説明

移動局

【課題】CoMP送受信処理を開始するか否かについての判定を適切に行うための仕組みを提供する。
【解決手段】本発明に係る移動局UEは、移動局UEのサービングセルを管理する無線基地局eNBからの指示に基づいて、CRSを用いて、かかるサービングセル及び周辺セルにおける第1無線品質を測定し、CSI-RSを用いて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントにおける第2無線品質を測定するように構成されている測定部12と、第1無線品質の測定結果に加えて、第2無線品質の測定結果を含む「Measurement Report」を送信するように構成されている送信部13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式において、セル端に位置する移動局UEにおけるスループットの改善等を図ることを目的として、CoMP(Coordinated Multi-Point、マルチポイント協調)送受信処理を適用することについて検討されている。
【0003】
かかるCoMP送受信処理は、地理的に離れた複数の送受信ノード(CoMP用送信ポイント)の間で、例えば、無線基地局eNBや基地局用無線装置RRE(Remote Radio Equipment)やリレーノードRN等の間で、共有データチャネル信号の送受信やスケジューリングやビームフォーミング等を協調制御する処理である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR36.819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在のLTE方式では、かかるCoMP送受信処理を開始するか否かについての判定方法が規定されていないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、CoMP送受信処理を開始するか否かについての判定を適切に行うための仕組みを提供する移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、移動局であって、前記移動局のサービングセルを管理する無線基地局からの指示に基づいて、各セル用の参照符号を用いて、該サービングセル及び周辺セルにおける第1無線品質を測定し、該移動局用の参照符号を用いて、マルチポイント協調送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントにおける第2無線品質を測定するように構成されている測定部と、前記第1無線品質の測定結果に加えて、前記第2無線品質の測定結果を含む測定報告を送信するように構成されている送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、CoMP送受信処理を開始するか否かについての判定を適切に行うための仕組みを提供する移動局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信される「Measurement Report」に含まれる情報要素「Measurement Result」のフォーマットの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態では、本実施形態に係る移動通信システムとして、LTE方式の移動通信システムを例示して説明するが、本発明は、LTE方式以外の移動通信システムにも適用可能である。
【0011】
本実施形態に係る移動通信システムでは、CoMP送受信処理、特に、下りCoMP送受信処理を行うことができるように構成されている。
【0012】
かかる下りCoMP送受信処理には、「JT(Joint Transmission)」や「DCS(Dynamic Cell Selection)」や「CS/CB(Coordinated Scheduling/Beamforming)」が含まれている。
【0013】
ここで、「JT」は、複数のセルから、すなわち、サービングセル以外のセルからも、移動局UEに対して、共有データチャネル信号を送信する処理である。
【0014】
また、「DCS」は、チャネル品質情報(CQI)に基づいて、高速に、1つのセルを選択し、選択したセルから、移動局UEに対して、共有データチャネル信号を送信する処理である。
【0015】
さらに、「CS/CB」は、サービングセルと周辺セルとの間で、スケジューリングやビームフォーミングを協調する処理である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、セル#1〜#5において、CoMP送受信処理を提供することができるように構成されている、すなわち、セル#1〜#5が、CoMPサポートエリアとなるように構成されているものとする。
【0017】
なお、セル#1〜#5は、同一の無線基地局eNBによって管理されていてもよいし、異なる無線基地局eNBによって管理されていてもよい。
【0018】
また、各セル#1〜#5では、CRS(Cell specific Reference Signal)に加えて、CSI-RS(Channel State Information Reference Signal)を送信することができるように構成されている。
【0019】
ここで、CRSは、LTEのRel-8/9方式で規定されている参照信号であって、各セル内の全ての移動局UEに対して共通に設定される参照信号である。
【0020】
一方、CSI-RSは、LTEのRel-10方式で規定されている参照信号であって、RRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて移動局UEごとに個別に設定される参照信号である。
【0021】
CSI-RSは、CoMP用送信ポイント(CoMP送受信処理の対象候補)やサービングセルや周辺セル(ハンドオーバ先候補)等の品質測定処理のために用いられてもよいし、CoMP送受信処理が行われているCoMP用送信ポイントやサービングセルにおけるCQIを測定するために用いられてもよい。
【0022】
なお、上述の品質測定処理のために用いられるCSI-RS及び上述のCQIを測定するために用いられるCSI-RSは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0023】
例えば、上述の品質測定処理における測定精度及び上述のCQIの測定精度に対する要求条件に基づいて、上述の品質測定処理のために用いられるCSI-RS及び上述のCQIを測定するために用いられるCSI-RSを同じものにするか或いは異なるものにするかについて決定することができる。
【0024】
また、CSI-RSの配置密度は、CRSの配置密度と比べて低くなるように構成されている。
【0025】
また、セル#1〜#5においてCoMP送受信処理が提供される場合、セル(CoMP用送信ポイント)#1〜#5において、同一のPCI(Physical Cell ID)が用いられるように構成されていてもよいし、異なるPCIが用いられるように構成されていてもよい。
【0026】
本実施形態における移動通信システムでは、移動局UEは、無線基地局eNB配下のセル#5に接続するように構成されている、すなわち、セル#5が、移動局UEのサービングセルとなるように構成されているものとする。
【0027】
図2に示すように、移動局UEは、受信部11と、測定部12と、送信部13とを具備している。
【0028】
受信部11は、サービングセル(セル#5)を管理する無線基地局eNBから、各種信号を受信するように構成されている。
【0029】
例えば、受信部11は、上述の無線基地局eNBから、「Measurement Object」を介して、通常の品質測定処理(measurement)の対象(周波数又はセル)の識別情報を取得するように構成されている。
【0030】
また、受信部11は、上述の無線基地局eNBから、RRCメッセージ等を介して、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を取得するように構成されている。
【0031】
測定部12は、受信部11によって取得されたCoMP用送信ポイントの識別情報及びCSI-RSの設定情報を用いて、すなわち、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理を行うように構成されている。
【0032】
また、測定部12は、CRSを用いて、「Measurement Object」によって指定されている周辺セル及びサービングセルの品質測定処理を行うように構成されている。
【0033】
なお、移動局UEが、キャリアアグリゲーションによる通信を行っている場合には、測定部12は、さらに、Pcell及びScellの品質測定処理を行うように構成されている。
【0034】
ここで、測定部12は、CoMP送受信処理が開始される前において、CRSを用いて、サービングセルの品質測定処理(例えば、ハンドオーバを行うか否かの判定に用いるための品質測定処理)を行うように構成されていてもよいし、CSI-RSを用いて、サービングセルの品質測定処理(CoMP送受信処理で用いられる品質測定処理)を行うように構成されていてもよい。
【0035】
また、測定部12は、CoMP送受信処理が開始された後においても、CRSを用いて、サービングセルの品質測定処理(例えば、ハンドオーバを行うか否かの判定に用いるための品質測定処理)を行うように構成されていてもよいし、CSI-RSを用いて、サービングセルの品質測定処理(CoMP送受信処理で用いられる品質測定処理)を行うように構成されていてもよい。
【0036】
送信部13は、かかる無線基地局eNBに対して、各種信号を送信するように構成されている。
【0037】
具体的には、送信部13は、上述の無線基地局eNBに対して、「Measurement Object」によって指定されている周辺セル及びサービングセルの品質測定処理の結果(第1無線品質の測定結果)に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理の結果(第2無線品質の測定結果)を含む「Measurement Report」を送信するように構成されている。
【0038】
図3に、かかる「Measurement Report」に含まれる情報要素「Measurement Result」のフォーマットの一例を示す。
【0039】
具体的には、図3に示す「Measurement Result」内の情報要素「MeasResultCompTpList」が、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理の結果を報告する情報要素である(記述A参照)。
【0040】
なお、移動局UEが、キャリアアグリゲーションによる通信を行っている場合には、送信部13は、上述の無線基地局eNBに対して、上述の第1無線品質の測定結果(Pcellの品質測定処理の結果)及び第2無線品質の測定結果に加えて、Scellの品質測定処理の結果(第3無線品質の測定結果)を含む「Measurement Report」を送信するように構成されていてもよい。
【0041】
具体的には、図3に示す「Measurement Result」内の情報要素「measResultScell-r10」が、Scellの品質測定処理の結果を報告する情報要素である(記述B参照)。
【0042】
以下、図4を参照して、本実施形態に係る移動局UEの動作について説明する。
【0043】
図4に示すように、ステップS101において、移動局UEは、無線基地局eNB配下のセル#5において、RRCコネクションを確立する、すなわち、Idle状態からConnected状態に遷移する。
【0044】
ステップS102において、移動局UEは、サービングセルにおけるCRSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行い、無線基地局eNBに対して、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信する。
【0045】
ここで、移動局UEは、キャリアアグリゲーションによる通信を開始した場合、Pcellの品質測定処理に加えて、Scellの品質測定処理を行い、無線基地局eNBに対して、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信する。
【0046】
また、移動局UEは、「Transmission Mode 9」で運用されている場合、サービングセルにおけるCSI-RSを用いて、サービングセルにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに対して報告してもよい。
【0047】
移動局UEは、ステップS103において、無線基地局eNBによってCoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSが設定された場合、ステップS104において、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、CoMP用送信ポイントの品質測定処理を行い、かかる測定結果を含む「Measurement Report」を送信する。
【0048】
かかる「Measurement Report」には、CoMP用送信ポイントの品質測定処理の結果に加えて、上述のサービングセルの品質測定処理の結果(Pcellの品質測定処理の結果)やScellの品質測定処理の結果が含まれるものとする。
【0049】
なお、移動局UEは、CoMP送受信処理が開始された後、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCSI-RSを用いて、かかるCoMP用送信ポイントにおけるCQIを測定し、かかる測定結果について無線基地局eNBに報告する。
【0050】
また、移動局UEは、「Measurement Object」によってサービングセルのCSI-RSの設定情報が通知された場合には、かかるサービングセルのCSI-RSを用いて、サービングセルの品質測定処理を行ってもよい。
【0051】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、「Measurement Report」によって、サービングセルの品質測定処理の結果(Pcellの品質測定処理の結果)やScellの品質測定処理の結果に加えて、CoMP送受信処理の対象候補であるCoMP用送信ポイントの品質測定処理の結果を報告するように構成されているため、無線基地局eNBは、かかる測定結果に基づいて、CoMP送受信処理を開始すべきか否か、或いは、どのCoMP用送信ポイントを用いてどのタイプのCoMP送受信処理を開始するかについて決定することができる。
【0052】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0053】
本実施形態の第1の特徴は、移動局UEであって、移動局UEのサービングセルを管理する無線基地局eNBからの指示に基づいて、CRS(各セル用の参照符号)を用いて、かかるサービングセル及び周辺セルにおける第1無線品質を測定し、CSI-RS(移動局用の参照符号)を用いて、CoMP送受信処理(マルチポイント協調送受信処理)の対象候補であるCoMP用送信ポイントにおける第2無線品質を測定するように構成されている測定部12と、第1無線品質の測定結果に加えて、第2無線品質の測定結果を含む「Measurement Report(測定報告)」を送信するように構成されている送信部13とを具備することを要旨とする。
【0054】
本実施形態の第1の特徴において、測定部12は、無線基地局eNBからの指示に基づいて、CRSを用いて、キャリアアグリゲーションにおけるScellにおける第3無線品質を測定するように構成されており、送信部13は、第1無線品質の測定結果及び第2無線品質の測定結果に加えて、第3無線品質の測定結果を含む「Measurement Report」を送信するように構成されていてもよい。
【0055】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0056】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0057】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0058】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0059】
eNB…無線基地局
UE…移動局
11…受信部
12…測定部
13…送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局であって、
前記移動局のサービングセルを管理する無線基地局からの指示に基づいて、各セル用の参照符号を用いて、該サービングセル及び周辺セルにおける第1無線品質を測定し、該移動局用の参照符号を用いて、マルチポイント協調送受信処理の対象候補である送信ポイントにおける第2無線品質を測定するように構成されている測定部と、
前記第1無線品質の測定結果に加えて、前記第2無線品質の測定結果を含む測定報告を送信するように構成されている送信部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項2】
前記測定部は、前記無線基地局からの指示に基づいて、各セル用の参照符号を用いて、キャリアアグリゲーションにおけるScellにおける第3無線品質を測定するように構成されており、
前記送信部は、前記第1無線品質の測定結果及び前記第2無線品質の測定結果に加えて、前記第3無線品質の測定結果を含む測定報告を送信するように構成されていることを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81049(P2013−81049A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219651(P2011−219651)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】