説明

移動式装置用充電器及び高さ調節機構

【課題】好適に高さ調節することができる移動式装置用充電器及び高さ調節機構を実現する。
【解決手段】充電器100の高さ調節機構90を筐体12と脚部20とガイド部30とによって構成し、脚部20の支柱部22のカム部24に沿って、ガイド部30の駒部33を移動させるように、ガイド部30の配置を切り替えることによって、そのガイド部30に対して脚部20を相対的に移動させるようにして、脚部20の配置を支柱部22の延在する方向に沿って切り替えることで、筐体12から脚部20が出没する長さを切り替えて、その筐体12から脚部20が延び出した長さに応じて、筐体12の床面からの高さを好適に調節することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式装置用充電器及び高さ調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面上を自律走行しながら走行面(床面)の掃除を行う自走式掃除機が知られている。そして、自走式掃除機のバッテリの充電レベルが所定量以下になると、自走式掃除機は、自走式掃除機の待機位置に設けられている充電器にまで戻り、その充電器に自走式掃除機がドッキングするようにして、自走式掃除機の充電端子を充電器の電源端子に接触させて、バッテリの充電を行うようになっている。
【0003】
そして、自走式掃除機用の充電器に自走式掃除機がドッキングする際の衝撃等により、充電器の姿勢が傾くなど乱れることによって、自走式掃除機の充電端子と充電器の電源端子との接触に不都合が生じてしまわないように、充電器の姿勢を安定させるためのアンカー部材を備える充電器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、図8に示す、充電器本体50の底面の底穴51に対して出没可能な支柱60を有する脚部70を備える自走式掃除機用充電器200において、図9(a)、(b)に示すように、支柱60を挟むように取り付け可能なスペーサSの枚数に応じて、充電器本体50の高さを調節し、充電器200の電源端子55の高さを自走式掃除機の充電端子の高さに位置合わせする技術が知られている。
そして、図10(a)、(b)に示すように、脚部70と充電器本体50との間に取り付けるスペーサSの枚数を調整することによって、フローリングなどの硬い床面上を走行する自走式掃除機300の充電端子40と、その床面に載置された充電器200の電源端子55の位置を合わせたり、絨毯などの軟らかい床面を沈み込むように走行する自走式掃除機300の充電端子40と、その床面に載置された充電器200の電源端子55の位置を合わせたりすることが可能になっている。
【特許文献1】特開2005−329223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合、充電器200(充電器本体50)の電源端子55の高さを微調整可能とするために、スペーサSの厚みを薄くすると、高さ調節範囲に対してより多くのスペーサSが必要となるので、部品点数が多くなりコストが上がってしまうという問題があった。
また、充電器200の付属部品であるスペーサSを紛失してしまうと充電器200の高さ調節を行うことができなくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、好適に高さ調節することができる移動式装置用充電器及び高さ調節機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
床面に当接する接面部と、前記接面部から上方に向けて立設されるとともに所定のカム曲線を有するカム部が形成されている支柱部と、を有する脚部と、
前記支柱部をその支柱部の延在する方向に移動可能に支持する支柱支持部を有する筐体と、
前記筐体と前記支柱部とに当接するとともに前記カム部と摺接する駒部が形成されて、前記筐体と前記脚部との間に介装されるガイド部と、
前記脚部に形成された脚係止部と、前記筐体に形成された筐体係止部との間に掛け渡され、前記脚部と前記筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材と、
を備える移動式装置用充電器であって、
前記カム部は、前記支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、前記フラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しており、
前記駒部を前記カム部に沿って移動させ、前記駒部を前記フラット面に当接させるように、前記ガイド部の配置を切り替えることにより、前記脚部を前記支柱部が延在する方向に移動させて、前記ガイド部を介して前記脚部を前記筐体に位置合わせさせることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、高さ調節機構であって、
床面に当接する接面部と、前記接面部から上方に向けて立設される支柱部と、前記支柱部に形成されている所定のカム曲線を有するカム部と、を有する脚部と、
前記支柱部をその支柱部の延在する方向に移動可能に支持する支柱支持部を有する筐体と、
前記筐体に当接するとともに前記支柱部に当接するように、前記筐体と前記脚部との間に介装されるガイド部と、
を備え、
前記ガイド部には、前記カム部と摺接する駒部が形成されており、
前記駒部が前記カム部に沿って移動するように、前記ガイド部の配置を切り替えることにより、前記脚部の配置を切り替えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の高さ調節機構において、
前記カム部は、前記支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、前記フラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しており、
前記駒部が前記フラット面に当接することにより、前記ガイド部を介して前記脚部が前記筐体に位置合わせされることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の高さ調節機構において、
前記脚部と、前記筐体との間に掛け渡され、前記脚部と前記筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、移動式装置用充電器における脚部の支柱部には、所定のカム曲線を有するカム部が形成されているので、そのカム部に摺接する駒部がカム部に沿って移動するようにガイド部の配置を切り替えて、脚部の配置を切り替えることによって、脚部を支柱部が延在する方向に移動させることができる。
つまり、支柱部の延在する方向に対して斜めとなるカム曲線を有するカム部に駒部を摺接させるようにガイド部の配置を切り替えることによって、駒部がカム部を支柱部の延在する方向に押すようにして、脚部の配置を切り替えるように脚部を支柱部の延在する方向に移動させて、その脚部を筐体に対し出没させることができる。
そして、ガイド部を移動させる程度を異ならせることによって、筐体から脚部が出没する長さを切り替えて、その筐体から脚部が延び出した長さに応じて、筐体の床面からの高さを切り替えることができる。
よって、移動式装置用充電器において、カム部に沿って駒部を移動させるようにして、ガイド部の配置を切り替えて、筐体から下方に延び出す脚部の長さを切り替えることによって、筐体の高さを容易に調節し、その高さに調節された筐体を脚部で支えることができる。
従って、この移動式装置用充電器は、好適に筐体の高さを調節することができる。
【0012】
また、移動式装置用充電器におけるカム部は、支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、そのフラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しているので、駒部がカム部の傾斜面に沿って移動して、その駒部がカム部のフラット面に到達して当接すると、駒部の姿勢が安定するため、ガイド部の配置が位置決めされることとなって、そのガイド部を介して脚部を筐体に位置合わせすることができる。よって、ガイド部の配置を切り替えることによって、好適に脚部の配置を切り替えて、筐体の高さ調節することが可能になる。
【0013】
また、移動式装置用充電器における脚部の脚係止部と筐体の筐体係止部との間には、脚部と筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材が備えられているので、筐体から脚部が外れてしまわないようにすることができる。また、筐体と脚部の間に介装されるガイド部を、脚部によって筐体側に付勢することによって、脚部のカム部とガイド部の駒部とを好適に接触させることが可能になるので、カム部に駒部を良好に摺接させて脚部の配置の切り替えを行うことが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、高さ調節機構における脚部の支柱部には、所定のカム曲線を有するカム部が形成されているので、そのカム部に摺接する駒部がカム部に沿って移動するようにガイド部の配置を切り替えて、脚部の配置を切り替えることによって、脚部を支柱部が延在する方向に移動させることができる。
つまり、支柱部の延在する方向に対して斜めとなるカム曲線を有するカム部に駒部を摺接させるようにガイド部の配置を切り替えることによって、駒部がカム部を支柱部の延在する方向に押すようにして、脚部の配置を切り替えるように脚部を支柱部の延在する方向に移動させて、その脚部を筐体に対し出没させることができる。
そして、ガイド部を移動させる程度を異ならせることによって、筐体から脚部が出没する長さを切り替えて、その筐体から脚部が延び出した長さに応じて、筐体の床面からの高さを切り替えることができる。
よって、高さ調節機構において、カム部に沿って駒部を移動させるようにして、ガイド部の配置を切り替えて、筐体から下方に延び出す脚部の長さを切り替えることにより、筐体の高さを容易に調節し、その高さに調節された筐体を脚部で支えることができる。
従って、この高さ調節機構により、好適に筐体の高さを調節することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、高さ調節機構におけるカム部は、支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、そのフラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しているので、駒部がカム部の傾斜面に沿って移動して、その駒部がカム部のフラット面に到達して当接すると、駒部の姿勢が安定するため、ガイド部の配置が位置決めされることとなって、そのガイド部を介して脚部を筐体に位置合わせすることができる。
よって、ガイド部の配置を切り替えることによって、好適に脚部の配置を切り替えて、筐体の高さ調節することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、高さ調節機構における脚部と筐体との間には、脚部と筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材が備えられているので、筐体から脚部が外れてしまわないようにすることができる。
また、筐体と脚部の間に介装されるガイド部を、脚部によって筐体側に付勢することによって、脚部のカム部とガイド部の駒部とを好適に接触させることが可能になるので、カム部に駒部を良好に摺接させて、脚部の配置の切り替えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る移動式装置用充電器及び高さ調節機構について、図面を用いて具体的な態様を説明する。なお、本実施形態においては、移動式装置として自走式掃除機を例に挙げて説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
自走式掃除機は、例えば、略円盤状に形成された外装ケース体と、この外装ケース体の内部に設けられ自走式掃除機を所望の方向に移動させる走行部と、移動中に走行面である床面上の塵埃等を掃除する掃除部と、ユーザにより指示操作がなされる操作部と、当該自走式掃除機の駆動電力をバッテリに充電するための充電端子(例えば、自走式掃除機300の充電端子40、図10参照)と、これら各部の動作制御を行う制御部等を備えており、室内等にて所定の走行パターンに基づいて自律走行して走行面(床面)の掃除を行う掃除機である。
そして、自走式掃除機は、制御部の動作制御に従って、バッテリの充電レベルが所定量以下になった場合に、所定の待機位置に配設されている後述する充電器100にまで戻るように移動し、その充電器100の電源端子11に自走式掃除機の充電端子(図10参照)を接触させて、バッテリの充電を行うようになっている。
なお、自走式掃除機の構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0019】
移動式装置用充電器100(以下、充電器100)は、図1に示すように、充電器本体10と、充電器本体10を支える脚部20,20と、充電器本体10の高さを切り替えるためのガイド部30,30と、を備えている。
【0020】
脚部20は、図1、図2(a)〜(d)に示すように、床面に当接する接面部21と、接面部21から上方に向けて立設される支柱部22と、接面部21の上面であって支柱部22を挟んだ両側に設けられているU字リブ23,23と、を有している。
【0021】
接面部21は、床面上に載置される略矩形状を呈する板状部材であり、図2(d)に示すように、その略中央には円形の開口21aが形成されている。また、接面部21の下面であって開口21aの周囲には、図2(d)に示すように、5つの目盛21b…が刻印されるように設けられている。
【0022】
支柱部22は、略円柱形状を呈する筒状部材であり、接面部21の略中央の上面に、接面部21の開口21aの周囲を囲うように設けられている。
また、支柱部22の上端面は、所定のカム曲線を有するように、円周方向に沿って略斜めに切り欠かれてカム部24が形成されている。
具体的には、カム部24は、5つのフラット面24aと、そのフラット面24aの間を繋ぐ4つの傾斜面24bとを有し、この5つのフラット面24aと4つの傾斜面24bとを連なる曲面によってカム曲線が構成されている。つまり、支柱部22は、円筒形の端面カムとしての形状や構成、機能を有している。
なお、フラット面24aは支柱部22が延在する方向と垂直な面を成している。また、各フラット面24aは、接面部21からの距離が異なる位置に形成されており、隣接するフラット面24aを繋ぐように傾斜面24bが形成されている。そして、フラット面24aと傾斜面24bとが連なる曲面に対応するカム曲線は、支柱部22の延在する方向に対して略斜め方向に沿う曲線を呈するようになっている。
【0023】
U字リブ23は、脚部20が支柱部22の延在する方向に移動する際に、脚部20がガタつかずに安定させた移動を可能にする平面視略U字形状を呈する部材である。
また、U字リブ23の内側であって接面部21の上面には、図2(b)に示すように、側面視コ字形状を呈する脚係止部23aが形成されている。
【0024】
ガイド部30は、図1、図3に示すように、略円柱形状を呈する筒状部材であり、底部31と、側面部32と、側面部32に形成された駒部33と、を有している。
【0025】
底部31は、側面部32の下端側を塞ぐように形成されており、その底部31には、ガイド部30をその軸線を中心に回転させる際に掴むための摘みリブ31aが形成されている。なお、摘みリブ31aは、接面部21の目盛21bを指し示すように略矢印形状を呈している。
側面部32は、その上端部32aを開口させた円筒形状を有しており、その外面形状は支柱部22の内面形状と略同じ立体形状を有しているので、ガイド部30が支柱部22の内面に摺接しつつ支柱部22の延在する方向に移動することや、ガイド部30が支柱部22の内面に摺接しつつガイド部30の軸線を中心に回転することが可能になっている。
駒部33は、側面部32における上下方向の略中間位置に、外側へ向かって突出するように形成されている矩形形状を呈する突片であり、支柱部20のカム部24に摺接するようになっている。
【0026】
充電器本体10は、図1に示すように、所定の電源から供給される電力を自走式掃除機に充電するための電源端子11を有する充電部(図示省略)と、充電部を内部に収容するとともに電源端子11を外部に露出させる筐体12と、を備えている。
電源端子11は、自走式掃除機の充電端子(図10参照)に接触し、自走式掃除機のバッテリ(図示省略)に電力を供給する端子である。
【0027】
筐体12は、図1、図6に示すように、略直方体形状を呈するケース体であって、その底面部12aには、支柱部22の断面形状と略同じ円形状を呈する円孔部1と、円孔部1に繋がってU字リブ23と略同じ形状を呈するU字孔部2とからなる底面孔3が形成されている。
【0028】
また、円孔部1を跨ぐように筐体12の内側には、支柱支持部13が形成されている。
また、U字孔部2の左右両側であって筐体12の内側には、略三角形状を呈する三角壁14,14が形成されており、その一対の三角壁14,14の頂点を結び渡すように筐体係止部15が形成されている。なお、この筐体係止部15と、脚部20の脚係止部23aとの間に、付勢部材であるコイルばね35が掛け渡されるようになっている。
【0029】
支柱支持部13は、円孔部1の近傍から筐体12の内側に向けて立設される支持壁13a,13aと、その一対の支持壁13a,13aの上部を亘るように形成される天面部13bとを有している。
支柱支持部13の一対の支持壁13a,13aは、その支持壁13aの間に脚部20の支柱部22を摺接させて保持することが可能な形状に形成されており、この支柱支持部13は、支柱部22をその支柱部22の延在する方向に移動可能に支持するようになっている。
また、支柱支持部13の天面部13bには、脚部20の支柱部22に内挿されるガイド部30の側面部32の上端部32aが当接するようになっている。
【0030】
そして、脚部20を、ガイド部30を介して筐体12に取り付けることで、充電器本体10を床面から離間させて配置させることが可能になっており、脚部20とガイド部30と筐体12とによって高さ調節機構90が構成される。
【0031】
次に、充電器本体10の筐体12への脚部20とガイド部30との取り付けについて説明する。
【0032】
まず、図4に示すように、脚部20の支柱部22のカム部24側から、ガイド部30の底部31側を挿入するようにして、支柱部22にガイド部30を内挿する。
この際、支柱部22に内挿されたガイド部30の駒部33は、支柱部22のカム部24に当接することとなって、ガイド部30が、脚部20の接面部21の開口21aから抜け出てしまわないようになっている。
また、ガイド部30の側面部32は、支柱部22の内面に摺接する円筒形状を有しているので、図5に示すように、ガイド部30は、支柱部22の内面に摺接しつつ、ガイド部30の軸線を中心に回転することが可能になっている。
【0033】
次いで、支柱部22を円孔部1に、U字リブ23をU字孔部2に位置合わせしつつ、両端がフック形状を有するコイルばね35の一端部を筐体12の筐体係止部15に掛けるとともに、そのコイルばね35の他端部を脚部20の脚係止部23aに掛けて、筐体12と脚部20とをコイルばね35で連結して取り付けることで、ガイド部30を介して脚部20を筐体12に組み付けることができる。
【0034】
そして、コイルばね35によって、筐体12と脚部20とが組み付けられることによって、筐体12から脚部20が外れて脱落してしまわないようになっている。なお、筐体12と脚部20に介挿されるガイド部30も外れないようになっている。
また、このコイルばね35が収縮する付勢力によって、脚部20が筐体12側に近接するように付勢されるため、図6、図7に示すように、ガイド部30の側面部32の上端部32aは、支柱支持部13の天面部13bに当接するようになっている。
【0035】
次に、高さ調節機構90である筐体12と脚部20とガイド部30とによる充電器本体10の高さ調節について説明する。
【0036】
図6に示すように、脚部20は、ガイド部30を介して筐体12にコイルばね35によって組み付けられている。
そして、図6に示す高さ調節機構90におけるガイド部30の駒部33は、脚部20の支柱部22のカム部24における最も接面部21側であって一番下側の第1のフラット面24aに当接しており、接面部21が筐体12の底面部12aに接するように、コイルばね35が最も縮んだ状態となっている。また、ガイド部30の上端部32aは、支柱支持部13の天面部13bに当接している。
【0037】
このガイド部30の摘みリブ31aを掴んで、ガイド部30をその軸線を中心に回転させると、ガイド部30の回転に伴って駒部33はカム部24に摺接して、そのカム部24のカム曲線に沿って移動することとなる。
この際、コイルばね35が収縮する付勢力により、脚部20の支柱部22のカム部24が駒部33を上向きに押すことによって、ガイド部30は支柱支持部13の天面部13bに押し付けられているので、そのガイド部30に対して脚部20が相対的に移動するようになっている。
そして、駒部33がカム部24の傾斜面24bに沿って摺接しつつ、滑るように移動することによって、脚部20が、支柱支持部13に沿って支柱部22の延在する方向に移動する。
なお、駒部33が、カム部24の傾斜面24bの傾斜に倣って登るように支柱部20の上端側に向かう場合、脚部20の接面部21が筐体12の底面部12aから離間するように、脚部20が筐体12から延び出る。
一方、駒部33が、カム部24の傾斜面24bの傾斜に倣って降りるように支柱部20の下端側に向かう場合、脚部20の接面部21が筐体12の底面部12aに近接するように、脚部20が筐体12に入り込む。
【0038】
ここで、支柱部22のカム部24は、5つのフラット面24aとそのフラット面24aの間に位置する4つの傾斜面24bとを有するカム曲線を有しているので、矩形形状の駒部33がカム部24の傾斜面24bに沿って移動して、その駒部33がカム部24のフラット面24aに到達して当接すると、コイルばね35の付勢力によって、駒部33の下面部とフラット面24aとが弾接することとなって、そのフラット面24aに対し駒部33が位置決めされるようになる。
つまり、ガイド部30を回転させて、ガイド部30の駒部33がカム部24の5つのフラット面24aの何れかに弾接して当接するように、そのガイド部30の配置を切り替えることによって、ガイド部30を介して脚部20を筐体12に位置合わせして、その脚部20の配置を5段階に切り替えることが可能になっている。
そして、ガイド部30の駒部33を、脚部20の支柱部22のカム部24における最も上端側であって一番上側の第5のフラット面24aに当接させるように、脚部20の配置を切り替えると、図7に示すように、接面部21が筐体12の底面部12aから最も離間して、コイルばね35が最も伸びた状態となる。
【0039】
例えば、接面部21の厚みが2mmであって、支柱部22の軸線方向に沿った各フラット面24aの間の距離が2mmである場合、駒部33がカム部24の一番下側の第1のフラット面24aに当接した状態では、筐体12は床面から2mmの高さに配置され、駒部33がカム部24の一番上側の第5のフラット面24aに当接した状態では、筐体12は床面から10mmの高さに配置されることとなる。
つまり、この高さ調節機構90は、充電器本体10における筐体12の床面からの高さを2mmから10mmまで、2mmずつの5段階に切り替えることが可能になっている。
なお、駒部33が各フラット面24aに当接する際、ガイド部30の底部31の摘みリブ31aが、各フラット面24aに対応するように接面部21に形成された目盛21bを指示するようになっているので、摘みリブ31aを所定の目盛21bに向けるように、ガイド部30の配置を切り替えることによって、その目盛21bに対応する高さに、充電器本体10(筐体12)の高さを切り替えることが可能になっている。
【0040】
このようにガイド部30を介して脚部20が筐体12に取り付けられてなる高さ調節機構90は、ガイド部30を回転させる角度に応じて、脚部20の配置を切り替えることができ、脚部20の配置に応じた高さであって、脚部20が筐体12を支える高さに充電器本体10を配置することができる。
【0041】
具体的には、ガイド部30の駒部33が当接するカム部24のフラット面24aを切り替えるように、ガイド部30の配置を切り替えることによって、筐体12の底面部から下に延び出る脚部20の長さを調整して、充電器本体10を床面から離間させる高さを調節することができる。
そして、床面の材質(フローリング、絨毯など)や、その床面に対する充電器100や自走式掃除機の重量の作用により、充電器100の電源端子11と、自走式掃除機の充電端子の高さ位置にずれが生じてしまう場合に、充電器100における充電器本体10の床面からの高さを調節することによって、電源端子11と充電端子との位置調整を行い、電源端子11と充電端子とが所定の接触を行うことが可能なように調節することができる。
【0042】
このように、本発明に係る自走式掃除機用の充電器であって、脚部20とガイド部30と筐体12とを有する高さ調節機構90を備える充電器100は、ガイド部30の配置(回転角度)を切り替えて、脚部20を支柱部22の方向に沿って移動させて、筐体12のから延び出る脚部20の長さを調整することによって、充電器本体10を床面から離間させる高さを調節することができる。
よって、高さ調節機構90を備える充電器100は、充電器本体10の高さを好適に調節することができ、電源端子11の高さを容易に切り替えることができる。
つまり、この充電器100及び高さ調節機構90は、好適に高さ調節することができる移動式装置用充電器及び高さ調節機構であるといえる。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、脚部20の支柱部20のカム部24が5つのフラット面24aを備え、5段階の高さ切り替えを行うことが可能な高さ調節機構90について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フラット面24aの数や、高さ切り替え段数、一段当たりの高さなどは任意であり、移動式装置(自走式掃除機)や充電器の仕様などに応じて、好適な数や形状にすればよい。
【0044】
また、以上の実施の形態においては、カム部24を備える支柱部22を、円筒形の端面カムとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、支柱部を円筒溝カムや円筒リブカムとして形成するとともに、ガイド部や駒部をそのカム形状に応じた形に形成するようにしてもよい。
【0045】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る高さ調節機構を有する充電器を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る充電器の脚部を示す説明図であり、斜視図(a)と、図2(a)の矢印b方向からの側面図(b)と、図2(a)の矢印c方向からの側面図(c)と、図2(a)の矢印d方向からの底面図(d)である。
【図3】本発明に係る充電器のガイド部を示す斜視図である。
【図4】脚部にガイド部を内挿した状態を示す斜視図である。
【図5】図4の矢印V方向からの底面図である。
【図6】筐体にガイド部を介して脚部を組み付けた状態を示す断面図であり、筐体に脚部を縮めた状態を示している。
【図7】筐体にガイド部を介して脚部を組み付けた状態を示す断面図であり、筐体から脚部を延ばした状態を示している。
【図8】従来の充電器を示す斜視図である。
【図9】従来の充電器の脚部にスペーサを取り付ける説明図(a)と、スペーサにより充電器本体が高さ調節された状態を示す説明図(b)である。
【図10】硬い床面上を走行する自走式掃除機の充電端子に対して充電器の電源端子の位置合わせを行った説明図(a)と、軟らかい床面を沈み込むように走行する自走式掃除機の充電端子に対して充電器の電源端子の位置合わせを行った説明図(b)である。
【符号の説明】
【0047】
1 円孔部
2 U字孔部
3 底面孔
10 充電器本体
11 電源端子
12 筐体
12a 底面部
13 支柱支持部
14 三角壁
15 筐体係止部
20 脚部
21 接面部
22 支柱部
24 カム部
24a フラット面
24b 傾斜面
30 ガイド部
31 底部
32 側面部
33 駒部
35 コイルばね(付勢部材)
90 高さ調節機構
100 充電器(移動式装置用充電器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に当接する接面部と、前記接面部から上方に向けて立設されるとともに所定のカム曲線を有するカム部が形成されている支柱部と、を有する脚部と、
前記支柱部をその支柱部の延在する方向に移動可能に支持する支柱支持部を有する筐体と、
前記筐体と前記支柱部とに当接するとともに前記カム部と摺接する駒部が形成されて、前記筐体と前記脚部との間に介装されるガイド部と、
前記脚部に形成された脚係止部と、前記筐体に形成された筐体係止部との間に掛け渡され、前記脚部と前記筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材と、
を備える移動式装置用充電器であって、
前記カム部は、前記支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、前記フラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しており、
前記駒部を前記カム部に沿って移動させ、前記駒部を前記フラット面に当接させるように、前記ガイド部の配置を切り替えることにより、前記脚部を前記支柱部が延在する方向に移動させて、前記ガイド部を介して前記脚部を前記筐体に位置合わせさせることを特徴とする移動式装置用充電器。
【請求項2】
床面に当接する接面部と、前記接面部から上方に向けて立設される支柱部と、前記支柱部に形成されている所定のカム曲線を有するカム部と、を有する脚部と、
前記支柱部をその支柱部の延在する方向に移動可能に支持する支柱支持部を有する筐体と、
前記筐体に当接するとともに前記支柱部に当接するように、前記筐体と前記脚部との間に介装されるガイド部と、
を備え、
前記ガイド部には、前記カム部と摺接する駒部が形成されており、
前記駒部が前記カム部に沿って移動するように、前記ガイド部の配置を切り替えることにより、前記脚部の配置を切り替えることを特徴とする高さ調節機構。
【請求項3】
前記カム部は、前記支柱部が延在する方向と垂直な面を成す複数のフラット面と、前記フラット面の間を繋ぐ複数の傾斜面と、を有しており、
前記駒部が前記フラット面に当接することにより、前記ガイド部を介して前記脚部が前記筐体に位置合わせされることを特徴とする請求項2に記載の高さ調節機構。
【請求項4】
前記脚部と、前記筐体との間に掛け渡され、前記脚部と前記筐体とを近接させる方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の高さ調節機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−336709(P2007−336709A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166060(P2006−166060)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】