising)」は、その前(後)に記載される手段(方法)を制限するようには解釈されるべきではなく、他の要素または工程を排除しない。
【0031】
よって、記載されているように、規定された特徴、整数値、工程または成分の存在を特定すると解釈されるが、1以上の他の特徴、整数値、工程もしくは成分、またはこれらの群の存在もしくは追加を排除しない。従って、「手段AおよびBを含む装置」の表現の範囲は、成分AおよびBのみからなる装置には限定されるべきではない。本発明に関して、上記装置の最適な関連成分がAおよびBであることを意味する。
【0032】
この明細書の至るところでの、「ある形態」または「形態」との言及は、形態と関連して記載された、特定の特徴、構造または特徴的が、本発明の少なくとも1つの形態に含まれることを意味する。よって、この明細書の至るところの様々な場所における「ある形態において」または「形態において」の語句の登場は、必ずしも同じ形態を言及しているわけではないが、言及しているかもしれない。更には、上記特定の特徴、構造または特徴は、1以上の形態において、当業者の1人にとってこの開示から明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0033】
同様に、上記発明の実施形態の記載において、発明の各種特徴は、上記開示を簡素化し、1以上の各種発明の特徴の理解を助ける目的で、時々、単一の形態、図またはそれらの記載において1つのグループにまとめられる。しかしながら、この開示方法は、請求項化された発明が、各請求項に明白に記載された以外のより多くの特徴を要求する意図を反映させたようには解釈されない。どちらかといえば、以下の請求項が反映されるように、発明の特徴は、上述した単一の形態の全ての特徴に満たない。よって、詳細な記載の後の請求項は、この発明の個別の形態としてその独自のものに基づく各請求項と共に、それによってこの詳細な記載の中にはっきりと取り込まれる。
【0034】
更には、ここで記載された幾つかの形態には、他の形態も含まれる他の特徴以外の幾つかが含まれ、異なる形態の特徴の組み合わせは、上記発明の範囲内であり、当業者によって理解されるような異なる形態を形成する。例えば、後述の請求項において、請求項に記載された形態の何れかを任意の組み合わせに用いることができる。
【0035】
ここで示される記載において、多くの細部について具体的に説明される。しかしながら、発明の形態は、これら具体的な細部が無くても実行できるかもしれない。他の事実において、よく知られた、方法、構造および技術は、この記載の理解をわかり難くしないため、詳細に示していない。以下の用語は、単に、本発明の理解を助けるために規定される。
【0036】
(定義)
この明細書で使用される用語である、メソスケール、メソポア、メソポーラス等は、5nm〜100nmの範囲の形状を有する構造を指す。ここで使用される用語「メソスケール」によっては、特定の空間的構成または製造方法は意図されない。よって、ナノポーラス材料は、0.5nm〜1000nmの範囲の直径を有する細孔を含むのに対して、メソポーラス材料は、5nm〜100nmの範囲の直径を有する、秩序化した、もしくはランダムに分布し得る細孔を含む。
【0037】
開示する本出願において使用される用語である、狭いポアサイズ分布および実質的に均一なポアサイズとは、細孔直径の関数として細孔体積の微分(dV)を示すポアサイズ分布曲線であり、そのプロット(上述したように)の最大高さにおける細孔直径に対する、その曲線の高さの半分である当該曲線におけるその曲線の幅(半分の高さにおける最大細孔直径と最小細孔直径との差)が0.75未満であるようなポアサイズ分布曲線を意味する。本発明によって作製された材料のポアサイズ分布は、窒素吸着および脱離、並びに得られたデータから、細孔直径の関数とした細孔体積の微分のプロットを作成することによって決定され得る。窒素吸着および脱離データは、よく知られた技術(例えば、Micrometrics ASAP 2010)において利用できる機器を用いることによって得られ得る。ここで、機器は、細孔直径の関数とする細孔体積の微分のプロットを作成することが可能でもある。マイクロ細孔範囲において、このようなプロットは、G.Horvath,K.Kawazoe,J.Chem.Eng.Japan,16 (6),(1983),470に記載されているようなHorvath-Kawazoeモデルのスリット細孔幾何学(slit pore geometry)を用いることによってもたらされ得る。メソポア範囲において、このようなプロットは、E.P.Barrett,L.S.Joyner and P.P.Halenda,J.Am.Chem.Soc.,73 (1951),373-380に記載の方法によってもたらされ得る。
【0038】
ここで使用される用語「事実上不溶性」とは、本質的に全体として水不溶性である、または少なくとも水難溶性である薬剤に適用される。より具体的には、この用語は、水溶性となる1回分量(mg/ml)比が100mlより多い、いかなる薬剤にも適用され、ここで、薬剤溶解性は、緩衝化されていない水において中性(例えば、遊離塩基または遊離酸)型のものである。この意味は、本質的に水溶解性を有さない(1.0mg/ml未満)薬剤を含むが、これには限定されない。
【0039】
BCSに基づいて、「水難溶性」とは、最も多い薬の1回分量が、37℃におけるpH1.2〜7.5の250ml以下の水性媒体に溶解しない化合物として定義され得る(Cynthia K.Brown,et al.,"Acceptable Analytical Practices for Dissolution Testing of Poorly Soluble Compounds",Pharmaceutical Technology (Dec.2004) 参照)。
【0040】
上記マニュアルに従って、任意の溶媒溶解性のためのPharmaceutics(M.E.Aulton)では、化合物を1g溶解するのに要求される溶媒量(g)として定義され、以下の溶解能力が定義される。つまり、10〜30g(可溶);30〜100g(“やや溶け難い”);100〜1000g(“僅かに溶ける”);1000〜10000g(“ごく僅か溶ける”または“難溶性”)並びに、10000g以上(事実上不溶性)である。
【0041】
用語「薬剤」および「生理活性化合物」は、幅広く理解され、例えば、人間に対して投与する場合に有益な予防薬および/または治療特性を有する化合物であると示されるであろう。更には、用語「薬物それ自体」とは、比較の目的でこの明細書の至るところで使用され、いかなる賦形剤の添加されていない水溶液/水懸濁液における薬物を意味する。
【0042】
用語「抗体」は、関連要因のエピトープデターミナントまたは要因のドメインと結合する能力がある、そのままの分子もその断片も指す。「Fv」断片は、最も小さい抗体の断片であり、完全抗原の認識部位および結合部位を含む。この領域は、重鎖および軽鎖それぞれの各種領域が非共有結合によって強くつながっている、ダイマー(VH−VLダイマー)である。各可変領域の3つのCDRは、互いに相互作用して、VH−VLダイマー表面上における抗原結合性部位を形成する。言い換えれば、重鎖および軽鎖からの合計6つのCDR抗体が抗原結合性部位として共に働く。しかしながら、可変領域(または抗原特異的なCDRのみ含む3つの半分のFv)の親和力は、結合部位全体の親和力よりも低いが、可変領域(または抗原特異的なCDRのみ含む3つの半分のFv)は、抗原を認識し、結合することができることだけが知られている。よって、本発明の好ましい抗体断片はFv断片であり、それには限定されない。このような抗体断片は、維持される、重鎖または軽鎖CDRの抗体断片を含むポリペプチドであって、その抗原を認識し結合することができる。Fab断片(F(ab)とも示される)は、軽鎖定常部位および重鎖定常部位(CH1)を含み得る。例えば、抗体は、2種類の断片(単一抗原結合ドメインの役目をする、重鎖および軽鎖の可変領域を含む、Fab断片と呼ばれる高原結合断片、および容易に結晶化するため“Fc”と呼ばれる残りの部分)を生成する。Fab’断片は、重鎖CH1領域のカルボキシル末端から派生する幾つかの残基をFab’断片が有するという点においてFab断片とは異なり、抗体のヒンジ領域からの1以上のシステイン残基を含む。しかしながら、Fab’断片は、両者が単一抗原結合ドメインとしての機能を果たす、重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合断片であるという点において構造的にFabと同等である。ここで、単一抗原結合ドメインとしての機能を果たし、パパイン消化によって得られるものと同等である、重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合断片は、プロテアーゼ消化によって生成する抗体断片と等しくない場合であっても、「Fabのような抗体」として示される。Fab’−SHは、その定常領域における遊離チオール基を有する1以上のシステイン残基を有するFab’である。
【0043】
本発明の開示において用いられる用語「生理活性種」は、薬物および抗体を意味する。
【0044】
用語「固体分散体」は、1つの成分が他の成分の至るところにおおそよ均一に分散している、少なくとも2つの成分を含む固体状態における系と定義される。上記成分の分散が、系が化学的および物理的に至るところで均一もしくは同質、または熱力学において定義されるようなある相からなるようなものである場合、このような固体分散体は、以下「固溶体」と呼ばれるであろう。ここでの成分は、成分が投与される有機体に対して生物的に通常容易に利用できるため、固溶体は好ましい物理的系である。この優位点は、上記固溶体が、胃液のような液体の媒体と接触する場合に溶液を形成することができる容易さによっておそらく説明し得る。溶解の容易さは、固溶体からの成分の溶解に要求されるエネルギーが、結晶または微晶性固体相からの成分の溶解に要求されるエネルギーよりも小さいという事実の少なくとも一部分に起因するかもしれない。
【0045】
用語「固体分散体」には、至るところにおいて固溶体よりも均質ではない分散体をも含む。このような分散体は、化学的および物理的に完全に均一ではなく、または1よりも多い相を含む。例えば、用語「固体分散体」は、アモルファス、微晶性もしくは結晶の(a)、またはアモルファス、微晶性もしくは結晶の(b)または両者が、(b)もしくは(a)、または(a)および(b)を含む固溶体を含有する別の相において、おおよそ均一に分散するドメインもしくは小さな領域を有する粒子にも関係している。上記ドメインは、幾つかの物理的特徴、全体としての粒子の大きさと比較して大きさが小さいこと、粒子の至るところにおいて均一およびランダムに分布すること、によって区別して特徴付けられる粒子内における領域である。
【0046】
この出願において用いられる用語「室温」は、12〜30℃、好ましくは18〜28℃、より好ましくは19〜27℃、最も好ましくはおおよそ20〜26℃を意味する。
【0047】
この出願に用いられる用語「低温」とは、15〜40℃、好ましくは18〜23℃、より好ましくは20〜30℃、最も好ましくはおおよそ22〜28℃を意味する。
【0048】
本発明の開示において用いられる用語、バッファーのバッファー領域とは、上記バッファーの酸成分のpKaと数の上で等しいpHよりも、約1.5低いpH以上、約1.5高いpH以下の範囲内のpH領域を意味する。
【0049】
(実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己組織化方法)
本発明の態様は、4〜30nm、好ましくは7〜30nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己組織化方法であり、アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、水酸化ナトリムのようなアルカリ水酸化物等の、アルカリもしくはアルカリ土類ハイドロオキシドを含まず、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体およびpKa2未満(好ましくはpKa1未満)の酸を含む水溶液2を作製する工程と、上記水溶液1を上記水溶液2へ添加して、pHを2より高く8より低い範囲(言い換えれば、シリカの等電点2を超える範囲)として、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、濾過する工程と、乾燥する工程と、反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、を含む方法によって実現される。
【0050】
本発明による、実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料を自己組織化する方法の好ましい形態として、上記水溶液2は、テトラアルキルアンモニウム界面活性剤、好ましくはテトラプロピルアンモニウムカチオンを生成するテトラプロピルアンモニウムハイドロオキシド、またはテトラメチルアンモニウムカチオンを生成するテトラメチルアンモニウムハイドロオキシドを更に含む。テトラアルキルアンモニウム界面活性剤の存在によって、生成した、秩序化したメソポーラスシリカにおいて変化が引き起こされる。
【0051】
上記酸は、濾過工程と結び付けられる洗浄工程において大部分が除去され、残りの酸は焼成工程において除去される。
【0052】
本発明の範囲内の反応混合物のpHにおける変化は、反応時間または反応温度と共に、最終的な秩序化したメソポーラスシリカ材料のポアサイズを微調整する条件として用いられる。上記ポアサイズは、pHの増加に伴って僅かに増加する。上記ポアサイズは、反応温度によってより大きく増加するが、全細孔体積には実質的に影響がない。反応が実行されるpHは、好ましくは2.2〜7.8、より好ましくは2.4〜7.6、特に好ましくは2.6〜7.4の範囲である。他の形態において、反応が行われるpHは、好ましくは2.8〜7.2、より好ましくは3〜7.2、特に好ましくは4〜7、より特に好ましくは5〜6.5の範囲である。本発明による、実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己組織化方法において、攪拌速度は100〜700rpmの範囲が好ましい。
【0053】
その上、COK−10材料が、室温条件(26℃、実施例11)または低温条件において、pHが2を超え8未満である反応混合物において製造することができることを明らかにしている。
【0054】
上記工程の条件は、4〜30nmの範囲、好ましくは7〜30nmの範囲から選択され、より好ましくは10〜30nmの範囲から選択され、更に好ましくは10〜30nmの範囲から選択されるポアサイズを有する秩序化したメソポーラスシリカ材料を達成するように調整することができる。
【0055】
上記水溶液1は、水酸化ナトリウム10重量%以上とシリカ27重量%以上とを含むケイ酸ナトリウム水溶液が好ましい。
【0056】
各種修正および変化は、試薬、またはプルロニックP123のような両親媒性ポリマーもしくはテトラアルキルアンモニウムカチオン(具体的にはテトラプロピルアンモニウムハイドロオキシド)のような中間体の量によって、あるいは、本発明の方法における、温度、攪拌速度もしくは反応時間、並びに、本発明の範囲もしくは精神から逸脱しない、系の構成および方法によって行なうことができる。このような変化によって、7〜30nmの範囲内の望ましい最大ポアサイズを有する、本発明の狭いポアサイズ分布のメソポーラス材料を作製するための微調整を行なうことができる。
【0057】
(ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体)
上記ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体は、好ましくは、アルキレンオキシド部位の炭素原子数が少なくとも3である(例えば、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド部位)、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(アルキレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)トリブロック共重合体であり、より好ましくは、各ブロックにおけるエチレンオキシド部位の数が5以上および/または中心ブロックにおけるエチレンオキシド部位の数が30以上である、上記のトリブロック共重合体である。
【0058】
EO20PO70EO20(ここで、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである)の組成を有するポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体プルロニックP123が特に好ましい。
【0059】
(酸)
上記反応混合物を酸性化するために適した、pKaが2未満の酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、シクラミン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。
【0060】
【表1】

【0061】
塩酸は、反応混合物を酸性化する好ましい酸である。
【0062】
(シリカ)
秩序化したメソポーラス材料の合成のためのシリカ源は、ケイ素アルコキシドのようなモノマー源とすることができる。TEOSおよびTMOSは、シリコンアルコキシドの典型的な例である。代わりに、水ガラスのようなアルカリ性ケイ酸塩溶液をシリコン源として用いることができる。Kosugeらは、SBA−15タイプ材料を合成するために水溶性ケイ酸ナトリウムを使用することを明らかにした(Kosuge et al. Chemistry of Materials,(2004),16,899-905)。ゼオタイル(Zeotile)と呼ばれる材料において、上記シリカは、メソスケールにおいて3次元のモザイク構造の中へ集合化するゼオライトのようなナノスラブにおいて予備集合化される(Kremer et al. Adv.Mater.20 (2003) 1705)。
【0063】
(秩序化したメソポーラスシリカ材料(COK−10))
本発明は、また、pH2〜8の温和なpH条件(最終的な反応混合物のpH)での合成方法によって得られた、秩序化したメソポーラスシリカ材料に関係し、反応混合物には最終的に1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を含まない。このような材料の自己集合は、テトラアルキルアンモニウムカチオン、好ましくはテトラプロピルアンモニウムハイドロオキシドもしくはテトラメチルアンモニウムハイドロオキシドとしての、テトラプロピルアンモニウムもしくはテトラメチルアンモニウムを、例えば、pH2〜8の温和なpH条件、またはpH2.2〜7.8の温和なpH条件、または、pH2.4〜7.6の温和なpH条件、またはpH2.6〜7.4の温和なpH条件、またはpH2.8〜7.2の温和なpH条件、またはpH3〜7.2の温和なpH条件、またはpH4〜7の温和なpH条件、またはpH5〜6.5の温和なpH条件のような温和なpH条件の反応混合物へ添加後に得られる。
【0064】
本発明は、7〜30nm、10〜30nm、12〜30nm、14〜30nm、16〜30nm、16〜25nmまたは15〜20nmから選択される最大ポアサイズ前後の狭いメソポアサイズ分布を有する秩序化したメソポーラス材料に関する。この秩序化したメソポーラス材料は、温和なpH条件(即ち、最終的な反応混合物において2より高く8未満のpH)において、1,2,4−トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素を含まない合成工程によって得られる。この工程によって得られるこのような秩序化したメソポーラスシリカ材料は、6nm、8nm、10nm、12nm、14nm、16nm、18nm、20nm、22nm、24nm、26nm、28nmまたは30nmの大きさの数値から選択される最大ポアサイズ前後の狭いメソポアサイズ分布を有することを特徴としている。
【0065】
(実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化工程)
本発明の態様は、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法を実現することでもあり、当該方法は、アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体と、酸および塩基成分を含有するpHが2より高く8未満であるバッファーとを含む水溶液3を作製する工程と、上記アルカリシリケート水溶液を上記水溶液に加え、pHを2より高く8より低い範囲として、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、濾過する工程と、乾燥する工程と、反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、を含む方法によって実現される。
【0066】
本発明の範囲内での反応混合物のpH変化は、反応時間または反応温度と共に、最終的な秩序化したメソポーラスシリカ材料のポアサイズを微調整する条件として使用することができる。上記ポアサイズは、pHの増加に伴い僅かに増加する。反応が行われるpHは、好ましくは2.2〜7.8の範囲であり、より好ましくは2.4〜7.6の範囲であり、特に好ましくは2.6〜7.4の範囲である。
【0067】
別の形態において、反応が行われるpHは、好ましくは2.8〜7.2の範囲、より好ましくは3〜7.2の範囲、特に好ましくは4〜7の範囲、より特に好ましくは5〜6.5の範囲である。
【0068】
実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を自己集合化する方法において、本発明では、攪拌速度は100〜700rpmの範囲が好ましい。
【0069】
上記ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体は、好ましくはプルロニックP123である。
【0070】
上記水溶液1は、好ましくは、少なくとも10重量%の水酸化ナトリウムと少なくとも27重量%のシリカとを含むケイ酸ナトリウム水溶液である。
【0071】
各種変更および変化は、試薬の量、本発明の工程における、pH、温度、攪拌速度もしくは反応時間、並びに、本発明の範囲もしくは精神から逸脱しない、系の構成および方法によって行なうことができることは、当業者にとって明白であろう。このような変化によって、4〜12nmの範囲内の望ましい最大ポアサイズを有する、本発明の狭いポアサイズ分布のメソポーラス材料を作製するための微調整を行なうことができる。
【0072】
(pKa値が3〜9である酸)
約3〜約9の範囲のpKa値を有する適切な酸は、下記表に示されるものが含まれる。
【0073】
【表2】

【0074】
実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を自己集合化する方法の好ましい形態において、本発明では、酸は4〜7のpKa値を有する。水溶液4へ水溶液1を加えることによって、pHは2を超え8未満となり、3〜9の範囲のpKaを有する酸のpKaとして同じ数値を有するpHよりも、1.5低いpH以上、1.5高いpH以下の範囲内のpHを実現する。即ち、アルカリシリケート溶液におけるアルカリと3〜9の範囲のpKaを有する酸とを混合する効果によってバッファー溶液を生成させる。クエン酸、酢酸、コハク酸およびリン酸が、特に好ましく、水溶液1および4の混合において、クエン酸塩/クエン酸バッファー、酢酸塩/酢酸バッファー、コハク酸塩/コハク酸バッファーまたはHPO/HPOバッファーをそれぞれ生成する。
【0075】
実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を自己集合化する方法の好ましい形態において、本発明では、酸は4〜7のpKa値を有し、2より高く8未満のpKa値の範囲内で緩衝作用を示す。
【0076】
(2より高く8未満のpHを有するバッファー)
2より高く8未満の上記pHは、好ましくは、バッファーの酸成分のpH範囲(即ち、上記バッファーの酸成分のpKaとして同じ数値を有するpHよりも、1.5低いpH以上、1.5高いpH以下の範囲内)であり、上記酸成分のpKaとして同じ数値を有するpHよりも、1.2低いpH以上、1.2高いpH以下の範囲内であることが更に好ましく、上記酸成分のpKaとして同じ数値を有するpHよりも、1.0低いpH以上、1.0高いpH以下の範囲内であることが特に好ましい。
【0077】
バッファーは、弱酸とその弱酸の塩との混合物、または弱酸の塩の混合物である。好ましいバッファーは、2.0〜7.9の全範囲、3.14±1.5、4.77±1.5および6.39±1.5のそれぞれに及ぶように重なる各pKa前後のバッファー領域を有する、クエン酸/クエン酸塩バッファー、並びに、2.66〜7.1の全領域、4.16±1.5および5.61±1.5のそれぞれに及ぶように重なる各pKa前後のバッファー領域を有する、コハク酸/コハク酸塩バッファーのような、2〜8の範囲内の多数のpKaを有するポリ酸の塩のポリ酸/塩に基づいたバッファーである。
【0078】
2より高く8未満のpHを有する好ましいバッファーは、2.5〜7.9のpH範囲のクエン酸ナトリウム/クエン酸バッファー、3.2〜6.2のpH範囲の酢酸ナトリウム/酢酸バッファー、3.0〜8.0のpH範囲のNaHPO/クエン酸バッファー、1〜5のpH範囲のHCl/クエン酸ナトリウムバッファー、6〜9のpH範囲のNaHPO/NaHPOバッファーを含む。
【0079】
上記ナトリウム/クエン酸バッファーは、好ましくは、クエン酸ナトリウム:クエン酸の重量比が0.1:1〜3.3:1の範囲である。
【0080】
(薬物)
Biopharmaceutical Classification System(BCS)は、水溶解性および腸浸透性に基づいて、薬物物質を分類するための枠組みである(Amidon,G.L.,Lennernas H.,Shah V.P.,and Crison J.R.,“A Theoretical Basis For a Biopharmaceutics Drug Classification: The Correlation of In Vitro Drug Product Dissolution and In Vivo Bioavailability”,Pharmaceutical Research,12: 413-420 (1995) and Adkin,D.A.,Davis,S.S.,Sparrow,R.A.,Huckle,P.D.and Wilding,I.R.,1995.The effect of mannitol on the oral bioavailability of cimetidine.J.Pharm.Sci.84,pp.1405-1409)。
【0081】
G.Amidonによって当初作り出されたBiopharmaceutical Classification System(BCS)は、経口投与の薬品を、それらの水溶性および腸細胞層を通じた浸透性によって、4つのクラスに分ける。BCSによれば、薬物物質は以下のように分類される。
クラスI 高浸透性、高溶解性
クラスII 高浸透性、低溶解性
クラスIII 低浸透性、高溶解性
クラスIV 低浸透性、低溶解性
この分類システムにおける関心は、早期の薬物開発における利用、およびライフサイクルを通じた製品変化のその後の管理に由来する。薬物開発の初期段階において、特定の薬物におけるクラスの知識は、その開発を続けるか、中止するのかについての決定に影響を与える重要な要因である。即時の放出形態(present delivey form)および本発明における適切な方法は、BCSシステムのクラス2薬物の生物学的利用能をより高めることによってこの決定事項を変更することができる。
【0082】
溶解性のクラス境界は、短時間作用型の(“IR”)処方の最も高い用量強度、並びにpH1〜7.5の水性媒体における試験薬物のpH溶解性の特徴に基づいている。溶解性は、フラスコの振動または滴定法または検証した安定性−指示検定による分析によって測定することができる。薬物物質は、最も多い用量強度が1〜7.5のpH範囲における水性媒体250ml以下に溶解する場合、良溶解性と判断される。250mlの体積見積は、8杯の水(1杯が約8オンス)を摂取した空腹な人の志願者に薬物生成物の投薬量を処方する典型的な生物学的等価性(BE)研究協定から導き出される。浸透性のクラス境界は、直接的には、人間の腸における細胞膜の至るところでの物質移動比の測定に基づいて、間接的には、人における薬物物質の吸収(吸収した投薬量の一部、全身の生物学的利用能ではない)の程度に基づいている。人での吸収の程度は、質量判定薬物動態考察(mass-balance pharmacokinetic studies);絶対的生物学的利用能考察;腸の浸透性法;人生体内での腸の潅流考察;および動物の生体内もしくは生体外での腸の潅流考察、を用いて測定される。生体外での浸透実験は、切除した、人または動物の腸組織を用いて行なうことができ、生体外での浸透実験は、上皮細胞単層を用いて行なうことができる。代わりに、人における薬物吸収の程度を予想する能力がある、人間ではない系を用いることができる(例えば、生体外での上皮細胞培養法)。胃腸管における不安定さを示唆する証拠がないため、薬物は、質量判定または静脈参照用量との比較に基づいた投薬量の90%以上が溶解する場合、溶解性が高いとみなされる。FDAガイドラインはpH7.5を提示しており、ICH/EUガイダンスはpH6.8を提示している。短時間作用型の薬物製品は、以下の各媒体((1)0.1N HClまたは酵素なしの擬似胃液USP;(2)pH4.5バッファー;および(3)pH6.8バッファーまたは酵素なしの擬似腸液USP)900ml以下において100rpmのUSP装置I(または50rpmの装置II)を用いて、薬物物質のラベル化した量の85%以上が30分以内に溶解した場合、急速溶解とみなされる。BCSに基づいて、低溶解性化合物は、最も高い用量が、37℃でpH1.2〜7.5の250ml以下の水性媒体に溶解しない化合物である(Cynthia K.Brown,et al.,"Acceptable Analytical: Practices for Dissolution Testing of Poorly Soluble Compounds",Pharmaceutical Technology (Dec.2004) 参照)。短時間作用型の(IR)薬物製品は、以下の各媒体((1)0.1N HClまたは酵素なしの擬似胃液USP;(2)pH4.5バッファー;および(3)pH6.8バッファーまたは酵素なしの擬似腸液USP)900ml以下において100rpmのU.S.Pharmacopeia(USP)装置I(または50rpmの装置II)を用いて、薬物物質のラベル化した量の85%以上が30分以内に溶解した場合、急速溶解とみなされる。
【0083】
薬物物質は、質量判定または静脈参照用量との比較に基づいた、人における吸収の程度が投薬量の90%より多いと決定される場合、高浸透性であるとみなされる。上記浸透性のクラス境界は、直接的には、人間の腸における細胞膜の至るところでの物質移動比の測定に基づいて、間接的には、人における薬物物質の吸収(吸収した投薬量の一部、全身の生物学的利用能ではない)の程度に基づいている。人での吸収の程度は、質量判定薬物動態考察;絶対的生物学的利用能考察;腸の浸透性法;人生体内での腸の潅流考察;および動物の生体内もしくは生体外での腸の潅流考察、を用いて測定される。生体外での浸透実験は、切除した、人または動物の腸組織を用いて行なうことができ、生体外での浸透実験は、上皮細胞単層を用いて行なうことができる。代わりに、人における薬物吸収の程度を予想する能力がある、人間ではないシステムを用いることができる(例えば、生体外での上皮細胞培養法)。質量判定または静脈参照用量との比較に基づいて、人での吸収の程度が投薬量の90%より大きいと決定される場合、薬物物質は、高浸透性であるとみなされる。質量判定または静脈参照用量との比較に基づいて、人での吸収の程度が投薬量の90%未満と決定される場合、薬物物質は、低浸透性であるとみなされる。IR薬物製品は、以下の各媒体((1)0.1N HClまたは酵素なしの擬似胃液USP;(2)pH4.5バッファー;および(3)pH6.8バッファーまたは酵素なしの擬似腸液USP)900ml以下において100rpmのUSP装置I(または50rpmの装置II)を用いて、薬物物質のラベル化した量の85%以上が30分以内に溶解した場合、急速溶解とみなされる。
【0084】
BCSクラスII薬物は、特に不溶性、またはゆっくり溶解するが、溶液からは、胃および/または腸の内面によってすぐに吸収される薬物である。よって、胃腸管の内面への長期暴露が吸収のためには要求される。このような薬物は多くの薬効分類において見出される。クラスII薬物は、特に不溶性または溶解が遅いが、溶液からは、胃および/または腸の内面によってすぐに吸収される薬物である。胃腸管の内面への長期暴露が吸収のためには要求される。このような薬物は多くの薬効分類において見出される。
【0085】
特別関心のあるクラスは、イトラコナゾールのような抗真菌薬である。既知のクラスII薬物の多くは疎水性であり、投与することがこれまで困難であった。その上、疎水性のため、薬物を摂取する時間において病人が食事をとるか断食するかどうかに依存して、吸収が大きく変化する傾向がある。言い換えると、このことは血清濃度のピークレベルに影響を与えることができ、投薬量の計算および投薬計画をより複雑にする。これら薬物の多くは、処方が簡単であり、且つ収率における多少の効率の悪さが受け入れられるように、比較的安価である。
【0086】
本発明の好ましい形態において、上記薬物は、フルコナゾール、テルコナゾール、ケトコナゾール、およびサペルコナゾールのような、イントラコナゾールまたは関係する薬物である。
【0087】
イトラコナゾールは、真菌感染症の治療に用いられるクラスII薬物であり、皮膚糸状菌(たむし感染症)、カンジタ菌、マラセジア属、およびクロモブラストミコーシスを含む、広い範囲の菌類に対して効果的である。イトラコナゾールは、イーストおよび他の菌類感染体における、細胞壁および重要な酵素を破壊することによって機能する。イトラコナゾールは、テストステロンレベルを減少させることもでき、これは、前立腺癌の治療に有用であり、過剰の副賢コルチコステロイドホルモンの生成を減らすことができ、これは、クッシング症候群に有用である。イトラコナゾールは、カプセルおよび経口溶液の形態で利用することができる。真菌感染症に対して、経口カプセルの望ましい投薬量は1日あたり200〜400mgである。
【0088】
イトラコナゾールは、1992年からカプセルの形態で、1997年から経口溶液の形態で、1999年から静脈処方(intravenous formulation)で利用することができる。イトラコナゾールは脂肪親和性が高いため、脂肪組織および化膿性滲出液において高濃度となる。しかしながら、水性液体中への浸透は、非常に制限されている。胃液酸度および食物は、経口製剤の吸収に大きく影響する(Bailey,et al.,pharmacotherapy,10: 146-153 (1990))。イトラコナゾール経口カプセルの吸収は、55%の生物学的利用能を有しているにもかかわらず、変わりやすく、予測できない。
【0089】
他の適切な薬物は、グリセオフルビンおよびグリセオベルジン(griseoverdin)のような関係する化合物;幾つかの抗マラリア性(anti-malaria)薬物(例えば、アトバクオン);免疫系調整剤(例えば、サイクロスポリン);および心臓血管の薬物(例えば、ジゴキシンおよびスピロノラクトン);およびイブプロフェン、のようなクラスIIの抗感染薬物を含む。加えて、ステロール類もしくはステロイドが使用し得る。ダナゾール、カルバマゾピン(carbamazopine)およびアシクロビルのような薬物は、本発明のメソポーラス材料へ取り込んでもよいし、更には薬品組成物中へ作製してもよい。
【0090】
ダナゾールはエチステロンから誘導され、合成ステロイドである。17a−プレグナ−2,4−ジエン−20−イノ[2,3−d]−イソオキサゾール−17−オールとして示されるダナゾールは、C2227NOの式で示され、337.46の分子量を有する。ダナゾールは、人体において見出される一群の天然ホルモン(アンドロゲン)と似ている合成ステロイドホルモンである。ダナゾールは、子宮内膜症の治療に用いられる。また、乳腺線維嚢胞症および遺伝性血管浮腫の治療にも有用である。ダナゾールは、ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンの生成を脳下垂体によって阻害することによってエストロゲンレベルを減少させるように機能する。ゴナドトロピンは、通常、エストロゲンおよびプロゲストゲンのような性ホルモンの生成を促進させ、このことは月経および排卵のような体内工程に関与している。経口投与されるダナゾールは、直接的には用量に依存しない、半減期が4〜5時間である生物学的利用能を有する。ダナゾールの投薬量の増加は、プラズマ濃度の増加に比例しない。用量を倍にすることによってプラズマ濃度が30〜40%のみの増加を生じ得ることが示されている。ダナゾールのピーク濃度は、2時間以内に現れるが、治療効果は通常1日量をとった後約6〜8週では生じない。
【0091】
アシクロビルは抗ウイルス薬として作用する合成ヌクレオシド類似物である。アシクロビルは、カプセル、錠剤および懸濁液の形態での経口投与に利用することができる。2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−6H−プリン−6−オンとして示される白色の結晶粉体であり、C11の実験式を有し、分子量は225である。アシクロビルは、本発明の上記メソポーラス材料の中に取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0092】
アシクロビルは、4時間毎に与えられる200mgの用量において20%の絶対的生物学的利用能を示し、2.5〜3.3時間の半減期を有する。加えて、上記生物学的利用能は、用量の増加と共に減少する。その低い生物学的利用能にもかかわらず、アシクロビルは、(ウイルスによってコード化された)チミジンキナーゼ(TK)に対する高い親和性による、ウイルス活性の阻害において特異的である。TKは、アシクロビルをヌクレオチド類似物へと変え、このことにより、ウイルスのDNAポリメラーゼの阻害および/または不活性化によって、そして、成長するウイルスのDNA鎖の末端を介してウイルスのDNAの複製を防ぐ。
【0093】
カルバマゼピンは、精神運動てんかんの治療、並びに部分てんかんの治療における添加物として用いられる。また、三叉神経痛に関連する痛みを和らげ、または小さくすることができる。それ単独での治療、またはリチウムもしくは神経安定薬との組み合わせとして与えられるカルバマゼピンは、急性躁病の治療および双極性障害の予防的治療において有用であることも見出されている。カルバマゼピンは、本発明の上記メソポーラス材料の中へ取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0094】
カルバマゼピンは、白色〜灰色の粉体であり、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドとして示され、分子量は236.77である。水には事実上不溶性であり、アルコールおよびアセトンには溶解する。錠剤の形態での生物学的利用能が89%であるにもかかわらず、カルバマゼピンの吸収は比較的遅い。1回の経口用量を取った場合、上記カルバマゼピン錠剤および噛むことができる錠剤によって、4〜24時間内に変化しないカルバマゼピンのピークプラズマ濃度をもたらす。カルバマゼピンの定常状態のプラズマ濃度における治療域は、通常4〜10mcg/mlである。
【0095】
他の代表的なクラスII化合物は、アモキシシリン、テトラサイクリンおよびメトロニダゾールを含む、ピロリ菌を殺す抗生物質、または酸抑制剤(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジンを含むH2ブロッカー;オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、およびパントプラゾールを含むプロトンポンプ阻害薬)、粘膜防御促進剤(mucosal defense enhancing agent)(ビスマス塩;ビスマスの塩基性サリチル酸塩(subsalicylate))および/またはムコ多糖類加水分解剤(mucolytic agents)(メガルドレート)を含む治療薬である。これら上述した種は、本発明の上記メソポーラス材料の中へ取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0096】
既知のクラスII薬物の多くは、疎水性であり、従来、投与することが困難であった。その上、疎水性のため、薬物を摂取する時間において病人が食事をとるか断食するかどうかに依存し、吸収が大きく変化する傾向がある。言い換えると、このことは血清濃度のピークレベルに影響を与え得る、投薬量の計算および投薬計画をより複雑にする。これら薬物の多くは、処方が簡単であり、且つ収率における多少の効率の悪さが受け入れられるように、比較的安価である。
【0097】
本発明の好ましい形態において、上記薬物はイトラコナゾール、並びにそれに関係するフルオコナゾール、ターコナゾール、ケトコナゾールおよびサペルコナゾールであり、このような種は、本発明のメソポーラス材料へ取り込んでもよいし、更には薬品組成物中へ作製してもよい。
【0098】
イトラコナゾールは、真菌感染症の治療に用いられるクラスII薬剤であり、皮膚糸状菌(たむし感染症)、カンジタ菌、マラセジア属、およびクロモブラストミコーシスを含む広い範囲の菌類に対して有効である。イトラコナゾールは、イーストおよび他の菌類感染体における、細胞壁および重要な酵素を破壊することによって機能する。イトラコナゾールは、テストステロンレベルを減少させることもでき、これは、前立腺癌の治療に有用であり、過剰の副賢コルチコステロイドホルモンの生成を減らすことができ、これは、クッシング症候群に有用である。イトラコナゾールは、カプセルおよび経口溶液の形態で利用することができる。真菌感染症に対して、経口カプセルの望ましい投薬量は1日あたり200〜400mgである。イトラコナゾールは、1992年からカプセルの形態で、1997年から経口溶液の形態で、1999年から静脈処方で利用することができる。イトラコナゾールは脂肪親和性が高いため、脂肪組織および化膿性滲出液において高濃度が達成される。しかしながら、水性液体中への浸透は、非常に制限されている。胃液酸度および食物は、経口製剤の吸収に激しく影響する(Bailey,et al.,pharmacotherapy,10: 146-153 (1990))。イトラコナゾール経口カプセルの吸収は、55%の生物学的利用能を有しているにもかかわらず、変わりやすく、予測できない。
【0099】
他のクラスII薬物は、スルファサラジン、グリセオフルビン、並びに、グリセオベルジン;幾つかの抗マラリア薬物(例えば、アトバクオン);免疫システム調整剤(例えば、サイクロスポリン);および心臓血管の薬物(例えば、ジゴキシンおよびスピロノラクトン);およびイブプロフェン(鎮痛剤);リトナビル、ネビラピン、ロピナビル(抗ウイルス薬);クロファジミン(ハンセン病治療薬);ジロキサニドフロエート(抗アメーバ薬);グリベンクラミド(抗糖尿病性);ニフェジピン(抗狭心症);スピロノラクトン(利尿薬);ダナゾールのようなステロイド性の薬物;カルバマゼピン、アシクロビルのような抗ウイルス薬等の関係する化合物等の抗感染薬物を含む。これらの種は、本発明のメソポーラス材料へ取り込んでもよいし、更には薬品組成物中へ作製してもよい。
【0100】
ダナゾールは、エチステロンから誘導され、合成ステロイドである。ダナゾールは、17a−プレグナ−2,4−ジエン−20−イノ[2,3−d]−イソオキサゾール−17−オールとして示され、C2227NOの式を有し、分子量は337.46である。ダナゾールは、子宮内膜症、乳腺線維嚢胞症および遺伝性血管浮腫の治療において用いられる。ダナゾールは、経口で投与され、直接的には用量に関係せず、半減期が4〜5時間である生物学的利用能を有する。ダナゾールにおける投薬量の増加は、プラズマ濃度における増加には比例しない。用量を倍にすると、プラズマ濃度が30〜40%のみの増加を生じ得ることが示されている。ダナゾールのピーク濃度は2時間以内に発生するが、治療効果は通常1日量をとった後、約6〜8週では生じない。
【0101】
アシクロビルは抗ウイルス薬として作用する合成ヌクレオシド類似物である。アシクロビルは、カプセル、錠剤および懸濁液の形態での経口投与に利用することができる。2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−6H−プリン−6−オンとして示される白色の結晶粉体であり、C11の実験式を有し、分子量は225である。アシクロビルは、4時間毎に与えられる200mgの用量において20%の絶対的生物学的利用能を示し、2.5〜3.3時間の半減期を有する。上記生物学的利用能は、用量の増加と共に減少する。その低い生物学的利用能にもかかわらず、アシクロビルは、(ウイルスによってコード化された)チミジンキナーゼ(TK)に対する高い親和性による、ウイルス活性の阻害において特異的である。TKは、アシクロビルをヌクレオチド類似物へと変え、このことにより、ウイルスのDNAポリメラーゼの阻害および/または不活性化によって、そして、成長するウイルスのDNA鎖の末端を介してウイルスのDNAの複製を防ぐ。アシクロビルは、本発明の上記メソポーラス材料の中に取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0102】
カルバマゼピンは、精神運動てんかんの治療、並びに部分てんかんの治療における添加物として用いられる。また、三叉神経痛と関連する痛みを和らげ、または小さくすることができる。それ単独での治療、またはリチウムもしくは神経安定薬と組合わせて与えられるカルバマゼピンは、急性躁病の治療および双極性障害の予防的治療において有用であることも見出されている。カルバマゼピンは、白色〜灰色の粉体であり、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドとして示され、分子量は236.77である。水には事実上不溶性であり、アルコールおよびアセトンには溶解する。錠剤の形態での生物学的利用能が89%であるにもかかわらず、カルバマゼピンの吸収は比較的遅い。1回の経口用量を取った場合、上記カルバマゼピン錠剤および噛むことができる錠剤によって、4〜24時間内に変化しないカルバマゼピンのピークプラズマ濃度がもたらされる。カルバマゼピンの定常状態のプラズマ濃度における治療域は、通常4〜10mcg/mlである。カルバマゼピンは、本発明の上記メソポーラス材料の中へ取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0103】
BCSクラスIV薬物(低浸透性、低溶解性)は、水に特に不溶性、またはゆっくりと溶解する薬物であり、GI浸透性が低い。
【0104】
ほとんどのクラスIV薬物は親油性薬物であり、その結果、GI浸透性が低い。例として、アセタゾールアミド、フロセミド、トブラマイシン、セフロキシミン、アロプリノール、ダプソーン、ドキシサイクリン、パラセタモール、ナリジクス酸、クロロチアジド、トブラマイシン、サイクロスポリン、タクロリムス、およびパクリタキセルが挙げられる。
【0105】
タクロリムスは、ストレプトミセス・ツクバエンシスによって生成するマイクロライド免疫抑制剤である。タクロリムスは、肝臓、腎臓、心臓、骨髄、小腸および膵臓、肺および気管、皮膚、角膜、および手足の動物移植モデルにおいて、ホストと、移植された移植片との存続を長引かせる。タクロリムスは、未知のメカニズムによって、T−リンパ球活性化の阻害を通じて免疫抑制剤として作用する。タクロリムスは、C4469NO・12HOの実験式で示され、式量は822.05である。タクロリムスは、外観が白色の結晶または結晶粉末である。水には事実上不溶性であり、エタノールには自由に溶解し、メタノールおよびクロロホルムには非常によく溶解する。タクロリムスは、カプセルで経口投与、または滅菌溶液として注射することに利用することができる。経口投与後の胃腸管からのタクロリムスの吸収は、不完全であり、変化し易い。タクロリムスの絶対的生物学的利用能は、1日2回の5mgの用量において約17%である。パクリタキセルは、細胞障害性および制癌の活性を示す化学療法薬である。パクリタキセルは、ヨーロッパイチイからの半合成の方法を経て得られる天然物である。
【0106】
治療に関する非常に大きな可能性について明白な評判があるが、パクリタキセルは、病人に関する、治療薬として幾つかの難点がある。これらは、水に対する極端に低い溶解性がある程度は原因であり、適切な投薬形態を規定することが困難である。パクリタキセルの低い水溶性のため、承認された最新の臨床処方(U.S.FDA)は、50%ポリオキシエチレン化したヒマシ油(CREMOPHOR EL(登録商標))および50%脱水したアルコールのパクリタキセル6mg/ml溶液からなる(Am.J.Hosp.Pharm.,48:1520-24 (1991) 参照)。ある場合には、過敏症を含む厳しい反応が、その低い水溶性を補償するためパクリタキセルと共に投与されるCREMOPHOR(登録商標)と関連して生じる。市販のパクリタキセル処方に対する過敏症反応の発病率、および血中でのパクリタキセル促進の可能性の結果、数時間の間注入されるその処方となるに違いない。加えて、病人は、注入前にステロイドおよび抗ヒスタミン剤で前処理されるに違いない。パクリタキセルは、注入のために、非水溶液で利用可能な白〜灰色の結晶粉体である。パクリタキセルは、親油性が高く、水不溶性である。このような親油性薬物は、本発明の上記メソポーラス材料の中へ取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0107】
水難溶性の化合物の例としては、一群のプロスタグランジン類から選ばれる貧溶解性薬物が挙げられ、例えば、プロスタグランジンE2、プロスタグランジンF2およびプロスタグランジンE1、プロテナーゼ阻害剤(例えば、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル)、細胞障害性の(例えば、パクリタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ダクトマイシン、ブレオマイシン)、メタロセン(例えば、チタンメタロセンジクロライド)、および脂質薬物共役(例えば、ジミナゼンステアリン酸塩およびジミナゼンオレイン酸塩)および通常非溶解性の抗感染薬(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、クリンダマイシン)、特に、駆虫薬(例えば、クロロキン、メフロキン、プリマキン、バンコマイシン、ベクロニウム、ペンタミジン、メトロニダゾール、ニモラゾール、チニダゾール、アトバクオン、ブバルバクォン、ニフルチオモックス)および抗炎症薬(例えば、サイクロスポリン、メトトレキサート、アザチオプリン)が挙げられる。これら生理活性化合物は、本発明の上記メソポーラス材料の中へ取り込んでもよく、更には、薬品組成物の中へ作製してもよい。
【0108】
(薬品組成物)
水難溶性薬物もしくは事実上水不溶性の薬物、または抗体断片もしくはヌクレオチド断片のような生理活性種を受け入れる、本発明の秩序化したメソポーラスシリカ材料は、薬品組成物として製剤することができ、選ばれた投薬経路(即ち、経口の、口の周囲の、局所の、経口的に、非経口の、直腸の、もしくは他の供給経路)に適した多様な形で、病人または家畜のような哺乳類ホストへ投薬することができる。
【0109】
本発明の秩序化したメソポーラスシリカ材料は、例えば、アプタマー(DNAアプタマー、RNAアプタマーまたはペプチドアプタマー)のような特定のターゲット分子と結合するように、小さいオリゴ核酸もしくはペプチド分子を受け入れ得る。小さなオリゴ核酸を受け入れる、または受け入れることを意図した、本発明のメソポーラス材料は、そのオリゴ核酸のハイブリダイゼーションに用いることができる。
【0110】
本発明の秩序化したメソポーラス材料は、難水溶性薬物、BCSクラスII薬物、BCSクラスIV薬物または事実上水に不溶性である化合物を受け入れ、水環境下での短時間での放出を引き起こすことに特に適している。例えば、イトラコナゾールは、本発明の秩序化したメソポーラスシリカ材料の中へ取り込まれ得る。
【0111】
本発明による薬物組成物(調合)は、例えば、"Guide Book of Japanese Pharmacopoeia"(Ed.of Editorial Committee of Japanese Pharmacopoeia,Version No.13,published Jul.10,1996 by Hirokawa publishing company)から任意で選択される方法によって生成し得る。本発明の新規メソポーラス材料は、小さい抗体断片を受け入れることに用いることができる。小さい抗体断片の例としては、Fv”断片、一本鎖Fv(scFv)抗体、抗体Fab断片、抗体Fab’断片、重鎖もしくは軽鎖CDRsの抗体断片、または抗体類(anobodies)がある。
【0112】
細孔の中へ水難溶性生理活性種を取り込んだ、洗浄、乾燥および焼成したCOK−10材料は、これらの水難溶性生理活性種を水性媒体の放出速度が改善されている。
【0113】
(秩序化したメソポーラスシリカ材料の取り込み)
溶媒が50/50(V/V)のジクロロメタン/エタノールである溶液は、1)イトラコナゾール、2)イトラコナゾール誘導体、3)極性表面積(PSA)が60Å〜200Å、好ましくは70Å〜160Å、より好ましくは80Å〜140Å、更に好ましくは90Å〜120Å、最も好ましくは95Å〜110Åの範囲であるトリアゾール化合物、4)分配係数(XlogP)が4〜9、より好ましくは5〜8、最も好ましくは6〜7の範囲であるトリアゾール化合物、5)10より多くの自由に回転する結合を有するトリアゾール化合物、6)極性表面積(PSA)が80〜200であり、分配係数が3〜8であり、8〜16の自由に回転する結合を有するトリアゾール化合物、または、7)極性表面積が80Åより広いトリアゾール化合物、のような生理活性種用に作製することができる。イトラコナゾール溶解工程を加速させるため、超音波分解を使用することができる。溶媒混合物1mlあたり50mg溶解した生理活性種を保持させることができる上記の溶液は、本発明のメソポーラス材料を含浸させ、当該生理活性種を細孔の中へ取り込ませ、上記メソポーラス材料中へ分子的に分散させることに適している。
【0114】
事実上水に不溶性である溶出化合物または水難溶性化合物に通常適している他の溶媒はジクロロメタン(CHCl)である。1mlあたり溶解した生理活性種50mgを保持する溶液は、本発明のメソポーラス材料を含浸し、当該生理活性種を細孔の中へ充填することに使用することができる。しかし、ジクロロメタンは、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−プロパノール、N−メチルピロリジノン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール等の、反応不活性溶媒のような、別の有機(炭素含有)溶媒に置き換えることができる。特に、1,4−ジオキサン(/−CH−CH−O−CH−CH−O−\)、テトラヒドロフラン(/−CH−CH−O−CH−CH−\)、アセトン(CH−C(=O)−CH)、アセトニトリル(CH−C≡N)、ジメチルホルムアミド(H−C(=O)N(CH)またはジメチルスルホキシド(CH−S(=O)−CH)からなる群から選択される貧非プロトン性溶媒、あるいは、ヘキサン(CH−CH−CH−CH−CH−CH)、ベンゼン(C)、トルエン(C−CH)、ジエチルエーテル(CHCH−O−CH−CH)、クロロホルム(CHCl)、酢酸エチル(CH−C(=O)−O−CH−CH)のような非極性溶媒からなる群から選択される一部に置き換えられることが適切である。その上、この発明の目的のための適切な有機(炭素含有の)溶媒は、水に難溶性の生理活性種もしくは薬が溶解する溶媒、または、水難溶性の薬物が高い溶解性を有する有機溶剤である。例えば、強い水素結合性を示す、フッ素化アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP,(CFCHOH)のような有機化合物は、水難溶性のアミドおよびエーテルのような水素結合受容体の役目を果たす物質に溶解させることに使用することができる。
【0115】
アミド類の生理活性種もしくは薬物化合物は、陰性物質の酸素および窒素原子と、電気的に中性な炭素原子との間の共有結合から生じるカルボニル(C=O)およびエーテル(N−C)双極子を含む。ここで、1級および2級アミドは、それぞれ、2つおよび1つのN−H双極子を含む。C=O双極子とより少ない程度のN−C双極子との存在によって、アミド類はH結合受容体として作用し、HFIPは適切な溶媒となる。例えば、有機溶媒の別の群としては、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)等の非極性溶媒が挙げられ、最も好ましいのは、ジクロロメタン(DCM)または塩化メチレンである。これらの溶媒は、ジアゼパム、α−メチル−p−チロシン、フェンシクリジン、キノリン酸、シムバスタチン、ロバスタチン;パクリタキセル、アルカロイド、カンナビノイドのような、生理活性種もしくは薬物に対する適切な溶媒である。ファイルおよびデータベースは、熟練者が、秩序化した上記メソポーラスオキシドの中へ、既知の難溶性の生物活性種を取り込ませる適切な溶媒を選択できるように、一般的な溶媒および薬物化合物(例えば、Cosmologic Gmbh & Co,GKのCOSMOfiles(商標))に利用することができる。
【0116】
任意の溶媒に対する新規構造の薬物の溶解性は、基本物性および相平衡関係を含む熱力学的基準を用いて計算することができる。例えば、複数の特徴付けられた分子と相互作用する、Cosmologic Gmbh & Co,GKのCOSMOfrag/COSMOtherm(商標)のような、計算化学および流体力学エキスパートシステム(T.Bieker,K.H.Simmrock,Comput.Chem.Eng.18 (Suppl.1) (1993) S25-S29;K.G.Joback,G.StepHanopoulos,Adv.Chem.Eng.21 (1995) 257-311;L.Constantinou,K.Bagherpour,R.Gani,J.A.Klein,D.T.Wu,Comput.Chem.Eng.20 (1996) 685-702.;J.Gmehling,C.Moellmann,Ind.Eng.Chem.Res.37 (1998) 3112-3123;M.Hostrup,P.M.Harper,R.Gani,Comput.Chem.Eng.23 (1999) 1395-1414 and R.Zhao,H.Cabezas,S.R.Nishtala,Green Chemical Syntheses and Processes,ACS Symposium Series 767,American Chemical Society,Washington,DC,2000,pp.230-243.)が挙げられる。また、別の方法として、熟練者にとって、不当な負担なく、選択した化合物の水溶解性を試験するMilliporeのBiomek(登録商標)FXのような自動化した薬物溶解性試験機の利用もある。
【実施例】
【0117】
以下の実施例は、COK−10およびCOK−12の合成について示しており、狭いメソポアサイズ分布を得るための最も好ましい合成条件について説明する。
【0118】
[実施例1]反応混合物のpHが5.8であるTPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いたCOK−10の合成
プルロニックP123界面活性剤(BASF)4.181gを、水107.554g、HCl溶液(2.4M)12.64g、および1Mテトラプロピルアンモニウムハイドロオキシド(TPAOH)溶液(Alpha社製)と、PP容器(500ml)中で混合した。この容器を35℃のオイルバスに置き、マグネチックスターラーで終夜攪拌した。第二のPP容器に、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel de Haen,purum,少なくとも10重量%のNaOHおよび少なくとも27重量%のSiO)10.411gを30.029gの水と混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)を用いて攪拌した。後者の溶液をオイルバス中のPP容器へ加えた。得られた溶液を35℃で5分間攪拌(400rpm)した。この工程の間、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが5.8になるように調製した。得られた反応混合物を、攪拌することなく、予備加熱されたオーブンで35℃、24時間置いた。24時間後、上記オーブンの温度を90℃まで上げ、24時間等温で維持した。
【0119】
得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過を行なった(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した材料のX線散乱パターンを図1に示す。回折ピークから、上記材料はメソスケールで秩序化していることが明らかになった。合成した粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。焼成したCOK−10材料の窒素吸着等温線を図2に示す。その測定は、Micromeritics Tristar 3000装置において行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図2B)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは、約11nmである。X線散乱(図1)と共に窒素吸着(図2)からの結果は、このCOK−10サンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図3)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0120】
[実施例2]反応混合物のpHが2.4であるTPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いたCOK−10の合成
プルロニックP123界面活性剤4.162gを、水107.093g、HCl溶液(2.4M)13.039g、および1M TPAOH溶液(Alpha社製)とPP容器(500ml)中で混合した。この容器を35℃のオイルバス中に置き、マグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel de Haen,purum,少なくとも10重量%NaOHおよび少なくとも27重量%のSiO)10.441gを水30.027gと混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記オイルバス中のPP容器へ加えた。得られた溶液を35℃で5分間攪拌(400rpm)した。この工程の間、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが2.4になるように調製した。得られた反応混合物を、攪拌することなく、予備加熱されたオーブンで35℃、24時間置いた。24時間後、上記オーブンの温度を90℃まで上げ、24時間等温で維持した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過を行なった(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0121】
この特定のCOK−10材料のX線散乱パターンにおける低q値での回折ピークの存在から(図4)、上記材料はメソスケールで秩序化していることが明らかになった。このサンプルの窒素吸着等温線は、Micromeritics Tristar装置を用いて決定した。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。窒素吸着等温線(図5)によって、ヒステリシスループを有するタイプIV等温線の存在が明らかになった。このヒステリシスループの分岐は傾斜が急であり、これはメソポアサイズ分布が狭いことを示す。メソポアサイズは、BJH法を用いて見積もられる(図5)。ポアサイズは約9nmである。
【0122】
上記サンプルの形態をSEM(図6)で調べた。
【0123】
[実施例3]反応混合物のpHが6.4である、TPAOHを用いないメソポーラス材料の合成(比較例)
プルロニックP123界面活性剤4.212gを、水107.592g、HCl溶液(2.4M)12.630g、およびNaOH0.066gとPP容器(500ml)で混合した。この容器を35℃のオイルバス中に置き、マグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel de Haen,purum,少なくとも10重量%NaOHおよび少なくとも27重量%のSiO)10.413gを水30.020gと混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記オイルバス中のPP容器へ加えた。得られた溶液を35℃で5分間攪拌(400rpm)した。この工程の間、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが6.4になるように調製した。得られた反応混合物を、攪拌することなく、予備加熱されたオーブンで35℃、24時間置いた。24時間後、上記オーブンの温度を90℃まで上げ、24時間等温で維持した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過を行なった(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。低角度領域におけるX線散乱パターン(図7)は、幾つかの回折ピークを示す。これは、上記材料がメソスケールで秩序化していることを示している。
【0124】
図8に示されるこのCOK−10材料のSEM写真によって、塊状粒子が存在することが明らかになった。このサンプルの窒素吸着等温線は、Micromeritics Tristar装置によって決定された(図9)。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。上記材料は、ヒステリシスを有する窒素吸着等温線を示し、メソポアの存在を示していた。ヒステリシスループの分岐は平行ではなかった。メソポアサイズ分布の分析によって、このサンプルでは、約5〜40nmの範囲内で、11nmが最も多い、非常に多種多様のメソポア直径が存在することが明らかになった。この実施例では、テトラプロピルアンモニウムのような有機カチオンがなければメソスケールでの秩序化は達成することが困難であることを示唆する。
【0125】
[実施例4]SBA−15の合成(比較例)
この実施例では、強酸性合成混合物を用いる。強酸性は、大量の2M HCl溶液を用いることによって得られる。プルロニックP123界面活性剤(BASF)4.1gを、HCl溶液(2M)120.1gとPP容器(500ml)において混合した。この容器を35℃のオイルバス中に置き、マグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel de Haen,purum,少なくとも10重量%NaOHおよび少なくとも27重量%のSiO)10.4gを水30.0gと混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記オイルバス中のPP容器へ加えた。得られた溶液を35℃で5分間攪拌(400rpm)した。得られた反応混合物を、攪拌することなく、予備加熱されたオーブンで35℃、24時間置いた。24時間後、上記オーブンの温度を90℃まで上げ、24時間等温で維持した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過を行なった(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。このSBA−15の窒素吸着等温線を図10に示す。得られたSBA−15材料は、約8nmのポアサイズを有している。測定は、Micromeritics Tristar 3000装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。得られたSBA−15材料のSEM写真を図11に示す。上記材料は塊状化したミクロンサイズ粒子の一種として現れる。
【0126】
[実施例5]反応混合物のpHが11.12であり、TPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いた合成実験(比較例)
プルロニックP123界面活性剤4.043gを、水140.335g、HCl溶液(2M)2.6g、および1M TPAOH溶液1.8mlとPP容器(500ml)で混合した。この容器を35℃のオイルバス中に置き、マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液10.428gを水5.510gと混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物へ加えた。得られた反応混合物を室温で5分間攪拌した(400rpm)。この工程の間、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが11.12になるように調製した。上記反応混合物は透明なゲルのままであった。シリカ粒子は形成されていなかった。11.12のpHは、COK−10材料を合成するための好ましい範囲外である。
【0127】
[実施例6]反応混合物のpHが8.9である、TPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いた合成実験(比較例)
プルロニックP123界面活性剤0.811gを、水22.1g、HCl溶液(2.4M)2.01g、および1M TPAOH溶液1.8mlとPP容器(60ml)で混合した。この容器を室温でマグネチックスターラー(400rpm)により攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液2.090gを水6.261gと混合した。この混合物を室温で5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物へ加えた。得られた反応混合物を室温で5分間攪拌した(400rpm)。この工程の間、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが8.9になるように調製した。この合成において混合物は透明なゲルのままであった。シリカ粒子は形成されていなかった。この実施例では、8.9のpHは、COK−10材料を合成するための好ましい範囲外であることを教示している。
【0128】
[実施例7]反応混合物のpHが5.8であり、TPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いたCOK−10の合成
プルロニックP123界面活性剤4.140gを、水107.55g、HCl溶液(2.4M)12.779、および1M TPAOH溶液1.8mlとPP容器(500ml)で混合した。この容器を室温でマグネチックスターラー(400rpm)によって終夜攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液10.448gを水30.324gと混合した。この混合物を室温でマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物へ加えた。得られた溶液を5分間、固定駆動電気攪拌機(direct drive electric mixer)で攪拌(400rpm)した。この工程の最後において、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが5.8になるように調製した。得られた反応混合物を、攪拌することなく、予備加熱されたオーブンで35℃、24時間置いた。24時間後、上記オーブンの温度を90℃まで上げ、24時間等温で維持した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過を行なった(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水100mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。窒素吸着等温線の測定はMicromeritics Tristar装置で行なった。測定の前に、サンプルを300℃で10時間予備加熱した(勾配:5℃/分)。窒素吸着等温線(図12)は、典型的な秩序化したメソポーラス材料の、平行で勾配が急である分岐を有するヒステリシスループを示した。このCOK−10材料は、最大量が9nm前後である狭いメソポアサイズ分布を有する(図12)。このCOK−10材料は、SEM(図13)によって約1μmと測定された球状粒子から構成される。焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンは、図14に示される。回折ピークの存在により、上記材料はメソスケールにおいて秩序化していることが明らかになった。
【0129】
[実施例8]実施例1のCOK−10からのイトラコナゾールの生体外での放出実験
イトラコナゾールは、難溶性の薬物化合物である。イトラコナゾール50.00mgをジクロロメタン1mlに溶解した。COK−10 150.03mgを上記イトラコナゾール溶液250μlで3回含浸させた。含浸させたCOK−10サンプルを真空オーブンにおいて40℃で乾燥させた。放出媒体は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を加えた(0.05重量%)擬似胃液(SGF)であった。イトラコナゾールを取り込んだCOK−10を、溶出溶媒20ml中に懸濁させた。上記懸濁液は730rpmで攪拌した。シリカ材料の取り込み量は、18重量%に達していた。溶解槽におけるイトラコナゾール濃度は、HPLCで決定した。イトラコナゾールの放出は、図15において時間に対してプロットされている。短期間で、COK−10製剤は、かなりの量のイトラコナゾールを溶出溶媒中へ放出する。5分後では、COK−10キャリアに含まれる20%のイトラコナゾールが放出された。30分後では、放出は30%近くとなった。
【0130】
[実施例9]本発明に従って合成されていない(比較例3において作製された)メソポーラス材料からのイトラコナゾールの生体外での放出実験
イトラコナゾール49.98mgをジクロロメタン1mlに溶解させた。実施例3のメソポーラス材料150.03mgを、イトラコナゾール溶液375μlで2回含浸させた。含浸させたメソポーラスシリカサンプルを40℃の真空オーブンで乾燥させた。放出媒体は、ラウリル硫酸ナトリウムを加えた(0.05重量%)擬似胃液(SGF)である。イトラコナゾールを取り込んだ上記メソポーラスシリカを溶出溶媒15mlにおいて懸濁させた。上記懸濁液を730rpmで攪拌した。シリカキャリアにおけるイトラコナゾールの取り込みは、15.65重量%に達した。溶解槽中のイトラコナゾール濃度は、HPLCで決定した。イトラコナゾールの放出は、図16において時間に対してプロットされている。図15で示されるCOK−10サンプルと比較して、この製剤の溶出溶媒中へのイトラコナゾールの放出量はずっと少ない。5分後では、わずか約7%のイトラコナゾールが溶媒へ放出された。60分後では、この量は15%に増加しただけであった。
【0131】
[実施例10]SBA−15(比較例4で作製された)からのイトラコナゾールの生体外での放出実験
イトラコナゾール50.05mgをジクロロメタン1mlで溶解した。実施例4に記載したように作製したSBA−15サンプル150.02mgをイトラコナゾール溶液250μlで3回含浸させた。含浸させたSBA−15サンプルは、真空オーブンにおいて40℃で乾燥させた。放出媒体は、ラウリル硫酸ナトリウムを加えた(0.05重量%)擬似胃液(SGF)であった。イトラコナゾールを取り込んだメソポーラスシリカを溶出溶媒20mlに懸濁させた。SBAシリカ材料におけるイトラコナゾールの取り込みは、18重量%に達した。上記懸濁液は1100rpmで攪拌した。溶解槽でのイトラコナゾール濃度は、HPLCで決定した。イトラコナゾールの放出は、図17において時間に対してプロットされている。図15で示されるCOK−10サンプルと比較して、この製剤の溶出溶媒中へのイトラコナゾールの放出量はずっと少ない。5分後では、わずか約5%のイトラコナゾールが溶媒へ放出された。60分後では、この量は18%に増加しただけであった。
【0132】
[実施例11]反応混合物のpHが6.06であり、TPAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いたCOK−10の室温合成
プルロニックP123界面活性剤4.116gを、水107.506g、HCl溶液(2.4M)12.78gおよび1M TPAOH溶液1.8mlと、PP容器(500ml)で混合した。この混合物(混合物1)を室温でマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液10.45gを水30.04gと混合した(混合物2)。この混合物を室温でマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物(混合物1)へ加えた。得られた反応混合物を5分間、固定駆動電気攪拌機で攪拌(200rpm)した。この工程の最後において、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが6.06になるように調製し、温度を24℃にした。得られた反応混合物を、攪拌することなく、室温で24時間置いた。得られた反応混合物を、減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。実施例1,2,3,4および7のように、温度を90℃まで上げ、24時間等温を維持することによって生じる相は生じていなかった。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0133】
このサンプルの窒素吸着等温線を図18(上部)に示す。上記等温線は、均一な細孔の存在が明らかとなる、平行な吸着および脱着分岐を有するヒステリシスを示す。上記細孔直径は、8nm前後と見積もられる(図18B、下部)。粒子のサイズおよび形状は、SEM(図19)で調べた。基本粒子サイズは1μ前後である。粒子は、大きな塊へ凝集している(図19)。焼成した材料のX線散乱パターンを図20に示す。回折ピークの存在によって、上記材料はメソスケールにおいて秩序化していることが明らかになる。このCOK−10メソポーラスシリカの難溶性薬物用キャリアとしての性能は、イトラコナゾールの生体外放出実験で評価した。上記メソポーラスキャリアは、21.38wt%のイトラコナゾールが取り込まれていた。短時間で、COK−10製剤は、かなりの量のイトラコナゾールを溶出溶媒中へ放出する。
【0134】
[実施例12]反応混合物のpHが5.75であり、TMAOH(SiO/TPAOH=25/1)を用いたCOK−10の室温合成
プルロニックP123界面活性剤4.154gを、水107.606g、HCl溶液(2.4M)12.762g、および1M TMAOH溶液1.8mlと、PP容器(500ml)において混合した。この混合物(混合物1)を室温でマグネチックスターラー(400rpm)によって攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液10.463gを水30.03gと混合した(混合物2)。この混合物を室温でマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物(混合物1)へ加えた。得られた反応混合物を5分間、固定駆動電気攪拌機で攪拌(200rpm)した。この工程の最後において、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが5.75になるように調製し、温度を22℃にした。得られた反応混合物を、攪拌することなく、室温で24時間保持させた。24時間後、反応混合物を90℃のオーブンに24時間置いた。得られた反応混合物を、減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0135】
このサンプルの窒素吸着等温線を図21(上部)に示す。上記等温線は、均一な細孔の存在が明らかとなる、平行な吸着および脱着分岐を有するヒステリシスを示す。上記細孔直径は、12nm前後と見積もられる(図21B、下部)。焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンを図22に示す。回折ピークの存在によって、上記材料はメソスケールにおいて秩序化していることが明らかになる。
【0136】
[実施例13]反応混合物のpHが6.5である、COK−10の合成
プルロニックP123界面活性剤4.090gを、水107.544g、およびHCl溶液(2.4M)12.017gと、PP容器(500ml)において混合した。この混合物(混合物1)を室温にてマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。第二のPP容器において、ケイ酸ナトリウム溶液10.43gを水31.0gと混合した(混合物2)。この混合物を室温でマグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。後者の溶液を上記界面活性剤混合物(混合物1)へ加えた。得られた反応混合物を5分間、固定駆動電気攪拌機で攪拌(200rpm)した。この工程の最後において、Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極を用いて、pHが6.5になるように調製し、温度を22℃にした。得られた反応混合物を、攪拌することなく、室温で24時間保持させた。温度を90℃まで上げ、24時間等温を維持することによって生じる相は生じていなかった。得られた反応混合物を、減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。最後に、上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0137】
このサンプルの窒素吸着等温線を図23(上部)に示す。上記等温線は、均一な細孔の存在が明らかとなる、平行な吸着および脱着分岐を有するヒステリシスを示す。上記細孔直径は、8nm前後と見積もられる(図23B、下部)。焼成したCOK−10材料のX線散乱パターンを図24に示す。回折ピークの存在によって、上記材料はメソスケールにおいて秩序化していることが明らかになる。
【0138】
[実施例14]反応混合物のpHが5.2である、室温でのバッファーを介したCOK−12(秩序化したメソポーラス材料)の合成
プルロニックP123界面活性剤4.060gを、水107.672g、クエン酸ナトリウム2.87gおよびクエン酸3.41gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは3.8であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen,purum,≧10%NaOH基準,≧27%SiO基準)10.420gを、水30.012gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に5.2で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0139】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図25に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは9.872nmである。
【0140】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図26(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図26B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出される。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図25)と共に窒素吸着(図26)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図27)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0141】
[実施例15]反応混合物のpHが4.9である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.109gを、水107.573g、クエン酸ナトリウム2.540gおよびクエン酸3.684gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは3.6であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0142】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen,purum,≧10%NaOH基準,≧27%SiO基準)10.424gを、水30.091gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に4.9で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0143】
合成および焼成した上記COK−12材料のX線散乱パターンを図28に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは10.091nmである。
【0144】
合成した上記材料の29Si MAS NMRスペクトルをBruker AMX300スペクトロメーター(7.0T)で記録した。4000スキャンを60秒のリサイクル遅延で積算した。サンプルは4mmジルコニアローターでパックした。ローターの回転周波数は5000Hzであった。テトラメチルシランをシフト参照のために使用した。Q3およびQ4シリカ種は、それぞれ−99および−109ppmにおいてブロードピークとして観測され、Q3/Q4比は0.59であり、このCOK−12材料のシリカ壁が高度に凝集していることを暗示していることがわかった。この値は、SBA−15サンプル(Zhao et al.,J.Am.Chem.Soc.,1998,Vol 120,No.24,p6024)のQ3/Q4比(0.78)と同等であるとみなすことができる。
【0145】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図29(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図29B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出される。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図28)と共に窒素吸着(図29)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図30)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0146】
[実施例16]反応混合物のpHが4.6である、90℃でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.116gを、水107.495g、クエン酸ナトリウム5.104gおよびクエン酸4.335gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは3.8であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo,InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0147】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen,purum,≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.434gを、水30.586gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に4.6で安定化した。上記瓶を24時間室温、およびオーブンにて24時間、90℃に維持した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0148】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図31に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは11.874である。
【0149】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図32(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図32B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出される。上記ポアサイズは約10nmである。X線散乱(図31)と共に窒素吸着(図32)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図33)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0150】
[実施例17]反応混合物のpHが5.6である、90℃でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.140gを、水107.574g、クエン酸ナトリウム7.340gおよびクエン酸3.005gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチックスターラー(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは4.7であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、 InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0151】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.405gを、水30.578gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に5.6で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0152】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図34に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは11.721nmである。
【0153】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図35(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図35B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出された。上記ポアサイズは約11nmである。X線散乱(図34)と共に窒素吸着(図35)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。
【0154】
[実施例18]反応混合物のpHが6.0である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.069gを、PP容器(500ml)において、水107.524g、クエン酸ナトリウム7.993gおよびクエン酸2.461gと混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは4.9であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0155】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.400gを、水30.000gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に6.0で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0156】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図36(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図36B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約5nmである。
【0157】
[実施例19]反応混合物のpHが5.6である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.087gを、PP容器(500ml)において、水107.625g、クエン酸ナトリウム7.308gおよびクエン酸2.994gと混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは4.7であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0158】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.410gを、水30.040gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に5.6で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0159】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図37に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは9.980nmである。
【0160】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図38(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図38B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図37)と共に窒素吸着(図38)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。
【0161】
[実施例20]反応混合物のpHが5.3である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.142gを、PP容器(500ml)において、水107.817g、クエン酸ナトリウム6.542gおよびクエン酸3.674gと混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは4.4であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0162】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.400gを、水30.10gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に5.3で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0163】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図39に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは9.871nmである。
【0164】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図40(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図38B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図39)と共に窒素吸着(図40)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。
【0165】
[実施例21]反応混合物のpHが5.1である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.149gを、PP容器(500ml)において、水107.523g、クエン酸ナトリウム5.771gおよびクエン酸4.086gと混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは4.2であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0166】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.409gを、水30.032gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に5.1で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0167】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図41に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは9.980nmである。
【0168】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図42(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図42B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図43)と共に窒素吸着(図42)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図43)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0169】
[実施例22]反応混合物のpHが4.6である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.129gを、水107.520g、クエン酸ナトリウム5.771gおよびクエン酸4.086gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは3.8であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0170】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.409gを、水30.032gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に4.6で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0171】
合成および焼成した上記材料のX線散乱パターンを図44に示す。上記材料は、2D−六方晶系の構造(p6m空間群)を有しており、メソスケールにおいて秩序化している。単位セルパラメーターは9.765nmである。
【0172】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図45(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図45B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約5nmである。X線散乱(図44)と共に窒素吸着(図45)からの結果は、このサンプルが秩序化したメソポーラス材料であることを示す。上記サンプルの形態をSEM(図46)で調べた。当該材料は、相互成長した粒子のネットワークからなる。
【0173】
[実施例23]反応混合物のpHが3.5である、室温でのバッファーを介したCOK−12の合成
プルロニックP123界面活性剤4.074gを、水108.436g、クエン酸ナトリウム0.751gおよびクエン酸7.695gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは3.5であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0174】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Riedel-de Haen、purum、≧10%NaOH基準、≧27%SiO基準)10.414gを、水30.059gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは3分後に3.5で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で550℃、8時間、空気オーブンにおいて焼成させた。
【0175】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図47(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。ヒステリシスループの急で平行な分岐は、ポアサイズが極めて均一であることを示している。上記ポアサイズ分布は、BJH法(図47B、下部)を用いた窒素吸着等温線から導き出した。上記ポアサイズは約4.5nmである。
【0176】
[実施例24]反応混合物のpHが5.20である、室温で系内バッファー形成を伴うCOK−12の合成(クエン酸ナトリウムの添加無し)
プルロニックP123界面活性剤4.00gを、水107.50gおよびクエン酸2.79gと、PP容器(500ml)において混合した。この溶液をマグネチック攪拌棒(400rpm)で終夜攪拌した。この溶液のpHは1.90であり、温度は22℃であった(Mettler Toledo、InLab(登録商標)Expert Pro pH電極)。
【0177】
PPビーカー(50ml)において、ケイ酸ナトリウム溶液(Merck 8%NaO、27%SiO基準)10.42gを、水30.01gと混合した。この混合物を室温にて5分間マグネチックスターラー(400rpm)で攪拌した。PP瓶において、機械的攪拌下(200rpm)で後者の溶液を上記界面活性剤へ加えた。得られた溶液を室温で5分間攪拌した(200rpm)。そのpHは0.5分後に5.20で安定化した。上記瓶を24時間室温に維持した。得られた反応混合物を減圧濾過した(粒子保持20〜25μm)。フィルター上の粉体を水300mlで洗浄した。得られた粉体をガラス容器中において24時間、60℃で乾燥した。合成した上記粉体を陶器製皿に移し、1℃/分の加熱速度で、300℃、8時間、更には550℃、8時間、空気オーブンで焼成させた。
【0178】
焼成した上記COK−12材料の窒素吸着等温線を図48(上部)に示す。タイプIV等温線は、メソポーラス材料の特徴である。そのポアサイズ分布は、平均径4.3nmの狭い分布である(図48B、下部参照)。
【0179】
本発明の他の形態は、ここで開示された明細書および発明の実践から当業者にとって明らかであろう。明細書および実施例は、典型的なものとしてのみ考慮され、以下の請求項に示される発明の範囲および精神と共に考慮されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4〜30nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法であり、
アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、
アルカリもしくはアルカリ土類水酸化物を含まず、ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体および2未満のpKaの酸を含む水溶液2を作製する工程と、
上記水溶液1を上記水溶液2へ添加して、pHを2より高く8より低い範囲として、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、
濾過する工程と、
乾燥する工程と、
反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
上記水溶液2がテトラアルキルアンモニウム界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記テトラアルキルアンモニウム界面活性剤が、炭素原子数1〜4のアルキル基を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記テトラアルキルアンモニウム界面活性剤が、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキシド(TPAOH)またはテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド(TMAOH)である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
上記ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体がプルロニックP123である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記アルカリシリケート水溶液が、10重量%以上の水酸化ナトリウムと、27重量%以上のシリカとを含むケイ酸ナトリウム水溶液である、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法によって得ることができる、4〜30nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、秩序化したメソポーラスシリカ材料。
【請求項8】
請求項7に記載の秩序化したメソポーラスシリカ材料と、生理活性種とを含む、薬品組成物。
【請求項9】
4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法であり、
アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、
ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体と、酸および塩基成分を含有する、pHが2より高く8未満であるバッファーとを含む水溶液3を作製する工程と、
上記アルカリシリケート水溶液を上記水溶液に加え、pHを2より高く8より低い範囲として、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、
濾過する工程と、
乾燥する工程と、
反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、
を含む方法。
【請求項10】
pHが2より高く8未満である上記バッファーは、クエン酸ナトリウム/クエン酸バッファー、酢酸ナトリウム/酢酸バッファー、NaHPO/クエン酸バッファー、HCl/クエン酸ナトリウムバッファーまたはNaHPO/NaHPOバッファーである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記クエン酸ナトリウム/クエン酸バッファーは、クエン酸ナトリウム:クエン酸の重量比が、0.10:1〜3.3:1の範囲内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料の自己集合化方法であり、
アルカリシリケート水溶液を含む水溶液1を作製する工程と、
ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体と、pKaが3〜9の酸とを含む水溶液4を作製する工程と、
上記水溶液1を上記水溶液4へ加え、それによって、pHを、pKaが3〜9の上記酸のpKaと同じ数値を有するpHよりも、1.5低いpH以上、1.5高いpH以下の範囲内である、2より高く8より低くし、成分間の反応を10〜100℃の温度範囲で起こさせる工程と、
濾過する工程と、
乾燥する工程と、
反応生成物を焼成して、実質的に均一なポアサイズを有する、2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料を生成させる工程と、
を含む方法。
【請求項13】
pKaが3〜8の上記酸が、クエン酸、酢酸、コハク酸またはリン酸であり、
水溶液1および4の混合によって、クエン酸塩/クエン酸バッファー、酢酸塩/酢酸バッファー、コハク酸塩/コハク酸バッファーまたはHPO/HPOバッファーが実現される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記ポリ(アルキレンオキシド)トリブロック共重合体がプルロニックP123である、請求項9〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
上記アルカリシリケート水溶液が、10重量%以上の水酸化ナトリウムと、27重量%以上のシリカとを含むケイ酸ナトリウム水溶液である、請求項9〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項9〜15の何れか1項に記載の方法によって得ることができる、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料。
【請求項17】
29Si MAS NMRを用いて得られた、Q4に対するQ3のシリカの比が0.65未満である、請求項16に記載の六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料。
【請求項18】
請求項16に記載の、4〜12nmの範囲の実質的に均一なポアサイズを有する2D−六方晶系の秩序化したメソポーラスシリカ材料と、生理活性種とを含む、薬品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公表番号】特表2011−518756(P2011−518756A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506686(P2011−506686)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055122
【国際公開番号】WO2009/133100
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510106692)フォーマック ファーマシューティカルズ ナムローゼ フェンノートシャップ (3)
【氏名又は名称原語表記】FORMAC Pharmaceuticals N.V.
【住所又は居所原語表記】Belgium,B−3001 Leuven,Gaston Geenslaan 1
【Fターム(参考)】