説明

移動式カラオケ装置

【課題】 使用時には歌唱者の邪魔とならず、しかも装置自体の見栄えを保ちつつ、移動中や保存時には、転倒し難い構造として、安全性を高める。
【解決手段】 箱状のボディ内部にカラオケ本体10を内蔵し、ボディの底面にキャスター機構40を設けた移動式カラオケ装置において、ロック機構50と、ロック制御手段20とを備える。ロック制御手段20は、ロック機構50を制御して、カラオケ本体において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、各アームの伸長方向への可動禁止を行い、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、各アームの伸長方向への可動禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式カラオケ装置に関するものであり、特に、移動時の転倒を防止することができる移動式カラオケ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
宴会場や結婚式場でカラオケ装置を用いて歌唱を楽しむことが多々あり、このような場所では、据え置き型のカラオケ装置ではなく、移動式カラオケ装置を使用するのが一般的である。移動式カラオケ装置は、箱状のボディ内部にカラオケ本体、アンプ、スピーカ等のカラオケ演奏に必要なすべての機器を収納すると共に、ボディの上面に液晶ディスプレイやコントロールパネルを配置し、さらにボディの底面にキャスター機構を設けることにより、所望の場所まで移動できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−78780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の移動式カラオケ装置は重心が高いため、移動時に不安定となり、傾斜を昇降したり、段差を乗り越えたりする際に、転倒させてしまうおそれがあった。すなわち、従来の移動式カラオケ装置は、ボディの上面に液晶ディスプレイやコントロールパネルを配置し、しかも、歌唱者が液晶ディスプレイを見易いように、また、コントロールパネルを操作しやすいように、大人の身長を考慮して、ボディが縦長な構造となっている。
【0005】
このような問題に対処するためには、ボディの底面に取り付けたキャスター機構において車輪間の間隔を広げればよいが、車輪がボディから大きくはみ出すと、歌唱者にとって邪魔となったり、車輪に躓いたりするおそれがある。また、上述したように、移動式カラオケ装置は、宴会場や結婚式場で使用する場合が多いため、装置自体の見栄えを良くする必要がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、使用時には歌唱者の邪魔とならず、しかも装置自体の見栄えを保ちつつ、移動中や保存時には、転倒し難い構造として、安全性を高めることが可能な移動式カラオケ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の移動式カラオケ装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の移動式カラオケ装置は、箱状のボディ内部にカラオケ本体を内蔵し、ボディの底面にキャスター機構を設けた移動式カラオケ装置において、ロック機構と、ロック制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
キャスター機構は、伸縮可能な複数のアームと、各アームの先端部にそれぞれ取り付けた車輪とを有する。ロック機構は、各アームの伸長方向への可動を禁止する。ロック制御手段は、ロック機構を制御して、カラオケ本体において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、各アームの伸長方向への可動禁止を行い、予約楽曲が存在せずかつは楽曲を演奏中でない場合には、各アームの伸長方向への可動禁止を解除する。
【0009】
このような構成からなる移動式カラオケ装置では、ボディの底面に設けたキャスター機構により、ボディを移動させることができる。そして、ロック制御手段により、予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中であるか否かに基づいて、ロック機構のロック状態を制御する。すなわち、予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、ロック機構によるロックを行い、アームが伸長方向へ可動しないようにする。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、ロック機構によるロックを解除し、アームが伸長方向へ可動可能とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動式カラオケ装置によれば、予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、ロック機構によりアームがロックされ、アームを伸長方向へ可動させることができない。したがって、不用意にアームが伸びることがなく、歌唱者の邪魔とならない。
【0011】
一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、ロック機構によるロックが解除され、アームを伸長方向へ可動させることができる。そして、各アームをそれぞれ伸長方向へ可動させることにより、各アームの先端部に設けた車輪間の間隔が広がり、傾斜を昇降したり、段差を乗り越えたりする際に、移動式カラオケ装置が安定するので、転倒のおそれが低減して、安全性を高めることが可能となる。また、倉庫等に格納する際にも、各アームをそれぞれ伸長方向へ可動させることができるので、保存時における転倒を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置の全体構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置の側面図。
【図4】本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置の正面図。
【図5】実施例1に係るキャスター機構及びロック機構の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図。
【図6】ロック機構の構成を示す模式図。
【図7】係止機構の構成を示す模式図。
【図8】実施例2に係るキャスター機構及びロック機構の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図。
【図9】実施例3に係るキャスター機構及びロック機構の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図。
【図10】実施例4に係るキャスター機構及びロック機構の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の移動式カラオケ装置の実施形態について説明する。図1〜図4は本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置を示すもので、図1は移動式カラオケ装置の要部構成を示すブロック図、図2は移動式カラオケ装置の全体構成を示すブロック図、図3は移動式カラオケ装置の側面図、図4は移動式カラオケ装置の正面図である。
【0014】
<移動式カラオケ装置の概要>
本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置は、図3及び図4に示すように、箱状のボディ70と、ボディ70の上部に設けた液晶ディスプレイ35及び操作パネル31と、ボディ70の内部に収納したカラオケ本体10、ミキシングアンプ32、スピーカ33と、ボディ70の下部に取り付けたキャスター機構40と、キャスター機構40のアーム41の伸長を規制するロック機構50を備えている。また、ボディ70の内部にはトランスやバッテリ等からなる電源ユニット80が搭載されている。
【0015】
<移動式カラオケ装置の要部>
本発明の実施形態に係る移動式カラオケ装置は、図1に示すように、キャスター機構40を備えており、ロック機構50及びロック制御手段20により、キャスター機構40を構成するアーム41の伸縮を制御して、キャスター機構40における車輪43間の間隔を狭めたり、広めたりすることができる。
【0016】
すなわち、キャスター機構40は、図5及び図8〜図10に示すように、伸縮可能な複数のアーム41(41b、41c)と、各アーム41(41b、41c)をそれぞれ伸張方向へ可動させる伸長バネ42と、各アーム41の先端部にそれぞれ取り付けた車輪43とを有している。また、ロック機構50により、各伸長バネ42による各アーム41(41b、41c)の伸長方向への可動を禁止する。そして、ロック制御手段20は、ロック機構50を制御して、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、各アーム41(41b、41c)の伸長方向への可動禁止を行い、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、各アーム41(41b、41c)の伸長方向への可動禁止を解除する。
【0017】
ロック制御手段20は、図1に示すように、予約楽曲が存在するか否か、又は楽曲を演奏中か否かを判定する判定部20aを備えており、カラオケ本体10の予約管理手段17から予約管理情報を取得すると共に、音楽再生制御手段18から音楽再生制御情報を取得する。これにより、判定部20aは、予約楽曲が存在するか否か、又は楽曲を演奏中か否かを判定することができる。
【0018】
<カラオケ本体>
ボディ70内に格納されたカラオケ本体10は、図2に示すように、中央制御手段11、ROM12、RAM13、HDD14、入出力インターフェース(入出力I/F)15、楽曲検索手段16、予約管理手段17、音楽再生制御手段18、映像再生制御手段19、ロック制御手段20を備えている。
【0019】
<中央制御手段>
中央制御手段11は、カラオケ本体10を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM12等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0020】
<ROM/RAM>
ROM12は、カラオケ本体10を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM13は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM13を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM13を構成してもよい。本実施形態では、RAM13に、予約待ち行列13aが記憶されるようになっている。なお、予約待ち行列13aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成されたデータテーブルであり、選曲者の利用者ID等、他の識別データが紐付けられている場合もある。
【0021】
<HDD>
HDD14は演奏データや映像データ等のカラオケデータを格納するための装置であり、カラオケデータは定期的に最新のものに更新される。具体的には、HDD14には、楽曲データベース(楽曲DB)14a、映像データベース(映像DB)14b、楽曲索引データベース(楽曲索引DB)14cが格納されている。
【0022】
<演奏データベース/映像データベース>
楽曲データベース14aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。映像データベース14bは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0023】
<楽曲索引データベース/楽曲検索手段>
楽曲索引データベース14cは、カラオケ本体10において演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。楽曲検索手段16は、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース14cを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。
【0024】
<予約管理手段>
予約管理手段17は、利用者により楽曲検索手段16の機能を用いて選曲された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列13aを生成し、この予約待ち行列13aをRAM13に格納して管理するためのプログラムからなる。
【0025】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段18は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース14aから抽出された演奏データに基づいて、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ32に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ32は、マイクロホン34から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段18から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ33より出力させるための装置である。
【0026】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段19は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース14bから抽出した映像データと、楽曲データベース14aに含まれる歌詞描出データとを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて液晶ディスプレイ35に出力するためのプログラムからなる。
【0027】
<マイクロホン>
マイクロホン34は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン34から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ32により、音楽再生制御手段18から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ33へ出力される。なお、マイクロホン34からの音声入力信号を、A/Dコンバータ(図示せず)によりデジタル変換して、歌唱採点等に使用してもよい。また、図3に示す例ではワイヤレスマイクを用いているが、ワイヤードマイクを用いてもよい。
【0028】
<液晶ディスプレイ>
液晶ディスプレイ35は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置である。本実施形態では、液晶ディスプレイ35を用いているが、背景映像や歌詞テロップ等を表示するために、他の形態の表示装置を用いてもよい。
【0029】
<実施例1>
次に、キャスター機構40及びロック機構50の具体的な実施例について説明する。図5は、実施例1に係るキャスター機構40及びロック機構50の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図である。
【0030】
実施例1に係るキャスター機構40及びロック機構50は、図5に示すように、ボディ70の底面に取り付けられている。キャスター機構40は、ボディ70の正面側から見て前後方向にそれぞれ移動する一対の第1アーム41aと、左右方向にそれぞれ移動する一対の第2アーム41bとからなり、第1アーム41a及び第2アーム41bの先端側にはそれぞれ車輪43が取り付けられている。
【0031】
第1アーム41aは略L字状をなしており、一対の第1アーム41aを連結し、全体として略コ字状となっている。また、第1アーム41aの連結部からボディ70の後方へ向かって支持アーム41cが延出されており、支持アーム41cの先端側(図5において右側)が第1ブラケット44aにより支持されている。
【0032】
第1ブラケット44aは、伸長バネ42及びロック機構50を取り付けるための部材であり、ボディ70の前側が開放端となると共に後側が閉鎖端となった筒状をなしている。この第1ブラケット44aの内部に、支持アーム41cを挿入すると共に、支持アーム41cの先端側と第1ブラケット44aの閉鎖端との間に、支持アーム41cを第1ブラケット44a内から押し出す方向へ付勢する伸長バネ42が収納されている。
【0033】
また、第1ブラケット44aには、支持アーム41cが伸長バネ42の付勢力により伸張方向へ可動することを規制するロック機構50と、支持アーム41cを任意の縮長位置に係止するための係止機構60とが設けられている。
【0034】
ロック機構50は、図5及び図6に示すように、アーム41(支持アーム41c)に設けられたロック歯部51と、ブラケット44(第1ブラケット44a)に設けられ、ロック歯部51と係合する係合歯部52と、係合歯部52をロック歯部51へ向かって進退させるアクチュエータ53とを備えている。アクチュエータ53は、どのような機構であってもよいが、例えば、コイル内に鉄心を収容し、コイルに電流を流すことで、鉄心を進退させるソレノイドを用いることができる。上述したように、ロック機構50は、ロック制御手段20の制御により、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、ロック歯部51と係合歯部52とが噛み合った状態として、アーム41(支持アーム41c)が伸長方向へ可動することを禁止する。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、ロック歯部51と係合歯部52との噛み合いを解除して、アーム41(支持アーム41c)が伸長方向へ可動することを許可する。
【0035】
係止機構60は、図5及び図7に示すように、アーム41(支持アーム41c)に設けられた係止孔61と、ブラケット44(第1ブラケット44a)に取り付けられて、係止孔61内へ挿脱可能な係止棒62と、係止棒62の先端部が係止孔61内へ挿入される状態に付勢する係止バネ63とを備えている。なお、係止孔61は、アーム41(支持アーム41c)の長さ方向に沿って複数箇所設けることが好ましい。そして、伸長バネ42の付勢力に抗してアーム41(支持アーム41c)を縮長方向へ可動させると、係止棒62の先端部が係止バネ63の付勢力により係止孔61内へ挿入されるので、アーム41(支持アーム41c)は任意の縮長位置に留まる。一方、ロック機構50によるロックが解除された状態で、係止棒62に設けた操作突起64を操作して、係止棒62の先端部を係止バネ63の付勢力に抗して係止孔61内から抜き出すと、アーム41(支持アーム41c)は、伸長バネ42の付勢力により伸長方向へ向かって可動する。
【0036】
なお、係止機構60は、上述したものに限られず、アーム41(支持アーム41c)を任意の縮長位置に留めることができれば、どのような機構であってもよい。例えば、上述した構成において、係止孔61を設けるのではなく、係止棒62の先端にゴム等からなる弾性部材を設け、この係止棒62の先端をアーム41(支持アーム41c)に押し付けることにより、アーム41(支持アーム41c)を任意の縮長位置に留める機構を採用することができる。
【0037】
第2アーム41bは、先端部に車輪43が取り付けられており、基端部が第2ブラケット44bにより支持されている。第2ブラケット44bは、伸長バネ42及びロック機構50を取り付けるための部材であり、両端が開放された筒状となっている。この第2ブラケット44bの内部に、各第2アーム41bを挿入する。また、第2ブラケット44bには、各第2アーム41bを第2ブラケット44b内から押し出す方向へ付勢する伸長バネ42が収納されている。
【0038】
また、第2ブラケット44bには、第2アーム41bが伸長方向へ可動することを規制するロック機構50と、第2アーム41bを縮長位置に係止するための係止機構60とが設けられている。第2アーム41bのロック機構50及び係止機構60は、上述した第1アーム41aのロック機構50及び係止機構60とほぼ同様の構成であるため、説明を省略する。
【0039】
第2アーム41bにおいても、ロック制御手段20の制御によりロック機構50が動作し、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、ロック歯部51と係合歯部52とが噛み合った状態として、第2アーム41bが伸長方向へ可動することを禁止する。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、ロック歯部51と係合歯部52との噛み合いを解除して、第2アーム41bが伸長方向へ可動することを許可する。
【0040】
また、伸長バネ42の付勢力に抗して第2アーム41bを縮長位置へ可動させると、係止棒62の先端部が係止バネ63の付勢力により係止孔61内へ挿入されるので、第2アーム41bは任意の縮長位置に留まる。一方、ロック機構50によるロックが解除された状態で、係止棒62に設けた操作突起64を操作して、係止棒62の先端部を係止バネ63の付勢力に抗して係止孔61内から抜き出すと、第2アーム41bは、伸長バネ42の付勢力により伸長方向へ向かって可動する。
【0041】
<実施例2>
図8は、実施例2に係るキャスター機構40及びロック機構50の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図である。
【0042】
実施例2に係るキャスター機構40及びロック機構50は、図8に示すように、実施例1の第2アーム41b及びロック機構50を応用したもので、ボディ70の前側及び後側に、それぞれボディ70の左右方向に伸縮する一対のアーム41を設け、各アーム41の先端部には車輪43が取り付けられている。実施例2では、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、実施例2では、各ブラケットに共通の符号44を付している(実施例3及び実施例4において同様)。
【0043】
実施例2においても、実施例1と同様に、ロック制御手段20の制御によりロック機構50が動作し、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを禁止する。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを許可する。
【0044】
また、係止機構60により、アーム41を任意の縮長位置に留まらせることができる。そして、ロック機構50によるロックが解除された状態では、係止機構60によるアーム41の係止を解除することにより、アーム41を伸長方向へ向かって可動させることができる。
【0045】
<実施例3>
図9は、実施例3に係るキャスター機構40及びロック機構50の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図である。
【0046】
実施例3に係るキャスター機構40及びロック機構50は、図9に示すように、実施例1の伸長バネ42及びロック機構50を応用したもので、ボディ70の前側及び後側に、それぞれボディ70の左右方向にほぼ一直線となった一対のアーム41を設け、各アーム41の先端部には車輪43が取り付けられている。実施例3では、一直線上に並んだ一対のアーム41を一組として、前側のアーム組と後側のアーム組との間に、実施例1の第1アーム41aに設けた伸長バネ42及びロック機構50とほぼ同様の構成からなる伸長バネ42及びロック機構50を設けた構成となっている。実施例3では、実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、実施例3では、各ブラケットに共通の符号44を付している。
【0047】
実施例3においても、実施例1及び実施例2と同様に、ロック制御手段20の制御によりロック機構50が動作し、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを禁止する。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを許可する。
【0048】
また、係止機構60により、アーム41を任意の縮長位置に留まらせることができる。そして、ロック機構50によるロックが解除された状態では、係止機構60によるアーム41の係止を解除することにより、アーム41を伸長方向へ向かって可動させることができる。
【0049】
<実施例4>
図10は、実施例4に係るキャスター機構40及びロック機構50の構成を示す移動式カラオケ装置の底面模式図である。
【0050】
実施例4に係るキャスター機構40及びロック機構50は、図10に示すように、実施例1の第2アーム41b及びその伸長バネ42及びロック機構50とほぼ同様の構成を十字状に交差させて設けたもので、各アーム41は、回転軸91を有する回転支柱90に取り付けられている。実施例4では、先端部に車輪43を有する4本のアーム41が、それぞれボディ70の外側へ向かって伸長可能となっており、さらに回転軸91を中心に回転支柱90が回転することにより、ボディ70に対してアーム41を回転させることができる。
【0051】
実施例4においても、実施例1と同様に、ロック制御手段20の制御によりロック機構50が動作し、カラオケ本体10において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを禁止する。一方、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、アーム41が伸長方向へ可動することを許可する。
【0052】
また、係止機構60により、アーム41を任意の縮長位置に留まらせることができる。そして、ロック機構50によるロックが解除された状態では、係止機構60によるアーム41の係止を解除することにより、アーム41を伸長方向へ向かって可動させることができる。
【0053】
<他の実施形態>
本発明のシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されない。例えば、予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、アームを自動的に縮長させる機構を備えた構造とすることができる。これにより、移動式カラオケ装置を使用している際に、装置自体の見栄えが悪くならない。このアーム自動伸張機構は、例えば、モータと、ラック・アンド・ピニオン等の動力伝達機構により構成することができる。
【0054】
また、アーム及び車輪の数は、上述したものに限定されず、適宜増減することができる。さらに、アームに対して回転可能な車輪は、前側のみ、後側のみ、あるいはすべての車輪とすることができる。
【0055】
また、本発明のシステム及びその周辺装置は、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。さらに、移動式カラオケ装置を単体で動作させるのではなく、ホスト装置にネットワーク接続したカラオケ端末として動作させてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 カラオケ本体
11 中央制御手段
12 ROM
13 RAM
13a 予約待ち行列
14 HDD
14a 楽曲データベース
14b 映像データベース
14c 楽曲索引データベース
15 入出力インターフェース
16 楽曲検索手段
17 予約管理手段
18 音楽再生制御手段
19 映像再生制御手段
20 ロック制御手段
20a 判定部
31 操作パネル
32 ミキシングアンプ
33 スピーカ
34 マイクロホン
35 液晶ディスプレイ
40 キャスター機構
41 アーム
41a 第1アーム
41b 第2アーム
41c 支持アーム
42 伸長バネ
43 車輪
44 ブラケット
44a 第1ブラケット
44b 第2ブラケット
50 ロック機構
51 ロック歯部
52 係合歯部
53 アクチュエータ
60 係止機構
61 係止孔
62 係止棒
63 係止バネ
64 操作突起
70 ボディ
80 電源ユニット
90 回転支柱
91 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のボディ内部にカラオケ本体を内蔵し、前記ボディの底面にキャスター機構を設けた移動式カラオケ装置において、
ロック機構と、ロック制御手段と、を備え、
前記キャスター機構は、伸縮可能な複数のアームと、前記各アームの先端部にそれぞれ取り付けた車輪と、を有し、
前記ロック機構は、前記各アームの伸長方向への可動を禁止し、
前記ロック制御手段は、前記ロック機構を制御して、前記カラオケ本体において予約楽曲が存在し又は楽曲を演奏中である場合には、前記各アームの伸長方向への可動禁止を行い、予約楽曲が存在せずかつ楽曲を演奏中でない場合には、前記各アームの伸長方向への可動禁止を解除することを特徴とする移動式カラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−118285(P2012−118285A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267791(P2010−267791)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】