説明

種々に構成できる画像化システム

【目的】 より高い分解能に係るかなりのコスト、光バルブ/パネルの設計に起因するプロジェクタの分解能の限界、高出力の照明に対応するために必要になる冷却システムに係る重量の増加、コストの上昇、および騒音レベルの上昇、などの改善を提供する。
【構成】 隣接マイクロタイルユニットにおいて画像の部位間の自動整列、カラーマッチング、および明るさマッチングの少なくとも1つを行う方法である。この方法は、マイクロタイルユニットのうちの別の1つに隣接している前記各マイクロタイルユニットの側壁へと各画像の縁の一部がはみ出すように、スクリーンをオーバースキャンし、前記画像からの光が、前記側壁を通って前記別のマイクロタイルユニットへと漏れるようにし、前記別のマイクロタイルユニットにおいて、前記光を検出し、前記別のマイクロタイルユニットにおける前記光の検出に応答して前記画像を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、広くは画像化システムに向けられており、さらに詳しくは、複合画像を生成すべく画像の個々の部位を生成するための複数のマイクロタイルユニットを有している画像化システムに向けられている。
【背景技術】
【0002】
情報を表示するために使用される投写型ディスプレイなどの画像化システム(例えば、特許文献1乃至5等参照)について、多数の用途および潜在的用途が存在している。そのような用途として、これらに限られるわけではないが、さまざまな屋内標識(例えば、ショッピングモール、アーケード、など)、運輸標識(例えば、到着/出発時刻、など)、オフィスビルのロビーの標識、制御室、レストランの標識、などが挙げられる。
【特許文献1】米国特許第6,760,075号公報
【特許文献2】米国特許第4,974,073号公報
【特許文献3】国際公開WO2006/115852号公報
【特許文献4】米国特許第5,136,390号公報
【特許文献5】米国特許第6,115,022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
投写型ディスプレイ業界において現時点で支配的な理論的枠組みは、改善が、より高い分解能におけるより大きな光パワー(ルーメン)、および徐々に低下するコストに基づかなければならないというものである。この理論的枠組みは、より大きな表示を最小限の数のプロジェクタを使用して容認できる画像の品質および明るさにて生み出すために、より高い分解能およびより大きなパワーが必要であるという考え方に基づいている。この理論的枠組みは、この業界のよき助けとなっているが、より高い分解能に係るかなりのコスト、光バルブ/パネルの設計に起因するプロジェクタの分解能の限界、高出力の照明に対応するために必要になる冷却システムに係る重量の増加、コストの上昇、および騒音レベルの上昇、などといったいくつかの欠点を有している。
【0004】
さらに、現時点で支配的な理論的枠組みは、不変のサイズおよび構成のディスプレイに基づいている。すなわち、多数の小さなディスプレイをアレイに組み合わせることによって大きなディスプレイをもたらすことが知られている(例えば、WO2006/115852(Ostendo)を参照)が、そのような複数の小さなディスプレイから特別にあつらえた形状および寸法のディスプレイを生成することは、提示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本明細書の一態様によれば、複合画像の個々の部位を生成するための複数の小さな投影装置(本明細書において、「マイクロタイル」ユニットと称される)を有している画像化システムが説明される。それぞれのマイクロタイルユニットが、マイクロタイルユニットをさまざまなサイズの多数の幾何学的構成に配置することができるように、少なくとも1つの他のマイクロタイルユニットへの接続のための連結機構を備えている。他の態様においては、マイクロタイルユニットが、任意の形状およびサイズのマイクロタイルユニットのアレイにおいてコマンド信号およびコンテンツの配布を「自己組織化」するための機能を備えている。用語「アレイ」は、本明細書においては、相互接続されたマイクロタイルユニットの任意の配置を意味して広く使用され、複数のマイクロタイルユニットからなる矩形の構成には限定されない。
【0006】
本明細書において後述される画像化システムは、明るさの改善が、解像度を高めるのではなく必要とされる画素ピッチ(1mmあたりの画素数)にて、きわめて低いコストで、電力の必要性を増すことなく達成(例えば、増加が、ルーメンではなくニトのオーダーである)される新たな理論的枠組みを確立する。
【0007】
本明細書において説明される画像化システムは、低電力の照明を備える低解像度の(安価な)パネルを使用して、きわめて低いコストの投影ディスプレイを実現する新たな理論的枠組みをもたらす。本明細書において説明されるマイクロタイルユニットは、ほぼ任意のサイズおよび形状の低コストなディスプレイを、画像の品質および明るさを犠牲にすることなく可能にするために、再使用および構成変更が可能である。
【0008】
さらなる態様および利点は、添付の図面を参照しつつ本明細書においてさらに詳しく後述されて特許請求の範囲に記載されるとおりの構成および動作の詳細にあり、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下で、好ましい実施形態の詳細な説明を、以下の図面を参照して詳しく説明する。
【図1】本発明の一実施形態による複数のマイクロタイルユニットを有する例示的な画像化システムのブロック図である。
【図2】1対のブロック状マイクロタイルユニットの前方および後方の斜視図を示している。
【図3A】複合画像を生み出すためのマイクロタイルユニットの例示的な構成を示している。
【図3B】複合画像を生み出すためのマイクロタイルユニットの例示的な構成を示している。
【図4A】本発明の第2の実施形態による格子状マイクロタイルユニットを示しており、格子状マイクロタイルユニットの前方および後方の図を示している。
【図4B】本発明の第2の実施形態による格子状マイクロタイルユニットを示しており、表示スクリーンの背面に複合画像を表示するための格子状マイクロタイルユニットのアレイを示している。
【図4C】図4Bのアレイおよびスクリーンの前面の図である。
【図5】格子状マイクロタイルユニットの代替実施形態を示している。
【図6A】それぞれ連続する隣接マイクロタイルユニットにおいて画像の自動整列を達成するためのブロック状マイクロタイルユニットの造作を示す正面図である。
【図6B】同ブロック状マイクロタイルユニットの造作を示す斜視図である。
【図7】例示的な実施形態によるマイクロタイルユニット、入力モジュール、およびシステムコントローラの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明による例示的なマイクロタイルユニットについて、ビデオルーティング/処理モジュールの内部回路を示すブロック図である。
【図9】一実施形態(これに限られるわけではない)による画像化システムのブロック図を示している。
【図10】一実施形態(これに限られるわけではない)による画像化システムのブロック図を示している。
【図11】一実施形態(これに限られるわけではない)によるマイクロタイルのブロック図を示している。
【図12】一実施形態(これに限られるわけではない)によるマイクロタイル光エンジンのブロック図を示している。
【図13】一実施形態(これに限られるわけではない)によるフロントエンド基板における信号のルーティングの枠組みを示している。
【図14】一実施形態(これに限られるわけではない)に従い、画像化システムに複数の入力モジュールが存在する場合に、調停の仕組み(これに限られるわけではない)によってシステムマスターを決定するための方法を示している。
【図15】一実施形態(これに限られるわけではない)による自己組織化の方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、直列に接続された複数のマイクロタイルユニットまたは投影ヘッド1をアレイを形成するように組み立てて有している例示的な画像化システムが示されている。ケーブル5が、マイクロタイルユニット1を任意の順序で接続するために使用されている。一実施形態によれば、データおよびコマンドメッセージの伝送のために4組のツイスト線を有しており、コマンドメッセージがビデオ・データ・ストリームのブランキング期間に埋め込まれる標準的なCAT5のケーブル伝送が使用されている。データの伝送は、好ましくは約5Gpbsの速度で行われる。
【0011】
それぞれのマイクロタイルユニット1は、図7および8を参照してさらに詳しく後述される光エンジンおよび回路(例えば、画像キャプチャ、リサイズ、カラーマッチング、エッジブレンディング、などを提供するためのマイクロプロセッサ、RAMフレームバッファ、およびビデオ処理を備えている)を有している。隣接のマイクロタイルユニット1からケーブル5を介して受信されたデータがバッファされ、直列接続されている次のマイクロタイルユニット1(あるいは、システム制御ユニット7または入力モジュール9)へと伝送される。ビデオ処理回路は、好ましくは、部分画像のキャプチャおよびリサイズ、カラーマッチング、エッジブレンディング、均一性補正、ならびに2Dキーストーニングのためのモジュールを備えている。また、図6Aおよび6Bを参照してさらに詳しく後述されるとおり、色、明るさ、および画像の均一性を、マイクロタイルユニット1間の画像のインテリジェントな自動整列ならびにインテリジェントな明るさおよび色制御を使用して達成することができる。
【0012】
少なくとも1つのシステム制御/電源ユニット7が、さらに詳しく後述されるとおり、電力(例えば、DC48V)を供給するとともに、相互接続されたマイクロタイルユニット1の構成の自動検出を容易にするために、マイクロタイルユニット1のうちの1つの利用可能なポートへと接続される。典型的には、システム制御/電源ユニット7は、ユーザインターフェイス(図示せず)への少なくとも1つのイーサネット(登録商標)、USB、および/または赤外線ポートを備えており、フルサイズの静止画像を生成し(すなわち、SD(セキュアデジタル)フラッシュカードからの画像内容を、表示のためにフレームバッファへと転送し)、さらにOSD(オンスクリーンディスプレイ)のオーバーレイを実現する(OSDによって、ユーザは、ディスプレイの設定を画面上で確認して変更することができる)。
【0013】
さらに、少なくとも1つの入力ユニット9が、マイクロタイルユニット1による表示のためのビデオおよび/または画像のソースを提供するために、マイクロタイルユニット1のうちの1つの利用可能なポートへと接続される。好ましくは、入力ユニット9は、インターレースの解除、スケーリング、フレームレートの変換、などといったビデオ処理を実行する。
【0014】
それぞれのマイクロタイルユニット1は、システム制御/電源ユニット7および入力ユニット9からの電子信号の経路がそれぞれのマイクロタイルユニット1および関連のケーブル5を経由してそれぞれのマイクロタイルユニット1まで延びている限りにおいて、隣のマイクロタイルユニット(あるいは、直列接続されたマイクロタイルユニット1の鎖の任意の場所に接続することができる入力ユニット9またはシステム制御ユニット7)との電子通信のみを必要とする。
【0015】
図2および3を参照してさらに詳しく後述されるとおり、それぞれのマイクロタイルユニット1を相互接続される隣のマイクロタイルユニット1に対して正確に整列させるために、種々の異なる機械的な連結機構が可能である。
【0016】
一実施形態によれば、マイクロタイルユニットが、図2に示されているように「ブロック状」のマイクロタイルユニット21の形態である。連結機構23によれば、それぞれのマイクロタイルユニットのそれぞれの側面の突起の形状に基づいて、マイクロタイルユニット21を他のマイクロタイルユニットに対して位置合わせおよび整列させることが可能である。それぞれのマイクロタイルユニット21の前面は、内蔵のスクリーン24を有している。小型のリアプロジェクタ(光源、光バルブ、光学系、および関連の電子機器を備えている)が、スクリーン24へと画像を投影するためにそれぞれのマイクロタイルユニット21に設けられている。例示的な実施形態によれば、光源がLEDを使用して実現されるが、レーザまたは他の光源の使用も可能であると考えられ、その選択および実現は、当業者の知るところであると考えられる。
【0017】
1対のLED26および光検出器28が、さらに詳しく後述されるとおりにマイクロタイルユニット1の自動管理および構成を可能にするために、上面、底面、左側面、および右側面のそれぞれに設けられている。
【0018】
やはりさらに詳しく後述されるとおり、それぞれのマイクロタイルユニット21は、図3Aおよび3Bに示されているように、複合画像の一部分(好ましくは、小さな画素ピッチ(1mm未満)を可能にすべくSVGAの解像度で)を投影する。マイクロタイルユニット21が、必ずしも矩形の構成に配置される必要がないため、ディスプレイの設計に関して大いなる柔軟性がもたらされている(図3A)ことに、注目すべきである。
【0019】
成功した試作品によれば、それぞれのブロック状マイクロタイル21が、4:3のアスペクト比を有する画像を投影する約400mmの対角寸法を有しているが、他の寸法およびアスペクト比も考えられる。しかしながら、或る範囲の表示のサイズおよび形状が提供可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。図3Aに示したような屋内ディスプレイにおいては、500ニトの明るさが十分であると考えられるが、照明源、光学的設計、および画面サイズに応じて、他の明るさも提供可能である。
【0020】
図4Aに目を向けると、「格子状」マイクロタイルユニット41の実施形態実施形態が示されており、図4Bおよび4Cに示されているとおり、他の格子状マイクロタイルユニットとの接続が可能である。格子状マイクロタイルユニット41の機能は、図2のブロック状マイクロタイルユニット21と同様である。しかしながら、格子状マイクロタイルユニット41には、内蔵のスクリーンは存在していない。筒状の連結機構43が、相補形状をしたねじ山付きの雄部分44および雌の連結スリーブ46によって、隣接するマイクロタイルユニット41の間の相互接続を可能にしている。小型のリアプロジェクタ47(光源、光バルブ、光学系、および関連の電子機器を備えている)が、遠隔スクリーン(図4Bおよび4Cに示されているスクリーン49など)へと画像を投影するために、それぞれのマイクロタイルユニット41に設けられている。上述のように、それぞれのマイクロタイルユニット41が、複合画像の一部分を遠隔スクリーン49へと投影する。図4Bおよび4Cは、スクリーン49へと画像を投影する相互接続された格子状マイクロタイル41のアレイを示している(図4Bは、スクリーン背面への投影を示す図であり、図4Cは、スクリーン前面に表示される画像を示している)。
【0021】
図5は、マイクロタイルユニット42のさらなる代替実施形態を示しており、ブロック状マイクロタイルユニット21のように、光エンジンおよび回路ならびに内蔵のスクリーン24を有する前面を取り入れてなるブロックの形状であるが、図4の格子状マイクロタイルの実施形態のように、筒状の連結機構43を備えている。他にも多数の構成を採用することが可能である。
【0022】
すでに軽く触れたとおり、連続する隣接マイクロタイルユニットにわたる画像の自動整列を、ロール、ピッチ、およびヨーによる画像の上方、下方、右方、左方への電子的調節によって達成することができる。これにより、高価な機械的調節の必要性が劇的に低減または除去され、ズーム誤差の簡単な補正がもたらされる。
【0023】
(ブロック状マイクロタイルユニット21において使用するための)そのような整列プロセスの1つは、図6Aおよび6Bに示されているように、それぞれの画像(例えば、線60)の縁のわずかな部分がマイクロタイルユニットの側壁へとはみ出し、光が側壁のピンホール62を通って(例えば、61において)こぼれて、隣のスクリーンの小さな開口65に配置されたセンサ63によって検出されるよう、スクリーン24をわずかにオーバースキャンすることを必要とする。はみ出し領域の画像の内容を制御することによって、センサ63が、画像が適切に整列したことを検出する。これらのピンホール/センサのペアをいくつか使用することによって、キーストーニングを検出して、調節することができる。ピンホール62を通ってこぼれる光の色強度を検出することによって、システムは、一貫した強度および色のための自動調節を行うことができる。あるいは、センサを投影システムと同じキャビネットに配置し、ブロックそのものの内部での自動整列のみを行うことも考えられる。
【0024】
(格子状マイクロタイルユニットにおいて使用するための)他の整列プロセスは、連続するマイクロタイルユニットによってスクリーン49へと投影される画像の一部分を重ならせ、公知のエッジブレンド技法を使用して、画像の部位の間に知覚される境界を除去することを必要とする。そのようなエッジブレンド技法の例が、「Seamless Video Display」という名称の米国特許第4,974,073号、「Adjustable Multiple Image Display Smoothing Method and Apparatus」という名称の米国特許第5,136,390号、「Method and Apparatus for Adjusting Multiple Projected Raster Images」という名称の米国特許第6,115,022号、および「Method and Apparatus for Seamless Integration of Multiple Video Projectors」という名称の米国特許第6,760,075号に記載されている。
【0025】
画像の均一性は、注意深い光学的設計および電子的な画像の調節、ならびに(視認の角度、コントラスト、および関連の問題を慎重に検討した)スクリーン設計によって達成できる。これらの要因を注意深く考慮することが、「ホットスポット」を防止し、周囲の光からの反射および望ましくないスクリーン間のばらつきを最小限にしつつ、好ましい複数タイルのディスプレイを達成するために重要である。これを達成するために、「光学」スクリーン設計を使用することが可能である(すなわち、例えば最適な視認条件のために表示画像の質を向上させるべく光の経路を制御するなど、所定の光学的機能を達成するように設計された単一素子または複数素子のリアプロジェクション・スクリーン)。
【0026】
本発明の重要な態様によれば、マイクロタイルユニット1のアレイが、マイクロタイルユニットの数および構成に基づいて自己組織化を行う。自己組織化および構成の1つの例示的な方法は、システム制御ユニット7の制御のもとで実行されるが、自己組織化および構成を、相互接続されたマイクロタイルユニット1の間の分散プロセスとして実行することも可能である。
【0027】
マイクロタイルユニット1の自己組織化および構成の例示的な方法は、アドレス割り当て、モジュール識別、およびアレイマッピングという3つの段階を含んでいる。これら3つの段階が完了すると、システム制御ユニット7は、検出されたアレイの形状および大きさに応じて、アレイの全体にわたってコマンド信号および画像内容を配布する目的のために、相互接続されたマイクロタイルユニット1の完全なマップを有している。システム制御ユニット7は、自己組織化プロセスを、起動の手順の一部として開始させる。好ましくは、入力モジュール9およびマイクロタイルユニット1が、ホットプラグに対応しており、必要に応じて自己組織化プロセスへと戻るために、ユーザインターフェイスの選択肢を設けることができる。
【0028】
アドレス割り当てステップにおいて、システム制御ユニット7は、直列接続されたユニットの「鎖」においてシステム制御ユニット7が接続されている最初の「左方向」のモジュール1(すなわち、図1のユニット1A)へと、「自動アドレス1」コマンドを発する。受信ユニット1Aは、自身の内部アドレスを「1」に設定することによって応答し、デイジーチェーンで(すなわち、自身の出力ポートへと接続されたケーブルを介して)接続されている次のモジュール(ユニット1B)へと「自動アドレス2」コマンドを送信する。ユニット1Bは、「自動アドレス2」コマンドを受信すると、自身の内部アドレスを「2」に設定し、「自動アドレス3」をユニット1Cへと送信する。次いで、ユニット1Cが、鎖における次のマイクロタイルユニットを設定し、以下同様である。この方法で、すべてのマイクロタイルユニット1(および、システム制御ユニット7の左側のすべての入力モジュール9)に、固有のID番号が割り当てられる。
【0029】
モジュール識別段階において、システム制御ユニット7は、アドレス1、2、3、などのモジュールに自身の身元を明らかにするように要求することによって、システム制御ユニット7へと接続されているモジュールを判断する。上述のように、アドレス割り当て段階において、それぞれのマイクロタイルユニット1A、1B、など(および、接続されている任意の入力モジュール9)が、固有の識別コードを返すようにプログラムされている。これにより、システム制御ユニット7は、アドレス1、アドレス2、アドレス3、などに何が接続されているかを知ることができる。要求に対する応答がない場合、システム制御ユニット7は、鎖の終わりに達したことを知ることができる。
【0030】
システム制御ユニット7の左側に接続されたすべてのアイテムについて、アドレスの割り当ておよび識別が完了すると、この自己組織化プロセスの全体が、システム制御ユニットの右側の任意のユニット(マイクロタイルユニット1および/または入力モジュール9)について繰り返され、ここで右側の最初のユニット(すなわち、図1のユニット1F)には、次の続きのアドレスが割り当てられる。
【0031】
アレイマッピング段階は、接続されているすべてのマイクロタイルユニット1の間の空間的関係を明らかにするために使用される。図2に関して簡単に説明したように、LED26および光検出器28のペアが、マイクロタイルユニット1の各表面に設けられている。アレイマッピング段階の一実施形態によれば、それぞれの個々のマイクロタイルユニット1の上面および左側面のLED26と、それぞれのマイクロタイルユニットの底面および右側面の光検出器28とが、光検出器がLEDによって発せられる波長を受感するようにペアにされる。LED26および光検出器28は、アレイ内の任意の所与のLED26について、このLED26を「視認」できる光検出器28が1つだけであるよう、マイクロタイルユニットの上面および左側面のLEDが、それぞれ上および左に隣接するマイクロタイルユニットの光検出器に整列するように配置されている。
【0032】
LED26および光検出器28のペアを、シリアル・データ・ケーブル5の代替として、それぞれのモジュール1、7、および9の間でビデオおよびコマンド信号を光学的に通信するために使用することも可能である。
【0033】
アレイマッピング段階は、システム制御ユニット7がマイクロタイルユニット1Aに対して上面のLED26を動作させるようコマンドを送信することによって開始される。次いで、システム制御ユニット7は、残りのすべてのマイクロタイルユニット1に対して問い合わせを行い、発光したLEDを検出(すなわち、関連の光検出器28を介して)できるマイクロタイルユニットがどれかを確かめる。上述したLEDおよび光検出器の整列ゆえ、肯定の応答を返すマイクロタイルユニット1は1つだけである(あるいは、肯定の応答を返すマイクロタイルユニットが存在しない)。これにより、システム制御ユニット7は、どのマイクロタイルユニット(すなわち、ユニット1B)がユニット1Aの直上に位置しているのかを知る。次いで、システム制御ユニット7は、マイクロタイルユニット1Aに対し、上面のLED26をオフにして左側面のLED26を点灯させるように指令する。さらなる問い合わせが、マイクロタイルユニット1Aのすぐ左に位置するユニットのアドレスを明らかにするために、システム制御ユニット7によってマイクロタイルユニットのアレイへと送信される。肯定の応答を返すマイクロタイルユニットが存在しない場合、システム制御ユニット7は、ユニット1Aの左側に隣接するユニットが存在せず、したがってアレイにすき間または外縁が存在することを知る。次いで、システム制御ユニット7は、ユニット1Bについてこのプロセスの繰り返しを続ける。この手順をアレイ全体について実行することによって、システム制御ユニット7は、アレイが物理的にどのように構成されているのかを正確に示すマップを作り上げる。後に、この情報が、それぞれの個々のマイクロタイルユニットに担当させるべき画像の部位を決定して、その情報をそれぞれのマイクロタイルユニット1へと中継するために、システム制御ユニット7によって使用される。
【0034】
アレイマッピング段階を、必ずしもLEDおよび光検出器によって実行する必要はないことを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、一式の電気接点を使用することも可能(特に、図4の格子状のマイクロタイルの実施形態において)であり、他の同様な物理的検出も、どのユニットが互いに物理的に隣接しているのかを明らかにするために使用することができる。
【0035】
図7に目を向けると、例示的な実施形態によるマイクロタイルユニット1、入力モジュール9、およびシステムコントローラ7の構成について、電子コンポーネントを示すブロック図が提示されている。それぞれのマイクロタイルユニット1、入力モジュール9、およびシステムコントローラ7には、ビデオおよびコマンド信号について受信、送信、および動作を行うために、PLD/ASIC71およびフレームバッファ73を有するビデオルーティング/処理モジュール(その詳細は、図8に示されている)が組み込まれている。それぞれのビデオルーティング/処理モジュールの機能回路は、同一であるが、ビデオおよびコマンド信号に対して、マイクロタイルユニット1、入力モジュール9、またはシステムコントローラ7としての「個性」に応じて動作する。すなわち、それぞれのマイクロタイルユニット1のビデオルーティング/処理モジュールは、DVIコネクタ79を介して該当の光エンジンへとビデオ信号を伝送するため、デジタル−アナログ変換器(DAC)75およびDVIトランスミッタ77を有する該当のモザイク表示モジュールと通信する。同様に、それぞれの入力モジュール9は、PCなどといったソースからDVIコネクタ79を介してビデオ信号を受信するためのDVIレシーバ81を備えており、それぞれのシステムコントローラ7は、自身のビデオルーティング/処理モジュールを介して他のユニットとコマンド/制御メッセージを交換するためのCPU83を備えている。
【0036】
ビデオ信号は、入力バス85を介してビデオルーティング/処理モジュールへと入力され、出力バス87を介してビデオルーティング/処理モジュールから出力される。CPUコマンド信号は、制御バス89を介して交換される。
【0037】
図8に目を向けると、例示的なビデオルーティング/処理モジュールの詳細が示されている。テストパターンブロック101が、モジュールの相互接続のテストのためのテスト画像を生成するために使用され、画像の形状補正のための調整などにおいて、助けとして使用される。
【0038】
クロスポイントスイッチ103が、制御ロジック105の制御のもとでマルチプレクサとして機能する。制御ロジック105が、さらに詳しく後述されるとおり、「マスターモード」または「スレーブモード」のいずれかでビデオルーティング/処理モジュールの動作を制御する。
【0039】
自動設定ブロック107が、DVIレシーバ81から入力バス85を介して入力ビデオ信号を受信し、ビデオフォーマット(例えば、VGA、XGA、など)の自動検出を実行し、ビデオ信号を隣接するマイクロタイルユニット1での表示のために最適化する。ビデオ信号は、入力ビデオソースのタイミングを内部プロセッサクロック(CLK)に同期させるためにFIFO109へとロードされ、FIFO109からクロスポイントスイッチ103へと出力される。選択肢として、自動設定ブロック107の機能を、DVI入力モジュールへと直接取り入れてもよい。
【0040】
PCS(物理符号化副層)ブロック111が、ケーブル5、クロスポイントスイッチ103、および制御ロジック105の信号の間のインターフェイスをもたらす。PCSブロック111は、それぞれのシリアルケーブル5のために、1対のCDR(クロック・データ・リカバリ)デコーダ回路および1対のシリアル化エンコーダ回路を備えている。PLL113(位相ロックループ)が、それぞれのデコードおよびエンコード回路へと接続され、多数のシリアル・データ・ストリームの適切な同期をもたらす。次いで、下方のCDRデコーダ回路(Ser1Rx2およびSer2Rx2)が、コマンド抽出ブロックへと接続される一方で、下方のシリアル化エンコーダ回路が、コマンド挿入ブロックからの信号を受信する。ケーブル5から受信されたパケット化されたデータが、クロスポイントスイッチ103へと加えられる前に、データアンパック化ブロックによってアンパックされる。対照的に、クロスポイントスイッチ103から受信される信号は、ケーブル5による伝送のために、データパケット化ブロックにおいてパケット化される。
【0041】
ビデオルーティング/処理モジュールが制御モジュール7の一部を形成する「マスターモード」での動作の場合には、コマンドデータが、CPU83の制御のもとで、それぞれコマンド抽出および挿入ブロックによって、ケーブル5によって運ばれるビデオ信号のビデオブランキング期間から抽出され、データストリームへと挿入される(例えば、8B10Bエンコーディングを使用して)。ビデオルーティング/処理モジュールがマイクロタイルユニット1または入力モジュール9の一部を形成する「スレーブモード」での動作の場合には、ビデオストリームに埋め込まれたコマンドデータ(例えば、マイクロタイルユニット1の自己組織化および構成において使用される「自動アドレス」コマンド)が、抽出されて制御ロジック105へと加えられる。さらに詳しくは、データパケット化およびデータアンパック化ブロックが、8B10B方式でエンコードされたデータブロックとラスター走査ビデオデータ信号方式との間の必要な変換を実行する。
【0042】
CPUインターフェイス115が、制御ロジック105とCPU83との間でコマンドを交換する(ビデオルーティング/処理モジュールが制御モジュール7の一部を形成する場合)。レジスタファイル117が、制御ロジック105のための構成および設定を保存する。
【0043】
OSD(オンスクリーンディスプレイ)モジュール119が、種々のマイクロタイルユニット1へと伝送されるビデオデータに、CPU83によって生成されるユーザメニューを重ねる。
【0044】
3×3のFIRフィルタ121が、この技術分野において公知のとおり、キーストーン補正を可能にすべく入力ビデオ信号のアンチエイリアシングを行うために設けられている。さらなるFIRフィルタ123が、図6Aおよび6Bに関して上述した整列プロセスから受信される情報に基づいて、バイリニア画像スケーリング(2×2のスカラーフィルタ)および回転(キーストーン補正)を実行する。フレームバッファ73が、必要とされる画像の一部分を保存し、必要なフィルタ係数をフィルタ123へとダウンロードする。スケーリングの後に、フィルタ123は、画像の鮮明さを高めるために、出力ビデオ信号についてさらなる高域通過フィルタ操作を実行する(3×3のシャープネスフィルタ)。
【0045】
フィルタ123から出力されるフィルタ処理済みの信号が、カラーマッチング、エッジブレンディング、均一性補正、およびガンマ補正のために、ラインバッファ124を介してブロック125へと加えられる。カラーマッチングのために、ブロック125は、図6Aおよび6Bに関して上述したセンサからの入力に基づいて3×3(RGB)の色補正マトリクスを提供し、マイクロタイルユニット1に関する製造公差ならびに照明光源における温度および経年の影響に起因する色差を補正する。エッジブレンディングは、この技術分野において公知のとおり、図4A、4B、および4Cの「格子状」マイクロタイルの実施形態において使用される。同様に、ガンマ補正は、従来どおりの方法で実行される。
【0046】
出力タイミングブロック127が、さまざまなディスプレイの種類およびプログラム可能な出力タイミングに対応するために、さらなるPLLを備えている。
【0047】
好ましくは、モジュールが、入力または出力のいずれかに設定できる一式のIOポートを提供するため、および米国特許第4,689,740号に記載のI2C(集積回路間)、シリアル・コンピュータ・バス133などといった一般的なバスプロトコルをサポートするために、GPIO(汎用入出力)ブロック129をさらに備えている。
【0048】
IRレシーバ131が、関連のモジュール1、7、または9を遠隔制御するために設けられている。
【0049】
ファン135が、周知の様相でモジュール(マイクロタイルユニット1、システム制御ユニット7、または入力モジュール9のいずれでも)に冷却をもたらしている。
【0050】
図示されていないが、GPIO129、IRレシーバ132、およびI2Cインターフェイス133は、制御ロジック105へと接続されている。
【0051】
当業者であれば、これまでに示した実施形態の説明を検討することによって、変種および代案の実施形態に想到できるであろう。例えば、図1の実施形態は、複数のマイクロタイルユニット1の間で分配されるただ1つの電源7を備えているが、特に小さなマイクロタイルユニット1の構成のために、それぞれのマイクロタイルユニット1に自身の電源を組み込みことができると考えられる。同様に、上述したマイクロタイルユニット1の照明は自己完結であるが、1つ以上の光源からの光を複数のマイクロタイルユニット1へと分配してもよいと考えられる。そのような変種および代案の実施形態は、本明細書の範囲に包含される。
【0052】
次に、図9に目を向けると、特定の実施形態(本発明が、この実施形態に限られるわけではない)による画像化システム900のブロック図が示されている。このシステム900は、図1に示したシステムに類似しており、同様の構成要素は同様の符号(ただし、プライム符号「’」が付されている)を有している。例えば、システム900のマイクロタイルユニット1’A、1’B、など(それぞれを、大まかにマイクロタイルユニット1’と称することがあり、すべてをまとめてマイクロタイルユニット1’と称することもある)は、図1のマイクロタイルユニット1と同様である。図1に示したシステムの構成要素とシステム900の構成要素との間の相違を、以下で説明する。一般に、システム900は、マイクロタイルユニット1’のアレイと、少なくとも1つの入力モジュール9’と、信号ハーネス5’(例えば、図のケーブル5)と、電源ハーネス910とを有している。
【0053】
信号ハーネス5’は、マイクロタイルユニット1’および入力モジュール9’の間でデータ信号(例えば、ビデオ信号)を伝えることができるようにし、マイクロタイルユニット1’を任意の順序で互いに接続できるようにし、さらにマイクロタイルユニット1’を入力モジュール9’に接続できるようにする複数のケーブルを有している。電源ハーネス910は、電力をマイクロタイルユニット1’へと供給できるようにする複数のケーブルを有しており、任意の順序でマイクロタイルユニット1’へと接続され、入力モジュール9’へと接続される。信号ハーネス5’および電源ハーネス910は、さらに詳しく後述される。
【0054】
図1のマイクロタイル1に関して上述したように、マイクロタイルユニット1’は、おおむね自己組織化である。それぞれのマイクロタイルユニット1’は、内蔵の小さなディスプレイユニットおよび少なくとも2つの信号ポート920を有しており、信号ハーネス5’を信号ポート920へと接続することができる。信号ポート920は、おおむね入れ換え可能であり、信号ハーネス5’の接続の順番は重要でない。それぞれの信号ポート920は、マイクロタイルユニット1’が接続されたときにシステム900を通って双方向にデータが流れることができるよう、例えば入力チャネルおよび出力チャネルを介して、双方向のデータの流れを可能にする。いくつかの実施形態においては、それぞれの信号ポート920が、ビデオデータ(例えば、ビデオ信号)の双方向の流れを可能にし、それぞれの信号ポート920が、5Gbpsの入力チャネルおよび5Gbpsの出力チャネルを有している。しかしながら、データレートは、特に限定されるものと考えるべきではない。一般に、信号ポート920のうちの1つが、アクティブなソースとして指定され、このアクティブなソースに関連付けられたチャネルのデータ(例えば、ビデオ信号)が、マイクロタイルユニット1’に表示される。
【0055】
さらにマイクロタイルユニット1’は、アクティブリレーとして、鎖の上流および下流の両方向にデータを伝えることができる。これにより、ケーブル布設および信号の減衰の恐れを最小限にしつつ、マイクロタイルユニット1’のアレイの全体へとビデオ信号を確実に分配することができる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、マイクロタイルユニット1’においてマイクロタイルユニット1’の表示面に隣接するそれぞれの面(例えば、上面、底面、左側面、および右側面)が、光検出器を有している(図示されていないが、ブロック状マイクロタイルユニット21において表示面に隣接する2つの隣接する面のそれぞれが光検出器を有しているブロック状マイクロタイルユニット21の実施形態についての図2を参照されたい)。一般に、光検出器は、アレイ内の任意の隣接するマイクロタイルユニット1’からの迷光を検出するように整列させられる。この配置構成によって、マイクロタイルユニット1’の自己組織化が上述のように、しかしながら後述のようにシステム900の入力モジュール9’を使用して可能にされる。
【0057】
自己組織化から集められる情報によって、個々のマイクロタイルユニット1’は、アレイにおける自身の位置を「理解」する(例えば、それぞれのマイクロタイル1’に、自己組織化の結果としてのアレイデータがもたらされる)。さらに、個々のマイクロタイルユニット1’は、ビデオ信号の特性を「理解」する(例えば、それぞれのマイクロタイル1’が、ビデオ信号を処理することができる)。これら2つの情報を使用して、それぞれのマイクロタイルユニット1’は、主画像のうちの自分自身の部分を選択してサブ画像を生成するために、ビデオ信号内の入力画像を切り取ることができ、次いで自分自身の表示スクリーンを満たすようにサブ画像を拡大することができる。図8のDDRインターフェイスを備えるマイクロタイルユニット1’の実施形態においては、DDRインターフェイスが、主画像のうちの自分自身の部分を選択してサブ画像を生成し、次いでマイクロタイルユニット1’の表示スクリーンを満たすようにサブ画像を拡大するために、ビデオ信号内の入力画像の切り取りを可能にする。
【0058】
システム900は、少なくとも1つの入力モジュール9’を有している。入力モジュール9’は、上述した入力モジュール9と同様であるが、入力モジュール9’は、上述したシステム制御の機能をさらに可能にする。すなわち、入力モジュール9’は、マイクロタイルユニット1’に表示すべきデータ/ビデオ信号/画像のソースとして機能する一方で、自己組織化プロセスを補助する。
【0059】
入力モジュール9’は、通常は、例えば適切な壁コンセントへと差し込むことができるコネクタなど、適切なコネクタ925によって電源へと接続することができる。さらに入力モジュール9’は、電源ハーネス910へと接続できるコネクタ926を有しており、コネクタ926が、コネクタ925からの電力を電源ハーネス910へと伝えることができるようにし、マイクロタイルユニット1’へと電力を供給する。
【0060】
いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’が、例えば少なくとも1つのデータ入力ポート930を介して、これに限られるわけではないが標準的なビデオソースなどのデータソースを、マイクロタイルユニット1’のアレイへと接続できるようにする。これらの実施形態の一部では、入力モジュール9’を、特定的に有効にされた入力ポート930を介して、任意の適切な所望の仕様に従って、特定のデータソースをアレイへと接続するように構成することができる。しかしながら、入力ポート930の数は特に限定されず、1つのデータ入力ポート930からデータ入力ポート930の任意の所望の組み合わせまでの範囲であってよい。例えば、いくつかの実施形態においては、少なくとも1つのデータ入力ポート930が、DVI入力、HDMI入力、VGA入力、CVBS入力、Sビデオ入力、コンポーネント入力、USB入力、シリアル入力、および/またはイーサネット(登録商標)入力からなる任意の所望の組み合わせを含んでいる。さらに、少なくとも1つのデータ入力ポート930および/または少なくとも1つのデータ入力ポート930を通って伝えられる任意のデータ/ビデオ信号の構成および/または規格は、特に限定されるわけではなく、実際のところ、当業者であれば想到できる他の放送規格/データ入力ポートの構成が、これらの実施形態の範囲に包含される。例えば、SDIまたはHDSDIなどのビデオおよび/または放送規格が望まれるのであれば、入力モジュール9’を同じ方法で適合させることが可能である。
【0061】
入力モジュール9’を介してアレイへと接続されるビデオソースの観点からは、マイクロタイルユニット1’のアレイは、ただ1つのビデオモニタのように見えるであろう。さらに、システム900を、拡張ディスプレイ識別データ(EDID)をサポートできるようにすることができる。EDIDの内容を、当業者にとって公知のとおり、アレイにおけるマイクロタイルユニット1’の配置構成を反映させるべく更新することができ、さらにこれらの実施形態においては、EDIDが好ましいビデオ解像度を指定することができる。
【0062】
いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’を、フラッシュメモリまたはハードディスクの再生に合わせて構成することができる。例えば、入力モジュール9’が、あらかじめ描かれた内容(例えば、グラフィック、画像、ビデオ、など)を含んでいるフラッシュメモリカードを有することができる。さらに、入力モジュール9’によって、マイクロタイルユニット1’のアレイを一連のグラフィック、画像、ビデオ、など(例えば、スライドショー)を設定された速度で巡回させることができるようにしてもよい。このような構成は、システム900を、外部のデータソースを必要とせずにスタンドアロンモードで動作できるようにする。フラッシュメモリカードの内容の更新は、任意の適切な通信規格およびデータ入力ポート930(例えば、これらに限られるわけではないが、USB、イーサネット(登録商標)、WiFi、など)によって実行することができる。いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’が、記憶媒体(ハードディスク、USBメモリ、CFフラッシュ、など)からのビデオのストリーミングを可能にし、あるいはネットワークインターフェイス(イーサネット(登録商標)、USB、WiFi、など)からの圧縮ストリーミングビデオを受け付けることができる。
【0063】
さらに、入力モジュール9’は、少なくとも1つのデータ入力ポート930を介して受信したデータ信号を、マイクロタイルユニット1’での処理および表示に適した出力データ信号へと加工することができる。例えば、入力モジュール9’を、ビデオ信号をマイクロタイルユニット1’での表示に適した出力ビデオ信号へと加工できるようにすることができる。実際、ビデオ処理を入力モジュール9’に集約させることは、システム900などの画像化システムにおいて通常は存在する入力モジュール1’の数が存在するマイクロタイルユニット1’の数よりも少ないため、好都合であり費用対効果が高い。例えば、特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、1つの入力モジュール9’を、20ものマイクロタイルユニット1’へと接続することが可能である。しかしながら、入力モジュール9’へと接続できるマイクロタイルユニット1’の数は、特に限定されるものではない。
【0064】
したがって、入力モジュール9’を、これらに限られるわけではないが色空間変換、ノイズ低減、および/または細部の強調、などといった複数のビデオ処理の特徴を可能にするようにできる。さらに、いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’を、縮小および/またはフレームレート変換を可能にするようにできる。さらなる実施形態においては、入力モジュール9’を、特定の用途の画像品質の要件に応じた特定のビデオ処理の特徴の組を備えるように構成することができる。またさらなる実施形態においては、入力モジュール9’を、インターレースのビデオソースのマイクロタイル1’のアレイへの接続を可能にするようにできる。これらの実施形態のいくつかにおいては、入力モジュール9’が、インターレース解除のロジックを可能にする。
【0065】
したがって、入力モジュール9’は、信号ハーネス5’へと接続されて、出力データ信号をマイクロタイルユニット1’へと分配できる少なくとも1つの信号ポート935をさらに有している。いくつかの実施形態においては、出力データ信号がビデオ信号を含んでおり、特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、出力データ信号が、プログレッシブ走査の24ビットのRGBビデオを含んでいる。いくつかの実施形態においては、上述のとおりのシステム900におけるデータの流れの双方向の性質ゆえ、少なくとも1つの信号ポート935が、さらにマイクロタイルユニット1’のアレイからのデータ信号を受信することができ、マイクロタイルユニット1’のアレイからのデータ信号は、通常は、マイクロタイルユニット1’から受信されるコマンド信号を含んでいる。いくつかの実施形態においては、マイクロタイルユニット1’のアレイからのデータ信号が、後述されるとおり、マイクロタイルユニット1’からのコマンド信号が挿入された出力データ信号を含んでいる。
【0066】
さらに、入力モジュール9’を、フルサイズ画像の描画が可能であるようにでき、これは、フラッシュカードに保存され、あるいはUSBポートなどの少なくとも1つのデータ入力ポート930を通ってダウンロードされるあらかじめ描かれた素材からの低フレームレートの画像の生成を可能にする。
【0067】
さらに、入力モジュール9’は、物理的または電気的あるいは組み合わせのユーザインターフェイスを有することができる。例えば、特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、入力モジュール9’を、例えばマイクロタイルユニット1’のアレイ、マイクロタイルユニット1’のアレイの所与のマイクロタイルユニット1’、および/または例えばUSBポート、シリアルポート、イーサネット(登録商標)ポート、などを介して入力モジュール9’へと接続された外部の表示装置に、オンスクリーンディスプレイ(OSD)を生成できるようにすることができる。
【0068】
特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、入力モジュール9’が、ユーザ制御のためにUSB1.2のデバイスポート、シリアルポート、およびイーサネット(登録商標)10/100/1000ポートを有している。システム900の特徴を、これら3つのポートのいずれかを通じて指定および制御することが可能であってよい。いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’が、システム900の遠隔制御のためにブルートゥース2.1による通信が可能であってよい。
【0069】
さらなる実施形態においては、入力モジュール9’が、ファームウェアの現場でのアップグレードを可能にするUSB2.0のホストポートを有している。USB2.0のホストポートは、半静止の表示のためにあらかじめ描かれたコンテンツをダウンロード可能であってよい。あらかじめ描かれたコンテンツは、任意の適切なファイルフォーマット(例えば、JPEG、JPEG2000、TIFF、PDF、など)であってよい。
【0070】
マイクロタイルユニット1’の間の通信は、通常は、信号ポート920および信号ハーネス5’を介して行われ、入力モジュール9’とマイクロタイルユニット1’との間の通信は、信号ポート935、信号ポート920、および信号ハーネス5’を介して行われる。特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、信号ポート920および信号ポート935のそれぞれが、シリアル・ビデオ・インターフェイスを有している。上述のように、ビデオ信号/ストリームのブランキング期間の最中に、コマンドを入力モジュール9’および/またはマイクロタイル1’によってビデオストリームへと挿入することができ、別のマイクロタイルユニット1’(例えば、次のマイクロタイルユニット1’)において抽出することができる。DHCPを有するTCP/IPを、個々のマイクロタイルユニット1’の指定を可能にし、さらに特定のマイクロタイルユニット1’へのコマンドの送信を可能にするために、それぞれのマイクロタイルユニット1’に一意のアドレスを割り当てるために使用することができる。
【0071】
信号ハーネス5’が、マイクロタイルユニット1’間のデータおよびコマンド信号の伝達を可能にするが、マイクロタイルユニット1’の接続の順序は、通常は重要でない。特定の例示的な実施形態においては、マイクロタイルユニット1’が、デイジーチェーンの構成で接続される。図1に示したブロック図が、デイジーチェーン構成の一例を示しているが、任意の順序が、基本的な動作のために同様に容認できると考えられる。いくつかの実施形態においては、複雑な動作モードのために、特定の配線の枠組みが必要とされるかもしれない。例えば、図10を参照されたい。
【0072】
いくつかの実施形態においては、信号ハーネス5’が、100オームの差動インピーダンスの4つのワイヤペアを有しており、5mの距離において1ペアにつき2.5Gbpsのデータを維持することができる。好ましい実施形態においては、信号ハーネス5’が、万一のケーブルの損傷または喪失の場合に、ユーザが現場にて交換部品を容易に見つけることができるよう、一般的に入手可能な種類である。いくつかの実施形態においては、信号ハーネス5’が、CAT5ケーブルおよび/またはクロスオーバーのCAT6ケーブルを有しているが、他の任意の適切なケーブルも、これらの実施形態の範囲に包含される。
【0073】
特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、それぞれのマイクロタイルユニット1’が、自身の汎用電源(110V〜240V、50Hz/60Hz)を有することができる。さらに、電源ハーネス910が、1対1の関係で、それぞれのマイクロタイルユニット1’のための少なくとも1つの電源分岐ケーブル940を有している。電源分岐ケーブル940は、T字の分岐を形成し、T字の一端をマイクロタイルユニット1’の背面に差し込むことができる。電源分岐ケーブル940の残りの2つの端部によって、電源ハーネス910は、他のマイクロタイルユニット1’(例えば、隣のマイクロタイルユニット)とデイジーチェーンを形成することができる。電源分岐ケーブル940のそれぞれの枝は、1つの方法でしか接続することができない固有のコネクタを備えることができる(すなわち、電源分岐ケーブル940が、ただ1つの構成でのみ設置可能である)。デイジーチェーンに接続できるマイクロタイルユニット1’の数は、特に限定されないが、マイクロタイルユニット1’の電源および/または入力モジュール9’の電源および/またはコネクタ925を介して利用できる電力に基づき、限界が存在すると考えられる。また、1つのデイジーチェーン状のマイクロタイルユニット1’の数は、電源分岐ケーブル940用として選択されたワイヤの番手、ならびに設置場所の安全規則によっても制限されるであろう。
【0074】
いくつかの実施形態(これらに限られるわけではない)においては、さらにシステム900が、少なくとも1つのライン・コード・アダプタ・モジュール(図示せず)を有することができ、1つのライン・コード・アダプタ・モジュールで所与の数のマイクロタイルユニット1’に電力を供給することができる。いくつかの実施形態においては、ライン・コード・アダプタが、デイジーチェーンの最初の電源分岐ケーブルの1つの始発の枝を、標準的な壁コンセントへと差し込むことができるようにする。ライン・コード・アダプタ・モジュールを、利用可能な特定の種類の壁コンセント(例えば、国が異なると壁コンセントの種類も異なる)および壁コンセントを介して利用できる電力のパラメータに合わせて構成できる。いくつかの実施形態においては、ライン・コード・アダプタが、リセット付きの適切なアンペア数(例えば、12アンペア)の回路遮断器および警報LED表示器を備えることができる。この回路遮断器は、ライン・コード・アダプタへと接続されるマイクロタイルユニット1’が多すぎる場合(すなわち、1つの回路に過剰に多数のマイクロタイルユニット1’が存在する場合)に、作動することができる。ライン・コード・アダプタに、ライン・コード・アダプタへと差し込むことができるマイクロタイルユニット1’の数の制限を説明するユーザインストラクションのラベルを付すことができる。あるいは、入力モジュール9’を、ライン・コード・アダプタの機能を実行できるようにすることが可能である。
【0075】
特定の実施形態(これに限られるわけではない)においては、最大12個までのマイクロタイルユニット1’を、システム900においてデイジーチェーンに接続でき、12個のマイクロタイルユニット1’ごとに1つのライン・コード・アダプタを備えることができる。
【0076】
ここで、図1のシステムを参照して上述した自己組織化プロセスに戻ると、システム900のいくつかの実施形態は、複数の入力モジュール9’を備えることができる(例えば、図10に示されて後述されるシステム1000を参照されたい)。さらに、それぞれのマイクロタイルユニット1’およびそれぞれの入力モジュール9’が、マイクロプロセッサを有しており、自己組織化プロセスが、一部にはそれぞれのマイクロタイルユニット1’およびそれぞれの入力モジュール9’における処理に依存して開始される。しかしながら、そのような実施形態においては、例えば起動時にアレイ全体の1つの入力モジュール9’が、システムのマスターとして指定され、他のすべてのユニットは、スレーブ装置として動作する。いくつかの実施形態においては、入力モジュール9’のみが、マスターとして動作することができる。
【0077】
しかしながら、例えば2つ以上の入力モジュール9’が取り付けられているシステム900の実施形態など、システム900の起動時に、複数のシステムマスターがシステム900に存在してもよい。例えば、起動と終了との間において、入力モジュール9’を追加でき、取り去ることができ、あるいはアレイ内での位置を変更できる。したがって、起動時に、最初にすべての入力モジュール9’をシステムマスターであると仮定して、自己組織化プロセスを開始することができる。しかしながら、どこかの時点において2つのシステムマスターが互いに出会い、したがってシステム900は、2つの入力モジュール9’の一方のみがシステムマスターとして指定するように調停の仕組みを備えることができる。
【0078】
次に、図14に注目すると、一実施形態(これに限られるわけではない)に従い、システム900などの画像化システムに複数の入力モジュール9’が存在する場合に、調停の仕組み(これらに限られるわけではない)によってシステムマスターを決定するための方法1400が示されている。方法1400の説明を容易にするために、方法1400がシステム900を使用して実行されると仮定する。また、方法1400についての以下の説明は、システム900およびシステム900の種々の構成要素のさらなる理解につながるであろう。しかしながら、システム900および/または方法1400はさまざまであってよく、必ずしも互いに連動して本明細書において説明されるとおりに正確に機能する必要はなく、そのような変種がこれらの実施形態の範囲に包含されることを、理解すべきである。
【0079】
ステップ1410において、第1の入力モジュール9’が、第2の入力モジュール9’に遭遇する。ステップ1420において、最後の電源オフの直前において2つの入力モジュール9’のうちの一方がシステムマスターとして動作しており、他方がスレーブとして動作していたならば、ステップ1430またはステップ1440において、最後のシステムマスターであった入力モジュール9’が、そのままシステムマスターとされる。ステップ1450において、両方の入力モジュール9’がシステムマスターであった場合、またはどちらもシステムマスターでなかった場合には、ステップ1430またはステップ1440において、最新のファームウェアを有する入力モジュール9’がシステムマスターとして指定されるように、ファームウェアのリビジョンに基づいてシステムマスターを指定することができる。両方の入力モジュール9’のファームウェアのバージョンが同じである場合には、ステップ1460において、すでに組織化したマイクロタイルユニット1’の数が最も多い入力モジュール9’を、ステップ1430またはステップ1440においてシステムマスターとして指定することができる。あるいは、ステップ1470において、最初に他方の入力モジュール1’を発見した入力モジュール9’が、ステップ1430またはステップ1440においてシステムマスターとして指定される。他の調停の仕組みも本明細書の範囲に包含されるが、調停の仕組みが特に限定されると考えてはならない。また、ステップ1420〜1470の順番も、特に限定されると考えてはならず、いくつかの実施形態においては、ステップ1420〜1470のうちの少なくとも1つが任意であってよく、他の調停の仕組みが使用される。
【0080】
次に、一実施形態(これに限られるわけではない)による自己組織化の方法1500を示している図15に注目する。方法1500の説明を容易にするために、方法1500がシステム900を使用して実行されると仮定する。また、方法1500についての以下の説明は、システム900およびシステム900の種々の構成要素のさらなる理解につながるであろう。しかしながら、システム900および/または方法1500はさまざまであってよく、必ずしも互いに連動して本明細書において説明されるとおりに正確に機能する必要はなく、そのような変種がこれらの実施形態の範囲に包含されることを、理解すべきである。
【0081】
一般に、或る程度詳しく上述したように、自己組織化は、システムマスターによって制御され、3つの段階にて行われる。段階1は、アドレス割り当て(ステップ1510)である。段階2は、モジュール識別(ステップ1515)である。段階3は、アレイマッピング(ステップ1525〜1560)である。これら3つの段階が完了すると、システムマスターは、システムを制御するために知る必要があるすべての事柄を知ることになる。いくつかの実施形態においては、さらに入力モジュール9’およびマイクロタイルユニット1’が、ホットプラグ(すなわち、入力モジュール9’および/またはマイクロタイルユニット1’が、起動/自己組織化のあとでアレイへと差し込まれる)のサポートを可能にすることができる。ホットプラグは、新しい構成要素が、例えば自己組織化がすでに行われたか否かを判断するために隣接の構成要素へと信号を送信し、自己組織化がすでに行われている場合に、アレイの少なくとも一部についてさらなる自己組織化を生じさせることによって可能にされる。ホットプラグをサポートする他の方法も、これらの実施形態の範囲に包含される。
【0082】
アドレス割り当て段階では、ステップ1510において、システムマスターが、少なくとも1つの信号ポート935のうちの第1の1つへと接続された第1のマイクロタイルユニット1’Aへと「自動アドレス1」コマンドを発する。受信マイクロタイルユニット1’Aは、自身の内部アドレスを「1」に設定することによって応答する。次いで、マイクロタイルユニット1’Aは、「自動アドレス2」コマンドをデイジーチェーンの次のマイクロタイルユニット1’Bへと(すなわち、反対側の信号ポート920から)送信する。マイクロタイルユニット1’Bは、「自動アドレス2」コマンドを受信すると、自身の内部アドレスを「2」に設定し、「自動アドレス3」をマイクロタイルユニット1’Cへと送信する。次いで、マイクロタイルユニット1’Cが、鎖における次のマイクロタイルユニット1’を設定し、以下同様である。この方法で、システムマスターの片側に接続されたすべてのマイクロタイルユニット1’に、固有のID番号が割り当てられる。
【0083】
モジュール識別段階では、ステップ1515において、システムマスターが、自身へと何が接続されているかを確認するために調査を行う。これは、アドレス1のマイクロタイルユニット1’に対して自身の身元を明らかにするように要求することによって開始される。それぞれのマイクロタイルユニット1’が、自身の存在を示すことによって応答する。応答するマイクロタイルユニット1’は、他の入力モジュール9’へと接続されている場合には、どの種類の入力モジュール9’が存在するのかを知らせる。さらに、ファームウェアの上位または下位互換の問題において助けとなるよう、リビジョン情報を応答に含ませてもよい。このようにして、システムマスターは、アドレス1に何が接続されているのかを知ることができる。次いで、システムマスターは、アドレス2、3、などからの同じデータを要求する。要求に対する応答がない場合、システムマスターは、鎖の終わりに達したことを知る。
【0084】
システムマスターの少なくとも1つの信号ポート935のうちの第1の1つへと接続されたすべてのマイクロタイルユニット1’について、アドレスの割り当ておよび識別が完了すると、このプロセス(すなわち、ステップ1510および1515)を、少なくとも1つの信号ポート935のうちの第2の1つへと接続されたマイクロタイルユニット1’について繰り返すことができ、ここで、この信号ポート935へと接続された第1のマイクロタイルユニット1’Eが、順番における次のアドレスを得る。
【0085】
メッシュマッピング段階が、接続されているすべてのマイクロタイルユニット1’の間の空間的関係を明らかにするために使用される。それぞれのタイルは、光のうちのわずかな部分をタイルの各面(すなわち、上面、底面、左側面、および右側面)に設けられた小さな穴から外へと導くことができる。プロセスは、ステップ1525および1530において、入力モジュール9’が、マイクロタイルユニット1’Aに対して例えば上方の漏れ光(例えば、LED)によって上面の穴から外へと光を導くようにコマンドを送信することによって開始される。機械的な設計によって、ただ1つのマイクロタイルユニット1’の光検出器がこの漏れる光を視認できるように保証される。ステップ1535において、システムマスターが、取り付けられているすべてのマイクロタイルユニット1’に対し、上面の漏れ光を視認できるかどうかを問い合わせる。ただ1つのマイクロタイルユニット1’が、肯定の応答を返すと考えられる。ここから、システムマスターは、マイクロタイルユニット1’Aの直上に位置するマイクロタイルユニット1’(例えば、マイクロタイルユニット1’B)がどれかを知って、マイクロタイル1’Aと応答してきたマイクロタイル1’との間の空間的関係を、ステップ1540においてマッピングすることができる。次いで、システムマスターは、マイクロタイルユニット1’Aに対し、上面の漏れ光をオフにして、右方の漏れ光などの別の漏れ光をオンにするように指令する(例えば、ステップ1550および1530)。アレイに対するさらなる問い合わせによって、マイクロタイルユニット1’Aのすぐ右に位置するユニット(マイクロタイルユニット1’F)のアドレスが明らかにされる。さらなる2つのコマンドおよび問い合わせによって、マイクロタイルユニット1’Aの下側および右側のマッピングを行うことができる(すなわち、ステップ1530〜1550が4つの面のすべてについて繰り返される)。これらの空間にタイルが存在しない場合、すべてのマイクロタイルユニット1’が光が検出されない旨を回答することで、システムマスターは外縁に達したことを知る。
【0086】
いくつかの実施形態においては、隣り合うマイクロタイルユニット1’を、光および光検出器によってではなく、信号/検出器の組み合わせによって検出することができる。例えば、赤外光を、適切な光検出器と一緒に使用することができる。他の実施形態においては、それぞれのマイクロタイル1’が、マイクロタイル1’を識別する少なくとも1つのRFIDタグと、隣り合うマイクロタイル1’のRFIDタグを読み取るために適したRFID読み取り器とを備えることができる。これらの実施形態のいくつかにおいては、それぞれのマイクロタイル1’の各面が、その面を特定するRFIDタグをその面に組み合わせて有している。これらの実施形態においては、隣り合うマイクロタイル1’を、該当のマイクロタイル1’が発見されるまで隣り合うマイクロタイル1’のタグを読み取るべく他のすべてのマイクロタイル1’を作動させることによって識別でき、したがってステップ1530が省略される。
【0087】
いずれにせよ、4面すべてがマッピングされたならば(すなわち、ステップ1545)、システムマスターは、ステップ1555においてマイクロタイルユニット1’Bへと進み、すべてのマイクロタイル1’がマッピングされるまでプロセスを繰り返す(例えば、システムマスターは、ステップ1510からアレイ内のマイクロタイル1’の数を知り、すべてのマイクロタイル1’について問い合わせを終えたときに、ステップ1560において問い合わせを停止させる)。いくつかの実施形態においては、例えばマイクロタイル1’Aに対する相対位置など、マイクロタイル1’Bの他のマイクロタイル1’に対する相対位置がすでに明らかになっている場合、マイクロタイル1’Aの検出は冗長であり、省略することが可能である。この手順をアレイ全体について実行することによって、マイクロタイルユニット1’のアレイが互いにどのように構成されているかを正確に知らせるマップを作り上げることができる。
【0088】
しかしながら、自己組織化プロセスは、アレイ内のそれぞれのマイクロタイルユニット1’が、少なくとも1つの他のマイクロタイルユニット1’に直接に物理的に接触していることを仮定している。マイクロタイルユニット1’が連続していない場合には、いくつかの実施形態において、設定を、例えばユーザインターフェイスを介してのステップ1570におけるユーザの介在によって、あるいは外部のソフトウェアによって、完了させることができる。さらに、いくつかの実施形態においては、ユーザが自動発見の段階において割り出された設定を上書きして、入力画像(グラフィック、静止画像、ビデオ、など)などのデータ信号の任意の部分を任意のマイクロタイルユニット1’へと手動で割り当てることができるようにすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態においては、マイクロタイルユニット1’およびシステムマスター/入力モジュール9’のデイジーチェーンが閉ループとなっている場合に巡回が生じる。そのような実施形態においては、アドレス割り当ての段階において、システムマスターが、ループにおける出発および終了の構成要素となる。これにより、アレイにおいて低コストの冗長が可能になる。構造のデイジーチェーンの性質ゆえ、アレイは、ただ1点の故障の影響を受けやすい。1つのマイクロタイルユニット1’が故障し、あるいは信号ハーネス5’の一部分が故障した場合、後続のすべてのマイクロタイルユニット1’が、信号のソースを失うことになる。デイジーチェーンを閉じてループとすることによって、システムマスターからそれぞれのマイクロタイルユニット1’へと2つの信号および制御経路が存在することになる。1つのマイクロタイルユニット1’が故障した場合に、後続のマイクロタイルユニット1’へと、別の信号経路を通ってアクセスすることができる。
【0090】
他の実施形態においては、マイクロタイルユニット1’が不注意に入力モジュール9’なしでデイジーチェーン接続された場合に、「ソースなしループ」が生じる。ソースなしループは、信号ハーネス5’が損傷したり、あるいは外れたりした場合にも生じうる。この状況に対処するために、いくつかの実施形態においては、それぞれのマイクロタイルユニット1’が、さらにタイマーを備えており、起動時に、ステップ1505において、それぞれのマイクロタイルユニット1’がそれらのタイマーを開始させる。マイクロタイルユニット1’は、ステップ1507において、タイムアウト期間が経過するまでにシステムマスターからの通信を受け取らない場合に、ステップ1509において、例えば内部のOSD機能によって適切なエラーメッセージを生成することができる(例えば、文字によるエラーメッセージ付きの赤色画面の点滅が、マイクロタイル1’に表示される)。
【0091】
次に、特定の実施形態(これに限られるわけではない)による画像化システム900Aのブロック図を示している図10に注目すると、システム900Aは、システム900に類似しており、同様の構成要素には同様の符号が付されている。システム900Aは、システム900Aが、入力モジュール9’の実施形態と同様の3つの入力モジュール9’A、9’B、および9’Cを有しており、さらにマイクロタイルユニット1’が、ピクチャ−イン−ピクチャ(PIP)の構成をサポートする様相で信号ハーネス5’によって接続されている点で、システム900と相違している。例示的な実施形態においては、データ信号がビデオ信号を含んでいると仮定されるが、ビデオ信号が任意の適切なフォーマットの静止画像、動く画像、グラフィック、ビデオ、などを含んでよいことを、理解できるであろう。
【0092】
例えば、ビデオの相互接続の仕組みの双方向の性質ゆえ、複数の入力モジュール9’を同時に有効にすることが可能である。すなわち、1つの入力モジュール9’Aが、鎖の上流(および/または下流)へと1つのデータ信号を送信できる一方で、第2の入力モジュール9’Bが、第2のデータ信号を鎖の上流(および/または下流)へと送信できる。システム900Aを、第1のデータ信号に基づく画像がマイクロタイル1’の第1の部分集合に表示される一方で、第2のデータ信号に基づく画像がマイクロタイル1’の第2の部分集合に表示されるように、構成することができる。さらに、システム900が、特定の相互接続の仕組みに鑑み、第3の入力モジュール9’Cが第3のデータ信号を鎖の上流(および/または下流)へと送信でき、第3のデータ信号に基づく画像がマイクロタイル1’の第3の部分集合に表示されるよう、多数のPIPウインドウのサポートを可能にしてもよい。
【0093】
例えば、メッシュマッピングのプロセスから、システムマスターは、アレイの構成ならびにマイクロタイル1’の接続の状態を知ることができる。この情報から、ユーザインターフェイスが、ユーザをPIPの組み合わせの設定へと案内できる。例えば、ひとたび所望のPIPの組み合わせが決定されたならば、PIPのマッピングの枠組みのデータを、システムマスター(または、システムマスターによるアクセスが可能な他の構成要素)に保存することができ、そのようなPIPのマッピングの枠組みのデータは、個々の異なるデータソースからのそれぞれの所与の画像を表示するマイクロタイル1’の部分集合のそれぞれについて、それら部分集合の個々のマイクロタイル1’の識別子(例えば、アドレス)をそれらの相対位置とともに含んでいる。
【0094】
図10に示した配線の枠組みは、やはりPIPの構成を可能にできると考えられるいくつかの可能な配線の枠組みのうちの1つであり、それら可能な配線の枠組みのそれぞれも、これらの実施形態の範囲に包含される。しかしながら、PIPの構成が不可能である配線の枠組みも存在し、マイクロタイル1’の配線を行うユーザは、マイクロタイル1’の配線を行う前に所望の構成(PIP、など)について或る程度の知識を必要とする。したがって、マイクロタイル1’の配線の助けとなるように、システム900Aは、適切なPIPを設計するためのアプリケーション(例えば、外部のPC、入力モジュール9’、および/または1つ以上のマイクロタイル1’で実行されるアプリケーション)をさらに備えることができ、このアプリケーションが、配線/相互接続の枠組みを生成し、ユーザは、所望の結果を達成するためにこの枠組みに従うことができる。
【0095】
さらに図10は、どのようにシステム900Aを複数のPIPをサポートするように構成できるのかについての例(これに限られるわけではない)を示している。この例では、マイクロタイル1’が、3つの入力モジュール9’A、9’B、および9’Cとともにデイジーチェーンに接続されている。自己組織化の際に、入力モジュール9’のうちの1つが、上述のとおりシステムマスターとして指定される。入力モジュール9’Aが、マイクロタイル1’へとグラフィクスG(「動くロゴを有している背景グラフィック」)を供給するように構成され、入力モジュール9’Bが、マイクロタイル1’へとビデオ信号V1(「広告」)を供給するように構成され、入力モジュール9’Cが、マイクロタイル1’へとビデオ信号V2(「ミュージックビデオ」)を供給するように構成されている。PIPのマッピングの枠組みのデータ、マイクロタイル1’の相対位置についての知識、および入力モジュール9’についての知識から、システムマスターは、グラフィックG、ビデオ信号V1、およびビデオ信号V2を、それぞれの指定のマイクロタイル1’の部分集合に表示させる。いくつかの実施形態においては、指定のマイクロタイルの部分集合へのデータ信号が、その部分集合のすべてのマイクロタイル1’へと伝えられると、そのデータ信号は、処理のリソースを節約するために、デイジーチェーンの残りのマイクロタイル1’へ伝えられない。
【0096】
次に、図11に目を向けると、一実施形態(これに限られるわけではない)によるマイクロタイル1100のブロック図が示されている。いくつかの実施形態においては、システム900のマイクロタイルユニット1’が、マイクロタイル1100からなる。マイクロタイル1100は、これらに限られるわけではないが、機械的なハウジング1110、光学スクリーン1120、マイクロタイル光エンジン(MLE)1130、フロントエンド基板(FEB)1140、赤外センサ1150、少なくとも1つの自動整列センサ1160、内部電源1170、および冷却システム1180(例えば、ファン)、などといったサブシステムを有している。
【0097】
機械的なハウジング1110は、マイクロタイル1100の他の構成要素を構造的に支持することができる。機械的なハウジング1110は、大量での生産性および低コストのために望ましく設計される。機械的なハウジング1110は、望ましくは、マイクロタイル1100の他のすべての構成要素を最小限のねじまたは他の機械部品にて組み立てることができるような造作を取り入れている。さらに、機械的なハウジング1110は、例えば図2の連結機構23、図4Aの相補形状をしたねじ山付きの雄部分44および雌の連結スリーブ46、ならびに/あるいは図5の筒状の連結機構43など、多数のマイクロタイル1100を大きなアレイへと容易に組み立てることができるようにするタイル間の支持具を有している。マイクロタイル1100において、光学スクリーン1120に隣接する各面(例えば、左側、右側、上側、下側)が、図1、3A、3B、4B、4C、10、および11、などのように複数のマイクロタイル1100をアレイへと組み上げることができるようにするための(1つ以上の)タイル間の支持具を備えることができる。タイル間の支持具は、マイクロタイル1100のアレイをスタンドアロンのアセンブリへと組み立てることができるような様相で、互いに結合できる。いくつかの実施形態においては、より大型のアレイのために、アレイの支持を助けるべく外部の支持具をアレイに追加することができる。いくつかの実施形態においては、機械的なハウジング1110および/またはタイル間の支持具が、追加のハードウェアを必要とすることなくマイクロタイル1100を外部の支持具へと接続できるようにする追加の造作(例えば、クリップなど)を備えている。
【0098】
いくつかの実施形態においては、機械的なハウジング1110が、通常は、マイクロタイル1100を所与の向き(例えば、直立した横長の向き)で動作させることができるように構成される。しかしながら、他の実施形態においては、機械的なハウジング1110を、マイクロタイル1100を他の任意の所望の向きで動作させることができるように構成してもよい。マイクロタイル1100の他の構成要素を、向きの変化に適合するように構成することができる。特に、マイクロタイル1100が別の向きにあるときの表示素子(例えば、MLE1130)の冷却の要件が、冷却システム1180を所望の向きにしたがって構成(および/または構成変更)できるような要件であってよい。
【0099】
しかしながら、マイクロタイル1100は、通常は、所与の向きにて動作するように設けられる。例えば現場において、所与の向き以外の向きが望まれる場合には、ユーザに、所望の向き/動作を得るべくマイクロタイル1100を手動で構成するように求めることができる。
【0100】
さらに、機械的なハウジング1110は、構成部品の故障の場合のマイクロタイル1100の現場での保守に対応することができる。大型のアレイへと組み上げられたとき、アレイ全体または少なくとも大きな一部分を分解しなければ1つのアレイを取り出すことができない可能性がある。それゆえ、機械的なハウジング1110が、ユーザがその場でのマイクロタイル1100の保守を行うことができるようにする。いくつかの実施形態においては、機械的なハウジング1110が、ユーザが前方からマイクロタイル1100の内部へとアクセスできるようにする(すなわち、例えば後述のように光学スクリーン1120を取り除くことによって)。他の実施形態においては、機械的なハウジング1110が、ユーザが後方(すなわち、光学スクリーン1120の面の反対側の面)からマイクロタイル1100の内部へとアクセスできるようにする。しかしながら、またさらなる実施形態においては、機械的なハウジング1110が、マイクロタイルを両端から修理することができるよう、ユーザが前方または後方の両方からマイクロタイル1100の内部へとアクセスできるようにする。しかしながら、多くの場合には、前方アクセスの設備の数は、後方アクセスの設備の数を凌駕する。したがって、機械的なハウジング1110が、故障した構成部品の前方からの交換のための保守性を可能にすることが望ましく、後方からアクセスされたときに実現可能である。
【0101】
次に、光学スクリーン1120に目を向けると、光学スクリーン1120を、マイクロタイル1100が強い環境光の中で視認されるときの適切な明るさ、コントラスト、および鮮明さを維持する能力、光学スクリーン1120の均一性、ならびにグレアの量に基づいて選択することができる。光学スクリーン1120の利得を、当業者にとって公知のとおり、所与の視野角に基づいて設定することができる。一般に、広い視野角が望ましい。いくつかの実施形態においては、フレネル素子1125を、光学スクリーン1120に表示される画像のさらなる改善のために、光学スクリーン1120の背後(すなわち、マイクロタイルユニット1100の内部)に位置させることができる。使用される場合、フレネル素子1125は、MLE1130の投影光学系1131におおむね一致させられる。
【0102】
投影光学系1131、照明光学系、および光学スクリーン1120の組み合わせが、マイクロタイルユニット1100に所与の均一性を与えるように組み合わせられる。いくつかの実施形態においては、均一性が放物線状であり、光学スクリーン1120の中央が、縁または角よりも明るい。しかしながら、所与の均一性の程度は、特に限定されないが、均一性の程度が高いことが通常は望ましい。
【0103】
いくつかの実施形態においては、均一性を電子的に補正することができる。通常は、マイクロタイル1100間にばらつきが存在するため、工場での電子校正工程が、これらのばらつきを補償するために使用される。さらに、電子的な校正は、通常は、光学スクリーン1120の最も明るい部分を光学スクリーン1120の最も暗い部分に一致するように暗くすることを必要とし、これが全体的な明るさを低下させる。
【0104】
いくつかの実施形態においては、光学スクリーン1120を、機械的なハウジング1110から取り外すことができ、これによってユーザは、例えばマイクロタイル1100をアレイに設置したままで、マイクロタイル1100の内部にアクセスすることができる。保守性という観点から、ひとたびアレイが組み立てられて環境へと設置されたならば、前部が、マイクロタイル1100の唯一のアクセス可能部となるであろう。万が一修理の目的のためにマイクロタイル1100の内部へと達する必要がある場合、多くの場合は、前部の光学スクリーン1120が、唯一の入り口となるであろう。しかしながら、着脱可能な光学スクリーン1120は、アレイ内の光学スクリーン1120間のすき間に影響を及ぼすことなくそのようにすることを可能にする。
【0105】
いくつかの実施形態においては、光学スクリーン1120の側壁が、すき間の影響を補償するための光パイプを有している。一例(これに限られるわけではない)においては、側壁が透明なプラスチックからなる。これにより、投影される画像をわずかにオーバースキャンにすることができる。画像の最も外側の境界の画素が、側壁を照らし、スクリーンへと案内される。これが、所望の画素に色および強度が近い光ですき間を埋め、黒色の線
が存在する場合に比べて見た目をおおむね継ぎ目なしにする。いくつかの実施形態においては、側壁が丸められた縁および/または面取りされた縁を有し、継ぎ目をより滑らかで目に付きにくいものにしている。
【0106】
さらに、光学スクリーン1120は、通常は、現場においてユーザが光学スクリーン1120に近付いて光学スクリーン1120に触れる可能性があるため、丈夫であって指紋に耐えることができる。したがって、光学スクリーン1120は、指で押されて損傷を受けることがないよう、指で押されることによる不用意の圧力に対する丈夫さを可能にする。
【0107】
さらに、光学スクリーン1120は、市販のクリーニング製品による清掃を可能にしている。したがって、光学スクリーン1120が、イソプロピルアルコール、アンモニア、エチレングリコール、などといった溶媒によって損傷しうるコーティングを外表面に持たないよう、溶媒に耐える前面(任意のコーティングを含む)を有することが望ましいと考えられる。
【0108】
次に、図12に目を向けると、例示的な実施形態(これに限られるわけではない)によるMLE1130のブロック図が示されている。いくつかの実施形態においては、例えば第三者によってマイクロタイル1100の他の構成要素とは別個に製作されるMLE1130を、後にマイクロタイル1100へと挿入することができるよう、MLE1130が、スタンドアロンのブロックを構成している。いくつかの実施形態(これらに限られるわけではない)においては、MLE1130がDLP技術に基づいているが、他の種類のディスプレイ技術も、当業者の容易に想到するところであって、本明細書の範囲に包含される。
【0109】
特定の例示的な実施形態(これに限られるわけではない)においては、MLE1130が、タイプYのパッケージの0.55インチのSVGAのDMD1132を備えている。いくつかの実施形態においては、MLE1130が、DMD1132を駆動するためのDDP2230チップセット(または、他の任意の適切なチップセット)をさらに有している。さらに、MLE1130は、照明源および照明光学系(ならびに、いくつかの実施形態においてはTIR(全反射)プリズム)を有しており、照明源は、例示的な実施形態においては、例えば組み合わせによってDMD1132を照らすことができる3つの別個独立に制御されるLED(赤色LED、緑色LED、および青色LED)を有している。さらに、MLE1130は、照明源のための駆動回路1210を有している。LED以外の照明源も、当業者の容易に想到するところであり、これらの実施形態の範囲に包含される。例えば、いくつかの実施形態においては、照明源が、少なくとも1つのレーザを備えることができる。さらにMLE1130は、照明源の光強度を測定できる光センサ1134を有している。
【0110】
MLE1130は、例示的な実施形態においては、2つの入力コネクタ、すなわちDC電源用の電源コネクタ1215(電源1170への接続を可能にする)およびビデオ信号および制御を受け取るためのソースコネクタ1216(FEB1140への接続を可能にする)をさらに有している。
【0111】
例示的な実施形態においては、電源1170(図11を参照)は、通常は、+12Vの幹線および−12Vの幹線という2つの幹線を有している。MLE1130は、これらの幹線から例えばDC−DC変換器1220によって内部で導出する電力で、自身の電子機器および光源を動作させることができる。
【0112】
MLE1130は、例示的な実施形態においてはフラットパネル・ディスプレイ・リン
ク規格を使用することができるビデオインターフェイス1133を有している。FEB1140からの出力ビデオは、通常は24ビットカラー(各色につき8ビット)であり、ビデオおよび同期が、4つの差動LVDSペアへとシリアルにエンコードされる。さらに、ビデオインターフェイス1133は、差動LVDS信号として供給される画素クロック(TxClk)を有している。MLE1130は、この信号を標準的な24ビットビデオへとデコードし、DMD1132へと提示することができる(すなわち、DDP2230 ASICを介して)。これに対応するレシーバの例として、これに限られるわけではないが、National Semiconductor社の部品番号DS90CF384が挙げられる。いくつかの実施形態においては、MLE1130を、UARTインターフェイスを使用してFEB1140によって制御することができる。さらに、リセット(RESET)信号および電源良(PWR_GOOD)信号を、FEB1140によってもたらすことができる。
【0113】
例示的な実施形態においては、MLE1130が、単一チップDLP技術に基づいており、したがって各色(すなわち、LED)が、DMD1132上に表示されるデータに同期して順にオン/オフされる。この順序のタイミングは、MLE ASICによって生成される(例えば、MLE ASICが、ビデオインターフェイス1133を有している)。MLE1130が、8倍のRGBフィールドレートをサポートすることが望ましい。
【0114】
各LEDの駆動レベルを、I2C DACによって設定することができる。これらの実施形態においては、I2CマスターがDMD1132(すなわち、DDP2230)であり、I2Cバスが、UARTインターフェイスを介してFEB1140にとって利用可能でなければならない。
【0115】
照明光学系が、LED(または、レーザ)の出力を合成し、光をDMDへと集中させる。いくつかの実施形態においては、照明光学系がテレセントリックな設計を有しており、照明システムが、オン状態およびオフ状態の光を分離するために、プリズムまたは対物レンズ1250をさらに有することができる。投影光学系1131によって、画像の焦点を光学スクリーン1120に合わせることができる。
【0116】
これに限られるわけではないが、通常はマイクロタイル1100が薄いことが望ましく、したがって、いくつかの実施形態においては、投影光学系1131が、短焦点レンズ1255、特に超短焦点レンズ(例えば、約0.5:1の焦点比を有する)を、画像を光学スクリーン1120へと直接投影するように配置して有している。さらなる実施形態においては、投影光学系1131が、より長焦点のレンズ(例えば、約0.8:1の焦点比を有する)をフォールドミラーに組み合わせて有している。いくつかの実施形態においては、ミラーのサイズを最小限にし、整列を保証するために、フォールドミラーをレンズの中に作り込むことができる。
【0117】
次に、図13に目を向ける(さらに、図11を参照する)と、一実施形態(これに限られるわけではない)によるFEB1140における信号のルーティングの枠組みが示されている。FEB1140は、これに限られるわけではないが、例えばストラクチャードASICとして実現できるビデオルーティング/処理ASIC(VRP)1141など、マイクロタイル1100のためのコア処理素子を有している。いくつかの実施形態においては、プログラマブルロジックを、ASICを使用する代わりに使用することができる。
【0118】
さらにFEB1140は、4つのシリアル化器−シリアル分解器(SerDes)1310の機能を有するFPGA1305(図8のPCSブロックに類似)を有している。SerDes1310が、マイクロタイル1100間のデータの送信および受信を可能にする。SerDesの各レーンは、1つの送信チャネルおよび1つの受信チャネルを含んでいる。いくつかの実施形態においては、ビデオをサポートするために、それぞれのチャネルが少なくとも2.5Gbpsで動作する。トランスミッタは、8b/10bのエンコーディングを使用することができ、レシーバは、シリアル・データ・ストリーム(例えば、ビデオ信号)をデコードするために、クロックおよびデータ回収技法を使用することができる。さらに、FEB1140は、ビデオデータを確実にエンコードすることができ、上述のようにブランキング期間に制御メッセージを埋め込むことができる。さらに、FPGA1305は、所望の画像処理機能をサポートすることができる。
【0119】
例示的な実施形態においては、FPGA1305がCPU1311を含んでおり、ファームウェアをフラッシュメモリ1142に保存することができる。シングルバンクのDDR2 SDRAM1143を、フレームバッファならびにCPU1311のためのヒープ・メモリ・ストレージとして使用することができる。
【0120】
上述のように、FEB1140の出力が、MLE1130へと入力される。したがって、FEB1140は、例示的な実施形態においては、自身の出力ビデオをMLE1130との互換性のためにフラットパネル・ディスプレイ・リンク規格へとエンコードすることができるが、使用される規格は、特に限定されない。さらに、32ビットのマイクロプロセッサは、MLE1130を制御するためのUARTポート(図示せず)を有している。
【0121】
FEB1140は、冷却システム1180、少なくとも1つの自動整列センサ1169、IRセンサ1150、および電源1170への接続のためのさらなるコネクタを備えることができる。
【0122】
次に、出力ビデオをMLE1130への信号の出力に先立って処理するFEB1140の画像処理素子1320に注目する。処理は、通常は、画像のタイル化された用途への結合を可能にするように構成されている。
【0123】
第1に、受信された画像が、通常は、SDRAM1143の一部であるフレームバッファへと保存される。これにより、送信のフレームレートを表示のフレームレートよりも小さくすることができ、さらにはきわめて高い解像度の画像を可能にすることができる。また、上記フレームバッファは、局部の拡大およびワーピングを可能にする。これに限られるわけではないが、上記フレームバッファのサイズを比較的小さく保つために、マイクロタイルユニット1100によって表示される部分画像のみを上記フレームバッファに保存することが望ましい。
【0124】
画像処理素子1320は、さらに、表示エンジン(すなわち、DMD1132)の生来の解像度に一致するよう、部分画像の再スケーリングを可能にする。画像タイルの用途においては、通常は、画像の拡大のみが使用されるが、画像の縮小も可能である。しかしながら、例示的な実施形態においては、画像の縮小は、通常は入力モジュール9’において行われる。
【0125】
さらに、画像処理素子1320は、例えば2Dキーストーン補正によってスケーリング後の画像の幾何学的補正(例えば、ワーピング)を可能にし、画像の回転を可能にする。MLE1130が、既存のマイクロタイル1100へと設置されるスタンドアロンのユニットであってよいため、MLE1130の設置における機械的な公差によって、投影される画像が光学スクリーン1120に整列しない可能性がある。しかしながら、自動整列センサ1160からのフィードバックを使用することで、自動整列システムを、必要とされる補正を割り出すように実現することができる。自動整列システムの例(これに限られるわけではない)が、ここでの言及によって本明細書に取り入れられたものとされる2008年3月28日に出願されて本出願と同時に係属中である本出願の出願人の「Automated Geometry Correction For Rear Projection」という米国特許出願第12/058,260号に記載されている。
【0126】
スケーリング後の画像を、短焦点レンズ1255、対物レンズ1250、および/または投影光学系1311の幾何学ひずみについても補正することができる(すなわち、当業者に知られているとおりの糸巻き補正またはたる型補正)。しかしながら、いくつかの実施形態においては、短焦点レンズ1255、対物レンズ1250、および/または投影光学系1311の特徴を、校正工程(例えば、工場での)によって把握することが可能である。この特徴把握によって、ひずみを、ファームウェアによってアップロードされるパラメータを調節することによって、キーストーン補正と同じ回路で補正することができる。
【0127】
スケーリングおよびワーピングを、1つの操作に組み合わせることができる。この操作は、甘い画像をもたらす傾向にあるため、画像処理素子1320は、さらにシャープネスフィルタを備えることができる。
【0128】
製造の公差ゆえ、それぞれの個々のマイクロタイル1100が、自身の固有の測色を有する可能性がある。したがって、画像処理素子1320は、アレイ内のそれぞれのマイクロタイル1100の原色およびホワイトバランスを一致させることができる色補正回路を備えることができる。製造の時点において、それぞれのマイクロタイル1100の色ポイントを測定し、不揮発性メモリに保存することができる。次いで、入力モジュール9’のマスタープロセッサが、アレイ内のそれぞれのマイクロタイルユニット1100の測色にアクセスし、色一致の点を計算することができる。次いで、色一致の点がすべてのマイクロタイルユニット1100へと伝達され、これに応じてマイクロタイルユニット1100が自身の色ポイントを設定することができる。
【0129】
マイクロタイル1100が古くなるにつれ、マイクロタイル1100の明るさが徐々に低下すると考えられる。したがって、光センサ1134が、色ごとの方法で明るさの変化を検出することができ、これに応じてシステムの色補正を更新することができる。マイクロタイル1100がアレイの一部であるとき、これは、アレイ内のすべてのマイクロタイル1100がおそらくは異なる速度で古くなる(すなわち、それぞれのマイクロタイル1100の明るさが、異なる早さで低下する)ときに、アレイの外観を均一に維持することができるようにする。
【0130】
また、画像処理素子1320は、明るさの均一性の補正を可能にすることができる。投影システムにおいて、均一性は、通常は放物線にて低下するが、均一性の正確な性質は、投影技術によってさまざまであると考えられ、具体的な補正のパラメータは、マイクロタイル1100ごとにさまざまでありうる。したがって、均一性の補正の機能は、通常は、MLE1130のために選択された光エンジン技法、ならびに光学スクリーン1120の性能に依存して決まる。
【0131】
いくつかの用途においては、アレイ内のマイクロタイル1100から投影された画像が、重なり合う。したがって、これらの用途においては、画像処理素子1320が、エッジブレンディング回路をさらに有している。画像処理素子1320は、最終のガンマ補正回路をさらに有することができる。しかしながら、ガンマ補正における伝達関数は、通常は設定可能であり、選択されたディスプレイ技術に合わせることができる。
【0132】
いくつかの実施形態においては、FEB1140が、画像処理素子1320とMLE1130への出力との間に位置するテストパターン回路(図示せず)をさらに有している。テストパターン回路は、校正プロセスの際にMLE1130によって光学スクリーン1120へと投影されるテストパターンを生成することができ、それらのテストパターンが、色マッチングおよび幾何学的構成のために自動整列センサ1160とともに使用される。
【0133】
テストパターンの例として、これらに限られるわけではないが、全面的な赤色、緑色、青色、白色、および/または黒色が挙げられる。いくつかの実施形態においては、テストパターンが、オーバースキャン領域(すなわち、自動整列センサ1160の位置)にのみ描かれてもよく、任意のサイズの矩形を含むことができる。矩形の最小サイズは、1画素×1画素であってよい。テストパターンの最大サイズは、マイクロタイル1100の機械的/光学的設計によることができる。しかしながら、描かれる矩形は、通常は、すべての機械的および光学的なばらつきにおいて、自動整列センサが完全に照明されることが保証されるように十分に大きい。いくつかの実施形態においては、ローカルのファームウェアにテストパターンを用意することができ、テストパターンおよび校正プロセスの制御を可能にすることができる。
【0134】
ここで、図11に戻ると、IRセンサ1150が、ユーザからの入力を受け付けることができるIR方式の入力装置からの入力を受け付けることによって、ユーザインターフェイスの使用を可能にする。例示的な実施形態においては、IRセンサ1150のための搬送周波数が、455kHz(または、他の任意の適切な周波数)である。対照的に、多数の民生用装置は38kHzで動作するが、この周波数は、蛍光照明からの干渉をきわめて受けやすい。多くの高効率のバラストは、光にフリッカを生じさせる。このフリッカは、人間の眼の検出能力をはるかに超えているが、IRセンサ1160の動作点にちょうど位置する可能性があり、38kHzで動作しているIRセンサをノイズで悩ませる可能性がある。これは、マイクロタイル1100がIRコマンドに応答せず、あるいは間欠的にしか応答しないという結果につながる。
【0135】
したがって、より高い周波数の入力装置(例えば、リモートコントローラ)およびIRセンサは、干渉領域を避けて良好に動作するため、455kHzのIRセンサ1150を使用することで、マイクロタイル1100を幅広い範囲の環境において使用できるようになる。
【0136】
さらに、それぞれのマイクロタイル1100は、マイクロタイル1100が公共の空間に設置される可能性に鑑み、許可のない者が設定(例えば、アレイおよび/またはマイクロタイル1100の構成)を制御または変更することがないように、セキュリティを提供することができる。セキュリティの提供の一例(これに限られるわけではない)として、OSDを介して入力できるパスワードが挙げられる。
【0137】
この実施形態における電源1170は、任意の適切な電圧範囲および周波数を受け付けることができ、例示的な実施形態においては、100V〜240Vの範囲で、50Hz〜60Hzの周波数である。上述のように、電源1170の出力は、+12Vおよび−12Vである。他の電圧を必要とするすべての電子機器は、それらの電圧を、上述のようにDC−DC変換器を使用してその場で生成する。しかしながら、他の任意の適切な電源1170も、これらの実施形態の範囲に含まれる。
【0138】
冷却システム1180が、通常は、所与の温度に達した場合に性能が低下したり、あるいは機能しなくなったりする可能性があるマイクロタイル1100の構成要素の冷却を可能にする。冷却システム1180は、通常は静かであり、冷却が必要とされるときにのみ動作することができる。実際、マイクロタイル1100のいくつかの実施形態は、冷却が不要であると予想されるのであれば、冷却システムを全く有していなくてもよい。しかしながら、例示的な実施形態においては、冷却システム1180が、FEB1140によって制御されるファン、例えば12Vのファンを有している。ファンの速度を、冷却の必要性および/または周囲の状況を監視するための任意の温度センサ(図示せず)に基づいて、制御することができる。そのような実施形態においては、温度センサが、FEB1140と通信する。
【0139】
次に、信号ハーネス5’に戻ると、ビデオ信号において使用される高いデータ伝送レートにおいては、クロストークの確率が高くなりうる。クロストークとは、ハーネス内の隣接する導体間の電磁界の結合を指す。したがって、信号ハーネス5’においてクロストークが生じた場合、信号ハーネス5’を通過する信号のうちの1つが、1つ以上の隣の信号によって乱される可能性がある。これが生じると、ノイズの多いビデオという結果につながる。極端な場合には、同期が失われ、結果としてビデオ画像のジャンプにつながる。したがって、いくつかの実施形態においては、信号ハーネス5’を、導体を接地された導電シールドで個々に遮蔽することによって、クロストークに対抗するようにすることができる。これは、電磁界の中に電磁界を含み、結合を防ぎ、したがってクロストークを防止する。
【0140】
信号ハーネス5’における第2の懸念は、EMIである。単一のマイクロタイル1100の放射のレベルは低いと考えられるが、多数のマイクロタイル1100が(例えば、図9のように)アレイへと組み合わせられる場合、全体としてのEMIがかなりの大きさになりうる。信号ハーネス5’のようなハーネス類、特に外部のハーネス類は、生得的にアンテナのような構造であり、EMIの源に最もなりやすい。したがって、信号ハーネス5’を遮蔽することによって、ハーネスからのEMI放射を生じるようにすることができる。
【0141】
信号ハーネス5’における第3の懸念は、信号ハーネス5’を形成してデータ信号を通過させるケーブルにおけるインピーダンスの整合である。しかしながら、ケーブルの品質のばらつきが、インピーダンスの不整合ならびに差動信号のアンバランスな性能を含むデータ信号の品質低下につながりうる。例えば、ツイストペアが使用される場合に、ケーブルの一部において、1インチ当たりのツイストの回数が少なくなる可能性がある。アレイがデイジーチェーンで接続されている点に鑑み、信号の障害はアレイの全体へと伝搬する。したがって、アレイ内の構成要素のうちの少なくとも1つ(例えば、マイクロタイル110および/または入力ユニット9’)が、不良のケーブルの隔離を助けるためのエラーチェック技法を可能にすることができる。
【0142】
信号ハーネス5’における第4の懸念は、クロスオーバーである。直線状のケーブルにおいて、配線は1対1であり、一端のピン1が他端のピン1へと接続され、一端のピン2が他端のピン2へと接続され、以下同様である。クロスオーバーケーブルにおいては、出力が入力へと直接接続されるように、ケーブルの一端のピン1を、例えば他端のピン2へと接続することができ、ピン2をピン1へと接続することができ、対称に作られているならば、ケーブルをどちら向きでも差し込むことが可能である。このような構成においては、或る1つのマイクロタイル1100の出力を、別のユニットへの入力に接続することができる(すなわち、信号ポート920が接続される)。したがって、いくつかの実施形態においては、1つの信号ポート920を専用の入力ポートとし、第2の信号ポート920を専用の出力ポートとすることによって、さらには/あるいはクロスオーバーを信号ハーネス5’のケーブルに作り込むことによって、これに対処することができる。
【0143】
いくつかの実施形態においては、信号ハーネス5’が、クロスオーバーのCAT6ケーブルを含んでいるが、他の任意の適切なケーブルも、これらの実施形態の範囲に含まれる。
【0144】
入力モジュール9’の信号ルーティングの枠組みは、例えば図7に示したビデオルーティング/処理モジュールと同様のビデオルーティング/処理モジュールにおいて図13に示したFEB1130の信号ルーティングの枠組みと同様であってよい。しかしながら、図13に示したとおり、入力モジュール9’は、入力処理モジュール1360へと接続された少なくとも1つのデータ入力ポート930を備えている。
【0145】
例示的な実施形態においては、入力モジュール9’の出力が、HSync、VSync、およびActDataのタイミングストローブを有する24ビットのRGBプログレッシブ走査ビデオである。ソースビデオがインターレースされている場合、入力モジュール9’によって、例えば入力処理モジュール1360を介してプログレッシブへと変換される。ソースがYPrPbでエンコードされている場合には、RGBへと変換される。
【0146】
いくつかの実施形態においては、アレイが放送を表示するために使用される場合に、入力モジュール9’を、初期設定によってフレーム固定モードで動作できるようにすることができる。これらの用途においては、画像が、所定のビデオレート(PALの50Hz、またはNTSCの59.94Hz)で撮影されている。アーチファクトを防止するために、アレイ内のマイクロタイル1’が同じレートで動作することが望ましい。MLE1130が入力されるフレームレートをサポートできない場合には、フレームレートの変換を、例えばフレーム挿入/削除によって実行することができる。これに限られるわけではないが、入力フレームレートの整数倍または約数を使用することが望ましい。利用できる整数倍または約数がサポートされていない場合には、MLE1130の最小のフレームレートを使用することができる。
【0147】
当業者であれば、上述の実施形態を実現することができるさらに多数の代案の実施例および変更が存在し、上述した実装および実施例が1つ以上の実施形態の例示にすぎないことを、理解できるであろう。したがって、技術的範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ソースと画像の個々の部位を生成するための複数のマイクロタイルユニットとを有しており、
各マイクロタイルユニットが、内蔵のスクリーンと該スクリーンに前記画像を投影するためのリアプロジェクタとを備えている画像化システムにおいて使用され、連続する隣接マイクロタイルユニットにおいて前記画像の部位間の自動整列、カラーマッチング、および明るさマッチングの少なくとも1つを行う方法であって、
マイクロタイルユニットのうちの別の1つに隣接している前記各マイクロタイルユニットの側壁へと各画像の縁の一部がはみ出すように、前記スクリーンをオーバースキャンし、
前記画像からの光が、前記側壁を通って前記別のマイクロタイルユニットへと漏れるようにし、
前記別のマイクロタイルユニットにおいて、前記光を検出し、
前記別のマイクロタイルユニットにおける前記光の検出に応答して前記画像を調節することにより、前記複数のマイクロタイルユニットの間で前記画像の整列、カラーマッチング、および明るさマッチングの少なくとも1つを行うようにする方法。
【請求項2】
画像ソースと画像の個々の部位を生成するための複数のマイクロタイルユニットとを有しており、
複数の幾何学的構成のうちの任意の1つに配置される画像化システムにおいて、前記幾何学的構成のうちの前記1つを検出する方法であって、
前記マイクロタイルユニットの個々の1つに対して、その1つの面について他のマイクロタイルユニットの存在を検出し、さらに前記1つのマイクロタイルユニットの当該1つの面に隣接するもう1つの面について他のマイクロタイルユニットの存在を検出し、
前記存在の検出に基づいて、前記幾何学的構成の前記1つに対するマップを生成する方法。
【請求項3】
画像ソースと、
画像の個々の部位を生成するための複数のマイクロタイルユニットと
を有した画像化システムであって、
各マイクロタイルユニットは、
内蔵のスクリーンと、
開口を有する少なくとも1つの表面および光検出器を有している反対側の表面と、
前記スクリーンに前記画像を投影し、各画像の縁の一部が前記開口を通って当該マイクロユニットに隣接する別のマイクロタイルユニットの光検出器へと漏れて当該別のマイクロタイルユニットにおいて検出されるように、前記スクリーンをオーバースキャンするリアプロジェクタと、
前記さらなるマイクロタイルユニットにおける前記光の検出に応答して前記画像を調節することにより、前記複数のマイクロタイルユニットの間で前記画像の整列、カラーマッチング、および明るさマッチングの少なくとも1つを行うようにする制御回路とを有している画像化システム。
【請求項4】
それぞれが個々の画像を配布する複数の画像ソース、および
互いに通信し、かつ前記複数の画像ソースと通信する複数のマイクロタイルユニットを有した画像化システムであって、
前記複数のマイクロタイルユニットのそれぞれが、複数のマイクロタイルユニットを或る幾何学的構成へと物理的に一体に組み合わせることができるよう、他の少なくとも1つのマイクロタイルユニットと接続するための少なくとも1つの連結機構を有しており、
前記複数のマイクロタイルのそれぞれが、前記複数の画像ソースから少なくとも1つの画像を受信して、該少なくとも1つの画像の個々の部位を生成することができ、
前記複数のマイクロタイルの第1の部分集合が、第1の画像ソースから受信した第1の画像を表示でき、前記複数のマイクロタイルの少なくとも第2の部分集合が、少なくとも第2の画像ソースから受信した少なくとも第2の画像を表示できる画像化システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像化システムであって、
前記複数の画像ソースのうちの1つが、システムマスターとして指定され、
該システムマスターが、前記第1の画像および前記少なくとも前記第2の画像の前記第1の部分集合および前記少なくとも前記第2の部分集合のそれぞれへの配布を制御でき、前記マイクロタイルで各々生成すべき前記少なくとも1つの画像の個々の部位を示すコマンド信号を前記複数のマイクロタイルのそれぞれへと送信することによって、前記第1の画像および前記少なくとも前記第2の画像の前記第1の部分集合および前記少なくとも前記第2の部分集合のそれぞれへの配布を制御できる画像化システム。
【請求項6】
画像を表しているビデオ信号を該画像の個々の部位を生成する複数のマイクロタイルユニットへと配布するための、ならびにコマンド信号を送信および受信するための少なくとも1つの信号ポートと、
前記コマンド信号を前記ビデオ信号へと挿入でき、前記コマンド信号を前記ビデオ信号から抽出できる処理ユニットとを有しており、
前記コマンド信号は、自己組織化プロセスにて前記複数のマイクロタイルユニットの幾何学的構成を検出するためのコマンド信号である画像ソース。
【請求項7】
前記コマンド信号が、
前記マイクロタイルユニットの個々の1つに対して、その1つの面について他のマイクロタイルユニットの存在を検出し、さらに当該1つのマイクロタイルユニットの前記1つの面に隣接するもう1つの面について他のマイクロタイルユニットの存在を検出するようにトリガーできるようになっており、
前記処理ユニットがさらに、前記存在の検出に基づいて前記幾何学的構成のマップを生成することができる請求項6に記載の画像ソース。
【請求項8】
前記プロセッサがさらに、前記自己組織化プロセスの最中に同様の自己組織化プロセスを実行している第2の画像ソースが発生した場合に、前記画像ソースおよび該第2の画像ソースの一方をシステムマスターとして指定して、システムマスターの自己組織化プロセスを優先させるように調停の仕組みを実行できる請求項6に記載の画像ソース。
【請求項9】
マイクロタイルユニットであって、
他の複数のマイクロタイルユニットに接続して当該他の複数のマイクロタイルユニットを複数の幾何学的構成に配置できるようにするための少なくとも1つの連結機構と、
個々の通信線によって個々のマイクロタイルユニット間を相互接続するための、および画像を表している少なくとも1つのビデオ信号を少なくとも1つの画像ソースから受信するための少なくとも1つの信号ポート、
前記複数のマイクロタイルのうちの他のマイクロタイルユニットおよび前記少なくとも1つの画像ソースとの通信を可能にする回路、および
前記画像の個々の部位を生成するための前記処理ユニットと通信する光エンジンを有しているマイクロタイルユニット。
【請求項10】
前記回路が、画像のキャプチャ、リサイズ、カラーマッチング、エッジブレンディング、および幾何学的補正のうちの少なくとも1つを行うために、マイクロプロセッサ、フレームバッファ、およびビデオ処理を備えている請求項9に記載のマイクロタイルユニット。
【請求項11】
前記回路が、コマンドメッセージを画像を表すビデオ信号へとエンコードし、画像を表しているビデオ信号からコマンドメッセージをデコードするための回路を備えている請求項9または10に記載のマイクロタイルユニット。
【請求項12】
前記回路が、前記複数のマイクロタイルユニットのうちの複数の隣接するマイクロタイルユニット間で前記画像のエッジブレンディングを行うための回路を備えている請求項9〜11のいずれか一項に記載のマイクロタイルユニット。
【請求項13】
前記少なくとも1つの連結機構が、おおむね筒状の相補形状をした雄部分および雌部分を有し、雄部分および雌部分は相補形状をしたねじ山を有している請求項9に記載のマイクロタイルユニット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの連結機構が、前記マイクロタイルユニットの位置合わせおよび整列を可能にするため、前記マイクロタイルユニットの個々の面に相補形状をした突起およびくぼみを有している請求項9に記載のマイクロタイルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−80229(P2013−80229A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244069(P2012−244069)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2008−126584(P2008−126584)の分割
【原出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(508145241)クリスティー デジタル システムズ ユーエスエー インコーポレイティッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Christie Digital Systems USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】10550 Camden Dr. Cypress, CA 90630 , USA
【Fターム(参考)】