説明

移動通信端末、情報提供方法および情報提供プログラム

【課題】無線によりデータ通信を行おうとした際に、移動通信端末の現在地や動作モードに適した情報を簡単に提供する。
【解決手段】移動通信端末1000は複数の動作モードのうちいずれかを選択して無線によりデータ通信を行う。記憶部600は、スループット値610cと端末位置情報610aとスループット値610bとを互いに対応付けて、通信状態情報610として記憶する。そして、情報検出部540が、移動通信端末1000がデータ通信を行おうとした際に取得される端末位置情報である現時端末位置情報と、移動通信端末1000がデータ通信を行おうとした際に選択されていた動作モードである選択動作モードに基づいて、記憶部600に記憶された通信状態情報619を検出し、情報提供部550が、情報検出部540の検出結果に基づいて、通信状態情報610に関する情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、予め設定された複数の動作モードのうち、いずれかを選択して、無線によりデータ通信する移動通信端末、情報提供方法および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばタブレット端末など、様々な機能を備えた移動通信端末が、普及してきている。このような移動通信端末を用いてデータ通信を行う方法として、例えばインターネットに接続されたアクセスポイントを経由して、データを送受信する方法が広く採用されている。
【0003】
ここで、アクセスポイントおよび移動通信端末の間の通信接続には、例えば無線LAN(Local Area Network)や有線LANが用いられる。無線LANおよび有線LANを比較すると、無線LANでは、ケーブルの配線を行う必要がないので、あらゆる場所でデータ通信を行える点で、有線LANよりも優れている。このため、無線LANの通信機能は、前述のタブレット端末などの移動通信端末の多くに搭載され、移動通信端末およびアクセスポイントの間の通信に広く利用されている。
【0004】
無線LAN通信機能を搭載する一般的な移動通信端末は、液晶表示装置などの表示部に電波強度を表示するように構成されている。このため、移動通信端末の利用者は、表示部の表示から現在地の電波強度を知ることができるので、電波強度を見ながら必要に応じて場所を移動してデータ通信を行うことができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、無線信号の受信品質を位置情報に関連付けた地図を用いて、受信品質が改善される場所を探索する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−042628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、無線LAN通信では、電波強度が高い場所であっても、フェージング現象などの影響を受け、スループット(Through put)値が大幅に小さくなってしまう場合もある。このように、スループット値が低い場所で、無線LAN通信機能を用いて、大容量のデータをダウンロードしようとすると、ダウンロードが完了するまでに長い時間を要してしまうことがあった。また、無線LAN通信機能の動作モードによっても、ダウンロードのために長時間を要してしまう場合もあった。例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)規格に対応した動作モードの場合、802.11a/b/g/nで、周波数帯や公称速度が異なってくる。特許文献1に記載の技術は、無線LAN通信機能の複数の動作モードに対応していない。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、無線によりデータ通信を行おうとした際に、移動通信端末の現在地や動作モードに適した情報を簡単に提供できる技術を供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の移動通信端末は、予め設けられた複数の動作モードのうちいずれかを選択して、無線によりデータ通信を行う移動通信端末であって、前記移動通信端末の位置情報を端末位置情報として取得する位置情報取得部と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、単位時間当たりの実効転送量であるスループット値を計測するスループット計測部と、前記スループット計測部により計測したスループット値と、前記スループット値を計測した際に取得した端末位置情報と、前記スループット値を計測した際に選択されていた動作モードとを、互いに対応付けて通信状態情報として記憶する記憶部と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に前記位置情報取得部により取得される前記端末位置情報である現時端末位置情報と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた前記動作モードである選択動作モードに基づいて、前記記憶部に記憶された通信状態情報を検出する情報検出部と、前記情報検出部の検出結果に基づいて、前記通信状態情報に関する情報を提供する情報提供部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる技術によれば、無線によりデータ通信を行おうとした際に、移動通信端末の現在地や動作モードに適した情報を簡単に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末の外観を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末とアクセスポイントの関係を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末の記憶部に記憶される情報を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態にかかる移動通信端末の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態にかかる移動通信端末の記憶部に記憶される情報を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000の構成を示す。図2は、移動通信端末1000の外観を示す。図3は、移動通信端末1000とアクセスポイント2000の関係を説明するための図である。
【0013】
以下の説明では、まず、図2および図3を用いて、移動通信端末1000の外観と、アクセスポイント2000との関係について説明し、その後に図1を用いて、移動通信端末1000の構成について説明する。
【0014】
図2に示されるように、移動通信端末1000は例えばタブレット(Tablet)型の端末である。移動通信端末1000の表面には、例えば操作部700や表示部800が取り付けられている。なお、操作部700および表示部800の詳細については、後で図1を用いて説明する。
【0015】
図3に示されるように、移動通信端末1000は、アクセスポイント2000を介してインターネットに接続して、データ通信を行う。このとき、移動通信端末1000およびアクセスポイント2000の間の通信は、無線LAN通信により行われる。移動通信端末1000およびアクセスポイント2000の無線LAN機能は、例えばIEEE802.11a/b/g/n規格に対応している。移動通信端末1000は、IEEE802.11a/b/g/nに対応して4つの動作モードが設けられており、このうちのいずれかを選択してアクセスポイント2000と無線LAN通信を行う。
【0016】
次に、図1を用いて、移動通信端末1000の構成を具体的に説明する。図1に示されるように、移動通信端末1000は、無線LAN通信用アンテナ100と、無線LAN通信部200と、GPS通信用アンテナ300と、GPS通信部400と、制御部500と、記憶部600と、操作部700と、表示部800と、電子コンパス部900を含んで構成されている。
【0017】
無線LAN通信用アンテナ100は、無線LAN通信に適したアンテナであって、無線LAN通信部200に接続されている。無線LAN通信部200は、制御部500に接続されている。無線LAN通信部200は、後述の動作モード設定部510により設定された動作モード(例えばIEEE802.11a/b/g/nのいずれかに対応する動作モード)に従って、無線LAN通信用アンテナ100を介して、アクセスポイント2000(図2を参照)とデータ通信を行う。
【0018】
GPS(Global Positioning System)通信用アンテナ300は、GPS通信に適したアンテナであって、GPS通信部400に接続されている。GPS通信部400は、制御部500に接続され、GPS通信用アンテナ300を介してGPS衛星から信号(以下、GPS信号とする)を受信する。
【0019】
制御部500は、無線LAN通信用アンテナ100、無線LAN通信部200、GPS通信用アンテナ300、GPS通信部400、記憶部600、操作部700、表示部800および電子コンパス部900など、移動通信端末1000内の電子機器の全てを制御する。
【0020】
制御部500は、動作モード設定部510と、位置情報取得部520と、スループット計測部530と、情報検出部540と、情報提供部550とを含んで構成されている。
【0021】
動作モード設定部510は、予め設けられた複数の無線LAN通信機能の動作モードのうちいずれかを選択する。複数の無線LAN通信機能の動作モードは、前述の通り、IEEE802.11a/b/g/nの4つの規格に対応している。動作モード設定部510は、この4つの動作モードのうち1つを選択する。なお、動作モード設定部510による動作モードの選択は、移動通信端末1000の利用者が操作部700により入力する信号に基づいて行われる。すなわち、動作モード設定部510は、利用者によって操作部700により入力される信号に基づいて、IEEE802.11a/b/g/nの4つの規格に対応する動作モードのうち1つを選択する。
【0022】
位置情報取得部520は、移動通信端末1000の位置情報を端末位置情報として取得する。具体的には、位置情報取得部520は、GPS通信部400により受信されるGPS信号から、移動通信端末1000の緯度および経度を端末位置情報として取得する。
【0023】
スループット計測部530は、移動通信端末1000が無線LAN通信部200および無線LAN用アンテナ100を用いて無線によりデータ通信を行っている間に、スループット値を計測する。ここで、スループット値とは、単位時間当たりの実効転送量をいう。具体的には、スループット計測部530は、データ通信を行っている時間と、通信したデータのファイル容量に基づいて、スループット値を算出する。
【0024】
情報検出部540は、記憶部600に記憶される通信状態情報610を所定の条件に基づいて検出する。なお、情報検出部504の具体的な機能や動作などについては、後述の動作説明において詳しく説明する。
【0025】
情報提供部550は、情報検出部540の検出結果に基づいて、通信状態情報に関する情報を提供する。なお、情報提供部550の具体的な機能や動作については、後述の動作説明において詳しく説明する。
【0026】
記憶部600は、制御部500に接続されており、1以上の通信状態情報610を記憶する。この通信状態情報610は、端末位置情報610aと、動作モード610bと、スループット値610cとを互いに対応付けた情報である。このときのスループット値610cは、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、スループット計測部530により計測されたスループット値である。端末位置情報610aは、スループット計測部530によりスループット値610cを計測した際に取得した端末位置情報である。動作モード610bは、スループット計測部530によりスループット値610cを計測した際に選択されていた動作モードである。
【0027】
図4は、記憶部600に記憶される情報を示す。図4に示されるように、例えば、端末位置情報610a(緯度/経度=XXXA/YYYA)と、スループット値610c(ZZA Mbps(bit per second))と、動作モード610b(IEEE802.11g)とが、互いに対応付けられて、通信状態情報610−1として、記憶されている。同様に、端末位置情報610a(緯度/経度=XXXB/YYYB)と、スループット値610c(ZZB (Mbps))と、動作モード610b(IEEE802.11g)とが、互いに対応付けられて、通信状態情報610−2として、記憶されている。このようにして、記憶部600には、複数の通信状態情報610―1、610―2、610−3、・・・、610−nが、端末位置情報610a、スループット値610cおよび動作モード610bが互いに対応付けられる形で、記憶されている。なお、以下の説明では、特に通信状態情報610―1、610―2、610−3、・・・、610−nの各々を区別する必要がある場合を除いて、通信状態情報610―1、610―2、610−3、・・・、610−nの各々を単に通信状態情報610と称する。
【0028】
図1に戻って、操作部700は、例えばスイッチボタンであって、図2に示したように、例えば移動通信端末1000の表面に設けられる。また、操作部700は、制御部500に接続されている。移動通信端末1000の利用者は、この操作部700を用いて、所望の情報を信号として入力する。例えば、移動通信端末1000の利用者は、操作部700を用いて、動作モードを入力することができる。この結果、動作モード設定部510が、操作部700により入力された信号を取得し、取得した信号に基づいてIEEE802.11a/b/g/nに対応する4つの動作モードのうち1つを設定する。
【0029】
表示部800は、制御部500内の各部が実行する各処理内容などを表示する。例えば、表示部800は、制御部500の制御に従って、情報提供部560により提供される情報を表示する。なお、表示部800には、例えば液晶表示素子や有機EL(Electro- Luminescence)表示素子などが用いられる。
【0030】
電子コンパス部900は、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、移動通信端末1000が向いている方角である端末方角を取得する。端末方角は、移動通信端末1000の基準面が向く方角とする。例えば、図2では、紙面上側の側面を基準面とし、この紙面上側の側面が向く矢印Aの方角を端末方角としている。なお、この電子コンパス部900は、本発明のコンパス部に相当する。
【0031】
以上、本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000の構成について、説明した。
【0032】
次に、本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000の動作について、図に基づいて説明する。図5は、移動通信端末1000の動作フローを示す。
【0033】
図5に示されるように、アクセスポイント2000を介してデータ通信を行うため、移動通信端末1000の利用者が操作部700を用いて所定の命令信号を入力すると(S501)、位置情報取得部520が、GPS通信部400により受信されるGPS信号から端末位置情報(緯度、経度)を取得する(S502)。
【0034】
ここで、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとした際に位置情報取得部520により取得される端末位置情報を、「現時端末位置情報」とする。この現時端末位置情報は、移動通信端末1000の現在地の位置情報(緯度、経度)に実質的に相当し、S502の処理で取得される。また、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた動作モードを、「選択動作モード」とする。
【0035】
S502の処理後、情報検出部540が、現時端末位置情報および選択動作モードに基づいて、記憶部600に記憶される通信状態情報610を検出する。具体的には、まず、情報検出部540は、移動通信端末1000の現在地(現時端末位置情報が示す位置)から所定範囲内(例えば10km以内)の端末位置情報を含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されているか否かを検出する(S503)。
【0036】
情報検出部540が、前記条件を満たす通信状態情報が記憶部600に記憶されていると検出した場合(S503、YES)、さらに、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されているか否かを判断する(S504)。
【0037】
S504で検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていると検出された場合(S504、YES)、情報提供部550は、当該検出された通信状態情報のうちで、最も高いスループット値を含む通信状態情報中の端末位置情報(緯度、経度)を取得する(S505)。これにより、移動通信端末1000は、選択動作モードと同じ動作モードの下で、当該移動通信端末1000の現在地よりも高いスループット値を含む通信状態情報のうちで、最もスループット値が高い通信状態情報に含まれる端末位置情報(緯度、経度)を取得することができる。
【0038】
次に、電子コンパス部900が、制御部500の制御の下で、端末方角を取得する(S506)。また、情報提供部550は、現在地から、S505で取得された端末位置情報が示す位置までの移動距離と移動方向を算出する(S507)。すなわち、より具体的には、情報提供部550は、現時端末位置情報と、S505で取得した端末位置情報と、S506で取得した端末方角とに基づいて、現時端末位置情報が示す位置(移動通信端末1000の現在地)から、S505で取得した端末位置情報が示す位置までの移動距離と移動方向を算出する。
【0039】
そして、情報提供部550は、S507で算出した結果(移動距離と移動方向)を、例えば表示部800に表示することにより、移動通信端末1000の利用者に提供する(S508)。なお、ここでは、前記算出結果を表示部800への表示により提供すると説明したが、例えば、音声によって前記算出結果を提供してもよい。また、情報提供部550は、移動先までの移動距離と移動方向の双方を提供するのではなく、移動距離のみを提供したり、移動方向のみを提供したりしてもよい。情報提供部559が移動先までの移動距離のみを提供する場合には、本実施の形態において電子コンパス部900を不要とする。
【0040】
次に、表示部800が、制御部500の指示に従って、「データ通信を開始します」という表示と「OKボタン」の表示を行う(S509)。
【0041】
移動通信端末1000の利用者が必要に応じて移動することに伴って、移動通信端末1000が移動する(S510)。すなわち、移動通信端末1000の利用者は、例えばS507で提供された距離と移動方向に従って、最もスループット値が高い位置まで移動する。この結果、移動通信端末1000が、最もスループット値が高い位置に配置される。
【0042】
そして、移動通信端末1000の利用者が、表示部600の表示内容を確認して「OKボタン」を押下すると、移動通信端末1000の無線LAN通信部200がアクセスポイント2000を介してデータ通信を開始する(S511)。なお、この場合は、表示部800の表面にはタッチパネルスイッチが取り付けられており、「OKボタン」を押下することで、データ通信を開始する命令信号が制御部500から無線LAN通信部200へ出力されるものとする。
【0043】
次に、スループット計測部530が、データ通信開始から完了までのスループット値を計測する(S512)。具体的には、スループット計測部530は、「OKボタン」が押下されてからデータ通信が完了するまでの時間と、通信したデータのファイル容量に基づいて、スループット値を算出する。このとき、位置情報取得部520は、スループット値を計測した際の端末位置情報を取得する。また、制御部500は、スループット値を計測した際の動作モードを取得する。
【0044】
そして、制御部500は、端末位置情報(緯度、経度)と、スループット値と、動作モードとを通信状態情報610として記憶部600に記憶する(S513)。より具体的には、制御部500は、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、スループット計測部530により計測されたスループット値610cと、当該スループット値を計測した際に取得した端末位置情報610aと、当該スループット値を計測した際に選択されていた動作モード610bとを、互いに対応付けて通信状態情報610として記憶する。このとき、スループット値610cには、S512で計測されたデータを用いる。また、端末位置情報610aには、S510で移動通信端末1000が移動した場合には、S512でスループット値を計測した際の端末位置情報を用いる。なお、S510で移動通信端末1000の利用者が移動しない場合には、S502で取得した現時端末位置情報を、端末位置情報610aとしてもよい。さらに、動作モード610bには、S512でスループット値を計測した際に選択されていたモードを用いる。これにより、移動通信端末1000は、データ通信を行った際のスループット値610cと、端末位置情報610a(緯度、経度)と、動作モード610bとを互いに対応付けて、記憶部600に蓄積することができる。
【0045】
S503に戻って、情報検出部540が、現在地から所定範囲内の端末位置情報を含む通信状態情報が記憶部600に記憶されていないと検出した場合(S503、NO)、移動通信端末1000は、S504〜S508の処理を行わずに、S509以降の処理を行う。
【0046】
また、S504の処理では、S504で検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていないと判断された場合(S504、NO)、移動通信端末1000は、S505〜S508の処理を行わずに、S509以降の処理を行う。
【0047】
すなわち、情報検出部540が、現在地から所定範囲内の端末位置情報を含む通信状態情報が記憶部600に記憶されていないと検出した場合(S503、NO)や、S504で検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていないと判断された場合(S504、NO)には、移動通信端末1000は、その利用者に対して記憶部600に記憶されている情報を提供することなく、S509でデータ通信を促す表示をする。そして、移動通信端末1000の利用者が必要に応じて移動した後(S510)、データ通信を行った場合に(S511)、移動通信端末1000は、スループット値を計測し(S512)、データ通信を行った際の端末位置情報とスループット値と動作モードを互いに対応付けて新たに記憶部600に記憶する。
【0048】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000は、予め設けられた複数の動作モード(例えばIEEE802.11a/b/g/n)のうちいずれかを選択して、無線によりデータ通信を行う。そして、移動通信端末1000は、位置情報取得部520と、スループット計測部530と、記憶部600と、情報検出部540と、情報提供部550とを含んで構成される。位置情報取得部520は、移動通信端末1000の位置情報を端末位置情報として取得する。スループット計測部530は、動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、単位時間当たりの実効転送量であるスループット値を計測する。記憶部600は、スループット計測部530により計測したスループット値610cと、スループット値610cを計測した際に取得した端末位置情報610aと、スループット値610cを計測した際に選択されていた動作モード610bとを、互いに対応付けて通信状態情報610として記憶する。情報検出部540は、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとした際に位置情報取得部520により取得される端末位置情報である現時端末位置情報と、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた動作モードである選択動作モードに基づいて、記憶部600に記憶された通信状態情報610を検出する。情報提供部550は、情報検出部540の検出結果に基づいて、通信状態情報610に関する(例えば現在地からスループット値が高い場所までの移動距離や移動方向)を提供する。
【0049】
このように、記憶部600には、通信状態情報610として、予め端末位置情報610aとスループット値610cと動作モード610bとが、互いに対応付けられて記憶されている。このため、端末位置情報610aとスループット値610cと動作モード610bのうち、いずれかの情報が分かれば、その情報に基づいて、記憶部600内から通信状態情報610を検出することができる。また、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとした際に、情報検出部540が、その際の移動通信端末1000の現在地を実質的に表す現時端末位置情報と、その際に選択されていた動作モードを表す選択動作モードに基づいて、記憶部600内の通信状態情報610を検出する。これにより、無線によりデータ通信を行おうとした際に、移動通信端末の現在地や動作モードに適した情報を記憶部600の中から検出することができる。そして、情報提供部550が検出結果に基づいて、通信状態情報610に関する情報(例えば現在地からスループット値が高い場所までの移動距離や移動方向)を提供するので、移動通信端末の現在地や動作モードに適した各種情報が移動通信端末1000の利用者に対して提供される。この結果、無線によりデータ通信を行おうとした際に、移動通信端末の現在地や動作モードに適した情報を簡単に提供できる移動通信端末1000を得ることができる。本発明では、情報検出部540が、選択動作モードをも考慮して、記憶部600内の通信状態情報610を検出するので、移動通信端末1000の現在地だけでなく、複数の動作モードのうち特定の動作モードに適した情報を検出し提供できる。このような情報の提供を受けることにより、移動通信端末1000の利用者は、情報通知部550により通知された情報を基に、例えば屋内の通信可能領域のうち、どの辺りでスループット値が高いのかを知ることができる。また、移動通信端末1000の利用者は、情報通知部550により通知された情報を基に、例えば大容量のデータをダウンロードする際など必要に応じて、スループット値が高い位置まで移動してデータ通信をすることができる。これにより、ダウンロード完了までの時間を短縮することができる。
【0050】
なお、無線LAN通信機能を用いてデータを送信しようとした際に、例えば、アクセスポイントや、このアクセスポイントに接続されるサーバなどから、移動通信端末1000の現在地や動作モードに適した通信情報を取得する方法も考えられる。しかしながら、移動通信端末1000が無線LAN通信機能を用いてデータを送信しようとする前に、移動通信端末1000側からアクセスポイントやサーバに通信情報を問い合わせる必要があり、複雑な事前処理が必要である。一方、本発明の第1の実施の形態における移動通信端末1000では、上述の通り、当該移動通信端末1000内の記憶部600に通信状態情報610として端末位置情報610a、動作モード610bおよびスループット値610cを記憶しているので、アクセスポイントやサーバに通信情報を問い合わせることを必要とせず、移動通信端末1000の現在地や動作モードに適した情報を簡単に提供できる。
【0051】
また、本発明の第1の実施の形態における移動通信端末1000において、情報検出部540は、現時端末位置情報が示す位置から所定範囲内の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていると検出した場合に、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されているか否かを判断する。
【0052】
このように、情報検出部540は、まず、現時端末位置情報と同じ位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報だけでなく、現時端末位置情報が示す位置から所定範囲内の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されているか否かを検出している。これにより、情報検出部540は、移動通信端末1000の現在地の周辺に至る範囲に関する通信状態情報を記憶部600から検出することができる。移動通信端末1000の現在地を実質的に示す現時端末位置情報は、緯度および経度で特定されるので、現時端末位置情報が記憶部600内に記憶されている各種情報と完全に一致する確率は非常に低い。これに対して、本発明では、現時端末位置情報が示す位置から所定範囲内に至るまでの端末位置情報を含む通信状態情報を、情報検出部540の検出対象としている。このため、情報検出部540が通信状態情報を記憶部600から検出する確率を高めることができる。また、さらに、情報検出部540は、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されているか否かを判断する。これにより、情報検出部540は、移動通信端末1000の現在地よりもより高いスループット値を含む通信状態情報を、同じ選択モードという条件の下で、記憶部600から検出することができる。
【0053】
また、本発明の第1の実施の形態における移動通信端末1000において、情報検出部540が、検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていると検出した場合、情報提供部550は、当該検出した通信状態情報610のうちで、最も高いスループット値610cを含む通信状態情報610中の端末位置情報610aを提供する。これにより、移動通信端末1000の利用者は、同じ選択モードの下で、最もスループット値が高い位置を得ることができる。
【0054】
本発明の第1の実施の形態における移動通信端末1000において、情報提供部560は、提供する端末位置情報610aと、現時端末位置情報とに基づいて、現時端末位置情報が示す位置から、提供する位置情報が示す位置までの移動距離をさらに提供する。これにより、移動通信端末1000の利用者は、さらに移動通信端末1000の現在地から、よりスループット値が高い位置までの移動距離を知ることができる。
【0055】
本発明の第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000は、さらに電子コンパス部900を備えている。この電子コンパス部900は、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、移動通信端末1000が向いている方角である端末方角を取得する。そして、情報提供部550は、提供する端末位置情報610aと、移動通信端末1000の現在地を実質的に示す現時端末位置情報と、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行おうとする際に電子コンパス部900により取得される端末方角とに基づいて、現時端末位置情報が示す位置から前記提供する位置情報が示す位置までの移動方向を提供する。これにより、移動通信端末1000の利用者は、さらに移動通信端末の現在地から、最もスループット値が高い位置までの移動方向を知ることができる。
【0056】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態における移動通信端末について、説明する。第2の実施の形態における移動通信端末の構成は、第1の実施の形態における移動通信端末1000と基本的には同一である。一方、GPS通信部400の動作において、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異なる。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す。図6と図5を対比すると、図6のS503〜S513は、図5と同一である。これに対して、図6のS601およびS602は、図5のS501およびS502と異なる。すなわち、図5では、移動通信端末1000は、データ通信開始の命令を受けた後に、現時端末位置情報(緯度、経度)を取得するのに対して(S501、S502)、図6では、移動通信端末は、データ通信開始の命令がなくとも、定期的に現時端末位置情報を取得する点で(S601、S602)、両者は相違する。
【0058】
具体的には、位置情報取得部520が、定期的(例えば数秒毎)に、GPS通信部400により受信されるGPS信号から、現時端末位置情報、すなわち移動通信端末1000の現在地の端末位置情報(緯度、経度)を取得する(S601)。そして、アクセスポイント2000を介してデータ通信を行うため、移動通信端末1000の利用者が操作部700を用いて所定の命令信号を入力すると(S602)、移動通信端末1000がS503以降の処理を行う。
【0059】
このように、データ通信開始前に定期的に現時端末位置情報を取得することにより、移動通信端末1000の利用者がデータ通信を行おうとした時から、実際にデータ通信を行うまでの時間を、位置情報取得部520によるGPS信号の読み込み時間分、短縮することができる。
【0060】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる移動通信端末について、説明する。第3の実施の形態における移動通信端末の構成は、第1の実施の形態における移動通信端末1000と基本的には同一である。一方、情報検出部540の動作において、第3の実施の形態は、第1の実施の形態と異なる。
【0061】
図7は、本発明の第3の実施の形態にかかる移動通信端末の動作フローを示す。図7と図5を対比すると、図7のS501〜S513は、図5と同一である。これに対して、図7では、S701がS503およびS504の間に含まれている点で、両者は相違する。すなわち、図5では、S502の処理後、情報検出部540が、現時端末位置情報と同じ位置から所定範囲内(例えば10m以内)の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていると検出した場合(S503、YES)、S504の処理をしていた。これに対して、図7では、S502の処理後、情報検出部540が、現時端末位置情報と同じ位置から所定範囲内(例えば10m以内)の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていると検出した場合(S503、YES)に加えて、さらに、S503で検出された通信状態情報に含まれるスループット値が所定のスループット値(例えば、・・・・・)以下である場合(S701、YES)にのみ、S504の処理を行う。
【0062】
また、情報検出部540が、現在地から所定範囲内の端末位置情報を含む通信状態情報が記憶部600に記憶されていないと検出した場合(S503、NO)や、S503で検出された通信状態情報に含まれるスループット値が所定のスループット値以下でない場合(S701、NO)や、S504で検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、記憶部600に記憶されていないと判断された場合(S504、NO)には、移動通信端末1000は、その利用者に対して記憶部600に記憶されている情報を提供することなく、S509でデータ通信を促す表示をする。
【0063】
以上のように、本発明の第2の実施の形態における移動通信端末において、情報検出部540は、現時端末位置情報が示す位置(移動通信端末1000の現在地)から所定範囲内の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されていると検出した場合(S503、YES)に加えて、さらに、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値が、所定のスループット値以下である場合(S701、YES)に、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、前記選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されているか否かを判断する(S504)。
【0064】
このように、移動通信端末1000の現在地から所定範囲内におけるスループット値が所定値よりも低い場合にのみ、S504以降の処理を行う。一方、移動通信端末1000の現在地から所定範囲内におけるスループット値が十分に高い場合には、S504〜S508の処理を行わずに、直ちにS509〜S513の処理を行う。このため、移動通信端末1000の現在地周辺のスループット値が低い場合にのみ、当該移動通信端末1000の利用者に対して、スループット値がより高い位置など、移動通信端末1000の現在地や動作モードに適した有益な情報を効率よく提供することができる。
【0065】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態にかかる移動通信端末1100について、説明する。図8と図1とを対比すると、図1では、端末位置情報610a、動作モード610bおよびスループット値610cの3つが通信状態情報610として記憶部600に記憶されるのに対して、図8では、前記3つの情報に加えて端末方角610dをも含めて通信状態情報610Aとして記憶部600Aに記憶される点で、両者は相違する。なお、図8では、第1の実施の形態にかかる移動通信端末1000と同一機能を有する構成要素に対して、図1と同一の符号を付している。図1と同一符号を示す構成要件については、詳細な説明を省略する。
【0066】
図8に示されるように、記憶部600Aは、制御部500に接続されており、通信状態情報610Aを記憶する。この通信状態情報610Aは、端末位置情報610aと、動作モード610bと、スループット値610cと、端末方向610dを互いに対応付けた情報である。図1の説明と同様に、このときのスループット値610cは、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、スループット計測部530により計測されたスループット値である。端末位置情報610aは、スループット計測部530によりスループット値610cを計測した際に取得した端末位置情報である。動作モード610bは、スループット計測部530によりスループット値610cを計測した際に選択されていた動作モードである。そして、新たに追加された端末方向610dは、スループット計測部530によりスループット値610cを計測した際に電子コンパス部900により取得した方向である。
【0067】
図9は、記憶部600Aに記憶される情報を示す。図9に示されるように、例えば、端末位置情報610a(緯度/経度=XXXA/YYYA)と、スループット値610c(ZZA Mbps)と、動作モード610b(IEEE802.11g)と、端末方向610d(50°)とが、互いに対応付けられて、通信状態情報610A−1として、記憶部600に記憶されている。同様に、複数の通信状態情報610A―1、610A―2、610A−3、・・・、610A−nが、記憶部600Aに記憶されている。
【0068】
このとき、端末方向610dは、例えば真北を基準に時計回り(東方向)に回転した角度を示す。すなわち、端末方向610dが50°である場合、移動通信端末1000の基準面が向く矢印A(図2を参照)が、真北から東方向に50°移転した方向を指していたことを意味する。
【0069】
なお、以下の説明では、特に通信状態情報610A―1、610A―2、610A−3、・・・、610A−nの各々を区別する必要がある場合を除いて、通信状態情報610A―1、610A―2、610A−3、・・・、610A−nの各々を単に通信状態情報610Aと称する。
【0070】
次に、本発明の第4の実施の形態にかかる移動通信端末1100の動作について、図に基づいて説明する。図10は、移動通信端末1100の動作フローを示す。
【0071】
図10と図5を対比すると、移動通信端末1100は、S508およびS513の代わりに、S1001およびS1002の処理を行う。
【0072】
以下に、図10に基づいて、移動通信端末1100の動作を説明する。なお、図1との相違部の動作を中心に説明することとし、S508およびS513以外の処理は図1と同様であるので必要な場合を除き詳細な説明を省略する。
【0073】
S507の処理の後、情報提供部550は、S507で算出した結果(距離と移動方向)とともに、さらにS505で取得された端末位置情報610aを含む通信状態情報610Aに含まれる端末方向610dを、例えば表示部800に表示することにより、移動通信端末1000の利用者に提供する(S1001)。このとき、S505で取得された端末位置情報610aは、前述の通り、S505で検出された通信状態情報のうちで、最も高いスループット値を含む通信状態情報610中の端末位置情報である。なお、ここでは、前記算出結果を表示部800への表示により提供すると説明したが、第1の実施の形態と同様に、例えば音声によって前記算出結果および端末方向を提供してもよい。
【0074】
また、S512で、スループット計測部530が、データ通信開始から完了までのスループット値を計測した後、制御部500は、端末位置情報と、スループット値と、動作モードとに加えて、さらに端末方角とを通信状態情報610Aとして記憶部600Aに記憶する(S1002)。具体的には、制御部500は、移動通信端末1000が無線によりデータ通信を行っている間に、S512でスループット計測部530により計測されたスループット値610cと、当該スループット値を計測した際に取得した端末位置情報610aと、当該スループット値を計測した際に選択されていた動作モード610bと、さらに当該スループット値を計測した際に電子コンパス部900により取得した端末方角610dとを互いに対応付けて通信状態情報610として記憶する。
【0075】
このとき、第1の実施の形態と同様に、スループット値610cには、S512で計測されたデータを用いる。また、端末位置情報610aには、S510で移動通信端末1000が移動した場合には、S512でスループット値を計測した際の端末位置情報を用いる。一方、S510で移動通信端末1000の利用者が移動しない場合には、S502で取得した現時端末位置情報を、端末位置情報610aとしてもよい。さらに、動作モード610bには、S512でスループット値を計測した際に選択されていたモードを用いる。また、端末方向610dには、S510で移動通信端末1000が移動した場合には、S512でスループット値を計測した際の端末方向を用いる。一方、S510で移動通信端末1000の利用者が移動しない場合には、S506で取得した端末方向を、端末方向610dとしてもよい。これにより、データ通信を行った際のスループット値と、端末位置情報(緯度、経度)と、動作モードと、端末方向とを互いに対応付けて、記憶部600Aに蓄積することができる。
【0076】
以上のように、本発明の第4の実施の形態における移動通信端末1100は、電子コンパス部900を備えている。この電子コンパス部900は、移動通信端末1100が無線によりデータ通信を行っている間に、移動通信端末1100が向いている方角(例えば移動通信端末1000の特定面が向く方角)である端末方角を取得する。また、記憶部600Aは、スループット計測部530がスループット値を計測した際に電子コンパス部900により取得した端末方角610dをさらに含めて、通信状態情報610Aとして記憶する。そして、情報提供部550は、提供する端末位置情報610aと、移動通信端末1000の現在地を実質的に示す現時端末位置情報とに基づいて、提供する端末位置情報610aを含む通信状態情報610Aに含まれる端末方向610dをさらに提供する。これにより、移動通信端末1000の利用者は、スループット値が最も高い位置における端末方向を知ることができる。つまり、移動通信端末1100の利用者は、スループット値が最も高い位置で、当該移動通信端末1100の向きをどの方向に向ければよいのかを知ることができる。この結果、移動通信端末1100の利用者は、知得した端末方向に基づいて、移動通信端末1100の向きを調整することができる。これにより、移動通信端末1100は、移動先において、高いスループット値を示す好環境下で、適正な方向に移動通信端末1100を向けて、効率よくデータ通信を行うことができる。
【0077】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0078】
各実施の形態において、移動通信端末1000、1100はタブレット型であると説明したが、移動通信端末1000、1100をタブレット型以外で構成してもよい。
【0079】
第1〜第3の実施の形態では、情報提供部550は、通信状態情報610に関する情報として、移動通信端末1000の現在地から移動先までの移動距離および移動方向を提供すると説明した。第4の実施の形態では、情報提供部550は、通信状態情報610として、さらに異動先の端末方角を提供すると説明した。しかしながら、情報提供部550は、移動距離や移動方向や端末方向の他に、移動先の端末位置情報(緯度、経度)や動作モードなどを提供してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 無線LAN通信用アンテナ
200 無線LAN通信部
300 GPS通信用アンテナ
400 GPS通信部
500 制御部
510 動作モード設定部
520 位置情報取得部
530 スループット計測部
540 情報検出部
550 情報提供部
600、600A 記憶部
610、610A 通信状態情報
610a 端末位置情報
610b 動作モード
610c スループット値
610d 端末方角
700 操作部
800 表示部
900 電子コンパス部
1000、1100 移動通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設けられた複数の動作モードのうちいずれかを選択して、無線によりデータ通信を行う移動通信端末であって、
前記移動通信端末の位置情報を端末位置情報として取得する位置情報取得部と、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、単位時間当たりの実効転送量であるスループット値を計測するスループット計測部と、
前記スループット計測部により計測したスループット値と、前記スループット値を計測した際に取得した端末位置情報と、前記スループット値を計測した際に選択されていた動作モードとを、互いに対応付けて通信状態情報として記憶する記憶部と、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に前記位置情報取得部により取得される前記端末位置情報である現時端末位置情報と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた前記動作モードである選択動作モードに基づいて、前記記憶部に記憶された通信状態情報を検出する情報検出部と、
前記情報検出部の検出結果に基づいて、前記通信状態情報に関する情報を提供する情報提供部を備えた移動通信端末。
【請求項2】
前記情報検出部は、前記現時端末位置情報が示す位置から所定範囲内の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されていると検出した場合に、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、前記選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されているか否かを判断する請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記情報検出部は、前記現時端末位置情報が示す位置と同じ位置から所定範囲内の位置を示す端末位置情報を含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されていると検出した場合に加えて、さらに、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値が、所定のスループット値以下である場合に、当該検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、前記選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されているか否かを判断する請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記情報検出部が、前記検出された通信状態情報に含まれるスループット値よりも高いスループット値を含み、かつ、前記選択動作モードと同じ動作モードを含む通信状態情報が、前記記憶部に記憶されていると検出した場合、
前記情報提供部は、当該検出した通信状態情報のうちで、最も高いスループット値を含む通信状態情報中の端末位置情報を提供する請求項2または3に記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記情報提供部は、前記提供する端末位置情報と、前記現時端末位置情報とに基づいて、前記現時端末位置情報が示す位置から前記提供する端末位置情報が示す位置までの移動距離をさらに提供する請求項4に記載の移動通信端末。
【請求項6】
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、前記移動通信端末が向いている方角である端末方角を取得するコンパス部を備え、
前記情報提供部は、前記提供する端末位置情報と、前記現時端末位置情報と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとする際に前記コンパス部により取得される端末方角とに基づいて、前記現時端末位置情報が示す位置から前記提供する端末位置情報が示す位置までの移動方向を提供する請求項4または5に記載の移動通信端末。
【請求項7】
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、前記移動通信端末が向いている方角である端末方角を取得するコンパス部を備え、
前記憶部は、前記スループット値を計測した際に前記コンパス部により取得した端末方角をさらに含めて、前記通信状態情報として記憶し、
前記情報提供部は、前記提供する端末位置情報および前記現時端末位置情報に基づいて、前記提供する端末位置情報を含む前記通信状態情報に含まれる端末方向をさらに提供する請求項4〜6のいずれかに記載の移動通信端末。
【請求項8】
予め設けられた複数の動作モードのうちいずれかを選択して、無線によりデータ通信を行う移動通信端末の情報提供方法であって、
前記移動通信端末の位置情報を端末位置情報として取得する位置情報取得ステップと、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、単位時間当たりの実効転送量であるスループット値を計測するスループット計測ステップと、
前記スループット計測部ステップにより計測したスループット値と、前記スループット値を計測した際に取得した端末位置情報と、前記スループット値を計測した際に選択されていた動作モードとを、互いに対応付けて通信状態情報として記憶する記憶ステップと、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に前記位置情報取得ステップにより取得される前記端末位置情報である現時端末位置情報と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた前記動作モードである選択動作モードに基づいて、前記記憶ステップにより記憶された前記通信状態情報を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記通信状態情報に関する情報を提供する情報提供ステップとを含む情報提供方法。
【請求項9】
予め設けられた複数の動作モードのうちいずれかを選択して、無線によりデータ通信を行う移動通信端末に情報提供を行わせる処理をコンピュータに実行させる情報提供プログラムであって、
前記移動通信端末の位置情報を端末位置情報として取得する位置情報取得ステップと、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行っている間に、単位時間当たりの実効転送量であるスループット値を計測するスループット計測ステップと、
前記スループット計測部ステップにより計測したスループット値と、前記スループット値を計測した際に取得した端末位置情報と、前記スループット値を計測した際に選択されていた動作モードとを、互いに対応付けて通信状態情報として記憶する記憶ステップと、
前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に前記位置情報取得ステップにより取得される端末位置情報である現時端末位置情報と、前記移動通信端末が無線によりデータ通信を行おうとした際に選択されていた前記動作モードである選択動作モードに基づいて、前記記憶ステップにより記憶された前記通信状態情報を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記通信状態情報に関する情報を提供する情報提供ステップとをコンピュータに実行させる情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−227709(P2012−227709A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93169(P2011−93169)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】