移動ステージ装置
【課題】駆動部間の調整を不要にして製造コストを抑えるとともに、移動体が延在する方向に小型化が可能な移動ステージ装置を提供する。
【解決手段】台状の移動体2を台厚方向に沿う移動方向Hに平行移動させる移動ステージ装置1であって、移動体に対して移動方向に対向する位置に配置された基台部3と、基台部と移動体との間に配置され、移動方向に直交する方向に沿う軸線C1を中心として、基台部に回動可能に支持されたアーム部4と、軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んでアーム部に設けられ、移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部5と、基台部と移動体との間に設けられ、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持する第2の支持部6と、基台部と移動体との間に配置され、アーム部に対して、軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部7とを備える。
【解決手段】台状の移動体2を台厚方向に沿う移動方向Hに平行移動させる移動ステージ装置1であって、移動体に対して移動方向に対向する位置に配置された基台部3と、基台部と移動体との間に配置され、移動方向に直交する方向に沿う軸線C1を中心として、基台部に回動可能に支持されたアーム部4と、軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んでアーム部に設けられ、移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部5と、基台部と移動体との間に設けられ、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持する第2の支持部6と、基台部と移動体との間に配置され、アーム部に対して、軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部7とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の移動ステージ装置として、例えば特許文献1に示すような基板を保持する平板状の基板保持部(移動体)の両端部の側面において、各側面の両端部をそれぞれ支持機構で支持するとともに各側面の中央部をアクチュエータ(駆動部)でそれぞれ支持し、2つのアクチュエータに同期して変位を生じさせることで基板保持部を基板を保持する面に直交する方向(移動方向)に移動させるものが知られている。
【特許文献1】特開平6−123787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の移動ステージ装置では、2つの駆動部を同期させる調整を行う必要があるので、各駆動部の調整に手間がかかり移動ステージ装置の製造コストが高くなっていた。また、移動体の両端部の側面をそれぞれ駆動部で支持していたので、移動体が延在する方向の移動ステージ装置の寸法が大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、駆動部間の調整を不要にして製造コストを抑えるとともに、移動体が延在する方向に小型化が可能な移動ステージ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の移動ステージ装置は、台状の移動体を台厚方向に沿う移動方向に平行移動させる移動ステージ装置であって、前記移動体に対して前記移動方向に対向する位置に配置された基台部と、該基台部と前記移動体との間に配置され、前記移動方向に直交する方向に沿う軸線を回動中心として、前記基台部に回動可能に支持されたアーム部と、前記軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んで前記アーム部に設けられ、前記移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部と、前記基台部と前記移動体との間に設けられ、該移動体を前記移動方向のみに移動可能に支持し、かつ前記第1の支持部が並ぶ前記直線回りの前記移動体の回動を規制して支持する第2の支持部と、前記基台部と前記移動体との間に配置され、前記アーム部に対して、前記軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【0006】
この発明によれば、アーム部が移動方向に直交する方向に沿う軸線を中心に回動しても、この軸線に平行な直線上に設けられた少なくとも2つの第1の支持部は軸線に平行に配置されるので、第1の支持部が移動方向に支持する台状の移動体を軸線に沿う方向において平行に保持することができる。また第2の支持部は、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持する。
そして駆動部によりアーム部に対して軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させることで、アーム部に駆動力を作用させても姿勢を保ったまま移動体を移動方向のみに移動させることができる。さらに、例えば同期がとられていない複数の駆動部でアーム部に駆動力を作用させた場合であっても同様の効果を得ることができる。従って、駆動部が1つに限らずに複数の場合でも、駆動部間の調整が不要になるので、移動ステージ装置の製造を容易に行うことが可能となり製造コストを抑えることができる。
また、アーム部、第1の支持部、第2の支持部及び駆動部は、基台部と移動体との間に配置されているので、移動ステージ装置を移動体が延在する方向に小型化することが可能となる。
【0007】
また、前記第2の支持部は、前記基台部と前記移動体を連結するとともに、前記移動体の前記基台部側の面の前記軸線に沿う方向の両端部に一対配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、第2の支持部は、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持するので、移動体の移動動作をより安定させることができる。
【0008】
また、前記駆動部は、前記移動方向に直交するとともに前記軸線に沿う方向に交差する1軸方向に延在して該1軸方向に伸縮可能に設けられ、該1軸方向の一端が前記基台部に固定されるとともに、前記1軸方向の他端が前記アーム部に係止されていることがより好ましい。
この発明によれば、駆動部は移動方向に直交する1軸方向に延在して設けられ、駆動部が1軸方向に伸縮することによりアーム部に駆動力を作用させる。駆動部は移動方向には伸縮しないので、移動ステージ装置を移動方向に対して小型化することが可能となる。
また、駆動部が延在する1軸方向は軸線に沿う方向に交差しているので、駆動部を1軸方向に伸縮させることで駆動部の1軸方向の他端に係止されるアーム部を軸線を中心として回動させることができる。
また、駆動部の1軸方向の一端は基台部に固定されるとともに駆動部の1軸方向の他端はアーム部に係止されている。これにより、駆動部を1軸方向に伸縮させた時に駆動部は1軸方向の一端側に移動することなく、駆動部の全変位の分だけ駆動部の1軸方向の他端に係止されるアーム部の部分を移動させることができる。従って、回動中心を中心に回動するアーム部の変位、及び移動体が移動方向に平行移動する範囲をより大きくすることができる。
【0009】
また、前記駆動部の前記1軸方向の他端と前記アーム部とが係止する位置は、前記第1の支持部が前記移動体を支持する位置より前記基台部側に配置されることがより好ましい。
この発明によれば、駆動部の1軸方向の他端とアーム部とが係止する位置から軸線までの距離よりも、第1の支持部が移動体を支持する位置から軸線までの距離の方が長くなる。従って、駆動部の1軸方向の他端の変位よりも第1の支持部が移動体を支持する位置の変位を大きくすることができ、移動体が移動方向に平行移動する範囲をより大きくすることが可能となる。
【0010】
また、前記アーム部は、前記基台部の前記移動体側の面に固定される固定部と、該固定部に前記軸線に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部を有し、前記アーム部は単一部材から一体に形成されていることがより好ましい。
この発明によれば、軸線に沿って設けられた薄肉部が移動方向に直交するようにして、単一部材から一体に形成されたアーム部のうちの固定部を基台部の移動体側の面に固定する。これより、移動方向に直交する方向に沿って設けられた屈曲部を回動中心として基台部に回動可能に支持されたアーム部を基台部上に容易に形成することができる。
【0011】
また、前記第1の支持部は転動体であり、該転動体は前記アーム部に回動可能に支持されるとともに、前記転動体は前記移動体に当接した時には該移動体に対して転動可能に配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、アーム部が軸線を中心に回動すると、アーム部に回動可能に支持された転動体が移動体の基台部側の面を転動するので、移動体に移動方向に直交する方向の力が作用することを抑えることができる。従って、移動体が移動方向に直交する方向に移動することをより効果的に規制することができる。
【0012】
また、前記移動体には前記移動方向に沿って貫通する孔部が設けられ、
前記基台部、前記アーム部、前記第1の支持部、前記第2の支持部及び前記駆動部は、前記孔部に重ならない位置に配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、移動体に設けられた孔部に配置された被検査物に移動方向から検査光等を照射し、被検査物を透過した検査光を孔部から基台部の方向に導くことが可能となる。また、基台部、アーム部、第1の支持部、第2の支持部及び駆動部は、孔部に重ならない位置に配置されているので、移動体から基台部まで遮られずに移動ステージ装置を通過した検査光を分析することにより、被検査物の検査等を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の移動ステージ装置によれば、駆動部間の調整を不要にして製造コストを抑えるとともに、移動体が延在する方向に小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1から図8は、本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図1は移動ステージ装置の分解斜視図、図2は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図3は図2おける切断線A1−A1の断面図、図4は移動ステージ装置の側面図、図5は図4における要部拡大図である。
図1に示すように、本実施形態の移動ステージ装置1は、台状のサンプル支持板2上に支持された被検査物Sの表面を検査する図示しない検査装置に用いられる。この検査装置は、サンプル支持板2の上方から図示しない検査光を照射しその反射光等を図示しない検出装置で測定することにより被検査物Sの表面を検査する。そして被検査物Sの表面を検査する時に、サンプル支持板2をその台厚方向に沿う移動方向Hに平行移動させることにより、検査光の焦点を合わせることが可能となっている。
なお、サンプル支持板2の厚さ方向とは被検査物Sを支持する面であるサンプル支持面2aに直交する方向であり、検出装置の通常の使用においては移動方向Hが鉛直方向であるZ方向となるように配置される。
【0015】
図1から図3に示すように、移動ステージ装置1は、サンプル支持板2に対して移動方向Hに対向する下方側の位置に配置された基台部3と、基台部3に対して一端側の固定部4aが固定されるとともに他端側の一対のロッド4dが回動可能に支持されて変位拡大機構を構成するアーム部4と、アーム部4の各ロッド4dに設けられた2つの第1の支持部5と、基台部3に下方側の両端部が固定されると共に上方側の略中央部がサンプル支持板2の下面に接続されて、このサンプル支持板2の動きを規制する2つの第2の支持部6と、アーム部4に対して回動のための駆動力を作用させる駆動部7とを備えている。
なお、サンプル支持板2は特許請求の範囲の移動体に相当する。また、以下で説明する構成は、駆動部7に図示しない電圧発生装置で電圧を印加していない状態を示している。
【0016】
サンプル支持板2は矩形の平板状に形成され、サンプル支持面2a及びサンプル支持面2aの裏側の面にあたる底面2bは、それぞれが移動方向Hに直交する互いに平行な平面となっている。
移動ステージ装置1の各構成のベースとなる基台部3は矩形の平板状に形成され、平板状の面はZ方向に直交するように設置される。そして本実施形態では基台部3のZ方向に直交する面の隣り合う2辺は互いに直交するように設定され、それらの2辺が配置される方向をX方向及びY方向とする。
【0017】
アーム部4は、基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)のX方向に沿って該面の一端側に配置され固定される箱状の固定部4aと、固定部4aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の下端部にX方向に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部4bと、固定部4aと略同形状の箱型で固定部4aに対向して配置され、自身の固定部4a側の面(側面)の下端部を屈曲部4bで連結されたロッドベース4cと、ロッドベース4cのY方向に直交する面におけるX方向の両端部にそれぞれ基端が固定されたY方向に延在する2つの棒状のロッド4dと、を備えている。
なお、後で詳しく説明するように、屈曲部4bが固定部4aに沿うように設けられる1方向を軸線C1、すなわち回動中心として、アーム部4はロッドベース4c及び2つのロッド4dを回動可能に基台部3に支持される。
また、ロッドベース4cの2つのロッド4dの基端が固定された面の中央部には、半球状に形成された伝達部材12の半球面がY方向であってロッド4dの先端側を向くように固定されている。
また、固定部4a、屈曲部4b、ロッドベース4c及び2つのロッド4dは、単一部材から一体に形成されている。具体的には、コ字形をした単一部材を準備し、このコ字形の両腕をロッド4dとし、このコ字形の底部に対して該コ字形の底面と平行な溝を設けることにより、該溝の底に残した部分を屈曲部4bとし、該溝によって区分けされたコ字形の底部の一方をロッドベース4c、他方を固定部4aとして形成されている。この溝の加工としては、放電加工が用いられる。なお、この単一の部材はステンレス製板材等の金属製弾性部材であることが好ましい。
【0018】
本実施形態では、2つのロッド4dにそれぞれ設けられる2つの第1の支持部5として、転動体であり回動の中心となる回動軸を有する転がり軸受けが用いられている。第1の支持部5は、軸線C1に平行な直線C2上に2つ並んで配置され、各ロッド4dの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド4dの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C2が一致するように回動自在に各ロッド4dの中央部に支持されている。各ロッド4dの中央部の位置には、後述する第2の支持部6の移動ガイド6bの中央部(移動ガイド6bのY方向の中央部)の位置と対応している。そして、ロッド4dの上面から上方に突出した2つの第1の支持部5はサンプル支持板2の底面2bを下方から移動方向Hに支持する。
【0019】
図1及び図4に示すように、基台部3上の2つの第2の支持部6は、壁状に形成され、各第2の支持部6の下面側及び上面側の突出した部位にて基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)とサンプル支持板2の底面2bとを連結するとともに、サンプル支持板2の底面2bの軸線C1に沿う方向、すなわちX方向の両端部に配置されている。
図4及び図5に示すように、第2の支持部6は、基台部3のサンプル支持板2側の面のY方向の両端部に固定された箱状の一対の固定ガイド6aと、一対の固定ガイド6aの間に隣接して配置されY方向に延在する箱状に形成されサンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド6bと、一対の固定ガイド6aと移動ガイド6bを連結する4つのくの字形状の弾性ヒンジ6cとを有する。この弾性ヒンジ6cの形成に際しては放電加工、レーザ加工等により第2の支持部6に対して貫通する貫通溝を設けることにより行う。
なお、移動ガイド6bの4隅には、段部6dがそれぞれ形成されており、サンプル支持板2側の段部6dは固定ガイド6a上面よりも突出し、基台部3側の段部6dは固定ガイド6a下面よりも窪んだ状態となっている。
【0020】
一対の固定ガイド6aのそれぞれの移動ガイド6b側の側面6e、及び移動ガイド6bの一対の固定ガイド6a側の側面6fは、それぞれY方向に直交するように形成された平面であり、対向して配置される固定ガイド6aの側面6eと移動ガイド6bの側面6fの間には所定の僅かな隙間が形成されている。
【0021】
図5に詳しく示すように、上方に配置された弾性ヒンジ6cは、移動ガイド6bの側面6fの上端部から段部6d側にY方向に伸びる第1の連結部6gと、固定ガイド6aの側面6eの上端部から第1の連結部6gの上方を第1の連結部6gに沿って伸びる第2の連結部6hと、第1の連結部6gと第2の連結部6hとを連結するヒンジ部6iと、を備えている。そして、第2の連結部6hの上面は段部6dの上面よりも低くなっているので、移動ガイド6bの段部6d上面は固定ガイド6aの上面よりも突出し、この段部6d上面がサンプル支持板2の底面2bに固定される。
同様に、下方に配置された弾性ヒンジ6cは、移動ガイド6bの側面6fの下端部から段部6d側にY方向に伸びる第1の連結部6gと、固定ガイド6aの側面6eの下端部の少し高い位置から第1の連結部6gの下方を第1の連結部6gに沿って伸びる第2の連結部6hと、第1の連結部6gと第2の連結部6hとを連結するヒンジ部6iと、を備えている。そして第2の連結部6hの下面は、固定ガイド6aの下面よりも高くなっているので、下方側に突出した固定ガイド6aの下面が基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)に固定される。
第1の連結部6gと第2の連結部6hはZ方向の厚さは薄いが、第1の連結部6g、第2の連結部6h及びヒンジ部6iはX方向の幅が広くなるように構成されている。
【0022】
図1から図3に示すように、駆動部7は、サンプル支持板2に対して平行に、より詳しくはY方向に沿って延在するように、基台部3から少しサンプル支持板2側に離間した位置に配置されている。そして、駆動部7の一端7aが基台部3のサンプル支持板2側の面の固定部4aが固定された位置とは反対側の位置にX方向に沿って固定された支持ブロック11に固定されるとともに、駆動部7の他端7bが伝達部材12に係止されている。
なお、特許請求の範囲の1軸方向は、Y方向に沿った方向となる。
駆動部7は箱状に形成された積層型の圧電素子であり、図示しない電圧発生装置から印加される電圧により駆動部7が延在するY方向に伸縮することが可能になっている。そして、図3に示すように、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1は、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2より基台部3側に配置される。
なお、本実施形態では駆動部7として積層型の圧電素子を用いたが、これに限ることなく磁歪素子等の他の固体状の変形素子を用いてもよい。
また、アーム部4、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、基台部3とサンプル支持板2との間に配置されている。
【0023】
次に、本実施形態の移動ステージ装置1の作用について、図6及び図7を用いて説明する。
図6(a)及び図6(b)はそれぞれ駆動部7に電圧を印加していない時及び駆動部7に所定の電圧を印加した時の構成を示す説明図である。また、図6(c)及び図6(d)はそれぞれ駆動部7に電圧を印加していない時及び駆動部7に所定の電圧を印加した時の各部材の変位を示す模式図である。
図6(a)及び図6(c)に示す駆動部7に電圧を印加していない状態から、図示しない電圧発生装置で駆動部7に所定の電圧を印加すると、駆動部7が伸びて駆動部7の他端7bがY方向の伝達部材12側に伸びて所定の大きさΔYだけ変位する。すると、図6(b)及び図6(d)に示すように、固定部4aを介して基台部3に固定された、薄肉で変形しやすい屈曲部4bを中心としてアーム部4のロッドベース4cが回動することにより、駆動部7の他端7bに係止される伝達部材12の位置もY方向にΔYだけ変位する。この時、ロッドベース4cを介してロッド4dには駆動部7から軸線C1回りのモーメントとなる駆動力を作用されていて、ロッド4dに支持された転動体である2つの第1の支持部5は、サンプル支持板2の底面2bを支持しながらロッド4dとともに軸線C1を中心に回動しながら、直線C2を中心に回動することになる。
こうして図7に示すように、第1の支持部5は、駆動部7に電圧を印加していない状態から所定の電圧を印加した状態となったときに、変位D1だけZ方向に移動する一方で、Y方向にも変位D2だけ移動している。
【0024】
図8に、駆動部7に所定の電圧を印加した時の移動ステージ装置1の要部拡大図を示す。この図は、駆動部7に電圧を印加していない図5に示す構成の移動ステージ装置1の駆動部7に所定の電圧を印加した時の構成を示している。
図8に示すように、サンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド6bは上方に移動する時に、第1の連結部6gと第2の連結部6hのZ方向の厚さは薄いのでZ方向に変形する。すなわち、上方に配置された弾性ヒンジ6cは第1の連結部6gと第2の連結部6hが変形してそれぞれの間隔が狭まり、下方に配置された弾性ヒンジ6cは第1の連結部6gと第2の連結部6hが変形してそれぞれの間隔が広がる。そして、上方及び下方に配置された弾性ヒンジ6cの両方から移動ガイド6bを下方に移動させる復元力が生じる。
ただし、第1の連結部6gと第2の連結部6hのX方向の幅が広いので弾性ヒンジ6cのX方向の変形が規制される。また、移動ガイド6bは、その4隅が弾性ヒンジ6cにより支持されているので、移動ガイド6bは移動方向H(Z方向)に平行移動するようになっている。
こうして第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能、かつX方向回りの回動を規制して支持することとなる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態における移動ステージ装置1によれば、アーム部4のロッドベース4cが軸線C1を中心に回動すると、この軸線C1に平行な直線C2上に設けられた2つの第1の支持部5は軸線C1に平行に配置され、直線C1を中心に回動するので、第1の支持部5が移動方向Hに支持する台状のサンプル支持板2を軸線C1に沿う方向において平行に保持することができる。また第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部5が複数並ぶ直線C2回りにサンプル支持板2が回動することを規制して支持している。
そして駆動部7によりアーム部4の伝達部材12に対して軸線C1回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させることで、ロッドベース4cを介してロッド4dに駆動力を作用させても姿勢を保ったままサンプル支持板2を移動方向Hのみに移動させることができる。
また、アーム部4、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、基台部3とサンプル支持板2との間に配置されているので、移動ステージ装置1をサンプル支持板2が延在する方向に小型化することが可能となる。
【0026】
また、第2の支持部6を、サンプル支持板2の基台部3側の面のX方向の両端部に備えることにより、第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部5が複数並ぶ直線C2回りにサンプル支持板2が回動することを規制して支持しているので、サンプル支持板2の移動動作をより安定させることができる。
【0027】
また、駆動部7は移動方向Hに直交する1軸方向に延在して設けられ、駆動部7が1軸方向に伸縮することによりアーム部4に駆動力を作用させる。駆動部7は移動方向Hには伸縮しないので、移動ステージ装置1を移動方向Hに対して小型化することが可能となる。
また、駆動部7が延在する1軸方向は軸線C1に沿う方向に交差しているので、駆動部7を1軸方向に伸縮させることで駆動部7の1軸方向の他端に係止されるアーム部4のロッドベース4cを介してロッド4dを軸線C1を中心として回動させることができる。
また、駆動部7の1軸方向の一端7aは基台部3に固定されるとともに駆動部7の1軸方向の他端7bはアーム部4に係止されている。これにより、駆動部7を1軸方向に伸縮させた時に駆動部7は1軸方向の一端7a側に移動することなく、駆動部7の全変位の分だけ駆動部7の1軸方向の他端7bに係止されるアーム部4の部分を移動させることができる。従って、回動中心となる軸線C1を中心に回動するアーム部4のロッド4dの変位、及びサンプル支持板2が移動方向Hに平行移動する範囲をより大きくすることができる。
【0028】
また、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1から軸線C1までの距離よりも、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2から軸線C1までの距離の方が長くなる。従って、駆動部7の1軸方向の他端7bの変位より第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2の変位を大きくすることができ、サンプル支持板2が移動方向Hに平行移動する範囲をより大きくすることが可能となる。
【0029】
また、薄肉部よりなる屈曲部4bの方向が移動方向Hに直交するように、単一部材から一体に形成されたアーム部4であって、このアーム部4の固定部4aを基台部3のサンプル支持板2側の面に固定している。これより、移動方向Hに直交する方向の屈曲部4bを回動中心として、基台部3上にロッドベース4c及びロッド4dを回動可能にするアーム部4を容易に形成することができる。
【0030】
また、アーム部4のロッド4dが軸線C1を中心に回動しても、ロッド4dに回動可能に支持された転動体である第1の支持部5がサンプル支持板2の基台部3側の面を転動するので、サンプル支持板2に移動方向Hに直交する方向の力が作用することを抑えることができる。従って、サンプル支持板2が移動方向Hに直交する方向に移動することをより効果的に規制することができる。
【0031】
また、伝達部材12のうち駆動部7の他端7bが係止する側は滑らかな半球状に形成されている。従って、駆動部7の他端7bがY方向の伝達部材12側に変位すると同時に伝達部材12が屈曲部4bを中心に回動するので、駆動部7の1軸方向の他端7bに対する伝達部材12の向きが変化しても、駆動部7の他端7bの変位を円滑にアーム部4に伝達することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図9から図11は、本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図9は移動ステージ装置の分解斜視図、図10は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図11は図10おける切断線A2−A2の断面図である。
なお説明の便宜上、本発明の第2実施形態において、前述の第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
図9から図11に示すように、第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、以下のようである。
まず、第2実施形態では、サンプル支持板22のサンプル支持面2aに移動方向Hに沿って貫通する孔部22aが設けられている。そして、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、孔部22aに重ならない位置に配置されている。なお、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7が孔部22aに重ならないとは、移動方向Hから見た平面視で、孔部22aに基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7が重なることなく配置されていることを意味する。
そして、第2実施形態では、駆動部7がY方向に延在するようにX方向に2つ並んで配置されている。
【0033】
基台部23の中央部には、サンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、孔部23aが設けられている。
【0034】
アーム部24は、固定部4aと、屈曲部4bと、ロッドベース4cと、ロッドベース4cのY方向に直交する面の中央部に基端が固定されたY方向に延在する1つの棒状のロッド24aと、を備えている。
ロッド24aの中央部には、アーム部24のロッドベース4cを介してロッド24aが軸線C1を中心に所定範囲を回動する間にサンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、孔部24bが設けられている。
ロッドベース4cの1つのロッド24aの基端が固定された面の両端部には、半球状に形成された2つの伝達部材12が、その半球面がY方向であってロッド24aの先端側を向くようにそれぞれ固定されている。
第1の支持部5は、軸線C1に平行な直線C3上に孔部22aを挟むように2つ並んで配置され、ロッド24aの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド24aの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C3が一致するように回動自在にロッド24aの中央部に支持されている。
【0035】
2つの駆動部7は、Y方向に沿って延在するように、基台部3から少しサンプル支持板22側に離間し伝達部材12に対向した位置にそれぞれ配置されている。
そして、それぞれの駆動部7の一端7aが支持ブロック11に固定されるとともに、2つの駆動部7の他端7bは2つの伝達部材12にそれぞれ係止されている。
なお、本実施形態の移動ステージ装置21の作用については、上記の第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態における移動ステージ装置21によれば、サンプル支持板22に設けられた孔部22aに配置された被検査物に移動方向Hから検査光等を照射し、被検査物を透過した検査光を孔部22aから基台部23の方向に導くことが可能となる。また、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、孔部22aに重ならない位置に配置されているので、サンプル支持板22から基台部23まで遮られずに移動ステージ装置21を通過した検査光を分析することにより、被検査物の検査等を行うことができる。
例えば、干渉計において、被検査物の透過波面を観察する際には、被検査物に検査光を透過させ、その検査光を分析する。その検査は、被検査物を載せる移動ステージ装置21に貫通孔があり、検査光を通過させる事により実現可能となる。
また、同期がとられていない2つの駆動部7でロッドベース4cを介してアーム部24に駆動力を作用させても、基台部23を移動方向Hに平行移動させることができる。従って、駆動部7間の調整が不要になるので、移動ステージ装置21の製造を容易に行うことが可能となり製造コストを抑えることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図12から図16は、本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図12は移動ステージ装置の分解斜視図、図13は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図14は図13おける切断線A3−A3の断面図である。
なお説明の便宜上、本発明の第3実施形態において、前述の第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
図12から図14に示すように、第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、以下のようである。
まず、第3実施形態では、第2実施形態と同様にサンプル支持板22のサンプル支持面2aに移動方向Hに沿って貫通する孔部22aが設けられている。そして、移動ステージ装置31を構成する要素、すなわち基台部23、アーム部34、第1の支持部5、第2の支持部6、伝達部材12、駆動部7及び後述する変換部41は、孔部22aに重ならない位置に配置されている。
そして、第3実施形態では、X方向に延在して配置される駆動部7は、駆動部7によるX方向への変位をZ方向への変位に変換する変換部41を介して基台部23の上面に固定されるとともにアーム部34の後述するロッドベース34cの下面に係止されている。
【0038】
アーム部34は、基台部23のサンプル支持板22側の面(上面)のX方向に沿って配置され固定される箱状の固定部34aと、固定部34aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の上端部にX方向に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部34bと、箱型で固定部34aに対向して配置され自身の固定部34a側の面(側面)の上端部を屈曲部34bで連結されたロッドベース34cと、ロッドベース34cのY方向に直交する面におけるX方向の両端部にそれぞれの基端が固定されたY方向に延在する2つの棒状のロッド34dと、を備えている。
具体的には、例えば、コ字形をして固定部34aに相当する側が折り曲げられた単一部材を準備し、このコ字形の両腕をロッド34dとし、このコ字形の底部をロッドベース34cとし、ロッドベース34cと折り曲げられた固定部34aとの間の底部に対して、コ字形の底面と平行な溝を放電加工により設けることにより形成されている。そして、折り曲げられた固定部34aの先端側が基台部23に固定されるが、固定部34aの基端側(すなわち、アーム部34の上面側)の高さは、第2の支持部6の高さよりも低く、また、サンプル支持板22の底面2bとの間に隙間が設けられている。
なお、屈曲部34bが固定部34aに沿うように設けられる1方向を軸線C4、すなわち回動中心として、アーム部34の固定部34aは、ロッドベース34cを介してロッド34dを回動可能に基台部23に支持される。
また、アーム部34のロッド34dが軸線C4を中心に所定範囲を回動する間にサンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、アーム部34の形状が決められている。
【0039】
第1の支持部5は、軸線C4に平行な直線C5上に2つ並んで配置され、各ロッド34dの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド34dの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C5が一致するように回動自在に各ロッド34dに支持されている。
【0040】
変換部41は板状の部材により構成され、Y方向を中心として駆動部7の外周面に沿って一周するように配置されている。より詳しく説明すると、変換部41は、駆動部7が延在するX方向の両端部に固定された一対の固定部41aと、駆動部7の中央部の上方と下方にZ方向に直交するようにそれぞれ配置された一対の支持部41bと、固定部41aと支持部41bとを連結する4つの連結部41cとを備えている。一対の支持部41bと駆動部7の対向する面とは間に一定の隙間をおいて配置されている。そして下方に配置された支持部41bの底面は基台部23の上面に固定されるとともに、上方に配置された支持部41bの上面には伝達部材12の半球面が鉛直上向きとなるように伝達部材12が固定され、伝達部材12はロッドベース34cの底面に係止されている。
また、変換部41に固定された駆動部7をロッドベース34cの底面に係止させるため、ロッドベース34cの底面は固定部34aの底面より上方になるように設定されている。
なお、本実施形態においては第1実施形態で用いられていた支持ブロック11は用いられない。また、変換部41のY方向からの概略形状は、ひし形状の隣り合う面間を連結する梁が架け渡されることにより形成される8角形状の薄肉構造体である。
【0041】
次に、本実施形態の移動ステージ装置31の作用について、図15及び図16を用いて説明する。図15(a)及び図15(b)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧(例えば最大電圧)を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の駆動部7と変換部41の変位を示す摸式図である。なお、図15(b)において、下げた電圧を印加することには、電圧を印加しないこと(電圧がゼロ)が含まれる。
また、図16(a)及び図16(b)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の移動ステージ装置31の構成を示す説明図、16(c)及び図16(d)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の移動ステージ装置31の変位を示す摸式図である。
【0042】
図15(a)に示す駆動部7に、図示しない電圧発生装置で所定の電圧(例えば最大電圧)を印加した状態から、駆動部7に印加する電圧を下げると、駆動部7が縮んで駆動部7の両端間の長さが短くなり、X方向に所定の大きさΔXだけ変位する。この時15(b)に示すように、駆動部7に固定された一対の固定部41a及び連結部41cを介して連結された一対の支持部41bの間の間隔が大きくなり、上方に配置された支持部41bの上面に固定された伝達部材12が上方に移動する。なお、図15(a)に示すように、所定の電圧を印加した時のX方向と連結部41cの変位する方向とがなす角度θを小さくするほど、駆動部7の変位によって、一対の支持部41bの間隔がより大きく変化するようになる。
そして、駆動部7に印加する電圧の制御により、図16(a)及び図16(c)に示す状態から、第1の支持部5を有するロッド34d及びロッドベース34cが屈曲部34bを中心に回動し、図16(b)及び図16(d)に示すように第1の支持部5により支持されたサンプル支持板22がZ方向の上方に平行移動する。
【0043】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
例えば、上記第1実施形態で備えられた第2の支持部6に替えて、図17に示すような、サンプル支持板2をサンプル支持面2aに対して直交する方向に移動させる第2の支持部46を用いてもよい。この第2の支持部46は、固定ガイド46aと移動ガイド46bとの間に放電加工やレーザ加工でH形に形成された各溝と、この各溝と固定ガイド46の上面及び移動ガイド46bの下面との間にそれぞれ形成された屈曲部46c(図17では8つある)を有する。そして、第2の支持部46は、4つの屈曲部46cが平行四辺形の各頂点の位置を保ったままで移動ガイド46bが移動することにより、基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)に固定された固定ガイド46aに対し、サンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド46bをZ方向に平行移動させるものである。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0044】
また、上記第1実施形態では、第1の支持部5として転がり軸受けを用いた。しかし転がり軸受けでなく図18に示すように他の転動体を用いてもよい。すなわち、図18(a)に示すようにボールベアー51を用いてもよいし、18(b)に示すように滑り軸受け52を用いてもよいし、18(c)に示すように板ばね53を用いてもよいし、18(d)に示すように弾性ヒンジ54を用いてもよい。
また第1の支持部5の先端部の角をサンプル支持板2の底面2bに当接させるようにして、該角を第1の支持部5としてもよい。この場合、滑りを良くするために、第1の支持部5の先端部の角とサンプル支持板2の底面2bとの間に潤滑剤を塗布したり、潤滑部材を組み込んだりすることが好ましい。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0045】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、アーム部4における固定部4a、屈曲部4b及びロッドベース4cを同一の部材から形成した。しかし、固定部とロッドベースを異なる部材から形成させ、板ばね等の別の部材である屈曲部で連結させてもよい。
上記第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0046】
また、上記第1実施形態では、アーム部4の一対のロッド4dに直線C2上に並んだ2つの第1の支持部5を回動自在に支持したが、直線C2上に並んだ3つ以上の第1の支持部5を一対のロッド4dに回動自在に支持してもよい。なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0047】
また、上記第1実施形態ではサンプル支持板2を矩形の平板状とした。しかしサンプル支持板2の上方の面であるサンプル支持面2a、及び下方の面である底面2bの形状は平面でなくてもよく、表面が波状や格子状に形成されていてもよい。また、サンプル支持板2の一端から他端にわたり厚さが徐々に変化するものであってもよい。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態におけるサンプル支持板22についても同様の構成とすることができる。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態において、伝達部材12を用いないで駆動部7の1軸方向の他端7bでアーム部4に直接駆動部7の駆動力を作用させてもよい。
【0048】
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、伝達部材12が半球状に形成されているとした。しかし、伝達部材12の形状はこの限りではなく、球面の一部の面等のなめらかな曲面でもよい。
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、基台部3又は基台部23上に一対の第2の支持部6が固定されていたが、固定される第2の支持部6の数は1つでもよい。
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、駆動部7を移動方向Zに平行に、又は移動方向Zに交差する方向に延在するように配置させてもよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1から軸線C1までの距離と、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2から軸線C1までの距離とが等しくなるように構成してもよい。
なお、上記第2実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0050】
また、上記第1実施形態では、屈曲部4bを固定部4aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の、上端部にX方向に沿って設けてもよい。なお、上記第2実施形態のアーム部24、第3実施形態のアーム部34についても同様の構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図3】図2における切断線A1−A1の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の側面図である。
【図5】図4における要部拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の構成を示す説明図及び各部の変位を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の第1の支持部の変位を示す模式図である。
【図8】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の駆動部に所定の電圧を印加した時の要部拡大図である。
【図9】本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図11】図10における切断線A2−A2の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図14】図13における切断線A3−A3の断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の駆動部と変換部の変位を示す模式図である。
【図16】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の説明図及び模式図である。
【図17】本発明の実施形態の第2の支持部の変形例を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態の第1の支持部の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1、21、31 移動ステージ装置
2、22 サンプル支持板(移動体)
3、23 基台部
4、24、34 アーム部
4a、24a、34a 固定部
4b、24b、34b 屈曲部
5 第1の支持部
6 第2の支持部
7 駆動部
C1、C4 回動軸
C2、C3、C5 直線
H 移動方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の移動ステージ装置として、例えば特許文献1に示すような基板を保持する平板状の基板保持部(移動体)の両端部の側面において、各側面の両端部をそれぞれ支持機構で支持するとともに各側面の中央部をアクチュエータ(駆動部)でそれぞれ支持し、2つのアクチュエータに同期して変位を生じさせることで基板保持部を基板を保持する面に直交する方向(移動方向)に移動させるものが知られている。
【特許文献1】特開平6−123787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の移動ステージ装置では、2つの駆動部を同期させる調整を行う必要があるので、各駆動部の調整に手間がかかり移動ステージ装置の製造コストが高くなっていた。また、移動体の両端部の側面をそれぞれ駆動部で支持していたので、移動体が延在する方向の移動ステージ装置の寸法が大きくなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、駆動部間の調整を不要にして製造コストを抑えるとともに、移動体が延在する方向に小型化が可能な移動ステージ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の移動ステージ装置は、台状の移動体を台厚方向に沿う移動方向に平行移動させる移動ステージ装置であって、前記移動体に対して前記移動方向に対向する位置に配置された基台部と、該基台部と前記移動体との間に配置され、前記移動方向に直交する方向に沿う軸線を回動中心として、前記基台部に回動可能に支持されたアーム部と、前記軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んで前記アーム部に設けられ、前記移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部と、前記基台部と前記移動体との間に設けられ、該移動体を前記移動方向のみに移動可能に支持し、かつ前記第1の支持部が並ぶ前記直線回りの前記移動体の回動を規制して支持する第2の支持部と、前記基台部と前記移動体との間に配置され、前記アーム部に対して、前記軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【0006】
この発明によれば、アーム部が移動方向に直交する方向に沿う軸線を中心に回動しても、この軸線に平行な直線上に設けられた少なくとも2つの第1の支持部は軸線に平行に配置されるので、第1の支持部が移動方向に支持する台状の移動体を軸線に沿う方向において平行に保持することができる。また第2の支持部は、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持する。
そして駆動部によりアーム部に対して軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させることで、アーム部に駆動力を作用させても姿勢を保ったまま移動体を移動方向のみに移動させることができる。さらに、例えば同期がとられていない複数の駆動部でアーム部に駆動力を作用させた場合であっても同様の効果を得ることができる。従って、駆動部が1つに限らずに複数の場合でも、駆動部間の調整が不要になるので、移動ステージ装置の製造を容易に行うことが可能となり製造コストを抑えることができる。
また、アーム部、第1の支持部、第2の支持部及び駆動部は、基台部と移動体との間に配置されているので、移動ステージ装置を移動体が延在する方向に小型化することが可能となる。
【0007】
また、前記第2の支持部は、前記基台部と前記移動体を連結するとともに、前記移動体の前記基台部側の面の前記軸線に沿う方向の両端部に一対配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、第2の支持部は、移動体を移動方向のみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部が並ぶ直線回りの移動体の回動を規制して支持するので、移動体の移動動作をより安定させることができる。
【0008】
また、前記駆動部は、前記移動方向に直交するとともに前記軸線に沿う方向に交差する1軸方向に延在して該1軸方向に伸縮可能に設けられ、該1軸方向の一端が前記基台部に固定されるとともに、前記1軸方向の他端が前記アーム部に係止されていることがより好ましい。
この発明によれば、駆動部は移動方向に直交する1軸方向に延在して設けられ、駆動部が1軸方向に伸縮することによりアーム部に駆動力を作用させる。駆動部は移動方向には伸縮しないので、移動ステージ装置を移動方向に対して小型化することが可能となる。
また、駆動部が延在する1軸方向は軸線に沿う方向に交差しているので、駆動部を1軸方向に伸縮させることで駆動部の1軸方向の他端に係止されるアーム部を軸線を中心として回動させることができる。
また、駆動部の1軸方向の一端は基台部に固定されるとともに駆動部の1軸方向の他端はアーム部に係止されている。これにより、駆動部を1軸方向に伸縮させた時に駆動部は1軸方向の一端側に移動することなく、駆動部の全変位の分だけ駆動部の1軸方向の他端に係止されるアーム部の部分を移動させることができる。従って、回動中心を中心に回動するアーム部の変位、及び移動体が移動方向に平行移動する範囲をより大きくすることができる。
【0009】
また、前記駆動部の前記1軸方向の他端と前記アーム部とが係止する位置は、前記第1の支持部が前記移動体を支持する位置より前記基台部側に配置されることがより好ましい。
この発明によれば、駆動部の1軸方向の他端とアーム部とが係止する位置から軸線までの距離よりも、第1の支持部が移動体を支持する位置から軸線までの距離の方が長くなる。従って、駆動部の1軸方向の他端の変位よりも第1の支持部が移動体を支持する位置の変位を大きくすることができ、移動体が移動方向に平行移動する範囲をより大きくすることが可能となる。
【0010】
また、前記アーム部は、前記基台部の前記移動体側の面に固定される固定部と、該固定部に前記軸線に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部を有し、前記アーム部は単一部材から一体に形成されていることがより好ましい。
この発明によれば、軸線に沿って設けられた薄肉部が移動方向に直交するようにして、単一部材から一体に形成されたアーム部のうちの固定部を基台部の移動体側の面に固定する。これより、移動方向に直交する方向に沿って設けられた屈曲部を回動中心として基台部に回動可能に支持されたアーム部を基台部上に容易に形成することができる。
【0011】
また、前記第1の支持部は転動体であり、該転動体は前記アーム部に回動可能に支持されるとともに、前記転動体は前記移動体に当接した時には該移動体に対して転動可能に配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、アーム部が軸線を中心に回動すると、アーム部に回動可能に支持された転動体が移動体の基台部側の面を転動するので、移動体に移動方向に直交する方向の力が作用することを抑えることができる。従って、移動体が移動方向に直交する方向に移動することをより効果的に規制することができる。
【0012】
また、前記移動体には前記移動方向に沿って貫通する孔部が設けられ、
前記基台部、前記アーム部、前記第1の支持部、前記第2の支持部及び前記駆動部は、前記孔部に重ならない位置に配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、移動体に設けられた孔部に配置された被検査物に移動方向から検査光等を照射し、被検査物を透過した検査光を孔部から基台部の方向に導くことが可能となる。また、基台部、アーム部、第1の支持部、第2の支持部及び駆動部は、孔部に重ならない位置に配置されているので、移動体から基台部まで遮られずに移動ステージ装置を通過した検査光を分析することにより、被検査物の検査等を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の移動ステージ装置によれば、駆動部間の調整を不要にして製造コストを抑えるとともに、移動体が延在する方向に小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1から図8は、本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図1は移動ステージ装置の分解斜視図、図2は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図3は図2おける切断線A1−A1の断面図、図4は移動ステージ装置の側面図、図5は図4における要部拡大図である。
図1に示すように、本実施形態の移動ステージ装置1は、台状のサンプル支持板2上に支持された被検査物Sの表面を検査する図示しない検査装置に用いられる。この検査装置は、サンプル支持板2の上方から図示しない検査光を照射しその反射光等を図示しない検出装置で測定することにより被検査物Sの表面を検査する。そして被検査物Sの表面を検査する時に、サンプル支持板2をその台厚方向に沿う移動方向Hに平行移動させることにより、検査光の焦点を合わせることが可能となっている。
なお、サンプル支持板2の厚さ方向とは被検査物Sを支持する面であるサンプル支持面2aに直交する方向であり、検出装置の通常の使用においては移動方向Hが鉛直方向であるZ方向となるように配置される。
【0015】
図1から図3に示すように、移動ステージ装置1は、サンプル支持板2に対して移動方向Hに対向する下方側の位置に配置された基台部3と、基台部3に対して一端側の固定部4aが固定されるとともに他端側の一対のロッド4dが回動可能に支持されて変位拡大機構を構成するアーム部4と、アーム部4の各ロッド4dに設けられた2つの第1の支持部5と、基台部3に下方側の両端部が固定されると共に上方側の略中央部がサンプル支持板2の下面に接続されて、このサンプル支持板2の動きを規制する2つの第2の支持部6と、アーム部4に対して回動のための駆動力を作用させる駆動部7とを備えている。
なお、サンプル支持板2は特許請求の範囲の移動体に相当する。また、以下で説明する構成は、駆動部7に図示しない電圧発生装置で電圧を印加していない状態を示している。
【0016】
サンプル支持板2は矩形の平板状に形成され、サンプル支持面2a及びサンプル支持面2aの裏側の面にあたる底面2bは、それぞれが移動方向Hに直交する互いに平行な平面となっている。
移動ステージ装置1の各構成のベースとなる基台部3は矩形の平板状に形成され、平板状の面はZ方向に直交するように設置される。そして本実施形態では基台部3のZ方向に直交する面の隣り合う2辺は互いに直交するように設定され、それらの2辺が配置される方向をX方向及びY方向とする。
【0017】
アーム部4は、基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)のX方向に沿って該面の一端側に配置され固定される箱状の固定部4aと、固定部4aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の下端部にX方向に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部4bと、固定部4aと略同形状の箱型で固定部4aに対向して配置され、自身の固定部4a側の面(側面)の下端部を屈曲部4bで連結されたロッドベース4cと、ロッドベース4cのY方向に直交する面におけるX方向の両端部にそれぞれ基端が固定されたY方向に延在する2つの棒状のロッド4dと、を備えている。
なお、後で詳しく説明するように、屈曲部4bが固定部4aに沿うように設けられる1方向を軸線C1、すなわち回動中心として、アーム部4はロッドベース4c及び2つのロッド4dを回動可能に基台部3に支持される。
また、ロッドベース4cの2つのロッド4dの基端が固定された面の中央部には、半球状に形成された伝達部材12の半球面がY方向であってロッド4dの先端側を向くように固定されている。
また、固定部4a、屈曲部4b、ロッドベース4c及び2つのロッド4dは、単一部材から一体に形成されている。具体的には、コ字形をした単一部材を準備し、このコ字形の両腕をロッド4dとし、このコ字形の底部に対して該コ字形の底面と平行な溝を設けることにより、該溝の底に残した部分を屈曲部4bとし、該溝によって区分けされたコ字形の底部の一方をロッドベース4c、他方を固定部4aとして形成されている。この溝の加工としては、放電加工が用いられる。なお、この単一の部材はステンレス製板材等の金属製弾性部材であることが好ましい。
【0018】
本実施形態では、2つのロッド4dにそれぞれ設けられる2つの第1の支持部5として、転動体であり回動の中心となる回動軸を有する転がり軸受けが用いられている。第1の支持部5は、軸線C1に平行な直線C2上に2つ並んで配置され、各ロッド4dの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド4dの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C2が一致するように回動自在に各ロッド4dの中央部に支持されている。各ロッド4dの中央部の位置には、後述する第2の支持部6の移動ガイド6bの中央部(移動ガイド6bのY方向の中央部)の位置と対応している。そして、ロッド4dの上面から上方に突出した2つの第1の支持部5はサンプル支持板2の底面2bを下方から移動方向Hに支持する。
【0019】
図1及び図4に示すように、基台部3上の2つの第2の支持部6は、壁状に形成され、各第2の支持部6の下面側及び上面側の突出した部位にて基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)とサンプル支持板2の底面2bとを連結するとともに、サンプル支持板2の底面2bの軸線C1に沿う方向、すなわちX方向の両端部に配置されている。
図4及び図5に示すように、第2の支持部6は、基台部3のサンプル支持板2側の面のY方向の両端部に固定された箱状の一対の固定ガイド6aと、一対の固定ガイド6aの間に隣接して配置されY方向に延在する箱状に形成されサンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド6bと、一対の固定ガイド6aと移動ガイド6bを連結する4つのくの字形状の弾性ヒンジ6cとを有する。この弾性ヒンジ6cの形成に際しては放電加工、レーザ加工等により第2の支持部6に対して貫通する貫通溝を設けることにより行う。
なお、移動ガイド6bの4隅には、段部6dがそれぞれ形成されており、サンプル支持板2側の段部6dは固定ガイド6a上面よりも突出し、基台部3側の段部6dは固定ガイド6a下面よりも窪んだ状態となっている。
【0020】
一対の固定ガイド6aのそれぞれの移動ガイド6b側の側面6e、及び移動ガイド6bの一対の固定ガイド6a側の側面6fは、それぞれY方向に直交するように形成された平面であり、対向して配置される固定ガイド6aの側面6eと移動ガイド6bの側面6fの間には所定の僅かな隙間が形成されている。
【0021】
図5に詳しく示すように、上方に配置された弾性ヒンジ6cは、移動ガイド6bの側面6fの上端部から段部6d側にY方向に伸びる第1の連結部6gと、固定ガイド6aの側面6eの上端部から第1の連結部6gの上方を第1の連結部6gに沿って伸びる第2の連結部6hと、第1の連結部6gと第2の連結部6hとを連結するヒンジ部6iと、を備えている。そして、第2の連結部6hの上面は段部6dの上面よりも低くなっているので、移動ガイド6bの段部6d上面は固定ガイド6aの上面よりも突出し、この段部6d上面がサンプル支持板2の底面2bに固定される。
同様に、下方に配置された弾性ヒンジ6cは、移動ガイド6bの側面6fの下端部から段部6d側にY方向に伸びる第1の連結部6gと、固定ガイド6aの側面6eの下端部の少し高い位置から第1の連結部6gの下方を第1の連結部6gに沿って伸びる第2の連結部6hと、第1の連結部6gと第2の連結部6hとを連結するヒンジ部6iと、を備えている。そして第2の連結部6hの下面は、固定ガイド6aの下面よりも高くなっているので、下方側に突出した固定ガイド6aの下面が基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)に固定される。
第1の連結部6gと第2の連結部6hはZ方向の厚さは薄いが、第1の連結部6g、第2の連結部6h及びヒンジ部6iはX方向の幅が広くなるように構成されている。
【0022】
図1から図3に示すように、駆動部7は、サンプル支持板2に対して平行に、より詳しくはY方向に沿って延在するように、基台部3から少しサンプル支持板2側に離間した位置に配置されている。そして、駆動部7の一端7aが基台部3のサンプル支持板2側の面の固定部4aが固定された位置とは反対側の位置にX方向に沿って固定された支持ブロック11に固定されるとともに、駆動部7の他端7bが伝達部材12に係止されている。
なお、特許請求の範囲の1軸方向は、Y方向に沿った方向となる。
駆動部7は箱状に形成された積層型の圧電素子であり、図示しない電圧発生装置から印加される電圧により駆動部7が延在するY方向に伸縮することが可能になっている。そして、図3に示すように、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1は、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2より基台部3側に配置される。
なお、本実施形態では駆動部7として積層型の圧電素子を用いたが、これに限ることなく磁歪素子等の他の固体状の変形素子を用いてもよい。
また、アーム部4、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、基台部3とサンプル支持板2との間に配置されている。
【0023】
次に、本実施形態の移動ステージ装置1の作用について、図6及び図7を用いて説明する。
図6(a)及び図6(b)はそれぞれ駆動部7に電圧を印加していない時及び駆動部7に所定の電圧を印加した時の構成を示す説明図である。また、図6(c)及び図6(d)はそれぞれ駆動部7に電圧を印加していない時及び駆動部7に所定の電圧を印加した時の各部材の変位を示す模式図である。
図6(a)及び図6(c)に示す駆動部7に電圧を印加していない状態から、図示しない電圧発生装置で駆動部7に所定の電圧を印加すると、駆動部7が伸びて駆動部7の他端7bがY方向の伝達部材12側に伸びて所定の大きさΔYだけ変位する。すると、図6(b)及び図6(d)に示すように、固定部4aを介して基台部3に固定された、薄肉で変形しやすい屈曲部4bを中心としてアーム部4のロッドベース4cが回動することにより、駆動部7の他端7bに係止される伝達部材12の位置もY方向にΔYだけ変位する。この時、ロッドベース4cを介してロッド4dには駆動部7から軸線C1回りのモーメントとなる駆動力を作用されていて、ロッド4dに支持された転動体である2つの第1の支持部5は、サンプル支持板2の底面2bを支持しながらロッド4dとともに軸線C1を中心に回動しながら、直線C2を中心に回動することになる。
こうして図7に示すように、第1の支持部5は、駆動部7に電圧を印加していない状態から所定の電圧を印加した状態となったときに、変位D1だけZ方向に移動する一方で、Y方向にも変位D2だけ移動している。
【0024】
図8に、駆動部7に所定の電圧を印加した時の移動ステージ装置1の要部拡大図を示す。この図は、駆動部7に電圧を印加していない図5に示す構成の移動ステージ装置1の駆動部7に所定の電圧を印加した時の構成を示している。
図8に示すように、サンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド6bは上方に移動する時に、第1の連結部6gと第2の連結部6hのZ方向の厚さは薄いのでZ方向に変形する。すなわち、上方に配置された弾性ヒンジ6cは第1の連結部6gと第2の連結部6hが変形してそれぞれの間隔が狭まり、下方に配置された弾性ヒンジ6cは第1の連結部6gと第2の連結部6hが変形してそれぞれの間隔が広がる。そして、上方及び下方に配置された弾性ヒンジ6cの両方から移動ガイド6bを下方に移動させる復元力が生じる。
ただし、第1の連結部6gと第2の連結部6hのX方向の幅が広いので弾性ヒンジ6cのX方向の変形が規制される。また、移動ガイド6bは、その4隅が弾性ヒンジ6cにより支持されているので、移動ガイド6bは移動方向H(Z方向)に平行移動するようになっている。
こうして第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能、かつX方向回りの回動を規制して支持することとなる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態における移動ステージ装置1によれば、アーム部4のロッドベース4cが軸線C1を中心に回動すると、この軸線C1に平行な直線C2上に設けられた2つの第1の支持部5は軸線C1に平行に配置され、直線C1を中心に回動するので、第1の支持部5が移動方向Hに支持する台状のサンプル支持板2を軸線C1に沿う方向において平行に保持することができる。また第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部5が複数並ぶ直線C2回りにサンプル支持板2が回動することを規制して支持している。
そして駆動部7によりアーム部4の伝達部材12に対して軸線C1回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させることで、ロッドベース4cを介してロッド4dに駆動力を作用させても姿勢を保ったままサンプル支持板2を移動方向Hのみに移動させることができる。
また、アーム部4、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、基台部3とサンプル支持板2との間に配置されているので、移動ステージ装置1をサンプル支持板2が延在する方向に小型化することが可能となる。
【0026】
また、第2の支持部6を、サンプル支持板2の基台部3側の面のX方向の両端部に備えることにより、第2の支持部6は、サンプル支持板2を移動方向Hのみに移動可能に支持し、かつ第1の支持部5が複数並ぶ直線C2回りにサンプル支持板2が回動することを規制して支持しているので、サンプル支持板2の移動動作をより安定させることができる。
【0027】
また、駆動部7は移動方向Hに直交する1軸方向に延在して設けられ、駆動部7が1軸方向に伸縮することによりアーム部4に駆動力を作用させる。駆動部7は移動方向Hには伸縮しないので、移動ステージ装置1を移動方向Hに対して小型化することが可能となる。
また、駆動部7が延在する1軸方向は軸線C1に沿う方向に交差しているので、駆動部7を1軸方向に伸縮させることで駆動部7の1軸方向の他端に係止されるアーム部4のロッドベース4cを介してロッド4dを軸線C1を中心として回動させることができる。
また、駆動部7の1軸方向の一端7aは基台部3に固定されるとともに駆動部7の1軸方向の他端7bはアーム部4に係止されている。これにより、駆動部7を1軸方向に伸縮させた時に駆動部7は1軸方向の一端7a側に移動することなく、駆動部7の全変位の分だけ駆動部7の1軸方向の他端7bに係止されるアーム部4の部分を移動させることができる。従って、回動中心となる軸線C1を中心に回動するアーム部4のロッド4dの変位、及びサンプル支持板2が移動方向Hに平行移動する範囲をより大きくすることができる。
【0028】
また、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1から軸線C1までの距離よりも、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2から軸線C1までの距離の方が長くなる。従って、駆動部7の1軸方向の他端7bの変位より第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2の変位を大きくすることができ、サンプル支持板2が移動方向Hに平行移動する範囲をより大きくすることが可能となる。
【0029】
また、薄肉部よりなる屈曲部4bの方向が移動方向Hに直交するように、単一部材から一体に形成されたアーム部4であって、このアーム部4の固定部4aを基台部3のサンプル支持板2側の面に固定している。これより、移動方向Hに直交する方向の屈曲部4bを回動中心として、基台部3上にロッドベース4c及びロッド4dを回動可能にするアーム部4を容易に形成することができる。
【0030】
また、アーム部4のロッド4dが軸線C1を中心に回動しても、ロッド4dに回動可能に支持された転動体である第1の支持部5がサンプル支持板2の基台部3側の面を転動するので、サンプル支持板2に移動方向Hに直交する方向の力が作用することを抑えることができる。従って、サンプル支持板2が移動方向Hに直交する方向に移動することをより効果的に規制することができる。
【0031】
また、伝達部材12のうち駆動部7の他端7bが係止する側は滑らかな半球状に形成されている。従って、駆動部7の他端7bがY方向の伝達部材12側に変位すると同時に伝達部材12が屈曲部4bを中心に回動するので、駆動部7の1軸方向の他端7bに対する伝達部材12の向きが変化しても、駆動部7の他端7bの変位を円滑にアーム部4に伝達することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図9から図11は、本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図9は移動ステージ装置の分解斜視図、図10は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図11は図10おける切断線A2−A2の断面図である。
なお説明の便宜上、本発明の第2実施形態において、前述の第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
図9から図11に示すように、第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、以下のようである。
まず、第2実施形態では、サンプル支持板22のサンプル支持面2aに移動方向Hに沿って貫通する孔部22aが設けられている。そして、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、孔部22aに重ならない位置に配置されている。なお、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7が孔部22aに重ならないとは、移動方向Hから見た平面視で、孔部22aに基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7が重なることなく配置されていることを意味する。
そして、第2実施形態では、駆動部7がY方向に延在するようにX方向に2つ並んで配置されている。
【0033】
基台部23の中央部には、サンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、孔部23aが設けられている。
【0034】
アーム部24は、固定部4aと、屈曲部4bと、ロッドベース4cと、ロッドベース4cのY方向に直交する面の中央部に基端が固定されたY方向に延在する1つの棒状のロッド24aと、を備えている。
ロッド24aの中央部には、アーム部24のロッドベース4cを介してロッド24aが軸線C1を中心に所定範囲を回動する間にサンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、孔部24bが設けられている。
ロッドベース4cの1つのロッド24aの基端が固定された面の両端部には、半球状に形成された2つの伝達部材12が、その半球面がY方向であってロッド24aの先端側を向くようにそれぞれ固定されている。
第1の支持部5は、軸線C1に平行な直線C3上に孔部22aを挟むように2つ並んで配置され、ロッド24aの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド24aの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C3が一致するように回動自在にロッド24aの中央部に支持されている。
【0035】
2つの駆動部7は、Y方向に沿って延在するように、基台部3から少しサンプル支持板22側に離間し伝達部材12に対向した位置にそれぞれ配置されている。
そして、それぞれの駆動部7の一端7aが支持ブロック11に固定されるとともに、2つの駆動部7の他端7bは2つの伝達部材12にそれぞれ係止されている。
なお、本実施形態の移動ステージ装置21の作用については、上記の第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態における移動ステージ装置21によれば、サンプル支持板22に設けられた孔部22aに配置された被検査物に移動方向Hから検査光等を照射し、被検査物を透過した検査光を孔部22aから基台部23の方向に導くことが可能となる。また、基台部23、アーム部24、第1の支持部5、第2の支持部6及び駆動部7は、孔部22aに重ならない位置に配置されているので、サンプル支持板22から基台部23まで遮られずに移動ステージ装置21を通過した検査光を分析することにより、被検査物の検査等を行うことができる。
例えば、干渉計において、被検査物の透過波面を観察する際には、被検査物に検査光を透過させ、その検査光を分析する。その検査は、被検査物を載せる移動ステージ装置21に貫通孔があり、検査光を通過させる事により実現可能となる。
また、同期がとられていない2つの駆動部7でロッドベース4cを介してアーム部24に駆動力を作用させても、基台部23を移動方向Hに平行移動させることができる。従って、駆動部7間の調整が不要になるので、移動ステージ装置21の製造を容易に行うことが可能となり製造コストを抑えることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図12から図16は、本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の説明図である。図12は移動ステージ装置の分解斜視図、図13は移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図、図14は図13おける切断線A3−A3の断面図である。
なお説明の便宜上、本発明の第3実施形態において、前述の第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して、その説明を省略する。
図12から図14に示すように、第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、以下のようである。
まず、第3実施形態では、第2実施形態と同様にサンプル支持板22のサンプル支持面2aに移動方向Hに沿って貫通する孔部22aが設けられている。そして、移動ステージ装置31を構成する要素、すなわち基台部23、アーム部34、第1の支持部5、第2の支持部6、伝達部材12、駆動部7及び後述する変換部41は、孔部22aに重ならない位置に配置されている。
そして、第3実施形態では、X方向に延在して配置される駆動部7は、駆動部7によるX方向への変位をZ方向への変位に変換する変換部41を介して基台部23の上面に固定されるとともにアーム部34の後述するロッドベース34cの下面に係止されている。
【0038】
アーム部34は、基台部23のサンプル支持板22側の面(上面)のX方向に沿って配置され固定される箱状の固定部34aと、固定部34aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の上端部にX方向に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部34bと、箱型で固定部34aに対向して配置され自身の固定部34a側の面(側面)の上端部を屈曲部34bで連結されたロッドベース34cと、ロッドベース34cのY方向に直交する面におけるX方向の両端部にそれぞれの基端が固定されたY方向に延在する2つの棒状のロッド34dと、を備えている。
具体的には、例えば、コ字形をして固定部34aに相当する側が折り曲げられた単一部材を準備し、このコ字形の両腕をロッド34dとし、このコ字形の底部をロッドベース34cとし、ロッドベース34cと折り曲げられた固定部34aとの間の底部に対して、コ字形の底面と平行な溝を放電加工により設けることにより形成されている。そして、折り曲げられた固定部34aの先端側が基台部23に固定されるが、固定部34aの基端側(すなわち、アーム部34の上面側)の高さは、第2の支持部6の高さよりも低く、また、サンプル支持板22の底面2bとの間に隙間が設けられている。
なお、屈曲部34bが固定部34aに沿うように設けられる1方向を軸線C4、すなわち回動中心として、アーム部34の固定部34aは、ロッドベース34cを介してロッド34dを回動可能に基台部23に支持される。
また、アーム部34のロッド34dが軸線C4を中心に所定範囲を回動する間にサンプル支持板22の孔部22aに重ならないように、アーム部34の形状が決められている。
【0039】
第1の支持部5は、軸線C4に平行な直線C5上に2つ並んで配置され、各ロッド34dの上面に設けられた穴部に各第1の支持部5の一部がロッド34dの上方に突出するように収容されるとともに、第1の支持部5の回動軸と直線C5が一致するように回動自在に各ロッド34dに支持されている。
【0040】
変換部41は板状の部材により構成され、Y方向を中心として駆動部7の外周面に沿って一周するように配置されている。より詳しく説明すると、変換部41は、駆動部7が延在するX方向の両端部に固定された一対の固定部41aと、駆動部7の中央部の上方と下方にZ方向に直交するようにそれぞれ配置された一対の支持部41bと、固定部41aと支持部41bとを連結する4つの連結部41cとを備えている。一対の支持部41bと駆動部7の対向する面とは間に一定の隙間をおいて配置されている。そして下方に配置された支持部41bの底面は基台部23の上面に固定されるとともに、上方に配置された支持部41bの上面には伝達部材12の半球面が鉛直上向きとなるように伝達部材12が固定され、伝達部材12はロッドベース34cの底面に係止されている。
また、変換部41に固定された駆動部7をロッドベース34cの底面に係止させるため、ロッドベース34cの底面は固定部34aの底面より上方になるように設定されている。
なお、本実施形態においては第1実施形態で用いられていた支持ブロック11は用いられない。また、変換部41のY方向からの概略形状は、ひし形状の隣り合う面間を連結する梁が架け渡されることにより形成される8角形状の薄肉構造体である。
【0041】
次に、本実施形態の移動ステージ装置31の作用について、図15及び図16を用いて説明する。図15(a)及び図15(b)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧(例えば最大電圧)を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の駆動部7と変換部41の変位を示す摸式図である。なお、図15(b)において、下げた電圧を印加することには、電圧を印加しないこと(電圧がゼロ)が含まれる。
また、図16(a)及び図16(b)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の移動ステージ装置31の構成を示す説明図、16(c)及び図16(d)はそれぞれ駆動部7に所定の電圧を印加した時及び駆動部7に所定の電圧から下げた電圧を印加した時の移動ステージ装置31の変位を示す摸式図である。
【0042】
図15(a)に示す駆動部7に、図示しない電圧発生装置で所定の電圧(例えば最大電圧)を印加した状態から、駆動部7に印加する電圧を下げると、駆動部7が縮んで駆動部7の両端間の長さが短くなり、X方向に所定の大きさΔXだけ変位する。この時15(b)に示すように、駆動部7に固定された一対の固定部41a及び連結部41cを介して連結された一対の支持部41bの間の間隔が大きくなり、上方に配置された支持部41bの上面に固定された伝達部材12が上方に移動する。なお、図15(a)に示すように、所定の電圧を印加した時のX方向と連結部41cの変位する方向とがなす角度θを小さくするほど、駆動部7の変位によって、一対の支持部41bの間隔がより大きく変化するようになる。
そして、駆動部7に印加する電圧の制御により、図16(a)及び図16(c)に示す状態から、第1の支持部5を有するロッド34d及びロッドベース34cが屈曲部34bを中心に回動し、図16(b)及び図16(d)に示すように第1の支持部5により支持されたサンプル支持板22がZ方向の上方に平行移動する。
【0043】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
例えば、上記第1実施形態で備えられた第2の支持部6に替えて、図17に示すような、サンプル支持板2をサンプル支持面2aに対して直交する方向に移動させる第2の支持部46を用いてもよい。この第2の支持部46は、固定ガイド46aと移動ガイド46bとの間に放電加工やレーザ加工でH形に形成された各溝と、この各溝と固定ガイド46の上面及び移動ガイド46bの下面との間にそれぞれ形成された屈曲部46c(図17では8つある)を有する。そして、第2の支持部46は、4つの屈曲部46cが平行四辺形の各頂点の位置を保ったままで移動ガイド46bが移動することにより、基台部3のサンプル支持板2側の面(上面)に固定された固定ガイド46aに対し、サンプル支持板2の底面2bに固定された移動ガイド46bをZ方向に平行移動させるものである。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0044】
また、上記第1実施形態では、第1の支持部5として転がり軸受けを用いた。しかし転がり軸受けでなく図18に示すように他の転動体を用いてもよい。すなわち、図18(a)に示すようにボールベアー51を用いてもよいし、18(b)に示すように滑り軸受け52を用いてもよいし、18(c)に示すように板ばね53を用いてもよいし、18(d)に示すように弾性ヒンジ54を用いてもよい。
また第1の支持部5の先端部の角をサンプル支持板2の底面2bに当接させるようにして、該角を第1の支持部5としてもよい。この場合、滑りを良くするために、第1の支持部5の先端部の角とサンプル支持板2の底面2bとの間に潤滑剤を塗布したり、潤滑部材を組み込んだりすることが好ましい。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0045】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、アーム部4における固定部4a、屈曲部4b及びロッドベース4cを同一の部材から形成した。しかし、固定部とロッドベースを異なる部材から形成させ、板ばね等の別の部材である屈曲部で連結させてもよい。
上記第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0046】
また、上記第1実施形態では、アーム部4の一対のロッド4dに直線C2上に並んだ2つの第1の支持部5を回動自在に支持したが、直線C2上に並んだ3つ以上の第1の支持部5を一対のロッド4dに回動自在に支持してもよい。なお、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0047】
また、上記第1実施形態ではサンプル支持板2を矩形の平板状とした。しかしサンプル支持板2の上方の面であるサンプル支持面2a、及び下方の面である底面2bの形状は平面でなくてもよく、表面が波状や格子状に形成されていてもよい。また、サンプル支持板2の一端から他端にわたり厚さが徐々に変化するものであってもよい。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態におけるサンプル支持板22についても同様の構成とすることができる。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態において、伝達部材12を用いないで駆動部7の1軸方向の他端7bでアーム部4に直接駆動部7の駆動力を作用させてもよい。
【0048】
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、伝達部材12が半球状に形成されているとした。しかし、伝達部材12の形状はこの限りではなく、球面の一部の面等のなめらかな曲面でもよい。
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、基台部3又は基台部23上に一対の第2の支持部6が固定されていたが、固定される第2の支持部6の数は1つでもよい。
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、駆動部7を移動方向Zに平行に、又は移動方向Zに交差する方向に延在するように配置させてもよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では、駆動部7の1軸方向の他端7bと伝達部材12とが係止する位置P1から軸線C1までの距離と、第1の支持部5がサンプル支持板2を支持する位置P2から軸線C1までの距離とが等しくなるように構成してもよい。
なお、上記第2実施形態においても同様の構成とすることができる。
【0050】
また、上記第1実施形態では、屈曲部4bを固定部4aのY方向に直交し基台部3の内側を向いた面の、上端部にX方向に沿って設けてもよい。なお、上記第2実施形態のアーム部24、第3実施形態のアーム部34についても同様の構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図3】図2における切断線A1−A1の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の側面図である。
【図5】図4における要部拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の構成を示す説明図及び各部の変位を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の第1の支持部の変位を示す模式図である。
【図8】本発明の第1実施形態の移動ステージ装置の駆動部に所定の電圧を印加した時の要部拡大図である。
【図9】本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図11】図10における切断線A2−A2の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の分解斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の一部を破断して示す平面図である。
【図14】図13における切断線A3−A3の断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の駆動部と変換部の変位を示す模式図である。
【図16】本発明の第3実施形態の移動ステージ装置の説明図及び模式図である。
【図17】本発明の実施形態の第2の支持部の変形例を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態の第1の支持部の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1、21、31 移動ステージ装置
2、22 サンプル支持板(移動体)
3、23 基台部
4、24、34 アーム部
4a、24a、34a 固定部
4b、24b、34b 屈曲部
5 第1の支持部
6 第2の支持部
7 駆動部
C1、C4 回動軸
C2、C3、C5 直線
H 移動方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台状の移動体を台厚方向に沿う移動方向に平行移動させる移動ステージ装置であって、
前記移動体に対して前記移動方向に対向する位置に配置された基台部と、
該基台部と前記移動体との間に配置され、前記移動方向に直交する方向に沿う軸線を回動中心として、前記基台部に回動可能に支持されたアーム部と、
前記軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んで前記アーム部に設けられ、前記移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部と、
前記基台部と前記移動体との間に設けられ、該移動体を前記移動方向のみに移動可能に支持し、かつ前記第1の支持部が並ぶ前記直線回りの前記移動体の回動を規制して支持する第2の支持部と、
前記基台部と前記移動体との間に配置され、前記アーム部に対して、前記軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部とを備えることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動ステージ装置において、
前記第2の支持部は、前記基台部と前記移動体を連結するとともに、前記移動体の前記基台部側の面の前記軸線に沿う方向の両端部に一対配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移動ステージ装置において、
前記駆動部は、前記移動方向に直交するとともに前記軸線に沿う方向に交差する1軸方向に延在して該1軸方向に伸縮可能に設けられ、該1軸方向の一端が前記基台部に固定されるとともに、前記1軸方向の他端が前記アーム部に係止されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動ステージ装置において、
前記駆動部の前記1軸方向の他端と前記アーム部とが係止する位置は、前記第1の支持部が前記移動体を支持する位置より前記基台部側に配置されることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記アーム部は、前記基台部の前記移動体側の面に固定される固定部と、該固定部に前記軸線に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部を有し、前記アーム部は単一部材から一体に形成されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記第1の支持部は転動体であり、該転動体は前記アーム部に回動可能に支持されるとともに、前記転動体は前記移動体に当接した時には該移動体に対して転動可能に配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記移動体には前記移動方向に沿って貫通する孔部が設けられ、
前記基台部、前記アーム部、前記第1の支持部、前記第2の支持部及び前記駆動部は、前記孔部に重ならない位置に配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項1】
台状の移動体を台厚方向に沿う移動方向に平行移動させる移動ステージ装置であって、
前記移動体に対して前記移動方向に対向する位置に配置された基台部と、
該基台部と前記移動体との間に配置され、前記移動方向に直交する方向に沿う軸線を回動中心として、前記基台部に回動可能に支持されたアーム部と、
前記軸線に平行な直線上に少なくとも2つ並んで前記アーム部に設けられ、前記移動体を前記移動方向に支持する第1の支持部と、
前記基台部と前記移動体との間に設けられ、該移動体を前記移動方向のみに移動可能に支持し、かつ前記第1の支持部が並ぶ前記直線回りの前記移動体の回動を規制して支持する第2の支持部と、
前記基台部と前記移動体との間に配置され、前記アーム部に対して、前記軸線回りのモーメントを発生させる駆動力を作用させる駆動部とを備えることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動ステージ装置において、
前記第2の支持部は、前記基台部と前記移動体を連結するとともに、前記移動体の前記基台部側の面の前記軸線に沿う方向の両端部に一対配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移動ステージ装置において、
前記駆動部は、前記移動方向に直交するとともに前記軸線に沿う方向に交差する1軸方向に延在して該1軸方向に伸縮可能に設けられ、該1軸方向の一端が前記基台部に固定されるとともに、前記1軸方向の他端が前記アーム部に係止されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動ステージ装置において、
前記駆動部の前記1軸方向の他端と前記アーム部とが係止する位置は、前記第1の支持部が前記移動体を支持する位置より前記基台部側に配置されることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記アーム部は、前記基台部の前記移動体側の面に固定される固定部と、該固定部に前記軸線に沿って設けられた薄肉部よりなる屈曲部を有し、前記アーム部は単一部材から一体に形成されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記第1の支持部は転動体であり、該転動体は前記アーム部に回動可能に支持されるとともに、前記転動体は前記移動体に当接した時には該移動体に対して転動可能に配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の移動ステージ装置において、
前記移動体には前記移動方向に沿って貫通する孔部が設けられ、
前記基台部、前記アーム部、前記第1の支持部、前記第2の支持部及び前記駆動部は、前記孔部に重ならない位置に配置されていることを特徴とする移動ステージ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−274196(P2009−274196A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130647(P2008−130647)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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