説明

移動通信端末、移動通信方法及び移動通信プログラム

【課題】ユーザが、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向に移動通信端末を向けることを支援する移動通信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】テレビ放送に係る放送波を受信するためのアンテナを有し、現在位置と方位を検出できる移動通信端末であって、前記放送波を送出する放送局の位置情報を保持する放送局位置保持部と、検出された前記方位を用いて当該移動通信端末が放送波を最適に受信できる最適方位を算出する最適方位算出部と、前記放送局の位置と検出された前記現在位置における前記最適方位とを表示する方位表示部と、当該移動通信端末の方位の変化に応じて前記方位表示部による表示を随時更新する方位表示更新部と、を有する、移動通信端末を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末、移動通信方法及び移動通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送では水平偏波が用いられているケースが多い。移動通信端末でテレビ放送を受信する場合、一般的にロッドアンテナが用いられている。そのため、放送波の到来方向に対する水平偏波のアンテナ利得パターン(指向性)は8の字形となり、放送波を受信しやすい方向と受信しにくい方向が発生する。また、放送波を受信しやすい方向は、アンテナの構造や位置等により、必ずしも移動通信端末の正面方向と一致しているとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安定した受信を行うためには、ユーザは、移動通信端末の放送波を受信しやすい方向を、放送波の到来方向と一致させる必要がある。しかし、ユーザは、アンテナ利得パターンや放送波の到来方向が分からないため、最適な受信方向を判断することが困難である。
【0004】
特許文献1には、ユーザに対して外部アンテナの使用やその指向方向の催告、又は受信可能な地域の方位とそこまでの移動距離等を通知するメッセージを端末画面に表示する移動通信端末が開示されている。しかしながら、受信可能な地域を示すメッセージが画面上に示されるに過ぎず、ユーザは、放送波の受信状況が改善する方向を直感的に理解することができない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザが、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向に移動通信端末を向けることを支援する移動通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかる移動通信端末は、テレビ放送に係る放送波を受信するためのアンテナを有し、現在位置と方位を検出できる移動通信端末であって、前記放送波を送出する放送局の位置情報を保持する放送局位置保持部と、検出された前記方位を用いて当該移動通信端末が放送波を最適に受信できる最適方位を算出する最適方位算出部と、前記放送局の位置と検出された前記現在位置における前記最適方位とを表示する方位表示部と、当該移動通信端末の方位の変化に応じて前記方位表示部による表示を随時更新する方位表示更新部と、を有する、移動通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向に移動通信端末を向けることを支援する移動通信端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における移動通信端末のシステムの概要を表す図。
【図2】本発明の一実施形態における移動通信端末のハードウェア構成の例を表す図。
【図3】本発明の一実施形態における移動通信端末の機能ブロックの例を表す図。
【図4A】本発明の一実施形態における移動通信端末の最適方位の決定方法を説明する図。
【図4B】本発明の一実施形態における移動通信端末の最適方位の決定方法を説明する図。
【図4C】本発明の一実施形態における移動通信端末の最適方位の決定方法を説明する図。
【図5】本発明の一実施形態における移動通信端末の処理フローを表す図。
【図6A】本発明の一実施形態における移動通信端末の表示例を表す図。
【図6B】本発明の一実施形態における移動通信端末の表示例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.概要
2.ハードウェア構成
3.機能
4.最適方位の算出方法
5.処理フロー
【0010】
(1.概要)
図1は、本発明の一実施形態における移動通信端末100のシステム1の概要を表す。図1におけるシステムは、移動通信端末100とテレビ放送等に係る放送波を送出する放送局101を有する。
【0011】
移動通信端末100は、移動体通信網に接続される移動通信端末であり、移動体通信に係る通信波を送受信することができる。また、放送局101から送出される、テレビ放送等に係る放送波を受信し、動画コンテンツを再生することができる。テレビ放送等には、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆるワンセグ放送や、映像とともに音声やデータ通信が用いられるマルチメディア放送が含まれる。さらに、移動通信端末100は、GPSセンサを用いて当該移動通信端末100の位置を取得でき、地磁気センサ(電子コンパス)を用いて当該移動通信端末100の向いている方位を取得できる。ここで、移動通信端末100の向いている方位とは、ユーザが移動通信端末100を操作するよう手持ちした場合に、移動通信端末100の上端が指す方位である。
【0012】
テレビ放送等を受信可能な移動通信端末100は、放送波を受信するためのロッドアンテナを備えることが一般的である。当該アンテナの利得パターンは八の字形となるため、放送波を受信しやすい向きと、そうでない向きとが発生する。またロッドアンテナ以外でも人体等の影響により放送波を受信しやすい向きと、そうでない向きとが発生することが知られている。よって、移動通信端末100のユーザは、放送を受信し再生できるような利得を得るため、移動通信端末100の向きを調整する必要がある。
【0013】
また、放送波を適切に受信するためには、向きだけでなく、ユーザによる移動通信端末100の持ち方や、アンテナの位置等も適切である必要がある。
【0014】
放送局101は、テレビ放送等に係る放送波を送出する。図1に示すように、放送局101は、エリアごとに存在する。放送局101の位置と、放送局101が管轄するエリアは既知である。
【0015】
本発明の一実施形態における移動通信端末100は、当該移動通信端末100が放送波を受信しやすい向きを、放送局101の方位に向けるよう指示することで、ユーザによる当該移動通信端末100の向きの調整を支援することができる。ユーザは、移動通信端末100上に表示される、当該移動通信端末100の現在位置における放送波を受信しやすい向きと、放送局101の位置とを確認しながら、直感的に向きを調整することができる。さらに、ユーザによる当該移動通信端末100の適切な持ち方や、アンテナの位置の適切な設定を支援することができる。
【0016】
(2.ハードウェア構成)
図2を用いて、本発明の一実施形態における移動通信端末100のハードウェア構成の例について説明する。
【0017】
本発明の一実施形態における移動通信端末100は、CPU200、ROM202、RAM204、フラッシュメモリ206、ネットワークコントーラ208、通信装置210、グラフィックスコントローラ212、表示装置214、入力コントローラ216、入力装置218、音声出力コントローラ220、音声出力装置222、GPSコントローラ224、GPSセンサ226、地磁気センサコントローラ228、地磁気センサ230、ジャイロセンサコントローラ232、ジャイロセンサ234、チューナ236、放送波受信アンテナ228及びバス240を有する。
【0018】
CPU200は、本発明の一実施形態における移動通信端末100で実行される移動通信プログラムの動作制御を行う。ROM202は、CPU200が実行する移動通信プログラムの動作に必要なOSやデータ等を記憶する。RAM204は、CPU200のワークエリア等を構成する。フラッシュメモリ206は、放送局101の位置、当該移動通信端末100の放送波の受信特性情報、ユーザデータ等を記憶する。放送波の受信特性情報には、放送波を受信しやすい方向や、当該移動通信端末100の持ち方の情報、アンテナの適切な位置についての情報が含まれる。ネットワークコントローラ208は、移動体通信用のアンテナ等の通信装置210を介して通信を行うための通信制御を行う。グラフィックスコントローラ212は、液晶ディスプレイ等の表示装置214を介して、当該移動通信端末100のユーザに画面を表示するための制御を行う。入力コントローラ216は、ボタンやタッチスクリーン等の入力装置218を介してユーザから入力される信号を制御する。音声出力コントローラ220は、音声を出力するためにスピーカ等の音声出力装置222を制御する。GPSコントローラ224は、当該移動通信端末100の位置情報を取得するためにGPSセンサ226を制御する。地磁気センサコントローラ228は、当該移動通信端末100の方位を取得するために地磁気センサ230を制御する。ジャイロセンサコントローラ232は、角速度を測定して当該移動通信端末100の角度の変化を取得するためにジャイロセンサ234を制御する。チューナ236は、放送波受信アンテナ238を通じて放送波を受信する。バス240は、移動通信端末100を構成する上記装置を相互に接続し、データのやり取りを行う。
【0019】
上記構成により、ユーザは、画面上に表示された、現在位置における放送波を受信しやすい向きと、放送局101の位置とを確認しながら当該移動通信端末100の向きを直感的に調整できる。
【0020】
なお、ジャイロセンサコントローラ232およびジャイロセンサ234は、端末の手持ち状態のガイドを3次元的に説明する場合において有効であるが、2次元的に説明する場合においてはジャイロセンサコントローラ232とジャイロセンサ234は備えなくてもよい。この場合、移動通信端末100の方位(角度)の変化は、方位取得部318を用いて取得される。
【0021】
(3.機能)
図3を用いて、移動通信端末100の機能ブロックの例について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態における移動通信端末100は、通信部300、現在位置取得部302、放送波受信部304、受信レベル取得部306、受信レベル判断部308、受信レベル表示更新部310、記憶部312、放送局位置保持部314、端末特性情報保持部316、方位取得部318、角度取得部320、最適方位算出部322、方位表示更新部324、表示部326、持ち方表示部328、方位表示部330、受信レベル表示部332、指示部334、音声出力部336及び放送局選択部338を有する。
【0023】
通信部300は、移動通信システム又は無線LAN等の移動体通信のために用いられる通信波を送受信する。また、通信部300は、GPS衛星からの信号を受信する。
【0024】
現在位置取得部302は、通信部300で受信された通信波又はGPS衛星からの信号を元に、当該移動通信端末の現在位置を取得する。通信波を用いた現在位置の取得のために、例えば、無線LANを利用した位置検出技術や、移動通信システムにおける通信波を送出する基地局IDを用いる位置検出技術等、既知の技術を用いることができる。また、GPS衛星からの信号を元に現在位置を取得する、既知の技術も用いることができる。取得された位置情報は、例えば二次元又は三次元の座標によって表され、放送局101との位置関係を特定することができる。
【0025】
放送波受信部304は、テレビ放送等に係る放送波を受信する。
【0026】
受信レベル取得部306は、放送波受信部304で受信された放送波の受信レベルを取得する。受信レベルは、放送波の受信品質を表す指標であり、例えば、放送波を通じて受信された情報のエラーレートに基づいて、例えば0−100段階に区分される。この場合、0が最もエラーレートが高く、100が最もエラーレートが低い。受信レベルは必ずしもこの例に制限されず、例えば信号のエラーレートや、SN比(Signal to Noise Ratio)、CN比(Carrier to Noise Ratio)のような、放送波の受信品質を表すあらゆる指標を用いることができる。
【0027】
受信レベル判断部308は、受信レベル取得部306で取得された受信レベルが、所定の閾値以上かどうかを判断する。所定の閾値は、当該移動通信端末100において、放送波に含まれるコンテンツを復元して再生するために必要な受信レベルを表す。
【0028】
受信レベル表示更新部310は、当該移動通信端末100の位置や向きに応じて随時変化する受信レベルを、受信レベル表示部332に更新して表示させる。
【0029】
記憶部312は、放送局位置保持部314及び端末特性情報保持部316とを有し、当該移動通信端末100内で使用されるデータを記憶するために用いられる。
【0030】
放送局位置保持部314は、放送局101の所在を表す位置情報を保持する。位置情報は、例えば、地図上で放送局101の位置を特定できるような二次元又は三次元の座標である。また、位置情報とともに、その放送局が管轄するエリア情報を合わせて保持する。エリア情報は、移動通信端末100が現在位置においてどの放送局からの放送波を受信すべきかを決定するために用いられる。放送局位置保持部314に保持される情報は、予め格納されていてもよいし、必要に応じて、通信部300を通じて受信されてもよい。
【0031】
端末特性情報保持部316は、当該移動通信端末100の放送波を最も受信しやすい向き、又は受信レベルが最も高くなる向きの情報を保持する。この向きの情報は、例えば、移動通信端末100の正面方向に対する相対的な角度の差で表現される。向きの情報の詳細については後述する。また、端末特性情報保持部316は、放送波の受信レベルを最も高くするための、ユーザによる当該移動通信端末100の持ち方の情報も保持する。当該情報は、例えば、図6Aに示される移動通信端末100の画面の「持ち方ガイド」の表示領域に示されるように、移動通信端末100に対するユーザの握り方を、アンテナの最適位置とともに表す情報である。端末特性情報保持部316に保持される情報は、予め格納されていてもよいし、必要に応じて、通信部300を通じて受信されてもよい。
【0032】
方位取得部318は、地磁気センサ230から取得されるx、y軸又はx、y、z軸方向の地磁気ベクトル(磁気方位)に基づいて、当該移動通信端末100が向いている絶対方位を取得する。地磁気ベクトルから方位を計算するための方法は、地磁気センサ230によって異なり、既知の技術を用いて実行される。
【0033】
角度取得部320は、ジャイロセンサ234から取得される角速度に基づいて、当該移動通信端末100の角度の変化を取得する。
【0034】
最適方位算出部322は、端末特性情報保持部316に保持される、放送波の受信レベルが最も高くなる向きと、方位取得部318により取得された方位とから、当該移動通信端末100において受信レベルが最も高くなる最適方位を算出する。なお、最適方位の算出方法は後述する。最適方位は、現在の移動通信端末100の向きに応じて随時変化する。このとき、角度取得部320で取得された、角度の変化の情報を合わせて用いることで、より正確な方位を取得することができる。
【0035】
方位表示更新部324は、最適方位算出部322により随時取得される最適方位を、方位表示部330に更新して表示させる。
【0036】
表示部326は、持ち方表示部328、方位表示部330及び受信レベル表示部332を有し、ユーザに対し、放送波の受信レベルが改善するように、移動通信端末100の向きの調整を促す情報を表示装置214に表示する。表示例は、図6A、Bに示される。表示例の詳細については後述する。
【0037】
持ち方表示部328は、端末特性情報保持部316に保持される、ユーザによる当該移動通信端末100の持ち方の情報を表示装置214に表示する。表示例は、図6A、Bに示される。図6A、Bでは、移動通信端末100を、当該移動通信端末100を手持ちした状態のユーザとして、人を頭上から見たマークで表現している。表示例の詳細については後述する。
【0038】
方位表示部330は、方位表示更新部324を通じて得た最適方位を、移動通信端末100の現在位置と、放送局101の位置とともに、画面上に表示する。例えば、最適方位は矢印で、当該移動通信端末100はユーザを表すマークで、放送局101は電波塔を模したマークで表示される。それぞれの矢印又はマークは、当該移動通信端末100又は放送局101の位置を示す地図上とともに表示されてもよい。表示例は、図6A、Bに示される。表示例の詳細については後述する。
【0039】
受信レベル表示部332は、受信レベル表示更新部310を通じて得た受信レベルを画面上に表示する。受信レベルは、例えば扇形のインジケータを用いて、左端を低い受信レベル、右端を高い受信レベルとして表示することができる。しかしながら、受信レベルの表示方法は特に限定しない。また、受信レベルは、所定の段階を、より少ない段階に抽象化して表示してもよい。表示例は、図6A、Bに示される。表示例の詳細については後述する。
【0040】
指示部334は、受信レベル判断部308により、受信レベルが閾値より低いと判断された場合に、表示部326又は音声出力部336を通して、ユーザに端末の向きを変えるよう指示する。このとき、移動通信端末100の現在位置における最適方位を、放送局101の方位と一致させるよう指示する。指示は、表示装置214上に表示されるテキストメッセージや、音声出力装置222を通じて再生される音声によるメッセージによってなされる。
【0041】
音声出力部336は、指示部334からの指示を受けて、ユーザに対して音声メッセージを出力する。出力される音声メッセージは、予め録音された定型文であってもよいし、適宜合成されて出力されてもよい。
【0042】
放送局選択部338は、現在位置取得部302によって取得された現在位置を含むエリアを管轄する放送局101を選択する。ここで選択された放送局101の送出する放送波に対して、当該移動通信端末100での受信レベルが最適となるように、表示及びユーザへの指示がなされる。
【0043】
このように、本発明の一実施形態に係る移動通信端末100は、当該移動通信端末100において放送波の受信レベルが最適となる最適方位を算出し、現在位置におけるその方位が、放送局101の位置を向くようユーザに指示する。その結果、ユーザは、使用する移動通信端末100の放送波の受信特性や到来方向を知ることなく、当該移動通信端末100を、放送波を受信するために最適な方位へと向けることができる。
【0044】
なお、角度取得部320は任意の構成要素である。角度取得部320を有しない場合であっても、方位取得部318により取得された方位を、最適方位の算出に利用することができる。
【0045】
(4.最適方位の算出方法)
図4A−4Cを用いて、最適方位算出部322における最適方位の算出方法を具体例とともに説明する。図4A−4Cにおいて、移動通信端末100を、当該移動通信端末100を手持ちした状態のユーザとして、マークで表現する。このマークは、人を頭上から見た形状を模したものである。そして、人が向く正面方向を基準方向とする。
【0046】
まず、図4Aは、当該移動通信端末100の放送波の受信レベルが最も高くなる、すなわちアンテナの利得が最大となる向きの角度Xを予め取得する方法を示す。Xは、基準方向から時計回りを正の方向として取得される。図4Aの例では、Xは−20度である。この角度Xは、端末特性情報保持部316において、該移動通信端末100の放送波の受信レベルが最も高くなる向きの情報として保持される。
【0047】
図4Bは、当該移動通信端末100において最適方位を算出する方法を示す。方位取得部318により実際の方位が取得されると、基準方向と、北を指す方向との差の角度Yを、時計回りを正の方向として取得する。図4Bの例では、Yは−30度である。最適方位Zは、X+Yによって求めることができる。
【0048】
図4Cは、ユーザが、取得されて表示された最適方位を、現在位置からみた放送局101の方位に一致させるため、移動通信端末100の向きを三段階にわかって変化させた例を模式的に表している。移動通信端末100の向いている方位が変化すると、上述のYの値が変化するため、最適方位が再計算される。そして、ユーザは、再計算され、再表示された最適方位に基づいて、さらに移動通信端末100の向きを調整する。
【0049】
このように、予め与えられた角度Xと、取得されるYの値を用いて最適方位を算出する。そして、変化するYの値に合わせて、最適方位は随時更新される。
【0050】
(5.処理フロー)
図5、図6A、6Bを用いて、移動通信端末100の処理フローの一例について説明する。図5は、移動通信端末100の処理フローを示し、図6A、6Bは、移動通信端末100の表示画面を表している。図6A、6Bにおける表示画面は3つの表示領域に分かれており、上から順に「受信レベル」表示領域、「持ち方ガイド」表示領域及び「最適方位」表示領域を表す。
【0051】
ステップS500から、移動通信端末100の処理が開始される。
【0052】
ステップS502において、現在位置取得部302は移動通信端末100の現在位置を取得する。
【0053】
ステップS504において、放送局選択部338は、現在位置に対応する放送局101を選択する。以後、選択された放送局101の送出する放送波に対して、最適な受信レベルが得られるよう、当該移動通信端末の向きを調整する。
【0054】
ステップS506において、方位取得部318は移動通信端末100の方位を取得する。
【0055】
ステップS508において、最適方位算出部322は、最適方位を算出する。算出方法は前述した通りである。
【0056】
ステップS510において、受信レベル取得部306は、放送波の受信レベルを取得する。
【0057】
ステップS512において、持ち方表示部328は、端末特性情報保持部316に保持される、ユーザによる当該移動通信端末100の持ち方の情報を表示する。表示例を図6A、6Bの「持ち方ガイド」表示領域に示す。このように、当該表示は、ユーザが移動通信端末100を手にする際の指の位置や、ロッドアンテナの方向についての情報を含む。
【0058】
ステップS514において、方位表示部330は、最適方位算出部322によって算出された最適方位を、当該移動通信端末100の現在位置及び放送局101の位置とともに画面上に表示する。表示例を図6A、6Bの「最適方位」表示領域に示す。この例では、ユーザの正面方向と、最適方位とが示され、当該移動通信端末の位置100と放送局101は、地図とともに表示される。
【0059】
ステップS516において、受信レベル表示部332は、取得された受信レベルを画面上に表示する。表示例を図6A、6Bの「受信レベル」表示領域に示す。この例では、例えば扇形のインジケータを用いて、左端を低い受信レベル、右端を高い受信レベルとして表示している。
【0060】
ステップS518において、受信レベル判断部308により、受信レベルが閾値以上かどうかが判断される。受信レベルが閾値以上であればステップS522へ進み、受信レベルが閾値未満であればステップS520へと進む。
【0061】
ステップS520において、指示部334は、ユーザに対して、最適方位が放送局101を向くよう、当該移動通信端末100の向きを変えるように指示する。この場合に、スピーカを通じて、向きを変えるよう指示する音声メッセージを出力してもよい。あるいは、画面上にテキストメッセージを表示してもよい。メッセージは、どの方向にどの程度向きを変えるべきかといった具体的なものであってもよいし、単に「最適方位」表示領域の矢印が放送局101を指すよう向きを変えることを促すものであってもよい。
【0062】
ステップS520の後、再度ステップS506において端末の現在位置と方位が取得される。この後、同様に最適方位と受信レベルが再取得され、表示内容が更新される。図6Bは、図6Aの表示内容に従って、ユーザがアンテナを正しい位置にし、移動通信端末100の向きを変えた結果、受信レベルが改善された例を表している。
【0063】
ステップS522において、当該処理は終了する。
【0064】
以上により、ユーザは、端末の向きを変えるごとに更新される、画面上の最適方位と放送局101とを確認しながら、直感的に、当該移動通信端末を最適な受信レベルが得られる方位に向けることができる。このとき、受信レベルを合わせて表示することで、向きの調整が正しくなされているか確認することができる。さらに、受信レベルを最適にするための持ち方とアンテナの位置を合わせて表示することで、普段テレビ放送等の視聴に慣れてないユーザでも最適な受信レベルを得ることができる。
【0065】
なお、ステップS508、S510の順序は任意である。
【0066】
また、ステップS512、S514、S516の順序は任意である。
【0067】
また、ステップS520の指示は、ユーザの習熟によって、省略することができる。すなわち、ユーザは、最適方位を放送局101に合わせるような指示を受けることなく、「最適方位」表示領域を確認するだけで、移動通信端末100の向きを最適な受信レベルが得られる方向に合わせることができる。
【0068】
また、ステップS520の後、ステップS502に進み、再び移動通信端末100の現在位置を取得してもよい。これにより、移動通信端末100が移動した場合に、移動後のエリアに対応する放送局から送出される放送波に対して、最適な受信レベルを得るよう移動通信端末100の向きを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2009−303102号公報
【符号の説明】
【0070】
100 移動通信端末
300 通信部
302 現在位置取得部
304 放送波受信部
306 受信レベル取得部
308 受信レベル判断部
310 受信レベル表示更新部
312 記憶部
314 放送局位置保持部
316 端末特性情報保持部
318 方位取得部
320 角度取得部
322 最適方位算出部
324 方位表示更新部
326 表示部
328 持ち方表示部
330 方位表示部
332 受信レベル表示部
334 指示部
336 音声出力部
338 放送局選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送に係る放送波を受信するためのアンテナを有し、現在位置と方位を検出できる移動通信端末であって、
前記放送波を送出する放送局の位置情報を保持する放送局位置保持部と、
検出された前記方位を用いて当該移動通信端末が放送波を最適に受信できる最適方位を算出する最適方位算出部と、
前記放送局の位置と検出された前記現在位置における前記最適方位とを表示する方位表示部と、
当該移動通信端末の方位の変化に応じて前記方位表示部による表示を随時更新する方位表示更新部と、
を有する、移動通信端末。
【請求項2】
前記放送波の受信レベルを表示する受信レベル取得部と、
表示された前記最適方位を、前記現在位置から前記放送局の位置の方向に一致させるようユーザに指示する指示部と、
を有し、
ユーザへの前記指示は、前記受信レベルが所定の閾値より小さい場合になされる、
請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記方位表示部による表示と並列に、前記受信レベルを表示する受信レベル表示部と、
前記受信レベルの変化に応じて前記受信レベル表示部による表示を随時更新する受信レベル表示更新部と、
を有する、請求項2に記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記方位表示部による表示と並列に、前記放送波の受信状態が最良となる、当該移動通信端末の持ち方及び前記アンテナの向きを表示する持ち方表示部と、
を有する、請求項1乃至3何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記放送局の位置と検出された前記現在位置における前記最適方位とが地図上に表示される、
請求項1乃至4何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項6】
テレビ放送に係る放送波を受信するためのアンテナを有し、現在位置と方位を検出できる移動通信端末において実行される移動通信方法であって、
検出された前記方位を用いて当該移動通信端末が放送波を最適に受信できる最適方位を算出する最適方位算出段階と、
予め保持されている、前記放送波を送出する放送局の位置と、検出された前記現在位置における前記最適方位とを表示する方位表示段階と、
当該移動通信端末の方位の変化に応じて前記表示を随時更新する方位表示更新段階と、
を有する、移動通信方法。
【請求項7】
テレビ放送に係る放送波を受信するためのアンテナを有し、現在位置と方位を検出できる移動通信端末において実行される移動通信プログラムであって、
検出された前記方位を用いて当該移動通信端末が放送波を最適に受信できる最適方位を算出する最適方位算出段階と、
予め保持されている、前記放送波を送出する放送局の位置と、検出された前記現在位置における前記最適方位とを表示する方位表示段階と、
当該移動通信端末の方位の変化に応じて前記表示を随時更新する方位表示更新段階と、
をコンピュータに実行させる、移動通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2013−110703(P2013−110703A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256421(P2011−256421)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】