移動局装置、基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法
【課題】通信システム全体の周波数利用効率を向上させるとともに、特定の移動局に対する使用周波数層の基地局制御を効率的に実行できるようにする。
【解決手段】マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置は、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知する。また、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置は、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、移動局装置がその周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御する。
【解決手段】マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置は、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知する。また、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置は、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、移動局装置がその周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信システムにおける移動局装置、基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiplexing)方式が第3世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度を更に上げたHSDPAも標準化され、サービスが開始されようとしている。
【0003】
一方、3GPPでは、第3世代無線アクセス技術の進化(Evolved Universal Terrestrial Radio Access、以下、EUTRAと称する)および第3世代無線アクセスネットワーク技術の進化(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、以下、EUTRANと称する)が検討されている。EUTRAの下りリンクの通信方式として、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)方式が提案されている。EUTRA技術として、OFDMA方式にチャネル符号化等の適応無線リンク制御(リンクアダプテーション、Link Adaptation)に基づく適応変復調・誤り訂正方式(AMCS:Adaptive Modulation and Coding Scheme、以下、AMCS方式と称する)といった技術が適用されている。
【0004】
また、EUTRAの上りリンクとして、マルチキャリア通信方式やシングルキャリア通信方式など様々な提案がされており、OFDM方式等のマルチキャリア通信方式よりVSCRF(Variable Spreading and Chip Repetition Factors)−CDMA方式やIFDMA(Interleaved Frequency Division Multiple Access)方式、DFT(Discrete Fourier Transform)−Spread OFDM方式のシングルキャリア通信方式が上りリンクに有効な無線通信方式として提案されている。
【0005】
また、EUTRANで提供するサービスは、パケットベースのサービスを想定しており、W−CDMAで提供されているMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)もさらに発展させて盛り込むこととなっている。MBMSは、無線ネットワークを通じて同一のマルチメディアデータを複数の受信者に伝送するサービスのことである。このとき、複数の受信者が一つの無線チャンネルを共有するようにして、無線伝送資源を節約することができる。
【0006】
また、EUTRA/EUTRANの技術要求条件(例えば、非特許文献2参照)が提案され、既存の2G、3Gサービスとの融合、共存のため、スペクトル柔軟性(Spectrum Flexibility)が要求され、異なるサイズのスペクトル(周波数帯域幅、例えば、1.25MHz、2.5MHz、5MHz、10MHz、20MHz)に対する周波数割り当てのサポート(Support for spectrum allocations of different size)が要求されている。
【0007】
また、EUTRANの技術要求条件(非特許文献3参照)が提案され、異なる周波数帯域幅(例えば、10MHz、15MHz、20MHz)の送受信能力を持つ移動局クラスの移動局のサポートも要求している。また、EUTRAの技術資料(非特許文献4参照)が提案され、異なる周波数帯域幅の送受信能力を持つ移動局に対する使用すべき周波数帯域位置指定(中心周波数シフト)の方法が示されている。ここで特に問題となるのは、基地局周波数帯域幅が20MHz帯域幅の場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法であり、アクティブモード(Connectedモード)、アイドルモード(待ち受け状態)、MBMSの受信時に通信を行う帯域位置の候補が列挙されている。
【0008】
図13に示すように、候補の帯域としては、20MHzの中心10MHzバンド、20MHzの右10MHzバンド、20MHzの左10MHzバンドの3つが挙げられている。図13では、左10MHzバンドに、MBMSサービス1、MBMSサービス2、BCH(報知情報チャネル)、PCH(ページングチャネル)が配置されている。この場合、MBMS受信移動局、およびアイドルモード移動局は、左10MHzバンドで通信を行い、それ以外のアクティブモード移動局は、右10MHzバンドで通信を行う。
【0009】
一方、図14では、左10MHzバンドにMBMSサービス1、右10MHzバンドにMBMSサービス2が配置され、BCH、PCHは、左右に重複して配置されている。この場合、MBMSサービス1受信移動局は、左10MHzバンドで通信を行い、MBMSサービス2受信移動局は、右10MHzバンドで通信を行う。(非特許文献4参照)
【0010】
特許文献1では、複数の周波数層を持つMBMS移動通信システムにおいて、アクティブモード移動局へのシグナリングによって、MBMSサービスと専用トラフィックサービスの優先周波数層を制御し、移動局は、どちらのサービスを受信すべきかを判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−42354号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TR(Technical Report)25.858、および3GPPのHSDPA仕様関連資料. http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/25-series.htm
【非特許文献2】3GPP TR(Technical Report)25.913、V2.1.0(2005−05)、Requirements for evolved Universal Terrestrial Radio Access (UTRA) and Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN). http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/25913.htm
【非特許文献3】3GPP TR(Technical Report)25.913、V7.2.0(2005−12)、Requirements for Evolved UTRA(E-UTRA) and Evolved UTRAN(E-UTRAN)
【非特許文献4】R2−061001 “Principles of scalable bandwidth scenarios”,3GPP TSG RAN WG2 Metting#52 Athens,Greece,March 27−31,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら上記特許文献では、アイドルモード時のトラフィック(例えば、ページング情報、報知情報、ショートメッセージなど)を考慮していない。図14のようにアイドルモード時の移動局がMBMS受信のために周波数層を変更する場合、ネットワークからの優先情報を基に、移動局が決定権を持って周波数層の変更を行う。すなわち、上位ノード(RNC,SGSNなどの位置管理装置および無線リソース制御装置)がどの周波数層に移動局が移動したのかを知ることができないため、ページングや報知情報を双方の周波数層に送信する必要が生じる。
【0014】
また、図13のような一方の周波数層でのMBMS送信サービスの場合、専用トラフィックサービスとMBMS送信サービスの両方を受信したい移動局の数が多くなった場合に、一方の周波数層でのトラフィック量が増大するため、専用トラフィックサービスとMBMSサービスのどちらかの切断を移動局に迫る必要がある。
【0015】
これらの問題は、上位ノードで、移動局のMBMS受信周波数層および受信趣向、専用トラフィックの負荷、アイドルモードの移動局の待ち受け周波数層の管理が統合的に行われていないことによって生じている。
【0016】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、異なる周波数層の送受 信能力を持つ移動局クラスの移動局が混在する移動通信システムにおいて、通信システム全体の周波数利用効率を向上させるとともに、特定の移動局に対する使用周波数層の基地局制御を効率的に実行できるようにした移動局装置、 基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置であって、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置であって、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置に用いられる方法であって、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置に用いられる方法であって、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異なる周波数層の送受信能力を持つ移動局クラスの移動局が混在する移動通信システムにおいて、通信システム全体の周波数利用効率を向上させるとともに、特定の移動局に対する使用周波数層の基地局制御を効率的に実行できるようにした移動局装置、 基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】EUTRANのシステムの簡略化された構成を示す図である。
【図2】IMSIもしくはTMSIの一部をRightBandとLeftBandの指定に使うようにした下りリンクのマッピング例を示す図である。
【図3】図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法を示す図である。
【図4】図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法の他の例を示す図である。
【図5】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す図である。
【図6】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す他の図である。
【図7】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す更に他の図である。
【図8】基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法の一例を示す図である。
【図9】図8のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。
【図10】ベアラセットアップと同時にMBMSの送信周波数層制御を行なう例を示す図である。
【図11】aGWと移動局との間の信号負荷を減らす方法を説明するための図である。
【図12】MBMSの送信方法、ページンググループ、受信能力周波数層、MBMS Groupの関係に応じた待ち受け層の指定方法を示す図である。
【図13】基地局周波数帯域幅が20MHzの場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法の例を示す図である。
【図14】基地局周波数帯域幅が20MHzの場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、EUTRANのシステムの簡略化された構成を示す図である。aGW(access Gateway)は、上位ノード(W−CDMA/GPRS方式のSGSN,RNC)に相当し、ページングの起動、移動局(UE:User Equipment)との間でアクセスシステム非依存のシグナリング(NASシグナリング:Non Access Stratumシグナリング)のやり取りを行う。aGWをユーザプレーンノードと制御プレーンノードに分離することも可能であるが、ここでは、同一ノードとして扱う。
【0024】
aGWは、本発明の位置管理装置に該当し、位置管理(W−CDMA方式のVLR相当)を行い、移動局から位置登録・更新要求を受信し、位置管理データベースへ登録する。移動局への着信があった場合には、aGWは位置管理データベースから移動局の登録情報を取得し、ページング要求を位置登録エリア内の基地局(eNB:evolved NodeB)に送信する。移動局からの位置登録・更新要求には、W−CDMA方式と同様、初期登録時にはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)、位置更新時には、TMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)が含められ、aGWの位置管理データベースに登録される。
【0025】
ページングは、パケットが着信している移動局の位置登録エリアを位置管理データベースから取得し、位置登録エリアの基地局に対して、位置管理装置からページング要求を送出することで行なわれる。ここでページング要求とは、aGWからのページングのNASシグナリングを位置登録エリア内の基地局が受信し、基地局が、移動局または移動局のグループに対し、ページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を、物理シグナリングとして送信することを意味する。
【0026】
アイドルモードの移動局は、位置管理装置からのページングの受信、基地局からの報知情報(無線フォーマット設定やショートメッセージなども含む)の受信、MBMS共用制御信号の受信などを行っている。MBMS共用制御信号は、MBMSサービスの種類やMBMSのスケジューリング情報などを送信する。アイドルモードの移動局は、MBMSデータの受信も可能である。
【0027】
MBMS Serverは、MBMSデータのソースとして、MBMSデータのスケジューリングに関して責任を負っている。MBMS Serverによって生成されたMBMSデータストリームは、aGW、基地局を経て、移動局に伝達される。
【0028】
aGWは、それぞれの加入者のMBMS関連サービスを制御する。aGWは、特定の基地局に選択的にMBMS関連サービスを伝送し、および基地局間でのMBMS関連サービスの周波数・時間スケジューリングのサポート等を行う。aGWとMBMS Serverは共通ノードとして定義されても良い。MBMSサービスは、SFN(Single Frequency Network)で提供される場合もあり、その場合は、各基地局間は同期システムとして動作し、同一時間・周波数領域に同一データを送信することを可能とする。
【0029】
基地局の最大周波数帯域幅が20MHzの場合、10MHz送受信能力の移動局の収容のため、LeftBand(左バンド:低周波数側であるLower Bandとも言う)とRightBand(右バンド:高周波数側であるUpper Bandとも言う)として、それぞれ基地局内の帯域を10MHzずつに分割した周波数層が定義される。この時、移動局の待ち受け周波数層(Camped Frequency Layer)には、LeftBandとRightBandの2つの候補がある。よって、移動局がどちらの周波数層で待ち受けているのかについて、aGWが管理する。これにより、各移動局へのNASシグナリングをどちらの周波数層に送信すべきかを指定することが可能となり、それぞれの帯域に2重送信するオーバヘッドを回避できる。アクティブモード時の移動局の使用周波数層は、aGWおよび基地局が管理する。
【0030】
aGWで待ち受け周波数層を管理するため、移動局は、位置登録・更新の際に、待ち受け周波数層の登録も同時に行う。通常、初期登録時には、移動局はIMSIをaGWへ送信し、aGWはTMSIを割り当てるが、その際に、aGWから待ち受け周波数層を指示する。同様に位置更新時においても、aGWが待ち受け周波数層の変更を指示する。
【0031】
アイドルモード移動局へのNASシグナリングの送信開始時のページング方法を説明する。ページング時には、aGWは、ページング要求に移動局の待ち受け周波数層を付与して送出し、基地局は、ページング要求内の移動局の待ち受け周波数層の情報を取得し、移動局の待ち受け周波数層の受信帯域へページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を送信する。移動局は、位置登録・更新要求に受信能力周波数層も含めて送信し、aGWは、その応答によって、移動局の待ち受け周波数層を指示する。
【0032】
基地局の最大周波数帯域幅である20MHzと同じ20MHz送受信能力を持った移動局は、どちらの周波数層の情報も受信可能なので、基地局は、待ち受け周波数層を指示することなく、どちらかの帯域でページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を送信し、移動局は、両周波数層を受信、復調し、ページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を検出するような構成もできる。10MHz送受信能力を持った移動局は、位置登録・更新要求に受信能力周波数層をも含めて送信し、aGWは、その応答によって、移動局の待ち受け周波数層を指示する。
【0033】
このように構成することにより、移動局の待ち受け周波数層をaGWで管理することが可能となる。しかし、ページング要求には、必ず移動局の加入者識別情報であるIMSIもしくはTMSIが含まれるため、このIMSIもしくはTMSIの一部を暗示的にRightBandとLeftBandの指定に使うことも考えられる。
【0034】
例えば、図2に示すように、IMSIもしくはTMSIの下位1ビットを使用し、“0”の場合にはLeftBand、“1”の場合にはRightBandで待ち受けることを予め仕様化する。IMSIは、SIMカードなどに格納される静的な識別子であり、TMSIは、移動局からaGWへの位置更新の際に、aGWが一時的に割り当てる識別子である。
【0035】
aGWがTMSIの更新時に下位1ビットを適応的に制御することにより、移動局待ち受け周波数層の制御が効率的に行われる。すなわち、IMSIもしくはTMSIの一部もしくはハッシュ値によってページンググループを形成し、それぞれのページンググループに応じた待ち受け周波数層が決定されることを意味する。TMSIを使用する場合は、TMSIを割り当てるaGWが、移動局の待ち受け周波数層を制御することを意味する。
【0036】
IMSIは、初期位置登録の際、移動局の情報受信周波数層を決定するために使用される。移動局は、初期位置登録の際にやり取りされる情報、すなわち基地局の下りリンクでの情報(位置登録の応答情報やランダムアクセスの応答情報など)を、IMSIに関連付けられた周波数層で受信する。予め上りリンクの使用周波数層と下りリンクの使用周波数層が関連付けられている場合、上りリンクで初期位置登録を行なう周波数層は、IMSIに基づいて決定されることを意味する。
【0037】
まず、初期位置登録時には、移動局は、IMSIのハッシュ値を使ってRightBandまたはLeftBandで待ち受け動作を行う。続いて、待ち受け動作を行っている移動局は、位置登録のため、IMSIを含んだメッセージをaGWに対して送信する。aGWは、移動局から位置登録または位置更新要求を受け取ると、システム全体の負荷状況を考慮して、新たな待ち受け周波数層を示すTMSIを応答情報に含めて返信する。移動局は、aGWが送信した位置登録または位置更新要求の返信を受信すると、TMSIによって示される待ち受け周波数層に移動する。
【0038】
この場合、20MHz送受信能力の移動局に対しても、どちらか片方の帯域でページング要求が送信されることになるので、20MHz送受信能力の移動局の処理が簡略化されるという利点がある。W−CDMA方式の際には、時間方向の間欠受信のために加入者識別情報を基に間欠受信サイクルを決定していたが、同様の方法で本実施形態においても時間方向の間欠受信の適応は可能である。つまり、本実施形態においては、ページング情報の時間・周波数の送信位置を移動局の加入者識別情報に関連付けてスケジューリングすることを意味する。
【0039】
図3および図4は、図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法を示している。図3に示すように、MBMSサービス用の無線リソースの効率的な利用を考慮し、例えば、MBMSサービスは、LeftBandのみに送信される。移動局は、位置登録・更新時に自局の加入者識別情報(IMSIまたはTMSI)と待ち受け周波数層だけでなく、MBMSサービスの受信希望情報もaGWに対して登録する。
【0040】
上記で述べたように、移動局の待ち受け周波数層はaGWで管理されているため、移動局が待ち受け周波数層の変更を要求する際にはaGWの許可が必要である。移動局が、MBMSサービスを受信したい場合に、待ち受け周波数層でサービスされていないことを知った場合、aGWに対し、待ち受け周波数層の変更要求を送信する必要がある。よって、RightBandで待ち受けている移動局が、位置登録・更新要求に、MBMSサービスの受信希望情報を含めることにより、aGWは、LeftBandへの移動を指示することが可能となる。移動局は、RightBandまたはLeftBandでMBMSサービスが提供されているという情報を、報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングで取得する。
【0041】
一方、MBMSサービスを受信したい移動局数が、極端に多くなった場合、MBMSサービス以外のトラフィックが、MBMSサービスが提供されているLeftBandに集中し、負荷が非常に大きくなってしまうことが懸念される。よって、図4に示すように、aGWは、RightBandへのMBMSサービスの分散化の決定を行う機能を持つ。つまり、aGWは、aGW配下の基地局全体のトラフィック負荷状況をモニタリングし、MBMSサービスをLeftBandとRightBand双方で提供すべきかどうか判断し、MBMSサービスの2Band送信を決定した場合には、基地局に対して、2Band送信を指示する。2Band送信は、全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合と、MBMSサービスの一部のチャンネルのみをRightBandに移動する場合がある。
【0042】
図5、図6、および図7は、20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示したものである。これらの図は、周波数方向のみ示していて、それぞれの物理チャネルは、時間的に異なる位置に配置されていても良い。MBMS物理チャネルとデータ物理チャネルは、完全に周波数帯域を分割して配置される場合と、MBMSチャネルとデータチャネルを時間多重して配置される場合が考えられる。時間多重の場合であっても、最大受信帯域幅が10MHzの移動局を収容する必要があるため、少なくとも10MHz単位で周波数多重する必要がある。ここでは、特に移動局の受信周波数層能力に注目しているため、周波数方向の位置を示すように抽象化されている。
【0043】
図5は、図3の場合のようにLeftBandのみでMBMSサービスを提供する場合の物理チャネルの配置を示したものである。電源投入後の最初のバンドサーチにおいては、中心の同期チャネル(SCH)を使用し、セルサーチ処理が終了後、すぐにRightBandまたはLeftBandへ移動する。RightBandまたはLeftBandへの移動は、移動局の加入者識別番号と報知チャネルの情報などで決定される。
【0044】
上記に述べたようなaGWによる位置管理に応じて、MBMSサービスを受信する移動局はLeftBandで、MBMSサービスを受信しない移動局はRightBandで、通信または待ち受け処理を行う。また、20MHz帯域幅を受信可能な移動局は、RightBand、LeftBand共に受信可能であるため、20MHz帯域幅の移動局へのページング情報は、RightBandに送信することにより、情報の負荷分散が可能である。どちらの帯域にページング情報が送信されるかは、aGWによって決定される。
【0045】
図6は、MBMSサービスの複数のサービス種別をRightBandとLeftBandに分けて配置した場合の図である。MBMS1がLeftBandに配置され、MBMS2がRightBandに配置されている。移動局は、aGWへ、希望のMBMSサービス種別を要求し、aGWの制御の下で、LeftBandまたはRightBandで通信または待ち受け処理を行う。
【0046】
図7は、全く同じMBMSサービスを2Band送信した場合の図である。移動局は、どちらのBandにおいてもMBMSを受信可能であるため、aGWおよび基地局がネットワークの負荷状況を見て、移動局の通信または待ち受け処理周波数層を制御する。
【0047】
図5、図6、および図7で示した物理チャネル配置をaGWがネットワークの負荷状況を見て、適応的に変更することによって最適な負荷分散が可能である。MBMSサービスの受信を希望する移動局が少ない場合は図5の配置を使用し、MBMSサービスの受信希望端末が増加するにつれて図6の配置を使用し、最もMBMSサービスの受信希望端末が多い場合には図7へ配置構成を変更することによって効果的な制御が可能である。
【0048】
aGWは、20MHz受信能力の移動局に対しては管理を行わず、移動局は、LeftBand、RightBand双方を常に受信するという方法も可能である。その場合、aGWまたは基地局は、LeftBand、RightBandの混雑状況を考慮して、トラフィックの少ない帯域で、20MHzアイドルモード移動局への情報を送信することが可能である。送信周波数層の指定は、aGWから基地局に対して指定しても良いし、基地局が独自に判断しても良い。aGWから基地局に対して指定を行う場合は、aGW配下の基地局の負荷を総合的に判断することが可能である。しかし、20MHzアイドルモード移動局については、それぞれの基地局下で通信中の他の移動局のトラフィック量を考慮して、基地局が独自に判断した方が効率的な場合がある。
【0049】
図8は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法の一例を示す図で、図9は図8のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。図9では、図8に対応付けるために図8の移動局(UE)のフローを記載した。
電源投入時の移動局(DETACHEDモード)は、初期セル選択(バンドサーチ、セルサーチ)を行った後(S1)、報知情報(CCCH)を受信し(S2)、aGWへの位置登録処理のためベアラセットアップを行う。ベアラセットアップ終了後(S3,S21,S31)、移動局は、位置登録メッセージにIMSIとMBMSの希望情報を含めてaGWへ送信する(S4)。ベアラセットアップ終了後は、移動局はアクティブモードである。
【0050】
aGWは、各移動局から受信したMBMS希望情報を管理し、MBMSの送信周波数層制御の選択指標として利用する。MBMSの希望情報とは、移動局がどのチャンネルまたはチャンネルグループのMBMSを受信したいか、MBMSサービスを受信したいかしたくないか、MBMSサービスを受信できる能力があるかないかなどのaGWでのMBMS送信周波数層制御の指標となる情報である。位置登録メッセージを受信したaGWは、位置登録完了メッセージにTMSIおよび待ち受け周波数層指定情報を含めて、移動局へ送信する(S32)。
【0051】
図2で説明したように、待ち受け周波数層指定情報は暗にTMSIに含めて送信しても良い。ここで指定された待ち受け周波数層でデータの受信およびMBMSの受信を行う。図8および図9では、RightBandでデータ送受信を行っている移動局が送信した位置登録メッセージにMBMSサービスを受信したいという希望情報が含まれており、aGWは、MBMSが提供されているLeftBandへの周波数層移動を指示したことを示している。
【0052】
移動局の通信状態(S5)が終了し、ベアラの開放が行われると(S6,S23,S33)、移動局はアイドルモードへ遷移し(S7)、MBMSの受信および待ち受け動作を行うこととなる。
aGWは、各移動局から受信したMBMSの希望情報および各移動局の待ち受け周波数層からLeftBandに移動局が集中していないか監視し、MBMSの受信ユーザ数が、予めオペレータのポリシー等で定められた閾値を超えた場合に、MBMSの2Band送信を決定する。また、MBMSの受信ユーザ数が、閾値より少なくなった場合には、2Band送信を解除する。aGWは、MBMSの送信周波数層の変更を決定すると、MBMS提供範囲の基地局に対して、MBMSの送信周波数層の変更を指示する(S34)。
【0053】
指示を受けた基地局は、MBMSの送信周波数層を変更し(S24)、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を各移動局に通知する(S25)。全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合は、移動局が特に待ち受け周波数層を変更する必要はない。MBMSサービスの一部のチャンネルのみがRightBandで送信される場合、RightBandのMBMSチャンネルを受信したい移動局は、待ち受け周波数層を変更する必要がある。
MBMSの送信周波数層の変更情報は、MBMSサービス無し、LeftBand Only、チャンネルスプリット(LeftBand:MBMS1、RightBand:MBMS2)、Duplicateの4種類を識別する情報やそれぞれの送信方法の設定情報などである。
【0054】
アイドルモードの移動局は定期的にセル再選択、および、報知情報・ページング情報の受信を行っている(S8,S9)。
移動局は、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を受信すると、受信していたチャンネルが待ち受け周波数層で受信できなくなった移動局は、ベアラセットアップ(S10)と位置再登録処理を行う(S11)。位置再登録時にMBMS希望情報を含めて送信する。MBMS希望情報を受信したaGWは、位置登録完了メッセージにTMSIおよび待ち受け周波数層指定情報を含めて、移動局へ送信する(S36)。ここで指定された待ち受け周波数層でデータの受信およびMBMSの受信を行う。
【0055】
次に図10でベアラセットアップと同時にMBMSの送信周波数層制御を行なう例を示す。図10(A)は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法を示す図で、図10(B)は図10(A)のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。ここでは、LeftBandのみでMBMSサービスが提供されている場合を示している。移動局は、ベアラセットアップメッセージにMBMS希望情報を含めて基地局およびaGWに送信する。
【0056】
そして移動局と基地局の間で無線ベアラが確立され、基地局とaGWの間で無線アクセスベアラが確立され、移動局とaGWの間でサービスベアラが確立される(S41,S51,S61)。ここでアクティブモードの移動局の使用周波数層の決定には、基地局とaGW双方のスケジューリング決定を考慮する必要がある。アクティブモードの移動局の使用周波数層が、基地局の決定を優先して決定される場合には、aGWは、移動局の使用周波数層を常時把握することが困難である。基地局が、アクティブモードの移動局に対して、RightBandに移動するよう命じ、MBMSサービスをこの移動局に対する専用トラフィックとして送信することも可能である。
【0057】
ベアラセットアップメッセージに含められたMBMS希望情報を受信したaGWは、その応答メッセージにて、移動局と基地局に対して使用周波数層の変更を指示する。基地局に使用周波数層の決定権を委譲する場合は、aGWは、使用周波数層を把握していないことを把握し、決定権の委譲することをベアラセットアップ応答メッセージに含めて基地局に送信する。次に、移動局が通信を終了しアイドルモードに遷移する際には、移動局は、ベアラ開放要求メッセージにMBMS希望情報を含めてaGWへ送信する。
【0058】
aGWが移動局にMBMSサービスの受信を許可する場合には、aGWは、ベアラ開放要求応答メッセージにて、LeftBandで待ち受けることを指示する。これにより、アイドルモードの移動局の待ち受け周波数層をaGWで把握することが可能である(S43,S52,S62)。aGWは、ベアラセットアップメッセージやベアラ開放要求メッセージに含まれるMBMS希望情報および各移動局の待ち受け周波数層から、LeftBandに移動局が集中していないか監視し、MBMSの受信ユーザ数が、予めオペレータのポリシー等で定められた閾値を超えた/下回った場合に、MBMSの送信周波数層の変更を決定する。
【0059】
図8および図9では、移動局が待ち受け周波数層を変更する場合に位置再登録を行う方法を説明したが、図11で、aGWと移動局との間の信号負荷を減らす方法を説明する。図11(A)は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法を示す図で、図11(B)は図11(A)のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。
【0060】
aGWは、MBMSの送信周波数層の変更を決定すると、MBMS提供範囲の基地局に対して、MBMSの送信周波数層の変更を指示する(S91)。指示を受けた基地局は、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を各移動局に通知する(S81)。各移動局はこのMBMS送信周波数層変更情報を受信することによって待ち受け周波数層の変更を行う(S72)。
【0061】
全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合は、移動局が特に待ち受け周波数層を変更する必要はない。MBMSサービスの一部のチャンネルのみがRightBandで送信される場合、RightBandのMBMSチャンネルを受信したい移動局は、待ち受け周波数層を変更する必要がある。よって、それぞれのMBMS送信周波数層に応じた待ち受け周波数層の変更が必要となる。
【0062】
ページンググループとMBMSの送信周波数層の関係に応じて待ち受け周波数層を変更する手順を説明する。各移動局のページンググループ(Paging Group)として、ページンググループ1(LeftBand)を“0”、ページンググループ2(RightBand)を“1”と表現する。前述したようにIMSIやTMSIの一部をこのPaging Groupとして使用しても良い。また、10MHz受信能力移動局のMBMSグループ(MBMS Group)として、MBMSチャンネルグループ1を受信したい場合を“10”、MBMSチャンネルグループ2を受信したい場合を“01”、両方受信したい場合を“11”、両方受信したくない場合(MBMS受信能力がない移動局も含む)を“00”と表現する。このPaging GroupとMBMS Groupは、図8,図9や図10で説明した方法で、移動局、aGW双方で把握しているものとする。すなわち、図8、図9や図10で説明した位置登録またはベアラセットアップの応答情報に、Paging GroupとMBMS Groupの指定情報が含まれることを意味する。
【0063】
ここでMBMSの送信方法、ページンググループ、受信能力周波数層、MBMS Groupの関係に応じた待ち受け周波数層の指定方法を図12に示す。MBMSの送信方法としては、MBMSサービス無し(No MBMS)、LeftBand Only、チャンネルスプリット(LeftBand:MBMS1、RightBand:MBMS2)、Duplicateの4種類がある。一方、待ち受け周波数層を決定する要素としては、移動局受信能力周波数層、MBMS Group”00”、“01”、“10”、“11”が挙げられる。MBMSサービス無しの場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。20MHz受信能力の移動局は、前述したように双方の周波数層を受信可能であるため、ここでの制御は必要ない。
【0064】
MBMS Group“00”の移動局は、MBMSの送信方法に依存しないので、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。Paging Groupが、MBMS Group“00”以外の移動局の数などに応じて、aGWによって決定される場合、有効な負荷分散が可能である。
MBMS Group“01”の移動局は、LeftBand Onlyおよびチャンネルスプリット送信の場合には、LeftBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。
【0065】
MBMS Group“10”の移動局は、LeftBand Onlyの場合には、LeftBand、チャンネルスプリット送信の場合には、RightBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。
【0066】
MBMS Group“11”の移動局は、LeftBand Onlyの場合には、LeftBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。チャンネルスプリット送信の場合は、移動局がどちらの周波数層で待ち受けているかaGWが把握することができないので、両方のBandにページング情報が送信される。
【0067】
このような方法を使用すると、待ち受け周波数層の決定権はaGWにあるが、移動局側から、MBMS希望情報を送信することにより、待ち受け周波数層の変更を要求することができる。移動局側で、待ち受け周波数層を変更することなくMBMSの受信が継続できると判断した場合には、MBMS希望情報をaGWへ送信する必要はない。例えば、MBMS情報の受信周期とページング情報受信周期の関係に応じた間欠受信間隔を利用して、移動局が独自に周波数の切り替えを行うようにしても良い。ただし、aGWは、設定されている待ち受け周波数層に対してページング情報を送信する。
【0068】
別の例として、チャンネルスプリット送信の場合に、移動局は、両方のBandにページング情報を要求するMBMS希望情報を送信するのではなく、MBMSのチャンネル周波数切り替えを頻繁に行っている状況では、MBMS希望情報を送信せず、ユーザのチャンネル選択が収束した後に、待ち受け位置をどうしても変更する必要のある場合のみ、MBMS希望情報(MBMS Group“01”またはMBMS Group“10”)をaGWに送信する。ここで重要な点は、移動局とaGWともに、どの情報がどの周波数層で送信されるのかについて把握しているということである。
【0069】
ここでは、Paging Groupを1ビットで表現したが、Paging Groupは2ビット以上で構成し、報知情報を利用して、それぞれのグループを適応的にLeftBand、RightBandに変更するように構成することもできる。2ビットの場合、4グループ存在するので、グループ1からグループ3は、LeftBand、グループ4は、RightBandを待ち受け周波数層とするという情報を報知情報で各移動局へ通知する。aGWは、ネットワークの負荷配分、MBMSの希望情報、アクティブモードおよびアイドルモードの移動局の数などを考慮して、Paging GroupおよびPaging Groupの待ち受け周波数層を決定する。
【0070】
チャンネルスプリット時のMBMSサービスの分離方法は、3つ考えられる。一つは、単純に提供サービス内容によって決定する。2つ目は、aGWが、MBMS希望情報を集計し、負荷が均等に分散されるように決定する。3つ目は、MBMSサービス1は、受信状態の良い移動局向けのMBMSサービス、MBMSサービス2は、受信状態の悪い移動局に対するノーマルMBMSサービスというように受信状態に応じて決定する。アイドルモードの移動局の受信状態は、基地局で把握することは困難なため、MBMSサービス2で受信することになる。この場合、アイドルモードの移動局は、すべてMBMS Group“10”に割り振られることになる。アクティブモードの移動局は、受信状態を基地局と情報交換する。この受信状態に応じて、基地局は、アクティブモードの移動局に対して使用周波数層の変更を指示する。
これまでの説明では、同一基地局で、隣接する2つの周波数層の候補を持つ場合について説明したが、隣接しない周波数層や2つ以上の周波数層でも、容易に実現できる。
【0071】
本発明に関わる位置管理装置、移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる移動局に対する使用周波数層の基地局制御を実行できるように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0072】
プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD,MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0073】
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0074】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送することができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信システムにおける移動局装置、基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiplexing)方式が第3世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度を更に上げたHSDPAも標準化され、サービスが開始されようとしている。
【0003】
一方、3GPPでは、第3世代無線アクセス技術の進化(Evolved Universal Terrestrial Radio Access、以下、EUTRAと称する)および第3世代無線アクセスネットワーク技術の進化(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、以下、EUTRANと称する)が検討されている。EUTRAの下りリンクの通信方式として、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)方式が提案されている。EUTRA技術として、OFDMA方式にチャネル符号化等の適応無線リンク制御(リンクアダプテーション、Link Adaptation)に基づく適応変復調・誤り訂正方式(AMCS:Adaptive Modulation and Coding Scheme、以下、AMCS方式と称する)といった技術が適用されている。
【0004】
また、EUTRAの上りリンクとして、マルチキャリア通信方式やシングルキャリア通信方式など様々な提案がされており、OFDM方式等のマルチキャリア通信方式よりVSCRF(Variable Spreading and Chip Repetition Factors)−CDMA方式やIFDMA(Interleaved Frequency Division Multiple Access)方式、DFT(Discrete Fourier Transform)−Spread OFDM方式のシングルキャリア通信方式が上りリンクに有効な無線通信方式として提案されている。
【0005】
また、EUTRANで提供するサービスは、パケットベースのサービスを想定しており、W−CDMAで提供されているMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)もさらに発展させて盛り込むこととなっている。MBMSは、無線ネットワークを通じて同一のマルチメディアデータを複数の受信者に伝送するサービスのことである。このとき、複数の受信者が一つの無線チャンネルを共有するようにして、無線伝送資源を節約することができる。
【0006】
また、EUTRA/EUTRANの技術要求条件(例えば、非特許文献2参照)が提案され、既存の2G、3Gサービスとの融合、共存のため、スペクトル柔軟性(Spectrum Flexibility)が要求され、異なるサイズのスペクトル(周波数帯域幅、例えば、1.25MHz、2.5MHz、5MHz、10MHz、20MHz)に対する周波数割り当てのサポート(Support for spectrum allocations of different size)が要求されている。
【0007】
また、EUTRANの技術要求条件(非特許文献3参照)が提案され、異なる周波数帯域幅(例えば、10MHz、15MHz、20MHz)の送受信能力を持つ移動局クラスの移動局のサポートも要求している。また、EUTRAの技術資料(非特許文献4参照)が提案され、異なる周波数帯域幅の送受信能力を持つ移動局に対する使用すべき周波数帯域位置指定(中心周波数シフト)の方法が示されている。ここで特に問題となるのは、基地局周波数帯域幅が20MHz帯域幅の場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法であり、アクティブモード(Connectedモード)、アイドルモード(待ち受け状態)、MBMSの受信時に通信を行う帯域位置の候補が列挙されている。
【0008】
図13に示すように、候補の帯域としては、20MHzの中心10MHzバンド、20MHzの右10MHzバンド、20MHzの左10MHzバンドの3つが挙げられている。図13では、左10MHzバンドに、MBMSサービス1、MBMSサービス2、BCH(報知情報チャネル)、PCH(ページングチャネル)が配置されている。この場合、MBMS受信移動局、およびアイドルモード移動局は、左10MHzバンドで通信を行い、それ以外のアクティブモード移動局は、右10MHzバンドで通信を行う。
【0009】
一方、図14では、左10MHzバンドにMBMSサービス1、右10MHzバンドにMBMSサービス2が配置され、BCH、PCHは、左右に重複して配置されている。この場合、MBMSサービス1受信移動局は、左10MHzバンドで通信を行い、MBMSサービス2受信移動局は、右10MHzバンドで通信を行う。(非特許文献4参照)
【0010】
特許文献1では、複数の周波数層を持つMBMS移動通信システムにおいて、アクティブモード移動局へのシグナリングによって、MBMSサービスと専用トラフィックサービスの優先周波数層を制御し、移動局は、どちらのサービスを受信すべきかを判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−42354号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TR(Technical Report)25.858、および3GPPのHSDPA仕様関連資料. http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/25-series.htm
【非特許文献2】3GPP TR(Technical Report)25.913、V2.1.0(2005−05)、Requirements for evolved Universal Terrestrial Radio Access (UTRA) and Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN). http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/25913.htm
【非特許文献3】3GPP TR(Technical Report)25.913、V7.2.0(2005−12)、Requirements for Evolved UTRA(E-UTRA) and Evolved UTRAN(E-UTRAN)
【非特許文献4】R2−061001 “Principles of scalable bandwidth scenarios”,3GPP TSG RAN WG2 Metting#52 Athens,Greece,March 27−31,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら上記特許文献では、アイドルモード時のトラフィック(例えば、ページング情報、報知情報、ショートメッセージなど)を考慮していない。図14のようにアイドルモード時の移動局がMBMS受信のために周波数層を変更する場合、ネットワークからの優先情報を基に、移動局が決定権を持って周波数層の変更を行う。すなわち、上位ノード(RNC,SGSNなどの位置管理装置および無線リソース制御装置)がどの周波数層に移動局が移動したのかを知ることができないため、ページングや報知情報を双方の周波数層に送信する必要が生じる。
【0014】
また、図13のような一方の周波数層でのMBMS送信サービスの場合、専用トラフィックサービスとMBMS送信サービスの両方を受信したい移動局の数が多くなった場合に、一方の周波数層でのトラフィック量が増大するため、専用トラフィックサービスとMBMSサービスのどちらかの切断を移動局に迫る必要がある。
【0015】
これらの問題は、上位ノードで、移動局のMBMS受信周波数層および受信趣向、専用トラフィックの負荷、アイドルモードの移動局の待ち受け周波数層の管理が統合的に行われていないことによって生じている。
【0016】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、異なる周波数層の送受 信能力を持つ移動局クラスの移動局が混在する移動通信システムにおいて、通信システム全体の周波数利用効率を向上させるとともに、特定の移動局に対する使用周波数層の基地局制御を効率的に実行できるようにした移動局装置、 基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置であって、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置であって、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置に用いられる方法であって、ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置に用いられる方法であって、移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異なる周波数層の送受信能力を持つ移動局クラスの移動局が混在する移動通信システムにおいて、通信システム全体の周波数利用効率を向上させるとともに、特定の移動局に対する使用周波数層の基地局制御を効率的に実行できるようにした移動局装置、 基地局装置、移動局装置に用いられる方法、及び基地局装置に用いられる方法を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】EUTRANのシステムの簡略化された構成を示す図である。
【図2】IMSIもしくはTMSIの一部をRightBandとLeftBandの指定に使うようにした下りリンクのマッピング例を示す図である。
【図3】図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法を示す図である。
【図4】図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法の他の例を示す図である。
【図5】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す図である。
【図6】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す他の図である。
【図7】20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示す更に他の図である。
【図8】基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法の一例を示す図である。
【図9】図8のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。
【図10】ベアラセットアップと同時にMBMSの送信周波数層制御を行なう例を示す図である。
【図11】aGWと移動局との間の信号負荷を減らす方法を説明するための図である。
【図12】MBMSの送信方法、ページンググループ、受信能力周波数層、MBMS Groupの関係に応じた待ち受け層の指定方法を示す図である。
【図13】基地局周波数帯域幅が20MHzの場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法の例を示す図である。
【図14】基地局周波数帯域幅が20MHzの場合の10MHz帯域幅の送受信能力を持つ移動局の収容方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、EUTRANのシステムの簡略化された構成を示す図である。aGW(access Gateway)は、上位ノード(W−CDMA/GPRS方式のSGSN,RNC)に相当し、ページングの起動、移動局(UE:User Equipment)との間でアクセスシステム非依存のシグナリング(NASシグナリング:Non Access Stratumシグナリング)のやり取りを行う。aGWをユーザプレーンノードと制御プレーンノードに分離することも可能であるが、ここでは、同一ノードとして扱う。
【0024】
aGWは、本発明の位置管理装置に該当し、位置管理(W−CDMA方式のVLR相当)を行い、移動局から位置登録・更新要求を受信し、位置管理データベースへ登録する。移動局への着信があった場合には、aGWは位置管理データベースから移動局の登録情報を取得し、ページング要求を位置登録エリア内の基地局(eNB:evolved NodeB)に送信する。移動局からの位置登録・更新要求には、W−CDMA方式と同様、初期登録時にはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)、位置更新時には、TMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)が含められ、aGWの位置管理データベースに登録される。
【0025】
ページングは、パケットが着信している移動局の位置登録エリアを位置管理データベースから取得し、位置登録エリアの基地局に対して、位置管理装置からページング要求を送出することで行なわれる。ここでページング要求とは、aGWからのページングのNASシグナリングを位置登録エリア内の基地局が受信し、基地局が、移動局または移動局のグループに対し、ページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を、物理シグナリングとして送信することを意味する。
【0026】
アイドルモードの移動局は、位置管理装置からのページングの受信、基地局からの報知情報(無線フォーマット設定やショートメッセージなども含む)の受信、MBMS共用制御信号の受信などを行っている。MBMS共用制御信号は、MBMSサービスの種類やMBMSのスケジューリング情報などを送信する。アイドルモードの移動局は、MBMSデータの受信も可能である。
【0027】
MBMS Serverは、MBMSデータのソースとして、MBMSデータのスケジューリングに関して責任を負っている。MBMS Serverによって生成されたMBMSデータストリームは、aGW、基地局を経て、移動局に伝達される。
【0028】
aGWは、それぞれの加入者のMBMS関連サービスを制御する。aGWは、特定の基地局に選択的にMBMS関連サービスを伝送し、および基地局間でのMBMS関連サービスの周波数・時間スケジューリングのサポート等を行う。aGWとMBMS Serverは共通ノードとして定義されても良い。MBMSサービスは、SFN(Single Frequency Network)で提供される場合もあり、その場合は、各基地局間は同期システムとして動作し、同一時間・周波数領域に同一データを送信することを可能とする。
【0029】
基地局の最大周波数帯域幅が20MHzの場合、10MHz送受信能力の移動局の収容のため、LeftBand(左バンド:低周波数側であるLower Bandとも言う)とRightBand(右バンド:高周波数側であるUpper Bandとも言う)として、それぞれ基地局内の帯域を10MHzずつに分割した周波数層が定義される。この時、移動局の待ち受け周波数層(Camped Frequency Layer)には、LeftBandとRightBandの2つの候補がある。よって、移動局がどちらの周波数層で待ち受けているのかについて、aGWが管理する。これにより、各移動局へのNASシグナリングをどちらの周波数層に送信すべきかを指定することが可能となり、それぞれの帯域に2重送信するオーバヘッドを回避できる。アクティブモード時の移動局の使用周波数層は、aGWおよび基地局が管理する。
【0030】
aGWで待ち受け周波数層を管理するため、移動局は、位置登録・更新の際に、待ち受け周波数層の登録も同時に行う。通常、初期登録時には、移動局はIMSIをaGWへ送信し、aGWはTMSIを割り当てるが、その際に、aGWから待ち受け周波数層を指示する。同様に位置更新時においても、aGWが待ち受け周波数層の変更を指示する。
【0031】
アイドルモード移動局へのNASシグナリングの送信開始時のページング方法を説明する。ページング時には、aGWは、ページング要求に移動局の待ち受け周波数層を付与して送出し、基地局は、ページング要求内の移動局の待ち受け周波数層の情報を取得し、移動局の待ち受け周波数層の受信帯域へページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を送信する。移動局は、位置登録・更新要求に受信能力周波数層も含めて送信し、aGWは、その応答によって、移動局の待ち受け周波数層を指示する。
【0032】
基地局の最大周波数帯域幅である20MHzと同じ20MHz送受信能力を持った移動局は、どちらの周波数層の情報も受信可能なので、基地局は、待ち受け周波数層を指示することなく、どちらかの帯域でページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を送信し、移動局は、両周波数層を受信、復調し、ページングインジケーター(PICH)および/またはページング情報(PCH)を検出するような構成もできる。10MHz送受信能力を持った移動局は、位置登録・更新要求に受信能力周波数層をも含めて送信し、aGWは、その応答によって、移動局の待ち受け周波数層を指示する。
【0033】
このように構成することにより、移動局の待ち受け周波数層をaGWで管理することが可能となる。しかし、ページング要求には、必ず移動局の加入者識別情報であるIMSIもしくはTMSIが含まれるため、このIMSIもしくはTMSIの一部を暗示的にRightBandとLeftBandの指定に使うことも考えられる。
【0034】
例えば、図2に示すように、IMSIもしくはTMSIの下位1ビットを使用し、“0”の場合にはLeftBand、“1”の場合にはRightBandで待ち受けることを予め仕様化する。IMSIは、SIMカードなどに格納される静的な識別子であり、TMSIは、移動局からaGWへの位置更新の際に、aGWが一時的に割り当てる識別子である。
【0035】
aGWがTMSIの更新時に下位1ビットを適応的に制御することにより、移動局待ち受け周波数層の制御が効率的に行われる。すなわち、IMSIもしくはTMSIの一部もしくはハッシュ値によってページンググループを形成し、それぞれのページンググループに応じた待ち受け周波数層が決定されることを意味する。TMSIを使用する場合は、TMSIを割り当てるaGWが、移動局の待ち受け周波数層を制御することを意味する。
【0036】
IMSIは、初期位置登録の際、移動局の情報受信周波数層を決定するために使用される。移動局は、初期位置登録の際にやり取りされる情報、すなわち基地局の下りリンクでの情報(位置登録の応答情報やランダムアクセスの応答情報など)を、IMSIに関連付けられた周波数層で受信する。予め上りリンクの使用周波数層と下りリンクの使用周波数層が関連付けられている場合、上りリンクで初期位置登録を行なう周波数層は、IMSIに基づいて決定されることを意味する。
【0037】
まず、初期位置登録時には、移動局は、IMSIのハッシュ値を使ってRightBandまたはLeftBandで待ち受け動作を行う。続いて、待ち受け動作を行っている移動局は、位置登録のため、IMSIを含んだメッセージをaGWに対して送信する。aGWは、移動局から位置登録または位置更新要求を受け取ると、システム全体の負荷状況を考慮して、新たな待ち受け周波数層を示すTMSIを応答情報に含めて返信する。移動局は、aGWが送信した位置登録または位置更新要求の返信を受信すると、TMSIによって示される待ち受け周波数層に移動する。
【0038】
この場合、20MHz送受信能力の移動局に対しても、どちらか片方の帯域でページング要求が送信されることになるので、20MHz送受信能力の移動局の処理が簡略化されるという利点がある。W−CDMA方式の際には、時間方向の間欠受信のために加入者識別情報を基に間欠受信サイクルを決定していたが、同様の方法で本実施形態においても時間方向の間欠受信の適応は可能である。つまり、本実施形態においては、ページング情報の時間・周波数の送信位置を移動局の加入者識別情報に関連付けてスケジューリングすることを意味する。
【0039】
図3および図4は、図1の待ち受け周波数層管理方法にMBMSサービスの制御を適応した際のMBMS制御方法を示している。図3に示すように、MBMSサービス用の無線リソースの効率的な利用を考慮し、例えば、MBMSサービスは、LeftBandのみに送信される。移動局は、位置登録・更新時に自局の加入者識別情報(IMSIまたはTMSI)と待ち受け周波数層だけでなく、MBMSサービスの受信希望情報もaGWに対して登録する。
【0040】
上記で述べたように、移動局の待ち受け周波数層はaGWで管理されているため、移動局が待ち受け周波数層の変更を要求する際にはaGWの許可が必要である。移動局が、MBMSサービスを受信したい場合に、待ち受け周波数層でサービスされていないことを知った場合、aGWに対し、待ち受け周波数層の変更要求を送信する必要がある。よって、RightBandで待ち受けている移動局が、位置登録・更新要求に、MBMSサービスの受信希望情報を含めることにより、aGWは、LeftBandへの移動を指示することが可能となる。移動局は、RightBandまたはLeftBandでMBMSサービスが提供されているという情報を、報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングで取得する。
【0041】
一方、MBMSサービスを受信したい移動局数が、極端に多くなった場合、MBMSサービス以外のトラフィックが、MBMSサービスが提供されているLeftBandに集中し、負荷が非常に大きくなってしまうことが懸念される。よって、図4に示すように、aGWは、RightBandへのMBMSサービスの分散化の決定を行う機能を持つ。つまり、aGWは、aGW配下の基地局全体のトラフィック負荷状況をモニタリングし、MBMSサービスをLeftBandとRightBand双方で提供すべきかどうか判断し、MBMSサービスの2Band送信を決定した場合には、基地局に対して、2Band送信を指示する。2Band送信は、全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合と、MBMSサービスの一部のチャンネルのみをRightBandに移動する場合がある。
【0042】
図5、図6、および図7は、20MHz帯域幅の基地局から送信されるそれぞれの物理チャネルの配置を概念的に示したものである。これらの図は、周波数方向のみ示していて、それぞれの物理チャネルは、時間的に異なる位置に配置されていても良い。MBMS物理チャネルとデータ物理チャネルは、完全に周波数帯域を分割して配置される場合と、MBMSチャネルとデータチャネルを時間多重して配置される場合が考えられる。時間多重の場合であっても、最大受信帯域幅が10MHzの移動局を収容する必要があるため、少なくとも10MHz単位で周波数多重する必要がある。ここでは、特に移動局の受信周波数層能力に注目しているため、周波数方向の位置を示すように抽象化されている。
【0043】
図5は、図3の場合のようにLeftBandのみでMBMSサービスを提供する場合の物理チャネルの配置を示したものである。電源投入後の最初のバンドサーチにおいては、中心の同期チャネル(SCH)を使用し、セルサーチ処理が終了後、すぐにRightBandまたはLeftBandへ移動する。RightBandまたはLeftBandへの移動は、移動局の加入者識別番号と報知チャネルの情報などで決定される。
【0044】
上記に述べたようなaGWによる位置管理に応じて、MBMSサービスを受信する移動局はLeftBandで、MBMSサービスを受信しない移動局はRightBandで、通信または待ち受け処理を行う。また、20MHz帯域幅を受信可能な移動局は、RightBand、LeftBand共に受信可能であるため、20MHz帯域幅の移動局へのページング情報は、RightBandに送信することにより、情報の負荷分散が可能である。どちらの帯域にページング情報が送信されるかは、aGWによって決定される。
【0045】
図6は、MBMSサービスの複数のサービス種別をRightBandとLeftBandに分けて配置した場合の図である。MBMS1がLeftBandに配置され、MBMS2がRightBandに配置されている。移動局は、aGWへ、希望のMBMSサービス種別を要求し、aGWの制御の下で、LeftBandまたはRightBandで通信または待ち受け処理を行う。
【0046】
図7は、全く同じMBMSサービスを2Band送信した場合の図である。移動局は、どちらのBandにおいてもMBMSを受信可能であるため、aGWおよび基地局がネットワークの負荷状況を見て、移動局の通信または待ち受け処理周波数層を制御する。
【0047】
図5、図6、および図7で示した物理チャネル配置をaGWがネットワークの負荷状況を見て、適応的に変更することによって最適な負荷分散が可能である。MBMSサービスの受信を希望する移動局が少ない場合は図5の配置を使用し、MBMSサービスの受信希望端末が増加するにつれて図6の配置を使用し、最もMBMSサービスの受信希望端末が多い場合には図7へ配置構成を変更することによって効果的な制御が可能である。
【0048】
aGWは、20MHz受信能力の移動局に対しては管理を行わず、移動局は、LeftBand、RightBand双方を常に受信するという方法も可能である。その場合、aGWまたは基地局は、LeftBand、RightBandの混雑状況を考慮して、トラフィックの少ない帯域で、20MHzアイドルモード移動局への情報を送信することが可能である。送信周波数層の指定は、aGWから基地局に対して指定しても良いし、基地局が独自に判断しても良い。aGWから基地局に対して指定を行う場合は、aGW配下の基地局の負荷を総合的に判断することが可能である。しかし、20MHzアイドルモード移動局については、それぞれの基地局下で通信中の他の移動局のトラフィック量を考慮して、基地局が独自に判断した方が効率的な場合がある。
【0049】
図8は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法の一例を示す図で、図9は図8のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。図9では、図8に対応付けるために図8の移動局(UE)のフローを記載した。
電源投入時の移動局(DETACHEDモード)は、初期セル選択(バンドサーチ、セルサーチ)を行った後(S1)、報知情報(CCCH)を受信し(S2)、aGWへの位置登録処理のためベアラセットアップを行う。ベアラセットアップ終了後(S3,S21,S31)、移動局は、位置登録メッセージにIMSIとMBMSの希望情報を含めてaGWへ送信する(S4)。ベアラセットアップ終了後は、移動局はアクティブモードである。
【0050】
aGWは、各移動局から受信したMBMS希望情報を管理し、MBMSの送信周波数層制御の選択指標として利用する。MBMSの希望情報とは、移動局がどのチャンネルまたはチャンネルグループのMBMSを受信したいか、MBMSサービスを受信したいかしたくないか、MBMSサービスを受信できる能力があるかないかなどのaGWでのMBMS送信周波数層制御の指標となる情報である。位置登録メッセージを受信したaGWは、位置登録完了メッセージにTMSIおよび待ち受け周波数層指定情報を含めて、移動局へ送信する(S32)。
【0051】
図2で説明したように、待ち受け周波数層指定情報は暗にTMSIに含めて送信しても良い。ここで指定された待ち受け周波数層でデータの受信およびMBMSの受信を行う。図8および図9では、RightBandでデータ送受信を行っている移動局が送信した位置登録メッセージにMBMSサービスを受信したいという希望情報が含まれており、aGWは、MBMSが提供されているLeftBandへの周波数層移動を指示したことを示している。
【0052】
移動局の通信状態(S5)が終了し、ベアラの開放が行われると(S6,S23,S33)、移動局はアイドルモードへ遷移し(S7)、MBMSの受信および待ち受け動作を行うこととなる。
aGWは、各移動局から受信したMBMSの希望情報および各移動局の待ち受け周波数層からLeftBandに移動局が集中していないか監視し、MBMSの受信ユーザ数が、予めオペレータのポリシー等で定められた閾値を超えた場合に、MBMSの2Band送信を決定する。また、MBMSの受信ユーザ数が、閾値より少なくなった場合には、2Band送信を解除する。aGWは、MBMSの送信周波数層の変更を決定すると、MBMS提供範囲の基地局に対して、MBMSの送信周波数層の変更を指示する(S34)。
【0053】
指示を受けた基地局は、MBMSの送信周波数層を変更し(S24)、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を各移動局に通知する(S25)。全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合は、移動局が特に待ち受け周波数層を変更する必要はない。MBMSサービスの一部のチャンネルのみがRightBandで送信される場合、RightBandのMBMSチャンネルを受信したい移動局は、待ち受け周波数層を変更する必要がある。
MBMSの送信周波数層の変更情報は、MBMSサービス無し、LeftBand Only、チャンネルスプリット(LeftBand:MBMS1、RightBand:MBMS2)、Duplicateの4種類を識別する情報やそれぞれの送信方法の設定情報などである。
【0054】
アイドルモードの移動局は定期的にセル再選択、および、報知情報・ページング情報の受信を行っている(S8,S9)。
移動局は、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を受信すると、受信していたチャンネルが待ち受け周波数層で受信できなくなった移動局は、ベアラセットアップ(S10)と位置再登録処理を行う(S11)。位置再登録時にMBMS希望情報を含めて送信する。MBMS希望情報を受信したaGWは、位置登録完了メッセージにTMSIおよび待ち受け周波数層指定情報を含めて、移動局へ送信する(S36)。ここで指定された待ち受け周波数層でデータの受信およびMBMSの受信を行う。
【0055】
次に図10でベアラセットアップと同時にMBMSの送信周波数層制御を行なう例を示す。図10(A)は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法を示す図で、図10(B)は図10(A)のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。ここでは、LeftBandのみでMBMSサービスが提供されている場合を示している。移動局は、ベアラセットアップメッセージにMBMS希望情報を含めて基地局およびaGWに送信する。
【0056】
そして移動局と基地局の間で無線ベアラが確立され、基地局とaGWの間で無線アクセスベアラが確立され、移動局とaGWの間でサービスベアラが確立される(S41,S51,S61)。ここでアクティブモードの移動局の使用周波数層の決定には、基地局とaGW双方のスケジューリング決定を考慮する必要がある。アクティブモードの移動局の使用周波数層が、基地局の決定を優先して決定される場合には、aGWは、移動局の使用周波数層を常時把握することが困難である。基地局が、アクティブモードの移動局に対して、RightBandに移動するよう命じ、MBMSサービスをこの移動局に対する専用トラフィックとして送信することも可能である。
【0057】
ベアラセットアップメッセージに含められたMBMS希望情報を受信したaGWは、その応答メッセージにて、移動局と基地局に対して使用周波数層の変更を指示する。基地局に使用周波数層の決定権を委譲する場合は、aGWは、使用周波数層を把握していないことを把握し、決定権の委譲することをベアラセットアップ応答メッセージに含めて基地局に送信する。次に、移動局が通信を終了しアイドルモードに遷移する際には、移動局は、ベアラ開放要求メッセージにMBMS希望情報を含めてaGWへ送信する。
【0058】
aGWが移動局にMBMSサービスの受信を許可する場合には、aGWは、ベアラ開放要求応答メッセージにて、LeftBandで待ち受けることを指示する。これにより、アイドルモードの移動局の待ち受け周波数層をaGWで把握することが可能である(S43,S52,S62)。aGWは、ベアラセットアップメッセージやベアラ開放要求メッセージに含まれるMBMS希望情報および各移動局の待ち受け周波数層から、LeftBandに移動局が集中していないか監視し、MBMSの受信ユーザ数が、予めオペレータのポリシー等で定められた閾値を超えた/下回った場合に、MBMSの送信周波数層の変更を決定する。
【0059】
図8および図9では、移動局が待ち受け周波数層を変更する場合に位置再登録を行う方法を説明したが、図11で、aGWと移動局との間の信号負荷を減らす方法を説明する。図11(A)は、基地局、aGW、およびアイドルモード移動局のMBMS制御方法を示す図で、図11(B)は図11(A)のフローに応じた下りリンクのマッピングの状態を示す図である。
【0060】
aGWは、MBMSの送信周波数層の変更を決定すると、MBMS提供範囲の基地局に対して、MBMSの送信周波数層の変更を指示する(S91)。指示を受けた基地局は、ページング情報または報知情報またはMBMS共用制御信号または共用シグナリングまたは専用シグナリングにてMBMSの送信周波数層の変更情報を各移動局に通知する(S81)。各移動局はこのMBMS送信周波数層変更情報を受信することによって待ち受け周波数層の変更を行う(S72)。
【0061】
全く同じMBMSサービスをLeftBandとRightBand双方に送信する場合は、移動局が特に待ち受け周波数層を変更する必要はない。MBMSサービスの一部のチャンネルのみがRightBandで送信される場合、RightBandのMBMSチャンネルを受信したい移動局は、待ち受け周波数層を変更する必要がある。よって、それぞれのMBMS送信周波数層に応じた待ち受け周波数層の変更が必要となる。
【0062】
ページンググループとMBMSの送信周波数層の関係に応じて待ち受け周波数層を変更する手順を説明する。各移動局のページンググループ(Paging Group)として、ページンググループ1(LeftBand)を“0”、ページンググループ2(RightBand)を“1”と表現する。前述したようにIMSIやTMSIの一部をこのPaging Groupとして使用しても良い。また、10MHz受信能力移動局のMBMSグループ(MBMS Group)として、MBMSチャンネルグループ1を受信したい場合を“10”、MBMSチャンネルグループ2を受信したい場合を“01”、両方受信したい場合を“11”、両方受信したくない場合(MBMS受信能力がない移動局も含む)を“00”と表現する。このPaging GroupとMBMS Groupは、図8,図9や図10で説明した方法で、移動局、aGW双方で把握しているものとする。すなわち、図8、図9や図10で説明した位置登録またはベアラセットアップの応答情報に、Paging GroupとMBMS Groupの指定情報が含まれることを意味する。
【0063】
ここでMBMSの送信方法、ページンググループ、受信能力周波数層、MBMS Groupの関係に応じた待ち受け周波数層の指定方法を図12に示す。MBMSの送信方法としては、MBMSサービス無し(No MBMS)、LeftBand Only、チャンネルスプリット(LeftBand:MBMS1、RightBand:MBMS2)、Duplicateの4種類がある。一方、待ち受け周波数層を決定する要素としては、移動局受信能力周波数層、MBMS Group”00”、“01”、“10”、“11”が挙げられる。MBMSサービス無しの場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。20MHz受信能力の移動局は、前述したように双方の周波数層を受信可能であるため、ここでの制御は必要ない。
【0064】
MBMS Group“00”の移動局は、MBMSの送信方法に依存しないので、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。Paging Groupが、MBMS Group“00”以外の移動局の数などに応じて、aGWによって決定される場合、有効な負荷分散が可能である。
MBMS Group“01”の移動局は、LeftBand Onlyおよびチャンネルスプリット送信の場合には、LeftBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。
【0065】
MBMS Group“10”の移動局は、LeftBand Onlyの場合には、LeftBand、チャンネルスプリット送信の場合には、RightBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。
【0066】
MBMS Group“11”の移動局は、LeftBand Onlyの場合には、LeftBandが待ち受け周波数層である。Duplicate送信の場合は、Paging Groupによって待ち受け周波数層が決定される。チャンネルスプリット送信の場合は、移動局がどちらの周波数層で待ち受けているかaGWが把握することができないので、両方のBandにページング情報が送信される。
【0067】
このような方法を使用すると、待ち受け周波数層の決定権はaGWにあるが、移動局側から、MBMS希望情報を送信することにより、待ち受け周波数層の変更を要求することができる。移動局側で、待ち受け周波数層を変更することなくMBMSの受信が継続できると判断した場合には、MBMS希望情報をaGWへ送信する必要はない。例えば、MBMS情報の受信周期とページング情報受信周期の関係に応じた間欠受信間隔を利用して、移動局が独自に周波数の切り替えを行うようにしても良い。ただし、aGWは、設定されている待ち受け周波数層に対してページング情報を送信する。
【0068】
別の例として、チャンネルスプリット送信の場合に、移動局は、両方のBandにページング情報を要求するMBMS希望情報を送信するのではなく、MBMSのチャンネル周波数切り替えを頻繁に行っている状況では、MBMS希望情報を送信せず、ユーザのチャンネル選択が収束した後に、待ち受け位置をどうしても変更する必要のある場合のみ、MBMS希望情報(MBMS Group“01”またはMBMS Group“10”)をaGWに送信する。ここで重要な点は、移動局とaGWともに、どの情報がどの周波数層で送信されるのかについて把握しているということである。
【0069】
ここでは、Paging Groupを1ビットで表現したが、Paging Groupは2ビット以上で構成し、報知情報を利用して、それぞれのグループを適応的にLeftBand、RightBandに変更するように構成することもできる。2ビットの場合、4グループ存在するので、グループ1からグループ3は、LeftBand、グループ4は、RightBandを待ち受け周波数層とするという情報を報知情報で各移動局へ通知する。aGWは、ネットワークの負荷配分、MBMSの希望情報、アクティブモードおよびアイドルモードの移動局の数などを考慮して、Paging GroupおよびPaging Groupの待ち受け周波数層を決定する。
【0070】
チャンネルスプリット時のMBMSサービスの分離方法は、3つ考えられる。一つは、単純に提供サービス内容によって決定する。2つ目は、aGWが、MBMS希望情報を集計し、負荷が均等に分散されるように決定する。3つ目は、MBMSサービス1は、受信状態の良い移動局向けのMBMSサービス、MBMSサービス2は、受信状態の悪い移動局に対するノーマルMBMSサービスというように受信状態に応じて決定する。アイドルモードの移動局の受信状態は、基地局で把握することは困難なため、MBMSサービス2で受信することになる。この場合、アイドルモードの移動局は、すべてMBMS Group“10”に割り振られることになる。アクティブモードの移動局は、受信状態を基地局と情報交換する。この受信状態に応じて、基地局は、アクティブモードの移動局に対して使用周波数層の変更を指示する。
これまでの説明では、同一基地局で、隣接する2つの周波数層の候補を持つ場合について説明したが、隣接しない周波数層や2つ以上の周波数層でも、容易に実現できる。
【0071】
本発明に関わる位置管理装置、移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる移動局に対する使用周波数層の基地局制御を実行できるように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0072】
プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD,MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0073】
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0074】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送することができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置であって、
ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置であって、
移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置に用いられる方法であって、
ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴とする方法。
【請求項4】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置に用いられる方法であって、
移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴とする方法。
【請求項1】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置であって、
ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置であって、
移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する移動局装置に用いられる方法であって、
ある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報をネットワークに通知することを特徴とする方法。
【請求項4】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(MBMS)を提供する移動通信システムに適用する基地局装置に用いられる方法であって、
移動局装置がある周波数のMBMSの受信を希望するかどうかを示す情報を受信し、前記移動局装置が前記周波数でMBMSおよびデータを受信することができるように制御することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−135060(P2012−135060A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91711(P2012−91711)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−538616(P2008−538616)の分割
【原出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−538616(P2008−538616)の分割
【原出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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