移動可能な器具
移動可能な器具は、平坦要素(4)と、第1回転軸(12a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪(12)と、上記平坦要素(4)に近い近位端(6b)および握み(8)をもつ遠位端(6a)を有する握り支柱(6)と、上記第1輪(12)の近傍に在って,動作状態において平坦要素(4)に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱(6)の遠位端が平坦要素(4)から最も離れ、休止状態において握り支柱(6)の遠位端(6a)が平坦要素(4)に最も近づくように,握り支柱(6)が第1旋回軸(23)の周りに旋回できるように上記握り支柱(6)の近位端(6b)を上記平坦要素(4)に連結する旋回継手と、上記平坦要素(4)の第1輪および旋回継手の配置から離れた遠位端に第2回転軸(20a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪(20)を備える。上記器具の特徴は、上記第2輪(20)が、略移動方向(A)に延びる第2旋回軸(21)の周りにも旋回できるように平坦要素(4)に配置され、かつ、メカニズム(28,30)を介して握り支柱(6)に連結され、このメカニズムは、平坦要素(4)に対する握り支柱(6)の第1旋回軸(23)周りの旋回運動を、第2輪(20)の第2回転軸(20a)の平坦要素(4)に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように、第2輪(20)の第2旋回軸(21)周りの旋回運動に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦要素と、第1回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪と、上記平坦要素から近い端部(近位端)および握みをもつ遠い端部(遠位端)を有する握り支柱と、この握り支柱の近位端の近傍に在って、動作状態において平坦要素に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱の遠位端が平坦要素から最も離れ、休止状態において握り支柱の遠位端が平坦要素に最も近づくように,握り支柱が第1旋回軸の周りに旋回できるように上記近位端を上記平坦要素に連結する旋回継手と、上記平坦要素の第1輪および旋回継手の配置から離れた端部に第2旋回軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪を備えた移動可能な器具に関する。
【0002】
このような移動可能な器具は、異なった操縦技術と異なった車輪数の助けで機能することができるローラ,スクータ,キックボード,またはスケートボードとして通常作られている。移動可能な器具が用いられると、動作状態で車輪は、交通圏上またはその他の路床上に載って、平坦要素は、交通圏またはその他の路床の上方に通常略水平に整列させられて隔たって保持される。この状態で、平坦要素は、大きく開いた握り支柱の上部遠位端の握りを掴んだ使用者の踏み板の役割を果たす。握り支柱は、同時に操縦にも用いることができ、そのために操縦桿として形成され、或いは対応する操縦メカニズム(機構)と連結される。この種の移動可能な器具の駆動は、使用者が足で交通圏または路床を蹴って自らの力で行うか、通常平坦要素に搭載された小さな電動機または内燃機関からなるモータによって行われる。
【0003】
国際公開公報WO 2008/071798 A1 には、冒頭で述べたような移動可能な器具が開示され、この器具は、握り支柱に手荷物箱が搭載されている。ここで、移動可能な器具と手荷物箱は、移動可能な手荷物箱の方式によって好ましくは1ユニットとして作られ、このユニットは、踏み板の休止状態つまり旋回で上に上がった状態で、従来のローラケースとして、踏み板の動作状態つまり開いた状態で、ローラとして用いることができ、こうして、より大きな距離を快適に橋渡しすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省スペースな保管または簡単な輸送の目的のため、握り支柱と平坦要素を、これらの相対配置および相対整列に関連して動作状態から省スペースな休止状態にする可能性がある。動作状態では、握り支柱は、平坦要素に対して好ましくは略直角を成すように開かれ、握り支柱の遠位端は、平坦要素および第1輪と旋回継手の配置から離れた平坦要素の端部から最も離れる。これに対して、休止状態では、握り支柱と平坦要素は、平坦要素および第1輪と旋回継手の配置から離れた平坦要素の端部に最も近づき、好ましくは互いに並んで位置する。国際公開公報WO 2008/071798 A1による手荷物箱をもつ移動可能な器具では、手荷物箱は、握り支柱の踏み板に向いた側に搭載されるのが好ましく、旋回継手は、休止状態で踏み板が握り支柱と反対側の手荷物箱の面に旋回して上がって、概ね互いに当接し、握り支柱と踏み板が手荷物箱を両側から閉じ込めるように配置されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
移動可能な器具を上述のように休止状態にすることは、かなりの省スペースな配置と保管をもたらすが、本発明の解決すべき課題は、冒頭で述べた種類の移動可能な器具において休止状態での省スペース効果を更に向上させることである。
【0006】
上記課題は、次の構成の移動可能な器具によって解決される。即ち、平坦要素と、第1回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪と、上記平坦要素から近い端部(近位端)および握みをもつ遠い端部(遠位端)を有する握り支柱と、上記第1輪の近傍に在って、動作状態において平坦要素に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱の遠位端が平坦要素から最も離れ、休止状態において握り支柱の遠位端が平坦要素に最も近づくように,握り支柱が第1旋回軸の周りに旋回できるように上記握り支柱の近位端を上記平坦要素に連結する旋回継手と、上記平坦要素の第1輪および旋回継手の配置から離れた端部に第2回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪を備えた移動可能な器具において、上記第2輪は、略移動方向に延びる第2旋回軸の周りにも旋回できるように平坦要素に配置されるとともに、メカニズム(機構)を介して握り支柱に連結され、このメカニズムは、平坦要素に対する握り支柱の第1旋回軸周りの旋回運動を、第2輪の第2回転軸の平坦要素に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように、第2輪の第2旋回軸周りの旋回運動に変換することを特徴とする。
【0007】
本発明による構造の助けで、休止状態での省スペース効果が、最適化され,改善される。第1輪と旋回継手からなる配置から離れた平坦部材に搭載されて後輪をなす第2輪は、休止状態における省スペース効果を最適化し,改善する追加的潜在力を提供することが示された。なぜなら、移動可能な器具の動作状態において平坦要素を交通圏またはその他の路床の上方に隔てて保持するため、2つの後輪は、平坦要素の下側に突出している。このことは、握り支柱と平坦要素が折り畳まれて、平坦要素の下側が器具全体のいわば外側を成し、この外側から突出する。これは、第2輪が、器具全体の大きさに比して比較的大きいスペース要求をもつ場合に、特に妨げになる。同様のことは、国際公開公報WO 2008/071798 A1 に開示された移動可能な器具についても、休止状態で突出する第2輪が、手荷物箱の大きさに比して大きいスペース要求をもつ場合に言える。この問題は、より直径の小さい第2輪では減らすことができるが、移動挙動が損なわれ、小さな障害を越える移動が危険になる。
【0008】
そこで、本発明は、略移動方向に延びる第2旋回軸の周りにも旋回しうる第2輪を、平坦要素に配置してメカニズムを介して握り支柱に連結し、このメカニズムは、平坦要素に対する握り支柱の第1旋回軸周りの旋回運動を、第2輪の第2回転軸の平坦要素に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように、第2旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換する。握り支柱が平坦要素に対して休止状態へ旋回する間、本発明によって設けられたメカニズムは、本発明により略移動方向へ延びる第2旋回軸の周りに旋回可能に平坦要素に配置された第2輪を、第2旋回軸の周りに動作状態から休止状態へ旋回させるようになっている。これによって、第2輪は、休止状態においていわば脇へ旋回し、最早,平坦要素から突出して妨げになることはない。本発明によるこの構造によって、移動可能な器具は、従来のものに比して休止状態でより省スペースな形態となって、休止状態における省スペース効果を明らかに最適化する。
【0009】
握り支柱を開き旋回する,従って移動可能な器具を休止状態から動作状態にする際、本発明のメカニズムは、第2輪を休止状態で支配的な旋回位置から逆に戻して、動作状態における移動位置に旋回させ、移動可能な器具の移動機能を果たさせるようになっている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態および更なる構成は、従属請求項に述べられている。
【0011】
第2輪の第2回転軸は、平坦要素に対して休止状態において略90°を成し、動作状態において略0°を成して、第2輪は、移動中の動作状態において平坦要素の平面に直交し、休止状態において平坦要素の平面に含まれるのが目的に叶っており、こうすれば平面から突出して妨げになることはない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、メカニズムが引き-押し-バーを備え、この引き-押し-バーは、旋回継手から離れた継手を介して握り支柱にヒンジ連結され、平坦要素に沿って案内され、引き-押し-バーの長手方向運動を第2旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換すべく平坦要素に搭載された伝動装置に連結される。引き-押し-バーの継手,従って引き-押し-バーの握り支柱へのヒンジ点が旋回継手から離れていることによって、握り支柱の旋回継手周りの旋回運動中に第2輪から上記ヒンジ点までの距離の変化が生じ、この変化が引き-押し-バーの上述の長手方向運動をもたらす。その際、上述の伝動装置は、伝動装置に連結された引き-押し-バーの長手方向運動を旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換するようになっている。
【0013】
上記引き-押し-バーを可能な限り妨げの少ない配置にするため、動作状態において平坦要素の下方または下面に在る握り支柱の箇所に継手を配置して、引き-押し-バーは、平坦要素の下面に配置される。
【0014】
上記伝動装置は、第2旋回軸の周りに旋回できるが、軸方向には概ね不動に支承された好ましくはスリーブ状の回転体を有し、この回転体の外殻に第2旋回軸に角度を成して延びる溝を形成し、この溝に引き-押し-バーに設けたピン状のカム要素が嵌合するように形成されるのが好ましい。引き-押し-バーに設けたピン状のカム要素が、第2旋回軸に角度を成して延びる溝に嵌合するという構成によって、引き-押し-バーの長手方向運動が、回転体の回転運動に変換され、これが第2旋回軸周りの第2輪の対応する旋回運動をもたらす。
【0015】
第2輪は、第2回転軸の周りに回転しうるようにホークに軸支するのが目的に叶っており、このホークは、第2旋回軸の周りに旋回できるように平坦要素に取り付けられる。先に述べた更なる構成に関連して、ホークと回転体は、軸方向に互いに整列させられ、相対回転不能に連結されているのが有利である。
【0016】
一方で使用者の背丈に適合させ、他方で休止状態におけるより良い詰め込み(Verstauen)を行うため、握り支柱は、少なくとも2つの互いに望遠鏡式に配置された要素を備えるべきである。
【0017】
移動可能な器具の操縦性が望まれる場合、回転軸に対して斜め,好ましくは直角に延びる第3旋回軸の周りに旋回可能に第1輪が枢支され、第3旋回軸の周りの旋回運動が、移動方向の変更をもたらし、握り支柱が操縦桿となり、握り支柱の特定の運動が第1輪の第3旋回軸周りの旋回運動に変換される。
【0018】
握り支柱は、例えば国際公開公報WO 2008/071798 A1 で提案されているような手荷物箱を握り支柱に固定するための好ましくは中心にある,または対称な手段を備えるのが好ましい。
【0019】
本発明の更なる構成では、第1輪から軸方向に距離を隔てて、第1輪と同様に枢支された第3輪が備えられ、上記軸方向の距離は、第1輪と第3輪の間に在る握り支柱に固定されるべき手荷物箱の部分の幅よりも少なくとも僅かに大きい。互いに隔たった2つの前輪
を用いることによって、特に実荷重として手荷物箱が握り支柱に固定されている場合、より安定でより良い移動挙動を達成することができる。最適な操縦のため、第1回転軸に対して斜め,好ましくは直角に延びる第4旋回軸の周りに旋回可能に第3輪を枢支し、第4旋回軸の周りの旋回運動が移動方向の変更をもたらし、握り支柱の特定の運動を、第4旋回軸周りの第3輪の旋回運動に変換するような操縦メカニズム(機構)を備える。
【0020】
上述の実施形態の更なる構成では、操縦メカニズムを拘束するための拘束手段が設けられ、この拘束手段は、休止状態においてのみ操縦メカニズムを中立位置,好ましくは真直に走り出すための位置に拘束する。ところで、このような更なる構成では、更なる独立した発明概念が重要である。踏み板の休止状態で操縦を拘束することは、そうでなければ休止状態でスペース要求が増大する結果となる,特に終端位置において前輪の旋回による幅の実質的拡大を防ぐために有利である。本発明による操縦を拘束する可能性の更なる利点は、利用者が、手荷物箱を固定した休止状態にある移動可能な器具をトロリーのように用いて、引っ張って歩くことができるということである。
【0021】
手荷物箱を移動可能な器具の部分,とりわけ横梁に分離可能に拘束するために、好ましくは保持クリップを備えることができる好適な拘束手段が用いられる。
【0022】
平坦要素は、目的に叶って踏み板の役目を果たす。
【0023】
握り支柱と平坦要素は、休止状態で略互いに平行に配置され,、或いは、概ね互いに相並んで位置し、これは、さらに特に省スペースな配置をもたらす。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面に基づいて次に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、手荷物箱を有し、動作状態にある第1実施形態の移動可能な器具の斜視図である。
【図2】図2は、動作状態にある図1の移動可能な器具の側面図である。
【図3】図3は、動作状態から休止状態に移行中の図1,2の移動可能な器具の斜視図である。
【図4】図4は、休止状態にある図1の移動可能な器具の斜視図である。
【図5】図5は、休止状態にある図1の移動可能な器具の側面図である。
【図6】図6は、動作状態にある図1の移動可能な器具の踏み板の後端部下側の部分拡大図である。
【図7】図7は、休止状態にある図1の移動可能な器具の踏み板の後端部下側の部分拡大図である。
【図8】図8は、休止状態にある図1の移動可能な器具の踏み板と横梁の間の連結域の部分拡大図である。
【図9】図9は、手荷物箱を取り外した動作状態にある第2実施形態の移動可能な器具の斜視図である。
【図10】図10は、保持クリップを取り付けた休止状態にある図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図10a】図10aは、図10の部分拡大図である。
【図11】図11は、前輪を操縦位置に旋回させた図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図11a】図11aは、図11の部分拡大図である。
【図12】図12は、休止状態にあって中間位置で噛み合った操縦下の図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図12a】図12aは、図12の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜8には、好ましい第1実施形態である移動可能な器具2が示され、この器具は、踏み板4と握り支柱6をもつ旋回可能なローラのように形成されている。図1,2には、旋回して開いた動作状態にある移動可能な器具が示され、動作状態では、握り支柱6が水平に整列させられた踏み板4に対して略90°以下の角度で配置されている。従って、示された実施形態では、握り支柱6は、殆ど直立した動作状態にあり、握り8をもつ遠位端6aは、同時に上端を成す。握り支柱6の対向する近位端6bは、横梁10に取り付けられ、この横梁は、図示の実施形態では、矢印Aで示した移動方向に見て、踏み板4の前方かつ下方の平面内に配置されている。例えば図1から分かるように、横梁10の一端に第1前輪12が回転軸12aの周りに回転可能に、横梁10の対向する他端に第2前輪14が回転軸14aの周りに回転可能に夫々軸支される。
【0027】
図示の実施形態では、握り支柱6と横梁10に、手荷物箱16が更に固定される。従って、移動可能な器具2は、図示の実施形態では、移動可能な手荷物箱またはローラトランクの機能を果たす。特に図1,3から更に分かるように、図示の実施形態では、手荷物箱16は、内側に湾曲した縦長の部分16aを有し、この部分を貫いて手荷物箱16の外側に沿って握り支柱6が延びている。特に図1から更に分かるように、横梁10の長さは、手荷物箱16の下部の幅に適合するように調整されて、前輪12,14は、手荷物箱の外側にある。これに関連して、手荷物箱の使用と組み立ては、必ずしも必要なものでなく、他の種類の実荷重を配置することができ、図示の移動可能な器具2は、いかなる実荷重なしでも使用することができる点に留意されたい。
【0028】
移動可能な器具2の操縦のため、図1〜8に示されていない適合した操縦メカニズムを備えることができる。そのため、握り支柱6が操縦桿として役立ち、握り8は長手方向軸の周りに操縦方向へ対応量だけ捩られる。さらに、この場合、両前輪12,14は、図示しない旋回軸の周りに旋回でき、この旋回軸は、操縦軸を成し、各回転軸12a,14aに対して直角または略直角を成し、運転状態では概ね直立している。図示しない操縦メカニズムは、握り支柱6の長手方向軸の周りの回転運動を、上述の旋回軸周りの各前輪12,14の操縦運動に同時変換する。この関連において、両前輪12,14,従って両回転軸12a,14aは、常に互いに略平行に整列させられ、真っ直ぐに走り出す場合、両回転軸12a,14aは、互いに略一直線に並ぶことも言っておきたい。
【0029】
図から更に分かるように、踏み板4の後端,つまり遠位端4aにホーク18が設けられ、その両脚の間に回転軸20aの周りに回転可能に後輪20が枢支されている。例えば前後または左右に隣接して1つ以上の後輪を配置することも基本的に考えられる。従って、ホーク18は、踏み板4における後輪20のための軸受を成す。ホーク18は、踏み板4の後端4aに不動であるが旋回軸21の周りに旋回可能に配置されており、この旋回軸は、踏み板4の長手方向および踏み板4によって張られた仮想平面に平行に、従って図1,2に示した動作状態において矢印Aで示す移動方向に延びる。このことは、ホーク18が旋回軸21の周りに旋回する際、後輪20の回転軸20a,従って後輪20自身が、旋回軸21の周りに旋回することを意味する。図1,2に示される動作状態では、移動可能な器具2は、移動の準備ができた状態にあり、ホーク18は、後輪20が略直立し、その回転軸20aが略水平に延びるような旋回位置にある。
【0030】
既に述べたように、旋回可能なローラの形態に形成された移動可能な器具2は、踏み板4と握り支柱6が、簡単な搬送のための省スペースな休止状態または省スペース保管のため折り畳むことができる。このため、踏み板4の前端,つまり近位端4bには、ホーク状の継手片22が固定され、この継手片は、横梁10の上方で旋回軸23の周りに旋回可能に隣接する握り支柱6の近位端6bに固定され、これは、特に図1および図1,2に示された動作状態と折り畳まれた休止状態の間の中間状態を示す図3に図解的に示されている。図3に示された旋回軸23から更に分かるように、旋回軸23と回転軸12a,14aが、互いに直線状に揃い、横梁10,従って更に踏み板4によって張られる仮想平面に平行に、更に動作状態において図1,2に示すように略水平に整列させられているとき、旋回軸23は、両前輪12,14(図1)の回転軸12a,14aに略平行に延びる。 従って、継手片22と握り支柱6の近位端6bは、旋回軸23をもつ旋回継手を共同で形成する。これに関連して、図1,2に示した動作状態で握り支柱6を踏み板4に対して拘束して、不注意による折り畳みを防止するために、図示しない拘束具を設けることができることを言っておきたい。
【0031】
移動可能な器具2を図1,2に示された動作状態から休止状態にするために、場合によっては存する拘束具を解除した後、踏み板4を、旋回軸23の周りに図3の矢印Bで示す方向,従って握り支柱6の方向へ、踏み板4が握り支柱6に折り畳まれるまで旋回させる。この位置で、移動可能な器具2は、図4,5に示すような休止状態にある。図1,2に示される動作状態で、踏み板4の後端4aは、握り支柱6から最大距離で隔たるが、図4,5に示す休止状態では隔たりは最小距離に減少する。図示の実施形態では、踏み板4と握り支柱6は、図4,5に示す休止状態にあって、概ね隣り合って平行に並んでいる。手荷物箱16に内側に向かって湾曲した縦長の部分16aは、図5から分かるように、休止状態で上方へ旋回した踏み板4を略完全に収容する幅を有する。このような配置は、休止状態で踏み板4を手荷物箱16に沈めて配置し、手荷物箱16の隣り合う側面に略閉じ込めて、突出して妨げになることがないという利点を有する。必要ある場合に、握り支柱6を省スペースな配置にするため、握り支柱を、休止状態で互いに押し込んで短縮できる少なくとも2つの望遠鏡式の部分で構成することができ、握り8が手荷物箱16の上面に載るまで短縮できる。但し、握り支柱6の望遠鏡式の構成は、図示されていない。
【0032】
図4,5に示した休止状態を、図3に示した中間状態に関連して図1,2に示した動作状態と比較すれば分かるように、踏み板4を図3の矢印Bで示す方向に図1,2に示す動作状態から図3,4に示す休止状態へ図3の矢印Bで示す方向に旋回させると、ホーク18は、旋回軸21の周りの図3の矢印Cで示す方向の旋回を受ける。図3の矢印Bで示す方向への旋回運動によって、後輪20は、動作状態で踏み板4に対して略直交する位置から、略90°の旋回によって休止状態での所謂横位置にされ、踏み板4によって張られる仮想平面内に位置する。これによって、後輪20は、休止状態で踏み板4に対して一種の延長部を成し、最早踏み板4に対して直交して突出しないから、省スペースな配置となる。後輪20の休止状態における省スペースな配置は、とりわけ図5に良く示されている。
【0033】
図3の矢印B方向への上述の旋回中に、旋回軸21の周りに旋回可能に踏み板4の後端4aに枢支されたホーク18に、図3の矢印B方向への上記旋回を自動的に受けさせるために、矢印B方向への旋回運動を後輪の矢印C方向への旋回運動に変換する本発明による特別なメカニズムを設ける必要がある。特に図3,4から分かるように、踏み板4の下方の横梁10に設けられた追加の継手26に、引き-押し-バー28をヒンジ連結し、この引き-押し-バーは、踏み板4の下側4bに導かれて、その後端,つまり遠位端に伝動装置30が連結される。図示の実施形態では、伝動装置30は、図6,7から分かるように、踏み板4の後端4aの下側4bに配置される。この伝動装置30は、引き-押し-バー28の長手軸方向運動を、旋回軸21周りのホーク18の旋回運動に変換する。
【0034】
図6,7から分かるように、伝動装置30は、軸方向に互いに間隔をおいた2つの軸受32と、軸受32の間に置かれ,旋回軸21の周りに回転可能かつ軸方向に不動に軸受32に支承された回転スリーブ34を備える。回転可能に支承された回転スリーブ34の外殻には、旋回軸21に対して所定角度で傾いて延びる互いに対向する2つのスリット状の溝36が設けられ、これらの溝に横ピン38が延びている。横ピン38は、旋回軸21に直交して配置され、その両端は、回転スリーブ34の外殻の上記スリット状の溝36のみならず、隣接する長手方向スリット40にも嵌め込まれている。このスリット40は、踏み板4の略長手方向および引き-押し-バー28に平行に延び、踏み板4の下側4bから突出する部分4cに形成されている。この2つの突出する部分4cは、踏み板4の長手方向に延びる縦長の形状を有し、互いに隔たってその間に軸受32および回転スリーブ34を収容する室を形成している。引き-押し-バー28の後端,つまり遠位端は、隣接する軸受を緩く貫いて回転スリーブ34内に導かれ、ここで横ピン38と剛に連結されている。
【0035】
引き-押し-バー28の長手方向への運動は、横ピン38のピン軸の直交する方向の運動を生じ、横ピン38は、長手方向スリット40に沿って導かれて動く。同時に、横ピン38の強制運動は、回転スリーブ34の溝36に沿っても生じる。回転スリーブ34は、回転可能であるが、軸方向には不動に枢支され、スリット状の溝36は、斜めに配置されているから、溝36に沿う横ピン38の強制運動は、回転スリーブ34の回転運動を生じさせる。従って、引き-押し-バー28の長手軸方向運動は、旋回軸21周りの回転スリーブ34の回転運動に変換される。ホーク18は、回転スリーブ34に相互回転不可に連結されているから、回転スリーブ34の回転運動は、旋回軸21の周りのホーク18,従って後輪20の矢印C方向の対応する回転運動をもたらす。図6は、後輪20の動作状態,つまり移動可能な器具の動作状態を示すが、図7では、後輪20は、移動可能な器具2の休止状態である横位置にある。
【0036】
図8は、引き-押し-バーの近位端28bが横梁10にヒンジ連結された状態を示す。引き-押し-バーの近位端28bは、継手ピン42によって、継手軸42aの周りに旋回可能に横梁10に支承される。従って、引き-押し-バー28を横梁10にヒンジ連結する継手26は、概ね引き-押し-バー28の近位端28bと継手ピン42によって構成される。握り支柱6に対してその周りに踏み板4が開閉旋回する旋回軸23は、図8から分かるように、継手軸42aから所定距離離れて延びているから、握り支柱6に対する踏み板4の旋回運動が、踏み板4に対する引き-押し-バー28の長手軸方向を運動も生じ、そして上述の伝動装置30の回転スリーブ34の回転運動を生じる。
【0037】
補足ながら、上述の構成によって、踏み板4の矢印B(図3)方向,従って握り支柱6へ向かう閉旋回運動が、後輪20の直立位置から横位置への旋回運動をもたらすのみならず、この運動経過を逆にして、踏み板4を休止状態から動作状態へ開旋回運動させ、後輪20を図7に示す横位置から図1,2,6に示す直立位置へ旋回させることもできることを言っておきたい。
【0038】
図9〜12は、第2実施形態による移動可能な器具2aを示している。この第2実施形態が、図1〜8に示した第1実施形態と同じまたは少なくとも機能において匹敵する構成部材を有する場合、その構成部材には第1実施形態と同じ参照番号を用いており、合致する構成部材の説明の繰り返しを避けているので、対応する第1実施形態の記述の部分を参照されたい。
【0039】
第1実施形態に対する第2実施形態の認識できる相違は、握り支柱6の近位端6bを支え,両前輪12,14を回転可能に軸支する横梁10aが、円形の断面を有する円筒から成ることである。
【0040】
図9から更に軸受部44が認識でき、この軸受部に横梁10aが固定され、近位端6bを固定した握り支柱6が、軸受部44から上方へ突出し、継手片22が踏み板4の前端,つまり近位端4bに旋回可能に固定されている。
【0041】
図9〜12aの第2実施形態よる移動可能な器具2aは、手荷物箱なしで描かれているが、第1実施形態のように手荷物箱またはその他の実荷重を収容する手段を設けることができ、第2実施形態の移動可能な器具2aも、移動可能な手荷物またはローラケースの機能を発揮する。
【0042】
手荷物箱22を円筒状の横梁10aに固定するため、第2実施形態では、図10,10aに示されるように、保持クリップ60が用いられる。図示の実施形態では、保持クリップ60は、板状のベース板60aを備え、このベース板は、図10aを見る者に向いた側に図示しない手荷物箱,とりわけ手荷物箱の下側を固定する。図10aから更に分かるように、板状のベース板60aの反対側には、ハンガー状または鉤状の拘束部分60bが設けられ、この拘束部分は、組み立てられた状態で横梁10aを掴んで、図10に示す保持クリップ60を横梁10aに分離可能に拘束する。保持クリップ60は、プラスチックから成るのが好ましく、分離可能な拘束のためのハンガー状または鉤状の拘束部分60bが、板状のべース板60aに配置されている。
【0043】
図1〜8の第1実施形態とは逆に、図9〜12aの第2実施形態の移動可能な器具では、操縦メカニズム50が設けられているのが分かる。ここでは、両前輪12,14は、夫々の旋回軸の周りに旋回でき、この旋回軸は、操縦軸を成し、前輪12,14の回転軸に対して通常略直角または殆ど直角に方向づけられ(図1の回転軸12a,14a参照)、図9の前輪14に組み込まれた旋回軸14bから分かるように、動作状態で概ね直立している。横梁10aの両外端には、上記旋回軸の周りに旋回可能に軸受52が設けられ、各軸受52には、前輪12,14が回転可能に支承されている。第1実施形態におけるように、握り支柱6は、この場合も、握り8を中央軸または長手軸6cの周りに操縦方向へ対応して捩ることができる操縦桿としての役目を果たす。このために、握り支柱6は、その近位端6bが対応して回転可能に軸受部44に支承され、図示の実施形態では軸受部44の下側に配置された回転レバー54を備えている。図9から更に分かるように、回転レバー54の自由端54aに操縦バー56がヒンジ連結され、操縦バーの対向する端部に、前輪12,14のための旋回可能な軸受52がヒンジ連結される。従って、握り支柱6の捩りは、操縦バー56の略長手方向の運動をもたらし、これにより前輪12,14の一方の軸受52に圧縮応力が加わり、前輪12,14の他方の軸受52に引張応力が加わる。その結果、両前輪の軸受52は、同時に同じ方向に反らせられる。こうして、操縦メカニズム50は、握り支柱6の長手方向軸6c周りの回転運動を両前輪12,14の同時の操縦運動に変換する。
【0044】
とりわけ、図11aから分かるように、横梁10aに略平行に延びる回転軸26aの周りに回転可能にホーク状の継手片22に支承され、引き-押し-バー28がヒンジ連結された継手26に、半径方向のタップ70が設けられ、このタップ70に適合させて捩りレバー54の自由端に対応する開口72が設けられている。ここで、捩りレバー54,その自由端54aの開口72,および継手26のタップ70の配置および整列は、前輪12,14が図12,12aに示すような真っ直ぐな配置になるような操縦位置に握り支柱6が捩られたとき、休止状態において捩りレバー54の自由端54aの開口72は、継手27に形成された半径方向のタップ70を収容するようになっている。
【0045】
従って、継手26の半径方向のタップ70と、捩りレバー54の自由端54aの開口27は、操縦メカニズム50,従って前輪12,14を真っ直ぐに走り出すための中立の中央位置に拘束するための拘束装置を共に構成する。その際、拘束は、踏み板4が握り支柱6に向かって閉旋回されて、移動可能な器具2aが図10〜12aに示す休止状態にある場合に限って有効である。なぜなら、踏み板4を握り支柱の方向に旋回させて動作状態から休止状態へ移行させると、継手26も対応する回転運動を蒙る結果になるからである。このような回転運動によって初めて、タップ70は、図11,11aと図12,12aを対比すれば分かるように、捩りレバー54,従ってその自由端54aおよびそこに形成された開口72に「一列に並」んで、開口に嵌合する。これに対して、移動可能な器具2aが図9に示す動作状態に移行すれば、継手26は、タップ70が捩りレバー54の領域から外れるような旋回運動を蒙って、開口72へのタップ70の嵌合は不可能になる。図11,11aと図12,12aを対比すれば分かるように、開口へのタップの嵌合は、動作状態においては、操縦が意図せずに停止するから、もともと避けなければならない。開口へのタップの嵌合は、通常の運転では無意味であり、従って望ましくない。これに対して、踏み板4の休止状態では、操縦の拘束は、そうでなければ休止状態で大きなスペース要求をもたらすから、前輪の閉旋回による実効幅の増加を防ぐために有利である。操縦の拘束の更なる利点は、手荷物箱を固定した移動可能な器具2aが、休止状態においてトロリーのように使用でき、利用者が引っ張って歩くことができることである。
【0046】
最後に、「休止状態」は、移動可能な器具の使用されない状態と解釈されてはならず、踏み板4が握り支柱6に折り畳まれて,実質上使用できない状態にあることを意味する点に留意されたい。従って、休止状態において、移動可能な器具は、ローラとしては使用できないが、例えばトロリーとして使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦要素と、第1回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪と、上記平坦要素から近い端部(近位端)および握みをもつ遠い端部(遠位端)を有する握り支柱と、この握り支柱の近位端の近傍に在って、動作状態において平坦要素に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱の遠位端が平坦要素から最も離れ、休止状態において握り支柱の遠位端が平坦要素に最も近づくように,握り支柱が第1旋回軸の周りに旋回できるように上記近位端を上記平坦要素に連結する旋回継手と、上記平坦要素の第1輪および旋回継手の配置から離れた端部に第2旋回軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪を備えた移動可能な器具に関する。
【0002】
このような移動可能な器具は、異なった操縦技術と異なった車輪数の助けで機能することができるローラ,スクータ,キックボード,またはスケートボードとして通常作られている。移動可能な器具が用いられると、動作状態で車輪は、交通圏上またはその他の路床上に載って、平坦要素は、交通圏またはその他の路床の上方に通常略水平に整列させられて隔たって保持される。この状態で、平坦要素は、大きく開いた握り支柱の上部遠位端の握りを掴んだ使用者の踏み板の役割を果たす。握り支柱は、同時に操縦にも用いることができ、そのために操縦桿として形成され、或いは対応する操縦メカニズム(機構)と連結される。この種の移動可能な器具の駆動は、使用者が足で交通圏または路床を蹴って自らの力で行うか、通常平坦要素に搭載された小さな電動機または内燃機関からなるモータによって行われる。
【0003】
国際公開公報WO 2008/071798 A1 には、冒頭で述べたような移動可能な器具が開示され、この器具は、握り支柱に手荷物箱が搭載されている。ここで、移動可能な器具と手荷物箱は、移動可能な手荷物箱の方式によって好ましくは1ユニットとして作られ、このユニットは、踏み板の休止状態つまり旋回で上に上がった状態で、従来のローラケースとして、踏み板の動作状態つまり開いた状態で、ローラとして用いることができ、こうして、より大きな距離を快適に橋渡しすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省スペースな保管または簡単な輸送の目的のため、握り支柱と平坦要素を、これらの相対配置および相対整列に関連して動作状態から省スペースな休止状態にする可能性がある。動作状態では、握り支柱は、平坦要素に対して好ましくは略直角を成すように開かれ、握り支柱の遠位端は、平坦要素および第1輪と旋回継手の配置から離れた平坦要素の端部から最も離れる。これに対して、休止状態では、握り支柱と平坦要素は、平坦要素および第1輪と旋回継手の配置から離れた平坦要素の端部に最も近づき、好ましくは互いに並んで位置する。国際公開公報WO 2008/071798 A1による手荷物箱をもつ移動可能な器具では、手荷物箱は、握り支柱の踏み板に向いた側に搭載されるのが好ましく、旋回継手は、休止状態で踏み板が握り支柱と反対側の手荷物箱の面に旋回して上がって、概ね互いに当接し、握り支柱と踏み板が手荷物箱を両側から閉じ込めるように配置されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
移動可能な器具を上述のように休止状態にすることは、かなりの省スペースな配置と保管をもたらすが、本発明の解決すべき課題は、冒頭で述べた種類の移動可能な器具において休止状態での省スペース効果を更に向上させることである。
【0006】
上記課題は、次の構成の移動可能な器具によって解決される。即ち、平坦要素と、第1回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪と、上記平坦要素から近い端部(近位端)および握みをもつ遠い端部(遠位端)を有する握り支柱と、上記第1輪の近傍に在って、動作状態において平坦要素に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱の遠位端が平坦要素から最も離れ、休止状態において握り支柱の遠位端が平坦要素に最も近づくように,握り支柱が第1旋回軸の周りに旋回できるように上記握り支柱の近位端を上記平坦要素に連結する旋回継手と、上記平坦要素の第1輪および旋回継手の配置から離れた端部に第2回転軸の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪を備えた移動可能な器具において、上記第2輪は、略移動方向に延びる第2旋回軸の周りにも旋回できるように平坦要素に配置されるとともに、メカニズム(機構)を介して握り支柱に連結され、このメカニズムは、平坦要素に対する握り支柱の第1旋回軸周りの旋回運動を、第2輪の第2回転軸の平坦要素に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように、第2輪の第2旋回軸周りの旋回運動に変換することを特徴とする。
【0007】
本発明による構造の助けで、休止状態での省スペース効果が、最適化され,改善される。第1輪と旋回継手からなる配置から離れた平坦部材に搭載されて後輪をなす第2輪は、休止状態における省スペース効果を最適化し,改善する追加的潜在力を提供することが示された。なぜなら、移動可能な器具の動作状態において平坦要素を交通圏またはその他の路床の上方に隔てて保持するため、2つの後輪は、平坦要素の下側に突出している。このことは、握り支柱と平坦要素が折り畳まれて、平坦要素の下側が器具全体のいわば外側を成し、この外側から突出する。これは、第2輪が、器具全体の大きさに比して比較的大きいスペース要求をもつ場合に、特に妨げになる。同様のことは、国際公開公報WO 2008/071798 A1 に開示された移動可能な器具についても、休止状態で突出する第2輪が、手荷物箱の大きさに比して大きいスペース要求をもつ場合に言える。この問題は、より直径の小さい第2輪では減らすことができるが、移動挙動が損なわれ、小さな障害を越える移動が危険になる。
【0008】
そこで、本発明は、略移動方向に延びる第2旋回軸の周りにも旋回しうる第2輪を、平坦要素に配置してメカニズムを介して握り支柱に連結し、このメカニズムは、平坦要素に対する握り支柱の第1旋回軸周りの旋回運動を、第2輪の第2回転軸の平坦要素に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように、第2旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換する。握り支柱が平坦要素に対して休止状態へ旋回する間、本発明によって設けられたメカニズムは、本発明により略移動方向へ延びる第2旋回軸の周りに旋回可能に平坦要素に配置された第2輪を、第2旋回軸の周りに動作状態から休止状態へ旋回させるようになっている。これによって、第2輪は、休止状態においていわば脇へ旋回し、最早,平坦要素から突出して妨げになることはない。本発明によるこの構造によって、移動可能な器具は、従来のものに比して休止状態でより省スペースな形態となって、休止状態における省スペース効果を明らかに最適化する。
【0009】
握り支柱を開き旋回する,従って移動可能な器具を休止状態から動作状態にする際、本発明のメカニズムは、第2輪を休止状態で支配的な旋回位置から逆に戻して、動作状態における移動位置に旋回させ、移動可能な器具の移動機能を果たさせるようになっている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態および更なる構成は、従属請求項に述べられている。
【0011】
第2輪の第2回転軸は、平坦要素に対して休止状態において略90°を成し、動作状態において略0°を成して、第2輪は、移動中の動作状態において平坦要素の平面に直交し、休止状態において平坦要素の平面に含まれるのが目的に叶っており、こうすれば平面から突出して妨げになることはない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、メカニズムが引き-押し-バーを備え、この引き-押し-バーは、旋回継手から離れた継手を介して握り支柱にヒンジ連結され、平坦要素に沿って案内され、引き-押し-バーの長手方向運動を第2旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換すべく平坦要素に搭載された伝動装置に連結される。引き-押し-バーの継手,従って引き-押し-バーの握り支柱へのヒンジ点が旋回継手から離れていることによって、握り支柱の旋回継手周りの旋回運動中に第2輪から上記ヒンジ点までの距離の変化が生じ、この変化が引き-押し-バーの上述の長手方向運動をもたらす。その際、上述の伝動装置は、伝動装置に連結された引き-押し-バーの長手方向運動を旋回軸周りの第2輪の旋回運動に変換するようになっている。
【0013】
上記引き-押し-バーを可能な限り妨げの少ない配置にするため、動作状態において平坦要素の下方または下面に在る握り支柱の箇所に継手を配置して、引き-押し-バーは、平坦要素の下面に配置される。
【0014】
上記伝動装置は、第2旋回軸の周りに旋回できるが、軸方向には概ね不動に支承された好ましくはスリーブ状の回転体を有し、この回転体の外殻に第2旋回軸に角度を成して延びる溝を形成し、この溝に引き-押し-バーに設けたピン状のカム要素が嵌合するように形成されるのが好ましい。引き-押し-バーに設けたピン状のカム要素が、第2旋回軸に角度を成して延びる溝に嵌合するという構成によって、引き-押し-バーの長手方向運動が、回転体の回転運動に変換され、これが第2旋回軸周りの第2輪の対応する旋回運動をもたらす。
【0015】
第2輪は、第2回転軸の周りに回転しうるようにホークに軸支するのが目的に叶っており、このホークは、第2旋回軸の周りに旋回できるように平坦要素に取り付けられる。先に述べた更なる構成に関連して、ホークと回転体は、軸方向に互いに整列させられ、相対回転不能に連結されているのが有利である。
【0016】
一方で使用者の背丈に適合させ、他方で休止状態におけるより良い詰め込み(Verstauen)を行うため、握り支柱は、少なくとも2つの互いに望遠鏡式に配置された要素を備えるべきである。
【0017】
移動可能な器具の操縦性が望まれる場合、回転軸に対して斜め,好ましくは直角に延びる第3旋回軸の周りに旋回可能に第1輪が枢支され、第3旋回軸の周りの旋回運動が、移動方向の変更をもたらし、握り支柱が操縦桿となり、握り支柱の特定の運動が第1輪の第3旋回軸周りの旋回運動に変換される。
【0018】
握り支柱は、例えば国際公開公報WO 2008/071798 A1 で提案されているような手荷物箱を握り支柱に固定するための好ましくは中心にある,または対称な手段を備えるのが好ましい。
【0019】
本発明の更なる構成では、第1輪から軸方向に距離を隔てて、第1輪と同様に枢支された第3輪が備えられ、上記軸方向の距離は、第1輪と第3輪の間に在る握り支柱に固定されるべき手荷物箱の部分の幅よりも少なくとも僅かに大きい。互いに隔たった2つの前輪
を用いることによって、特に実荷重として手荷物箱が握り支柱に固定されている場合、より安定でより良い移動挙動を達成することができる。最適な操縦のため、第1回転軸に対して斜め,好ましくは直角に延びる第4旋回軸の周りに旋回可能に第3輪を枢支し、第4旋回軸の周りの旋回運動が移動方向の変更をもたらし、握り支柱の特定の運動を、第4旋回軸周りの第3輪の旋回運動に変換するような操縦メカニズム(機構)を備える。
【0020】
上述の実施形態の更なる構成では、操縦メカニズムを拘束するための拘束手段が設けられ、この拘束手段は、休止状態においてのみ操縦メカニズムを中立位置,好ましくは真直に走り出すための位置に拘束する。ところで、このような更なる構成では、更なる独立した発明概念が重要である。踏み板の休止状態で操縦を拘束することは、そうでなければ休止状態でスペース要求が増大する結果となる,特に終端位置において前輪の旋回による幅の実質的拡大を防ぐために有利である。本発明による操縦を拘束する可能性の更なる利点は、利用者が、手荷物箱を固定した休止状態にある移動可能な器具をトロリーのように用いて、引っ張って歩くことができるということである。
【0021】
手荷物箱を移動可能な器具の部分,とりわけ横梁に分離可能に拘束するために、好ましくは保持クリップを備えることができる好適な拘束手段が用いられる。
【0022】
平坦要素は、目的に叶って踏み板の役目を果たす。
【0023】
握り支柱と平坦要素は、休止状態で略互いに平行に配置され,、或いは、概ね互いに相並んで位置し、これは、さらに特に省スペースな配置をもたらす。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面に基づいて次に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、手荷物箱を有し、動作状態にある第1実施形態の移動可能な器具の斜視図である。
【図2】図2は、動作状態にある図1の移動可能な器具の側面図である。
【図3】図3は、動作状態から休止状態に移行中の図1,2の移動可能な器具の斜視図である。
【図4】図4は、休止状態にある図1の移動可能な器具の斜視図である。
【図5】図5は、休止状態にある図1の移動可能な器具の側面図である。
【図6】図6は、動作状態にある図1の移動可能な器具の踏み板の後端部下側の部分拡大図である。
【図7】図7は、休止状態にある図1の移動可能な器具の踏み板の後端部下側の部分拡大図である。
【図8】図8は、休止状態にある図1の移動可能な器具の踏み板と横梁の間の連結域の部分拡大図である。
【図9】図9は、手荷物箱を取り外した動作状態にある第2実施形態の移動可能な器具の斜視図である。
【図10】図10は、保持クリップを取り付けた休止状態にある図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図10a】図10aは、図10の部分拡大図である。
【図11】図11は、前輪を操縦位置に旋回させた図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図11a】図11aは、図11の部分拡大図である。
【図12】図12は、休止状態にあって中間位置で噛み合った操縦下の図9の移動可能な器具の斜視図である。
【図12a】図12aは、図12の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜8には、好ましい第1実施形態である移動可能な器具2が示され、この器具は、踏み板4と握り支柱6をもつ旋回可能なローラのように形成されている。図1,2には、旋回して開いた動作状態にある移動可能な器具が示され、動作状態では、握り支柱6が水平に整列させられた踏み板4に対して略90°以下の角度で配置されている。従って、示された実施形態では、握り支柱6は、殆ど直立した動作状態にあり、握り8をもつ遠位端6aは、同時に上端を成す。握り支柱6の対向する近位端6bは、横梁10に取り付けられ、この横梁は、図示の実施形態では、矢印Aで示した移動方向に見て、踏み板4の前方かつ下方の平面内に配置されている。例えば図1から分かるように、横梁10の一端に第1前輪12が回転軸12aの周りに回転可能に、横梁10の対向する他端に第2前輪14が回転軸14aの周りに回転可能に夫々軸支される。
【0027】
図示の実施形態では、握り支柱6と横梁10に、手荷物箱16が更に固定される。従って、移動可能な器具2は、図示の実施形態では、移動可能な手荷物箱またはローラトランクの機能を果たす。特に図1,3から更に分かるように、図示の実施形態では、手荷物箱16は、内側に湾曲した縦長の部分16aを有し、この部分を貫いて手荷物箱16の外側に沿って握り支柱6が延びている。特に図1から更に分かるように、横梁10の長さは、手荷物箱16の下部の幅に適合するように調整されて、前輪12,14は、手荷物箱の外側にある。これに関連して、手荷物箱の使用と組み立ては、必ずしも必要なものでなく、他の種類の実荷重を配置することができ、図示の移動可能な器具2は、いかなる実荷重なしでも使用することができる点に留意されたい。
【0028】
移動可能な器具2の操縦のため、図1〜8に示されていない適合した操縦メカニズムを備えることができる。そのため、握り支柱6が操縦桿として役立ち、握り8は長手方向軸の周りに操縦方向へ対応量だけ捩られる。さらに、この場合、両前輪12,14は、図示しない旋回軸の周りに旋回でき、この旋回軸は、操縦軸を成し、各回転軸12a,14aに対して直角または略直角を成し、運転状態では概ね直立している。図示しない操縦メカニズムは、握り支柱6の長手方向軸の周りの回転運動を、上述の旋回軸周りの各前輪12,14の操縦運動に同時変換する。この関連において、両前輪12,14,従って両回転軸12a,14aは、常に互いに略平行に整列させられ、真っ直ぐに走り出す場合、両回転軸12a,14aは、互いに略一直線に並ぶことも言っておきたい。
【0029】
図から更に分かるように、踏み板4の後端,つまり遠位端4aにホーク18が設けられ、その両脚の間に回転軸20aの周りに回転可能に後輪20が枢支されている。例えば前後または左右に隣接して1つ以上の後輪を配置することも基本的に考えられる。従って、ホーク18は、踏み板4における後輪20のための軸受を成す。ホーク18は、踏み板4の後端4aに不動であるが旋回軸21の周りに旋回可能に配置されており、この旋回軸は、踏み板4の長手方向および踏み板4によって張られた仮想平面に平行に、従って図1,2に示した動作状態において矢印Aで示す移動方向に延びる。このことは、ホーク18が旋回軸21の周りに旋回する際、後輪20の回転軸20a,従って後輪20自身が、旋回軸21の周りに旋回することを意味する。図1,2に示される動作状態では、移動可能な器具2は、移動の準備ができた状態にあり、ホーク18は、後輪20が略直立し、その回転軸20aが略水平に延びるような旋回位置にある。
【0030】
既に述べたように、旋回可能なローラの形態に形成された移動可能な器具2は、踏み板4と握り支柱6が、簡単な搬送のための省スペースな休止状態または省スペース保管のため折り畳むことができる。このため、踏み板4の前端,つまり近位端4bには、ホーク状の継手片22が固定され、この継手片は、横梁10の上方で旋回軸23の周りに旋回可能に隣接する握り支柱6の近位端6bに固定され、これは、特に図1および図1,2に示された動作状態と折り畳まれた休止状態の間の中間状態を示す図3に図解的に示されている。図3に示された旋回軸23から更に分かるように、旋回軸23と回転軸12a,14aが、互いに直線状に揃い、横梁10,従って更に踏み板4によって張られる仮想平面に平行に、更に動作状態において図1,2に示すように略水平に整列させられているとき、旋回軸23は、両前輪12,14(図1)の回転軸12a,14aに略平行に延びる。 従って、継手片22と握り支柱6の近位端6bは、旋回軸23をもつ旋回継手を共同で形成する。これに関連して、図1,2に示した動作状態で握り支柱6を踏み板4に対して拘束して、不注意による折り畳みを防止するために、図示しない拘束具を設けることができることを言っておきたい。
【0031】
移動可能な器具2を図1,2に示された動作状態から休止状態にするために、場合によっては存する拘束具を解除した後、踏み板4を、旋回軸23の周りに図3の矢印Bで示す方向,従って握り支柱6の方向へ、踏み板4が握り支柱6に折り畳まれるまで旋回させる。この位置で、移動可能な器具2は、図4,5に示すような休止状態にある。図1,2に示される動作状態で、踏み板4の後端4aは、握り支柱6から最大距離で隔たるが、図4,5に示す休止状態では隔たりは最小距離に減少する。図示の実施形態では、踏み板4と握り支柱6は、図4,5に示す休止状態にあって、概ね隣り合って平行に並んでいる。手荷物箱16に内側に向かって湾曲した縦長の部分16aは、図5から分かるように、休止状態で上方へ旋回した踏み板4を略完全に収容する幅を有する。このような配置は、休止状態で踏み板4を手荷物箱16に沈めて配置し、手荷物箱16の隣り合う側面に略閉じ込めて、突出して妨げになることがないという利点を有する。必要ある場合に、握り支柱6を省スペースな配置にするため、握り支柱を、休止状態で互いに押し込んで短縮できる少なくとも2つの望遠鏡式の部分で構成することができ、握り8が手荷物箱16の上面に載るまで短縮できる。但し、握り支柱6の望遠鏡式の構成は、図示されていない。
【0032】
図4,5に示した休止状態を、図3に示した中間状態に関連して図1,2に示した動作状態と比較すれば分かるように、踏み板4を図3の矢印Bで示す方向に図1,2に示す動作状態から図3,4に示す休止状態へ図3の矢印Bで示す方向に旋回させると、ホーク18は、旋回軸21の周りの図3の矢印Cで示す方向の旋回を受ける。図3の矢印Bで示す方向への旋回運動によって、後輪20は、動作状態で踏み板4に対して略直交する位置から、略90°の旋回によって休止状態での所謂横位置にされ、踏み板4によって張られる仮想平面内に位置する。これによって、後輪20は、休止状態で踏み板4に対して一種の延長部を成し、最早踏み板4に対して直交して突出しないから、省スペースな配置となる。後輪20の休止状態における省スペースな配置は、とりわけ図5に良く示されている。
【0033】
図3の矢印B方向への上述の旋回中に、旋回軸21の周りに旋回可能に踏み板4の後端4aに枢支されたホーク18に、図3の矢印B方向への上記旋回を自動的に受けさせるために、矢印B方向への旋回運動を後輪の矢印C方向への旋回運動に変換する本発明による特別なメカニズムを設ける必要がある。特に図3,4から分かるように、踏み板4の下方の横梁10に設けられた追加の継手26に、引き-押し-バー28をヒンジ連結し、この引き-押し-バーは、踏み板4の下側4bに導かれて、その後端,つまり遠位端に伝動装置30が連結される。図示の実施形態では、伝動装置30は、図6,7から分かるように、踏み板4の後端4aの下側4bに配置される。この伝動装置30は、引き-押し-バー28の長手軸方向運動を、旋回軸21周りのホーク18の旋回運動に変換する。
【0034】
図6,7から分かるように、伝動装置30は、軸方向に互いに間隔をおいた2つの軸受32と、軸受32の間に置かれ,旋回軸21の周りに回転可能かつ軸方向に不動に軸受32に支承された回転スリーブ34を備える。回転可能に支承された回転スリーブ34の外殻には、旋回軸21に対して所定角度で傾いて延びる互いに対向する2つのスリット状の溝36が設けられ、これらの溝に横ピン38が延びている。横ピン38は、旋回軸21に直交して配置され、その両端は、回転スリーブ34の外殻の上記スリット状の溝36のみならず、隣接する長手方向スリット40にも嵌め込まれている。このスリット40は、踏み板4の略長手方向および引き-押し-バー28に平行に延び、踏み板4の下側4bから突出する部分4cに形成されている。この2つの突出する部分4cは、踏み板4の長手方向に延びる縦長の形状を有し、互いに隔たってその間に軸受32および回転スリーブ34を収容する室を形成している。引き-押し-バー28の後端,つまり遠位端は、隣接する軸受を緩く貫いて回転スリーブ34内に導かれ、ここで横ピン38と剛に連結されている。
【0035】
引き-押し-バー28の長手方向への運動は、横ピン38のピン軸の直交する方向の運動を生じ、横ピン38は、長手方向スリット40に沿って導かれて動く。同時に、横ピン38の強制運動は、回転スリーブ34の溝36に沿っても生じる。回転スリーブ34は、回転可能であるが、軸方向には不動に枢支され、スリット状の溝36は、斜めに配置されているから、溝36に沿う横ピン38の強制運動は、回転スリーブ34の回転運動を生じさせる。従って、引き-押し-バー28の長手軸方向運動は、旋回軸21周りの回転スリーブ34の回転運動に変換される。ホーク18は、回転スリーブ34に相互回転不可に連結されているから、回転スリーブ34の回転運動は、旋回軸21の周りのホーク18,従って後輪20の矢印C方向の対応する回転運動をもたらす。図6は、後輪20の動作状態,つまり移動可能な器具の動作状態を示すが、図7では、後輪20は、移動可能な器具2の休止状態である横位置にある。
【0036】
図8は、引き-押し-バーの近位端28bが横梁10にヒンジ連結された状態を示す。引き-押し-バーの近位端28bは、継手ピン42によって、継手軸42aの周りに旋回可能に横梁10に支承される。従って、引き-押し-バー28を横梁10にヒンジ連結する継手26は、概ね引き-押し-バー28の近位端28bと継手ピン42によって構成される。握り支柱6に対してその周りに踏み板4が開閉旋回する旋回軸23は、図8から分かるように、継手軸42aから所定距離離れて延びているから、握り支柱6に対する踏み板4の旋回運動が、踏み板4に対する引き-押し-バー28の長手軸方向を運動も生じ、そして上述の伝動装置30の回転スリーブ34の回転運動を生じる。
【0037】
補足ながら、上述の構成によって、踏み板4の矢印B(図3)方向,従って握り支柱6へ向かう閉旋回運動が、後輪20の直立位置から横位置への旋回運動をもたらすのみならず、この運動経過を逆にして、踏み板4を休止状態から動作状態へ開旋回運動させ、後輪20を図7に示す横位置から図1,2,6に示す直立位置へ旋回させることもできることを言っておきたい。
【0038】
図9〜12は、第2実施形態による移動可能な器具2aを示している。この第2実施形態が、図1〜8に示した第1実施形態と同じまたは少なくとも機能において匹敵する構成部材を有する場合、その構成部材には第1実施形態と同じ参照番号を用いており、合致する構成部材の説明の繰り返しを避けているので、対応する第1実施形態の記述の部分を参照されたい。
【0039】
第1実施形態に対する第2実施形態の認識できる相違は、握り支柱6の近位端6bを支え,両前輪12,14を回転可能に軸支する横梁10aが、円形の断面を有する円筒から成ることである。
【0040】
図9から更に軸受部44が認識でき、この軸受部に横梁10aが固定され、近位端6bを固定した握り支柱6が、軸受部44から上方へ突出し、継手片22が踏み板4の前端,つまり近位端4bに旋回可能に固定されている。
【0041】
図9〜12aの第2実施形態よる移動可能な器具2aは、手荷物箱なしで描かれているが、第1実施形態のように手荷物箱またはその他の実荷重を収容する手段を設けることができ、第2実施形態の移動可能な器具2aも、移動可能な手荷物またはローラケースの機能を発揮する。
【0042】
手荷物箱22を円筒状の横梁10aに固定するため、第2実施形態では、図10,10aに示されるように、保持クリップ60が用いられる。図示の実施形態では、保持クリップ60は、板状のベース板60aを備え、このベース板は、図10aを見る者に向いた側に図示しない手荷物箱,とりわけ手荷物箱の下側を固定する。図10aから更に分かるように、板状のベース板60aの反対側には、ハンガー状または鉤状の拘束部分60bが設けられ、この拘束部分は、組み立てられた状態で横梁10aを掴んで、図10に示す保持クリップ60を横梁10aに分離可能に拘束する。保持クリップ60は、プラスチックから成るのが好ましく、分離可能な拘束のためのハンガー状または鉤状の拘束部分60bが、板状のべース板60aに配置されている。
【0043】
図1〜8の第1実施形態とは逆に、図9〜12aの第2実施形態の移動可能な器具では、操縦メカニズム50が設けられているのが分かる。ここでは、両前輪12,14は、夫々の旋回軸の周りに旋回でき、この旋回軸は、操縦軸を成し、前輪12,14の回転軸に対して通常略直角または殆ど直角に方向づけられ(図1の回転軸12a,14a参照)、図9の前輪14に組み込まれた旋回軸14bから分かるように、動作状態で概ね直立している。横梁10aの両外端には、上記旋回軸の周りに旋回可能に軸受52が設けられ、各軸受52には、前輪12,14が回転可能に支承されている。第1実施形態におけるように、握り支柱6は、この場合も、握り8を中央軸または長手軸6cの周りに操縦方向へ対応して捩ることができる操縦桿としての役目を果たす。このために、握り支柱6は、その近位端6bが対応して回転可能に軸受部44に支承され、図示の実施形態では軸受部44の下側に配置された回転レバー54を備えている。図9から更に分かるように、回転レバー54の自由端54aに操縦バー56がヒンジ連結され、操縦バーの対向する端部に、前輪12,14のための旋回可能な軸受52がヒンジ連結される。従って、握り支柱6の捩りは、操縦バー56の略長手方向の運動をもたらし、これにより前輪12,14の一方の軸受52に圧縮応力が加わり、前輪12,14の他方の軸受52に引張応力が加わる。その結果、両前輪の軸受52は、同時に同じ方向に反らせられる。こうして、操縦メカニズム50は、握り支柱6の長手方向軸6c周りの回転運動を両前輪12,14の同時の操縦運動に変換する。
【0044】
とりわけ、図11aから分かるように、横梁10aに略平行に延びる回転軸26aの周りに回転可能にホーク状の継手片22に支承され、引き-押し-バー28がヒンジ連結された継手26に、半径方向のタップ70が設けられ、このタップ70に適合させて捩りレバー54の自由端に対応する開口72が設けられている。ここで、捩りレバー54,その自由端54aの開口72,および継手26のタップ70の配置および整列は、前輪12,14が図12,12aに示すような真っ直ぐな配置になるような操縦位置に握り支柱6が捩られたとき、休止状態において捩りレバー54の自由端54aの開口72は、継手27に形成された半径方向のタップ70を収容するようになっている。
【0045】
従って、継手26の半径方向のタップ70と、捩りレバー54の自由端54aの開口27は、操縦メカニズム50,従って前輪12,14を真っ直ぐに走り出すための中立の中央位置に拘束するための拘束装置を共に構成する。その際、拘束は、踏み板4が握り支柱6に向かって閉旋回されて、移動可能な器具2aが図10〜12aに示す休止状態にある場合に限って有効である。なぜなら、踏み板4を握り支柱の方向に旋回させて動作状態から休止状態へ移行させると、継手26も対応する回転運動を蒙る結果になるからである。このような回転運動によって初めて、タップ70は、図11,11aと図12,12aを対比すれば分かるように、捩りレバー54,従ってその自由端54aおよびそこに形成された開口72に「一列に並」んで、開口に嵌合する。これに対して、移動可能な器具2aが図9に示す動作状態に移行すれば、継手26は、タップ70が捩りレバー54の領域から外れるような旋回運動を蒙って、開口72へのタップ70の嵌合は不可能になる。図11,11aと図12,12aを対比すれば分かるように、開口へのタップの嵌合は、動作状態においては、操縦が意図せずに停止するから、もともと避けなければならない。開口へのタップの嵌合は、通常の運転では無意味であり、従って望ましくない。これに対して、踏み板4の休止状態では、操縦の拘束は、そうでなければ休止状態で大きなスペース要求をもたらすから、前輪の閉旋回による実効幅の増加を防ぐために有利である。操縦の拘束の更なる利点は、手荷物箱を固定した移動可能な器具2aが、休止状態においてトロリーのように使用でき、利用者が引っ張って歩くことができることである。
【0046】
最後に、「休止状態」は、移動可能な器具の使用されない状態と解釈されてはならず、踏み板4が握り支柱6に折り畳まれて,実質上使用できない状態にあることを意味する点に留意されたい。従って、休止状態において、移動可能な器具は、ローラとしては使用できないが、例えばトロリーとして使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦要素(4)と、
第1回転軸(12a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪(12)と、
上記平坦要素(4)に近い端部(近位端)(6b)および握み(8)をもつ遠い端部(遠位端)(6a)を有する握り支柱(6)と、
上記第1輪(12)の近傍に在って、動作状態において平坦要素(4)に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱(6)の遠位端が平坦要素(4)から最も離れ、休止状態において握り支柱(6)の遠位端(6a)が平坦要素(4)に最も近づくように,握り支柱(6)が第1旋回軸(23)の周りに旋回できるように上記握り支柱(6)の近位端(6b)を上記平坦要素(4)に連結する旋回継手と、
上記平坦要素(4)の第1輪および旋回継手の配置から離れた遠位端に第2回転軸(20a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪(20)を備えた移動可能な器具において、
上記第2輪(20)は、略移動方向(A)に延びる第2旋回軸(21)の周りにも旋回できるように平坦要素(4)に配置されるとともに、メカニズム(28,30)を介して握り支柱(6)に連結され、このメカニズムは、平坦要素(4)に対する握り支柱(6)の第1旋回軸(23)周りの旋回運動を、第2輪(20)の第2回転軸(20a)の平坦要素(4)に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように第2輪(20)の第2旋回軸(21)周りの旋回運動に変換することを特徴とする移動可能な器具。
【請求項2】
請求項1に記載の移動可能な器具において、上記第2輪(20)の第2回転軸(20a)は、平坦要素(4)に対して休止状態において略90°を成し、動作状態において略0°を成すことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の移動可能な器具において、上記メカニズムが引き-押し-バー(28)を備え、この引き-押し-バーは、上記旋回継手から離れた継手(26)を介して握り支柱(6)にヒンジ連結され、平坦要素(4)に沿って案内され、引き-押し-バー(28)の長手方向運動を第2旋回軸(21)周りの第2輪(20)の旋回運動に変換すべく平坦要素(4)に搭載された伝動装置(30)に連結されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項4】
請求項3に記載の移動可能な器具において、上記継手(26)は、動作状態において平坦要素(4)の下方または下面(4b)に在る握り支柱(6)の箇所に配置され、引き-押し-バー(28)は、平坦要素の下面(4b)に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項5】
請求項3または4に記載の移動可能な器具において、上記伝動装置(30)は、第2旋回軸(21)の周りに旋回できるが、軸方向には概ね不動に支承された好ましくはスリーブ状の回転体(34)を有し、この回転体の外殻に第2旋回軸(21)に角度を成して延びる溝(36)を形成し、この溝(36)に引き-押し-バー(28)に設けたピン状のカム要素(38)が嵌合するように形成されるのが好ましい。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記第2輪(20)は、第2回転軸(20a)の周りに回転しうるようにホーク(18)に軸支され、このホークは、第2旋回軸(21)の周りに旋回できるように平坦要素(4)に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動可能な器具において、上記ホーク(18)と回転体(34)は、軸方向に互いに整列させられ、相対回転不能に連結されていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記握り支柱は、少なくとも2つの互いに望遠鏡式に配置された要素を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、第1回転軸(12a)に対して斜め,好ましくは直角に延びる第3旋回軸の周りにも旋回可能に上記第1輪(12)が枢支されて、上記第3旋回軸の周りの旋回運動が、移動方向の変更をもたらし、上記握り支柱(6)が操縦桿となり、握り支柱(6)の特定の運動を第1輪(12)の第3旋回軸周りの旋回運動に変換する操縦メカニズムが備えられていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記握り支柱(6)は、手荷物箱(16)を握り支柱(6)に固定するための好ましくは中心にある,または対称な手段を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記第1輪(12)から軸方向に距離を隔てて、第1輪(12)と同様に枢支された第3輪(14)が備えられ、上記軸方向の距離は、第1輪(12)と第3輪(14)の間に在る握り支柱(6)に固定されるべき手荷物箱(16)の部分の幅よりも少なくとも僅かに大きいことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項12】
請求項9または11に記載の移動可能な器具において、上記第3輪(14)は、第1回転軸(12a)に対して斜め,好ましくは直角に延びる第4旋回軸(14b)の周りにも旋回可能に枢支されて、第4旋回軸(14b)の周りの旋回運動が移動方向の変更をもたらし、握り支柱(6)の特定の運動を、第4旋回軸周りの第3輪の旋回運動に変換するような操縦メカニズム(50)が備えられていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項13】
請求項12に記載の移動可能な器具において、上記操縦メカニズムを拘束するための拘束手段(54,54a,70,72)が設けられ、この拘束手段は、休止状態においてのみ操縦メカニズム(50)を中立位置,好ましくは略真っ直ぐに走り出すための位置に拘束することを特徴とする移動可能な器具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、手荷物箱を移動可能な器具(2a)の部分,とりわけ横梁(10a)に分離可能に拘束するための拘束手段を備えたことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項15】
請求項13に記載の移動可能な器具において、上記拘束手段は、保持クリップ(60)を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、休止状態において、上記握り支柱(6)と平坦要素(4)は、略互いに平行に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、休止状態において、上記握り支柱(6)と平坦要素(4)は、握り支柱(6)と平坦要素(4)は、略接し合って相並ぶことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項1】
平坦要素(4)と、
第1回転軸(12a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第1輪(12)と、
上記平坦要素(4)に近い端部(近位端)(6b)および握み(8)をもつ遠い端部(遠位端)(6a)を有する握り支柱(6)と、
上記第1輪(12)の近傍に在って、動作状態において平坦要素(4)に対して好ましくは略直角に整列させて,握り支柱(6)の遠位端が平坦要素(4)から最も離れ、休止状態において握り支柱(6)の遠位端(6a)が平坦要素(4)に最も近づくように,握り支柱(6)が第1旋回軸(23)の周りに旋回できるように上記握り支柱(6)の近位端(6b)を上記平坦要素(4)に連結する旋回継手と、
上記平坦要素(4)の第1輪および旋回継手の配置から離れた遠位端に第2回転軸(20a)の周りに回転するように軸支された少なくとも1つの第2輪(20)を備えた移動可能な器具において、
上記第2輪(20)は、略移動方向(A)に延びる第2旋回軸(21)の周りにも旋回できるように平坦要素(4)に配置されるとともに、メカニズム(28,30)を介して握り支柱(6)に連結され、このメカニズムは、平坦要素(4)に対する握り支柱(6)の第1旋回軸(23)周りの旋回運動を、第2輪(20)の第2回転軸(20a)の平坦要素(4)に対する角度が、休止状態において動作状態におけるよりも大きくなるように第2輪(20)の第2旋回軸(21)周りの旋回運動に変換することを特徴とする移動可能な器具。
【請求項2】
請求項1に記載の移動可能な器具において、上記第2輪(20)の第2回転軸(20a)は、平坦要素(4)に対して休止状態において略90°を成し、動作状態において略0°を成すことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の移動可能な器具において、上記メカニズムが引き-押し-バー(28)を備え、この引き-押し-バーは、上記旋回継手から離れた継手(26)を介して握り支柱(6)にヒンジ連結され、平坦要素(4)に沿って案内され、引き-押し-バー(28)の長手方向運動を第2旋回軸(21)周りの第2輪(20)の旋回運動に変換すべく平坦要素(4)に搭載された伝動装置(30)に連結されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項4】
請求項3に記載の移動可能な器具において、上記継手(26)は、動作状態において平坦要素(4)の下方または下面(4b)に在る握り支柱(6)の箇所に配置され、引き-押し-バー(28)は、平坦要素の下面(4b)に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項5】
請求項3または4に記載の移動可能な器具において、上記伝動装置(30)は、第2旋回軸(21)の周りに旋回できるが、軸方向には概ね不動に支承された好ましくはスリーブ状の回転体(34)を有し、この回転体の外殻に第2旋回軸(21)に角度を成して延びる溝(36)を形成し、この溝(36)に引き-押し-バー(28)に設けたピン状のカム要素(38)が嵌合するように形成されるのが好ましい。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記第2輪(20)は、第2回転軸(20a)の周りに回転しうるようにホーク(18)に軸支され、このホークは、第2旋回軸(21)の周りに旋回できるように平坦要素(4)に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動可能な器具において、上記ホーク(18)と回転体(34)は、軸方向に互いに整列させられ、相対回転不能に連結されていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記握り支柱は、少なくとも2つの互いに望遠鏡式に配置された要素を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、第1回転軸(12a)に対して斜め,好ましくは直角に延びる第3旋回軸の周りにも旋回可能に上記第1輪(12)が枢支されて、上記第3旋回軸の周りの旋回運動が、移動方向の変更をもたらし、上記握り支柱(6)が操縦桿となり、握り支柱(6)の特定の運動を第1輪(12)の第3旋回軸周りの旋回運動に変換する操縦メカニズムが備えられていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記握り支柱(6)は、手荷物箱(16)を握り支柱(6)に固定するための好ましくは中心にある,または対称な手段を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、上記第1輪(12)から軸方向に距離を隔てて、第1輪(12)と同様に枢支された第3輪(14)が備えられ、上記軸方向の距離は、第1輪(12)と第3輪(14)の間に在る握り支柱(6)に固定されるべき手荷物箱(16)の部分の幅よりも少なくとも僅かに大きいことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項12】
請求項9または11に記載の移動可能な器具において、上記第3輪(14)は、第1回転軸(12a)に対して斜め,好ましくは直角に延びる第4旋回軸(14b)の周りにも旋回可能に枢支されて、第4旋回軸(14b)の周りの旋回運動が移動方向の変更をもたらし、握り支柱(6)の特定の運動を、第4旋回軸周りの第3輪の旋回運動に変換するような操縦メカニズム(50)が備えられていることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項13】
請求項12に記載の移動可能な器具において、上記操縦メカニズムを拘束するための拘束手段(54,54a,70,72)が設けられ、この拘束手段は、休止状態においてのみ操縦メカニズム(50)を中立位置,好ましくは略真っ直ぐに走り出すための位置に拘束することを特徴とする移動可能な器具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、手荷物箱を移動可能な器具(2a)の部分,とりわけ横梁(10a)に分離可能に拘束するための拘束手段を備えたことを特徴とする移動可能な器具。
【請求項15】
請求項13に記載の移動可能な器具において、上記拘束手段は、保持クリップ(60)を備えることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、休止状態において、上記握り支柱(6)と平坦要素(4)は、略互いに平行に配置されることを特徴とする移動可能な器具。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1つに記載の移動可能な器具において、休止状態において、上記握り支柱(6)と平坦要素(4)は、握り支柱(6)と平坦要素(4)は、略接し合って相並ぶことを特徴とする移動可能な器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10a】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図12a】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10a】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図12a】
【公表番号】特表2013−521088(P2013−521088A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556520(P2012−556520)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053620
【国際公開番号】WO2011/110631
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(512233075)レシント・ナムローゼ・フェンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】RESINT N.V.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053620
【国際公開番号】WO2011/110631
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(512233075)レシント・ナムローゼ・フェンノートシャップ (1)
【氏名又は名称原語表記】RESINT N.V.
【Fターム(参考)】
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