説明

移植機

【課題】種芋等の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供すること。
【解決手段】種芋等を予め載せておくための種芋載置台30と、種芋を1個ずつ人手により供給される供給カップ72をループ状に8個配置した回転可能な回転テーブル71を有する種芋供給部70と、一方の端部が種芋載置台30に連接配置され、他方の端部が回転テーブル71の上方に配置され、種芋載置台30の種芋を、一方の端部から他方の端部に向けて設けられた傾斜面41を利用して供給カップ72に供給するためのシューター40と、シューター40から受け継いだ種芋を保持した状態で圃場に植え付けていく植付具26とを備え、シューター40の他方の端部は、傾斜面に沿って種芋載置台側から移動してきた種芋の動きを停止させる側壁42を有し、他方の端部は、供給カップ側に開放された種芋落とし口43を有す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種芋等の移植機に関するものであり、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機の載置台上に準備された種芋等を、その移植機の走行にあわせてループ状に回転搬送される複数の供給カップに、作業者が一個ずつ手で供給することで、自動的に圃場に植え付ける種芋移植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら、従来の種芋移植機の構成と動作を簡単に説明する。
【0004】
図14は、従来の種芋移植機101の側面図であり、図15は、従来の種芋移植機101の要部拡大斜視図である。
【0005】
図14、図15に示すように、従来の種芋移植機101は、作業者が手で種芋を一個ずつ供給するための供給カップ132を、供給回転台128上にループ状で所定間隔毎に配置された種芋供給部107と、その種芋供給部107から供給された種芋を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具126と、上記供給回転台128の上方中央部に張り出した種芋収納部134を有する種芋載せ台135等を備えている。各供給カップ132の底部には、上下方向に可動する開閉蓋132aが設けられている。
【0006】
この種芋移植機101は、その機体の走行と共に歩行する作業者が、種芋収納部134にある種芋を一つずつ手でつかんで、機体の走行にあわせてA方向(図15参照)に回転している供給カップ132に、それぞれ入れていく。
【0007】
供給カップ132の開閉蓋132aは、供給カップ132のA方向の回転に伴って、植付具126の上方に来た時に開放され、供給カップ132内の種芋が下方の植付具126に供給される。植付具126の先端部は、ほぼ楕円状の軌跡140を描いて駆動し、最下端に来た時に圃場に所定深さまで進入するとともに鳥のくちばしの如く開いて、内部に保持されていた種芋が圃場に落下して植え付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−51613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この様な従来の種芋移植機101の構造では、種芋収納部134にある種芋を作業者が一つずつ手でつかみ、種芋収納部134の側壁部134aの高さを超える様に持ち上げて、供給カップ132に入れる必要があった。そのため、確実に一つずつ種芋をつかみ挙げる作業は手間がかかるという問題があった。また、この作業を急いで行ったり、手元をしっかり見ないで行ったりすると、種芋の表面を側壁部134aの上端部にぶつけて種芋を大きく傷つけてしまうおそれもあった。
【0010】
本発明は、以上従来の種芋移植機の課題に鑑み、種芋等の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、
移植対象物を予め載せておくための載置台と、
前記移植対象物が所定個数ずつ人手により供給される供給カップをループ状に複数個配置した回転可能な回転テーブルを有する供給部と、
一方の端部が前記載置台に連接配置され、他方の端部が前記回転テーブルの上方に配置され、前記載置台の前記移植対象物を、前記一方の端部から前記他方の端部に向けて設けられた傾斜部を利用して前記供給カップに供給するための供給路と、
前記供給部から受け継いだ前記移植対象物を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具とを備えた移植機であって、
前記供給路の途中又は前記他方の端部は、前記傾斜部に沿って前記載置台側から移動してきた前記移植対象物の動きを停止または抑制する抑制部を有し、
前記他方の端部は、前記供給カップ側に開放された開放部を有している、移植機である。
【0012】
また、第2の本発明は、
前記回転テーブルの前記回転の中心軸は、前記供給カップの前記ループ状の配列の中心にあり、
前記供給路は、前記中心軸の上方を通過する様に配置されている、上記第1の本発明の移植機である。
【0013】
また、第3の本発明は、
前記抑制部は、前記他方の端部の底面から立ち上がる様に設けられた側壁であり、
前記開放部は、前記側壁に隣接して配置されており、
前記中心軸の上端は、前記底面を回転自在に支持している、上記第2の本発明の移植機である。
【0014】
また、第4の本発明は、
前記載置台と前記供給路との連接部、又は、前記供給路の途中に設けられて、前記傾斜部に沿って前記他方の端部へ供給されてくる前記移植対象物の量を制限するシャッター部材を備えた、上記第1〜3の何れかの本発明の移植機である。
【0015】
また、第5の本発明は、
前記供給カップの下面には開口部が形成されており、
前記回転テーブルは、
前記供給カップの前記開口部を開閉するための、前記供給カップの下面側に回動自在に配置された開閉蓋と、
前記開閉蓋を開く方向に付勢する弾性部材とを有し、
前記供給部は、前記回転テーブルの下側に配置された、前記開閉蓋の開く方向の動きを規制する規制部を有する、上記第1〜4の何れかの本発明の移植機である。
【0016】
また、第6の本発明は、
前記規制部は、
前記開閉蓋が当接するリング状の内周面の一部が、前記開閉蓋が開いている位置に対応して欠如している、前記開閉蓋の前記動きを規制する規制ガイド部材と、
前記開閉蓋が前記内周面に沿って移動する際に、前記規制ガイド部材の前記欠如により前記開閉蓋が閉状態から開く方向への動きを開始する位置を調整する調整部材と、
を有する、上記第5の本発明の移植機である。
【発明の効果】
【0017】
以上のような本発明によれば、種芋等の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態における種芋移植機の側面図
【図2】本発明の一実施の形態における種芋移植機から種芋載置台及びシューター等を除いた平面図
【図3】本発明の一実施の形態における種芋移植機の平面図
【図4】本発明の一実施の形態における種芋移植機の主要部を示す斜視図
【図5】(a)〜(c):本発明の一実施の形態における種芋移植機のシャッターの構成を概略図
【図6】本発明の一実施の形態における種芋移植機のテーブル回転軸と支持棒等の関係を説明するための分解斜視図
【図7】本発明の一実施の形態における種芋移植機の一変形例のシューターを操縦ハンドル側から見た一部断面概略図
【図8】本発明の一実施の形態における種芋移植機の開閉蓋とその周辺の構成を説明するための概略斜視図
【図9】本発明の一実施の形態における種芋移植機の種芋供給部の主要部を説明するための平面図
【図10】(a):本発明の一実施の形態における種芋移植機の規制ユニットの構成を説明するための平面図、(b):図10(a)のE部拡大斜視図
【図11】(a):本発明の種芋移植機の一変形例としてのシャッターの動作説明用の概略側面図、(b):図11(a)に示すシャッターの分解斜視図
【図12】本発明の種芋移植機の一変形例としての蓋閉じピンの構成を説明するための概略平面図
【図13】本発明の種芋移植機の一変形例としての蓋停止板の構成を説明するための概略斜視図
【図14】従来の種芋移植機の側面図
【図15】従来の種芋移植機の要部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施の形態の種芋移植機についてその構成と動作を説明する。
【0020】
図1は、本発明の移植機の一例としてじゃが芋等の種芋を移植する種芋移植機1を示す側面図であり、図2、3は、種芋移植機1の平面図である。尚、図2は、種芋載置台とシューターを除いている点で、図3と相違する。
【0021】
図1に示す様に、この種芋移植機1は、前部にエンジン2及び主伝動ケ−ス3と走行車輪としての左右一対の前輪4及び後輪5と、後部に種芋植付装置60、種芋供給部70、鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成されている。
【0022】
この種芋移植機1は、機体が圃場内の畝Uをまたぐように、前輪4及び後輪5が畝間を走行し、畝の上面の左右幅方向における中央位置に種芋植付装置60により種芋を植付けていくようになっている。
【0023】
また、図2に示す様に、主伝動ケ−ス3の左右端には該主伝動ケ−ス3に対して回動可能な走行エクステンションケ−ス10を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケ−ス10のそれぞれの端部に走行チェ−ンケ−ス11を取り付けている。従って、エンジン2から入力される主伝動ケ−ス3内の動力を走行チェ−ンケ−ス11内に伝動する構成となっている。
【0024】
走行チェ−ンケ−ス11の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、主伝動ケ−ス3は、走行車輪としての後輪5に伝動する伝動装置となっている。
【0025】
一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレ−ム12を前後方向のロ−リング軸13(図1参照)回りに回動可能に設け、この前輪支持フレ−ム12の左右両端部に前輪4を取り付けた構成としている。
【0026】
また、図2に示す様に、主伝動ケース3の後端の左右方向に配置された左右フレ−ム14の後部には、右寄りの位置に延びる主フレ−ム15を設けている。該主フレ−ム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレ−ム15及び、左右フレーム14を介して主伝動ケ−ス3に支持された構成となっている。
【0027】
また、図2に示す様に、主伝動ケ−ス3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、主伝動ケース3に取り付けられた油圧切替バルブ部17(図1参照)に固着して設けられ、主伝動ケ−ス3に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。
【0028】
また、図2に示す様に、油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着し該ロッド20,21の他端をそれぞれの走行エクステンションケ−ス10に取り付けられた上側ア−ム10aに枢着して、横杆19と走行エクステンションケ−ス10とが連結された構成となっている。
【0029】
従って、油圧昇降シリンダ16の伸縮により横杆19、後輪昇降ロッド20,21を介して主伝動ケ−ス3の左右の出力軸回りに走行チェ−ンケ−ス11が回動され、該走行チェ−ンケ−ス11の回動により後輪5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0030】
また、左側の後輪昇降ロッド20が伸縮するように該ロッド20の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、該水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。
【0031】
尚、主伝動ケ−ス3の右側には振り子式の左右傾斜センサ23が設けられて、この左右傾斜センサ23の検出により油圧切替バルブ部17に備えられた水平操作バルブを介して水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0032】
本実施の形態の種芋植付装置60は、種芋を1個ずつ圃場の畝部に植付けるべく、主伝動ケ−ス3内からの動力が主伝動ケ−ス3の後側に設けた植付伝動ケ−ス24と、その植付伝動ケ−ス24に取り付けられた植付装置駆動ケ−ス25aを介して伝達され作動するようになっている。
【0033】
種芋植付装置60は、先端が尖ったカップ状の植付具26と該植付具26を昇降させるべく作動する植付具作動機構27とで構成される。植付具26の先端は、植付具26の昇降動作によって、図1に示す様に、概ね楕円形の軌跡Bを描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0034】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋載置台30、シューター40、及び種芋供給部70について、図面を参照しながら、その構成を中心に説明する。
【0035】
図4は、種芋載置台30、シューター40、及び種芋供給部70を示す斜視図である。
【0036】
図1、図3、図4に示すように、種芋載置台30は、苗枠ステー31上に設置された、移植対象物の一例としての種芋Cを予め載置するための四方が側壁で囲まれた樹脂製の載置台であり、シューター40側の側壁の中央部には、種芋Cがシューター40側に転がり落ちていける様にした切り欠き部32が設けられている。
【0037】
尚、本発明の載置台の一例が、本実施の形態の種芋載置台30及び苗枠ステー31等を含む構成例に該当する。
【0038】
また、図1、図3、図4に示すように、シューター40は、前側端部40aが種芋載置台30の切り欠き部32の位置に、シャッター50を介して連接配置され、後側端部40bが、後述する種芋供給部70の回転テーブル71の上方に配置されており、種芋載置台30の種芋Cを、傾斜面41を利用して後述する供給カップ72側に供給するための供給路である。シャッター50は、種芋載置台30の種芋Cが、シューター40側に大量に転がり落ちて行かないように制限するためのものであるが、この構造については後述する。
【0039】
また、シューター40の後側端部40bには、種芋載置台30側から、シューター40の傾斜面41を転がり落ちてきた種芋Cの動きを停止させるための側壁42が形成されている。即ち、この側壁42は、傾斜面41の側壁に対してほぼ直角に屈曲して隣接配置されている。
【0040】
また、側壁42に隣接する種芋落とし口43は、側壁を形成することなく開放された開放部である。即ち、側壁42によって、動きが停止されてシューター40の後側端部40bの周辺にとどまっている種芋Cを、作業者が指先等で供給カップ72側に軽く引き寄せることにより、供給カップ72の中に落下させることができる。
【0041】
この様に、シューター40の一部に屈曲した側壁42等が設けられていることにより、転がり落ちてきた種芋Cがそのまま勝手に供給カップ72へ落下することが防止でき、且つ、種芋落とし口43が設けられていることにより、供給カップ72へ種芋Cを所定量(1個)ずつ供給する作業が容易になり、種芋の移植作業能率が向上する。
【0042】
尚、本発明の供給路の一例が本実施の形態のシューター40に該当し、本発明の開放部の一例が本実施の形態の種芋落とし口43に該当する。また、本発明の抑制部の一例が、本実施の形態の後側端部40b及び側壁42等を含む構成例に該当する。
【0043】
また、シューター40は、前側端部40aの裏面部が、種芋移植機1の本体部分に着脱自在に固定された前側指示部材44によって保持されており(図1参照)、後側端部40bの裏面部が、回転テーブル71の中央の支持棒75により、回転可能に支持されている(図1参照)。
【0044】
また、回転テーブル71は後述するテーブル回転軸73(図1、図6参照)により回転するので、このテーブル回転軸73と連結された支持棒75から、後側端部40bの底面にその回転動作などに伴う振動が伝わって、種芋が大きく飛び跳ねたりして、供給カップ72側へ勝手に落下したりするのを防止するために、支持棒75の先端に滑りが良くて且つ振動吸収可能な樹脂製カバー74が設けられている。
【0045】
これにより、シューター40を簡単な構造の支持棒75により支持できると共に、シューター40の種芋落とし口43の位置が安定し、供給カップ72へ種芋Cを1個ずつ供給する作業を安定して行えると共に、供給カップ72の上方にシューター40が出来るだけ覆い被さらない様に配置出来、人手により直接供給カップ72へ種芋Cを供給する作業の容易化が図れる。
【0046】
次に、シャッター50の構成について、図5(a)、(b)、(c)を参照しながら説明する。図5(a)は、傾斜面41の途中から前側端部40aを見た場合のシャッター50の構成を説明するための概略図であり、図5(b)は、保持プレート53の部分拡大斜視図であり、図5(c)は、保持プレート53の先端部を説明するための部分拡大平面図である。
【0047】
尚、本発明のシャッター部材の一例が、本実施の形態のシャッター50に該当する。
【0048】
図5(a)に示す様に、シャッター50は、種芋載置台30の切り欠き部32とシューター40の前側端部40aとの間に配置されて、種芋Cのシューター40への落下を阻止する平板状のシャッタープレート52と、シャッタープレート52を保持する保持プレート53から構成されている。保持プレート53は、シューター40の傾斜面41の裏面側に左右一対設けられた支持アングル51によって回動可能に支持されている。
【0049】
即ち、保持プレート53の先端部53aが、支持アングル51側に折り曲げられており(図5(b)参照)、その折り曲げられた先端部53aが、支持アングル51に形成された円形の貫通孔51aに回動可能に嵌め込まれている。
【0050】
尚、先端部53aは、図5(c)に示す様に、保持プレート53の幅Wを直径とするほぼ半円形状に加工されており、支持アングル51に形成された貫通孔51aの直径は、保持プレート53の幅Wより小さいため、半円形状に加工された先端に近い一部分しか貫通孔51aに嵌らない構造になっている。従って、シャッター50を使用しない場合は、作業者が手で、保持プレート53を外向き(図5(a)のD及びD’の方向)に広げるだけで、先端部53aが貫通孔51aから外れるので、取り付け及び取り外しが簡単に行える。
【0051】
この様なシャッター50を設けることにより、シューター40の後側端部40bにとどまっている種芋Cの量を作業者の意志によってコントロールできるので、供給カップ72へ種芋Cを手作業で1個ずつ供給する作業が容易になり、作業能率が向上する。
【0052】
次に、テーブル回転軸73及び支持棒75等に関して、図6を参照しながら説明する。図6は、テーブル回転軸73と支持棒75等の関係を説明するための分解斜視図であり、回転テーブル71はテーブル回転軸73の周辺部分のみ描いてある。
【0053】
同図に示す様に、支持棒75の下方先端75aの内周面にはタップが切ってあるので、テーブル回転軸73の表面に形成されたネジ溝に嵌合挿入された位置決めナット75bの位置調整により、支持棒75とテーブル回転軸73との組み付け後の高さが自在に調整できる。この構成により、支持棒75が、シューター40の後側端部40bの裏面を適切に支持できる様に微調整が可能となる。
【0054】
尚、種芋落とし口43の底面43aは、図1に示す様に水平であっても良いし、これに限らず例えば、図7に示す様に、操縦ハンドル9側から見て「へ」の字形状に傾斜させた構成でも良い。これにより、作業者は、種芋Cをより確実に1個ずつ供給カップ72に供給出来る。尚、図7は、シューター40を操縦ハンドル9側から見た一部断面概略図である。
【0055】
次に、図1、図2を参照しながら種芋供給部70の構成について説明する。
【0056】
同図に示す様に、種芋供給部70は、種芋植付装置60の上方に設けられ、供給カップ72を8つ貫通させてループ状に固定配置した回転可能な回転テーブル71と、その回転テーブル71を反時計回りに回転させるための回転駆動機構76と、供給カップ72の下面の開口部72aに回動自在に配置された開閉蓋80の開閉動作をコントロールするための、回転テーブル71と回転駆動機構76の間に配置された略リング状のガイドプレート91を含む規制ユニット90(図10参照)と、を備えている。
【0057】
尚、本発明の供給部の一例が、本実施の形態の種芋供給部70に該当する。
【0058】
回転テーブル71は、図4に示す様に、外周縁部71aが下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部71bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの孔に、両端が開放された略筒状の供給カップ72がそれぞれ貫通固定されており、円形平面部71bの中心の裏面側には、回転駆動機構76からの回転力が伝達されて反時計回りに回転するためのテーブル回転軸73(図1、図6参照)が設けられている。
【0059】
また、図8、図9に示す様に、回転テーブル71には、円形平面部71bの表面側から裏面側に所定長さ突き出た支持軸であって、供給カップ72の下面の開口部72aを塞ぐように配置された開閉蓋80を、円形平面部71bの裏面と所定の間隔を保ったまま回動可能に支持する支持軸81が配置されている。支持軸81の下方端は、開閉蓋80に固定されているが、上方端は、円形平面部71bに形成された貫通孔において回転自在に保持されている。
【0060】
また、上記所定の間隔は、開閉蓋80の第1縁部80aが、回転テーブル71の下方に突き出した供給カップ72の下部外周面72bとの衝突を回避し、且つ、供給された種芋Cが隙間から落下しない程度に開口部72aを適切に塞ぐように調整されている。そして、その所定の間隔を保つために、支持軸81に、その軸方向に積層されたコイル状バネ部材82が挿入されている。
【0061】
コイル状バネ部材82は、その下端側の一端が支持軸81から遠ざかる方向に伸びており、その先端部82aが開閉蓋80の表面に固定されたバネ固定用第1ピン83に巻き付けられている。また、コイル状バネ部材82は、その上端側の他端が、支持軸81から遠ざかる方向に伸びており、その先端部82bが回転テーブル71の円形平面部71bに固定されたバネ固定用第2ピン84に巻き付けられている。このコイル状バネ部材82は、本実施の形態の種芋供給部70に組み込まれた状態で常に、開閉蓋80を開く方向(反時計周りの方向)に付勢する復元力を発生させる様に構成されている。
【0062】
尚、本発明の弾性部材の一例が、本実施の形態のコイル状バネ部材82に該当する。
【0063】
図8は、コイル状バネ部材82の復元力により開閉蓋80が開いた状態における一部断面斜視図であり、開閉蓋80とその周辺の構成を説明するための概略図である。
【0064】
図9は、種芋供給部70の主要部を説明するための平面図であり、図8と同様に開閉蓋80が開いた状態を示している。
【0065】
また、回転駆動機構76は、図9に示す様に、回転テーブル駆動ケース25bに一端76a1が回転可能に接続され、回転方向変換ユニット76bの入力側に他端76a2が回転可能に接続された回転力伝達部材76cと、回転方向変換ユニット76bの入力側の回転軸と直交配置された出力側の回転軸76dに固定された第1歯車76e1と、第1歯車76e1と噛み合って配置された第2歯車76e2とを備えている。第2歯車76e2は反時計方向に滑らかに回転する。
【0066】
また、回転方向変換ユニット76bは、後述するガイドプレート91を保持する保持アングル92の一端側の下部に固定されて種芋供給部70の主要部を支える支柱93に対して、回転方向変換ユニット固定アングル(図示省略)を介して固定されている。
【0067】
また、第2歯車76e2の回転軸76fは、保持アングル92の下面側に固定された軸受け部材76gを介してテーブル回転軸73に連結されている。保持アングル92の中央部には、テーブル回転軸73を通過させるための孔92aが設けられている。回転テーブル71は、テーブル回転軸73を介して、軸受け部材76gにより回転可能に支持されている。
【0068】
また、規制ユニット90は、図10(a)に示す様に、上述したガイドプレート91と、そのガイドプレート91の裏側に固定されてガイド形状を保持する直径方向に渡された保持アングル92と、保持アングル92を種芋移植機1の本体部分に固定するための支柱93とを備えている。図10(a)は、規制ユニット90の構成を説明するための平面図である。
【0069】
また、ガイドプレート91は、一部を除き略リング状に配置された内周壁面91aを設けることによって、開閉蓋80の、バネ固定用第1ピン83に近い側の縁部である第2縁部80b(図9参照)が、コイル状バネ部材82の復元力によってその内周壁面91aに当接することで、開閉蓋80の開く方向への動作を規制することが出来る構成である。開閉蓋80の外形状は、単純な円形では無く、第1縁部80a側は、供給カップ72の外形より大きい相似形の曲線形状を有し、第2縁部80b側は、内周壁面91aの曲面に沿った曲線形状を有している。
【0070】
また、ガイドプレート91の一方の端部Eは、図10(a)に示す様に、開閉蓋80の開く方向への動作に対する規制が解除される場所、即ち、開閉蓋80が開く動作を開始する場所であり、その開閉蓋80が開くタイミングは、Y方向へのスライドが可能なスライドプレート94により、調整出来るように構成されている(図10(b)参照)。即ち、開閉蓋80が開くタイミングを遅らせたい場合は、締結部品94aを緩めてスライドプレート94を図10(b)のY方向の内、斜め下方向にスライドさせて再び締結部品94aを締め付ける。図10(b)は、端部Eの拡大斜視図である。
【0071】
この様に、スライドプレート94を設けることにより、種芋Cの落下のタイミングを適切に調節出来るので、種芋Cを適正に植付具26へ落下供給させることが出来、種芋の移植作業能率が向上する。
【0072】
また、ガイドプレート91の他方の端部Fには、開閉蓋80が閉まる方向への動作が滑らかに行える様に、ガイドプレート91の中心位置から遠ざかる方向に開くカーブを有し、回転テーブル71の回転に伴って開閉蓋80の第2縁部80bがガイドプレート91の内周壁面91aに滑らかに導かれる閉動作開始ガイド部95が設けられている。閉動作開始ガイド部95の先端の内周面には、開閉蓋80が開いた時に衝突する位置に、衝撃緩和用としてゴム等の弾性体で形成された衝撃緩和部材95aが取り付けられている。
【0073】
尚、本発明の規制部の一例が、本実施の形態のガイドプレート91及びスライドプレート94等を含む構成例が該当する。また、本発明の規制ガイド部材の一例が本実施の形態のガイドプレート91に該当し、本発明の調整部材の一例が本実施の形態のスライドプレート94に該当する。
【0074】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋供給部70及び植付具26を中心とした動作を、図1〜図3等を参照しながら説明する。
【0075】
まず、作業者が所定量の種芋Cを種芋移植機1の種芋載置台30に供給する。次に、シャッター50を手で開けると、下り勾配の傾斜面41を通って種芋Cがシューター40側に供給されるので、適量に達したと判断した後、再びシャッター50を閉じる。これにより適量の種芋Cがシューター40の後側端部40bにとどまった状態となる。
【0076】
エンジン2を始動して、植付作業の開始に伴って、種芋移植機1は畝Uをまたぐようにしてゆっくりと前進する。一方、エンジン2の回転が回転力伝達部材76cに伝達されて、第1歯車76e1及び第2歯車76e2を介して、回転テーブル71が反時計方向に滑らかに回転する。
【0077】
作業者は、種芋移植機1の左側に位置して前進に歩調を合わせながら、回転テーブル71の回転に伴って回転する供給カップ72が、シューター40の種芋落とし口43の幅方向のほぼ中央位置に来た時に、シューター40の後側端部40bの周辺にとどまっている種芋Cを一つずつ指先等で軽く引き寄せることにより、供給カップ72の中に落下させる。これを繰り返すことにより、8個の供給カップ72には常に種芋Cが供給されることになる。
【0078】
これにより、種芋Cをいちいち手でつかんでから供給カップ72に供給する必要が無いので、回転テーブル71の上方中央部から供給カップ72に向けて、従来よりも容易に且つ一つずつ確実に落とすことができる。
【0079】
一方、供給カップ72の底部は、回転テーブル71の回転により供給カップ72が所定の位置に来たとき(図1、図9参照)を除いて、ガイドプレート91により開閉蓋80で閉じられている。
【0080】
即ち、図9に示す様に、供給カップ72が、開閉蓋80における開動作の規制を維持しつつ、所定の位置G(図2、図9参照)に来た時、開閉蓋80の第2縁部80bが、スライドプレート94の内壁面と当接しなくなるので、それまで維持されていた規制が解除されて、コイル状バネ部材82の復元力により一気に開閉蓋80が横方向にスライドして開く。この時、供給カップ72に既に供給されていた種芋Cが落下して、下方に配置されている植付具26側に供給される。この時、植付具26は、上死点位置(図1に示す位置)に来ている。
【0081】
また、その開いた開閉蓋80は、第2縁部80bが閉動作開始ガイド部95の先端に取り付けられた衝撃緩和部材95aに当たってその位置で開く動作を停止すると同時に、回転テーブル71の回転に伴って、今度は、第2縁部80bが閉動作開始ガイド部95の内周面に当接しながら移動することにより、開閉蓋80の閉動作が滑らかに開始される。そして、供給カップ72が位置H(図9参照)まで回転した時には開閉蓋80は既に完全に閉まっている。
【0082】
尚、位置Hは、種芋落とし口43の中央位置より手前側であり、供給カップ72が種芋落とし口43の所に来た時には、開閉蓋80は完全に閉じている。
【0083】
この様に、開閉蓋80が横方向に移動して開くので、種芋をより適正に植付具26へ落下供給させることが出来、種芋の移植作業の能率が向上する。
【0084】
シューター40の後側端部43周辺の種芋Cが無くなれば、作業者は、シャッター50を開けて、種芋載置台30にある種芋Cを再び供給することができる。
【0085】
一方、植付具26は、図1に示す様に、前後方向に2分割して下部を開閉する構成となっている。これにより、回転テーブル71の供給カップ72から受け継いだ一個の種芋Cを収容保持した状態で、上死点位置から軌跡Bで示す様に下降し(図1参照)、種芋植付位置で下部を前後に開いて畝Uに植付穴を形成すると共にその植付穴に種芋Cを供給して植え付ける。その後、再び、植付具26は上死点位置に戻る。植付具26の軌跡Bで示す動作は(図1参照)、回転テーブル71の回転動作と同期しており、供給カップ72が位置Gに来た時に(図2参照)、植付具26は上死点位置に戻る様に構成されている。
【0086】
また、植付具26の前方には圃場面感知プレ−ト36を設けている。圃場面感知プレ−ト36は左右方向の回動支点軸36a回りに回動可能に設けられ、接地することによる圃場面感知プレ−ト36の回動に伴って種芋植付装置60により所定の植付深さとなるように後輪5を昇降する。
【0087】
鎮圧輪8は、種芋植付位置の後方位置において設けられ、横軸37回りに上下揺動自在な鎮圧輪支持フレ−ム38に軸受支持されている。また、この鎮圧輪8は、種芋移植機1の進行に伴って畝面を転動し、種芋が植え付けられた後の移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、植付具26で移植穴の前後、特に後方に盛り上がった土手を平らに鎮圧する。
【0088】
これにより、移植した種芋の周辺の土壌を平らにすることができ、じゃが芋の成育を良好にできる。
【0089】
また、図1に示す様に、本実施の形態では、供給カップ72の所定位置(図2に示す位置G参照)、つまり、植付具26の上方に対応する位置にあって、供給カップ72の下端底部の下方に対応する部分には、樹脂製、ゴム製、又は金属製であって略筒状の種芋飛散防止カバー26aが設けられている。これにより、植付具26の上死点位置におけるガイド受体(図示省略)と供給カップ72の下端底部との間において、供給カップ72から植付具26への種芋受入れ時に、種芋Cが飛散して植付具26へ種芋Cが供給されないようなことを防止することが出来る。
【0090】
この種芋飛散防止カバ−26aは、供給カップ72の下端底部と所定の間隔を保っているので、開閉蓋80がスライドして開く時にも支承はない。これにより、種芋Cは供給カップ72から植付具26へより一層正確に案内落下されることになる。
【0091】
尚、本発明の移植対象物の一例として上記実施の形態では、じゃが芋等の種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、種芋ばかりでなく球根等の球状体を移植する場合においても本発明が適用できるものであり、上記と同様の効果を発揮する。
【0092】
また、上記実施の形態では、シャッター50は、図5(a)〜(c)に示す様に、シャッタープレート52を保持プレート53にスポット溶接等により固定した構成の例として説明したが、これに限らず例えば、これら2つの部品を別々に作成してから一つに組み立てるのでは無く、一枚の板金部材から一体部品として打ち抜いた後、折り曲げ加工等により作成する構成でも良い。これによりスポット溶接の加工工程が省略出来る。
【0093】
また、本発明のシャッター部材の一例として上記実施の形態では、シャッタープレート52が上方向に開く構成のシャッター50を用いる場合について説明したが、これに限らず例えば、図11(a)、(b)に示す様に、シャッタープレートが下方向に開く構成のシャッター500を用いても良い。
【0094】
ここで、図11(a)は、シャッター500の動作説明用の概略側面図であり、シャッター500が閉じている状態を実線で示し、開いている状態を二点差線で示した。図11(b)は、シャッター500の分解斜視図である。
【0095】
即ち、図11(b)に示すように、シャッター500は、シャッターアングル510と、動作レバー520とから構成されている。また、シャッターアングル510は、シューター40への種芋Cの落下を阻止するシャッタープレート511と、シャッタープレート511を保持する保持プレート512と、保持プレート512の図中手前側にのみ嵌め込まれた筒状の軸受け部材513とを備えている。また、保持プレート512の両端部512aは、図5に示す上記実施の形態の構成と同様、互いに対向する方向に折り曲げられており、その先端部分が、シューター40の傾斜面41の裏面側に左右一対設けられた支持アングル530に設けられた貫通孔531によって回動可能に支持されている。また、動作レバー520の先端の内面側に設けられたレバー動作ピン521は、筒状の軸受け部材513の孔部に貫通されて、貫通された先端部分には抜け防止用部材514が挿入されている。また、動作レバー520には、中央部の端面から突き出て再びその端面側に湾曲している湾曲部522aを有する引っかけ部522が形成されており、図11(a)に示す様に、シャッター500が閉じた状態の位置で、シューター40の側面の、図中の紙面手前側に突き出したフック523に、引っかけ部522が引っかかる構成である。また、動作レバー520には鍔部524と握り部525が設けられている。
【0096】
この様な構成において、作業者がシャッター500を閉まっている状態から開けようとする場合、握り部525を上方に少し持ち上げたまま、筒状の軸受け部材513を支点として下方に軽く回すことで、引っかけ部522の湾曲部522aがフック523から外れるので、その後、シャッター500の自重により、シャッターアングル510が貫通孔531を支点としてI方向に回動する。その際、鍔部524の下部をシューター40の種芋落とし口43の前側壁面43bに引っかけることで、シャッターアングル510の動きが停止し、その位置が維持される。この状態を図11(a)では二点差線で示した。
【0097】
シャッター500を閉じる場合は、上記説明と逆の動作を行えば良い。これにより、シャッター500が閉じる場合は、上記本実施の形態の場合と異なり、シャッターアングル510が、シューター40の下から持ち上がってくるので、閉じ口に種芋Cがあってもつぶさないという効果を発揮する。
【0098】
また、図11(a)、(b)の構成では動作レバー520を少し上方に持ち上げることによりフック523での引っかかりを外す場合を説明したが、これに限らず例えば、動作レバー520を下方に押すだけで、フック523への引っかかりが外れる構成としても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、開閉蓋80の開動作を停止させると同時に、閉動作の開始のきっかけとなる位置に衝撃緩和部材95aを設けた構成を説明したが、これに限らず例えば、図12に示す様に、ほぼ同じ位置に円柱状の蓋閉じピン95bを設けて、開閉蓋80の第2縁部が当接する構成としても良い。蓋閉じピン95bは、ガイドプレート91の下面側に固定された蓋閉じピン取り付けアングル96に固定されている。図12は、蓋閉じピン95bの構成を説明するための概略平面図である。
【0100】
また、上記実施の形態では、開閉蓋80の開動作を停止させるために、衝撃緩和部材95a、又は、蓋閉じピン95bを設ける場合について説明したが、これに限らず例えば、図13に示す様に、全ての開閉蓋80の縁部80cに蓋停止板85を固定した構成でも良い。
【0101】
これにより、供給カップ72が位置G(図9参照)に来た時に開動作を開始した開閉蓋80の縁部80dが、位置H(図9参照)に来ている供給カップ72の開口部72aを閉じている開閉蓋80に固定された蓋停止板85の中央部分に当たって停止する。その停止時の双方の位置関係を維持したまま、回転テーブル71の回転が続き、やがて開閉蓋80の縁部80eの近傍が、閉動作開始第2ガイド部95cに当接して、そのガイド部95cの曲面に沿って滑らかに閉動作を開始して、位置H(図9参照)では、完全に供給カップ72の開口部72aが閉じられる。図13は、蓋停止板85の構成を説明するための概略斜視図である。また、上記と異なり、開閉蓋80の開動作の停止の構成について、開き始めた開閉蓋の縁部が、隣の開閉蓋80の支持軸81に当たって止まる構成としても良い。
【0102】
また、上記実施の形態では、種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、供給カップ72を、野菜苗の標準55径カップ(図示省略)が入るサイズに構成しておくことにより、野菜苗も植え付け可能となる。この場合、シューター40は使用しないので、取り外して作業することが望ましい。
【0103】
また、上記実施の形態では、シューター40と横開きの開閉蓋80とを同時に備えた種芋移植機の構成を説明したが、これに限らず例えば、両者の何れか一方の構成を備えた移植機であっても良い。例えば、シューター40を備えて、開閉蓋は従来の上下方向に可動する構成(図14の開閉蓋132a参照)を採用しても良い。
【0104】
この場合でも、上記と同様、種芋等の移植作業を従来に比べて効率よく行えるという効果を発揮する。また、例えば、横開きの開閉蓋80を備えて、シューターの代わりに従来の種芋収納部134を有する種芋載せ台135を採用しても良い。この場合、開閉蓋が従来と異なり横方向にスライド移動して開くので、種芋をより適正に植付具へ落下供給させることができ、種芋の移植作業の能率が向上する。
【0105】
また、本発明の抑制部の一例として上記実施の形態では、シューター40の傾斜面41に連接したほぼ水平な底面を有する後側端部40bと、その端に設けられた側壁42を備えて、傾斜面41を転がり落ちてきた種芋Cの動きをそこで停止させる構成について説明したが、これに限らず例えば、シューターの傾斜面の途中に水平な底面を有する部分(図示省略)を設けたり、種芋が直線的に転がり落ちるのを阻止する様に傾斜面にジグザグに立てられた複数の直進防止ピン(図示省略)を設けたり、若しくはこれらを組み合わせた構成により、本発明の抑制部を構成しても良い。
【0106】
また、本発明のシャッター部材は、上記実施の形態では、種芋載置台30とシューター40との連接部に配置した場合について説明したが、これに限らず例えば、シューターの傾斜面の途中に設けても良い。
【0107】
また、本発明の弾性部材の一例として、上記実施の形態では、開閉蓋80を常に開く方向に付勢する復元力を発生させる機能に加えて、円形平面部71bの裏面と開閉蓋80との間隔を保つための機能をも兼ね備えたコイル状バネ部材82を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、間隔を保つための機能は、別部材としてのスペーサを用いても良い。
【0108】
また、本発明の弾性部材の一例として、上記実施の形態では、コイル状バネ部材82を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、板状バネ部材を用いても良い。
【0109】
また、上記実施の形態では、種芋飛散防止カバー26aを用いる場合について説明したが、これに限らず例えば、種芋を供給カップ72から植付具26に受け渡す経路を伸縮自在な樹脂製又はゴム製の蛇腹管(図示省略)で構成しても良い。この蛇腹管の上端は、供給カップ72の下端底部の下方近傍に固定された支持ステー(図示省略)に固着するが、下端は植付具26上部のガイド受体(図示省略)に固定する。従って、植付具26が上下動しても、種芋Cの受渡し経路が常にカバ−されていることになるので、種芋植付時の受渡しトラブルが発生しない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明にかかる移植機は、移植対象物の一例である種芋や球根等の移植作業を従来に比べて効率よく行えるという効果を有し、種芋移植機や球根移植機等として有用である。
【符号の説明】
【0111】
1 種芋移植機
2 エンジン
3 主伝動ケ−ス
4 前輪
5 後輪
8 鎮圧輪
9 操縦ハンドル
10 走行エクステンションケ−ス
20 後輪昇降ロッド
30 種芋載置台
31 苗枠ステー
40 シューター
50 シャッター
60 種芋植付装置
70 種芋供給部
71 回転テーブル
80 開閉蓋
90 規制ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植対象物を予め載せておくための載置台と、
前記移植対象物が所定個数ずつ人手により供給される供給カップをループ状に複数個配置した回転可能な回転テーブルを有する供給部と、
一方の端部が前記載置台に連接配置され、他方の端部が前記回転テーブルの上方に配置され、前記載置台の前記移植対象物を、前記一方の端部から前記他方の端部に向けて設けられた傾斜部を利用して前記供給カップに供給するための供給路と、
前記供給部から受け継いだ前記移植対象物を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具とを備えた移植機であって、
前記供給路の途中又は前記他方の端部は、前記傾斜部に沿って前記載置台側から移動してきた前記移植対象物の動きを停止または抑制する抑制部を有し、
前記他方の端部は、前記供給カップ側に開放された開放部を有している、移植機。
【請求項2】
前記回転テーブルの前記回転の中心軸は、前記供給カップの前記ループ状の配列の中心にあり、
前記供給路は、前記中心軸の上方を通過する様に配置されている、請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記抑制部は、前記他方の端部の底面から立ち上がる様に設けられた側壁であり、
前記開放部は、前記側壁に隣接して配置されており、
前記中心軸の上端は、前記底面を回転自在に支持している、請求項2に記載の移植機。
【請求項4】
前記載置台と前記供給路との連接部、又は、前記供給路の途中に設けられて、前記傾斜部に沿って前記他方の端部へ供給されてくる前記移植対象物の量を制限するシャッター部材を備えた、請求項1〜3の何れかに記載の移植機。
【請求項5】
前記供給カップの下面には開口部が形成されており、
前記回転テーブルは、
前記供給カップの前記開口部を開閉するための、前記供給カップの下面側に回動自在に配置された開閉蓋と、
前記開閉蓋を開く方向に付勢する弾性部材とを有し、
前記供給部は、前記回転テーブルの下側に配置された、前記開閉蓋の開く方向の動きを規制する規制部を有する、請求項1〜4の何れかに記載の移植機。
【請求項6】
前記規制部は、
前記開閉蓋が当接するリング状の内周面の一部が、前記開閉蓋が開いている位置に対応して欠如している、前記開閉蓋の前記動きを規制する規制ガイド部材と、
前記開閉蓋が前記内周面に沿って移動する際に、前記規制ガイド部材の前記欠如により前記開閉蓋が閉状態から開く方向への動きを開始する位置を調整する調整部材と、
を有する、請求項5に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−193745(P2011−193745A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61276(P2010−61276)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】