移植可能な人工コード
第1の組織部位を第2の組織部位へ接続するための医療用コード及び外科的手術。該コードは、一定幅の主要長と、該主要長の幅より小さい幅の端部とを備える。これにより、孔に挿通することが要求される医療コードとして外科手術時に扱い易い医療コードが提供される。該コードは特に靭帯や腱を含む軟組織を骨固定部位に取り付けるのに適しており、修復部位の組織内部成長を促進するための人工骨格を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に固定するように構成された外科用コード及び外科的修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟組織(腱や靭帯)の破断は、プロスポーツ選手や高齢者の間ではよく起こることである。損傷を受けた解剖学的領域に特有の軟組織裂傷を修復するために、多くの異なる治療が開発されている。
【0003】
特に、引きちぎれた組織をその本来の固定位置(典型的には骨部分を含む。)に再接続するために、多くの異なる接続デバイスが提案されている。縫合糸や外科用テープのようなこれらの接続デバイスについて考慮すべき重要なことは、修復手術の間の外科医による操作容易性と強靭性を備えることである。外科用テープは、特に、腸、シルク、コットン、ポリエステル、及び、特定の超高分子ポリエチレン(UHMWPE)等を含む天然物又は人工物に由来する生体吸収性材料又は非生体吸収性材料からなる。前記コードの更に重要な性質は、負荷がかかった時の“組織貫通(tissue pull-through)”に対する抵抗力である。前記組織貫通は、術後の関節を動かす際、引張荷重がかかっている組織を、前記コード又は前記テープが貫通又は通り抜ける過程を指す。小さな直径又は幅、及び鋭いエッジを持ったコードは、前記組織貫通がより起こり易いため、不利益を有する。しかしながら、外科医は典型的には狭い孔を通してコードの端を縫合し、結び目の留めを形成することを要求されるため、幅の広いコードは外科医による操作をしばしば困難にする。
【0004】
米国特許公開2005/0192631号は、編まれた高強度外科用縫合材を備える縫合用テープ構造物を開示している。管状に編まれた縫合糸は、該テープの長手方向に沿って延び、その構造物の骨格を形成している。該テープは、付加的に扁平に編まれた中間部を備え、該中間部に前記管状に編まれた縫合糸が挿通されている。前記扁平な編組の中間部の両端における移行部は、テーパー状になっていて外科手術中に縫合テープを孔に通すことを可能にするとともに、中心の前記管状の縫合糸を前記扁平テープに固定する手段を提供する。この構造物は、ポリエステルのような長鎖型合成高分子を1種以上混合したUHMWPE繊維を有し、要求される強度を備えている。
【0005】
米国特許公開第2004/0078089号は、外科的移植として用いるための織物の補綴具を開示しており、その補綴具の本体は、引張荷重を調節するように設計されるとともに負荷がかかった際の伸びに耐える、少なくとも一つの固定部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0192631号
【特許文献2】米国特許公開第2004/0078089号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、外科用コード又は外科用テープに必要とされることは、外科手術中に外科医が扱いやすい一方で、必要とされる強度及び前記組織貫通への抵抗力を備えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの生体組織部位間の接続手段としての用途に適した強度を示す外科用人工コードを提供する。特に、本発明の外科用コードは、腱や靭帯等の形態をした軟組織を骨部位に再接続するのに理想的に適している。前記テープは幅広の扁平な本体を備え、該本体は組織貫通抵抗を示すとともに外科手術中に前記コードを操作できるようにする、隣接した薄い両端部を備えている。
【0009】
本発明の第1の側面によれば、外科用コードであって、前記コードの一定幅をもって織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと、前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各々の端部領域に延在する、前記端部領域と、を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有していることを特徴とする前記外科用コードが提供される。
【0010】
好ましくは、前記ヤーンストランドが撚られたポリエステルファイバーを含み、例えば、前記外科用コードがポリエステルヤーンストランドのみからなる。該コードの構造により、引張強度を付与するために外科用テープ内に一般に組み込まれるUHMWPEに対する要求が回避される。従って、本発明コードは、製造容易であり、単一材料を有する。
【0011】
前記コードの主要長は織られているが、前記端部領域は、織り合わされ、織られ、或いは、編まれ得る。前記主要長のヤーンストランドは、織り込まれ、縦糸(該コードの長手軸線に配列)と横糸(該コードの長手軸線方向に交差配列)とを含み、縦糸及び横糸の双方が該コードの主要長に沿って延びる。一実施形態によれば、前記コードは、織りメッシュ状構造を形成するために、3本の横糸の直交配列グループと織り込まれた3本の横糸の複数グループを備えている。この目の粗い編み目構造は、組織の内部成長と手術後の修復を促進する骨格を提供する。
【0012】
前記縦糸、及び任意的に横糸は、前記主要長から各端部領域に延びる。該端部領域は編まれることができ、特に、前記主要長から延びる該端部領域の縦糸が編まれることができる。
【0013】
前記端部領域の縦糸の数は前記主要長の縦糸の数に等しくされ得るし、或いは、縦糸の数は主要長から離れる方向に前記端部領域に沿って少なくすることもできる。好ましくは、より密なコードを前記主要長において提供するため、各端部領域におけるヤーンストランドの間隔は、前記主要長のヤーンストランド間の間隔より小さい。
【0014】
前記横糸は、前記主要長から各端部領域に延び得る。各端部領域における横糸間の間隔は、前記主要長の横糸の間隔と等しいかそれより大きくすることができる。選択的に、前記横糸は、前記主要長と端部領域との移行部で終端することができる。選択的に、各端部領域内を延びる前記横糸は編まれ得る。
【0015】
選択的に、前記縦糸は、撚ることによって、前記端部領域内で結合される。また、前記織られたテープ部分から前記各端部領域に延びる縦糸は、編まれることによって結合され得る。また、前記縦糸は、付加的な刺繍と共に結合され得る。また、前記縦糸は、包装することによって結合されることができ、その包装はコアとして作用する。前記包装は、前記織られたテープ本体から延びる縦糸によって提供されか、或いは、追加のヤーンが使用され得る。上記各実施形態における前記端部領域内の形態は、横糸のみから、或いは、縦糸のみから、或いは、横糸と縦糸の組合せから、又は、付加的材料を用いることによって、形成され得る。各場合に、横糸又は縦糸の全て又は一部が使用され得る。
【0016】
また、前記コードの本体は、撚られ、撚り合わされ、或いは編まれたヤーンを縦糸として組み込まれ、該縦糸は、織られた本体部から前記端部領域に延びる。前記端部領域のヤーンは、さらに撚り掛けるか又は撚り合わせることによって、或いは、付加的に、編み、ニット編み、連結、結び、及び/又は包装によって結合され得る。平行に走る他の縦糸は、前記撚り、撚り合わせ、及び/又は編組等の中に組み込まれるか、或いは、前記本体部の端で除去される。
【0017】
選択的に、扁平状で実質的に板状の前記コードの上面又は下面の一方面又は両面に、付加的に、編まれ、撚られ、又は織られたヤーンが、刺繍されるか或いは縫いつけられ得る。これらの付加的なヤーンは、前記本体を越えて前記端部領域に延び、前記本体の縦糸と実質的に平行に走り得る。選択的に、前記本体から前記端部に延びる縦糸は、これら端部部分において材料削減のために除去され得る。
【0018】
また、編まれ、撚られ、撚り合わされ、或いは織られたヤーンは、前記本体内を延びる、織られた縦糸及び横糸の間を挿通され得る。これらの付加的なヤーンは、前記端部領域に延びることができる。前記本体内を延びている縦糸の幾つか又は全てが、各端部領域に延びないこともできる。
【0019】
前記コードの主要長は、扁平状で、実質的に一定幅の板状構造を有している。この形態は、負荷がかかっている軟組織を通り抜ける抵抗となる。前記端部領域も扁平状とすることもでき、各端部領域の各長さにわたって実質的に同じ幅と厚みを備えることができる。本明細書において“実質的に板状の形態”への言及は、厚みの数倍の幅をもつコードを含む。例えば、該コードは、前記主要長において、織り込まれたストランドの単一の層又は又は複数の層から形成することができ、該層は、テープ状の形態を提供するために、互いにオーバーラップされ又は平坦にされる。特に、前記主要長は、管状の織布から形成され、該織布は、別のコードとの間に内部空洞が無いように密に、該管の壁で平たくされている。コードが多層化(最初は管状)される場合、選択的に加熱処理して、平らに押しつぶすか又はアイロンがけするような初期処理を介して、その平坦形態を維持するように構成される。選択的に、前記多層化層は、刺繍、縫い付け等を介して一緒に取付けられる。
【0020】
本発明の第2の側面によれば、外科的修復方法であって、第1の生体組織部位にコードを固定するステップと:前記コードを第2の生体組織部位に固定するステップと:を含み、前記コードが、前記第1の組織部位と第2の組織部位とに延び、前記コードは、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記外科的修復方法が提供される。
【0021】
本発明は、外科的修復手術の一部として、軟組織を骨部位に再構築又は取付けるのに有利である。
【0022】
本方法は、好ましくは、前記第1の組織部位に少なくとも一つの孔を形成し、前記孔に前記コードを通して前記コードにループを形成するステップを更に含む。本方法は更に、前記骨部位に少なくとも一つの孔又は通孔を掘削し、該孔のトンネルに前記コードを通すステップを含む。前記コードの端部は、該端部が結ばれることによって前記骨部位に固定され、関節が操作されてコードが引張荷重下に置かれたときの引っ込みを阻止する。
【0023】
本発明の第3の側面によれば、第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に接続する方法であって:前記第1の生体組織に形成された少なくとも一つの孔にコードを通すことによって第1の生体組織に前記コードを固定するステップと;前記コードを第2の生体組織に固定するステップと;を含み、前記コードは、前記第1の生体組織部位と前記第2の生体組織部位との間に延び、前記コードが、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記方法が提供される。
【0024】
本発明は、特に、本発明外科用テープを介して上腕頭に損傷した回旋腱板を再接続することによって、損傷した回旋腱板を再構築するのに適している。
【0025】
好ましくは、本方法は、2本のコードが隣り合って配置されるように前記組織からコードが延びるように、前記腱板組織に少なくとも2つの孔を形成し、該孔を通してコードをループ状にするステップを含む。これは、n状ループを形成するために前記腱板組織にコードを通すステップを含む。これは、補綴具と前記生物学的組織との間の強い結合を形成する有利性を有し、取付けに関する従来技術による追加的な固定縫合糸の使用を取り除く。本方法は更に、上腕頭の領域を通る第1の掘削通孔によって前記上腕頭にコードを固定し、前記骨のトンネルに前記コードの端部領域を通し、該コード端部を結んで固定するステップを含む。
【0026】
前記主要長に沿うコード幅は、隣り合って配置された時に、人工回旋腱板の厚みが、取付けられるべき腱板組織の幅とほぼ等しくなるように構成される。
【0027】
前記コードの両端部は、テーパー状とされるとともにシールされ、コードを扱い易く、軟組織及び骨のトンネルを引き通しやすくする。前記コードの端部はひも結びを容易にし、該端部で材料の量の削減により、結び目をより小さく形成することができる。前記コードの厚さは、特に、隣り合わせで配置して2つの孔を介して組織を挿通してループ状とされている時に、断裂した回旋腱板の延長として作用するとともに、優れた固有強度を提供し、早期のモビリゼーションを可能にする。隣り合った配置における組み合わされたデュアルコード幅はまた、コードと骨との接触面積を増加させることにより、関節と骨との移動を効果的に制限することにより、関節脱臼を阻止する。
【0028】
本発明の他の形態及び利点は、添付した図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】図1aは、一実施形態を示す外科用コードの概略図である。
【図1b】図1bは、医療用コードの他の実施形態の概略である。
【図2】図2は、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図3a】図3aは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図3b】図3bは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4a】図4aは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4b】図4bは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4c】図4cは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4d】図4dは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4e】図4eは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4f】図4fは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4g】図4gは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4h】図4hは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4i】図4iは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4j】図4jは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図5a】図5aは、損傷した回旋腱板組織を持つ人の肩関節の側断面図である。
【図5b】図5bは、図5aの肩関節の斜視図である。
【図6】図6は、外科手術の第2段階にある図5bの肩関節を示す図である。
【図7】図7は、外科手術の第3段階にある図6の肩関節を示す図である。
【図8】図8は、外科手術の第4段階にある図7の肩関節を示す図である。
【図9】図9は、外科手術の第5段階にある図8の肩関節を示す図である。
【図10】図10は、外科手術の第6段階にある図9の肩関節を示す図である。
【図11】図11は、外科手術の第7段階にある図5aによる肩関節を示す断面図である。
【図12a】図12aは、外科手術の終了時における図11の肩関節を示す図である。
【図12b】図12bは、外科種々の終了時における図10の肩関節を示す斜視図である。
【図13】図13は、腱板組織内の医療用コードの別々の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1aを参照すれば、前記外科用コードは、複数のオーバーラップさせたヤーンストランドを有する織り込みメッシュ状構造を備えている。各々のヤーンストランドは、撚りをかけられるか又は繊維工業で一般的な従来法によって束ねられた複数のポリエステル繊維を有している。前記ヤーンストランドは、前記コードの長手軸線と実質的に平行に並んだ複数の縦糸103,104として配設されている。また、前記ヤーンストランドは、各縦糸と90°の角度で重なって横切る横糸105としても配設されている。前記縦糸及び横糸は、単一のヤーン又は別々のヤーンピースによって形成することができ、従来の繊維製織工程によってヤーンストランドを作るために織り込まれる。
【0031】
前記コードは、コードの最外側の縁部を形成する縦糸103と、最外側の縦糸103と平行に並んでコードの内側本体を形成する最内部の縦糸104と、を備えている。
【0032】
前記コードは、主要長100と、テーパー領域101によって前記主要長と区別される2つの端部領域102を備えている。前記主要長100は、端部領域102の幅(b)より大きい幅(a)を有している。前記コードの幅は、テーパー領域101において幅(a)から幅(b)へ減少する。
【0033】
縦糸103,104は、主要長100の領域においてコードの主要長の直交方向の距離(f)によって離隔されている。この主要長100の領域において、縦糸103は、コードの主軸に沿った距離(c)によって離隔されている。端部領域102において縦糸103,104間の距離(e)は、距離(f)より短い。図1aの特有の実施例によれば、端部領域102において隣接して走る横糸103間の距離(d)は、前記主要長における距離(c)より大きい。
【0034】
図1a〜図4jは、医療用コードの略図である。好ましい実施形態によれば、図1〜図4jに示された各々の横糸及び縦糸は、隣り合って配置された3本の個別のヤーンストランドを含む。縦糸103,104及び横糸105の間の接合部の何れか一つにおいてオーバーラップするように、3本の縦糸のセットの最も外側の両方のヤーンストランドが、各々対応する最も外側の、横糸のヤーンストランドの上又は下を通る一方、各々の縦糸及び横糸の最も内側のヤーンストランドの3つ組が反対方向にオーバーラップする。
【0035】
図1bは、医療用コードの他の特有の形態を示しており、そこでは、主要長100の領域において横糸105の各走行間の距離(c)が、端部領域102における横糸の走行間の距離(d)に等しい。
【0036】
第3の実施形態によれば、横糸105は、主要長100の領域及びテーパー領域101を超えて延び、テーパー領域101と端部領域102との間の境界200を通る。横糸105は、テーパー領域101にごく接近した端部領域102で終端し、各々の端部領域102の長さの殆どで横糸102が無い。図3aは、図2の医療用コードを図示しており、そこでは、端部領域102の縦糸103,104が編まれた領域302を形成するためにオーバーラップされている(303)。編むこと(303)によって、ヤーンストランド103,104が操作時に離れたり分裂したりすることを防ぐ。図3aの実施形態によれば、テーパー領域101の直近の領域301は、編んだ部分(303)が無い。他の実施形態において、編んだ部分301の無いエリアが無くなるように、編まれた領域302が各端部領域102の全長を延び得る。更に他の実施形態では、横糸105は編まれた領域302に組み込まれる。
【0037】
図3bは、図3aの編まれた端部領域の変更態様を示している。この実施態様によれば、最外側の縦糸303だけが、編まれた端部領域302において共に編まれている(304)。最内側の縦糸104は、編まれておらず、コードの長手方向と略平行に延びている。この構成は、端部領域102におけるヤーンストランドの構造的信頼性を維持しつつ図3aの実施形態よりも薄い端部領域のために提供される。
【0038】
図4aは本発明の第6実施形態を示し、そこでは、端部領域102での各縦糸103,104,401の其々の長さが異なっている。この構成は、主要長100からテーパー領域101を通って端部領域102に、コードの十分に先細りとされた幅を提供する。従って、コード材料の量は、端部領域102において、主要長100から遠ざかる方向に減少する。横糸105は、端部領域102において各縦糸のストランド間で織り込まれることにより、より短い長さの縦糸103がコードの本体から分かれることを避ける。端部領域102の最外側の縦糸103は、中間の縦糸104より短く、縦糸104は最内側の縦糸400より短い長さを持つ。
【0039】
図4b〜4jは、本発明の種々の異なる追加の実施形態を示しており、そこでは、コード本体は、織りメッシュ状構造を有するとともに、コード主要長の幅より小さい幅を持つ端部が両端に隣接している。
【0040】
本発明は、解剖領域、特に、軟組織と骨物質との協働を伴う関節の外科的修復方法を提供する。外科的修復手術の例として、図5a〜12bに基づいて人の肩関節を参照して説明する。この手術は、上腕骨頭部位での回旋腱板組織の損傷修復を含む。図1a〜4jの外科用コードは、骨結合部位に戻すことができないような、重度の慢性的で深部の回旋腱板組織の断裂や、その回旋腱板組織が老人患者で変性してしまっているような場合に、特に適している。
【0041】
図5a及び5bは、それぞれ、人の肩部位500の断面図及び斜視図を示しており、そこでは、回旋腱板組織503は断裂していて上腕骨501詳しくは上腕骨頭502から離れてしまっている。図5aの外科手術の第1段階の前に、皮膚及び皮下組織の切開し、上腕骨を肩峰から分離して回旋腱板組織503を見えるようにするために止血し、適切な開創器を適用することを含む準備段階がある。
【0042】
刺創は、改良Neviaserポータル508を通じて形成される。腱板組織503は、鉗子504によって把持され、テンションを維持するために引っ張られる(507)。止血鉗子505は、皮膚、皮下組織、及び、裂傷の内側にある牽引された回旋腱板組織503の後方部分を挿し通される。止血鉗子505は、鉗子の先端が創傷部509を通じて見えるまで、腱板503を挿し通される。
【0043】
図6を参照すれば、医療用コード601が創傷部509内に導入され、該コードの端部602が止血鉗子505によって把持されている。該止血鉗子及びコード端部602は、腱板503を通して、改良Neviaserポータル508から引き出される。
【0044】
図7を参照すれば、フック700は、創傷部509から挿入することによってコード601の後方位置に持ち込まれ、フック700の創傷部から引き出すこと(701)によって靭帯の上腕部を創傷部に運び、図8に示すようなループ状をした配置とされる。穿刺された創傷部801は、前上方ポータル及び回旋腱板組織を通して形成され、前記回旋腱板組織は、把持器具又はコッヘル鉗子504で係合され、該回旋腱板組織のテンションを維持するために引っ張られる(802)。止血鉗子506は、皮膚、肩甲下組織、腱板断裂の内側にある回旋腱板組織503の牽引された前部を挿し通され、さらに、健康な腱板組織を挿通される。止血鉗子506は、該鉗子の先端が創傷部509を通して見えるまで、前記腱板を挿通される。
【0045】
図9を参照すれば、下側部分のコード601が、前記創傷部、及び、止血鉗子506で把持されたテープの端部に挿通される。前記止血鉗子は、コード601と共に、前上方ポータルから腱板を通して引っ張られる。それによって、コード601は腱板組織503でループ900を形成し、コード601の双方のストランドが、図9に示されているように、腱板組織503の上面から延びている。該コードを腱板組織の2つの孔に挿通して腱板組織からコードの2本のストランドが延びるようにn状ループを作ることによって前記コードを腱板組織に固定すれば、この人工補綴具と軟組織との間を確実に接続できる。前記組織に前記人工補綴具を固定するために付加的な縫合糸を用いると、強度の有利性が無駄になる。コード601の各端部が図10に示されるようにストランドと腱板材料503の両方にテンションを生じさせるために引っ張られると、ループ部分900が腱板組織503の下面に載る。腱板503は、人工靭帯601と共に、該靭帯601の端部を用いて創傷部へ引っ張られる。
【0046】
図11を参照すれば、適切な固定領域が、上腕頭502で伸びる大結節110に特定される。第1段階(図示せず)では、ドリル1101を用いて、2つの平行に並んだ掘削孔1102が形成され、掘削孔1102が前記大結節110内に延びる。そして骨錐1103が各孔1102に挿入されるとともに、斜めのドリル孔1104が上腕の外側に形成されて錐1103の先端とつながる。そのポータル(入り口)は、ジアテルミー(図示せず。)を用いて、目印を付けられる。この手術工程は、前記大結節内を延びる互いに平行な2本の孔を形成するために用いられる。
【0047】
図12a及び図12bを参照すれば、回旋腱板503のテンションを維持しているコード601の各端部が、各々の対応する孔1102,1104を挿通されている。この作業は、適切な縫合糸パッサ、スネア縫合糸パッサ、又は、ビニル縫合糸パッサ(図示せず。)を用いて前記孔を通すことによって、容易になし得る。また、孔1102、1104にコード601を通す作業は、該コードの主要長さ101より小さい幅の端部領域102によって容易になされる。
【0048】
この手術の最終段階は、回旋腱板503が上腕頭502及び特に上腕頭502の上凸部を部分的に覆うことを確保するために、コード601を引っ張ることを含む。コード601の両端は、双方の孔1104から出て、回旋腱板組織503のテンションを維持しつつ、上腕の外側で、一つの結び、好ましくは、3重結びで結ばれる。この手術は、結び目上の関節包を修復し、創傷部の層状閉鎖によって完了する。
【0049】
図12bを参照すれば、本発明の医療用コードの第1ストランド1201及び第2ストランド1202は、大結節1100内に形成された骨の孔1102,1104に対応して、隣り合って、回旋腱板軟組織513と骨の固定部との間で実質的に平行に配置されている。コード601のストランド1201,1202を合わせた厚みは、腱板組織503の幅とほぼ等しい。コード601の織り込みメッシュ状構造は、修復部位、特に人工靭帯601と腱板組織503との間の接合部分での組織の内部成長のための骨格を提供する。ストランド1201,1202を合わせた厚みは、回旋腱板503と同じであり、上腕骨501の自由な移動を制限するとともに、該上腕骨の関節の過度の回転とそれに伴う脱臼を防止する。
【0050】
コード601の先細とされた端部は小さな結び1200を作ることを可能にするので、該コードを上腕骨501に位置固定させるのに有利である。補綴具601の使用は、同種移植に伴う危険性や問題を回避し、自家移植で引き起こされるようなドナー部位の疾病を回避する。
【0051】
望ましくは、コード601は、10mm幅、500mm長さの扁平テープを備えるとともに、糸目の粗いポリエステル織物を含む。前記ドリル孔は、直径約3.2mmであるが、種々の直径ものが本発明の範囲である。
【0052】
図13を参照すれば、扁平状テープ601は、望ましくは、腱板組織503からその上面に現れる(a)。これにより、下面から扁平状テープ601が現れた場合に生じるであろう、腱板組織1300のリップの上方へ膨れを防止する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に固定するように構成された外科用コード及び外科的修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟組織(腱や靭帯)の破断は、プロスポーツ選手や高齢者の間ではよく起こることである。損傷を受けた解剖学的領域に特有の軟組織裂傷を修復するために、多くの異なる治療が開発されている。
【0003】
特に、引きちぎれた組織をその本来の固定位置(典型的には骨部分を含む。)に再接続するために、多くの異なる接続デバイスが提案されている。縫合糸や外科用テープのようなこれらの接続デバイスについて考慮すべき重要なことは、修復手術の間の外科医による操作容易性と強靭性を備えることである。外科用テープは、特に、腸、シルク、コットン、ポリエステル、及び、特定の超高分子ポリエチレン(UHMWPE)等を含む天然物又は人工物に由来する生体吸収性材料又は非生体吸収性材料からなる。前記コードの更に重要な性質は、負荷がかかった時の“組織貫通(tissue pull-through)”に対する抵抗力である。前記組織貫通は、術後の関節を動かす際、引張荷重がかかっている組織を、前記コード又は前記テープが貫通又は通り抜ける過程を指す。小さな直径又は幅、及び鋭いエッジを持ったコードは、前記組織貫通がより起こり易いため、不利益を有する。しかしながら、外科医は典型的には狭い孔を通してコードの端を縫合し、結び目の留めを形成することを要求されるため、幅の広いコードは外科医による操作をしばしば困難にする。
【0004】
米国特許公開2005/0192631号は、編まれた高強度外科用縫合材を備える縫合用テープ構造物を開示している。管状に編まれた縫合糸は、該テープの長手方向に沿って延び、その構造物の骨格を形成している。該テープは、付加的に扁平に編まれた中間部を備え、該中間部に前記管状に編まれた縫合糸が挿通されている。前記扁平な編組の中間部の両端における移行部は、テーパー状になっていて外科手術中に縫合テープを孔に通すことを可能にするとともに、中心の前記管状の縫合糸を前記扁平テープに固定する手段を提供する。この構造物は、ポリエステルのような長鎖型合成高分子を1種以上混合したUHMWPE繊維を有し、要求される強度を備えている。
【0005】
米国特許公開第2004/0078089号は、外科的移植として用いるための織物の補綴具を開示しており、その補綴具の本体は、引張荷重を調節するように設計されるとともに負荷がかかった際の伸びに耐える、少なくとも一つの固定部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0192631号
【特許文献2】米国特許公開第2004/0078089号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、外科用コード又は外科用テープに必要とされることは、外科手術中に外科医が扱いやすい一方で、必要とされる強度及び前記組織貫通への抵抗力を備えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの生体組織部位間の接続手段としての用途に適した強度を示す外科用人工コードを提供する。特に、本発明の外科用コードは、腱や靭帯等の形態をした軟組織を骨部位に再接続するのに理想的に適している。前記テープは幅広の扁平な本体を備え、該本体は組織貫通抵抗を示すとともに外科手術中に前記コードを操作できるようにする、隣接した薄い両端部を備えている。
【0009】
本発明の第1の側面によれば、外科用コードであって、前記コードの一定幅をもって織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと、前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各々の端部領域に延在する、前記端部領域と、を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有していることを特徴とする前記外科用コードが提供される。
【0010】
好ましくは、前記ヤーンストランドが撚られたポリエステルファイバーを含み、例えば、前記外科用コードがポリエステルヤーンストランドのみからなる。該コードの構造により、引張強度を付与するために外科用テープ内に一般に組み込まれるUHMWPEに対する要求が回避される。従って、本発明コードは、製造容易であり、単一材料を有する。
【0011】
前記コードの主要長は織られているが、前記端部領域は、織り合わされ、織られ、或いは、編まれ得る。前記主要長のヤーンストランドは、織り込まれ、縦糸(該コードの長手軸線に配列)と横糸(該コードの長手軸線方向に交差配列)とを含み、縦糸及び横糸の双方が該コードの主要長に沿って延びる。一実施形態によれば、前記コードは、織りメッシュ状構造を形成するために、3本の横糸の直交配列グループと織り込まれた3本の横糸の複数グループを備えている。この目の粗い編み目構造は、組織の内部成長と手術後の修復を促進する骨格を提供する。
【0012】
前記縦糸、及び任意的に横糸は、前記主要長から各端部領域に延びる。該端部領域は編まれることができ、特に、前記主要長から延びる該端部領域の縦糸が編まれることができる。
【0013】
前記端部領域の縦糸の数は前記主要長の縦糸の数に等しくされ得るし、或いは、縦糸の数は主要長から離れる方向に前記端部領域に沿って少なくすることもできる。好ましくは、より密なコードを前記主要長において提供するため、各端部領域におけるヤーンストランドの間隔は、前記主要長のヤーンストランド間の間隔より小さい。
【0014】
前記横糸は、前記主要長から各端部領域に延び得る。各端部領域における横糸間の間隔は、前記主要長の横糸の間隔と等しいかそれより大きくすることができる。選択的に、前記横糸は、前記主要長と端部領域との移行部で終端することができる。選択的に、各端部領域内を延びる前記横糸は編まれ得る。
【0015】
選択的に、前記縦糸は、撚ることによって、前記端部領域内で結合される。また、前記織られたテープ部分から前記各端部領域に延びる縦糸は、編まれることによって結合され得る。また、前記縦糸は、付加的な刺繍と共に結合され得る。また、前記縦糸は、包装することによって結合されることができ、その包装はコアとして作用する。前記包装は、前記織られたテープ本体から延びる縦糸によって提供されか、或いは、追加のヤーンが使用され得る。上記各実施形態における前記端部領域内の形態は、横糸のみから、或いは、縦糸のみから、或いは、横糸と縦糸の組合せから、又は、付加的材料を用いることによって、形成され得る。各場合に、横糸又は縦糸の全て又は一部が使用され得る。
【0016】
また、前記コードの本体は、撚られ、撚り合わされ、或いは編まれたヤーンを縦糸として組み込まれ、該縦糸は、織られた本体部から前記端部領域に延びる。前記端部領域のヤーンは、さらに撚り掛けるか又は撚り合わせることによって、或いは、付加的に、編み、ニット編み、連結、結び、及び/又は包装によって結合され得る。平行に走る他の縦糸は、前記撚り、撚り合わせ、及び/又は編組等の中に組み込まれるか、或いは、前記本体部の端で除去される。
【0017】
選択的に、扁平状で実質的に板状の前記コードの上面又は下面の一方面又は両面に、付加的に、編まれ、撚られ、又は織られたヤーンが、刺繍されるか或いは縫いつけられ得る。これらの付加的なヤーンは、前記本体を越えて前記端部領域に延び、前記本体の縦糸と実質的に平行に走り得る。選択的に、前記本体から前記端部に延びる縦糸は、これら端部部分において材料削減のために除去され得る。
【0018】
また、編まれ、撚られ、撚り合わされ、或いは織られたヤーンは、前記本体内を延びる、織られた縦糸及び横糸の間を挿通され得る。これらの付加的なヤーンは、前記端部領域に延びることができる。前記本体内を延びている縦糸の幾つか又は全てが、各端部領域に延びないこともできる。
【0019】
前記コードの主要長は、扁平状で、実質的に一定幅の板状構造を有している。この形態は、負荷がかかっている軟組織を通り抜ける抵抗となる。前記端部領域も扁平状とすることもでき、各端部領域の各長さにわたって実質的に同じ幅と厚みを備えることができる。本明細書において“実質的に板状の形態”への言及は、厚みの数倍の幅をもつコードを含む。例えば、該コードは、前記主要長において、織り込まれたストランドの単一の層又は又は複数の層から形成することができ、該層は、テープ状の形態を提供するために、互いにオーバーラップされ又は平坦にされる。特に、前記主要長は、管状の織布から形成され、該織布は、別のコードとの間に内部空洞が無いように密に、該管の壁で平たくされている。コードが多層化(最初は管状)される場合、選択的に加熱処理して、平らに押しつぶすか又はアイロンがけするような初期処理を介して、その平坦形態を維持するように構成される。選択的に、前記多層化層は、刺繍、縫い付け等を介して一緒に取付けられる。
【0020】
本発明の第2の側面によれば、外科的修復方法であって、第1の生体組織部位にコードを固定するステップと:前記コードを第2の生体組織部位に固定するステップと:を含み、前記コードが、前記第1の組織部位と第2の組織部位とに延び、前記コードは、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記外科的修復方法が提供される。
【0021】
本発明は、外科的修復手術の一部として、軟組織を骨部位に再構築又は取付けるのに有利である。
【0022】
本方法は、好ましくは、前記第1の組織部位に少なくとも一つの孔を形成し、前記孔に前記コードを通して前記コードにループを形成するステップを更に含む。本方法は更に、前記骨部位に少なくとも一つの孔又は通孔を掘削し、該孔のトンネルに前記コードを通すステップを含む。前記コードの端部は、該端部が結ばれることによって前記骨部位に固定され、関節が操作されてコードが引張荷重下に置かれたときの引っ込みを阻止する。
【0023】
本発明の第3の側面によれば、第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に接続する方法であって:前記第1の生体組織に形成された少なくとも一つの孔にコードを通すことによって第1の生体組織に前記コードを固定するステップと;前記コードを第2の生体組織に固定するステップと;を含み、前記コードは、前記第1の生体組織部位と前記第2の生体組織部位との間に延び、前記コードが、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記方法が提供される。
【0024】
本発明は、特に、本発明外科用テープを介して上腕頭に損傷した回旋腱板を再接続することによって、損傷した回旋腱板を再構築するのに適している。
【0025】
好ましくは、本方法は、2本のコードが隣り合って配置されるように前記組織からコードが延びるように、前記腱板組織に少なくとも2つの孔を形成し、該孔を通してコードをループ状にするステップを含む。これは、n状ループを形成するために前記腱板組織にコードを通すステップを含む。これは、補綴具と前記生物学的組織との間の強い結合を形成する有利性を有し、取付けに関する従来技術による追加的な固定縫合糸の使用を取り除く。本方法は更に、上腕頭の領域を通る第1の掘削通孔によって前記上腕頭にコードを固定し、前記骨のトンネルに前記コードの端部領域を通し、該コード端部を結んで固定するステップを含む。
【0026】
前記主要長に沿うコード幅は、隣り合って配置された時に、人工回旋腱板の厚みが、取付けられるべき腱板組織の幅とほぼ等しくなるように構成される。
【0027】
前記コードの両端部は、テーパー状とされるとともにシールされ、コードを扱い易く、軟組織及び骨のトンネルを引き通しやすくする。前記コードの端部はひも結びを容易にし、該端部で材料の量の削減により、結び目をより小さく形成することができる。前記コードの厚さは、特に、隣り合わせで配置して2つの孔を介して組織を挿通してループ状とされている時に、断裂した回旋腱板の延長として作用するとともに、優れた固有強度を提供し、早期のモビリゼーションを可能にする。隣り合った配置における組み合わされたデュアルコード幅はまた、コードと骨との接触面積を増加させることにより、関節と骨との移動を効果的に制限することにより、関節脱臼を阻止する。
【0028】
本発明の他の形態及び利点は、添付した図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】図1aは、一実施形態を示す外科用コードの概略図である。
【図1b】図1bは、医療用コードの他の実施形態の概略である。
【図2】図2は、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図3a】図3aは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図3b】図3bは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4a】図4aは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4b】図4bは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4c】図4cは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4d】図4dは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4e】図4eは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4f】図4fは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4g】図4gは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4h】図4hは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4i】図4iは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図4j】図4jは、医療用コードの更に他の実施形態の概略図である。
【図5a】図5aは、損傷した回旋腱板組織を持つ人の肩関節の側断面図である。
【図5b】図5bは、図5aの肩関節の斜視図である。
【図6】図6は、外科手術の第2段階にある図5bの肩関節を示す図である。
【図7】図7は、外科手術の第3段階にある図6の肩関節を示す図である。
【図8】図8は、外科手術の第4段階にある図7の肩関節を示す図である。
【図9】図9は、外科手術の第5段階にある図8の肩関節を示す図である。
【図10】図10は、外科手術の第6段階にある図9の肩関節を示す図である。
【図11】図11は、外科手術の第7段階にある図5aによる肩関節を示す断面図である。
【図12a】図12aは、外科手術の終了時における図11の肩関節を示す図である。
【図12b】図12bは、外科種々の終了時における図10の肩関節を示す斜視図である。
【図13】図13は、腱板組織内の医療用コードの別々の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1aを参照すれば、前記外科用コードは、複数のオーバーラップさせたヤーンストランドを有する織り込みメッシュ状構造を備えている。各々のヤーンストランドは、撚りをかけられるか又は繊維工業で一般的な従来法によって束ねられた複数のポリエステル繊維を有している。前記ヤーンストランドは、前記コードの長手軸線と実質的に平行に並んだ複数の縦糸103,104として配設されている。また、前記ヤーンストランドは、各縦糸と90°の角度で重なって横切る横糸105としても配設されている。前記縦糸及び横糸は、単一のヤーン又は別々のヤーンピースによって形成することができ、従来の繊維製織工程によってヤーンストランドを作るために織り込まれる。
【0031】
前記コードは、コードの最外側の縁部を形成する縦糸103と、最外側の縦糸103と平行に並んでコードの内側本体を形成する最内部の縦糸104と、を備えている。
【0032】
前記コードは、主要長100と、テーパー領域101によって前記主要長と区別される2つの端部領域102を備えている。前記主要長100は、端部領域102の幅(b)より大きい幅(a)を有している。前記コードの幅は、テーパー領域101において幅(a)から幅(b)へ減少する。
【0033】
縦糸103,104は、主要長100の領域においてコードの主要長の直交方向の距離(f)によって離隔されている。この主要長100の領域において、縦糸103は、コードの主軸に沿った距離(c)によって離隔されている。端部領域102において縦糸103,104間の距離(e)は、距離(f)より短い。図1aの特有の実施例によれば、端部領域102において隣接して走る横糸103間の距離(d)は、前記主要長における距離(c)より大きい。
【0034】
図1a〜図4jは、医療用コードの略図である。好ましい実施形態によれば、図1〜図4jに示された各々の横糸及び縦糸は、隣り合って配置された3本の個別のヤーンストランドを含む。縦糸103,104及び横糸105の間の接合部の何れか一つにおいてオーバーラップするように、3本の縦糸のセットの最も外側の両方のヤーンストランドが、各々対応する最も外側の、横糸のヤーンストランドの上又は下を通る一方、各々の縦糸及び横糸の最も内側のヤーンストランドの3つ組が反対方向にオーバーラップする。
【0035】
図1bは、医療用コードの他の特有の形態を示しており、そこでは、主要長100の領域において横糸105の各走行間の距離(c)が、端部領域102における横糸の走行間の距離(d)に等しい。
【0036】
第3の実施形態によれば、横糸105は、主要長100の領域及びテーパー領域101を超えて延び、テーパー領域101と端部領域102との間の境界200を通る。横糸105は、テーパー領域101にごく接近した端部領域102で終端し、各々の端部領域102の長さの殆どで横糸102が無い。図3aは、図2の医療用コードを図示しており、そこでは、端部領域102の縦糸103,104が編まれた領域302を形成するためにオーバーラップされている(303)。編むこと(303)によって、ヤーンストランド103,104が操作時に離れたり分裂したりすることを防ぐ。図3aの実施形態によれば、テーパー領域101の直近の領域301は、編んだ部分(303)が無い。他の実施形態において、編んだ部分301の無いエリアが無くなるように、編まれた領域302が各端部領域102の全長を延び得る。更に他の実施形態では、横糸105は編まれた領域302に組み込まれる。
【0037】
図3bは、図3aの編まれた端部領域の変更態様を示している。この実施態様によれば、最外側の縦糸303だけが、編まれた端部領域302において共に編まれている(304)。最内側の縦糸104は、編まれておらず、コードの長手方向と略平行に延びている。この構成は、端部領域102におけるヤーンストランドの構造的信頼性を維持しつつ図3aの実施形態よりも薄い端部領域のために提供される。
【0038】
図4aは本発明の第6実施形態を示し、そこでは、端部領域102での各縦糸103,104,401の其々の長さが異なっている。この構成は、主要長100からテーパー領域101を通って端部領域102に、コードの十分に先細りとされた幅を提供する。従って、コード材料の量は、端部領域102において、主要長100から遠ざかる方向に減少する。横糸105は、端部領域102において各縦糸のストランド間で織り込まれることにより、より短い長さの縦糸103がコードの本体から分かれることを避ける。端部領域102の最外側の縦糸103は、中間の縦糸104より短く、縦糸104は最内側の縦糸400より短い長さを持つ。
【0039】
図4b〜4jは、本発明の種々の異なる追加の実施形態を示しており、そこでは、コード本体は、織りメッシュ状構造を有するとともに、コード主要長の幅より小さい幅を持つ端部が両端に隣接している。
【0040】
本発明は、解剖領域、特に、軟組織と骨物質との協働を伴う関節の外科的修復方法を提供する。外科的修復手術の例として、図5a〜12bに基づいて人の肩関節を参照して説明する。この手術は、上腕骨頭部位での回旋腱板組織の損傷修復を含む。図1a〜4jの外科用コードは、骨結合部位に戻すことができないような、重度の慢性的で深部の回旋腱板組織の断裂や、その回旋腱板組織が老人患者で変性してしまっているような場合に、特に適している。
【0041】
図5a及び5bは、それぞれ、人の肩部位500の断面図及び斜視図を示しており、そこでは、回旋腱板組織503は断裂していて上腕骨501詳しくは上腕骨頭502から離れてしまっている。図5aの外科手術の第1段階の前に、皮膚及び皮下組織の切開し、上腕骨を肩峰から分離して回旋腱板組織503を見えるようにするために止血し、適切な開創器を適用することを含む準備段階がある。
【0042】
刺創は、改良Neviaserポータル508を通じて形成される。腱板組織503は、鉗子504によって把持され、テンションを維持するために引っ張られる(507)。止血鉗子505は、皮膚、皮下組織、及び、裂傷の内側にある牽引された回旋腱板組織503の後方部分を挿し通される。止血鉗子505は、鉗子の先端が創傷部509を通じて見えるまで、腱板503を挿し通される。
【0043】
図6を参照すれば、医療用コード601が創傷部509内に導入され、該コードの端部602が止血鉗子505によって把持されている。該止血鉗子及びコード端部602は、腱板503を通して、改良Neviaserポータル508から引き出される。
【0044】
図7を参照すれば、フック700は、創傷部509から挿入することによってコード601の後方位置に持ち込まれ、フック700の創傷部から引き出すこと(701)によって靭帯の上腕部を創傷部に運び、図8に示すようなループ状をした配置とされる。穿刺された創傷部801は、前上方ポータル及び回旋腱板組織を通して形成され、前記回旋腱板組織は、把持器具又はコッヘル鉗子504で係合され、該回旋腱板組織のテンションを維持するために引っ張られる(802)。止血鉗子506は、皮膚、肩甲下組織、腱板断裂の内側にある回旋腱板組織503の牽引された前部を挿し通され、さらに、健康な腱板組織を挿通される。止血鉗子506は、該鉗子の先端が創傷部509を通して見えるまで、前記腱板を挿通される。
【0045】
図9を参照すれば、下側部分のコード601が、前記創傷部、及び、止血鉗子506で把持されたテープの端部に挿通される。前記止血鉗子は、コード601と共に、前上方ポータルから腱板を通して引っ張られる。それによって、コード601は腱板組織503でループ900を形成し、コード601の双方のストランドが、図9に示されているように、腱板組織503の上面から延びている。該コードを腱板組織の2つの孔に挿通して腱板組織からコードの2本のストランドが延びるようにn状ループを作ることによって前記コードを腱板組織に固定すれば、この人工補綴具と軟組織との間を確実に接続できる。前記組織に前記人工補綴具を固定するために付加的な縫合糸を用いると、強度の有利性が無駄になる。コード601の各端部が図10に示されるようにストランドと腱板材料503の両方にテンションを生じさせるために引っ張られると、ループ部分900が腱板組織503の下面に載る。腱板503は、人工靭帯601と共に、該靭帯601の端部を用いて創傷部へ引っ張られる。
【0046】
図11を参照すれば、適切な固定領域が、上腕頭502で伸びる大結節110に特定される。第1段階(図示せず)では、ドリル1101を用いて、2つの平行に並んだ掘削孔1102が形成され、掘削孔1102が前記大結節110内に延びる。そして骨錐1103が各孔1102に挿入されるとともに、斜めのドリル孔1104が上腕の外側に形成されて錐1103の先端とつながる。そのポータル(入り口)は、ジアテルミー(図示せず。)を用いて、目印を付けられる。この手術工程は、前記大結節内を延びる互いに平行な2本の孔を形成するために用いられる。
【0047】
図12a及び図12bを参照すれば、回旋腱板503のテンションを維持しているコード601の各端部が、各々の対応する孔1102,1104を挿通されている。この作業は、適切な縫合糸パッサ、スネア縫合糸パッサ、又は、ビニル縫合糸パッサ(図示せず。)を用いて前記孔を通すことによって、容易になし得る。また、孔1102、1104にコード601を通す作業は、該コードの主要長さ101より小さい幅の端部領域102によって容易になされる。
【0048】
この手術の最終段階は、回旋腱板503が上腕頭502及び特に上腕頭502の上凸部を部分的に覆うことを確保するために、コード601を引っ張ることを含む。コード601の両端は、双方の孔1104から出て、回旋腱板組織503のテンションを維持しつつ、上腕の外側で、一つの結び、好ましくは、3重結びで結ばれる。この手術は、結び目上の関節包を修復し、創傷部の層状閉鎖によって完了する。
【0049】
図12bを参照すれば、本発明の医療用コードの第1ストランド1201及び第2ストランド1202は、大結節1100内に形成された骨の孔1102,1104に対応して、隣り合って、回旋腱板軟組織513と骨の固定部との間で実質的に平行に配置されている。コード601のストランド1201,1202を合わせた厚みは、腱板組織503の幅とほぼ等しい。コード601の織り込みメッシュ状構造は、修復部位、特に人工靭帯601と腱板組織503との間の接合部分での組織の内部成長のための骨格を提供する。ストランド1201,1202を合わせた厚みは、回旋腱板503と同じであり、上腕骨501の自由な移動を制限するとともに、該上腕骨の関節の過度の回転とそれに伴う脱臼を防止する。
【0050】
コード601の先細とされた端部は小さな結び1200を作ることを可能にするので、該コードを上腕骨501に位置固定させるのに有利である。補綴具601の使用は、同種移植に伴う危険性や問題を回避し、自家移植で引き起こされるようなドナー部位の疾病を回避する。
【0051】
望ましくは、コード601は、10mm幅、500mm長さの扁平テープを備えるとともに、糸目の粗いポリエステル織物を含む。前記ドリル孔は、直径約3.2mmであるが、種々の直径ものが本発明の範囲である。
【0052】
図13を参照すれば、扁平状テープ601は、望ましくは、腱板組織503からその上面に現れる(a)。これにより、下面から扁平状テープ601が現れた場合に生じるであろう、腱板組織1300のリップの上方へ膨れを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用コードであって、
前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと、
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各々の端部領域に延在する、前記端部領域と、を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有していることを特徴とする前記外科用コード。
【請求項2】
前記ヤーンストランドがポリエステルを含む、請求項1に記載にコード。
【請求項3】
前記コードがポリエステルヤーンストランドのみからなる、請求項1または2に記載のコード。
【請求項4】
前記主要長の縦糸の全てが各領域に延びる、請求項1〜3の何れかに記載のコード。
【請求項5】
前記縦糸が各端部領域の全長にわたって延びる、請求項4に記載のコード。
【請求項6】
前記横糸が前記主要長から各端部領域に延びる、請求項4及び5に記載のコード。
【請求項7】
前記各端部領域の少なくとも一部が編まれている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項8】
下記(i)〜(iii)の何れか又は組合せから編まれている、請求項7に記載のコード。
(i) 一以上の横糸
(ii) 一以上の縦糸
(iii) 追加材料
【請求項9】
各端部領域の縦糸の数が、前記主要長の縦糸の数と等しい、請求項4〜8の何れかに記載のコード。
【請求項10】
各端部領域の前記ヤーンストランド間の間隔が、前記主要長のヤーンストランド間の間隔より小さい、請求項4〜9の何れかに記載のコード。
【請求項11】
前記横糸は、前記主要長から各端部領域へ延在しない、請求項4〜10の何れかに記載のコード。
【請求項12】
各端部領域の横糸の間隔は、前記主要長の横糸の間隔より大きい、請求項4〜10の何れかに記載のコード。
【請求項13】
各端部領域の横糸の間隔は、前記主要長の横糸の間隔に等しい、請求項4〜9の何れかに記載のコード。
【請求項14】
前記主要長から各端部領域に延びる前記横糸は、各端部領域で編まれている、請求項7に記載にコード。
【請求項15】
前記ヤーンストランドは、前記各端部領域の少なくとも一部にわたって、撚られるか又は編まれている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項16】
前記ヤーンストランドは、前記各端部領域の少なくとも一部にわたって包装されている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項17】
前記各端部領域の少なくとも一部は、前記ヤーンストランドの回りを包装する材料を含む、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項18】
各端部領域の縦糸の数が前記主要長の縦糸の数より少ない、請求項4〜7の何れかに記載のコード。
【請求項19】
前記縦糸が前記主要長の全長にわたって延びるとともに、前記各端部領域の全長にわたって延びる、請求項1〜18の何れかに記載のコード。
【請求項20】
前記コードが、前記各端部領域にわたって、扁平状で実質的に板状である、請求項1〜19の何れかに記載のコード。
【請求項21】
各端部領域は、それぞれの長さにわたって実質的に同じ幅を有する、請求項1〜20の何れかに記載のコード。
【請求項22】
各端部領域は、同じ長さの前記主要長と比較して、材料が削減されている、請求項1〜21の何れかに記載のコード。
【請求項23】
外科的修復方法であって、
第1の生体組織部位にコードを固定するステップと:
前記コードを第2の生体組織部位に固定するステップと:を含み、
前記コードが、前記第1の組織部位と第2の組織部位とに延び、
前記コードは、
前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記外科的修復方法。
【請求項24】
前記第1の組織部位が柔軟な組織である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の組織部位が骨を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の組織部位に少なくとも一つの孔を形成するステップと;
前記少なくとも一つの孔に前記コードを通して前記コードにループを形成するステップと;
を更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の組織部位に少なくとも一つの通孔を掘削するステップと;
前記少なくとも一つの通孔に前記コードを通すステップと;
前記少なくとも一つの通孔内に前記コードを固定し、前記通孔からコードが引き出されるのを阻止するステップと、
を更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項28】
第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に接続する方法であって:
前記第1の生体組織に形成された少なくとも一つの孔にコードを通すことによって第1の生体組織に前記コードを固定するステップと;
前記コードを第2の生体組織に固定するステップと;を含み、
前記コードは、前記第1の生体組織部位と前記第2の生体組織部位との間に延び、
前記コードが、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項29】
前記第1の生体組織部位が回旋腱板組織を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の生体組織部位が骨を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の組織部位が上腕骨を含み、
前記コードを該上腕骨に固定する前記ステップが、前記上腕骨の一領域を通る二つの通孔を掘削するステップと、前記通孔に前記コードの端部領域を通すステップと、該通孔を一旦通した前記コードの端を結ぶステップと、を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の生体組織に少なくとも二つの孔を形成し、2つのストランドが隣り合うように前記コードが前記組織から延びるように、前記オードを前記孔に通してループを形成するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記2つのストランドの結合された幅が前記第2の組織の幅に実質的に等しい、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組織の下面から該組織の上面に前記コードを通すことによって、前記コードを前記腱板組織に固定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記組織の上面から該組織の下面に前記コードを通すことによって、前記コードを前記腱板組織に固定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
外科用コードであって、
前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと、
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各々の端部領域に延在する、前記端部領域と、を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有していることを特徴とする前記外科用コード。
【請求項2】
前記ヤーンストランドがポリエステルを含む、請求項1に記載にコード。
【請求項3】
前記コードがポリエステルヤーンストランドのみからなる、請求項1または2に記載のコード。
【請求項4】
前記主要長の縦糸の全てが各領域に延びる、請求項1〜3の何れかに記載のコード。
【請求項5】
前記縦糸が各端部領域の全長にわたって延びる、請求項4に記載のコード。
【請求項6】
前記横糸が前記主要長から各端部領域に延びる、請求項4及び5に記載のコード。
【請求項7】
前記各端部領域の少なくとも一部が編まれている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項8】
下記(i)〜(iii)の何れか又は組合せから編まれている、請求項7に記載のコード。
(i) 一以上の横糸
(ii) 一以上の縦糸
(iii) 追加材料
【請求項9】
各端部領域の縦糸の数が、前記主要長の縦糸の数と等しい、請求項4〜8の何れかに記載のコード。
【請求項10】
各端部領域の前記ヤーンストランド間の間隔が、前記主要長のヤーンストランド間の間隔より小さい、請求項4〜9の何れかに記載のコード。
【請求項11】
前記横糸は、前記主要長から各端部領域へ延在しない、請求項4〜10の何れかに記載のコード。
【請求項12】
各端部領域の横糸の間隔は、前記主要長の横糸の間隔より大きい、請求項4〜10の何れかに記載のコード。
【請求項13】
各端部領域の横糸の間隔は、前記主要長の横糸の間隔に等しい、請求項4〜9の何れかに記載のコード。
【請求項14】
前記主要長から各端部領域に延びる前記横糸は、各端部領域で編まれている、請求項7に記載にコード。
【請求項15】
前記ヤーンストランドは、前記各端部領域の少なくとも一部にわたって、撚られるか又は編まれている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項16】
前記ヤーンストランドは、前記各端部領域の少なくとも一部にわたって包装されている、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項17】
前記各端部領域の少なくとも一部は、前記ヤーンストランドの回りを包装する材料を含む、請求項4〜6の何れかに記載のコード。
【請求項18】
各端部領域の縦糸の数が前記主要長の縦糸の数より少ない、請求項4〜7の何れかに記載のコード。
【請求項19】
前記縦糸が前記主要長の全長にわたって延びるとともに、前記各端部領域の全長にわたって延びる、請求項1〜18の何れかに記載のコード。
【請求項20】
前記コードが、前記各端部領域にわたって、扁平状で実質的に板状である、請求項1〜19の何れかに記載のコード。
【請求項21】
各端部領域は、それぞれの長さにわたって実質的に同じ幅を有する、請求項1〜20の何れかに記載のコード。
【請求項22】
各端部領域は、同じ長さの前記主要長と比較して、材料が削減されている、請求項1〜21の何れかに記載のコード。
【請求項23】
外科的修復方法であって、
第1の生体組織部位にコードを固定するステップと:
前記コードを第2の生体組織部位に固定するステップと:を含み、
前記コードが、前記第1の組織部位と第2の組織部位とに延び、
前記コードは、
前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、前記外科的修復方法。
【請求項24】
前記第1の組織部位が柔軟な組織である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の組織部位が骨を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の組織部位に少なくとも一つの孔を形成するステップと;
前記少なくとも一つの孔に前記コードを通して前記コードにループを形成するステップと;
を更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の組織部位に少なくとも一つの通孔を掘削するステップと;
前記少なくとも一つの通孔に前記コードを通すステップと;
前記少なくとも一つの通孔内に前記コードを固定し、前記通孔からコードが引き出されるのを阻止するステップと、
を更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項28】
第1の生体組織部位を第2の生体組織部位に接続する方法であって:
前記第1の生体組織に形成された少なくとも一つの孔にコードを通すことによって第1の生体組織に前記コードを固定するステップと;
前記コードを第2の生体組織に固定するステップと;を含み、
前記コードは、前記第1の生体組織部位と前記第2の生体組織部位との間に延び、
前記コードが、前記コードの一定幅を有して織られた主要長にわたって延在する縦糸と横糸を有する、複数の織り込まれたヤーンストランドと;
前記ヤーンストランドによって形成された2つの端部領域であって、該端部領域の幅が前記主要長の幅より小さく、前記縦糸が前記主要長から各端部領域に延在する、前記端部領域と;を備え、
前記コードの主要長は、扁平状で実質的に板状の形態を有している、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項29】
前記第1の生体組織部位が回旋腱板組織を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の生体組織部位が骨を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の組織部位が上腕骨を含み、
前記コードを該上腕骨に固定する前記ステップが、前記上腕骨の一領域を通る二つの通孔を掘削するステップと、前記通孔に前記コードの端部領域を通すステップと、該通孔を一旦通した前記コードの端を結ぶステップと、を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の生体組織に少なくとも二つの孔を形成し、2つのストランドが隣り合うように前記コードが前記組織から延びるように、前記オードを前記孔に通してループを形成するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記2つのストランドの結合された幅が前記第2の組織の幅に実質的に等しい、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組織の下面から該組織の上面に前記コードを通すことによって、前記コードを前記腱板組織に固定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記組織の上面から該組織の下面に前記コードを通すことによって、前記コードを前記腱板組織に固定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図1b】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13(a)】
【図13(b)】
【公表番号】特表2011−517289(P2011−517289A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549196(P2010−549196)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050214
【国際公開番号】WO2009/109778
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510237284)ザイロス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050214
【国際公開番号】WO2009/109778
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510237284)ザイロス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]